NEWS(最新情報)

新着情報

2023年11月24日

NEW!

年末年始のお知らせ

平素よりJARTA公式ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、下記のとおり年末年始休業とさせていただきます。
皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただきますようお願い申し上げます。
 
■ 年末年始 休業日
2023年12月29日(金)~2024年1月3日(水)
※2024年1月4日(木)より、通常営業を開始致します。
※休業期間にお問い合わせいただきました内容については、2024年1月4日(木)以降ご連絡致します。
 
 
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2023年11月24日

NEW!

メンテナンスのお知らせ

メンテナンスのお知らせ

平素よりJARTAをご利用いただきありがとうございます。
弊社が導入しております決済システム PAY.JP のシステムメンテナンスのため、下記日時はクレジット決済がご利用いただけません。
  
■メンテナンス日時

2024年1月23日(火)午前2:00~午前6:00(およそ4時間)

 
ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

  
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記事一覧

2023年03月23日

認定スポーツセミナーアップデートのお知らせ

JARTAではスポーツ界の状況にあわせてセミナー内容を最適化するため、数年に一度セミナー内容をアップデートしています。
つきましては、2024年4月より認定スポーツセミナーを2期コース(現在開催中)から3期コースへと移行致します。

認定スポーツトレーナー試験に対応する内容も変わってまいります。
進学中の方、今後認定スポーツトレーナー試験を受験予定の方はこちらのページをご参照下さい。
なお、セミナー構成と料金については変更ございません。

■新セミナー移行時期
2024年3月 第2期(現在開催中)セミナー終了
2024年4月 第3期セミナー開始
 
■認定スポーツトレーナー試験
2025年2月⇨第2期セミナー内容
2026年2月⇨第3期セミナー内容
 
 
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2022年12月02日

年末年始休業のお知らせ

平素よりJARTA公式ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、下記のとおり年末年始休業とさせていただきます。
皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただきますようお願い申し上げます。

■ 年末年始 休業日
2022年12月28日(水)~2023年1月3日(火)
※2023年1月4日(水)より、通常営業を開始致します。
※休業期間にお問い合わせいただきました内容については、2022年1月4日(水)以降ご連絡致します。

JARTA

2022年07月20日

メンテナンスのお知らせ

平素よりJARTAをご利用いただきありがとうございます。
弊社が導入しております決済システム PAY.JP のシステムメンテナンスのため、下記日時はクレジット決済がご利用いただけません。

■メンテナンス日時
2022年8月22日(月) 午前3時 – 午前5時30分 (2時間半)

ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

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2022年04月08日

改正 個人情報保護法について

2022年4月1日からの改正個人情報保護法の施行に伴い、
弊社サービスのプライバシーポリシーを一部改定いたしました。
新しいプライバシーポリシーの内容は、以下のリンクよりご覧いただけます。
こちらから

2021年12月02日

年末年始のお知らせ

平素よりJARTA公式ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、下記のとおり年末年始休業とさせていただきます。
皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただきますようお願い申し上げます。
□ 年末年始 休業日
2021年12月29日(水)~2022年1月3日(月)
※2022年1月4日(火)より、通常営業を開始致します。
※休業期間にお問い合わせいただきました内容については、2022年1月4日(火)以降ご連絡致します。

2021年11月13日

「STRATE[ストラテ]−優良業者・専門家の比較・紹介サイト-」 にて「JARTAホームGym」を取り上げて頂きました。

2021年10月01日

お知らせ

平素よりJARTA公式ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
この度JARTA公式ホームページにてシステムメンテナンスを実施致します。
以下のメンテナンス期間はホームページを閲覧いただけません。
10月27日(水)
AM5:00~AM8:00
皆様にはご不便とご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解の程よろしくお願い致します。
今後ともJARTAをよろしくお願い致します。

2021年08月06日

帯同報告/東京オリンピック 空手競技 植草歩選手


 
 
連日熱戦が繰り広げられている東京オリンピックですが、皆様はどの競技に注目されていますでしょうか?
 
開催前は様々な意見が出る中で参加する選手たち自身も多くの葛藤の中にあったはずです。
しかし始まってみると、スポーツの持つ力により、多くのエネルギーをアスリートから頂いているのは言うまでもありません。
 
そんな東京オリンピックにJARTA統括部長の赤山僚輔が空手競技、女子組手61kg超級に出場する植草歩選手のパーソナルサポートとして帯同しております。
(練習会場、選手村外でのサポート)
植草選手のご紹介はこちらから
https://ja.wikipedia.org/wiki/植草歩
公式ブログでも何度かご紹介した、赤山がトレーニング・コンディショニングサポートをしております高松中央高校の空手部監督、崎山幸一氏が植草選手の担当コーチをされているご縁でサポートが始まりました。

写真左が崎山氏。
 
JARTAに関わらず様々なトレーニングを積み重ね、競技力向上の為にフィジカル強化、身体操作能力の向上を継続して来られています。
 

 

 
そんな植草選手の試合は7日の14時から予選リーグの初戦がスタート。
 
予選リーグの2位までがメダルマッチに進むことができます。
民放での放映予定はありませんが下記サイトでライブ配信が予定されております。
https://gorin.jp/athlete/1315383/
 
BSの放映スケジュールは下記より
https://sports.nhk.or.jp/olympic/programs/broadcast/2021-08-07.html
少しでも多くの声援が力になります、是非とも応援よろしくお願い致します。
 
また初めて空手をご覧になられる方に、分かりやすい説明動画が全日本空手道連盟の公式チャンネルで公開されております。

試合までに是非一度ご視聴いただき、より競技の魅力を堪能していただければと想います。
 
 
東京オリンピックを通して多くの競技や世界が身近になり、競技の勝敗を通して、その先の未来に対して確かな歩みを続けられるよう引き続き身を引き締めていきたい。
そう感じられる帯同の日々を送っております。
 
繰り返しになりますが、選手への暖かなご声援何卒よろしくお願い致します。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

2021年07月04日

選手の傾向を自分に当てはめ考察してみよう


 

文:赤山僚輔

 
なんだか首が硬い選手が多いなあ。。。
 
これはごく最近、自分自身が感じている所感です。
 
そして身体部位において特に痛みや不調を感じる部位がなくなっている赤山ですが、動きにくさや違和感を感じやすい部位としては下部頚椎があげられます。
 
このような傾向は本ブログをお読みの皆様でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
 
印象的な出来事が8年〜9年ほど前にありました。
 
自分自身の身体に向き合うことがほとんどなかった私は、身体の不調だらけだったのですが、その時関わっている選手が軒並み胸背部の硬さが気になるなと感じていました。
 
上記選手たちの状況とは別件で、自分の体にもうそろそろしっかりと向き合わないといけないと一念発起し、同僚の紹介でジャイロキネシス(ジャイロトニック含む)に通い始めました。
 
自分の当時の姿勢を写真でみて、これが自分の姿勢か。と驚愕しワーク後に即座に変化する身体にも驚いたことを覚えています。
 
そしてそこから少し時は経ち、自分自身で胸背部の硬さを改善する手法や硬くなる要因が整理できるようになりました。
 

 
そうなると当たり前ですが、目の前の選手が同部位に硬さや不調がある際にも解決のための手法を提示できるようになるのです。
 
考えてみると当たり前なのですが、鏡や写真などのツールがなければ自分の状態を客観視することは難しく。
 
意外と自分自身の硬さを認識する機会が少ない方も多いのではないでしょうか?
 
目の前に足首が硬い選手が多いと感じているのであれば、スポーツトレーナー自身がしゃがみ込みができないのかもしれませんし。
 
股関節の硬さがなかなか改善しないと嘆いているスポーツトレーナー自身が、鼠蹊部につまり感を有しているかもしれません。
 
自分の身体に向き合う意義やメリットについてはJARTAでも繰り返しお伝えしています。
 
選手のニーズに応えるためのピラミッド構造の最底辺に、スポーツトレーナー自身のトレーニングやコンディショニング(身体環境作り)があると認定スポーツトレーナーコースでも繰り返しお伝えしています。
 
その上で、何から手をつけて良いかわからない。
何をどうすればよいかわからない。
 
そのように感じておられる方がいたら、目の前の選手やクライアントをみているなかで、なかなか症状が改善しない部位や硬さが残りやすい傾向がある部位。
その共通項や相似性を考えてみてください。
そしてその共通項がある部位が自分自身に当てはまっていないかを胸に手を当てて考えてみてください。
 
自分自身の身体において問題がある部位が重なっていると実感することができれば、あとは簡単です。
 
いまはさまざまな手法が出回り、身体の硬さをセルフメンテナスで足先から頭の先まで解決できるようになってきました。
もちろん的を得た手法がなければ、現在開催しているJARTAのオンラインセミナーでも気になる身体部位や症状をヒントにピックアップしてみるとよいかと想います。
 
まずは自分自身がトライしてみて、その結果を通して良いと思われる手法を選手に還元していくこと。
 
シンプルではありますが、なかなか徹底ができにくいことでもあります。
 
赤山は今一度、頸部について深め、自分自身のコンディションも更に向上させていければと思っています。
 
今回は、選手の傾向を自分に当てはめて考えるということでお伝えしてきました。
自分は自分では見えないからこそ、見えている目の前の事象を通して心身に深く向き合えるスポーツトレーナーが増えることを願っていますし、自分自身もそう成れるように、気を引き締めて日々に取り組んでいきたいと想います。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2021年06月06日

活動報告/ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川

表題の大会につきまして、昨日最終結果が確定致しましたので簡単ではありますが結果を公式ブログにて報告させていただきます。
 
 

[メディアリリース]「Santen ブラサカグランプリ 2021」 最終日結果 日本は0-2で敗れ準優勝、アルゼンチンが3連覇

https://www.b-soccer.jp/news/16768-pr210605_wgp2021result
 
 
多くの皆様の応援が力になりました、本当にありがとうございます。
同大会にはフィジカルコーチとして中野崇と高塚政徳の両名が帯同しておりました。
 
パラリンピック本番での応援も何卒よろしくお願い致します。
 
 

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2021年05月29日

不調がない選手に圧倒的な違いを感じてもらう為に

 

文:赤山僚輔

 
病院やクリニック、接骨院や治療院で勤務をしていると、対象となるクライアントはほぼ全てが痛みや不調を持ち来館される方だと思います。
 
そんなクリニック勤務時代、JARTAが創設される前に中野崇というスポーツトレーナーに初めて出会った時、自分の基準を大幅に変えるきっかけになったのが表題の観点になります。
 
『痛みのない選手にも圧倒的な違いを感じさせることができないといけない』
 
もう10年近くも前なので細かな語彙は異なるかもしれませんが、観点としては当時衝撃的で鮮明に記憶されています。
 
まだまだ目の前の選手の不調を改善にゼロにすることに対して壁を感じていた自分にとって、その先の基準を示唆されたことは、今後の方向性を明確化すると共に、不足を知る大事な岐路になりました。
 
痛みや不調がある選手に対して、その症状を解決したり、変化を感じてもらうことは、徹底的に学び深めていくとさほど難しいことではありません。
 
では何も症状がない選手に対して圧倒的な違いや伸び代を提示、体感してもらう為にはどのような視点や準備が必要なのでしょうか?
 
今回はこの点について少しだけ具体的に視点と手法を共有したいと思います。
 

なぜそのような視点が必要なのか?

 
まずは導入として、なぜ痛みや不調を解決するだけでなく、そのような視点が必要であるかについてお伝え致します。
 
スポーツ現場やアスリートに関わっっていると、もちろん様々な不調を顕在的抱えており、それらを可及的早期に、そして根本的に解決するためのスキルは非常に大事になります。
 
しかしそれらの多くはアスリートのコンディションの基準が”ゼロ”だとした場合、”マイナス”の状態からゼロに戻す過程であり、最高のパフォーマンスの為の準備としては基準のゼロに戻ったにすぎないとも言えます。
 
そしてアスリートたちは現場で追い求めていることは、痛みや不調を解決したい。
怪我をしないようにプレイしたい。
といったものではなく。
 
 
上手くなりたい
もっとパフォーマンスレベルを向上させたい
少しでも勝利に近づけるように
 
このような想いや願いの元で日々厳しい練習を積み重ねています。
 
そして関わる指導者もまた
 
 
もっと早く上達できるように
地区大会を突破できるように
日本一、世界一に成れるように
 
 
このように目標を持ち、日々選手やチームに対峙しています。
 
ではそのような環境に同じスタッフとして、あるいはその場で高みを目指す選手に対峙する時にスポーツトレーナーはいつまでもけが人の対応だけや、けが人がいなければなにもすることがないというようなスタンスでよいのでしょうか?
メディカルスタッフであったとしても、マイナスからゼロへのサポートはもちろん。
ゼロからプラスへのサポートにおいて何が必要なのかを吟味しブラッシュアップし続けること。
 
これはスポーツトレーナーにとって持つべき必要な視点であると私は考えています。

(JARTAが創設される前の中野崇)

 

視点を持つ為の準備

どこも痛くない、何も気になるところがない。
そんな選手に何をどこから手をつければよいのだろうか。
そのように思案する方は少なくないと思います。
 
そんな方に、まずはシンプルな構造の捉え方からアプローチのヒントをお伝えします。
 
・筋肉→筋肉同士が分離して働けるような環境をセッティングする
・関節→適合性を改善し、球関節であれば求心位を高め、連動していない脊柱は分節的に動くように
・皮膚(軟部組織)→皮膚がつまめるゆとりが皮下にあるように
 
次に主観的な訴えを元にアプローチするヒントを
※ここでは本人が不調がない状態でも詳細に内観してもらい身体の状態を精度高く訴えられるようにしていくという目的も内包しています。
・手足が重たい→左右差や前日やコンディションの良い時と比較して自覚してもらう
・力みがある→身体をゆすったり、触ったりすることで余計な身体の力みがどこにどの程度あるかを確認してもらう
・呼吸の大きさや長さ→呼吸時の胸郭の動きや呼気の長さなど、普段の状態と比較し今の呼吸状態においてどこが動きにくく、息がしにくいかなどを内観してもらう
このような視点だけでも、本人が痛みとしては何もなくても、コンディションを向上させる。
パフォーマンスを向上させるという前提で考えるとどんどんと伸び代がある事に気づけるはずです。
 
そしてその視点を実際の選手の体感を通しての気づきに落とし込んでもらう為には、筋肉、関節、皮膚の望ましい状態という前提を知識としても評価としても準備しておく必要性があります。
 
また内観の精度についてはスポーツトレーナー自身が日々自分の心身に向き合い変化を内観することで。
 
示唆もしやすいだけでなく、何がそれを変化させる要因かも掘り下げ続けることができます。
 
その繰り返しで、大事な試合において、ハイパフォーマンスを実現するサポートの準備へと繋がるのです。
 
いま、特に不調がない。
そんなセラピスト、スポーツトレーナーこそ、ただ強化をするだけでなくこのような内観をする習慣を取り入れてみてください。
 
そしていま、不調がある方ばかりに対峙している方は、イメージからでも何も主訴がない状態のアスリートに対してどのような評価をしてどのようなコンディショニングや関わりができるのか。
 
想像してみてください。
 
それがこれからのステップへの大事な一歩へと繋がるはずです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2021年05月12日

五月をいつも以上に快適に過ごす為に

文:赤山僚輔

 
今回は過去記事を振り返り、この時期に留意しておきたい事象について簡単にご紹介致します。
 
まずは7年前の下記記事をご覧ください。

スポーツ業界における五月病とは?


 
この記事を書いたのがもう7年も前か、というのも驚きなのですが。
 
やはりこの時期には怪我が多く、いくつかの大学の調査でも3月から5月頃にかけて障害が増えるという報告もあります。
 
そしてサポートをしているチームにおいても5月に入ってこれまで以上に外傷や障害で練習を休止する選手が出現しており。
 
今一度、自分自身もこの時期にはより入念に過ごしていかねばと痛感しています。
 
特に進学や転職などがなくても、日本においては年度替わりは節目になります。
 
その影響か、4月の最初はバタバタと忙しい職場やクラブ活動においても新入生が入ってくることによって今まで以上の負担が増える選手も多いと思います。
 
そして外傷や傷害は負担が増大している時期に発生することもあれば、そのピークが過ぎ去ってから時差をもって発生することもよくあります。
 
気が張っている状態では気にならなかった身体の異変が、GWでの休暇や試合の連続などで負担が蓄積したり顕在化して症状が出現するのです。
 
 
自分自身もGW前後までは正直疲労を自覚することはほとんどなかったのですが、GW後の何気ない日々の中で寝起きの悪さや日中の眠気など、いつもよりも疲労が蓄積していることを顕在化することがここ最近は重なっていました。
 
このまま、何も手立てを加えずに放置しておくと五月病になりそうだな。
そのように感じました。
 
先週、立夏を過ぎ暦上はもう夏になります。
日照時間も長くなり、本来は朝も起きやすくなってくるはずなのですが3月4月と頑張り過ぎた方ほど5月は疲労が出てくるかもしれません。
 
サポートしているチームでは、この時期ごろまでは1年生は別メニューでトレーニングを実施しています。
それは強度を下げる場合もあれば、同じ種目でもセット数を少なくしたり、求めるクオリティを2、3年生とは区別して指導しています。
 
またよりコンディショニングに関する取り組みに対しての時間を設けることもこの時期には入念に行っています。
 
特に指示がなければ、最後の大会に向けて自然と無理をしてしまいがちなこの時期。
本当に大事な本番で、最高のコンディションでパフォーマンスが発揮できるように。
 
いつも以上にちょっとした心身の異変や変化に耳を傾けること。
 
そしてスポーツトレーナーとしては、いつもであれば見過ごしてしまいそうな状況においてもこの時期には慎重に対応していければと思います。
 
頑張らせることも我々の責務であれば、不必要に頑張らせないことも責務ではないでしょうか。
 
自律神経の観点においても、ずっと交感神経優位な状態ではリカバリーが追いつきません。
 
よりオンとオフを丁寧に、なんともないと感じていても、この時期には睡眠や休養、食事など自分を労ることを丁寧に過ごしていきましょう。
 
もちろんアスリートだけでなく指導者やスポーツトレーナー自身も。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 

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2021年04月21日

“マイナスの学習”という視点

文:赤山僚輔

 
『マイナスの学習』
JARTAのベーシックセミナーの内容でお届けする重要な捉え方について今回の記事では今一度整理してお伝えしたいと思います。
 
 
何かを学び習得していくプロセスは、アスリートに関わらず重要であり、様々な角度から学習することをこれまでに皆様は経験していると思います。
 
アスリートであれば、それは柔軟性の向上や筋力アップだけでなく、身体操作や自分の心身を深く理解していく過程などがそういった学習に該当するのではないでしょうか。
 
その学習は本来、目的に対しての手段であり、表現を変えると最上位目標に到達するまでの中間目標に位置するものだと思います。
 
それを目的と手段を混同して、気づかぬうちにその手段の一つである学習が目的化してしまうと一部分を切り取った学習としては確実に前に進んでいるのに、目的に対してはネガティブに働いてしまうことがある。
これがいわゆる”マイナスの学習”という状態です。
 
大前提としてパフォーマンスを敢えて下げようと思い指導に関わる人はいないと思います。
 
しかし、そのパフォーマンスの構造を整理して、関係的な繋がりを考慮しなければ、フィジカルの一部分である要素の強化や変化が全体であるパフォーマンスの向上とイコールであると誤認してしまう自体に陥ってしまうのです。
 

柔らかければ良いというわけではない

これは私自身の過去の苦い経験でもあります。
股関節の柔軟性を改善することに対して、解決策が充分に整理でき始めた頃。
コンディショニングにおいてもセルフケアやワークにおいても、股関節の硬さで困るような選手がほんどいなくなってきていました。
そんな時に一時的に股関節の詰まり感や動きにくさを訴える選手に対して、本人の主観ではこれまでで一番動きやすいと感じるほどに股関節の可動域を拡大できた機会がありました。
20代後半の選手でしたが、いくつからでも可動域は根本的な原因を解決すれば、拡大できる。
そのように鷹を括っていました。
そうするとその数日後、彼女からぎっくり腰になったとの報告を受けました。
 

 
その報告を受けた瞬間に、『しまった。。。』そのように感じました。
ひとつの関節が著しく動きやすくなるということは、当たり前にこれまでよりも動きが容易になり隣接する関節への負担は増えます。
今までよりも練習において負荷をかけやすくなった状態でもあったと推察できます。
幸いすぐにコンディショニングする機会があり、すぐ練習には戻れましたが、私自身の苦い教訓として、一側面だけをみて、よくなったと過信していると全体のパフォーマンスや身体全体の統合性においてマイナスに働くこともある。
まさにマイナスの学習を体現する貴重な機会となりました。
 
木を見て森を見ずという表現もありますが、常に一側面の学習だけに捉われず、パフォーマンス全体の状態や方向性、あるいは目的に対しての軌跡について慎重に検討し、適時振り返ることでこのような意図しない状況での”マイナスの学習”を防ぐことができます。
 
我々スポーツトレーナーが介入する際には全てが無条件にプラスに働くとは限りません。
パフォーマンス全体を常に俯瞰し、選手や指導者と共有し、極力マイナスの学習が発生しないようにひとつひとつの課題に向き合っていければと思います。
 
長くなりましたが、少しでもマイナスの学習が減り、パフォーマンスアップに寄与できるスポーツトレーナーが増え、思う存分競技に打ち込めるアスリートが増えることを祈念しております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2021年04月03日

【再現性を高めるためのトレーニング -構成プロセス編-】

文:伊東尚孝

トレーニングを行う理由のひとつが、試合で成果を出すためであることは言うまでもありません。トレーニングで習得したことが試合で発揮されることで、勝利に近づくことができるでしょう。
しかし競技によっては、練習通りにパフォーマンスを発揮させやすいものと、発揮しにくいものが存在します。
前者は陸上短距離走やゴルフなど、相手からの干渉なく実力を発揮させやすい競技です。メンタル面では干渉されることもありますが、直接的に自分のプレーを邪魔されることはありません。(※とはいえ容易にパフォーマンスを発揮できるという意味ではありません。)
一方で後者はサッカーやバスケット、ラグビーなど、相手から直接干渉されることでプレーを制限させられる競技を示します。すなわち、相手が自分のパフォーマンスを発揮させないようにしてくる中でも、成果を出さなければなりません。
 
少し具体的に、サッカーのシュート動作を例に挙げます。フリーキックやPKを除き、多くの場合は相手からのプレッシャーがあり、自由にプレーできない状況でもシュートを打たなければなりません。その上、全く同じ状況が何度も訪れることはなく、たった一度のチャンスをものにしなければ得点につながりません。すなわち、その状況に適応させながらも再現性のあるパフォーマンスを発揮することが求められます。
いわゆる単調で型にはまったシュート練習では、そのような適応能力を鍛えるには時間がかかる(もしくは習得できない)ことは想像できると思います。
ボールの位置や自分の姿勢、相手との距離、ゴールまでの距離や角度、グラウンドコンディション、先制点なのか逆転のチャンスなのか。その状況に一定のパターンは存在せず、瞬時に適応しなければなりません。
このような不規則で偶発的な動作のパフォーマンスを向上するには、どのようなトレーニングが必要となるでしょうか。
今回は、そのような不規則で偶発的な動作に着目し、どのようなプロセスでトレーニングを構成するべきかを解説していきます。
 
 

【運動構造を二種類に分解する】

 
まず前提として、トレーニングを構築するためにはその競技の運動構造を理解しておく必要があります。このことは以下のブログに記載しています。
選手が本当に必要とするトレーニング
その競技で要求される運動構造を抽出し、目の前の選手の動作と比較した時、その選手の伸び代ポイント、つまり成長するための課題が抽出されます。
 

 
すでに上述したように、ある競技では瞬時に変化する状況に適応させながらも、高いパフォーマンスを発揮することが求められます。このように再現性が低く不規則で偶発的な動作を練習するなら、より試合に近い状況の練習を反復させることも有効かもしれません。
しかしその構造を理解せず闇雲に反復しているようでは、選手の伸び代ポイントが不明確なままトレーニングをすることになります。その結果、選手の成長に時間がかかってしまい効率性を欠いた練習になる可能性があります。
そこで必要となる分析は、運動構造の中で変化させない基本となる構成要素を抽出することです。
どの競技においても、目的の動作を達成するために欠かせない要素は必ず存在します。あらゆる動作の中でも、その基本となる構成要素が再現されるようにトレーニングを構成する必要があります。
言い換えれば、不規則で偶発的な動作に影響されることなく、基本となる構成要素を再現できる身体操作トレーニングが必要となります。
 

 
では具体的に、サッカーのシュート動作における基本となる構成要素とは何なのかを考えていきます。
右脚でのシュート動作では、蹴ると同時に左腕をクロスさせるように振っていることがわかると思います。これにより脚の振り抜く力だけではなく、腕振りにより体幹部の捻る力を増強させることで、パワーやスピードのあるシュートを打つことができます。さらにシュートモーションを速めることにもつながるため、得点力を高めるためには必要な動作パターンとなります。
また相手との距離が近いと、腕を使って相手との距離を保ちながらシュートする場合もあります。それでは左腕の振りが制限されてしまい上記の動作パターンを再現できなくなります。そこでトップ選手は右腕を後方に振る反動を利用することで、相対的に体幹部を捻れさせてシュートを打っていることが多いです。
 
様々なフェーズの動作を分析すると、このように共通するポイントがいくつか抽出されます。
多くの場合、それらが目的の動作を達成するための基本となる構成要素になります。
すなわち今回の例であれば、シュート動作の基本となる構成要素のひとつには、蹴り脚に対する左右の腕振りが挙げられます。
 
ここで基本となる構成要素が抽出されたので、これ以外を不規則で偶発的な構成要素と定義づけ上記の画像に当てはめると、
基本となる構成要素:蹴り脚に対する左右の腕振り
不規則で偶発的な構成要素:ボールに対する軸足の位置、姿勢(頭の位置や身体の傾き)、目線、重心位置など
このようになります。
 

(※もちろん、これ以外にも様々な要素が存在します。)
 
トップ選手のシュートを分析すると、相手を背負い姿勢が崩れるような場面であっても、腕を振りながらシュートしていることが確認できます。
 
 

【不安定な状況を作り出す】

 
これらを導き出すことができて、ようやくトレーニングを構成するための土台が整います。
これまでのプロセスによって基本となる構成要素が浮き彫りになるため、トレーニングの優先順位や重要なポイントを的確に押さえるためのヒントとなるでしょう。
 
しかし今回のトレーニング構成プロセスの目的は、“不規則で偶発的な動作に影響されずに基本となる構成要素を発揮すること”です。これらを達成するためには、もう一つ重要なプロセスを踏まなければなりません。
それは、基本となる構成要素はそのままに、不安定な状況を作り出すバリエーションに富んだトレーニングを行うことです。
再現性の低い場面に適応できないということは、動作の選択肢(バリエーション)が少なく、いつも発揮しやすい安定した(固定された)動作ばかりを再現してしまっていると言えます。
 
つまり、適応しにくい安定した動作を不規則で偶発的な変化に適応させるためには、安定した動作を脱し不安定な動作を取り入れることで習得できるということです。
 
例えばシュート動作における不規則で偶発的な要素のひとつである、軸足の条件を様々なバリエーションで設定するとします。軸足が不安定な状況であっても蹴り脚と左右の腕振りの関係性を崩さずにトレーニングを行うことで、今回の目的を達成するためのトレーニングを構成することを可能とします。
 
 

【トレーニング構成プロセスには膨大な準備が必要】

 
今回の内容は、あらゆる状況に適応させながらも再現性のあるパフォーマンスを発揮するための、トレーニング構成プロセスについて解説しました。
特に直接相手に干渉されてプレーを制限されるような競技では、そのプレーに欠かせない要素を明確にした上で運動構造を分解する必要があります。
 
トレー二ングの構成が効率的であることは、選手が成長するスピードを早められることを意味します。
つまり、トレーニングを構成する前の膨大な準備が重要です。
 
今回はトレーニグ構成のプロセス中心に解説してきましたが、具体的なトレーニングの選択方法などは、次の機会に解説できればと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 

JARTA公式HP
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〈参考資料〉
フラン・ボッシュ:コンテクチュアルトレーニングー運動学習・運動制御理論に基づくトレーニングとリハビリテーション,株式会社大修館書店,2020
 

2021年03月28日

いつも通りを大一番で/2021年全国高校選抜大会帯同報告〜高松中央高校空手道〜

 

文:赤山僚輔

2021年3月24-26日に東京体育館で開催されました「JOCジュニアオリンピックカップ第40回全国高等学校空手道選抜大会」に帯同してきましたので簡単ではありますが、報告をさせていただきます。
 
2020年は全国選抜もインターハイも開催されなかった為、かなり久しぶりの大きな大会。
赤山としても同校への大会帯同は2019年のインターハイ帯同以来の機会になりました。
前回帯同時の報告記事については以下よりご参照ください。

天国と地獄 / 2019年インターハイ帯同報告〜高松中央高校空手道〜


 
今回大会でチームが目指す照準は男女組手団体のアベック優勝でした。
沖縄では男子は優勝、女子は3位という結果でした。
もちろん目指すところは頂点ではありますが、スポーツトレーナーとしては選手たちに最大限楽しんでもらえるように、帯同中は心がけています。
大会においていつも通りの力を発揮することは至難の技です。
本当に一瞬で勝負が決する競技なので、大舞台でいつも通りの力が発揮出来ない選手ももちろん出てきます。
 
そんな中でいつも通りの力を発揮出来た部分といつも通りの弱さが出た部分が浮き彫りになった大会でした。
 
どの競技でも言えることですが、身体の調子が問題がない状態でも試合で最高のパフォーマンスを発揮できるとは限りません。
 
サポートをしていて試合で目を見張るようなパフォーマンスを発揮する選手やチームは身体の調子が良いだけでなく、心の準備や、会場との相性など多くの要素が重なっていつも以上の動きが発揮出来ているな。
 
そのようにも感じます。
 
今回は結果としては個人組手で男子女子1名が日本一に。
そして女子組手団体が見事に優勝し、2連覇を達成することができました。

 
関連記事はこちらから

全国高校選抜2日目、女子団体組手は高松中央が2連覇!


 
男子組手団体は4回戦で優勝校に紙一重で破れ今大会を終えることになりました。
沖縄の夏とは逆の形で天国と地獄をみることになりましたが、前回とは明らかに異なる気づきが選手と共に味わうことが出来ました。
最高の準備を共にしていく過程で試合で炙り出される課題はスポーツトレーナーにとっても向き合わなければいけないと考えています。
 
帯同中にどのような取り組みをしているかの詳細は触れられませんが、毎日変わっていく選手の心境や状態を観察しながらこのような大会帯同では本当に成長させてもらえるなと感じています。
 
そしてもちろん選手たちも短期間で大きな成長をしていくなと、変化を痛感しました。
 
スポーツトレーナーとしても今回は初めての気づきが多くあり、少しでも早く整理して夏に向けての準備をしていこうと考えています。
大会帯同をすることでしか得られない経験を1人で活動することが多いスポーツトレーナーとしてどのように共有していくべきか。
 
この点について今まで以上に思案しながら歩んでいければと思います。
 
簡単ではありますが、今回の帯同報告とさせていただきます。
 
決勝の模様はyoutubeでライブ配信されており下記リンクからご視聴できます。
ご興味がある方は是非ご覧くださいませ。(女子団体決勝は2時間23分頃から)

 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年03月24日

総額表示への変更のお知らせ

いつもJARTA公式ページをご覧頂き、誠にありがとうございます。
消費税法特例処置の終了に伴い、2021年3月下旬よりHPの価格表示を総額表示に変更させていただきます。
何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
 
 
 
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2021年03月21日

寝起きに疲れが残っていませんか?

文:赤山僚輔

 
身体の使い方が悪いわけでも、オーバーユースになっているわけでもない。
しかし慢性痛が長期化している。
 
そんな中高校生への今回は大事な観点になります。
 
赤山は慢性痛が長期化しているクライアントを対応する時には、問診の大事なポイントとして睡眠時間と入眠時間。
そして睡眠前の1時間をどのように過ごしているかを必ず聞くようにしています。
最近対応した中学1年生で、状態は良くなってきていますが、いまいちすっきり仕切らない選手に聞くと。
寝る時間は23時半頃。
寝る前にはゲームをしている。
そのように言っていました。
 
ゲームをすること自体を悪いとは思いません。
ただ、脚に慢性炎症を抱える選手としては普段のトレーニングやケアだけでなく解決できる事がある。
 
その視点で彼には、できれば1時間程度、最低30分でも良いのではやく寝ることを推奨しました。
その上で、極力寝る前最後の30分、できれば1時間はゲームを控えるように。別の時間帯に実施するように工夫してみることを推奨しました。
 
もちろん理由なく説明していても納得はしてくれません。
 
前者は夜の22時から26時ごろが成長ホルモン分泌のピークになり、睡眠のゴールデンタイムであることは多くの方が周知の事実だと思います。
その時間帯に少しでも長く、床についていること。
これが中学1年生のアスリートにとっては疲労回復だけでなく、身長の観点においても非常に重要になる。
少しでも身長を伸ばしたい、疲労を回復して、全力で練習や試合に望みたいのであれば、寝るのも上手くなる為の重要な時間だよ。そのようにお伝えしました。
 
そして2つ目の観点は、寝るギリギリまでゲームをしていると目や耳からの刺激で交感神経優位な状態で寝ることになります。
本来夜、睡眠前には副交感神経優位になり、睡眠中は身体をオフにして、内臓や脳の疲労回復はじめ、全身の血流をよくした状態で疲労回復に時間が費やされます。
しかし交感神経優位な状態では血流も悪く、身体が興奮しているだけでなく、目や耳からの刺激によって頭蓋骨周辺の硬さが出現している状態になるので脳疲労が蓄積されるような状況へも繋がりやすくなります。
自律神経の測定などを通して多くのクライアントに関わっていると、オンとオフのメリハリがつけられていない方ほど、慢性的な症状を抱えている方が多い印象を持ちます。
アスリートが練習中や試合時に高い集中力やパフォーマンスを発揮しようと思えば、徹底的にオフをオフにしている事が求められます。
 
ただ寝ているだけで、疲労が解決せず、常に身体がだるい、そのような傾向がある方が入眠時間と睡眠前の過ごし方について今一度丁寧に考慮してみてください。
その時間帯に携帯に触れられず間延びする感覚がある方は、その時間帯に自分の身体に向き合い、じっくりゆっくりとストレッチをしたり呼吸法を実践することで、翌朝の目覚めがいつも違うことに気づけるはずです。
 
試合当日、蓋を開けたらなんだか体が重く集中力が持続しない。
そんな事態にならないように。
なんだかよくわかないけど、身体が重たい、集中力が持続しない。
そんなことはありません。
自分が理由を整理できていないだけで、原因は普段の生活や習慣に隠されています。
日々自分の習慣や寝起きの状態を俯瞰し続けるだけで、試合当日に最高のパフォーマンスにセッティングする準備となるのです。
是非、中学高校生に対応している指導者、トレーナーの皆様にはそのような視点で選手たちに問診、推奨していただければと思います。
追記で、成長期でなくても昨今話題になる免疫力などにも影響しますので、大人ももちろん大事な観点です。
赤山は今現在徐々に入眠時間をはやく実践しています。
22時以降はYouTubeを観ない自分ルールを、もう1ヶ月以上も実践しています。
目も脳も身体も大事にしっかり休めて明日への準備をしていきましょう。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年03月12日

現場でスポーツトレーナーは1人だから


 

文:赤山僚輔

スポーツトレーナーとして活動していて、頻繁に感じる課題として。
 
自分が活動している写真や映像がない。
 
そのように数年前までは強く感じていました。
 
スポーツトレーナーとして特に現場で働く際には、基本的には1人職場であり。
(もちろんカテゴリーによっては異なります)
 
その活動風景をどこかで使用したいと言われた時に、自分が活動しているデータがあまりにも少ない事に気づきました。
 
1人で活動していれば、わざわざ写真をとってくれることもなく、どんな立ち居振る舞いで現場で関わっているかを俯瞰する機会も少ないように感じます。
 
決してこれは写真を撮ってもらいたい、という論点ではなく。
 
現場のスポーツトレーナーにとっては、自分を俯瞰してみるというタイミングや視点が無意識的に欠如してしまいやすい。
 
この事こそが、問題であると感じています。
 
それは距離感かもしれませんし、声の大きさかもしれません。
 
シンプルに姿勢の悪さかもしれませんし、服装や所作の問題があるかもしれません。
 
誰かと一緒に働いていると、何か指摘を受けることができるかも知れませんが。スポーツトレーナーという存在と初めて会うようなジュニア世代や、そこまで数多くのスポーツトレーナーと一緒に仕事をしてきたわけえではない指導者からすると。
 
目の前の事実が”普通”となります。
 
当たり前のことかも知れませんが、自分を客観的に捉える時に、写真や映像は有用です。
 
そして他社からの意見はもっと有用です。
 
そして1人で現場に出ているスポーツトレーナーにとってそれはなかなか得られない知見でもあります。
 
そんなネガティブな側面を解消するように、JARTAでは講師陣が意見を交換し共有する機会を設けていいます。
 
先日は『現場で求められるスポーツトレーナーとは』という終わりのない問いに対して、意見交換する機会がありました、
 
自分の強みや、現場で求められることを共有することでみえてくる新た視点があります。
そしてそれは決して1人ではたどり着けないポイントでもあります。
 
自分自身、2013年頃からJARTAの講師として活動し始め、今年で8年目になります。
多くのスポーツトレーナーと意見交換、時に積極的な議論を超えて討論になることもありました。
 
それは1人では、これで良いだろうと見過ごしてきた多くの観点を議論と土台にあげられる貴重な機会になりました。
 
現場では1人だからこそ、準備段階においてこのような取り組みが重要であると痛感しています。
 
それはJARTAに関わらず、新人問わず、現場での悩みを共有できる機会を定期的に設けていくことは課題を先送りにせず自分に向き合い、選手の悩みを解決する一助になります。
 
1人でなんでも解決できるのであれば苦労はしません。
 
自分が何に困っていて、自分のどのような経験はシェアすべき貴重な財産なのか。
この辺りを整理することで自分の強みや弱みを整理することにも繋がります。
 
是非、人で現場に行っている方こそ、このような機会を周囲の方ととってみてください。
 
きっと自分の具体体な成長のきっかけになるはずです。
 
 
JARTAはそのようなトレーナー同士が切磋琢磨できる環境を非常に重要視しています。
 
必須研修や合宿なども同様です。
 
是非今本ブログを読まれている皆様とも、共に前向きな議論ができることを楽しみにしております。
 
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2021年03月06日

成長痛だから仕方ないって誰が決めた!?

文:赤山僚輔

 
突然ですが、この写真の膝は赤山の膝です。
私は左右ともにオスグッド・シュラッター病で中学時代に悩み、その後遺症としての変形が今も残ります。
今は痛みこそありませんが、硬い場所では正座ができないなど弊害が残ります。
赤山が成長痛で悩んでいたのは25年以上前です。
しかし時代が1990年代から2020年代になっても、まだまだ成長痛で困りスポーツパフォーマンスに影響を及ぼしている選手がおられます。
四半世紀を過ぎてもなお、根本的に解決できていない成長痛に対してもうそろそろエンドロールを用意しよう。
それが今回のブログの内容になります。
成長痛とは急激な骨の成長に伴い、強い牽引力が筋付着部に発生し強い痛みや炎症、そして変形を伴うものを指します。
膝だけでなく、踵などにもよく発生します。
膝であればジャンプ系の競技、かかとであればスパイク競技などで多い印象を受けます。
先に今回の結論をお伝えすると。
“成長痛だから仕方がない”
この捉え方、概念こそが問題を長期化、慢性化、重症化する事例を増やしていると感じてます。
医療機関でも、自費の治療院でも対応する際には、スポーツパフォーマンスに明らかな弊害が発生してから来館されることが圧倒的に多いです。
炎症が強ければ安静期間も必要になり、完全復帰までの期間も長期化してしまいます。
症状が長期化すればするほどに“成長痛だから仕方がない”という捉え方が本人の中でも定形化され、それ自体が慢性化する要因にもなる。
といった悪循環になってしまいます。
よくこのような事例に対して予防が必要で、〇〇の怪我をしないようにストレッチをしようとか。
筋力を強化したりバランス良く身体が使えるようになど。
予防的に取り組める事柄はもちろん多くあり、それを実践して、ある一定の効果や結果がでている先行事例もあります。
予防的な取り組み自体が全て悪いわけではないですが、怪我や障害を発生させないように何かの取り組みを行うというのは、ただでさえ時間がないと指導者が嘆くスポーツ現場においては継続可能な実践法としては適合しない場合もあるのです。
そんな中でも子供たちの周囲にいる、両親や指導者が成長痛とは避けられるモノであり、その前兆がある。
その前兆のレベルで適切な対処方法を本人が認識することで、成長痛を防ぐだけでなく競技に思いっきり向き合えるので結果的にパフォーマンスアップに繋がる。
このように認識するだけでも多くの成長痛で悩む選手たちをゼロにしていくきっかけになると考えています。
きっと全国のスポーツ整形や、治療院に初期症状で来館してくれれば、早期に改善するだけでなく根本的な原因を示唆して本人が継続可能な手法を共有してくださると思います。
まずは成長痛だからと放っておくことで半年や1年以上も痛みと付き合いながらプレイをしなければならない。
そのような状況を想像して回避できるような示唆を周囲の大人ができることが大きな一歩であると考えています。
よく考えるとわかることですが、13歳前後の第二次成長期に成長スパートと呼ばれる1年間に男子は約10〜12㎝、女子は約8㎝も身長が伸びるのです。
もちろんこの時期にオスグッド病も増えるのですが、バスケ部に30人以上いる赤山の中学時代、練習を休んで横で筋トレを何ヶ月もしているのは私1人でした。
全部員の中で赤山が著しく身長が伸びていたわけでもありません。
この時点で、急激な身長の伸びと成長痛だから仕方ないという概念が繋がり、定説になることに違和感を感じる方は多いはずです。
しかし結果論から考察すると、多くの大人、指導者、医療従事者が、“成長痛だから仕方がない”と片付けてしまっていたと思わざるを得ません。
ちなみに赤山はこの時期のことを思い出すと消炎鎮痛の塗り薬の匂いと汗臭くなったサポーターのことを思い出します。
ちなみにオスグッド病で困った中学時代から10年後、オスグッドの酷かった左足の反対側である右足のアキレス腱を断裂しています。
そんな話はまた次回以降に。
 
今、私は幸運なことにそのような時期(第二次成長期)の前の選手に会うことが日常的にあります。
その時期に会うことで選手にできることを伝え、ご両親に成長痛が最小限に留めることが可能であることを示唆することができます。
関わっている小中学生で長期間競技離脱する選手はいません。
もちろん解決策として具体的なアプローチ方法やセルフケア方法を整理してブラッシュアップしていくことは重要です。
しかし”仕方がない”と片付けてしまうと、解決策を探求する足が止まってしまうのです。
まずは成長痛だから仕方がない、ということはない。
ということを発信しながら引き続き具体的な手法についてはオンラインセミナーなどでもお伝えしていければと思います。
今月は講義と実践編ということで2回に分けてオスグッド・シュラッター病の捉え方と対策について予定しています。
ご興味がある方は是非下記より詳細をご参照ください。

JARTAオンラインセミナー


そして一緒にこの四半世紀変わっていない捉え方や概念にエンドロールを準備しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年02月27日

ストレッチの時間がないと嘆くあなたへ/後編


 

文:赤山僚輔

今回は前回のブログの続き記事なります。
前回の内容は以下よりご参照ください。

ストレッチの時間がないと嘆くあなたへ/前編


前回はストレッチの時間がなかなかとれないような方々に対して、硬さを改善する方法を実践する前に硬くなる要因を整理して排除していこう。
 
このような話の導入をお伝えしました。
 
硬くなる原因としてご紹介したのは
・姿勢の影響
・食事など内臓機能の影響
・思考など頭の硬さや血流の影響
・自律神経の影響
・外的環境の影響
など。
 
その中で姿勢の影響と内臓の影響については前編で触れさせてもらいました。
 
今回は思考や自律神経、そして外的環境からの影響について考察していきたいと思います。
 

頭が硬いと何が悪い?

 
思考が柔軟ではない状態を比喩して”頭が硬い”。
このように表現することがあります。
これは見事に心身相関を体現した言葉だなといつも感じているのですが、思考が「〇〇じゃないといけない。」というような偏った状態にある時には、人からの意見にも耳を傾けられず、自分の都合の良いものしか見ないので、目も耳も凝り固まった状態になってしまいます。
 
普段スポーツトレーナーをしていると、どうしても首から下の筋肉や関節について考えることが多くなるかもしれません。
しかし、当たり前ですが首から上にも筋肉も関節もあり、JARTAのコンディショニングスキルコースでも応用している経絡などは頭から全身に繋がる経絡なども複数存在します。
 
焦点があったままでの目の使い方や、イヤホンの使いすぎ、大きな音がする場所に長時間の滞在などでも目のピント調整や眼球運動に司る筋肉の緊張や、耳周囲の筋肉、筋膜、そして経絡の問題が発生しやすくなります。
考えすぎることの弊害も合わせて考えるとわかりやすいですが、身体は血流が悪くなると筋肉の柔軟性が低下し、関節の動きや内臓の動きも低下していくのです。
 
過度な筋肉の緊張がそれらの要因になるように、頭を使いすぎることによって頭部や頸部の血流が一時的に増加し、相対的にそれ以外の部位の血流低下や慢性的に頭部の血流を必要とされることでリンパの流れの悪さから循環不全を呈することは、そこから波及した影響が身体の柔軟性低下に直接的にも関節的にも繋がっていくのです。

自律神経の切り口から考察する

この話の延長で自律神経の観点から身体に起きる変化を想定していくと、もっと具体的に整理がつきやすくなります。
情動系のいわゆるストレスは大脳辺縁系を介して下降性の伝道路を辿り、交感神経の興奮が胸椎領域の可動性を低下させたり、呼吸を浅くさせます。
交感神経の亢進は血管を収縮させる為、持続的な交感神経の興奮状態は全身の血流低下も引き起こします。
今の時期、末端の冷え傾向が強い選手は呼吸が浅く、交感神経優位になっている傾向があります。
また筋肉単体で考えても、交感神経優位な状態は筋肉が緊張している状態になります。
なんらかの外的な刺激などで交感神経優位な状態が長引くことは柔軟性を低下しにくくさせる大きな要因になるのです。
交感神経と副交感神経はどちらも適度に働いていることが理想的です。
現代の生活であれば本来副交感神経優位になっていくべき夜にスマホやPC作業など交感神経優位になってしまう要因が重なっています。
睡眠はとっていても疲れが取れている実感がない選手。
あるいはそもそもなかなか寝付けない。
このような選手は夜に副交感神経のスイッチがオンにならず、身体も緊張したままなので身体が休まることなく単にストレッチを継続するだけでは解決しにく身体環境になっている可能性が高いと思われます。
そのような状態で睡眠前に身体が硬いからとストレッチを継続していたのでは、逆効果になる場合もあります。
これまで関わってきた選手の中でも、真面目に寝る前のストレッチを継続しているけど硬さがなかなか解決しないと相談を受けてよくよく確認しているとストレッチで余計に興奮して睡眠の質が悪くなっているんだなと感じる事例もありました。
基本的には通常のスタティックストレッチはよほど優しく丁寧に実施しない限り、やや交感神経を優位にさせる可能性があることを認識しておく必要性があると思います。

自律神経とも繋がる外的環境による影響

最後に環境からの影響ですが、前述した自律神経の観点からも視覚や聴覚、あるいは、俗に言うストレスの影響で交感神経を優位にさせ身体を硬く、また柔軟性向上の妨げになる要因はあります。
また外的な環境とは心身に影響を及ぼす全ての要因が考えられ、それら全てをここで列挙することは難しいのですが身体に直接触れるものや触れる場所を考察するだけでもヒントがたくさんあります。
よく選手でも見受けられるのは睡眠姿勢が片方が下向きでないと寝れない。
といった選手が下側になる股関節の硬さがあり、同側の膝の痛みが出現しやすいといった事例もありました。
直接触れると言えば、もちろん靴や衣服の影響もあります。
常に圧迫のきつい着衣の影響で呼吸が妨げられることもありますし、シューズのフィッティングが悪く常に小指があたっているような状況では小指の外側から関連する膀胱の経絡の問題が発生しやすいといった側面もあります。
身体のどこの部位、特に皮膚の硬さなどを注意深く観察することでその選手がどのような外的な環境の影響を受けている可能性があるかを推察することはできます。
 
今回はストレッチ時間がないと嘆く前にできる準備があるという観点で様々な身体が硬くなったり、ストレッチ効果を妨げる要因についてご説明しました。
もちろんまだまだ他にも要因はありますので、このような切り口で関わる選手にヒアリングすることでこれまでよりも柔軟性を拡大するまでの期間を短縮することができます。
是非試行錯誤しながら選手に向き合ってみてもらればと思います。
 
そしてスポーツトレーナー自身が日常を振り返り、無限にある伸び代に向き合っていければと思います。
 
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2021年02月22日

ストレッチの時間がないと嘆くあなたへ/前編

 

文:赤山僚輔

柔軟性をアップさせたいけど、なかなかストレッチを実施する時間がとれない。
 
そう嘆く方は多いのではないでしょうか?
 
今回は赤山が普段実践していることを中心に、ストレッチをする時間がなかなか取れなくても柔軟性が拡大していけるような取り組みや硬くなりにくくする為の工夫についてお伝え致します。
 

そもそも何故身体は硬くなるのだろうか?

 
この事について考えたことがある方は多いと思います。
・姿勢の影響
・食事など内臓機能の影響
・思考など頭の硬さや血流の影響
・自律神経の影響
・外的環境の影響
などに大別できると思います。
スポーツ障害でも同様ですが、原因を整理することでその症状が発生することを防ぐことができます。
ここでいう症状とは身体の硬さですので、硬さの要因が数多く列挙できるほどに硬くなりにくい生活習慣で過ごすことができるということが言えます。
 

姿勢の影響

普段みなさんは座っていることと立っていることどちらが長いでしょうか?
その姿勢を長くなった後、身体は硬くなっていますか?
簡単にできることとして前屈など客観的な指標を元に、自分が普段長くいる姿勢の前後でまずはチェックをしてみることをお勧めします。
どのタイミングでどのような固さが発生するかを可視化、具体化することは問題解決に向けての具体的な行動へと落とし込みやすくなります。
赤山の場合には座っている姿勢が、普段は長くなりがちです。
その時の骨盤のポジションや足のつき方、肘の位置や頭の位置など。
自分がなるべく楽な姿勢を探しながらも、脱力しすぎると楽なようで実は呼吸がしづらいポジションにもなります。
その為、楽なポジションと呼吸が一番大きくできるポジションが重なる部位を普段の作業姿勢に設定しています。
座っている時の足の裏をしっかりと左右ともに床につける。
背もたれに頼りすぎず、お尻と左右の足の3点支持だけでなく、左右の坐骨と足の4点支持や、足の裏だけでも踵と母指球と小指球での3点支持など、支えを多くするだけで楽に姿勢は保持することができます。
頭の位置は数センチ変わるだけでも頸部緊張を軽減することができます。
ただ座っているだけでも使っている筋肉が過度に緊張していたり、呼吸が浅い状態では、その後に身体が硬くなるのは当然です。
逆に呼吸がしやすい姿勢で居続ければ、たとえ数時間座った後でも身体が硬くなるどころか、後述する要素と加担すれば柔らかくなることもあるのです。
 
 
食事など内臓機能の影響
私が柔軟性を拡大してきた過程において最も影響が大きく変化も大きかったのが、この食事や内臓の影響です。
JARTAに出会う前までは本当に身体も硬く疲れやすくなかなかリカバリーできないような状態でした。
以前の状態は過去ブログよりご参照ください。
(”人より時間がかかる”はトレーナーの武器になるhttps://jarta.jp/trainer/20978/
身体が硬い時期にもそれなりにストレッチは実施していましたが、なかなか固さが解決しないので継続できなかったことを覚えています。
 
仕事が忙しくなりストレッチをする時間がとれなくなってきたときに、どうして硬くなるのかを探求していくと身体の硬さの変化と食事の影響に相関がある事に気づきました。
簡単に言うと消化に悪いものや添加物の多いモノ、グルテン系の食事を大量にとったときなどは顕著に翌日の固さが出現していました。
 
連日続くと徐々に固さが増幅されていました。
逆に今は1日1食で終えることも多いですが、内臓が空になっている時間帯が長くなると硬くなりにくいどころか、寝て起きて身体の重みを感じにくい日も増えてきました。
食事や内臓については摂取するモノだけでなく、取り方や、食べる時間帯も大きく影響を及ぼします。
食事にかける時間が短いとそれだけ咀嚼をせずに飲み込んでおり、内臓への負担が増強するのは当然です。
水を多く取りすぎて流し込むように食事をとっていないでしょうか?
まずは何が良いか悪いかだけでなく、身体の変化を通して前日の食事内容やタイミングを振り返ることにによって色々と試していくことをお勧めします。
 
ストレッチを実施することがプラスな事象だとしたら、今回お伝えしたような内容なマイナスを排除するような取り組みになります。
マイナスが排除され続ければ身体は勝手に治ろうとする方向に舵取りをし出します。
風邪をひいても、擦りむいても自然に治るように。
赤ん坊を見ればわかるように、生まれた時から身体がガチガチな人はいません。
なぜ硬くなっていくのか?
これを徹底的に掘り下げていくことは身体の可能性を無限に広げる大きなヒントが内在しています。
是非取り組める部分から実施してみてください。
後編は今週末に、自律神経や外的要因についても整理しながらお伝えしていきたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年02月12日

出会いと別れと継続と


 

文:赤山僚輔

 
寒さのピークが過ぎつつあり、三寒四温と春の訪れを感じる季節に徐々になってきました。
この時期はアマチュアスポーツ、部活動世代に関わっている自分にとっては毎年訪れる出会いと別れの季節です。
 
関わっているチームにおいて、中学や高校で継続的に関われるのは3年間のみになります。
その先は進路がどうであれ、継続的に指導することができなくなることがほとんどです。
 
最初はそれがなんだか悲しく切なく感じていたことを覚えています。
 
当たり前ですが、長く関わることで心と心の距離も近くなり、色々な相談をしてもらえたり、こちらから伸び代を提示するポイントも深くなっていきます。
 
あともう少し関われたら、そう感じることの連続でした。
 
以前はプロのバスケのカテゴリーや実業団のバスケチームなど卒業イコール引退、そしてお別れという流れではない環境でスポーツトレーナーをしていたので香川に帰ってからの日々がよりそう感じさせているのかもしれません。
 
一側面だけ切り取ると別れは悲しいものだと今は思います。
でも卒業生が活躍している姿を耳にしたり、たまに母校に帰ってきて元気な姿をみるとそれだけでエネルギーをもらうことができています。
 
部活動カテゴリーに関わることで感じるのは、自分がその選手に一生関わるわけではない。
 
という前提でどのような自律した思考やコンディショニング、トレーニングを実施していけるようにするか。
 
ここが大きな課題になります。
 
スポーツトレーナーが言わないと気づけない、身体の異常ではその先に障害を発生してしまう可能性があります。
 
誰かに言われないと自分を鼓舞することができないのでは、環境によってパフォーマンスの向上におおきくムラがでてきてしまうかもしれません。
 
もちろん自分の特徴を考慮して、合った環境に身を置くということは重要であり、その点では進路などの相談を受けることもありますが、どのような環境で選手たちがどのように変化しているのかと言う情報は指導者の方だけでなくスポーツトレーナーも知っておく必要性があると感じています。
 
 
それはどんなトレーニングをしているのか?
トレーナーはいるのか?
ケアに用いる時間は確保できるのか?
などなど。
 
自分自身はJARTAの活動も通して全国で信頼できるトレーナーが増えてきたことで卒業後の選手の指導をお願いする局面も増えてきました。
 
それによってパフォーマンスを向上させているという話を聞くと本当に嬉しくなります。
 
自分が関わることによってだけパフォーマンスが向上し障害が減ることで喜んでいるのでは、単なる自己満足に過ぎません。
選手の競技生活や人生を考えた上で、最善の関わり、最善の選択をその時々で出来るようになれればと現在進行形で感じています。
 
そんな卒業生が先日、全日本選手権で初優勝する。という吉報が届きました。
 
彼は自分が関わっているチームで初めて日本一になったときの主将であり、2019年にはインターハイにアシスタントコーチとして一緒に帯同し団体日本一、同年の国体では香川県選手団の主将として一緒に国体で戦い、団体日本一を経験させてもらいました。
 
真摯に競技に向き合う彼の姿からは学ぶことも多く、そして卒業生のこのような活躍が現役生の刺激になることは言うまでもありません。
 
そんな彼が今月発売の空手道の専門誌で特集を組まれているそうなので、ご興味のある方は是非ご一読ください。

【JKFan(2/22売)特集】遂に!全日本王者・崎山優成(近大工学部)がそのテクニックを紹介!


 
そんな別れもあれば、もう少しで出会いもあります。
 
そして日々目の前の選手に向き合い続けることの連続、その継続でしか歓喜の瞬間はやってこないと痛感しています。
このような選手たちの活躍がまた自分に継続する為の後押しになっています。
あっという間の3年間、出来ることは限られているかもしれません。
でもその3年間に選手達にもっと今よりもよい関わりが出来ないか、そのように自問自答しながらまた現場に立ち続けたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2021年02月06日

そのトレーニング指導で選手は成長できるのか

文:伊東尚孝

トレーニングを指導する時、まず手本の動きを見せてから選手に実行してもらうことが多いと思います。
手本の質が高いほど、選手が実行するトレーニングの質の上限を引き上げることができるため、JARTAでは手本力を高めることも重視しています。
しかしながら、質の高い手本だとしても質の高いトレー二ングを指導できるとは限りません。
なぜなら、トレーニング指導にはキューイングが必要であり、言葉の選び方がパフォーマンスに大きく影響するからです。
皆さんは、どれだけ言葉にこだわりを持って指導しているでしょうか。
例えば集団指導では、全ての選手が理解できる言葉を選択しながら指導されているでしょう。しかし、その言葉の受け取り方は選手によって様々です。
例として肋骨の動きを伴うトレーニングを指導するとします。そこで「肋骨がねじれるように、左右がズレるように、胸が広がるように」など、さまざまな言い方で選手に伝わりやすい言葉を選択するかと思います。
しかし、そもそも肋骨が動くという概念がない選手がいたとしたらどうでしょうか。
同様のキューイングでは求めている動きを理解できず、その結果トレーニングの質が低下するかもしれません。
これでは、全ての選手との共通認識を持ってトレーニングに取り組めているとはいえません。
こういった事象はチーム指導に限らずパーソナルトレーニングでも起こり得ることだと思います。
どのように指導すれば、トレーナーと選手が共通の認識を持ち、質の高いトレー二ングを行うことができるでしょうか。
その手段のひとつを、私の指導経験を元に解説していきます。

【共通認識を持つために○○を使う】

では、具体的なトレーニングを提示しながら解説していきます。


このトレーニングのポイントは、
①腰椎の弯曲を安定させるために股関節を捉えつつ(下半身をスタビライズ)、②上部体幹は力まず柔軟に動かすこと(上半身の操作性の向上)の2点です。
特にバッティングやテニスのストロークなどで必要となる要素のひとつです。
私が指導しているチームでは①のポイントは達成できており、上半身(特に胸郭)をいかにして動かせられるかが課題となりました。
チーム内には胸郭の動きを伴わずに腕だけを大きく動かす選手がおり、そのような選手に「胸を大きく動かして」とキューイングをしても、運動のイメージがつかない場合がありました。(もっと複雑で複合的なトレーニングであれば尚更です。)
また、どの程度動かせば良いかの指標も曖昧となる可能性もあります。
私はそれらを解決するために、
選手自身の身体に注目させずに、外部環境を使いながら指導する方法を選択しました。

棒をできる限り地面に対して垂直に保ちながら、身体の周りを回すように設定しています。
目的の動きは当初と同様で胸郭の動きを誘発させるものですが、選手へのキューイングは上記のように「棒がどのように動くのか」というコマンドを選択しました。
「地面に対して垂直」という意味さえ理解できれば、どの選手もそれを達成しようと自然に胸郭を動かすように努力します。(四股をキープできているという前提)
つまり、外部の環境に対してどう動けば良いかを導くことにより、結果的に引き出したい動きを達成していることになります。
これにより、たった一つのキューイングで全ての選手と共通認識を持ちトレーニングを指導することができます。
(場合によっては、棒を持つ位置を変えるなどの難易度の調整も必要です。)

【外部環境を使うとパフォーマンスに転移できる】

また上記のように自身の外側に注意を向けることで、パフォーマンスに転移させる効果もあります。
トレーニングをパフォーマンスにつなげるにはどうすれば良いか、悩んでいる選手も少なくはないと思います。パフォーマンスアップに必要な要素のひとつとして、運動学習は欠かせません。(JARTAトレーニング4原則にも「運動学習の原則」が挙げられています。)
これもトレーニング指導の方法によっては、運動学習の効果を上げることが可能となります。
先ほどの例では、「胸を大きく動かす」というのは身体を動かす方法に注目しています。一方で「棒が身体の周りを回る」というのは動作の結果に注目しています。
これを競技に当てはめると、例えばテニスのストロークで「肘をどの程度曲げるかに注意を向ける」ことと「ラケットの軌道に注意を向ける」ことに置き換えることができます。
後者のように、外的環境に注意を向けながら動作を実行するほうが、運動学習の観点からいえば効率の良いトレーニングとなるということが、多くの研究で証明されています。
身体を動かすには脳からの運動指令が不可欠であることは言うまでもありませんが、一方で外的環境も運動の制御に関与しているという観点があります。
私たちが歩くためには、脳からの運動指令や脊髄の運動パターン形成によって制御されていますが、重力があり硬い地面があるからこそ反力を受けることができ、ようやく歩くことを可能にしています。(無重力では少なくとも歩くという動作にはならないということ。)
すなわち運動の全てが脳による制御ではなく、外的環境によってもたらされている要素も含んでいるということになります。
これは生態心理学という観点で提唱されているものであり、運動学習を進めるためには自身の外側にも注意を向けることが必要だといわれています。
少し話が逸れましたが、
ここで伝えたいことは、同じトレーニング動作を指導するとしても、選手へのキューイングひとつでパフォーマンスに大きく影響する可能性があるということです。

【まとめ】

パフォーマンスアップには限界がないのと同様に、トレーニング指導も追求し続けることで、より質の高いものを選手に伝えることができると思います。
今の指導方法で、本当に選手の成長を約束できるでしょうか。
現在よりさらに、一つひとつのトレーニング指導にこだわり続けることが大事だと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年01月27日

“人より時間がかかる”はトレーナーの武器になる

 

文:赤山僚輔

なぜ、自分は人よりも何をするにしても時間がかかってしまうのだろうか。
 
そんな悩みがある方は多いのではないでしょうか?
 
アスリートにとっては少しでも早く技術を習得するなど、短時間で何かが出来るようになることは間違いなく有利に働きます。
 
しかしこれをスポーツトレーナーに置き換えると実はそのようなケースばかりではない。
そのように痛感する事が多くあり、今回はその理由についてご説明したいと思います。
 

すぐにできる人には、できない選手に対しての引き出しが少ない。

 
なんらかの課題に対して、すんなりと実現してしまう選手の中には自分自身でどのようにしてできるようになったかを整理できていない選手が多くいます。
そしてそれはスポーツトレーナー自身にも同じ事が言えます。
例えば股関節の硬さで困った事があるスポーツトレーナーとそんなことでは困ったことはなく、難なくしゃがみ込みができる、ストレッチもそこまで実施しなくても硬くなる感じがしない。
両者では、プロセスに対する引き出しに大きな差が出てきます。
 
もちろんこれは硬さで困った経験があるスポーツトレーナーがその課題を克服する為に自分の心身に向き合い解決できてきている。という前提での話になります。
 

(2016年)

(2019年)
 
時間がかかり苦労して獲得した身体操作や柔軟性、施術のスキルなどはどのようにして習得してきたを自分自身が整理できていることにより、一時的にその状態が悪化したとしても再度良い状態にリカバリーすることが可能となるのです。
 
反対にその動作をどのように習得してきたかを認識できていない場合、一度なんらかのきっかけで動作が実施困難となった際に、どのようにリカバリーすれば良いかに困惑してしまうのです。
 
これを怪我に当てはめると、怪我により段階的なリハビリテーションや動作獲得に向き合うことは長期的にみたパフォーマンス向上に向けて決してマイナスではないことも想像できると思います。
 

すぐできる人を羨むよりもなかなかできない自分の武器を研ぎ続ける

自分は決して器用な方ではありません。
よく覚えているヒストリーとして、高校生の時に部活引退後スケートボードを仲間とやっていたのですが、仲間の誰よりも技を習得するのに時間がかかりました。
仲間が簡単に出来ているのに、いくらやっても出来ないものも沢山ありました。
中学時代には父と母がやっていて、家にあったギターに挑戦するも、早々に手が思い通りに動かず諦めてしまいました。
そんな自分が身体を思い通りに動かせない選手たちに対して指導をする仕事をしているのですからスポーツトレーナーとは面白い仕事だな。
そのように感じています。
 
身体の不調だらけ、硬いところだらけ、姿勢も悪く、思った通りに操作出来ないからこそ自分の可能性に気づいた時には胸が躍ったことを覚えています。
今でも自分の姿勢を良いと思ったことはないですし、伸び代だらけだなと感じています。
そして以前は自分よりもすぐに動作を習得する周囲の人に対して嫉妬を感じる瞬間もありましたが、人より時間がかかることをポジティブに捉えてからは時間のかかる変化すら楽しみながら日々を送っています。
そして今、人生で一番逆立ち歩行が歩けるようになっています。
12月の初旬には2m弱進めるかどうかといった状況から、今は5m程度は歩けるようになり方向転換の練習をしています。
一進一退を繰り返しながら動作獲得しているので、何が不足しているのか、どこに認識のズレがあるのか。
じっくりを考える貴重な機会になっています。
 
スポーツトレーナーとして目の前の選手の悩みに向き合う上で、何度やっても出来ない、どのようにすれば良いのかわからない。
そのような状況で本当の意味で寄り添える存在になれるには、自分の”できない”にどこまで時間と労力をかけてむきあったか。
これにつきます。
 
時に指導者の皆様も、同じように指導しているのにうまく行く選手といかない選手がいる。
そのように悩まれています。
そんな時こそスポーツトレーナーの本領発揮ではないでしょうか?
 
施術手技も同様になかなか習得できないものほど、”なぜ”うまくいかないのか?
これを徹底的に掘り下げることで自分の具体的な伸び代を掘り起こすことができ、その過程全てが選手指導時の大きな財産になります。
スポーツトレーナーこそ、自分の心身に対して自分がスポーツトレーナーとしてどのように指導していくか?
そんな視点で日々を過ごしてみると楽しめると思います。
 
自分自身もこれからもそのような日々を楽しみながら過ごしていこうと思います。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2021年01月23日

強いマッサージを求めるアスリートへの対応を再考する


 

文:赤山僚輔

 
『もっと強くマッサージしてもらえますか?』
 
あなたはこんな台詞を選手から言われたことはありますか?
 
私は実はないのですが。
 
このような選手からの声に対して、答えるように強く強くマッサージしていて施術者側が困惑している、どうすればよいか。
 
このようなスポーツトレーナーの方々の声を聞くことが少なくないので、今回は自律神経の観点からどのように対応していくか、ひとつの考え方をお伝えしたいと思います。
 

なぜ強いマッサージを求めてしまうのだろうか?

 
一般的にはという前提で話を進めさせてください。
これは多くのスポーツトレーナーと接することで、よく耳にすると言う意味での一般的には、です。
 
マッサージ=強くほぐす必要性がある、強くほぐさないと効果がない
マッサージによる症状改善などの効果よりも、マッサージ効果、つまりマッサージそのもののやられた感覚、気持ち良さを求めている。
 
上記2つともに共通する問題として、どんどんとより強く、よりやられた感覚を求める。
という傾向にあります。
 
これはセルフケアやストレッチなどでも同様のことが言えるのですが、痛みや強い伸長感がなければやっている感じがしないということで強くマッサージツールを使ってほぐす選手もおられます。
やっている時には気持ちの良い感覚(この感覚自体にも問題あり)や”やった感”はありますが、その後の疲労改善具合や実際の症状の推移を聴取していると効果的な変化を実感できていない事例が多く散見されます。
 
これは手段が目的化してしまっているという問題も内包しています。
 
本来は症状の改善やパフォーマンスの向上が目的になるはずですが、マッサージをしてもらうこと。
マッサージで気持ち良くなること、これらが目的になっていると辛口の食事が好きな人がどんどん辛さの度合いが進行していくように、中毒のように本来は手段であるはずのマッサージをしてもらうことや気持ちよさに対して”もっと強く”となってしまうのではないかと考えています。
 
前者のマッサージをしてもらうことが目的になってしまう選手に対しては、本来マッサージは手段であり目指すべきベクトルが別にあることを共有し、その目的に対して最善の手法を提案する必要性があります。
そして問題はマッサージで気持ち良くしてもらいたい。
このように考えているアスリートに対して
気持ち良い刺激=強い刺激
この相関関係を単純に想起している場合が要注意なのです。
 

自律神経の観点から紐解く

強い刺激であればあるほどに気持ちが良い
もしこれがアスリートの基準になってしまうとどうなるでしょうか?
 
身体の少しの違和感や、軽度の痛みを感じにくくなります。
また、痛みを我慢しやすくなり、痛みの域値が上昇する可能性があります。(強い刺激じゃないと痛みを感じにくくなるということ)
このように常に強い刺激を求めてしまう傾向があるアスリートの中で、常に交感神経優位になっているケースが見受けられます。
疲れやストレスが溜まっている時に、ストレス発散にカラオケで大声を歌ったり、ハードに筋力トレーニングを実施したり。
その時にはすっきりした感じがしても、その後余計に疲れた感覚がある。そんな経験がある方はいるのではないでしょうか?
身体にとって侵害刺激となると交感神経優位になります、これは筋肉でいうと収縮方向へのスイッチがはいる刺激になります。
強いマッサージが目的になってしまうと、結果的にアスリートを交感神経優位にさせ、リカバリー時に重要な副交感神経のスイッチが入りにくい状態になってしまうのです。
 
JARTAで繰り返しお伝えしている、アブレスト能力の考え方とも繋がりますが、収縮と弛緩の幅が狭い筋肉ほど、痛みの域値が高い傾向にあるので、強い刺激を感受しにくく、より強い刺激を求め、交感神経優位になるのでまた収縮傾向に筋肉が変化していく。
 
このような悪循環を呈してしまう可能性があるのです。
 
常に濃い味の食事を取り続けていると、薄味じゃ物足りない。
繊細な味の変化を感じ取れない。
 
これをアスリートの身体に置き換えた時に、リスクを感じないアスリートやスポーツトレーナーはいないと信じたいです。
 
繊細な身体の変化を感じ取れるからこそ、痛みが発生する前の兆候にきづけます。
そして自由自在に身体が操作できる土台が準備できるようになります。
 
アスリートが持っている価値観を否定することなく、強いマッサージを求める際に、一時的には対応してもそのリスクと共にスポーツトレーナーとしては”強くなくても気持ち良い”マッサージやセッションを実施することが求められると考えています。
 
自律神経の観点で説明すると、副交感神経優位になる状態は多くの方が”気持ち良い”と感じている状態とも重なります。
 
ポイントはリラックスできる、刺激がないと感じる程度、リズム刺激。
などになります。
 
施術者の身体がリラックスしていると触れているだけで対象者もリラックスすることができます。
認定コースでは”調和”として触れるだけで硬さが改善していく手法のひとつをご紹介しております。
また”ゆする”という刺激も効果的です。
小さな子供を寝かしつける時にゆったりとしたリズム運動で動かすことがあるのではないでしょうか?
このような副交感神経優位になる刺激は対象者にとって”気持ちよい”と感じる状態になります。
そしてなにより、その後の症状改善やリカバリー機能を向上させる為にも効果的なのです。
 
睡眠時は交感神経優位では深い呼吸が難しくなり睡眠の質が低下し、起床時に疲れがとれていない状態になります。
本来夜間は副交感神経優位になるべきなので、そのスイッチがマッサージやセルフケアで実施できればその後の身体環境を振り返っても、同じような状態を求める為に、その後”強く強く”とは訴えにくくなるのです。
 
長くなりましたが、その場しのぎのマッサージではその時一時的に満足してもらえたとしても中長期的に考えた時にネガティブに働くことも多いです。
常にアスリートに関わるスポーツトレーナー自身が中長期的に捉え、目的を見誤らず、そして強くなくても”気持ち良い”手法を用意することでアスリートの感度を変え、悪循環から脱することができます。
 
もし強くないと気持ち良くない、そのように感じているスポーツトレーナーの皆様がおられたらまずは自身で色々と試してもらうことをお勧めします。
 
きっと新たな自身の身体の可能性に気づけるきっかけになるはずです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2021年01月16日

立ち止まり振り返る時間を

文:赤山僚輔

 
突然ですが、皆様さまは、学生時代に部日誌のようなノートや日記をつけていた経験はありますか?
 
サッカーノートや野球ノートのようなものです。
 
指導者やチームの方針で継続的に実施している、していた方もいれば未経験の方もいるかもしれません。
 
私は長期間のリハビリが必要な選手を担当するようになってから、大きな手術をする選手にはそのような日誌をつけることを勧めています。
 
それは以前、テレビで中村俊輔選手が長年ノートをつけていたことを知り、それをヒントに自分に向き合い、その先の自分の大きな財産になるようにと勧めるようになりました。
 
そしていま、私自身が約3年前からブログを本格的に始め、昨年は音声配信など日々の心情や気づきを継続的に記し残したりするようになりその重要性を再認識しています。
 
例えば、前十字靭帯再建術のリハビリであれば短くても6ヶ月以上の期間、リハビリに向き合わなければいけません。
 
それは中学生や高校生にとっては途方もなく長い期間で、過ぎてしまうとあっいう間ですが、当事者のその時にはなんとも言えず長い期間と感じます。
(赤山が高校時代に膝の手術とその後成人してからアキレス腱断裂の長期離脱の経験があります)
手術前にはモヤモヤした想いと共に、漠然とした不安。
手術後には痛みに耐えながらも、この膝で本当に同じようなプレイができるようになるのだろうか。
 
ほとんどすべての選手がそのような想いを一度は経験します。
 
そんな中で手術後の辛い思いや、何がなんでも復帰してやる。
このような強い思いが6ヶ月間、維持し続けられる事は稀です。
 
有名な五輪に出場したアスリートもリハビリ途中で辛くて逃げ出したこともあるそうです。
(もちろんプレッシャーなど前提条件は大きく異なりますが)
 
そんな時に、大事になるのが日誌やノートにその時の状況を記し残すことなのです。
思考の整理やモヤモヤした思いの断捨離的にももちろん効果はありますが。
 
何より、6ヶ月たって復帰する頃にリハビリし始めの自分の記録を振り返ることで大きな自信と勇気をもらえるのです。
 
多くのアスリートがその自分の書いた日誌に励まされたと教えてくれました。
 
そしていま、自分自身も数年前の自分の記録に励まされ、背中押され、時にお尻を叩かれるような想いにさせてもらっています。
 
ただ前だけをみて進むというやり方もあります。
 
しかし何かあった時に忘れ去られ、ただなんとなく過ぎてしまったと捉えるのと。
日時も心情も決意も具体的に記されている自分の書いた文字をみるだけで
前だけを向いて歩めない、少しネガティブに捉えてしまったような時に力になるのです。
 
 
立ち止まることも振り返ることも前に進むためには有効です。
そして大きな怪我をした時には、それまでに出来ていなかったそういった時間をじっくりと取る千載一遇のチャンスなのです。
中学高校生でそこまでの期間を自分にじっくり向き合えるほどのゆとりはなかなかとれません。
 
だからこそリハビリで関わるセラピストやスポーツトレーナーを通して、そのようなきっかけを与えることができれば。
 
私はいつもそのように考え、今も施設に通う、膝の手術後の選手たちにそのように伝え、初回時には両親にもそのように説明をします。
 
その日々が意味があったと思えるのは、日々の行動次第です。
人は簡単に感情も決意も忘れてしまいます。
忘れる前提で記録することの重要性を部活日誌やリハビリノートが教えてくれます。
 
 
その想い、忘れたくなければ今日からでも遅くないので記し残してみましょう。
6ヶ月後の自分の大きな財産になるはずです。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 

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2021年01月09日

アスリートのパフォーマンスを自律神経の観点からアップデートする

文:赤山僚輔

今回は改めて、アスリートのパフォーマンスに密接に関与する自律神経の捉え方について、基礎的な部分も踏まえてご説明したいと思います。
 

自律神経とは

 
医療従事者であれば必ず学校で教育を受ける自律神経ですが、目に見えるわかりやすい筋肉や関節と違ってとっつきにくいと感じている方も多いのではないでしょうか?
自律神経とは、心身の働きを調整する神経のことで、交感神経と副交感神経の二つから成り立っています。
主に交感神経は働きを促し、副交感神経は逆に休ませるといった役割を持ち、状況に応じてそれぞれが働くことで、自律神経は私たちの心身を常に良好な状態にしようとしています。
例えば暑い時に汗をかいて体温を下げる、食事をした時に食べ物を消化するといったことも、この自律神経の働きの一つです。
しかし、この自律神経のバランスが整わなくなると、これらのコントロールがうまくいかなくなり、身体に様々な不調を感じてくるのです。
 
体性神経系と呼ばれる主に骨格筋へと効果器を伸ばす神経系との大きな違いは、それらが主として随意的であるのに対して自律神経系が不随意的である。という点です。
 
また効果器における神経伝達物質の効果として、体性神経系は常に興奮(骨格筋の収縮)に作用するのに対して、自律神経系は興奮性の場合も、抑制性の場合もあり得ることも大きな違いとなります。
 

自律神経が乱れた状態とは

実際に自律神経のバランスが乱れるとどのような状態になるのか、以下に簡単に記してみました。
 

・身体的な症状
身体がだるい、眠れない、発汗、ほてり、動悸(どうき)、息切れ、めまい、頭痛、食欲不振、下痢、便秘など
・精神的な症状
イライラ、不安、やる気がでない、パニックになりやすいなど

 
このように整理するとアスリートに関わらず、何らかの症状を経験したことがある方がほとんどだと思います。
 
実際には自律神経の乱れは誰しもが経験するものであり、それ自体は特別異常な状態とはいえません。
 
しかし原因を突き止め対処することなく慢性化、長期化してしまうと日々の練習への支障をきたすだけでなく、試合でのパフォーマンスに大きな影響を及ぼしてしまうのです。
 
前述したように、自律神経は無意識的に制御する機能であり、無意識のうちに乱れていってしまうのでその原因を対処していくことが重要となります。
 

乱れる原因とは

 
・ストレス
ストレスは自律神経が乱れる大きな原因の一つとされています。例えば、試合前に緊張してトイレが近くなったり、心臓がドキドキしたり、汗をかいたりといった状態は、緊張というストレスを感じて交感神経が活発に働いた結果によるものです。
適度なストレスは緊張感を上げ集中力を高める良い効果が期待できますが、感じるストレスが多すぎると不安や悩みが大きくなり、自律神経が乱れやすくなります。
 
・不規則な生活
不規則な生活も、自律神経が乱れる原因となります。
私たちの身体は一定のリズムをもって生活しており、自律神経が正常に働くことで常に健康的な状態を保っています。
起きているときには主に交感神経、寝ている時には副交感神経が働き、1日のリズムを作っています。
しかし、夜更かしや昼夜逆転の生活など不規則な生活を続けていると、身体のリズムが崩れて交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなります。
 

・気候や季節の変化

季節の変わり目は日によって気温や気圧が変わりやすくなりますが、そのような時期は、自律神経が乱れやすくなるため注意が必要です。気温や気圧の変化に対応するため、自律神経は身体の機能を整えようと働きます。その時、一時的に自律神経のバランスが崩れて発汗やほてり、のぼせなどの症状がみられやすくなります。
 
他にもホルモンバランスや食事の影響など、様々な要因が関与しています。
もちろんその中には外的な要因として仕方がないものも多く、誰しもが自律神経の調子を乱しやすい時期やタイミングも存在します。
しかしその際に、大きく症状として出現する選手とそうではない選手との違いは日々の習慣であり、大前提としての自律神経の機能が働きやすい身体環境にあるかどうかという点に集約されます。
 
自律神経のバランスを整える手法は多く出回っており、食事やマッサージや呼吸法など実践的なものから簡易的なものまで多く存在します。
そんな中でもアスリートにとって自律神経の観点でのアップデートにおいて重要な観点として、プラスの何かを模索するよりも、今現在、自律神経の働きを低下させている”マイナスの要因”を丁寧にピックアップして可能な部分から排除していく方法を現場では実践しています。
 
それは睡眠の質が悪くなっている要因を列挙して可能なものから改善したり。
食事が変えられなくても食事の取り方やタイミングやその前後の過ごし方を変えるというようなものです。
 
特に寒さ厳しくなる時期、そしてコロナ報道含めてストレスの多い今だからこそ、自分自身の自律神経の状態はもちろんアスリートのパフォーマンスを最善にサポートしていく為の自律神経の観点が非常に重要であると痛感しています。
 
今月のオンラインセミナーではこの自律神経の観点にフォーカスして、座学と実技で3回に分けてお届けする予定です。
 
2015年から自施設では自律神経の測定器を導入して主観的な症状との相関含めて活用しています。
みえないと思っている自律神経の機能をみえる化することで整理できてきたこと。
これらを統合してお届け致します。



ご興味がある方は下記より詳細ご確認ください。

JARTAオンラインセミナー


 
少しでも自律神経の不調で悩む選手が減り、最高のパフォーマンスで試合に臨めることを祈念しております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年12月23日

年末年始休業のお知らせ

いつもJARTA公式ページをご覧頂き、誠にありがとうございます。
 
2020年12月29日(火)〜2021年1月3日(日)は年末年始休業日となります。
この間にお問い合わせのあったご連絡につきましては、新年1月4日(月)以降に対応させて頂きます。
 
皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
 
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2020年12月19日

囚われないという捉え方

文:赤山僚輔

 
『手段に囚われない』
これはJARTAが創設当初から、一貫してお伝えしている考え方になります。
 
今回は改めてこの”囚われない”という捉え方について共有したいと想います。
 
皆様は生きていく中で、ひとつやふたつは譲れない、”こだわり”のようなものがあるのではないでしょうか?
 
 
『自分に嘘はつかない』
『ビールはキリン』
『物を粗末に扱わない』
 
などなど。
 
上記は赤山のこだわりですが。
 
何かにこだわることと、何かに囚われることは一見よく似ていますが実態は全然異なります。
 
囚われるという漢字は人の周りが囲われてしまっています。
 
まさに八方塞がりといった感じでしょうか。
 
無意識に生きていると、自分が気づかぬうちに多くのことに囚われていることに気づくことができません。
 
〇〇はこうじゃないといけない。
▲▲はこうあるべきだ。
 
ここにはジェンダーの問題も内包しています。
女の子が〇〇のスポーツをするなんて・・・。
男の子がピンク色を選ぶなんて・・・。
 
全世界的にもジェンダーレスの思考が拡がり、我々が多くの既成概念やバイアスによって囚われていたことにも気づき、囚われていた思考からの解放が急激に進みつつあります。
 
ではスポーツトレーナーやセラピストとして、何かに囚われていることはないでしょうか?
 
それはトレーニング方法かもしれませんし、治療手技かもしれません。
 
〇〇のトレーニングをしているのだからこうなるはずだ。
▲▲の治療方法で治るはずだ。
 
我々は得てして、新たな知識や情報を入手すると、それがあたかも真っ当な解答であるかのように目の前の事象に当てはめてしまいそうになります。
 
〇〇はこうに違いない。
 
何かに囚われているというのはまさにこのような状態のことを指します。
 
ひとつのトレーニング方法や治療方法を追求し、探求し、精度を上げていくことは当たり前に重要なことです。
 
しかし、そのひとつの分野を追求して学び深めていくことと、目の前にクライアントに対してそれを無理やりに当てはめてパフォーマンスの向上や不調の改善を目指していくのは問題解決の思考が少し異なります。
 
残念ながら、ひとつの手法で10人を救うことはできても100人を救うことは難しいです。
 
もちろん大勢の中から100人の効果が得られる人をピックアップすることは可能でしょう。
 
しかし100人しかいない目の前のチームにおいて、一つの手法で全員が解決することは難しい。
 
そのように考えています。
 
これはトレーニング方法も治療方法も同様です。
 
あるトレーニングをすると100人のフィジカルの数値としては100%向上するかもしれません。
 
しかし100人ともに本人が望むパフォーマンス向上の方向性に進化しているかというとそうとは限らないのです。
 
何かを探求する際に徹底的に拘り、貪欲に深めていくことは重要ですが、気づけばそれにこだわりすぎて、もしかしたら他に解決策があるかもしれないのにそれに対して盲目になっている。
 
そんなことも多いような気がしています。
 
そしてそれはJARTAでお伝えしているトレーニングやコンディショニング方法についても同様な視点でJARTAの手法だけに囚われて欲しくない。
 
このようにも考えています。
 
アスリートの不調を解決し、パフォーマンスを向上させる最適解は選択肢としてはスポーツトレーナー側に用意する必要性があります。
 
しかしその選択肢の中で、その時々での最適解は現象としての結果含めてアスリートが教えてくれます。
 
この際にスポーツトレーナー側が何かの選択肢に固執するように囚われていると、盲目的に選択肢を狭めてしまい、結果的にアスリートの成長を阻害したり、不調が解決しないといった結果となるのです。
 
文章で読むと、そんなことはない。
自分は目の前のクライアントの為に最善の選択肢を用意している。
そう思う方も多いでしょう。
 
では目の前のクライアントの不調は全て解決していますか?
全てのアスリートが満足のいくパフォーマンスアップを遂げていますか?
その進化のスピードはアスリートが描く目標に対して間に合うペースですか?
 
囚われてなんかいない。
このようにこちら側の主観で捉えることは簡単です。
 
囚われているかどうかを指し図るのは目の前の選手の結果であり、その現象が全てです。
 
もしうまくいかない事例が目の前にあるとしたら、自分が何かに囚われていないか。
 
今一度振り返って考えて見てもらいたいと想います。
 
そして何に囚われているかに気づけるきっかけにJARTAの各種セミナーがなれれば幸いです。
 
自分自身もかつて気づけなかった囚われていた視点を知ることで、現在進行形で変化し続けています。
 
囚われていた自分を捉えるだけで、前への進み方が変わってきます。
是非この機会に振り返って見てください。
 
きっと明日会う選手が自分が何に囚われていたかを教えてくれるはずです。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 



2020年12月12日

認定スポーツトレーナー紹介/荻原和希(OGIHARA Kazuki)

JARTA認定スポーツトレーナー


今回の記事では全国で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの中でもトップレベルの身体操作レベルを誇る、栃木で活動する”荻原和希”トレーナーをご紹介します。
 
ご本人のInstagramでも様々なトレーニングの模様が公開されており、JARTA認定コースでお届けする内容もご紹介、共有されております。
 


また本人も競技者として経験のある空手の指導にも関わっており、全身で手本をそして背中を見せて伝えております。
そしてその空手道のアスリート時代にJARTAとの出会いがあったそうです。
 

 
 


 
スポーツクリニックでは学生アスリートに関わることも多く、日々自己鍛錬を継続しながらも業務に従事されております。
今後の活動から目が離せません。
是非ともご注目いただければと思います。
 
このように、JARTA認定のスポーツトレーナーは様々なバックグラウンドと持ちながら、ご自身の特性を生かして全国で活躍しております。
認定スポーツトレーナーへのご依頼は以下よりご確認ください。
 

トレーニングサポート依頼


 
 

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2020年12月06日

障害の発生要因をあなたはいくつピックアップ出来ますか?

文:赤山僚輔

 
痛みや不調の要因が何なのだろう?
常に我々スポーツトレーナーを悩ませる命題に対して、皆様はどのような用意を、自分なりの答えや解釈を用意していますか?
特に慢性障害に関していうと、症状発生の要因が一つであることはほとんどなく、複合的に要因が重なり合い症状が出現したり長期化することが考えられます。
これは単に、オーバーユースという側面で負荷量の増加に伴う症状の悪化や炎症の慢性化を要因に帰結して、安静期間を設けるだけでは根本的な解決にならない多くの事例からも気づかされる事だと思います。
 
今回はシンプルでありながらも、障害発生の要因を探求する思考プロセスをご紹介します。
 

ハインリッヒの法則をご存知でしょうか?

 
ハインリッヒの法則とは、労働災害における経験則の一つであり、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)が存在するというものです。

傷害を伴った災害を調べると,傷害は伴わないが類似した災害が多数発見されることがよくある。潜在的有傷災害の頻度に関するデータから,同じ人間の起こした同じ種類の330件の災害のうち,300件は無傷で,29件は軽い傷害を伴い,1件は報告を要する重い傷害を伴っていることが判明した。このことは5000件以上について調べた研究により追認されている。
(–H. W. ハインリッヒ、D. ピーターセン、N. ルース(著)井上威恭(監修)、(財)総合安全工学研究所(訳) 『ハインリッヒ産業災害防止論 海文堂出版(株) 1987年(昭和62年)9月 2版 ISBN 430358052X p59-60』)※Wikipediaより引用

これをスポーツ障害に拡大解釈して当てはめると、目の前に発生している痛みや不調の背後にある軽微な症状や要因をまずは29個ピックアップすることを試みます。
おそらくこの程度であれば普段の臨床で実施している方も多くいるのではないでしょうか?
数十個の要因を整理していなければ、単に膝や腰が痛いという状況に対して根本的な解決は難しいと思います。
しかし痛みや不調を前にして、一時的に症状が軽減しても再燃する場合や、再発を繰り返す事例を経験する場合にはこの先の探求が非常に大事になってきます。
 
その先には本人にとっては無症状であるが、29個の軽微な症状の要因となる要素が300個ある可能性があります。

 
 

一気に300個ではなくツリー構造を利用してピックアップしていく

症状のない障害発生の元要素を300個ピックアップすることは最初は難しいかもしれません。
しかしまずは29個の軽微な症状のひとつについて10個の要素をピックアップすることはさほど難しいことではないのではないでしょうか?
 

イメージとしては上記図のような流れです。
仮に前鋸筋に痛みが発生していた場合、痛みの要因である要素をまずはピックアップします。
その要素が発生した要因をさらに10個程度ピックアップするという流れです。
ここで重要なことは、痛みや自覚がなくてもその要素の要因になる問題が日常生活やその方のこれまでの過ごし方などから無限にありえるということです。
本人に心当たりがあればすでに気をつけて解決できている可能性が高いので、関わっているスポーツトレーナーが本人が気付いていない些細な無症状の要因をピックアップすることが重要となります。
それは関節のアライメント異常かもしれませんし、食事の影響や用具の問題かもしれません。
この探究する過程は正直面倒に感じると思います。
しかし目の前の症状が解決仕切らないときにはこのような思考プロセスが非常に重要になります。
 
じっくりと要素を捻出するだけで、またそのような視点でクライアントから注意深く問診や評価をするだけで繋がってくる事例も多々あります。
自分がすでに用意している要因で帰結することを目指すだけでなく、このような要素のピックアップにはクライアントにも協力してもらいながら、探究していくことも重要です。
そして本人のちょっとした気づきや違和感からヒントが得られることもあり、その繰り返しで300個のピックアップも容易になってくるのです。
 
現在開講しているトレーナーカレッジではこのような思考や具体策について共有しながら、一緒に学び進めるプロセスを行っております。
ご興味がある方は以下よりご参照ください。

JARTAトレーナーカレッジ


 
少しでも根本的な要因をピックアップして、痛みや不調で困ることなく多くのアスリートが最高のパフォーマンスを発揮できることを祈念しております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2020年11月22日

頑張りすぎない頑張り方を習得する

文:赤山僚輔

 
スポーツに限らず、オンとオフの重要性は言わずもがなかと思います。
 
それを頭で理解していながらも、試合当日に興奮しすぎて感情的になったり
いまいちスイッチが入りきらずにボーッとした感じになってしまった経験は
誰しもが1度や2度はあると思います。
 
今回は”頑張りすぎない”という観点から紐解いて
 
試合当日に最良のパフォーマンスを発揮する為のヒントをお伝え致します。
 

スポーツ場面以外のオンとオフに目を向ける

 
アスリートのパフォーマンス向上目指していくなかで
練習内容や強度、リカバリーの手法や習慣具合など
パフォーマンス具合を指標に設けながら様々な準備をしていると思います。
 
しかし練習や試合における集中力の程度が練習や直接的な身体の状況が影響する場合もあれば
それ以外の多くの要因がいまいち集中し切れない要因になっていることも多々見受けられます。
 
その代表的なケースが日常生活の影響により自律神経が乱れているという事です。
 
自律神経は交感神経と副交感神経の2つの機能から成り立ちますが、我々が普段暮らす中で重要な生理機能の多くもこの自律神経のコントロールによって成り立っています。
 
この自律神経の機能が現代社会においては乱れている方も多く、それはアスリートも同様です。
 
自律神経の乱れが示唆される心身の症状として、睡眠障害や下痢・便秘などの内臓の不調。
また頭痛や動機などが出現する事例もあります。
 
アスリートのパフォーマンス向上を目指す中で、筋肉、骨格系の痛みや不調だけでなく
このような自律神経系の不調に目を向けることは避けては通れません。
 
この自律神経の不調を招く要因としては様々な要因が挙げられますが
アスリートに関わっていて多く経験するのが
・夜間遅くのスマホや映像チェック
・深夜のコンビニや消灯をせずに電気をつけたままで寝てしまっている
・睡眠前の過度なストレッチ
このような要因です。
 
スマホで長時間ゲームをしているのであればもちろんそれは時間を制限したり
コントロールする必要性がありますが、少しでも上手くなるために映像での勉強。
また様々な情報収集やデータのチェックなど。
そして睡眠前のストレッチ含めて上手くなりたいと頑張りすぎていて
それが結果的に自律神経の不調を呈する要因となっている事例が
多いように感じています。
 
 
頑張ることは悪いことではありませんが、心身の状態をしっかりと俯瞰して
その頑張りが、今本当に必要な取り組みなのか?
 
これを吟味する視点がなければ、結局試合当日に朝疲れが取れていない。
いまいちスイッチが入りきらずボーッとしてしまう。
といった状況に陥ってしまうのです。
 
はっきりとした痛みや不調があると、自分が行っている行動がネガティブ働いているかもしれないと想起することができます。
 
しかしこのような自律神経の不調の場合、複合的に要因が重なっているので、自分の普段の行動がどのようにネガティブに働いているかは想起しづらい場合もあります。
 
そんな時に大事になってくるのが、寝起きや疲労感などの日々の変化を記し残しておくことです。
 
からだのだるさが強い朝には、前日にどのような過ごし方をしていたかを振り返り記しておきます。
逆に疲労が少なく感じる時にも前日にどのように過ごしていたかを記し残すことも重要です。
 
このような事の繰り返しで、自分が普段行っている行動の中で、自律神経のバランスを乱す要因がどのようなものがあるかを顕在化することができるようになるのです。
 
それらを俯瞰する過程で、自分ががんばらなくても良い状況で、頑張りすぎていることにも気付けるかもしれません。
 
押しては返す波のように、大きなピークを持ってこようと思うとしっかりとしゃがむことも重要です。
 
自律神経の観点で表現すると副交感神経がしっかりと働いて、オフのスイッチが入れられていないとアクセルの役割である交感神経の働きも十分に機能しません。
 
自分がアクセルを踏まなくても良いタイミングで踏んでいないか。
この問いかけを自身の心身に耳を傾けながら過ごすだけでも
本当に頑張りたい時に頑張れるように変わっていきます。
 
今一度アスリートだけでなく、スポーツトレーナー自身も頑張りどころを間違っていないか
自問自答してみてください。
 
このような観点で実際にどのようなワークや取り組みが効果的かをオンラインワークアウトで実施予定になっております。
 
ご興味のある方は下記より詳細ご確認ください。
 

少しでも良い状態へと向上する為のヒントとしてこのような頑張りすぎない、自律神経の観点が参考になれば幸いです。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年11月14日

基本をおろそかにすることなかれ

文:真木伸一

このブログをお読みいただいている皆様は、少なからずJARTAの活動にご興味を持っていただいている方という前提で今回はお話ししたいと思います。
あなたは、JARTAのどのような活動にご興味を持たれていますか?
スポーツ選手を指導できるトレーナー環境、トレーニング内容、東洋・西洋の枠にとらわれないコンディショニングスキル体系、それぞれの置かれた立場によって、その興味の方向はそれぞれだと思います。
 
認定講師を務めております、真木です。
 
トレーナーとして20年以上現場におりますが、選手の問題を解決するために私自身が一番大事にしているのは、「評価」です。
トレーナーとしての仕事の領域は多岐にわたります。
チーム内でのマネジメント業務から、外傷・障害への対応、リハビリテーション、トレーニング指導、障害予防、そのそれぞれに基盤となる知識が必要であることは言うまでもありません。
私自身は、理学療法士の免許を取得してリハビリテーションを学びましたが、学生のときに学んだ評価・統合と解釈・考察の立て方は、今でも大切にしています。
経験を積めば選手の動きや主訴から問題の答えを導くパターン認識と言われる方法を用いることが可能になってきます。
理学療法について学んだ方はこれを、動作分析から評価内容を導くトップダウンの評価方法と学んだかもしれません。
対して、学生の時の臨床実習などでは、すべての評価項目を網羅的に実施してその中から問題の答えを導いていく徹底的検討法といわれる方法をもちいた考察を指導されたのではないでしょうか。
これをボトムアップの評価方法と習ったかもしれません。
アスレティックトレーナーの評価においても、この手段はカリキュラムに組み込まれています。
いずれの場合においても、選手のエピソードの聴取(医療面接)、理学所見の収集、動作分析の過程を経て、その結果を統合して解釈し、考察をたてて介入する、ということを教えてもらいました。
 
 
 
臨床(スポーツ)現場に出るようになってからは、学生時代に行った関節可動域測定・徒手筋力測定法・整形外科的テスト法や各種タイトネスの評価方法などを組み合わせて使いながら、更に細かいアライメント評価やアライメントの修正によって疼痛が減弱するかどうかをみる疼痛減弱テスト・その反対に崩れた方向に誘導する形で疼痛が増悪するかを判定する疼痛増悪テストなどを用いて、より確証を得られる道筋を探します。
こうして得られた情報を用いて、選手の体に結果として現れている問題(痛み・主訴)とそれを引き起こしている要因(原因)を整理して結果として現れている問題を解決すると同時に(これをJARTAではファーストタッチの原則という形で説明しています)、原因因子に対してアプローチすることで、選手の主訴が本質的な解決を得られるよう導くための設計図をまず描くわけです。
このコンディショニングの「設計図」は、建設に必要な素材を集めて目の前に並べてみてはじめて実現可能なものになるわけです。
設計図があれば、組み立てる順番をどこで間違えたのか、パーツを取り違えたのはどの部分だったのか、介入がうまく行かなかったときにも立ち返る場所があります。
ところが、設計図を描かずに結果として現れている問題にアプローチして(とりあえず固まっている筋肉をほぐす、など)、痛み・硬さが取れなかった場合、またはその場では良い感触が得られても後に疼痛が増悪するなどの問題が生じたとき、その原因が何だったのかを追求することが困難になります。
 
因果応報、良い刺激が入れば人の体はそれに反応して良い結果に向かいます。逆もまた然りで、見当違いの刺激を入れることで、良くない反応を生み出すこともあるわけです。
そのときに、どのような評価に基づいてどのような推論を導いてその介入を行ったのか、が明らかになっていれば、道筋をたどって修正することができます。
推論という「設計図」なくしてパーツを組み立てていくのは、博打の要素をはらんでいるといえます。確率として極めて精度の高い推論を立てられるようにするために必要なことは、選手の話を引き出すための問診スキルを駆使してよく話を聞くこと、解剖・運動学などの基礎医学、理学所見のとり方を頭と体に染み込ませることです。
 
選手の心と体に生じたエピソードをしっかりと理解できていますか?
学校を卒業してから、ゴニオメーターを何回使いましたか?
スケールを用いた大腿周径は、誤差なく図れる検証をしていますか?
MMTの評価なしに「筋力低下」を判断していませんか?
医学の世界の評価方法は、先人たちが問題の原因にたどり着くために極めてシンプルに不要なことを削ぎ落としつつまとめてきてくれた体系です。
魔法のような治療法も、一瞬で結果が出る徒手療法も、すべては基本の上に成り立っています。
基本をおろそかにして、いつか魔法を手に入れることはできません。まずは各関節の正しいアライメント・挙動の理解、筋・筋膜・皮膚などの軟部組織特性、神経・血管の走行など構造の理解をもとに、適切な理学所見から問題の原因を説明できる推論をたてられるように訓練していくこと。
選手のコンディショニングを任される立場として最低限のたしなみをおろそかにすることのないよう、日々考えることの大切さを伝えたい。
 
 
JARTAのコンディショニングスキルコースでは「評価」の重要性をお伝えし、実際に受講者の方々とともに問題の原因を解決する手段を学んでいただきます。
また、新たに始まったオンラインカレッジにおいては、「臨床推論」という講義の中で、各関節の外傷・障害に対する考察の立て方をともに学んで頂くことができます。今一度、自身の介入を振り返り、基本的なことが網羅されているかどうか、不足しているとすれば何が足りていないのか、ともに学んでみませんか。
 
目の前の選手の問題を解決する手段に、「魔法」はありません。もし魔法を使うセラピストがいたとすれば、それは積み上げてきた「基本」に裏打ちされた確かなスキルにほかならないということを忘れないようにしましょう。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年11月08日

試合本番で最高のパフォーマンスを発揮する為に

文:赤山僚輔

『ピークコントロール』
この言葉を聞いたことがない方はスポーツトレーナーをされている中では少ないのではないでしょうか?
 
アスリートに関わる上で、痛みや不調を解決し、パフォーマンスを向上させていく先には、試合当日のパフォーマンスを最高のモノにしたい。
 
そしてその為にはどのような準備をすればよいか?
このような問いが現場では日常的に転がっており、我々の前にハードルとして命題をつきつけてくれます。
 

調子の波をどう捉えるのか?

 
調子の波を捉えるには、パフォーマンスに影響を及ぼす因子をどれだけピックアップできるかにかかっています。
今回は数限りない上記要素を4つに大別してお伝えしたいと思います。
 
①Condition
一つ目は当たり前ですが、コンディションに直接関与するものです。
痛みや不調の要因となる問題が解決できているかどの程度残っているのか?
ここには違和感や元来あるタイトネスや、筋力の不均衡などの問題も含まれます。
また内臓の状態や呼吸の状態も加味しなければ最高のパフォーマンスに向けての準備が整っているとは言えません。
 
②Time
2つ目は時間の捉え方です。
競技が実施される長さや時間帯は選手のパフォーマンスに大きく影響を及ぼします。
朝が苦手な選手もいれば、試合開始早々には最高のパフォーマンスを発揮できない選手もいます。
それを仕方ないで片付けるのではなく、なぜそのようにパフォーマンスが試合内や1日の中で変化するのかを深く洞察することが必要です。
またもう少し、期間を拡大して考えると夏場と冬場でのパフォーマンスの違いなど季節によっての違いも影響がありますし、部活動であれば学年、所属チームであれば所属年数の影響も考えられます。
 
③Mental
3つの目のメンタルがパフォーマンスに影響を及ぼすことは言うまでのないかと思います。
ここではパフォーマンスに関与するメンタルについて少しでも良い状態で試合を迎えるための準備として以下の項目をご紹介したいと思います。
・自分を知ること
・相手を知ること
シンプルではありますが、この2つが徹底できるだけで試合時によいメンタルやマインドで臨むことができます。
 
具体的に提示すると、どんな時に自分が緊張するか?
どんな時に楽しくプレイができているか?
これまでのパフォーマンスが高かった時にはどのようなマインドで望んでいたか?
このような問いを自分に投げかけ、振り返り整理しておくだけでも試合時にこれまで通り、これまで以上のパフォーマンスを発揮することが可能となるのです。
 
④Place
最後に場所の影響です。
これはパフォーマンスに大きく影響を及ぼし、多くの選手がいつも通りのパフォーマンスを発揮する為に創意工夫している部分なのではないでしょうか?
大きな大会になるほどに、初めての会場で試合することも少なくありません。
場所によってパフォーマンスが変化するとして、普段の練習環境と何が異なるのか。
何が異なる時にパフォーマンスが変化するのか。
サーフェスの違いや観客席の有無や大きさ。応援の数や照明など。
また会場までの導線などが影響を及ぼす場合もあります。
以前神戸のチームをサポートしている時に全国大会が北海道で開催され。
移動の雪に足を取られ、移動だけで疲労していた選手の姿が印象的でした。
 
このような多岐にわたる要素の中で、どのような時にどのような要素が調子の波を左右しているのか。
これらをひとつひとつ整理して調子が悪い時の共通点、調子が良い時の共通点。
そしてそれを試合だけでなく練習での調子の波や、普段の日々のコンディションの波とも統合しながら考慮していくことでより再現性が高い形でのパフォーマンスの発揮が可能となるのです。
 
このような関わりの精度を上げるためのヒントとして、スポーツトレーナー自体が日々の調子の波やコンディションを左右する要素について数限りなくピックアップすること。
 
そしてそれらを変えられないものと変えられるものを大別し変えられるものに対して試験的に変化させどのように調子が変わるかを整理していくことが重要です。
 
机上の空論だけでなく、日々実践してコンディションを上げ続けているスポーツトレーナーでれば選手にそのような状況を設定することはそう難しいことではないのではないでしょうか?
 
私自身、まだまだ自分のピークコントロールに伸び代満載ですが、数年前よりも大事な時によいパフォーマンスが発揮できるようには変化してきました。
その為には前述したような過程を時間がかかっても記し残していくことが重要です。
 
もし選手に大事な試合で最高のパフォーマンスを発揮してもらいたい。
そのように感じているのであればまずは実践、行動することをお勧めします。
 
その繰り返しで最高のパフォーマンスを目の当たりにされることを具体的に想定しながら。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
赤山が講師を務めるコンディショニングスキルコースの詳細は以下よりご参照ください。

コンディショニングスキルコース


 

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2020年10月31日

トレーニングがパフォーマンスアップにつながらない理由

文:平山鷹也

 
毎日頑張ってトレーニングを行っているのにパフォーマンスが変わらない、
ストレッチをやって柔らかくなっているのにプレー中は硬くなってしまう。。。
 
 
このような悩みを持つ選手は意外と多い。
 
 
そんなとき、トレーナーとして考えるべきことは何か。
 
 
今回はトレーニングを指導するトレーナーの方に向けて、
トレーニングを指導する際の一助になる考え方を共有したい。
 
 
 
トレーニングがパフォーマンスアップにつながらない理由の1つとして、
難易度が適切でないことが考えられる。
 
 
難易度とは、非常に多くの要素によって決定される。
 
 
JARTAの認定トレーナーコースでも、トレーニング理論Ⅰの中で解説している。
 
 
コース内では、支持基底面という観点から難易度を考えてもらっている。
 
 
もちろん支持基底面が広ければ難易度は下がり、狭くなれば難易度は上がる。
 
 
 
例えば、JARTAトレーニングの1つである「八の字」。
 

 

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上半身の可動性や連動性を引き出すトレーニングだが、
最もベーシックなやり方は動画のように肩幅よりも少し開いた、
パワーポジションと呼ばれる姿勢で行う方法である。
 
 
これを支持基底面を狭くすることで難易度を上げようとすれば、
例えば両足を前後にそろえるタンデムや、
もっと狭くするなら片脚立ちで行うことができる。
 
 
支持基底面が狭くなるほど、
上半身の動きの中心がぶれないように行わなければ倒れてしまう。
 
 
支持基底面を狭くする意味について、一例をあげて考えてみる。
 
プレー中に上半身が固まってしまう選手に対して、肩幅の八の字を指導したとする。
 
結果としてトレーニングは上手くなったがプレー中にはやはり上半身が固まってしまう。
 
 
このようなケースは結構多い。
 
トレーニングは上手くなったがプレーは上手くなっていない。
 
 
この原因を難易度という観点から考えていく。
 
 
ここで八の字が上手くなったというのは、
「両足のパワーポジションでは」
上半身を動かせるようになったということである。
(あくまでも支持基底面という観点では)
 
そこでタンデムや片脚立ちで同じように八の字をしてもらうとする。

 
そうすると動きが遅くなったり、上半身が固まって動きが小さくなったりする。
 
 
ここではじめてこの選手の伸びしろが明確になる。
 
 
不安定な状況下で上半身を固めることでバランスをとろうとしているのだ。
 
さらに深掘りすると、その原因が股関節や足部の機能不全、身体感覚の低下などにいきつくかもしれない。
 
 
支持基底面が狭くなることで、
バランスをとりながら上半身を動かすというデュアルタスクになる。
(2つ以上の能力を同時発揮することを、JARTAではアブレスト能力と呼ぶ)
 
 
今回の例で挙げた選手の場合、上半身が固まってしまうことが問題ではなく、
「バランスを取りながら上半身を動かすこと」が伸びしろだったとわかる。
 
 
この選手に対して、
「安定した状態」で上半身を動かす練習だけではパフォーマンスにつながりにくい。
 
 
それがわかればバランス能力について評価が必要かもしれないし、
他のトレーニングも必要かもしれない。
 
 
今回はわかりやすくするために支持基底面だけで考えてみたが、
他にも難易度を構成する要素はたくさんある。
 
 
運動スピード、移動量、重りの有無、モーメントアームの長さ、外乱、道具の有無。
 
 
様々な観点から難易度を調整していくことで、
その選手にとってプレー中の伸びしろと一致した反応がでるものを探していく。
 
 
それを改善することができればパフォーマンスアップにつながりやすい。
 
 
 
しかし適切な難易度設定をすることは、言葉で言うよりも難しい。
 
 
簡単すぎる難易度で行っていたり、
逆に難易度が高すぎて目的とした運動が引き出せなかったりしていることが意外と多い。
 
 
難易度を構成している要素を自分なりに整理して、
どの要素をどのくらい変えると、どんな反応が返ってくるのか。
 
 
トレーナーはこの繰り返しによって引き出しを増やしていくことが求められる。
 
 
 
 
今回は難易度設定からトレーニングとパフォーマンスの関係について考えてみた。
 
 
もちろん難易度設定だけで必ずパフォーマンスを上げられるわけではない。
 
しかし、スポーツパフォーマンスとは非常に複雑な運動の組み合わせとその連続である。
 
そしてトレーニングはその要素の一部を切り取って行うものだ。
 
トレーニングを指導する我々は、
パフォーマンスとトレーニングの関係を考え続けなければならない。
 
 
それが、トレーニングをパフォーマンスにつなげるコツだ。
 
全ては、パフォーマンスアップのために。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年10月21日

投手用トレーニングセミナー開催

今年3〜4月に予定していた当セミナーですが、皆様もご周知の通り、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により開催が困難となり中止延期となっておりました。
申込みいただいた方にはご迷惑をおかけし、大変申し訳ありませんでした。
 
今回、感染予防対策を行った上で、安全に開催できる目処が立ちましたので、大阪、東京、福岡の3会場で開催することといたしました。
ソーシャルディスタンスを保つため、従来より募集人数を絞って開催いたしますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。
 
なお、本セミナーの今年度開催は今回案内する3回のみとなります。
また、来年度はトレーニング内容の刷新と投球障害にフォーカスした内容を加え、より充実した内容で行なっていく予定ですので、現状の内容をお伝えするのはこれが最後となります。
※内容が刷新しても再受講はこれまでの規約通り受講いただけます。
 
 

投手用トレーニングセミナー

投手には色々なタイプの投手がいます。自分のスタイルを確立していくことは投手として生き残るためには重要な課題です。
しかし、どのようなタイプ・スタイルの投手であっても球速とコントロールは必ず生命線になります。
 
この投手用トレーニングセミナーは、
・ 球速アップに必要な身体機能及び身体操作を強化するトレーニング
・ コントロール向上に必要な身体機能及び身体操作を強化するトレーニング
・ 球速アップとコントロール向上に取り組みながら障害予防を行なっていくためのチェックポイント
の3つを学んでいただけます。
 
 
■開催地域
大阪会場 2020年11月22日(日)
東京会場 2020年12月27日(日)
福岡会場 2021年1月10日(日)
 
詳細はこちら

投手用トレーニングセミナー


 
 

参考記事

コントロール向上の鍵
下半身を使うの正体
150km/hのボールを投げるには「かためる」力が不可欠
投手の「タメ」の作り方には2つのパターンがある

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2020年10月17日

貪欲に成長し続ける為に

文:赤山僚輔

 
知識や技術が増えれば成長できると思っていた。
 
これは過去の自分のことを指しています。
 
『成長したい』
 
それは、そう願う選手を前にして、彼ら彼女たちの思い描く成長が目標とする場所に到達しなかった時や間に合わなかった時により痛感してきました。
 
私はスポーツ現場に立ち続けて、そのような悔しい経験を幾度となくしてきたからこそ、嬉し涙よりも悔し涙の方が見た回数は圧倒的に多いです。
スポーツトレーナーをしていて怪我で悩む選手や不調でパフォーマンスが発揮できずに困る選手が減ってもチームが成果を残すことができなければ選手も指導者も満足していませんでした。
その不満げな、悶々とした表情を見るたびに、自分にできることはまだないか。
そう問い続ける日々を送ってきました。
 
成長とは時に残酷で、いくら成長していても対戦相手の方が成長していれば結果は伴わない。
 
そう、常に勝負の世界にいる限り成長とは相対評価。
 
もちろん自分を基準にした成長曲線においてはある一定の絶対評価である側面はあります。
 
しかし選手にチームにサポートする上で成長の一端を担うとしたら、常に
“その成長スピードで充分か?”
この問いが命題として突きつけられてきます。
 
私は何度も甘い自分が災いして、基準を自分だけに置き、成長を冒頭にあるように知識や技術が増えることによって自分自身が成長していると過信している時期がありました。
 
ほんの5.6年前の話です。
 
目の前の選手が悔し涙を流し、指導者の唇を噛み締める姿を見るたびに、また間に合わなかった。
終わってみれば気づけた観点や介入できた要素や伝えられた言葉があった。
そのように猛省する日々をこれまで繰り返してきました。
 
 
“その成長スピードで充分か?”
 
その命題を突きつけられた数だけ怠惰な自分と闘う日々を過ごしてきました。
 
そんな繰り返しの日々の中で私は2016年にサポートチームが10数年ぶりに全国高校サッカー選手権出場を決めて、スタンドから観戦していて自然に涙がこぼれ落ちました。
 
スポーツトレーナーとして初めて勝って泣いた瞬間でした。
 
この思いを経験した時から、関わるスポーツトレーナーや JARTAで指導している認定スポーツトレーナーにもそういった興奮や感動を味わってもらいたい。
そのように感じるようになりました。
 
成長スピードの相対的な不足を感じ、猛省し、軌道修正しての繰り返し。
 
気づけば成長することに対して不安はなくなり、楽しめるマインドも備わってきました。
 
多くの選手は自分の伸び代や成長に対して疑心暗鬼になっています。
そんな選手に光明を見出させるのがスポーツトレーナーの役割です。
 
では我々スポーツトレーナーは自分の成長に対して疑心暗鬼になっていないだろうか?
セミナーで習得した技術や知識が増えるたびに成長を実感できているだろうか?
その技術や知識が活かし切れていないのは何が問題なのだろうか?
 
新しく始まるJARTAトレーナーカレッジでは、ハイパフォーマンスを実現する為にアスリートへサポートするスポーツトレーナーにとって成長し続けるきっかけとなり得る機会になります。
 
赤山が講師を担当するリコンディショニングスキル、ピーキングスキル、指導スキルにおいては現在進行形で更新し続けている自己鍛錬の手法や選手やチームとの関わりにおいて重きを置いていること。
 
そしてそのような情報や手法をどのようにアップデートしているかについてもお伝えしてまいります。
アスリートが1年前と今の自分とでは別人のように変わっているように。
スポーツトレーナーとしての赤山僚輔も1年前とはある意味では別人であると感じています。
そしてカレッジの1期生が終わる2021年の10月末にはまた今の自分とは別人のように成長している姿を明確に想像できています。
 
他の講師陣と、そしてカレッジを受講される皆様と共に、また新たな学び、として成長の機会を共有できることを心から楽しみにしております。
いつ、どのタイミングで急成長を期待する選手が目の前にやってくるかはわかりません。
選手に試合までに最高の準備をするように伝えるのであれば、スポーツトレーナーとして、いつ大一番が来てもよい準備を共にしていきましょう。
 
成長に対して貪欲であればあるほどに、自分の伸び代には無限に気づけます。
自分の伸び代に無限に気づけるスポーツトレーナーは選手の伸び代に無限に気づけます。
 
成長できないことを選手のせいにしていませんか?
 
共に成長していきたいと思う皆様、以下より詳細ご確認ください。
 

JARTAトレーナーカレッジ


 
共に歩んでいきましょう。
目の前の選手達の為に。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年10月15日

11月より開講|JARTAトレーナーカレッジ

トレーナーの能力アップに特化したオンラインスクール JARTAトレーナーカレッジ が11月に開講いたします。
 
JARTAトレーナーカレッジは、スポーツトレーナーとしての在り方・考え方を最重要事項として体系立てたカリキュラムを組み、
思考回路のレベルアップそのものを成長の対象としたオンラインスクールです。
 
最も厳しいプロや日本代表というステージで現在進行形で指導をしているトレーナーたちが講師となり、
現場での気づきや視点、時には悩みをリアリティを持って共有しながら学べます。
12ヶ月(24講義+12ライブ)で完結し、
1ヶ月ごとに配信される2つの講義と、講師に直接質問もできる月1回のライブ配信を受講いただけます(その後は無料でライブと講義が見放題)。
 
11月入学受付は今月20日正午12時までです。
ご希望の方はお早めにお申し込みください。
 
JARTAトレーナーカレッジ公式ページ・お申し込みは下記より

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2020年10月04日

武士道の精神がパフォーマンスを最大限に引き出す

文:影山大造

 
2020年3月、新型コロナウイルスが世界中に感染拡大した為
東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まりました。
 
それから半年、今、選手やコーチなど
オリンピックに関わる方達は
どんな思いで過ごしているのでしょうか?
 
今回のオリンピックは
これまで以上に選手の準備が難しくなります。
 
そこで私達トレーナーも、アスリートが最善の準備をするために
必要な要素を再考してみるべきではないでしょうか。
 
私は、その要素の一つに
【武士道の精神】があると考えています。
 
以前より、日本には
【武士道の精神】というものが存在します。
 
しかし、現代においては、
この【武士道の精神】を取り入れている事例は
少ないでしょう。
 
そこで、日本がすでに兼ね備えている【武士道の精神】を
スポーツにおいても取り入れて実践する事で、
現代でも【武士道の精神】をパフォーマンスアップさせるための
要素として、活用する事が出来るのではないでしょうか。
 
 

 そもそも【武士道の精神】とは何なのか

 
私が言う【武士道の精神】とは、
新渡戸稲造が記した著書「武士道」で書かれている
「義」・「勇」・「仁」・「礼」・「誠」・「名誉」・「忠義」
の7つの徳を指しています。
 
 
この7つの徳、一般的には
「義」・・・道理に従って決断する力
「勇」・・・どんな状況でも恐れず立ち向かっていく強い心
「仁」・・・愛や寛容、そして他者を思いやる心
「礼」・・・相手を尊重し、思いやる心
「誠」・・・自分の言った事を成し遂げる信念の強さ
「名誉」・・・個人の誇り
「忠義」・・・主君に対しての忠誠心
と言われています。
 
この【武士道の精神】である7つの徳を
スポーツに活かすためには、普段の生活から
意識する事が重要になります。
 
それでは具体的に、どのように取り入れるかと言うと
「義」
普段から、利害や損得で行動するのではなく、
また他の影響を受けずに、自分で考えて正しい行いをする事で
自立した人間になります。
 
そうすることで、競技においても、周囲に影響されることなく、
自分で考えて行動できる自立した選手になります。
 
「勇」
肉体的だけでなく精神的にも訓練することで
どんな状況でも常に動じない心でいられる様になります。
 
そうすることで、競技においても常に平常心を保てるようになり、
どんな状況でも常に動じない選手になります。
 
「仁」
普段から周囲の人に対して感謝の気持ちを持つことで
人に優しくなることができ、思いやりの精神を持てる様になります。
 
そうすることで、競技においてもチームメイトや監督・コーチなど
周囲の人に対して感謝の気持ちを持つことが出来るので、
いつも心が穏やかで気持ちのコントロールが出来る選手になります。
 
「礼」
家族や親しい友人など、相手へのリスペクトを忘れずに、
相手の意見を尊重する心を持ちます。
 
そうすることで、競技においても
チームメイトへのリスペクト・尊重する心を持つことができ、
練習の雰囲気はもちろん、より良い意見交換が出来るので
練習の質が上がり、結果的にチームワークも向上します。
 
そして試合においては、相手に対しても気持ちよく
正々堂々と勝負が出来ます。
 
「誠」
日常生活においても、自分で小さな目標を立て
成功・達成する経験を積み重ねることで自身につながります。
 
そうすることで、競技においても自分で立てた目標を成功・達成を
繰り返すことができ、競技に対して選手の自身につながります。
 
「名誉」
常日頃から、自分がどんな人間でありたいのかを考えて、
それに沿った行動・生き方をします。
 
そうすることで、競技においても自分がどうなりたいのかの考えを
しっかり持つことができ、練習はもちろん、練習外でも
それに沿った行動・生き方を自発的に行うようになります。
 
「忠義」
自分が考える道徳上守るべき道筋・礼儀に対して、正しい行動をする事=「義」を、
自分の心の中心に置く=「忠」ことで、普段から「忠義」を尽くします。
 
忠義とは他人に対する道理だけではなく、自分自身への「忠義」でもあります。
 
そうすることで、競技においても自身の考える6つの徳に対して
忠義を尽くす(忠実に)行動をするようになります。
 
このように、各項目について一度考えてみることで、
選手のパフォーマンスアップにつなげることが出来ると考えています。
 
私がこのような考えに至った背景には、
私自身の過去の体験があります。
 
というのも、私は【セラピスト】 兼 【経営者】でもありますが、
この10年で飛躍的に成長できたと感じています。
 
その理由として、業務中はもちろん、
業務以外での意識を変えたからです。
 
具体的には、まず私は自身の会社に
理念、ミッション(使命)、ビジョン、そしてクレド(行動指針)を作りました。
 
最初に理念に取り組んだのですが、理念を決めたことで、
具体的にどのような事をするのかのミッション(使命)が決まり、
そして理念を実現するために、今後どのようなプロセス経ていけばよいかの
ビジョンが自然と決まっていきました。
 
そして、理念の実現には勤務時間はもちろんですが、
業務以外の時間のあり方も、どうあるべきかを考える様になりました。
 
その結果、普段の行動の在り方をクレド(行動指針)に集約させたのです。
 
この様に、会社や自分がどうなりたいかの方向性を理念として明確に掲げることで、
理念実現のために自分がどうあるべきなのかがわかり、
理念に沿った行動・生き方をするようになったのです。
 
その結果、限りなくマイナスの要素が削ぎ落され
目的に対してのプラスの要素を積み重ねることで
会社だけでなく個人としても飛躍的に成長できたのです。
 
私の場合は、武士道で言う【名誉】が理念、それ以外の5徳がクレド、
これらに対しての正しい行動が【忠義】と同様ではと考えています。
 
競技においても、自分がどうなりたいかが決まると
それに沿った行動指針が決まり、後は正しく行動すること
と置き換えることが出来るのではないでしょうか?
 

 
また、【武士道の精神】は、潜在的に私達に存在するものでもあります。
 
というのも、新渡戸稲造がドイツに滞在していた時のエピソードですが、
海外の学者に「日本には宗教教育がないのか?」と聞かれて
「ありません」と答えた時に驚愕されたという話があります。
 
これは、海外の方からすると宗教教育がない中で、
道徳教育が成り立つことが考えられない事だったからです。
 
私たちの根底にある道徳とは、
学校で習ったものではなく、古くから大事にしている考え方が
今も自然と受け継がれているものなのです。
 
それは、神道・仏教・儒教・朱子学などの総合的なものになります。
 
そして、そこから形成され受け継がれたものの1つに
【武士道の精神】があるのです。
 
私達には、すでに道徳観の一つでもある
【武士道の精神】そのものが備わっているのです。
 
ということは、潜在的にある【武士道の精神】を、
明確にスポーツに置き換えることで、選手たちのパフォーマンスが
最大限に引き出すことが出来るのではないでしょうか?
 
また、【武士道の精神】を明確にすることで、行動指針ができ、
どんな状況下でも進むべき方向が定まっているので、
最善の準備が出来ると考えられるはずです。
 
ということで、今回はいつもと少し違う視点で
『武士道の精神がパフォーマンスを最大限に引き出す!』
という内容でした。
 
是非、選手だけでなくあなた自身も【武士道の精神】を
今日から活用してみて下さい!!

 
JARTAでは、代表中野をはじめ、講師陣は
【武士道の精神】を特に大事にしています。
 
特に、代表中野は、武士道の根底にある「上に立つ者の義務」として
7つの徳をもってJARTA認定トレーナーを束ねて
業界の発展のために導いてくれています。
 
そんな熱い代表に集う講師陣もまた
侍(サムライ)ばかりです。
 
そして、内なる熱い思いを持った講師陣にも
是非、皆さん会いに来てください。

JARTA公式HP
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2020年09月26日

成長し続ける選手の共通項とは


文:平山鷹也
 
日々練習に取り組んでいる選手たちすべてが、昨日の自分よりも少しでも成長したいと思っている。
 
 
しかし実際にはどんどん成長し続けている選手と、そうではない選手がいる。
 
 
この記事を読んでいる選手の皆さん、あなたはどちらだろうか。
 
そしてそれがなぜかを考えたことはあるだろうか。
 
 
今回は成長し続けることができる選手の共通項について私なりの考えと、具体的な方法をいくつか紹介する。
 
 
 
結論は、「自分の内側から外側を見ようとし続けられるかどうか」である。
 
 
少しわかりづらいと思うので説明していく。
 
 
自分の内側とは現在の自分のスキルや知識、さらにその根底となるところまで範囲を広げると思考の癖や生い立ちなどが含まれる。
 
 
つまり自分自身のことである。
 
 
そして自分の外側とは自分以外の他者のスキルや知識を含めたすべてのことである。

 
 
成長とは、外側にあるものを吸収して自分の内側である青色の円を大きくしていくこととして今回は話を進めたいと思う。
 
 
ここで大切になってくることは、自分の内側を通して外側を見ること(パターン①)。
つまり内側のことも深く知っている必要があるのだ。

 
 
内側を知ることについては、以下の過去記事を参考にしていただきたい。
(自分を知ることは、他者を知ること)
 
 
自分を知った上で外側を見ることができるようになると、今の自分のスキルはこのくらいで、目指している選手の動きとの違いは何だろう、と考えることができる。
 
 
そして、なかなか成長できないと感じている選手に多いのは以下の2つのパターンだ。
 
 
パターン②は自分の内側しか見ることができないこと。

 
このパターンでは、常にベクトルが自分に向いてしまっている。
 
よく聞かれる発言としてはネガティブなものが多い傾向にある。
・どうせ自分なんて
・自分は下手だから
 
そして他人へ興味が薄いこともこのパターンの特徴だ。
 
 
実は、選手だった学生時代の私もこのパターンに近かったように思う。
 
 
そしてパターン③は、内側が見れずに外側ばかりみてしまうこと。

 
こちらは、自分と向き合えずに悩む選手が多い。
 
 
発言としては、他者批判が多くなる傾向にある。
・あいつのこういうところが嫌い
・~もしてないのに~ばかりしている
 
 
パターン③では自分の思考の癖なども理解が浅いことが多く、自分が理解できないことを発言したり行動している人に対して批判的になりやすい。
 
 
 
自分がどのパターンに近いか考えてみてほしい。
 
パターン①の選手はおそらくすでに成長し続けるための具体的な行動はわかっているはずだ。
 
 
なぜなら、内側から自分を知りその上で外側を見ることで現在の自分の伸びしろが明確になりやすいからだ。
 
 
自分がどんな動きをしていて、上手い選手はどうやって動いているのか。
現状と今後の目標とのギャップに対して、どんな行動をとるべきか。
自分にはどんな思考の癖があって、それが成長をどのように妨げているのか。
 
 
成長のヒントは、今の自分を正確に捉えて的確な目標を設定することである。
 
今の自分を知ることが、内側から自分を見ることになる。
その上で的確な目標設定をするためには、自分の外側にある情報が必要となる。
 
 
外側を知るための手段はたくさんある。
・有名選手や目指している選手のプレー動画を自分と見比べてみる
・インターネットなどで練習メニューやトレーニングの情報を集める
・本をたくさん読む
・監督やコーチに自分に足りないものを聞いてみる
・環境を変えてみる(自主トレの場所、外部トレーナー、チームの変更など)
 
どれもが、少し手間がかかったりちょっとの勇気を必要としたりするものである。
 
 
しかし、成長し続けられる選手はそのちょっとの勇気を出し惜しみしない。
 
今の自分にそれが必要だとわかれば、すぐ行動に移すことができる。
 
成長とは変化であることを本能的に知っているのだ。
 
 
 
さて、それではパターン②や③の選手は何をすればよいのだろうか。
 
これまで述べてきたように、内側しか見れないパターン②の選手にとっては外側を知ることが、パターン③の選手にとっては内側の自分自身を知ることが大切となる。
 
 
外側を知るためには、外部にアンテナを張って情報収集をしたり、見学や体験などに積極的に参加したりすることも良いだろう。
 
内側を知るためには、時間を作って自分の人生を振り返ってみたり、家族や友人と自分自身のことについて色々聞いてみるのも良いと思う。
 
 
これらのことは、成長するために必要なことである。
 
そして成長「し続ける」ためには、これらのことをし続ける必要がある。
 
半年前には勇気を振り絞って飛び込んだ世界も、今は少しずつ慣れてきているのであればさらに踏み込んでいかなければならないかもしれない。
 
なぜなら半年前に見えていた自分の外側の世界は、成長した今のあなたにとっては内側になっているからだ。
 
 
自分の円が大きくなったら、さらに外側の世界を見ようとすると、半年前には見えていなかった世界が見えるようになる。
 
そして新たに見えるようになった世界に飛び込む。
 
 
成長し続けるとは、その繰り返しだ。
 
 
 
 
多くの場合、自分に足りないことを認識することも、それを改善するための行動を起こすことも本人にとっては苦痛を伴う。
 
 
だが、もしあなたが今の自分に必要なことだと思ったら苦痛を受け入れ、乗り越えていってほしい。
 
 
その先に、新たな世界と成長が待っているはずだ。
 
 
全ては、パフォーマンスアップのために。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年09月20日

ハッシュタグ『JARTA』で検索!!!


 
本日のブログではJARAT公式Instagramでご紹介している、JARTA認定スポーツトレーナーの活躍をご紹介したいと思います。
 
現在全国に200名弱がJARTA認定スポーツトレーナーとして様々なフィールドで様々なカテゴリーの選手たちをサポートしております。
もちろん全員がアスリートに関わっているわけではありませんが、JARTAのセミナーを受講する前にはアスリートに関わることがなかったような方もセミナーを受講中や認定資格取得後に様々なご縁で選手やチームと繋がり活動を開始して継続しております。
 
なかなかそのように活動している認定スポーツトレーナーの皆様の活動をご紹介する機会がなかったのですが、今回は公式Instagramでリポストさせていただいている記事を中心にご紹介したいと思います。
 
 
まずは講師としても活動を開始している東京の平山鷹也トレーナー。
 
https://www.instagram.com/p/CDzl0jCBb95/?utm_source=ig_web_copy_link
 
続きまして
 
関西で活動する山岡俊也トレーナー
 
https://www.instagram.com/p/CEnIik6hvxs/?utm_source=ig_web_copy_link
 
続いて関東で活動している
鎌田利武トレーナー
 
https://www.instagram.com/p/CEsUUXlhR0Q/?utm_source=ig_web_copy_link
 
今回のご紹介の最後は
中野崇と共にブラインドサッカーの日本代表のフィジカルコーチも務める
高塚政徳トレーナー
 
https://www.instagram.com/p/CFLPMAihVCn/?utm_source=ig_web_copy_link
 
このように様々な認定スポーツトレーナーが多くの選手やチームのサポートを継続しながら共に成長を続けております。
JARTAトレーニングにご注目される方はこのブログをお読みの皆様の中では多いと思います。
しかしトレーニングだけでなく、どのようなトレーナーがどのような現場やカテゴリーで活動しているのか。
 

#JARTA

 
ハッシュタグ『JARTA』で一度検索してみてご覧になってみてはいかがでしょうか?
 
トレーニングだけでなく活動しているトレーナー自身の成長にも要注目です。
終わりのない成長に向き合い、共に成長し続ける認定スポーツトレーナー達の”いま”と”これから”にご注目ください。
 
もちろんサポートしている選手へのご注目とご声援は第一にですが。
 
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
 
 
引き続きJARTAの活動にご注目ください。
 

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2020年09月12日

東西融合の視点を臨床応用する為に

文:赤山僚輔
 
いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はJARTA創設時から踏襲し続けている東洋医学的観点を臨床応用する思考方法を西洋医学的観点とどのように統合させていくのか。
この点について改めて整理してお伝えしていきたいと思います。
 
私はスポーツトレーナーとしての学びを先に進めながらその過程で理学療法士という資格を知り、取得し医療機関に勤め、今は保険外の領域で活動をしております。
 
医療という枠組みは一般的には現代医療であり西洋医学とも捉えられます。
(厳密にいうと病院の中に東洋医学的観点での診療や処方をされる機関もありますが今回は割愛します)
 
それに対してスポーツ現場では様々な職種の方々が活動をしており、指導者が参考にしている心身に対する手法も多岐に渡ります。
 
鍼灸師や中医学の医師などと親交がある指導者であればそういった視点での対処やアプローチに対して積極的に取り組んだり選手対応時に実践されることもあると思います。
同じように理学療法士やATCの方などと一緒に活動してきた指導者の方は、病院との距離感含めて病院での判断を第一に様々な選択をされていると思います。
 
 
ここでは良い悪いの議論は横に置いて観点、価値観として共有する前提で話を進めていきます。
 
 
 
医療機関に勤めながら現場に行っている時に、ある疑問を感じることがありました。
怪我をしたり、痛みを有する選手が第一選択として画像診断や病院診察をチョイスしておらず指導者もそれを推奨していない事例が比較的多く見受けられる。
といった事象に対しての疑問でした。
 
 
皆様も現場に出入りしているとそういった事例を経験したことがあるのではないでしょうか?
 
ここに西洋医学と東洋医学の特徴と現場ば求めるニーズなど複雑な問題が重なり山積しています。
 

白黒つける西洋医学

 

病院へ行きたがらない、選手や指導者と何故なのか話をしたことがあります。
スポーツトレーナーとして現場に行って、病院で行なっていることが最善であると疑いの余地もなかった若かりし頃の話です。
どうして怪我をした時にまず、病院へ行ってどういう状態になっているかを調べたり、長年痛みが引かない状況があった時に精密検査をしないのか?
 
これに対して選手も指導者も同様の答えでした。
『ドクターストップされて、練習できなくなったり試合に出れないと困るから』
その時の自分にとっては衝撃的だった事を覚えています。
 
自分の状態を知ることよりも
 
目の前の練習や試合に参加することの方が意義深いとみなされていたのです。
 
これではどうしようもなくなってしまってから皆が病院に来るのもうなづける。
そのようにその時の自分は感じ現場に出続けることでしか、この命題に対する最適解を模索することはできないと感じました。
歴史的にも文化的にも要素還元主義で人を部分の集合体として捉える西洋医学において、患部の状態を客観的に精査したら白黒つけるのは必然の流れです。
 
それは善悪を語れる事象ではなく、必然なのです。
患部で何が起きているか不明瞭ではっきりさせる必要性がある場合、これは西洋医学において得意分野であると言えます。
もちろん手術などの外科的な処置が必要な時に西洋医学の観点がなくてはならないことは言うまでもありません。
 

部位を観ず、人を観る東洋医学

 

それに対して病院以外の施設ではどうなのか。
病院以外が全て東洋医学というわけではないのでシンプルには捉えにくいですが、今回は比較をしやすくする為に東洋医学の特徴を例に出して話を進めていきます。
東洋医学の観点において傷病者に対しては痛みがある部位を観るだけでなく全身のつながりや精神性を含めて人を観るということが特徴としてあげられます。
これは痛みや不調は結果であり個人の自然との調和が乱れたり精神がバランスを崩すことが病気や不調の原因。
そのように考える東洋医学の特徴からくる観点になります。
東洋医学的観点から考察をすすめていくと、ひどい痛みがなくても未病とよばれる不調の要因となる要素をピックアップすることも可能となります。
 
特に慢性的な障害において画像上はっきりしないような症状がある事例については東洋医学の得意分野とも言えます。
経験的にも痛みがある部位だけで問題が帰結せずに全身から問題を探求する際に、単に運動連鎖や筋膜の繋がりだけでなく東洋医学的な観点によって解決のヒントが得られたことは数えられないくらいにあります。
 

対象によって東西の良さを活かすための準備

西洋医学と東洋医学の良さを最大限に活かすには双方の特徴や歴史、現代における状況を整理する必要性があります。
二項対立ではなく双方を融合する為には自分がどの立場でいるかというポジショニングと共に、違う観点の情報を知ることが重要となります。
孫子の兵法で有名な孫子の言葉で
「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」
という言葉があります。
勝負ではないですが、仮に理学療法士という立場であれば東洋医学を知ること。
そして自分の立ち位置を知る為に西洋医学をさらに研鑽をすすめ、情報をアップデートすること。
そうすることで二項対立ではなく現場で選手の問題に向き合った時に双方の良い部分を活用することができるのではないか。
 
そのように考えています。
 
 
実際に現場で活用するには、際限なく東洋医学と西洋医学について理解を深めることが必要であり、現場でよく遭遇する事例に対して無意識的に自分が自分の立場での価値観を押し付けるようにしていないかという俯瞰的な視点も必要となってきます。
 
今月開催される東洋医学と西洋医学を融合する為のオンライン講義ではこのような観点での深め方と臨床応用について2回に渡ってお届けしていきます。
ご興味のある方は以下より詳細ご確認ください。

JARTAオンラインセミナー


 
長くなりましたが、このような視点の広げ方と集約の仕方が何かの問題解決のヒントになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年09月02日

選手も手段に囚われるな

文:平山鷹也

 
練習環境が悪い、時間がない、練習時間が長すぎる(短すぎる)。
 
あなたは、現状に何かしらの不満や物足りなさを感じていないだろうか。
 
 
自分が不満に感じていること、例えば良い練習設備がない、と感じている選手にとっては、その設備がある環境が羨ましく映るかもしれない。
 
「もしあの設備があれば俺だって」
 
 
このように考えてしまう選手は、手段に囚われている可能性が高い。
 
 
いい設備がある=上手くなれるという思考に囚われてしまっているからだ。
 
 
たとえその設備があったとしても、この思考の癖があると他のところで不満を感じてしまう。
 
 
 
 
 
 
JARTAでは、認定トレーナーコースの中で
「手段に囚われず選手のパフォーマンスアップに貢献する」ための思考法をお伝えしている。
 
 
今回は、選手目線で「手段に囚われない」ことの重要性について考えてみたい。
 
 
まずは誤解がないように、
・手段を選ばない
・手段に囚われない
 
この2つの違いについて整理しておく。
 
 
手段を選ばない、とは目的を達成するためにはどんなことでもするという意味を持つ。
 
試合で例えると、勝つためならルール違反を犯して相手選手に怪我をさせてもいい、ということになる。
 
 
 
 
一方で、囚われる、は固定した価値観や考え方に拘束されることを意味する。
 
同じく試合で例えると、右サイドからのセンタリングじゃないと得点できない、三振をとれるのはフォークボールだけだ、というような考え方に固執することである。
 
 
このように整理すると、両者は全く違うことがわかる。
 
 
そして「囚われている」状況は、他者から見ると明らかに不自然に感じるのではないだろうか。
 
 
中央からパスをつないでゴール前まで運んだっていいし、高めの釣り球で三振を取ったっていいと思うはずだ。
 
 
だが当人たちからすると、無意識的にそのような思考に「囚われて」しまっている。
 
 
どれだけ無理な形になっても右サイドにボールを集めようとするし、追いこんだらフォークボールを投げ続ける。
(この背景にはそれで上手くいった体験や、他の方法で失敗した記憶が原因になりやすいが、ここでは原因についての考察は割愛する)
 
 
 
手段に囚われているという状態は、試合だけではない。
 
 
アスリートにとって最もデメリットになるのは、もっと上手くなるための方法を考えるときに「手段に囚われている」ことである。
 
 
・動き出しを速くするためにはダッシュを繰り返し行うしかない
・パワーをつけるためには筋トレするしかない
・切り返しが速くするトレーニングはラントレーニングだけだ
・体力をつけるためにはたくさん走るしかない
・疲労を回復する方法は休むしかない
・いい設備がないから効率的な練習ができない
 
 
ここで、「本当にそうなのか?それしかその目的を達成する手段はないのか?」
と自分に問いかけてみてほしい。
 
 
筋トレや走り込みなどのトレーニングが必要な場面が多いのは間違いない。
 
しかしこれも手段の1つでしかない。
 
 
動き出しを速くするためには、
・瞬発的な脚のパワーを上げる
・下肢の筋力を上げる
・重心を利用する
・上半身を活用する(スピードを上げたければ協力者を増やせ。)
 
このように、あなたの伸びしろを伸ばすための手段は決して1つではない。
 
 
これは、トレーニングだけの話ではない。
 
良い環境設備がない、という自分では変えられない問題においても、
「その設備があれば何がどのように良いのか。」
 
この質問の答えがあれば、今の環境でその目的を達成する方法がないかを考えられる。
 
 
 
ウエイト器具が身近になくても、全身をうまく使えるようになれば今よりもボールや相手に伝えられる力を強くできるかもしれない。
 
ピッチングマシンがなくても、ゆっくり山なりのボールを自分のタイミングで姿勢を崩さないように打てるように練習することで、速い球に対応できるようになるかもしれない。
 
 
 
全てのトレーニングやケアは、目的を達成するための手段だ。
 
 
練習時間が長くて疲労が常にたまってしまっているのなら、より全身の疲労を回復できるようなケアが必要かもしれない。
 
パーソナルトレーニングを受けてみたいが時間がない、と思うのなら何に自分が時間をとられているのかスケジュールの整理が必要かもしれない。
 
 
これらすべての問題に対して1人だけでは解決できないこともあるだろう。
 
そんなときは他の選手や監督、コーチに頼ればいい。
 
 
ここでも、「他人に頼ってはいけない」という考えに囚われている選手は意外と多い。
 
悩みを共有し、ともに解決していくことがチーム力向上につながっていく。
(1人より2人の方が成長できる3つの理由)
 
 
自分の周囲だけでは解決できない問題があったら、ぜひ我々にも頼ってほしい。
 
 
きっと現状を打破するための手段を提示できるはずだ。
 
 
この記事が、「自分は手段に囚われていないだろうか。」と再考するきっかけになればと思う。
 
 
全ては、パフォーマンスアップのために。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2020年08月26日

「運」は平等?不平等?

文:永井貴大(認定スポーツトレーナー)

 
「僕は、私は運が悪い…」
「どうして僕だけが、私だけが…」
「どうしてあの人は!」
 
多くの人が1度は口にしたことがある言葉だと思います。
 
私自身も何度も口にしたことがあります。
私は12年間の競技生活(野球)のなかで3度の手術を経験しており、手術を要する怪我をした際によく運が悪いと言っていました。
 
「なんで自分ばかり怪我をするのか」
「なぜ野球の神様はこんなにも試練を与えるのだろうか」
「運は平等ではない」
「野球の運を持っていないから怪我をしても仕方ない」

 
ですが、引退して3年経ちこの思考に変化がありました。
きっかけはYouTubeである動画を視聴している時でした。
その動画の後半にこのような言葉が出てきます。
 
「運が良い人、運が悪い人とよく言うが、太陽が万物を等しく照らすように、運は万物に平等に与えられている」
 
この言葉に出会いの私の運に対する思考は180°変化しました。
そして、野球をしていたときの私の1日のスケジュールを振り返ると、練習をしている記憶はあるのに身体のケアをしている記憶はありませんでした。
身体のケアの時間がないため練習による疲労は蓄積し続け、怪我をするのは必然のことです。
 
こうなると怪我をしたのは本当に運が悪いのでしょうか?
運が悪いのではなく、身体のケアをするという行動を取らなかったから怪我をしたのです。
それから「運」について追求するようになりました。
「運」を引き寄せるためにどうすれば良いか思考し、先輩方に質問もしました。
そこで1つの答えを出すことができました。
運を引き寄せるためにはまず、運の構造を理解しなければならないということです。
私が運の構造分解をしたものが下記になります。
 
「運」と一言で言っても多くの種類が存在しますが、大きく分類すると2つに分けられます。
「自分でコントロールできる運」と「自分でコントロールできない運」です。
そしてこれらはさらに2つずつに分けられます。
自分でコントロールできる運とは、「開発できる運」と「管理できる運」です。
前者を「機会」、後者を「確率」とします。

(上記画像https://studyhacker.net/masakazu-sugiura-01より引用)

 
自分でコントロールできない運とは、「事前に決まっている運」と「結果がわからない運」です。
前者を「宿命」、後者を「偶然」とします。
今回は自分でコントロールできる運である「機会」と「確率」についてです。
 
機会とは自ら運を開発することで運を引き寄せているものになります。
自分将来について思考し自ら未来を開拓しようとしている人としていない人では前者が運を引き寄せています。
 
確率とは意思決定の質を上げていくことで引き寄せられるものになります。
意思決定により物事が上手くいく確率が50%の場合、その確率を51%に引き上げることができたら長い人生の間に多くの意思決定の瞬間が訪れるため1%の確率が引き上げられるだけで、運を高めていけます。
 
では、どのように自分でコントロールできる運を高めていくかについてご説明します。
まずは機会からになりますが、機会も運である以上偶然は存在します。
しかし、偶然に任せているだけでは良い機会は訪れません。
スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授は「望ましいキャリアを得た人は偶然を友にし、機会を変える努力を怠らない」と述べています。
そして、偶然を友にしている人が持つ共通項として以下の5つを挙げました。
 
・好奇心
・持続性
・柔軟性
・楽観性
・冒険心
 
この中で冒険心と持続性が大事だと私は考えます。
まず機会を得るためには冒険をしなければなりません。
新しいことを始める、新しい世界に飛び込むことはとても勇気がいることです。
失敗するかもしれない、見ず知らずの人に笑われるかもしれない。
多くの不安や迷いのなかでその1歩を踏み出すことができるか。
踏み出すことができた人には新たな機会を得るための環境が待っています。
踏み出すことができなかった人には現状維持しかありません。
そして、現状維持は衰退を意味します。
 
自分でコントロールできる運は平等に与えられています。
でもその運を掴めるか、掴めないかは平等ではありません。
そこには冒険心に対する行動力がが求められるからです。
運が良いと思われる人は行動して、運が悪いと思われる人は行動していません。
 
そして足を止めてはいけません。
常に歩き続けなければ、新たな機会は得られません。
だから持続性が大事になってきます。
 
運を引き寄せたい人は冒険心を持った上で行動し、その行動を持続させていきましょう。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。
 

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2020年08月22日

選手の変化に対応する為に時代の変化に対応する

 

文:赤山僚輔

突然ですが、このブログをお読みの皆様は自分自身が扱う情報の更新はどの程度行なっていますか?
聞き方を変えると、どんなペースで自身のアップデートをしていますか?
 
私は現在38歳で、スポーツトレーナーとして活動し始めて17年ほどになります。
10年ほど前であれば、月に1回勉強会に行っているくらいでも周囲の仲間と比較するとよく勉強をしている方だと捉えられアップデートし続けていると自覚もしていました。
しかし今、時代は急速に変化を遂げ、情報が広がり、変化するスピードが5年や10年前とは比べものにならなくなってきました。
 
世界のインターネット上の情報量(1日当たり)は1992年(平成4年)に100GBでしたが、2017年には40億GBとなるなど飛躍的に増大し、2022年には130億GBになると予想されています。
このような中、例えば、世界における写真の撮影枚数(年間)は、2000年代から急激に増大しています。
世界全体で撮影された写真の枚数の推移は以下のようになっています。

年数 億枚
1970 100
1980 250
1990 570
2000 860
2010 3,800
2017 13,000

※国土交通白書 2019(国土交通省)を元に作成、引用
 
そしてSNSの利用の拡大によりこれらの写真や動画が凄まじいスピードで出回り、キャッチすることができるようになりました。
選手や指導者、また保護者の皆様は少しでも不調を改善、そしてパフォーマンスアップできるようにとそれらの情報を日々チェックし有効活用しておられます。
 
選手の変化や進化のスピード。
そして時代の変化や進化するスピードに対して我々は常にアップデートし続けることが求められます。
よく人間の脳とPCを例えられたりしますが。
皆様は今お使いのPCは何年前に購入されたものでしょうか?
そしてハードディスクやクラウドへの保存容量はどの程度利用していますか?
これは総務省が発表している参考資料になります。
 

(出典)総務省「通信自由化以降の通信政策の評価とICT社会の未来像等に関する調査研究」(平成27年)

私が理学療法士として医療機関に勤務していた2008年頃から比較すると比べ物にならない通信速度になっていることは言うまでもありません。
当時と同じPCを使っていたのでは今の時代には追いつけないどころか、必要とされなくなってしまうでしょう。
 
ではPCをスポーツトーレナーの脳と仮定して考えてみた時に、皆様は数年前と比べて情報を処理するスピードや発信するスピードは変わっていますか?
 
スポーツ現場や選手自身を取り巻く環境は間違いなく変わっています。
そんな選手たちに求められる、伸び代を提示し続けられる存在としてスポーツ分野に関わるのであればこの変化のスピードに対応することは避けては通れなくなりました。(もちろんスポーツ分野に限りませんが)
そして通信速度だけでなく処理速度や容量についてもこのようなデータがあります。

(出典)総務省「通信自由化以降の通信政策の評価とICT社会の未来像等に関する調査研究」(平成27年)

どちらも少し古いデータにはなりますが、考え方としてこれからの我々の姿勢を再考するきっかけになればと思い共有させていただきました。
 
自分自身も少し前まではSNSとの距離感については最大限に活用できているとは言い難い状況でした。(もちろん今もまだまだですが)
それよりもリアル体験としてのセミナー受講や書籍から学ぶことの方が性に合っていると感じていました。
 
しかし選手が変化するスピード、キャッチアップしていく情報量を考えるともはやSNS含めてネット上からの情報収拾からは避けては通れない時代になったなと痛感しています。
 
PCが普及し始めた頃、いち早く導入する方もいれば、ギリギリまでアナログでいこうと奮闘した方もおられると思います。
 
そしていま、youtubeやInstagram、FacebookやTwitterなど各種SNSの利用になかなかついていけずに2度足を踏んでいる方も多いと思います。
しかしこれらを活用せずにこれからの選手の変化や業界の変化に追随し、そして選手へ伸び代を還元することはもはや不可能に近いと考えています。
 
 
スポーツトレーナーとは選ばれる存在です。
 
選手は多種多様な情報の中から、少しでも自分にとって有益である思われる情報や選択肢を選定します。
その選択肢であり続ける為には、変化を恐れずアップデートし続けることが必須となります。
アップデートし続けることは時に過去の自分を再構築することであり、変えたくない側面と向き合うこともあるかもしれません。
 
しかし自らの拘りや”よくわからない””面倒くさい”といった一時の感情の影響で、気づけば型落ちのPCをいつまでも使っている。
 
というような状況に陥らない為にもポジティブな意味でもアップデートは是非とも継続していければと考えています。
 
文字や画像、映像やウェブセミナーなどなど。
どういったインプットがすんなり受け入れられるかは人それぞれです。
自分にあった手法から実践していくことをお勧めします。
 
今回は最近、JARTA認定スポーツトレーナーの活動状況もリポストさせていただいている。
JARTA公式のInstagramの記事を合わせてご紹介したいと思います。
https://www.instagram.com/p/CDkN2Frh7ib/?utm_source=ig_web_copy_link
https://www.instagram.com/p/CDzl0jCBb95/?utm_source=ig_web_copy_link
https://www.instagram.com/p/CEGoQW6hMHs/?utm_source=ig_web_copy_link
ぜひ情報のアップデートの一端にこのような配信も有効活用していただければと考えております。
 
時にスポーツトレーナーには時代の先を読み、想定し、先回りして行動することも求められます。
アップデートするペースが5年前と同じでは2020年が気づけば終わってしまいます。
これは自分自身への戒めでもあります。
 
日々成長し、時代の真ん中を生きる選手たちと共に。
我々も日々成長し続ける。
そんな存在でJARTAは在りたいと強く願っています。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年08月19日

第5回パーソナルトレーニングフェスタin神戸開催のお知らせ

 
2020年11月3日 文化の日に開催される「パーソナルトレーニングフェスタin神戸(第5回PTF)」
に弊社代表 中野崇が登壇致します。
 

 
中野 講義
『リカバリーの考え方と実践(講義+実技)』
○セミナー内容
競技において、本来のパフォーマンスを発揮できない要因は複数あり、それらはパフォー マンスアップをサポートする上でトレーナーが必ず対処しておかなければならない事柄で す。 そのうちの一つである「疲労」は特に重要な要因であり、疲労のメカニズムおよび疲労に 対処するための知識はトレーナーには不可欠です。 またCOVID-19の影響にて、例えばJリーグが週に2回開催されるなど多くの競技で試合間 隔が短くなる傾向にあるため、疲労回復の重要性は今後さらに高まってくることが想定さ れます。 この講義では、疲労のメカニズムおよび対処法について講義および実技で学習していきます。
 
○得られるもの、学んでほしいこと
パフォーマンスアップをサポートする上での重要分野である疲労について、スポーツト レーナーが知っておくべきことを学ぶことができます。
 
 
【会場】
兵庫県立文化体育館(兵庫県神戸市長田区蓮池町1-1)(駐車場あり)
JR・市営地下鉄「新長田駅」北へ徒歩約10分
山陽電鉄「西代駅」or神戸市営バス「西代停留所」徒歩1分
(当フェスタでは感染症対策を最大限講じた上で開催致します。オンライン参加としてYouTube配信行います)
 
【お申込フォーム⇩】
リアル参加・オンライン参加共に先着40名様で締め切らせていただきます。
お申込み順ではなくご入金先着順とさせていただきますので、予めご了承くださいませ。
JARTA認定スポーツトレーナー(修了者の方)は早割価格でお申込み可能となっております(先着20名)
申し込みの際にJARTA認定トレーナー・修了者とご記載ください。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/07639323669505
 
 
その他内容・詳細は、パーソナルトレーニングフェスタin神戸のページを参照ください。
 
 
【ご質問はこちらから⇩】
personal.training.festa@gmail.com
(担当…PTF事務局 岩瀬)
 

2020年08月08日

競技別コンディショニングの捉え方





文:赤山僚輔

『障害部位を競技種目別に原因を紐解く』
同じような部位の障害や痛みであっても競技種目が異なることで考慮すべき事項が違うことは言うまでもない周知の事実です。
今回の記事では今一度、競技特性やポジション特性によりコンディショニング時に留意すべき事項を一部分ではありますが紐解きながら解説していきたいと思います。
 

膝前面の痛みの原因は?

中高校生に頻発する膝前面の痛みですが、原因はもちろん千差万別です。
そんな中でも今回は3つの競技の角度から原因について考察していきたいと思います。
 
①高校男子バスケット(ポジション:ポイントガード)
②高校女子バレーボール(ポジション:ウイングスパイカー)
③中学男子サッカー(ポジション:フォワード)
この3つの競技とポジションの選手が同じような膝前面に痛みを訴えていることを想定してください。
 
皆様はどのような原因を考え、どこに対して評価を実施し、どのようなアプローチ及び再発に向けての指導を実施しますか?
 
まずは大別する上で頻回繰り返す動作を整理したいと思います。
 
①ダッシュ、ストップ、ターンなど360°方向への急激な方向転換と常に低い姿勢での構えが求められる。
②ジャンプ踏み切り、ジャンプ着地など繰り返しの上下方向への反復動作が求められる。
③キック動作など足をスイングしてボールを蹴る動きの繰り返しが求められる。
(もちろんその程度はチームレベルや戦術や指導体系によって異なる)

 

障害発生はアライメントだけでなく強度にも影響を受ける

この世代の特徴として試合よりも練習の中での負担のかかり方が影響を受けることが多いです。
例えば、サッカーのフォワードの選手が試合でシュートを打つのは10回もないかもしれません。
しかしチーム練習や自主練習などではその何倍ものシュート動作を繰り返すことになります。
それは前述したバレーやバスケットにおいても同様です。
大まかな競技における反復される動作が想定できれば、評価の中で重要な視点としてそのチームがどのような練習メニューが多く、その選手がどういった役回りをすることが多いかを整理することが重要になります。
 
バスケットのポイントガードと言ってもパスやドリブル、チームオフェンスの練習を繰り返すチームもあれば、ディフェンスの練習をひたすら繰り返すチームもあるでしょう。
その練習スタイルの賛否はここでは議論を避けますが、膝の痛みを評価する上でそういった要素を加味しなければどのようなアプローチが必要かも変わってくる。
このような視点が競技別のコンディショニングにおいては重要となるのです。
 

どの組織への負担を想定して評価していくのか

当たり前ですが、ストップ動作に使われる筋肉や身体操作とジャンプ動作に使われる身体部位や身体操作は異なります。
仮に同じような膝の前側の痛みがあったとしても評価部位は異なります。
ストップ動作に問題がある、もしくはその動作を頻回繰り返す競技やポジションであれば、ストップ動作に必要とされる関節の可動域や膝前面の筋肉と共同的に働く部位への評価が必要となります。
それは例えば、大臀筋であり、ハムストリングかもしれません。
これがジャンプ動作である場合、そもそも膝蓋腱の柔軟性が十分に確保できているかの視点が重要となります。
その上で、ジャンプ動作に重要となるアキレス腱の柔軟性やその他ジャンプ動作で使われるべき身体部位の評価の視点が重要となるのです。
 
同じようにそれがキック動作であれば、膝前面の負担がかかっている時点で膝下だけでのキック動作になっている可能性もあり股関節の伸展動作やクロスモーション含めてダイナミックな動作が行えているか、股関節の柔軟性が確保できるかは非常に重要な視点になります。
 
筋肉、関節、腱。
言葉にすると簡単ですが、どの部位への負担を考慮するかは患部の痛みを追っているだけでは見逃すこともあります。
そんな時にその選手の競技特性やポジションにおける身体特性を十分に考慮して関わることは症状の早期改善だけでなく再発予防においても大切です。
決して膝の前面に痛みがあるから大腿四頭筋のストレッチや筋力強化、あるいは股関節周囲の筋力強化と画一的に対処すべきではないと考えています。
復帰期が近づくにつれ、アスレティックリハビリテーションの手法が競技によって異なるのはいうまでもありません。
今回は障害後早期においても競技別における評価の視点や方向性を熟慮する必要性についてお伝えしました。
 
今回の記事内容の続きをより詳しく8月11日と18日のオンライン講義にてお伝えする予定になっております。
スポーツ障害の種目別の捉え方について整理してブラッシュアップしたいと思われる方は是非以下URLよりご確認ください。

JARTAオンラインセミナー


 
 
また今後も様々な視点でコンディショニング、トレーニングが実践できる為の思考や手法をお届け予定にしておりますので乞うご期待ください。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年08月02日

ジュニア世代に必要なトレーニングとは





文:平山鷹也

 
トレーニングもスキル練習も日進月歩で進化しており、ジュニア世代と呼ばれる小中学生から専門的な練習を行っている選手も多い。
 
その結果として、高校野球では20年前には考えられないくらいのスピードを投げるピッチャーが多く輩出され、サッカーでも低年齢から海外でプレーする選手も増えてきた。
 
JARTAにも、ジュニア世代と呼ばれる選手たちのサポートが増えてきている。
 
そんな中で、ご両親やジュニア世代の育成に関わっている指導者、トレーナーの方にぜひとも知っておいてほしいことがある。
 
結論を先に言うと、「ジュニア世代のトレーニングは、スポーツ独自の動きだけを練習すべきではない」ということだ。
 
野球でいえば投球やバッティング動作、サッカーならボールを使った練習ばかりを行うだけでは、将来の成長を考えると少しもったいない。
 
たしかに短期的にはその競技自体は早く上手くなれるかもしれない。
 
しかし、なぜ長期的には競技独自のトレーニングだけでは不十分なのか、
「発達」という観点から考えてみる。
 
 
 
 
まずはこの図を見てほしい。

 
こちらはスキャモンの発達・発育曲線という有名な図である。
 
20歳の発育量を100としたときの一般型、神経型、リンパ型、生殖型の発達・発育パターンを図にしたものである。
 
今回注目してほしいのは神経型の発達である。
神経型の発達は5歳ころまでに80%を超え、12歳前後には100%になる。
 
 
赤ちゃんが寝返りをできるようになり、四つ這い、つかまり立ち、歩行と成長していく時期に合わせて神経系も発達していく。
 
これは赤ちゃんからすると新しい動きを覚えていく時期であり、失敗を繰り返しながら
「できない」⇒「できる」を経験している時期でもある。
 
つまり12歳までは新しい動きを覚えていくことに向いている時期であり、習得も早いと言える。
 
 
 
この時期に1つの競技にしぼった練習を行うことで考えられるメリットとデメリットを整理しておこう。
 
メリットは、その競技特有の動きを習得しやすいこと。
これは昨今の競技レベルの向上を考えても間違いないだろう。
 
 
一方デメリットは、競技特有の動きでは引き出されにくい動きの基礎がないままに成長してしまうこと。
 
一見そのスポーツは上手くできているように見えても全身が連動しておらず、学年やカテゴリが上がったときに怪我が増えたり、壁にぶつかったりする理由の1つでもある。
 
 
 
 
それでは、具体的にどんなトレーニングをするべきなのだろうか。
 
答えは、すごくシンプルだ。
 
 
いわゆる、体育の授業で行うような前転や後転などのマット運動、反復横跳びやボール投げなどの体力テストで行う運動、縄跳びや跳び箱などのジャンプ系の運動などをまんべんなく行うことである。
 
しかし体育の授業で行っているから大丈夫、と考えるのは少し早いかもしれない。
 
実際私がサポートしている選手たちでも、上で挙げたような運動を行ってもらうとうまくできないことが多い。
 
 
そしてそこに、その選手の伸びしろがある。
 
前転が上手くできない選手は頚部や背骨のコントロール、重心移動に課題があり、プレーの中で本人が感じている課題とも関係していることが多い。
 
 
これらの課題に対して競技特有の練習だけでは解決できない場合、基礎的な運動に戻ってトレーニングすることが最も近道となる。
 
これが、ジュニア世代に必要なトレーニングである。
 
そしてもう一つ。
 
 
いかに子どもたちの興味を引き出すか、という視点も忘れないでほしい。
 
この視点に関してはこちらの動画も参考にしていただきたい。
子どもの集中力を持続させる“ある作戦”
 
子ども扱いをすることはよくないが、子どもの特徴を把握して指導に活用することはジュニア世代に関わる上で必要不可欠である。
 
 
より多い種類の運動ができ、子どもたちも飽きずに行うことができることが求められるということだ。
 
実は、一昔前の子どもたちは知らず知らずのうちにこのトレーニングをやっていた。
 
 
それは、公園や学校のグラウンドなどで自分たちでルールを決め、自由に遊ぶということだ。
 
 
この「自由な遊び」こそがこの時期の子どもたちに必要な要素だったのだ。
 
 
しかし現在は安全性や多くの社会的情勢から、そのような自由な遊びが減っているように思う。
 
 
だからこそジュニア世代に関わる我々は、子どもたちから自由な発想と動きを引き出すような環境設定や指導を考えなければならない。
 
 
 
 
 
今回は、ジュニア世代のトレーニングに関して発達という観点から考えてみた。
 
以前の記事でも、トレーニングをパフォーマンスアップにつなげるためにはより多くの観点から考えていくことが大切であると書いた。
トレーニングをパフォーマンスアップにつなげるコツ
 
 
ジュニア世代においては「発達」という、成人とは別の観点も必要になる。
 
 
 
 
ジュニア世代に関わる指導者やトレーナーの方は、ぜひこの観点も忘れずにトレーニングを構成していってほしい。
 
全ては、パフォーマンスアップのために。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年07月21日

身体を固めてはいけないのか。柔らかいことが良いことなのだろうか。

文:萩潤也

スポーツ分野においても以前より科学的に分かってきたことが沢山ありつつ、まだ説明がつかないことも沢山あるかと思います。
 
以前は肉体を鍛え上げ、より力強さを高めていくトレーニングすることに着目したものが多かったかと思いますが、近年は動きの中での柔らかさやしなやかさやなども重要視されるようになりました。
 
ですが逆転したかのように、「身体を固めてしまっては動けない、身体が固まる瞬間などない」ともいわれ、そのような様式でのトレーニングを否定する意見も良く聞かれるようになったようにも感じます。
 
あなたはどう思いますか?
 
言葉の綾とも言えるかもしれませんが、「固めること」と「固まっていること」は同義ではありません。
 
「固めること」は数ある選択肢の1つを選んでいる状態であり、「固まっていること」は他の選択肢を取ることができない状態です。
 
その意味を踏まえれば「固めること」は能力の1つとしてやはり重要ですし、もちろん「固まらないこと」も身体の状態として重要です。
 
例えばフィジカルコンタクトがあるスポーツにおいて、相手のDFが身体をぶつけるようにプレッシャーを掛けてきた場面の選択肢として、
 
①相手を逆に押し返し勝つ
②相手に押され負けないようにバランスをキープ
③相手の押す力を利用して方向を変える
④相手の押す力を受け流す
⑤相手に押される瞬間にかわす
というような方法が取れると思いますが、どの選択肢も時と場合によって良くも悪くも成りえます。
 
相手の体格・自分の体格・スピードの乗り具合・敵味方の配置など、同じシチュエーションででも状況が変われば必要な能力や選択も変わり得ます。
 
基本的には1つの方法で万能なものなどありません。
なぜならスポーツの動き自体がそもそも1つの要素では成り立ってはいないし、状況によって変化することが当たり前だからです。
 
私はこの「自由に変化できる」ということを「水のような身体」と例えて表現することがあります。
 
水は器の形に合わせて臨機応変に形を変えることができます。
また、時には氷のように固く、水蒸気のように形が無くなることも。
ゆるやかに流れて柔らかく優しい性質もあれば、一度勢いがつけば人を飲み込んだり、鋼鉄を切るような荒々しい強さも。
 
ブルース・リーの名言「Be water:水になれ」でも有名ですね。
これも元は宮本武蔵の五輪の書「水の巻」で説かれていることから来ているとも言われています。
 
少し話が逸れましたが、
状況は変化するという前提のもとであれば、臨機応変に対応できる能力・多様な選択肢を持つ身体と心が重要なのではないでしょうか。
 
では普段取り組んでいる練習、トレーニング方法ではどうでしょう。
 
自分という個人の能力やチームという集団の能力、競技の特性等を踏まえて何を優先にしたり、どんな要素を取り入れてトレーニングしていくのか。
 
そのようなことを今一度整理するための考え方や、自重で行えるトレーニング方法などを紹介するオンラインワークアウトを行います。
 

【アスリートに必要な体幹~剛柔併せ持て~】

今回は部位としては「体幹」に焦点を当てていますが、根本的な考え方は身体全体としても拡げられるような内容となっています。

【トレーニング例】

〇飛びつきクレーン
https://www.instagram.com/p/B-Qfyn-BcAE/?igshid=1j4hywclnv5p
 
〇回転
https://www.instagram.com/p/B-jo3tKh4US/?igshid=7hf4qu3usoph
 
 
〇クロスオーバープランク
https://www.instagram.com/p/CAcpFuaB2pM/?igshid=yvn03aqt2h0s
 
 
 
 
講義メイン・トレーニングメインと2部制になっていますので、両方でも・どちらか一方だけでも可能です。ご興味ある方のご参加をお待ちしております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年07月08日

歌手の身体が楽器ならスポーツトレーナーの身体は・・・。

 

文:赤山僚輔

 
先日ラジオを聴いていると、出演されている著名な歌手の年齢に見合わない体型に驚いたパーソナリティの方がどのように身体作りをしているか問うていました。
 
その際にその歌手の方が、ごく自然に、そしてあたかも当然であるように
「歌手にとっては身体は楽器なので、良い声や歌を届ける為には身体はメンテナンスし続けていかなければいけないと思っています」
そのように答えられていました。
それをプロ意識が高いと捉えるか、そりゃそうだ、当然だろうと捉えるかは人それぞれ異なると思います。
今回お伝えしたいことはJARTAの原点の一つでもある、スポーツトレーナー自身の準備の重要性についてお伝えしたいと思います。
 

ピラミッドの最下端はスポーツトレーナー自身のコンディションであり準備


この図はJARTAベーシックセミナーの冒頭でお伝えする、JARTAコンセプトのひとつ『全てはパフォーマンスアップのために』という内容説明時に使用するものになります。
 
昨今、様々なトレーニング方法が出回り、ネット上から簡易的に情報収集ができるようになりました。
選手への身体環境作りで用いるコンディショニング方法も同様です。
少しでも良い手法はないかと模索し、ブラッシュアップし続けている方がほとんどだと思います。
そんな中でJARTAではそういったトレーニング方法やコンディショニング方法をお伝えしながらも、それを扱うスポーツトレーナー自身のトレーニングや身体環境作りについて最重要視してお伝えしております。
 
自分自身が身体に不調があると目の前のクライアントへの改善が難しいように、トレーニングの手本が自分自身が出来ていないと伝える際の説得力が乏しくなることは言うまでもありません。
 

スポーツトレーナーにとっての身体は最大のコンディショニングツール

繊細な評価を実施しようと思えば、スポーツトレーナー自身の身体の感度や身体感覚はどこまでも研ぎ澄ませていく必要性があります。
 
たとえば、左右の筋肉の硬さや関節の動きにくさ、重さやスムースさを見比べるとして。
あるスポーツトレーナーは問題ないと評価しても、違うスポーツトレーナーは左に〇〇の問題があるという評価結果になることもあります。
 
評価視点が仮に一緒であっても違いを判断できるかどうかは、そのスポーツトレーナーの身体のクオリティに関わってくるのです。
 
私も以前は先輩セラピストが指摘するポイントに対して、その違いや問題すら気付けない、見抜けない事が頻繁にありました。
 
また、治療技術をセミナーで聞いてきても何度やっても講師の先生方と同じような効果を出す事ができず、時には自分の状態を棚に上げてその技術が効果がないと表現することすらありました。
 
歌手が身体を楽器に見立てて磨き続けるように、スポーツトレーナー自身が自分の身体環境を換えのきかない唯一無二のコンディショニングツールであると顕在化した時、伸び代は無限大に広がっていきます。
 
私は以前よりも自分の体の硬さや重さ、重心のブレ具合が認識できるようになりました。
また力を使う際にも余計な力が入っている事に気づく頻度も多くなったように感じます。
そうなると対象者の身体をみていても、硬さの変化や左右さ、力みに対して以前よりも繊細に気づく事ができるようになってきました。
 
誰しもが基準というのは自分であること圧倒的に多いです。
これは無意識的にも意識的にもそうなってしまいます。
 
評価基準である自分
治療の効果判定を知るための治療ツールである自分
もちろんこれらはつねに一定であるという方向性も大事です。
 
しかし皆様が常に新しい携帯に買い換えるように、自らが使うコンディショニングツールである自分の身体に対して数年前と同じ状態では新たなアプリであるトレーニングメソッドや治療手段を手に入れても自由自在に使えないどころかそのアプリの機能を使えていないかもしれないのです。
 
JARTAで繰り返しお伝えしてきている事であり、自分の中で当たり前になっていた事象でしたが
歌手の例を聞いた事で、今一度この部分の向き合い方について再考する貴重な機会となりました。
 
あなたは1年前の自分よりもコンディショニングツールがブラッシュアップできていると自信を持って言えますか?
私は言えます。
そしてそれがこれからもブラッシュアップできるように自分に向き合い続けたいと思います。
 
このようなコンセプトをベースにお届けするJARTAのオフラインコースも徐々に再開しております。
オンラインセミナーと合わせて、ピラミッドの最下端であるスポーツトレーナー自身のコンディションを整え、最良のツールとなるように共にブラッシュアップしていきましょう。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年07月05日

1人より2人の方が成長できる3つの理由

文:平山鷹也

 
インターネットが普及して無数のトレーニングが簡単に手に入るようになっているが、見よう見まねでトレーニングを行うことは思った以上に難しい。
 
そこでチーム練習以外の時間を使ってパーソナルトレーニングを行う選手たちも増えてきている。
 
しかし自分がお金と時間を使って得た情報を教えることに抵抗があり、チームメイトに共有できていない選手も少なくない。
 
 
そこで今回はそのような選手たちに向けて、トレーニングを最速で身につけ、自分のプレーに結びつけるための方法を紹介する。
 
結論から言うと、「自分が学んだことを出し惜しみせずにチームメイトに共有する」ことである。
 
 
1人でトレーニングをすることで失っているチャンスと弊害について3つの観点から考えてみる。
 
 
1つ目は、アウトプットすることによって学びが深まるという視点から。
 
ラーニングピラミッドという言葉をご存じだろうか。
これは、学んだことが実際にどれくらい自分のものになっているかを学習形式によって分類したものである。

 
最も低いものは「講義を受ける」で5%、そして最も高いものは「他の人に教える」で90%である。
 
この理由はいくつか考えられるが、一つは他者に教えるためには自分だけの理解では不十分で、もう一段階理解を深める必要があるからだろう。
 
そして他者へ教えることは最大のアウトプットであり、自分の記憶にも定着しやすい。
 
例えばJARTAトレーニングの1つでもある、コモドドラゴン。
https://www.instagram.com/p/B9jOJgnhSkJ/?igshid=15ttmx4u7hnld&fbclid=IwAR3wq80m1X4nqMQUFyZYSEnnxfCQJgHtggq_peZgfIWJqsFYlqwgbClZNeA
 
チームへのトレーニングとして用いることもあるが、選手によってすぐに動きを理解できる選手と、なかなかうまくできない選手が必ずいる。
 
そんなときに選手同士でここはこんな感じでやると上手くいくよ、
こんな意識だと上手くいくよ、
といった声かけが自然と出るチームはチーム全体の上達速度も速い。
 
そういった空気を作ることもトレーナーや指導者の役割ではあるが、選手同士でもぜひ意識してみてほしい。
 
 
 
 
2つ目は、教え合うということのメリットについて。
 
教え合うことで選手間でのコミュニケーションが生まれる。
 
あなたも、ポジションやチーム内での立ち位置、友達としての仲の良さなどによって、よく話す相手とあまり話さない相手がいるのではないだろうか。
 
チームスポーツであれば、選手間のコミュニケーションも勝利に関わる大切な要素である。
 
学年やポジションなど関係なくコミュニケーションをとれるようなチームは強い。
 
それがトレーニング、つまり自分たちが上手くなることにフォーカスした会話ならなおさらだ。
 
さらに別の視点では、自分以外の考え方に触れられる機会が増えるとも言える。
 
例えば、自分がコモドドラゴンをするときは背骨の動きを意識すると上手くいったが、他の選手は手をできるだけ遠くに出すようにしたら上手くいったと考えているかもしれない。
 
それらに正解はなく、1つのトレーニングに対して様々な見方ができる方が自分のパフォーマンスとの関係性を考えやすくなる。
 
 
 
そして最後に、知識もプレーも出し惜しみ癖をつけないという話をしたい。
 
これは科学的な話ではなく、私の体感の話になる。
 
例えば自分が知っている知識を誰かに話すとき、いつも少しだけ出し惜しみをしている選手は、いざというときも自分の全力のプレーを出し切れないことがあるように感じる。
 
逆にいつでも自分の知識も技術も出し惜しみなく伝えられる選手は、いざというときでも自分の最高のプレーを出し切っているように思う。
 
いつも自分の知っている範囲や、できるプレーの限界まで出し切ることができる選手は自分の限界に挑戦していることになる。
 
それはつまり、常に自分がどこまで知っているのか、できるのか、
どこから先がわからないのか、できないのかが明確になりやすいということだ。
 
だからこそ、今向き合うべき課題もわかりやすく、どんどん成長していける。
 
 
 
様々な観点から「自分が学んだことをチームメイトに共有する」ということのメリットについて考えてみた。
 
自分が時間やお金をかけて学んだことをチームメイトに共有することに抵抗がある選手もいるかもしれない。
 
しかし実は、教えることで得られるメリットは非常に大きい。
 
自分のために、そしてチームの勝利のためにぜひ切磋琢磨していってほしい。
 
 
 
全ては、パフォーマンスアップのために。
 

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2020年06月24日

最高の結果の定義をあなたは持っていますか?

 

文:赤山僚輔

 
『自分の中の一番か、大会での一番か。』
これは記録を目指す競技者ではなくても、一度は自分に問うたり問われたりしたことがあるのではないでしょうか?
 
あなたは自分史上最高のパフォーマンスを発揮しての銀メダルと自己ベストではないパフォーマンスでの金メダルどちらが嬉しいですか?
 
これは球技など対戦系の競技であればイメージしにくいので、今回は私がサポートする空手道競技の”形”を例にとって話を進めていきたいと思います。
(陸上や水泳、体操など記録や採点競技に関わる方や選手は重ね合わせながら読み進めてください)
 
現在空手道競技の形においては採点性が用いられています。
数人で競技を行い、点数の多い選手が勝ちとなります。
 
繰り返し練習を積み重ねてきた選手たちは自分の演技に対して、過去の自分のパフォーマンスと比較し出来栄えを自己評価します。
またその採点によって過去最高の出来であったかを客観的な材料とします。
 
例えばインターハイの決勝戦。
今まで出したことがない高得点と過去最大のパフォーマンスを発揮して銀メダルに終わった時と
点数はあまり伸びず、パフォーマンス的にも満足がいかない内容でも金メダルに終わった時
あなたならどちらの結果を求めますか?
 
どちらの選手で居てほしいと願いますか?
 
この話を知った新聞記事ではかつてのオリンピック金メダリストは自己ベストでの銀が良いと答えたそうです。
 
しかしインタビュアーの選手はオリンピックで日本新の銀メダルで終わり、金メダルが欲しかった、悔しかったとおっしゃっていました。
その記事を読んで、自分との戦いに勝つ、自己ベストの更新や常にライバルは自分自身であるとそれこそ自分に対して問いかけ続けていた赤山にとっては考えさせられるエピソードになりました。
 
いくら自分自身との戦いに勝利し過去最高の結果を残したとしても、大会や試合の結果など相対的な順位において劣った時、”悔しい”という感情がやはり当事者としてはでてくるのだろう。
 
だとすれば自分との戦いに勝つというある意味綺麗事だけではなく、勝負にこだわり、一番にこだわり、金メダルにこだわるような時期やフェーズがあっても良いのではないだろうか。
 
そのように再考のするきっかけになりました。
 
話を空手道に戻します。
 
もしサポート選手が不本意なパフォーマンスだったとしても金メダルを取って帰ってきた時、その場に自分が居たとしたらどのように声かけをするだろうか。(本人は不満げであるという前提で)
 

(昨年の国体では日本一になりましたが全員が満足のいくパフォーマンスであったわけではありませんでした。)
 
そのように考え準備をしてみました。
 
『この大会の一番は間違いなく〇〇選手なんだから、そこは自信を持って前を向こう。そうじゃないと敗れた選手はもっと悔しい思いをしているはずだよ。過去最高の自分を更新する機会はまた次の機会にチャレンジすればいいんじゃない。』
 
こんな風に言うのだろうかと思案しています。
 
これはそういった場面でこういう風に言うべきだ、言うのが正解だという事を伝えたいわけではありません。
 
時にスポーツトレーナーはパフォーマンスアップだけでなく試合後のフォローや心身のサポートに対しても求めらえることがあります。
 
そういった時に、選手がどういった心情になる可能性があるかと言う事をいかに想定し、準備をしておくのか。
 
これこそがこのような視点を共有する意義であると感じています。
 
選手がスポーツトレーナー自身が想定していないリアクションをしているときには、どのように声かけして良いか分からず選手やチームを余計に困らせてしまうかもしれません。
 
学生スポーツであればそういった状況や姿勢を後輩たちはみていますし、最後の大会でなければそういった時のコミュニケーションは最初の次へのスタートでもあります。
 
私自身は勝っても負けても、試合後に選手に対してどのような関わり、声かけをするかについて常に熟慮しています。
 
それは試合後に選手と同じように感情的になってしまって、何も言えず、何も伝えられず、そのまま引退して言葉を交わすことがなくなった選手を何人も経験したからこそ避けては通れないスポーツトレーナーにとっての課題である認識しているからなのです。
 
あなたは仮に自己ベストで銀メダルだった選手が目の前にきた時に、どのように声かけをしますか?
 
そんなことを考えるよりも解剖の勉強の方が好きだと言う方もいるかもしれません。
 
しかしスポーツ現場はこのように正解のない、問いが無限に転がっています。
だからこそ、その状況を想定して最善の準備をする事こそに意義があると痛感しています。
 
 
多くのスポーツトレーナーとこんな”たられば”の話をゆるーくできる機会があればよいのになと感じる今日この頃です。
 
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
シビアな勝負が少ないこの夏、しっかりと来たるべく未来に向けてイメージだけでも準備をしておきましょう。

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現在募集中のオンラインセミナーは以下よりご参照ください。

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2020年06月17日

夕方にパフォーマンスが下がるスポーツトレーナーの皆様へ

文:赤山僚輔

あなたは1日に何人のクライアントを対応していますか?
 
そのクライアントへの対応のクオリティや疲労感は午前中と夕方以降で差はありますか?
 
差がなく、夕方以降にパフォーマンスがどんどんと向上していくようなセラピスト・スポーツトレーナーの方は今回の記事はスキップして良いかと思います。
今回のタイトルに対して少しでも引っかかる部分がある方は是非とも最後までお読みください。
 
夕方以降のパフォーマンスを低下させない具体的な手法を今回は3つお伝えいたします。
 

なぜ夕方以降にパフォーマンスが低下するのか

多くのクライアントへの対応が必要な場合、人数が多くなるにつれサポートしているスポーツトレーナー自身のパフォーマンスが低下する要因にはどのような事があるのでしょうか?
・体力が持たない
・集中力が持たない
・足腰が痛くなる
・指や腕がだるくなる
・お腹が減って力が入らない
・うまくいかなかったクライアントの事が頭から離れず悶々としたまま次のクライアントに対応してしまっている
 
など上記以外にも様々な要因があると思います。
体力仕事である側面はもちろんあり、仕方がない。と片付けてしまう方も多いでしょう。
食事は昼にしっかりと取るとして、では疲労によりパフォーマンスが低下してしまう上記の要因は本当に全てが仕方がない問題なのでしょうか?
 
かつて医療機関に勤務している時の私自身もそのような状態でした。
現場や大会帯同でも深夜が近づくにつれてコンディショニングのクオリティが明らかに落ちて本当に選手に申し訳ないなと思っていた時期もありました。
そしてそんな自分が歯がゆく、どうにか解決したいと思っていました。
 
クリニックでは夜になってからトレーニングの手本を見せる必要性がある学生アスリートが多く、夕方以降にパフォーマンスが低下してしまうのでは本末転倒だと感じていたからです。
 
そしてこの夕方以降にパフォーマンスが低下する要因としてその時の私自身が抱えていた解決可能な課題は以下の通りです。
・腕や指の使い方が悪くそもそも指を痛めやすいような施術を行なっていた
・姿勢が悪く立ちっぱなしでも疲労が蓄積されるような状態であった
・呼吸が浅く、自律神経の不調も抱えている状態で重度な症状を抱えるクライアントが重なるほどに自分の疲労度が増していくような状態でした。
 
自分の体もうまく支えられていない、自分の心身も調整できていない、硬さを取るためのマッサージが自分の体の硬さを生むようにしていたのでは夕方以降のパフォーマンスが低下して当然でした。
 

施術の際に対象者だけではなく自分自身の状態に意識は向いているか

例えば、再現性高く施術を行おうとした際に限りなく少ない力(生み出そうとする力)で指圧を行えた方が結果的に相手に伝わる力(生み出される)が同じなのであれば身体への負担や疲労は少なくなります。
身体操作のトレーニングに注目が集まりがちなJARTAのセミナーですが、コースの中ではその身体操作の考え方や操作方法を駆使してコンディショニング時のポジショニングについてお伝えしております。
 
実際に余計な力みが取れる事で触診時の感度があがることや、肩周りの緊張が軽減するだけで呼吸がしやすい状態でセッションを遂行することが可能となります。
 
自分の状態について認識するような”内的認識力”の重要性についてトレーニング指導時に繰り返しお伝えしていますが、これはそのままセッション時のスポーツトレーナー自身の状態を認識する為にも応用できるのです。
 
自分がどのような状態で行なっているかが不明瞭なままでは力みや使い方の偏りから必要以上の疲労が蓄積されもおかしくありません。
 

 

セッション中に意識すると良い3つのポイント

①常に自身の呼吸に意識を向けて、少しで呼吸がしやすい姿勢を意識する
余計な力みや無理な姿勢での施術を行なっていると無意識的に息が止まっていることもあります。
息が止まった状態では循環が悪くなっているのは言うまでもありません。
そしてその力みは手を触れているクライアントへも伝わるのです。
同じ施術をしているとしても少しでも呼吸がしやすい姿勢や脱力を意識してみましょう。
 
②力を生み出す力点を変える
指で押すのと肩甲骨を使って押すのでは随分と力の伝わり方が違います。
そういった意味でもJARTAのコース最初に肩甲骨の操作性が向上できるような内容をお届けしています。
また押したり引いたるする際に足がしっかりと床についている状態とそうじゃない状態とでは力の伝え方が随分と異なります。
足を組んだままでマッサージを行ってしまう方がいたら、両足をつけて施術を行ってみてください。
力の伝え方の違いに気づかれるはずです。
足を組んでその場は楽に一時的に感じていても不安定な状態でのマッサージでは積み重なっていく身体への過労は大きくなるばかりです。
 
③セッションごとに深呼吸をしてリラックス、リセットをして次の備える
特に症状の強いクライアントやどうしても力を必要とするマッサージが重なった場合、そのセッションが終わっても無意識的な力みを残したままで次のクライアントの対応に移っている事があるのではないでしょうか?
集中して問診をしたり指導をすればするほどに自分の状態が認識しにくくなります。
一息でもよいのでリセットをする習慣、そして改めてリラックスをする習慣を取り入れるだけで疲労の蓄積は和らげることができます。
もちろん次の患者様の目の前で大きなため息をつかないように留意しましょう。
 

ポジショニングも関係性作りもセッションや治療の一環

どうしても実際に手を施す手技方法や評価方法に意識が向きがちですが、人が人に関わる限り直接手が触れなくても影響を及ぼす事項は無限にあります。
そして前述したようにセラピスト・スポーツトレーナー自身の状態(ポジショニング)も大きく影響を及ぼし、広義では治療の一部であるとJARTAでは繰り返しお伝えしています。
“インターロックポジション”というJARTAオリジナルの概念はこのようなポジショニング作りを通して効率的にコンディショニングを行うための手法になっております。
次回、来週開催予定のJARTAオンライン講義ではこのインターロックポジションとセラピスト・スポーツトレーナー自身の準備ということで内容を予定しております。
 
夕方になってパフォーマンスが低下することに困っている方は是非とも下記より詳細をご確認ください。
 

JARTAコンセプトを応用したコンディショニングの基礎

インターロックポジションと調和(関係性作りの重要性)
講師:赤山僚輔
料金
ライブ参加+録画視聴 7,000円(税別)
録画視聴のみ     6,500円(税別)
□ライブ配信
2020年6月23日(火)
21:00〜22:30(準備20:45〜)
□録画視聴期間
2020年6月25日〜27日

JARTAオンラインセミナー


 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年06月10日

筋力もある、柔軟性もある、でも試合で活かされない

文:伊東尚孝

 
 
私が実際に現場で聞いたことがある言葉です。
 
ベンチプレスの重量が増加し、開脚の幅が広がり、明らかにトレーニングでのパフォーマンスは上がっているのにもかかわらず、試合ではうまくいかないという悩みを抱えていました。
筋トレやストレッチなどによって筋力や柔軟性の水準を高めることができ、パフォーマンスアップが期待されるのは確かです。
しかしこの場合、その選手の課題が「筋力・柔軟性」であることに限ります。
 
上記の選手のように、筋力や柔軟性をトレーニングしているにもかかわらず試合でうまくいかないのであれば、その原因は「スキル(技術)」が足りないからだ、と感じる選手や指導者は多いと思います。
ではその選手が習得すべき「スキル」とは何なのか。
トレーナーとして提供すべきトレーニングとは何なのか。
 
 
『試合で活かされない』
 
この訴えにパフォーマンスアップのヒントが隠されていると考えます。
 
「試合で」ということは、普段の練習ではある程度のパフォーマンスを発揮できているのにもかかわらず、試合になると調子が出ないことが推測されます。
 
 
少し話は逸れますが、スキルの下部構造には身体操作があります。
例えば、バッティングのスキル(技術)を簡潔に言うと、バットを効率よくスイングし的確にボールに当てるための身体操作が必要となるということです。
しかし、対戦する投手や投球によってスイングの軌道や体勢を瞬時に対応させなければ打てないことは言うまでもありません。
そこにはバッティングという「動き」だけではない視覚やバランスなど様々な要素が総合された結果、試合で打つことができるバッティングが成立する構造となっています。
つまりスキルには、「動き」だけではない様々な要素が総合しているといえます。
 

 
先ほどの選手に話を戻すと、
その選手に必要なのは、試合中の「動き」を阻害している「その他の要素」である可能性があり、それらを考慮してトレーニングを構成しなければなりません。
 
 
 

あらゆるトレーニングに加えるべき認識力

 
では、スキルの一要素である「動き」ではない「その他の要素」とは、具体的にどのようなものがあるでしょうか。
 
例えば、対人競技では相手との接触によってバランスを崩すこともあるが、次のプレーへ素早く移るためにも姿勢を修正(リロード)する必要があります。その姿勢の変化を認識するためには、筋肉や腱にあるセンサー(筋紡錘・ゴルジ腱器官)などの固有感覚が働く必要があります。
また、相手や味方などの位置を把握する周辺視野も必要となり、視覚から得られる情報処理の速度もパフォーマンスに影響されます。
さらに、対戦相手や大会の規模などはメンタルにも影響します。緊張によって呼吸が浅くなり動きが固くなることでパフォーマンスが下がる可能性があります。
 
まとめると
・バランスを保つ、もしくは素早く修正する(固有感覚の活性化)
・相手や味方の位置を把握する(周辺視野)
・緊張による身体の変化(呼吸、精神状態)
(ほんの一例ですので、他にも様々な要素が存在します。)
 
これらの要素が、試合中の「動き」を阻害する可能性があるものとなります。
すなわち、これらの要素を加えたトレーニングの構成が必要となります。
 
そのトレーニングの一例としては、
・片足立ち、タンデム立ちなどの不安定な状況で、脊柱の分離運動を促す要素を加えたトレーニングを行う。
・頭部が傾くと平衡感覚を司る前庭系に影響することから、目線を水平に保ちながら(対象物から目線をそらさないように)バランスまたは筋力トレーニングを行う。
・筋トレやストレッチの場面でも周辺視野を意識する。(中心視野になる傾向がある。)
・特定の色を識別しつつ、周りの選手の動きも把握しながらのスキルトレーニング。
・眼球の動きにくい(動かすと呼吸が浅くなる)方向を認識する。
 
挙げるとキリがありませんが、重要なのは多くの要素を一度に実現させることができるかということです。
 
このことを、アブレスト能力と呼称しています。
 
上記で挙げた例のように、自身の変化に対する認識力を内的認識力といい、それ以外の天候や気温、グラウンドコンディション、道具、相手や味方などを認識することを外的認識力といいます。
冒頭の選手は、要求される「動き」と試合中の様々な「認識力」を両立することができず、パフォーマンスを発揮することができなかった可能性があります。
 
スキルという「動き」だけに捉われず、このような「認識力」を同時に実現させる、すなわちアブレスト能力を高めたトレーニングをすることで、パフォーマンスアップにつながります。
(今回はフィジカルについて触れませんが、パワーやスピードも同時並列的に実現させることも重要です。)
 
 
 

アブレスト能力の落とし穴

 
以上のことから、
◯ スキルとは「動き」だけではなく、「認識力」や「フィジカル」と相互関係にある。
◯ パフォーマンスアップの手段の一つに、アブレスト能力の向上があり、一度に多くの要素を実現させることを指す。
◯ プレー中には様々な「内・外認識力」が必要となり、アブレスト能力の向上には欠かせない要素となる。
 
このようにまとめることができます。
アブレスト能力を向上さるためには、「多くの要素を認識させたトレーニングをすればいいのか」と解釈される方もいるかもしれません。
 
しかし、ここで明確にしておきたいのが、
多くの要素を一度に「実現」させることと、
多くの要素を一度に「認識」することには大きな違いがあるということです。
 
 
 
これまで多くの研究で、自分の身体に注意を向けながら行うパフォーマンスは、外部に注意を向けたパフォーマンスに比べて低下する傾向があることが報告されています。
つまり、アブレスト能力を向上させようと身体の傾き(バランス)や筋出力などの「内的認識力」に注意を向けながらプレーしてしまうと、逆にパフォーマスを下げる可能性があるということになります。
 
では、多くの要素を一度に「実現」するためにはどうすべきか。
それは、身体操作を「自動化」させるためのトレーニングが必要となります。
 
スキルの下部構造には身体操作が存在することを冒頭で解説しましたが、身体操作すなわち「動き」を自動化することができれば、バランスや筋出力などの内的認識力に注意を向ける頻度を抑えながらも、要求される動きを「実現」することが可能となります。
 
身体操作を自動化させるためには、全身の連動した運動や反射を利用した動きの習得、日々の生活レベルから繰り返して行うルーティンなどをトレーニングに取り入れることが必要です。
 
つまり、JARTAトレーニング4原則が相互関係にあることを示し、パフォーマンスアップのための重要なプロセスとなります。
今回紹介したアブレスト能力は、「同時実行の原則」に当てはまり、決してこれだけを習得することが全てではないことを改めて認知していただけると幸いです。
 
 
 

まとめ

 
パフォーマンスを構成している要素は多岐にわたり、それぞれが相互関係にあります。
その選手に必要な要素を導き出し、より良い方向性でトレーニングを選択することがパフォーマンスアップのためには必要です。
 
詳しいトレーニグ内容や理論を取りれたい方は、JARTAトレーナーを利用してみてはいかがでしょうか。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年06月03日

ストレッチをパフォーマンスアップにつなげるコツ

文:平山鷹也

 
ストレッチは怪我予防のためにするものだ。
身体の柔らかさとパフォーマンスは関係ない。
柔らかくなってきたけど、プレーが変わっているかわからない。
 
 
ストレッチが重要なのはわかっているが、ストレッチの効果をプレーの中で実感できていない選手も多い。
 
 
そこで今回は、ストレッチをパフォーマンスアップにつなげていくためのポイントについて解説する。
 
 
キーワードは、「全身のつながりを感じる」こと。
 
 
つながり、と言うと少し曖昧なので具体例をあげてみる。
 
 
わかりやすいのは、筋膜によるつながりだ。
 
 
Thomas W. Myersの著書として有名な「アナトミー・トレイン」によると、
“筋は、それぞれがどのように機能しているとしても、筋膜網内で機能的に統合された全身の連続体に影響を及ぼす”と記載されており、1つ1つの筋肉はそのつながりによって全身に影響を及ぼすことを示唆している。
 
 
だとすれば、1つの筋肉を単独で伸ばしていく一般的なストレッチだけでは、パフォーマンスアップのためにはまだ足りない。
 
 
全身のつながりを考えて行うストレッチの1つに複合ストレッチがあり、一度に複数の筋肉を対象にストレッチする。
 
例えば、JARTAトレーニングの1つでもある「コモド胸セパレート」をストレッチとして行った場合。

 
 
今回はあえて筋膜という観点のみに注目してみると、このストレッチはスパイラルラインの複合ストレッチとも言える。
 
 
スパイラルラインは、スポーツ動作で言えばサッカーのゴールキックやアメフトのパントキックのように大きなモーションで蹴る動作、投球やテニスのスマッシュのように一度身体を開いてから腕を振りぬくような動作で使われている。
 
 
この筋膜ラインは、
(中略)~腸脛靭帯~大腿筋膜張筋~内腹斜筋~反対側外腹斜筋~反対側前鋸筋~(中略)というつながりがある。
 
 
これを上記の画像と見比べてみると、
右股関節伸展・外旋、脊柱左回旋、左肩甲骨内転となり、上記の筋をすべて伸張している肢位となる。
 
 
このストレッチがうまくできない、もしくは一か所に負荷が集中している場合にはスパイラルラインのどこかに問題があると考えられる。
 
 
その原因は柔軟性だけでなくその運動をコントロールするような筋肉や神経系の機能など多岐にわたる。
 
 
このように全身のつながりを考慮した方法でストレッチを行うことで、実際のプレーとのつながりが見えやすくなる。
 
 
そしてそこから苦手なプレーを想像することもできる。
 
 
例えば、上で紹介したストレッチで肋骨周囲の硬さを強く感じる場合。
 
これは前鋸筋や腹斜筋の硬さを示唆しており、ストレッチ方向への回旋が必要な動作や強い収縮を求められる動作が苦手な可能性がある。
 
ゴールキックの予備動作(蹴る直前の胸の開き)が小さくなることもあれば、野球肩やテニス肘などにも関係する。
 
 
筋肉が硬いときは、伸ばせないだけでなく上手く力を入れられないことが多い。
 
 
このように考えていくと、ストレッチがどのようにパフォーマンスにつながっていくか具体的に整理できる。
 
 
そこから個別のストレッチを行ったり、トレーニングの構成を考えていくことでパフォーマンスアップへの近道となる。
 
 
今回は筋膜という観点にしぼってストレッチを考えてみたが、実際は各関節の関係性、運動連鎖、認識力などもっと多くの観点から全身のつながりを考える必要がある。
 
 
ストレッチを指導する立場にある方は、ぜひより多くの「全身のつながり」を意識して指導してみてほしい。
 
 
全ては、パフォーマンスアップのために。
 

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2020年05月27日

皮膚にもセルフケアを

文:岡元祐樹

 
 
今回は『皮膚』について書いていこうと思います。
 
スポーツにおいて、動きを構成する要素として重要視されるのが関節や筋肉です。
 
しかし人間の身体を覆っている皮膚に問題があると、関節の動きが制限されることが報告されています。そしてその分、より大きな筋力を発揮しなければならないことも想定できます。
 
つまり動きが悪くなるということです。
 
動きのパフォーマンスを向上させたい。例えば、もっとパワーを発揮したい、もっと長時間動けるようになりたいといった願望があるのであれば、皮膚の状態も考慮する必要があります。そして可能な範囲でセルフケアをする習慣を身につけてほしいです。
 
 

実は運動に影響を与える皮膚

 
皮膚の役割というのは多種多様です。主な役割として一般的には次のようなものが挙げられます。
 
・水分の喪失や透過を防ぐ
 
・体温を調節する
 
・微生物や物理化学的な刺激から生体を守る
 
どれも生命を維持する上で重要な役割であると言えます。
 
これに加えて、運動への影響もわかってきています。関節の動きに応じて、皮膚もわずかに動いているのです。
 
逆に皮膚の動きが少ないと、関節が目一杯曲げ伸ばしできなかったり、動かすために余計に筋力を発揮しなくてはならなくなります。
 
試しに肘を伸ばしたままで肘周囲の皮膚をしっかり掴んで引っ張った状態を作ってみて下さい。その状態で肘を曲げようとすると、曲げていくにしたがって曲がりにくくなってきます。
 

 
各関節がどのように動くと皮膚がどう動くのか?については細かい話になってしまうのでここでは説明できませんが、皮膚の動きが乏しいと関節運動にマイナスに作用する可能性があることを頭に入れておいて下さい。
 
皮膚の動きと言われると一般の方はあまりピンとこないかもしれません。
 
足の裏や手のひらなどの特定の箇所を除き、皮膚は薄くつまんで引っ張ることができます。
 

 
これは皮膚が筋肉(浅筋膜)との間で滑るような動きが生じるためです。皮膚のゆとりとも言えます。
 
この動き(ゆとり)がないと関節はかなり動かしにくくなります。きついジーパンを履いていると運動しにくいことと同じです。
 
リハビリテーションの場面では、手術後の創部周囲の皮膚の固さや、火傷による皮膚の損傷により関節が動かしにくくなる症例が多く存在します。
 
 
手術痕や何かの傷痕のように目に見えやすいものであれば対策は比較的立てやすいのですが、発見しにくい皮膚の障害もあります。それは長時間の皮膚への圧迫による機能障害です。
 
この長時間の圧迫が極端に重症化すると褥瘡(じょくそう)、いわゆる床ずれと呼ばれる状態になります。
 
長時間座っているなど同一の姿勢で特定の皮膚に圧迫が生じてしまう場合、その部位が固くなる要因ができてしまうことは褥瘡の発生メカニズムからも言えると思います。
 
皮膚が固くなる原因は圧迫だけではありませんが、知らず知らずのうちに皮膚というのは固くなる可能性があるということです。
 
 

チェックとケアのやり方

 
精密さには欠けるかもしれませんが、ここで選手自身が行える皮膚のチェック、ケアの方法をお伝えします。
 
ここでいう『チェック』とは、自身の身体において皮膚が比較的固くなっている箇所を調べることです。
 
皮膚を薄くつまめるかどうか?シンプルにこれでいいと思います。
 
他の箇所にくらべてつまみにくい、やたら痛いという部分は何かしらの原因で皮膚が固くなっている可能性があります。
 
 
次に『ケア』ですが、ここでいうケアは皮膚の動きを向上させるための方法のことです。
 
チェックにおいて固さがあると思われる箇所を見つけたら、そこをつまみながら
 
①皮膚を上下左右などあらゆる方向に動かす
 
②近くの関節を動かす(例えば膝周囲の皮膚をつまみながら膝を曲げたり伸ばしたり)
 
というように動かしてみて下さい。
 
十数秒で関節が動かしやすくなる場合もあります。
 
個々の身体によって固くなる部位は異なりますが、代表的な部位を挙げておきます。
 
・内くるぶしの前側の皮膚
この部位は足関節捻挫の経験がある選手は特に固くなりやすいのでチェックが必要です。
 
・お尻の側面の皮膚
横向きで寝ることが多い選手はここが圧迫されて固くなりやすいのでチェックが必要です。
 
 
この他にも手術痕や傷跡があるのであればそこを中心に動きが固くなっていないかチェックしてみましょう。
 
固くなっている場所は固くなる何かしらの原因が存在します。その原因が解消不可能なものである場合、この皮膚のチェックやケアは常日頃行っておくことをオススメします。
 
 

あらゆる運動の基礎として

 
今回は運動に関係する『皮膚』につてお伝えしてきました。
 
前回の筆者の記事において、皮膚の滑走性について記載しました。
 
短くまとめると、座り心地の良い椅子に長く座っていると、圧迫され続けるお尻や太ももの後面の皮膚が固くなってしまう可能性があるという記載です。
 
前回の記事 生活の変化は身体の変化へ
 
自宅であればソファに座っている時間がそれにあたるでしょうか?
 
あらゆる前提条件の違いはありますが、褥瘡の発生条件も考慮すると、座っている時間が増えることで皮膚への圧迫時間が増えます。その結果、皮膚の固さに変化が出てくる可能性はあります。
 
皮膚は直接触れることができ、感覚や動きに大きな影響を与える臓器です。
 
そして大雑把なレベルの話ですが、その滑走性を向上するにあたっては、そこまで難しいスキルは必要ありません。
 
自宅でトレーニングをする選手が多いと思われる現状です。
 
自宅でふとソファに座った時、この記事のことを思い出して皮膚のチェックを行える選手が増えれば幸いです。そのことがその他のトレーニング効率を最大化することに繋がります。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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参考文献
・福井 勉:皮膚運動学. 三輪書店,2010
・清水 宏:あたらしい皮膚科学 第3版. 中山書店,2018



2020年05月20日

入念なスモールステップで負荷設定を

文:赤山僚輔

 
緊急事態宣言期間中、皆様はどのように過ごされていましたか?
 
毎日のように部活動をしていた生活、チームでの練習やトレーニングが当たり前だった生活から
大きな変革を余儀なくされたこの期間が我々に教えてくれたことは余りにも大きく。
そしてそれが今後我々にどのような影響をもたらすのか、まだまだ想定しきれない部分があります。
 
そんな中、徐々に活動再開されているクラブもあり本日は今一度、運動再開に向けての注意事項や考え方について過去記事や各種団体が発表してる指標なども参考にしながら共有させてもらえればと思います。
 
 

この時期に大事にしたい”振り返る”という行為

ただ過ぎる時間の中で、今自分のいる位置や状況について整理する為にも “振り返る”という行為は非常に有効です。
4年に一度など、大きな大会に向けて強化を継続していくと自分を見失いそうになることがあります。
そんな時に自分を見失わずに、自分を知る為の手法の一つとして”振り返る”という行為の重要性については様々な指導者やメンタルコーチから私自身も教わり実践している部分になります。
今回の休校やスポーツ活動休止が決まった頃に公開している記事について是非ともご参考にしてみてください。

今こそ立ち止まり振り返ってみよう


 
 

すぐにいつも通りの練習をしたいけど・・・。

指導者もおそらく選手も、ここまでの長期間競技から離れた経験がほとんどないので。
競技をする楽しさも再認識され、楽しく長く、そしていつも通りの練習を1日でもはやくしたいと願っているはずです。
強度設定については各団体の指標を後述しますが、トレーニングの強度設定の前に考えていただきたい内容が過去記事の中で掲載しております。
是非ともこの機会にチームのコミュニケーションを深め、状況確認の精度を深める意味でも参考にしていただきたいと考えております。
 

練習再開その前に


 

早く成長を望むのであれば練習時間以外の使い方を再考する

おそらく、多くのクラブやスポーツ団体において以前のような練習時間の確保が難しい状況が続くと思います。
ただでさえ、日本においては欧米と比較し部活動やクラブにおいて練習時間が長い傾向があると言われています。(各国や競技によって差異が大きいので具体的な言及は今回は避けさせていただきます。)
指導者にとっては物足りなさを感じ、選手も同様に感じるかもしれません。
実際にサポートしている選手がチーム練習再開後、オンライン指導時に「もっと練習したかった・・・」と物足りなさを訴えている場面もありました。
そんな時には以下記事でも言及されていますが、ライバルとの差をつけるという意味でも練習外の時間を是非とも有効に活用してもらいたいと思います。
具体的な手法は記事中にもあるので是非とも参考にしてみてください。

ライバルの7倍早く成長するために


 

熱中症対策も忘れずに

休校開始が始まった2月末、3月初旬と比べると季節は全くと言っていいほど変わっています。
順化する期間を設けずにこの時期の気候へと身体が慣れるには運動強度以上の負担や想定外の事態も想像できます。
水分摂取の目安などこちらも過去記事にて筋痙攣をテーマに掲載されておりますので是非ともご参考にしてみてください。

脚が攣る(筋痙攣)ことがある投手へ


 
 
 

最後に

あくまでも参考レベルですが、各種団体が競技再開時の強度設定やスモールステップの仕方について指標を公開しています。
何も指標を設けずに実施するよりは少しでも参考になればと思い共有させていただきます。
あくまでも参考情報として取り扱っていただくことと、感染対策に対する指導や推奨事項ではないことはご留意していただければと思います。
 
今後の活動に向けた段階的準備の考え方(ハイパフォーマンススポーツセンター:HPSC)
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/dankaitekijunbi.pdf
国内スポーツの競技力向上サポート機関「HPSC」のガイドラインになります。
主にトレーニング施設での段階的なトレーニング再開に特化した情報が掲載されております。
段階的な準備の考えたの一つとしてご参考にしてください。
 
トレーニング活動再開に向けた留意点(日本サッカー協会:JFA)
http://www.jfa.jp/mie/news/00024907/
上記サイト内の第一報(修正版)では年代別のフェーズ訳や強度設定の目安が公開されております。
他競技にいかせる内容も十分にあり再開スケジュールが具体的に提示されておりますので参考にしていただければ幸いです。
 
今後各種団体からの指標も随時公開される可能性もありますが、現時点でのJARTA過去記事の引用とHPSCとJFAの考え方、留意点について今回は共有させていただきました。
 
待ちに待った競技再開後に防げる怪我や不用意な事故が一件でも減るように願っております。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
 

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2020年05月10日

”植わったもの”と”動くもの”


文:赤山僚輔
 
皆様は自分が動物っぽいなーと感じる瞬間はありますか?
例えば本能のままに異性を追いかけてしまったり。
 
あるいは自分が植物っぽいなーと感じる瞬間はありますか?
「うわー、いま自分、光合成してるかもー」みたいな。
 
 
このように人間には動物的な器官と植物的な器官がある。
新しいコンディショニングスキルコースでお届けしている内容になります。
そして表題の”植わったもの”と”動くもの”とは
参考書籍にも挙げさせていただいている
三木成夫氏の『ヒトのからだ-生物氏的考察』文中の表現になります。
 
 
今回はコンディショニングスキルコースでお届けしている内容を一部公開する形でお届けいたします。
 
ヒトがどんな動物や植物よりも優れた存在である。
そのように顕在的にも潜在的にも確信している人はこの状況であればそう多くないと思います。
 
自分自身もJARTAと共に自分の心身に向き合うなかで、ごく自然に、自分の中にある動物的な側面や植物的な側面に対しても意識が向くようになり動物の尊さ、植物たちの偉大さを日々痛感し感謝するようになりました。
今回は今後認定コースを受けられなくても、これから受けることに興味がなくても。
1人でも多くの方が自分の中にある動物的な側面や植物的な側面に意識を向けるきっかけになれればと思いお届けいたします。
 

植物は動物のように欲張らない

両者の違いを色々な角度から切り取った表現があります。
その中で自分が印象的な違いとして、植物は”植わっている”だけなので自分が成長するために何かを取りに行ったり誰かから奪ったり、何かを殺したりすることは基本的には行えません。(一部例外はあるが)
豊かに降り注ぐ太陽の光の下で、地上のどこにでもある材料、つまり簡単な無機物・水・二酸化炭素をもとにして、自分の力で生命の源を作り上げます。
そこでは植物たちは自然の全て、すなわち地・水・火・風の”四大”を、あますところなく利用して、みずからの体を養っていくのであるが、その時かれらは、大空と大地へからだを伸ばしきる。そして、生ー殖ー死のリズムを、四季の変化にそのままにしたがわせていくのです。
このように植物たちの生活は、まさしく地球の条件に、最も素直に応じたもので、彼らの生き方がいかに自然なものであるかを知ることができると思います。
 

 
それに対して動物は”動くこと”が出来る為、自分が成長する為に植物をむしり取り、自分より弱い生物を殺し自分の栄養とします。
いわゆる弱肉強食の世界です。
生まれながらに合成能力にかけた生物たちの姿である動物は、豊かなこの大自然の中で、かれらの利用し得るものは、”空気”と”水”だけでたいせつな栄養源は植物たちが作り上げた平和の実りにあおがざるを得なくなります。
つまりいながらにして自分を養うことができない動物たちは、ついにこの植物という餌を求めて、動かざるを得なくなってしまったのです。
泳げるようになり(魚類)
のたうちまわれるようになり(爬虫類)
飛べるようになり(鳥類)
歩くことができるように(哺乳類)
なりました。
 
これらは地球の重力などに逆らう行為であり、冒険の連続でした。
その為、リスクを少しでも避け、子孫を残す為にも群れるようになりました。
 
食料の確保が難しい環境においては常にエネルギー争奪戦が繰り広げられ、
現在の仲間同士が争い合う人類としての様々な無理な生活の道を考え出すことになってしまいました。
 
自然に逆らわずにどう生きるか
このような動物たちの暮らしがいかに自然の流れに逆らったものであるかということは、考えるまでもないと思います。
自然の流れに逆らいながらも、自然の恩恵を大いに受けている。
この矛盾の中に我々の日々の暮らしがあり、スポーツ活動があります。
植物のように暮らすことも、動物のように暮らすこともヒトには難しいです。
しかし今よりも少しだけでも植物的な側面に意識を傾けること。
今より少しだけでも動物的な感性を取り戻すこと。
 
これは快適に生活を営むだけでなく、アスリートのパフォーマンスにおいても非常に大きなヒントが無限に眠っています。
 
ホルモンや各種生体のリズムにおいて自然の恩恵を受け、自分たちが循環しリカバリーしていることを実感している方は多いと思います。
このような情報を獲得し理解することは人間だから成せる行為です。
この行為を通して理解の先にある体感を得られれば、理解の前にある体感を感じる日々もそう遠くないと常に感じています。
 
頭で理解しないとなかなか行動に移せないようなタイプの選手やこのような情報や書籍は多く出回っています。
しっかりと整理を進めながら歩みを止めずにいきましょう。
 
理解よりも体感を渇望している選手は、動物の動きや植物の姿、そして大自然や大地の変化について限りなくバイアスなく観察し五感全てで感じてみてください。
そこから得られる身体感覚の全てがパフォーマンスアップへのヒントとなるはずです。
 
このような内容についてコンディショニングスキルコースの前半でより具体的な事例も提示しながらお伝えしています。(もちろんコースのごく一部ですが)
 
コースの再開がまだまだ不透明な状況なので、公式ブログでもこれまでセミナーでしかお伝えしていなかった部分を徐々にお伝えしていければと思います。
 
少しでも自分の体やアスリートのパフォーマンスアップへのヒントに役立てて頂ければ光栄です。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
引用、『ヒトのからだー生物学的考察』著三木成夫 うぶすな書院 1997年第1刷発行

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2020年05月02日

ライバルの7倍早く成長するために

文:平山鷹也

目次

 

絶対に負けたくない相手

あの選手には負けたくない、あのチームにだけは勝ちたい。
 
 
スポーツをする誰もがそんな相手がいるはず。
 
 
その相手はチーム内にいるかもしれないし、有名な強豪校かもしれない。
 
 
ライバルや仲間の存在のおかげで自分の限界を超えられるのは、スポーツの醍醐味の1つである。
 
陸上や水泳などのようにタイムで結果が明確に出る競技ではわかりやすいが、自分と同じくらい、もしくは少しだけ強い(速い)選手が相手だと自己ベストが出やすくなる。
 
 
常に限界に挑み、最高の舞台でその限界を超えていく姿は本当にかっこいい。
 
 
最高の舞台で最高の結果を出すために、私たちスポーツトレーナーも日々選手たちに向き合い続けている。
 
 
今回は今よりもっと早く成長したいと切望している選手たちに向けて。
 
ポイントは練習時間内の密度を高めること、そして練習外の時間も上手くなることができるかどうか。
 
 
どちらも「時間」が関わってくるので、まずは時間が平等であり不平等であることを簡単に説明し、今回は主に練習外の時間について考えてみたいと思う。
 

時間は平等で不平等

1日は24時間で、1時間は60分だ。

 
これは、地球上の全人類で平等に与えられた時間だろう。
 
 
だが、同じ60分の練習の中でも一気にコツをつかめる60分もあれば、全然上達を感じられない60分もある。
 
 
これこそ、時間が平等であり不平等である理由だ。
 
 
つまり、60分という練習時間は平等に与えられているが、その60分での成長具合は平等ではないのだ。
 
 
だとすれば、平等に与えられた時間をライバルよりも意味のある時間にしなければ、差は縮まらない。
 
 
練習の密度を高めるための手法はこれまでの公式ブログにたくさんのヒントがある。
 
 
そして残りの時間は、平等に与えられた練習外の時間、である。
 
 
 

練習外の時間は練習時間の7倍もある

平日の練習時間を3時間とすると、1日で練習していない時間はその7倍もある。
 
 
その時間が競技にどう関わってくるのか考えたことはあるだろうか。
 
その時間で自分の伸びしろを伸ばす方法を考えたことはあるだろうか。
 
その時間が自分の競技に生かせることを考えたことはあるだろうか。
 
 
「いやいや、毎日7時間前後は寝てるからその時間は関係ないでしょ?」
と思う方もいるかもしれない。
 
 
しかし、睡眠は翌日の心身の状態や内臓・自律神経のコンディションへ大きく関わる。
つまりパフォーマンスへ大きな影響を与えているのだ。
 
 
簡単に言えば、寝起きが最悪な日に最高のパフォーマンスは発揮できない。
 
 
このようにあらゆる時間の過ごし方が心身へ影響を与え、アスリートであればそれがプレーにも影響する。
 
 
例えば学生であれば日中の多くの時間は座って過ごすことが多い。
 
 
その座る姿勢が猫背だとしたら、おそらくプレー中も猫背になりやすい。
 
 
もしくは猫背によって肩甲骨周りやお腹の筋肉が硬くなってしまうこともある。
 
 
なぜなら学生の座っている時間は練習時間よりも長いことが多く、猫背で過ごす時間の方が練習時間よりも長くなってしまうからである。
 
 
このように考えると授業中の姿勢すらもパフォーマンスアップにつながっていく。
トップアスリートは座っている姿勢や立っている姿勢もトップなのだ。
 
 
ぜひそんな視点からも普段のスポーツニュースを見てほしい。
 
 
他にも、
・階段を上るときに裏ももの筋肉を使うように意識する
・体育の授業で他の競技の動作から自分の競技の動作にどうつながるか考えてみる
・友達との雑談では言いたいことを言えるのに、チーム内では言いにくいのはなぜか考えてみる
・スマホやパソコンを見る姿勢に意識を向けてみる
・時間の使い方を見直してみる
・テスト勉強をできるだけ短時間で集中してできる方法を考えてみる
・通学路の景色の違いを毎日意識して周辺視野を鍛える
 
あらゆる日常生活を競技に結び付けて考えられると、24時間パフォーマンスアップに利用できる。
 
 
このように、座っている姿勢も競技を意識している選手と、練習とそれ以外の時間を分けて考えている選手では、上手くなるために費やしている時間に差が出てくる。
 
 
逆に言えば、練習時間は同じはずなのになぜか差が開いていくライバルは自分が意識出来ていないところまで普段から意識しているのかもしれない。
 
 

全てはパフォーマンスアップのために

JARTAでは、「全てはパフォーマンスアップのために」という言葉をよく使う。
 
 
これは施術やトレーニングは全てパフォーマンスを向上させるためにあり、施術やトレーニングそのものが目的にならないようにということである。
 
 
もちろんこの言葉はそれだけを表しているのではない。
 
 
選手に置き換えて考えてみると、あらゆる日々の活動をパフォーマンスを向上させる意識をもって行えているか、ということになる。
 
 
もちろん自主トレやストレッチ、身体のケアをする時間を確保することも非常に大切なことである。
 
 
しかしそれでもなおライバルとの差が縮まらずに悩んでいる選手は、普段の過ごし方にヒントが眠っているかもしれない。
 
 
もし、どうしても勝ちたい相手がいるなら、練習外の時間で成長する方法を考えてみてほしい。
 
 
「全て」は、パフォーマンスアップのために。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2020年04月29日

サイクルを見直し、自らの身体に良い循環を!!!


 

文:赤山僚輔

 
部活動だけでなく、多くの企業でテレワークが推奨され外出の自粛が続くなか通常の生活サイクルを維持することが難しくなっている方も多いのでないでしょうか?
生活サイクルを構成する日々の習慣は体調を維持するだけでなく、パフォーマンス向上においても非常に重要な観点になります。
今回は現在オンラインワークアウトの中で実践している
リコンディショニングの内容においてクールダウンとウォーミングアップをなぜ
土曜の夕方と日曜の朝に実施しているかという点について深掘りしながら
サイクルを見直すことや自らの身体によい循環をもたらす恩恵についてお伝えしたいと思います。
 

そもそも1週間の起源とは

1週間がどういった起源で発生したかは諸説ありますが、一般社団法人日本時計協会のHPでは以下の様に記されています。
以下転載

1週間7日制は古代バビロニアから始まったといわれていますが、各曜日は古代ローマによって作られました。
古代ローマでは1日を24等分して1時間毎に5つの惑星と太陽と月とを繰り返しあてはめて呼び、距離の遠い順に土星、木星、火星、太陽、金星、水星、月の順番と決めました。そして、1日の最初の1時間が1日全部を支配すると考えました。こうすると最初の日の最初の1時間は土星で、2日目の最初の1時間は太陽(日)、3日目の最初の1時間は月となり、以降火星、水星、木星、金星となって、土曜日から始まり7日間で繰り返される曜日が出来ました。
しかし、宗教上の理由で週の初めは日曜となり、更にローマがキリスト教を国教にしてから日曜にキリストが復活したことを記念するため日曜日を安息日の休日と決められました。今でも多くのカレンダーは週の初めが日曜からとなっています。

少し複雑ですが、週の始まりが日曜日であるということがこの起源からもわかると思います。
日曜日が休息の日と位置づけられているので感覚的には月曜日からが始まりと感じる方も多いと思います。
しかしスポーツパフォーマンスの観点においても、日曜日の休息が月曜日に向けての重要な準備のスタートである。
このようにもとらえられると思います。
 
今回はこの1週間の起源をきっかけに、我々の身近にあるサイクルについてお伝えしたいと思います。
 

十干の起源

次に考えていきたいのは、月の周期と十干について。
月の満ち欠けが29日か30日になっていることからこの月の周期を1ヶ月としてその半分を半月。
としていることをご存知の方は多いと思います。(漢字がそのままなので)
1日を何日単位で括れば覚えやすいのかとなった時にもっとも原始的で便利な方法が、「指を折る」という数え方です。
実際に中国では指を折って日数を数えていたと文献に記されているそうです。
この指のことを「浣」と表記されたいたものがいつしか「干」と称される様になったようです。
指10本の「10」と
両手の指を意味する「干」が合わさって
「十干」となりそれが古代中国人が私たちにも馴染みの深い
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類で構成される、数の数え方であり、理論の一つです。
数の数え方として扱うときには、
「こう、おつ、へい、てい、ぼ、き、こう、しん、じん、き」
と読みます。

https://www.mikatablog.com/entry/2017/08/21/十干の起源と意味をわかりやすく解説します!より転載

 

十二支の起源

これまでに述べた十干は日を数えるために使用したものであり、十干と月の周期が関係することにも触れてきました。
実は十干と十二支も深い関わりがあり、十干は「十幹」とも書かれ、樹木にたとえるならば幹にあたる部分である。対して十二支の「支」とは「枝」のことであり、いわば樹木の枝葉の部分を指している。この点から通俗的な解釈では、十干から生まれたものが十二支となるわけである。
十二支も十干も星の運行と密な関係にあり、古代中国で木星が太陽の回りを公転する周期が12年であることがよく知られており殷王朝で主たる星と位置付けられていた木星の12年にちなんで十二支が誕生したと言われています。
※「現代に息づく陰陽五行」より引用。
 

自然を意識することによる循環の改善

上記などの暦やその影響を受ける陰陽五行論などはJARTAコンディショニングスキルコースでお伝えしている”OMSS”という経絡を応用したアプローチでも触れている概念になります。
我々の生活に根ざしている週間や月や年、十二支や十干。
これからの周期であるサイクルの起源を遡ると自然現象である太陽系の位置関係や月と地球との関係性が深いことに気づくことができます。
今の状況の様にサイクルを崩しやすい、心身ともに良い循環をもたらし難い状況において良いサイクルを再獲得する為にはこの自然現象の力も借りながら日々を暮らすことが非常に重要になります。
睡眠の質を高めるためのメラトニン分泌に朝日を浴びることが有効であることなど、現代医学でも一般化されてきた事象も多々あります。
より深く心身に向き合い、リコンディショニングする上で1週間のサイクルを意識すること。
月や太陽の影響を顕在化して自身の循環改善に応用することは非常に有益なアイデアとなります。
 
こういった意味合いもあり、今回のリコンディショニングの内容でお届けするオンラインワークアウトでは土曜日をクールダウン、日曜日をウォーミングアップと位置づけ開催を継続しております。
もちろん内容をお届けしたいので毎回少しづつ変化を加えて実施しているリコンディショニングの内容を一緒に実践してもらいたいのはもちろんですが。
1週間の終わりに月を意識しながら土曜日にクールダウンをすること。
1週間の始まりに、朝日を浴びてから日曜日にウォーミングアップすること。
一緒に意識しながら実践することで乱れかけたサイクルを再獲得して良い循環を自ら作り出すことができるはずです。
 
こんなことを言いながら次の日曜日が雨だったらどうしようかと思案している私ではありますが。
よければご一緒に自然を意識しながら、自身の身体にしっかりを意識を向けてリコンディショニングしてみませんか?
きっと選手への指導だけでなく自身のコンディショニングにとって何かヒントがあるはずです。
 
現在募集中のオンラインワークウアト、他のラインナップも含めて以下よりご参照ください。

JARTAオンラインセミナー


 
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2020年04月26日

生活の変化は身体の変化へ


文:岡元祐樹
 
生活に変化が起きると、身体にも変化が起きる。
 
コロナウイルス感染拡大予防のための外出自粛要請で、日常生活が多少なりとも変化した方は多いのではないでしょうか?
 
筆者における生活の変化は、移動手段の変化です。電車での移動から車での移動に変化しました。
 
このような日常生活の変化は習慣が変化することに繋がります。そしてそれは身体にも多様な変化をもたらします。
 
ここで気を付けたいのは、変化に鈍感になってしまうことです。
 
自身の変化を感じたら、それが自身のパフォーマンスにとって良いことなのか悪いことなのかを判断しないといけません。
 
そして悪い変化であれば何かしらの対策を打つ必要があります。
 
日常生活が変化したことを認識し、身体に対する影響や対応策を考察するクセがつけば、今後もあらゆる状況下においても成果の出せる人間に成長できるかもしれません。
 

 

生活の変化と身体の変化の一例

 
筆者がここ最近で変化を感じたのは床に胡座(あぐら)で座った時でした。
 
右膝がなんとなく曲がりにくい感じがしたのです。
 
自身で膝を評価すると、脛骨の大腿骨に対する内旋の可動域が減少していました。そしてその可動域に影響を与える大腿二頭筋腱周囲や付着部周囲が硬くなっていました。圧痛も左側より強い状態でした。
 
何故ここが硬くなってしまったのか?
 
その答えは前述した車での移動時間の増加だと筆者は考えました。
 
車の運転というのは、基本的に座った状態で行います。股関節や膝関節は屈曲位です。
 

 
そこからブレーキとアクセルを右足で踏み変えながら運転をするのですが、筆者の運転のクセで、アクセル操作において右下腿の外旋が強く出てしまうのです。
 
今までよりも車に乗る時間が増えたことにより、大腿二頭筋の収縮による下腿外旋位をとる時間が増えた。その結果が膝の深屈曲位での違和感という症状に繋がってしまったのです。
 
極めて軽度な症状であったため、セルフケアにてすぐに改善は図れました。早期に身体の変化に気付けたので良かったですが、明らかに生活習慣の変化が起きているのであれば先回りして身体の不調を予防するのが理想です。
 
他にも何かないだろうか?車の運転で自分の身体に起きそうな変化を色々考えてみました。
 
真っ先に思い付いたのが股関節です。
 
運転時には、股関節は90度近く屈曲した状態が続きます。伸展できる局面は皆無です。ということは、股関節の伸展可動域の減少が予測でき、対応策として股関節伸展のストレッチを日々欠かさないことが重要になってきます。
 
 
加えて、シートと皮膚の接触面も気になりました。
 
車のシートは長時間の座位を想定し、座り心地が良いように作られています。車種にもよりますが、背中や臀部の形状に似せて曲線で作られており、皮膚との接触面積が広くなるようになっているものが多いです。
 
このことは、坐骨結節などの骨突出部への圧力を分散している一方、大腿の後面や臀部の皮膚がまんべんなく圧迫されることを意味します。
 
短時間の運転であればそれほど問題ないのかもしれませんが、筆者は1日2時間車移動が増えたため、皮膚の滑走性に何か問題が生じる可能性があります。
 
生活の変化をきっかけに身体に対する思考を深めるきっかけになりました。
 
 

今を良いきっかけにするために

 
今回の外出制限の要請といった事態は中々起きることではありません。生活環境が一気に変化した方もいると思います。
 
しかしこれからも望むにしろ望まないにしろ、生活の変化というものは訪れます。
 
例えば引っ越しをした、転職をした、細かいところでは新しい靴を履いて過ごしたなど何かしらの変化は今後も生じるはずです。
 
そうであるならば、認識できる変化の幅や種類を増やしていくことが大事になってきます。良い変化であれ、悪い変化であれ、その変化に対して行動を変えることができるからです。
 
そしてそれはアスリートに限らず、スポーツトレーナーやセラピストにも言えることだと思います。
 
人によって様々な形があるとは思いますが、今の状況はその能力を高めるトレーニングになるかもしれません。
 
「生活がどう変わったのか?」というところから認識し「その変化が身体にどのように影響するか?」ということを考えるきっかけになり得るからです。
 
そのように自分の思考を変化させることで、様々な状況でも安定した力を発揮できるようになるのではと筆者は考えます。
 
とりあえず筆者は再び仲間とスポーツができる時に、この時期を言い訳にしないよう鍛練を積むことにします。
 

 
 

できることをできるところから

 
筆者もそうですが、身体の変化に自分自身で気付けるようになるというのは、最初はかなりハードルが高いように感じます。
 
そのように感じる人は、目の前のはっきりと分かっている生活環境や習慣の変化をきっかけに、自身の身体について考えたり感覚を研ぎ澄ましてみたりしてはどうでしょうか?
 
高いハードルをいきなり跳ぶのではなく、できることをできるところからやっていくのです。それも中々難しいことではありますが、必ず新しい気付きがあり、自身の身体やパフォーマンスをより良い方向に導くことができるはずです。
 
この時期を乗り越えた先に、あらゆる事態に対処できるような精神と肉体を求めて。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2020年04月22日

コモドドラゴン スポーツ 開設のお知らせ

このたび、弊社代表・中野崇のYouTubeチャンネル
『コモドドラゴン スポーツ』
を開設いたしました。
定期的に新着動画をアップしていきますので、
是非チャンネル登録お願いいたします。
 
 

 
 
 

 
 
 

コモドドラゴン スポーツ

ブラインドサッカー日本代表フィジカルコーチを務め、Jリーガー、プロ野球選手など多くのトップアスリートを指導するスポーツトレーナー中野崇が、
身体のこと、トレーニングのことなど、様々な「みなさまの疑問」にお答えするチャンネルです。
小学生のうちから正しく理解し、それに取り組むことで、大人になってからのパフォーマンスは劇的に変わります。
大人にとっては、「小学生の時に知りたかった!」という知識を紹介します。
プロ選手への指導場面も公開します。
 

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2020年04月21日

体力づくりのトレーニング

文:宮﨑祐一

「体力づくりのトレーニング」としてみなさんは何を思い浮かべますか? スポーツをしてきた方なら誰でも一度は取り組んだことがあるのが、 ”走り込み” ではないでしょうか。 
走り込みは、体力づくりの基礎トレーニングと認識され
・自分を限界まで追い込む
・きついときに耐える精神力をつける
・試合の時これだけやってきたという自信をつける などが挙げられると思います。 
 
今日は体力づくりのトレーニングの考え方を見直し、走り込みを例に挙げて一緒に整理し たいと思います。 
まず走り込みの効果は簡単に思いつくと思います。
先ほども述べたように、体力向上、足腰の強化、精神力強化などがあります。
肉体的にも 精神的にも鍛える方法として、昔から重要とされてきた練習の一つです。 
どれも間違いではありません。 ただし、やり方を誤ってしまうと逆にパフォーマンスを下げる要因になることがありま す。 
どんな要因があるのかをしっかりと認識した上で、トレーニングへの取り入れ方を見直す必要があります。 

 
 
走り込み の効果と注意点を整理していきます。
 
効果は以下のようなものが挙げられます。
・心肺機能の向上 (最大酸素摂取量の向上、四肢の毛細血管が増える)
・ BDNF(脳由来神経栄養因子)が出る 
・上半身と下半身の連動
・身体バランス能力の向上
(足底への刺激、山道などの悪路を走るなど)
・身体と視界の変化を知覚し、身体と環境の距離感をより正確に捉える
・結果が見えやすく達成感がある(距離数など) 
もちろん良いこともたくさんあります。
 
これは周知の事実として、ここでは注意点について 
もう少し深くお話していきます。 
 
注意点として考えるべきことは大きく分けて2つです。
・身体への負担が増大する
・競技によって必要な体力の種類が異なる 
 
 

1. 身体への負担が増大する 

負担の増大というと、一見、それを繰り返して体力をつけるのだから当然だと思われるかもしれません。
でも見逃すと、大きなパフォーマンス低下や選手生命に 関わる事態につながる場合もあります。 
走り込みの際、硬い地面を蹴るように走ると、同じ部分に繰り返しストレスをかけること になり、膝や腰などの荷重関節への負担が大きくなります。
これはケガのリスクが高まります。 
走り込みの最中でなくても、負担が蓄積した状態で、 競技中に過度なストレスがかかることで致命的なケガにつながるリスクさえあります。 
また循環器系の問題として、心拍数が上昇しすぎると、内臓への血流量が低下します。
それにより消化不良や、排泄コントロールがうまくいかなくなるなどの腎機能低下を引き起こすこともあります。 
これは栄養状態の悪化や休息時の回復力低下にもつながるでしょう。
さらにアスファルトを走るなどの「足裏への反復衝撃」によるヘモグロビンの破壊(溶血)からスポーツ貧血という症状もあります。 
ヘモグロビンの役割は取り込んだ酸素を全身に運搬することです。
運動に必要なエネルギーを生み出すためには酸素が必要であるため、これが十分に供給されない状態になる と、パフォーマンス低下に直接的に繋がります。 
これらをふまえて、走り込みを行うには、必要なトレーニング方法を見極める必要があります。 
できれば関節負担を減らすために、アスファルトではなく土や芝生の上で行うことが望ましいです。 
より良いのは、山道などの路面が常に変化する環境で 走り込みを行うのも効果的です。環境変化に柔軟に適応でき、バランス能力を向上することにもつながります。 
走り込みの最中だけでなく、選手の疲労の回復の状態や集中力、競技中とそれ以外のパ フォーマンスの変化などにも細やかなチェックが必要になってきます。 
 

 

2. 競技によって必要な体力の種類が異なる 

走り込みで体力をつけると言っても、そもそも競技によって必要な体力は異なります。
特に対人スポーツでは、「一定のペースで長い時間繰り返す動き」というのはあまりありません。
スピードやパワーを要求される競技であれば、マイナスの学習となってしまうこともあり ます。 
では、競技によってどのような体力が必要となるか考えていきたいと思います。 
ここで今回のテーマである ”体力づくりのトレーニング” について捉えやすい方程式をご 紹介します。
「体力=容量×省エネ×回復力」 
 
選手に必要とされる体力とは、ただ心肺機能が高いだけではなく、効率良く省エネで動ける身体と、回復力が大切になります。
つまり試合当日、全力を出す瞬間とそれ以外の時間をどのように使い分けられる必要があります。
いかに短時間で回復し、再度全力が発揮できるパフォーマンスができるかが重要なのです。 
これを練習中から意識していく必要があります。
ただひたすら走り込むだけでは、心肺機能は向上できるかもしれませんが、全力発揮と回復の切り替えがうまくコントロールできません。 
クールダウンや練習中の合間時間をどう過ごすかも重要になってきます。 
 
 
例えば、プロ野球の投手で具体的に考えてみます。
NPBの先発投手は1イニング当たり15~17球を費やします。
一般的には、1回15球、6回90 球で替え時と計算されています。 
試合中に筋力を発揮しているのは、主に90~100球の投球時と守備機会の数回です。
攻撃時にはベンチで座っている時間もあり、次のイニングに備えてキャッチボールをするなど、過ごし方は様々です。 
野球選手に必要な体力は、マラソン選手のように数時間ずっと動き続ける体力ではありません。 
その代わりに「90~100回の投球を全力で、相手に合わせて変化させて投げ、打ち取るための体力」が必要ということになります。 
この場合の”走り込み”トレーニングのより良い方法が、何時間も走り続けることではないことはもう分かるでしょう。 
 
 
ではどうすれば良いのか。
例えば、インターバルを意識したトレーニングにより、パフォーマンスの持続能力の向上に繋がります。 
短距離のダッシュ+インターバル時間をコントロールします。
・30m ダッシュを20本 で休憩時間20秒
・200mダッシュを3本 で休憩時間 3分 など 
これらの組み合わせを変えた練習を取り入れることで、様々なタイミングで全力発揮と回復の切り替えができるようになります。
持続的にパフォーマンスの高い状態を保てる選 手を目指すことができるのです。 
 
このように、競技やポジションなどにより、選手に求められる体力や能力も異なります。 
 
ここまで述べたように、体力づくりのトレーニングにはいくつか注意点があります。それらを考慮した上で、選手にとって最も必要な「体力」は何か考えていく必要があります。 
トレーナーは、限られた時間を効率よく使えるトレーニングを提案し、試合で最高のパ フォーマンスを発揮させることが求められています。
選手の努力を無駄にしないためにも、努力すべき方向性をしっかりと見据えて、試合で最大限の力を発揮できるためのトレーニングを組み立てましょう。 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年04月15日

準備の重要性を再考する

文:赤山僚輔

 
全国的に休校、活動休止に伴い様々な手法で運動を継続、トレーニングを実施されている方も多くおられると思います。
JARTAでも先日オンラインセミナー告知に合わせて講師のインスタグラムなどをご紹介させていただきました。
 
https://jarta.jp/info/18542/
 
本日はオンラインセミナー の続報としてリコンディショニングセミナーの概要とその重要性についてお伝えしたいと思います。
アスリートはもちろん、指導者やスポーツトレーナーにとってウォーミングアップやクーリングダウンが重要であることは改めて言うまでもない事象であるはずです。
 
しかし、多くの選手や指導者と関わる中で疑問に感じる部分がありました。
 
それは時間の無駄のように感じていたり、障害予防の為という側面に重きをおいて考えている皆様が多いことです。
 
怪我をしない為にという側面を押し出しすぎると、どこにも痛みを抱えていない選手や怪我を経験したことがない選手。
また外傷・障害後の復帰してそれに囚われたくない選手にとってはマイナスな側面すらあります。
そんな時にどのようにウォーミングアップの位置付けについて説明していくと良いか。
 
これについては先日Podcastでも触れているのでよければ一度お聴き頂ければと思います。

 
そして外傷障害の予防の為にという側面だけでなく、もっというとその時間よりも競技の時間を少しでも優先したいと思う指導者の皆様には。
 
その時間を使う意義や可能性について”心と身体の準備”という観点でも今一度再考してもらいたいと考えております。

 
コンディショニングを再び整えるという意味での
”リコンディショニング”
本来は我々は寝て起きればある程度、リコンディショニングされています。
 
 
しかしこれまでの環境と違い、習慣が継続しにくい状況。
情報の多さにストレスがかかってしまいやすいこのタイミング。
 
だからこそ、ただ身体を動かすだけでなくより身体がリラックス、リカバリーしやすいように身体環境を整えるクールダウンが重要であり。
1日の始まり、トレーニングや練習の前にしっかりとスイッチが入れられるようにウォーミングアップについて再考し実践できる機会が設けらればと考えました。
 
これまでのJARTAのセミナーはどうしてもスポーツトレーナー向け、同業者向けのものが多く、またトレーナー派遣をするにしても地域やカテゴリーによって簡易的に利用しやすいとはお世辞にも言い難い状況でした。
 
しかし今回はJARTAコンセプトを元に、またトレーナー自身のこれまでの現場での事例も重ねながら選手や指導者の皆様にも一緒に体験していただける内容となっております。
 
4月開催のリコンディショニングワークアウトは競技を問わず実践しやすい内容を用意しております。
 
 
慢性障害をゼロにする為のセルフコンディショニングについては5月以降企画用意しておりますので、是非お楽しみにお待ちください。
 
週末のセミナー詳細は以下よりご参照ください。

JARTAオンラインセミナー


 
オンラインセミナーでは実技中、内容についてのご質問も承っております。
今回の内容は強度が高いものではないのでどなたでもご参加いただけます。
是非お気軽にご参加ください。
 

JARTA公式HP
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2020年04月06日

家トレ材料をインスタでチェックせよ!!!


 
まだまだ休校と部活動の活動規制やプロチームにおいても満足な活動が行えない状況で家でのトレーニングを継続する選手も多いと思います。
そこで今回はJARTAの講師陣の中でも指折りの身体操作を誇るトレーナーのインスタでのトレーニング模様を共有したいと思います。
 
ぜひともインスタグラムをされている方はフォローして安全に最大限考慮しながらチャレンジしてもらえればと思います。
 
まずはJARTA随一の身体操作を誇る萩トレーナー
 
https://www.instagram.com/p/BvYj8iGnaoT/
https://www.instagram.com/p/B-Qfyn-BcAE/
 
 
 
いつも楽しそうなトレーニングを公開しております。
 
続いてはサッカー選手を中心にプロアマのサポートをしている和泉トレーナー
 
https://www.instagram.com/p/BsNMji2gxh5/
 
https://www.instagram.com/p/BvTkUNcAxK6/
そしてその和泉トレーナーがサポートしている岩崎悠人選手も頻繁に和泉トレーナーとのトレーニング動画を公開しております。
 
https://www.instagram.com/p/B9Tn6Wtp-XN/
 
https://www.instagram.com/p/B-g014kDGqJ/
 
 
多くのトレーニングをSNS等で情報収拾できる今だからこそ、JARTAトレーニングを実践するトレーナーや選手のSNSをフォローすることで今後セミナー内容に加わる可能性のあるトレーニングなども目にすることができるかもしれません。
 
 
そして最後に、東京で活動する真木トレーナーのインスタもご紹介します。
 
前述2人に負けず劣らずの身体操作ですが、それはこのようにも使えるそうです。
 
https://www.instagram.com/p/B-M1H_TBFoH/?igshid=1o10mcopjcs76
 
もしご興味のある方は実践してみてください。
 
もちろん真面目な動画ももちろんあります。
https://www.instagram.com/p/B4kT_y7hchg/
 
 
 
映像でも楽しみながら、身体操作の可能性を存分に楽しんで自宅でのトレーニングを続けて頂きたいと思います。
 
今回はJARTA講師陣のインスタ紹介でした。
 
現在オンラインでのワークアウトも募集を開始しておりますのでご興味のある方は下記よりご参照ください。

JARTAオンラインセミナー


 
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
 
 

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2020年04月01日

小さな事から習慣化 ~行動を分解して習慣にする~

 文:川原正好

 

 

皆さんは普段、習慣にしていることはありますか?

 

スポーツに取り組む選手であれば毎日取り組んでいるトレーニング自体が習慣化していると言えます。学生競技やプロ選手などは週56日でトレーニングに取り組んでいるかと思います。

 

ただ、社会人として競技に取り組む方、またはトレーナーの方などは仕事をする合間を縫って自身のトレーニングに取り組むために、まとまった時間がなかなか確保できないという方もいらっしゃるかと思います。

 

トレーニングに限らず、仕事に関する勉強であったり読書などといった自己研鑽にも時間を割いていこうとした場合、時間がないというのが実情ではないでしょうか。

 

 

例えば、読書を習慣化しようと決めて始めたは良いけど仕事が忙しくなってくると、

 

「今日は仕事で疲れたし、また明日から」

 

といった調子でなかなか習慣化しないという方もいらっしゃるかと思います。

 

 

良い習慣としてイメージしやすいのは、

・運動(散歩、体操、水泳、スポーツなど)

・読書

・勉強

・体調管理

などがあげられるかと思います。

 

一方、悪い習慣としてあがるのは、

・暴飲暴食

・多量飲酒

・寝不足

・喫煙

・テレビ、スマホの見過ぎ

などが考えられます。

 

同じ習慣といっても良いものも有れば悪いものもありますが、皆さんの毎日は良い習慣で満たされているでしょうか?

 

答えは「Yes」の人もいれば「No」の人もいると思います。

 

 

 

No」の方へ

 

なぜ、良い習慣が定着しないのでしょうか?

 

もしかしたらあなたが習慣にしたいと思っていることのハードルが高すぎるのかもしれません。

 

 

先ほどの読書を例にすると、

 

目標:毎日10ページ、読書をする。

 

としたとします。

 

これで続けば良いのですが、簡単には習慣化できません。

 

 

なぜか?

 

 

これでもハードルが高すぎるのです。

 

 

 

習慣化するのにポイントとなるのが、習慣化する行動を分解することです。

 

 

「本を10ページ読む」という行動を分解すると、

 

1.読みたい本のところへ行く

2.本を読む場所へ持っていく

3.本を開く

41行目を読む

52行目、3行目…1ページを読む

62ページ、3ページ…10ページを読む

 

となります。

 

この時に目標と設定したのが6の部分になります。

ここに目標設定をすると、ハードルが高くなって習慣化しにくいのです。

 

 

そこで試していただきたいのが、

 

『目標を出来るだけ低くする』

 

です。

 

上記の読書でいえば、14を目標としてそこが出来たら「よし、今日もよくできた!」と思うのです。

 

この達成感が非常に重要です。

 

 

どんなに小さなことで、達成感が満たされるとやる気が出てきます。

 

すると自然に物事に前向きに取り組みたくなります。ページ数を増やしたくなれば、増やして構いません。

 

 

もし、増やしたくなければそれで構いません。

 

なぜなら、既に目標を達成しているからです。

 

 

小さな目標を達成することで、達成感が生まれてやる気が生じます。

 

翌日も同じ目標設定をして、また達成します。

 

そうすることで目標達成のサイクルを定着させ、良い習慣を身につけていきます。

 

 

これはトレーニングや運動などでも同様に設定が可能です。

 

 

まずはスクワットを1回することから取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

 

より良い習慣が身につき、あなたの大きな目標達成の一助になれば幸いです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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2020年03月29日

今すぐできるパフォーマンスアップ 〜障害予防とパフォーマンスアップの関係〜

 

文:矢口雅人

みなさん障害予防と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。 そして、パフォーマンスアップと聞くと何を思い浮かべるでしょうか。

きっと、 障害予防と聞くとストレッチ。 パフォーマンスアップはトレーニング。

という人が多いのではないでしょうか。

 

障害予防

慢性障害の場合、受傷部位の筋力低下や柔軟性低下の問題もありますが、受傷部位周囲の関節などの機能低下による代償として(かばって)受傷する場合が多いといわれています。

怪我をしないためには、受傷部位の機能改善はもちろん、受傷部位以外の機能改善も同時におこなっていく必要がある。

つまり全身の機能改善が必要になります。

 

パフォーマンスアップ

どのスポーツにおいても、ある一部位だけの運動はほとんどなく、全身を使った動きがほとんどです。

そのため、一部分の機能向上ではパフォーマンスアップには限界があり、全体のバランスを考えた時に偏りがでてしまい、一部分への負荷がかかりすぎてしまう。

同じエネルギーを出すにも、一部分での出力よりもより多くの部位で出力した方が各部位の負担が軽減される。軽減されるということは、省エネにもつながり長持ちする。

つまり、パフォーマンスアップさせたい動きに対して、部分的なトレーニングだけではなく、全身をうまく使えるようなトレーニングが必要となり全身の機能向上へと繋がります。

いかがでしょうか。 障害予防とパフォーマンスアップの関係性が見えてきたでしょうか。
 
そうです。
障害予防 = パフォーマンスアップ
です。
もちろん、スポーツ選手と高齢者では求める障害予防のレベルもパフォーマンスアップのレベルも違いますが、根底にあるものは同じです。
そこでみなさん、ストレッチを十分にできていますか?
トレーニングをしっかり行なっている人はほとんどだと思いますが、ストレッチをないがしろにしていませんか?
ストレッチをウォーミングアップやクールダウン程度にしか考えていませんか?
しかし! ここにみなさんの伸び代があります!!
 

他の選手と差をつける

部活にしてもクラブチームにしても全体での練習時間はみんな同じであり、場所などにも制限があります。
単に時間という量ではみんな同じように成長します。
だとすると、みんなと同じ量をこなしているだけでは、他の選手と差をつけることはできません。
では、どうするか。
 
ストレッチです。
ウォーミングアップやクールダウンとしての目的はもちろん、今よりももっと使いやすい身体へ変えることです。
「もっと股関節を柔らかくしたい」とか「肩まわりが硬い」など、みなさんも少なからず自分の身体に対する改善点があると思います。
先述したとおり、
障害予防 = パフォーマンスアップです。
 
単純に関節の動く範囲が拡がるだけでも、今まで届かなかった範囲まで動かすことが可能になります。
身体が変われば、今までできなかったテクニック(スキル)ができる可能性があるかもしれません。
もちろん、怪我をしない選手にもなり、怪我をしない選手というだけでもチームからするととても貴重な選手になることができます。
そして、ストレッチに関しては家でもどこでも場所を選ばずできます。 自分の好きな時間に好きなだけ行うことができるのです。
ここに、他の選手と差をつけることができるところがあると思いませんか。
 
たかが、ストレッチ
されど、ストレッチ
 
みなさん、『今』がパフォーマンスアップするチャンスです。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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2020年03月26日

練習再開その前に

文:赤山僚輔

 
新型コロナウイルス正式名称「COVID-19」による学校休校や部活動の活動休止とこれまで経験したことがない期間が1ヶ月になろうとしています。
 
新年度を迎えるにあたり多くの部活動においては再開の日が近づいていると思います。
 
今回はまだはっきりとはわからない全面的な部活動の再開を前に、いまだかつてない事態だからこそ練習再開時に想定しておくべき事態についてお伝えできればと思います。
 
 
 
 
「1日でもはやくいつも通りの練習がしたい」
 
 
 
これが選手だけでなく関わる指導者の総意であると思います。
 
 
はやる気持ちをおさえて、まずは、最低限想定しておきたい懸念事項について整理しましょう。
 
 
①最悪の想定をする
・全く運動をしておらず圧倒的に体力が落ちている
・抑揚のない生活をしており集中力が低下している
・規則正しい生活ができておらず自律神経のバランスが乱れている
・ウエイトコントロールが出来ておらず体重増加がみられる
・偏ったトレーニングによって身体のバランスが著しく崩れている
 
 
②初めての為わからないと自覚しておくべき事項
・休止期間後にどうやって運動強度を上げていくべきか不明瞭
・集中力が低下することにより練習中にどのようなリスクがあるか(ミスコミュニケーション含めて)
・自律神経バランスが崩れることによりリカバリー機能など疲労回復にいつも以上に期間を要する可能性がある
・やりたい気持ちと動きにく身体とのギャップによって生まれる弊害
 
 
簡単にではありますが、最低限選手側も指導側もおさえておく必要性があることを羅列しました。
 
 
要するに
 
「いつも通りじゃない、という大前提を全ての事象に置き換え考える」
 
 
これが今回においては重要であると考えています。
 
その上で解決可能な対応策について後述させていただきます。
 
 
 

ヒアリングをこれまでの基準を度外視して丁寧に実施する。

 
様々な状況でヒアリングやシェアリングをすることはどんな部活動やスポーツ活動でも行ってきたと思います。
 
今回のケースにおいてもおそらく大なり小なり実施されると思います。
 
ただ今回ばかりは選手の“大丈夫”が本当に大丈夫かどうかを慎重に判断する必要性があります。
 
荷重関節の骨であれば繰り返しの荷重や適切な水分量、栄養補給によって強度が保たれます。
 
もちろん筋肉がしっかり働くことによって骨への必要以上の負担が軽減されます。
 
それが出来ていない状況でどうなる可能性があるのか
これまで疲労骨折や慢性疲労が蓄積しやすかった選手やチームであれば、運動再開後にその部位へ急激なストレスが加わることで最悪の事態も考えなければなりません。
 
「いつもこれくらいの痛みであれば、だましだましいけば大丈夫だから。」
 
これを今回ばかりは見過ごさず慎重に様子をみてもらいたいと思っています。
 
現在はエコー技術の進歩もあり、高額な医療費を捻出しなくても簡易的に患部状態を知ることもできるようになりました。
 
身体に痛みや気になる部分がある際には部活動再開前に医療機関で精査する事をお勧めしますが、再開後に発生した症状に関しても軽視せずに慎重に向き合ってもらいたいと思います。
 
 
こういったヒアリングはもちろん指導者の役目かもしれません。
しかし定期的に部活動に関わるスポーツトレーナーもこれまでと同列に考えずに、「もしかしたら・・・。」という視点で今後の練習再開時の選手の状況については考えてもらいたいと思います。
 
 
 

シェアリングにしっかりと時間を使う

 
 
部活動休止期間中にそれぞれの選手がどのような過ごし方をしていたかは、指導者の想像を良くも悪くも超えるかもしれません。
 
「選手間でこれくらいはやっているだろう。」
 
という推測は合致しにくいと思います。
 
 
休止期間中にオンライン上でのやりとりや日誌をつけていれば共有がしやすいと思います。
 
最低でも、どのような日々を過ごしていて柔軟性や体力だけでなく、集中力や俗に言う“やる気”の具合なども共有しておくべきだと思います。
 
 
そしてチームメイト同士、指導者と選手間においては対話を好むタイプと立場的にも距離を置くことを好むタイプがいると思います。
 
今回ばかりはこれまでのタイプにこだわり過ぎない取り組みも大事な要素となります。
 
休止期間後にコンディションの問題やモチベーションの問題などで練習へ積極的に参加できないなどといったことが無いようシェアリングを行なっていきましょう。
 
「これまで行なって来なかったから・・・。」
 
ではなくこんな機会だからこそヒアリングとシェアリングを丁寧に、そして心身の状態を慎重に検討しながらの運動強度の調整をしていくことを強くお勧めいたします。
 
チームにそのような関わりのスポーツトレーナーや医療従事者がいれば、直接相談してし過ぎることはないと思います。(いつも以上に用心深く聞いてみてください)
 
 
もしいなければお答えできる範囲で返答いたしますので以下お問い合わせまで、懸念事項や相談したいことをご連絡ください。
 

お問い合わせ


 
競技やカテゴリーによってリスクの高い怪我を共有することや、状況によって効果的な強度設定やヒアリング、シェアリング手法について共有させていただきます。
 
 
そして最後に、まだまだ活動の場を与えられずに悶々とする選手たちへ
 
 
今こそ自分を見つめ、自分の伸び代について真剣に考え、環境に感謝して、この先の自分の人生や競技人生に対して具体的にそして建設的に考える絶好の機会です。
 
練習するだけが成長の機会ではありません。
 
自分を高めるためにできること
 
それは自分のことを誰よりも知ること
 
練習再開後に誰からヒアリングされてもどんなシェアリングの機会でも自信をもって具体的に答えられるこの1ヶ月間の振り返りを今から行っていきましょう。
 
 
長くなりましたが、ないものに嘆くことなく、あるものに感謝して今一度自分自身も最大限の準備をしたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年03月21日

選手との信頼関係を深める3つのポイント

文:平山鷹也

 
何度言っても選手たちの行動が変わらない。
自分の想いが相手に伝わっている気がしない。
 
 
もしそれが1回だけではないとしたら、自分の行動や伝え方に意識を向けてみる必要があるかもしれません。
 
 
コミュニケーションとは本当に難しいもので、どれだけ伝わっていると思っても100%伝わることはほとんどありません。
 
 
会話はキャッチボールに比喩されることがありますが、距離や方向を考えずに投げっぱなしになっていませんか?
 
 
今回は言葉を届けるための3つの要素について考えてみたいと思います。
 
 

  • ①言葉の前提

相手と自分で同じ言葉を使っていても、その前提が異なっていたら誤解につながります。
 
 
簡単な例を挙げてみます。
「毎日たくさん水を飲もう」と言われた場合、あなたはどのくらいの、どんな水を想像しますか?
 
 
普段全く水を飲まない人からしたら1Lも水を飲めばかなりたくさんかもしれません。
 
私は毎日最低2Lは水を飲むようにしていますが、その上でたくさん飲もうと言われたら3~4L 程度を想像するかもしれません。
 
 
また、水に対しても色々なパターンがあります。
 
水道水でいいのか、ミネラルウォーターがいいのか、外国製の硬水などがいいのか。
 
 
上記のようにそもそもの文章の捉え方が違うのに同じ結果を求めたら、当然望んだ結果は得られません。
 
 
ここで必要なことは、
前提条件をしっかりと共有しておくこと、です。
 
今回の例で言えば、
「毎日水道水でもいいから最低2Lは飲もう。」
と言えば、最初よりは誤解が少なく伝えられるかもしれません。
 
 
 
 

  • ②優先表象システム

私たちは五感を用いて世界を認知・認識しています。
 
 
その五感を大きく3つに、
V(視覚:Visual)、A(聴覚:Auditory)、K(身体感覚:Kinesthetic)と分類します。
 
VとAはそのまま視覚情報と聴覚情報のことです。
 
Kは皮膚などの体性感覚や味覚、嗅覚などを含めてここでは考えます。
 
 
このV・A・Kという3つの感覚は全て同じ割合で活用している場合は少なく、個人によって優先的に使用している感覚があります。
 
それを優先表象システムと言います。
 
 
3つの表象システムにはそれぞれ特徴がありますので、いくつかご紹介します。
 
V(視覚優位タイプ)の特徴
・早口で声は高め
・手で視覚的な情報を再現しようとする
・「見える・見栄え・反映」などの表現が多い
 
A(聴覚優位タイプ)の特徴
・リズミカルで抑揚のある話し方
・会話を再現しようとする
・「聞こえる・言葉・声」などの表現が多い
 
K(身体感覚優位タイプ)の特徴
・ゆっくりとして間のある話し方
・目を閉じて身体感覚を感じながら話すことが多い
・「手ごたえ・~な感じ・冷たい性格」などの表現が多い
 
まずは自分に当てはめて考えてみてください。

 
注意点としてはあくまでも優位なタイプがあるだけで、誰しもすべての要素を持っています。
 
 
V・A・Kの説明はこの辺にして、実際のコミュニケーションの話に戻しましょう。
 
 
上手く話が伝わらない場合、このタイプが異なっている場合があります。
 
 
つまり、V(視覚)タイプの人の表現方法はK(身体感覚)タイプの人にとってはわかりにくい表現かもしれないということです。
 
 
1対1で会話をしている場合は、相手の言葉からどの表象システムを優位に使っているか判断して自分が使う言葉や表現を工夫した方が伝わりやすいかもしれません。
 
 
特に集団に対して指導するときはできるだけ色々なパターンで表現するように心がけてみてください。
 
 
私が気を付けている点を一部ご紹介すると、
見本を見せながら(視覚タイプ)、言葉で説明して(聴覚タイプ)、感覚的な表現で補足していく(身体感覚タイプ)ようにしています。
 
 
順番は反応見ながら変えますが、基本的にすべてのタイプに当てはまるように表現します。
 
 
この考えを使う場合、自分がどんなタイプか知らないと無意識に偏りのある表現になってしまうので注意してください。
 
 
 

  • ③手本力

こちらは心理学的な観点でのお話になります。
 
 
私たちはどうしても聞きたいように聞いて、見たいように見てしまいます。
(これを心理学では認知バイアスと言います)
 
 
例えば、体型もだらしなくて姿勢も悪いような人を見ると、その人の体型がだらしない理由や姿勢が悪い理由ばかり探そうとし、目についてしまいます。
 
そんな人から栄養や姿勢の重要性を説明されても素直に納得できる人は少ないのではないでしょうか。
 
 
もしそれが正しい情報だとしても、言う側の問題で伝わらないことは非常に多いです。
 
 
逆に体型も姿勢も良い人の言葉は信頼できると判断しやすくなります。
 
 
JARTAで手本力を重要視している理由の1つもここにあります。
 
 
しっかりとした手本を見せられるからこそ、相手の聞く準備が整うということです。
 
 
極端な話、野球を始めたばかりの少年とプロ野球選手から同じアドバイスを聞いたら、納得の程度が全然違うことは想像できると思います。
 
 
しかし、本当ならばそのアドバイスが自分に合っているかどうかが問題のはずです。
 
 
このように私たちは、何を聞くかよりも誰から聞くかの方が優先されてしまうことがあります。
 
 
だからこそ普段から信頼されるような行動、習慣、言葉使いが大切です。
 
 
 
 
 
いかがだったでしょうか。
 
 
言う側と言われる側のタイミングや、声の抑揚、トーンなど他にも伝えるための要素はたくさんありますが、今回は3つにしぼって紹介しました。
 
 
どれだけ多くのことを意識しても100%想いを伝えることは難しいかもしれません。
 
 
でもその50%を60%、70%にしていくことは可能だと思います。
 
 
なかなか自分が伝えたいことが伝わらないと感じている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
 
 
全てはパフォーマンスアップのために。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2020年03月20日

音と動きの意外な関係

文:森 宜裕

 
みなさんは、運動を指導するときに「擬音語」は使いますか?
 
「もっと、グッと力を入れて!」
「サッと動いて!」
「そこでバーンや!」
 
などなどスポーツ現場や応援の席ではおなじみの声掛けかもしれません。
 
私たちは動きの中から耳には聞こえないその「音」を感じ取っているのかもしれません。さらには、動いておらずじっとしているときも音を感じています。「じっと」や「しーん」という擬音語が存在しますね。
 
子どもたちの遊びの中にも、動きに対する擬音語がたくさんあり、その表現は非常に豊かです。私たちも幼いころから自然にやってきています。
『謎の擬音語「デュクシ」の使い手』
なんてコマーシャルもありましたね。笑
 
 
日本語はもともと、擬態語や擬音が豊かです。
身体意識をいわゆる言語としてではなく、そのまま音として表すほうが伝わるからだと感じているから。
言葉は、身体の動きを脳で処理させてしまう抽象度の高い情報。一方、音は身体意識としてそのまま処理される可能性の高い、比較的具体度の高い情報です。
 
音を身体に訴えかけることで、言語以上の多くの情報をもたらすことができます。
 
 
 
運動指導をする際や、自分が動きを学習するときに意外とこの感覚が役に立つこともあります。
 
自分が動く際に動きというビジュアルの感覚だけでなく、音の感覚を取り入れます。すると、これまで上手くいかなかったものが、すっと解決出来たり、できているものもより完成度が上がったりします。
 
動きを形の連続としてだけとらえて、その切り取った場面を言葉で説明すると余計ややこしくなるのです。
 
世の中には、「こうなっていてほしい」「こうなっているべき」といった【結果の状態】を指示することが多いですね。
そうなると、そこに行きつく過程ではなく、そのときのフォームに焦点を置いた言葉を利用することになります。
 
けれども、多くの(特にジュニア期の)スポーツ選手に必要なのは、結果の状態を指示する言葉ではなく、【結果を引き起こす方法】です。この結果を引き起こす方法というのは、当たり前ですが、みんな等しく同じというわけではありません。同じ人でもその成長段階によって変わってきます。
また年齢が低ければ低いほど、指導がその語彙力に左右されることも多く一筋縄ではいかないものです。
 
ですが、「音」を使うことでこのあたりの問題を解決できる場面が存在します。
 
動きを音で表現し、その質感やリズム感を伝えることで、選手が動きに強弱をつけるようになったり、スピードを高めるきっかけになったりします。
心理状態に影響を与えることも少なくありません。
 
 
 
 
音と身体は密接につながりがあります。
動きのことを言葉でいろいろ言われると、固まってしまい逆に動けなくなるのは、脳ばかりが働いてしまうから。身体が個々の動きの組み合わせとなり全体のまとまりが失われます。
 
 
 
言葉は身体をときに分解してしまいますが、音は身体を全体のまとまりとして一つにする効果があるのです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
現在募集中の森が講師を務める「JARTAトレーニングを“リズム”で読み解く」については以下より詳細をご参照ください。

JARTAトレーニングを“リズム”で読み解く


 

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2020年03月19日

基礎ってどこから?

文:岡元祐樹

 
 
「基礎的なトレーニングから始めていこう」
 
チームにおいて集団のトレーニング指導を開始していく際、そのように考えるスポーツトレーナー(以下トレーナー)は多いと思います。
 
いきなり複雑なトレーニングから始めると、難易度が高過ぎて選手の気持ちが乗ってこない、嫌になってしまうというリスクが容易に想像できるからです。
 
そういったリスクを考え、自分の考える基礎的なトレーニングを実施するのですが、それでも選手個人個人のレベルの違いを感じることがあります。
 
選手によって『できる』『できない』にばらつきがあるということです。
 
トレーニングの難易度をどれくらいに設定すればいいのか?レベルの高い選手に合わせるのか?低い選手に合わせるのか?悩むこともあると思います。
 
ここで注意したいのが冒頭に出てきた『基礎』という言葉です。
 
自分が考える基礎。選手が考える基礎。あなたが考える基礎。実は全て違うものになってしまうリスクがあるからです。
 
個々の捉え方が曖昧なままで「基礎的なトレーニングをやる」とアナウンスしてトレーニングを行った場合、選手によっては「基礎だから簡単すぎる。つまらない。」もしくは「基礎なのに難しすぎる。自信がなくなってしまう。」という心象を与えてしまうかもしれません。
 
このような事態はどちらもトレーニングへのモチベーションの低下を招いてしまうかもしれません。基礎という言葉の持つイメージを共有する必用があります。
 

 
今回の記事は、何気なく使う『基礎』という言葉を、しっかりと意図的に使うきっかけにしていただけるよう書き進めていきたいと思います。
 
 

基礎とは土台のこと?

 
基礎が大事。基礎を固める。基礎的な練習。
 
このように使われる基礎という言葉。辞書的には「ある物事を成り立たせる大もとの部分」という意味を持っています。
 
こう書くと、自分が頻繁に使う言葉であるにも関わらず、ものすごく抽象的であることに気付かされます。
 
繰り返しになりますが、抽象的ということは受け手によって解釈がばらつくというリスクがあります。
 
その結果、基礎的なトレーニングというのは競技や世代を問わずバラバラです。
 
例えば野球であれば素振りやシャドウピッチングを基礎と言うかもしれません。柔道であれば受け身、サッカーであればインサイドパスなどが基礎であるかもしれません。いやいや、その動きを可能にする筋力や柔軟性こそが基礎だと言う方もいるでしょう。
 
 
基礎という言葉をどう定義し、共有するか?
 
ここからは理学療法士でもある筆者個人の考えであり、定義付けでもあります。それを前提に読み進めて下さい。
 
基礎という言葉には建築用語として「建造物の荷重を支持し、地盤に伝える最下部の構造物」という意味もあります。
 
そのような観点から考えると、基礎というのは「身体の構造そのもの」と言えます。身体の構造という基礎ができていて、そこからその構造が機能を発揮し、動きに繋がっていきます。
 
例えば各関節の構造です。体重を支持する際の支持機構はしっかり働いているのか?動かす際はその動きを阻害する因子はないのか?
 
プロとして活躍するアスリートであっても、それら全てが完璧に備わっている選手というのは少ないです。子供だから柔軟性は問題ないということもありません。
 
そのことを前提に『基礎的なトレーニング』という言葉を使うのであれば、それは身体の構造を可能な限り正常化していくための取り組みということになります。
 
このように選手に説明できれば、前述した「基礎だから簡単、もしくは基礎なのに難しい」などのネガティブな心象をポジティブなものに変えられるかもしれません。できて当たり前のレベルにしないと次のトレーニングに進めないから、もしくは進んでも効果が出にくいということがイメージできるからです。
 
 
少し話は変わりますが、基礎と似たような言葉で『基本』というものがあります。これは「物事が成り立つためのよりどころとなる大もと」という意味で使われます。言い換えると判断や行動の指針という意味です。
 
基礎の持つ建築用語としての意味を振り返ると、基礎という言葉の方が基本という言葉より根底にある印象を受けます。
 
先日お亡くなりになった野村克也氏も著書の中で「何事もスキルを身につけるには基礎・基本・応用というステップを順に踏んでいくことが必要だ」と述べられており、基礎が基本の土台という認識でよいと筆者は考えています。
 
 
ここで一旦話をまとめます。
 
基礎的なトレーニングと一言で言うが、個々で受け取り方が異なる。
 
そこで基礎という言葉の定義付けが必要。
 
筆者としては、人が本来備えている身体の構造と定義したい。
 
となります。
 

様々な動画は『基本』かもしれない

 
基礎という言葉を定義したところで考えたいのが、目の前にある、もしくは頭の中で考えているトレーニングです。
 
最近は様々なトレーニング動画を目にすることができますが、それらは基礎のレベルをクリアしている選手による『基本や応用のトレーニング』である印象を筆者は抱きます。
 
もしそのトレーニングを取り入れるのであれば、見習うのはその根底にある基礎のレベルの高さです。
 
例えば立位で行うトレーニングであれば足関節の構造は気になります。足関節の前面にある前脛骨筋腱の周辺組織は硬くなっていないでしょうか?腱の内側の組織が硬くなることが多いのですが、それを放置しておくと足関節の底背屈の動きが正常から逸脱していきます。
 
足関節はただの一例に過ぎませんが、トレーナーはそのような観点からもアプローチを図り、選手のパフォーマンスアップに貢献できる必要があります。大きな建物の基礎は、外からでは見るのが難しいからです。
 
 

言葉を定義するとやるべきことが見える

 
「基礎ってよく使う言葉だけど、イメージが曖昧じゃないか?」
 
そんな筆者の未熟さから出発した今回の記事でしたが、言葉の意味を定義したことで学ぶべきことやトレーニングの選択方法について整理することができたと感じています。
 
また1つのトレーニングに対しても、基礎をどのレベルにおくかでそのトレーニングが枝分かれしていき、多種多様なトレーニングが思い付くようになります。
 
トレーニングの引き出しが少ないと感じているトレーナーは、たくさんの枝を出せるように要素の抽出を試みるといいかもしれません。
 
今回の定義付けにおいての『基礎』を構築していくためには人体の構造、特に関節の構造や動きを理解していく必用が生じてきます。その部分のケアやトレーニングが基本・応用そして競技の動きに繋がっていくからです。
 
関節の構造、機能、動きそして改善方法はJARTAのセミナーではコンディショニングスキルセミナーで学ぶことができます。
 
セミナー情報はこちらから

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大きくて立派な建造物ができるように。地味で辛い基礎的なトレーニングを、少しでも楽しく継続していけますように。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2020年03月11日

広い視野と生活習慣

文:岡元祐樹

 
 
あるマンションのエントランスで、ゲームに夢中になっている少年たちを見かけました。
 
最近ではあまり珍しい光景ではありませんが、筆者は子供たちの服装に違和感を覚えました。
 
サッカーのユニフォームとソックス。
 
おそらくこれからサッカーの練習があるのか、それとももう終わったのか。
 
その光景を見て「視野の習慣について認識している人はどのくらいいるのだろうか?」と感じ、今回の記事を書きました。
 
 
視野には『中心視野』と『周辺視野』と呼ばれる視野があり、そこから得られる視覚情報はスポーツのパフォーマンスに大きな影響を与えます。
 
しかし現在の日本では『中心視野』に偏った生活スタイルが定着しつつあります。
 
そのことを理解しつつ日常生活を送るのと、知らずにただ気が向くままに過ごすのとでは見えてくる世界が変わってきます。
 

 
 

協調的に働く中心視野と周辺視野

 
今回の記事のメインとなる中心視野と周辺視野について説明していきます。
 
『中心視野』は物の姿形を正確に認識するための視野のことです。しかしその範囲は焦点を当てた注視点からほんの1~2度程度の範囲にすぎません。
 
例えば読書をする際、目は文字を中心視野で追いながらその文字を認識します。
 
 
一方、『周辺視野』は中心視野の外側の視野を指します。この周辺視野は動く物を察知する能力に長けています。その変わり、動かない物や細かい形などを認識することが苦手です。
 
例えば道を歩いている際、視野の右端の方から車(のような動く物)が近づいてきたので立ち止まったというようなシチュエーションがイメージしやすいかと思います。中心視野で正確に認識はしていませんが、周辺視野に入ってきたのでぼんやりとではあるが認識できた、という具合です。
 
 
この中心視野と周辺視野は独立して働くというよりは、協調的、つまりお互いの機能を発揮しながら視覚情報として機能します。
 
車を運転する際、中心視野で信号や看板を認識しながらも、周辺視野で他の車や歩行者の動きを認識できるので、ある程度の危険を察知しながら運転ができます。
 
逆に「やめよう、歩きスマホ」などのキャッチフレーズに代表されるように、中心視野でスマートフォンの画面を見ることに集中しながら歩いていると、人や物にぶつかってしまうリスクが高まります。
 
このように人間の生活において中心視野と周辺視野の協調性は重要です。そしてその人間が行うスポーツのパフォーマンスにも当然影響してきます。
 
筆者がそれを強く感じるのが、テニスの試合を観た時です。
 
例えばラリーから得点が入るようなシーン。トップ選手たちは相手選手の動きの逆をつくショットを打ち返します。相手選手は逆をつかれることになるので対応が遅れ、得点を許してしまいます。
 
このような得点シーンの場合、考えられるのは次の3つのケースです。
 
①たまたま打ったら相手の逆をとれた
②戦略的に相手の逆をとれるようにラリーを繰り返していた
③ボールを見ながら相手選手の動きも見えており、その動きの逆を突いた
 
①はただのラッキーです。
 
②は戦略を練り、決まったパターンの反復練習が必用になります。しかし相手が想定外の動きをするとボールを拾われる可能性が高まります。
 
③はその時のボールと相手選手の動きによってショットの方向を選択することができます。これは中心視野と周辺視野が協調的に働くことで認識できる対象が増え、スポーツにおいて有利になる能力と言えます。
※選択した通りのボールが打てるかどうかは別問題となります。
 

 
この能力はテニスのみならず、あらゆる競技で応用できます。サッカーであれば自分に向かってくるボールを認識しながら自分をマークしにくるディフェンスの動きが認識できます。そうすると、トラップをするかパスをするか?トラップならどの位置にボールを納めるのがいいか?の判断材料が増えます。
 
 

視野が狭い原因は生活習慣も影響する?

 
中心視野に頼りすぎ周辺視野を協調的に使えない選手、つまり球技などでよく見られる「ボールしか見えていない選手」は必ずいます。
 
そのような選手が視野を広げていくにはどうすればいいのか?残念ながら確立されたトレーニングは筆者の調べた範囲ではありませんでした。
 
しかし筆者が周辺視野を認識できるようになっていった経験談ならお伝えすることができます。
 
筆者はサッカーとフットサルを今も定期的にプレーしています。
 
筆者は高校~大学時代は典型的な『ボールしか見えていない選手』でした。自分のところにボールがくると、他の選手がどこにいるかわからなくなってしまうのです。
 
当時はそれが『普通』だったので、単純に「ボールを足で扱うスキルが足りないんだろう」とか「ボールが来る前の周囲の状況確認が足りないんだろう」という程度の認識でした。
 
これらの理由も中心視野優位になる理由にはなるのですが、外的認識力という能力を知ってから考え方が変わりました。
 
JARTAでよく使われる外的認識力という言葉は、言い換えると自分以外のものに対する認識力という意味になります。
詳しくはこちら→https://jarta.jp/about/concept/
 
この外的認識力を学んでいく中で、筆者は中心視野と周辺視野の協調性について考えさせられました。自分にはそれが足りないのではないだろうか?そしてそれをプレーに結びつけるための努力を始めることにしました。
 
まずは単純にプレー中にボールが来たら「ボールを見ながら周りの選手も見よう」と意識してみました。
 
これはかなり大変な挑戦でした。ボールの扱いも選手の動きを把握することも中途半端になるからです。かなりミスを重ねましたが、選手として『結果』が求められる立場ではない、つまりミスしても怒られるわけでもない環境でプレーしていたので、周りには迷惑をかけたかもしれませんがこの挑戦を継続しました。
 
このようにプレー中に中心視野と周辺視野を協調させようと努力していると、プレー以外の時間にふと気付いたことがありました。カフェでスマートフォンを見ていると「あれ?スマートフォンの画面を見ているけど周りの人が何しているか分かるな」という感覚に気付いたのです。始めてから2~3ヶ月のことです。
 
もちろん簡単な動きしか認識できませんが、それでも筆者には大きな気付きでした。多様な場面で中心視野と周辺視野が協調し始めたと感じることができたのです。
 
その後プレー中も少しずつ精度が上がっていくのを感じました。それが筆者にとっては『プレーの準備や予測』に活かされ『プレー中の余裕』に繋がったと感じています。大したレベルではありませんが。
 
さらにこの経験を深堀りすると、プレー中ではなくカフェ、つまり日常生活の中で能力の向上を感じたという点が重要です。なぜなら競技と一見関係なさそうな日常生活においても、競技力の向上に必要な能力の要素を使っているからです。本気で競技力の向上を目指すのであれば、日常生活から変化をもたらす必要があることを示唆しています。
 
少し話は変わりますが、球技では「しっかりボールを見て」という指導がなされることが多々あります。
 
ここまでの内容だとこの指導は良くないという印象を与える可能性がありますが、筆者はそうとも限らないと思います。基礎的な技術を身につける段階であれば、ボールの動きをしっかりと確認することは有効だと考えるからです。
 
その段階を経て、さらなる応用として周辺視野の能力も協調させることができてきたら理想だと言えます。
 
 

その競技はさらに面白くなる

 
中心視野と周辺視野の協調的な働きは、トップアスリートなどの特殊な人間だけが持っている能力ではありません。車の運転でも使われていると前述したように、多くの人間が持ち合わせている能力です。
 
ただ、冒頭でも触れたように現代では中心視野を使い過ぎる環境が増えています。スマートフォンやテレビゲームをするといった非常に狭い視野しか使わない時間が多くなっているのです。
 
スポーツにおけるパフォーマンスアップを考える上で、そのような生活習慣ももしかしたら見直す必用があるかもしれません。そして指導者はそのような生活スタイルの変化も前提条件として頭に入れておく必用があります。
 
その選手に広い世界を見せたいのであれば、視野が狭いことの原因を考える際に今回の記事の内容も考慮に入れてもらえればと思います。
 
ボールも見ながら周りも見ることができるとその競技はさらに面白くなる。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2020年03月05日

今こそ立ち止まり振り返ってみよう


 

文:赤山僚輔

 
現在多くの学校において、コロナウイルスの影響で休校およびスポーツ活動が休止を余儀なくされています。
スポーツに関わらず、医療機関や公共機関はじめ関係各所での皆様のご負担はきっと私の想像を超えるところにあると思います。
今回は特に休校の対象となった選手達に日々関わっている1人のスポーツトレーナーとして、またJARTAというスポーツトレーナー団体に所属している身としてお伝えできる範囲でこの機会をプラスに転じる方策について述べさせていただきます。
 
 
例外なく私自身もサポートチームでの部活指導の休止や全国大会の中止、チーム合宿の休止とこれまで経験した事がない事態が目の前に出現しています。
多くの指導者や発信者は自宅で実施できる学習やトレーニング・ストレッチなどを動画配信やオンラインで指導するなど様々な趣向を凝らしてこの境遇でも選手たちの為に行動を起こしています。
そのような指導を必要としている選手や指導者の皆様が本ブログをお読みの場合、JARTAにもオンライントレーニングプログラムの配信もあるので是非ご覧になっていただきたいです。

Online JARTA Training Program


 
ただ本日お伝えしたいことは上記ではなく、これまで多くの選手や部活動に関わり課題であると思っていた以下の点が今回の機会によって十分に解決可能であると考え記事にすることにしました。
 

課題1:やらされる事が多く自分の意思や自分の事を考える隙間がない

現在のジュニア世代のスポーツ業界において練習量や休暇の量や頻度について常に議論が行われ、怪我との相関についても様々場面で多くの研究や検証がなされてきました。
強化に関わる指導者にとっては時に休むことは脅威であり、ライバル選手やライバル校と差をつける為に少しでも多く、長くという思考は致し方ない側面はあると思います。
(もちろん効率重視で実施している多くのクラブや指導者もいるという大前提でお伝えしています)
 
そんな中で練習を繰り返す選手たちをみていると、日々練習をこなすことで精一杯で余裕がない選手が多い事が印象的でした。
余裕がないと目の前にあるタスクをこなすだけで1日が終わってしまうので、自分のことを考えるスキがなくなってしまうのです。
それは身体の事であり、心の事であり、またチームメイトとの関係性やこれまでの試合の振り返りなどが含まれます。
自分の事を考える時間がないということは自分の状態に耳を傾けられていないとも捉えられ、そういった選手ほどコンディションを維持する事が困難であったり、試合時に調子を上げる事ができなかったりしてしまいます。
これは選手が悪いわけでも指導者が悪いわけでもなく、ある程度の時間的な制約があり慣習もあり環境を抜本的に改革しにくい文化的な背景も問題の背後に内在していると考えています。
 
“主体的になれ”
そのように指導していても
自分の事を考えるスキがないと
自分にとっての意見や意思、何をどう行動するかという主体性の根源となる”思い”すら湧き出てきにくくなるのです。
 
 
 

課題2:何をどう振り返ればよいかが分からない。

これは特にジュニアアスリートにおいて該当するかと思いますが、チームスポーツであればチームのミーティングや試合の振り返りなどで現在の課題や今後の目標などを振り返り共有することは行われていると思います。
しかしこれを個人レベルに置き換えて、心身の問題や調子の波の問題、モチベーションなどいわゆるやる気の問題など自分のこれまでについて深く振り返る機会はあまり行われていないと思います。
どうすれば良いか分からなければやることもやる意義も見いだせません。
課題1と重なりますが、何をどうすれば良いか分からない場合、目の前の事象にただ取り組むだけで精一杯になる選手も少なくないと私は考えています。
 
 

解決の為の振り返り方法

いま、休校中で部活動もなく、これまでと比較して”時間がない”と嘆く選手はほとんどいないと思います。
 
これまで環境や時間や制約があったのである意味いいわけができていましたが、いまはそのような言い訳がしようもない状況です。
 
ただひたすらにトレーニングをすることも勉強することも、ストレッチすることも悪くはありません。
 
しかし、今だからこそできること。
 
今しかできない事を再考していくと、自分のこれまでを振り返ること。
自分の心身に対してゆっくりとじっくりと立ち止まって考えてみる事。
 
 
これがこの期間にできればそれは今後の為の本当に大きな財産になります。
 
トップアスリートやオリンピックを目指すような選手は、自分を見失わないように頻繁に”振り返り”という作業を繰り返します。
 
振り返る事で今自分が立っている位置を認識でき、不足を知り、足るを知ります。
自分に迷いがでてくると何にどういう理由で向き合っていくかが分からなくなります。
多くのプレッシャーや厳しい練習に耐え、更に前に進むには振り返りを繰り返し今の自分を俯瞰しつつ詳細に分析できていることがトップアスリートの条件にもなってきます。
 
程度の差はあれジュニアアスリートだからそれが出来ない理由はありません。
 
今回は最後に具体的に実施できる振り返りの方法を提示します。
是非時間がある皆様は実施してみてください。
実施して全く何も得られなければ、その内容を送付してお問い合わせ頂いても構いません。
是非チャレンジしてみてください。
 
振り返りその1
これまでの競技生活ですごく調子がよかった試合を3つ選び、その試合で調子がよかった要因(理由)をそれぞれ3つあげてみましょう。
振り返りその2
これまで練習中にイライラしてしまって練習に身が入らなかった時のことを思い出し、その時の共通点がないか3つ程度書き出してみましょう。
振り返りその3
これまで怪我をしてしまった時にその直前や少し前に怪我の原因になりそうな心身の問題がなかったか思い出して書き出してみましょう。
多く書き出せれば書き出せるほどに次に怪我をしそうな異変に気づけるようになります。
 
 
以上になります。
 
 
振り返る事で今の自分の傾向と対策が自ずと見えてくるはずです。
これからの過ごし方にも変化があるかもしれません。
 
本来はゆっくりと時間がなくてもこのような振り返りができると良いのですが、なかなかできない、できていない人ほどこの機会に取り組んでみましょう。
きっとその気づきや顕在化した事象がこれからの練習や試合時により良い状態へと導く一助となるはずです。
 
今回の想定外の事態をきっかけに普段の当たり前に感謝すると共に、当たり前を疑う良き機会になる事を願っております。
 
長くなりましたが最後までお読み頂きありがとうございました。
 

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2020年03月01日

スポーツにリズムが必要と感じているあなたへ

文:森 宜裕

 
「もっとリズムよく!」
「テンポを上げて!!」
 
 
スポーツの指導現場において、リズムやテンポに関するこのような指導の声を聞いたことがある人は多いでしょう。
 
私たちはどのようにして、動きの中のリズム感を流れている時間の中から感じ取っているのでしょうか?
リズミカルな動きとそうでない動きを脳がすぐに読み解くことができる仕組みは何なのでしょうか?
またどうしてリズム感のある動きを魅力的な動きと感じるのでしょうか?
 
このブログでは、このような疑問への考え方を、人類の進化の過程から考えていきたいと思います。
 
 
 
 
我々の遺伝子のほとんどは狩猟採集民族時代に形成されています。
 
600万年前から人類はチンパンジーとは別の道を歩み始めました。
250万年前には私たちと大体同じホモ属が出現し、20万年前に私たち自身であるサピエンスが出現しました。
 
この気の長くなるような期間のほとんどは狩猟採集生活であり、最後の1万年でようやく農耕・牧畜が始まりました。
 
農耕・牧畜は人類の歴史上600分の1しかないというわけです。
 
ですから、我々の遺伝子はほぼ狩猟採集民族時代に培われたと考えられます。
 
その非常に長い狩猟採集生活、私たちの祖先が暮らしてきた環境は、とても不確実性に満ちた世界でした。
 
つねに食料が保存されており、雨風をしのげる家があり、四季折々の行事が予定通りに進行される現代とは雲泥の差です。
 
狩りに出ても獲物が見つかるとは限りません。
天候の急な変化にはなす術もなく、現代の知識も当たり前のようにない時代の突然流行る疫病は脅威でした。
 
そんな先行きの見えない状況を生き抜くために、原始の人間は、あるシンプルな指標に目をつけました。
 
 
それが「反復」(=周期的なリズム)です。
 
 
天体の動きによる1年、太陽の動きによる1日。
時計が発明される以前、古代の人は、このような“周期性”を自然現象の中から見出しました。
 
季節による気候の変化を見抜き、日の出と日の入りから1日の生活のリズムを作ったのです。
 
 
そして、原始の時代に、確実に生き抜くためのカロリーを手に入れ、猛獣や伝染病から身を守る確率を高める方法は、自然界が作り出す特定のリズムに注目することでした。
 
特定のエリアを一定周期で動く獲物、同じ時期に同じ場所で実をつける植物、特定の季節に流行る伝染病ーーー。
 
不確実性の高い環境において、同じタイミングで何度も目の前に現れる事柄において、そこに着目し少しでも正確な予測を立てられた種族のみが、生き残る確率を高めてきた歴史が想像できます。
 
その結果、我々人類の脳の奥底には「反復」「周期的な変動や周期性」に強く反応するセンサーが備わったと考えられます。
 
何度も何度も一定間隔で繰り返されるものに魅力を覚え、「反復」にノルことに対してモチベーションを高めるプログラムが設置されたのです。
 
 
「リズム」が非常に重要な構成要素である、『音楽』という分化が世界中どこでも流行り続けているのは納得ができます。
 
 
そして、このプログラムは現代におけるスポーツ現場でももちろん発揮されています。
 
 
スポーツにおけるリズムとは・・・
緩急のある動きは、リズミカルに見えます。これは筋肉の収縮と弛緩がスムーズに行えている証拠。一流選手の動きがリズミカルなのはこのためです。
どんな動きも必ずリズムを持っています。それは頭の中にある「リズム」に「関節運動」を当てはめることで、「動き」が作られるからです。例えば「1・2・1・2」というリズムに足踏みが加わり、歩行という動きが生まれます。問題は頭の中にあるリズム。残念ながら日本人の多くは「1・2・3・4」という4拍子のリズムしかありません。しかし、音楽環境の豊富な諸外国人は8拍子、16拍子といった、日本人の2倍、4倍の細かいリズムを持っています。そのため、ブラジル人サッカー選手のパスのタイミングを日本人は読めません。
(一般社団法人スポーツリズムトレーニング協会 ホームページよりhttp://srt.or.jp/rhythmtraning/
 
 
動きの「形」のみにとらわれるのではなく、その周期性、リズムやテンポといった時間軸における動作に目を向けることは、スポーツ現場において非常に大切なことであることが感じ取っていただければ幸いです。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
現在募集中の森が講師を務める「JARTAトレーニングを“リズム”で読み解く」については以下より詳細をご参照ください。

JARTAトレーニングを“リズム”で読み解く


 

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2020年02月27日

新型コロナウイルス|今後のセミナーの開催について

 
セミナーへご参加いただく皆様ならびにご参加を検討中の皆様
平素よりJARTAをお引き立て頂きありがとうございます。
 
3月以降の弊社主催のセミナーに関しましては、少人数での実施など後述の感染症対策を実施した上で、原則予定通り開催いたします。
*ただし、状況変化に応じてやむを得ず開催を中止する可能性がございます。その際お申込者の皆様には早急にメールにてお知らせいたします。
新型コロナウイルスの影響を考慮し、参加をキャンセルされる方に関しましては、
キャンセルポリシーに関わらず、受講料の全額返金の措置を取らせていただきます。
キャンセルご希望の方は、下記お問い合わせまでご連絡ください。
また、感染拡大予防のため少人数でのセミナーを実施いたしますので、早めに受付終了としているセミナーもございます。
申し込みを検討されていた方は、後日開催されるセミナーにお申し込みください。
 

セミナー中の対応について

ご参加の方は下記感染症対策へのご協力をお願いいたします。
発熱咳くしゃみ全身倦怠感などの症状がある場合は、ご連絡の上参加を見合わせていただくなど、ご自身の体調管理にご留意くださいませ。
・体調不良であることが見受けられた方にはご退席をお願いする場合があります。また、体調がすぐれない方は遠慮なくお近くのスタッフまでお声がけください。
・必ずマスクの持参・着用をお願いいたします。
感染予防のための消毒液およびマスクを会場に設置する予定にしておりますが、現在2点とも入手困難につき不足/ご用意が難しい場合がございます。
大変恐縮ではございますが、出来るだけ予めご用意頂けますようご協力をお願い申し上げます。
・セミナー中は換気のため窓などの開口部を開けますので暖かい服装と、こまめな水分補給をお願いいたします。
なお、講師・スタッフはマスク着用にて対応させて頂きますことを予めご了承ください。
受講者様ならびにスタッフの健康と安全のため、ご理解、ご協力を賜りますようお願いいたします。
 

キャンセルについて

・弊社の都合によるセミナー開催中止
・新型コロナウイルス を考慮してのキャンセル
につきましては、全額返金いたします。
キャンセルされる場合は必ず受講者ご本人様よりご連絡ください。
 

お問い合わせ

キャンセルも含め、セミナーに関するお問い合わせは下記メールアドレスに
「氏名」「申し込みセミナー名・開催地域」を明記の上、ご連絡ください。

*お問い合わせをいただいてからご返信までお時間をいただく場合がございます。
順次ご返信致しますので、回答までしばらくお待ちいただきますことをご理解くださいませ。
セミナー担当事務局:seminar@jarta.jp



2020年02月26日

自分を知ることは、他者を知ること


 
文:平山鷹也
 

目次

 

    1. 1. 自分と他者
    2. 2. 逃げてきた過去に徹底的に向き合う
    3. 3. 自分探しとは、潜在意識の海に潜っていくこと
    4. 4. 自分を形成する、先天的要素と後天的要素
    5. 5. 自分と他者に境界線はない

 
 
 

1.自分と他者

自分が習得するのに苦労した技術やトレーニングほど、他者が苦労していく過程を理解できる。

 
逆に自分が苦労せずにできたことができない人を見ると、なぜできないのか理解できない。
 
これはスポーツトレーナーをしていなくても、多くの人が実感できることだと思う。
 
人は、いつでも自分と他者を比較して理解しようとするからだ。
自分という比較対象がない事象については理解できないと判断してしまうことが多い。
 
 
 
ここに、自分を知ることの意義がある。
 
 
 
自分という人間をより深く知れば知るほど、多くの人との共通点を見いだせるようになる。
それはすなわち自分の理解がそのまま他者を理解するための材料として使えるということだ。
 
例えば、私は小学生のころに始めた野球をカテゴリやレベルは違えどずっと今でも続けている。
その一方で飽きやすくミーハーな一面もあり、野球以外の習い事は3年以上続いた記憶がない。
水泳、そろばん、ピアノ、塾、居酒屋バイトなど。
 
たったこれだけのことを知るだけで、1つのことに熱中して周りが見えなくなる人も、
集中力がなくてなかなか1つのことを続けられずに悩む人のことも理解する材料を持っていることになる。
 
人は誰しも様々な要素をもっている。自分を知るという過程において、本当に何人もの自分に出会ってきた。
 
それを言語化し、顕在化することができれば、多くのクライアントに対して最適な自分を見つけやすくなる。
もしくはそれらが原因で悩むクライアントを救うヒントになるかもしれない。
 
しかし多くの人は自分という人間は1人だと思っている。だからこそ理解できなかったり、争いが生まれたり、拒絶が生まれたりする。
 
私は、幼いころからあることがきっかけで、自分という人間が2人いることを強く強く意識していた。
 
ここからは、その理由も含めて少しだけ私の自分探しについて書いてみたいと思う。
 
 
 

2.逃げてきた過去に徹底的に向き合う

私がまだ保育園の頃、家族からの告知に激しく動揺した。
(詳細は割愛させてもらいますが、今でも両親とは仲が良いです)
 
それからの約20年間、私の中にはいつも、
「自分のことは誰にも共感してもらえない(けどしてもらいたい)と思う自分」と、
「誰にも頼らずに1人で生きていけることをひたすら周りにアピールする自分」がいた。
 
もちろん無意識で。
 
 
あえて名前を付けるなら、寂しがりな鷹也と、強がりな鷹也である。
 
この2人の鷹也は裏表の関係でありながら、どちらも人とのコミュニケーションを拒否する性質を持っていて、どれだけ仲良くなった友達でさえ、100%心を許すことはできなかった。
 
 
そんな自分がいることもなんとなく感じながら、でも向き合えずにいたところ、ある試験に落ちた。
 
そこでのフィードバックで言われたことが、私の人生を大きく変えるきっかけとなった。
 
 
「自分自身がクライアントに対してもっとオープンマインドになる必要がある」
 
 
全てを見透かされているような気がした。
本当の自分を隠して、相手にも自分にも嘘をついてる人間が、相手のことを理解できるはずがないと気付いた。
 
 
そこから、私の自分探しという終わりのない旅が始まった。
 
 
当時の試験官だった方のサポートも受けながら、まずは自分自身の心に正面から向き合ってみた。
 
 

(幼少期の写真)

 
様々な手段を用いて自分の過去と向き合っている中で気付いたことは、あまり感情の起伏がなくいつも冷静でいられると思っていた自分の中に、実はとてもたくさんの感情があったということだった。
 
しかも感情の起伏がないのではなく、自ら感情を抑え込んでいたことまで理解できた。
 
1人で生きていくためには感情に流されちゃいけない、自分の感情が相手にばれることも弱点を見せることだからうまく隠して生きていかなければならない。
 
そんなマインドセットを小さい頃から積み上げてきていたことに気付いてしまった。
 
 
ここまでを理解した段階で、他者に対してオープンマインドになれない人に対する感度は非常に高くなった。
 
「あ、この人は何か心に抱えているものがあるな、でもそれを誰にも(もしくは数人にしか)伝えられなくて苦しんでいるんだな。」
 
 
そしてそれがアスリートであれば、胸椎や胸骨の硬さに直結するかもしれないし、消化できない出来事を抱え込んでいるせいで、消化器の不調をもたらしているかもしれない。
 
 
もしその問題を自分が解決すべきと感じ、クライアントもそれを望んでいることがわかれば、もしも自分だったらどんな場所で、どんな雰囲気で、どんな時間ならそれを伝えやすいかイメージしやすくもなった。
 
 
まさに他人事が自分事になった瞬間である。
 
自分のために始めた自分探しだったが、気付いたら他者を理解する能力も成長していた。
 
 

3.自分探しとは、潜在意識の海に潜っていくこと

人の意識には、「潜在意識」と「顕在意識」がある。
 
普段意識していることは顕在意識、そしてすべての行動や考え方に影響を与えていると言われているのが、普段は自覚することすらできない、潜在意識だ。
 
 
文献にもよるが、顕在意識は意識全体の1%未満で、私たちの思考のほとんどが潜在意識によるものであるらしい。
 
 
そして潜在意識は、過去の経験によって形成されていくこともわかっている。
 
私の例でいえば、幼少期に誰も自分のことは理解してくれないという認識をしたせいで、
「人生は自分だけの力で生きていかなければならない」と潜在意識に刷り込まれてしまった。
(これを心理学ではイラショナル・ビリーフ(非道理的な思い込み)と呼ぶ)
 
だからその後いくら同じ境遇や自分よりも大変な過去を持つ人に出会ったり、本当の意味で信頼できると思える人に出会っても、「自分1人で生きていかなければいけない」という考え自体を変えるのは難しい。
 
なぜなら顕在意識では幼少期のトラウマと今の考え方が結びついていないからだ。
 
自分が今考えているような顕在意識は、その100倍以上もある潜在意識から形成されている。
そしてその潜在意識は自分の過去にすべてがある。
 
だからこそ、潜在意識という深い深い海に潜っていくことは、「今の自分」を知るために非常に大きな要素であると考える。
 
JARTAにおいては、自分自身を内観することを「内的認識力」として言語化しているが、
それは身体感覚や意識状態だけでなく、潜在意識の要素も大きく関わっている。
 
ある場面で緊張したり身体が硬くなったり、逆にある状況下ではリラックスできたり、
これらの意識Ⅰに対して新しい意識Ⅱを作って克服したり利用したりするのも1つの手段だが、
潜在意識と向き合い、その理由が明確になれば設定を積み重ねることなく解決できることもある。
 
 
人前で発表するのがものすごく苦手で、緊張しすぎてしまう場合でも、過去に人前で大きな失敗をしてそれを親や友達に責められた(と本人が思っている)ことが潜在意識にあるのかもしれない。
 
それに対して、新たな意識Ⅰを設定してそれを作るルーティンを決めてしまうことも1つの作戦である。
 
しかし上記の潜在意識が原因だとわかれば、他の対策ができるかもしれない。
 
例えばそのときの出来事を両親(や友達)と思い出として話してみる。
そこですごく恥ずかしかったと伝えてみると、実は周りの人はそれほど気にしていなかったり、むしろすごく良かったと感じていることさえある。
 
 
こんなちょっとしたことで、潜在意識は書き換わる。
でも潜在意識に気付けなければ、ずっと対症療法が続いてしまうかもしれない。
 
 
もし自分のクライアントで、いつもピンチの場面で緊張して思うようなプレーができないと悩む選手がいて。
 
緊張したときに現れる身体症状(呼吸、胸郭、アウターマッスルの過剰収縮など)に対する対処法や日頃のケアを指導することはできても、本当の意味で克服する手段を構築するのは難しいかもしれない。
 
 
でもそこに潜在意識という観点を持っているトレーナーがいれば、もう1つ別の観点から解決策を探すことができる。
 
 
他者に潜在意識という海に潜ってもらうためには、自分はそれ以上に深く潜っている必要がある。
 
スキューバダイビングのインストラクターも自分より深いところへクライアントを潜らせることはできないように、潜在意識への潜り方もまた、自分探しの中で模索していく要素である。
 
 
 
 

4.自分を形成する、先天的要素と後天的要素

これまで述べてきた、「潜在的要素」とは、どちらかというと後天的要素が強い。
つまり、人生の中で起きた出来事によってその後の選択が変わってくる、ということだ。
 
 
では次に、先天的要素における「自分」というものにも向き合ってみたい。
 
先天的要素とはなんだろうか。
わかりやすいのは一卵性双生児の例だと思う。
 
 
一卵性双生児を生まれた瞬間に異なる環境で育てさせるという研究があるが、そこでは指しゃぶりなどの癖は全く同じだったが、性格は異なっていたと報告されている。
 
ここでの性格という表現が曖昧ではあるが、指しゃぶりという癖は先天的要素が強く、性格は後天的要素が強いと、この研究においては言えるだろう。
 
 
指しゃぶりや性格が先天的か後天的かを述べたいわけではなく、人は誰しも持って生まれたものと徐々に形成されていくものがあるということである。
 
 
私は先天的なものとして、家系(遺伝)、生年月日に関連した九星気学や星座などを考えてきた。
 
家系は理解しやすいかもしれないが、実はそれ以外の要素も取り入れていくと面白い発見がきっと見つかる。
 
 
そのようにして調べていくと、どの要素でも共通することが2つあることに気付いた。
 
 
1つは、個人的で独立的であること。
もう1つは、繊細で感性豊かであること。
 
 
前者はすごく当てはまるが、後者は全く心当たりがなかった。
 
 
そこでこう考えた。
前者は先天的にも後天的にも強調されやすい人生で、
後者は後天的要素によって隠されているのではないか。
 
 
もともと繊細で感性豊かであるはずだったが、それを押し殺すことが幼少期に必要だった。
 
でもそれが今はもう必要ないのであれば、先天的に持っている感性はこれからの大きな伸びしろとなる。
 
このように考えていくと、後天的要素と先天的要素をうまく活用すればもっともっと伸ばせる要素や、場面に応じて意識的に補完していく必要がある要素などをある程度は分類できるようになる。
 
 
この考え方は、スポーツトレーナーとして選手やチームをサポートする際にも非常に役立つ。
 
対象選手の先天的要素を事前に把握する、という意味でもそうだが、
硬いから、身体操作ができないから伸びしろ、だけではなく人種や体格など先天的な要素から考えられる(考えるべき)ことが爆発的に増えるからだ。
 
それがチームであれば地域の特徴や学校やチームの歴史などがそれに当てはまる。
 
世界で戦う上では当然のレベルで考慮することかもしれないが、生まれながらの特徴、地域差や学校の特徴、背景・歴史的要素に対する考え方が大きく変わることで、国内でのサポートにおいてもとても意味があると感じている。
 
 
 

5.自分と他者に境界線はない

自分を知るほど、他者を知ることができるようになる。
 
 
冒頭で述べたように、自分が経験したことであれば想像しやすく理解も共感もしやすいことが多い。
 
しかしそれだけではない。
自分という人間の歴史やそれが形成した潜在意識、様々な関係性の中で生まれる先天的要素を知れば知るほど、自分とは全ての関係性の一部でしかないと実感する。
 
全ての関係性の一部でしかない自分と、同じく一部でしかない他者との境界線はなんだろうか。
 
 
もともと1つだった地球に人が生まれ、縄張り争いをした結果、国境という境界線が生まれた。
 
それと同じように、我々も自分と他者との境界線を無理やり作っているのではないだろうか。
 
 
 
最新の科学や、昔からある宗教、各時代の天才たちも、自分と他者との境界線は曖昧であると指摘している。
 
 
分子レベルのミクロな視点で見ると、人と外界の境界線はかなり曖昧となり、
どこからが自分で、どこからが自分以外なのかよりわからなくなる。
 
そんなことを知ってか知らずか、「万能の天才」レオナルド・ダ・ヴィンチは自然界に線などないと言って、
人の輪郭線をぼかす手法、スフマートを発明している。
 
いくつかの宗教においても他人と自分を区別することなく1つになろうとすることを説いている。
(ワンネスの概念など)
 
 
これらの話が正しいかどうかということではなく、昔から現代まで、いつの時代も自分と他者との関係性は人々の興味の対象であり続けていることが面白い。
 
さらにAIが進化してどんどん機械化していく現代において、人の感情や神社仏閣に関連するような、
いわゆる目に見えない事象に対する書籍やテレビが増えてきている。
 
 
私自身もまた、自分探しが進めば進むほど境界線というものは自分が作っているだけで、実際には存在していないのではないかと思う出来事に数多く出会い、体験してきた。
 
 
 
知識として知るだけでなく、自身の体験として実感できればそれを体現する方法も意味も理解が深まる。
 
それを体験するための1つの手段が自分探しである。
 
 
スポーツトレーナーとは、他者である選手に徹底的に向き合い、その選手の人生にも大きな影響を与えうる職業だと思う。
 
そんな大きな責任を伴う仕事を全うするために、
日々自分に向き合い続ける姿勢を忘れずに鍛錬を続けていきたい。
 
 
自分を知ることは、他者を知ることだから。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2020年02月23日

サッカーのドリブルで予備動作を少なくするためのコツ


 

文:福原良太

 
サッカーのドリブルでディフェンスを抜くためのコツとして、色々なことが言われています。
 
・ボールコントロール
・上半身の操作
・相手との間合いや角度の取り方
・スピードの緩急
 
ネットや雑誌などでドリブルのコツを調べてみると、効果的なコツがたくさん書いてあると思います。
 
そんななか今回お話しするのは、少しディープなお話。
 
すり足ドリブルです。
(すり足ドリブルは話を分かりやすくするための、この記事のなかだけの造語として使います。)
 
すり足ドリブルができるようになると、予備動作を極限まで少なくできるので、ディフェンスに動きを悟られずに抜きされるようになります。
 
 

すり足ドリブルとは?

すり足ドリブルとは、簡単に言うとドリブルのときに「足を上げない」身体操作になります。
 
相手を抜き去る瞬間から2、3歩程度は足底と地面との距離を最小限にしていくドリブルの方法です。
 
選手に初めて伝えるときは、「地面と摩擦が起きるくらいにすり足で」と口頭で説明するときもあります。
 
“すり足”と聞くと、「忍者みたいに小刻みにコソコソコソと動くのかな?」と感じる人もいるかもしれませんが、歩幅は大きくても問題ありません。
(歩幅が小さくても大きくても地面と足底の距離を最小限にできるのが理想的です。)
 
そんなすり足ドリブルにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
 
 

すり足ドリブルのメリット

最も大きなメリットは、ディフェンスに予備動作を察知させない点です。
 
予備動作が察知できないディフェンスは、反応がコンマゼロ秒遅れます。
 
その遅れたタイミングで、ディフェンスを抜きされるのです。
 
体の動きがダイナミックに見えるクリスティアーノ・ロナウド選手も、じつは地面と足裏との距離が近いです。
 
クリスティアーノ・ロナウド選手は、フェイントはダイナミックですが、相手を抜き去る瞬間はかなり地面と足裏との距離が近いのがわかります。
 
よくあるのは、ディフェンスをより速くスピードで抜き去ろうとするあまり、身体の動きが雑になってしまい、抜き去る瞬間に足を高く上げてしまうモーション。
 
このモーションがあると、ディフェンスは対応しやすくなってしまいます。
 
また、よりハイレベルになってくると、ドリブルで抜き去るのも難しくなるでしょう。
 
抜き去ろうとしたけど、ディフェンスの対応も早かった場合、足を高く上げてしまうと、ボールタッチの方法が限られてしまいますが、地面から極力足を浮かさないようにしておけば、その後のボールタッチもしやすくなるメリットもあります。
 
 
そんなメリットのあるすり足ドリブルですが、習得するためのポイントがあります。
 
 

すり足ドリブル習得のためのチェックポイント3

習得のためには、以下の3つがチェックポイントになります。
 
・地面を蹴って移動している
・地面を見過ぎている
・前モモの筋肉の緊張が高くなっている
 
それぞれ解説します。
 
<地面を蹴って重心の移動をしている>
地面を蹴って重心の移動をしていると、どうしても足が地面から離れてしまい、すり足ドリブルが難しくなります。
 
地面を蹴らずに重心の移動をするためのポイントとしては、上半身の動きを意識する点です。
 
サッカーは力の伝導が上半身から下半身へ伝わっていきます。
 
上半身の動きが不十分だと、それを補うために下半身、特に地面を足元で蹴って移動することになってしまうのです。
 
選手によっては「みぞおちをスライドさせてステップするイメージ」と伝えるとうまく身体操作のできる場合もあります。
 
これは、みぞおちをスライドされることで、重心の上下動を抑制するとともに上半身の動きを利用してステップをできるようにする言葉掛けです。
 
ほかにも、「足で蹴って体を進めるのではなく、体全体が一つの塊のようにスーッと進むように移動する」という伝え方をする場合もあります。
 
また、JARTAトレーニングでいえば、大腰筋ストレッチや胸セパレートなどが効果的なワークになります。
 
 
<地面を見過ぎている>
地面を見過ぎると、足が引っ掛からないように足を上げたくなってしまいます。
 
地面を見過ぎてしまう理由には、プレーの余裕が関わっている可能性もあります。
 
たとえば、以下のようなことです。
 
・ボールコントロールスキル
・次のプレーのイメージができていなくてボールキープするために下を見てしまう
→結果、地面が意識下に入り過ぎてしまう
 
それ以外にも、身体操作の側面からいうと、「地面と自分の足との距離感覚」が不十分な可能性があります。
 
これは、体の各部位がどこにあるか、という内的認識力が問われるところです。
 
 
<前モモの筋肉の緊張が高くなっている>
前モモの筋肉、具体的には大腿四頭筋になります。
 
大腿四頭筋は通常、膝関節を伸ばすときに大きく作用する筋肉です。
 
ですが補助的に、モモを上げる動き(股関節を曲げる動き)の作用もあるのです。
 
モモが上がってしまうと、当然、地面から足が離れやすくなります。
 
では、大腿四頭筋が過度に緊張しないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?
 
裏モモの筋肉、ハムストリングスを競技場面で使えるように身体環境を整えれば、大腿四頭筋の過度な緊張を抑えた身体移動が可能です。
 
とはいえ、そもそも競技場面で活かせるハムストリングスなのかを判断するのも難しいと思います。
 
ハムストリングスの重要性や評価については過去に書かれた以下の記事を参考にしてみてください。
 
>>ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!
 
 

まとめ

今回はサッカーのドリブルで予備動作を少なくするすり足ドリブルについて解説させていただきました。
 
ディフェンスをドリブルで交わす際には、予備動作を少なくする身体操作は必須です。
 
ドリブルを得意としている選手はぜひ、参考にしてみてください。
 
また今回の「すり足」という部分で言えば、ドリブルをするオフェンスだけでなく、ディフェンス側の身体操作にも関わる部分もあります。
 
ディフェンスも相手の動きを察知したあとに、「素早く動く」ためには予備動作は少ないに越したことはありません。
 
今回の記事が少しでも選手の参考になれば、幸いです。
 
 

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2020年02月19日

浅く広くそして深く


 

文:赤山僚輔

皆様は目の前の選手のコンディショニングの際に、どのような器官に対してアプローチを選択していますか?
筋肉・骨・筋膜・皮膚・経絡・内臓など
少なからず筋肉が得意、関節調整が得意、筋膜のねじれや皮膚の評価が得意など一長一短があるのではないでしょうか?
しかしこのような一長一短は一時的には仕方がないとしても学びや成長の方向性として得意は伸ばしても苦手が残らない方がよいという観点について本日はお伝えしたいと思います。
 
 

一つの階層だけで評価治療を帰結するのは危険

私は理学療法士として勤務し始めて最初の頃は、実習で魅力的な治療を展開していた先輩療法士の影響で関節系の治療にのめり込んでいました。
関節の調整で一瞬で筋肉の緊張状態や痛みが変化する手技に圧倒され、関節系の治療流派をたくさん学びました。
その延長でカイロプラクティックの技術を学びにいき、器具も使ったりしながら治療に応用していました
そんな中、目の前のクライアントの症状や悩みに向き合う上で、軟部組織の短縮や滑走不全などを抜きにして機能の改善が果たしにくいことを実感し筋肉調整や、筋膜調整、皮膚運動学などを学ぶことになりました。
 
得意なアプローチや定型的な評価があることは再現性を高める上で重要であることには間違いありません。
 
しかしうまくいかない、症状が改善しにくい事例を前にして”いつも通り”だけでは解決への遠回りをしている可能性がある事は想定できる事態だと思います。
 
いつも関節の歪みを評価しているといつもと違う筋肉の張りや皮膚の硬さを見逃してしまうかもしれません。
 
人は自分の都合の良い解釈で目の前の景色を見る傾向があります。
みたいと思ったように目の前の現象がみえてしまうという側面もあります。
そのように自分自身の得意な側面のバイアスがありながら目の前のクライアントをみているという自覚の有無が重篤な問題点を見逃すか否かの大きな分かれ道でもあります。
 
 

視点を増やす事は浅く広くだけではない

観点を増やす前に、徹底的に同じ観点や分野に対して掘り下げていく事は上達の過程において非常に重要なステップの踏み方です。
治療者としてセラピスト・スポーツトレーナーとして自分の強みを生かすために徹底的に得意なコンディショニングスキルを深めていく事は有意義な手法としてある前提で。
現場で求められる事は目の前のクライアントの症状を解決する事であり、パフォーマンスを上げる事であります。
そこにスポーツトレーナー側の”いま学んでいる治療手技”という要素はほとんど関係ないと私は考えています。
選手は治療手技を選べません。
どんな手法があるかを知らない選手も多いでしょう。
そんな対象に対してスポーツトレーナー側の裁量で詳しく評価されている側面と見過ごされている側面。
あるいは詳細にコンディショニングされる側面とスルーされてしまう側面があったのでは、局所的には解決しているように感じられても選手全体のパフォーマンスを振り返った時にマイナスの学習となっている可能性もあるのではないかと考えています。
視点を増やす事は広く浅くでどっちつかずになるように感じる瞬間があるかもしれません。
しかし観点として知らなければ掘り下げて学ぼうとする行動へと移すこともできません。
私は東洋医学の観点に出会って、なんでもっと早くに素直に受け入れて自身のコンディショニング含めて選手へ還元する為の材料として準備をしてこなかったのだと思いました。
 
角度を変えると簡単なケアで解決する手段も多くあります。
慢性化する痛みは難しい手技でなければ治らないというのは治療者側の大きな思い過ごしです。
きっかけとして多くの観点に触れてもらうことをJARTAのコンディショニングスキルコースでは重要視しています。
きっと自分の得意不得意に気づけると思います。
その先に深める領域を選択できれば、現在は多くの治療セミナーがあり学ぶ事はできます。
JARTAは一つの治療手技を伝えることよりも、現場で求めらえる
“手段に囚われない”
という概念が体現できるようにセミナー内容を構成し、お伝えしています。
 
もし目の前の選手に対して解決できない事例があるのであれば、一度JARTAのコンディショニングスキルコースで多くの観点からのアプローチに触れてみることをオススメします。
 
きっと目の前の選手の悩みを解決する一助が眠っていると思います。
 
そしてそれを体現しようと現場で活動する講師陣との出会いによって
その先の学びに対して知的探究心がくすぐられるはずです。
 
自分自身も多くの方との出会いで新たな視点が増え、知的探究心がくすぐられることを楽しみにしております。
 
JARTAコンディショニングスキルコースの受講はベーシックセミナーの受講が必須となっております。

ご興味がある方はぜひ下記より詳細をご覧ください。

BASICセミナー


 
コンディショニングスキルコースの詳細、日程は以下よりご参照ください。

コンディショニングスキルコース


 
多くの方との出会いによりJARTA理論も進化していくことを心より祈念しております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2020年02月17日

「テンポライズ トレーニングセミナー」リニューアルのお知らせ

 
平素よりJARTAオフィシャルサイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。
 
 

先日募集開始いたしました「テンポライズ トレーニングセミナー」ですが、ただいまページをリニューアルしております。

 

お申し込みされた方、申し込みを希望される方には大変ご迷惑をおかけしておりますが、
以下日程で開催予定としておりますので、今しばらくお待ちください。

 
大阪会場
2020年3月28日、29日
10:00~16:00(受付開始9:30~)
靭公園テニスセンター会議室3
大阪市西区靭本町2-1-14
 
東京会場
2020年4月18日、19日
10:00~16:00(受付開始9:30~)
会場現在調整中
 
ご迷惑をおかけしておりますが、何卒よろしくお願いいたします。
 
JARTAセミナー事務局



2020年02月17日

意識再考2 -意識強化とは-

文:岩渕翔一

前回
・スポーツにおける「意識する」ことは脳内身体表現を強化することを「意識した」プログラムが必要であるということ。
・意識を顕在化することが身体パフォーマンスに直結する脳内身体表現をアップデートしていくにも非常に重要であるということが示唆される。
 
大まかにはこのような結論に至ったところまでを解説した。
 
前回の記事はこちら
意識再考 –序章–
 
今回はこの2つをさらに深掘りしていこうと思う。
スポーツにおける「意識する」ことは脳内身体表現を強化することを「意識した」プログラムであるとは具体的にどういうことだろうか。
 

脳内身体表現を強化することを「意識した」プログラムとは

人が運動を行うには、正しく自身の身体を認識している必要がある。運動を行う際は、あらかじめ実行する運動の計画を立てて適切なタイミングでその運動を実行する。この運動の計画は主に筋収縮の制御や調整、タイミングを決定している。一方でこの計画を立てる際、空間の中にある身体を適切に認識しつつ、空間の中にある自身と物体との位置関係、空間の中を移動する際に時間軸を主としたスピード調整などを適切に行う必要がある。
つまり、
・筋収縮を適切に制御できること
・時間と空間の中での身体および運動を正しく認識し運動計画を立てていること
 
この2つが脳内身体表現の強化に必要であるということである。
 
過去の研究でこれらが実際、脳内のどの部位で処理されているかは一定の知見が得られている。適切なタイミングでその運動を実行するには、多数の筋骨格系を動員し運動プログラムを立て実行する必要があるが、これには「運動領野ネットワーク」が強く関与している。
また、多数の感覚情報の統合で構成した空間情報と、時間軸も考慮した運動計画、実行した運動のモニタリングを行うには「前頭−頭頂ネットワーク」が強く関与している。
 
この「運動領野ネットワーク」と「前頭−頭頂ネットワーク」2つの強化がどうやら意識強化に重要らしいことが伺える。
 
少しわかりやすくするために例を出しておこう。例えばスクワットをする時。
一般的には、膝をつま先より前に出さないことや、足圧中心の垂直線上にバーベルが常にあることを意識しながら行う。膝をつま先より前に出さないことは股関節を軸にした運動を行いハムストリングスや大殿筋に刺激を入れるためである。もう一つの足圧中心の垂直線上にバーベルが常にあることは空間の中で身体とバーベルの位置関係がどうあるかに注意を向けている。それが結果的にハムストリングスや大殿筋、股関節内転筋群に刺激を入れるに適したアライメントになる。
一方で、「ケツで踏ん張る」ことを意識させたり、ハムストリングスや内転筋群をさすってから行うこともある。これらは筋肉そのものに注意や意識を向け、結果的に上記に提示したような運動様式や運動アライメントになっていることを理想とする。
ここで重要なのは目指す運動がどういったものなのかを明確に持っているということだ。トレーニングを行う上でのキューイングは異なるが、最終的に理想としている運動様式は同じである必要があるということ。
 
(運動領野ネットワーク優位)
筋肉意識→空間の中で理想的な運動アライメント→理想とする運動
 
(前頭−頭頂ネットワーク優位)
空間の中での理想的な運動アライメント→理想的な筋収縮→理想とする運動
 
大まかに分けるとこのどちらかのパターンで理想とする運動を行えるようにしていく。この際、どちらのパターンが得意でどちらが苦手か。ここにその選手の特徴や強化すべきポイントのヒントが隠されている。

 
前述したように、脳内身体表現の強化には、運動領野ネットワークと前頭−頭頂ネットワークの両方が必要だ(図参照)。これはつまり、得意な方ばかりをすると意識の強化に繋がりにくいということを示唆しており指導の際は特に注意が必要だ。アライメントや構造に注意を向けるのが良いのか、筋そのものに注意を向けるのが良いのか。ここは評価と強化のポイントの一つだ。
 

意識とイメージの違い

 
前回の記事で書いたように、意識には顕在意識と潜在意識がある。潜在意識には本人も認識していない意識が隠されていることも少なくなく、それは例えばトラウマや人格形成、思考に及ぶ。
しかし、イメージは違う。イメージは具体化できてこそイメージだ。「イメージが湧かない」と表現することがあるが、湧かないイメージはイメージではない。そういった場合はまずイメージを作るための作業が必要で、手本を見せたり、運動の一部を呈示し手掛かりを掴めるよう補助する。その際、どのように動くかだけでなく、「どの関節をどのように動かすか」や、「どの筋を優位に働かせるべきか」など具体的なものも呈示する。
また、イメージの生成はこのようなオンラインなものだけではない。例えば、「その動きを可能にするためのトレーニングをイメージしてください」や、「160kmのボールをホームランするイメージをしてください」などオフラインのイメージ生成にも着手する。
 
ここまで読めばもうわかるだろう。イメージとは身体脳内表現を強化する一手段なのだ。イメージすることは、運動領野ネットワークや前頭−頭頂ネットワークを活性化する手段になる。
 
意識したりイメージすると逆にパフォーマンスが落ちることがあることは、ここまでですでに解説できている。要は、理想とする運動を作る最短距離のプロセスは人によって異なる。イメージも同じでイメージの生成にもあらゆる面で人差がある。
仮に、運動そのものが既に理想的なものであっても、違うことを意識させた際にできなくなってしまうのは、この記事で解説した脳内ネットワークを踏まえれば往々にしてあり得るということだ。
ただこれに関してはネガティブに捉える必要は全くない。目的と原因さえ明確にしておけばタイミングを見誤ることはないし、最終的にはさらなるパフォーマンスアップに繋がるトレーニングになるはずだ。
 
 
今回2回に渡って「意識」というものを取り上げた。
実際「意識」や「イメージ」というものはスポーツ界では頻繁に用いられる言語であるにも関わらず、その中身はあまり深く追求されていなかったように思う。
そういった現状から、脳科学をベースに可能な限り具体的に「意識」を捉え、すでに既知のものをベースに私見を交えて考察した。
今回のコラムがなんらかの形で選手やチームのトレーニングに活かされ、トレーニングの在り方を考える一助になればと思う。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 
<参考資料>
1)太田順,内藤栄一,芳賀信彦:身体性システムとリハビリテーションの科学 1 運動制御 東京大学出版会,2018
2)近藤敏之,今水寛,盛岡周:身体性システムとリハビリテーションの科学 2 身体認知 東京大学出版会,2018
3)森岡周:リハビリテーションのための脳・神経科学入門改訂第2版,協同医書出版,2016
4)Mark Rippetoe著,八百健吾監訳:スターティングストレングス 第3版 医学映像教育センター,2019
 

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2020年02月15日

投球動作に必須ー2種類の体幹回旋機能

文:山内大士

 
今回は体幹回旋機能と投球動作の関係性を解説し、投球に必要な体幹機能を実際に高める方法をご紹介します。
 
 
 

身体を閉じるような回旋と身体を開くような回旋

 
まずは基本事項を簡単に確認します。
体幹回旋は脊柱の中でも胸椎がその大部分を占めます。
 
参考:身体を捻るには胸椎の動きが必要
https://jarta.jp/training/17755/
 
しかし実際のスポーツ動作では単なる胸椎の回旋ではなく、屈曲や伸展を伴いながらの回旋が多く生じます。
簡単に表現すると、”身体を閉じるような回旋”と”身体を開くような回旋”とでも言えるでしょうか。どちらの回旋も重要であり、偏りなく双方の能力を高める必要があります。
 
投球動作においては、胸が張り肩の外旋が最大となるMER(Maximum External Rotation)までは”身体を開くような回旋”、リリースポイント〜フォロースルーにおいては”身体を閉じるような回旋”が重要となってきます。
 
※投球動作における重要事項についてはこちらの記事をご参照ください。
投球障害から選手を守れ!―投球フォーム編―
https://jarta.jp/training/17451/
 
MERまでに何らかの不調を訴えるケース、例えば「腕がしなる時に違和感がある」「胸が張れずに腕の振りが小さい」という場合には、開く回旋の機能を高めていきます。
 
リリースポイントやそれ以降のタイミングで不調を訴えるケース、例えば「腕が身体から離れすぎる」「ボールに指がかからない」「フォロースルーで肩や肘に負担がかかる」、このような場合には閉じる回旋の機能を高めていきます。
 
余談ですが、これらどちらの回旋が得意か不得意かは投球動作以外にも関連してきます。
普段から猫背でしなやかな動きが苦手な選手は開く回旋を、反り腰で腹に力を入れることが苦手な選手は閉じる回旋を、それぞれ確認してみてください。
 
 
 

2種類の体幹回旋機能の改善方法ー可動域編

 
これからご紹介する方法は、不慣れな方には負荷が大きすぎる可能性もあります。ゆっくりと慣らしながら行い、特に腰や背中に不安のある方は決して無理をしないようにしてください。
 
まずは開く回旋の可動域。身体の前方にある腹斜筋や胸筋の柔軟性を獲得することと、肩甲骨の内側からやや下側にある背中の筋肉が使われる感覚が重要となります。胸から開くという意識づけのために、空いた手は胸に当ててリズム良く押し広げるような感じで行います。


 
次に閉じる回旋の可動域。投球動作においてこの動作が必要となるのは、前の腰や肩が開かないように並進していくフェーズと、リリースからフォロースルーにかけてのフェーズです。これはどちらも臀筋群が力を発揮した状態であるため、臀筋〜腰背部を全体的に伸長させていくようにします。

 
どちらのトレーニングも動画では反動をつけて行っていますが、これらの姿勢をとるだけできつい方や、身体を捻る感覚がわかりにくく腕だけの動きになってしまう方は、まず静的なストレッチとして行うと良いでしょう。その際には深呼吸をすることでさらに効果を高めることができます。
 
 
 

2種類の体幹回旋機能の改善方法ー筋出力編

 
先程のような方法で可動域を広げることはもちろん大切なのですが、獲得した可動域を自分の力で制御することができなくては、逆にパフォーマンスが落ちることもあります。
 
そのため、筋出力という観点も欠かせません。
投球動作における体幹機能を考えるうえで大切となるのが前鋸筋と腹斜筋の出力です。


 
腹斜筋は体幹回旋の主動作筋です。前鋸筋は腕を前に振る際に肩甲骨を安定させる筋肉で、腹斜筋と協調して働きます。
 
開く回旋が生じる際、すなわち体幹の割れが生じ胸は張られ肩が外旋するまでのフェーズでは、腹斜筋〜前鋸筋は伸ばされた状態で力を発揮する形になります。
この機能を高めるためのトレーニングがこちらになります。


 
このトレーニングは、足を着いている側の前鋸筋~腹斜筋が伸ばされた状態での機能を高めることができます。ポイントは腰を反らさずに骨盤の位置をできるだけ高く保つことで、それにより腹斜筋が働き腰椎が安定し、胸椎〜肋骨エリアでの動きを強調することができます。
また回旋した状態から戻す部分を素早く行うことで、伸ばされた筋肉を素早く収縮させる練習にもなります。
 
閉じる回旋が生じるリリースポイント以降においては、腹斜筋〜前鋸筋を十分に縮めながら働かせる必要があります。
そのためのトレーニングはこちらです。

 
このトレーニングでは、腕を着いている側の前鋸筋~腹斜筋をしっかりと収縮させる機能を高めることができます。腰が反ったり支える側の肩が首に近づいてしまったりすると効果が薄れてしまいます。バランスを崩さないようにゆっくりと大きな範囲を動かすことで、より質の高いトレーニングとなります。
 
 
 

どんな野球選手にも大切な体幹トレーニング

 
体幹回旋の可動域を広げ、広げた範囲を動作の中で使いこなせるようにトレーニングすること。
これがパフォーマンスアップに役立つことは言うまでもありませんが、痛みのある選手がリハビリをする際にも非常に大切です。
 
私は整形外科に勤めているため投球障害の選手を見ることが多いですが、体幹機能に伸び代のない選手というのはまだ見たことがありません。
肩や肘の軽い症状であれば、体幹機能の改善だけで問題が解決してしまうケースもあります。
 
もちろん、今回ご紹介した方法が全てではありません。もっと難易度の高い応用的なトレーニングが必要な場合もあれば、より基礎的なところから見直す必要があるケースもあります。
 
近日中に全国各地で投手用トレーニングセミナーと投球障害workoutが開催されます。
投球に必要な体幹機能の高め方をより詳細に知りたい方、また体幹以外の部位に関する機能改善方法を知りたい方はぜひご参加ください。
 
投手用トレーニングセミナーは、
「球速アップ」と「コントロール向上」に焦点をあてた理論とトレーニング(およそ80種)を紹介します。
 
詳細は以下より

投手用トレーニングセミナー


 
 
投球障害workoutでは、
肩、肘、腰が大半を占める投球障害において、そのリスクの評価と予防改善法を包括的にお伝えします。
 
詳細はこちら→https://business.form-mailer.jp/fms/33221bad116280
 
 
以下各地での開催予定です。
 
大阪  2月23日(日)
東京  3月28日(土)
福岡  4月11日(土)
 
*JARTAセミナーへの参加歴がなくてもご参加いただけます
*どちらか一方のみの受講も可能です(両方受講された方は割引あり)
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2020年02月12日

努力を結果につなげるためのトレーニング

文:伊東尚孝

 
トレーナーが選手と関わる上で重要な事とは何か。
その一つに、選手の努力の方向性を正しく導くことが挙げられます。
どんなに優れたトレーニングであっても、目の前の選手に適していなければその努力はパフォーマンスアップに繋がらない可能性があります。
そのため、選手が本当に必要とするトレーニングを我々は追求し続けなければなりません。
 
努力する方向性をパフォーマンスアップへ導くことができれば、選手は結果を出すチャンスを増やすことができます。
 
そして、そのチャンスをさらに広げるためにはもう一つ重要視すべきことがあると考えます。
それが「時間」の制限です。
 
大会に向けて練習する1年という時間の制限。
中学や高校の3年という時間の制限。
選手生命という時間の制限。
 
時間軸は様々ですが、その時間に人生をかけてトレーニングに取り組んでいる選手にとっては、毎日の練習時間はもちろん中期・長期の時間すべてをパフォーマンスアップのために費やす必要があります。
 
いくら良い方向性へ向かっていても、選手に与えられた時間内にパフォーマンスアップができなければ目標達成されないかもしれません。
 
つまり、「努力の方向性を導く」と同時に、「選手に与えられた時間を最大限に活かすトレーニング」を選択しなければなりません。
 
では、それらを考慮したトレーニングとは一体何なのか。
それを紐解くためには、ジュニア世代の運動能力について触れる必要があります。
 
 
 

過去10年で運動能力が低下している理由

 
文部科学省は子どもの運動能力が低下してきていることを表明しており、平成20年度の調査開始以降の推移をみると、令和元年度は小・中学生の男女ともに低下していると報告しています。
その背景には環境の変化などが大きく影響しており、「身体を動かす遊び」が減少していることが示唆されていますが、それに加えてもう一つ大きな理由があると考えます。
 
それは、一つの競技ばかりに特化した運動しか行っていないということです。
 
これがどういう影響を与えるかというと、
「サッカーでボールを蹴ることが得意でも、マット運動の前回りや後ろ回りはできない」
という現象が起こる可能性があります。
前回りという運動構造には、脊柱のしなやかさ、股関節・足首の柔軟性、平衡感覚の修正(バランス能力)、重心コントロールなどの要素で構成されています。
これらの要素は、サッカー選手にとって重要であることは言うまでもありません。
サッカーとマット運動は似ても似つかないように思えますが、運動構造を紐解けば共通点が現れます。
 
つまり、サッカーの上達のためにボールを蹴る時間を増やすよりも、
その時間をマット運動などの全身を使ったトレーニングに当てることにより、様々なパフォーマンスを上げるきっかけになると考えます。
 
特定のスポーツにしかない特殊な動きだけでは、身体操作に偏りが生じます。
マット運動だけでなく、公園での遊びや馬跳び、かけっこのような、いわゆる「全身を使う遊び」によって、運動能力が向上するといわれています。
 

 
これはJARTAトレーニング4原則のうちの一つである、「全身操作性の原則」に当てはまります。
 
全身を自分の思い通りに操作するためのきっかけとして、子どもの「遊び」は存在すると考えます。
 
 
 

全身操作とは何なのか

 
ではプロ選手やそれを目指す選手も、同様に全身を使ったトレーニングをすればいいのでしょうか。
 
ここで重要なのは、単なる全身運動ではなく、
「方向性」と「時間を最大限に活かす」要素を含んだトレーニングを選択することです。
 
「方向性」に関しては、以前”選手が本当に必要とするトレーニング”の記事でも示したように、
その競技の特性を分析し必要な運動構造を抽出し、さらに選手の動きを分析し足りない要素を抽出することでトレーニングの方向性を導き出すことができます。
 
では「時間を最大限に活かす」とは、どういうことなのかをもう少し掘り下げます。
選手にとって時間を活かすとは、
1.怪我をしない
2.運動効率が良い(疲労しにくい)
3.一つのトレーニングで多くの可能性を引き出す
このようにまとめられると思います。
この3つを達成するために、「全身操作性の原則」が重要になります。
 
〈1.2について〉
ほとんどのスポーツでは、全身が協調的に運動しなければ成り立ちません。
しかし、同じ動作を繰り返すことで偏りのある「クセ」として身体に蓄積されていきます。
その結果、局所への負担も蓄積され疲労感も感じやすくなります。
一方、全身操作が可能になれば、ある運動を達成するための「協力者」を増やすことができます。
どういうことかをサッカーで例えると、
サッカーは急激な方向転換が頻発するスポーツであり、脚だけの力に頼ることで下肢の筋肉への負担が増大します。最悪の場合、肉離れや腱断裂を引き起こします。
そこで上半身の動きも方向転換に「協力」することによって、下肢の筋肉への負担を軽減することができる上、動きのキレも向上することが可能になります。
つまり、全身を細部まで操作することができれば、偏りなく運動することができるため局所への負担を軽減することができます。
 
〈3について〉
同じ競技の中でも様々な運動様式があります。
サッカーでは、ステップ・シュート・ジャンプ・ドリブル・・・といった具合です。
それぞれが別の運動としてトレーニングを行うと、非常に効率が悪いです。
サッカーとマット運動のように、各運動様式の構造を分解すれば必ず共通点が存在します。
その共通点をトレーニングすることができれば、一つのトレーニングで多くのパフォーマンスを上げることが可能となります。
その共通点を「方向性」で抽出されたトレーニングと合わせると、やるべきトレーニングがさらに明確になってきます。
 

 
さらに全身操作には、単なる動きだけではなく
「空間・速度・力・タイミングの操作」も必要になります。
先ほどの急激な方向転換で説明すると、
・ブレーキするために踏み出す脚を一瞬硬めると同時に、体幹部の脱力と腕の急激な振りによってターンする方向へ向かう。
・さらに脚は硬めたままではなく膝を抜いて素早くステップをする。(再び硬めて着地する)
・方向が変わることにより姿勢が傾き、腕の振りによってバランスを保ちながら加速する。
同じ身体の中でも「剛」と「柔」の切り替わりが連続して行われ、次の動き出しのために、めまぐるしく姿勢が変化するための全身操作が行われています。
 
JARTAトレーニングには、これらの要素が組み込まれたトレーニングが多くあります。
 
 
 

まとめ

 
アマチュア選手でもトップ選手でも、与えられた時間には限りがあります。
しかしパフォーマンスアップのためには、選手自身が努力し続けるしかありません。
その努力を結果へつなげるための武器として、全身操作のトレーニングがその一つだと考えます。
 
また全身操作と同時に、全身の連動を反射で引き起こすことも相互して活用できると、パフォーマンスアップにつながります。
 
JARTAトレーニングは映像で多く排出されていますが、実際に指導を受けることでより深みのあるトレーニングになります。
さらにパフォーマンスを向上したい選手は、ぜひJARTAトレーニングを利用してみてはいかがでしょうか。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2020年02月10日

意識再考 −序章−

文:岩渕翔一

「意識する」
スポーツでよく耳にする言葉だ。
しかもその言葉の汎用性は高い。
ある時には、「下腹部に力を入れるよう意識しろ!」と身体の部位を意識させることがあったかと思えば、「滑らかに動けるよう意識しろ!」と動きそのものを意識させることもある。
さらに意識が向けられる矛先は身体や動きに留まらない。
「ボールの弾道を意識しろ!」と道具に向けたり、「応援してくれる人がいることを意識しろ」と他者に向けられることもあるし、「勝ちを意識し過ぎた」と未来へ向けられることもある。
意識とはそもそも何か?そんなテーマで今回の記事を書こうとここまで書き進め出して湧いてきた疑問がもう一つある。
上記に挙げた例を見て欲しい。全ての例において意識をイメージに置き換えることができる。
「下腹部に力を入れるようイメージしろ!」
「滑らかに動けるようイメージしろ!」
「ボールの弾道をイメージしろ!」
「応援してくれる人がいることをイメージしろ」
「勝ちをイメージし過ぎた」
意識とイメージはどう違うのだろうか。
さて。現段階で終着点を設定していない今回の記事。意識とはなんなのか?意識とイメージの違いは?意識やイメージがパフォーマンスに与える影響は?どんな結論が待っているのか。お付き合いください。
 

意識とは

JARTA認定トレーナーコースのベーシックでは、「軸」や「ハラ」などスポーツでよく聞くこういった形のない言語は意識であると解説している。意識には濃い薄いがあり、例えば一般的には足より手の方が意識は濃い。その意識が濃い部分をみてみると、濃ければ濃いほどより具体的にその部位をイメージできたり、意図した通りに動かすことができる。つまり、意識の強化とはその意識を具体化し、具体的な部位(筋肉や関節)や動きを、様々な刺激を入れながら繰り返すことがフィジカル強化であり身体操作であり意識強化であるというロジックだ。
このような背景から推測されるのは、意識とは「脳内身体表現」ではないかということ。脳内身体表現とは、脳内における身体の表現、脳の中の体を表象する脳内神経活動の実体を意味しており、古くから提唱されている身体図式や身体像の概念をも包括する。脳内身体表現は、運動生成時に感覚器からの情報に基づき筋骨格系への指令値を決定するために用いられる。また、これは、刻一刻の感覚器からの感覚情報や筋骨格系からの運動情報により更新される。1)
 
つまり、運動を行ったり上達する過程における、脳内の複雑で緻密な神経活動全般を、「意識」という言葉で一般化し、広く使われているのではないかということ。特定の部位や動きを意識することで身体の疲労はあまりあまり感じていなくても、脳疲労を感じるとよく聞かれることもそう考えると合点がいく。
 
また、脳内身体表現は自己身体に対する意識である身体意識を生成する。身体意識は「身体所有感」と、「運動主体感」から構成される。ざっくり解説すると身体所有感とは自分自身の身体(或いは特定の身体部位)は自分自身のものであるという意識である。運動主体感とは運動をしているのは自分自身であるという意識である。
 
こちらは文面をそのまま捉えると当たり前すぎる気がして少しスポーツ場面ではイメージし難いかもしれない。少しスポーツから離れた例を出して考えてみる。まずなんらかの脳障害により運動麻痺が起こったとする。そうすると思い通りに身体を動かせなかったり、種々の感覚が麻痺して動く感覚や触られた感覚が分からなかったりする。そうなると上記のような2つの身体意識を感じない(感じにくくなる)ようになることは想像できるだろう。
 
ではこれをスポーツに置き換えてみよう。前述したように意識には濃い薄いがある。これは言い方を変えれば濃いところは脳内身体表現が洗練されており、薄いところはスポーツレベルにおける脳内身体表現機能不全であるといえる。もう少し具体的な例を1つ挙げると、視覚情報がなくても自信をもってコントロールできる動きと視覚情報がないとどう動いているのか不安になる動きがあるだろう。これは感覚統合や身体像、身体意識などによる脳内身体表現をより良く更新できる可能性を示唆していると考えられる。
 
ここまでを少しまとめてみる
・意識には濃い薄いがある
・意識とは脳内身体表現でありそのネットワーク全般を指すのではないかということ
・脳内身体表現は2つの身体意識「身体所有感」と、「運動主体感」を構成する
・脳内身体表現である身体所有感と運動主体感の強化が意識の強化である
ということである。
つまりスポーツにおける「意識する」ことは脳内身体表現を強化することを「意識した」プログラムが必要であるということである。

身体や動きに対する意識は方向性が明確になった一方で、それ以外のものに対する意識はどう解釈すべきか。
例えば何も考えずサラサラと書いた上記である。
 
【脳内身体表現を強化することを「意識した」プログラムが必要であるということである。】
 
このような身体以外に向けられる「意識」。
「ボールの弾道を意識しろ!」と道具に向けたり、「応援してくれる人がいることを意識しろ」と他者に向けられることもあるし、「勝ちを意識し過ぎた」と未来へ向けられることもある。
 
これらは脳内身体表現とは全く異なる解釈が必要になるが、比較的馴染みのあるもので解説可能だ。
 

潜在意識と顕在意識

潜在意識と顕在意識というのは多くの人が聞いたことがあるだろう。端的にいうと潜在意識とは無意識であり、顕在意識とは認識できる(している)意識である。答えを先に述べるが、身体以外のものに向けられる「◯◯を意識する」は潜在意識や或いは潜在的にも有さない意識を顕在化しましょうということだ。
 
一般的には顕在意識は意識の総量の3%程度で、残り97%は潜在意識であるとされている。ここで考えなければならないのは大きく分けて2つだ。
・潜在意識の総量を引き上げる
・顕在意識の使い方
である。
潜在意識の総量を上げるの意味だが、大多数の意識が潜在的であるのならば、人の思考やパフォーマンス・感情は潜在意識が鍵を握っているといっても過言ではない。だとするのならば、その総量を底上げする必要がある。そういう意味で顕在意識の使い方は重要だ。経験すること、学ぶこと、何に重きを置いて課題に取り組むかなど。より多くの事象やモノ、過去未来など多くのものを、顕在化することを積み重ねることで潜在意識の総量も上がりおそらくパフォーマンスは上がる。
しかし、顕在化することのネガティブな側面も考慮しなければならない。たった3%の顕在意識を場面場面に応じて使いこなせなければ逆にパフォーマンスを下げるリスクも孕む。勝利を意識しすぎてパフォーマンスを落としてしまったり、失敗を恐れて消極的になってしまうのがその典型例だろう。
また、ステップアップを目指して、ある特定の意識を重点的に顕在化した場合にパフォーマンスを一時的に下げることもあるだろう。
これらは起きる現象の原因を把握しておかなければならないし、ステップアップが目的なのであれば行き着く先の仮説とその過程の中で起こりうることを明確にしておかなければ検証が困難になる。
であるのならば、意識を顕在化することが身体パフォーマンスに直結する脳内身体表現をアップデートしていくにも非常に重要であるということが示唆される。
 
 
今回はここまでです。
 
次回続編第一弾として、
【脳内身体表現を強化することを「意識した」トレーニングプログラムとは(仮)】
を配信いたします。
次回2020年2月17日(月)に配信予定です。
 
<引用文献>
1)太田順,内藤栄一,芳賀信彦:新体性システムとリハビリテーションの科学 1 運動制御 東京大学出版会,2018
<参考資料>
1)高岡英夫:意識のかたち 株式会社講談社,1995
2)森岡周:リハビリテーションのための脳・神経科学入門改訂第2版,協同医書出版,2016
3)宮口幸治:ケーキの切れない非行少年たち 新潮社,2019
 

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2020年02月09日

その壁を1人で乗り越えられますか?

 

文:赤山僚輔

 
 
 
“刀を研ぐ”
 
自己研鑽をする上でよく言われる表現であり
 
よく例えられる比喩で
 
“錆びたノコギリで一生懸命に大木を倒そうとしていても時間も労力もかかる”
 
そのノコギリを丁寧に研ぐ作業によって一時的にそのノコギリを研ぐ時間は取られ
 
寄り道をしているような感覚に囚われますが
 
結果的に大木を倒す為の時間や労力は少なく済みます。
 

 
 
この比喩を体現するには2つの課題があると私は考えています。
 
 

大木を見極める目

 
ひとつは、大木の大きさや倒そうとしている幹の太さをしっかりと見極める事。
 
 
自分が抱えている課題や業務、そして壁やハードルがどれくらいで終えれて、乗り越えられるのか
 
これは対象物をしっかりと見極められないと判断できません。
 
多くの事象においてこれを過小評価して自分1人で乗り越えようとしている選手やスポーツトレーナーをこれまでにたくさん見てきました。
 
私自身はこのようにJARTAで講師として活動しているのは、向かうべき課題が自分1人では成し遂げることができないと顕在化しているからです。
 
JARTAの講師をする目的は、何かを伝えることが目的ではなく自分の失敗を共有し同じ失敗を繰り返して欲しくないからであり、これから向かうべき課題に向かって一緒に成長していける仲間探しをしているからなのです。
 
 
その仲間が活動を始めて5年以上が経過し、想定していたよりも多いか少ないかというと、数の問題ではないなと最近考えています。
 
 
でも確実に言えることは曖昧であった自分の考えやなぜ失敗したかという課題に対して共有できる仲間が増えることで同じ失敗を繰り返しにくい環境へと自分を置くことができるようになりました。
 
 
 

自分を見極める目

 
そして大木の比喩の2つの目の課題なのですが
 
それは自分持っているノコギリの性能をしっかりと見極めることです。
 
最初はどんな武器も道具も最大限の性能を持ち合わせているでしょう。
 
しかしメンテナンスを怠るとどんどんとその性能は低下します。
 
車のオイル交換もそうですし
 
靴の手入れもそうでしょうか。
 
 
それをスポーツトレーナーに例えると
 
どんなに素晴らしいと言われる治療手技やトレーニング理論を習得してもそれを使いこなす自分自身の身体が自由自在に使えなければ宝の持ち腐れになります。
 
手で手技を実施する限り、上肢の身体操作やその土台となる脊柱や自身の軸の安定性など。
 
自分自身の身体操作の精度を上げ続けることなくして、武器を使いこなすことができないのです。
 

 
刀を研ぐと聞くと
 
実際に持っている武器を手入れするような表現ですが、スポーツトレーナーにとってその刀とは自分自身の身体であると私は考えています。
 
 
ここにも私自身がJARTAで学びを継続する意義になりますが、私は身体が非常に硬く、身体のあちこちに痛みや不調を抱えるセラピストでありスポーツトレーナーでした。
 
 
でもJARTAに出会って徐々に身体が変化し、身体操作を武器にしてアスリートに関わることが今はできています。
 
その武器を研ぎ澄ますには自分の身体に向き合い続けるしかありません。
 
まだまだ自由に使えない身体に課題はいっぱいですが、JARTAには底なしに成長続ける身体操作のツワモノが大勢います。
 

 
彼らの背中を追いながら真似をしているだけで、年々自分の身体が自由に動くようになってきました。
 
 
目の前の大木の大きさを見誤らないように、一緒に目標を共有し、もし可能であれば一緒にその大木を倒せる仲間をJARTAは求めています。
 
そして一緒にノコギリを研ぎ続けられる仲間を求めています。
 

ぜひご興味がある方は以下のページより詳細をご確認いただき、赤山に会いに、JARTAに会いに来てください。
 

BASICセミナー


 
きっと気づけなかった自分の可能性を感じる時間になると思います。
 
 
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
 

JARTA公式HP
https://jarta.jp
 
 

2020年02月05日

コントロール向上の鍵

文:岩渕翔一

 
全ての投手にとって球速とコントロールは投球の生命線になるといっていいでしょう。
その2つがあってこそその先にある変化球や配球が生きてきます。トレーナーにとっても球速とコントロールは最も基礎的で重要な投手の土台になるスキルのため、この2つを軸にトレーニングメニュー作成に当たることが多いのではないでしょうか。
 
球速アップのトレーニングは比較的イメージしやすいはずです。単純にボールに加わる物理的な力が大きくなればなるほどスピードは上がります。そのため、基礎トレーニングである筋力強化や可動域改善、バランス強化が球速向上に直結しやすいからです。ただし、扱う力が大きくなればなるほど身体にかかる負荷も強くなるため、これらのトレーニングは投球障害予防と同時進行で行われる必要があります。
 
もう一つのキーワードである「コントロール」。コントロールは球速アップのように単純にはいきません。筋力強化や可動域改善といった基礎トレーニングがコントロール向上に直結するイメージはあまり湧いてこないのではないかと思います。実際、コントロール向上を目的に最も取り組まれているのはフォーム固めです。投球パフォーマンスは能動的パフォーマンスにあたる為、反復練習によるフォーム固めがコントロール向上に最も有効です。しかし近年、投球制限に関する多くの問題提起があるように、フォーム固めを目的とした過度な反復練習は投球障害発生のリスクは孕んでいることも事実です。
 
その為、障害リスクを最小限に抑え効率的にパフォーマンスアップを図るためには、やはりここでも基礎的なトレーニングが重要になります。今回はそのうち、
 
・自身のイメージ通り身体を動かすためのトレーニング
・どんな状況でもフォームを安定させるためのトレーニング
 
この2つを紹介します。
 

自身のイメージ通り身体を動かすためのトレーニングとは

 
まずは自身のイメージ通り身体を動かすためのトレーニング。自分自身のパフォーマンスを映像で確認した際、「自分のイメージとかけ離れた動きをしている自分」を見たことがないでしょうか?イメージと実際の動きにズレがある状態ではパフォーマンスの安定も向上も期待できません。
そのための基礎トレーニングとしては運動やコントロールする部位を限定的にし、丁寧に一回一回確認しながら動かすトレーニングです。例えば肩関節屈曲は上肢下垂位の状態(屈曲0度)から最大挙上位(屈曲180度)まで可動します。それを90度、60度、120度、45度など色々な角度できちんと止めれるようにトレーニングします。この時、色々なスピードで取り組むとより効果的です。
自身のイメージ通り身体を動かすためのトレーニングをもう一つ。これはいわゆる身体操作のトレーニングですが、現状できない動きやぎこちない動きをトレーニングとして取り組むことです。いろいろな動きを滑らかに行えるようになることで身体コントロールの性能や精度全般の質が上がることが期待でき、これはコントロール向上にも繋がってきます。
 
どちらのトレーニングにも
・イメージ通り身体を動かす(操作する)こと
・行った運動を修正し次に活かすこと
 
この2つが鍵になります。専門的には「フィードフォワード」と「フィードバック」と言い、運動学習効率を高めるために非常に重要な脳機能の一部です。
 

どんな状況でもフォームを安定させるためのトレーニングとは

 
次は、どんな状況でもフォームを安定させるためのトレーニングです。投球パフォーマンスというのは試合状況にかなり左右されます。相手打者、ピンチなのかそうでないのか、先発なのか中継ぎなのかクローザーなのか、カウント数。例えば2ボール1ストライクのカウントから、際どいボールを投げそれがストライクとコールされ2ボール2ストライクになるのか、ボールとコールされ3ボール1ストライクになるのか。これは次の一球に与える影響が心理的にも配球からも大きく異なります。これはプロの投手も例外ではなく、投手はそんな1球1球変わる状況の中、安定したパフォーマンスを発揮しなければなりません。そういった変化の中安定したパフォーマンスを発揮する鍵になるのが「呼吸」です。
こちらに関しては、
投手に指導するメンタルコントロール術の基礎トレーニング
この記事に詳しく解説してありますので是非読んでみてください。
 
いずれにしても投球パフォーマンス向上の鍵になるのは球速アップとコントロール向上です。この2つを、投球障害予防を行いながら、しっかり積み重ね、身にしていくことが投手のトレーニングには必要です。
 
 
投手用トレーニングセミナー
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2020年02月03日

世代別―投球障害要因まとめ

文:山内大士

 
これまでにも投球障害の原因となる要素として、「投球数」「肩関節」「肩甲骨機能」「投球フォーム」についてお話してきました。
 
参照;https://jarta.jp/category/training/baseball/
『投球障害から選手を守れ!シリーズ』
 
今回は年代別に投球障害の主原因を考察してみます。
 
 
 

ジュニア世代の投球障害

 
この世代の投球障害において真っ先に考えたいことが投球フォームです。理由は単純で、一般的にジュニア世代の投球フォームは上の世代に比べて未熟だからです。年代ごとに投球フォームを比較した研究においても、下の世代のフォームには以下のような特徴があるとされています。
 
・骨盤回旋の開始が早い=腰の開きが早い(Aguinald 2007)
・骨盤と体幹が同時に回旋してしまいやすい=体幹の割れが少ない(Fleisig 1998)
・前脚の股関節の屈曲が少なく膝の屈曲が大きい=下半身が安定しておらず骨盤がしっかり動かせていない(伊藤2011)
・リリースポイントでの肩外転が少なく過剰な水平外転が見られる=リリースポイント時に肘が下がり腕が遅れすぎている(中溝2004)
・大学生は股関節、中学生は体幹と肩の角速度が高まることで球速向上=大学生は下半身、中学生は上半身でパワーを生んでいる(宮下2012)
 
肩の可動域や肩甲骨機能が低下している場合にはそちらに対する介入ももちろん必要ですが、それらを引き起こす要因として不良なフォームが大きなウエートを占めます。
 
では、こうした未熟な投球フォームを効率的に改善させていくにはどうすれば良いのでしょうか。ここからは私見となりますが、投球フォームを決定する要因を大別し、影響力の大きい順に並べるとこのようになると考えています。
 
1.投球動作に対するイメージ
自らのボールを投げるという経験・他人の投球動作を観察した経験や、投球動作に関する知識を元に作り上げられたイメージ。投げる練習、良い選手の観察、コーチによる動作指導、ビデオによるフォームチェックなどで高められます。
 
2.身体の操作性
動かしたい部位を必要な量だけ力を入れて動かし、そのタイミングや程度を自在に操ることで連動させ目的の動作を達成する能力、要するにイメージ通りに身体を操作する能力。JARTAのトレーニングはこうした能力を高めることを目的としたものが多いです。
 
3.身体のコンディション
筋の伸張性・力の入り具合、関節の可動域、心身の疲労感などのコンディション。ストレッチやマッサージの他、休息やリラクセーションも重要な要素です。
 

 
コーチや監督以外のトレーナー・医療従事者は、直接フォームを指導することを良しとされないケースも多いでしょう。しかし、身体操作やコンディションの改善を通じて間接的にフォームを修正することは可能ですし、それにより選手本人のイメージが変化することも多々あります。
 
指導する側が投球動作とその指導方法に関する知識と、身体操作やコンディショニングに関する知識の双方を持ち合わせていれば、かなり効率的にフォーム修正することが可能です。上述した要素のうちあまり詳しくない分野があれば、ぜひともそこを学ぶ取り組みをしてみてください。
 
 
 

大人世代の投球障害

 
一方、世代が上がりレベルも高くなった選手に生じる投球障害にはどのような原因があるのでしょうか。上述した投球フォームの影響ももちろんありますが、優先して考えたいのは身体コンディションです。それには以下のような理由が挙げられます。
 
1.年齢が上がるにつれ身体は硬くなっていく
習慣的なストレッチをしていればある程度防ぐことはできますが、特に脊柱の柔軟性は失われやすいように感じます。身体が硬いとやりたい身体操作もうまく行えませんし、そうするとフォーム修正もままなりません。身体が硬くなったのに投球イメージが柔らかかった頃のままでギャップがあることも障害の一因と考えます。
 
2.断裂・損傷など構造的な破綻を呈していることもある
この場合、通常のトレーニングやコンディショニングでは反応しにくいことがあります。こうしたことが疑われるケースには、投球障害に精通し診断設備の整った整形外科医の診察を仰ぎ、適切な医学的処置を受けるようにしましょう。
 
3.安易なフォーム修正にはリスクがある
特にレベルの高い選手の場合、試行錯誤の上にたどりついたフォームであることも多々あります。コンディション・身体操作を土台とし、自分なりに研究を重ね、バッターとの駆け引きや変化球との兼ね合いも考えたうえで完成したフォームです。肩肘への負担を軽減させるためにフォームを修正した結果、肝心のパフォーマンスが下がってしまっては本末転倒と言えるでしょう。
 
もちろんこれらのことをしっかりと把握したうえで、選手と相談しながら進めるフォーム修正は問題ないと思います。ただし、ジュニア世代を相手にするとき以上に、より深い知識と引き出しの多さが求められることにはなるでしょう。
 

 
実際に選手を指導する際の考え方と具体的なトレーニング方法を学ぶことができる投手用トレーニングセミナーが、2月末〜4月にかけて、全国各地で開催されます。
 

投手用トレーニングセミナー


 
 
座学に始まり、可動性を改善させるためのケアやストレッチ、そして複雑な身体操作や筋機能を習得するプログラム。これらを1日で学ぶことができるかなり充実した内容です。
 
トレーニングセミナー終了後には、投球障害に対するコンディショニングをテーマとしたワークアウトを行います。
 

Workout


 
痛みに対する評価や介入方法などトレーニングセミナーではカバーしきれない部分を中心に行います。肩肘への負担を軽減させるために必要な身体機能についても、その基準と介入方法をお伝えしていきます。
 
同日・同会場で開催いたしますが、片方のみの受講も受け付けております。
ご都合のつく方はぜひ参加をご検討ください。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

JARTA公式HP
https://jarta.jp


2020年01月25日

投手のパフォーマンスアップに必要な練習とは

文:山内大士

関西で活動する山内です。
今回は投手がパフォーマンスを高めていくために必要な練習についてお伝えしていきます。
 
一昔前の野球界における投手の練習といえば、「投げ込み」「走り込み」が主流でした。しかし近年はスポーツ科学が発達し、様々な趣向を凝らしたトレーニングが行われており、SNSの発展により一般の方々がそれらを目にする機会も多くなりました。
 
そうすると今度は
「選択肢が多くなりすぎて、何を基準にどのトレーニングをすれば良いのかわからない」
という問題が生じます。
中には特殊な器具が必要なものや、動きが難しくて簡単には真似できないものも多く含まれ、場合によっては見よう見まねで行ったトレーニングにより逆に悪化してしまうケースもあります。
 
こうした問題点を解決し、パフォーマンスアップに向けたトレーニングを適切に実施するためには以下のようなプロセスを踏むことが望まれます。
 
1.投手がハイパフォーマンスを発揮するために必要な身体操作を学ぶ
2.身体操作の土台となる身体機能とその整え方を学ぶ
3.対象となる選手の現状を把握し、トレーニングの優先順位をつけるための考え方を学ぶ
 
少し具体的にお話します。
 
効率的な投球動作を身につけるためには、特に肩甲骨・体幹・股関節における高度な身体操作と、その前提となる筋出力・可動性・協調性が求められます。
 
例えば最大に腕がしなるフェーズである肩関節最大外旋位では、肩関節を最大外旋させ土台となる肩甲骨を後傾させる筋機能が求められます。
 
参考:投球障害から選手を守れ!肩甲骨機能編

投球障害から選手を守れ!―肩甲骨機能編―


 
 
だからと言って、肩と肩甲骨の動きだけをトレーニングすれば良いわけではありません。
 
肩甲骨を後傾させるにはさらにその土台となる胸郭が十分に広がり、しっかりと胸を張ることが求められます。胸郭の可動域には表面にある腹筋・背筋の伸長性の他、呼吸や内臓の状態も大きく関連します。胸郭自体の可動性が改善したとしても、下半身の身体操作が未熟であるために上半身が力んでしまい十分に胸を張れないケースもあります。これよりも前のフェーズ、つまり体重移動やテイクバックに問題があるケースもあるでしょう。
 
このように、投球動作中の一つのフェーズだけでも要求される身体機能は数多くあり、他のフェーズにおける身体操作との関連性も踏まえながら考察する必要があります。
 
そして実際にトレーニングを行う際にも、土台となる機能やベースとなる身体操作を考慮しながら進めるべきなのです。
 
 
 
こうした考え方と具体的なトレーニング方法を学ぶことができる投手用トレーニングセミナーが、2月末〜4月にかけて、全国各地で開催されます。
 

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最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2020年01月22日

トップ選手のトレーニングとは

文:岩渕翔一

近年、SNS の普及によりプロで有名な選手がどのようなトレーニングや練習に取り組んでいるのかが見えてくるようになってきました。また、選手それぞれが、その考え方やトレーニング法などの書籍を出版し、公になることも多くなりました。
プロを目指していたり、伸び悩んでいる選手にとってはこれ以上ない情報でしょう。また、スポーツをしている子どもたちにとっても憧れの選手が取り組んでいることを知れることは夢を現実に感じることのできる第一歩にもなるでしょう。
 
プロ選手が取り組んでいる練習やトレーニングを自分自身に取り入れることは目標に最短距離で近づくためには非常に有効です。一方で注意しなければ逆にパフォーマンスを落としてしまうリスク(JARTAではマイナスの学習という)を孕んでいます。
 

アマチュアからトップ選手までのパフォーマンスの階層

どのような競技であっても、アマチュアからトップ選手に行き着くまでの階層があります。要は、ピラミッド構造の中での生き残り合戦を最後まで生き残った選手がトップ選手であり、さらにその中でも唯一無二の力を持った選手が超一流として歴史に名を残します。このピラミッド構造は全ての競技で共通しており、ジュニアやアマチュア選手の指導に当たるトレーナーは、この生き残り合戦で生き残って行くことを考え指導に当たらなければなりません。
 
では、目の前の選手がどれくらいのレベルなのか。そこからステップアップするためにはどのようなトレーニングが必要なのか。現場で分析し判断する力が重要なのは間違いないですが、それ以上に準備段階として知っておかなければならない前提があります。
 

情報に対する社会の変化

以前であれば、厳しい世界で戦っているプロの選手というのは自分が行っている練習やトレーニングは誰にも知られたくないと多くの選手が考えていました。もちろん今でもその守秘性というのは守られるべきです。実際、競技カテゴリーがチームから選抜、地域代表、日本代表と上がるにつれて情報は公になりづらく、強い守秘義務が強いられます。それだけシビアにしておかないと情報漏洩そのものが勝敗以上に大きなものを奪ってしまうリスクがあるため当然です。
つまり、選手個人にとっても、チームにとっても、その競技における歴史と未来にとっても、情報漏洩は可能な限り避けたいというのが本当のところです。
しかし、秘密は秘密で守りつつ冒頭で話したように今は多くの情報が誰でも簡単に得られるようになっています。なぜでしょうか?社会の背景と流れ、プロ選手を取り巻く環境の変化、スポンサーの影響など。理由は様々ですが、この流れはスポーツ界だけでなく、あらゆる業界で言える事しょう。情報を守ろうとするものと得ようとするもの。例えば中途半端な情報や間違った情報が他者から発信されるのであれば、正し情報を自ら出してしまうということもあるでしょう。今はそれが容易にできる時代です。
情報を探している側、得て活かそうとする側にとってはこんなありがたい事はありません。最大限活かしきれた選手が、また生き残っていくことになるでしょう。
プロの選手が取り組んでいる練習やトレーニングを公開する理由はこのような社会的背景が要因の1つです。
 

選手がトレーニングを公開する理由

ここからは選手個人に関することです。選手が練習やトレーニングを公開する理由は個人レベルでは2つあります。
1つは真似されても構わないという自信です。考えてみれば当たり前で、例えば一流の料理人がそのレシピと工程全てを公開しても同じ味は絶対に出せません。また、芸術家がその過程や使っている道具全てを公開しても同じ絵など描けるはずがありません。一流がこなす仕事の真似などできるはずがないのです。これはトレーニングに置き換えるとプロ選手が行っているトレーニングをしたからといって、同じ効果が出るとは限らないということと同意です。
 
2つ目の理由。その競技の底上げをしたいと考えているということです。多くの選手がもっとうまくなって競技そのものがもっと発展して欲しい。それがそのトップ選手にとってもさらなる成長と進化につながると考えている。みている世界が個人やチームの結果だけでなくさらにその先であるということ。
 
いずれにしても選手としては活かさないという手はありません。
 
 

スタンダードと個別性

本題です。トップ選手のトレーニングとはどういうものでしょうか?まずはそれを知らなければなりません。
トップ選手のトレーニングというのは一言でいうと、「個別性」に対するトレーニングです。まずはこの図を見てみましょう。

 
アマチュアからトップ選手になるには生き残り合戦に勝たなければならないと話しました。トップ選手というのはこの生き残りの戦いの中で当たり前にできなければならないことを全てクリアしてきた選手です。その競技で高いパフォーマンスを発揮する上でできておかなければならないことをクリアしてきた集団がトップ選手でありプロの世界です。
すでに誰もが知っているようなトレーニングや科学的根拠を持ったトレーニングというのは裏を返せばスタンダード(一般化されている)になっているため、プロの世界で差別化を図るには足りません。
そのため、特にスポーツ現場でのトレーニングにおいては、科学的根拠や裏付けよりも現場での実践が先行することが多々あります。個別性を磨くため、差別化を図るためには一般化されてからでは遅いのです。
もちろんプロの選手でもスタンダードなトレーニングは重要ですし、行っていますが、それだけではやはり生き残って行くには足りないということです。トップ選手が目新しいトレーニングに取り組んでいる理由の一つはこういった背景があります。
 
これらを踏まえた上で、スタンダードを満足にクリアできていない選手が、トップ選手が取り組んでいる個別性のトレーニングを行ったらどうなるでしょうか?
もちろんパフォーマンスは上がるかもしれません。しかし逆にパフォーマンスを下げてしまうかもしれません。ポジティブな結果が得られるように評価が鍵になる事はいうまでもありませんが、やはり物事には順序というものがあります。
 
私が講師をしている投手トレーニングセミナーでは、トップ選手が持つ共通項を徹底的に分析し、スタンダードを鍛え、トップ選手に近づくためのプログラムをお伝えしています。それに加えて毎年行うプロ野球選手のキャンプ前自主トレーニングで行っている個別性に対するトレーニングも紹介しています。

情報は効果的に使わなければ諸刃の剣になってしまいます。正しい努力をするために知っておいて欲しい事です。

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その他トレーニング実践コースレベル1・2で講師していますので、ご興味ある方はHPでご確認ください。
 



2020年01月19日

答え探しをやめたきっかけ


 
 

文責:赤山僚輔

 
獲物が欲しいのか獲物獲得の方法が知りたいのか
 
JARTAのセミナーに来られる方は
目の前のクライアントに対してもっと良い手法を知りたい
困っている症状を解決するヒントを得たい
このように感じて行動をして
時間をかけて
お金をかけて
会場に来られる方が多いと思います。
 
かく言う私も初めて中野崇というスポーツトレーナーに会った時に
 
正確に言うと会おうとした時
 
目の前の課題に対して今の自分では対処不可能なことがわかっており
自分の解決できていない事象を解決しているように見えた中野崇に会うことで
答えを求めていったような気がしています。
 
会った時、まだJARTAができる前ですが
答えを教えてもらったような感覚はなかった。
 
でもこれだと感じました。
 
その時の自分にとって
選手の不調を改善しパフォーマンスをあげることは
そんなに簡単なことではないと思っていました。
 
教科書に載っていることをそのまま実践しても
解決しない事象も無限にあるし
既存のトレーニングで前十字靭帯の損傷予防ができるとは
到底思えなかったのです。
 
でもJARTAのベーシックセミナーでもお伝えし
我々の臨床推論の基盤の一つとなっている
関係主義的な思考を知り
この考え方を追求、模索していくことが
ある意味答えであり
自分の答え探しの旅が一旦の終わりを告げ
“最良の方策を一生追求していくこと”
に出会えた瞬間でもありました。
 
 
JARTAのベーシックセミナーでは
こういう時にはこの評価を使って
この症状がでていればこの手技を使うというような
ある意味 How to の要素はほとんどありません。
(状況的にそう示唆することがあってもそれが伝えたい本意ではないということです)
 
もしかすると How toを求めてきた方にとっては
答えを探し求めてきた方にとっては
拍子抜けするかもしれません。
 
でも冒頭にも述べた通り
獲物を獲得してシェアしても
その獲物の鮮度が落ちれば価値は下がりますし
いつも同じ獲物で満足できるとは限りません。
 
そして常に獲物をシェアし続けなければならない状態になります。
 
それよりもその獲物の獲得の仕方をシェアし
その獲得の仕方をもっと良いものがないかと模索し続ける
それがJARTAの最大限の特徴であり
ベーシックセミナーや認定コースの本質であると考えています。
 
その為内容がアップデートする事はもちろんのこと
講師が変わると同じ内容であっても
感じ方や伝わってくる情報が良い意味で違って感じるはずです。
 
それもそのはず各講師が活動しているフィールドも違えば
経歴も異なります。
同じ概念でも違うスポーツトレーナーが体現している手法や
現場でのその思考の実践具合については2つとして同じものが存在しないのです。
 
それはある意味、効率が悪いことかもしれません。
 
でもその一件効率が悪いことが
現場で効果を出す為に、最善の策であることもあるのです。
 
少なくても私自身はそのように考え
他の講師が伝える部分から学ぶことも多々あり
再受講することも何度もあります。
 
 

ルービックキューブ

 
私がベーシックの講師をする際に必ず話をする話題に
見えている視点をルービックキューブに例えてお話をします。
 
ルービックキューブは1面を一色に揃えるのは簡単です。
一側面からみると揃っている。
治療で言えば治っている。
パフォーマンスで言えば向上している。
 
そのように解釈することも達成することもある意味簡単です。
 
でも少しその立方体を角度を変えてみると
色が揃っていたのは一側面だけであったことに気づくことができます。
 
そこから全ての面を揃えるには一つの面を一旦バラバラにしないといけません。
 
今の視点や思考を一旦バラバラにすることは勇気がいります。
自分を否定しているように捉える瞬間があるかもしれません。
 
でも違う側面からみて揃っていない事象を知った以上
揃えようとすることが選手に向き合う上では重要であると考えています。
 
一旦バラバラになった一つの面の9つのピースが
6面揃った時にはまた一つの面として輝き出すのです。
そのひとつひとつのピースはすでに持っている解剖運動生理の知識や
これまでの経験、身体との向き合い方かもしれません。
 
一旦バラバラになってもそれが無駄になるということはありません。
6面揃えれば確実にそれは活用できる材料となるのです。
 
そんな話をしつつ
 
ただその6面揃ったと思っていたら
それがまた実はまた違うルービックキューブであれば
一つの面だったかもしれない。
 
この繰り返しが一生続く
と私はお伝えしています。
 
この歩みの旅に出るか
一面だけをみている其処に居続けるか
それはあなたが決めることですが
 
その前に
選手はどちらを求めているかを考えてもらえればと思います。

 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
JARTAベーシックセミナーの詳細は以下よりご参照ください

BASICセミナー




JARTA公式HP
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2020年01月15日

全身の連動を反射で引き起こす

文責:伊東尚孝

 
「全身を連動させる」
 
様々な競技において、このように指導されることがあるかと思います。
 
全身を連動させることは、あらゆるスポーツにおいて必要とされパフォーマンスアップには欠かせない要素の一つであり、
◯再現性を高める(コントロールが良くなる)
◯強いパワーを生み出せる
◯スピードを上げられる
◯怪我を予防できる
など様々なメリットがあります。
 
「連動」とは、「動き」が「連なる」ということからも、全身のあらゆる部位の運動を連ならせたトレーニングが必要です。
野球のピッチング、テニスのストローク、バレーのサーブ、ゴルフのティーショットなどは、どのプレーも腕力だけで解決されないことは言うまでもありません。
 
ここでは全身を連動させるための運動様式を解説し、そのトレーニングに必要となる要素の一つを紹介していきます。
 
 
 

反射を活用する

 
全身を連動させるためには何が必要とされているのか。
 
結論から言えば「反射を活用する」ことがその一つです。
 
筋肉には伸縮を感知するセンサーが存在しており、受動的に伸ばされることで筋肉が収縮する「反射」を引き起こします。
これを専門的に「伸張反射」と言い、自分の意思とは無関係に起こるメカニズムです。
さらに下肢・骨盤・脊柱・上肢など全身にある運動軸の「回旋運動」を連動させることで引き起こされる反射を「回旋系伸張反射(以下、RSSC)」と言います。
 
RSSCは伸張反射と同様に、脳によるコンロトールはなく「反射」を活用しているため、自動的に運動を引き起こし再現性を高めたプレーを可能とします。
 
JARTAで紹介している「スパイラルパンチ」というトレーニングは、このRSSCを活用したものです。
 
 

 
(※動画を真似するだけでは怪我をする可能性もあるため、実際に指導を受けることを勧めます。)
 
 
動画では、急激な体幹の回旋力が上肢へと波及されている運動になっています。
腕を伸ばそうと(パンチしようと)するのではなく、体幹の回旋力が腕へ波及された結果、腕が伸びている運動様式となっています。
 
つまり、全身の連動により反射的に上肢を運動させることを目的としたトレーニングとなります。
 
例えばこれをテニスのストローク(右打ち)に当てはめると

  • テイクバックで骨盤を右側に引きラケットを構える(背骨も右へ回旋している)
  • 骨盤の急激な回旋力が背骨に波及され体幹筋が伸張され力が生じる
  • 生じた力が上肢へ波及されスイングする

 
このような運動構造によりRSSCを活用します。
 
RSSCをうまく活用できない(すなわち連動した動きができない)選手は、いわゆる「手打ち」になりパワーを出し切れずコントロールも定まらないプレーとなってしまいます。
様々な競技でも「腰を入れて、腰から」という指導は、まさにこのRSSCを活用させるために必要な要素の一つだと考えます。
 
 
 
***
 
しかし、スパイラルパンチはあくまでRSSCを習得するための「手段」に過ぎません。
どんなに優れたトレーニングでも、万人に共通して効果があるとは言い難いです。
各競技の運動特性や、その選手の動きや体格などには個別性があるため、選択されるべきトレーニングも様々あります。
 
選手が本当に必要とするトレーニング
 
今回はスパイラルパンチの「方法」を伝えることが目的ではなく、
パフォーマンスアップに必要な運動様式をスパイラルパンチという「手段」を用いて解説していることを、改めてご理解いただけると幸いです。
 
 
 

背骨の認識を高める

 
話が少し逸れましたが、ここからはRSSCを獲得するためには何が必要なのかを解説していきます。
 
上記で述べたように、RSSCは筋肉にあるセンサーが受動的に伸張されることによって筋肉を収縮させる反射を引き起こします。
 
もちろんRSSCは全身を連動させた運動様式であるため、各部位の反射を活用することが必要とされますが、その中でも特に注目したいのが「背骨」周りの筋肉です。
 
その理由として、
◯ 背骨には細かい筋肉が密集しており、筋肉にあるセンサーも背骨周りにより多く存在しているといわれている。
◯ 力の出力は身体の中枢部から生じるといわれており、ヒトの中枢部には背骨がある。
◯ 背骨は力を全身に波及させることや衝撃を吸収・分散する役割があり、ほぼ全ての運動に関与している。
 
つまり、RSSCに必要な「反射の活用」「力の波及」「全身の連動」という要素を多く担っているのが「背骨」になると考えます。
 
背骨のモビリティやスタビリティを上げることは当然ですが、背骨を「一本の支柱」のように捉えながらトレーニングをしていないでしょうか。
背骨は頚椎から腰椎まで24個あり、一つ一つはごくわずかでありますが関節運動を起こします。
極論を言うと、一つ一つをバラバラに動かすくらいの認識力が必要です。
背骨がどのように動いているか、どの方向が動きやすいか/にくいか、またはどの部位が動きにくいかなどを認識することで、効率良くRSSCを活用するための準備ができます。
 

 
 
 
また、背骨は自律神経系と深い関わりがあり、背骨の硬さによって自律神経が乱れメンタル面にも悪影響を及ぼす可能性があります。
トップクラスの選手のプレーが「安定している」ように見えるもの、メンタルが左右されにくい状態でプレーできているからだと推察されます。
 
 
 

背骨の柔軟性が関節への負荷を軽減させる

 
RSSCによって引き起こされた力は、身体の末梢になるほど力強く影響されます。
そのため、ハイパワー・ハイスピードを発揮できるメリットがある反面、末梢である肩や肘にはそれだけの負荷がかかっていることになります。
これはRSSCに限らずですが、どんなに優れた選手でも関節への負荷を避けて通ることは不可能です。
しかし背骨の柔軟性があれば、負荷を「軽減」することはできます。
 
関節障害を引き起こすメカニズムとして、中枢部の関節(背骨)に障害があれば、末梢の関節(肩・肘・手首・股関節・膝など)に影響を及ぼすといわれれいます。
 
仮に、胸周り(胸椎)の柔軟性が乏しい選手が投球し続けたとします。
RSSCによって背骨→肩→肘→手→指→ボールへと力が波及されていきますが、胸あたりの柔軟性が乏しいことで背骨(胸椎)から肩までの力がうまく波及されません。
その結果、胸の硬さを「かばう」ように肩を「使いすぎる」現象へと変化していきます。
肩周りの筋肉が必要以上に力み、靭帯や関節包が必要以上にストレッチされ続けることで、肩に何らかの障害を引き起こすリスクを生み出します。
 
これが、オーバーユースを発症する選手の特徴です。
 
つまり、末梢の肩や肘の器質的な問題だけではなく、中枢部である背骨の柔軟性が関与している可能性が示唆されます。
(波及された力に耐えるだけの各関節の柔性と剛性が担保されていることが前提となります。)
 
そのため関節への負荷を軽減させるためにも、背骨の柔軟性は重要なファクターとなります。
 
 
 
 

まとめ

 
「全身を連動させる」と言っても、目的が違えばトレーニングも変わります。
連動させて何を獲得したいかが明確でないと、そのトレーニングの効果は期待できないかもしれません。
 
今回はRSSCをスパイラルパンチで解説しましたが、RSSCを活用するフェーズはあらゆる競技に存在し、対人競技であるサッカーやバスケ、格闘技などにも活用できます。
 
さらなるパフォーマンスアップを望んでいる選手は、JARTAスポーツトレーナーを利用してみてはいかがでしょうか。
我々は、選手のパフォーマンスアップのために全力で力になります。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

JARTA公式HP
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2020年01月13日

【トレーナー向け】アスリートの歩行および立位分析のコツ

 

文:岩渕翔一

競技パフォーマンスの動作分析はスポーツトレーナーにとって最も重要なタスクの1つです。
動作分析が担う、あるいは鍵になる仕事は、
・現状のパフォーマンス分析を行い、そこから出た課題に対するトレーニングメニュー構築
・トレーニング内容の取捨選択を行う上でのトレーニングそのものの分析や構造の理解
・障害予防や故障からの復帰におけるリスクの管理
 
などは動作分析が必須の仕事になります。それ以外にも多くの仕事で非常に重要な役割を担っています。
 
「あの選手は立ち方が素晴らしい」
「歩き方を見ただけで良い選手だということが分かる」
 
このような話を大なり小なり多くの方が聞いたことがあると思います。サッカー元日本代表の小野伸二選手がまだ高校生の頃、フィールドに立っている姿を見ただけで「あの選手は素晴らしいだろう」と海外のあるコーチは言ったといいます。
基本動作である立位や歩行はその選手の分析を行う上で非常に重要なヒントが隠されている一方で、分析が難しいと言った側面も少なからずあります。なぜ難しいのでしょうか?また、ほとんど誰もが当たり前にできるはずの立位や歩行で、なぜその選手の質が透けて見えるのでしょうか?
 

立位・歩行分析が難しい訳

なぜアスリートの立位や歩行分析が難しいのか。
ここで少しリハビリテーションの話をします。
例えば理学療法士は基本動作の改善を主目的として障害者のリハビリテーションを行います。その際、筋骨格系、中枢系、呼吸循環器系、内分泌系などどのような対象であっても基本動作ができているできていないの判断の基準となるのはADL(日常生活動作)です。
・家の中を自由に歩行するためにはこれくらいは歩けないといけない。
・近くのスーパーに歩いて買い物に行くためにはこれくらいの距離は安定して歩けなければいけない
・自分でトイレ動作を遂行するためには下衣の着脱を立位で安全にできなければいけない
・その歩容で生活を続けた場合二次障害のリスクは高くないか
 
など。その基本動作を分析するための基準が歩行そのものだけではなく、歩行することの目的にもあるため、分析を明確な基準を持って行うことができます。
 
ここでアスリートの基本動作分析に話を戻しましょう。当たり前に歩ける、立てるからこそ基本動作だけみていては、何をどう見て良いのかがわからなくなってしまいます。
「歩行分析と言っても歩けるし何をどうみれば良いのだろう」
これがアスリートの基本動作分析が難しい原因です。「できる動作をみる」というのは「その質をみる」ということです。であるならば、アスリートがなぜ歩くのか立つのか。何を目的に立つのか歩くのか。これらを明確に定義づけなければなりません。
 

アスリートの立位と歩行を定義する

さて。ではアスリートの立位と歩行を定義してみましょう。どのように定義するのか。百聞は一見に如かずです。
以下の動画をまずはみてみましょう。
https://youtu.be/zIoR9VzSBBk

 
1つ目はタイガーウッズ選手。2つ目はFCバルセロナの試合前アップの動画です。それぞれその競技において言わずと知れたトップ選手です。では、そのトップ選手の立位姿勢と歩行動作はどうでしょうか?同じでしょうか?
いうまでもありません。全く違いますね。
つまり、立位や歩行を分析する上での定義は競技によって異なるということです。この動画を認定コースのトレーニング実践1で見せたところ、ある受講者の方はバルセロナの選手は跳ねるように歩いて、タイガーウッズ選手は芯がある感じだと形容しました。それぞれもう少し具体的にみていきます。
 
[サッカー選手の立位と歩行]
サッカーは前後半45分ずつをフィールド内あらゆる方向、あらゆる動き、あらゆるスピードで動き続けなければなりません。走行距離も平均で10kmほどになります。それを踏まえて考えてみると
・いつどんなタイミングでもどんな方向にも動き出せる立位と歩行
・視野を広く保つことができる立位と歩行
・夏場は省エネ、冬場は身体を冷やさないような立位や歩行
このような立位であり歩行でなければなりません。

 
[ゴルフ選手の立位と歩行]
ゴルフは長い時間長い距離を移動しながら行う競技です。例えば全米オープンでは予選ラウンド2日間、決勝ラウンド2日間の計4日間で72ホール(1日18ホール)を回らなければなりません。またゴルフは広大なコースの中で、小さなボールを小さなカップに入れる競技です。手元の0.1mmの誤差が致命的なミスショットに繋がる競技です。それらを踏まえて、
・長い移動や立位で疲れや体の硬さを出さない省エネで力学的効率性のある立位と歩行
・安定したスイングを行うための軸が形成された立位や歩行
・各ショットで集中力が出しやすい立位
このような立位や歩行でなければなりません。

 
 

定義づけを行いみるべきポイントを明確に

このように各競技それぞれを見てみると、求められる基本動作像は全く異なることが分かります。そこを具体的にせず、単に歩行や立位を見ていては当然みるべきポイントを絞れないため「何をみていいのか分からない」といった状態になってしまいます。
まずは自分がなんの競技をしている選手なのかを踏まえ、その競技に必要な歩行と立位を定義づけましょう。その際、今回のサッカーとゴルフで行ったように、全く運動構造が異なる競技を見比べてみることで、より違いが可視化されやすくなります。
これらを行うことでみるべきポイントが増え、今しているトレーニングの課題や分析がより信憑性のあるものになります。パフォーマンスから基本動作。基本動作からパフォーマンス。トップダウンとボトムアップの評価両方を行うことでトレーニングを日常に落とし込むアイデアも生まれやすくなります。
 
動作の分析が苦手だという方は一度このようなワークをやってみることをお勧めします。
 
 
 
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その他トレーニング実践コースレベル1・2で講師していますので、ご興味ある方はHPでご確認ください。
 

 

2020年01月11日

闘いは日常の中にある

文責:真木伸一

 
スポーツの試合は、勝負なので必ず勝者と敗者が存在します。
一つの試合に勝つために、選手は一年、二年、あるいはそれ以上の時間を競技に捧げ、準備する。
そうやって準備してきたことは、当日の会場で全て対戦相手にぶつけるわけですが、それでもあえなく敗退することがあります。
そんな時、選手は必ず「自分の何がいけなかったんだろう」という思考を持つと思います。
自分のやってきたことを振り返り、取り組みに甘かったところはなかったか、できることは全てやってきたか。
そうして振り返ってみて、競技人生全てにおいて嘘偽りなし、と思えたら、「全部ぶつけてダメだったのだから、潔く負けを受け入れよう」という心境になれるかもしれません。
心境の話ですから、これはあくまで推測の域を出ません。
 
 
 
スポーツ現場で活動していると、どうしても破れない壁にぶつかることがあります。
何度挑戦しても勝てない相手、連覇を続ける強豪、なぜ彼らが勝ち続けられるのか、そして、どうして我々はそこに敵わないのか。原因を探り、対策をしてまた挑戦をする。
やれることは全部やったと思って臨んでも、かなわないこと、そんなことがあるわけです。
複数の競技や選手にトレーナーとして関わっていると、その双方の立場に携わることになります。
 
全身全霊をぶつけて来る相手を跳ね返す側、全てをぶつけても跳ね返される側。
この双方のどちらにも携わっていると、その違いがみえることがあります。
それはなんなのか。単純に考えれば、普段の取り組みです。
 
試合当日、もしくはそこに至る今シーズンの準備、などが大きくフォーカスされます。
実際に、競技レベルが「頂点を競うもの」でなければ、それらの準備で大勢がひっくり返ることもあるでしょう。
しかし、頂点を争うトップレベルにおいては、実は勝ち負けはもうそんなところにはないのかもしれません。
その試合に向けた準備や当日のコンディションは、大変重要なことでありますが、見方を変えれば小さなことです。
 
目の前の選手は、どれくらいの年月をかけて今の自分を作り上げてきたのでしょうか。
競技のために割いた時間は、思考は、労力はどれくらいのものだったのでしょうか。
つまり、「どう生きてきたか」が問われるところまで、高いレベルで凌ぎを削るわけです。
 
私は、実際に何十年もその競技のために全てを捧げてきた選手が、その日に全てをかけて闘う姿を目にしました。
言葉にすれば簡単ですが、これはもう、壮絶なものです。
人生全てをかけて、臨む。
今年の夏が勝負だから、体重コントロールをしっかりやろう、来週試合だから、夜更かししないようにしよう、明日試合だから験担ぎにお参りに行こう、もう、そんなレベルの話ではありません。
 
今まで競技に費やしてきた時間、労力、思考、全てをその一瞬に凝縮する作業。
 
試合前、目の前に鬼神が立っている。
私にはそう見えました。
 
でも、及ばなかった。
トップの世界は、そういう世界です。
ただ、その選手は、その試合に臨むにあたり、何か自分の内面に大きな変化を作り出したようにもみえました。
その過程が、観ている人達に伝わったようにも思います。
彼は試合後、「胸を張りたいと思います」そう言ってくれました。
 
 
さて、この話を通して、トレーナーである我々は、どうあるべきだと考えますか。この場を借りて個人的なお話をしてしまうかもしれませんが、私の場合は自分のこれまでの人生はどうだったのか、ということを振り返らざるを得ませんでした。
 
「自分の何がいけなかったんだろう」という思考は、選手だけのものではないでしょう。
「今日はこのくらいでいいや」とか、「評価の対象にならないのならやらなくてもいいや」とか、「誰も見てないからサボってしまおう」とか。
そんな瞬間がどれだけあったか。
ベストは尽くしてきた。
 
ただ、目の前にいる選手を世界の頂点に引き上げたいのなら、生活の全てをもう一度見直す必要がある。
 
そう反省しました。
 
そして、この思いを持ち続けて、嘘偽りなく努力し続けていかなければならない。
今一瞬だけではダメなんだと、改めて自分を戒めています。
目の前の選手を助けているだけでは、世界は変わらない。
けど、目の前の選手を引き上げられなければ、足下すら定まらない。
トレーナーとしての道を歩み始めて、選手の人生を預かる立場にいる。
 
全ての責任を負うわけでなくても、自分の覚悟と取り組みは選手にそのまま跳ね返る。
自分にはまだ、できることがあるはずです。
 
それを探す旅は、トレーナーとして仕事をする限り終わりはありません。
今この瞬間も闘いは続いているのだと、心に留めて前に進みたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

JARTA公式HP
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2020年01月08日

身体を捻るには胸椎の動きが必要

文責:高島公平

 
野球・テニス・バレーなどのスポーツで身体の捻りを必要とする動作は多いと思います。
身体の捻りを出すためには背骨がしっかり動かないといけないということは皆さんもわかっていることと思います。
では、身体を捻る動きは背骨のどこで一番大きく動くか知っていますか?
 
 
背骨の中で捻る動きが大きく出るのは、頚椎・胸椎・腰椎の順番です。
つまり身体を捻る動きで一番動く部位は胸椎となります。
関節の構造上腰椎は屈曲・伸展(前屈・後屈)が大きくなり回旋の動きはわずかになります。
胸椎は腰椎とは異なり屈曲・伸展の動きだけでなく回旋の動きも大きくなります。
そのため体幹の回旋は胸椎主体となるのです。

 
スポーツ動作を指導される中で、「腰をもっと捻って」「腰をもっと使って」「腕をもっと引いて」などといった言い方が使われることがあります。
どの場合も身体の捻りをしっかり出したい時に使われることが多い言葉です。
これらの声掛けで上手く動きを誘導できる選手と誘導できない選手が出てくる場合があります。
誘導できない選手に対しては胸を意識した声掛けに変えてみることで変化を与えることができるかもしれません。
 
 
また、本来動いてほしい部位の動きがない中で無理に動かそうとする可能性に加えて、本来動かしたい部位ではない部位で動こうとすることで身体にかかる負担が増えてしまい痛める原因にもなる可能性もあるため、選手にあった声掛けが必要となります。
 
 
捻りを必要とする動作の中で「腰が痛い人」や「肩が痛い人」「背中が痛い人」などは一度胸椎の動きを確認してみることも、痛みを改善し動作の質を上げるためには必要なことかもしれません。一度確認してみましょう。
 
 
では、痛めることなく捻りの動きを改善し動作の質を向上させていくための胸椎の動かし方を紹介したいと思います。
 
 
 
1、脊柱伸展回旋①

胸椎の動きを出すためのJARTAでお伝えしているトレーニングです。
手で支える時に余計な力みを出さないようにし、上部胸椎と肩を前後に動かします。
 
 
 
2、脊柱伸展回旋②


胸椎伸展位にしてから捻りを加えます。この時股関節が抜けないように注意して行ないます。
上手く回旋が出ない時は胸の前で合掌する形で行ないます。
 
 
 
3、胸セパレート

手を重ねて胸の前にします。その状態から顔とへそは正面を保ったまま手と胸の位置関係が変わらないように手と胸を左右に動かします。
ゆっくりした動きから始め、慣れてきたら早く動かすようにしていきます。
 
 
 
胸椎が硬くなってしまっている場合なかなか難しい動きになります。しかしながら、1の脊柱伸展回旋は毎日繰り返して行なうことで動きの改善が実感しやすいかと思います。
自分自身のできる範囲から徐々に動きを作っていきましょう。
 
 
捻る動きで痛みが出る人だけでなく、スポーツ動作で身体を捻る動きを必要とする人にはぜひ取り組んでもらいたい内容になっています。
ここで上げた内容のトレーニング以外にも胸椎を動かすトレーニングはたくさんあります。今まであまり目を向けていなかった人はぜひ胸椎を動かすようにしてみてください。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

JARTA公式HP
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2020年01月06日

真似をするということ


 

文責:赤山僚輔

 
スポーツに関わらず、何かの上達や成長を目指す上で”真似をする”ということが重要であるのは改めていうまでもないと思います。
 
でも色々な指導者や選手と会話をしていると、その”真似をする”ということができていないだけでなく、やろうとしていない方が多いように感じるので今回はその重要性について改めてお伝えしたいと思います。
 

目次
・真似をせずに先輩を超えることができるだろうか
・守破離とは
・師を見るのではなく師の見ている景色を見る
・徹底的に真似した先にオリジナルが生まれる

 
 

真似をせずに先輩を超えることができるだろうか

武道の世界ではまずは先人の教えを元に師匠の真似をしたり、先輩の真似をすることから上達の一歩は始まります。
きっとスポーツにおいても上手くなりたい最初のきっかけはテレビに映る選手のプレイを真似したり、仕草や時にファッションなどを真似してその選手になりきることから競技の楽しさや上手くなりたいという欲求が湧いてくることが多い。
 
でもその先輩の存在が中途半端に近いと真似をすることが恥ずかしかったり、自分を持っていないと思われるのが嫌で競技を行なっていく上で心身ともにまだまだ未成熟であるにも関わらず真似をすることよりも”自分なりのやり方”を模索している選手が多いように感じる瞬間があります。
 
きっとそれはスポーツ以外でも同じことが言えます。
まずは自分なりを模索するよりも、成功者の模倣を徹底的にすること。
これはどんな業界でも成長する上での鉄則です。
 
自分自身も色々な書籍や多くの素晴らしい方とスポーツ業界に関わらずお会いすることがこれまであり、自分から見て眩い人生の輝きを放つ方々にはある一定の共通項があり自分自身はその時々でその方々の真似をしてきました。
 
それは時に持ち物であったり、行動パターンや口癖など。
 
スポーツに話を戻すが、例えば高校生を例に考えてみると高校入学時に先輩を超えようと思って自分なりで練習しても限界はみえています。
1学年でも先輩であれば同じような時期に同じような苦しみも成長も経験し、どうすれば最短距離で上達するかを知っていることが多く
思い返してみても、先輩の言うことを素直に聞き入れ、とりあえず真似をひたすらしている選手の方が先輩に可愛がられ次々とチャンスがもらえることも多いと思います。
 
これは先輩に媚びを売ると言う意味ではなく、時に余計なプライドは自分の最短距離での成長を阻害することにも繋がっているのです
 
という認識を元に先輩の真似をするという選択肢をもっと柔軟に、素直に持つことは大事な視点であると考えています。
もちろん競技特性によっては多少先輩の言うことを聞かない生意気な性分の選手が大成することもありますのであくまで一例として聞いてもらいたい。

 

守破離とは

守破離という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
Wikipediaでは以下のような説明がなされています。
日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したもの。
日本において芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想で、そのプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表している。
これをスポーツに置き換えると
「守」はスポーツの基本やチームの型、指導者の教えや先輩の教えを守ること。
その守ることが真似することでありそれが言われながらではなく自分自分でできるようになってやっと一人前である。
そのように解釈できます。
「破」はその型や教えを自分と照らし合わせて、より自分にあった型や手法を試行錯誤をしながら自分流のスタイルに挑戦する段階でこれができる選手は型破りな選手となります。
型破りな選手に成ろうと思ったら、まずは型を徹底的に守る、真似する必要性があるのです。
そして「離」の段階になると自己の探求や研究の集大成となりその競技の技術や修練方法についても熟知している為、師から離れることも基礎を変革し進化させることもできます。
ここまでくるとオリジナルと呼べるのではないでしょうか?
 
きっと守破離の「守」と「破」をとばして最初から「離」をしようとするから自己のあり方や戻るべき型がなく迷子になって成長が止まったり、プラトーになるのだと思います。

 

師を見るのではなく師の見ている景色を見る

 
私はこれまで守破離させてもらってきて、現在進行形で守破離している師と呼べる存在が4名います。
その時々で多くの刺激も叱咤激励もしてもらい本当に感謝していますが、ある時、ただ師をみているだけでは一生師の背中しか見えない。
そのように感じることがあり上記の言葉の存在を知りました。
ただ師を見ているだけでは本質的にはうわべだけの真似事に過ぎないのです。
師が何をみて、どう考えているか。
そこをみて考えてこそ本当の真似が始まる。
 
それを知り、体現してくれてきた師の存在のおかげで時に、何も師から言われなくても先に言おうとしていることがわかったりするようにもなってきました。
 
同じ景色をみているので、感じることも考えることも似てくるのです。
もしあなたが尊敬する選手や師匠のような存在がいるのであれば、その方々がどんな景色をみているのか徹底的に真似することをお勧めします。
 
それは読んでいる本であったり、旅する場所や一緒に行動をすることができたらどんな景色に目を奪われているのか。
 
スポーツにおける成長についても全く同じことが言えます。
 
ただプレイを真似するのではなく、どういった目的でどんな視点でどんなイメージをしながらそのプレイを練習しているのか。
 
それが共有できていないといつまでも先輩に追いつくことはできません。
私は幸い4人の師は私より全員年上なので、今の師の年齢に自分がなったときにはまずは同じ景色がみれているようにと思い守破離しています。
 
同じ景色が見えた時に自分自身のあり方が確立できていたら、その時、守破離の第二段階が始まるかな。
 
そのように考えています。
 

 

徹底的に真似した先にオリジナルが生まれる

 
真似できることを真似せずに”自分なり”でオリジナルを目指していると困ったことが起きる可能性があります。
いくつかの業界で自分自身もそういった状況をみたことや聞いたことがあるのですが
師の真似をしておらず真似をしようとしていないので、これがオリジナルだと言っても実はその事象はすでに師が数年前に行っていたことと瓜二つになってしまうということです。
 
もちろん全くのオリジナルなんてこの情報社会でなかなか難しいとは思います。
でも前述したように守って破るからこそ元の型に対してどの部分が自分なりのエッセンスが加わって、独自の手法になっているかがわかるのだ。
 
世の中にあるスターバックスコーヒーが同じようなコーヒーを提供しているものの、店舗デザインやPOPの書き方などその店舗のオリジナル要素がみえるように。
ゼロから100までをオリジナルでトレーニング方法やコンディショニング方法を考える必要性はないと思っています。
ましてやコーチング手法などはスポーツ以外の業界でも数多く素晴らしい手法があり、自分自身もたくさん流用させてもらっています。
 
どこか真似することを”パクった”ような感覚でネガティブイメージを持つアスリートもいるかもしれないが、武道の世界だけでなくスポーツでは新しい技術を習得する過程は全て”真似”から入る。
 
もっと積極的に真似して良いと思う。
そして徹底的に守破離して成長へのスピードを加速化していってもらいたい。
 
 
 
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 

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2019年12月28日

JARTAトレーニング4原則とは

トレーニング理論コースでお伝えしている「JARTAトレーニング4原則」の内容を公開いたしました。

トレーニングをパフォーマンス向上に的確に繋げる上で不可欠な原則です。
全身操作性 ・同時実行・反射利用・運動学習の4つの原則があり、あらゆるトレーニングに該当します。

トレーニング理論コース

2019年12月26日

スポーツトレーナーが上級者になっていくには?

文:岡元祐樹

 
 
ここ数年、インターネット等から簡単に情報にアクセスできるようになりました。
 
スポーツトレーナーとして必要な情報や知識もたくさん世に出ています。
 
それらは時に魅力的に見え「もっと知りたい」「もっと学びたい」と想わせるものも多くあります。
 
そうやって得た知識や技術を現場に持ち込み、上手く生かせたのであればそれはそれで素晴らしいことです。しかし上手くいかないことも多々出てくると筆者は経験上感じています。
 
新しく得た知識や技術というものは実用的で即使えるものもありますが、その一方汎用性が乏しくなることがあります。
 
言い換えると、パターンがしっかり当てはまれば効果を発揮するが、少しでもパターンからズレると対応できなくなるということです。
 
例えば「セミナーで習った肘の痛みが取れる施術をやっているのに、選手の肘の痛みが取れない」などが挙げられます。
 
このような事象には土台となる知識が抜け落ちている可能性が高いです。
 
そしてこのような時は原点となる『基礎的な知識』に戻る必要性があります。
 
『戻る』と言うと日本語的には後退するイメージがあると思います。しかし基礎に立ち返りながら新たな知識や技術を習得していくことは、スポーツでも勉強でも大事な上級者への道のりです。
 
 

【成功でも失敗でも感じる基礎の大切さ】

 
スポーツトレーナーとして目の前の選手に対応する際、基礎的な知識が重要であることは言うまでもありません。
 
先日、肘の痛みを訴えるバドミントン選手にその相談を受けました。
 
疼痛があるのはラケットを持つ利き手側である右肘の外側。上腕骨の外側上顆の部分です。手のグリップ動作でその部位に痛みが生じ、ラケットが強く握れずプレーできない状態でした。
 
勘のいい方であればこれは上腕骨外側上顆炎、通称テニス肘ではないかと推察できると思います。
 
しかしこの選手は病院を受診しておらず、そのような診断を受けた訳ではないので、筆者は現状で生じている現象だけを評価していきました。
 
・疼痛の既往
 
・上腕骨外側上顆の疼痛検査
 
・肘関節のアライメント評価
 
これらを聴取、評価して患部の状態を把握しました。
 
そして今回の疼痛が発生する要因を
 
・バドミントンの競技特性
 
・日常生活のパターン
 
・患部以外の手関節、肩関節、肩甲胸郭関節の評価
 
から推察し、それらを改善するセルフケアを指導しました。
 
これらはテニス肘のリハビリテーションの流れとしては教科書的な内容です。
 
しかしこれらが解剖学、運動学、生理学、バドミントンの競技特性、日常生活動作といった基礎的な知識を把握していれば、例えテニス肘という現象を知らなくても対応できることが分かると思います。
※もちろん知っていることにこしたことはありません。
 
テニス肘のリハビリテーションの知識を丸暗記して選手に対応するのと、土台となる多くの知識を統合しながら評価を進め「テニス肘に似ているかもしれないな」と対応するのとでは大きな違いがあります。
 
前者は学生で言うところのテスト前の一夜漬け状態です。丸暗記したこと以外は対応できません。後者はテスト当日に急にトリッキーな応用問題が出題されても対応できるタイプです。
 
筆者は学生時代はどちらかというと前者のタイプでしたが、今回の選手は後者的な対応を心がけ、公式戦に出場できるくらいには回復することができました。
 

 
 
同じように、失敗談もあります。
 
「股関節を曲げると鼠径部が詰まる感じがするから解消してほしい」
 
スポーツ選手のコンディショニングをする機会が多いと、この要望をよく言われることがあります。
 
そしてそれを解決してあげられなかったことが多々あります。
 
この鼠径部の詰まり感は、股関節を屈曲し骨盤の前傾により基本姿勢を取るような競技では競技動作の阻害因子になることがあります。要するにパフォーマンスの低下を招く可能性があるということです。
 
この症状を軽減するための方策はいくつもありますが、同時に症状の原因も多岐にわたります。ここで手技に走り、症状が出るに至った経緯や現状の評価が疎かになると症状は解消できません。
 
選手もトレーナーもモヤモヤしたままコンディショニングの時間が終わってしまいます。
 

 
 

【教科書は臨床に即さない?】

 
このような消化不良を起こさず、選手の課題に向き合い、解決するにはどうすればいいのでしょうか?
 
筆者は「自分の得た知識や技術を基礎的な部分まで分解し理解し直す」ことが近道ではないかと考えています。
 
理解していることの最低条件の1つとして『他者への説明がスムーズにできるか?』というのが大事であると筆者は考えます。
 
ここで言う『スムーズに』とは、言葉に詰まることなく、説明の対象となる相手が納得してくれるかということです。加えて、想定される質問に論理的に答えられることも含まれます。
 
そしてそれは必ずしも他者が必要という訳ではなく、シミュレーションでもある程度は可能になります。
 
新しいトレーニングを選手やチームに導入をする場面を頭の中で想定してみてください。その想定の中で、選手に動きや効果を説明し納得してもらえるか?どのような質問がくるか?それに答えるにはどのような知識が必要か?を考えます。
 
そして言葉に詰まる場面や答えに困る質問を発見し、解決していくのです。そしてそれらを解決していくために基礎的な知識が必要になってくるのです。
 
 
 
理学療法士でもある筆者は昔、解剖学や運動学のいわゆる教科書というものが「臨床に即していない」という思いがありました。
 
その教科書の文面を理解してテストで点が取れても、目の前の選手や患者に対応できないことが多かったからです。
 
その結果、施術のテクニックだけを学びを進めていた時期がありました。
 
しかしそれもすぐに限界がきます。
 
今スタンダードになっていたり、注目されている知識や技術はその土台に多くの基礎知識や基礎研究があります。
 
例えば股関節に対する施術であれば、股関節の構造、周辺の組織、運動学的な役割、生理学的な筋の変性など挙げればきりがありません。
 
その中から自分の知識が不足している部分を埋めていく作業をしなければ、その施術は効果を発揮しません。効果が発揮されないだけならまだしも、何故効果が出ないのか?という考察も不十分になります。これではトレーナーとして成長は限定的になります。
 
そしてそれは選手に対して、他の有効な方策を講じることができなくなってしまうという状態に繋がります。問題解決に必要な引き出しが少ない状態ということです。
 
様々な情報が受け取れるようになった今。自分の専門分野においては足りない、もしくは忘れてしまった基礎知識を確認する作業も重要になっていると感じます。
 
それができると元々持っていた、あるいは新しく得た知識や技術に汎用性が生まれます。
 
新しい知識や技術に出会った時、その本質や実態を正確に認識するために教科書(基礎)があるのです。
 

 
 

【一段跳ばしは遠回り】

 
できている。わかっている。理解している。大丈夫。
 
知らず知らずのうちにそのように思っている事象は数多くあります。そしてそれが落とし穴になってしまうパターンも数多くあります。
 
学生時代にテストでなんとなく点が取れていた筆者のようなタイプは、それを自覚し勉強方法から根本的に考えないといけないと感じました。
 
上級者への階段を昇っていくには、上ばかり見るのではなく、今までの道のりの再確認や振り返ることによる再発見も必要になるのではないでしょうか。
 
そしてそれは手間や時間がかかることです。どうやってその時間を捻出すればいいのか?
 
筆者と同様にそのような想いを抱いている方は少なくないと思います。工夫していくしかありません。
 
一段跳ばしばかりしていると、逆に遠回りになるかもしれないから。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年12月23日

JARTAサッカーキャンプ2019開催報告

文責:和泉彰宏

 
12月19日、20日に東京都世田谷近郊にてJARTA認定スポーツトレーナー がサポートしているJリーガーの合同自主トレを去年に引き続き開催させて頂きました。
 
今回の参加者は既にJARTAトレーニングを受けたことのある選手の参加で
一定の共通理解があるうえでの進行となり、
かなり踏み込んだ内容も実施されました。
 
 

 
 
 
内容(概要)

1)対人用上半身操作トレーニング

・腕と肩甲骨、肩甲骨と体幹の連動と強化
 
・体幹クロス連結・ストレート連結の強化
 
・上半身から下半身への力の伝達
 
・スライドポイントを使ったスムーズかつ分かりにくい動き出し
 
→シュート力や精度、スプリントや反応スピードなどパフォーマンス全般に波及させます。
 


 
 

2)イナシ系トレーニング(対人)

・コンタクトスキル強化
 
・イナシを使った軸/バランス能力の強化
 
・イナシを使った体幹強化
 
→対身体的に大きな選手戦略として有効です。
 

 
 

3)リロード系トレーニング(対人)

・バランスを崩したところからのリアクション
 
→バランスが崩れた状況からいかに次の動きにつなげるか。

 
サッカーは対人スポーツであり、バランスを崩されたり踏ん張ってしまったりは必ず起こります。
 
そうなった際の反応力を強化します。
 


 
 

4)軸足操作トレーニング

・上半身操作を土台として軸足コントロール
 
・トラップ能力向上
 
・動き出し能力向上
 
・対人スピード向上
 
→トップ選手の軸足に着目すると高頻度で使っていますのでぜひチェックしてみてください。
 
しかし上半身操作が高くないとうまく作用しないのがポイントです。
 
*トラップや方向転換、フェイント、動き出しなどで軸足操作は非常に重要となります。
 

 
 

5)目の強化トレーニング

・目の情報処理速度の強化
 
・反応速度向上のための目の使い方
 
・ボール到達地点の予測能力の向上
 
→目の機能が高まらないと、せっかく鍛えても反応の遅れなどが起こります。
 

 
以上のような内容のもと 2日間トレーニングを実施し、各々の課題や伸びしろと向き合う時間となりました。
 
サッカーのテクニックが先にあるのではなく、
 
テクニックの土台には
 
身体操作があるということ、テクニックを高める要因としての
 
身体操作の重要性を理解する改めて気づける機会となったかと思います。
 
 
 
 
また去年から1年ぶりに会う選手も
 
各々の担当トレーナーとともに成長した姿や、
 
自身の担当している選手の成長も客観的に俯瞰し感じとることができました。
 
 
 
このような光景を目の当たりにし、
合同自主トレの持つ意味や、今後の継続的な開催の意義を感じる機会となりました。
 
 
シーズン中は敵として戦う可能性のある選手と
 
同じ場でトレーニングを実施し、
 
よりお互いのパフォーマンスを引き出しあい、
 
来季のサッカー界を盛り上げてくれるであろうことを心の底から楽しみにしています。
 
今後の彼らの活躍に応援よろしくお願いいたします。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2019年12月20日

年末年始休業のお知らせ

いつもJARTA公式ページをご覧頂き、誠にありがとうございます。
 
誠に勝手ながら、2019年12月28日(土)〜2020年1月5日(日)を年末年始休業日とさせていただきます。
この間にお問い合わせのあったご連絡につきましては、新年1月6日(月)以降に対応させて頂きます。
 
皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
 
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2019年12月15日

インターロックポジションとは

文責:赤山僚輔

 
いつもJARTA公式ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
 
今回はこれまでJARTA認定スポーツトレーナーコースでも毎回お伝えしてきて、新しいコンディショニングスキルコースでも引き続き残っているコンテンツである、”インターロックポジション”についてご紹介したいと思います。
 

インターロックポジションとは

症状に対して、局所と全身の関係性を評価する方法論であり、対象者や施術者自身のポジショニングや意識の向け方まで含まれます。
選手の症状は階層的な構造を持っているため、 同じ症状でも常に同じ原因ではなく、必ず複数の原因が影響し合いながら存在します。
つまり問題を解決するためには症状に対する複数の原因の関係性を評価し、それらを基にした施術プランを構築する必要があります。
インターロックポジションはそのような複数の要素と症状の関係性を見出すために生み出された技法です。
 

 

局所のインターロックポジション

ある筋肉の硬さを取ろうとした時に、その筋肉がよりリラックスした状態をその筋肉の付着などから考察しポジショニングを行うことが局所のインターロックポジションとなります。
 
それは単に筋肉の起始と付着を近づけるということも手段としては有効ですし、皮膚や筋膜が過度な張力を発生していない状態を設定するということも重要な要素となります。
その筋肉が関節をまたがっていれば、その関節の緩みの位置に設定するということも筋肉の施術を行いやすくする局所のインターロックポジションとなります。
 

全体のインターロックポジション

前述した局所のインターロックポジションは”インターロックポジション”という言葉を知らなくても操作したり設定している方は多いと思います。
ここからがJARTAでお伝えしているオリジナルの観点になります。
たとえば右の僧帽筋を施術する時に、対象者が上向きに寝ているとします。
その際の両腕の外転角度や、下肢の外転角度、また回旋角度によって僧帽筋の硬さに変化がでることはご存知でしょうか?
腕は影響はイメージしやすいですが、下肢の状態などは意識して評価しないと見過ごしてしまいがちです。
またそのポジショニングについては解剖学的なポジションが一番緩みやすいかというとそういう例ばかりではなく、その人にとっての楽な位置とは左右差があることも十分に考えられます。
 
また腰椎の硬さがみられる事例では、膝を立てるようにポジショニングを設定するだけで僧帽筋の硬さが変化することも多々あります。
そのようにここでいう全体のインターロックポジションとは、施術対象となる部位の硬さが改善する全身のポジショニングを考慮して設定していくことにあります。
またそれをJARTAでは経絡の流れなども考慮してより施術しやすいポジショニングの設定を学んでいきます。
 

 

施術者のインターロックポジション

最後にもうひとつだけ。
局所や全体のインターロックポジションを考慮できたら施術者側のポジショニングについても設定していくことをお勧めします。
たとえばすごく力が入った状態で施術すると相手へ緊張が伝播することは実感としても知識としても整理できている方は多いと思います。
それをもう少し具体的に施術行為に対して深めていくのです。
例えば右のふくらはぎを施術するとして、施術者が右脚で踏ん張りすぎていると対象者のふくらはぎの硬さも取りにくくなるのです。
施術者がどちらに重心が乗っているかも相手に影響を及ぼすということです。
座っている時と立っている時、どちらが相手の身体、特に対象となる部位の緊張が緩まるかを随時検討することも重要なことです。
もっというと施術者自身が硬さがしつこく残っている部位は無意識的に硬さがあるわけなので対象者の硬さを取りにくくもなってしまいます。
 
以前私は胸背部の硬さが気になる選手が多い時期がありました。
この選手も硬い
あの選手も硬い
サポートするチームでも硬い選手が多い。
 
よくよく考えてみると自分自身が根強い硬さが残る部位であったのです。
自分の硬さが残存する部位は自身に対して適切にセルフケア、ストレッチがなされていない部位とも言えます。
自分自身の硬さをセルフメンテナンス出来ないということは、対象者へ硬さを取る為の有効な手法を伝えられないということにも繋がります。
 
今は、私自身は特に自分自身のセルフメンテナンスが行いにくい部位はないので、偏って硬さかが気になるクライアントが続くこともありません。
常に施術者側のインターロックポジションを留意することは自分自身の硬さに対しても向き合うことになりよりよい状態でコンディショニングをするスポーツトレーナーの準備としては非常に有用であると考えています。
まずは上記のインターロックポジションを実戦でも考慮していただき、詳細を学びたい方は新しくなったコンディショニングスキルセミナーへのご参加をお勧めいたします。

現在募集中のセミナー


 
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2019年12月09日

「〇〇を意識する」がパフォーマンスにどう影響するか

文:伊東尚孝

 
 
「〇〇を意識して」
 
トレーニングを行う際に一度は耳にしたことがあるフレーズです。
動きの質を高めようとする際に用いられることが多く、身体のある部位に意識を向けながらトレーニングを行います。
 
例えば、
「野球は下半身が大事だから、股関節を意識して動け」
と言った具合です。
 
その選手もしくはチームの動きに股関節の要素が不足しているのなら、「股関節を意識する」ようなトレーニングはパフォーマンスアップにつながる可能性はあります。
 
 
しかし一方で、
「意識することが難しい」
「練習で意識できても試合中はできない」
「なんで意識しないといけないのか」
という印象を持つ選手もいると思います。
 
一つひとつ丁寧に解説しながら指導できればいいですが、
限られた練習時間を有効に使うためにも、特に集団トレーニングであれば一人一人に時間を割いてしまうことは避けたいと思います。
 
時間を有効に使いつつ、動きの質を高めるための「意識」をどのように選手へ伝えるべきでしょうか。
 
私の実際の経験をもとに、一つの手段を述べていきます。
指導する際、またはご自身のトレーニングにも参考になれば幸いです。
 
 
 
 

意識することの弊害

 
 
ある部分を意識しながらトレーニングすることは、動きの質を高めより動きやすくするための手段として効果的です。
 
しかし、意識すること全てが良い訳ではありません。
意識することの弊害も考慮しておく必要があります。
 
 
 
例えば、脊柱の動きにフォーカスを当てたトレーニングを行うとしましょう。
 
事前に脊柱の柔軟性を上げるトレーニングを行い、できる限り脊柱を分離できるように準備します。
その後は徐々にトレーニングの構造を複雑にしていき、最終的には競技レベルの動きで脊柱の動きを意識しながらトレーニングを行います。
 
「最初に動かした背骨の動きを意識しながら」というコマンドを入れながら。
 
 
しかし、最初は意識できていた脊柱の動きは雑になっていき、競技レベルのトレーニングになるにつれて選手の頭の中が混乱している様子でした。
 
 
***
 
試合中の動きは、多様性のある連続した動きであることが多いです。
競技レベルの動きに近いトレーニングも、必然的に複雑な動きが連動していきます。
 
複雑な動きをしながら脊柱に意識を向け続けるように指導していると、かえって動きが硬くぎこちなくなるリスクがあります。
 
なぜなら、競技レベル動きのほとんどは「自動化」されており、身体の部位を意識しながら動くことがほぼないからです。
 
意識しながら動くことを例えるなら、全力でダッシュする時に身体の全ての関節がどのように動いているかを把握しようとする状態とも言えます。
さらに競技にも対戦相手にも集中して、、、
となると、自分の身体を意識し続けながらプレーすることは不可能に近いと思います。
 
***
 
 
そのリスクを最小限にしようと、あくまで「脊柱の動き」をベースにトレーニングして、意識の数を最小限にとどめようと試みました。
トップ選手の動画を確認し、また体性感覚の刺激が入力されやすいように脊柱を段階付けて分離させるトレーニングなども行いました。
 
それでも、獲得すべき動きまでには到達できませんでした。
 
 
“選手に伸びしろとなる部位を「意識させる」ことは必要。
でも「意識させる」ことで動きはぎこちなくなる。“
 
 
 
ここで悩んだ私は「意識する方法」を大きく変更しました。
 
 
 
 

意識させないという選択

 
 
上記でも述べたように、競技での動きはほぼ「自動化」されています。
そもそも「意識する」ことが動きを制限しているのではないかと考えます。
 
 
そのため「意識する」というコマンドを一切入れないようにしました。
 
 
考え方は単純で、「意識しにくいのであれば意識しなくても良い」
という思考に変換したのです。
「背骨を動かす意識」から、「この動きをすれば勝手に背骨が動いてる」
というトレーニングの構成に変更し、ひたすらそれを繰り返しました。
 
それと同時に、動かしたい部位のポイントを決めて「触る」方法も加えました。
今回の事例の選手は、どの動作においても胸を張りすぎる傾向にありました。
そこで、「みぞおちを触って柔らかくなるように」というコマンドに切り替えました。
動かしたい(意識させたい)のは脊柱ですが、みぞおちを触ることで結果的に脊柱にアプローチできているようにしました。
 
 
「意識する」というコマンドが余計な思考を与えることとなり、結果的に動きを制限することとなる可能性があると考えます。
そのため選手には「触って、繰り返す」トレーニングを行ってもらい、余計な思考が入ってこないように設定しました。
 
 

 
 
 
まとめると、
◯特定の部位を「意識しながら」トレーニングをし続けると、競技レベルのトレーニングでパフォーマンスが下がる可能性がある。
なぜなら、競技レベルの動きはほぼ「自動化」されているから。
 
特定の部位が結果的に動いているようなトレーニングの構成では、余計な思考を与えず獲得したい動きを高めることができる。
すなわち「自動化」に近い動きの学習ができる。
 
ということになります。
 
 
「意識することが難しい」
「練習で意識できても試合中はできない」
「なんで意識しないといけないのか」
これらの声は、トレーニング中に「意識する」というコマンドを入れ続けてしまったが故に生じたものだと考えます。
 
 
 
 

まとめ

 
 
今回の内容は全ての選手に当てはまるものではなく、私が関わる選手に当てはまる手段の一つにすぎません。
中には「意識する」トレーニングでパフォーマンスアップする選手も大勢いるでしょう。
 
 
つまり、「意識する」「意識させない」のどちらが正しいかではなく
目の前の選手に対して、どのように伝えるべきかを見極める必要があります。
 
 
トレーニングの質を高めるということは、今までの動きのパターンを変えようとしているとも言えます。
動きのパターンとは動きのクセでもあるため、一朝一夕で獲得できるものではありません。
 
しかし、継続すればパフォーマンスを上げることが可能になります。
いずれにせよ、トレーニングは継続しなければ効果は得られないということです。
 
 
パフォーマンスアップのためにトレーニングを継続し努力するのは選手自身です。
しかし我々がトレーニングの方向性を誤ってしまうと、選手が努力する方向性を誤ってしまう可能性があります。
 
それにより選手のパフォーマンスを下げてしまうことは、容易に想像できると思います。
 
ちょっとした言葉の選択やトレーニングの構成によって、選手のパフォーマンスに大きく影響することを、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
 
また今回の事例がパフォーマンスアップのヒントになれば幸いです。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年12月05日

系統発生を学ぶ意味

文責:真木伸一

トレーナーを目指す、トレーナーとして仕事をするあなたは、選手のコンディションを改善する役割を担いますか?選手の不調、痛みを解決し、より良いパフォーマンスへと導くために学んでいることは、解剖学、運動学、それとも治療スキルでしょうか。
刷新されたJARTAのコンディショニングスキルコースでは、学校では習うことのない、系統発生、比較解剖といった ヒトの進化を学びます。そこには、どのような意味があるのでしょうか。
 
東京で活動する真木です。
 
JARTAのコンディショニングスキルコースでは、これまでの内容に無かった「関節アライメント評価」や「科学的根拠の用い方」が加わり、選手の不調に介入するポイントを、よりメカニカルに考察して導く手段をお伝えすることになりました。
 
一方で、従来から提唱している「関係主義的な捉え方」はより深みを増し、選手の体に生じる不調の解決方法をより多角的に捉えることができるような内容となっています。
関係主義的に捉えるというのは、全体を構成する構造を常に考慮しながら、要素と要素の間に生じる関係性・相互の影響を考慮することです。
つまり、不調の原因を局所の問題のみに求めず、全体(身体や身体を取り巻く環境)を構成する構造のつながりを考慮して、原因にたどり着く事をお伝えするということです。
 
トレーナーとして働く、もしくは働こうとするあなたは、学校やもしくは独学かもしれませんが、解剖学、運動学、生理学などを学ばれて、外傷学や診断学ももしかしたらよくご存知かもしれません。
関節アライメントの評価も正確にでき、メカニカルストレスの原因を取り除くことも可能かもしれません。
ただ、それだけで選手の不調の本当の原因を取り除けない事があるのではないでしょうか。
何度挑戦しても元に戻る腰痛、繰り返す肉離れ、原因不明の頭痛。あげれば思い当たる問題はいくつも出てくると思います。
このような問題を解決するために、そもそも、生命がどのように誕生し、ヒトがどのような進化の過程を辿ってきたのか知ることは、本来その構造が持つべき機能を知ることにつながり、器官同士のつながりを考慮した考えに行き着くことができます。
 
三木成夫は、その著書の中で「生物一般の原型としての土管様構造(図1)」を提示し、体壁系と内臓系を分け、内臓由来の感覚が動物、とりわけヒトにとってどれほど大切かを説いています。

 
 
ヒトの表情筋は「皮筋」と呼ばれる一端または両端が皮膚につく筋肉で、体を動かさずに皮膚だけを動かすことのできる筋肉です(犬塚則久「進化の退化学より」。
この表情筋は鰓弓由来の筋で構成されていて、「内臓の前端が突出した形が顔(図2)」ということになります(三木茂夫「内臓とこころ」)。

つまりは、目の前に立つ選手の表情には、その日の選手の内臓の状態が表されていると考えることができます。
東洋医学の経絡においても、顔面には非常に多くの経穴が存在し、臓腑の状態を評価・改善していくことに用いられているのは面白い事実だと思います。
内臓感覚が大脳皮質に昇ることはありませんが、「個体維持」と「種族保存」を二大本能とする動物にとって、内臓の働きが自身のコンディションを大きく左右することは考えるまでもないことです。
したがって、選手の表情をよく観察することで、その日の選手のコンディションがどういう状態であるかを推察することができるわけです。
なんとなく浮かない表情をしているな、良いことがあったはずなのに表情が冴えないな、目の下が浮腫んでいるな、口角が下がっているな、など、その状態から何を推察するのかは、関連のある臓器やその臓器の持つ働き、その臓器を支配する高位と同部の神経節から出る遠心性の信号のエラーなどに考えを向けることが可能になります。
 
その結果、「背中の筋肉の硬さを取るために、夜寝る前に食事を終えてからどの程度の時間を置いているか」という問診が生じたりするわけです。
 
 
もう少しメカニカルな例を挙げます。主な機能として呼吸を担う横隔膜は、エラの筋肉由来です。
 
エラがあったところから胸腔の下方を仕切るところまで下がり、肺の下方で酸素を取り入れるために働いています。
 
だから、この横隔膜を司る神経は頚部から伸びています。
横隔膜に隣接する組織としては胃や肝臓があげられ、腰椎部では大腰筋との筋連結もなされています。
つまり、大腰筋の硬さや、胃の不調などは、横隔膜の機能低下を引き起こす可能性があります。
このような横隔膜の機能低下は、頚部周囲の筋の強張りを引き起こしても全く不思議ではないということです。
現代の解剖学では、あるがままの姿を解剖して「それが何であるか」を学ぶことをしていますが、もっとものの本質を知るためには、その「成り立ち」を深く知る必要があるのだと考えています。
 
 
このような理由で、JARTAの新しいコンディショニングスキルコースにおいては、「ヒトの成り立ち」「肩帯・骨盤・股関節の構造特性」などを系統発生、比較解剖といった視点から説明することを行います。
 
ヒトが現世に誕生するまで、そして誕生から現在まで、どのような機能を獲得しながら生きながらえてきたのか、その構造のもつ意味とはどのようなものなのか、理解が深まれば、不調に介入する際の関係主義的な考えに幅を持たせることが必ずできるはずです。
 
なるべく早く、本質にたどり着くために、我々と共に学びましょう。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

コンディショニングスキルコース


 

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2019年11月28日

投球障害から選手を守れ!―投球フォーム編―

 

文責;山内 大士

 
関西で活動する山内です。
 
投球障害シリーズの最後の記事となる今回は、投球フォームについてお伝えしていきます。
フォームは個人差の大きい部分ではありますが、たくさんの選手の動きのデータを集めることで、どのような動きが球速UPや負担軽減に繋がるのかを知ることができます。
 
これまでの研究で明らかになっていることをお話したうえで、投球フォームを改善させるためのトレーニングの一例をご紹介します。
 
※投球フォームの研究で用いられる用語は難しいものも多いため、現場で用いられるような平易な言葉に言い換えて表現しています。
 
〈目次〉
・投球フォームと球速
・投球フォームと肩肘への負担
・投球フォームを改善させるためのトレーニング
 
 

投球フォームと球速

投球フォームを分析する上で用いられる方法に、フェーズごとに分けるやり方があります。
分け方には色々あるのですが、本記事では私がわかりやすいと思う方法で分類していきます。キーとなるフェーズは以下の3つです。
 
・前足が地面に着地した瞬間
・投球側の肩が最大外旋した瞬間(MER)
・ボールが指先から離れるリリースの瞬間
 
まずは体重移動が開始してから前足着地までのフェーズを見ていきます。
このフェーズにおける球速向上のポイントとしては、軸足でしっかりと地面を押すことと十分なステップ幅をとること(MacWilliams 1998, Montgomery 2009)が挙げられます。
逆に、前足が着地した時点での骨盤の開きが大きい選手は球速が低くなる傾向にあります(Wight 2004)。
 
次に、前足着地~MERまでのフェーズを見ていきます。
このフェーズにおいては、前足股関節を支点とした骨盤回旋、及びそれに引き続く上半身の回旋速度を高めることが重要です(伊藤2000, Stodden 2006など)。この骨盤の回旋に大きく貢献する筋肉が内転筋であり、内転筋の疲労は球速の低下につながることが報告されています(Yanagisawa 2018)。
また、骨盤回旋と上半身の回旋がそれぞれ最高速度に到達するまでの差が大きいこと、いわゆる体幹部での割れができていることもポイントです(Matsuo 2001など)。このことは海外でも”hip and shoulder separation” と呼ばれており、投球フォーム指導において重要視されているようです。
 
最後に、MER~リリースまでのフェーズを見ていきます。球速が高い選手はこのフェーズにおいて、前足に体重を乗せられている・前脚の膝が固定できている・体幹を前に倒せているなどの特徴が挙げられます(Matsuo 2001, Stodden 2005など)。
上半身においては肩の外転角度を90度前後に保つことが重要です(Matsuo 2002)。
※肩の外転角度=体幹に対する上腕の角度
 
 
 

投球フォームと肩肘への負担

肩肘への負担が大きいフェーズはMER~リリースです。このフェーズにおける肩の角度は非常に重要です。報告により軽度のばらつきはありますが、肩外転角度は90度前後で、水平内転角度はMERで2度前後、リリースで5度前後が肩肘への負担が最も少ないとされています(二宮2007、駒井2008など)。
※肩の水平内外転角度=体幹の面と上腕が平行の状態を0度とし、上腕が前方にある状態が水平内転位で後方にある状態が水平外転位
 
現場で良く用いられる言語で表すと、
外転が少ない=肘下がり
水平内転が大きい=肘の突き出し
水平外転が大きい=腕が遅れる
このような感じで言い換えることができ、そのどれもが特定の部分に対する負担を増大させるリスクを抱えていると言えます。
 
しかし、こうした肩の角度は意識して作り上げるものではなく、それよりも前のフェーズにおける動作や下半身・体幹の動きの結果として決定される場合が多いです。
 
前足着地よりも前に骨盤・体幹が回旋し始める、いわゆる開きが速い選手はMER~リリースにおける肩の水平外転が大きくなり、負担が増大する傾向にあります(Aguinald 2009など)。骨盤の回旋が最高速度に到達するよりも前に上半身の回旋速度が最大になる選手、すなわち”hip and shoulder separation” ができていない選手はMERでの外旋角度が増大し肩へのストレスも大きいと報告されています(Oyama 2014など)。
また、リリースにおける体幹回旋の減速ができていない選手、すなわち踏み込み脚や体幹の固定がうまくできていない選手も肩の水平外転が増大します(Oliver 2009)。
 
水平外転角度やMERでの外旋角度が大きくなることは、一見ダイナミックでしなやかな動きに映り球速に貢献する要素もあります(Wang 1995など)。しかし、過度になりすぎると負担が増大することは間違いないので注意が必要です。
 
基本的には球速が高まると肩肘への負担も増大してしまいます。しかし、プロの投手はアマチュアの投手と比較し体幹回旋開始タイミングが遅く肩への負担が少ないという報告もあります(Aguinald 2007)。下半身・体幹を上手に使い動作を洗練していくことで、ある程度は球速と負担軽減を両立させることが可能となるでしょう。
 
 
 

投球フォームを改善させるためのトレーニング

どのようなトレーニングをすればフォーム改善できるのか、そこにはもちろん個人差があります。前回までの記事でお伝えしたような肩のストレッチや肩甲骨周囲のトレーニングも、場合によってはフォーム改善に直結します。肩甲骨周囲だけでなく、みぞおちの動きやもちろん股関節周囲のトレーニングでフォームが変わることも多々あります。
(参考;肩甲骨とみぞおちの関係が重要|プロ野球自主トレ
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12343391053.html
 
そんな前提条件を踏まえたうえで、指導経験上及び自分自身でも効果を感じている2種類のトレーニングをご紹介します。
 
①前足着地時の姿勢作り

このトレーニングのポイントは、
・前脚も後脚も股関節外旋位を保ち(膝が内側に入らない)、内転筋を使うこと
・投げる方向への重心移動とグラブ側の肩を入れる動き並立させること
・投球側の肩を力むことなく胸の張りを作ること
です。
骨盤の開きを抑え、体幹の割れ“hip to shoulder separation”を獲得するための感覚作りと、このフェーズで求められる下半身・体幹の柔軟性の改善が期待できます。
 
②ランジリーチ


このトレーニングのポイントは、
・前脚の膝は踵の真上~やや後ろに保ち、股関節から身体を折り曲げる
・息を吐き腹部に力を入れ、腕を力ませることなく遠くまでリーチする感覚を覚える
です。
直接的にはリリース~フォロースルーの動作改善に役立ちますが、内転筋・大腰筋・腹斜筋・前鋸筋に刺激を入れられるトレーニングでもあります。このトレーニングは反対側も行うことをお勧めします。
 
 
 

まとめ

今回の記事では投球フォームについてお伝えしてきました。感覚的な言語で表現するだけでなく運動学に基づいた分析ができるようになれば、改善に必要なトレーニングも考案しやすくなると思います。
 
 
 
12月には大阪と東京でそれぞれ投手用セミナーが開催されます。
https://jarta.jp/j-seminar/pitcher/
 
その直後に今回の記事でお伝えした内容も踏まえながら、投球障害に対する実際の評価・介入方法についてお伝えする「JARTAワークアウト 投球障害から選手を守れ!実技編」を開催いたします。
 
野球に携わることのある医療従事者・トレーナーの方はぜひ参加をご検討ください。
学生や学生トレーナーの方や、投球障害について詳しく学びたい選手のご参加もお待ちしております。
 
 
 
お申し込みはこちら
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最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年11月25日

投球障害から選手を守れ!―肩甲骨機能編―

 
 
 

文責;山内 大士

 
関西で活動する山内です。
 
前回・前々回に引き続き投球障害に関する内容をお伝えします。今回は肩甲骨について掘り下げていきます。
 
肩甲骨は肋骨の後ろに浮島のように存在しており、自由度も動きの幅も大きいことが特徴です。JARTAで肩甲骨と言えば”立甲”がピックアップされがちですが、これはあくまでも肩甲骨の動きの中の一つのバリエーションに過ぎません。
 
~参考~
・立甲ができることによるメリット
https://jarta.jp/training/4382/
・立甲についての考察
https://jarta.jp/training/15358/
 
投球障害を考える上では、立甲以外の肩甲骨の動きについてもしっかりと把握し、改善に向けての引き出しを増やしていく必要があります。
 
https://jarta.jp/seminar/17257/
<投球数以外に大切なポイント②肩甲骨周囲の筋機能>参照
 
〈目次〉
・投球動作における肩甲骨の動き
・投球障害と肩甲骨機能との関係性
・肩甲骨の動きと筋機能を改善させる方法
 
 
 

投球動作における肩甲骨の動き

 
投球動作の中にはキーポイントとなるフェーズがいくつかありますが、中でも特に最大外旋位(MER)は肩・肘にかかる負担が大きく、MERでどのような動きをしているかは重要なポイントの一つです。MERで綺麗な動きができている選手の投げ方は、しなやかで腕がムチのように使われているような印象を受けます。
 
MERの大きさは球速に貢献するという報告(Matsuo 2001など)もある一方、MERが大きいことは肩への負担が大きいこと(Werner 2001)も示されています。単にしなりの大きい投げ方をすることはある意味諸刃の剣とも言えるでしょう。
 
ここで重要となってくるのが肩甲骨の動きです。MERにおける肩甲骨の動きは「内転」「上方回旋」「後傾」です(Oliver 2015)。中でも肩甲骨の後傾の重要度は高く、肩甲骨後傾が大きいほどMERは大きくなり、また肩関節自体での外旋は小さくなることが示されています(宮下2009)。
 
つまり、MERで肩甲骨が後傾する角度を大きくすることができれば、十分なしなりと障害リスクの軽減を両立できる可能性があるということです。
 
 
 

投球障害と肩甲骨機能との関係性

 
次に、投球障害と肩甲骨機能との関係性を見ていきます。まずは肩甲骨自体の動きに着目しましょう。肩痛を有する小学生野球選手は、反対側と比較し肩甲骨が前傾している選手が多いことが報告されています(Otoshi 2018)。また、徒手的に肩甲骨を内転・後傾方向に誘導することでインピンジメントテストによる疼痛の軽減が見られるという報告(Tate 2008)もあります。これらの報告は投球動作における肩甲骨後傾の重要性を裏付けるような結果とも言えます。
 
次に肩甲骨周囲の筋機能に着目してみると、肩外旋筋力に関する報告が多く見られます。具体的には、肩外旋筋力が低下していることが肩障害発生のリスクとなることや、肘通を有する選手は肩外旋筋力が低下していることなどが報告されています(Byram 2010, Morifuji 2017)。
肩を外旋させる主な筋肉は棘下筋ですが、投球動作のように挙上位で肩外旋筋力を発揮するためには前鋸筋の働きが重要となります(Uga 2016)。実際に肩甲骨を安定させる機能が低下している選手は、挙上位での外旋筋力のみが低下することも示されています(Uga 2016)。
 
また症状のない大学野球選手においては、肩外転運動時の僧帽筋下部・前鋸筋活動の増加が観察されており、これは肩関節への負担を軽減させるための代償的なものではないかと考察されています。(Tsuruike 2016)。
 
以上を踏まえ筆者自身が投球障害を見る際には、
”肩甲骨の内転・後傾方向への可動性を高めること”と、
”僧帽筋下部・前鋸筋が十分に働く状態にすること”
を最優先にしています。
 
 
 

肩甲骨の動きと筋機能を改善させる方法

 
ここまで述べたポイントを改善させるために有効な方法をいくつか紹介いたします。
 
まずは前鋸筋のトレーニング。体幹トレーニングの姿勢(プランク)をとり、肩甲骨を背骨に寄せる(内転)→肘で地面を押して肩甲骨を背骨から離す(外転)、を繰り返します(Paula 2004)。

 
次に、僧帽筋下部のトレーニング。うつ伏せで腕を斜め上方に位置させたところから、体幹を回旋させながら腕を持ち上げます。

 
この時、指先を見ながら背中の筋肉を使うことを意識して行います。
体幹の回旋を加えることにより、ただ単に腕を持ち上げるよりも僧帽筋上部を抑制しながら僧帽筋下部を使えることが示されています(Yamauchi 2015)。
 
しかし、このトレーニングでもうまく背中の筋肉を使う感覚がわからない人も多いです。そんな時はこのトレーニングを試してみてください。

 
このトレーニングでは、広背筋のストレッチと前鋸筋・僧帽筋下部の収縮を促し、肩甲骨の後傾可動域を広げることができます。
細かい部分では、
・息を吐きながら行うことで腹斜筋〜前鋸筋を働きやすくする
・最大努力で肩関節外旋を行うことで肩甲骨の後傾と広背筋の伸長を強調する
といったポイントがあります。
 
最後に紹介したトレーニングは特に即時的な効果を実感しやすいものとなっています。試しに10回程度行ってみて、直後の肩の力の入りやすさやシャドウピッチングの感覚を確かめてみてください。多くの場合は、肩が安定してしっくりくるような感覚が得られることと思います。
 
 
 

まとめ

 
今回の記事では投球障害との関連が深い肩甲骨の機能を扱いました。
 
次回は投球障害シリーズのラスト。投球フォームと投球障害の関係性についてお伝えいたします。
 
また、12月には大阪と東京でそれぞれ投手用セミナーが開催されます。
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その直後に今回の記事でお伝えした内容も踏まえながら、投球障害に対する実際の評価・介入方法についてお伝えする「JARTAワークアウト 投球障害から選手を守れ!実技編」を開催いたします。
 
野球に携わることのある医療従事者・トレーナーの方はぜひ参加をご検討ください。
学生や学生トレーナーの方や、投球障害について詳しく学びたい選手のご参加もお待ちしております。
 
 
 
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2019年11月24日

人は完全には数値化できない。なのにデータを取る必要があるのか?

文:鳴海裕平

データを取る意味は果たしてあるのか?

 
学生のうち、体力測定を学校の授業の一環で受けない方はいないと思います。
しかしながら、例えば部活動の時間などで
筋力や柔軟性などを測定するということはあまり聞きません。
(野球部などで新入生のポジションの適正を見るために遠投したり、
短距離ダッシュしたり、柔軟性を確認したりといった位でしょうか。)
多くの場合、その時間があれば練習に使いたいと考える指導者が多いからです。
 
また、人間の能力を数値で表現し尽くす事は不可能です。
例えば遠投をする際には、ボールを投げた距離を測ることは出来ますが、
投げた人がどのようなフォームで、どれほどしなやかな動きをしたのかはわかりません。
 
 
筋力を測定できても、それを実際に必要な動きの中で生かせているかも別問題です。
筋力があれば全て解決するわけではないからです。
例えばですが、腕の筋力が強くても、倒立を出来ない人は意外にたくさんいます。
 
 
パフォーマンスを上げるのにデータを取る必要はないのではないか?
選手、指導者のみならず、実はそう思うトレーナーもいたりします。
 
しかしながらデータを取るのは大変重要です。
仮に測定を完了するのに時間がかかるにしても
練習1回分の時間を割くに当たるほどのメリットがあります。
 

データが選手、指導者、トレーナーへ与えるメリット


1.選手へのメリット
『選手をデータで全て表すこと』は不可能。しかし『選手≒データ』は可能である。
数値が必ずしもパフォーマンスに直結するとは限りません。
そして選手の全てをデータで表すことはできません。
 
しかし、数値が優れている選手ほど、優れている成績を残している選手が多いのも事実です。
データで選手の全てを表すことはできませんが、
データをみて優れた選手なのだと判断することは可能なのです。
 
選手側の立場からは自分の能力の現在地がわかりますし、
目標としている選手の数値がわかれば、それに向けて練習をする目安になります。
これは目標を立てて練習するに当たって、ものすごくわかりやすい指標です。
 
選手に自身の成長を実感してもらう機会は多い方が良いです。
試合の結果、その善し悪しでしか成長がわからないようでは
選手のモチベーションが保ちづらく、スランプに陥りやすいからです。
 
また、数値が目標値に達しているのに試合で結果がでない場合、
数値外の部分を改善すればよいと考えればよく、
問題点を洗い出すのがより簡潔になりやすいというメリットもあります。
(このときデータがなければ問題を洗い出すのに更に手間がかかり、
練習内容を改善するに当たって、見当違いの内容を採用してしまう場合があります。)
 
 
2、指導者へのメリット
信頼関係の構築や客観的な意見を伝える仲介役として有能な『データ』
 

指導者は選手に対して、指導者からみた客観的な視点で意見する事が必須です。
しかし、選手に意見するときに直接話すと、
言葉の取りようによっては誤解を生む場合もあります。
 
また気難しい選手に対して『〇〇だから〇〇した方が良い』と意見しても
選手は『私の事を何も知らないくせに』と素直に聞き入れないこともあります。
 
指導者には選手との間に信頼関係が必要ですが、
信頼関係を築くまでの間に選手に指導しなければならないことは多々あります。
 
しかしデータ上で出ていることを踏まえて話すのは、
事実として出ている情報ですので聞き入れて貰いやすいです。
よく指導者がプレイ中の動画を見せて指導するのも同様の意味合いです。
 
また、指導者が選手自身のデータを知っている事を
『選手に知ってもらうこと』は信頼関係の構築の一助になります。
 
信頼関係を築くには『指導者が選手の事を知ること。』
そして選手に『指導者は自分の事を知ろうとしている』と思ってもらうこと。
これが信頼関係の始まりです。
 
そして指導者は選手の事を正しく知る必要があります。
データを知れば『選手全て』の事を知ることは出来なくとも、
『≒』で選手の事を知ることできます。
たとえ『≒』でも指導者にとっては大変ありがたい情報です。
 
3.トレーナーへのメリット
選手、指導者と選手自身の問題点を共有しやすく、自身の成果を評価してもらいやすい。
 
選手の何が優れて、何が苦手なのか、数値で表されると
選手や指導者は理解しやすく、トレーナーの話を聞いてもらいやすくなります。
これもデータのメリットなのですが、それ以上に
トレーナーの実績として残しやすいというのが大きいかもしれません。
 
トレーナーの実績というのはとても評価されづらいものです。
仮に1年、選手やチームに帯同したときに、『〇〇さんは良くやってくれているけど、
どのくらい自分たちに影響をしてくれたのか正直わからない。』と思われれば、
来年からは必要ないと思われてしまいます。
 
選手や指導者に
実際に目に見えてパフォーマンスが変化している実感を得てもらったり、
選手の痛みをその場で取り除いたり、
緊急時に適切な応急処置をしたりするのも実績として素晴らしいですが
数字として残せればこれ以上にわかりやすい事はありません。
 
トレーナーが目に見える実績として、
例えば、
・チームで蔓延している怪我の発生率を下げた。
・実際に向上しているパフォーマンスを数値化してデータに残す。
(試合で結果が出れば尚良し)
などを残せれば選手や指導者にもわかりやすいでしょう。
 
トレーナーが一番してはならないことが、選手と関われなくなることです。
関われなくなれば、どんなに素晴らしい知識・技術を持っていても無意味ですし、
そこに悩みに悩んでいる選手・指導者がいても助けになることはできません。
 
そのためトレーナーは、
どんな手段を用いても選手・指導者に必要だと思ってもらわなければなりません。
データはそのための手段の一つとしても有用でしょう。
 
 
 

データは一つの手段、『≒』でも情報としてはとても有用

これ以外にもデータをとるメリットはありますが、あくまでデータは一つの手段です。
もちろん取らなくても選手のパフォーマンスを向上させていく事はできると思いますが、
『取らないよりは取った方が遙かに良い』と私は考えています。
 
データで選手自身、選手全てを知ることは不可能でしょう。
しかし『≒』でも情報としてはとても有用なのです。
 
選手のパフォーマンスを向上させるためにはあらゆる手段を使いますが、
その手段を増やしておくことも必要なのです。
 
すべてはパフォーマンスアップのために
最後までお読み頂きありがとうございました。
 
 

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2019年11月17日

圧倒的な経験値を積むためには


 

文:伊東尚孝

 
 
「経験の差で勝敗が決まる」
「最後は経験の差がものを言う」
「ベテランの経験は違う」
 
スポーツにおいて「経験値」という、目に見えない力を比較することがあります。
 
そして「経験値」を比較する基準となるものの多くは「年齢」と「期間」です。
 
個人の年齢やチーム全体の平均年齢を、相対する選手と比較し「経験値の差」と表現することは、試合の解説などでもよく耳にします。
中高生アスリートでもその競技を経験している期間を比較し、その競技の「経験値」として評価されることがあります。
 
経験している期間が長ければ必然的に年齢も重ねるため、「経験値」が蓄積されていくことは決して間違いではありません。
 
 
しかしここで考えなくてはならないのが、
若手選手や経験が浅い選手は「経験値」が無いと判断してもいいのでしょうか。
また選手は、周りにそう判断されてもいいのでしょうか。
 
経験値の積み方を知っていれば、若手選手でも十分に経験値を力に変えることができます。
 
 
経験値という力をつけるためのプロセスを紐解き、どのように経験値を蓄積していくべきかを解説していきます。
 
 
 
 

経験値で比較するようになった背景

 
 
日本には年功序列という文化があり、年齢に応じて収入が増え社会的立場も上昇していきます。
この背景から、経験している期間が長い人の能力を「経験値が多い」と評価し、期間が短い人の能力を「経験値が少ない」と評価する傾向にあります。
 
経験値とは本来目に見えないものであるはずですが、比較対象として「年齢」や「期間」を指標にすることで可視化したのではないかと考えます。
そして、いつしか経験値=年齢や期間で判断されるようになったのではないかと考えます。
 
 
しかし私は、「経験値」=「年齢」や「期間」ではないと思います。
 
その理由は、「経験」と「経験値」は全くの別物だと捉えているからです。
 
 
 
 

経験値は、経験した期間ではない

 
 
では「経験値」とは、一体何なのか。
 
意味を調べると、
「経験によって成長した度合いを数量化したもの。経験の程度。」
とされています。
 
ここから読み取れることは、
 
単に経験をするだけでは「経験値」として蓄積されないということです。
 
 
その経験を経て、自分が成長するためにはどのような課題があるか、その課題をクリアするためには何が必要なのか。
と、考え実行することができて初めて「経験値」として蓄積されます。
 

 
 
一つ一つの経験を大事に扱い、自分にとっての課題を見つけることができてこそ、経験値として蓄積するための第一歩になります。
 
そのためJARTAでは課題に対してただ反省するだけではなく、
その後の伸びしろ(=新たな課題)を明確にすることを重要視しています。
 
 
 
 

さらなる経験値を積むためのコツ

 
 
経験値を積むためには、課題を見つけて自分には何が必要かを考え実行することが重要だと述べました。
それだけでもその経験は大きな意味を持ち、成長するための糧となるでしょう。
 
 
しかし、さらに上を目指すのであればここで満足していてはいけません。
 
若手でも経験が浅くても、周りの選手と圧倒的な差を生み出すための「経験値」を積む方法があります。
 
 
それは、徹底的に準備をすることです。
 
 
 
スポーツに限らず、どれだけ準備できているか否かでパフォーマンスに大きく影響します。
 
例えば、
*試合に向けて苦手なポイントを練習してきた
*緊張しないように事前に会場へのアクセスを調べた
*前日に持ち物を用意した
 
これらも立派な準備です。
簡単なことでも準備を怠ると、最大限のパフォーマンスを発揮できない可能性があります。
 
では、このような準備を「経験値」へ変換するためには、具体的にどのような準備をするべきでしょうか。
 
 
 
 

準備はより広く、より深く

 
まずは「準備」というものを細分化していきます。
準備といっても膨大な量があり、その中身を把握した上で何を準備するべきかを具体的かつ明確にする必要があります。
 
 

  • 何のための準備か

達成したいものが明確になっているかを確認します。不明確であれば準備も中途半端になります。
例:全国大会に出場する、レギュラーになりスタメンで出場し続ける、世界一になる
 
 

  • 期間の設定

準備をするにも、どの期間で設定するかによって中身が変わります。
長期的な準備から直前までの準備まで、期間の設定も様々です。
 
例:1年後の全国大会に出場する。(長期)
半年で肉体改造を行う(長〜中期)
1週間の体調管理を徹底する(短期)
大会当日のウォーミングアップ、試合の合間でのケア(超短期)
 
 

  • 準備の幅と深さを広げる

筋力アップや柔軟性の向上など身体機能面での準備はイメージしやすいと思いますが、それらをさらに深く追求していく必要があります。
何のための筋力アップなのか、どれほどの柔軟性を獲得していればいいのかなど、ある程度の基準を設定します。(→股関節は柔らかければいいのか
また、普段から認識されにくい準備に対してもしっかり向き合うべきです。
 
*身体機能面…動き出しを速くするための筋力アップ・バランスが崩れてもプレーできる背骨の柔軟性向上、試合時間を走り続けるためのスタミナ向上
*精神面…気持ちを切り替えられる集中力、感情や緊張のコントロール、目標に向けて努力するモチベーションの維持
*環境面…試合で使用する道具への慣れ、手入れ、当日の気候を想定した服装などの準備
*生活面…習慣(ルーティン)の見直し、栄養バランスのとれた食事を心がける
 
 
挙げ出せばきりがありませんが、ほんの一例でもこれだけの準備があります。
もちろん①〜③の内容が互いに交差し合うことで、より深みのある準備となります。
 
 
 
 

準備を活かし経験値を積む

 
 
では、上記のように様々な準備を行い、これを「経験値」として活かすためにはどうすべきか。
 
例えば、
試合直前まで行ってきた多くの準備が、結果としてどのように現れたかを振り返ります。
 
勝敗はもちろん、プレーの質や課題としていた動きの改善など、その準備がもたらしたもの全てをフィードバックします。
 
*目的は達成できたか
*準備の期間の設定は適切だったか
*習慣(ルーティン)を見直すことで変化はあったか
*目的とする筋力・柔軟性は獲得できたか
*集中力は持続できていたか
*効果的だった準備は何なのか
*まだ足りない準備は何なのか
など。
 
 
準備の量にこだわった選手と、こだわらなかった選手。
 
 
言うまでもなく、準備の量にこだわった選手の方がフィードバック後に得られる課題は多いはずです。
 
これらの課題を成長する糧として考え行動する選手には、「経験値」が蓄積されます。
 
 
つまり、より多くの経験値を積むためには
 
その結果から得られる課題数と、
徹底的な準備を経て得られる課題数の合計が重要となります。
 
 

 
 
準備の量を増やすほど、得られる課題の数が比例して増加することは想像できると思います。
 
そして、その課題が経験値として蓄積されるのであれば、
 
準備にこだわる選手には、圧倒的な経験値が蓄積されていきます。
 
 
 
 

まとめ

 
 
経験値は、単に経験することで得られるものではなく
その経験を経て抽出された課題に対して、考え行動することで初めて得られます。
 
1つの経験から得られる課題をより多く見つけることができれば、経験値として蓄積される量も増加していきます。
 
より多くの課題を見つけるためには、いかに準備を徹底的に行えるかどうかで決まります。
 
 
準備は、半永久的に行えるものです。
 
 
今、自身で準備している内容を改めて振り返り
さらに準備できることがないか、考えを深めてみてはいかがでしょうか。
 
きっとその行動が、パフォーマンスアップのためのヒントとなるでしょう。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 
全てはパフォーマンスアップのために。
 

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2019年11月13日

自分をケアできるのは自分


 

文:岡元祐樹

 
自分のケアは自分で出来た方が良い。
 
アスリートであれ、スポーツトレーナーであれ、普段それほどスポーツをしない人であれ、その方が得だと筆者は思います。
 
ここで言う『ケア』という言葉は、心身の不調を軽減あるいは取り除く手段と定義して使用します。
 
例えば肩が凝っているから肩をマッサージする。ハムストリングスの柔軟性が低下しているからストレッチをする。精神的ストレスでイライラしているので穏やかな音楽を聴くなどもケアとして挙げられます。
 
様々な方法がありますが、効果的なケアを実施するには専門的な知識が必要です。なぜなら様々な情報が手に入る現代社会では、何が自分にとって優先順位が高いケアなのか判断に迷うことがあるからです。
 
しかし、心身の不調に気付いた瞬間に近くに専門家がいることはほぼありません。いるとしたらラッキーです。
 
そのため心身のケアは専門家に完全に依存するのではなく、アドバイスを受けながら自分自身で行えるようになる必要があります。
 
 

自分自身で対応できることを目指して

筆者自身の体験談になりますが、この前ふとジョギングがしたくなり自宅近所を走ることにしました。
 
走り始めて数分後、わずかな身体の異変に気付きました。普段より息苦しい感じがするのです。
 
そしてその場で息苦しさに対するセルフケアを実施しました。単純に胸骨(胸の前側にある骨)周囲をマッサージし、息を吸う時に胸が拡がりやすくなるようにしただけなのですが、それだけで息苦しさは解消されました。
 
筆者はスポーツトレーナーや理学療法士としての経験があるため、軽い不調であればその場でなんとかすることができます。
 
しかしそのような人ばかりが運動をしている訳ではありません。
 
もし自分が身体のことと全く関係のない職業に就いていて、今回のようなことがあった場合、やはり専門家にアドバイスを求めたいと思うでしょう。
 
では誰に?どうやって?
 
そういった問題はありますが、それを解決し、専門的なアドバイスを受けられる環境を作っておくことも、コンディションを整える上で重要になってきます。
 
少し話は変わりますが、選手のケアを担当していると身体のケアをこちら側に丸投げしてくる選手もいます。
 
ケアに関してその理論や実施方法などを専門家に丸投げしてしまうと、今回のジョギングの例のように即座に自分自身で対応することができなくなります。
 
アドバイスを受けたその先には、自分自身で身体の訴えに対応できるようにディスカッションを重ねていく姿勢が必要です。
 
そしてアドバイスを伝える側の人間も、受ける側の人間をそのように導かないといけません。
 
加えて、アスリートにとってもう1つ、自身でケアを行う重要な理由があります。それは「さらに高次元な課題の発見」です。
 
関節の可動域制限であったり筋肉の硬さであったり、自身でケアできる要素を放置しておくと毎回同じ要素が課題として残ってしまうということです。
 
例えば股関節の可動域制限がある選手にとっては、ストレッチ等のセルフケアが必要になってきます。そのセルフケアを怠った状態でプレーを重ねると、毎回股関節の可動域制限が問題点として挙がってしまいます。そして毎回の課題が「股関節が硬いのでストレッチする」となってしまいます。これでは競技者として進歩しづらい状況と言えます。
 
このように自分でクリアできる課題をクリアして初めて、次のさらに高い次元の課題に取り組むことができます。上記の例で言えば「ハムストリングスが収縮しやすい股関節のポジションを取る」等といった、よりハイレベルな要素に取り組むことができます。
 
そしてスポーツトレーナーもこのように先々を見越したサポートが必要になってきます。その場で不調が良くなればいいというだけでは足りません。
 

 

目的は多様化しても大事なことは変わらない

価値観が多様化した現代。スポーツ(運動)をすることの意味も多様化してきていると言えます。
 
その昔、ヨーロッパでスポーツが発展していった要因として『戦争に必要な兵士を養成する』といった側面があったそうです。
 
身体を鍛える。ルールを守る。集団で動くといった兵士に必要な要素を育むことができたからです。
 
一方、現代社会でスポーツをすることの意味はなんでしょうか?
 
よく運動不足の中高年層に言われることとしては『体型の維持』『生活習慣病の予防』『精神安定作用』などが挙げられます。
 
このようにスポーツをする目的は多様化してきています。
 
しかし、それを支える土台とも言える要素は共通しています。それは「自分の身体を思った通りに動かせる」ことと「身体に不調を感じる箇所がない」ことです。
 
もっと他にもあるかとは思いますが、筆者はこの2点が重要ではないかと感じています。
 
この2点を実現するために存在するのがスポーツトレーナーと言えるのではないでしょうか?
 
様々なスポーツイベントにより、スポーツに対する関心が高まっている昨今。スポーツトレーナーが提供できるものは何か?ということに対しても興味を持つ人が増えてきているかもしれません。
 
スポーツトレーナーは提供できるものを言語化し、それを理解・実践してもらえるように工夫していく必要があるということです。
 

 

多くの人がスポーツを楽しめるように

自分の身体は自分でケアできた方が良い。
 
そう文頭でお伝えしましたが、そんなに上手くはいきません。やはり専門家にアドバイスを受けることがオススメです。
 
JARTAでは、プロスポーツ選手やそれを目指す選手ばかりをサポートしている訳ではありません。
 
筆者がサポートしている選手でも、社会人として働きながら時間を見つけてスポーツを楽しんでいるという方もいます。
 
長い人生の中で、様々なシチュエーションであらゆる種類の不調を感じることがあると思います。
 
そんな時に、信頼のおける専門家にアドバイスを受けられる環境を整えておくことは有益です。
 
そしてその専門家のアドバイスをヒントに、あなた自身の身体にどんどん詳しくなっていって下さい。
 
あなたの身体の専門家はあなた自身なのですから。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年11月09日

同じトレーニングをしていても差が生まれるのはなぜか?

文責:高橋佑侍

 
 
あなたがトレーニングをしている理由はなんですか?
 
・上手くなりたい
・他の子に負けたくない
・レギュラーを取りたい
・勝つにはトレーニングが必要と考えているから
・格好良くなりたい
 
理由は様々あると思います。
 
 
 
しかし一生懸命トレーニングに励んでいても効果を感じれなかったり、成果が出ているのかわからない事はありませんか?
また、個々で効果や成果の差を感じる事はありませんか?
トレーニングの形や方法が一緒でも、同じ効果があるとは限りません。
なぜ同じことをしていても効果や成果の違い、「差」が生まれるのか考えていきます。
 
 
 
まずは、
・手段が適正ではない可能性
 
 
例えば、パフォーマンスアップや怪我予防の為に
「股関節を上手く使えるようにしたい」
「体幹を強くしたい」
と指導者や選手自身が感じたとしましょう。
 
そのためのトレーニング選択理由として、
・股関節を上手く使えるようにするにはJARTAトレーニングをすれば大丈夫だ。
・体幹を強くするには活躍しているプロ選手があの方法で体幹を鍛えていたから同じ方法で鍛えれば強くなる。
 
このようにトレーニング方法を選択していませんか?
 
 
 
このようなトレーニングの選択では、効果や成果に差が生じてしまいます。
なぜなら、
どんな状態が股関節が上手く使えているのか。
体幹が強い、弱いは何を基準にしているのか。どの場面で強くしたいのか。
言葉の定義や具体的な状態を提示していません。
言葉の認識の共有、個々の状態の評価・課題を具体的に抽出した上でどんなトレーニング方法が適正なのかは変わります。
 
 
 
 
ここで伝えたいのは、手段に囚われないでほしいという事です。
何をするかよりも、言葉を定義付けること、個々の課題に合わせて手段を選択することが大切になってきます。
 
 
 
 
次に考えられるのは、
・意識しているか、いないか(感じ取ろうとしているか、理解しているか)
 
 
 
トレーニングをただこなしているだけなのか、どんな目的でどこの動きを獲得するために、何に意識を向ければいいのか、繊細な感覚で取り組めているかどうか。
様々な要素も大きく関係しています。
 
 
 
例えば、ある研究で被験者を2グループに分け、一方には作業を通じて消費するカロリーを一覧にしたカロリー表を配布、一方には配布しない。そして、カロリー表を配ったグループには1日の最後に「どのぐらいカロリーを消費したか」を計算してもらった。
すると同じ作業をしているのに自分が使っているカロリーを意識したグループは体脂肪率が落ち、血液データの改善が見られ一方、普段通りの作業をしたグループは全く変化がなかったというような研究があります。
 
 
 
この結果から、どこに意識を向けているかによって同じ時間、同じ作業をしていても成果には大きく差が開くと言えます。
 

 

差を生みにくくするには何が必要か

 
 
このトレーニングをしていれば間違いなく怪我の予防にも、パフォーマンス向上にも、勝利にも繋がるといった絶対的なトレーニング方法はありません。
 
 
では、どうしたら適正な方法になったり同じトレーニングをしても効果や成果が生まれやすくなるのか。
 
 
 
それは、
個々を分析すること。
トレーニングの目的や自身の身体に意識を向けること。
これらのことが必要になってきます。
 
 
 
理想とする動きや獲得したい技術に対し、その動きや技術はどんな要素が必要なのか。
その上で自身の現状と比較し何が課題であるかを把握します。
そこで初めてどんな手段(トレーニング方法)を用いた方がいいのかが決まってきます。
 
 
 
また、自身の身体に意識を向けることで、部位の動きにくさ、感覚の違い、左右差等を察知でき、より繊細なトレーニングができます。
繊細なトレーニングができることで、身体の細部まで動かす能力が養われます。
 
 
トレーニング方法や形だけに終わらず、なぜそのトレーニングをするのか。
何のために、どの場面で必要なことなのかを理解しておくこと。
身体に意識を向けること。
これらを取り入れることで、トレーニングによる効果・成果が感じられます。
 
 
 
指導者であれ、選手であれ曖昧なことがあれば聞きましょう。
納得した上で取り組みましょう。
そうでないと、同じこと・同じ時間を過ごしても「差」が生まれてしまう可能性があります。
 
 
一人でも多くの方にとって
“なぜそのトレーニングをするのか”という問いが今回の記事をきっかけに
前向きな議論となってもらえることを願っております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2019年11月06日

投球障害から選手を守れ!―肩関節後方タイトネス編―


 

文責;山内 大士

 
関西で活動する山内です。
 
前回の記事にて、投球数と投球障害の関係性と、投球数以外に大切なポイントをお伝えしました。
 
https://jarta.jp/seminar/17257/
 
今回はその中の一つ“肩関節後方タイトネス”について、より深く掘り下げながらお伝えいたします。
肩関節後方タイトネスとは、投球動作の反復により肩関節後方組織が硬くなり、肩関節内旋・水平内転可動域制限が生じた状態を指します。
 
〈目次〉
・肩関節後方タイトネスと投球障害の関係性
・肩関節後方タイトネスの原因となる組織
・肩関節後方タイトネスを改善させる方法
・実際の介入における注意点
 
 
 

肩関節後方タイトネスと投球障害の関係性

 
前回ご紹介したとおり、肩関節後方タイトネスと投球障害の関連は数多く調査されており、非投球側と比較し18度以上の内旋制限を有する選手は肩障害発生リスクが1.9倍になることが報告されています(Wilk 2011)。
 
一方、上腕骨後捻角度が増大する影響もあり(Chant 2007など)、症状のない選手においても内旋制限と外旋拡大が見られます。そのため、内外旋総可動域の左右差を問題視する考え方もあり、実際に5度以上の内外旋総可動域制限は障害リスクとなることが報告されています(Wilk 2011, 2014)。
内旋制限単独で考える場合には、多少のばらつきはありますが20度程度の左右差を基準とし介入することが多いようです(Mansuke 2013, Michael 2018など)。
 
一定以上の内旋制限を有する選手は現在症状がない場合でも、肩外転筋力低下(Nirav 2015)や肩峰下スペースの減少(Launder 2016)といった機能的な問題が見られるという報告もあります。
 
 
 

肩関節後方タイトネスの原因となる組織

 
肩関節後方には、大きく分けて関節包と筋肉が存在します。上述した可動域制限にはどちらの組織が関連しているのでしょうか?
 
深部にある軟部組織の硬さを直接測定できるエラストグラフィという機械を用いた研究の結果、投球側の後方関節包は硬化・肥厚していること(Takenaga 2015)や、内旋制限の大きい選手は棘下筋や小円筋の筋硬度が高いこと(Mifune 2017, Yamauchi 2016)がわかりました。
 
以上のことから、後方タイトネスには関節包・筋の双方が関与していることが考えられます。しかし、外科的処置なしに関節包の柔軟性を改善させるのは困難であるため、我々が介入対象とする組織は主に棘下筋などの肩関節後方に存在する筋肉であると考えて良いでしょう。
 
 
 

肩関節後方タイトネスを改善させる方法

 
こちらも、数多くの研究が行われており、可動域改善効果が報告されています。
 
選手が一人で行えるセルフストレッチとしては、横向きに寝て肩を内旋方向に動かすスリーパーストレッチが多く用いられます(Maenhout 2012など)。

 
その他にも、少年野球などで一度は指導されたであろうクロスボディストレッチ(McClure 2007)や、それを横向きに寝ながら行うことで肩の後ろをより効果的に伸張させるmodified クロスボディストレッチ(Yamauchi 2016)なども、可動域改善効果が示されています。

 
 
 
これらのストレッチは30秒×3〜5セット実施することで即時効果があると認められており、数週間の介入による効果も認められています。また、こうしたセルフストレッチ単独でも効果的ではあるのですが、ストレッチとマッサージ的介入を併用することによりさらに効果が高まることも報告されています(Bailey 2017)。
 
 
 

実際の介入における注意点

 
これまでに述べてきた科学的知見を踏まえると、投球障害の予防もしくは改善に向けて、棘下筋などの後方筋群の柔軟性を改善させる取り組みは非常に重要であり、そのためには直接的なマッサージやストレッチが有効な一手段であると言えます。しかし、それだけでは効果が出ない、もしくは逆効果になる場合も存在します。
 
「内旋制限があるから肩関節後方のストレッチ」と短絡的に取り組んでしまわずに、少なくとも以下の2つの視点は持っておくことをオススメします。
 
①痛みや違和感の出にくい方法で肩関節後方に介入する

  1. ②他の部分にも目を向けながら肩関節後方の硬さを改善させる

 
まず①について。上述したストレッチ効果の検証は多くの場合現在症状がない選手に対して行われており、既に肩を痛めている選手の場合、内旋や水平内転方向へのストレッチは痛みを伴う場合も多くあります。症状を有する選手の場合はそうしたストレッチよりも、四つ這い位で肩の後ろに体重をかけるようなストレッチ方法の方が、痛みも少なく可動域改善効果も出やすいことが報告されています(川井2016)。
その他に私がよく用いる方法としては、テニスボールを使ったセルフマッサージや、ベーシックセミナーでお伝えしている肩のTレフストレッチなどがあります。

 
 
 
次に②について。これまでにもJARTAでは患部から離れたところに問題解決のヒントがあることを度々お伝えしてきました。
 
参考;
https://jarta.jp/training/3382/
https://jarta.jp/training/17234/
 
肩関節後方の硬さを解決させる際にも同様で、例えば棘下筋・小円筋の近くに位置する広背筋の硬さを腰部や臀部のストレッチを介して軽減させることにより、肩関節後方の硬さも和らぐことがあります。上腕三頭筋・三角筋後部を含めて肩〜上腕後方が全体的に硬いようなケースでは、前面に位置する小胸筋や上腕二頭筋の緊張を緩めるような介入をすることで、結果的に肩の内旋可動域が拡大することもあります。
 
このような視点は、通常のストレッチで痛みが出現するケースにおいても非常に重要となります。
 
 
 

まとめ

 
今回は投球障害に関する重要な要素である、肩関節後方タイトネスについてお伝えいたしました。次回の記事では肩甲骨の動きや筋機能に関する科学的知見と、私が実際に行う介入の方法をお伝えいたします。
 
また、12月には大阪と東京でそれぞれ投手用セミナーが開催されます。
https://jarta.jp/j-seminar/pitcher/
 
その直後に今回の記事でお伝えした内容も踏まえながら、投球障害に対する実際の評価・介入方法についてお伝えする「JARTAワークアウト 投球障害から選手を守れ!実技編」を開催いたします。
 
野球に携わることのある医療従事者・トレーナーの方はぜひ参加をご検討ください。
学生・学生トレーナー・投球障害について詳しく学びたい選手のご参加もお待ちしております。
 
お申し込みはこちら
12/8(日)in大阪
https://business.form-mailer.jp/fms/f9765758112026
 
12/14(土)in東京
https://business.form-mailer.jp/fms/22655ff1112081
 
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年11月04日

流れを変えることができる選手になる

文:岩渕翔一

あなたが努力する目的はなんでしょうか?
 
・手に入れたいものがある
・守りたい(守らなければならない)ものがある
・成し遂げなければならないものがある
 
理由は人それぞれでしょう。ただし理由やきっかけ、目的が何であれ、実現するために踏まねばならないプロセスは皆一緒です。
 
成し遂げるまで続ける
 
必要なプロセスはたった1つ。これだけです。プロセスの過程における質はもちろん重要ですが、まずはこの覚悟が必要です。では努力の手段はどうでしょう。スポーツであれば、
・チーム練習をする
・他チームと合同練習をする
・自主練習をする
・なんらかの指導を受ける
・合宿を組む
・試合をする
 
などがあるでしょうか。これらのトライアンドエラーを繰り返しながら、適宜軌道修正を行い、なるべく最短距離で選手が目標を達成できるようにサポートするのが指導者やトレーナーの役割です。
 
スポーツでは大会前などに「合宿」が組まれることが多くあります。JARTAではトレーナーの合宿を毎年行っており、今年が5回目になります。選手やチームが集中的に練習やトレーニングを行うように、トレーナー自身が自身の成長のために集まり、寝食を共にし、集中的にそれぞれの課題に向き合います。

 
上記に書いたように「努力」の手段は多くありますが、なぜわざわざ手間のかかる「合宿」を行うのでしょうか。
 
互いが切磋琢磨し、自己研鑽に励む
 
合宿の特徴は何といってもこれでしょう。一人で課題に向き合うよりも仲間がいる。競い合うのではなく切磋琢磨する。教える側と教えられる側に別れることなくそれぞれが主体的に取り組む。
 
そういった場を年に1回トレーナー自身が経験することで、自己研鑽するだけでなく、その場で感じたことを実際の現場で活かせるように。
 
今年の合宿は神戸で10月26日〜27日の2日間。3年連続となるみのたにグリーンスポーツホテルで行いました。大ホールだけではなく、グラウンド、テニスコート、山に囲まれた自然いっぱいの環境、露天風呂つきの温泉と、素晴らしい環境で行えるため毎年利用させていただいています。
 
今回の合宿は4ヶ月前からweb上にスレッドを立ち上げ多くのディスカッションや課題に取り組むといったことを行いました。これは、先に述べたように努力すること。を習慣化し、積み重ねる続けるこが自然に行えるよう落とし込むためです。

 
また、合宿に参加するにあたりトレーナーには多くのルールを提示しました。例えば、
・受け身にならずに能動的に自己学習すること
・誹謗中傷や悪口など他者批判は厳禁で、ポジティブな議論をすること
・依存しないこと。他人や環境のせいにしていては成長は望めない
 
などがあたりますが、全ては「成し遂げるまで続け続けるため」の手段として、「互いが切磋琢磨し、自己研鑽に励む」環境を整えるためのものです。

 
合宿2日間の内容は「原点回帰」をテーマに「全ては選手のために。手段に囚われない」といったJARTAコンセプトの1つでもあるここに立ち返るためや体現するために必要なプログラムを組みました。
内容はこちら
それぞれの想いを胸にまた明日に向かう/2019JARTA合宿開催報告
選手であれ、トレーナーであれ合宿をするのであれば必ず前提に置いて欲しいことがあります。それを自然に行えるようにするためにルールがあったりプログラムにも多くの仕掛けを行うのですが、それでももう一度しっかり合宿に入る前にしっかり意識してください。
 
合宿というのは普段の練習や試合とは得られるものが違います。トレーナーであれば勉強会やセミナー、講習会とは違います。試合や練習は指導する者や大会を運営するものがなければ成り立ちません。勉強会やセミナーは教える側がいなければ成り立ちません。
 
合宿というのは、参加する選手自身が。
参加するトレーナー自身が全員で作るものです。便宜上、教える側と教えられる側(伝える側と伝えられる側)に別れることはありますが、実はそこに垣根がないことが合宿の最も良いところであり難しいところでもあります。
 
能動的に主体性があるかないかはここでわかります。伝える側が当然良いものを提供しようと最大限努力することは必須です。それに対して伝えられる側はどのように反応したか。内容やその場の空気を踏まえ何を考えどう行動したのか。その場を作るのはその場にいる全員なのが合宿です。垣根がないというのはそういった意味です。
それぞれに責任がある。
それは自分自身の成長に対する責任です。
 
JARTAトレーナー合宿は今年で5回目ですが、やっとそのような空気ができてきたと今年は感じることができました。来年はさらに良いものに。参加するトレーナー全員が主体的に動くことで良い相互作用が生まれ、文字通り切磋琢磨できるようになるはずです。

 
70名ものトレーナーが参加してくれた今回の合宿。70名分の背景があり参加者の想いは人それぞれです。2日間共に過ごした中で得たものや感じたこともそれぞれでしょう。歩みを進めるスピードもそれぞれ。
企画運営を担った責任者として、様々な背景を持ったトレーナーへの働きかけという意味で課題は山積みでした。この課題に向き合い、またみなさんと成長していくためのステップアップにし、来年お会いできればと思います。
 
 
今後合宿を行う選手のみなさん。
合宿を成長する機会にしたいのならとにかく主体的であること。能動的であることです。努力する目的をもう一度しっかり振り返り、今日からの積み重ねを。
 

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<岩渕が講師のJARTAセミナーはこちら>
投手用トレーニングセミナー
11月24日(日)札幌 10:00〜16:00
12月8日(日)大阪 10:00〜16:00
12月14日(土)大阪 10:00〜16:00
JARTAベーシックセミナー
12月22日(日)大阪10:00〜16:00
その他トレーニング実践コースレベル1・2で講師していますので、ご興味ある方はHPでご確認ください。
 
 

2019年11月03日

ファーストタッチの原則とは

文:赤山僚輔

 
JARTAの新セミナーでコンディショニング方法や思考について
多くのアップデートがなされました。
 
進化についての話から、これまであまり取り扱ってこなかった評価の観点。
先日のJARTA合宿でも実施した、スポーツトレーナーとしてのEBMの扱い方について。
 
多くの新たな観点が増える中で、初期の頃から変わらず残っているコンテンツがあります。
 
それはタイトルにもある「ファーストタッチの原則」です。
 
 

ファーストタッチの原則とは?


 
コンディショニングに関する手法を多く知るようになると、特に慢性障害が発生している場合などで痛みが発生している部位ではなく他の原因に対して原因があると考えられるようになります。
 
例えば、膝が痛いけど原因は股関節。
肘が痛いけど原因は肩甲骨。
 
などなど。
 
もちろん原因は多岐に渡ります。
患部以外の原因が想起できればできるほどに他の部位への評価や治療を急いでしまう場合が意外と多く見受けられます。
 
そういった際に選手側の立場からすると
 
「痛いのは膝なんだけど・・・。」
「なんで肘が痛いって言っているのに肘をみずに肩甲骨の評価ばかりするんだろう?」
 
このような疑念を抱かせながらのコンディショニングとなる可能性があるのです。
 
このような疑念は選手とトレーナーの関係性を構築する上でマイナス方向に働くことが多くあります。
そのような疑念を抱かせないためにも、最初は患部に触れましょう。
 
これがフォーストタッチの原則です。
 
 
治すことよりも関係性作りが重要
コンディショニングセミナー講師の真木トレーナーは復帰に向けての第一歩は
”クライアントのマインド作り”
このようにコンディショニングスキルセミナーでもお伝えしております。
 
これは真木トレーナーがオーストラリアのトレーナーから聞いた話だそうです。
 
本当に重要な視点で、痛みをとることや可動域を獲得することに重きが置かれがちですがアスリートの復帰の過程において前向きにリハビリに取り組めるか。
復帰に向けて明確な成功のイメージが持てるかなど、患部の状態を好転させるだけでなく重要な視点があるのです。
 
ファーストタッチの原則はこういった関係性作りを構築する上でも非常に重要で、是非とも頭に入れておいて欲しいと思います。
 
もちろんそんなことはしている、そんな方は、患部をただみるだけでなく、復帰に向けてのマインドが用意できているか。
 
そんな観点でコミュニケーションを図るだけでまた関わりが変わっていけると思います。
 
是非とも参考にしてみてください。
 
 
現在募集中のJARTAコンディショニグスキルセミナーは以下のサイトよりご覧ください。

現在募集中のセミナー


 
少しでも選手と良好な関係性を構築しながらサポートしていけるスポーツトレーナーが増えてくれることを心から願っております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年11月01日

バレー選手にしてもらいたい手首や指のケア

 

文:高島 公平
 
バレーは手の使い方が重要になるスポーツの一つです。
オーバーをする時にはボールを指で包み込み、肘を伸ばしていくのと同時に手首のスナップを効かせボールを押し出します。
また、フェイントをする時には手の形を状況に応じて変化させ狙った場所にボールを落とそうとしたり、ボールの軌道を作ろうとします。
ブロックではボールが当たる最後まで指先にしっかり力を入れることが必要になってきます。

 
手を硬く使ってしまうことや指先にまでしっかり力が伝わらない状態であると、バレーではプレーの質が下がってしまうことに繋がってしまいます。
 
 
しかし、日頃から手の状態まで気にしてケアを行なっている選手は少ないのではないでしょうか。
 
 
手の状態を気にしていくようになると「今日は少し手が硬い」であるとか「何か動きにくい」、「少しむくんでいる」など様々な状態を体感するようになってきます。
 
 
 
今回は手の状態をより良い状態にしていくためのケアをお伝えしたいと思います。
 
 
そこでまず皆さんに知っておいてもらいたいことがあります。
 
それは手はたくさんの骨でできており、手を動かす筋肉は手首から先だけでなく手首から肘の間にまであります。
たくさんの骨や筋肉があることで手は様々な動きをすることができ、細かい操作が可能となるのです。
しかしながら、たくさんの骨や筋肉が上手く誤魔化して動くこともでき、知らない間に硬さができたり動きが悪くなる部位が出てきてしまうのです。
 
 
このことからも日頃から手の状態を気にしていく必要があると言えます。
 
 
ケアの方法として手首のストレッチや手首を回す、指をしっかり動かすということはよく知られている方法だと思います。
今回はこれら以外の方法をお伝えしたいと思います。
 
 
 
1、手のひらのアロースポイントを押しながら指の曲げ伸ばし

 
アロースポイントとはいくつかの筋肉が重なり合うポイントです。手だけでなく全身の色んな場所にあるものです。
手のひらのアロースポイント(手のひら真ん中やや下)を軽く押しながら、約5秒間指の曲げ伸ばしを行ないます。
 
手のひらにあるアロースポイントに関わる筋肉には手のひらにある虫様筋や掌側骨間筋だけでなく、腱を介することにより手首から肘の間にある長掌筋や浅指屈筋、深指屈筋が挙げられます。
また、これらの筋肉に作用するだけでなく手のひらにある母指や小指を動かすための筋肉にも影響を与えることができ指の操作性を良くするためのケアになります
 
 
2、手首を握り、握った手を振る


 
手首の骨と前腕の骨の間を親指と人差し指or中指で握ります。
軽く握った状態から上下に5~10回振るように動かします。
親指を上に向けた状態と手のひらを下に向けた状態の2種類で動かします。
手首の動きを良くするためのケアになります。
握っている手で緩みを感じることができれば1回だけでも十分に効果を得ることができますが、硬いままの場合は2、3回続けて行なうと手首の動かしやすさを実感できるようになってくると思います。
一般的に知られている手首のストレッチをしてもスッキリしない場合や効果が不十分な時に併せて行なっても効果的です。
 
 
この他にも手首や指に引っ張る刺激を加えたり、指先を持って捻じったりすることなどまだまだ多くのケアの方法がありますが、まずはこの二つから日々のケアに加えてみてください。
 
オーバーパスが苦手の人や上手くボールコントロールができない人、手に疲れを感じやすい人はぜひとも取り組んでもらいたい内容になっています。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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2019年10月28日

それぞれの想いを胸にまた明日へ向かう / 2019JARTA合宿開催報告

 

 
文責:赤山僚輔
 
2019年10月26日27日、2日間神戸にあります”みのたにグリーンスポーツホテル“で毎年恒例のJARTA合宿が開催されました。
 
大会長の岩渕翔一を中心に何ヶ月もかけて準備をして、多くの仕掛けを展開しながら、選手のサポートに関わるスポーツトレーナーが自分自身に向き合う2日間を過ごしました。
 

 
今回の合宿で行われた内容は以下のようなものでした。
・10 秒自己紹介
・東西対戦形式トレーニングプレゼン
・東京オリンピックパラリンピック〜その在り方とは〜
・リズムトレーニング演習
・外部講師特別講演 スポーツ内科疾患とその対策
講師:田中祐貴(一般社団法人日本スポーツ内科学会 代表理事)
・FTG 体験(夕食時間争奪戦);グループ対戦
・宴会および課題克服プログラム

・世界基準のウォーミングアップ
・体力測定及び体力測定トレーニング作成
・世界基準のウォーミングアップフィードバック
・トレーニング作成における思考過程と作成法
・ケースワーク〜選手を導くために必要な科学的情報の用いかた

・参加者プレゼン

  • プレゼンター1:
  • 岡元 祐樹「アキレス腱が切れて」
    プレゼンター2:
  • 山田 東秀「目標達成するためのメンタルトレーニング体験会」
  • プレゼンター3:
  • 森勢 健太「小児、成人の中枢神経疾患に対するリハビリテーションの 経験から得たアスリートへの評価と介入の順序づけ」
    プレゼンター4:
  • 三好 優美「コーチングとティーチングから考えること」
  • プレゼンター5:
    永井 貴大「僕がトレーナー活動をする上で心がけていること」
  • プレゼンター6:
    平山 鷹也「勝利に関わるトレーナーになるために〜2部降格から 1部復帰を目指した取り組み」
    プレゼンター7:
    山内 大士「投球障害への関わり方〜最速の現場復帰を目指して〜」

 
今回は運営側の仕掛けとして、なかなか現場で自分の時間をとりにくいスポーツトレーナーの環境を考慮し、
基本的には休憩時間なしというある意味過酷で過密な部分もありながらあっという間に2日間が過ぎて行きました。
 


 
わざわざ時間とお金をかけてまで、自分自身に向き合う時間を作る必要性があるのか。
 
オンラインでのやり取りが多くなった今、合宿の存在意義について問題提起をしてくれるオーストラリア在住の認定スポーツトレーナーからの問いに対して考える時間もありました。
 
全国にいる認定スポーツトレーナーや受講中の皆様。
 
実際に顔と顔を合わせて議論し、相談し、一緒に泣き笑いすることで得られた今後の伸び代や今後の課題。
そして何より、アスリートの心に火をつけるように我々自身が火をつけ、火をつけられる瞬間が確実に合宿にはありました。
 
 
それぞれの想いを抱えながら目の前のクライアントに向き合い、アスリートの成長に寄与している我々自身が成長を実感できること。
 
これは間違いなく明日への活力となります。
合宿が終わっていつも通りの日々に戻ってクライアントに対峙した時に、この合宿で灯した心の奥にある熱い火をきっと感じていることでしょう。
 
 
胸に秘めた想いをしっかりと目の前のクライアントに届けられるように、そしてこれだけ多くの仲間が共に悩み、共に解決してくれる安心感を胸にまた明日に向き合っていきたいと思います。
 
年に一度のJARTA合宿、来年は2020年11月7,8日
 
どんな景色がみえるのか、今から楽しみです。
 
少しだけ成長した認定スポーツトレーナーが皆様の元へお伺いします。
また一緒に汗を流させてください。
 
 
今後ともよろしくお願いいたします。
 
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

(外部講師の田中先生と大会長岩渕翔一、CEO中野崇)

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2019年10月23日

投球障害から選手を守れ!投球数制限以外に大切な要素は??

文責;山内 大士

 
 
 
毎年夏の甲子園の時期になると必ず議論される投手の球数問題。
 
今夏には、JARTA公式ブログにおいてもこの話題を扱った記事が掲載されました。
 
参考)投手を故障から守るのはエビデンスではなくルールだ
https://jarta.jp/training/16703/
 
選手を怪我から守るためになんらかのルール規制が必要ではないかという意見も多い中、これまでの野球界の歴史もありなかなか話が進んでいないのが現状です。
 
関西で活動している山内です。
 
今回の記事では投球数やその他の投球障害と関連深い要素について、科学的知見を中心にご紹介いたします。
 
目次;
・投球数と投球障害の関係性
・投球数以外に大切なポイント
①肩関節後方の柔軟性
②肩甲骨周囲の筋機能
③投球フォーム
 
 
 

投球数と投球障害の関係性

 
国内外を問わず、投球数や投球イニング数と投球障害及び身体機能との関係性を調べた報告は数多く存在するため、いくつかご紹介いたします。
 
・1試合あたりの投球数と肘痛について。5研究中関連あり3研究、関連なし2研究(Ryan 2019)
・1試合あたりの投球イニングと肘痛について関連あり1研究(Olsen 2006)、関連なし1研究(Lyman 2001)
・中学生では70球、高校生では100球以上の投球により、直後~数日間の肩関節筋力や可動域の減少がみられる(Iwasa 2011, Chou 2015)
・年間の試合数が多いと肘痛発生が増加する(Matsuura 2013)
・投球イニング制限に関する知識や順守率は肘痛発生と関連しないが、試合数に関するコーチの考え方が肘痛と関連する(Yukutake 2015)
 
これらの結果を見ると、断定はできませんが投球数が増加することで障害発生は増加する傾向にあるようには思えます。また、一試合・一つの大会のことだけを考えるのではなく、年間トータルの負荷量を考えていく必要もありそうです。
 
 
 

投球数以外に大切なポイント

 
投球数以外にも、投球障害との関連が報告されている要素はたくさん存在します。
中でも、我々スポーツトレーナーがメインとなり介入できるのが身体機能です。
また投球フォームに関しても、直接的に指導せずともトレーニングを通じて改善を試みることも多いでしょう。
 
身体機能や投球フォーム(バイオメカニクス)と投球障害及びパフォーマンスとの関連性については、数多くの論文が出されています。今回はこれまでに報告されている研究をいくつかご紹介いたします。
 
 
 
①肩関節後方の柔軟性
 
投球動作において大きな負荷が加わる部位の一つとして、肩関節が挙げられます。特に腕がしなるフェーズである“MER=肩関節最大外旋位”や、ボールをリリースする局面において最大の負荷がかかります(Glenn 1995)。

 
 
投球動作の反復により棘下筋などの後方組織が硬くなり内旋可動域制限が生じます(Mifune 2017)が、これが肩や肘の障害の一因であるという報告は多数存在しています(Wilk 2011など)。
 
投球障害を考える上で肩関節後方の柔軟性は欠かせない視点であると言えるでしょう。
 
 
 
②肩甲骨周囲の筋機能
 
投球動作において肩関節や肘関節への負担を軽減するために特に重要となる肩甲骨の動きは、“内転”“上方回旋”“後傾”になります。

特に、投球動作中に十分なMERを確保するためには、肩甲骨後傾の動きが大切であると示されています(Miyashita 2008)。そのために重要となるのは、「僧帽筋下部・前鋸筋がしっかり働くこと」と「小胸筋に十分な伸張性があること」です。

 
症状のない選手であっても投球側の肩甲骨が前傾していたり小胸筋が短縮していたりすることが報告されているため(Hodgins 2017, Otoshi 2018)、予防の観点からしても重要な要素と言えます。
 
また、肩関節外旋筋力の低下も投球障害リスクとして挙げられます(Byram 2010など)。特に、投球動作のように挙上位での外旋筋力を発揮する際には前鋸筋の働きが重要であると報告されています(Uga 2016)。
 
単に肩関節を外旋する筋肉を鍛えるだけでなく、土台である肩甲骨を安定させる機能にも着目する必要があります。
 
 
 
③投球フォーム
 
一流の投手であっても投げ方は千差万別であり、個性が表れる部分でもあります。だからと言ってどんな投げ方でもいいというわけではもちろんありません。どんな投げ方をしていれば負担が大きいのか、球速の速い選手はどんな投げ方をしているのか、たくさんの投手の平均値を取った際にどのような特徴があるのか把握しておくことは重要です。
 
肩や肘への負担が少ない投げ方の特徴は、MER~ボールリリースにかけて肩関節が適切な角度にあること(Matsuo 2002, 二宮2007など)です。具体的に述べると、外転角度が90度前後で真横よりわずかに水平内転位(前方)であることが理想的とされています(二宮2007, 駒井2008など)。
 
球速の速い選手の特徴は、骨盤や体幹の回旋速度が大きいこと(Stodden 2006など)や、軸足及び踏み込み脚で地面を押す力(床反力)が大きいこと(Williams 1998など)が挙げられます。また、肩外転角度が90度前後であることは球速の速い選手の特徴でもあります(Matsuo 2002)。
 
詳しくはまた別の機会に述べますが、こうした投球フォームを実現するためには、股関節や体幹を含む全身の身体機能と投球動作に対する運動イメージが重要です。
 
 
 

まとめ

 
今回は私の知る範囲で、投球障害を考える上で重要な要素についてその科学的知見を大まかにご紹介いたしました。
 
次回以降、それぞれの要素についてさらに詳しく考察し、その実際の改善方法までご紹介していきたいと思います。
 
また、12月には大阪と東京でそれぞれ投手用セミナーが開催されます。
https://jarta.jp/j-seminar/pitcher/
 
その直後に今回の記事でお伝えした内容も踏まえながら、投球障害に対する実際の評価・介入方法についてお伝えする「JARTAワークアウト 投球障害から選手を守れ!実技編」を開催いたします。
 
野球に携わることのある医療従事者・トレーナーの方はぜひ参加をご検討ください。
学生・学生トレーナー・投球障害について詳しく学びたい選手のご参加もお待ちしております。
 
お申し込みはこちら
12/8(日)in大阪
https://business.form-mailer.jp/fms/f9765758112026
 
12/14(土)in東京
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最後までお読みいただきありがとうございました。

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2019年10月19日

患部外トレーニングでも患部に影響する


文:平山鷹也
 
「患部外トレーニング」
 
怪我をしたことがある選手なら必ず聞いたことがあるこの言葉。
 
膝や股関節を痛めたときに体幹や上半身の筋トレをしたり、
逆に肩や肘などを痛めたときにスクワットなど下半身のメニューを行ったりすることを、一般的に患部外トレーニングと言います。
 
今回は、痛めたところに負担がかからないようにしながら行うトレーニングを、
「患部外トレーニング」ということにします。
 
 
選手やトレーナー、指導者の皆さんは、患部外トレーニングにどんなイメージを持っているでしょうか。
 
 
・怪我していないところの筋力低下を防ぐために行うもの
・怪我していない腕(脚)をパワーアップするために行うもの
・復帰できるまでの代わりの練習
などなど。
 
他にもあるかもしれませんが、患部に影響を与えないトレーニングを行う、と認識している方も多いのではないでしょうか。
 
 
ではここでタイトルの質問をしてみます。
 
患部外トレーニングは、患部に影響はないのでしょうか?
 
 
私の考えは、
「ほとんどの場合はNo」です。
 
ほとんどの場合は、とにごしているのはすべてを実証できることではないからで、実際に全く影響がないことはないと考えています。
 
 
ここから少し具体的な話をしていきますが、その前にまずは影響にも2種類あることに触れておきます。
 
つまり、①悪い影響と②良い影響です。
 
悪い影響とは、患部外トレーニングの結果として患部の治りが遅くなったり、パフォーマンス低下を招いてしまうこと。
 
良い影響とは、患部外トレーニングをすることで患部の治りを早めたり、パフォーマンスアップにつながること。
 
では、それぞれ具体的に考えてみましょう。
 

  • 悪い影響
    わかりやすいところで、慢性障害によって練習に支障が出てしまい、患部を安静にしている間の患部外トレーニングについて考えてみます。これは練習を続けながら慢性障害の改善を図っていくときにも重要な考え方になります。
    慢性障害の原因は多岐にわたりますが、多くの場合可動域や筋力、身体操作的問題によって局所への負担が集中することで起こります。
    つまり全身のバランスが崩れたことによって現在の痛みが引き起こされていると考えられます。
    実際のスポーツ場面では指の先から足の先まですべて関係しあっています。
    それは筋連鎖や運動連鎖など他にも様々な観点から考えることができますが、この影響を考えないと患部外トレーニングで患部に悪影響を与えてしまう可能性があります。
    実際に遭遇した例として、走ると膝の前方が痛くなり、全力で走れなくなったので一度練習から外れて患部を休ませ、その間は患部の治療と並行して患部外トレーニングを行うことになった選手がいました。
    そしてその期間、体幹トレーニングとして腹筋運動(クランチ)をたくさん行ったそうです。
    そうして一定期間の休養を経て再度練習に復帰したが、しばらくしたらまた痛みが出てきて、しかも前回よりも痛みが強く出るようになってしまった。
    これはいったい何が起こったのでしょうか。
    1つの仮説として、腹筋運動で鍛えられた「腹部前面にある腹直筋」と、
    膝前方の痛みと関連が深いと考えられている「太もも前側の筋肉である大腿四頭筋」との関係性から考えてみます。
    ・腹直筋と大腿四頭筋は筋膜を介してつながっており、腹直筋の収縮を繰り返す腹筋運動によって大腿四頭筋の緊張も高くなった
    ・腹直筋の緊張が高くなることで骨盤が後傾すると、動作時の重心が後方へ移動し、大腿四頭筋の緊張が高くなるので膝への負担が増大した
    ・腹部が硬くなってしまうことでみぞおちの動きが悪くなり、上半身で生み出した力を下肢へ伝える効率が下がることで膝への負担が増加した
    などなど、挙げればきりがありませんが、今回の例では腹筋だけを鍛えるのはリスクが高かったようです。(腹筋運動が必ずしも悪いというわけではありません)
    このように、患部へ悪影響を与えてしまうような患部外トレーニングが、現場ではまだまだたくさんあるように感じます。

 

  • 良い影響
    では次に患部に良い影響を与える患部外トレーニングとはどのようなものがあるのでしょうか。ここでも上と同じ膝の前が痛い選手を例に考えてみます。
    これは実際に私の経験ですがその選手はみぞおちが硬く、脚を腹部に引き付ける作用がある「大腰筋」が上手く働いていないことが予測されたので、
    「大腰筋T-レフストレッチ」を行ってから、トレーニングを行いました。
    (大腰筋T-レフストレッチはJARTAベーシックコースで紹介しています)
    そうすることで腹部の余計な緊張がとれ、大腿四頭筋だけで脚を持ち上げることが減り、練習へ復帰してからも膝の痛みなくプレーできるようになりました。
    (筋肉だけでなく、内臓、自律神経、循環などの関連も深い場所ですが、今回は割愛します)
    今回は慢性障害を例にしましたが、実は捻挫や骨折などの急性外傷でも同じように考えていくことができます。
    急性外傷では、まず損傷された靱帯や骨の修復が最優先されるので、循環や回復能力と全身との関係性をより深く考えていく必要がありますが、基本的な考え方は同じです。
    患部外トレーニングを行うときこそ、悪い影響を最小限にしながら、良い影響が最大限得られるように、トレーニングしていく必要があります。

 
いかがでしたでしょうか。
怪我はするということは、自分の伸びしろに向き合わなければならない期間でもあります。
選手の皆さんにとってはつらく苦しい期間だと思いますが、その怪我があったからこそ成長できたと思えるように、その期間を大事に使ってほしいと思います。
我々JARTAの認定トレーナーは、120%での競技復帰を最低限の目標として設定しており、今回の記事の内容を常に突き詰めて考えてトレーニングを提案します。
 
全ては、選手のパフォーマンスアップのために。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年10月16日

『スポーツの持つ力』を今こそ共鳴させよう

 

文:赤山僚輔

 
『スポーツの持つ力』
 
きっとJARTAブログをお読みの皆様は日々感じており、抽象的でありながらも信じてやまない多大なる”力”ではないでしょうか?
 
私自身この”スポーツの持つ力”に魅了された一人であり、いま日本中がこのスポーツの持つ力を実感している真っ只中だと感じています。
 
かつてこのスポーツの持つ力で国を変え、世界にメッセージを送りノーベル平和賞を受賞した人物がいます。
 
ネルソン・マンデラという人物です。
 
ラグビーファンならずとも一度は耳にしたことがある方もいるかもしれません。
 
ネルソン・マンデラ氏は南アフリカで初めて民主的に選ばれた大統領です。
映画『インビクタス/負けざる者たち』では彼の取り組みが1995年のW杯を舞台に映像化され、先日民放でも放送があったので記憶に新しい人も多いはず。
 
彼は本映画の中で以下のような言葉を残しています。
 
「スポーツには、世界を変える力があります。
人々を鼓舞し、団結させる力があります。
人種の壁を取り除くことにかけては、政府もかないません」
ネルソン・マンデラ『インビクタス』より
 
本映画中では国内の分断や人種問題含めて現在の日本人にとっては実感の得られにくい問題も内包していると思います。
 
ただ今回のラグビーワールドカップやバレーワールドカップ、加えて来年に控えた東京オリンピックに向けて多くのスポーツの場面を目にすることが増え我々は知らぬ間に手に汗握り胸に熱いものを感じているのではないでしょうか?
 
これは紛れもなく私は”スポーツの持つ力”であると実感しています。
 
東京オリンピックも翌年に控え、各競技団体の関係者の皆様も日増しに緊張が高まっていると思いますがこんな時こそ本来スポーツが持つ力について再考し、現代に生きる我々がもしかすると忘れかけている心の中にある”なにか”に気づく大事な時なのかもしれません。
 
 

胸の奥にある熱さを忘れていないでしょうか

 
ラグビーの試合をみていると、他競技と純粋に比較することはできませんがとにかく”熱い”。
そんな印象を受けます。
 
そしてそれはラグビー関係者の方々からも感じる熱さでもあります。
 
この熱さを今回は競技特性と共鳴という現象を通して解説してみたいと思います。
 

 
ラグビーの競技特性を考える時に圧倒的に他のスポーツと違う部分としてコンタクトの回数と強度です。
100Kg近くの大男達が全力でしかも複数人でぶつかり合います。
何度も何度も。
転がっても、突き飛ばされても。
一人で太刀打ちできなければ2人3人がかりで。
 
ぶつかり合うたびに筋肉の温度は上がり、心拍数も上がり、交感神経も優位な状態になります。
対戦相手の肌を通して温度を感じ、吐息から息の上がった様も感じるでしょう。
そして競技柄一人で局面を打開することは極めて難しく、自己犠牲を伴いながら得点をあげる為に”FOR THE TEAM”の行動をし続けます。
 
現代は個の時代とも言われ、チームワークや献身性といった側面は軽視されがちな側面でもあります。
 
実際私の関わるチームにおいても長年指導に携わる指導者からこういった部分で、ここ数年の指導の難しさを痛感している声を聞くこともあります。
 
特に世界的に活躍している競技を見渡すと、バドミントン、テニス、柔道、レスリング、フェンシング、空手道、スポーツクライミングなど競技としては個人競技が多いようにも感じます。
 
しかし日本は島国であり組織に対する忠誠心など心身の基底的な部分には『F0R THE TEAM』の精神が宿っているのではないかと私は考えています。
 
それは災害時の助け合う姿勢などからもみてとれるかと思います。
 
ただそういった姿勢が元来あったとしても、内側にある誰かを想う気持ちや熱さを表に出すことが”かっこ悪い”と抑え込んでいる人も多いのではないかと感じています。
 
関わる選手達をみていても試合ではびっくりするような感情表現をするのに、普段はその熱さはどこへ行ったのかとサバサバしたとした立ち振る舞いをする選手も多いです。
 
 
そんな多くの方が今回のラグビーワールドカップをみて、選手達の熱い想いに”共鳴”して自分自身の奥底にあった熱さに気づき、選手達の熱さに呼応するように各地のパブリックビューイングやテレビの前で熱狂しているのではないかと思っています。
 
 

共鳴とは

きわめて通俗的な説明としては、ある物体Aの振動エネルギーが、別の物体Bに移る現象だとしてもよい。

〜中略〜

外部から振動が与えられるとき、与えられる振動が固有振動数に近づくにつれ、物体の振幅が急激に増大する。この現象を「共鳴」または「共振」という。

(wikipediaより)

 
 
こういったラグビーの熱さが競技特有の選手同士のぶつかり合いによっての筋音や心拍の上がり方による共鳴、熱狂する観客の声援からの共鳴。
 
そしてそれは日本全国で応援を送る全ての方への共鳴となり、なんだか表現し難い胸の熱さを皆様が感じてるのだと思います。


 
ただそれはラグビーが気づかせてくれただけで、元来皆様自身が持っていた熱さであり、決して表に出してはならない熱さではない。
 
そのように私は思います。
 
今週末、思う存分熱狂して自分の中にある熱さを最大限に放出して、選手達の熱い思いと共鳴して存分に『スポーツの持つ力』を体感してもらえればと思います。
きっとその熱さがあなたの周りの方々へまた”共鳴”されていくことでしょう。
 
ネルソン・マンダラ氏は以下のようにも言葉を残しています。
 
我々が自らの内にある
光を輝かせるとき、
無意識のうちに
他の人々を輝かせることが出来るのだ。
 
彼は若い時にアマチュアボクシングをしていたそう、身体と身体がぶつかり合う戦いと経験を通して熱いものが他者へ伝わる感覚(共鳴)を実感していたのかもしれません。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2019年10月09日

大会1週間前に100mのタイムを14.1秒→12.8秒へ縮めた中学生ランナーの話


 

文:鳴海裕平

呼吸の様式が変われば運動の様式が変わる。
呼吸は人間が生きている限り必ず行わなければならない運動の一つです。
当たり前ですが人間はガス交換、つまりは身体に酸素を取り込み、
二酸化炭素を排出しなければ死んでしまいます。
 
しかし呼吸は身体に酸素を取り込むという生理的な働きだけでなく、
呼吸の様式が運動の様式にも影響するという働きも持っています。
 
先日とある中学生3年生ランナーを担当する機会がありました。
この方に対して呼吸の様式を変えることで、
100mのタイムが大幅に縮まったので、その経緯を含めてお話させて頂こうと思います。
 
負の悪循環に陥ったランナー
この方は、元々膝・股関節・腰の痛みで悩み、来院されたのですが、
痛みの原因がどうみてもオーバーワークだったので、よくよく話を伺いました。
すると、
『100mのタイムがどうしても縮まらないからひたすらに練習していた。』
『最近足の速い中1の後輩が入ってきて、すぐにタイムを抜かされそうで焦っている』
『自分は陸上部なのに、野球部の方が足が速くて惨めだった』と、
焦りや悔しさからオーバーワークになっていました。
 
もともと中々タイムが縮まらず悩んでいて、必死に練習した。
部活の時間以外でも、自主的に朝練や夜練をした。
それでもタイムは思うように伸びない。
 
オーバーワークになってから更にタイムが縮まらない、
タイムが縮まらないから更に練習しようとする。その結果、身体を痛めてしまった。
もうどうしたら良いのかわからない。とりあえず身体を治したい。
そういった思いを抱えていました。
 
痛みを取るのは当たり前。タイムが縮まらない原因を探せ。
オーバーワーク気味の身体から、
痛みを治すだけでも一時的に記録は良くなると予測されましたが、
それだけではこの負の悪循環から抜け出すには不十分。
 
何故タイムが縮まらないのかを突き詰めて考える必要がありました。
 
本人がどこを、何を意識して走っているのか。
イメージ上の自分のフォームと、実際のフォームの違いは何か。
周りからどういった指導を受けているのか。よく言われることは何か
 
本人は走るときには一番に『胸を前に突き出すこと』を意識して走っている。
 

 
すると、指導者からは
「前にかかりすぎで腰が入ってない。」「腰が入らないと足が前に出ないぞ。」
と指導される。
 
そして腰を入れてみると、タイムが落ちる。それを指導者に言うと、
「腰が入りきってないからタイムが落ちる。」
「前に傾きすぎてるから腰が入らないんだ。姿勢を直せ。」
姿勢を直してみると、更にタイムが落ちる。前に進んでいる感じがしない。
 
結局最初の走り方に戻したら一番タイムが良いけども、
タイムが頭打ちで一定以上にタイムが縮まらない。
そうしているうちに焦りだけが先行して、量をこなしてみるものの、
タイムは変わらず、むしろ身体を痛めてしまった。
 
実際に走っている姿を見せてもらうと、確かに指導者の言う通り腰が入っていない状態で、
本人に一度意識的に腰を入れて走ってみせてもらったところ、
腰は入っていないままでした。しかし、本人はしっかり腰を入れているつもりと言う。
 
一番大きな問題は「腰を入れる」という言葉の認識の違い。
腰を入れるという言葉の認識が本人は、
 
胸を前に突き出すので、自然と腰は反る形になる。
反っている状態から腰を戻そうとするとブレーキがかかってスピードが落ちる。
だから腰を入れるということは更に腰を弓なりに反らせること。 という認識でした。
 
しかし実際には、腰が入っている=腰が反っている は間違った認識です。
(腰が入っている状態についてはこちらの記事を参照して下さい。)
 
腰が反った状態のまま走るといくつか弊害がありますが、
特に短距離走で影響するのが、最高速に入った時に、
身体が浮いてしまい、踵が空振りし前足部で接地してしまい、下肢の力が地面に伝わらず、
力は空回りするばかりで、一定以上のスピードがでないという状態です。
 
呼吸を変化させ、腰を入れて、稲妻のような激しい踏み込みのある走りへ
腰を入れるといっても、
仙骨を意識的にたくし込むような運動戦略は走る動作には邪魔になります。
かといって逆に仙骨を前傾させ、腰椎が前弯すればやはり腰が反り返ります。
 
そこで今回は腹圧呼吸(IAP呼吸)を利用したアプローチを使用しました。
腹圧呼吸(IAP呼吸)とは簡単に言えば息を吸うときも吐くときも
お腹を凹ませずにお腹周りを膨らませたまま息を吐き切っていく呼吸方法です。
 
 
ただ、腹圧呼吸と書くと腹式呼吸の『腹式』という言葉のイメージからか、
お腹を前だけに膨らませてしまいがちですが、本来、腹式呼吸とはお腹が前だけではなく、
前後左右に広がるものです。なので前だけでなく後ろ、つまり背中・腰まで膨らみます。
 
背中・腰が膨らむことには腰が入っている状態を作りやすい他に
メリットはいくつかありますが、
走る際に地面をしっかりと強く押し込めるというのが一番大きなメリットでしょう。
 
 
実際に体感するには準備体操などで行われるアキレス腱伸ばしがわかりやすいです。
 

 
アキレス腱伸ばしの姿勢を取り、後ろ足の踵が地面に付くか付かないかの位置から
呼吸で背中・腰は膨らませると、下肢背面の筋肉がさらに伸張され、
踵がしっかりと地面に付くようになります。
 
ここで大事なのは『呼吸で柔軟性が増した』などではなく、
呼吸によりハムストリングスを中心とした下肢背面の筋肉で
より地面を強く押し込むことができるということです。
 
息を吸う際に腰をしっかり膨らませ、それをキープすることで、
腰椎が過度に前弯することがないため、
走りが最高速に入った時にも身体が浮き上がりすぎる現象を防ぐことができ、
下肢もしっかりと接地されます。
 
また、しっかりと接地させることで、腰が反っていた時よりも強い床反力が発生します。
そして呼吸により脊柱が安定しているため、下肢から伝わった床反力が逃げることなく、
脊柱全体に伝わり、それが更に推進力に加わります。
 
 
 
全く変動がなかったタイムが一気に変わる。
 
実際に走ってもらうと、
『今まで足がちゃんとついてなかったのがわかった』
『なんだか足が今までよりもしっかり上がる。』との声が聞かれました。
この段階でもタイムは今までよりも縮まっていましたが、
 
ここから、この呼吸を維持したまま、
走るときには今まで通り胸を前に突き出すようにしてもらいました。
『難しいし、腰が慣れない分キツい。』とのことでしたが、
実際に走ってもらうと、ベストタイムより一気に1.5秒縮まっていました。
 
 
元々本人が努力していた土台があったため、身体環境を整えた上で
しっかり接地できることで本来のパフォーマンスが十分に発揮され、
急激にタイムが縮まったのだと思います。
 
本人からは
『今までだとこの速さが限界のところから更に2段階位上の速さが出てた感じがする。』
『速さに慣れなくてちょっと怖かった。正直速さに足が付いていけない所だった』
との声が聞かれました。
 
この方とは何回か走って貰い、本人がやりやすいいくつか個人のコツを見つけました。
・鼻から2回吸って口から1回吐くリズムにすると腹圧呼吸をキープしやすい。
・呼吸は走る前に作っておいて、走ってる最中は腰の膨らみをキープする事だけ意識する。
などなど、、、
 
そして最後に嬉しそうに『どう頑張ればいいのか方向性がわかりました!』
という声が聞けて、こちらも嬉しく思いました。
努力している人に結果がついてくるのは素晴らしい事です。
 
最後の大会では公式ベストタイム14.1秒を更新し、12.8秒が記録されました。
 
運動戦略を変えるには呼吸を変えるのも一つの手段
もちろん呼吸だけで全てが解決されるわけではないため、
向上したパフォーマンスをさらに向上させるために、
様々な視点から今後も診ていく必要はあります。
 
ただ、今回の記事をお読みになられている方が、同じような悩みを持っており、
今回の記事の内容が盲点であれば、お試し頂いて損はないと思います。
 
あくまで呼吸の様式を変えることも一つの手段。
より多くの視点を持って、より良いパフォーマンスの実現を図りましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。
 

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2019年10月07日

投手に指導するメンタルコントロール術の基礎トレーニング

文:岩渕翔一

前回の記事でパフォーマンスは能動的パフォーマンスと受動的パフォーマンスに大別できること。そして、それぞれにおいて考慮すべき要素が異なることを解説しました。
 
パフォーマンスの2分類を知りトレーニングに密度を
 
今回は、その中でも特に能動的パフォーマンスに活かしてほしいトレーニングを紹介します。
 
前回、能動的パフォーマンスは、
 
・能動的パフォーマンスには型が重要である
・型の安定には反復練習が必要である
・能動的パフォーマンスは状況とメンタルに左右されやすいためタスクを増やしたりプレッシャーを与える工夫が必要
・反復練習はオーバートレーニングのリスクがあるためパフォーマンスを細分化する分析力と安全
・機能強化を行うトレーニングを提案できる必要がある
 
といったことを考慮しトレーニングを構成する必要があるといいましたが、この中でもメンタルの影響を受けやすいということが最も特徴的な部分でしょう。例えばテニスのサーブを例にとっても、
・相手選手が誰なのか
・試合展開
・どこのポイントなのか
・ファーストサーブなのかセカンドサーブなのか
 
といったように多くの要素に世界ランクトップ100に入るような選手でも大きな影響を受けていることは試合を見ていれば明らかです。理論上は能動的なパフォーマンスなのだから安定した反復運動さえできればパフォーマンスは安定するはずですが、そうはいかないところがまさにスポーツの難しくも面白くもあるところです。
野球の投手であっても身体パフォーマンスだけを取り上げれば、プロの1軍で活躍するような投手がフォアボールを出すことなど信じ難いですが、ご存知の通りフォアボールは当たり前に出ます。
 
このように、競技カテゴリーやレベルの高さに関係なく、能動的パフォーマンスが安定して発揮できる強靭なメンタルは非常に重要な要素です。そして、緊張や落ち着かない時、興奮した時など周りの状況や環境に自身のメンタルを揺さぶられた際、最も多く用いられる対策はおそらく呼吸でしょう。
・ゆっくり呼吸する
・深呼吸をする
・吸った倍の時間をかけて息を吐く
など。
 
そうやって気持ちを落ち着かせ、身体をコントロールしようとし、パフォーマンスに入る。
では、この手法が効果的であったことがある選手はどれくらいいるでしょうか?もちろん大なり小なり効果が実感できることもあるでしょうが、そんなことで解決するようなことであれば、すでにプロの選手が困るようなことにはなっていないはずです。
呼吸はある程度コントロールできますが、それだけでは呼吸からメンタルにアプローチすることはできません。呼吸というのはそれだけ難しく奥深いものです。
 

呼吸からメンタルコントロールのメカニズム

 
そもそもなぜ呼吸からメンタルがコントロールできると考えられているのでしょうか?まずはそのメカニズムを簡単に解説します。
例えば緊張した際。心拍は早くなり、汗をかき、呼吸は早く浅くなります。メンタルの変化は必ずこのように身体に顕在化して現れます。だからパフォーマンスにも影響するのですが、この中で意図してコントロールが可能なのは呼吸のみです。早くなった心拍をゆっくりしようとしても無理ですし、汗をかいてるのを強制的に止めようとしても無理ですよね。しかし呼吸だけは別です。呼吸はゆっくりしようと思えばできるはずです。そうして、コントロールできるものからして、メンタルや他の身体機能を掌握しようというのが呼吸からメンタルコントロールしようとすることのメカニズムです。
 

横隔膜感じれますか?

 
ここで質問です。
 
あなたは横隔膜を感じることができますか?
 
どうでしょうか。実際、自分の動きや姿勢をコントロールしようと思えばその部位や筋肉を感じ、動かし、操作できなければそれは不可能です。そしてそれは呼吸も例外ではありません。例えば力こぶの筋肉である上腕二頭筋。この筋肉に力を入れたり、抜いたり、力こぶを作ったりするように、横隔膜を意識して動かし、コントロールすることができるでしょうか?
 
実際やってみましょう。手順はこうです。
1.あぐらをかいて。安静呼吸を行います。
2.呼吸をしている際、自分の胸やお腹がどう動いているのかをしっかり感じてください
3.しっかり感じることができれば、息を止めます
4.息を止めたままさっき感じた動きをそのまま再現してみてください
5.息苦しくなったら呼吸を再開してください

 
どうでしょうか?呼吸をしている際と息を止めた際。同じように動かすことができたでしょうか?なかなか難しい方が多いはずです。息を吸う際、主に活動する筋肉は横隔膜です。しかし、通常呼吸に関わる横隔膜の動きは色々な反射活動や受容体、脳の延髄網様体や橋といわれる呼吸中枢に無意識にコントロールされています。普段勝手に動いている部分を、必要な時だけ意識してうまく動かすなどそれは無理だし都合が良すぎます。なので、呼吸をコントロールすることの質をあげようと思えば、呼吸に関わる筋肉や部位を意識してうまく動かしたりコントロールしたりするトレーニングが必要になります。
1〜5を繰り返しおこない質を高めていくことがトレーニングになります。
 
こういった基礎的なトレーニングを行い、呼吸を通してメンタルコントロールを行うということが現実的になってきます。
 
今回紹介した横隔膜を意識して動かす方法は投手トレーニングセミナーで紹介している最も基礎的な方法です。ここからさらに発展させたトレーニングを行い、呼吸コントロールによるパフォーマンスの安定を実際は図って行きます。
 
緊張しやすい選手や感情的になりやすい選手、疲れやすい選手は一度やってみてください。
 

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2019年10月05日

その手の置き方で大丈夫ですか?

 

文:赤山僚輔

 
本ブログをご覧の皆様は、スポーツにおける身体操作に興味があり
問題を解決、あるいは更なる向上を図る為に様々な情報収集と
日々自分自身に向き合っていると思います。
 
スポーツ障害をゼロにしようと考えアスリートの動作を分析したり
硬さの気になる部位を評価、アプローチしてもなかなか
改善方向に舵が切れないことを経験したことがあるかたも多いはず。
 
今回のブログでは、スポーツにおける痛みの原因が
普段の生活の中にも眠っているかもしれない。
 
という内容になります。
 

慢性的な肘内側や手首の痛みに悩まされている方へ

内側型の野球肘や、テニス肘、ゴルフ肘といわれる肘内側の痛み。
またラケットスポーツや手首を酷使する競技において今回のチェックポイントと
解決方法は単一的に硬さが気になる筋肉や炎症が発生している部位へのアイシングだけで
痛みが改善しない事例に対して新たな糸口になるかもしれません。
 
肘内側に負担がかかる場合、動作のパターンや使えていない部位などを評価する際には肩関節や肩甲骨、脊柱や股関節などもみていくことが多いでしょう。
 
その上で手首だけに負担がかからないように全身を使うようにしましょう。
 
というのが一般的です。
 
その上で手首のストレッチや患部に対するケアを実施すると思います。
 
肘内側に付着し、影響のある可能性がある筋肉は
・橈側手根屈筋
・長掌筋
・尺側手根屈筋
・浅指屈筋
などでしょうか。
 
この筋群は当たり前ですが、どれも手関節を超えて付着しています。
その為、この筋群をゆるめると手首の動きは大きくなることになります。
 
ここに一つ目の見過ごしてはならないチェックポイントがあるのです。
それは、手首は動きすぎてもよくない。
という点です。
 
足首であれば不安定性が問題になる事が多く、距腿関節のみの可動性が拡大するようにアプローチする人はもはやいないと思います。
距骨下関節や足根骨の可動性があってこそ、足部の剛性が保たれ機能的な足首となります。
 
これは実は手首でも同様で、手根骨の可動性や中手骨の可動性が低下したままで前述したような肘内側の筋のストレッチを選択的に行っても対処療法にしかすぎないことが多いです。
 
となれば、
「足と同じように手根骨や中手骨の可動性を拡大していけば良いのか」
「それくらいであればいつもしているけどな」
 
そんな声が聞こえてきそうですが。
では限局的に硬くなっている皮膚の硬さを日常での使い方から考慮して評価、問診はできているでしょうか?
 

ずっと当たっている部位の皮膚は硬くなる

横向きの睡眠姿勢で股関節の外側である大転子の周囲が硬くなる、大転子拘縮やギプスシーネを長期間使用した後の、踵骨周囲の皮膚や皮下脂肪の硬さが出現し周辺の関節の可動性低下へ悪影響を及ぼす病態は経験したことがある方も多く視点としては一般的になりつつあると感じています。
それでは現代の生活で多く触れている部分が手首にあることも、少し想像すればイメージできるのではないでしょうか。
 
これは何人ものクライアントで手首や肘内側の痛みの要因がこういった着眼点で解決した私自身の経験談になります。
 
デスクワークで、特にキーボードを長時間打つことが多いような方は、手首の豆状骨が常に当たっている状況であることが多いです。(画像青→)
 

(team LabBodyより引用)
 
豆状骨をPCやデスクにつくような動作を繰り返し行うことで豆状骨の表面の皮膚が硬くなるだけでなく、それに付随する隣接関節や骨の動きを阻害することになるのです。
画像からもわかるように有鈎骨や第5中手骨へと繋がる靭帯も豆状骨には付着しており、肘内側の筋であり、豆状骨に付着を持つ尺側手根屈筋への影響だけでない手根骨の可動性低下へと繋がるのです。
 
豆状骨の周囲の皮膚の硬さから有鈎骨や第5中手骨の可動性が低下した状態では、本来動きべき関節が動いていない状態での手首の動きとなる為に、手首自体が過可動性となってしまう可能性も出てきます。
 
特にグリップ競技でこういった障害が多いのは指に力が入り、手の手掌面では皮膚が硬くなり必要以上に手首への負担が増大することにも起因するのです。
 

PC時の手のつき方は変えられる、皮膚の硬さを取る事も自分でも出来る

前述したように、原因がわかればあとは具体的な対策を講じればよいだけ。
明らかにPC作業によって豆状骨付近の皮膚の硬さが出現していそうなら、そこがあたらないような手のつき方に変えたり、柔らかなクッションになる素材を緩衝させるだけでも効果はあります。
 
また皮膚の硬さは自分でつまめば確認できるので、デスクワークの合間などに同部位の皮膚の硬さをセルフマッサージしてもらうことも効果的です。
 
もちろんこれはPC作業だけでなく、学習時の手の置き方にも同じことが言えます。
 
皆様の目の前にくるクライアントが肘や手首の痛みを訴えた時、スポーツ動作以外で豆状骨が常に何かに当たっているようなことがないか、今一度問診してみてください。
 
そして同部位の皮膚の硬さが明らかに反対側と違う場合や癒着がひどい時には、まずその硬さを徹底的にとって肘や手首の痛みがどのように推移するか経過を追ってみてください。
 
その後の変化が、ひとつの答えになると思います。
 
 
一人でも多くの方が慢性障害で悩むことがなくなるよう。
スポーツにおける慢性障害がゼロになる未来を目指して、引き続き活動していきたいと思います。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2019年10月02日

チームにとっての休憩時間とは?

文:岡元祐樹

 
スポーツトレーナーとして様々な競技やチームをサポートしていると、それぞれに違いを感じることがある。
 
その違いの中の1つに『休憩時間の過ごし方』というのがある。
 
フィジカルトレーニングを行い、その間に5分なり10分なり少しまとまった休憩時間を設けたとする。
 
その時間、座って飲水しながら休んだり、ボールを使った個人練習をしたり、チームメイト同士でコミュニケーションを取ったりとチームによって休憩時間の使い方がまちまちなのだ。
 
個人ではなくチームに対してトレーニングメニューを構成する際、そのチームが休憩時間をどう過ごすのかを観察することは重要である。
 
それによってトレーニングの構成をその場でより良い方向に微調整するためだ。
 

 

休憩時間が必要な理由

先日、ある高校のバスケットボールチームのトレーニングサポートを行った。
 
JARTAのトレーナーとしてチームのトレーニングを実施する際、トレーニングの時間はおおよそ90分間というのが1つの目安である。
 
では90分間ずっと休みなくトレーニングをするのかというとそんなことはない。シチュエーションによって異なるが、間に休憩時間が入る。
 
そもそも休憩とは動きの質や集中力を持続させる上で必要なものである。
 
運動強度により休憩時間というのは何分ぐらいがいいのかというのは研究により明らかになってきている。
 
例えばウエイトトレーニングでは、セット間で3〜5分という長めの休憩時間を取ることによって負荷量や反復回数を高めることができ、より大きな最大筋力向上効果が望めると言われている。
 
また脳疲労の観点からも休憩時間は重要である。持続的な運動により、脳内のエネルギーとなる脳グリコーゲンが減少することが報告されているからだ。
 
休憩する時間やその意味は様々な研究によって明らかになってきている。
 
そのためトレーニング内容によって休憩時間の過ごし方もトレーナーがしっかりと決めるのが大事。
 
ということを言いたいのではない。
 
今回トレーニングを行った高校バスケットボールチームは、トレーニングの間の休憩時間にシューティング練習を全員が行っていた。
 
一瞬、「次のトレーニングがあるから休むように」と言おうとしたが、チーム背景を考慮して言うのを止めた。
 
このチームは学校の体育館が改修工事のために使えず、他校や公共施設を借りながら活動していた。
 
つまり、バスケットコートを使った練習時間に限りがあるのだ。
 
「せっかくバスケットコートが使えるから休憩の間くらいシューティングがしたい」という選手の心の声が聞こえたような気がして、次のトレーニングの構成を少し変えることにした。
 

 

チームの色にまで介入しない

例えば、休憩時間は体力回復のために喋らないでストレッチをしながら休もうとトレーナーが指示したとする。
 
するとそれは休憩ではなくトレーニングの延長であるような印象を与え、選手にとっては精神的ストレスを溜めてしまうことになりかねない。
 
休憩時間とはトレーニングの中で指導者から一時的にではあるが解放される時間である。言い換えるとチームや個人としての色が出る時間でもある。
 
「今日はフィジカルトレーニングだけだから少しでもいいからボールを触りたい」
 
「次のトレーニングもきつそうだからしっかり休んでおこう」
 
「早く終わらないかな」
 
トレーニング中とはまた違った内面が顔を出すことがある。その結果が休憩時間中の行動として現れると言えるのではないだろうか。
 
そうであるならば、休憩時間の過ごし方を観察し、休憩明けのトレーニングの構成を考えておく方がトレーナーとしては効果的かもしれない。
 
例えば、動いている選手が多い場合はトレーニングの説明を丁寧に行い、実際に動く時間は集中力を考慮して短めに設定する。座って休んでいる選手が多い場合は少しずつ心拍数を上げていくような構成にする。つまらなそうにしている選手が多ければ、トレーニングをゲーム化や競争化することで盛り上げる。
 
チームや選手の色にはあまり介入せず、その色に合わせてトレーニングの構成を変化させていくのだ。
 
もちろん、最終的にはこういうチームの色になってほしいという監督やコーチの意向も考慮する必要はある。その結果、長期的に見て選手達の休憩時間の過ごし方を良い方向に導ければ最高である。
 

準備はどこまでやっても完璧にはならない

トレーニングを立案し指導する際、自分が理想と想う流れでトレーニングを進めたい。
 
その理想形はあっても構わないが、チームは生き物であり、選手たちの内面を汲み取る努力も怠ってはいけない。
 
休憩時間はそんな選手たちの内面を垣間見ることのできる貴重な時間でもあると筆者は考えている。
 
休憩中は休憩の仕方にあれこれ口を出すことはせず、選手達の過ごし方を観察し、その後のトレーニング内容を自在に変化させられる能力も必要ではないだろうか。
 
もちろん、選手個人個人で「休憩時間でこういうことをやっておくといいよ」という指導があっても良い。
 
自分の型に選手を嵌めず、比較的自由度のある休憩時間に、新たな気付きを得られれば儲けものである。
 
そしてそこから臨機応変にトレーニングの構成を変化させることができるかどうか。
 
結局はそこまでを想定に入れた準備と引き出しが必要になってくるのだ。
 
研鑚を止めることはできない。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

 
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2019年09月30日

パフォーマンスの2分類を知りトレーニングに密度を

文:岩渕翔一

トレーニングの目的は競技パフォーマンスの向上であり勝利に近づくことです。実際はそのために色々な要素に対してトレーニングを行い、その要素がどうパフォーマンスに影響を与えるといった分析が必要になります。そして一口に「要素」といっても色々な分類があります。
最も一般的な分類は、
・筋力
・柔軟性
・スタミナ
・俊敏性
 
などといった体力と機能に特化した分類でしょう。筋力に対しては筋力トレーニングを、柔軟性に対してはストレッチを、スタミナに対しては持久走やインターバルトレーニングをといった具合にトレーニングを選択し機能強化を図ります。
また、JARTAでは「身体操作」は全てのパフォーマンスやトレーニングの土台になると考え、バランスや柔軟性、筋出力など機能要素を高レベルで同時実行する必要のある(アブレスト能力という)トレーニングが多くあります。
このトレーニングの分類はそもそも要素の階層が異なるため機能強化も身体操作も両方トレーニングを行う必要があることは以前の記事で解説しました。
身体操作系トレーニングVS筋力トレーニング 優秀なのはどっちだ
 
この他にも技術トレーニング、メンタルトレーニング、戦術トレーニングなど多くの階層やトレーニングの分類があります。この際、トレーナーがチームや選手にどの要素のトレーニングを求められているのかといったことを理解しておかなければいけません。例えば体力トレーニングを求められているのに技術トレーニング寄りのトレーニングを行なっては種々の問題が起こってしまうことは想像に難くありません。
 
今回紹介するのは、全ての競技パフォーマンスに当てはめることができる2つの分類です。この2つの分類は、強化を目的とするパフォーマンスがどちらに属するかで、必要なトレーニング手段と配慮しなければならない要素が大きく異なります。機能的要素がさほど大きく変わらなくても、手段が大きく異なってくるため知っておく必要がある分類です。
 

パフォーマンスを2つに分類する

 
競技パフォーマンスは以下の2つに分類できます。
・能動的パフォーマンス
・受動的パフォーマンス
 
【能動的パフォーマンスとは】
能動的パフォーマンスとは、選手が主体的に動き始めることができるパフォーマンスのことです。例をあげると、
・野球やソフトボールの投球動作
・テニスや卓球、バレーボールのサーブ
・サッカーのプレースキック
・体操競技
 
【受動的パフォーマンスとは】
受動的パフォーマンスとは、選手が相手チームの動きやパフォーマンスに対応しながら行うパフォーマンスのことです。例は、
・野球のバッティング
・テニスや卓球のラリー
・サッカーのオフェンスやディフェンス
・バレーボールのレシーブ
・格闘技全般
 
このようにパフォーマンスは能動的なプレーなのか受動的なプレーなのかの2つに分類することができます。このどちらに分類されるかでトレーニングに考慮すべきことが異なってきます。
 
【能動的パフォーマンスのトレーニングで考慮すべきこと】
 
例を出して解説します。例えば野球のピッチング。野球は投手が投球を開始しなければプレーが始まりません。投球動作は野球という競技のプレー開始スイッチのような役割を担い、先発投手であれば100球前後の投球数が必要になります。この反復を行うために最も基本的なことは、「投球フォーム」であり、同じフォーム(型)で安定した投球(パフォーマンス)を発揮することです。つまり、トレーニングの基本はフォームを安定させるための反復練習です。能動的パフォーマンスは自らが動き出すことで始まるため、物理的な邪魔が入ることはありません。イレギュラーな対応はほとんどないかわりに、どのような状況でもそのフォーム(型)を崩さずにパフォーマンスを安定させる必要があります。ピッチングであれば、試合開始の1球目なのか、対する打者は何番なのか、勝ってるのか負けてるのか、ランナーがいるのかいないのかなど。
このように能動的パフォーマンスは、試合状況とメンタルに大きく左右されます。つまり反復練習が基本になると言いましたが、その反復がどのような状況でもフォームが安定するように、タスクを追加した中で行うことや、精神的に追い込まれる状況をあえて作る(時間制限を設けたり、対戦形式にするなど)が必要になります。また、基本が反復練習であることは間違いないですが、投球動作の反復には投球障害を招いてしまうリスクがあることは昨今の投球制限の議論からも既に周知されています。ここではやはり投球動作というパフォーマンスを細分化し、安全に機能強化していけるトレーニングを提供することがトレーナーに必要な能力でもあります。
まとめると、
・能動的パフォーマンスには型が重要である
・型の安定には反復練習が必要である
・能動的パフォーマンスは状況とメンタルに左右されやすいためタスクを増やしたりプレッシャーを与える工夫が必要
・反復練習はオーバートレーニングのリスクがあるためパフォーマンスを細分化する分析力と安全に機能強化を行うトレーニングを提案できる必要がある
ということです。
 
【受動的パフォーマンスのトレーニングで考慮すべきこと】
受動的パフォーマンスは相手のパフォーマンスが先行する或いは、同時進行の中でのパフォーマンスになります。この際重要なのは、常に自分の思うようなプレーや理想的な動きができるわけではないということです。つまり、このパフォーマンスのトレーニングに必要になるのが、イレギュラーに対応するための身体操作の幅の広さです。例えば、対峙する選手が右に抜いて掛かると思って反応したのに左に抜きにかかった。変化球に身体が泳いでしまったなど。この時なす術なく抜かれるのか、空振りするのか。或いは通常の型やプレーではしないような動きで対応するのか。スーパープレーやファインプレーと言われるプレーは、このようなイレギュラーに対して目を見張るような動きから生まれることが多いです。
このプレーを支えるトレーニングにはもちろん筋力トレーニングやストレッチなどの基礎トレーニングであり、基礎的なプレーであることは間違いないです。ボクシングで左ジャブが重要だというように、ここでも型となり得る基礎は当然必要ですが、合わせて身体操作の幅を広げるための身体操作トレーニングもしていかなければなりません。
まとめると、
・受動的なパフォーマンスにはイレギュラーに対応する身体操作トレーニングが必要になる
・この身体操作を支えるのは筋力や柔軟性などの機能なので基礎トレーニングも当然必要である
・応用は基礎になる型があってこそであることは間違いない
・イレギュラーに対応するため、認知→判断→実行段階におけるビジョントレーニングを並行し、反応速度を速める必要がある
ということになります。

トレーニングに密度を

 
今回の提案で選手に必要なトレーニングはおそらく大きくは変わりません。プレーが能動的なのか受動的なのか。この分類の中で今どちらに対するトレーニングをしているのか。
これは今しているトレーニングをさらに発展させたり、タスクを増やす際のヒントになったり、評価の視点が増えることに意義があると考えています。今しているトレーニングの密度を濃くすること。この密度の濃さがこれから必要になるのではないかと考えています。
 
次回の記事では、今回紹介した能動的パフォーマンスに当たる投手のトレーニングについて。投手トレーニングセミナーでもお伝えしている、メンタルとパフォーマンスのコントロール法を一部紹介したいと思います。
 

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2019年09月28日

選手が本当に必要とするトレーニング

 

文:伊東尚孝

 
 
東京オリンピックまで1年となり、世界トップクラスの選手を間近で見るチャンスが近づいてきました。
世界一を目指して繰り広げられるパフォーマンスは、感動すら覚えます。
特に自分と関係のある競技であれば、なおさら引き込まれることでしょう。
 
「自分も世界で戦える選手になりたい」
「トップ選手のようなプレーがしたい」
「〇〇選手みたいになりたい」
 
世界のトッププレーヤーを目の当たりにし、その選手を目標として練習に励む方もいるでしょう。
しかし、トップ選手のようなプレーを身につけるためには、どのようなトレーニングを選択すべきでしょうか。
世界レベルの練習を、ただ同じように取り入れることが本当に正しいのでしょうか。
そのトレーニングは、本当に選手が求めているものでしょうか。
今回の記事では、目の前にいる選手の伸びしろを明確にし、どのようにトレーニングを選択すべきかのポイントを述べていきます。
 

トレーニングを選択する2つのポイント

先日、ヴィッセル神戸VSバルセロナFCの試合を観戦しに行きました。
昨年のFIFAワールドカップで優勝したフランス代表のグリーズマン選手も来日しており、
試合にも先発出場していました。

グリーズマン選手の凄さは、決して大柄ではないにも関わらず強烈なシュートを放ち、相手を一瞬で置き去りにし、味方に決定的なパスを出すなど、多様なプレーができることです。
その中でも特に目を奪われたのが、「素早い動き出し」でした。
裏への飛び出しはもちろん、ほとんどプレッシャーがない状態でボールを受ける場面が多く、相手の一歩先でプレーをしていたような印象でした。
この「素早い動き出し」によってチャンスを作り出しています。
では仮に、「素早い動き出し」を習得したいとする場合には、どのようなトレーニングを選択すべきでしょうか。
一般的に「素早い動き出し」すなわち「瞬発力」を高めるトレーニングの代表は
・ラダーを使ったステップワーク
・ジャンプ系の下半身強化
・ショートダッシュ系
などが挙げられます。
これらのトレーニングに多様性を加えると、トレーニングの種類にはキリがありません。
では、グリーズマン選手のような「素早い動き出し」を獲得するためには、
数にキリがないトレーニングを全て網羅することが、果たして正解なのか。
その答えは、以下の2つのポイントを抑える必要があります。
1つ目が、「競技の特性を知る」
2つ目が、「個人の動きを知る」
このポイントをどのように押さえていくのかを、具体的に解説していきます。
 

① 競技の特性を知る

「素早い動き出し」といっても、競技によってその特性は様々です。
 
例えば、野球の盗塁。
盗塁するために走り出す方向は必ず次の塁、すなわち右側になります。
牽制球に対しては左側に動き出します。
リードしてる時の姿勢は一番動きやすい姿勢をとり、動きだす方向も左右どちらかに限られています。
一方、サッカーで素早い動き出しが要求される場面の一つが、相手を振り切る時です。
サッカーは基本的にオフザボール(ボールを保持していない時)の時間が圧倒的に長いです。
そのため相手との駆け引きをしながら、相手より早く動きだすことが必要とされます。
つまり、相手の動きによって動き出す方向が多様に変化します。
さらに周囲のスペースや相手との密接具合によっては、動き出す時の姿勢が不安定な場合もあります。
 
まとめると、
野球の盗塁
① 動く方向が左右で決まっている。
② 構えの姿勢は一定であることが多い。
サッカーの相手を振り切る動作
① 動き出す方向は様々。
② 状況によって不安定な姿勢から動くこともある。
 
 
このように、競技によって「素早い動き出し」の特性が変わります。
すなわち、上記で示した「素早い動き出し」を全て網羅するのではなく、
各競技を構成する要素を抽出することが必要となります。
特性に沿ったトレーニングを選択することで、より競技に活きるトレーニングを行うことができます。
その競技を構成する要素を抽出するために参考とするのが、
トッププレーヤーの動きです。
トッププレーヤーはその競技において最高クラスの動きをしているため、その選手の動きを分析することで構成要素を抽出できます。
最近は、SNSなどで容易にトップクラスの選手の動きを分析することができます。
トッププレーヤーといっても一人ではないはずですので、様々な選手を観ることで引き出しを多く持つことが重要です。
 

② 個人の動きを知る

競技の特性を分析した上でトレーニングを選択しますが、
そのトレーニングが万人に共通して有効なトレーニングかどうかを考える必要があります。
つまり、同じトレーニングをしても効果が出る選手と出にくい選手がいるということです。
なぜかというと、一言でいえば「個性」があるからです。
同じスポーツをしていても、国籍が違えば体格、文化、経歴、など様々な違いがあります。
日本人同士でも、生活習慣や競技歴などによって違いが出るのは当たり前のことです。
つまり、目の前にいる選手の動きも分析しなければなりません。
硬さがあるのであれば柔軟系トレーニングを選択し、
筋力が足りなければウエイトトレーニングを選択する。
その選手が苦手とするポイントを改善できるようなトレーニングを選択できれば、パフォーマンスアップする可能性が広がってきます。

まとめ

トレーニングの種類は数えればキリがありません。
その全てのトレーニングをすることは、時間的にも体力的にも限界があります。
どんなに素晴らしいトレーニングであろうと、
あの有名選手がしているトレーニングであろうと、
目の前の選手に必要なトレーニングかどうかを分析することが重要です。
その基準となるのが世界トップクラスの選手。
SNSなどで観ることもできますが、やはり生で観戦することを僕は大事にしています。
そして、目の前にいる選手の伸びしろを見つけることになり、
結果的に、パフォーマンスアップに繋がるヒントが見つかるでしょう。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2019年09月23日

恐怖も不安も成長の力に

文:赤山僚輔

 
あなたにとって恐怖や不安は悪ですか?敵ですか?
もしそれが自分にとって成長する為の重要な感情であるとしたらどうでしょう。
 
今回は私自身の日々の葛藤とスポーツトレーナーとして重要な準備の話をしたいと思います。
 


 
ある時から、自身の挑戦とサポート選手の挑戦がとても解離することができないほどに関わりが深くなってきました。
 
最終的には選手の勝敗や人生を決めるのは選手自身であり、その家族やコーチになります。
 
しかしスポーツトレーナーという”仕事”は時に、選手の勝敗に左右することもあれば、選手生命に関わることも命に関わることもあるのです。
そんな重要な責務を担っていると最近つくづく感じるようになってきました。
 
そしてこのように誰かに何かを伝える立場にある私達にとって
現場で感じるリアルをお届けすることは、トレーニング方法やコンディショニング方法を伝えるよりも時に重要であると年々感じるようになってきたのです。
 
今回は私が日々感じてる、『恐怖』や『不安』についてお届けしたいと思います。
綺麗事ばかりではなく、こういった事象こそがスポーツトレーナーのリアルでありこれからスポーツ現場に身を置きたいと思っている方々に知ってもらいたい”事実”であると私は痛感しています。
 
 

眠れぬ夜に何を思う

本ブログをお読みの皆様は、初めての現場に出るからという緊張ではなく。
サポート選手の試合が近づいて眠れぬ夜を過ごしたことがあるでしょうか?
 
私は元々かなり睡眠欲が強い方で、どういった状況でもすんなり寝入ることができる性分なのですが、サポート選手の大事な試合が近づいてくると夜も眠れない事が出てきます。
「勝てるだろうか?」
「怪我をせずに帰ってきてくれるだろうか?」
「伝えるべきことは全て伝えられただろうか?」
「しっかり当日良いパフォーマンスを発揮できるだろうか?」
「自分にすべきことはまだ何かないだろうか?」
「あれもこれもまだできていないけど(自身のタスク)当日までに整理できるだろうか?」
などと思考を巡らせ、結局深夜まで対戦相手のYou tubeをみたり、過去のトレーニング指導時の動画を見返したりすることがあります。
 
自分自身はこういう時に、なかなか眠れなくて嫌だなあとは思っておらず。
逆にこんな想いにさせてもらってありがたい、選手たち、この環境に感謝しないといけないなと思っています。
 

恐怖や不安がポジティブな焦りを生むこともある

競技によっては試合に臨む際に怪我のリスク等を考える為に恐怖を覚えることがあります。
前述したように、試合に向けて不安になることなんて無限になります。
一般的にはこういった恐怖や不安は交感神経を優位にさせ、呼吸を浅く、内臓機能の低下にも繋がることがあります。
 
しかし、私自身は選手たちに関わる上でこういった恐怖や不安を選手が感じている以上にスポーツトレーナーも感じることでポジティブな焦りと危機感を持ってより慎重に準備を進める事が出来るので、ある程度は必要なのではないかと思うようになってきました。
 
例えば、何かの資格試験や学校の試験にチャレンジするとしましょう。
普段通りでまず合格するだろうということが何ヶ月前にわかっていたら、試験までの期間必死に勉強するでしょうか?
 
もちろん人によっては満点を取る為に、とかより安全に合格する為にしっかりと勉強ができる方もいると思います。
 
自分の場合には、余裕があるなと思ったら途端に集中力が低下して勉強に身が入らないようなタイプで悪くいうと余り危機感のないような学生生活をずっと送ってきました。
 
今は、状況が変わり学びに対する姿勢は学生時代とは変容していますが、試合に向けての準備についても選手やスポーツトレーナーの心構えには同様の事が言えるのではないかと思っています。
 
挑戦した事がない舞台や、相手。
これまでに負けている相手に挑戦する。
今まで以上に調整期間が短い場合や怪我など不安要素がある場合など。
 
焦りや危機感が自身や対象、環境に対してあることによって明らかに日々の取り組みが変わってきます。
今まで行わなかった準備を行うようになります。
そして私はこの2年間くらい、やったことのないチャレンジを繰り返し眠れぬ夜に恐怖や不安と対峙しながらサポート選手の試合に帯同し続けてきました。
 
その分、勝った時の喜びはひとしおですし、試合が終わった時の安堵はなんとも言えない開放感があります。
 

あなたの抱える不安はポジティブな要素に転換できる

私のような選手の試合に向けての恐怖や不安だけでなく、誰しもが生活していく上で日々不安を抱えていると思います。
そしてほとんどの方がそういった事象に対してネガティブ捉えてような気がします。
しかし、これまでお伝えしてきたように自分自身に起きているそのような不安がまったくない状態よりもあることによって日々に対する取り組みがより丁寧になったり深く洞察し慎重に行動するようになっているのではないでしょうか?
 
だとするとそういった不安すらも自分をスポーツトレーナーとして、人として成長する為の重要な要素だとポジティブに受け止め前に進んでもらいたいと思っています。
 
私自身がこのような葛藤の中で選手と共に成長する事ができ、今があるので。
 
恐怖や不安すら自身を成長させる力になるのです。
 
 
そして、今年の11月24日。
横浜アリーナでK-1のサポート選手が大きな挑戦をすることになりました。
日本人無敗のジョーダン・ピケオー選手と対戦することが先日決まったのです。
格闘技でなくとも、強い相手に向かっていくことはただの勇気だけでいけるはずがありません。
強ければ強いほどに恐怖や不安が大きくなり、それが未開の地であればなおさらです。

ネット上ではマッチメイクが早すぎると賛否両論ありますが、この挑戦が彼にとっても私自身にとっても大きな成長のチャンスであることに変わりはありません。
 
また眠れぬ夜を過ごすことになりそうですが、ポジティブに捉えて歩んでいきたいと思います。
 
皆様の応援が力になります、是非とも応援よろしくお願いいたします。
 
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年09月19日

消費税法改正に伴う価格変更のお知らせ

 
平素よりJARTAオフィシャルサイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。
 
このたびの消費税法改正に伴い、
2019年10月1日以降、弊社の提供するトレーニング、物販、その他サービスのご利用について価格改定させていただきます。
 
ただし、認定スポーツトレーナーコースやJARTAセミナーに関しましては、
以前よりアナウンスしておりました通り、2020年1月より価格変更いたします。
受講希望される方はお早めにお申し込みください。
 
◯認定スポーツトレーナーコース
BASICセミナー
コンディショニングスキルコース
トレーニング理論コース
 
◯JARTAセミナー
投手用トレーニングセミナー
サッカー上半身トレーニングセミナー
 
 
誠に勝手ではございますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
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2019年09月18日

最高の準備は日々の過ごし方にかかっている!?

文:平山鷹也

 
「最高の準備をして本番を迎えたい」
 
これはアスリートなら誰しも思っていることだと思います。
 
 
でも具体的に「準備」として何をしているか、言えますか?
 
即答できなかった選手の方は、ぜひ読んでみてください。
 
 

準備の目的

 
まずは準備の目的を明確にしましょう。
アスリートであれば、「試合で最高のパフォーマンスを発揮すること」が目的となることが多いと思います。
 
ここは立場や状況によって変わる可能性もありますが、自分の準備をする目的を明確にできればどんな言葉でもいいかと思います。
 
具体的にやることを決めていく過程でこの目的が明確になっていないと、「手段の目的化」が起こりやすくなってしまいます。
 
毎日ストレッチをやると決めたときに、ストレッチをすること自体が目的とならないようにする、ということです。
 
目的が明確であれば、どこの筋肉に意識を向けるのか、どのように呼吸をするのか、どのくらいの時間をかけて行うのか、など質的な部分をより意識できるようになります。
 
 

身体の調子を測る指標を持つ

 
目的が明確になったら次は調子の良し悪しを判断する指標を設定しましょう。
 
できれば毎日できるような簡便なもので、目的との関連も深いものが良いかと思います。
 
一例として私の指標の1つを紹介すると、JARTAトレーニングの基本でもある、「インナースクワット」です。
 

 
私は調子が悪いときはインナースクワットをすると左股関節に詰まりを感じます。
これを1つの指標としています。
 
これは一例なので、他にも一番苦手なストレッチのやりにくさにしたり、得意なストレッチのやりやすさにしたり、自分にあった指標を持つことが大事です。
 
指標を決めたら、まずは毎日同じ時間でその指標をチェックしてみましょう。
 
きっと、日によって全然違うことに気付くかと思います。
 
その気付きこそが、「最高の準備」の第一歩です。
 
 
 

調子の良い日を継続していく

 
さて、指標を作り毎日比較していくと調子が良い日もあれば悪い日もあります。
 
しかし、毎日行うことで何をした後に調子が良くなったり悪くなったりするのか、だんだん予測がつくようになってきます。
 
例えば、
・ジャンクフードを食べた翌日は股関節が詰まりやすい
・熟睡できた翌日はスムーズに股関節が動く
・プライベートで嫌なことがあると背骨が固くなる
・趣味の時間を満喫できたときは体も軽くなる
・脚を組むと膝の動きが悪くなる
 
など、やってみるとわかりますが、身体は本当に色々なことに影響を受けます。
 
上記は私が実際に経験したことで、それをもとに調子の良い日が続くように現在の「準備」を決定しています。
 
・ファストフードはなるべく食べない
・睡眠前のルーティンに時間をかける
・背骨は毎日チェックして固いときはストレッチを念入りに行う
・趣味の時間を作り、そのときは仕事を忘れて没頭する
・脚はなるべく組まないようにする
 
これはあくまでも一例ですが、このように指標に基づいて準備として何をするべきか決めていくと必然的にやることは見えてきます。
 
そして、調子が悪いときの対処法もわかってくるので一石二鳥です。
 
 
 

準備は日々の過ごし方から始まっている

 
このように考えると、試合前や練習前だけの準備では「最高の準備」とは言えません。
 
日々刻々と身体の状態は変化している中で、いつでも最高の結果を出すためには毎日の過ごし方も重要な要素です。
 
今回ご紹介した方法を実践していくと様々な疑問が湧いてきます。
 
・指標としては調子良かったのに、プレーはイマイチだった
・ぐっすり眠れる日とそうでない日の違いは何だろう
・あの行動のあとは何で身体が固くなるのだろう
 
そのような疑問があり、それを解決していく過程こそが「最高の準備」であると思います。
 
 
毎日の身体の変化に目を向けて、最高の準備を。
 
全てはパフォーマンスアップのために。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年09月14日

トレーニング効果をより高めていくために

文:山田 東秀

 
日々、パフォーマンスアップのため、トレーニングをはじめとして様々なことに取り組んでいる人にとっては、その効果を高めるために必要なことを毎日意識的に実践するなど、パフォーマンスアップに必要と言われる要素を日々の生活に取り入れたりすることはよくあることかと思います。
 
では、パフォーマンスアップに必要な要素を意識的に日常生活に取り入れていくことをする一方で、日常生活の習慣の中から、パフォーマンスアップを妨げる要因を取り除くことに、意識的に取り組んでいる人はどれくらいいるでしょうか?
 
 
 

人の身体には、毎日の生活習慣や行動パターンに適応しようと変化する特性がある

 
日常生活で、行う頻度が多い姿勢や動作、行動があると、身体はそれらが行いやすくなるよう、次第に変化していきます。
 
その変化は、身体本来の機能にとって良いかどうかは関係なく生活習慣や行動パターンの頻度や時間の多さに影響されて変化します。
 
日常生活というのは、普段何気なく行なっているものがほとんどです何気なく行なっているということは、「無意識レベル」で「習慣化」しています。
 
新しい要素を日常生活に取り入れていくことで、身体は変化していきますが、現在進行形で「無意識レベル」で「習慣化」している日常生活の中にそのトレーニング効果やパフォーマンスを低下させる要因が多く含まれているとせっかくパフォーマンスアップのために一生懸命トレーニングに励んでいてもトレーニング効果は薄れてしまいますし、そのトレーニング効果を打ち消す要因が多ければ、無自覚のうちに本来、人にとって必要な機能を失ってしまう変化に至ることもあります。
 
もちろん、個々人によって、バックグラウンドをはじめ、生活習慣や行動パターン、年齢、性別、競技、カテゴリー、トレーニング内容やトレーニング目的も、全て異なりますので、一概に万人にこれが良い悪いと言い切れるものはありません。
 
ですが、脳が「身体のこの部位は日常的にこう使う」と認識した身体の部位が無意識・無自覚のうちにそうしやすいよう変化し、適応していくというのは人間である以上、誰でも共通しています。
 
トレーニングとして、パフォーマンスアップに必要な要素を日常生活に取り入れるならパフォーマンスアップの妨げになる要素を取り除いていくこともトレーニングです。
そのためには、パフォーマンスアップの妨げとなるものを把握する必要があります。
 
そこで、まず必要となってくるのが
「無意識的なものに気づき、自覚すること」
 
そして、そのための方法は「書き出すこと」です。
 
実は「書き出すこと」と聞いて、実際に書き出す作業に取り掛かる人はすごく少ないです。
ということは、する人としない人とでの差が大きくなります。
 
では、具体的にご紹介します。
 

無意識的なものは、書き出すことで可視化することができる

 
主な作業は次の4つです。
 
①1日の流れを時系列スケジュールで1週間分、書き出す。
書き出すものは、「週間スケジュールや行動パターン」です。
家で過ごす時間、電車で過ごす時間、学校や職場で過ごす時間、トレーニング時間、競技練習時間、休憩時間等々、自分はいつもどこで何をどのようにしているか現時点で意識できる範囲で書き出します。
 
②次に、書き出したそれぞれの時間について「具体的に」どうしているのかを書き出す。
どんな姿勢や動きで何をして過ごしているか、何をどれくらい摂取しているのか、など現時点で意識できる範囲で構わないので、可能な限り書き出します。
 
③書き出したものを、一度自分で確認する。
いざ、書き出したものを自分で確認してみると、どうでしょうか?
書き出す作業は、慣れないうちは書き出せることが少ないかもしれません。
ですが、これは現状確認の意味もあるので、少なくても構いません。
意識できるものが少ないと自覚することも大切です。
 
ご参考までに私がこの取り組み初期で気づけたものの例を簡単に紹介すると
 
・仕事を含め、床に座って過ごす時間が想像以上に圧倒的に多かったこと
・その、床に座って活動する際に、特に何も意識することなく座って活動していたこと
 
もともと仕事柄、床に座る時間が多いことは自覚していたにも関わらず具体的に時間を書き出してみると、仕事以外も含め、床に座っている総時間は想像をはるかに超えるものでした。
 
自覚していた時間と無自覚だった時間とに大幅なズレがあり、身体の状態に意識を向けて活動している時間よりもそうでない時間の方が、活動時間の大部分を占めていた。
 
このことに気づけたことで、無自覚だった時間の活用方法は変わり、床で活動する時間に新たなトレーニング要素を組み込むことが可能となりました。
 
と、このように、書き出したものを見て確認することで無意識的なものに意識を向けることが可能になります。
 
④①~③の作業を定期的に繰り返す。
大切なのは、これを定期的に繰り返すことです。
 
全て書き出す作業が難しければ、③だけでも構いません。
もし、確認した際に新たに気づいたことがあれば、それをどんどん書き込みましょう。
 
この書き出して確認する作業を定期的に繰り返していくことで、意識を向けられるものは、量も種類も増えていきます。
 
 

普段トレーニングで言われていることとは真逆のことを意外に多くしていたりしないか?

 
パフォーマンスアップのために、良いと言われるものを導入し続けるだけでなく、今現在の生活スタイルの中に存在する、パフォーマンスを低下させる要因に気づき、日常生活における生活習慣や行動パターンからその要因を減らしていくという観点も、パフォーマンスアップには必要です。
 
認識できていない時間の過ごし方に自分自身が気づき、パフォーマンスを低下させるような変化を身体にさせないために、これまで無意識的に過ごしていた時間を、これからはどう使い、どう過ごすのか?
そうすることで、日頃から身体をどのような状態に保っておくのが良いのか?
 
書き出すという作業は、提案されても取り組む人は少ないものですが、書き出して確認することで得られる気づきは、意外と多いです。
 
 
すべてはパフォーマンスアップのために。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
 
10月6日に大阪で、WorkOutを開催します。
今回のWorkOutは、スポーツトレーナーを目指しているわけではないけれど、JARTAのセミナー内容やトレーニングに触れてみたいと思っている方々に、お集まりいただけるWorkOutです。
当日は、旧認定スポーツトレーナーコースの内容にいくつか触れていただいた後、それぞれの立場から、考えていたことや感じていたことなどをディスカッションで共有し、互いの思考を広げる時間を設けたいと考えています。
お申し込みはこちら
 
 

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2019年09月07日

不器用は伸びしろ

文:高塚 政徳

 
トレーニング指導をする中で、トレーナー側が伝えたいトレーニングや動作を習得する速度には個人差が必ず出てきます。
 
例えば、
・初めてやることはどうしてもうまくできない
・人よりもスキル習得に時間と回数が必要になる
・調子の波が大きく、修正に時間がかかる
 
このような選手を、一般的には不器用な選手だとする風潮がありますが、思い当たる選手は読み進めてもらえたらと思います。
 
今回は、競技スキルの習得も含めて、その習得速度はやり方次第で変化しうるものであるという話をしていきます。
 
習得速度が遅い選手に共通してみられる傾向として、以下の3点があげられます。
 
・背骨の動きが不十分
・プレー中、呼吸が浅く止まってしまいがち
・体の状態が変化していることを感じるのが苦手
 
この3つは、別物のようですべてつながりがあります。
 
 
背骨の動き(しなやかさと強さ)が不十分な状態では、深い呼吸をするために必要な横隔膜や肋骨の機能が担保されないことで、呼吸が浅くなります。
 
横隔膜や肋骨の機能低下は、体幹部から上下肢への力の伝達も損ないます。
 
そのロスを補うために、四肢を力源とした動作パターンが出現しやすくなり、これは俗にいう力みに繫がります。
 
背骨は力源でもあり、運動の巧緻性にも貢献しているため、動作の再現性に影響を与えます。
 
力みという不必要な筋肉の緊張が生じると、自分の体の状態を感じるための体のセンサー(筋紡錘)の感度が低下し、動きの方向・幅・程度など動作に必要な出力の調整が難しくなります。
 
このような複数の要因が絡んでくることで、トレーニングやスキルの習得速度が遅くなってしまうことが考えられます。
 
 

まずは、呼吸から

 
1番簡単に行えることは、自分の呼吸に意識を向けることです。
 
習得速度の遅い選手は、特に不慣れな動作を行う際、無意識に呼吸を止めて必要のない力が入ってしまうことがパターン化されているため、しばらくは繰り返し意識を向ける必要があります。
 
試しに、いつもと反対側の手で箸を持って食事をしてみてください。
 
不慣れな方であれば、力みや、呼吸状態の違いを感じていただけると思います。
 
そこから呼吸を整えてみてください。
 
呼吸から整えることで、不必要な全身の緊張が緩和されることが実感できるはずです。
 
呼吸自体は、意識次第で日常生活やトレーニング時にいくらでも取り入れることができます。
 
呼吸は当たり前のことようで、思った以上にできていない選手が多くいます。
 
選手も指導する側も、トレーニングやスキルの習得が上手くいかないときこそ、呼吸を感じてみてください。
 
呼吸にフォーカスしたアプローチをすることで、力を抜くこと、自分の体を感じるということができるようになり、習得速度・トレーニング効果が明らかに変わってくることもあります。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
高塚トレーナーの他の記事はこちら
意図的に「前もも」の力を抜けますか? ~セルフチェック編~
諦めの悪い男達~理学療法士としてスポーツに関わるには~
使える股関節を追求するために
障害者スポーツも勝負にかける想いは同じ
力自慢の方はぜひ挑戦を
力を抜くのもスキルの一つ
 

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2019年08月31日

まずは身体で感じることから

 

文:高橋 佑侍

 
 
中学生に対し、どんな言葉を使ってトレーニング指導をしたらいいか悩みませんか?
私は最初悩みました。
精一杯説明して、理解してもらおうとしていました。
 
 
 
ですが、なかなか納得した表情にはならないことがありました。
今考えると、「説明」にばかりに考えが囚われていたからだと思います。
 
 
 
本来は「指導」しなければならないのに、この言葉を理解していない自分がいました。
 
 
 
言葉の意味を整理すると、
説明とは、物事がなぜこうなのかの根拠・理由を明らかにすること。
指導とは、ある目的に向かって教え導くこと。
とされています。
 
 
また、
説明は自分主体。
指導は相手主体。
ということがわかります。
 
 
 
つまり、説明を精一杯していた時期は自分主体になっていたのです。
理解してもらおう、上手く伝えよう。伝えなければやってくれない。
今考えればなんて自分本意だったのだと気付かされます。
 
 
 
しかし、説明が必要ない訳ではありません。
説明した上で、どう導くかが大事です。
 
 
 
このことを忘れないことが、悩み解決のきっかけとなります。
 

 
私自身が中学生に関わる時に意識していることは、まずは言葉や認識を合わせることです。
例えば、競技によって本人の中で必要と考えている要素が、我々専門家から考える必要な要素との違いがあります。
 
 
 
「走るのには腿前が太い方がいい」
「体幹は固い方が強い」
「身体は柔らかければ、柔らかいだけいい」
 
と言ったように、実際に生徒に聞いてみるとこんな発言を聞かれます。
 
 
 
ですが、身体の構造を考えると
腿前にある筋肉は大腿四頭筋で、大腿四頭筋が優位になりすぎると前方への推進力効率は下がる。
体幹を固めるだけでは自分より大きい相手には当たり負けする可能性がある。
柔らかさだけでは出力も低下し、しなやかな動きがでる訳ではない。
ということは周知のことかと思います。
 
 
 
この認識の相違が生まれる原因としては、
・プロの選手が言っていたから
・本に書いてあった
・親がそう言っていたから(同じ競技経験)
などが挙げられます。
 
 
 
実際には本当にそうなのか?と生徒自身がよくわかっていないケースが多くあります。
 
 
 
言葉で伝えようとする生徒にはより迷いを生むことになります。
 
 
 
我々は生徒を導くのが本来の目的なはずです。
言葉という手段に囚われる必要はありません。
 
 
 
私の場合はまず、「感じてもらう」ことします。
例えば生徒の認識が、
高く飛ぶには膝を曲げて腿前に力を入れながら飛んだ方がいい。
体幹は固めて強いようが身体がブレないから速く走れる、脚が上がりやすい。
と言った認識であったとしましょう。
 
 
 
まず実際に認識通りの動きをしてもらいます。(A)
次に、効率のいい動き方を伝えます。(B)
AとBを比較してどう感じるか、どうなるかを確認します。
 
 
 
効率のいい動きのポイントとして、例えば高く飛ぶ際には腿前を意識し過ぎず、お尻の向きやハムストリングスが働いているかどうかの感覚、腕の振りのポイントを伝達。
脚の上がりやすさは、鳩尾を刺激した状態で足を上げる、筋肉の位置関係をアプリ使用し画像で確認などしています。
 
 
 
このようなポイントを伝えた上で、感覚的に高く飛びやすくなる、脚が上がりやすくなる。と言った感覚を体感して比較してもらいます。
 
 
 
その上で比較した現象の説明をします。
そこからトレーニングの開始です。
 
 
 
説明から入るのではなく、感覚の違いを体感してもらってから
起きている事実の説明をする流れです。
 
 
 
 
 
私自身、上手く伝えよう、わかりやすく説明しようという思いが強すぎることで全く上手くいかないことの連続でした。
指導する立場としての意味を理解しているつもりになっていたのです。
 
 
 
どんなに素晴らしい説明ができたとしても、パフォーマンスが少しでも上がらなければそれは自分主体の自己満足でしかありません。
 
 
 
考えるより、感じる。
感じてもらって、導く。
それが最適解かもしれません。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2019年08月24日

【トレーニング動画あり】「胸の動き」が痛み/パフォーマンスアップの両側面に関わる理由

文:萩 潤也

 
先日テニス選手と関わった際に以下のような相談を受けました。
 
・もっと楽に力強いショットが打てるようになりたい
・練習後に肘が痛くなることがある
 
普段はテニスの技術練習に加え、自重での補強トレーニングやストレッチなどを簡単には行ってはいるが、思うような結果が得られていないとのことでした。
 
実際は個人の特徴も考慮する必要がありますが、今回はよくある原因の1つである「胸の動き」に焦点をあてて話をしたいと思います。
 
胸の動きは身体の繋がりとして、痛み―パフォーマンスアップの両側面に関わっています。その具体的な理由と、実際の動きをチェック・トレーニングする方法も合わせてご紹介したいと思います。
 
身体のつながりについてはこちらもご参照下さい
ねじれて感じる身体のつながり
 

痛みとパフォーマンスは表裏一体

 
よく怪我や痛みと競技パフォーマンスは別物として考えられることがありますが、この両側面は表裏一体であり、繋がりがあります。
 
そもそも痛みという現象は、ある部位に「ストレス・負担が集中している」ということを知らせてくれている身体からのサインです。
そのため「どこが痛くなっているか」という事実だけでなく、「何故そこにストレスや負担が集中してしまっているのか」という原因を考える必要があります。
 
また、同時に競技パフォーマンスのことも考えてみます。
テニスのサーブやリターンで力強いショットが打てるようになりたい。
ではボールにパワーを伝えるための力源としてはどのようなメカニズムが考えられるでしょうか。
移動そのものの力、沈んだ身体が伸びあがってくる際の床反力、捻った身体が元に戻る力、などがあります。
これらが合わさることで大きな力がボールへと伝わります。(ネット際のボレーなどはここでは除きます)
 
特に今回焦点をあてている「胸の動き」は身体の捻りに大きく関わる要素であり、中心→末梢へ力を伝達する役割があります。
上半身からボールまでの繋がりを見てみます。
 
胸(背)―肩―肘―手―ラケット―ボール
 

 
この上半身の繋がりの中で一番捻りの要素が大きいのが、身体の中心である胸(胸椎・肋骨・胸骨)になるのです。
 
「でんでん太鼓」をイメージしてもらうとわかりやすいと思いますが、中心の棒(胸)が回転することで左右の紐と玉(腕やラケット)が振られ、音が鳴ります(力が生み出される)。
 
つまり、胸の動きが小さくなることは、以下のように表すことができます。
 
・動作に協力する関節や筋肉が少ない→ボールへ伝わるパワーが小さい
・生じるストレスや負担が分散せず、特定部位(肘など)に集中する→痛みや怪我の原因になる
 
ですが言い換えれば、胸の動きが大きくなることは以下のように表すこともできます。
・動作に協力する関節や筋肉が多い→ボールへ伝わるパワーが大きい
・ストレスや負担が分散し、特定部位へ集中しなくなる→痛みや怪我の予防・原因の改善
 
 
最初の話に出てきた競技パフォーマンス・痛みの両側面ともに「胸の動き」がポイントになっている、表裏一体であるというイメージがついたのではないでしょうか。
 
ではここから実際の動きをチェック・トレーニング方法の例をご紹介したいと思います。
 
 
 

  • 四つ這い肘上げチェック


 
(手順)
・四つ這いになり、片手指先を耳の上あたりにつける
・できるところまで肘を上げるように胸を開いていく
 
この時下の腕と上の腕が一直線になっている状態まで開くことができるのが理想です。ご自身の身体の状態はいかがですか?
 

  • バランスボールトレーニング

バランスボールを用いた「胸セパレート」というトレーニングをご紹介します。
セパレートとは「分かれている・分離している」という意味です。
その名の通り、このトレーニングの目的は頭や下半身に対して胸を分離して動かせるようになることになります。
 

  1. 胸セパレート:その場

https://www.instagram.com/p/B1L0LIuBcK7/
(手順)
1.肩幅よりやや広く足を広げ、膝と股関節を軽く曲げる
2.手や胸との隙間が無くなるようボールを抱きかかえるようにして把持する
3.頭や骨盤は正面を向いたまま、左右に振るように動かす
※ボール―手―胸の隙間があると腕だけで動いてしまうため、隙間をなくし1つのユニットとして同時に動かすことを意識する
 
 

  1. 胸セパレート:サイドステップ

https://www.instagram.com/p/B1L0q_IB-li/

(手順)
1.①のポイントと基本は同じだが、肩甲骨-背中が正面に見えるくらい大きく捻る。目線は肩越しに正面に向ける。
2.左右にサイドステップを行い、移動した側と同じ方向に胸セパレートを行う。身体の捻りが戻る反動を利用して逆方向へステップを行う
※足で地面を蹴って移動するのではなく、捻りが戻る反動を移動のエネルギーに変換することがポイント。そのため一瞬身体がフワッと浮き上がるような感覚。
 

おわりに

いかがでしたでしょうか。
今回焦点をあてた「胸の動き」は、もともと硬くなりやすい部位です。
心臓や肺といった臓器を守るために、骨の砦のような構造をしていることや、精神面の影響(自律神経)の影響を受けやすいためです。
だからこそ、この部位が自由に動けるかということが、障害予防やパフォーマンスアップの観点からも重要視される理由です。
ご自身の現状をチェックしてみて下さい。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2019年08月18日

あなたはサンプル1とサンプル1000のトレーニングどちらを選択しますか

文:谷口祐樹

トレーニングメニューは探せば探すほど存在します。
もちろん、オリジナルのトレーニングを自分で作る事も可能です。
トップ選手の動きを動画などで観察し、その動きが意識しなくても出来るようにトレーニングを通して体に落とし込み、パフォーマンス向上を図ります。
 
しかし、ちょっと待ってください!
 
そのトレーニングは本当に効果的なトレーニングなんですか?
 
トップ選手の動きだからきっと正しい動きに違いない、だからその動きやトレーニングをトレーナーとして選手に提供するんだという単純な思考になっていないでしょうか?
トップ選手という憧れにあなたは引き寄せられていませんか?
 
サンプル1のトレーニングとサンプル1000の科学的根拠をもったトレーニングをあなたなら選手にどちらを提供しますか?
 
 

トッププレーヤーの動きが全て良い訳ではない・・・

 
どの競技にも、トッププレーヤーが存在し飛び抜けて活躍している時それが輝いて見えてしまい、ついその動きに引き寄せられてしまいます。
彼らがやっていることは全部良いことだと思うようになり、無条件で取り入れるようになってしまう事が選手だけでなく、トレーニングを提供するトレーナー及び指導者には必ずあると思います。
 
そして調子を崩し自分の良い所がなくなっていくというマイナスの学習に繋がる可能性もゼロではありません。
 
【トッププレーヤーが〇〇な動きをしている】と【〇〇の動きをすればトッププレーヤーになれる】とは話がまったく別問題です。
 
また、トレーニング方法においても同様の事が考えられます。
今までにないトレーニング方法だと思っていても実際には他の競技のトレーニングで既に取り入れられていたり、過去に流行ったトレーニングだったりする事も多々あります。
 
人は何かのきっかけで盲信すると、それを強化する情報ばかりを集めるようになり、自分の考えを肯定し後戻りしにくくなります。
 
それでは、流行りや思い込みに振り回されることなく、本当に必要なトレーニングを選択するためにはどうすれば良いのでしょうか?

 
 

本当に必要なトレーニングを選択するためには?

 
そのために意識すべきことが3つあります。

・1つ目は多様性のある考えを持ち常に疑うこと
・2つ目は時間軸を長く捉えること
・最後の3つ目は基礎を怠らず普遍性のトレーニングと個別性のトレーニングを必ずバランス良く行う事です。

以下に具体的に説明していきます。

 

1.多様性のある考えを持ち常に疑うこと

あるトレーニング方法や組織に所属すると、まわりはそのトレーニング理論で染まってしまいがちになり、自分が現在行っているものを肯定する要素を探してしまいます。
「あのような人になりたい」という自分にとって具体的な行動や考え方の模倣となる人物(ロールモデル)を選び、その人の影響を受けてしまいます。
ロールモデルは目標となる指標が出来る為良い場合もありますが、妄信してしまうと悪影響を及ぼします。
そうならないためには、自分の周りにいる人の考え方を取り入れることや、知識の多様性が必要です。
一度冷静になり、自分の立ち位置を俯瞰してみることをオススメします。
 
2.時間軸を長く捉えること
トッププレーヤーにもトレンドは必ずあります。
ある時期にはトップ選手の動きをみてそれが大事だと思われていたが、いざ長い時間軸で捉えると、その時代の道具や練習形態によって生み出された動きだったりし、パフォーマンスには直接影響しないという事も必ずあります。
普遍的な動きなのか時代の流れなのか、現在のトッププレーヤーだけを見ているとそれがわからないという事です。
 
3.基礎を怠らず普遍性のトレーニングと個別性のトレーニングをバランス良く必ず行うこと
「正しい動き」や「正しいトレーニング」というのは結局のところ、人の裁量でしかありません。
スポーツの頂点に近い世界では科学的根拠のある情報を探そうとしても、サンプル数が少なすぎて参考になりません。
つまり、実際に彼らがやっている事の何がパフォーマンスに影響しているのかの根拠はほとんどないのです。
結局は観察して洞察するしか理解する方法がないのですが、トップ選手を見る時は特に冷静になることを意識する必要があります。
無意識のうちに良い部分ばかりを探してしまいがちですが、実際にはトップ選手にも悪い部分があります。成功している人が持っている特徴を、それをやればパフォーマンスが向上する要素なのかもしくはただの癖なのか、そのように分類して整理する必要があります。
最後に、忘れてならないのは個別性の原則です。
ある人には効果的な動きトレーニングであっても、ある人には機能しないという事が必ず存在します。
結局のところは、良いトレーニングとは普遍性と個別性に対してバランス良く介入することです。
普遍性のトレーニングとは、誰にでも通用する可能性の高いエビデンスのあるトレーニングのこと。そして個別性のトレーニングとは、個人の特徴つまり個性を活かしたトレーニングのことです。
この部分こそが、トレーナーの力量がもっとも試されるところだと考えます。
 

まとめ

今回は、選手にとって本当に大切なトレーニングを選択するためには、意識すべき3つのポイントについてお伝えしました。

特に最後の3つ目の部分、普遍性のある土台を作り上げた上で個別性を高めていくということが、一番大切かつトレーナーの力量が試される部分ではないかと私は考えます。

自分のサポートしている選手やチームは、基礎的な部分である普遍性のトレーニングにも力を注いでますか?
常に新しい動きや変わったトレーニングメニューをすることパフォーマンスアップ出来ると考え、新しいトレーニングばかりを提供して満足していませんか?
 
最後までお読みいただきありがとうございます。

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2019年08月15日

スポーツトレーナーを目指していなくても

文:山田東秀

JARTAのホームページにアクセスしていたり
JARTAのブログを読まれている方の中には
「私は別にスポーツトレーナーになりたいわけじゃないんだけど・・」
「でもJARTAのセミナーの内容には興味があるんだよな・・」
という方が、少なからずおられるのではないかと思います。
「でも、JARTAのセミナーを受講している人たちって、
きっとスポーツトレーナーを目指している人たちばかりで・・」
「なんなら、すでにアスリートをサポートしている人たちばっかりだったりして・・」
「そんなところに私なんかが学びにいくのって場違いじゃないかな・・」
「アスリートに携わってないと、JARTAって敷居が高いよな・・」
かつての私自身が、実はそうでした。
 
「自分はスポーツ現場に出たいわけではない」「スポーツトレーナーになりたいわけではない」
「けれど、自分の目の前にいるクライアントに貢献したいという思いは、人一倍ある」
「ジャンルは全然違うけれど、もしかしたらJARTAのトレーニングが有効かもしれない気がする」
勇気を出して、私はJARTAの認定スポーツトレーナーコースを受講しました。
 

 
私がJARTAと出会ったのは、理学療法士として10年目、障碍児の「療育」の分野で働いていたとき。
療育の分野とは、障碍のあるこどもたちが小学校に上がる前に通う、保育園のようなところです。
もともと私はこどもが好きで、幸いにも障碍児療育という、
こどもたちと長く関わる分野に就職できたこともあり、
勉強するのは、こどもの発達や障碍児に関する勉強ばかり。
本格的なスポーツをしている子たちと関わることは皆無でしたし、
スポーツトレーナーという分野にも全く興味がありませんでした。
しかし、よく考えてみると、スポーツ選手と障碍児の保護者には共通点がありました。
 
そのひとつが「パフォーマンスアップのために」という思いです。
 
スポーツ選手は自身のパフォーマンスアップのために、
より良いトレーニングを求めます。
障碍児の保護者もまた、我が子のパフォーマンスアップ(成長)のために、
より良い療育やリハビリを求めます。
10年間で、たくさんの、様々な障碍のあるこどもたちの発達をみてきましたが、
「色々なところで、良いと言われることはやってきたけど、あまり変わらない」
「医師からは『仕方がない』と言われた」
「どうにかなりませんか?」
そんなお母さん達の声を聞いて
「本当にこれが限界なんだろうか?」
「こどもたちにもっと貢献できることは他にないだろうか?」
 
そんなときに私が出会ったのがJARTAです。
 
JARTAのコンセプトは、対スポーツ選手で説明されていますが、
それらはそのまま障碍児に対してももちろん言えることです。
トレーニングについても同様で、
選手の動きがかたいのと、こどもの動きがかたいことには
共通点があります。
障碍の有無に関わらず、同じ人間です。
パフォーマンスの妨げになる要因には同じものもあります。
受講内容を、自分がみているこどもたちに置き換えるとどういうことになるだろうか?
トレーニングをどんなふうに構成すれば、障碍のあるこどもたちにもやってもらえるだろうか?
 

 
そのような観点で受講していき、学んだことをこどもたちに還元していった結果、
運動面の成長が限界と言われてきたこどもたちに、運動機能の向上がみられるようになりました。
 
 

すべてはパフォーマンスアップのために

 
私はもともと「スポーツトレーナー」になりたかったわけではありませんし、
今もアスリートやスポーツ現場をみることはほとんどありません。
JARTAの認定トレーナーとなったのは、JARTAで学び続けた結果であって、
認定トレーナーになることが目的ではありません。
JARTAで学び続けることで、自分がみているこどもたちのパフォーマンスは
今も確実に向上していっています。
「スポーツ現場に出たいわけではない」「スポーツトレーナーになりたいわけではない」
「けれど、自分の目の前にいるクライアントに貢献したいという思いは、人一倍ある」
「ジャンルは全然違うけれど、もしかしたらJARTAのトレーニングが有効かもしれない気がする」
自分のクライアントの可能性を広げられるのは、自分自身です。
 
スポーツトレーナーを目指す目指さないにとらわれず、
また、職種、年齢、性別に関わらず、
「すべては目の前のクライアントのパフォーマンスアップのために」
その思いを行動に移すことで、
目の前のクライアントにより貢献できるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
10月6日に大阪で、WorkOutを開催します。
今回のWorkOutは、スポーツトレーナーを目指しているわけではないけれど、
JARTAのセミナー内容やトレーニングに触れてみたいと思っている方々に、
お集まりいただけるWorkOutです。
 
当日は、旧認定スポーツトレーナーコースの内容にいくつか触れていただいた後、
それぞれの立場から、考えていたことや感じていたことなどをディスカッションで共有し、
互いの思考を広げる時間を設けたいと考えています。
お申し込みはこちら

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2019年08月12日

天国と地獄 / 2019年インターハイ帯同報告〜高松中央高校空手道〜

文:赤山僚輔

南部九州地方にて2019年インターハイが各地で各種目が熱戦を繰り広げています。
JARTA認定スポーツトレーナーの中にも複数人が多くの競技で帯同をしておりました。
サッカーやバレーボール、ソフトテニス競技など。
今回は私が8月7日から12日まで帯同してきました、空手道競技の帯同報告を簡単ではありますがさせていただきます。
今回インターハイ帯同した高松中央高校空手道部は男子が2年前にインターハイ初優勝、去年は準優勝。
女子は昨年は3位ですが、今年の主要な全国大会で2回日本一になっており今大会は男女での優勝を目標に準備をすすめてきました。
そして私自身も彼らが1年生の時から関わり、試合帯同は今回が初めてでした。
大会期間中はウォーミングアップやクールダウンの指導、選手のコンディショニング、試合に臨むまでのルーティーンの指導や心構えなどメンタルの観点での指導も行ってきました。
どの高校も最後の夏にかける思いは強く、連日厳しい戦いが続きました。
そして、私自身も最終日である昨日、まさに選手の天国と地獄の姿を直面することとなりました。
3冠を疑わずして臨んだ女子は準決勝で勝敗は同率ながらもポイント差での敗退という幕切れとなりました。

呆然とする選手、泣き崩れる選手、空手道は監督、選手以外は観客席からの応援の為、私はそれを少し離れたところからみていました。
現実を受け入れるのに時間は待った無し。
まだその状況を受け入れられないままに、すぐに男子の準決勝が始まりました。
相手は昨年の決勝で敗れた相手。
予想通りの混戦になりました。
大将戦を前にして8点差あけられなければ負けないという圧倒的に優位な展開にも関わらず。
8点差で敗れて代表戦に突入するというドラマのような展開になりました。
結果は代表戦で勝利するも決勝に向けて不安要素の残る試合となりました。

決勝に向けては少し時間があるので、これまでの悪い流れを断つようにリセットする為の時間をとりました。
しっかりと気持ちを切り替えることができた選手達は決勝戦ではこれまでで最高のパフォーマンスを発揮して最高の結果を出してくれました。
関連記事はこちらから
南部九州インターハイ  高松中央、2年ぶりV 空手・男子組手団体
(四国新聞社より)

第46回全国高等学校空手道選手権大会(沖縄インターハイ)が閉幕


第46回全国高等学校空手道選手権大会
(公益財団法人、全国高等学校体育連盟HPより)

そして、私自身スポーツトレーナーをして初めて胴上げをしてもらうという経験をさせてもらいました。

もちろん嬉しい経験でしたが、全員の選手に対して最高のパフォーマンスを発揮させてあげられなかった思いが今日も思考を巡っています。
この景色をみた下級生が来年、群馬の地でアベック優勝が果たせるようにまた一緒にトレーニングをしていきたいと思います。
選手とともに過ごす、熱い日々は最後の沖縄の暑い日差しが一生忘れない記憶として身体に染み込ませてくれました。
また良い報告ができるように日々に向き合っていきたいと思います。

最後になりました、応援くださった全ての方々にこの場を借りて感謝いたします。
本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

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2019年08月07日

トレーニングには2つの時間が必要

文:岡元祐樹

 
 
「言われた通りやっているけど効果がわからない」
 
トレーニングを継続していく過程でこう思ったことはありませんか?
 
そんな時は2つの時間が必要だと考えてみて下さい。
 
1つは短期的な時間、もう1つは長期的な時間のことです。
 
論理的にも自分に合っているトレーニングや効率的だと思えるトレーニングであっても、効果が出てくるには『量』をこなす必要があります。そしてただがむしゃらに量をこなすだけではなく、2つの時間を意識した作戦が重要になってきます。
 
 

短期的な時間と長期的な時間

トレーニングには2つの時間が必要です。その2つの時間とは短期的な時間と長期的な時間です。
 
それぞれ説明していきます。
 
短期的な時間とは「1日の中のトレーニング時間」です。
 
この短期的な時間は、1時間や2時間といったある程度まとまった時間のことも含みますが、1分や2分、さらに言うと数十秒といったごく短い時間も含まれます。
 
そういったごく短い時間でできるトレーニングを日常の中でどのように組み込んでいくかがパフォーマンス向上に重要になってきます。
 
トレーニングと言うと、負荷があって辛く苦しいものというイメージを持っている選手もいると思います。
 
しかしここで述べるトレーニングは短時間で可能なストレッチや身体操作練習も含みます。
 
選手がフィジカルのトレーニングをする目的は、競技での身体の動きを良くすることが中心であるはずです。課題となるトレーニング、もしくはそのトレーニングの前段階にあたるトレーニングは高頻度で行われた方が、実際の競技においてスムーズに動けるようになるはずです。
 
具体例として筆者が『立甲』を習得するまでのトレーニングを挙げます。
 
筆者はJARTAトレーニングの立甲ができるようになるまで5ヵ月という長い時間が必要でした。
 
少し専門的な用語になりますが、立甲ができるようになるためには
 

  • 肩甲骨の下制方向への可動域
  • 肩関節外旋からの肩甲骨外転下制運動

 
が必要でした。
 
この2点のトレーニングを隙間時間に行うようにしました。
特に有効に使ったのはテレビを観ている時間です。
両トレーニングともテレビを観ながらでも可能であったため、ストレスなく量を重ねることができました。
初めて立甲ができるようになったのもテレビを観ていた時です。
 
このように短い時間を利用してトレーニングを行うことは可能です。時にはトレーニングを細分化したり、前段階のトレーニングに変えたりすることで量を確保するのです。
 

 
 
次に長期的な時間についてです。
 
ここで言う長期的な時間とは『期間』という言葉が本当は適切かもしれません。すなわち効果を感じ取れるようになるまでの期間のことです。
 
この時間は人によって個人差があります。1ヶ月や2ヶ月、あるいは筆者の立甲のようにもう少し時間がかかるかもしれません。
 
そういった長期的な時間が必要であると認識して、トレーニングを継続する工夫が必要になってきます。
 
・どうすれば飽きずにトレーニングを継続できるか?
 
・どのように休養をとるのか?
 
・食事はどうすればいいのか?
 
といった長期的な継続を支える要素も必要になってきます。
この長期的な作戦が立てられないと、トレーニングは気合いと根性で積み重ねなければならなくなります。
モチベーションが低下せずに保たれれば問題ありはませんが、消耗してトレーニング自体が嫌になってしまう可能性もあります。
 
そうなるとトレーニングをする習慣は自然消滅してしまい、やってみたけど効果が無かったという判断になってしまいます。
 

 
 

作戦が必要だ

こう書き進めていくと、トレーニングは何をやるか?ということが大事ではありますが、どのような作戦を立てるか?ということも大事だとわかります。
 
どうやってトレーニング量を確保するのか?どうやって長期的にトレーニングを継続するのか?といった作戦です。
 
とにかく毎日身体を追い込むようなトレーニングをしていても、やがて疲労が蓄積し、パフォーマンスを低下させる可能性があります。
 
また長期的なゴールばかり見据えていると、今日やらなければならないことがボヤけてしまいます。
 
これはトレーニングに限らず、勉強や仕事にも当てはまる視点です。
 
悲劇なのは、選手自身がそのことに気付いていない状態に陥ることです。選手自身や指導者はそのことに留意し、作戦を臨機応変に立案する能力も鍛えなければなりません。
 
 

競技に没頭しているか?

ここまで述べてきた通り、トレーニングには2つの時間が必要です。トレーニングを行う時間と、その効果が出てくるまでの時間です。
 
トレーニングというものは、速効性や効率化を求めることも部分的には可能です。
 
しかし基本的には短期的にも長期的にも『量』を確保する必要があります。しつこいようですが、今回の記事で伝えたかったのはこの事です。
 
トレーニングによって筋力が向上したり、身体操作のコツをつかんだり、結果を出せるようになるには個人差があります。よってトレーニングは他者との比較ではなく、己との戦いになってくる側面があります。
 
そういったトレーニングを地道に継続するには、その競技にどれほど『没頭できているか?』が問われます。その競技が好きで、結果を出したいという気持ちが根底に必要です。
 
『トレーニングには2つの時間が必要』というタイトルで書き進めてきましたが、本当に大切な時間は『好きなことに没頭できる時間』かもしれません。
 
真剣に競技に向き合える時間は短いです。そんな没頭できる時間を本当に大切にしてほしいと想います。そしてそんな選手を影ながら支えたいと想っています。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年08月05日

投手を故障から守るのはエビデンスではなくルールだ

文:岩渕翔一

高校野球地方大会もすべて終わり全国の代表校が決まった。
明日、8月6日からいよいよ全国大会が始まるという中、今でも議論が尽きることがないのは、岩手県の決勝戦で試合出場がなかった大船渡高校の佐々木朗希投手の件だ。
 
議論の要点は大まかに以下の点だ
・決勝戦での登板回避について
・4回戦盛岡四戦での194球完投の是非
・準決勝一関工戦で中2日での129球完投
・肘の違和感を訴えたと言われていること
 
ここではこれらについて意見や私見を述べるつもりもないし、経緯を改めて記載することもしない。現場しか知らないことは絶対にある。その中で下された判断は尊重されるべきであると考えるからだ。
また、そもそもこの議論は佐々木朗希投手の圧倒的なポテンシャルがあったからこそ生まれた議論だ。高校生でMAX163kmは特別視されて当然だし、野球好きでなくとも、スポーツが好きな者であれば見てみたいと思うのが当然の心理だろう。だからこそ物議を醸している。
 
今回のことを受けて、
・過密な試合日程
・球数制限
・登板間隔制限
などが様々なところで意見が述べられている。昨年は金足農業高の吉田輝星投手(現・日本ハムファイターズ)が地方大会から全国大会決勝途中まで一人で投げたことから同じような議論が起こった。
 
様々な意見や考え方があるという前提で、球数制限や試合日程、登板間隔など必要だと感じている方、不必要だと感じている方両方に伝えたいことがある。
 

監督は矛盾した2つのことを共存させなければならない

基本的に投手の投球動作において、肘の靭帯や肩に炎症を起こすほどの負荷がかかっているということは紛れも無い事実だ。だから投球後は炎症を抑えるためにアイシングをするし、大会期間中など特別な理由がなければ少なくとも翌日はノースローにして回復を促す。夏の選手権のような、負けたら終わりの大会ではなく、例えば日々の練習試合であれば投球数も常識の範囲でしっかり管理されているだろう。

さらに身体に負担を出来るだけかけないようにと効率的な投球フォームの獲得にも着手するし、日々のケアもしっかり行う。これは指導者も選手もその責任の中でしっかり行うべきだし、実際行なっているチームがほとんどだろう。
一方で、監督やチームスタッフが、自身が関わるチームを勝たせたいと思っていることも当然だ。選手が試合に勝ちたいと思い、なんとして勝とうとすることも当然だ。勝つためにどうすればいいのかを考え実行する。それも監督の仕事だ。選手は勝つことを目的に全力でプレーするし監督は勝つために最善を尽くそうとする。
そういった意味で今回の大船渡は非常に分かりやすい。私立の名門校ではなく大船渡は公立高校だ。「勝つ可能性」を考えれば佐々木投手が投げるほうが高いに決まっている。
 
・チームの勝利のために最も確率が高いであろう作戦を考え実行する監督としての立場
・チームの選手を守るための監督・教育者としての立場
 
この矛盾した両者を共存させなければならないのが監督という役割だ。選手はどんな状態であれ、使われた以上全力でプレーするだろうから尚更だ。
 

投手を守るのはエビデンスではなくルールではないのか

 
球数制限や登板間隔などの投球制限の導入には必ずある主張が出る。
 
「エビデンスがない」
 
球数制限や登板間隔を設けることで投手の故障を防ぐ(減らす)ことができるというエビデンスがないという主張だ。
 
申し訳ないがそんなことは当たり前のことだ。
 
例えば、
球数制限を導入した投手100名と球数制限を導入しなかった投手100名で高校卒業までの障害発生率を調べる。
 
このような研究計画を立てたとする。こんなものは即刻倫理委員会で却下される。当たり前だ。一方の障害発生率が高くなると考えているにも関わらずそれを研究対象にすることは明確に倫理に違反する。分かっているなら研究ではなく対策しろよということだ。
 
・メジャーリーグでは中4日、投球数100が目安
・NPBでは中6日、投球数120球程度が目安
・筋肉疲労の回復には48〜72時間必要
・投球で肘や肩の負荷による炎症は必ず起こる
たったこれだけを見てもどうすべきか答えは出ているのではないだろうか?
 
仮に高野連がなんらかの投球制限を導入すれば、投球制限がなかったこれまでと、導入したこれからという縦断研究が可能になり、より良い投球制限の検討とエビデンスを作っていくことが可能になるだろう。日程も然りだ。
研究者が倫理に違反する研究はできない。
野球が先に進むためには現場の変化が必要だ。その判断を下すに必要な間接的な研究とエビデンスは十分揃っているはず。
これは野球という競技そのもののため。野球をプレーする選手や指導者のため。現場が率先して常に最善だと考えられる措置を取り、その結果検証を行う形でなければより合理的な対策は恐らく進まない。
 
今、この瞬間に選手を救えるのは投球制限が投手の障害予防に有効であるというエビデンスではない。監督や指導者、チームスタッフ、選手自身。なにより野球というスポーツを運営する組織団体。現場にいる者だけが、最前線で迅速に選手を守る策を講じ実践できる。そのために必要なことがなんなのか。それを考えるためのエビデンスやデータ、情報、経験は十分は揃っているはずだ。
そして勇気を出して踏み出した新しい一歩が、更なる予防策の発展とエビデンスの構築に繋がるはずだ。
 
先に述べたように最前線の現場にはジレンマがある。そして想いがある。では運営サイドはどうだろうか。
ルールはなんのためにあるのか。競技の秩序を守るためだけではない。選手保護という側面がスポーツのルールにはなくてはならないことを忘れてはならない。
 

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2019年08月03日

股関節は柔らかければいいのか

 
 

文:伊東尚孝

 
ハイパフォーマンスには股関節が重要であるという内容が、SNSなどでよく取り上げられています。
 
確かに運動構造を紐解くと、あらゆる競技で股関節が重要なのは明確であり、ハイパフォーマンスを発揮するためには必要な要素となっています。
 
 
では仮に、股関節が硬い選手のパフォーマンスを上げるために、
股関節の柔軟性を高めるトレーニングを行うとします。
 
「股関節が硬いから」
 
という理由で。
 
 
 
もし、その選手が、メッシやイニエスタのようなトップ選手だとしたら?
 
 
 
それでも、あなたは彼らに股関節を柔らかくするように指導できますか。
それがかえってパフォーマンスを下げるリスクにならないと確信できますか。
 
 
 
つまり、
「股関節を使うこと=柔軟性を高めること」になっていないかということです。
 
 
パフォーマンスアップのための「股関節を使う」とは、どのように評価していくべきかを述べていきます。
 
 
 

イタリア人選手の股関節は硬い?

 
 
昨年JARTAのイタリア研修に参加し、私はイタリア人サッカー選手とバスケットボール選手にトレーニング指導をする機会をいただきました。
他にもラグビーやフットサルの試合や練習も見学しました
 
 
その時に感じたことは、
 
「イタリア人は股関節が硬い」
 
どの競技の選手も、股関節の柔軟性を必要とするトレーニングでは苦痛の表情を見せていました。
しかも、プロで活躍する選手ばかりです。
 

 
本当に股関節の柔軟性は、ハイパフォーマンスに必要なのか?
 
 
「ハイパフォーマンス=股関節の柔軟性」という思考だと、そう思ってしまうかもしれません。
 
 
 

動作の過程に股関節があるだけ

 
 
少し話はそれますが、
 
あらゆる競技の運動構造を紐解くと、床反力を力源としているフェーズが非常に多いです。
地面から受けた反力を全身に波及させることで、無駄な力みのない強いパワーを生み出すことができます。
ピッチャーの投球は、まさにこの力を利用しています。
 
また股関節は下半身と体幹を繋ぐ関節の一つで、球関節という形状によって様々な姿勢(股関節の角度)でも体を支えることができる特徴があります。
 
動きの自由度が高い股関節を“使う”ことができれば、
複雑な動きや姿勢でも全身に効率良く力を伝達することを可能にし、結果的にハイパフォーマンスを発揮することができます。
 
 
 
では、ここからが本題です。
 
“股関節しか”使えない身体はハイパフォーマンスを発揮できるでしょうか。
 
 
答えはもちろん否です。
 
 
ピッチャーの投球を例に挙げると、
強い床反力を受けるフェーズは、軸足でプレートを押し込む時、前足でスタンスをとる時の二つに分けられます。
例えば、前足でスタンスをとる時に足部アーチが極端に潰れてしまうと、運動連鎖により膝は内側に倒れ、股関節は内旋運動を強要されてしまいます。
 
床反力を真っ先に受けるのは足部であり、そこからズレが生じていれば全身に効率良く力を伝達することが難しくなるのは当然のことです。
(伝達できていても、無駄な力みが生じ疲労が蓄積しやすい可能性があります。)
 
股関節だけにとらわれ「股関節の外旋角度が足りない」と股関節にアプローチしても、
その投球の質は変わらない、もしくは低下するリスクがあります。
 
 
つまり、その動作がどのような構造なのかを理解し、その動作の過程で股関節がどのように機能しているかを分析する必要があります。
 
 
投球という動作を分析した時にどのフェーズで股関節は機能するのかを考え、
それを踏まえて目の前の選手はどのフェーズでエラーが起きているかを明確にします。
 
上記の例ならば足部の問題を解決したのち、もしくは同時並行で股関節にもアプローチすることが望ましいと考えます。
 
 
 

股関節は柔軟であるべきだ

 
 
結論からいえば、股関節は柔軟であるべきだと考えます。
 
しかしなぜ柔らかい方がいいのかを、各競技の特徴や運動構造を理解した上で解説できる知識が必要です。
 
 
また単純に関節が硬ければ、その部位のボディイメージは薄くなっているはずです。
股間節がどこにあるのか、ぼんやりしている状態ということです。
そのため、生活習慣の中でも股関節を認識する場面を増やすことも有効になります。
ルーティンがもたらす3つの効果
 
 
ただ闇雲に股関節の柔軟性を高めればいいのではなく、その選手に必要な要素を抽出した結果、股関節にアプローチするプロセスが重要です。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
***
 
運動構造の分析も踏まえた上で、股関節そのものの評価・治療はどのように進めていくべきか、ケーススタディを用いてみなさんで知恵をシェアできるワークアウトを開催しています。
ぜひ、ご興味があればご参加ください。
Workout in 神戸
 
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2019年07月27日

筋力トレーニングを再考する ~筋トレのあり方とは~

文:能城 裕哉
  • 筋力トレーニングを再考する

 
現在、様々なトレーニングの理論や方法論が存在している。
 
トレー二ングと聞いて、筋力トレーニングや体幹トレーニングなどイメージされる方は多いはずである。
 
*これまでの記事にもあるように、
「筋力トレーニングをすべきか、すべきでないか。」スポーツ現場でしばしば耳にする問いがある。
 
今回は一般的に広く知られている筋力トレーニングついて再考してみる。
 
筋力トレーニング(以下筋トレ)とは、レジスタンストレーニングとも言われ、骨格筋の出力・持久力の維持、向上や筋肥大を目的とした運動の総称とされている。
 
要するに、筋トレとは筋の収縮力向上のためのトレーニングである。
 
つまり、筋トレは、筋線維の肥大や動員される運動単位の増加など筋収縮に関わる因子がトレーニングのターゲットとなる。
 
通常、どの因子へアプローチするかによりトレーニング設定を変更し、プログラムを計画・実行する。
 
例えば、最大筋力を上げるために、1RMの80%、動作を最大速度で行い、休息は数分とるなど設定し、実施されている。
 
年齢など対象に合わせ、各設定が異なり、RMのみでなく、運動速度やトレーニングの総負荷量の調整で筋力が向上するとのデータも存在する。
 
まとめると、筋トレの目的は、トレーニングを通じて、筋の収縮力を上げることにある。
 

  • トレーニングは手段であって目的ではない

 
前述にように、筋トレの目的はあくまでも、筋力の強化が目的であるが、スポーツでのトレーニングの最終的な目的は、競技パフォーマンスの向上である。
 
前述した筋力強化にフォーカスしてトレーニングを設定する場合と競技パフォーマンス向上のため、一つの手段として筋トレ実施する場合では、意味が異なる。
 
実際に、競技パフォーマンス向上のために、どのようにトレーニングを処方するのか?
 
競技パフォーマンス向上には、競技そのものの練習のほかにも、運動学習をベースとした身体操作系のトレーニングがある。
俗にいう動きのトレーニングである。
 
このトレーニングは、競技の動作分析に基づいて、必要な運動の要素を抽出したものである。
さらに、この身体操作を細分化した先に、身体操作を構成する要素として、組織の柔軟性や筋の収縮力といった身体機能が存在する。
 
筋トレは、この身体操作を構成する一つの要素である筋力を強化するトレーニングであるべきである。
 
つまり、単純に〇〇筋を鍛えるという単に、筋力向上のための筋トレなのか、身体操作の要素として、動きとの関連性を考慮した筋トレなのかによって意味が異なる。
 
筋力トレーニングVS身体操作系トレーニング。優秀なのはどっちだ!??
にあるように、それぞれの分析はトレーニング処方において必須となる。
 
1:競技パフォーマンスの分析
↑↓
2:身体操作の分析など
↑↓
3:身体機能(筋力、可動域…の分析
 

  • 全てはパフォーマンスアップのために

前述したように、筋力トレーニングは、筋収縮力という要素の強化である。
 
そのため、筋力がどのように競技パフォーマンスに影響を与え、どういった動きに必要となるかを考慮しない場合、特異性の原則にあるように、トレーニングがマイナスに作用する場合がある。
 
当然ながら、目的としたパフォーマンスを考慮したトレーニングができなければ、競技へ筋力トレーニングがどう影響するのか、メリット、デメリットを考えられない。
 
しかし、競技パフォーマンスのキーポイントを考慮し、本来の目的である高めたい競技パフォーマンスを分析した上で、筋力がどのように影響するのかを考慮していれば、筋トレ自体に問題はないはずである。
 
筋トレは、パフォーマンス向上には必要なトレーニングの1つの要素だと考える。
 
*個々の評価は前提として必須なのは言うまでもない。
 

  • 最後に

筋力トレーニングは、高めたい競技パフォーマンスを詳細に分析し、筋が動作にどのような影響を与えるか考慮した上で、実施すべきである。
 
メディカルリハビリテーションの段階から競技動作をイメージし、筋力トレーニングを処方することが、マイナス要素を最小限にし、トレーニング効果を最大化できる方法である。
 
また筋トレには、筋力向上と言う要素のみでなく、障害予防としての寄与も大きい。
 
筋トレ実施での負荷が、関節や筋、腱など筋骨格系にポジティブな効果を与えることは立証されている。
 
筋力トレーニング、身体操作系トレーニングのみにも限界があることを理解し、競技パフォーマンス向上のために、トレーニングの選択肢を広げていくことも必要である。
 
1つ1つのトレーニングが目の前の選手のパフォーマンスにどんな影響を与えるのか?
 
どんなメリットやデメリットがあるか?
 
を考え、トレーニングプログラムを計画、実施する必要がある。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2019年07月24日

JARTAにおけるコンディショニングスキル〜初級編〜

文:真木伸一

 
多くのメディアやトレーニング領域で、「コンディショニング」という言葉が一般的に使われています。コンディションを整える=コンディショニング、という解釈が一般的に思われますが、そもそも、コンディションとはどういうものでしょうか。
 
 
 
トレーナーの仕事をしている方ならば、ご自身の仕事を、選手の「コンディショニング」に関わる仕事です、という説明をしていることがあると思います。この「コンディショニング」という言葉、大変便利なのでよく使われています。ただ、この「コンディショニング」という言葉の定義はみなさんご存知でしょうか。
厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、
「運動競技において最高の能力を発揮出来るように精神面・肉体面・健康面などから状態を整えること。」
とされています。なるほど・・。
健康面ってなんだろう、という疑問はさておき、
精神面、肉体面、健康面にアプローチして、
その人の状態をより快適な方向へ導いていくことがコンディショニングの基本概念なのかと思います。
 
つまり、あらゆる面から選手を観察し、
「競技成績を残すために必要な全てのサポートを実践すること」
に置き換えることができると思います。
JARTAでは、選手のコンディショニングを行う時、
このように考えます。
 
先日、まだサポートを開始して間もないプロラグビー選手が、
こう訴えてきました。
「左肩に乗せる感覚が得られない」
この選手は、スクラムハーフというポジションで、
簡単に言えば、
誰よりもボールに触って攻撃のタクトを振る指揮者のような立場です。
彼が言うには、
左肩はいつも力がうまく乗らない感じがあって、
右と比べるとしっくりこないのだとか。
 
可動域、筋力を評価しても
大きな左右差はみつからず、
機能障害を示唆する一般的な理学所見は
見当たりません。
この場合、多くの人が、
「感覚」の問題に置き換えて、
「理解が難しい」と判断してしまうのではないでしょうか。
 
JARTA では、
「立甲」の習得を認定トレーナーに義務付け、
多くの選手にパフォーマンスアップ目的のトレーニングとして
提供しています。
訴えのあったトレーニングの肩甲骨機能を評価すると

 
左の肩甲骨だけが胸郭から分離できておらず、
十分な内旋・外転ができずに上腕骨軸と肩甲骨関節面を一致させられていませんでした。
肩甲帯周囲の筋のゆるみがなく、
主動筋・拮抗筋にも同時収縮を起こしている状態で、
意識的に使うべき部位の収縮と目的動作に不要な筋の弛緩がコントロールできていない状態、と判断しました。
 
今回は、Tレフストレッチという
JARTAで提供している「アロースポイント」を用いたストレッチを3種、
伝えて実施してもらいました。
実施後の結果が以下の写真です。

 
この間、3分。
今回のアプローチでは、「肉体面」にアプローチして、
選手のコンディションを整えました。
ですが、もし次回私がみるときに状態が元に戻っていたら、
まず全身の繋がりに目を向けます。
次に影響しそうな選手の背景を確認します。
もちろん、今置かれている選手の立場や、チーム状況、
家族関係にも「評価」は進んでいきます。
「精神面」「健康面」という言葉が何を指すのか不明瞭ですが、
おそらくその領域には確実に踏み込みます。
 
JARTAでは、
選手を要素還元的に導くことはしません。
関係主義的な手法を用いて、
コンディショニングを実施します。
 
選手を良い方向へ導くコンディショニング。
トレーナーとしての武器にしてください。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
現在募集中のコンディショニングスキルコースの内容・日程・開催地は下記よりご参照ください。

コンディショニングスキルコース



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2019年07月21日

リスペクトを次世代にも

文:岡元祐樹

 
 
「他者をリスペクトする」
 
チームメイト、対戦相手、審判などに敬意をもって接する。これはスポーツ界のみならず、一般社会でも大切と言われている心構えだと思います。
 
しかし、スポーツの現場では時折リスペクトを欠いた言動を行う選手やチームを見かけることがあります。
 
「教わっているはずなのになぜこのようなことが起きるのか?」
 
それはリスペクトへの理解が不十分だからかもしれません。
 
リスペクトは他者に与えるだけのものではなく自分自身にもメリットがあるものなのです。
 
なぜ他者をリスペクトすることが大事なのか?
 
筆者が選手やチームに教えられ、そしてJARTAで学んだ『他者をリスペクトすることの意味』を共有したいと思います。
 
 

リスペクトがもたらすメリット

 
リスペクト(respect)とは辞書的には「尊敬・敬意・それを表すこと」という意味で使われます。
 
『リスペクト精神』とも言われるこの姿勢や態度について、我々は世代を問わず教わってきたはずです。
 
筆者が部活動に励んでいた高校生時代には「リスペクト」という言葉はあまり一般的ではなかったと記憶しています。
 
しかし「相手を侮ってはいけない」「審判の判定に文句を言わない」など、言葉は違いますが本質的には同じことを教わっています。
 
ここで、逆説的ではありますが『他者へのリスペクトを欠いた状態』を想像してみましょう。
 
他者へのリスペクトがなくなると、それは態度や言動に現れます。選手が対戦相手のプレーや、審判の判定に文句を言うような場面は皆さんも想像できるはずです。
 
一見、戦う姿勢が全面に出た結果の言動に見えるかもしれませんが、そこには明らかなデメリットがあります。
 
それは『不確定要素にフォーカスしてしまう状態』に陥りやすくなることです。
 
不確定要素というのは、自分ではコントロールできない物事のことを指します。
 
対戦相手はこちらの思うように動いてはくれませんし、審判も自分の思うような判定ばかりしてくれる訳ではありません。
 
その不確定要素に不満を持つことは、結果が伴わなかった際の自分自身への言い訳に繋がります。
 
「相手が卑怯だった」
 
「審判がちゃんとジャッジしてくれなかった」
 
「雨でグラウンドが悪かった」
 
このように自分以外に結果の要因を見出そうとしてしまいます。
 
この状態では、唯一コントロールできる自分自身の『改善点や伸び代』に気付きづらい状態になります。
 
言い換えると選手としての成長が止まるということです。
 
他者へのリスペクトは自分自身に向き合い、成長していくための1つの手段だと言えます。
 
そこまで理解して実践しないと、そのリスペクトは形だけのものになってしまいます。
 
つまり『リスペクトすること』が目的になってしまい、そこから得られるものを見失ってしまうということです。
 

 

リスペクトの大切さを次の世代へ

 
先日、とあるサッカー大会に選手として出場しました。
 
久しぶりのサッカーの試合を楽しみにしていたのですが、そこで『リスペクトを欠いたチーム』と対戦することがありました。
 
そのチームの選手達は敵味方に限らず敬意の感じられない言葉を使い、審判の判定に対して大声で抗議するチームでした。
 
こうなるとスポーツは楽しさがなくなります。勝とうが負けようが心にモヤモヤしたものが残ります。
 
試合後、なぜかジュニア世代の指導のことが脳裏に浮かびました。
 
「子供達がこの試合を観たらどう思うかな?」
 
「こういったチームの選手が子供達を指導することになったらどうなるのかな?」
 
家族連れで試合会場に来ている選手が多かったため、このようなことを思ったのかもしれません。
 
他者へのリスペクトは前述のように自分自身を成長させる上で重要な要素です。
 
加えて、様々な年代やレベルでスポーツを楽しむための土台にもなり得ることに気づきました。
 
スポーツは楽しむことにも重きを置かないと地味で辛い練習に耐えられなかったり、長続きしなくなったりします。
 
次世代が楽しみながら成長していくために、また競技者として長くスポーツを続けるためにも、指導者はリスペクトすることの意味をもう一度認識し、実践する必要があります。
 
特別なスキルは必要ありません。
 

 

他者を尊重し自己研鑽を

 
他者をリスペクトすることは大切です。
 
ただなんとなくそう言われているから大切にするのではなく、自身の成長と次の世代の成長を意識した実践でないと意味がなくなります。
 
筆者はリスペクトの精神についてJARTAで学びましたが、今回選手の立場になった機会にそれをさらに深く認識することができました。
 
スポーツが幅広い年代に愛され、継続されるためには、土台として他者へのリスペクトが必要であると強く感じました。
 
スポーツをする人が、気持ち良くスポーツを継続できるように。
 
また日本のスポーツ界が、他者を尊重し自己研鑽を積む方向に今後も強く進んでいくように願いを込めて。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年07月18日

続・立甲を再考する

 

文:竹治久里子

 
“見た目だけの立甲”というエラーがなぜ起こるのか。
前回の記事で、「前鋸筋が機能的に使えていないことで、肩甲胸郭関節の安定性が低下している状態」と説明した。 (参照https://jarta.jp/training/15358/
 
このとき前鋸筋以外にも目を向けてみると、例えば、腹斜筋は使えているか、僧帽筋上部や広背筋は過剰に収縮していないか、胸郭と骨盤の連動性は・・・など、評価すべきポイントは他にも多々ある。
それらを理解した上で、今回はあえて、前鋸筋に焦点を当てて掘り下げていきたいと思う。
まずは、前鋸筋の作用を整理しておく。
第1~第8肋骨の外側・上縁と肩甲骨の内側縁に付着部を持ち、
肩甲骨を外転・上方回旋させ、肋骨(胸郭)を肩甲骨に引き寄せる。
教科書などではこう書かれていることが多いが、実際にどんな作用を起こすかというと、
胸郭に対して肩甲骨(上肢)が動くと、パンチング動作になり、
肩甲骨(上肢)に対して胸郭が動くと、胸郭が後方へ引かれるような動きになる。
さらには、動きとしては見えにくいが、
内旋位にある肩甲骨を外旋させることで翼状肩甲を抑制し、
付着部の両端から同時に収縮することで胸郭を安定させる。
といった作用もある。
 
では立甲において、前鋸筋はどのように作用しているだろうか。
結論としては、上記全ての作用を発揮する必要がある。
立甲は基本的に四つ這いで行うトレーニングであり、地面を押すという動作においては、しっかりと収縮する必要がある。
また肩甲骨を“立たせる”ためには、胸郭と肩甲骨が引き離される必要があり、ある程度の弛緩が必要となる。(もちろん、完全弛緩ではない。)
さらに言うと、立甲の状態を機能的に使うためには、胸郭(体幹)の安定性が保たれる必要性があるので、一定の収縮力を維持しなければならない。
これら全てがバランスよく機能していること、それが立甲における前鋸筋の作用である。
強く収縮させるだけではなく、もちろん弛緩しきっているわけでもなく、肩甲骨の可動性を有したうえで、前鋸筋の収縮力を発揮できる状態。これが、立甲を習得した先にあるべき理想である。
ここで一つ、トレーニングを紹介する。


 
四つ這い姿勢をとり、重心を一側上肢に移し(写真では右上肢)、反対側の手は一段下げたところに着く。下げた手で、しっかりと床を押す。
押した力で重心移動が起こらないように、対側の下肢・体幹で押し返す(支える)。
重心を一側に残しておくことで、反対側の上肢は身体を支えるという役目がなくなり、押す動作にフォーカスしやすくなる。なおかつ、対側の下肢には重心がしっかり乗っているので、腹斜筋への収縮が入りやすい。
ポイントとしては、上肢で床をしっかり押すことと、腹斜筋や殿部・ハムストリングスがしっかり働いていること(骨盤・胸郭のぐらつきがないこと)。
見た目だけの立甲になっている場合、見た目上は肩甲骨が立っているので、可動性はあると考えられる。問題は、収縮力である。
私は、前鋸筋の収縮が入らない人に対して、前鋸筋のトレーニングをするのは非常に難しいと感じている。
なぜなら、収縮が入らない人は、そもそも前鋸筋に力が入っている感覚が分からないということが多いからだ。
そういったケースでは、直接前鋸筋にアプローチするよりも、間接的に、強制的に前鋸筋が働きやすい状況を作る方法が有効ではないかと考える。
今回紹介したトレーニングも、そこを意識している。
アナトミートレインでいうところの「スパイラルライン」をみると、前鋸筋からの筋連鎖は、外腹斜筋・内腹斜筋を通して骨盤まで続いている。
つまり、骨盤を安定させること、腹斜筋を収縮させることで、前鋸筋まで波及させるというのが狙いの1つである。
さて、今回は前鋸筋に焦点を当てて掘り下げていった。
しかし実際には、前鋸筋のみで話を進めるのは難しい。なぜなら、立甲は前鋸筋だけが使えれば出来るというものではないし、前鋸筋だけを鍛えたいわけでもない。
さらに言えば、立甲は「出来ている」か「出来ていない」かの二択ではなく、前鋸筋をはじめとした身体機能がいかに上手く使えるか、その質を高めていくものである。
「上手く使える」ためには、柔軟性も必要だし、筋力も必要だし、それらをコントロールする力も必要。しかも1つの部位でのコントロールだけでなく、複数の部位で同時にコントロールする力も必要だ。
「立甲」一つとっても、考えるべき要素は無限大である。
 
ぜひ、様々な角度から考察を深めていただきたい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2019年07月15日

色んなトレーナーがいて良い

文:岩渕翔一

スポーツトレーナーというのは、選手やチームのパフォーマンス向上を目的にトレーニング指導や身体のケアを行うことが仕事です。
当然トレーニングをするのも身体のケアをするのも選手ですが、
・どのようなトレーニングをどれだけするのか
・身体をどう評価しどのようなケアをするのか
というのは、トレーナーがいるチームであればそれはトレーナーの判断になります。
トレーナーは努力の方向性を提示する。努力するのは選手の責任であるということを我々は度々伝えています。一方で、トレーニングそのものの「手本力」を高く求めることに代表されるように、トレーナー自身が努力することも重視しています。
これ自体は至極当たり前のことで、別にJARTAでなくても仕事に対する責任がある者であれば向き合って努力しているかと思います。
 
今回は、そんな当たり前のことに加えてトレーナーに必要なもう1つの大切なことについて考えてみようと思います。
 

トレーナーも選手もみな人間である

 
当たり前のことばかり言いますが、選手もトレーナーも指導者も人間です。人間ですので当然感情があり、好き嫌いがあり、元気な時も元気じゃない時もあると思います。
トレーナーや選手として努力を継続することは当たり前だということを前提に考えてみると、人間なのだから波があることも当たり前だと思うのです。私は、元来いい加減で不真面目ですぐ妥協するし感情的になるどうしようもない人間です。なので、「真面目一辺倒正論一辺倒」の人が苦手で、「それはそうなのかもしれないけどそんな風にはいかないから臨機応変にやればいいやん!」とすぐに思ってしまいます。
チームトレーナーをしていると、必ずと言っていいほど「不真面目だけど上手い選手」がいます。そしてそういう選手はチームのピンチに活躍することが多いように感じることも多くあります。
 
・いつも真面目で
・完璧で
・妥協することなく
・必要なことは必ずこなす
・不摂生などもってのほか
ぐうの音が出ないほど完璧で穴がない人間に「不真面目だけど上手い選手」をうまく指導できるでしょうか?私の経験ではなかなか難しくて、そういった選手は先に挙げたような「人間臭さ」を前面に出し、まずは人と人であるという大前提での関わりが大切であるように思います。
そして人が人に関わる仕事である以上、今後はこの人間臭さが大切になってくるのではないかと感じています。
 

色んなトレーナーがいて良い

 
自分に甘くて、いつも妥協して、どうしようもない自分。そんな人間臭さを持ったトレーナーだからこそ救える選手がいると思います。側から見るといつも完璧で凄いあの人も実は同じように、自分の甘さを常に感じているということは少なくありません。
そういう人間臭さを持って時に厳しく時に優しく。やるべきことをやるというのは何を生業にしても変わりません。スポーツにもカテゴリーがあり、世代があり、レベルもそれぞれです。緊張感のある空気が必要な現場もあれば、和やかな空気が必要な現場もあります。色んな選手がいて、色んな指導者がいて、色んな保護者がいます。
だから、色んなトレーナーがいて良いです。「自分」という人間を肯定してその上で前に進む。そんな人間らしさがもう1つの大切なことではないかと思います。
 
 
※トレーナーそれぞれの、自分自身の課題や、「今」に向き合う機会が毎年行っているJARTA トレーナー合宿です。認定トレーナーコースのベーシックセミナーを受講された方はどなたでも参加できます。
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2019年07月14日

「勝利の再現性」

文:米沢康平

トレーナーとしてチームに関わっている以上、目の前の試合や大会に勝利した時には嬉しいはずです。逆に負けてしまった時は、悔しさとともになぜ負けてしまったのかを分析することも多いかと思います。今回は勝利した時の分析を次の試合や大会に活かせるための取り組み方の一例をご紹介します。
 
『勝利を分析する』
 
私自身も岩手県の盛岡大学附属高校野球部に関わり、甲子園帯同を経験しました。初めて帯同した甲子園ではベスト16。同校史上初となるベスト16という結果に選手、スタッフの方々と喜びを分かち合いました。しかし、ベスト8をかけた試合で負けてしまったという悔しさは大きく、なぜ負けてしまったのか必死になって分析しました。その時に一つ気付いたのは、それまでは勝利した試合の分析を細かく行っていなかったということです。
 
実際、負けた試合後には選手と細かい自己分析を聞くことができ、次回の修正点を共に導き出すことをしていましたが、勝利した試合では「調子が良かった」「身体が軽かった」などの抽象的な表現しか出てこず、具体的な内容まで掘り下げることをしていませんでした。
 
勝利することはとても嬉しいことなのですが、トレーナーとして喜んでばかりではいられません。「なぜ」勝利することができたのか、「なぜ」その大事な試合で最高のパフォーマンスを出すことができたのか。これらの要因を掘り下げていくことでチームとして成長できると思いますし、この作業をいかに大事にできるかが成長の鍵となってくると思います。負けた時に振り返って敗因を分析することは多くのチームがやっています。次に活かすために、他のチームに差をつけるためにも大事です。しかし、勝利した際にそれを偶然のものにしないために、勝因を分析するという作業も大切なことです。
 
いわゆる「調子が良い」状態はなぜ作られているのか、試合で結果を残せたのはなぜなのかなど、日頃からポジティブな要素にも目を向けながら分析を繰り返しました。
 
翌年の甲子園にも帯同できたため、前大会で分析できたことを元にチャレンジすることができました。結果としてはベスト8。もちろん喜びは大いにありましたが、心の中には「まだやれることがあったのでは?もっと結果を出すためには何が必要だったのか?」などの悔しさもあり、当然容易に勝てるような大会ではないと改めて実感させられました。
 
単純作業ではないこの地道な分析を繰り返すことが勝利の確率をより高いものにすると思います。
 

 
『分析方法の一例』

最後に私自身が取り組んだ分析の内容をいくつか紹介します。

 

  • ウォーミングアップしている時の選手自身の状態

試合で活躍できた選手は、「今日は朝から体が軽くて調子が良かったです」ということが多いです。
そのため、ウォーミングアップに入る前に選手自身の評価と私からの客観的な評価を統合したうえで、どこに重きを置いてウォーミングアップをしていけば良いか決めました。
また、そのやり取りを繰り返していき、選手自身がセルフチェックでその日のコンディションを把握し、自分に足りない要素をピックアップできるまでにしました。
 

  • 調子が良い日の理由探し

これに関しては多くの要因が考えられます。就寝時間や食事内容、ウエイトトレーニングの負荷量の増減、練習後の自主練習の内容(守備練習を増やした、など)。
また、好きな音楽を聴くと良いのか、試合の具体的なワンシーンをイメージした後は調子が上がるのか、それともその逆なのか……etc
突き詰めてもキリがないくらいの要因があります。こうした分析を繰り返し、少しでも「調子が良い」状態に近づいていくようにしていきます。
逆に、調子が良いことと明らかに因果関係がない場合には、気にしすぎないよう促す場合もあります。
 
このように日常生活のことから自分の練習に至るまで、様々な場面に調子を上げる要素は隠されています。
 
勝利を再現性の高いものにするためにも取り組んでみてはいかがでしょうか。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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2019年07月11日

選手であり続けるからこそ見えてくるもの

文:山内大士

この記事を読まれている方の多くは、選手に貢献できる自分になるために、日々何らかの取り組みをされていることと思います。
 
今回は、その中でも私自身が最も大切にしていることをご紹介させていただきます。
 
 
 
現在整形外科クリニックに勤務しており、特に投球障害の選手を担当する機会に恵まれています。
 
私は小学校で野球を始め、その後公立の高校・大学で硬式野球をしてきて、今もクラブチームで硬式野球をしています。
 

学生時代は練習試合にも滅多に出られない実力で、さらに肩・肘・腰などの慢性障害を常にかかえていました。そのことがきっかけで理学療法士・スポーツトレーナーという道を選びました。
 
選手と関わる中で、一番の原動力となっているのは自らの苦い経験です。
 
うまくなりたい
痛みを治してたくさん練習したい
でも、何をやってもうまくいかない
もう自分には無理なんだろうか
 
過去の自分と同じような想いを抱えた選手が、関わりの中で希望を取り戻し明るい表情を見せてくれたとき。それが、この仕事のやりがいを最も感じる瞬間です。
 
私が最も大切にしていることは、選手時代に抱いていた気持ちを忘れず、また当時克服できなかった問題と向き合い続けるために、現役で真剣に野球に取り組み続けることです。
 
 
 

自分という選手と向き合い、分析し続けて得られるもの

 
大学院時代にJARTAと出会い、今まで知らなかった新たな概念やトレーニング方法を知り、夢中になって実践しました。
 
その成果もあり、学生時代は練習でも達成することのできなかった、
「ホームランを打つ」
という目標を達成することができました。
 
肩の強さ・足の速さといった、いわゆるフィジカル的な要素は、28歳となる今も成長し続けています。
 
硬式野球部だと話すことが恥ずかしくなるほどに運動能力が低く、試合は見るものであり、惨めな気分になることばかりでしたが、大人になって初めて「野球をしている」という実感を得ることができました。
 
こうした経験は、選手と関わる場面においても間違いなく活きています。
 
試合に出て活躍することは誰からも期待されておらず、自分自身でも諦めてしまっているようないわゆるセンスのない選手。
そんな選手でも可能性があることを、建前なしの本音として伝えることができます。
 
歯車が狂い、以前はできていたことができなくなってしまった選手。
誰よりもチグハグだった歯車を一から作り直してきた自分だからこそ、どこで狂ってしまいどう修正すれば良いのか伝えられることがあります。

 
 
もちろん、ただ経験するだけでは足りません。成功も失敗も、どういう要素が作用してそうなったのかを徹底的に分析し続けるのです。
自分以外の選手と関わる中でもそれは可能ですが、やはり自分以外の対象に失敗はさせたくありません。好きな時に好きなだけ向き合うことができ、周囲から長所や短所を指摘してもらえる存在は、自分以上には他にありません。ましてや自分以上に失敗が許される存在も他にはありません。
対象が自分であれば大好きな野球を好きなだけでき、専門家としての検証作業もある意味楽しみながら繰り返し行えます。
 
選手としての日々の取り組み・身体機能・精神状態と試合でのパフォーマンスの関係性、それらの関係性を分析して指導するトレーナーとしての到達度。
 
これらのことを、残酷なまでにはっきりと自覚させてくれるのです。
 
 
 

セラピスト・スポーツトレーナーを志したきっかけはなんですか?

 
今までに聞いたことのあるこの質問の答えで、一番多かったのは
 
選手として怪我を経験したこと
 
です。
 
怪我に悩む選手の助けになりたい
パフォーマンスアップを実現させられるような、努力の方向性を提示したい
 
こうした想いの根底に、自らの苦い経験があるという方は非常に多いのではないでしょうか?
 
現役時代に知りたかった
 
仲間達からよく聞く言葉です。
 
しかし、今からでも遅くはありません。
 
今一度、自分という選手と向き合い、自身のパフォーマンスを見直す機会を作ってみてはいかがでしょうか。
 
選手時代に越えられなかった壁を乗り越えられた時、トレーナーとしてもきっと前に進むことができているはずです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年07月07日

筋力トレーニングと同時に”認識力”を

文:仲田享平

スポーツのトレーニングにおいて、筋力トレーニングは以前から重要視されており、実際にプロスポーツ選手がトレーニングを行っている映像を私自身、何度もメディアを通して目にしたことがあります。
 
私自身も高校時代は硬式野球部に所属し筋力トレーニングを行っていた経験がありますし、現在サポートしている高校生の男子バレーボール部、ボート部の選手たちも筋力トレーニングに取り組んでいるという話を耳にします。
 
現在のトレーニングのひとつとして浸透している筋力トレーニングですが、筋力トレーニングをすべきか否かという議論を指導者の方とすることもありますので、私の考えを述べていきます。
 
まず、「筋力トレーニング」という言葉の定義づけを行ってから話を進めていきます。
 
今回の話で論ずる筋力トレーニングですが、主に重量に対する負荷を身体に与えて、それに抗する動きを反復し筋の出力や持久力の向上、筋肥大を目的とするものとします。
 
結論から述べると、筋力トレーニングは必要であると私は考えます。
 
しかし、起こりうる有害事象を想定しながら行うことが前提条件となります。
 
具体的な事例を用いて説明していきます。
 
高校生男子バレーボール部の練習の中に腕立て伏せを行っている場面がありました。
 
指導者の方に話を聞くと、「ブロックを強化したい」という目的で行っているとのことでした。
 
実際に選手たちが腕立て伏せを行っている姿をみると、脇は開き、肩甲骨は挙上し、腰椎が前弯状態で行っている姿が目立ちました。
 
このケースで想定される有害事象ですが、まず「ブロックの強化」という目的から「腕立て伏せの回数をこなす」ことが選手たちの目的となってしまっているように感じました。
 
目的が「腕立て伏せの回数をこなすこと」に変化してしまうと、フォームが崩れ代償動作を伴ってでも動作を遂行しようとするため、負担が一部分へ偏りオーバーユースを招く可能性があります。
 
また、脳の運動学習機能により代償動作での運動を脳が学習してしまうことで癖や力みを生み出し、結果的にパフォーマンスを低下させる恐れがあります。
 
 
実際このケースにおいても肩甲骨の挙上や、腰椎の前弯が代償動作としてみられていましたが、肩甲骨が挙上してしまうと肩の可動域の低下や筋発揮を低下させます。
また、腰椎の前弯が強まると上肢運動の土台となる体幹の安定性が低下し、結果的に上肢機能の低下に繋がります。
 
以上のことから、ブロックを強化するという目的で行っていたトレーニングが結果としてパフォーマンスを低下させ、障害を引き起こす可能性が想定されます。
 
これらの有害事象に対して対策を講じながら筋力トレーニングを進めていく必要がありますが、その中で重要となってくるものが「認識力」であると考えます。
 
パフォーマンスはフィジカル、認識力、スキルの3つの構成要素から成り立っており、3つの要素の関係性を強めていくことがパフォーマンスアップに繋がります。
JARTA公式HPより
※内的認識力とは、自分の状態がどうなっているかということを認識する能力のことです。
例えば今どこに重心位置があるのか、どこに力が入っているのかということが認識できる能力のことです。
※外的認識力とは、相手と自分の位置関係であったり、ゴールまでの距離や方向、ボールの重さや道具の重心位置を認識する能力のことです。
 
今回のケースのように闇雲に腕立て伏せを行うことはフィジカルの要素のみをトレーニングすることとなり、関係性を強めることに繋がりません。
 
そこで、認識力を同時に用いることで、どこの筋肉に収縮が入っているのか、脇が開きすぎて肩甲骨が挙上していないかという部分を認識しながら行うことで、オーバーユースや代償動作の学習を防ぐことにもなり、効率よくパフォーマンスアップに取り組むことができます。
 

 
筋力トレーニングはフィジカルの要素を高めるためには有効なトレーニングであると考えられますが、実際のスポーツ場面において、筋力だけを求められる場面は少なく、筋力を発揮しながら同時に自分の重心やボール、相手選手など同時に様々な要素に意識を向けることが必要となります。
 
筋力を発揮することと同時に認識力やスキルも発揮できなければ良いパフォーマンスは生まれません。
 
この関係性を理解していれば、筋力トレーニングの負荷において重量だけではなく意識の数を増やすこともトレーニング強度を上げる方法となります。
 
よって、筋力トレーニングはパフォーマンスアップに必要な要素であり、取り組むべきではありますが、有害事象を想定し、それを予防する認識力の要素を同時に取り入れながら行うことでトレーニングの効果を高めることが可能であると考えます。
 
筋力トレーニングのネガティブな部分だけを切り取ってやるやらないの議論をするのではなく、パフォーマンスアップに必要な筋力トレーニングを”認識力”というキーワードを元に”やり方”をこういった機会に再考してもらえればと思いお伝えさせていただきました。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年07月04日

あらゆる競技に必要な頭部のコントロール

文:伊東尚孝

 
様々な競技で重要なファクターとなっているもの。
それが「重心操作」です。
 
高重心が有利なサッカーやバスケット、低重心が有利になる柔道や相撲など、競技の特性によっても重心のコントロールは様々です。
しかし高重心だけ、低重心だけを取得するのではなく、それぞれを使い分けることが重要になります。
 
 
そこで注目したい部位が「頭部」です。
頭部は言うまでもなく身体の頂点に位置し、身体の中で最も高い位置エネルギーを保持しています。
位置エネルギーを急速に落下させることで爆発的な運動エネルギーに変換することができ、強いパワーやキレのある動きを発揮することができます。
 
 
 
 
ここで、皆さんは日頃から頭の重量を感じることはありますか?
 
ヒトの頭の重量は、体重のおよそ8〜10%と言われ平均すると5〜6kg程度といわれています。
 
5kgのボーリング玉が、身体の頂点にずっとあるようなイメージです。
言われてみれば、想像よりも重たい印象があります。
 
 
しかし、プレー中はもちろん日常生活でも頭が重たいと感じることは少ないと思います。
(質量的な重さであり、重だるさなどは省きます。)
 
むしろ、何気なくそれだけの重量を“乗せている”ことが、当たり前になっているのではないでしょうか。
 
当たり前だからこそ、そこにパフォーマンスアップのための伸び代が隠されているかもしれません。
 
今回はそんな「当たり前」を見直し、頭部をコントロールするための基盤となる要素を解説していきます。
 
 
 

頭部のコントロールがもたらす効果

 
そもそも頭部をコントロールすることで得られる効果とは一体何なのかを、先に解説していきます。
 
冒頭でも述べたように、重心操作をする上で頭部のコントロールは重要ですが、それ以外の効果を以下に述べていきます。
 

  • 目線(視野)の確保

ほぼ全ての競技に必要不可欠なのが、目線や視野の確保です。
コンタクトスポーツでは、相手との接触により頭の位置がめまぐるしく変化します。
その状況でも味方や相手の位置、コートの状況、ボールの位置などを目線(視覚)によって把握します。
頭部をコントロールすることで両目はできる限り地面と平行な位置関係となり、状況判断を素早く行えます。
コンタクトスポーツ以外でも、野球やバレー、卓球といったボールに対する情報処理を視覚にて行う必要があります。眼球運動と頭部(頭頚部)にも密接な関係があるため、頭部のコントロールは重要となります。
 

  • 平衡感覚の確保

頭部には三半規管という、平衡感覚やバランスを担う器官があります。
競技によって様々ですが、多様な動きを求められる動作であれば平衡感覚は必要不可欠です。頭部の傾きによって身体をどのように修正すべきかを判断する必要があります。
 

  • 呼吸

頭部には呼吸筋である胸鎖乳突筋が付着しています。特に有酸素系の競技であれば、努力吸気筋である胸鎖乳突筋は過活動になりやすいです。
頭部をコントロールすることにより、運動量が増加しても呼吸がしやすくなります。
また気道の向きによっても呼吸の質が変化するため、頭部(頭頚部)の位置関係は重要となります。
 
 
これらのように頭部とスポーツはかなり密接な関係にあり、上記のように様々な効果が期待できます。
 
では、これらの効果を効率良く発揮するためにはどうすればいいかを以下に述べていきます。
 
 
 

頭部と腕を支える筋

 
まず、頭部(頭頚部)の解剖学をおさらいします。
頭部に付着する筋の中で最も強い力を発揮する筋は、僧帽筋です。
 

 
試しに、両肩を思いっきり引き上げた状態で、他の人に両肩を引き下げてもらってください。
おそらく肩はビクともせずに引き上がった状態を保持できると思います。
(※急激に行うと頚部を痛める可能性があるため、力加減に注意してください。)
 
僧帽筋はそれだけ強い出力を発揮できます。
 
その理由は、僧帽筋が頭部と腕(肩甲骨)を支えている筋だからです。
 
頭部の位置関係を見てもわかるように、後頭骨に付着する僧帽筋の負担は大きいことが想像できます。
腕は肩甲上腕関節により肩甲骨とつながり、肩甲骨は僧帽筋に釣り下がっている状態にあります。
(もちろん他にも様々な筋が関与しています。)
両腕の重量は体重の約10%であるため、体重が60kgであれば両腕で6kg程度ですので、頭部と合わせると10kg以上あります。
 
 

 
このことから、僧帽筋は頭部だけでなく肩甲骨を支えるための重要な存在であることがわかります。
 
 

支えるとコントロールの違い

 
頭部と腕(肩甲骨)を支えるために必要な僧帽筋ですが、競技においてその出力は阻害因子になる恐れがあります。
 
なぜなら僧帽筋は、頭頚部のコントロールには不向きだからです。
 
 
試しに、先ほどと同様に両肩を思いっきり引き上げた状態で頭頚部を動かしてみてください。
脱力している時の方が動きやすいことは明らかだと思います。
 
つまり頭部のコントロールには、僧帽筋をはじめとする頭頚部筋の脱力が必要です。
 
トップ選手の頭部を見ると首が長いように見えリラックスしており、急加速するフェーズでも目線はほぼ地面と平行な位置関係になっています。
C.ロナウドがヘディングする時には、肩甲骨がズルッと下がっていることで頭部をコントロールし正確なヘディングシュートを放っています。
(検索するとすぐに動画が出てくると思うので、ぜひ観てみてください。)
 
 
また、僧帽筋の作用は肩甲骨の挙上・内転であり、ハイパフォーマンスに必要な立甲とは真逆の作用となります。
(立甲は獲得できて終わりではなく、いかにパフォーマンスにつなげることができるかが重要です。→立甲を再考する
 
 
「肩の力を抜け!」「リラックスして!」
このような声かけをしたこと、されたことがあると思いますが、
この肩の力みや肩をすくめる姿勢(僧帽筋の過活動)が、冒頭で述べた【頭部のコントロールがもたらす効果】が失われることを、我々は無意識に体感しているのです。
 
 
つまり、頭部をコントロールするための基盤には、頭部と肩甲骨の関係性が関与しているといえます。
 
 
 

頚部Tレフストレッチ

 
僧帽筋を含めた頭頚部筋は、常に10kg以上の“重り”を支えていることになります。
頭部をコントロールしやすい環境にするためには、それらの筋の緊張を定期的にゆるめる必要があります。
 
今回紹介する頚部Tレフストレッチはセルフでも行うことができ、僧帽筋以外の筋にも一度にアプローチすることが可能です。
 

 
 
 

まとめ

 
いかがでしょうか。
普段何気なく“乗っている”頭部ですが、パフォーマンスアップに必要な要素がたくさんあります。
頭部のコントロールには肩甲骨との関係性が重要であると述べましたが、さらに深掘りしていけば、胸郭の可動性や脊柱(背骨)の柔軟性、それに伴う自律神経系の調整など、挙げ出せばきりがありません。
 
また日常的な頭頚部筋への負担は避けられず、完全になくすことは不可能です。
しかし上記で紹介したTレフストレッチを行うこと以外にも、
負担を減らす「行動」はできるはずです。
 
例えば、スマホを見る姿勢。
この記事を読んでいる方のほとんどが、スマホを使用していると思います。
 
 
今、どのような姿勢でご覧になっているでしょうか?
 
 
今一度、頭部のコントロールを阻害している生活習慣(ルーティン)を見直してみてはいかがでしょうか。
ルーティンがもたらす3つの効果
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年07月01日

革新的なトレーニング理論とは

文:岩渕翔一

どんな世界でも、革新的なだとか、新しいとか、これまでにないとか、そういった類の理論やコンテンツを目にすることがある。
 
トレーニング理論もそうで、色々な手段や方法が溢れているのが現状で、それは現在進行形で増えている。果たしてこれまでの常識や方法を超越、あるいは覆すような、真の意味で革新的なトレーニング理論などあるのだろうか。
 

決して抗えない法則の上に成り立つのが人の動き

 
人間が地球上に存在する以上、重力という抗えない物理法則の中で生きることになり、人間という生物の構成もまた決まった構成になっている。我々は決まった条件の中で決まった条件の身体を使い、パフォーマンスやトレーニングをする。
 
私が小学生の時の話である。宇宙人がいるかいないのかの話を友達や先生としている時に誰かが、
「宇宙や他の惑星には酸素がないし食料がないから生き物は存在できない」
と言った。私はそれに対し、
「いや地球上の生物は酸素がないと生きることができないけど、宇宙には窒素や二酸化炭素をエネルギー源にして生きることができる生物がいるかもしれないよ」
 
と考えたのを今でも鮮明に覚えている。確かに可能性としては0ではないのかもしれないが、化学や生物を中学高校で学び、理学療法士養成校で生理学や解剖学を学んだ今、非現実的な考えであったなと感じることはいうまでもない。
 
話が逸れたが、我々が存在する空間や我々自身は、抗えない法則や成り立ちの上で存在できる。人は血液があるから生きることができるし、重力があるから力という概念がある。
そういった中で重要なのは、この無数にあるといっていい法則や成り立ち、条件を知るということ。つまり、私が度々口にする基礎が大切だということだ。
 
色々な概念やトレーニング理論や方法があるが、中身を見てみると、
・脊柱の柔軟性や動きが重要であること
・仙腸関節の機能が重要であること
・大腰筋やハムストリングスが重要な筋であること
・肩甲骨や鎖骨の機能が重要であること
・インナーユニットが重要であること
 
これらはどのトレーニング理論をみても共通することで、はっきりいって大した差はない。以前、
筋力トレーニングVS身体操作系トレーニング。優秀なのはどっちだ!??
という記事を書いたが、このような一見相反する理論であっても中身をみれば実は主張していることや狙っている効果は似たり寄ったりだ。そしてそれは前述した、基礎がしっかりあるトレーナーやトレーニング理論であればあるほど似通っている。根本や根底にあるものは揺るぎないのだ。
では、どのトレーニング理論や方法を選択しても変わりないのかといえばそういうことでもない。ここが選択をする上で非常に重要なポイントだ。
 

異なるのは理論ではなくフィルターである

ある選手はAというトレーニングを行い効果が出ている。一方で別の選手はBというトレーニングをして効果が出ている。AというトレーニングとBというトレーニングは一見相反する理論なのだが、中身をみればあまり変わらない。であるならば、この2人の選手がしているトレーニングを入れ替えても同じような効果が出るのか。
 
答えは否。
 
というより分からないというのが正直なところだ。なぜ分からないのか。それはそのトレーニングをやると選択するまでの過程に意味があるからだ。
 
人にはそれぞれのフィルターがある。ある人のフィルターには引っ掛かる理論やメッセージであっても別の人には全く引っ掛らずに素通りする。
誰が見ても美しくて性格も良い女性に出会った男、皆がその女性に恋をするかと言われればそんなことはないだろう。そんなことは当たり前のことだ。それはその人の歴史や背景、気分や感情などあらゆるもので構成されたフィルターを通るからだ。どのような理論やメッセージが引っ掛かるのかは正直、当の本人も分からないだろう。人は自分のフィルターに引っ掛かったものにしか真の意味で向き合えない。人を愛そうと思っても愛せないし、愛してはいけないと思っても止めることができないことと同じ。良いか悪いかではないのだ。
 
2人の選手がしているトレーニングを入れ替えて、同じような効果が出るのか分からないのはこういった理由だ。
前提として専門家としての質を担保できるのであれば(できることが当たり前なのではあるが)やるべきことはメッセージを出し続けることに尽きる。
必要なものは真新しい理論でも奇抜な方法でもない。自己主張の強い自称オリジナル理論でもない。確かな基礎と論理に裏付けられた正しい理論と手段だ。
自分を磨き、常に学び続け、人らしく人としての愛情や欲を持ち、その土台の上で発信し続ける。その時々の全力で発信し続けるのだ。それがある時、誰かのフィルターに掛かり、またある時に別の誰かのフィルターに掛かる。そこから繋がるそれは、誰かという唯一にとって革新的であるはずだ。
 

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2019年06月30日

大事な試合だからこそパフォーマンスより優先される2つのモノ

文:鳴海裕平

 
気温も30度を超える季節がやってきて、多くの競技で試合のシーズンが始まっています。
 
選手に今までトレーニングをやってきた成果を発揮し、
試合で良い結果を出してもらいたいと、
共にやってきたトレーナーはそう思っているでしょう。
 
トレーナーは選手に最良のパフォーマンスを提供出来るよう、
トレーニングを含めたサポートをしていきます。
ではトレーナーはパフォーマンスのことだけを考えて
選手と共に試合にのぞめば良いのでしょうか?
 
いいえ、違います。
 
実際にはそれよりも大事なモノが“2つ”あります。
では試合に臨むにあたり、トレーナーがパフォーマンスより
大事にするべきモノとは一体何なのでしょうか?
 

第一に大事なモノは選手の【命】


 
仮定の話をしましょう。
あなたが普段から診ている選手が試合に出ていて、試合中に倒れたとします。
意識がなく、呼吸も止まり、心停止している。
そうなると救命措置が始まり、応援や救急車を要請し、AEDを持ってくる。
 
そのとき、あなたは会場のどこにAEDがあるか把握していますか?
そのとき、把握している自分を想像できますか?
 
選手には『結果を出せるなら死んでもかまわない』と思って
試合に臨む方もいらっしゃいますが、
トレーナーが『結果をだせるなら選手が死んでもかまわない』と
思っていてはいけません。
 
私自身、遠征先で練習中に急に倒れた選手に遭遇したことがあり、
救命救急措置の際にAEDの置いてある場所を周囲にいた人に指示しました。
そのときは事前に把握していて本当に良かったと心から思いました。
 
『AEDを持ってきて下さい。でも私はどこにAEDがあるのか知りません。
 あなた探してもってきて下さい。』などという命がかかった緊急時に、
医療従事者として恥ずかしい行為をせずにすみました。
実際、探してもらっている時間すら惜しいのですから。
 
パフォーマンスが大事なのは当たり前として、
緊急時のシミュレーションは必ずするべきです。
 
もちろんテーピングやコールドスプレーなど
処置に必要なメディカルバッグを事前に用意することもそうですが、
試合の会場についたら最低限AEDがどこにあるのかは把握しておきましょう。
*もちろん事前に会場のホームページなどで確認できれば、なお良いでしょう。
 
当たり前のことですが命よりも大事な事はありません。
では命の次に大事なモノは何でしょうか?
 

第二に大事なモノは選手生命

接触時の事故による怪我による選手生命の危機もそうですが、
私がここで言いたいのは“薬物”です。

 
市町村レベルの競技ではドーピングなどの検査は基本的にはありませんが、
国内大会でも国体になると検査がありますし、
国際試合になるとない方がおかしいと言っていいほど検査があります。
 
薬物を使用した選手はどんなに良い結果を残したとしても、
その称号を剥奪され、個人の名誉を深く貶めることになりますし、
社会的にも多くの弊害や迫害を受けます。
もちろん禁止薬物は使用しないよう厳重に選手に指導しておく必要はありますが、
問題は“禁止薬物を他者から混入させられる”場合です。
 
選手を貶めようとする他者が存在する場合も想定しなければいけません。
選手が頑張って良い結果を出したにもかかわらず、
他者からの行為によって称号も名誉も傷つけられ
選手の心は深く傷つき、失意のまま引退するケースもあります。
 
特に禁止薬物を他者から混入させられた場合、
身の潔白を証明することは大変困難です。
 
2018年1月に起きたカヌー・スプリント競技では他者への禁止薬物の混入が起こり、
入れられた選手はドーピング検査陽性で資格停止処分となりました。
この後、加害者が自白したことで資格停止処分は取り消されましたが、
このように身の潔白を晴らせるケースというのはほとんどありません。
 
私は大きい大会になるほど、選手には
一度開封したのち、目を離したドリンクボトルからは決して水分補給しない
ということを伝えさせて頂いています。
 
薬物は選手が使うことに注意することはもちろんですが、それ以上に
“誰かに使われる”ことを念頭に置いて考えるべきです。
“きっと大丈夫”という安易な考えが選手生命にとって致命傷になる場合があるからです。
 

トレーナーは二つの命を守る。

選手自身の命と選手生命を両方守らなければいけません。
もちろんトレーナーだけは難しい場合もありますので、
監督やコーチ、医師などと連携して選手を守ることが必要です。
 
試合が多くなるシーズンでどうしても選手のみならず
チーム全体でも試合に目が向きがちですが、
30度を超える時期では熱中症を中心に危険な状況に陥るケースは多くあります。
 
“結果が全て、全力のパフォーマンスを発揮すれば良いだけ”
と考えるのは選手に任せましょう。
 
トレーナーは結果だけでなく、パフォーマンスだけでなく、
選手が不幸になることがないよう、様々なことに気を遣いましょう。
 
全てはパフォーマンスのために、
ですがパフォーマンスに囚われることがありませんように。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

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2019年06月27日

ケアを入念にするから慢性化する痛みもある

文:赤山僚輔

 
スポーツを継続的に行なっている人にとって、日頃の身体のケアの重要性は言うまでもないだろう。
 
私自身も選手たちにセルフケアを丁寧に実施するように指導することは、まだまだある。
 
しかしこれが慢性的な症状となっている場合や、ある一部分の疲労の発生しやすさ、筋痙攣等が発生しやすい場合の対応には注意が必要だ。
 
 
 

痛みはサインであり症状の原因とは限らない

 
これはかつて女子の実業団バスケチームのトレーナーをしていた時の出来事だ。
 
試合の終盤でほぼ毎試合ふくらはぎの筋痙攣をおこしてしまい、プレイ続行が困難となり、その後痛みが発生する選手を経験した。
 
最初は次の試合に向けて同じような症状が発生しないように、水分補給の仕方やふくらはぎの硬さがしっかりと、とれた状態でのぞめるようにコンディショニングや指導をしていた。
 
真面目な選手でふくらはぎの硬さはチームでも一番緩んでいると言っても過言ではないくらいの状態にすぐ変化した。
 
 
“しかし筋痙攣は改善しなかった”
 
 
それどころか若干攣りやすくなったような印象すらある。
 
患部から痛みが発生したり、筋痙攣が起こるということは間違いなく何かのサインだ。
 
 
しかしそれを原因を探求せずに、あたかもその現象自体が症状の原因と断定し患部を徹底的にケアすることは選手のパフォーマンスを考えるとかなりリスクがある。
 
 

痛めたところを使いやすくしてどうする

なぜ患部を徹底的にケアすると症状が悪化したり、慢性化するかは慢性障害に関わりスポーツ現場に立つ人であれば少し考えればわかることだと思う。
 
そもそもふくらはぎが攣るということは、そこをよく使っているということ。
 
そしてその部位をしっかり緩めたり、ケアを徹底的に実施すると同部位はもっと使いやすくなる。

 
ましてや患部を意識することが多くなることから、意識しやすくなることが想定される。
 
例えばジャンプという動作ひとつとってみても、ふくらはぎを使うような足首の動きだけでなく、以下の関節や筋肉への協同的な作用が必要となる。
 
・股関節の屈伸運動
・大臀筋、ハムストリングの筋力
・体幹の伸展運動
・脊柱起立筋の筋力
・腕振り(上肢の機能)
・足部の機能
他にも細かくわけるとまだまだあるが、要するに一つの動作を反復する際に、一箇所へ負担がかかる事が患部の疲労や筋痙攣のひとつの原因なのだ。
 
その為、負担がかかっている部分をより使いやすくすることは、一時的に痛みを緩和する効果はあってもスポーツ動作やスポーツパフォーマンスにとって問題解決とはならないことが多い。
 
 

患部のサインを通して、現象の原因を探る

ではどうすれば、よいか。
 
これは思考としてはシンプルだが、実際に体現するには多くの工夫が必要となる。
 
結論としては、痛みというサインと通してそこが余計に使わされてしまった要因を徹底的に探る事。
 
これにつきる。
 
その探り方は
 
・運動連鎖や動作パターンからの推察
・柔らかい筋肉は使いやすい、よく似た働きをする他の筋の中から硬さを探る
・屈伸や回旋など同じ方向へ動くはずの他関節の硬さを探る
・ケアの重点具合やそれに対して動作で必要な部位のケアが不足する部分
・過度に意識をしてしまう要因の列挙と取捨選択(必要以上の意識が働かないように)
 
読んでみればすごく当たり前なことばかりですが、多くの選手のこれまでの痛みの慢性化やケアに対する考え方を聞いている限り、まだまだサインを結果としてとらえてその場しのぎの指導になっているセラピスト・トレーナーが多いように感じる。
 
特に現場では一時的に痛みを軽減させても、翌日の試合でベストパフォーマンスが発揮できなければ意味をなさない。
 
その為に我々のようなスポーツトレーナーが、選手たちにどのようなことを啓蒙し伝えていくべきかはこのような機会に再考していければと思う。
 
 
これはこのように伝えつつ、自分に対する戒めでもある。
 
もう一度言う、“多くのスポーツにおける慢性障害による痛みはサインであり原因ではない。”
 
 
慢性障害がなくなり、怪我で引退する選手がゼロになる未来へ。
 
まだまだ我々ができることは山のようにある。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年06月24日

150km/hのボールを投げるには「かためる」力が不可欠

文:岩渕翔一

 
速球を投げるには当然様々な身体機能、身体操作が必要です。
・柔軟性
・バランス
・筋力
・スピード
・動きのキレや再現性
etc
当然この他にも多くの要素が必要で、速球を投げるにはこれらの要素を同時に発揮する必要があります。ただ、これらの要素は投球という実際のパフォーマンスの中では同時に発揮する必要がありますが、トレーニングの優先順位では階層性があり段階的に取り組んでいく必要があります。
 
例えば、
「ゆるむ」と「かためる」は対極にあるものとして捉えられやすく、どちらが良いとか悪いとかいった議論を度々目にします。しかし実際は、「ゆるむ」こともできるし「かためる」こともできるといった身体操作が必要で、優位性のある関係にはありません。投球動作においては「ゆるんだ」身体を、最終的は思いっきり「かためる」ことでボールに大きな力を加えることができ、速球を投げることができます。
「ゆるむ」からこそ「かためる」ことができ、「かためる」ことができるから「ゆるむ」ことができる。その幅が大きければ大きいほど生み出せる力は強くなりますので、この幅を作ることがなにより大切です。
 

身体操作の階層

 
「スポーツパフォーマンスは全て身体操作である」
 
この点に関してはこちらの記事を読んでいただければその階層が分かると思います。
身体操作系トレーニングV S 筋力トレーニング 優秀なのはどっちだ!??
ただし、あるパフォーマンスを実現するために必要な要素をピックアップした際、その機能獲得には効率的に目標とするパフォーマンスを獲得するための優先順位があります。

 
まず獲得したいのは目標とするパフォーマンスを可能にするだけの可動性と柔軟性。これがない状態で他のことに取り組んでも必要な幅の中での身体操作にならないため非効率的です。まずは必要な幅(可動域)を作った上で、その幅を使いこなすためのバランスやスピードの強化を行う。
スピードは速くなればなるほどバランスを担保することが難しくなります。裏を返せばバランスを担保すればするほどスピードは発揮しづらくなるということです。この両立を強化し、必要な幅の中でバランスを保ったまま、最大限のスピードを有した動きを最終的に「かためる」ことで大きな出力(力)が生まれ、結果的に速球という形になります。
 

投球動作におけるかためる力

 
投球動作はシンプルにいうと並進運動からファーストスピン、セカンドスピンで生み出した力を、リリースの瞬間にボールに伝える身体操作パフォーマンスです。
並進運動に関してはこちらの記事をご覧ください。
投手の「タメ」の作り方には2つのパターンがある
 
ここではファーストスピンとセカンドスピン。つまりコッキング期における下半身のスピンと加速期における肩関節最大外旋位からの胸郭から指先までの肩関節を中心としたスピンについて考えていきます。
この回転動作で重要視しているのは「スライド」という身体操作です。回転動作ではなく、中枢が割れるような動きを指していますが、当然実際に身体が割れるわけではありません。身体の中枢部分から動き出すことでハイスピードとハイパワーを実現できるため必ず獲得したい動きです。
スライドとフック
 
ここからが本題なのですが、このスライドの動きは下半身から起こり、その動きが、
股関節→仙腸関節→脊柱下位から上位へ順に→胸郭→肩甲骨→肩関節→肘→手首〜指先
へと波及していきます。ここは実際の動きとしては一瞬ですが、少し細かくみてみると下半身から順にスライド動作が完了した部位は、かためることで土台として安定する必要があります。さらにそれだけでなく、スライド動作を行い急加速した身体をかためる力で急停止することで、その上にある部位が進行方向に向かって動く力を、末端に向けて段階的に蓄積させていくことができます。
ここで重要なのは「しなり」です。ムチを思い出してみて欲しいのですが、持ち手の部分は硬く太いと思います。それが末端になるにつれ、細く柔らかくなると思いますが、この構造がしなりを生み、末端での急加速に繋がります。投手に必要な運動構造はこれに近い構造が必要で、末端での急加速を得るには体幹部の「かためる力」が必要になります。

 
つまり、下半身から順に、
スライド(mobility)→かためる(stability)
というのを連動させることで筋の粘弾性を有効に発揮させることも相なり、強い力を生み出せるということです。
 
投球動作においては、可動性と柔軟性を有した身体をバランスとスピード(スライドの動き)を両立した身体操作を行い、最終的に一気に連動した、「かためる」身体操作を行うことで強い力をボールに加えることができ、球速が上がるということです。
 
「ゆるむ」ことと、「かたまる」こと。これらを両立することが球速アップの鍵になります。
 
全てはパフォーマンスのために。
 

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2019年06月20日

ストレッチはさらに奥まで


 

文:岡元祐樹

 
 
「ヒラメ筋を単独で痛めることがあるんだ」
 
そんな経験をしました。フットサルをしていたら、ふくらはぎに痛みが走ったのです。
 
膝関節を伸展したまま足関節を背屈しても痛みはない。膝関節を屈曲して足関節をさらに背屈させるとふくらはぎに痛みが生じる。
 
腓腹筋ではなくヒラメ筋を単独で痛めたことが推察されます。幸い走ったりできる程度の痛みだったので2~3日で回復しました。
 
日頃からトレーニングをし、運動前のウォーミングアップをしていても、このようなことは大なり小なり起きてしまいます。
 
なぜこのような痛みが生じてしまったのか?
何か見落としていることがあるのではないか?
 
よくよく考えると、素早い動き出しにヒラメ筋の機能が重要であること。そして今回の痛みは防ぐことができたものであることがわかりました。
 
 

ヒラメ筋、ストレッチしていますか?

 
一般的にふくらはぎと呼ばれる部位の筋肉は下腿三頭筋という筋肉です。この筋肉は腓腹筋(内側頭・外側頭)とヒラメ筋の3つの筋肉で構成されています。
 
この筋肉を運動で痛めた場合、「準備運動不足、ストレッチ不足」と言われてしまいます。そこで『アキレス腱伸ばし』と呼ばれる下腿三頭筋のストレッチが準備運動として広く普及しています。運動前に実施されている方も多いのではないでしょうか?

 
アキレス腱伸ばしのストレッチの多くは膝関節伸展位で行われることが多い印象があります。そういった手本が多く、その方が下腿三頭筋を伸長している感じが強いからではないかと思います。
 
しかしもうお気づきとは思いますが、これだと腓腹筋は伸長されていますが、ヒラメ筋はしっかりと伸長されていない可能性があります。
膝関節屈曲位で足関節を背屈し、ヒラメ筋もしっかり伸長した方が動きの質は向上します。しかも運動前ではなく、日常的に行っておくべきです。
 

※ヒラメ筋ストレッチの一例
 
なぜそこまでヒラメ筋にこだわるのか?
その理由は素早い動き出しに関係します。ヒラメ筋の硬さによる足関節の背屈制限が、前方への動き出しを邪魔するのです。
 
前方への動き出しは、重心の前方移動がスムーズに行わなければなりません。足関節の動きで言うと背屈運動がスムーズに行われる必要があります。
 
加えて、素早く動き出すためには重心の落下運動が伴います。直立位より重心位置が低くなっていくということです。
そのため足関節の背屈と同時に膝関節は屈曲していく状況になることが多くなります。その場合、足関節背屈の制限因子は腓腹筋よりヒラメ筋の方が相対的な比率が高まります。
 
足関節の背屈運動を制限する因子は様々ですが、選手自身でもケアしやすい下腿三頭筋の柔軟性はしっかり確保しておくべきです。
その中でもストレッチが不十分になりがちなヒラメ筋に目を向けることが、パフォーマンスアップに繋がるヒントになるかもしれません。
 
 

姿勢制御に関わるヒラメ筋

 
ヒラメ筋をストレッチする。
 
しかも日常的にストレッチを行っておく理由がもう1つあります。それはヒラメ筋が立位の姿勢制御に関わっている筋肉であるということです。
 
姿勢制御というのは、立っている状態を維持する、バランスを保つための機能が働いているということです。その際にヒラメ筋が収縮~弛緩を無意識的に調整し足関節で立位のバランスをとっています。
 
人によって立ち方や立つ頻度に差はあるものの、ヒラメ筋は知らず知らずのうちに使われることが多い筋肉であると言えます。
 
言い換えると気付かないうちに疲労が蓄積したり、硬くなってしまう可能性がある筋肉でもあります。
 
そうなると、競技前の準備運動だけで競技に必要なヒラメ筋の柔軟性を確保するのは困難であると言えます。日常のちょっとした空き時間にストレッチをしておく方が効果的です。
 
筆者は自身のトレーニングを重ねるにつれて、「自分は前方重心傾向だな」と感じるようになりました。
 
前方重心とは足裏で言うとつま先の方に体重がかかっている状態です。このことは姿勢制御のために下腿三頭筋を頻繁に使うことに繋がります。
つまり下腿三頭筋が硬くなりやすい状態ということです。
そのため、運動前には腓腹筋のストレッチは充分に行っているつもりでした。しかしヒラメ筋に関しては詰めが甘かったと言わざるを得ないでしょう。
 
その結果、ダッシュを繰り返すフットサルという競技中に、ヒラメ筋を痛めてしまったのではないかと推察しています。
重心落下を利用した動き出しはできてはいたが、そのためのヒラメ筋の機能が不十分だったために痛みが出てしまったということです。
 
 

習慣になっているならチャンス

 
柔軟性の話を中心に書いてきましたが、収縮力が必要ないと言っているのではありません。
 
ヒラメ筋も腓腹筋と同様にダッシュの最後の一蹴り、ジャンプへの関わり(跳ぶ時や着地時の収縮)、ブレーキとしての作用など強い収縮力が必要なタイミングがあります。
収縮力も高めつつ、必要な時は弛緩して関節の可動域を使えるという収縮と弛緩の幅を持たせることで、スポーツのパフォーマンスは向上に向かいます。
 
もうアキレス腱伸ばしが習慣になっている選手は比較的多いのではないでしょうか?
 
それなら比較的伸長感の強い腓腹筋のストレッチだけで満足せず、身体を動き出しやすくするためにヒラメ筋のストレッチは有効です。
 
ヒラメ筋は立っているだけで硬くなる要因を抱えています。だとすると、スポーツ選手にとって他者と差をつけるチャンスだとも言えます。
 
スポーツ選手として伸びるために、伸ばせるところは伸ばすようにしていきましょう。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年06月16日

練習前に選手が行うべき準備とは

文:志田伊史

私は「αプラス」という小学生向けかけっこ教室を主宰しています。当教室では、かけっこ練習開始前の時間を重要視しています。
 
これが練習開始10分前の状態です。まだ練習開始前ですが、個々に集まりそれぞれが自分のタイミングでストレッチを行っています。
 

 
サムネイルにもありますが、写真の子供たちが取り組むストレッチは「プレコモド」というものです。
股関節の柔軟性向上を図り、ハムストリングス上部を使いやすくするというスプリントにおいて重要なストレッチ種目です。
 
我々のかけっこ教室では、練習前に自分の体の硬さや、どの程度関節が動くのかなど、自主的に自分の体を感じる時間を作っています。
全体練習の中でもウォーミングアップはありますが、その前に個人個人が自分と向き合い、最大限動きやすい状態を作った上で全体練習に臨むという姿勢を身につけてもらっています。
 
全体練習で行うウォーミングアップの前に行う個人単位での準備を、JARTAでは「プレウォーミングアップ」と称しています。
“Pre  Warming up”
文字の通り、全体練習前にあらかじめ行うウォーミングアップということです。
 
例えば「プレコモド」では以下のようなことを子供たちに確認してもらっています。
 
もも裏に張りを感じるのか?左右の足で差はあるか?昨日と比べて差はあるか?
他の子と比べてしゃがむ深さはどうか?
脛はまっすぐか?どの向きになりやすいか?
背骨はまっすぐか?丸まっていないか?
 
自分自身の色々なことを確認してもらいます。
そして子供たち同士で指摘しあい、わかることがあれば他者の修正まで行ってもらいます。
 
 
これらを経てから初めて、全体で行うかけっこのウォーミングアップやトレーニングに入っていきます。
みなさんのチームでも、当たり前に上記のようなストレッチがウォーミングアップとして行われていると思います。
当然、筋肉温度の上昇や関節の柔軟性向上が期待でき、怪我発生リスクの軽減やパフォーマンス向上につながります。
しかし、これと別枠でプレウォーミングアップという枠組みを設けることで、より大きな効果が望めるのです。
 
とりわけプレウォーミングアップにおいて期待できるのは内的認識力の向上です。
内的認識力とは、以下のような自分の状態を自身で認識できる能力を指します。
 
自分の関節の曲がり具合
どの筋肉が緊張しているのか
呼吸は正常か
どのような精神状態か
 
プレウォーミングアップという個人単位での準備を行う中では、これらの認識を大きく向上させることができます。
全体のウォーミングアップでは、どうしてもチーム全体の一体感や士気を高めることに重きが置かれやすく、個人が筋肉や関節の繊細な状態まで内観することは難しい状態となります。
個人単位で行うプレウォーミングアップの時間の中で、選手一人一人が練習ごとにその日の身体をモニタリングする機会を与えることは、自身を細かく内観できる内的認識力を育むことに繋がります。
 
この後に指導されるスプリントのフォーム修正、きつい補強トレーニングの中でも、自身の細かな筋肉の収縮に気を配れるか。
このように、内的認識力が必要とされる場面が様々なシーンで起きるということは、言うまでもないでしょう。
 
 
 
例として小学校のかけっこ教室を出しましたが、これはどの年代においても必要といえる内容です。
個別性の高いプレウォーミングアップで最大限の準備を行い、いつでも勝負できる状態で全体練習開始を迎える。そんな選手はきっとほかの選手に大きな差をつけるでしょう。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年06月13日

「チーム」は「生き物」だから

文:真木伸一

 
トレーナーとして選手と関わり、選手を良い方向へ導く。
始めた動機は人によって様々ですが、スポーツに関わるトレーナーの全ての目的は、ここに集約されると思います。
 
そのために多くの準備をして、学び、実践する。
つまり、選手やチームを「良い方向へ」導くために学んでいるわけです。
 
多くのことを学び、知識を得た。
トレーニングを知り、還元できる自信もある。
トレーナーとして自分が得た知識は、多くのトレーナーと比べても引けをとらない。
そんな自負があるとして、あなたはチームにおいて有益な人間となりえますか。
 
 
資格の有無にかかわらず、「スポーツトレーナー」としての活動は、

  • ・パーソナルトレーナー(基本的に個人対個人でコンディショニング指導にあたる)
  • ・チームトレーナー(チームに属して所属選手の外傷管理、コンディショニング、障害予防にあたる)

という2種類の関わりに大別されると思います。
 
当然といえば当然ですが、1と2では求められる能力が根本的に異なります。
 
今回は、その「違い」についてスポーツ現場での活動を志すなら知っておきたい大切なことを一つ、お伝えしたいと思います。
 
パーソナルトレーナーに必要とされる能力は、前提となるトレーニング・栄養・休養に関する情報収集能力(知識)、指導能力、プレゼン能力のというように、目の前の選手を変えていくことに即必要なことが多いと言えます。
 
他方、パーソナルトレーナーとして磨いたこれらの能力を持って現場に帯同するチームトレーナーとしての役割を果たそうとすると、求められる結果を残せない事態に陥ります。
 
そこには、『チーム』である、という決定的な違いがあるからです。
 
『チーム』は「達成すべき」「共通の目的」を持った複数の人が集まり、成り立っています。
 
つまり、その中で求められる能力は、組織の中で与えられた役割を「まっとうする」能力です。
 
そして、与えられた役割をまっとうするために必要な概念が、「Management」です。
 
・現在チームが置かれている状況
・スタッフ、選手の数
・競技レベル
・後方支援組織(病院や医師)
・物品の充実度
・予算の有無
・OB会の関わり、父兄の参画
などなど、数え上げればきりがない前提条件の中で意志決定し、方向性を示唆せねばなりません。
 
現場に入ったら、その現場の状況に応じて最適な環境を創造し、選手、スタッフが円滑に目標に向かえるよう、サポートするのがトレーナーの役割となります。
 
パーソナルトレーナーに必要とされていた細かい知識やプレゼン能力は、身につけておくべき当然の能力ですが、それ以上に、現場を回す「マネジメント力」が大きな比重を占めるわけです。
 
スポーツ現場における「トレーナー」に求められる能力は、本当に多岐に渡ります。
 
リハビリテーション、外傷予防から、テーピング、救急処置、ドーピングコントロール、コンディション管理など、これら全てのことに「責任」を持たねばなりません。
 
トレーニングに対する知識、栄養に関する知識、テーピングの技術、こういった目の前のことに対する知識のみをおさえていても、現場で有益なスタッフにはなり得ません。
 
 
時には雑用を、時には水汲みを、時には発注業務を、全力でこなさねばなりません。
 

 
これらは全て、「チーム」という「生き物」が有機的に循環していくために必要なことです。
 
こうしたマネジメント能力は、いざ明日から現場に出るとなった時、教科書を開いて載っているものではありません。
 
ですが、どこにいても身につけていくことができる能力でもあります。
つまり、自らの意識次第で変えていける能力ということができます。
今いる組織で、必要とされる働きができていますか。
今いる組織で、「変えの効かない」人材になれていますか。
 
『チーム』という組織で「生きていく」なら、「求められる役割」に自ら気づき、「まっとうできる」下地を養いましょう。
 
JARTAでは、選手にとって有益な人材を育成するのみならず、スポーツチームにおけるトレーナーのあるべき姿もお伝えしていきます。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2019年06月10日

ピッチャーゴロを捕ってしっかり送球できません。手首が固まる感覚があります。どうすればいいですか?

文:岩渕翔一

今回はタイトルの通りです。代表中野のブログで取り上げられていた質問ですが、この悩みについて私の見解と分析をご紹介します。
中野の記事はこちら
https://ameblo.jp/bodysync/entry-12464968788.html
 
うまくフィールディングを行うには、あるギャップを共存させる必要があります。裏を返せばこのギャップをクリアできなければいくつかのパフォーマンス低下を起こすことになります。
また、このテーマは私が認定コースのベーシックセミナー講師をする際に、「アブレスト能力」、「ハイパフォーマンスゾーン」の解説での実例として提示するシーンです。
チームで投手をやっているような選手です。単純に考えて投げることは上手いはずです。にも関わらず身体操作上のエラーを起こす。それには単に投げることが上手い下手ということとは違う次元の問題がいくつか提示できます。
・出力コントロールの選択ミス(ハイパフォーマンスゾーン)
・身体操作と意識のギャップ(アブレスト能力)
・運動構成と構造間の認知→判断→実行イレギュラー
 
などです。
 

手首が固まるという現象から推察されること

 
「手首が固まる感覚」という具体的な訴えがありますのでそこから考えてみます。
これは選手の意識が手首に向いていることを示唆しますが、なぜ手首に向くのでしょうか?投球時に手首に意識が向くことは特別な場合を除き(変化球の修正など)ほとんどないと思います。それは基本的に投球は「強く投げる」ことがベースであるため、全身で投げるとか下半身を使うとかそういった意識下の方が圧倒的に多いです。
一方、フィールディングで要求されるのは大まかに2つです。
・素早く投げること
・コントロールすること
 

 
この2つです。送球においてこの2つを実行するために選択されるスローイングは「スナップスロー」です。これが手首に意識が向きやすい原因ですが、素早く投げることとコントロールすることは運動構造としては逆行する(矛盾する)要素を共存させる必要(アブレスト能力)があります。
どういうことかと言いますと通常、「コントロールすること」を容易に遂行するにはゆっくり行うことが原則になります。運動や動作は速くなればなるほどコントロールが難しくなるためです。しかし実際の動作はというと、「素早いこと」が大前提になります。ランナーがいる状態でのフィールディングは封殺が第一選択になるため出来るだけ速く遂行する必要があるからです。
投手のフィールディングにおける実行過程は、
認知→判断→実行
この過程を出来るだけ素早く正確に行うことで、具体的には、
①投球完了後、打者がヒッティング

②打球を見て(認知)その場、或いはダッシュして(判断)捕球(実行)。それとほぼ同時に捕球後のスローイング方向を決定(判断)。それに応じて捕球体勢の選択(判断)。

③捕球後からのスムーズなスローイング(実行)
 
この過程においてスローイングを行うまで一貫して素早いことが要求されますが、スローイングそのものはコントロールしようとするわけです。そうすると実際の動きの速さと、コントロールしようとすることのギャップができてしまいます。他は素早く動いているのに、スナップスローでコントロールしようとする意図が、「手首が固まる」という現象を生んでいる可能性が高いです。
 

 
これに対する対策は明確で、フットワークを素早く安定して行うトレーニングを行うことです。実際、素早く動く必要があるのはほとんどの相で下半身です。
 
・前後左右方向へのフットワーク(捕球ポイントまでの移動)
・上下の重心移動(素早い捕球)
・回転フットワーク(捕球から送球方向への方向転換)
 
これらを素早く安定して行わなければならず、特に3つ目の回転フットワークは他の野手にもあまりない動きです。当然投球練習で補えるものでもないため、特化したトレーニングを行う必要があります。フットワークが安定し自信を持つことができれば、素早い動きだが安定したフットワークになるため、コントロールすることとのギャップが解消されていきます。
 

その他の可能性

 
もう1つフィールディングがうまくできないときに多いパターンについて。オーバーハンドで強く投げるという投球直後に、スナップスローで素早くコントロールして投げるという動作は同じ「投げる」でも運動構造が大きく異なります。それぞれ単体で練習を行ってうまくできていたとしても、実際の試合ではこの切り替えがうまくできずに暴投してしまうということがあります。これはその場面に応じてうまく動きや身体を切り替える(ハイパフォーマンスゾーン)必要があり、そのためのトレーニングが必要になります。
 
フィールディングに必要なトレーニング
 
以上のことからフィールディングには、
・投球後パワーポジション獲得トレーニング
・時間・空間認知を高めるビジョントレーニング
・フットワーク改善トレーニング
 
が必要になります。フィールディング時に手首が固まるという感覚がある選手や、うまく行かないと感じている選手は参考にしてみてください。
 
全てはパフォーマンスのために。
 

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2019年06月09日

選手に準備の重要性を語れる準備をあなたはしていますか?

文:赤山僚輔

 
今回は、先月開催された『K-1 KRUSH FIGHT. 101』のメインイベントとしてタイトルマッチに出場した近藤魁成選手への帯同報告を活動報告記事としてお伝えさせていただきます。
 
現在高校3年生の近藤魁成選手は高校生の日本一を決める”K-1 甲子園”で1年生と2年生時に連覇し、昨年の3月にプロデビューを果たしました。
 
この試合でプロ4戦目となるマッチメイクは高校生と25歳のK-1でもチャンピオンを目指す相手となり、「無謀」「危険」という声まで聞こえてくる下馬評でした。
 
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またこれまでの試合でもありましたが、今回の試合も当日はJARTA講師としてもおなじみの萩トレーナーも一緒に帯同致しました。
 

 
結果は2RでKO負けとなりましたが、戦評や模様については
以下サイトや公式Youtubeで是非ご覧ください。
 
https://www.k-1.co.jp/schedule/16487/

 
今回の活動報告では赤山自身が前日、当日にかけてどのような関わりをしているかについてお伝えしたいと思います。
 
 

帯同の目的

基本的には事前に決まっているサポートチームの長期帯同や海外遠征がない限り、試合には毎回セコンドとして帯同しています。
K-1の試合は年間に3〜4試合程度。
もちろん帯同の目的は勝利であり最高のパフォーマンスで試合を迎えることにあります。
前日から心身のコンディションを整え、必要に応じて相談に乗ることもあります。
 
また館長であるお兄さんと試合当日の戦略の確認や試合までの過ごし方、タイムスケジュールの相談も前日までに一緒に行います。
 
その為、ほとんどの試合で前日計量なので前日の朝から一緒に時間を共にします。

 
こういった帯同に携わっていくほどに自分がこれまで多くの選手に関わって来たなかで、身体のコンディションを整えるという側面が勝利に向けての準備の極々一部であることに気づかされました。
 
 

試合に向けてのトレーナーとしての準備

実際に当日に行なったことの前に、私自身がトレーナーとして試合当日に向けて準備をしてきたことについて簡単にお伝えしたいと思います。
項目として以下にあげるとこのような内容になります。
・対戦相手の分析(館長と共有)
・トレーナー自身の身体のコンディションを過去最高にしておく
・トレーナー自身が心にひっかかりがない状態で迎えらえるようにする
・当日のイメージを様々なパターンで想定しておく(試合自体も会場もタイムスケジュールも)
・当日試合に集中できるような環境設定を整える
・選手と気持ちを共にできるように減量をして迎える
 
このように実際にトレーニング指導だけやメディカルとして怪我人をみるだけ、治療に関わるだけであれば考えなくてもよいような内容もこういった帯同に関わると増えて来ます。
 
またそれは試合に関わるたびに、これも準備できていなかったと思い知らされることで毎回増えたり、不要な事柄は減ったりすることもあります。
 
選手に準備が大事と伝えるのであれば、トレーナー自身が最高の準備をして当日を迎える。
 
その準備は選手よりも長く、細かく、多岐に渡らなければ選手をみていてどのような準備が足りずに結果が伴わなかったかも分析できない。
そのように私自身は考えています。
 
 

当日重要視していること

当日に実施している事の全てをお伝えすることは、選手の個人情報も今後の戦略上もできません。
ただ私自身が重要視していることは、本ブログを読んでいるなかで、選手の試合当日に時間を共にする可能性があるトレーナーの方々には心に留めておいてもらいたいと思いますので共有させていただきます。
項目としては以下の内容になります。
・集中しすぎず集中できる状態を目指す(適度な緊張感)
・試合開始時間を意識した過ごし方を心がける
・他者の緊張感が伝播しないように選手以外への配慮も心がける
・試合前に一度100%の状態で動けるようにアップを行う
・勝つことにフォーカスし過ぎない
・トレーナー自身が冷静でいれるように心がける
 
以上のような事を重要視して過ごしています。
もちろん他にも細かな部分では無限にあります。
ただ身体のコンディションについては、このような大事な試合の場合ほとんど身体について気になる部分が皆無である状態で臨む為、当日は身体に関することはあまり自分自身も気にし過ぎないようにしています。
 
もちろんこういった関わりや内容は選手の成長によっても試合のカテゴリーによっても様々な変化が伴います。
 
この1、2年で試合に帯同したことがある競技はK-1以外で
・国体バスケットボール
・全国高校選抜フェンシング
・国体空手道
・国際大会バレーボール(U-18)
・高校インターハイ バスケットボール
 
同じ試合帯同でも同じ競技でも、全く違う部分もあれば共通する部分もあります。
 
私自身はこのような試合現場に帯同するからこそみえてくる視点を日々のコンディショニングやトレーニング指導に活かし、またこのように共有していくことが他競技に関わるトレーナーの皆様にとっても重要であると認識しています。
共有することで振り返ることができ、不足を知ることもできます。
 
行き当たりばったりでは、同じ過ちを繰り返すばかり、それではサポートしている選手に申し訳ないと思っています。
 
今回のサポートでは残念ながら敗れましたが、敗れたからこそ感じられた多くの要素が私自身にもあります。(選手はもちろん多くの学びが得られたようです)
 
その学びを次に活かすのは同じ選手だけでなく
私の場合には他にも関わる多くの選手やチームにも還元できると考えています。
 
実際この試合後に関わった同年代の選手たちにはここで得られた大事なことをしっかりと届けることができました。
 
もし試合に向けての準備や試合当日のサポートで何かが足りない。
 
そのように感じているトレーナーの方がにとって、今回の活動報告が何かの一助になれば幸いです。
 
そしてより多くの方々から応援していただける選手へと成長していけるように
私自身も成長していければと思っています。
 
今回の活動報告でお伝えした”近藤魁成”選手はじめ近藤3兄弟へはJARTA  internationalがオフィシャルサポーターとしてパートナーシップを締結しております。


 
より多くの方々からのご支援、ご声援をお待ちしておりますのでご興味がある方は以下専用サイトより詳細情報をご覧ください。
https://kondo3k.jinriki-aka.jp/recruiting/
 
長くなりましたが、以上で今回の活動報告の全てとさせていただきます。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年06月06日

練習時間を長くかける理由

文:谷口祐樹

 
日本のスポーツの練習時間は種目によっても多少違いはありますが、世界と比べて長い傾向にあるといわれています。
なぜ長いのか、それには理由もありメリットもデメリットも確実に存在しています。
今回はそこに迫っていきたいと思います。
 
 

身体の自動化を狙っている

では、まずなぜ練習時間を長く確保したがのるかを考えてみます。
それは一言で言えば、身体操作の自動化を求めているのです。
試合で勝つ為には考えて動く時間など許されていないということです。
どういうフェイントを入れるか、どこにシュートを打つかなど一つ一つ考えていると脳疲労を起こし、本当に必要な状況における瞬時の判断が出来なくなる恐れがあります。
 
脳疲労を極力少なくするためには、自然と身体が動くという状態であることが求められます。
自然と身体が動くという状態に至るためにはひたすら動きを反復し、たくさんの状況を経験させ、とにかく身体で覚えることが大切であるという考えから、練習時間を出来るだけ確保するというところにたどり着いたのだと考えます。
 
ここまでの流れではやはり時間は長くかけた方が良さそうだとなりそうですが、時間をかけることによる弊害もあります。
これからメリットとデメリットに関してまとめていきます。
 
 

長時間練習のメリット・デメリット

では長時間練習のメリットからまとめます
1  体で覚える事が出来る
2 団体競技であれば、他のメンバーと動きを合わす事に時間をかける事で完成度が高くなる
3  不足分を補うこと事が出来る
4  たくさん練習を行う事で「これだけやったんだ」と精神的に満足して自信になる。
その他様々な表現があるでしょうが大枠はこの4点です。
 
次にデメリットについてまとめます。
1  余暇の時間がなくなる
2  肉体的、精神的に疲弊し怪我が多くなる。
3  練習時間が長くなる事で練習自体をこなすことが目的となる。
この3点にまとめられると思います。
私が特に一番の問題だと考えるのは最後の3番目です。
多くのスポーツが瞬間的にパワーを出す事が求められるわけですが、練習時間が長いと、疲労とともに徐々に瞬間的なパワー発揮が難しくなってしまいます。
出力が最大限に高まっていない状態のまま力を出す事を長時間学習してしまうと、逆にパフォーマンスを下げてしまうリスクすらあるのです。
 
 

データ収集し分析の時代へシフト

確かに以前は量を確保することで勝負が決まった時代もありました。つまり努力の量によって勝敗が決まる可能性が高かったのです。
しかし、時代の発展とともにデータ収集する時代にシフトし、分析することでより効率的な動きを獲得したり、戦略的に優位な立場に立てることが増えてきました。
つまり、スポーツが洗練されてきたのです。
正しいところや必要なところに努力をフォーカスできる努力の質の時代となり、努力の量で勝負できるレベルではなくなってきたということです。
 

求められる競技によって異なる

今までお伝えした事をまとめると、競技によりメリット面が強く出る場合とデメリット面が強く出る場合がある、ということです。
瞬間的な筋出力よりも正確性が求められる演技系競技では、ある程度の量を確保する事で技能が洗練され、パフォーマンスアップにつながる場合もあります。
しかし、多くのスポーツでは瞬間的にパワーを発揮することが大切になってくるため、必要以上の練習量はマイナスの学習につながります。
 
 

最後に

練習量に関しては色々な議論があると思いますが、その裁量こそが指導者の技量の1つではないでしょうか?
 
陸上界で良く言われているフレーズですが、モチベーションとアキレス腱は消耗品という言葉があります!
皆さんの練習量はこの2つが擦り切れない程度の負荷となっていますでしょうか?
一度振り返ってみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

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2019年06月03日

脚が攣る(筋痙攣)ことがある投手へ

文:岩渕翔一

6月に入りいよいよ暑くなってきました。それと同時に、学生アスリートにとって最もアツい夏が今年もまた始まります。
すでにインターハイ予選は各競技で始まっています。
 
誰もが自分のベストのパフォーマンスを出し、全力を出しきりたいと考えているはずです。そのためにいよいよ調整の時期に入ってきています。
この時期特有の課題として、試合に向けたピーキングと同時に暑さ対策。いわゆる、熱中症や脱水症対策が必要になってきます。
この対策で最も言われているのは、マメな水分摂取です。当然重要なことですが、この水分摂取において、多くの学生に関わってきてほとんどの選手がなかなか意識できていない点があります。これはプロの選手でも意識できていないことが少なくありません。また、暑さ対策において学生特有の課題が一点あります。
特に、脚が攣る(筋痙攣)ことがある選手は要チェックです。
今回お伝えするのは、
・脱水予防だけでなくパフィオーマンス向上を目的とした水分摂取について
・暑さ対策に必要な暑熱順化について
 

一般的な脱水症予防

体水分量(体液)は成人で体重のおよそ60%程度であると言われています。このうち、2%が失われると喉が渇き、運動能力が低下すると言われています。さらにそこから3%で強い喉の渇きになり。食欲不振や意識の低下、4〜5%で疲労感や体温上昇、頭痛などの脱水症状があらわれます。
 

このため、喉が渇く前に水分を取れと言われるわけです。また、練習や試合前後に体重測定することで簡易的に排出された水分を管理することができます。例えば、体重60kgの選手であれば、練習前後での体重減は1.2kg以内に留めなければ2%以上の水分が排出されてしまっていることになります。
このように、練習や試合など競技に関わる部分での管理はどんどん発展しています。しかしこれだけでは対策は不十分です。試合中や練習中の水分摂取は体液不足を起こさないための「予防」でしかありません。それだけでなく、身体そのものを鍛え、余力を作るということを時期に関係なくしなければなりません。
 

体液の役割

 
どうやって余力を作るのか??それを解説するためにまずは体液の役割をおさらいします。体液の主な役割は3つ。
・酸素や栄養素・ミネラルなどを体内に運搬する
・尿や汗として老廃物を体外に排出する
・発汗によって体温を調節する
 
という役割を担っています。
 
それが脱水によって、
・必要な栄養素を体内に運搬できない
・老廃物が蓄積する
・体温調節が行いにくくなる
 
といったことに伴う各々の症状があらわれます。そうなるとスポーツパフォーマンスにおいては、
疲れやすくなり、回復も遅くなる。判断力の低下なども招く。
というパフォーマンスの低下に直結することになります。
そのために排出された分、あるいはそれ以上の水分を摂取し補うというのが基本的な対策なのですが、それともう1つ。
元々体内にある水分量を増やすということをしなければなりません。
 

体液量には人による幅がある

 
先に成人の体液量はおよそ60%程度であると述べました。当然、これには人によって幅があり、およそ50〜70%程度の幅があるとされています。これが、何を指すかというと、人によって体内に保持しておける水分量が違うということです。当然、多くの水分を保持できるほうが脱水症や体液量低下によるパフォーマンス低下を起こしづらくなります。
これを鍛えるためにしなければいけないことは、競技中や練習中の水分摂取だけでなく、日常的に水分摂取を意識することです。
 

1日の水分摂取

 
成人に必要な1日の水分は2Lと言われています。食事に含まれる500mlを省き、一日およそ1.5Lの水分を摂取しなさいと言われますが、スポーツ選手は当然これだけでは足りません。まずは練習以外の時間で3〜4Lの水を飲むように心がけます。まとめて飲んでしまうと、ほとんどが尿として排出されてしまうのでマメに少しずつ摂取することがコツです。それでも最初はトイレに行く頻度が多くなりますが、これも習慣化していけば少しずつ体内に保持されるようになってきます。
 
そうすることで体液量という側面で余力を作ることができる。つまり身体の強化になるということです。脱水症でなくても、試合終盤や途中で筋痙攣を起こす選手はやってみる価値は大いにあります。筋痙攣は多様な原因から起こりますが、試合途中に起こるものの多くは疲労と体液量低下によるものです。つまり、先にあげた体液量低下に伴う症状が大いに関係しているということです。
 
当然、ストレッチやマッサージなど対策はしていると思いますが、それだけでなく、水分摂取量を増やすことによる体質改善という強化を意識してみてください。
 

学生に必要な暑熱順化

 
もう1つ脱水症や熱中症を予防するために必要なのが、「暑熱順化」です。暑さに慣れるということを目的とし、
・あえて暑い中で高強度の運動を短時間行う
・睡眠の管理
・水分摂取も含めた栄養管理
 
などを行なっていくことが対策になりますが、学生特有の課題として日中は授業があるということです。必然的に練習を行うのは放課後の気温が下がり始める夕方から行うことになります。しかし試合は日中に行われることが多く、ここでギャップが生まれ、身体がうまく対応できないことがあります。そのために昼休みに意識して屋外に出ることや(できれば走るなど少しでも負荷をかけることができると良い)、朝練を行うなどの対策が必要になります。また、暑い中で長時間練習を行うと疲労が蓄積されてしまうため、試合へのピーキングという意味では好ましくありません。暑熱順化するには高強度の運動を短時間行うことで十分です。
 

夏に最高のパフォーマンスを

 
今回は、
・脱水予防だけでなくパフィオーマンス向上を目的とした水分摂取について
・暑さ対策に必要な暑熱順化について
 
解説しました。いずれも夏にベストのパフォーマンスを発揮するために必要なことです。そのためには、「暑さ対策を行い脱水症を予防する」というだけでなく「暑さに対する余力を作るための身体強化をする」という視点が必要なこと。また、競技や練習中だけでなく、日々の生活そのものの習慣や意識を変えていかなければならないということです。
全ての選手がこの夏に全力でベストのパフォーマンスを発揮できるように。
 
全てはパフォーマンスのために。
 

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2019年06月02日

ルーティンがもたらす3つの効果

文:伊東尚孝

 
 
「私は毎日300以上のルーティンを行っています。」
 
 
 
皆さんはこの言葉を耳にして、どう思いますか。
 
 
私は正直、驚きを隠せませんでした。
 
 
私が思うルーティンのイメージは、有名選手が行う「あの動作」であり、それが300となれば想像もつきませんでした。
 
 
 
しかし現在、私は100程度のルーティンを毎日行っています。
 
それは私が思う「ルーティン」の概念が変わり、様々な効果をもたらしてくれると思ったからです。
 
今回はルーティンがもたらす効果を以下3つに分け、それぞれ解説していきます。
 
* 集中力・気持ちを高める
* 自己管理ができる
* トレーニングになる
 
もしあなたや周りの選手がルーティンに対して、昔の私のようなイメージを持っているのならば、ルーティンの概念が変わりパフォーマンスアップのヒントになると思います。
 
 
 
 

集中力・気持ちを高める

 
周知の通り、試合前や試合中に用いることで、集中力・気持ちを高めることができるルーティンです。
 
具体例を挙げてみると、
〈試合前〉
・決まったウォーミングアップを行う。
・決まった声出しをする。(円陣など)
〈試合中〉
・フリーキックで決まった歩数下がって構える(C.ロナウド)
・プレーに入る前に決まった動作を行う(イチロー、五郎丸、内村航平)
 
一般的にルーティンと聞くと、特に〈試合中〉のことを思い浮かべる方が多いと思います。
自分の身体を使って行うもの=ルーティンだと認知されているかもしれません。
 
 
しかしルーティンは自分の身体だけでなく道具を用いても可能です。
 
テニス選手であれば、ラケットのサイレンサー(振動止め)を見つめる、触ることで、気持ちをリセットして集中する。自分の靴を見つめる、触ることで無心になる習慣を取り入れます(靴ひもや縫い目などポインを決めても良い。)
試合中に身につけている道具であれば、何を使用しても良いでしょう。
(もちろん、練習中から道具を使用するルーレィンを取り入れなければいけません。)
 
 
また道具は、自分の気持ちを高める力を持っています。
 
例えば、その道具を購入する時に「優勝を目指すためにこれで戦う」という強烈な思いを込めるとします。
するとその道具には、「優勝」という自分の魂が宿ります。
その道具を見るたびに「優勝」というキーワードが自分の中で湧き出てくるため、今までの努力が思い返され、自分を鼓舞してくれます。
 
道具を使ったルーティンを行うなら、道具の一つ一つに思いを込めてみることをしてみると良いでしょう。
そうすれば、道具は集中力を高めるだけでなく、気持ちを高ぶらせることもできます。
 
 
 

自己管理ができる

 
上記のルーティンは意図的に行うものであり、日常にプラスされたものです。
これから述べる内容は、日常的に行っていること(生活習慣)に意識を向けることで自己管理ができるルーティンです。
 
自己管理において重要なものの一つとして、睡眠の質が挙げられます。
 
皆さんは、毎日スッキリ目覚めているでしょうか。
朝の目覚めこそ一日のスタートであり、目覚めが良いと調子も良く、目覚めが悪いと身体が重だるい気がします。
 
睡眠の質を確認する方法の一つとして、まず起床後の立ち上がり、歩行を確認します。
その際に身体の軽さ、重さを認識することで、毎日の睡眠の質を確認することができます。
睡眠の質が良ければ身体は軽く、身体がいつもより重いなら、その日の睡眠の質は低い可能性があります。
 
仮に身体が重だるければ、昨日のことを振り返り何か睡眠の質を下げることをしていなかったかを確認します。
 
例えば、
・夜更かしをしてしまった。
・寝る直前までスマホを見ていた。
・夜食を食べてすぐ寝た。
・暖房・冷房をつけっぱなしで寝た。
 
睡眠は自律神経と深く関係しており、上記の例は全て自律神経を乱してしまう恐れがある行為です。
原因が分かれば、今夜は“それ”を行わないようにし、翌日の身体の軽さ・重さを認識してみます。
これを繰り返すことで、睡眠の質を下げる要因を排除し、自己管理ができます。
 
 
つまりここで言うルーティンとは、
今までの生活習慣にプラスするのではなく、既に行っている習慣(ルーティン)を見直すということです。
自分にとってマイナスなルーティンを見つけ、より良いルーティンに変換することが重要になります。
 
 
 

トレーニングになる

 
先ほど述べたように、ルーティンは何かをプラスするものだけでなく、既に行っている習慣とも言えます。
つまり、皆さんは既にたくさんのルーティンを行っているということになります。
(そのルーティンには良し悪しがあり、多くは無意識で行われています。)
 
ここで紹介するものは、先ほどと同様に今までのルーティン(生活習慣)を見直し、トレーニングに変換していくルーティンです。
 
今回はJARTAで紹介している「股関節入れ」を例に挙げて紹介していきます。
 
〈洗面を行う際のかがみ方〉
毎朝の洗面の際、背中を丸めて(脊柱後弯して)行っていませんか。
洗面所の高さによって多少の違いはありますが、間違いなく身体を低くする動作を行います。背中を丸めてしまうと、背中の筋肉に大きな負担がかかります。
 
ここで股関節入れを行いながら洗面動作を行うことで、股関節を主体とした動作をルーティンに組み込められます。
 

 
他にも股関節入れをルーティンに入れられる場面の例として、
・下に落ちたものを拾う
・足元に置いた荷物を持ち上げる
・椅子に座る直前
・手を洗う
・部屋や風呂の掃除
・食器などの洗い物をする
・冷蔵庫の下の棚を開ける
・タンスの下の棚を開ける
・お風呂上りに足元を拭く
 
 
このように自分の生活習慣を見直すと、「股関節入れ」だけでもルーティン化できる場面はたくさんあります。
生活習慣のほとんどをトレーニングに変換できるとすれば、
言うまでもなく、ライバルやチームメイトと差をつけられます。
 
また同じ動作(ここでは股関節主体の動作)を繰り返すことで、脳はその動作を学習することができます。
股関節はハイパフォーマンスに必要不可欠な要素であるため、競技レベルでも股関節を主体とする動作を行うことが容易になります。
 
 
繰り返し述べますが、ここで言うルーティンとは、
今までの生活習慣にプラスするのではなく、既に行っている習慣(ルーティン)を見直すということです。
毎日行う動作をトレーニングに変化できると、もはや24時間がトレーニングと言っても過言ではありません。
 
 
 

まとめ

 
今回はルーティンの効果を3つに分けて解説していきました。
 
さっそくルーティンを再考してみよう!と思った方が少しでもいらっしゃれば幸いです。
 
しかしこの3つの中でも、取り入れやすさには個人差があると考えます。
「集中力・気持ちを高める」ルーティンは、今までのルーティンに新たなルーティンをプラスしているため、継続することが難しいかもしれません。
「自己管理」と「トレーニング」は自分の生活習慣の中から、パフォーマンスアップを阻害している要素を抽出しなければなりません。
そのため、今まで当たり前のように行っていた習慣を否定する場合もあるため、問題点を抽出することが難しいかもしれません。
 
 
自分が取り入れやすいものからチャレンジしてみて、難しさを感じれば我々に頼ってください。
あなたや周りの選手のパフォーマンスアップのために、全力でサポートします。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年05月30日

成長に不可欠なインプット&アウトプットバランス

文:岩渕翔一

成長するためや学びを深めるためには、インプットとアウトプットの両方が必要であることは周知の事実かと思います。

こちらは有名な「ラーニングピラミッド」というアメリカ国立研究所が発表したもので、学習方法と平均学習定着率を現したものです。非常に有名なピラミッドですのでご存知の方も多いかと思います。
 
このピラミッドによると、講義を受けるだけでは学習定着率はわずか5%にとどまります。
一方、他者に伝えるというアウトプットを行うことで学習定着率は90%まで跳ね上がります。これを見てもインプットだけでは足りず、インプット→アウトプットの流れを確立することが成長する上で非常に重要だということがわかります。
また、例えばチーム練習やトレーニングの際、選手同士で教え合うという時間が、互いにとってすごく有効であるということの裏付けにもなるはずです。
 
しかし、アウトプットそのものに躊躇したり、インプットはできてもアウトプットすることが苦手な方が多いのも事実です。実際は、行動しなければどうしようもないのですが、今回はこのインプットとアウトプットの適切なバランスを考えてみようと思います。
 

アウトプットが進まない原因

例えば、私はこうしてJARTAのサイトにほぼ毎週記事を寄稿していますが、そのときによって〆切ギリギリになることもあれば、余裕を持って提出できることもあります。また、気分良くサラサラ書ける時もあればなかなかペンが進まないこともあります。ネタがすぐに思いつくこともあればなかなか面白いネタが浮かばないこともあります。
 
うまくいかない際に、「多忙」を理由に「時間がない」と言い訳にすることが多いのが人の性ですが、果たして原因は忙しいからでしょうか?
私は違うと思います。少なくとも色々な現象や結果に対して「多忙」は言い訳でしかなく本質は違うところにあるはずです。ましてや、本当に忙しくて時間がないのであれば現状は充実しているわけなので、丁寧にお断りすればいい話です。それが礼儀なはずですが、人というのは欲張りでせこいものです。私自身が忙しさを言い訳にしてしまいそうになることが多々あるので、このあたりはよくわかります。
話が少し逸れました。
 
私が記事を書く際、
・〆切に間に合わないorギリギリになる
・なかなかペンが進まない
・面白い内容がなかなか浮かばない
 
この原因は、インプットとアウトプットのバランスであると考えています。
何もないところからアウトプットのネタは産まれません。
アウトプットの前提には必ずインプットがあります。
例えば今日、自分が一人の時に何かすごく面白いことが目の前で起こったとします。そうしたらどうでしょうか?誰かに話したくならないでしょうか?話したくないって人もいるかもしれませんが(笑)。
少なくとも私は猛烈に誰かに話したくなります。
このように、人に話したいことができれば人は能動的にアウトプットという選択を無意識に行います。実技系の講習や勉強会に参加した際、早く臨床で使ってみたくなるのもアウトプットの1つです。
つまり、自分がインプットした「何か」が、
・自分自身にとって新しい視点や考えを得ることができた
・自分にとって大切な人や顧客にとって有益なものになる
・自分の責任を形にして表現できる
 
こういった、ポジティブな感情を生むからこそ、「アウトプットしたい」という欲求に駆られるわけです。
 
もうお分かりかと思いますが、アウトプットできない最大の原因は、
「インプットが足りない」
ことです。
 
ですので、対策は単純です。今回の例のように記事を書く際に、
・〆切に間に合わないorギリギリになる
・なかなかペンが進まない
・面白い内容がなかなか浮かばない
のであれば、まずはインプットです。アウトプットしたい「何か」が自分の中で産まれるまでインプットし続ける。
 

アウトプットはインプットを含む

 
一方で、時にアウトプットしたいことが溢れるように出てくることもあります。これは、アウトプットできるだけすればいいのですが、そういう時こそまさに時間がないことがあります。アウトプットが追いつかないんですね。ここで良くあるのが、昨日はアウトプットしたくてたまらなかったことなのに、今日になったらすっかり興味を失ってしまっているという現象です。
情報や感情というのは鮮度が非常に重要なので、したいやりたいと思った時こそそのタイミングです。
 
ですので、やはりインプットとアウトプットのバランスは重要だということです。
 
また、もう1つ重要なことは、
アウトプットはインプットを含むということです。ラーニングピラミッドの中では、アクティブラーニングにあたる部分がアウトプットになりますが、より能動的であることが鍵になります。
他者に何かを伝える際には、そのことに対する学びが必ずあります。それ自体はインプットになるため、アウトプットというのは同時にインプットが必然的に伴います。
一方、インプットはどうでしょう。インプットにアウトプットが伴うことはないですね。これが、成長を加速するためにはアウトプットが重要で、ラーニングピラミッドの中でこうも学習定着率に差が出る要因の1つです。
 
選手であれ、指導者であれ、トレーナーであれ成長を加速させたいのであればアウトプットは不可欠です。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年05月26日

バレー選手に重要な肩の機能を最大限発揮するために

文:高島公平

 
バレー選手で肩を痛めている人、肩の障害を予防したい人、サーブやスパイクの威力を高めたい人やレシーブが上手くなりたい人向けのトレーニングを紹介します。
 
バレー選手では、肩の調子を悪くする方や、肩を故障した経験を持つ方が多くいると思います。
 
 
バレー選手にとって肩の機能は重要なものになります。
攻める時のサーブやスパイクではもちろん、守る時のブロックやレシーブにおいても肩の機能は非常に重要な位置付けにあります。

 
 
攻める場面において、サーブやスパイクでは、どれだけボールに力を伝えられるか、コースを狙った時に負担なく肩を動かせることができるか、どれだけキレを出せるかということが必要です。
また、緩急をつけるための身体の使い方が相手に悟られずできるかということも選手には要求されます。
 
守る場面でのブロックやレシーブでは、相手のサーブやスパイクの威力に負けず構えを崩さずに上肢を固定できるか、セッターにボールを返すためにボールの勢いを弱めることができるかということが必要になります。
 
 
 
では、実際肩の機能を高めるためにどういったトレーニングをしていますか?
 
 
筋力をつけるためのトレーニングとしては、マシンを使ったもの、バーベルやダンベル、チューブなどの道具を使ったもの、腕立て伏せなどの自重を使ったものがあります。
 
筋力をつけるということにフォーカスした場合、マシンや道具を使ったトレーニングを行なうことは必要になってきます。
 
 
しかし、バレーでは、肩や腕の筋力だけでなく、上肢と体幹を連動させて使うことができるかということが必要になります。また、下肢と体幹を連動させることも上肢の機能を最大限発揮することに関わってきます。
 
 
筋力アップが図れたが、思うようなパフォーマンスができていない時や肩の調子が良くならない場合は、体幹や下肢と連動させて使えているかどうかプレーを確認していく必要があります。
 
 
 
では、これから肩の機能を高め、体幹や下肢との連動性を高めるために有効なトレーニングを紹介します。
 
 
 

  • 立甲

立甲はJARTAトレーニングの1つです。
 
立甲とは、肩甲骨を自由に動かすことができるようになることです。
肩甲骨を自由に動かせるようになることで、スパイク動作に伴う腕の動きに合わせて、肩甲骨が動くようになり、肩の負担を軽減させることのできるポジションを維持することができます。
また、肩甲骨周辺の筋の硬さが取れることにより、上部体幹の動きが出やすくなり、肩や腕の力だけでなく体幹から生み出される力を上肢に伝えやすくする効果もあります。
 
それだけでなく、力みで肩が上がりやすくなることも防止でき、スパイク動作での腕の振りをスムーズ出すことも可能となります。
レシーブにおいては腕を安定した状態で保持することも可能となります。
 
 
バレー選手にとって、攻守どちらの場面においても必要な機能を高めてくれるトレーニングです。
攻守のレベルアップには必須のトレーニングであり、上肢と体幹を連動させるためには獲得したいトレーニングとなります。
 
また、立甲は一次姿勢(立位)を整えるために有用なトレーニングであるため、バレー選手だけでなく様々な競技の選手にとって重要なトレーニングとも言えます。
 
 
 

  • ダウンドックのポーズ


 
ダウンドックのポーズは、ヨガでもよく用いられるポーズの1つです。
 
上肢と下肢でバランスを取るため全身の適度なトレーニングとなります。
肩周りや背部・下肢のストレッチ効果があり、鳩尾や背部を緊張させずに取り組むことで、肩や脊柱、股関節を捉えやすくするトレーニングにもなります。
 
また、自重のみの負荷となるため、筋力が不足している成長期の子どもにも負担なくできるトレーニングです。さらに、肩を痛めた選手にも負担の少ないトレーニングと言えます。
それだけではなく、十分に筋力のある選手にとっては、自分自身の身体のどこが力みやすいのか、どこの力が入りにくいのかということや重心がどの辺りにあるのかといった内的認識力を働かせやすいトレーニングにもなります。自分自身の身体の状態や力みやすい部位、力の入りにくい部位などを認識することでプレーの質を高めていくために役立ちます。
 
 
 

  • コモドドラゴン


コモドドラゴンは、体幹と上下肢を連動させるためのトレーニングです。
 
ワニやトカゲなどの爬虫類の動きです。上肢と下肢を動かすだけでなく、その動きに伴い体幹の動きも出ない限りはスムーズな動きにはなりません。
体幹を固めることはせずに、上肢と下肢の動きを妨げることのない程度の固定力を必要とします。
また、低い位置で重心を維持しつつ、前方へ進んでいくため、体幹と上下肢の連動を高めるだけでなく、負荷量も高くなるトレーニングとなります。
 
そのため、上下肢の筋力トレーニングや体幹トレーニングの要素もあるトレーニングです。
 
 
ジャンプサーブを打つ選手やスパイクを打つ選手は、下肢で蓄えた力を体幹と連動させ上肢に伝えていくことで、さらにボールに力を伝えることができるようになります。
肩や腕の力だけに頼ることをせずに、より力強く打つことができ、肩の負担を減らしていくことに繋がります。
また、空中でボールコントロールが必要となる場面やボールに合わせて身体を動かさないといけない場面での不必要な身体の力みを無くしていくことにも繋がります。
 
 
バレー選手にとって肩の機能を高めていくことは、プレーを高めていく中では必要なことになります。
トレーニングと言えば、まだまだ筋力トレーニングをイメージすることが多いと思います。
そこで、今回は筋力以外の要素を高めていくことで、肩の機能を最大限に発揮することができるということを知ってもらい、今後のトレーニングに活かしてもらえればと思います。
 

最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
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2019年05月20日

スポーツとはなんなのか

文:岩渕翔一

5/18、19日。この2日間は多くの格闘技イベントが開催されました。
・K-1
・JFKO
・RISE
・井上尚弥選手のWBSS準決勝
 
我々がサポートする選手の中では、統括部長の赤山がサポートする近藤魁成選手が5月18日K-1 KRUSH FIGHT.101・ウェルター級タイトルマッチに挑戦者として。

 
 
岩渕がサポートする山口翔大選手が5月18、19日にJFKO(第5回全日本フルコンタクト空手道選手権大会)で3位以内に与えられる第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会出場権獲得を狙いました。

 
 
 
この日に向けて4月10日には大成会館、山口道場の両道場で合同練習を行いました。
 

 
同じ立ち技系格闘技という枠組みですが、競技の運動構造としては想像以上に異なる競技です。それは競技の運動構造やルールだけでなく、例えば、何ヶ月も前から対戦相手が決まっているワンマッチが主流のキックでは、対戦相手を分析し対策を練り準備を行います。対してフルコンは1dayか2daysのトーナメントでその時にならなければわからない相手と一日複数の試合をこなします。
そういった大きな違いはあるにしろ、というよりあるからこそ、
フルコン側はキックの間合いを。
キック側はフルコンのタフネスとスタミナを。
 
互いに参考になる、活かせることがあるという判断から行った合同練習です。
 
 
結果はそれぞれ見ていただければ良いのですが、今回は改めて考えたスポーツそのものについて。
 

選手の分だけ想いがある

 
スポーツである以上、全ての競技で勝敗がつきます。そこには競技レベルこそあれ、結果そのものに対し、選手や応援する者、家族、サポートする者など、多くの感情が入り交じります。
 
格闘技という競技は他のスポーツと違い、勝敗に対する感情の喜怒哀楽だけでなく、心身に対する物理的な痛みが伴います。それだけに、時には残酷なまでに勝者と敗者がより明確に、鮮明に色濃く写るといった側面があります。
当然、我々はトレーナーという立場なので自身がサポートする選手を応援します。今回でいえば、合同練習をしたということからも互いの結果はやはり気になりますし、やはり勝ってもらいたいという感情も強くなります。
そしてそれは、
関わっているからこそ触れることができる過程や背景、物語、歴史、想いを知っている
 
ということが深く関係します。その想いに共感したりシンクロしてサポートをするので当然トレーナーとして、選手への想いも強くなります。
一方で、自分が知らない、或いは関わりのない選手、チーム、競技にもそれぞれの想いや歴史、物語が存在します。それはスポーツをしている人の分だけあるはずです。
サポートしている選手です。当然勝ってほしいし、勝てるように、勝つためにはどうするのかを考え実行し最大限サポートします。
ところがスポーツというのは、どの競技でも勝者は一人です。そのたった一人以外は全員敗者になります。じゃあ負けたからといって想いや歴史がダメになるのかと言われればそんなことはないはずです。
大切なのは自分自身の想いや歴史に真剣に向き合うこと。そして、対峙する全ての選手にも同じような想いや歴史があるということを認識しておくこと。
それがあれば、
 
礼節を重んじ、どんな相手や他者にも敬意を払い、真剣に向き合い取り組むという社会で生きていく上で必要なことをスポーツを通して学ぶことができるはずです。
 
これは私自身の価値観ですが、
「勝敗にはとことん拘るが捉われない」
勝っても負けてもその先を見据える。結果はあくまで結果。よく負けた時に、
「今回の負けが将来あの時負けてよかったと思えるように」
と言いますが、それは勝ちも一緒です。
負けてその先どう在るか
勝ってその先どう在るか
結局は逃げずに、誠実に真摯に真剣に今の自分と向き合うしかないのだろうと思います。
勝って嬉しい
負けて悔しい
勝ちを目指す
負けたくない
負けるのが恐い
 
当然です。
 
我々は専門家です。なのでサポートする選手が勝ちという結果を得られるように、論と根拠と熱意を持ってトレーニングを構成し指導する。
しかしそれは相手も同じだということを忘れてはなりません。
・全てはパフォーマンスの為に
・全ては選手のために
これはJARTAのコンセプトの1つですが、それは自分がサポートしている目の前の選手に限ったことではないと考えています。目の前の選手に真剣に向き合うことの先に、
スポーツをする全ての選手のために。
トレーナーとしてはこう在るべきだと考えています。
想いと想いのぶつかり合い。
たまに考えてみるといいのかもしれません。
スポーツとはなんなのか。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年05月19日

かかとの痛みには人生の33%の過ごし方が重要

 

文:赤山僚輔

 
 
「いてっ!」
 
あなたは朝起きて歩き出そうと踵を床に着いた瞬間に
痛みが走ったことはないでしょうか。
 
 
私自身はアキレス腱を断裂した過去もあり
 
起床時に踵や足の裏に痛みがでることがいままでにありました。
 

 
 
こういった痛みが出現する原因はたくさんあります。
 
・そもそも足底が非常に硬い
・踵を酷使するような競技や使い方をしている
・シューズやインソールが合っていない
・捻挫や他の怪我の後遺症が残っている
・長期間免荷していた影響で過敏になっている
 
などなど。
 
痛みが出現した経緯や痛みが出現する時と
さほど出現しない時を比較することでいくつかの原因が見当たると思います。
 
 
しかし足首周辺のコンディションや
経過だけでは整理できない痛みが出る選手に以前遭遇したのです。
 
その時の改善にきっかけを解剖学的な視点を元に
今回は紐解いていきたいと思います。
 

かかとは引っ張られすぎると都合が悪い

 
足底の硬さの要因にふくらはぎの硬さが起因することがあります。
そんな事は周知の事実だと思いますが、後述する説明が理解しやすいように
一旦触れさせていただきます。

※プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論 / 運動器 第2版より引用

 
ふくらはぎの筋肉を通してアキレス腱から踵への牽引力が強まると
上記図でいうと踵は上方に強く動かされようとする力が働きます。
 
そうなると足底にある腱膜は結果的に伸張されることになり
その伸張ストレスにより硬さを生んだり、過敏になる可能性があります。
 
 
 
これが骨が未成熟な時期であれば骨自体を牽引する力となり
図のように骨棘が発生したりもします。
 
実際に骨棘と聞くと末期症状のように感じる方がおられるかもしれませんが
小中学から毎日のように競技を継続していれば
高校生で骨棘形成で悩まされる選手も珍しくありません。
 
先日は中学1年生で変形性足関節症と診断を受けた選手もいました。
 
 
そのような事例を未然に防ぐにはやはりミスユースを減らすことと
丁寧なセルフケアであることには間違いありません。
 
しかし真面目にケアを行なっていても
さほど使い方が悪くなくても
起床の痛みが慢性化する選手がいます。
 
その原因は実は前述した部分以外にあったのです。
 
 

1日の三分の一は寝ている

改めて言うまでもないですが
1日の三分の一は寝ているということは
1年の三分の一は寝ています。
 
つまり人生の三分の一は寝ていると言うことになります。
タイトルの33%はこれを比喩する表現になっています。
 
 
私は37歳なので12年は寝ていることになる・・・。
 
『めちゃめちゃ寝てるやん!』
 
そう思った人はかなり伸び代があると思います。
 
私は自分の身体に真摯に向き合うようになってから
大きく変えたのは睡眠前のルーティーンです。
 
起きている時間にいくらケアをしていても
寝ていてまた硬くなったりするのでは時間がいくら合っても足りない。
 
そのように感じたからなのです。
 
 
動作分析でも痛みや動作不良の問題が発生する直前に原因がある。
このように言われることがあります。
 
起床時に痛みが発生するのであれば
その直前は睡眠時です。
 
 
ではどうして睡眠時に踵に負担がかかってしまうのか。
この点について解剖のいつも見慣れない視点をヒントに紐解いていきたいと思います。
 
 

かかと引っ張るのはアキレス腱だけではない

 

※プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論 / 運動器 第2版より引用

 
皆様はこの図をみて何を感じるでしょうか?
 
私はこの図を見たときに、自分が何気なくやっている日々のルーティーンが
起床時の踵への負担を軽減させている事を確信しました。
 
距腿関節の軸よりも前方に付着する筋肉が緊張していれば
距腿関節の背屈方向への牽引力がかかります。
 
それに対して後方に位置する筋肉が緊張すれば
底屈方向への牽引力がかかるのです。
 
図をみてみると、下腿三頭筋だけでなく
後脛骨筋、長指屈筋、長母指屈筋、短腓骨筋、長腓骨筋がそこにはあります。
 
ちなみに此処で私が睡眠前に必ず実施する
ルーティーンをご紹介します。
①両脇を気持ちいい程度に伸ばす
②背骨を左右に捻る
③全ての指の硬さを一度にほぐし、親指は念入りに実施する。(外反母趾なんです)
④その硬さが取れた状態から緊張しないように寝転がり、寝落ちするまで鳩尾に手を当ててゆるめる。
 
以上になります。
合計でも1分もあればできます。
 
動画でお伝えしたいところですが、あまりにもシュールな絵なのでお会いしたときにご紹介します。
 
 
読んでいればご理解頂けるように、見事に底屈方向への筋群へのリラクセーションが図れていたことが
お分かりになると思います。
 
脇の硬さを改善する事は筋膜や経絡の繋がりからも腓骨筋へと繋がり、後脛骨筋などは内転筋などからの影響も重なり恥骨への負担となるので鳩尾の硬さが改善され結果的に恥骨への負担が減ればリラクセーションが図れる可能性があります。
指については直接的なストレッチとしても好影響がありそうです。
 
つまりこのルーティーンを繰り返していく事で
起床時の踵の底屈方向への牽引力を軽減することが出来ていると想像できます。
 
実際にここ数年は起床時に痛む事はありませんし、そのように悩むクライアントもお伝えすることで解決することが多いです。
 
上記部分が硬くなる要因についてはまた次回以降続編で触れることにして
まず起床時にかかとが痛む方は是非とも人生の33%を過ごす睡眠時に
意識を向けて睡眠前のルーティーンを実践してみてください。
 
きっと朝が変わると思います。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年05月16日

ボールの中心を捉えるために身体の力みを無くそう

 

文:高島公平

 
 
バレーでは、サーブやスパイクにおいてボールの中心を捉えることは、プレーのレベルを高めるためには重要になります。
ボールの中心を捉えることで、ボールにしっかりと力を伝えることができるようになります。
また、スパイクでコースを打ち分ける時やサーブで狙った場所や選手に打つ時のコントロールを高めるためにも重要になります。
さらに、フローターサーブやジャンプフローターサーブでは、ボールの中心を正確に捉えボールに回転を与えないようにすることで、ボールの軌道の変化を多様に出すことができるようになります。
 
今回どのようにしてボールの中心を捉えるようにしていくのかということを紹介したいと思います。
 

 
 
スパイクやサーブでは、セッターからのトスや自分自身が上げるボールの軌道やボールの重心などを視覚情報で感知しないといけません。
その視覚情報から打つ瞬間のボールの重心を正確に判断するには、自分自身の身体の中で重心感知・制御が常に行なわれている必要があります。
 
 
つまり、ボールの中心を捉えるために必要なことは、自分自身の重心を正確に感知・制御することです。
 
 
重心感知・制御には、平衡感覚を司る前庭・三半規管、筋にかかる張力を感じる筋紡錘、皮膚感覚など様々な要素が関わってきます。
前庭・三半規管は頭部にありますが、筋は全身にあります。
そのため、この全身にある筋は、重心を感知・制御するには非常に重要なものと言えます。
 
 
力んでいると重心の変化に伴う張力の変化を筋紡錘で感知できなくなります。
重心が動こうとする時に生じる張力をより正確に感じるとるために筋の状態は力んでいないことが重要となってきます。
 
 
バレーをする中では、力んでしまう場面は多くあると思います。
ピンチの場面はもちろん、チャンスの場面でも余計な力が入ってしまって上手くいかなかった経験のある人もいると思います。
 
プレー中の動きを確認することも大事なことではありますが、基本的な立位姿勢が力んでいる場合、応用動作となるスポーツ動作が力みやすいということは言うまでもありません。
 
 
普段の立位姿勢からすでに力みが生じていないか一度確認してみてはどうでしょうか?
 
 
力まずに姿勢を保持するためのトレーニングは多くありますので、今回はその中でも2つ紹介したいと思います。
 
 
①脊柱スパイラルストレッチ

 
脊柱の可動性を高めていくストレッチです。
椎体の1つ1つを意識しながら捻ることで、意識しやすい部位・意識しにくい部位、動かしやすい部位・動かしにくい部位、左右差など、現状を認識するためには有効なものになります。
鳩尾周辺や腰に関しては、硬さの出やすい部位となるため、より丁寧に1つ1つの椎体を意識して動かせるようになることを目指してみてください。
 
脊柱を自由に操作できるようになってくると立位姿勢での、腰回りの力みや胸回りの力みは改善しやすくなります。
また、バレー選手にとって負担になりやすい腰部のケガの予防にも繋がります。
 
 
②インナースクワット

立位姿勢からしゃがみ込み、しゃがみ込んだ姿勢から立位姿勢に戻るまでの運動となります。
必要最小限の動きで行なえているか、鳩尾に力みが出ないか、重心がブレていないかなど意識していくことで、立位姿勢に必要な股関節や脊柱などの機能を高めていくことに繋がります。
 
 
この2つ以外でも立位姿勢を整え、力まない身体にしていくためのトレーニングは多くあります。
まずは、現状の自分自身の身体の状態を認識しつつ取り組めるトレーニングとしては、有用なトレーニングとなっています。
ぜひ一度取り組んでみてください。
 
 
 

まとめ

 
バレーのスパイクやサーブではボールの中心を捉えることが必要
               ↓
中心を捉えるためには自分自身の重心感知・制御が重要
               ↓
重心感知・制御には全身の筋の役割が大きい
               ↓
スポーツ動作だけでなく、立位姿勢から筋の力みをなくしていくことが必要
 
 
 
これらのことを押さえ、今後の練習やトレーニングに活かしてみてください。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

 
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2019年05月13日

下半身を使うの正体

文:岩渕翔一

多くのスポーツで下半身をうまく使うことは重要なトピックの一つです。取り分け野球においては、
・ケツから踏み出せ
・軸脚を安定させろ
・腰で打て
・下半身の粘り
・下半身をしっかり使え
など、投球打撃両方において下半身の重要性を裏づけるかのような、いわゆる「野球用語」が存在します。
投球は最終的に指先、打撃は両手で持ったバットで完結するにも関わらず、指をどう使うかやバットをどう持つかは選手の感覚に委ねられることが多く、下半身をどう使うかのほうが指導や練習で重きを置かれることが圧倒的に多い印象です。
 
では、そもそも「下半身を使う」とはどいうことなのか。この抽象的な言語の奥を投球動作を中心に考えてみます。
 

下半身の正体

そもそも下半身とはどこからが「下半身」なのでしょう?股関節から?骨盤から?
どうでしょうか?
おそらく各個人のイメージによって変わってくるのではないかと思います。私もネット検索してみましたが、実に多様な解釈がありました。
実は下半身というのは身体の学問である医学用語ではありません。ですので、明確な定義づけがないのが現状です。
ではどのように下半身を定義づければ良いかですが、観点は2つ。
1.上半身との境目を明確にする
2.運動様式によって定義づけを変える
 
1.上半身との境目を明確にする
これは簡単です。人の重心は骨盤内で仙骨のやや前方にあります。重心の位置を足底から計測すると、成人男子で身長の約56%、女子では約55%の位置にあります。(重心の位置はプロポーションによって個人差があり、小児では相対的に高位にあるために立位姿勢保持が不安定となります。)。ですので、ここを境目に上半身と下半身を分けるという考え方。


2.運動様式によって定義づけを変える

基本的に、人の運動様式には2つのパターンがあります。開運動連鎖(OKC)と閉運動連鎖(CKC)です。開運動連鎖(open kinetic chain;OKC)とは、手や足を床面から離した非荷重位での運動。閉運動連鎖(closed kinetic chain;CKC)は、手や足を床面に付けた荷重位での運動を指します。

この運動様式に投球動作に当てはめると、投球動作は多くの相でCKCの動きになります。
「どこまでが下半身なのか」の議論は骨盤帯を含むのか含まないのかとほぼ同義になるかと思います。ここでOKCとCKCの概念が大切になります。CKCの場合、股関節が可動するには骨盤の動きがなければ不可能です。ということは、この運動様式では下半身に骨盤を含む必要があり、骨盤から下が下半身。それより上位は上半身と定義づけることができます。
つまり、CKCの動きが多いピッチングやバッティングにおける「下半身を使う」とは骨盤を含む下半身の動きを指していることになります。
 

下半身を使うの正体

 
下半身がどこからどこまでかがはっきりした上で、下半身を使うというのは具体的にどういうことなのかを考えてみます。

1.最終的に上半身にある指先で完結する投球動作において、下半身の第一の役割は、上半身操作を安定して行うための土台としての役割です。ここがバランス悪く不安定では当然安定した投球は行えません。1つは軸脚のみで体重を支えている相での安定。もう1つがステップ脚がフットコンタクトしてからの両脚で重心コントロールを行う相での安定です。
 
2.ボールに加える力を大きくするには並進運動と骨盤の回旋運動が鍵になります。並進運動は、投球スタンス幅が広ければ広いほど距離を長く取れ、力を蓄えることができますが、スタンスが広くなればなるほど、骨盤の回旋運動が起こりにくくなるという関係にあります。つまり投手それぞれの身体特性によってより効果的な投球スタンス幅があり、それを見つけ出さなければ結果的にエネルギーロスに繋がります。
さらに骨盤の回旋と言いますが、実際はほとんどが股関節の動きになります。そこに、仙腸関節が連動することで上半身へ連動するしなりが発生します。この際、スタンス幅が広いほうが筋の張力が強くなり、下半身の粘りと割れができやすく、結果的にキレのある骨盤回旋運動になりやすいですが、そのためには下半身の柔軟性が大前提として必要にまります。
 
3.最終的に、リリースの瞬間に軸足は地面から離れます。そこからフォロースルーとなり投球動作は完結するわけですが、この瞬間に、軸足がどう地面から離れるかが非常に重要になります。「プレートを蹴る」というように良く表現されますが、実際は「蹴る」というよりは、「押し込む」イメージの方が近いです。リリースのギリギリまで重心を軸足側に残し、なおかつ膝を落とさずに残すことができると、骨盤の回旋からリリースの瞬間に急激に重心が前方へ移動する際に、自然に軸足でプレートを押し込むことができ前への推進力が生まれます。ですので、「蹴る」という能動的な運動イメージではなく、「押し込む」イメージが指導をしていてもしっくりくる選手が多い印象です。
 
つまり、下半身を使うというのは、
・バランスコントロール
・並進運動と骨盤の回旋運動
・床半力の効率的な伝達
 
この3つが必要になります。
 

下半身を使うためのトレーニング

ここまでくれば、下半身を使うための強化トレーニングをそれぞれ具体的に考えていきます。
 
[バランスコントロール]
・軸足のみで立っている時のバランス強化(後方や側方への崩れは避ける)
・股関節を捉えた多様な下半身の状態で、多様な上半身操作や運動を行うトレーニング
 
[並進運動と骨盤の回旋運動]
・軸足のバランス
・股関節の柔軟性・可動性と操作性強化
・仙腸関節の可動性
・ステップ脚のフットコンタクトバランス
・軸足の股関節内転筋強化
・ステップ足のハムストリングス強化
・主に股関節周囲筋の遠心性収縮と粘弾性強化
・骨盤底筋群の強化
 
[床半力の効率的な伝達]
・ステップ脚のフットコンタクトバランスとコントロール(投手セミナーでは「抜きランジ」というトレーニングを紹介しています)
・軸脚の遠心性収縮強化と重心コントロール
・力の伝達効率を良くする骨アライメントを再現する運動学習強化
 
あくまで投球動作に必要な下半身のトレーニング例で、それぞれ目的が重なるトレーニングもありますし、手段は他にも色々あります。「下半身を使う」という抽象的な表現をいかに具体的に落とし込み、効果的なトレーニングを行うか。それができればトレーニング効果の判定や評価も行いやすく、適宜軌道修正することができます。下半身の重要性はいうまでもありませんが、今一度なぜ、どのように重要なのかを考えるきっかけにしていただければと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年05月06日

休日の使い方

文:岩渕翔一

10連休あったゴールデンウィークも今日が最終日です。スポーツをしている方は練習の日、試合の日、休みの日とあったかと思います。代表の中野の記事でも取り上げられていましたが、この連休中、すべて練習をしているといったチームや選手がいないことを願っています(GW全て練習なんてやるべきじゃない)。ですが、「休むこと」そのものに恐さや罪悪感がある選手がたくさんいることも事実。日本では昔から、
「1日休んだら取り戻すのに3日かかる」
などと言われていました。私自身も現役時代は休むことに罪悪感や恐怖を感じたり、例えば、自分が休みの日であってもライバルチームや選手はその日練習していたりするわけです。そのため、休むこと自体が焦りや不安といった負の感情を産み、精神的に落ち着かないといったことがありました。
また、「練習が休みだと何をして良いのかわからない」といった選手も少なくないと思います。事実、私自身がそうで、野球さえしておけば、1日1日が充実していて慌ただしく終わる日々を過ごしていました。そのため、休みだと言われても何をどうして過ごせば良いのかさっぱり分からず、ただただ時間だけが無駄に過ぎていく日が「休みの日」でした。
 
休むことの重要性や必要性は近年多く叫ばれるようになり、指導者や選手も休日を設けることの重要性の理解は進んできていると感じます。しかしそれは、あくまで「競技のために必要な休息」であって、見方を変えれば休むことも練習や競技の一環ということになります。
元サッカー日本代表監督イビチャオシム氏は、「休みから得るものはなにもない」、「休むのは引退してからで十分だ」と話し、プロなら生活全てをサッカーに注げと仰っていました。当然プロであり、しかも日本代表ということになれば、そこまで求めなければ結果はなかなか伴わないでしょう。ですが、この記事を読んでいただく多くの方は指導者であったり、プロではない選手だと思います。また、プロの選手であっても引退する日は必ず訪れます。
その際、競技の第一線から離れてセカンドキャリアを歩んでいくことになりますが、これはプロスポーツ選手における社会的課題の最たるものでもあります。そのため、休日の使い方は競技のためだけでなく、人生そのものに対しても重要な役割を持ちます。
 
ですので今回は、スポーツ選手にとってもう少し広い意味での「休日」が重要な理由について話したいと思います。
 

休日を楽しめる競技生活を


 
冒頭で話したように、休日をどう過ごせば良いのか分からない選手は少なくないと思います。
これは、学生やアマチュア選手、プロ選手などカテゴリーに関わらずスポーツをする選手にとって一番良くない状態です。なぜ良くないかですが、競技から離れた際、引退した際にその状態は毎日続くことになるからです。それがなぜマイナスなのかは説明するまでもないでしょう。
健康な人であれば、成人すれば大多数の方がなんらかの仕事をすることになります。どのような仕事をするのにも重要なことが2つあります。

  1. ・アイデアの産生とそのアイデアを実行する行動力
  2. ・切り替える能力

 
休日の使い方はこのどちらかの視点がある必要があります。
 
[アイデアの産生とそのアイデアを実行する行動力]
休日に何をすれば良いのか分からないのであれば、徹底的に今している競技にプラスに働く休日の使い方をしてみてください。身体のケアや試合観戦、精神的なリフレッシュなど。競技ベースで何が必要かを考え、アイデアを出し実行してみてください。オシム氏が言っているように競技のために必要な休日の過ごし方は山のようにあります。それができれば、競技ベースで考えると休んでいることにはなりません。パフォーマンス向上のための積極的休日です。そしてそこで悩み、考え、調べ、出したアイデアを実行する癖は必ず今後に活かせます。
 
[切り替える能力]
社会では切り替える能力が高いほうが高いパフォーマンスを発揮しやすいです。仕事の自分、家庭での自分、友人との自分など。仕事の中でも顧客、上司、後輩、部下などそれぞれの立場の中での役割を切り替える力。
プロアマ問わずそれまでの人生を捧げたと言っても過言ではない、競技から離れた際、それまでの生活を一変させることに対するポジティブな感情やなにをするかの選択肢が複数あることはとても大切です。ですので、休日に全く競技とは関係のないことを行い、楽しみ、学び、経験する。その積み重ねは必ずその後のキャリアの選択や切り替えに活かせるはずです。
 
スポーツに対する姿勢は人それぞれです。健康のためにしている人も、プロを目指している人も、日本一や世界一を目指している人もいます。しかし、どういう姿勢であれどうせするのであれば真剣にやったほうが楽しいし、学びも多いです。その姿勢が休日を取りにくかったりするというジレンマがあることも事実です。休日の目的は競技力向上だけでなく、人生を豊かにするためにもあるということを知っていただければと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年05月05日

「メンタルが弱い」の正体〜身体アプローチでメンタル強化〜

文:伊東尚孝

 
「お前はメンタルが弱い。」
 
スポーツ現場でよく耳にするスレーズです。
大事な試合や大事な場面で、いつも通りの力を発揮することができずに苦い思いをしたことのある選手は大勢いると思います。
「いつも失敗するパターンがある。」
「あの対戦相手にはどうしても実力を発揮できない。」
「また失敗したらどうしよう。」
そんな思考が頭をよぎると思います。
 
結果、その先にあるのは
 
 
「勝てない」
 
 
勝てない理由は、本当に技術や戦略の問題だけでしょうか。
 
 
その原因の一つに、メンタルの要素が隠されているかもしれません。
自分のメンタルを理解し自分のものにできれば、勝てるチャンスが増える可能性があります。
 
 
関西で活動しています認定スポーツトレーナーの伊東尚孝です。
 
 

そもそもメンタルとは

 
一般的には「メンタル」と一言で済ましてしまうことが多いですが、メンタルとは「本能」と「理性」の二つで成り立っています。
 
「本能」とは、いわゆる感情であり、楽しい、悔しい、怒りなどを表出するものです。欲求や気分、機嫌なども含まれます。
その「本能」をコントロールするのが「理性」です。具体的には思考や判断、選択、分析などを担っています。我々は「理性」があるから、道徳的な行動をとることができ、考えて行動し物事を選ぶことができます。
 
「本能」は言い換えれば赤ちゃんのような存在であり、感情のまま行動してしまうものです。「理性」はそれをコントロールする大人のような存在と言えます。
その「本能」と「理性」をいかに共存させられるかで、メンタルはコントロールできるか否かに分かれます。
 

 
 
簡単な例を挙げると、すぐ試合中にカッとなって集中できない選手は、「本能」が感じる怒りが表面上に現れ、それを「理性」がコントロール不能になっている状況といえます。
 
 
つまりメンタルの強化には「本能」と「理性」のバランスが不可欠でありますが、それだけでは不十分です。
なぜならメンタルが弱い原因は、様々な要素が絡み合っており、個人差があるからです
考え方のクセや生活環境、メンタルブロックなど原因は一つとは限りません。
 
そこで今回は、メンタルが弱い原因の一つである「失敗イメージ」について解説していきます。
 
 
 

失敗イメージは蓄積される

 
 
過去の失敗や苦手な相手、プレー中の失敗パターンなど、各選手それぞれ失敗イメージがあると思います。
どのような失敗イメージがあるか、具体的に例をあげて解説していきます。
 
例)サッカー
*いつも決定的な場面でシュートを外す。
*一度トラップミスをしたら、立て続けにトラップミスをする。
*同じ相手・チームに同じ負け方をする。
 
この失敗イメージには、
「またミスをしてしまったら、負けてしまったらどうしよう」という不安がよぎると思います。
そのような不安なイメージを、無意識に頭の中で繰り返していませんか?
 
脳は、現実に失敗したことと、失敗をイメージしたことの区別をつけることができません。したがって、失敗イメージをすればするほど脳は失敗体験を蓄積していきます。
 
例えば、実際に決定的な場面でシュートを外したことがあるのは1回だとします。
その後、試合中や練習中で、「あの場面」を10回イメージしたら、脳はその失敗を11回体験したと思い込みます。
 
 
つまり、「失敗イメージの蓄積」がメンタルの弱さを生み出している原因の一つになっていると考えられます。
 

 
 

成功イメージを鍛える

 
「過去の失敗」というネガティブなイメージを取り払うためには、そのプレーに成功イメージを上書きする必要があります。
イメージトレーニングなどの思考的なアプローチはいくつか方法がありますが、今回は身体的要素へのアプローチについて述べていきます。
 
 
上記で述べたように、脳は実際に体験したこととイメージしたことの区別をつけることができません。
それを逆手に取り、成功体験を脳にインプットしていきます。
 
ただ闇雲に成功イメージを持って反復練習を行っても、そこに「どのような動き・姿勢が組み合わさっているか」という自分の身体を感知することが欠かせません。
身体が整っていない状況での反復練習はマイナスの学習を引き起こすリスクもあり、成功イメージを鍛えることは難しくなります。
 
 
 

変化に気づくことができる身体に

 
では、どのように成功イメージを獲得していくかを具体的に解説していきます。
上記で述べたように、失敗パターンが「どのような動き・姿勢が組み合わさっているか」を自分の身体で感知する必要があります。
 
そのためには、まず「失敗パターンの分析」を行います。
 
失敗パターンがどのように発生しているか、その時の自分の動きや姿勢はどのような状態にあるのかを分析します。
分析する時のコツは、プレーを時系列に区切ることです。
 
例えば、サッカーのシュート場面を大まかなフェーズに区切ると
〈ゴールの認識→ボールの認識→助走→上半身の回旋運動→軸足の踏み込み→蹴り足の振り抜き〉といった具合になります。
フェーズごとに区切られたら、どのフェーズでエラーが生じているかを分析します。
その際の身体の動きや姿勢などを把握し、成功するためにはどうなれば良いかを考えます。
おそらくエラーが生じているフェーズでは、主観的なイメージと客観的な動きに誤差が生じているかと思われます。
 
最初は客観的な指摘や、自分の動きを録画したものを客観的に分析することから始める方がいいでしょう。
(最終的には自分の身体の感覚を変えるため、客観的なアプローチに依存し過ぎないように気を付けます。)
 
 
では自分の身体を“感覚的”に把握するためには、どうすべきか。
それは、日々の身体状況の変化に気づくこと。
 
厳密に言うと、変化に気づく意識を持ち続けること。
プレー中だけでなく、日常生活からも。
歩き方、立ち方、座り方など、日頃から身体の変化に気づく習慣をつけることで、プレー中の自分の動きの変化を感知しやすくなります。
 
我々は普段から姿勢や動作を、筋や関節などにある固有感覚をもとに感知しています。
固有感覚受容器の働きを高めることで、細かな姿勢や動作を再現することができます。
 
すなわち、固有感覚というセンサーの感度を上げることが重要です。
 
 
ここで活用したいのが、Tレフストレッチ
 
Tレフストレッチとは、体を効率良く機能させるために必要な部位に固有感覚(体性感覚)を入力しながら行うストレッチのことです。
Tレフストレッチのメリットは短時間で複数の筋に刺激を入れることができることです。練習前後はもちろん、起床後などにも取り入れることで固有感覚の感度を高めることができます。


 
 
身体状況を感知することができれば、失敗パターンと成功イメージとの誤差に気づきやすくなります。
あとは、その誤差を埋め合わせるトレーニングを繰り返す。
成功パターンの蓄積によって今までの失敗パターンは薄れていき、成功イメージを構築しやすくなっていきます。
 
成功イメージが構築できると、やるべきことは一つだけ。
 
 
その成功イメージを脳内で繰り返す。
 
 
脳は、実際の体験とイメージしたことの区別がつきません。
その特性を利用し、今までの失敗イメージから成功イメージへと変換します。
 
「過去の失敗」というネガティブな思考が、「このプレーは成功する」というポジティブな情報に上書き保存された瞬間です。
 
 
 
今回の内容をまとめると、
 
①イメージは実体験として脳に蓄積される。(メンタルが弱いと言われる正体の一つ)
②成功イメージに変換するためには、まずは失敗パターンを分析する。
③身体状況を整え、自身の体の変化に気づく習慣をつける。(Tレフストレッチを活用)
④成功パターンが構築されれば、そのイメージを繰り返す。
 
 
 
 
いかがでしょうか。
 
メンタルの弱さは生まれつきではなく、知らず知らず積み上げてきたマイナスのイメージであることもあります。
そして身体環境の調整によってもメンタルを整えることができ、身体的なトレーニングと同じでメンタルもトレーニングによって強化することができます。
 
 
 
 
今回は、メンタルの弱さの原因が「過去の失敗」であると解説しました。
しかしメンタルはそれほど単純なものではありません。
様々な要素が絡み合っており、個人差があります。
つまり、メンタルの弱さは「過去の失敗」だけが原因とは限りません。
この記事を通して、メンタルが弱いと悩む選手が少しでも解決できる方向へ変われれば幸いです。
 
 
勝利を目指して、メンタルの強化も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2019年05月01日

活動報告 / 全国高校選抜空手道大会 高松中央高校結果報告

いつもJARTA公式ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
本日は、赤山僚輔がトレーニング・コンディショニングサポートを継続しております香川県の高松中央高校が3月に和歌山で開催された全国高校選抜空手道選手権大会にて以下の成績を収めましたので活動報告とともに日頃のサポートについてご紹介させていただきます。
 
大会結果は以下のサイトからもご覧ください。
http://www.jkf-hs.com/cha_sen_result/cha_sen38.html

第38回全国高校選抜が閉幕!


 
個人では組手で優勝1名。3位3名。5位2名。
個人の形では準優勝1名。
団体組手では女子が初優勝。男子は準優勝という結果でした。

 
今大会はこれまでサポートしてきた中でも最高の結果であり、アベック優勝を目指している選手たちからするとあと一歩で達成できず悔しい思いもありますが、これまでの積み重ねが少しずつ実っていると感じさせる機会となりました。
 
普段の本校へのサポートはトレーニング指導が中心で、試合前にはコンディショニングを実施することもあります。
 
今大会の前にも身体で気になる部位がある選手へのコンディショニングを行い、その選手が本人が目指していた結果よりも上回り、サポートするスタッフとしては本当に嬉しい瞬間となりました。
 
これまで球技やチームスポーツに関わることが多く、空手道については武道であり、個人競技であるような認識でした。
ところがサポートを重ね、試合帯同等も実施するなかで団体戦などは特にチームスポーツと考えるべき要素はかなり重なるところがあると感じています。
 
トレーニングを実施する際にも、男女で同じメニューを行なっており、最初に全国制覇を成し遂げた男子の影響を女子は色濃く受けていると日々実感します。
次は自分たちの番だと言わんばかりに集中してトレーニングに望む姿からは、凄みも感じます。
 
今回は普段行なっているトレーニングをいくつかご紹介いたします。
 


 

 
JARTAが発信するSNS等でみたことのあるトレーニングもあれば、よく似た動きながらも
初めてみるものもあるかもしれません。
 
実際に現場のトレーニングでは競技で求められる動きを優先しながら
その動きを向上させる為に、同じようなトレーニングでも目的や意識の向け方を変えています。
 
またトレーニングを応用し、より競技のパフォーマンスアップへと繋がるものへ昇華させていきます。
 
 
そういったトレーニング自体は、現場での選手の動きや指導者からの要望によって
新たに生まれることが多々あります。
 
その為に、名前のついていない物もまだまだありますが。
 
そして、大事なことは、自分自身がサポートしている他の競技のアスリートへも
還元できているということです。
 
空手道の一瞬の動きはボールを扱うような球技の一瞬の動きよりも
遥かに速いです。
 
その動きが習得できていくトレーニングを、バレーやサッカー・バスケットボールでの
トレーニングに応用することはより高いレベルでの競技動作を獲得するうえで
重要なきっかけになります。
 
今後もこのような現場でも学びを、関わる全てのアスリートに還元しつつ
こういった形でJARTAでもお伝えできればと思っております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年04月29日

スプリンターに必要な2つの足とは??

 

文:谷口祐樹

 
もっと足が速くなりたい。
 
皆さん一度はそのように思った事はありませんか?
 
様々なスポーツの中で速く走れる事は確実にアドバンテージになります。
最近では陸上競技出身のコーチをスプリントコーチとして招くチームや選手が数多く出てきておりますが、各競技において必要な「速く走る」という事は言葉が同じであってもその中に含まれている「身体構造及び機能」は異なっています。
 
今回はわかりやすいようにスプリンターを例にして速く走る為に必要な下半身の構造及び機能について考えていきましょう。
 

速く走るとは??

 
確かに、スポーツの中で速く走れる事は確実にアドバンテージになります。
しかし単純に速く走れるだけではパフォーマンスに直結しないと皆さまの実感や体験としてお分かりだと思います。
 
速く走る為の要素は「ピッチ×ストライド」で表す事が出来ます。
 
誰よりも速く足が回転し、誰よりも歩幅を大きく走る事が出来ればいいわけです。
しかし、競技や状況によって求められる機能が大きく異なります。
 
サッカーの場合、求められる「速く走るとは」単純に考えるとピッチを向上させていくほうが競技にとって有利に働きます。
ドリブルやボールコントロール時に足を速く捌く必要がありますし、急激なストップ&ゴールが求められ上半身の動きも状況に応じて使い分ける必要があるからです。
 
では単純にスピードが求められるスプリンターではどうでしょうか?
 

スプリンターに必要な2つの足とは??

 
スプリンターにおいても単純にピッチ×ストライドを高めていけば良いわけではありません。
各フェーズに対して必要な身体機能が異なり、それぞれ適応するためには「2つの足」が必要となります。
 
スプリント種目は疾走速度の変化をもとにフェーズを分けると3つに分けられます。
その3つとは以下となります。
 
1、加速局面
2、最大疾走局面
3、減速局面
 
この3つの局面に対してパフォーマンスアップを検討していく必要があります。
では、それぞれ必要とされる構造及び機能を見ていきましょう。
 
スタートの加速局面は「柔らかい足」という一つ目の足の機能が必要です。
 

 
運動量の変化は、加える力が大きければ大きいほど、また力を加えている時間が長ければ長いほど大きくなります。
そのため、地面との接地時間が長く保てるような足首の背屈及び股関節伸展の可動域、さらに体幹が前傾しても姿勢を保てる体幹筋力などの身体機能が必要です。
 
次に最大疾走局面において必要な能力としては「加速で得たスピードを長く保つ能力」です。
人間は、いつまでも加速し続けることは出来ません。自分が出せるトップスピードに達すると、それ以上速度を上げることは出来なります。
 
この時の状態を物理的に説明すると、地面からの推進力は受けておらず慣性の法則により前に進み続けている状態といえます。
地面に足を着いた時のブレーキと地面を押して前方へ進む為の加速力がちょうどつりあった状態であるともいえます。
 
その際にはスピードが上がるにつれて、地面との接地時間が短くなり短い時間で大きな力を発揮するような機能が必要となってきます。
 
つまりトップスピードに近づくにつれて足首を硬めて、身体が一本の棒のようになる状態。
そして地面から反発をもらい弾性エネルギーを得る為の「硬い足」という二つ目の足が必要になってくるのです。
 

まとめ

スプリント種目という競技でさえ、走る局面において様々な身体機能及び構造が必要です。
ランナーは筋肉の硬さや関節の動きで脚の硬さを調整し、短時間での加速やトップスピードを維持しやすい状態、つまり「柔らかい足」と「硬い足」という脚の機能を有することが必要なのです。
 
みなさんが携わったり、プレーしている競技において「速く走る」とはどういう事でしょうか?
一度頭で整理してみてください。
そうすると「速く走る」為のトレーニングにおいてどういうものを選択すれば良いかが、みえてくるはずです。
 
もしお困りでしたらJARTAトレーニングサポートをご利用ください。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

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2019年04月25日

活動報告 / 高校野球のサポートから小中学校のサポートへ

文:米沢康平

 

現在の私は4年前から行なっていた高校野球のサポートを一旦離れ、盛岡市内、岩手県内の小、中学生の野球チームのサポートを行なっています。
 
 
今回の活動報告では関わっているなかで感じたこと、今後実現していきたいシステム作りを紹介したいと思います。
 
 
まず、小中学校に関わらずですが現状の課題はチームによってストレッチ・トレーニングが定着しているところとそうでないチームが分かれているということです。
 
これに関しては、その地域ごとに選手が集まって、 異なる指導者のもとで野球を教わっているため、ストレッチやトレーニングの重要性に関する認識の差が生じることはいわば当たり前だと思います。
 

 

また、様々なチームに関わっていて、指導者や選手との話で他のチームにどんな選手がいてどんなトレーニングや身体操作ができる選手がいるかわからないし知りたいとの声がありました。
そこで、小学生のチーム同士でストレッチやトレーニングを一緒に取り組む場を作っていければお互いの技術向上に繋がると感じました。

 

 
しかし、市内のトーナメントで戦いあうチーム同士がお互いの練習を見せていくということにはもちろんデメリットも伴います。
戦術や野球の技術を共有してしまうとデメリットが多くなるかもしれませんが、ストレッチやトレーニングレベルでは共有してもいいかと思います。
野球に必要な運動というのはどのチームでもどの子供たちにも共通して大事なものになってきます。
また、指導者にとっても他のチームがどのように身体作りに取り組んでいるかを把握できるのはとても良い機会です。
 
実際、関わっているチーム(ここでは A チームとします)と練習試合をした指導者の方とお話をした際、「Aチームのアップを見ましたがあの動きはうちのチームにも必要そうですね。今度、指導する時に見学させてもらってもいいですか?」とのお話をいただきました。
 
このように、他のチームが行なっているトレーニング等が気になっているがなかなか知る機会も少なく、聞けないというのが現状です。
 

 

そこで少しのきっかけを作るためにトレーナーという立場を使わせていただき、パイプ役としてチーム同士の合同練習の場を作ることにしました。

 
小学生のチームは比較的、親御さん主体で指導をしているチームが多いため、保護者の方に向けてストレッチの重要性、トレーニングの方向性を同時に伝えていくも大切だと感じ、同じ場での指導を行なっております。
 
 
選手の感想としては、「他のチームにこんなに素早く動ける選手がいるとは思わなかった」「自分たちのやっているトレーニングをもっと変えて上手くなりたい」などの声がありました。
 
また、指導者、親御さんの方からは「他のチームの上手いと思ったトレー ニングを練習してみたい」「練習に取り組む姿勢など見習うことがたくさんあった」など、私の意とした成果以上の反応を得ることができました。
 

野球界はまだまだ閉鎖的な部分が多いかもしれません。
自分のチームが強ければいいという思いを持った方々が多いことも当然ではありますが、野球が好きな子供たちが純粋に上手くなる、野球に限らずスポーツの楽しさに気づくという本質のために、手段を選びすぎていると感じています。
 
 
今回のような他チームとの合同練習を行なうというきっかけづくりを提供できたのは小さなことではありますが、私のなかでは大きな一歩を踏み出せたと思っております。
今後、中学生・高校生同士のトレーニングの場を作っていき、高校生による小学生への指導など、縦と横のつながりの連携を図りながら進めていきたいと思っています。

 

簡単ではありますが活動報告と共に、私自身が小中学校でのサポートを今後継続していく上での重要な一歩についてご紹介させていただきました。

 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2019年04月22日

今しているトレーニングは変えずに成長できる


 

文:岩渕翔一

 
スポーツをする以上、誰もが上手くなりたいし常に成長し続けたいと考えていると思います。だからトレーニングをするし、練習もします。当然、その中で、
 

  • このトレーニングでいいのだろうか?
  • この練習メニューでいいのだろうか?
  • もっと良い方法があるのではないだろうか?

(さらに…)

2019年04月21日

この体幹トレーニング、呼吸を止めず、10秒できますか?

文:青木正典

 

JARTAの体幹トレーニングとは?

 
東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
今回はJARTAセミナーで学ぶことができる体幹トレーニングの一つ「クレーン」を紹介します。
 
クレーンは体幹機能だけを高めるものではなく、いろいろな要素が複合して達成できるトレーニングで、できるできないの先にはその質を高めていくことが重要です。
そのトレーニング方法と、その効果をお伝えします。
時間を作って、ぜひチャレンジしてみてください。
 

2018年プロ野球自主トレ

埼玉西武ライオンズ高橋光成選手の体幹トレーニング(クレーン)

 
 

トレーニングの方法

 

JARTA認定スポーツトレーナー青木正典のクレーン

 
行う際は、頭部・顔面付近のケガに十分に注意して実施してください。
事前準備として、メガネを外して行う、顔面を打たないように前方にマットを敷くなどの対策をした上で、集中できる環境で行うことをお勧めします。
 
床に両手をつきます。
肘の裏側に膝を乗せます。
そこから足を浮かせて、上肢で全体重を支えます。
バランスをキープします。
 
10秒キープできましたか?」
 

トレーニングのポイントは

・やや小指側(尺骨)で、体を支える

・重心を捉えバランス良くできる限り、少ない力で行う

・呼吸を止めない

・10秒以上キープ

です。

 
特に初めて挑戦した方は、なかなか難しいかもしれません。
しかし、安心してください。
今すぐにできなくても大丈夫です。
オススメの方法があります。
 
トレーニングをするときは、トレーニング方法を熟知しているトレーナーに指導を受けることや上手くできる選手と一緒に行うことをお勧めします。
実際に出来る選手やトレーナーの手本を見ることでトレーニングのイメージがしやすくなり、効率良くトレーニングに取り組むことができます。
トレーニングを効率良く上手く行うための事前のウォーミングアップ、アシストトレーニングもあります。
クレーンができるようになったら、その質を高めると同時に、さらにレベルアップしたトレーニングもあります。
 
 

クレーンの効果とは?

 
今回紹介したトレーニングは、自分の全体重を両手で構成された支持基底面でバランスを取りながら保持する体幹トレーニングです。
主に、上半身の重要インナーマッスル、脇にある筋肉(主に前鋸筋)と、骨(関節)の力(関節間力)を使い強化することで、パフォーマンスアップにつなげます。
また、初めて行うときは高い集中力が求められるトレーニングです。
 
上記のトレーニングのポイントにあるように、手をつき、やや小指側(尺骨)で体を支えることで、骨格構造と、前鋸筋が使え、体を支えやすくできます。
できる限り少ない力で行うことで、力みの少ない動きの獲得につながり、バランスよく行えたり、外乱刺激に対応出来るようになります。
また、呼吸が止まっているということは、余計な全身の筋緊張が亢進することにより、スタミナを消費し、力みにもつながります。
呼吸が止まっていないリラックスした状態、それくらい余裕がある状態で、クレーンの姿勢がとれることが重要です。
 
その他に、クレーンができることで
・バランスをキープしながらのパワー発揮能力アップ
・上肢の力の出し方(どこに力を入れるべきか)の学習
・上肢・体幹の筋出力バランスの向上
ができます。
 
つまり、この1回のトレーニングで「バランス」や「パワー」を同時に高めることができます。
「上半身の筋力はあるけど、上手く力が伝わらない、力を発揮できないなどで力負けしてしまう」
「上半身をもっと使えるようにしたい。ボディバランスを良くしたい。」
という選手にオススメのトレーニングです。
 
 

実際にクレーンを指導してもらう方法

 
クレーンはJARTAトレーニング理論コースレベル1でお伝えしているトレーニングです。
しかしセミナーはトレーナー育成を行う場です。
選手やチームはJARTA認定スポーツトレーナーに依頼していただければ、出張や遠隔地でのトレーニングサポートができます。全国各地には認定トレーナー試験を合格したスポーツトレーナーがいます。
手本を見ることでイメージがしやすくなることをお話しした通り、トレーニング方法を熟知し、高いレベルで手本を示せるトレーナーに実際に指導してもらうことをお勧めします。
早めに習得できれば、自身のパフォーマンスアップと怪我予防につながります。
 
 
プロスポーツ選手と同じトレーニングを受けてパフォーマンスアップしたい、体幹トレーニングを指導して欲しいなど、JARTAトレーニングサポート依頼についてはこちら。
http://jarta.jp/dispatch/
 
 
今回は「JARTAの体幹トレーニング」を紹介させて頂きました。
時間を作って、必ずチャレンジしてみてくださいね。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。
 
 

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2019年04月17日

慢性疼痛の正体

文:伊東尚孝

 
皆さんは「慢性疼痛」と聞いて、思いつくことは何でしょうか?
 
 
多くの方は「腰痛」「肩こり」などを連想するのではないでしょうか。
 
または、足首の捻挫をしてからずっと違和感がある。
膝の手術をしてから力が入りにくい。
それほどの痛みではなくても、何かしら常に違和感を抱えている人は少なくはないと思います。
症状の程度は人それぞれでしょうが、誰しも経験があると思います。
 
そんな慢性疼痛は、厄介なことにスッキリ痛みが取れるのに時間がかかることが多いです。
もしくは何をしても痛みが取れない・・・
 
なぜなら慢性疼痛は、疼痛部位の問題だけでは解決しにくいからです。
今回は、そんな慢性疼痛を引き起こす「根本の原因」について迫っていきます。
 
JARTA 認定スポーツトレーナーの伊東尚孝です。
 
 

原因は背骨にあり

 
慢性疼痛の厄介なところは、一時的に良くなっても、また再発するところにあります。
なかなか良い状態を維持できず、結局また治療するサイクルに陥ってしまいます。
その理由は、痛みの原因は様々な要素から成り立っており、局所だけの問題解決では限界があるからです。
 
そこで注目してほしいのが
「背骨」
背骨は体の中心に位置し、上から頚椎 7 個、胸椎 12 個、腰椎 5 個、仙骨 1 個と骨が並ん でいます。
骨は、文字通り体の骨組みを形成し支える、臓器を守る、カルシウムを貯蔵する、血液を作るなどの役割がありますが、「力を伝達する」という役割もあります。
 
この「力を伝達する」仕組みが慢性疼痛を解決させるヒントになります。
 

二足歩行の始まり

 
話は少し変わり…
ヒトは進化していく過程で、四足歩行から二足歩行になりました。
この進化によって、背骨のアライメント(姿勢)が大きく変わりました。
 
四足歩行をする動物の背骨は、頚椎から下部は弓なりに弧を描くアライメントになっています。
しかし二足歩行となったヒトの背骨は、S 字に弯曲しています。
 
なぜ S 字に進化したのか・・・
 

その理由は単純で
「力を伝達する」ために、背骨は S 字のほうが効率が良いからです。
 
重力(体重)を支えるための力や、歩く時の足からの衝撃(床反力)などの力を、S 字の背骨は全身に伝達・分散することで、無駄な力を使わずに姿勢・動作を成立させます。
 
足部やひざ、股関節なども力を伝達するために重要な部位ですが、体の中心部に位置しており、多くの骨が連なり多くの筋肉が付着する背骨が、最も効率が良いと考えます。
 
裏を返せば、二足歩行を行うためには背骨を S 字に弯曲させるのは必然だったのでしょう。

 

 

背骨の S 字弯曲の崩壊

 
そんな背骨の S 字弯曲ですが
「座る・立つ姿勢のクセ」「パソコン、スマホの使い過ぎ」「運動不足」などの生活習慣の影響を受け、背骨の S 字弯曲は崩壊し硬まってしまいます。
 
その結果、背骨の柔軟性が低下し、背骨で力を伝達しにくくなり他の骨(関節)が背骨をかばってしまいます。
これを専門的に「代償」と言います。
 
実は、背骨の固さを代償することで他の骨(関節)に必要以上な力が加わります。
この必要以上な力が骨(関節)に少しずつストレスをかけて 慢性疼痛を引き起こしてしまいます。
 
つまり
「背骨」の柔軟性低下
慢性疼痛の「根本の原因」となり得ます。

 

(腰痛の場合、腰も「背骨」の一部ですが、上下にある胸椎・仙腸関節などが問題になることがあります。
同じ「背骨」でも、部位によって柔軟性は変わってきます。)
 
 

背骨の柔軟性を高めるワーク

 
本来であれば背骨は一つ一つがばらばらに動くものです。
ほんのすこしずつ動いた結果、カラダを曲げ伸ばしでき、捻ることができます。
これから紹介するワークには、その「一つ一つをばらばらに」という意識が重要になります。
 
〈方法〉

①足を曲げた状態で座った姿勢からスタートします。
②骨盤から腰椎にかけてゆっくり下ろしていき、背骨一つ一つを順番に床へつけていきます。
③背骨が首の下(第7頸椎あたりまで付いたら、両足を持ち上げて床から離していきます。
④背骨一つ一つをゆっくり離して行き、つま先が床につくまで動かします。
再び、④から①まで姿勢を戻していきます。
 
コツとしては、あらかじめ背骨がどこにあるかを手で触ってから行うと、触った感覚が残っているうちにワークに取り組めます。
 
また、カラダが硬くてこの姿勢が厳しい場合は、①と②の繰り返し、③と④の繰り返しで分節的にワークをしても効果的です。
 
他にも背骨を捻るようなストレッチや前屈などでも、背骨をばらばらに動かす意識があれば、そのストレッチの効果は増大します。
 
いかがでしょうか。
疼痛部位だけの治療で良くならないと思っている方は、背骨の柔軟性を見直しワークに挑戦してみてください。
 
また背骨の柔軟性を高め、背骨を介して力を全身に巡らせることができれば、強いパワーと速いスピードで動くことができると同時に、怪我の予防にもつながります。
カラダの中心にある非常に重要な部位なので、パフォーマンスアップに大きく貢献することができると思います。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

 

※今回ご紹介した内容では、疼痛部位以外の背骨にアプローチすべきだと述べましたが、疼痛部位の評価があってこその話です。
疼痛部位には間違いなく何らかのストレスがかかっており、全く問題がないと言うつもりはありません。
あくまで、局所の慢性疼痛を「二次的なもの」として捉えていることを、ご理解いただけると幸いです。

 

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2019年04月15日

JARTA会員制度終了のお知らせ

平素より、JARTA会員制度をご利用いただきありがとうございます。
誠に勝手ながら、2018年度(2018年9月1日~2019年8月31日)をもちまして、JARTA会員制度を終了することとなりました。
サービス終了までのスケジュール、コンテンツの取り扱い等につきましては、
会員制度終了のお知らせをご確認ください。
長らくのご利用、ありがとうございました。

JARTA事務局

2019年04月14日

立甲を再考する

 

文:竹治久里子

 
 
 
『四足歩行動物が歩いている姿を見ると、肩甲骨が立った状態になっている。この状態を “立甲”と言う。(高岡英夫 提唱)』
 
JARTAのホームページには写真が載っており、セミナーを受講した方には自由にダウンロードできる解説書まで作られている立甲。
解剖学的に見ると、立甲とは肩甲胸郭関節にあたる肩甲骨前面と胸郭後面を引き離す形となっている。
肩甲骨内側縁が胸郭から浮き上がり、菱形筋と前鋸筋は伸張されている。
 
 
そもそも肩甲胸郭関節は機能的関節と呼ばれ、解剖学的関節とは違い滑膜を持たず、骨と骨がかみあって安定性を保つのではなく筋によって肩甲骨と胸郭が結び付けられている。
肩甲骨に付着している筋には僧帽筋、菱形筋、前鋸筋、小胸筋があり、肩甲骨の動きに直接的に関係してくる。
肩甲胸郭関節の動きには2つの滑走動作(挙上/下制と外転/内転)と3つの回旋運動(上方回旋/下方回旋と前傾/後傾と内旋/外旋)があり、基本的に肩甲骨が胸郭の上を滑るような動きになる。
 
 
 
ここで引っかかるのは、立甲をしている状態は、肩甲骨と胸郭が引き離されて内側縁が大きく浮き上がっているということ。
この形だけをみると、肩甲胸郭関節は破綻していることになる。
本来は、肩甲骨が胸郭に覆いかぶさるように動く機能を関節と捉えているのだから。
 
 
 
では肩甲胸郭関節が破綻するとどうなるのか。
 
 
 
Joint by joint という考え方がある。
人体の各関節は大きくモビリティ関節とスタビリティ関節に分けられ、それは人体の関節に交互に存在するという考えである(Michael Boyle、Gray Cook)。
これによると肩甲胸郭関節はスタビリティ関節であり、安定性が求められる関節になる。
 
確かに腕をあげる動作などにおいて、土台となる肩甲骨が安定していないと上腕骨がスムーズに動かないというのは納得のいく話である。
もちろんスタビリティ関節とはいえ全く可動性が必要ないというわけではなく、上肢のスムーズで十分な動きを獲得するためには、肩甲上腕関節の動きに伴って肩甲胸郭関節も動く必要がある。
 
滑走運動と回旋運動により上肢のスムーズな動きを補助しつつ、基本的には安定性が求められる関節、これが肩甲胸郭関節の役割である。
安定性が低下する原因としては、肩甲骨と胸郭を引き付けている前鋸筋の機能不全が主に考えられる。
引き付けが不十分になり内側縁が浮いている状態、これは「翼状肩甲」と呼ばれ、怪我の原因になったりパフォーマンス低下につながったりする。
立甲の形だけを見ると、同じような形になっている。
もちろん「翼状肩甲」「立甲」は全く違うものであり、JARTAの立甲解説書にもはっきりと書かれている。
 
 
しかし立甲を習得しようとすると、その意義よりもまず形を真似したくなる。そして見た目上は立甲ができたように見える人がいる。
 
実は私がそうだった。
 
筋力の強い男性ではあまり起こらないエラーかもしれないが、女性でもともと「翼状肩甲」 ぎみで前鋸筋がしっかり使えていない場合、菱形筋の硬さが取れれば肩甲骨の内側縁は浮かせやすい。
まだ身体のできあがっていない子供も同様だと感じる。
 
前鋸筋などがしっかり使えていて肩甲胸郭関節の安定性がしっかりある人にとっては、あまり弊害のないトレーニングかもしれないが、そもそも前鋸筋が使えておらず安定性に欠ける人にとっては、より不安定性を高めてしまうマイナスの学習になってしまう可能性があるということ。
 
この可能性に気づかずに、見た目の派手さや一方向のメリットだけをみて立甲を指導することのリスクを知っておくべきである。
 
 
立甲を習得するということは、手を身体の前に出していてもゼロポジションをとれる、つまり肩甲上腕関節にかかる負担を軽減することができるなどのメリットがある。
 
とはいえ、上肢を自由に動かすためには、まずは安定性(土台)が必要であり、その安定性は肩甲胸郭関節から得られる。
 
その肩甲胸郭関節を安定させるためには、前鋸筋をはじめとする肩甲骨に付着部を持つ筋の働きが重要である。
つまり、そもそも前鋸筋が使えていない人に立甲だけを指導しても意味がないどころか、マイナスの学習になってしまう可能性がある。
 
 
 
今回は立甲について考察したが、これに限ったことではない。
一見すると、従来定義されている機能や運動と矛盾するような動きを習得する場合、変わった動きや形だけに目が向きがちになる。
 
 
しかしそういった場合ほど基本に立ち返って、一度疑ってみる、疑問に思うということが必要だと思う。
 
 
とくにトレーナーとして誰かに指導する場合、そのやり方やメリットを説明するのは比較的簡単だが(そのトレーニングの提唱者が言ってくれているので)
「その選手に本当に必要か」
「今この選手に指導して問題ないか」
「リスクやデメリットはないか」
 
ということを伝えられるくらいに、自分の中で昇華させておくべきだろう。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

合わせて読みたい記事

続・立甲を再考する
 
 
 

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2019年04月08日

ジュニア世代の運動指導で押さえておくべきポイントを脳科学を踏まえて解説

 

文:岩渕翔一

 
ジュニア世代(特に小学校低学年まで)のトレーニングにおいて飽きさせない工夫や注意を引く工夫、こちらのやって欲しいことをさせるための工夫などを教えて欲しいと質問がありました。
面白いテーマなので今回はこのテーマに関して考えていきたいと思います。
(さらに…)

2019年04月01日

身体操作系トレーニングV S 筋力トレーニング 優秀なのはどっちだ!??

文:岩渕翔一

 
JARTAは身体操作系トレーニングがメインで筋力トレーニングをあまり行わないと言われたり。
選手やチームのためという目的は変わらないはずなのに、それぞれのメソッドを主張してトレーナー同士が縄張り争いや誹謗中傷したり。
そんなことがずっと繰り返されるのがもう嫌だしうんざりしています。
だからはっきりさせましょう。
本当に選手のためになるのは身体操作系トレーニングなのか筋力トレーニングなのか。
 

身体操作系トレーニングと筋力トレーニングの定義

そもそも身体操作系トレーニングってなんでしょう?
筋力トレーニングってなんでしょう?
これは我々がいつも言っていることですが、定義が曖昧なまま、それぞれの主観的定義づけでそれぞれが主張し合うから話が噛み合わない。
それほど不毛で生産性のない議論はありません。
まずは定義づけを。
 
 
[身体操作系トレーニング]
運動課題そのものが複雑で難しい。
運動そのものができない又は明らかにぎこちない状態から始まり、習熟していくことで運動学習による運動課題の遂行が滑らかになる。
その過程で起こる身体及び神経系の変化が機能的要素に対するトレーニング効果となる。

[筋力トレーニング]
主に重量の負荷を身体に与え、それに抗することを反復することで筋肥大を中心とした筋力強化を目的とする。
 
ここで扱う身体操作系トレーニングと筋力トレーニングはこのように定義します。
 
 

身体操作と筋力の階層

ここで一度2つの例を出して考えてみます。それぞれ身体操作、筋力両方の側面から考えてみます。
 
例1:ベンチプレス70kgを1セット7回しか上がらず10回できない。
[身体操作軸での解釈]
70kgのバーベルを10回連続で上げるという運動課題を遂行できない。
→70kgのバーバルを10回連続で上げるという運動ができるようになるよう、トレーニング。
[筋力軸での解釈]
大胸筋の筋力不足で70kg10REPを行えない。
→ベンチプレス70kg10REPができるよう大胸筋の筋力強化を行なって行く。
 
例2:逆立ちができない
[身体操作軸での解釈]
逆立ちという両手掌で構成された基底面内でバランスを取りながら両上肢中心で身体を支えるという運動課題を遂行できない。
→逆立ちという運動課題を遂行できるよう練習し、それを実現するための構成要素も個別で強化しよう。
[筋力軸での解釈]
上肢及び体幹の筋力不足で身体を支えることが出来ない可能性がある。
→全身を支えることができるだけの上肢や体幹の筋力を強化しよう。ただし、逆立ちができるようになるためにはバランスも重要なので他のトレーニングもしなければならない。
 
例1は一般的で代表的なウエイトトレーニングのため筋力トレーニングに分類。例2は逆立ちという身体操作を要する運動課題で分類としては身体操作に当てはまるトレーニング。
どうでしょうか?
筋力トレーニングであろうが身体操作系トレーニングであろうが他のどのようなトレーニングであろうがそれぞれ「運動課題」であることは同じです。
ということは、どのように解釈するのか?というのは捉え方や視点によって変わりますが、結果的にその運動課題が「より上手くできるようになる」という目的は一致しているはずです。
 
ここで見えてくるのは身体操作系トレーニングと筋力トレーニングというのはそもそも階層が違うということ。
 

 
 
このように階層としては、
競技パフォーマンス

身体操作

筋力トレーニング
となるため、どちらかが優秀であるとかどちらが必要だとかそんな考え方になるはずがない。
 
この階層で見ると競技パフォーマンスを発揮するための一条件が身体操作であり、身体操作を実現するための一要素が筋力であることは明白です。
となれば筋力トレーニングも身体操作も必要である。というシンプルな解にしか辿り着きません。
例えばこの表上で筋力と同じ階層になる柔軟性を強化するためのストレッチを全く必要ないとすることなどあり得ないでしょう。それと同じで筋力トレーニングが必要か否かと言われれば必要に決まっているということです。
 

筋力と身体操作は階層が違うという前提での評価を

 
[身体操作系トレーニングに必要な評価とメニュー構成]
身体操作系トレーニングを行なった際に行わなければならない階層間の評価は大きく分けてこの2つです。
・その身体操作は、どういった競技パフォーマンス場面に対する強化になるのか。
・その身体操作で強化されている機能はどのような機能で、強化できていない機能はどのような機能なのか。また、強化できていない機能は補填すべきなのか否か。補填すべきなのであればそれに対するトレーニングはどのようなものなのか。
また、オーバーユースになるような要素はないか。

[筋力トレーニングに必要な評価とメニュー構成]
筋力トレーニングを行なった際に行わなければならない階層間の評価は大きく分けてこの2つです。
・機能に特化したトレーニングを行うことで起こる、その他の機能に対する影響(プラスとマイナス両方)。マイナスがあるのであれば、それを補填するトレーニングメニューはどのようなものなのか。
・その筋力強化は競技パフォーマンスのどの場面で活かされるのか。また、強化なのか補強なのか。
 

 
身体操作と筋力強化。当然それぞれメリットとデメリットがあります。必要なのは詳細な評価と、両方必要に決まっているという前提です。
 
全てはパフォーマンスアップの為に。
 
手段に囚われない。選手のために必要なことをやる。
筋力トレーニングと身体操作系トレーニングのどちらが優秀なのか。そんなものは優劣つかない。選手のためであれば両方必要であるということです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2019年03月31日

その先へ行く為の柔軟性

文:岡元祐樹

 
身体が柔らかい = 怪我しにくい
 
このようなイメージを皆さんは持たれているのではないでしょうか。「だから柔軟性を高めよう」という選手や指導者は多いと思います。
 
一方、身体が硬くても怪我の少ない選手というのは存在します。またそういった選手は柔軟性を高めるトレーニングに対してやる気が出ない場合が多くあります。やらなくても怪我をしないのですから当然かもしれません。
 
今回の記事で伝えたいことは柔軟性の向上は単なる『怪我予防』ではなく、『競技力の向上』にも確実に役立つということです。
 
身体が柔らかい=競技で結果が出やすくなる
 
このようなイメージを定着させることで日々のストレッチやトレーニングを見直し、怪我をしにくく競技で結果を出せる身体へと近づいていきましょう。
 
 

身体が柔らかいだけでは柔軟性が高いとは言えない

 
まずここで『柔軟性』という言葉を整理しておきましょう。筆者が考える柔軟性とは『関節が使える幅』を意味します。ただ単に「立位体前屈で指先が地面に届く」というだけでは柔軟性が高いとは言えません。
 
競技において必要な柔軟性とは、様々な関節の角度で多様な動きができるということです。
逆に柔軟性が低いということは「限られた範囲での関節の角度でないと何もできない」という状態といえます。
 
具体例を挙げて説明すると『開脚』があります。
 

 
このように、座った状態で開脚できる範囲が広いことを「身体が柔らかい」「柔軟性が高い」という表現をすることがあります。
しかしこの状態になることが競技力に繋がる柔軟性なのかは少し考える必要があります。
 
 
次は体重のかかった状態での開脚です。
 

 
このように体重がかかった状態で開脚の形が保持できる。加えて上半身を自由に動かせる状態だとします。
このような開脚の方が実際の競技場面をイメージしやすいのではないでしょうか?
 
例えば野球の内野手が間を抜けそうなゴロを捕球するときや、バドミントンで落ち際のシャトルを目一杯手を伸ばして拾うときにこのような荷重位での開脚がしばしば見られます。
 
しかし一般的に柔軟性を高めるという名目で行われる開脚は、座って行う1つ目のストレッチの方がイメージされがちです。
 
同じ開脚でも「脚を開ききって終わり」なのか「脚を開いてさらに次の動きに移行していく」のかで意味合いが変わってきます。どちらが正解などはありませんが、競技や目的によって必要な柔軟性というものを考える必要があります。
 
 

立ち上がりからのダッシュを例にして柔軟性を考える

 
今年行われた男子サッカーアジアカップ準決勝の日本vsイラン戦。日本の先制点のきっかけになったのは南野拓実選手の『素早い立ち上がり』でした。
 
ドリブル突破をしかける南野選手が転倒し、ファウルでプレーが止まると思われた場面。
しかしプレーは続行されており、いち早くそのことに気付いた南野選手はすぐさま立ち上がってボールを追いかけました。
 
このような立ち上がりから素早く動き出す場面で『股関節の柔軟性』が重要になってきます。
 
通常の走行では体幹はほぼ垂直位であることが多く、股関節はあまり深く曲がる必要はありません。
 

 
しかしうつ伏せの姿勢から立ち上がって走りだす場合、最初の数歩は体幹前傾位を取ることになります。股関節をより深く曲げた位置から後ろへ蹴っていく動作になるのです。
 

 
この時股関節を深く曲げられないもしくは深く曲げた状態から後ろへ蹴れない状態、すなわち股関節の柔軟性が低い状態だったとしたらどうでしょう?
 
なんとか地面を蹴ろうと、その分腰を浮かして対応することになります。この腰を浮かす時間がロスとなって次のプレーへの移行が遅れてしまいます。
 

 

 
 
このような動きでは「股関節を深く曲げて、そこから後方に力強く脚を伸ばせる」ことがより早く動き出すために必要になってきます。
 
この例は股関節の前後方向(屈曲~伸展)の動きのみの説明になります。
股関節にはその他に横方向に開いたり閉じたり(外転~内転)する動きや捻る(外旋~内旋)動きがあり、これらの動きが複雑に絡み合い、多様な動きを実現しています。
 
関節の使える幅をしっかりと確保していく。つまり柔軟性を高めるということは競技力の向上に確実に役立つと言える理由です。
 
素早く立ち上がれない。ぶつかられると簡単に体勢が崩れてしまう。怪我が多い。
 
そういった選手は筋力の問題だけでなく、競技に必要な多様な動きができる柔軟性が獲得できていないのかもしれません。
 
 

もう1つ上のレベルでプレーするために

 
「柔軟性を高めたい」
 
多くの選手・指導者が想っていることだと思います。
 
柔軟性を怪我予防という目的のみで高めようとする場合、関節の動く範囲を拡げようというストレッチが主な手段になりがちです。
座ったままの開脚を例に挙げると、一見開脚は十分に開くことができても股関節周囲の怪我が多いという選手はいくらでもいます。
 
そのため競技特性や自身の得意・不得意なプレーを考慮し、必要な動き作りをしていく必要があります。
 
柔軟性を高めるための要素の1つに静的に筋肉を伸ばすストレッチがあり、確かに怪我を予防する効果も期待できます。
 
しかしそれのみで満足せず、柔軟性というものをもっと広い意味で、競技力の向上に役立つものとして捉えることをお勧めします。
競技力の向上のつもりでやっていたが、結果的に怪我も予防できていたということに繋がるはずです。
 
現段階で怪我が少なくとも、もう1つ上の学年、もう1つ上のカテゴリー、もう1つ上のリーグでプレーすることをビジョンとして描くのであれば、この柔軟性の意味を理解し高めておいて損はないはずです。
 
最高のプレーヤーを目指して。
 
お読みいただきありがとうございました。
 

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2019年03月25日

イチロー選手が徹底する、やれば誰でもできるのに誰もやらないこと

文:岩渕翔一

 
イチロー選手が引退しました。私は、マリナーズが日本で開幕戦を行いそれにイチロー選手が参加するというニュースを見た確か昨年9月。イチロー選手のプレーを日本で観れる機会はこれが最後だろうと思い、必ず観戦に行くと決意し、開幕戦の半年前から東京のホテルをおさえておきました。
 
色々ありましたが無事チケットを手に入れることができ、東京のJARTAスタッフと共に観戦に行きました。テレビの画面を通しでは決して分からない、その場にいてこそ分かる凄さが分かったので今回はそのことを記そうと思います。
全ての競技、アスリート、スポーツ選手にとどまらず、全ての人が見習わなければならないことです。
 
 
 

エリア51


イチロー選手が守るライトを指して「エリア51」といつからか呼ばれるようになりました。そのエリア51にかなり近い1塁側の内野席。イチロー選手が目の前にいます。おかげで試合中、どこに焦点を合わせればいいのかを迷うことになりました。
ボールなのか、目の前にいるイチロー選手なのか。普通はボールを追うのが当たり前ですが、目の前にはイチロー選手。その姿を目に焼き付けたい。そんな風に試合を見ていると一緒に観戦に行っていたスタッフがふとこんなことを言いました。
「イチロー選手だけですよね。ずっと動いてるの。」
 
確かに。通常、外野手は1球1球の合間にしなければいけないことは内野手に比べてもかなり少ないです。
ですのでその間に何をするのかどう在るのかは選手次第で、実際問題としてはほとんどの選手で時間の使い方に伸びしろがあることがほとんどでしょう。
ここにイチロー選手の凄さが潜んでいます。メジャーリーガーという世界最高峰の野球選手の中にあっても、イチロー選手の準備というのは抜きん出ている。
 
 
 

常に最高の準備を

この試合は乱打戦となったことで投手交代が多い試合になりました。ということは野手はその間、試合が再開されるまで各々の時間を得ることになります。
 
イチロー選手はこの時間はもちろんのこと、試合の中で生まれたこういった些細な時間を本当に1秒の無駄もなく使っていました。いつ来るか分からないプレー機会で最高のプレーができるようにできる限りの準備を淡々と怠らずに行っていました。
それは身体の準備だけでなく心の準備も。球場を見渡したり空気を感じようとしているようなそんな所作もなんとなくですが感じることができました。見ていてこれは本当に凄いことだと感じたし、なによりもに感動しました。
・守備位置までのダッシュ
・投球練習中のキャッチボール
・1球1球の合間でのストレッチや視野の確認
・試合の流れで生まれた時間の使い方
 



など。イチロー選手が常に言われている小さいことの積み重ね。これを愚直なまでに実践されていました。バットを丁寧に置くことが一部報道されていましたが、イチロー選手はグラブを外してストレッチを行う際もグラブを丁寧にグランドに置いていました。ひとつひとつの所作や行為全てが野球という競技に対する敬意と愛情にあふれていました。
 
イチロー選手のようなプレーは今すぐできなくても、そのような準備をすることや競技に対して誠実であることは今すぐ誰にでもできるはずです。
しかし、誰もしない。
なぜだろう?
 
理由は選手やチームによって色々あるだろうし、簡単だからこそ継続が難しいのかもしれない。だからこそそれを見た私は感動した。
けどこれは間違いなく誰にでもできることのはずです。
何を目指すのか?にもよるでしょうが、目指すものがあるならできることを積み重ねる。そうでなければ何もなし得ないということを、日米合わせて28年の現役生活の中で圧倒的な成績を残し示してくれた。テレビではなかなか写ることのないイチロー選手の本当の凄さを球場で感じることができました。
感動することも、ありがとうと言うことも勿論大切です。しかし、何かを感じたのならイチロー選手がいつも言っていた小さいことの積み重ね。これを実践するのが何より大切なのではないでしょうか。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年03月21日

再発予防は怪我が減ることでは終わらない

文:赤山僚輔

 
 
昨今、様々なスポーツ外傷に対する障害予防のプログラムが存在します。
 
そのそれぞれは一定の効果があり
 
実際に現場で継続し選手を救っていることも多々あるでしょう。
 
 
しかし、もしそれが“障害予防”を”目的”とする
 
スポーツトレーナーやセラピストの達成感や満足感で終わってはいけない
 
常々そのように感じています。
 
 
もちろんきっかけは指導者からの障害を減らしたいという依頼かもしれません。
 
 
そして結果として怪我が減ればその依頼に対しては
 
プロとして結果を残してるとも捉えられます。
 
 
 
しかしいくらけが人が減ってもゼロにならなければ
 
悲しむ選手や困る指導者の本当の意味でサポートにはなりません。
 
 
 
アカデミックなデータを算出するには
 
ある一定の再現性を元に一貫したエクササイズを提供することが求められます。
 
 
そうでなければそのプログラムによって本当の意味で
 
障害が減少したかを検証できないからです。
 
 
 
でもこれは目的達成に対しての一部分であって
 
これ自体が目的になるものではないと感じています。
 
 
 
現場で活動を続ければ続けるほど
 
外傷や障害をゼロにしなければ
 
本当の意味で障害を予防できているとは言えない。
 
 
 
そのように年々強く感じるようになりました。
 

 
 
 
ではどうすれば障害がゼロになるのでしょうか?
 
 
そこはやはり最低限の柔軟性や筋力など
 
画一的なプログラムで提供できる改善できる部分だけでなく
 
 
その選手がどのようなバックグラウンドを持って
 
現在どのような心身の悩みを抱えているか
 
可動域が正常であっても
 
本人が感じる動きの違和感や力の入りにくさなど
 
 
痛み以外の多くの要因に対しても向き合う必要性があるのです。
 
 
 
残念ながらストレッチやトレーニングで防げる怪我は
 
外傷や障害の一部です。
 
 
多くの選手を現場で対応していると
 
自律神経系の問題や心身相関によるトラブル
 
環境の因子や上記問題が複合されただるさや無気力など
 
はっきりと解決しづらい問題が障害の後ろ側に隠れていることも多々あります。
 
 
 
こういった問題を選手から解決するためのヒントして
 
今回私からご提案したい手法は
 
 
自分の日々のコンディションの変化に繊細に耳を傾けることです。
 
昨日と比べて足がだるければ
 
どういった要因が考えられるか。
 
 
今週はイライラとしてしまいがちであれば
 
何がそうさせているのか。
 
 
 
自分の繊細な心身の変化に耳を傾けることで
 
選手の繊細な日々の変化にも気づくことができます。
 
そして気づいた後、どのようにすれば対処できるかも
 
自分でトライandエラーを繰り返すことで
 
実践できるのです。
 
 
私自身はストレッチを繰り返してもなかなかとれなかった身体の硬さは
 
口に入れるものを今一度見直すことで解決することができました。
 
以前と比較し硬さが出現しにくくなっています。
 
呼吸も大きくできるようになり
 
どういった手法で解決してきたかを自身で整理しています。
 
 
 
前回のブログ(手本力が生きるのはトレーニングだけじゃない)でも触れましたが
 
スポーツトレーナー自身の手本力として
 
身体に向き合うことは障害予防という観点でも
 
どういった要素が自分の不調の起因になっているかを知る
 
重要なきっかけとなるのです。
 
 
 
本当に選手の悩みや繊細な部分に向き合える
 
スポーツトレーナーとして活動していく為に
 
日々の繊細な自分の変化に対して
 
耳を傾けてみてください。
 
 
きっと選手の痛みがでたり、怪我をしてしまう要因の
 
ヒントに気づけるはずです。
 
 
そしてそういった思いや心で
 
選手に歩み寄って一緒に成長してもらいたいと感じています。
 
 
 
教科書的な情報や結果の出ているプログラムを軽視するわけではなく
 
それを知っている前提で次の歩みに進んだ時
 
きっと怪我の出現頻度はこれまでと異なると思います。
 
 
 
 
答えは教科書にはなく
 
現場や臨床に落ちています。
 
 
そしてそのヒントは皆様自身の心身の状態にあります。
 
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年03月18日

競技パフォーマンスに活かすために必要な発展的トレーニング法

文:岩渕翔一

 
アスリートであればトレーニングの目的はその競技が上手くなることであり、その競技で勝てるようになるためです。
またそれに加えて痛みの改善や障害予防の目的もあるでしょう。つまり、アスリートにとってのトレーニングは、

  • ・パフォーマンス向上
  • ・障害及び疼痛予防
  • ・障害又は痛みの改善

という目的が、「その競技で勝ちを目指す」という一段階上の階層にある目的と同じベクトル上にある必要があります。
 
トレーニングには5原則というものがあります。

  • 全面性の原則
  • 漸進性の原則
  • 反復性の原則
  • 個別性の原則
  • 意識性の原則

 
これが5原則です。
基本事項ですので詳しい解説はしませんが、端的にいうとトレーニングはこの5原則が必ず全て考慮されていなければいけないということです。
今回はこの原則にもう1つ。トレーニング効果を競技パフォーマンスに活かすために私が行っている発展法をご紹介します。
 
 

トレーニング効果を無意識下に落とし込むことを意図して発展させる

 
上のタイトルの通りですが、トレーニング効果を無意識下に落とし込むために、トレーニングを段階的に発展させていきます。
どういうことかというと、トレーニングの目的は上記にあげたように、パフォーマンス向上、障害及び疼痛予防、障害又は痛みの改善です。
つまり、弱い部分を強化したり、できないことやできない動きをできるようにしたり、強い部分をより強くしたりということを具体的に行っていくことがトレーニングの具体的手段になります。
ただ、トレーニングで強化した部位や動きを競技パフォーマンスで活かすには、意識しなければできないことではなく、無意識でできるようになる、あるいは発現するようにならなければならないということは誰もが分かっていることです。
 
そのために、
トレーニングによる強化

競技パフォーマンスへの反映
という過程が必要であるとうことは一般的に言われています。
当然、競技そのものの練習を経なければ競技に活きないということもありますが、トレーニングの段階である程度近づけることが可能です。
そのためにはトレーニングの5原則のうち、「漸進性の原則」を応用し無意識レベルでのトレーニングに発展させていくことが重要です。
 
 

負荷量を変えるのではなくタスクを増やす

 

わかりやすいのでウェイトトレーニングを例にします。例えば、ベンチプレスが80kgで1RMの選手がいたとします。
ウエイトトレーイングの場合、ここから負荷重量とセット数を設定します。
漸進性の原則とは、この設定した重さや回数などの負荷量を徐々にあげていかなければトレーニングとしての効果は低くなっていき終いには、トレーニング効果のないただの運動や習慣になるという原則です。
その為、トレーニングを継続することで当然筋力は向上していくため、負荷量(回数や重さ、セット数など)を成長に合わせて変化させるという漸進は必要です。
 
もう1つ。漸進させなければいけないのは、
「そのトレーニングのみに集中できる状況から、いろいろなことに意識を向けながら行わなければいけないトレーニングにする」
という「タスクを増やすという漸進」です。
ウェイトトレーニングであれば、その重量を持ち上げることだけに集中できるのか、あるいは何か他のこと(呼吸や人と喋りながら行う、何らかの合図があれば上げるなど)を意識して行うのか。
身体操作そのものが課題になるようなトレーニングであれば、環境が整い、その動きだけに集中できるのか、あるいは、多様な環境や他のこと(何かを見ながら行う、ペアを組んでどちらが速くて正確かを競うなど)を意識して行うのか。
 
その動きや、強化した要素を競技パフォーマンスに活かすということは、無意識にでもその動きやその要素がパフォーマンスで発現したり使えなければなりません。
つまり、そのトレーニングに集中しなければできないような課題やトレーニングは競技パフォーマンスに活かせるレベルではないということです。
それを競技パフォーマンスに活きることにできるだけトレーニングの段階で近づけるための漸進性が「タスクを増やす」ということです。
そうすることで無意識に発揮できる能力に変換していくという過程をトレーニングの段階で行うということです。
 
 
これは工夫次第で可能となります。

  • ・ビジョントレーニングをしながら行う
    (目のトレーニングはこちらの記事を参照→「マウンドが合わない」原因は眼と脳にあるかもしれない
  • ・会話をしながら行う
  • ・多様な呼吸様式で行う
  • ・練習前と後で同じトレーニングを同じ質で行う
  • ・環境を変える(屋内外、アスファルト、地面、少し傾斜があるなど)
  • ・ペアや複数で行い競い合う
  • ・道具をコントロールしながら行う

 
キリがないですがこのように、「意識して無意識に行わなければならない課題に変換していく」ということです。
負荷量を増加するという漸進性だけでなく「タスクを増やす」という漸進性も意識してトレーニングメニューを組んでみてください。
 
 

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2019年03月17日

選手の自主トレーニングが継続・定着しないときに考えるべき6つの行動障壁

文:福原良太

 
「選手に自主トレを指導したけど、なかなか継続・定着してもらうのが難しい」と感じているトレーナーも多いはずです。
 
そんなときにもしもこんな思いが頭の中をよぎってしまっていたら要注意。
 
・選手にやる気はあるのかな・・・
・選手が自主トレの重要度を理解してくれないんだ
・指導内容をしっかり聞いてくれていなかったのではないか?
 
これらは自主トレーニングがなかなか定着しない責任を、どれも選手に向けてしまっている状態です。
 
これではいつまで経っても選手に自主トレーニングを指導できるトレーナーにはなれません。
 
そうではなく、「選手が自主トレーニングをできないのは、すべてトレーナーの責任だ」とまずは思考を変えることが大切なのです。
 
なぜなら、選手に責任を押し付けてしまってはトレーナーとしての成長も止まってしまうからです。
 
ではどうやって、自主トレーニングが継続できない状態を解決すればいいのでしょうか?
 
その解決方法のひとつが、選手の行動障壁を取り除いていく指導方法です。
 
行動障壁とは、行動しようとする気持ちを遮(さえぎ)る“なにか”のこと。
 
選手は、好きで自主トレーニングをやらないわけではない。
 
自主トレーニングを行おうとする気持ちを遮(さえぎ)る“なにか”に対して手に負えなくなってしまっているだけなのです。
 
したがって、トレーナーはその“なにか”を指導によって取り除いていけばいいのです。
 
ということで今回は、6つの行動障壁なる存在を理解して選手に自主トレーニングを継続・定着してもらえる指導方法について解説していきます。
 
 
 

選手の行動障壁を考えるときの6つの視点

選手が自主トレーニングを行うときに乗り越えてもらうべき行動障壁は以下の6つです。
 
1.時間がかかる
2.費用がかかる
3.肉体的許容性
4.頭脳的許容性
5.社会的な逸脱
6.結果を出すまでに、繰り返し行動が必要か
 
それでは、ひとつずつ簡単に解説していきます。
 
 
その1.時間がかかる
自主トレーニングを行うまでの準備に時間がかかる場合は自主トレーニングの行動障壁が高くなります。
 
時間が奪われることはストレスであり、準備の途中で自主トレーニングをやめてしまいたくなるからです。
 
自宅内でトレーニングをしたくてもトレーニングスペースを作る時間が必要と思われるトレーニングは、選手の生活環境を加味してトレーニングを提供する必要があります。
 
 
その2.費用がかかる
なにか道具を買ってからでないと実践できないトレーニングも行動障壁になります。それが、いくら安いものであっても。
 
選手が「トレーニングは身体ひとつあればできるもの」という意識の強いときに道具を使ったトレーニングの指導してしまうと、思いがけない費用が発生することになるからです。
 
道具を使うのであれば、購入しなくてもよいどの家庭にでもあるような道具を活用したトレーニングを提供しましょう。
 
 
その3.肉体的許容性(動きたくない)
「身体を強化するためのトレーニングなのに、“動きたくない”が行動障壁になるってどういうこと?」と感じた人もいるかもしれません。
 
この“動きたくない”とは、タイミングによって変わります。
 
たとえば、こんな指導をする人もいるかもしれません。
 
「テレビを見ている時間もトレーニングをするんだ!」
 
確かに、これが有効な選手もいます。
 
ですが、なかにはテレビを見ている時間が最もリラックスできて、いつもテレビを見終わったあとにトレーニングの時間を組み込んでいる、いわばルーティン化している選手にテレビを見ている時間のながらトレーニングは適しているとは言えません。
 
また、普段からお風呂上りにストレッチをしている選手に、お風呂上りに汗をかくようなトレーニングをするよう指導するのも行動障壁が高くなります。
 
 
その4.頭脳的許容性(考えたくない)
これは、トレーニング実施時ではなく、指導場面での行動障壁になります。
 
トレーニングの指導をするときに、専門用語を多用すぎてしまうと、トレーニングの有用性が理解できなくなり、結局「なんのためにやるの?」と疑問に思ってしまいます。
 
すると、自主トレーニングを実施するモチベーションが低くなってしまうのです。
 
 
その5.社会的な逸脱(後ろめたさがある)
社会的な規範から考えて逸脱しているような場合は、行動障壁が高くなります。
 
たとえば、学生の自主トレーニング。
「授業中に暇を見つけて股関節を摩るトレーニングをしてほしい」と指導をしたケースなどです。
 
授業中に座ったまま机の下で股関節(股:また)を摩る行為。
 
生活の中で身体と向き合う時間をより多くするというのは良い視点だと思います。
 
ですが、変なことをしていると周りに思われるのが嫌で、できない選手もいるはずです。
 
トレーニングはときに、周辺環境との調和も意識しなければならないことを理解しておきたいです。
 
 
その6.身体が変わるまでに、繰り返し行動が必要か(ルーティン)
「いつまでトレーニングを行えば身体の変化が出るのか、パフォーマンスがアップするのか全くわからない」という状態では、誰もやりたくはなくなります。
 
もしも全くパフォーマンスアップにつながらなかったら、時間という大切なものを失ってしまうからです。
 
とはいえ、トレーニングはやってみないと変化が出るかわからないもの。
 
概ねどのくらいの期間トレーニングをすれば身体の変化が出るのかを示せれば、選手に提示するようにすると行動障壁が下がりやすいです。
 
もしも、選手と関わっている中でその場で新たに考案できたトレーニングなのであれば、短い期間を設定して、「自主トレーニングをやってみて効果が出なかったらやめる」などのフォローアップをしていくことも大切になります。
 
 

自主トレーニングを継続・定着してもらうためには選手とのコミュニケーションが重要

ここまでで、選手が自主トレーニングをなかなか継続できない行動障壁6つを紹介していきました。
 
勘の良い方は、ここまで読んでいただいて「選手の生活リズムを事細かに知っていないと適切な指導ができないではないか」とお気付きになられたかもしれません。
 
そうなのです。
選手の生活リズムを知っていないと、適切な負荷量、頻度、トレーニングの種類、が提供できないのです。
 
そして、選手の生活リズムを知るために自主トレーニング以外の話もしていく必要が出てきます。
 
傍(はた)からみたら身体の使い方には全く関係のない話であっても、じつは自主トレーニングをより有効活用するための提案をするために必要なコミュニケーションであることだってあるのです。
 
あなたは最近、選手とトレーニング以外の話はしていますか?
もしトレーニング以外の話をしていないのであれば、今回の記事をぜひもう一度、読んでいただきたいです。
 
 
 

まとめ

いかがでしたか?
 
今回は、選手が自主トレーニングをなかなか継続できないという悩みのあるトレーナーに向けて、その解決方法の提案をさせていただきました。
 
選手の自主トレーニングを促すのは簡単そうに見えて、じつは奥が深い。
 
また、今回挙げた行動障壁という考え方だけでは物足りない部分はあるかもしれません。
 
まず初めにやっていただきたいことは、自主トレーニングが継続・定着できない場合は、選手のせいではなくトレーナーのせい、という視点を一度持ってみることです。
 
この視点を今一度持ってみるだけでも、解決手段がみえてくるかもしれません。
 
また、自主トレーニングが継続・定着しないのは選手個々によって解決すべきポイントが違うはずなので、選手とコミュニケーションを取りながら思考を張り巡らせていただくと、なにか解決手段が引き出されるかもしれません。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 

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2019年03月10日

手本力が生きるのはトレーニングだけじゃない

文:赤山僚輔

『トレーナーの手本力』
 
 
JARTAセミナーやブログ等でも重要視して
 
お伝えしてきている点になります。
 
 
実はスポーツトレーナーが自身の鍛錬をして
 
手本が見せられる柔軟性や動きを獲得していくことは
 
施術行為やコンディショニングを行なっていく上でも
 
非常に重要になるのです。
 
 
 
これまでもブログやメルマガで触れてきた事がある点ですが
 
改めて今回はお伝えしたいと思います。
 
 
皆様は少しでもよいコンディショニングを実施する為に
 
自分のコンディションを最高に整える準備をしているでしょうか?
 
 
 
腰痛のスポーツトレーナーには
 
選手の腰痛が解決しにくく
 
 
慢性的な肩こり症状があるセラピストは
 
アスリートの肩の重だるさを根本的に解決するのは難しいでしょう。
 
 
 
ただ今回お伝えしたいことはもっとその先にある
 
自身に向き合う重要性についてです。
 
 
 
 
 

硬くなる原因をおざなりしてストレッチしていませんか?

 
 
自分自身の身体のコンディションを現在私は更新し続けています。
 

 
 
そしてそのコンディションの更新を
 
サポート選手の大事な試合、特に実際に自身が帯同する際には
 
毎回更新して迎えるように心がけています。
 
 
 
もちろんそれは自分自身の身体が少しでも軽く
 
繊細な感覚が使えるように
施術の力加減や選手の繊細な状態の変化が感じ取りやすく
する為という目的はあります。
 
 
ただそこに至る過程
 
どんどんと身体が変わってくる中で
 
それ以外の大きな副産物がありました。
 
 
それは今までより自分の身体が柔らかく
 
軽く、動きやすくなることで
 
どういった日常生活での事柄や
 
自分を硬くさせ、動きを重たくさせるかが
 
より具体的に整理できるようになったのです。
 
 
 
 

身体を硬くさせる要因は日々に無限に眠っている

 
 
 
 
どんな時に背骨が硬くなるか・・・。
 
もっと具体的に
 
何をした後で下部頚椎が硬くなるか
 
もっともっと具体的に
 
寝る前と寝起きで胸椎の1番の硬さがどの程度変わっているか。
 
 
 
 
一度硬さが取れた状態を経験するからこそ
 
どういう時にその部位が硬くなる可能性があるかを
 
実体験をもって学ぶ事ができます。
 
 
私自身、選手と関わってきた経験的にも
 
ただ、硬い部位の関節や筋肉の硬さを取る手法を伝えて
 
真面目にケアをする選手でも
 
すぐに硬さが再燃することがあります。
 
 
 
一時的にであればケア頻度を大幅に増やせばある程度は解決するでしょう。
 
でも現場レベルでは頻度を増やすだけでは解決できないことも多々あります。
 
 
そういった時にプラスの事をするだけでなく
 
何がそのプラスをまたマイナスにさせるのかを徹底的に考えるのです。
 
 
そしてそれをスポーツトレーナー自身が自分の生活や人生をかけて
 
トライしていく事でより具体的な提示をする事ができます。
 
 
 
そして今、わたしはもっともっとコンディションを向上させ
 
単なる硬さだけでなく
 
心身に関わる全ての問題に対して何がマイナスになるかを客観視できるよう
 
自分の体に向き合いたいと思っています。
 
 
是非、本ブログをお読みの方は今一度自分の心身に向き合って
 
スポーツトレーナーとしての手本力に向き合ってみてください。
 
 
きっとその先に選手の笑顔があると思います。
 
 
 
私は今日サポートしている選手の試合帯同で
 
KO勝ちを経験することができました。
 

この笑顔を見るたびに、またより一層自分に向き合おうと思えます。
 
 
そのような日々が本ブログをお読みの皆様にも訪れる事を祈念しております。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年03月07日

セミナー受講料の改定について

 
平素よりJARTAのHPをご覧いただき、誠にありがとうございます。
 
 
2020年1月より消費税増税に伴い、現在表記しているセミナー受講料+消費税(10%)に変更いたします。
※全てのセミナーが対象です。
受講希望される方はお早めにお申し込みください。
 
◯認定スポーツトレーナーコース
BASICセミナー
コンディショニングスキルコース
トレーニング理論コース
 
◯JARTAセミナー(現在募集中のセミナー)
・JARTA指導スキルセミナー
投手用トレーニングセミナー
サッカー上半身トレーニングセミナー
JARTAスポーツ障害・循環アプローチセミナー
 
 
 
誠に勝手ではございますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
JARTAセミナー事務局

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2019年03月03日

南米式パントキックの土台

 

文:岡元祐樹

 
「パントキックがイメージ通りに蹴れない」
 
サッカーにおいてゴールキーパーというのは、失点を防ぐことが主な仕事となります。
しかし戦術の進化によって、ゴールキーパーもキックの質が問われるようになってきました。その中でもパントキックはゴールキーパー特有の技術です。
 
遠くにいる味方選手に迅速に、正確に、トラップしやすいボールを蹴る必要があり、現代サッカーでは質の高いパントキックを蹴れることはゴールキーパーの大事な能力の1つに挙げられます。
「パントキックのミスが多いからレギュラーになれない」という場合も少なくないでしょう。
 
現代のサッカーにおけるゴールキーパーのほとんどが『南米式』と言われる形のパントキックを用います。
身体の横にトスしたボールをサイドボレーの形で蹴ることを南米式のパントキックと呼びます。
一方、身体の前方にトスしたボールを蹴るパントキックを欧米式のパントキックと呼びます。
 

 

(さらに…)

2019年02月28日

認定スポーツトレーナーコースがリニューアルします

 
認定スポーツトレーナーコース「ADVANCEセミナー 」は現在募集しているセミナーが最後となり、4月以降より新コースに移行いたします。

新 認定スポーツトレーナーコース
 
 
新コースでは、BASICセミナー受講終了後、「コンディショニングスキルコース」「トレーニング理論コース」に枝分かれします。

 
コンディショニングスキルコース」では、選手のコンディションを最適化するための技術・考え方を実践レベルで体系的に学びます。
※プログラム内容、日程は近日中に公開予定
 

 

トレーニング理論コース」では、パフォーマンスの構造と高め方、トレーニングの構造、選手の分析方法、デモンストレーションの重要性などを体系的に学びます。

非常に多くのトレーニングを習得することができます。

 
 
 
どちらか一方のコースだけの受講も可能な構成となっておりますので、スポーツリハビリのみ、フィジカルのみなど必要に応じて選択していただくこともできます。
※認定スポーツトレーナー資格を目指される場合は両コース修了が必要
※どちらのコースを先に受講してもらっても構わない(トレーニング理論コースはレベル1、レベル2の順での受講となります)。

 
 
現在ADVANCEセミナーを受講中で、進学を検討されている方や認定スポーツトレーナー試験を受験されたい方は、
旧コース受講中の方が新コースを受講される場合の進学手順
を参考にお申し込みください。
 
 
何卒よろしくお願いいたします。
 

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2019年02月25日

【アスリート向け】アスリートにトレーニングが必要な理由


 

文:岩渕翔一

 
昨今では、あまりにも当たり前すぎてあまり考える機会がないのかもしれない。
なぜアスリートはトレーニングをするのか?
・競技がうまく強くなりたいのだから競技の練習ばかりしたほうが効率が良いのではないか?
・キツいトレーニングが嫌い
・地味なことは嫌い。勝ち負けより技術を身につけて美しいプレーをすることの方が好きだ
こう言った声は今も度々耳にします。
競技の練習さえしておけば強くなり、勝てて、美しいプレーができ、怪我をしないのであれば当然トレーニングは必要ないでしょう。
しかし競技の練習だけでは不足しているからアスリートはトレーニングをします。
練習だけでは足りない部分をトレーニングすることで、強くなり、勝利に近づけ、怪我を予防することができるからトレーニングは行われていますし、そういったロジックのもとトレーニングメニューは構成されているべきです。
 
 
 

競技の練習とトレーニング。目的は一緒だか対象は別物

競技の練習は基本的に技術の習得や、戦術や作戦の理解・浸透、チームの連携プレーの向上を目的に行います。
一方、トレーニングは競技パフォーマンスに必要な構成要素(筋力、持久力、柔軟性、身体操作など)を強化することを目的に行います。
 

 
 
どちらも目的は勝つことや強くなることですが、強化の対象が全く別物であることがわかります。
競技の練習で「結果的に」パフォーマンスの構成要素が向上することは当然ありますが、それ自体を対象にしていることはほとんどないでしょう。
このように競技の練習とトレーニングは強化する対象が全く違うということを理解しなければなりません。
 
 
 

トレーニングが必要な理由その1:故障のリスクが極めて低い中で強化を行える

例えばサッカーやラグビーといった競技で体力向上を含んだ競技の練習をしようと思えばどうなるでしょう?
当然練習時間は今より長くなります。
また、競技の練習を並行して行なっている以上、その分選手同士が接触する機会が増えることが予測されます。
選手が故障するのは競技に関わらず圧倒的に試合中や実戦形式の練習中が多いです。
練習時間や試合頻度が多くなれば当然、故障のリスクは高まります。
 
一方、トレーニング中に故障を起こすというのは試合に比べれば障害発生数は如実に低下します。
私自身、選手がトレーニング中に故障を起こしたというのは未だに経験していません(練習中はあります)。
 
つまり、トレーニングで強化できることはトレーニングで補うことで故障リスクを回避した中で安全に構成要素の強化ができるということです。
 
 
 

トレーニングが必要な理由その2:オーバーユースを予防できる

例えば、野球のピッチャーが球速アップを目的に投げ込みの量や頻度を増やすとどうなるでしょう?当然オーバーユースによる肩や肘の負担が懸念され、故障のリスクが高まります。
そうならないためにも、オーバーユースを回避し球速アップに必要な構成要素の強化を安全に行うことができます。
 
それぞれの競技において障害発生の部位別頻度は異なり、競技における傾向があります。
単純にいうと、その競技をやっているから起こしやすい障害であるため、強化も予防もトレーニングで補えるのであればそのほうが安全に行えるはずです。
 
 
 

トレーニングが必要な理由その3:過度なアンバランスを防ぐことができる

ほとんどの競技は左右対称に身体を使うことはありません。
テニス選手とサッカー選手と野球選手では体型が全く違うのと一緒で身体はその競技やその選手のパフォーマンスに合わせて変化します。
それ自体はいいのですが、それが過度になりすぎるとバランスを崩しパフォーマンスが低下することが度々あります。
そしてそれを競技レベルで気づいたときにはかなり深刻な問題になっていることが多いです。
 
トレーニングはこの競技パフォーマンスに悪影響を及ぼすようなアンバランスを発生させないためにも必要になります。
ある程度どのようなアンバランスが生まれてくるかは予測できるので、予防的にトレーニングを行うことができますしそれはパフォーマンスアップに直結します。
 
 
 

トレーニングが必要な理由その4:人間の構造上、動きにくい部位と動きやすい部位があるため

例えば脊柱。
腰椎は可動性があり動きやすいですが、胸椎は稼働性が乏しい部位です。
それは構造上そうなのですが、多くの競技で「身体を使って」とか「全身で」とかいうように脊柱の動きは凄く重要です。
中でも胸椎の可動性や操作性というのは競技に関係なく重要で、構造上動きにくい部位であるが故に、この部位が動く、使える選手は非常に優位に立てることがあります。
 
しかし、構造上は腰椎が動きやすく胸椎は動きにくい。
そうなると、全身を使うといっても競技レベルではやはり腰椎が動きやすくなり、それがパフォーマンスの低下を招くだけでなく、腰部のオーバーユースとミスユースにより故障を起こしていることが少なくありません。
 
そうならないためにも、構造的に動かしづらい、動きづらい、意識しづらい部位をトレーニングによって選択的に強化することができます。
 
 
 

トレーニングが必要な理由その5:要素の最大値を上げることができる

競技の練習だけをやっていても構成要素の強化はある程度見込めますが、ある程度です。
なぜかというと、競技パフォーマンスというのは基本的に色々な要素の統合で発揮されるため、コントロールできなければ意味がないからです。
速いけどコントロールがめちゃくちゃとか、強いけど遅いとかでは安定したパフォーマンスを発揮できないため、基本的にはコントロールできる範囲でしか要素は発揮されません。また、想像していただければわかると思いますが、競技練習をしながら柔軟性の最大値を改善できるほどストレッチをかけることができるでしょうか?想像しただけで故障を起こしそうで怖い乗っではないかと思います。
 
そこをトレーニングによって、安全に柔軟性や筋力、持久力を要素別に強化し絶対値を上げることで、各要素の余力を作り、競技パフォーマンスで発揮できる(コントロールできる)要素の最大値を上げることができます。
 
 
 

トレーニングを有効に行うために重要なこと

ここまでアスリートにとってトレーニングが必要な理由を述べてきましたが、勘違いしてはいけないのは、単純に要素を高めればパフォーマンスが上がるかと言われればそんなことはないということです。
例えば柔軟性が向上すればするほど、筋肥大が起きれば起きるほどパフォーマンスがそれに比例して向上するわけではありません。
そこには各要素との相互関係があり関係性があります。
 
短絡的に要素を伸ばすことは他の要素の低下を招き、パフォーマンスを低下させ故障を起こしやすい身体にしてしまうリスクすらあります(JARTAではこのような現象をマイナスの学習と呼んでいます)。
 
そのようなマイナスの学習を起こさないためには、なぜそのトレーニングをするのかという評価と分析が根底に必要です。

  • ・競技パフォーマンスの評価と分析
  • ・選手の動きや姿勢、身体の評価と分析

その上でトレーニングの選択と量と質の決定を行います。
 
障害予防、効率性、安全性、身体の強化などを目的にアスリートがトレーニングを行う意義を解説しました。
適切な評価と分析のもと効果的なトレーニングを行えば必ず競技パフォーマンスの向上に繋がるはずです。
身体という土台そのものの強化であるトレーニングはその選手が持つ潜在能力を高めることと同義です。
その高めた潜在能力をうまく引き出すために行うのが練習の目的の一つです(トレーニング効果の転移と言います)。
 
アスリートであれば誰もが勝ちたいはずです。
勝つためには、競技練習とトレーニングを並行して行っていくことがやはり大切です。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2019年02月21日

ねじれて感じる身体のつながり

文:萩 潤也

常人では体現できないようなスピード、パワー、バランス等を駆使したプレーを行うことができるトップアスリートは一般の方と比べて何が違うのでしょうか?
筋力、柔軟性、感覚、判断力、、、etc
ハイパフォーマンスを実現するための身体の使い方には本当に様々な要素が含まれます。
 
今回は様々な要因のひとつである身体の「連動性」についての話をしていきたいと思います。
(さらに…)

2019年02月18日

投手の球数制限がもたらす野球界の成長

文:岩渕翔一

選手を守るため野球界が少しずつ変わろうとしています。
 
新潟県高野連の球数制限導入なるか
https://www.yomiuri.co.jp/sports/koshien/20190216-OYT1T50071/
軟式の少年野球も球数制限。一日70球
https://www.asahi.com/sp/articles/ASM2G4QVPM2GPTQP02H.html?iref=sp_ss_date
新潟県の球数制限に筒香選手も期待
https://number.bunshun.jp/articles/-/833235
 
命はなにより大切です。
命さえあれば、生きてさえすればどんな失敗をしてもまた前に進むチャンスがあるからです。だから人はなによりも先に命を守らないといけない。
 
(さらに…)

2019年02月17日

選手に合わせて伝え方を変える方法

「どうしたら伝え方が上手くなるんだろう・・・」
「自分がイメージしていた動きと選手の動きとに微妙な違いが出る・・・」
 
 
あなたは、選手に伝えた動きやトレーニングがイメージしていたものと違ってしまい、パフォーマンスアップにつながりにくくなってしまった経験はありませんか?
 
 
もしくは、「結論から話すように言われているし、実践もしているのだけど、なんだか伝わっているかどうか不安・・・」という気持ちになっている人もいるのではないでしょうか?
 
 
なかには、実際に選手から「わかりにくい。もう一度説明してほしい。」と堂々巡りになってしまった経験をされている人もいるかもしれません。
 
 
スポーツトレーナーは、パフォーマンスアップにつながる動きの改善をしていきます。
 
 
したがって、いくら動きを見て伸びしろのあるポイントがわかっても、いくらトレーニングの方法論が備わっていても、評価してみつけた伸びしろを伸ばすための“伝え方”が適切でないと、選手を戸惑わせてしまうのです。
 
 
選手が戸惑ってしまっては、身体の動きにぎこちなさが生じてしまい、どんなに良いトレーニングであっても試合に活かせるパフォーマンスアップは望めません。
 
 
ではなぜ、こんなことになるのでしょうか?
 
 
じつは、トレーナーが“それぞれの選手に合わせた伝え方”ができていないから生じてしまっている可能性があるのです。
 
 
そこで、今回は選手に合わせて伝え方を変えるために必要な“ある評価”と実践方法について千葉で活動する認定スポーツトレーナーの福原良太が解説していきます。
 

 

情報を伝える方法は3つある

選手に合わせた伝え方を知るために、まずは情報を伝える方法にはどのようなものがあるのかわからないと実践できない。
 
 
ということで、まずは人が相手に何かを伝えるときの3つの方法を知っておきましょう。
 
 

  • 1.ビジュアル
  • 2.オーディオ
  • 3.感覚

 
 
上記3つのどれかを使って人は情報を相手に伝えています。
 
 
「ビジュアル? オーディオ? 感覚? 初めて聞いた。急にそんなこと言われてもなんだかわからない・・・」という方も多いはずです。
 
 
選手に合わせた伝え方を評価する前に、まずは上記3つを簡単について解説していきます。
 
 
 
1.ビジュアル
目で見た情報が理解しやすいケースです。
 
目で見た情報が理解しやすいので、JARTAでいう「手本力」がとても重要になってきます。
 
手本をみてもらうことで、トレーナーの伝えたい内容をより適切に伝えやすくなります。
 
また、ビジュアル系の人は、早口であったり、目標設定が得意であったりといった特徴があります。
 
 
2.オーディオ
耳から聞いた情報が理解しやすいケースです。
 
動作練習の時は、動きの時に生じる「音」を付けて説明をするとより適切に伝わりやすくなります。
 
読売ジャイアンツ終身名誉監督である長嶋監督は、コーチングをするときに擬音をよく使うことで有名ですが、これはオーディオ系の伝え方であるとも言えます。
 
オーディオ系の人は、普段から擬音をよく使います。また、目標設定は比較的苦手な場合が多い印象です。
 
 
3.感覚
「感情」や「気持ち」といったものが付け加えられた情報が理解しやすいケースです。
 
トレーニングを行ったときに感じると思われる感情、たとえばインナースクワットのときに「うまくいくと、背筋も伸びて呼吸がしやすくなるから、気持ちも穏やかになる感じがする」といった付属情報を伝えるとより適切に伝わりやすくなります。
 
感覚系の人は、比較的女性に多い印象です。
(とはいえ女性全員に当てはまるわけではありません。)
 
また、他者の気持ちを理解するのにも長けている人が多く、他者の気持ちを代弁するようなフレーズを普段からよく使います。
 
 
 

それぞれの選手に合わせた伝え方をするための評価

評価の仕方は簡単です。
 
 
その選手が、普段からどの言語を使っているのか、もしくはトレーニングを提供したときにより反応のよい伝え方は3つのうちどれか判断すればいいだけです。
 
 
その選手に適切な伝え方は、オーディオなのか、ビジュアルなのか、それとも感情なのか。
 
 
あとは、それに合わせて言語を選び、トレーニングを伝えてあげればいいのです。
 
 
すると、選手はこんなことを思うのです。「あ、このトレーナー、わたしのこと理解してくれている?」
 
 
つまり、選手が普段からよく使う言語を活用して情報提供をすることで、調和が図れるようになって、こちらの伝えたい内容がより理解しやすくなるのです。
 
 
 

トレーナー自身が普段から使っている言語がわかると選手にも情報を伝えやすい

自分のことがわかっていないと、他人のことを理解できない。
ということで、まずは、あなた自身が普段からどの言語を使っているのかを知る必要があります。
 
 
じつはこの記事の冒頭でも、3つの言語を使って導入文をかかせていただいています。
それが、以下の文章です。
 
 
“あなたは、選手に伝えた動きやトレーニングがイメージしていたものと違ってしまい、パフォーマンスアップにつながりにくくなってしまった経験はありませんか?
→ビジュアル
 
“「結論から話すように言われているし、実践もしているのだけど、なんだか伝わっているかどうか不安・・・」という気持ちになっている人もいるのではないでしょうか?
→感覚
 
“「選手からわかりにくい。もう一度説明してほしい。」と堂々巡りになってしまった経験をされている人もいるかもしれません。”
→オーディオ
 
 
ここまで読んでくださっている方であれば、これら3つのなかで「あ、この記事の続きを読んでみようかな?」と思ったフレーズがきっとあるはず。
 
 
そして、そのフレーズこそがあなたの普段から使っている言語なのです。
 
 
あなたが普段から使っている言語は当然、使い慣れていると思います。
 
 
もしも、「選手に伝えたいことが伝わっていない気がする・・・」と思ったときは、普段使っている言語以外の伝え方も試してみてください。
 
 
 

まとめ

いかがでしたか?
 
 
今回は、選手に合わせて伝え方を変える方法をお伝えしました。
 
 
そして、伝え方には以下の3つがあると解説していきました。
 
 

  • 1.ビジュアル
  • 2.オーディオ
  • 3.感覚

 
 
まずはあなた自身がどの言語をよく使うのか、確認してみてください。
 
 
そして、今まさに「言いたいことは間違えていないはず。でもなかなか伝えたい内容が伝わりきらないときがあった」という人は、次の機会に、普段あなたが使っている言語以外の伝え方で情報を伝えてみてください。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございます。

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2019年02月11日

スポーツ界で蔓延する抽象的言語に注意せよ

文:岩渕翔一

 
今回の記事はトレーナーや指導者に向けた記事です。選手を指導する際に抽象的な表現を使うことは非常に多いと思います。
丹田、軸をつくる、タメがある、壁をつくる、ブレーキ筋、アクセル筋、前モモ、裏モモなど
あげればキリがないですが、これらの抽象的な言語を使うメリットと理由は明確です。選手を指導する際に上記のような抽象的な表現や感覚的な表現を使うことで、選手が、「イメージできること」や「納得できること」、「意識できること」が進み、トレーニングや競技パフォーマンスを効果的に行うことができるからです。
(さらに…)

2019年02月09日

「食事」と「栄養」が心とカラダを繋ぐ

文:伊藤直哉

 
 
スポーツに一生懸命に取り組む我が子の力に少しでもなりたい。
 
それが親の心境だと思います。力になる方法はたくさんあります。応援に行くのも道具を買うのも練習を手伝うのもそうです。
しかし、どの程度関わっていいものかは悩みの種でもあります。親が干渉しすぎると良くないと言われたり、大きくなるにつれ子どもが自立していきむしろ距離をとられる。 我が子を応援したい。そんな親の思いをありったけ思う存分込めることのできる方法が一つだけあります。
 
それが食事と栄養です。
 
毎日食べる食事であるからこそ可能性は無限大です。
スポーツに一生懸命取り組むための土台となります。
 
そしてセラピストやトレーナーは、その橋渡しが出来ます。
我が子のために奮闘する親のために、食事と栄養の大切さを知り、その手段を伝えることが出来ます。
 
全ては選手のために
そしてその選手を想う親のために
食事と栄養という方法があります。
 
 
今回はそんな我が子を思いながらも仕事など日々忙しく奮闘しているご両親へ、ひとり暮らしを始めて食事に困っている選手への記事です。
 
 

 
 
大切なのは分かってるが、栄養、栄養って言っても…
「めんどくさい」
「練習してしんどいのに作る気にもならない」
と思っている方が多いと思います。
 
そんな選手のために、
そして料理をしてくれているお母さんのために、
 
カラダも冷やさず、栄養素も取りやすく、
そしてただ食材を入れるだけでできる簡単な(料理の仕方に個人差はありますが…)
『スープ最強説』
を東洋医学の視点から日々の食材を選ぶ方法をお伝えします。
 
 
前回の記事でも紹介しましたが、
「冷えは万病の元」
冬のトレーニングだけでなく、体調管理も夏に影響する
 
スープはこれを解消してくれます。
 
カラダを冷やしてしまう食材でも温める調理法を用いることで、冷やす作用が緩和されます。
温める・冷やすという観点で食材を考えるストレスも軽減されます。
そして何より、自分で作っても失敗しにくいのも大きなメリットです。
私も料理はしますが、スープ作りで「失敗した〜」と思うほどのことはありません。
練習や日頃の生活に気を配っているからこそ、大切な食事といえども簡単で美味しいのが1番です。
 
 
 
では実際にどういう時にどのようなものを食べると理想的か(アドバイスしたら良いか)ご紹介します。
 
・しんどい
・だるい(重だるい)
・ぼーっとする
・動きたくない
・眠い
・めんどくさい
・気合が入らない
・胃腸が弱い
などの症状がある選手はカラダを動かしたり、温めたりするための生命活動のエネルギー《気》が不足しています。
練習したりしてこの《気》を消耗して、少なくなっている選手は本当に多いです。
 
 
では、シンプルに《気》を補う食材を入れれば良いのですが。
 
東洋医学にはこういう言葉があります。
「気血同源」
《気》と《血》は相互依存関係です。
《気》は《血》(全身に栄養を運ぶ作用)を作っています。
ですので《気》が不足していれば、《血》も不足してきます。
カラダにエネルギー《気》を補給し、栄養を運んでくれる《血》を作って元気を取り戻すのが理想です。
 
 
では実際に入れていきましょう。

 
見た感想はいかがでしょうか。
すぐスーパーで買えるものばかりですよね?
ベースはコンソメでも和風だしでも何でも大丈夫です。
更にしょうがを入れればカラダもより温まります。
(カラダに熱を持っている人は入れすぎに注意)
 
気分転換に酸味のあるトマトを入れても良いですね。
トマトは胃の働きを助け、食欲増進効果もあり、酸味は肝(肝臓のようなもの)の機能も上げてくれます。
 
また大豆は気を補い、胃腸の機能も高め、血流も良くしてくれます。
豆類は水の代謝にも良く、むくみやカラダの重だるさも取り除く作用がありますので、
ミックスビーンズなどを使うと良いです。
 
 
いかがでしょうか?
良く食べる食材ですし、スーパーでも簡単に買えます。
 
いつも食べているかもしれませんが、何気なく食べているのと意識して食べているのとでは効果も違います。
同じストレッチでも何も考えずにしているのと、筋肉など意識しながらしているように。
 
 
日々の練習で頑張っているからこそ、大切な食事。
それでもより簡単に作れることも大切な継続できるポイントかと思います。
 
そんな時はスープにして、いろいろな具材を入れてみてはいかがでしょうか?
疲れているからこそ、カラダを冷やし過ぎず、胃腸に優しく温かくして食べてみてはいかがでしょうか?
 
 
今回は1つ例を紹介しました。
他の症状にも食材や調理法を変えて、『最強のスープ』が作れます。
もちろん腹八分目、良く噛んで食べることも《気》や《血》を作る上でとても大切です。
 
 
JARTAスポーツ栄養セミナーでは、この記事のように東洋医学の視点を用いて選手のカラダの状態に合わせて、食材や調理法を考えていきます。
 
そして、「口に入るまでのコンディショニング」
例えば、疲れて消化吸収力が落ちて、食べたものが吸収されず、栄養がパフォーマンスに繋がらないことのないように、普段からの過ごし方やセルフワークもお伝えしていきます。
▶︎JARTAスポーツ栄養セミナーの詳細はこちら
 
 
是非、
パフォーマンスUPやケガをしないカラダづくりに、東洋医学の視点を取り入れて、食事や体調管理を考えてみてはいかがでしょうか。
参考にしていたけたら幸いです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
〈前回の記事はこちら〉
手段に囚われない、食事面からのサポート
夏の食欲不振へのアプローチ
冬のトレーニングだけでなく、体調管理も夏に影響する
 
 
 
 

 

今回JARTAではスポーツ栄養セミナーがコース化されました。

西洋と東洋、両方の栄養学を体系立てて学ぶことができます。
※参加条件はありません。どなたでもご参加いただけるセミナーです。

 

日本における栄養学は西洋的な観点を中心に発展してきましたが、実は東洋にも栄養学があります。

 

JARTAでは、西洋医学と東洋医学、そして西洋的身体観と東洋的身体観は、それぞれ補い合え、両者をそれぞれ使いこなすことで選手にとってより良いサポートが実現できるという考え方を持っています。

 

我々はこの考え方は栄養学にも当てはまると考え、西洋と東洋の栄養学の両者を使いこなせるようになることを目的としたセミナーを開催することにしました。

 

▶︎こんな方には特にお勧めいたします。
・西洋だけでなく東洋の栄養学も学びたい方
・スポーツ栄養学に興味があるけど、どこから学べばよいかわからない方
・スポーツ現場での応用編など、より深く学びたい方
・スポーツをしている方の栄養をサポートする立場にあるが、不安がある方

▶︎JARTAスポーツ栄養セミナーの詳細はこちら

JARTAスポーツ栄養コース


 

Stage1の募集は始まっています。
(Stage2以降へは必要に応じて進学をご検討ください)

皆様のご参加をお待ちしております。

ーーー
Stage1 -基本の食事 大阪会場
※当セミナーはJARTA認定スポーツトレーナーコースに含まれません

▶︎日程 2019年2月17日(日)10:00~15:00(受付:9:30)
▶︎会場 アルファオフィス247大会議
▶︎講師 西洋編|片山真子、東洋編|伊藤直哉
▶︎申し込みフォーム https://beast-ex.jp/fx3952/NUOsaka

 

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2019年02月08日

stadio SAPOイベントのご案内

 
3月10日(日) 13時より、studio SAPO様のスタジオにてJARTA認定講師の和泉が講師をつとめます。
日頃から運動をされている方、
ご自身のレベルアップをされたい方、
新たな発見をされたい方
にはぴったりの内容となっておりますので、ぜひご参加ください。
 
 
詳細はこちら



JARTA公式HP
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2019年02月07日

トラップの瞬間に軸足はどうする?

文責:岡元祐樹

 
サッカーの試合で”トラップ”を見ていると「軸足をあえて浮かしている場面がある」ことが観察できます。
軸足をつけたままの”トラップ”とどのような違いがあるのでしょうか?
 
(さらに…)

2019年02月04日

[動画付き]脱力がスポーツに重要な理由を論理的に解説します

文:岩渕 翔一

 
脱力することがスポーツに重要であることは多方面で聞かれるようになりました。一方、なぜ重要なのか?という核心的な部分においては未だ、抽象的な解説が多いようにも感じます。
・脱力している方が筋出力が大きくなる
・体性感覚が良くなる
・無駄な力が入らない分疲れにくい
・予備動作が起こりにくい分、動き出しが早くしかも相手に察知されにくい
 
このようなことが言われています。今回は、これらの「なぜ」をもう一段階深掘りし、論理的かつ具体的に考え、なぜスポーツにとって脱力が良いのか?を簡単な実験を交えて解説します。
 
 

重く感じることと、重くなることを区別する

 
こちらの動画をご覧ください。


 
1回目は軽く持ち上がる
2回目は重いけど持ち上がる
3回目では重くて持ち上がらない
動画を見ていただくとこのようになっていきますが、これは身体操作でいうと、
1回目脱力してない
2回目はそこそこ脱力している
3回目はおもいっきり脱力している
と変化をさせていっています。つまり、脱力すればするほど持ち上げる側からすると重くなるということですが、まずはなぜ脱力すると重くなるのか?を理解することが必要です。
 
この現象はよく、脱力している(力が抜けている)ので1つの物体として捉えづらく持ち上げにくくなるから重く感じるというように説明されることが多い印象です。
 
ようは、重さが変わっていないのに重く感じるのは、身体の使い方が問題だということですが、これは誤りです。
もちろんそういった捉えどころがないから重く感じるという要因はありますが実際、重さは変わっています。ここで大切なのは、「重く感じること」と、「重くなること」を明確に区別してください。そういう意味で力が入っているより、脱力したほうか重さは重くなります。
 
そのことを証明するために、体重計を使った簡単な実験を行ってみます。
体重計の上でスクワットをしてみてください。落下運動時は実際の体重より軽く、起立運動時は実際の体重より重く表示されるはずです。
次に体重計の上からジャンプをしてみてください。飛ぶ瞬間、数値が実際の体重より大きく表示されると思います。
 
これはなぜでしょうか?
体重計というのは、その人が持つ質量ではなく、その時に発生している抗力を計測しています。抗力とは、物体が接触している他の物体や地面等の固体の面を押しているとき、その力の面に垂直な成分に対し、作用反作用の法則により、同じ大きさで反対向きの固体の面が物体を押し返す力です。
 

体重計はこの作用反作用の法則を利用して体重を計測しています。そのため、体重計の上で静止することでその人の持つ質量とほぼ同程度の重さがその時に発生する抗力となるため質量と同程度の数値が表示されますが、体重計の上で動いていると数値が安定しません。これは誰もが経験したことがあるはずです。
 
先程の持ち上げる実験で見たように「脱力したほうが重さは重くなります」。しかし、その物体が持つ質量は全く同じままです。変化するのは、物体そのものにかかっている下向きの力です。質量は宇宙の中どこにあっても同じですが、重さは重力加速度(地球上では9.8m/s2)と質量の掛け算なので変化します。
 
質量とはその物体が有する量であり、どこにあっても変化しません。
重さというのは力であり、質量と加速度を掛けたもの(F=ma)です。地球上の物体には常に下向きの重力加速度(9.8m/s2)が掛かっているとうことです。
しゃがんだり立ち上がったりする際は加速度と加速度のベクトル方向(力の向き)が変化しているため体重計の数値はその瞬間瞬間で変化します。
 
 

脱力すると重くなる物理的解釈

 
では、スクワットの相で実際どうなっているのかをみていきましょう。分かりやすいように体重60kgの人を想定してみます(重力加速度はどの瞬間にも常に掛かっているためここでは省きます)。
質量60kgの場合、
・質量(身体)そのものが持つ下向きの力=60kg(これはどのような条件でも変わらない)
・その瞬間の作用力(作用点における下向きの力)=体重計に表示されている数値
・その瞬間の反作用力(身体が受ける上向きの力)=体重計に表示されている数値
それぞれこのようになります。
 
[立位で静止している時](作用反作用の法則の図参照)
この時はほぼ質量と同じだけの抗力を受けているので体重計には実際の質量とほぼ同じ数値が出されます。この際、体重60kgの人であれば、60kg分の抗力を身体に受けているため身体に対して下向きの力が60kg、上向きの60kgの力が働きます。
質量=60kg
その瞬間の作用力(作用点における下向きの力)=60kg
その瞬間の反作用力(身体が受ける上向きの力)=60kg
それぞれ同じ数値のため、プラスマイナス0で拮抗して安定し静止しているということです。
 
 
[しゃがみこんでいくとき]
このときは質量が下に向かって動いています。ですので、抗力は実際の質量より軽くなります。ここが最も重要で、抗力は小さくなっているが、質量は変わらないため身体そのものが持つ下向きの力は60kgのままであるということです。仮にこの際、体重計が40kgを示している瞬間を切り取った場合、身体が受ける反作用の力は40kgとなります。しかし、身体が本来持つ質量は60kgであるため、作用力は40kgであっても垂直下向きの力は変わらず60kgであるはずです。
質量=60kg
その瞬間の作用力(作用点における下向きの力)=40kg
その瞬間の反作用力(身体が受ける上向きの力)=40kg
身体に働いている反作用力は40kg、身体そのものが持つ下向きの力は常に60kgのため、下向きの力は静止している時に比べて20kg重いということです。

 
 
[立ち上がっていく時]
このとき、質量は上に向かって動いています。そのため、質量をさらに上に上げていくために、質量以上の抗力がかかるため、体重計の値は質量より重い数値が表示されます。仮に体重計の数値が80kgと表示されている場合、反作用である上向きの力は80kgですが身体そのものが持つ下向きの力は質量と同じ60kgなので、静止している時に比べ上向きに20kg分の大きい力が働いていることになります。
質量=60kg
その瞬間の作用力(作用点における下向きの力)=80kg
その瞬間の反作用力(身体が受ける上向きの力)=80kg
身体に働いている反作用力は80kgに対して身体そのものが持つ下向きの力は常に60kgのため、下向きの力は静止している時に比べて20kg軽いということです。
これが立ち上がる際ですが、立ち上がるスピードをどんどん速くしていけば、そのうち下向きの力を超えると上向きの力が身体に得られるため接地面から身体が離れる(ジャンプできる)ということになります。

 
 
次にこれを動画にある持ち上げる実験に置き換えて考えてみます。
最初1回目は体重計の上で静止している状態。つまり、質量と作用反作用全てが同じ数値で拮抗しているため、質量と同じだけの力がすでに上むきに働いています。
2回目はそこそこ脱力し自分自身の質量を自分自身で支えることを感覚的に半分くらい放棄しているため、その分抗力は減少します。しかし、実際の質量は体重が60kgであれば60kgで変わらないため、反作用である上向きの力が小さくなった分、下向きの力は強くなるため重くなります。
3回目は持ち上げられるタイミングで完全に脱力しているため、効力はほぼ0になっています。身体に働く上向きの力は0に近いため、下向きの力はいきなり質量60kg分がそのままかかっているのでさらに重くなります。
 
このように脱力することで抗力が小さくなり、身体に働く上向きの力が小さくなった分下向きの力は大きくなります。ですので、持ち上げるという行為を例にとった場合、脱力すればするほど実際に重くなる(下向きの力が大きくなる)ということです。
 
 

脱力がスポーツにおいて重要な理由と具体例

 
このことがスポーツにおいて重要であることは以下の通りです。
・落下運動そのものは、脱力を行い、限りなく抗力を0化することで重力加速度がそのまま質量に掛かり、最速の落下速度となる(外力が働かない場合)。
・脱力することで下向きの力が強くなるということは最終的に身体のある部分を着いて反力を得る瞬間、この脱力によりいかに下向きの力が大きくなっているかが大きい反力をもらうために鍵になる(例えばゆっくりしゃがむより速くしゃがむほうが、ジャンプが高くなることはこの原理)。
・格闘技やラクビー、バスケットボールなど対人または接触プレーがある競技において、瞬間的あるいは好ましいタイミングでの脱力が重要で、場面場面で小刻みな脱力を使うことで重さと抗力をうまく活用できる。
 
このような抗うことのできない普遍的な原理原則による効果があるため、脱力はスポーツにおいて重要だということです。脱力をスポーツで効率よくパフォーマンスにつなげるためには、単に脱力するだけではなく、脱力スピードとタイミングが鍵になることは想像できるかと思います。
 
 

まとめ

 
今回はいかに身体の質量をうまく使うかという観点で、脱力による落下運動をベースに実験を交えて具体的に解説しました。
スポーツにおける脱力するメリットは、より大きい力を生み出すための手段であるということです。 よりシンプルにわかりやすくする為、実際の計算では重力加速度やベクトル方向に関しては可能な限り省きました。
当然、スポーツの実際は瞬間瞬間で比べものにならないほど複雑なことが起こっているという前提なのはいうまでもありません。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2019年02月03日

冬のトレーニングだけでなく、体調管理も夏に影響する


 
まだまだ寒いこの時期、スポーツ選手は来シーズンに向けてトレーニングで自分と戦っている時期だと思います。
 
そこで今回はトレーニング以外にも食事面でも来シーズンに向けての準備ができる方法を東洋医学の視点からお伝えします。
 
〈前回の記事はこちら〉
手段に囚われない、食事面からのサポート
夏の食欲不振へのアプローチ
 
 
 

冷えは万病の元

あなたはカラダを冷やしていませんか?

この寒い時期に冷やすことなんて…
まさかですよね…

・冷たい飲み物
・果物
・生野菜(葉野菜)
・白砂糖
・アイス

抽象的にあげてみましたが、具体的に上げるともっと出てきます。

生野菜でも、トマト・きゅうり・レタス・ほうれん草・なすび…

これからカラダを冷やしてくれる効果がありますので、カラダに熱をもった時や夏のシーズンには余分は熱を取り除くには適しています。

 

が、寒い冬の時期に外から温めた熱を中から取り除いては本末転倒です。

食べるのは駄目なわけではありません!

もし冬の時期に食べるときは、冷やす作用があることを踏まえた上で温かいスープや飲み物で補って上げることが大切です。

 

悪いものを全て控えることは、今の現代では難しいですし
そう考えることがストレスにもなります。

 

セミナーでもお話しますが、ストレスからもカラダの冷えを生じます。

暑い夏には冷やす食べ物や食べ方を
寒い冬には温める食べ物や食べ方を

 

そして今回は冬に冷たいものを取りすぎることによって
夏のシーズンにどう影響してくるのかを東洋医学の視点から解説します。

 
 
 

夏の不調は冬に決まる

冬はカラダを温めるように
温かい気をカラダに閉じ込める時期です。


 

しかし、この気が逃げてしまうと
気がなくなり元気(気の元)がなくなります。

元気がない…

良く耳にすることないですか??

 

では、もしこの時期にカラダを冷やしてしまうとどうなるのか。

せっかく温めて閉じ込めた気を使ってしまわなければなりません。

もちろんこれだけで、夏のシーズンを迎える前に気の不足によりカラダの不調が出てくることもあります。

 

病院に行くほどではないけど、
なんとなくカラダがダルい…

これも症状の1つであり、不調のサインです。

 

その状態で夏を迎えるとどうなるのか。

夏は気を発散させる時期です。

冬は寒さからカラダを守るために気を閉じ込めていましたが、
夏になると今度はその気を発散させないと、カラダに熱がこもってしまいます。

 
 

しかし、
冬にカラダを冷やして、気を消耗させた状態で夏を迎えると…

カラダから気がなくなってしまいます。

元気がない…

 

また出てきましたね。

『冷えは万病の元』
現代人は平均して、1年通して気が不足してます。
カラダを冷やすことをしていれば、カラダを温める作用もつ気もなくなり、温めることもできない。

そんな状態では良いコンディションも維持できなければ、栄養を吸収するエネルギー(気)もないので、食べてもエネルギーを作れないし消化不良で胃もたれを起こしたりもします。

カラダがダルい、食欲がない、食べたくない…

 

夏のシーズンのパフォーマンス、食事事情、熱中症などの体調不良など、
冬の時期の過ごし方で起こるべくして起こっているかもしれません。

 

物事は必然であり、その症状には必ず原因があります。
それは半年前の冬の過ごし方にあるかもしれません。

 

1年通してカラダを考える。

ここにも選手の可能性を伸ばす伸びしろがあるはずです。

 

冬にトレーニングをして夏を迎えるように。
冬でも体調管理を意識し、夏に万全のパフォーマンスを発揮できるように。

 
 

 

今回JARTAではスポーツ栄養セミナーがコース化されました。

西洋と東洋、両方の栄養学を体系立てて学ぶことができます。
※参加条件はありません。どなたでもご参加いただけるセミナーです。

 

日本における栄養学は西洋的な観点を中心に発展してきましたが、実は東洋にも栄養学があります。

 

JARTAでは、西洋医学と東洋医学、そして西洋的身体観と東洋的身体観は、それぞれ補い合え、両者をそれぞれ使いこなすことで選手にとってより良いサポートが実現できるという考え方を持っています。

 

我々はこの考え方は栄養学にも当てはまると考え、西洋と東洋の栄養学の両者を使いこなせるようになることを目的としたセミナーを開催することにしました。

 

▶︎こんな方には特にお勧めいたします。
・西洋だけでなく東洋の栄養学も学びたい方
・スポーツ栄養学に興味があるけど、どこから学べばよいかわからない方
・スポーツ現場での応用編など、より深く学びたい方
・スポーツをしている方の栄養をサポートする立場にあるが、不安がある方

▶︎JARTAスポーツ栄養セミナーの詳細はこちら

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Stage1の募集は始まっています。
(Stage2以降へは必要に応じて進学をご検討ください)

皆様のご参加をお待ちしております。

ーーー
Stage1 -基本の食事 大阪会場
※当セミナーはJARTA認定スポーツトレーナーコースに含まれません

▶︎日程 2019年2月17日(日)10:00~15:00(受付:9:30)
▶︎会場 アルファオフィス247大会議
▶︎講師 西洋編|片山真子、東洋編|伊藤直哉
▶︎申し込みフォーム https://beast-ex.jp/fx3952/NUOsaka

 
 

是非、

パフォーマンスUPやケガをしないカラダづくりに、東洋医学の視点を取り入れて、食事や体調管理を考えてみてはいかがでしょうか。

 

参考にしていたけたら幸いです。

 
 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2019年01月31日

真価が問われるのはこれから

先月、東京・大阪の2会場で、2018年JARTA認定スポーツトレーナー試験行われました。
 
 

 

 
 
試験は、認定スポーツトレーナーコースのベーシック、アドバンスⅠ~Ⅲを受講された方が対象になります。
 
今年は、筆記試験が事前にオンラインで受ける形式になったため、
 
試験日が昨年の2日間から1日に変更になりました。
 
集合写真は、試験直後のプレッシャーから解放された表情です。
 
 

資格取得自体は目的にはならない

 
 
試験において一定の基準は設けていますが、
 
現時点では、トレーナーという立場でスポーツに携わるために、
 
必ずしも資格が必要というわけではありません。
 
活動の幅を広げるために肩書きとして必要なケースはありますが、
 
最終的に選手に貢献し、現場・選手から求められるトレーナーになれるかどうかは、資格の有無によるものだけではないはずです。
 
結局は、そのトレーナー自身が選手にとってどのような存在になれるかにかかっています。
 
それは、JARTAのコンセプトの中で説明している「トレーナーのトレーニング」が深く関わってきます。
 
要するに、トレーナーも選手と同様に必要な能力を高め続けて行くべきということです。
 
トレーナーとしての能力には、ここまでやればいいという規定はありません。
 
だからこそ、目の前の選手のために、日々ベストを追求し、進化を続けなければいけないのです。
 
 

成長し続けるために

 
 
JARTAで認定資格制度を導入している1つの理由に、「継続的に学べるシステムを使ってもらうこと」があります。
 
我々がセミナーなどでお伝えしていることは、頭で理解すれば大丈夫というものではありません。
 
自ら実践し、何度も練習やアウトプットをすることで、少しずつ選手に伝わる形ができてきます。
 
試験修了者の方は、再受講無料制度の利用、必須研修、合宿、イタリア研修などへの参加、プロ選手も含めたサポート場面見学などが可能になります。
 
JARTAは、セミナーを受けて終わり、試験を受けて終わりではありません。
 
試験の「その先」が何より重要なことであり、
 
トレーナーがその歩みを止めないことが、選手の成長のためには必要なことです。
 
昨年末に合格者へは通知が終了し先週、JARTAウェアが29名の新たなJARTA認定スポーツトレーナーの元へ届けられました。
 
新たに加わった力強い仲間と共に選手のために歩み進めていく所存でございます。
 
これからの認定スポーツトレーナー達の活躍にご注目ください。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2019年01月27日

女性トレーナーのすゝめ

はじめまして。
 
JARTA認定スポーツトレーナーの前谷涼子です。
 
私は鳥取で、
 
Body make studio スプリット
 
からだ作り専門のこじんまりとしたスタジオを開き
 
トレーニング指導(チーム、個人)
 
コンディショニング整体
 
インソール作製
 
セミナー講師や自分の経験を話すスピーカー
 
といった仕事をしています。
 
対象はアスリートから一般の方まで。大人も子どももいます。
 
(さらに…)

2019年01月24日

女性セラピストだから…を超えて「だからこそ」になる!

この記事を読んでくださっている方には男性が多いでしょうか。
それとも女性でしょうか。
今回の記事では、女性セラピストとして活動し、体験したこと・感じたことをお話しさせていただきます。
女性セラピストの方にとってどんな方向性でも何らかのヒントになれば、というのがメインになりますが、女性選手に関わる上で男性セラピストの方にも読んでいただきたいところがありますので、もしよろしければお付き合いください。
(さらに…)

2019年01月21日

投手のメンタリティの原点

文:岩渕 翔一

スポーツをするにあたってメンタルの重要性はいうまでもありません。例えば投手で言えば、ボール半個分インコースに投げれるのか投げれないのかたったそれだけがプロで活躍するか否かが決まる。そんな話も聞きます。
 
木曜日から日曜日まで九州に仕事に行っておりました。
JARTA代表の中野がサポートしている3人のプロ野球選手自主トレの同行から始まり、
金曜日は熊本でJARTA workout(内容は「胸郭の運動機能評価と呼吸コンディショニング)、日曜日は福岡で投手用トレーニングセミナーを開催しました。
それぞれたくさんの方にご参加いただき有意義な時間を過ごせました(写真全然撮ってないのですみません)。
 
土曜の夜に福岡でKOBESという会社の代表取締役をされている元プロ野球選手の小林亮寛氏とJARTAのトレーナー数名で食事に行きました。
小林氏は「ベースボールとフィットネスをデザインする」というキャッチフレーズの元、多くの野球選手の指導やイベントの企画運営をされています。
経歴も凄く面白くて日本のプロ野球からアメリカ独立リーグ、四国アイランドリーグ、台湾のプロ野球やメキシカンリーグなどかなりグローバルに活躍されていました。
今後の展望や野球界への想いなど色々情報交換をしたのですが、私が知らなかった投手のメンタリティの原点であるとも言える話を今回はさせていただきます。
 
 

野球とクリケットの繋がり

野球の原点とも言われることのあるクリケット。野球の起源に関しては諸説ありますが、野球とクリケットが深い関係があることはほぼ間違いありません。
クリケットのルールや詳細はここでは省きますが、ボウラー(投手)がウィケット(3本の棒)を目掛けて投げたボールをバットマン(打者)がアウトにならないようにブロックしたり打ったりします。
投手はウィケットにボールを当てれば打者をアウトにすることができるので、打者はそれを邪魔するわけです。これが野球の原点とも言われるクリケットと投手と打者の対戦の中身です。
 

 

野球における攻守

野球は、バットを持って打つ側が攻撃で、グローブを持って守る側が守備だと誰もが当たり前に思っています。ですので、投手は「守る側」だという認識が間違いなく無意識にあります。
しかし、野球の原点であるクリケットでは、武器(ボール)を持っているのは投手で、ウィケットに向かってボールを狙って投げる(攻撃する)。対して打者はそれを邪魔する(ウィケットを守る)守衛のような存在です。
投手は守る側ではなく、攻撃する側で、打者はウィケットにボールが当たらないようにする守備側だということです。
投手は守るのではなく攻撃する。
これはなかなか大きな事実ではないでしょうか?
 
打たれないように投げる、点を取られないように投げる、打ち取る。
そうではなく、投手が打者を攻撃しているという意識を持つだけでピッチングが大きく変わる。そんな気がしませんか?
 
自分自身が攻撃する側だと思えば、
・ストライクを取りにいく
・ボールを置きにいく
このような感覚はむしろなかなか持ちにくいのではないでしょうか。
 
野球は投手主導のスポーツです。投手がボールを投げなければプレーは始まりません。そして打者はそれに対して「タイミングを合わせる」ことから始動します。
当たり前のようにバットを持っている側が攻撃で、グローブを持っている側が守備だと私自身も疑いもしませんでした。選手としてプレーしている時はもちろんそうですし、トレーナーとして活動している今までもそうでした。
 
しかし、野球の原点や歴史を振り返った際、「投手は攻撃する側である」という有力な説があります。これは、守ることを無意識に意識していたであろう投手のメンタリティを劇的に変えるきっかけになる可能性を感じました。
 
一度、思い直してみてください。武器(ボール)を持っているのは自分だと。目の前に立っている打者は自分を攻撃する者ではなく、邪魔してくるだけの存在だと。
 
 
攻撃こそ投手のメンタリティの原点です。
 
 

合わせて読みたい記事

「マウンドが合わない」原因は眼と脳にあるかもしれない
投手のスタミナを考える 〜第1回:投手に必要なスタミナとは〜
投手の野球肩と野球肘を予防する方法
投手の「タメ」の作り方には2つのパターンがある
 
 

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2019年01月17日

プロサッカー永里優季の「サッカーが上手くなるための脳と身体のトレーニング」

女子サッカー永里優季選手とJARTA

東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
JARTA代表である中野崇は海外で活躍し続ける女子プロサッカー永里優季選手のトレーニングサポートをしています。
そこで、今回は永里選手のインタビュー動画を紹介します。
動画の主な内容は永里選手がJARTAトレーニングを続けている理由とその効果、サッカーが上手くなるための身体操作やトレーニングを中野崇が指導している様子などです。是非ご覧ください。
 
 
 
 

<主な経歴>
2008年東アジア女子サッカー選手権優勝
2011年FIFA女子ワールドカップ優勝
2012年ロンドンオリンピック準優勝
2015年第7回FIFA女子ワールドカップ準優勝
<個人タイトル>
なでしこリーグベストイレブン:2回(2005年、2006年)
なでしこリーグ得点王:1回(2006年)
ブンデスリーガ得点王:1回(2012-13シーズン)
NWSL週間最優秀選手:1回(2018年第10週)
 

  • 女子サッカー選手永里優季選手のインタビューはこちらから

https://jarta.jp/dispatch/interview_nagasato/
 
 

インタビューの5つの質問

実際にインタビューを行った5つの質問を紹介します。
 
 
 
 

(永里選手 独占インタビューより引用)
 
 

【インタビューの5つの質問】

・女子サッカー選手永里優季×JARTA代表中野崇
・他のトレーニングとの違いは?
・JARTAトレーニングを導入して感じている変化は?
・JARTAのトレーニングを継続している理由
・永里優季がトレーナーに求めることは?
 
と具体的な5つの質問で、インタビューに答えていただきました。
 
 

永里優季選手の生の声

インタビューの5つの質問の一部をお伝えします。
【トレーニングを継続している理由について】
 
インタビュアー:JARTAのトレーニングを継続している理由とは?
 
永里選手:「自分のカラダが変化していると認識できる。変化していると、この先またさらに変化する可能性がある。これを継続してやれば、カラダも脳も伸びる。完全に無意識にできるまで身につけたい。無意識化できるまでやり続ければ、その壁を越えられる。」
 
 
動画ではサッカーだけでなく、自身の身体の感覚についても具体的に語ってくれています。
まだ動画を見ていないサッカー関係者の方は必見です。
見たことがあるよっていう方も、実際に海外で活躍する選手のトレーニングを見ることができる数少ないチャンスです。
動画ではサッカーが上手くなるヒントがたくさん含まれています。
繰り返し見て、パフォーマンスアップに是非役立ててください。
 
 

  • 女子サッカー選手永里優季選手のインタビューはこちらから

https://jarta.jp/dispatch/interview_nagasato/
 
 
今回は「サッカーが上手くなるための脳と身体のトレーニング」を紹介させて頂きました。最後までお読み頂きありがとうございました。
 
 

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2019年01月15日

日本一を目指す覚悟


 
 
明治大学ラグビー優勝報告
 
先日、全国大学ラグビーフットボール選手権決勝に勝利し、大学ラグビーでようやく日本一になることができました。
 
東京で活動してる真木伸一と申します。
 
トレーナーとしての活動を始めてから22年、面白いもので、私がトレーナーを始めた年に生まれた彼らが、私にトレーナーとしてのはじめての日本一をプレゼントしてくれました。
 
明治大学に関わってからは、6年かかりました。
その間、自分の足りないものを求め、JARTAには色々な気づきをもらいました。
(さらに…)

2019年01月14日

「マウンドが合わない」原因は眼と脳にあるかもしれない

文:岩渕 翔一

 
結果が出ない、よく打たれる、なにかしっくりこない。
ピッチャーがこういった傾向にある球場を指して「マウンドが合わない」と表現することがあります。
一般的には、マウンドの硬さや傾斜、高さなどを指してこのように言っていることが多いですが、それは本当にマウンドの問題でしょうか?感覚的に「しっくりこない」原因をなんとなくマウンドが合わないと表現してしまっていることはないでしょうか?
少なくとも、「しっくりこない」だけでは現象が曖昧で解決策を立てることができません。
そして、「マウンドが合わない」原因が、マウンドそのものにない場合が実は多くありますが、「マウンドが合わない」という言葉から無意識にマウンドそのものに意識が向いてしまいやすくなります。
 
今回の記事は「マウンドが合わない」という表現が一般化した今、もう一度その原因にどのようなものがあるか見直さなければいけないというメッセージです。
 
 

マウンドそのものに対する対応力

マウンドそのものの形状はルールで決められています。
直径18フィート(5.4864m)の円形に、土を盛り上げた構造で高さは10インチ(254mm)と定められています。
投手板(ピッチャープレート)はこのマウンドの中央に埋め込まれ、横24インチ(609.6mm)縦6インチ(152.4mm)の長方形で、ホームベース先端までの距離は60.5フィート(18.4404m)です。

しかし、実際は、ここまで厳密に管理されているマウンドはなく、
・人の手で整備されている
・使用している土は球場によって異なる
・気候(前日に雨が降ったなど)でマウンド条件が変わる
・投手自身がそれぞれ投げやすいようにマウンドを削る
こういったことからマウンドによって様々な違いが生まれるのは事実で、投手としては当然それに対する対応力というのは身につける必要があります。
これに関しては諸処の考え方や対応法がすでに多くありますので今回のテーマからは省きます。
 
 

しっくりこない原因をもう少し広く考える

当然ですが、野球をやるのは野球場(グラウンド)でマウンドがあるのは野球場の中です。そして、野球場そのものも球場によって大きさや形、フェンスの色などの違いがあります。また、どの方角を向いているかなどは太陽との位置関係や風を気にする野手にとっては重要です。
 
ここで注目したいのは、これら球場の持つ特徴です。投手板からホームベースまでの距離は決められているので、投手から捕手までの距離はどの球場でも変わりません。
しかし、球場によって大きく異なるのは、
・ホームからバックネットまでの距離と形状
・バックネットの色や形状、素材
投手に大きく関わる違いとしてこの2つが挙げられます。
球場によってホームベースまでの距離を近く感じたり、遠く感じたりすることがありますが、実際距離は同じはずです。それにも関わらず、そこに違いが生まれるということは「認識する過程の問題」の可能性が浮上します。
つまり、背景と環境は球場によって色々な違いがあります。その違いがホームベースまでの主観的遠近感の変化という現象を生んでいる可能性があるということです。
ここで、それを認識するための受容器となる「眼」と、その情報を処理する「脳」という観点が生まれてきます。

 
 

投手に必要なビジョントレーニング

アスリートがする眼のトレーニングというと真っ先に頭に浮かぶのは、動体視力のトレーニングでしょう。速く動くものをしっかり眼で捉えることや、眼で認識したものに対し素早く動くようなトレーニング(眼と身体の協応動作)です。
もちろん投手にとってもこういった動体視力の強化は重要ですが、実際はこれ以外にも必要な眼の機能はたくさんあります。
 
上記にあげた遠近感を適切に認識するという眼の機能で特に重要なのは、「深視力」です。
 
[深視力]
深視力とは、物体の位置関係や奥行き、距離感を適切に把握する力です。トレーニングによって鍛えることができる眼の機能は眼球運動と、焦点を合わせる力の2つで、深視力の強化には両方の機能が重要です。
その2つの機能両方に筋が関与しており、その筋は大きく分けて、内眼筋と外眼筋があります。
・内眼筋
内眼筋とは瞳孔括約筋と毛様体筋のことをいい、動眼神経という脳神経により支配されています。瞳孔括約筋は瞳孔を収縮させ光の量を調節します。毛様体筋は水晶体の厚さを変化させて焦点を合わせたりする筋肉です。
・外眼筋
外眼筋とは眼球運動を行う筋肉で、4本の直筋(内直筋、外直筋、上直筋、下直筋)と2本の斜筋(上斜筋、下斜筋)があり、動眼神経、滑車神経、外転神経に支配されています。
 
これ以上専門的になるとややこしくなるので、理解していただきたいのは以下の点です。
・眼球運動は両側の6本の眼筋(左右合わせて12本)全てがうまく組み合わさって作動してはじめてあらゆる方向に協調的に動く。
・外眼筋のうちどれか1つでもうまく動かせないと複視が生じ、対象物が網膜上に正しい像を形成できなくなる。
・例えばどんどん近づいてくる物体をみつめる時は、輻輳反射(広義の寄り目だと思ってもらっていいです)と調節反射が作用する。随意的にも反射的にも反応する(内眼筋、外眼筋両方が作用するということ)。
・眼のトレーニングは前頭葉のトレーニングと言われることがあり、イメージ力や動機づけに基づく意思決定や潜在的な意識の処理も行なっていると言われている(その局在性や正確な走行は未だ不明)。
 
つまり、深視力を強化するには内眼筋と外眼筋両方のトレーニングが必要だということです。さらに厳密には動体視力や身体との協応動作においても内眼筋と外眼筋のトレーニングが主になるため、この2つの筋に対する多様なトレーニングが眼の力を鍛えることに繋がります。
今回は深視力に着目した基礎的なトレーニングを紹介します。
 
[内眼筋のトレーニング]
このトレーニングはあえてそういう時間を作らずに、練習や試合の中で行うことを習慣化することを勧めています。
方法は簡単です。
1.自分の指もしくはグラブを目の前の視界に入るところに置く。グラブの場合は両目で行なったり、片目をグラブで隠して片目だけで行なったりすると良い。
2.そして、その奥にある物(具体的にはフェンス、自チームの選手、ホームベース、ベンチ、ポールなど)と交互に焦点をあてる。2点交互だけでなく3点や4点を設定し、順に焦点を合わすようにするなど行っていく。
これだけです。できるだけ色々な場所や球場で行うことで遠近感を適切に認識できるようになります。
 
[外眼筋のトレーニング]

 
基本的な眼球運動です。眼球運動は基本の運動として追従・跳躍・輻輳の3つがあります。
運動方法は以下です(運動方向は縦、横、斜め、円運動で実施します)。
・追従
目標物を目だけで追う。図の線を目で追う。
顔の前40cm前方、30cm四方の範囲で2往復ずつ縦横斜め、円方向2回を左右両周り。
・跳躍
2つの目標物を交互に見る。図の点と点を交互に視る。
顔の前40cm前方、30cm四方の範囲で2往復ずつ縦横斜め。
・輻輳
いわゆる寄り眼。両眼の間に目標物を近づける。眼から5cm以内まで両眼を寄せて視ることができるかが指標。
 
注意点は、頭頸部が眼の動きにつられて動かないようにすること、特に追従は眼球が一定のペースで動くことです。
眼前に両親指を立てて行ったり、紐があれば追従は紐を持って行います。また、円方向の追従はペアを組み、指を円方向に動かしてそれを追うようにすると良いです。
 
 

まとめ

・マウンドが合わない原因がマウンドそのものにない可能性があることを前提に原因を探る必要がある。
・受容器である眼と、認識する脳に原因がある可能性を考える。
・色々な球場で距離感を適切に把握するには深視力が重要である。
・深視力を鍛えるには内眼筋と外眼筋のトレーニングをする必要がある。
・内眼筋と外眼筋のトレーニングは動体視力や眼と身体の協応動作など、ビジョントレーニング全般の基礎となる。
・今回紹介した基礎的な眼のトレーニングは今行っている練習や生活の隙間時間で十分できるので習慣化していくことが重要である。
 
今回は「マウンドが合わない」原因の可能性の1つに言及しました。
もちろんマウンドそのものが合わない可能性もあります。今回のように眼に課題があるかもしれないですし、もっと他の要因かもしれません。
いずれにしても現場で起こる現象を抽象的なままで捉えていては、解決策は見出せません。「マウンドが合わない」という表現が抽象的であるからこそ、選手はその原因が特定できず困惑していることが想定されます。
だったらトレーナーや指導者はその原因をしっかり具体的に評価し、対策を講じていく必要があります。
 

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2019年01月13日

~球際で勝つために必要なもの~

【1対1の局面で勝てない】

サッカー前日本代表監督ハリルホジッチ監督は「デュエル」という表現を会見やインタビューで多用し、その言葉を日本サッカー界に根付かせました。
ルーズボールの競り合いだけでなく、1対1のボールの奪い合い、相手のボールを奪う、マイボールに相手が激しく来ても取られないフィジカルコンタクトの強さ。
 
こういったものを「デュエル」といいます。
 
そしてデュエルという単語を浸透させることによりフィジカルコンタクトの重要性を広めていきたいという狙いもありました。
 
結果的にワールドカップ直前にハリルホジッチ監督は解任されました。
 
その要因は、日本が目指す強化方針とのギャップがあったことも1つでしょう。
 
現在日本サッカー協会が打ち出している育成方針は
「Japan’s Way」
足りないものは高める努力をしつつ、
・技術力
・俊敏性
・組織力
・勤勉性
・粘り強さ
などの日本人のストロングポイントをさらに伸ばしていけるような育成を目指しています。
日本サッカー協会;http://www.jfa.jp/youth_development/outline/
このような育成方針を出していることからも、筋力的な側面を高めることだけでは世界との差は埋められないという考えがあるということです。
 

【フィジカルが弱い】

これまで日本人は
「フィジカルが弱い」、「球際で勝てない」とされてきました。
そしてこの「フィジカルが弱い」と「球際で勝てない」は同じように扱われてきました。
その結果「日本人はフィジカルが弱いから球際で勝てない」
このように解釈している方も多いのではないでしょうか。
※ここでいうフィジカルは筋力、パワーと定義。
当然球際で勝つためには体格、筋力も勝つ要素に含まれるでしょう。
しかし世界では小柄でも1対1の勝率が高い選手はたくさんいます。
ではその違いは何なのでしょうか。
球際、デュエルを身体的なパワーとパワーの力比べと定義してしまうと結局筋力が強い選手が勝ってしまう構図になります。
【球際で勝つための方法は1つだけではない】
そもそも球際で勝つとはボールをマイボールにすることであり、そこに至る手段はファールを犯さなければ自由です。
では筋力や体格で劣る選手がどのようにして勝つのか。
それは「ボールと相手の間に自分の体がある状態をいかに早く作ってしまえるか」
相手と横並びではなく縦関係の状況を作れることができれば相手は力を発揮しづらい状況となります。
ではどのようにしてその状況を作り出すか。
そのヒントが上半身の身体操作にあります。

【面を作る】

現在選手に指導する際、「面を相手に見せる」と言う表現を使用しています。
この面を相手に見せるとは上述したボールと相手の間に自分の体がある状態を作るための身体操作です。
「面を相手に見せる」とは言い換えると「相手に背中を見せる」ということになります。
上肢~体幹の動きの誘導により、相手と両肩が平行の関係ではなく、相手選手の脇の空間を通れるような角度に回旋させます。
この身体操作は攻撃、守備共に相手の前に入るうえで共通項を持った動きになります。

上半身操作により自身が進行方向に進むための空間を生み出し、相手の前に入る準備となります。
またこの回旋動作は回旋側の股関節を内旋、屈曲させ、殿筋/ハムストリングスといったアクセル筋の作用を最大化させる役割とも言えます。
これらの動きは上半身から下半身を連動させ、股関節の加速機能を引き出すうえでも大変重要となります。

ルール上、身体の後方からのチャージは反則となります。
トップ選手の被ファール率が高い一因として、上述のような相手に背中を見せる身体操作がうまいことも挙げられるでしょう。
これらの動きは単一的なものではなく上半身と下半身の動きが連動した状態で発揮され、そのためには現在のサッカートレーニングでは盲点となってきた上半身の身体操作性の向上が必須となります。
「デュエルに勝つ」
そのための方法は戦術が様々あるように1つだけではありません。
その選手の身体的特性や勝つための無数の可能性を引き出せるように。
サッカー上半身セミナーはこちらから
申し込み、詳細に関してはホームページをご参照ください。
https://jarta.jp/j-seminar/soccer/

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2019年01月09日

投手のスタミナを考える 〜第3回:投手のスタミナ強化トレーニング〜

文:岩渕 翔一

 
-前回の続き
 
第1回で、投手のスタミナを強化するには、持久力、筋力、リカバリー力の3要素が必要であることを解説しました。
第2回では、投手に走り込みは必要であることを解説しました。
 
第1回:投手に必要なスタミナとは
第2回:投手に走り込みは必要か
 
最終回の第3回では、具体的にどのように走り込み考え行っていけばいいのかをお伝えします。
 
 
その前に。今回論じているのはあくまで"投手にとって"であって、"野球選手にとって"の話ではありません。
DH制があるプロや社会人、大学野球と違って高校生までは投手も当然打席に立ちます。チームの中心選手であればあるほど、投球していないときは別のポジションを守り野手として試合にも出るでしょう。
野球選手にとってや、野手にとっての走り込みやスタミナとなるとまた少し内容も考え方も変わってきます。高校や中学で投手をしている選手は、投手のトレーニングに加えて、捕る、投げる、打つ、走るといった野球全般のトレーニングと練習をしなければならないことを念頭に置いてください。
 
では、ピッチングに有効な走り込みトレーニングについて。
 
 

ピッチングの運動構造(スタミナベース)

1試合9イニングを完投する投球数の目安はおよそ100球です(効率よく打ち取って行けた場合)。
また、1イニングの投球数はおよそ10〜20球です。
高校野球であれば1試合の所用時間は2時間程度なので、1イニングが12〜15分程度。つまり、6〜8分程度の中で10〜20球程度投球し、6〜8分ベンチで休み、またマウンドへ上がる。このような構造になります。
 
前回解説した、運動時のエネルギー供給機構をもう一度確認してみます。
 

 
一球一球の投球そのものは高負荷の運動になるため、まさにこのグラフとほぼ同じようにエネルギー供給が行われることになります。
グラフにある赤線の全エネルギーをみて分かるように、投手で言えば回を追うごとにエネルギー供給は枯渇していき、それがいわゆる疲労になります。
この曲線の右下りを極力抑え、疲労を起こさない、あるいは疲労を起こしにくくすることが投手にとってのスタミナ強化です。
 
このグラフ上でそのために必要なのは、
・無酸素系回路(ATP−CP系、解糖系)の速やかな回復
・有酸素系回路の強化
この2つです。
ATP−CP系の回復には3〜5分必要と言われ、その回復には有酸素系回路で生成されたATPとクレアチンが利用されます。解糖系回路ではその副産物として乳酸が生成されます。この乳酸は有酸素系でエネルギー源として利用されます。
 
つまり、有酸素系回路はそのものがスタミナに直接寄与していると同時に、無酸素系回路の回復にも寄与しており、有酸素系回路の強化がスタミナ強化、リカバリー力強化の両方に重要であるということです。
上記の運動構造でいうと、投球中や投球間での運動エネルギーの確保と、ベンチで控えている時間のリカバリー力に非常に重要であるということです。
 
 
遅筋↔︎速筋のタイプシフトは起こらず、速筋間のタイプシフトがあることは前回の記事でお話ししました。
この事実は、「有酸素運動で懸念される筋力低下は筋肉の分解による筋肉総量の減少のみである」ということです。
つまり、運動によって起こる筋肉の分解が筋肉再生を超えない範囲内であれば問題ないということです。
 
ですが、ここでもプロと学生では対応が異なってきます。プロ選手はオフシーズンとインシーズンとがあり、総じてオフシーズンに体重増加を図るケースがほとんどです。
 

 
これは、シーズン中になると先発であればローテーションを守り、中継ぎや抑え投手であれば常に投げる準備をします。
そのため、体調管理とリカバリーが主になり、積極的なフィジカルトレーニングやレジスタンストレーニングをなかなか行えません。
なので、シーズン中はいかに筋量減少→体重減少→筋力低下を起こさず過ごすのかというのが課題の一つです。
そういう意味で、強化を目的とした有酸素運動というのはやはり行いづらいです。
有酸素運動というのは筋力の強化にはならず、脂肪燃焼、筋肉の分解、呼吸循環器系によるスタミナ強化がその主な効果であるからです。
 
投手に必要なスタミナに、「1シーズン怪我なくこなせるスタミナ」をあげていますが、有酸素運動そのものがこの目的にマイナスになるようなら本末転倒です。
レジスタンストレーニングでも筋肉の分解は起こりますが、損傷後の再生で筋繊維は太くなっていきます(筋肥大)。なのでやはり併用していくことが基本ですが、それがシーズン中ではなかなか困難であるということです。
 
しかし、学生であれば、毎日試合があることはほとんどないので、この併用がトレーニングプログラム次第で十分できるはずです。
 
また、試合終盤になると足がつる(筋痙攣)投手が多くいます。筋痙攣を起こす部位のほとんどがふくらはぎ、ハムストリングスのためここの局所的なスタミナも重要です。
筋痙攣を起こす原因は完全には明らかにされていませんが、脱水、疲労、血圧低下、電解質異常がその主たる原因といっていいでしょう。ここで重要なのは筋持久力です。筋持久力の強化はその局所の血流量増加を起こすためです(第2回参照)。
 
 

投手のスタミナ強化走り込みトレーニングの一例

[長距離の走り込みはリカバリー力強化を目的とする]
長距離の走り込みはジョギング程度のペース。30分〜1時間程度を心拍数が高くても120〜150程度で抑え、有酸素系回路の強化を図るために行う。
 
[中距離の走り込みと短距離最長の走り込み]
原則としてオフシーズンや試合間隔が空いてる際にのみ実施。エネルギー供給機構の機能強化と持久力強化が目的。2〜3kmのタイムトライアル、300m程度の強度が強いランを2分の休憩を挟み5本程度行う。
 
[インターバル系の走り込み]
距離は塁間〜70m程度。強度は50〜70%程度で10本が目安。目的は筋持久力強化と、エネルギー供給機構の強化によるリカバリー力強化。
 
[ダッシュ]
10〜30m程度。全速力で行う。2本ダッシュ後1〜2分の休憩を3〜5セット。筋力と瞬発力、無酸素系のリカバリー力強化。
 
[坂道ダッシュとジョギング、ウォーキング]
トレッドミルがあれば傾斜15度で行う。最初は13分/km程度の速度で5分歩く。その後、10分/kmペースで5分ジョギング。その後5分休憩。これを1サイクルとし3セット程度行う。
足関節が常に伸張位になるため、持続収縮を強制的に促され、筋持久力と筋力強化に有効。試合終盤のふくらはぎの筋痙攣を起こす選手には特に推奨。
 
 
あとは原則的に、
・高負荷のトレーニング後に有酸素運動を行う
レジスタンストレーニング後は成長ホルモンの上昇がみられ、その後の有酸素運動中に遊離脂肪酸濃度が高まり、脂質分解や利用が亢進すると言われています。そういったことから筋肉の分解を抑えることができるため、原則はこの順で行うことが現時点では望ましいです。
 
・練習中の移動は走る
練習中の移動はトレーニングと認識します。2〜3時間の練習中に何度も行われる移動でその都度走ることでエネルギー供給機構の強化と筋持久力強化に繋がります。
また、試合中の運動構造と似ているためスタミナ強化に繋がりやすいです。
 
 
上記はあくまで例です。
目的を明確にし、これまで解説した生理学・解剖学的事項に沿って距離やインターバル、本数、休息時間を設定しています。
このまま現場で使うのではなく、目の前の選手に必要なスタミナ強化やトレーニングを熟慮し最善のメニューを適宜提案することです。
 
 
 
まとめます。
・スタミナ強化に必要な要素は、
[筋力][持久力(全身持久力・筋持久力)][リカバリー力]
・スタミナ強化で考慮すべき生理学的事項はエネルギー産生機構
・スタミナ強化で考慮すべき解剖学的事項は筋繊維のタイプ
 
これらを踏まえた上で多種多様な走り込みが必要であるということです。
 
 
全3回の中で、投手に必要なスタミナとは?から逆算し、解剖学的・生理学的背景を提示しました。
走り込みの効果はプラスばかりでないことを念頭に、その時何が必要なのか選手やチームの状況を考慮し、
それらを踏まえた上でどのように考え、トレーニングを考案しているかを解説させていただきました。
 
今回「走り込み」の定義は「走りのトレーニング全般」を指しています。
あえて触れませんでしたが、投手は他にフィールディングやベースカバーに入るなど投球以外の運動があることも踏まえていかなければなりません。
 
また、JARTAトレーニングは身体操作系が多いと言われることがありますが、こういった「走る」ということや「スタミナ」ということの基本的な解剖生理をおさえた上でトレーニングを行っていますし、行われるべきです。
今回のテーマであれば、「走りの質」や「スタミナを上げる効率的な身体の使い方」という部分を並行してみていきます。
 
とにかく、私が言いたいのは選手やチームの成長を望むのなら、トレーナーはとにかく考えつくし、専門家らしい論理と根拠を持って欲しいということです。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
第1回:投手に必要なスタミナとは
第2回:投手に走り込みは必要か
第3回:投手のスタミナ強化トレーニング
 
投手用トレーニングセミナーはこちら
 

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2019年01月08日

投手のスタミナを考える 〜第2回:投手に走り込みは必要か〜


文:岩渕 翔一

 
-前回の続き
 
第1回で、投手のスタミナを強化するには、持久力、筋力、リカバリー力の3要素が必要であることを解説しました。
 
今回のテーマは「投手に走り込みは必要か」です。
 
結論から言うと、投手に走り込みは必要です。全身持久力を高める有酸素運動系の走り込みも、筋持久力を高めるインターバル系の走り込みも、筋力強化に繋がるダッシュ系の走り込みも全て必要です。
 
 

有酸素運動系の走り込みについて

走り込みの賛否を語る際に議題の主役は「長距離のランニング」でしょう。多く聞かれる賛否両意見をみてみます。
[賛成派]
・走ることで根性がつく
・走ることで全身のバランスが整う
・走ることでスタミナがつく
 
[反対派]
・精神論とトレーニングの効果は別
・野球に長距離走が速くなるようなスタミナは必要ない
・筋肉が分解されて痩せてしまう
 
多く聞かれるのはこのような意見です。一つ一つを見てみるとどの意見も間違いではありません。
例えば、精神論は現代スポーツでは古いとされます。しかし、強い精神が必要ないのかと言われればそんなはずはなく、スポーツで結果を出したいのなら強い精神は絶対に必要です。
問題なのは、なんとなくやらせている(やっている)しんどい練習にきちんとした根拠がないことであって、精神論そのものが悪いわけではありません。
 
同じようにどの意見もそれだけを見れば間違いではないのですが、かといって正解でもありません。
トレーニングによるマイナスの効果があることと、そのトレーニングが必要か否かは別問題だからです。そもそもいいことずくめのトレーニングなどありません。
要はもっと思慮深く、色々なことを踏まえて考えていかなければいけないという至極当然のことです。
それでは色々なことを踏まえて考えてみましょう。
 
 

筋肉のエネルギー供給と速筋・遅筋

筋肉が働くにはエネルギーが必要です。
ATP(アデノシン3リン酸)が分解されADP(アデノシン2リン酸)が出来る時に出るエネルギーで筋肉は動いています。このATPが筋肉のエネルギー源になります。
つまり、筋肉が動き続けるにはATP産生が必要で、その産生過程は大きく分けて3つルートがあります。
 
1.ATP-CP系
酸素を必要としないエネルギー産生機構。運動開始時や短時間で強度の強い運動で主に利用される。このエネルギー源は7〜8秒で枯渇する。
 
2.解糖系
ATP-CP系と同様に酸素を必要としないエネルギー産生機構。2つを合わせて無酸素系と呼ばれる。強度の強い運動で利用される。このエネルギー源は35秒程度で枯渇する。
 
3.有酸素系
筋細胞の中のミトコンドリアで行われ、酸素を必要とする。酸素と脂肪とグリコーゲンの消費でATPを産生する。理論上エネルギー産生は無限に行えるが、実際は運動量に比して酸素供給が追いつく限り。
 
ATP-CP系>解糖系>有酸素系の順でエネルギーの供給速度が速く瞬発的な運動に適しています。
 
無酸素系のエネルギー供給は総じて42〜43秒程度です。陸上の400mが短距離に分類されるのはタイムがこの無酸素系エネルギー供給の限界値に近いからです。
何秒とかいうとすぐにエネルギーが枯渇して動けなくなりそうてすが、基本的に全てのエネルギー供給源を活用して動きますので、エネルギーそのものが枯渇して全く動けなくなるということはありません。
 

 
ピッチングは一球ごとの投球は高負荷ですが、運動時間でいうと長時間の反復運動になります。
ですので、ピッチングにおいても当然エネルギー供給はこの3つのルートを全て使っての運動になるため無酸素系、有酸素系ともにトレーニングする必要があります。
 
 
[2タイプの速筋と1タイプの遅筋]
筋繊維にはタイプがあります。
速筋と遅筋は専門家でなくても知っていると思いますが、速筋はさらに2タイプに別れます(厳密には3タイプですが、MHCⅡbというタイプはヒトの筋繊維ではほとんどないためここでは速筋は2タイプとします)。
 
・遅筋(Ⅰ型)
一番遅い筋繊維。赤筋とも呼ばれる。マラソンなどの持久力が必要な競技選手に多いとされている。
 
・速筋(Ⅱa型)
スピードと持久性を兼ね備えている筋繊維。ピンク筋とも呼ばれる。
 
・速筋(Ⅱx型)
最もスピードが速く持久力の乏しい筋繊維。白筋とも呼ばれる。
 
筋線維はこの3タイプに分かれます。トレーニングによって速筋↔︎遅筋のシフトが起こるかどうかですが、現時点では起こらないというのが定説です(そういう研究結果がない)。
しかし、速筋線維はトレーニングによってⅡxはⅡaに変化していくことがわかっています。しかも面白いことに、持久的なトレーニングをしても、いわゆるウェイトトレーニングのような高負荷のトレーニングを行ってもです。
つまり速筋線維はトレーニングによってスタミナも有した筋肉へシフトしていくということです。
 
 
少しまとめます。
・エネルギー供給には無酸素系2ルートと有酸素系1ルートの系3ルートがある
・エネルギー供給特性は3ルートそれぞれであるものの、基本的には全3ルートを全て利用してエネルギー供給が行われている
・筋肉は遅筋と速筋(2タイプ)
・遅筋↔︎速筋のシフトは起こらない
・速筋のⅡx→Ⅱaへのシフトはトレーニングによって起こる
 
ということです。
 
 

走り込みの目的

前回の記事で書いたように走り込みの目的はスタミナ強化と下半身強化であることです。
 
投手に必要なスタミナは、
・1試合投げ切ることができるスタミナ
・連投をこなせるスタミナ
・1シーズン怪我なく過ごせるスタミナ
であり、そのために必要なのは持久力、筋力、リカバリー力の3つであることを解説しました。
 
では、走り込みの目的と効果を考えてみます。
 
 
[長距離の走り込み]
全身持久力とリカバリー力の強化に有効。主に遅筋繊維の強化とⅡx→Ⅱaへのシフトを起こす。また、有酸素系のエネルギー供給力強化にもなる。
ここでもっとも懸念されるのが過度の長距離ランニングが筋肉の分解を起こすということです。
(ダルビッシュ有選手が懸念していたのもこの点)
ですので、このマイナス要素を考慮したトレーニング案が必要となります。
いずれにしても「精神や根性を鍛える」ほどの量は必要ない。また、ジョギング程度の負荷の走り込みは、体性感覚情報入力や全身バランスの改善、思考力アップなどの効果もあります。
 
[中距離(3kmまで)の走りこみ]
全身持久力と筋持久力の強化に有効。Ⅱx→Ⅱaへのシフトを起こす。
 
[インターバル系の走り込み]
筋持久力とリカバリー力の強化に有効。ピッチングの運動構造を考えた際、最も実践に近い走り込みトレーニングのため、投球のスタミナ強化に直結しやすい。
 
[ダッシュ系の走り込み]
筋力強化と筋持久力強化に有効。球速アップなどスタミナ面とは異なる効果を期待できる。
 
※筋持久力の強化が身体に及ぼす影響は、筋肉中の毛細血管が増え、筋肉の中を流れる血液量が増えるためリカバリー力強化に繋がります。
 
 
このように順を追って考えていくと、走り込みは必要であることが分かるかと思います。
ただし、それぞれプラスの効果とマイナスの効果があることも事実です。
必要であることが分かることと、目の前の選手に対し、いつ、何を、どの程度、どのように行えば良いのかの判断ができるかどうかは全く別問題です。
 
長距離の走り込みといってもどの程度の距離や時間をどの程度のペースで走れば良いのか?
マイナスをできるだけ起こさない、あるいはマイナスを補うためにはどうすれば良いのか?
走りこみのトレーニングが投手にとってより有効なトレーニングにするための工夫など。
 
トレーナーの腕の見せ所はここから先です。
 
 
次回、「投手のスタミナ強化トレーニング」で考察して行きます。
 
 
第1回:投手に必要なスタミナとは
第2回:投手に走り込みは必要か
第3回:投手のスタミナ強化トレーニング
 

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2019年01月07日

投手のスタミナを考える 〜第1回:投手に必要なスタミナとは〜

文:岩渕 翔一

 
スポーツトレーニングを考案する際、「なぜそのトレーニングをするのか?」という明確な目的と理由が必要です。
 
トレーニングを考案する方法は大きく分けて2つあります。
1つ目は競技分析を基に必要な動きや能力を導きだし、それらを強化するトレーニングを考案すること。
2つ目は「人の身体」という普遍的なものをより深く探求し、基盤となる身体と動きや機能そのものを強化するトレーニングを考案すること。
 
どちらかが大切ということではなく、目の前の選手やチームに対するトレーニングを考える上で両側面からの視点がなければ効果検証を行えず発展的に変化を作ることもできません。
 
常にプレーの側面から、身体や動きの変化の側面からの両輪で評価し、考案することが重要です。
 
 
野球選手。とりわけ投手の走り込みの是非というのは近年だけでなく、ずっと議論されているであろうテーマの1つです。
1〜2年ほど前にも、ダルビッシュ有選手が走りこみを無くすべきという発言をし、話題になりました。
 
 
投手が行う走り込みの目的は、主に「下半身の強化」と「スタミナ強化」であることは、走り込み肯定派も否定派も異論はないでしょう。
となると前述した、トレーニングを考案する際の2つ目。基盤となる身体と動きを強化するという点で走り込みの目的は共通の認識があるはずです。
そうすると、1つ目である競技から逆算し、トレーニングを考案する際の過程を明確にすればいいはずです。
 
つまり、投手に必要な「スタミナ」と「下半身強化」がどのようなものかを明確に定義しなければ、走り込みの是非は議論できないし、トレーニングも考案することができません。
 
 
 

投手に必要なスタミナと下半身とは

「スタミナ」という言葉はかなり曖昧で、体力、持久力、精力、耐久力などの意味を含むのが一般的です。
 
投手に必要なのは、
・1試合投げ切ることができるスタミナ
・連投をこなせるスタミナ
・1シーズン怪我なくこなせるスタミナ
こういったところでしょう。このスタミナを高めるためのトレーニングが投手に必要なわけです。
 
 
持久力とは、身体活動を疲労することなく長時間に渡って維持し得る能力のことをいいます。
また持久力は全身持久力と筋持久力という2つの要素があります。
 
<全身持久力>
全身持久力を鍛える方法はいわゆる有酸素運動です。
循環器系に過度の負荷をかけずに、少なくとも1回30分以上の持続が可能で代謝・内分泌系に進行性の変化を惹起しないレベルの運動(心臓リハビリテーション必携参考)で、全身の骨格筋の1/7〜1/6以上の筋肉が動員される全身運動です。
 
<筋持久力>
筋持久力には、動的筋持久力と静的筋持久力という2種類があります。
◯動的筋持久力
一定の動作を一定のリズムで何回繰り返すことができるのか。あるいは、一定の負荷を一定のリズムで何回持ち上げることができるのかといったもの。
最大筋力の20〜30%程度の負荷が動的筋持久力を評価、強化する方法として一般的です。
◯静的筋持久力
重りを持ち上げたままその状態をどれだけの時間維持できるのかといったもの。
動的持久力と静的持久力には相関があるので、動的持久力が高ければ静的持久力も高くなります。
 
持久力とはこの全身持久力と筋持久力から構成されます。
 
よく言われるのは、全身持久力や長距離の走り込みを指して、「そんな長距離を長々とスローペースで走る必要はない。むしろ筋の分解を起こしてマイナスだ」といういわゆる長距離ランニングを指しての走り込みの否定です。
これに関しては第2回で詳しく考察しますが、持久力が投手にとって必要なことは間違いありません。
 
 
話が少しそれましたが一般的には、
スタミナ = 持久力
と思われがちですが、
上記の持久力の構成をみてわかるように、投手に必要なスタミナは持久力だけではありません。
 
ピッチングにとって必要なスタミナは、あくまで前述した、
・1試合投げ切ることができるスタミナ
・連投をこなせるスタミナ
・1シーズン怪我なくこなせるスタミナ
であり、持久力はこの条件を満たす一要素でしかないことがわかります。
 
 
では、このピッチングに必要なスタミナの要件を満たすためにはほかになにが必要なのか。機能的な要素でいうと、「筋力」と「リカバリー能力」の2つです。
 

前提として投球動作は高強度の負荷を反復して行う動作です。
ですので、筋力の絶対値を上げることで、一球ごとの負荷を軽減することができるので持久力は結果的に向上します。
 
さらに、野球は攻撃と守備を交互に行っていくスポーツです。
自チームの攻撃中は当然投球しないため、その時間で、筋温や体温を落とさないこと(キープウォーム)。またベンチにいる時間で身体を回復させる能力が重要です。
 
また学生野球の投手や、中継ぎや抑え投手の場合は連投を想定しなければなりません。
 
このように1試合を投げ切ることや連投に耐え得るスタミナという観点に立つとリカバリー能力は必ず必要になります。
 
 
これが投手に必要なスタミナです。トレーニングを考案する際はこれら要素の強化と相互関係(関係主義)を考慮する必要があります。
 
 
次回、これを基に「投手に走り込みは必要なのか」を考察していきたいと思います。
 
 
 
第1回:投手に必要なスタミナとは
第2回:投手に走り込みは必要か
第3回:投手のスタミナ強化トレーニング
 

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2019年01月01日

2019年新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
 
株式会社JARTA international代表取締役、JARTA代表の中野 崇です。
 
 
昨年は格別の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
選手を支える立場にある我々もまた、誰かに支えられているということに感謝を忘れることなく、本年もJARTA一同、誠心誠意の活動を心がける所存でございます。
何とぞ、昨年同様のご愛顧を賜わりますよう、お願い申し上げます。
 
1.手段にとらわれず、真に選手に貢献することを最重視する。
2.技術・知識だけでなく、人間力も含めて世界レベルのアスリートから小学生まで、すべての関係者から信頼されるようなスポーツトレーナーを育成し、スポーツトレーナーという仕事の社会的信頼と存在意義を向上してゆく。
 
変わらずこの2点をJARTAのミッションとし、本年も引き続き一貫した活動を行っていきたいと思います。
 
 
皆様のご健勝と益々のご発展を心よりお祈り致します。
本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
 

 
 
JARTA代表
株)JARTA international 代表取締役
中野 崇
スタッフ一同
 

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2018年12月30日

コツコツは勝つコツ

最近はあらゆる分野で『効率化』という考え方が主流になっていると感じます。
 
 
「仕事を効率化して残業を減らそう」
 
 
「勉強を効率化して最短で合格しよう」
 
 
などなど効率化することが良いという流れが確かに存在します。
 
 
あらゆる事象を効率化して最大限の利益を得るのは素晴らしいことです。
 
 
 
 
しかし一方、この効率化という言葉を「努力の量を減らす」「長く地道な鍛錬は無駄」という意味合いで使っている人も多いのではないでしょうか?
 
 
そしてそれは「楽をしたいだけ」という心理状態に繋がっているのではないでしょうか?
(さらに…)

2018年12月27日

その痛みの原因は局所か全体か?

スポーツにおける慢性的な障害の原因を局所に見出すか、全体(他の部位)から考えるかは
しばしば議論になる観点です。
 
皆様はどのようなフィルターで局所か全体かの判別をしていますか?
 
四国は香川県で活動しております、赤山僚輔です。
 
(さらに…)

2018年12月24日

スポーツにストーリーを

文:岩渕 翔一


なぜそのスポーツをしているのか?
なぜスポーツトレーナーをしているのか?
なぜその試合を見にいくのか?
なぜそのチームを応援するのか?
なぜそのシューズを履くのか?


クリスマスイブにお届けする、これからのスポーツの在り方。


全てにストーリーを

トレーナー界でいえばトレーニング理論で溢れている。JARTAのトレーニングもその溢れたトレーニング理論のうちの1つに過ぎない。

最新のスポーツギアは各メーカーともに優れた機能が備わった商品を販売している。

例えば1万円するランニングシューズであれば、NIKEもASICSもadidasもNew Balanceも、どのメーカーもその価格帯で相応の素晴らしい機能を備えている。

好みや嗜好、合う合わないを差し引けばどれを選択してもさほど変わらない機能性が備わっているはずだ。


質が良いのはもはや当たり前の世の中になりつつある。

プロ選手であれば強くてうまいのは当たり前。
トレーナーであれば良いトレーニングを提供できるのは当たり前。
教育者であれば良い教育ができるのは当たり前。




しかし今は、もはや質が高いだけでは生き残れない時代だ。

例えば、一昔前は美味しくないラーメン店は普通にあったが、現代ではラーメン屋のラーメンが美味しいのは当たり前だ。

どこもこだわりを強く持っている上に美味しい。しかし、潰れるラーメン店は多くある。こだわりがあって他にはない味で間違いなく美味しいのにも関わらず。

それはスポーツも例外ではない。


では何が選択されるための決め手になるか?生き残るための決め手になるのか?




それこそがストーリーだ。


人々は自身の想いや価値観をそのプロダクトに乗せ投影する。

スポーツであれば、想いや価値観を共有できる選手やチームを応援する。だからこそ見ているものは、まるで自分のことのように熱狂し感動する。

オリンピックで日本人として日本チームを応援するのはほとんどの国民が自然にしていることだろう。

それもストーリーがあるからだ。

4年に一度しか行われないスポーツの祭典で「同じ国で産まれた自分たちの代表が世界で戦っている」というストーリーがすでに無条件で出来上がっているからだ。

しかし、オリンピックのようにストーリーは勝手に簡単にはできないし、そんなトップの大会に出場できるのはトップの中のほんの一握りの選手だけだ。


心を刺激する、揺さぶる

NIKEが一週間ほど前に最新のアプリをリリースした。キャッチコピーは、
「ジブン仕様の、NIKE始まる。」
だ。

アプリを開くと分かるが、
「NIKEブレザーチャッカ:デザイン誕生まで」とか、「ジョーダンのデザイナーたちが、ゲーム用の最新シューズに秘められたストーリーを語り合います」とかキャッチーなストーリーを前面に出して商品の展開を行なっている。
(アプリ内の情報は2018年12月21日現在のもの)

しかも、画像や動画は例外なくカッコいい。

スポーツ界はここも重要だ。今やスポーツはファッションの一部になっている。「カッコいい」ことはスポーツにストーリーを乗せる上で必要不可欠なものだ。

「最初から最後まで機械で作られた大量生産商品」と「一流の職人がその手で時間をかけて仕上げた唯一無二の商品」というとおそらく後者に心を揺さぶられる人が多いだろう。

しかし待ってほしい。

前者が、「1000人の技術者が試行錯誤を繰り返し3年がかりでやっと完成したこれまでにない機械で作られた商品」だったらどうだろう?

このようにストーリーは勝手にできるものではない。そしてストーリーが「ない」ということもあり得ない。

ストーリーは「ある」ものでも「ない」ものでもない。作るものなのだ。



ストーリーそのものはカッコ悪くても泥臭くても構わない。必要なのは、
「カッコよく演出された人を惹きつけるストーリー」

これこそが今後必要になるものだ。


セルフプロデュース力が鍵になる

選手やチームであれば応援してもらうためやスポンサーを探すために自分自身にストーリーを作らなければならない。

スポーツトレーナーであれば選手やチームに知ってもらうため、使ってもらうためのストーリーを作らなければならない。

つまり、自分自身やチームを「セルフプロデュース」しないといけないということだ。これはスポーツ云々関係なく実はすごく重要なことで、「社会で生きていく力」を養う。

ストーリーを作るためには、

・自分自身をしっかり見つめなおすこと

・人々がなにに興味や関心を持ち、感情を揺さぶられるのかを感じる嗅覚



この2つがなければ、人を惹きつける魅力的なストーリーは作れない。
この2つは人間関係を良好に築くために必要なものだし、どんな仕事をする上でも必ず必要になるものだ。



実はアスリートがストーリーを作り、自身をセルフプロデュースするべき理由はここにもある。

アスリートのセカンドキャリアについてはスポーツ業界全体で取り組むべき課題だ。

今まで野球しかしてこなかった。野球がなくなった今、なにをどうすればいいのか分からない。このような話は多く聞く。

それは文字通り「野球しかしなかった」からだ。

しかし、ストーリーを作り、自身をセルフプロデュースすることをしていたらどうだろう?

人々が何に興味をもち、自分は何をどうアピールすればいいのか。
それはどんな仕事であれ仕事の根本そのものであるはずだ。

ストーリー作りはセカンドキャリアを歩む際や社会で生き抜くために、なにをするのかの選択と、どうすればいいかという行動を、スポーツをしている時から養うことに繋がるのだ。

今後、なにをするにも生き残るためには必ずストーリーが必要だ。
なによりストーリーを作るのは楽しい。

当然だ。人々が興味をもち熱狂するものを探す作業なのだから、その未来をみてワクワクしないはずがない。


スポーツにストーリーを

一度意識してみてはどうだろうか。


合わせて読みたい記事

スポーツは科学だ

愛される選手になる

子どもの夢を叶えるには動ける身体が必要だ

強いチームにあるもの





2018年12月22日

JARTAが「手本力」を重要視する理由

JARTAの考え方のひとつとして「手本力」があります。
JARTA認定スポーツトレーナーコースでは考え方や知識・技術だけでなく、この「手本力」もトレーナーの能力として重要視しています。
この「手本力」は、JARTAが他のトレーナー団体と大きく違うところのひとつではないでしょうか。
 
では、なぜJARTAはこの「手本力」を重要視するのでしょうか。
 
 
北海道で活動しています認定スポーツトレーナーの矢口雅人です。
(さらに…)

2018年12月21日

年末年始休業のお知らせ

いつもJARTA公式ページをご覧頂き、誠にありがとうございます。
 
誠に勝手ながら、2018年12月28日(金)〜2019年1月6日(日)を年末年始休業日とさせていただきます。
この間にお問い合わせのあったご連絡につきましては、新年1月7日(月)以降に対応させて頂きます。
 
皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
 
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2018年12月17日

ウォーミングアップは進化する

文:岩渕翔一

日本スポーツはこれまでの通りのウォーミングアップをやっていては間違いなく勝てなくなる時代がやってきます。
 
これから、ウォーミングアップは急速に進化する。
その理由と進化に必要なのは2つのポイントです。
 
スポーツは練習前も試合前もウォーミングアップを必ず行います。様々な考え方がありますが、現状全くウォーミングアップをしないというのはほとんどないと言っていいと思います。
 
ウォーミングアップの内容やかける時間は当然競技によってもカテゴリーによっても変わりますが、
ランニング→体操→ストレッチ→アジリティなど→その競技の道具を使っていく
多くの競技でだいたいこのような流れで行われるのが一般的だと思います。時間にするとおよそ20〜30分程度でしょうか。
 
 

なぜウォーミングアップに進化が必要なのか

理由は様々にありますが、決定的な進化させざるを得ないことが今年スポーツ庁から発信されました。
運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン
(参考資料:スポーツ庁HPより)
 
関わりのある方はガイドラインをしっかり読んでいただきたいのですが、書いてあることを一部抜粋すると、
・休養日は週2日以上で、平日は1日以上、土日で1日以上
・夏休みなど長期休業中は部活動も長期の休養日を設ける
・1日の活動時間は平日2時間、休日3時間程度
・科学的トレーニングを導入し、短期間で効果が得られる活動にする
・スポーツクラブなどと連携し、地域のスポーツ環境整備を進める
・大会の統廃合を進め、学校が参加する大会数の上限を定める
ということです。つまり、「教師の過度な負担を軽減しつつ、短い時間且つ効率的で根拠のある練習を行える楽しい部活動」でないといけないということです。
 
 

ウォーミングアップに求められる2つの考え

以上のことから、指導者やトレーナーに今後より強く求められる能力として「タイムマネージメント能力」があげられるでしょう。
与えられた時間をいかに効率的且つ効果的な練習にするのか。平日2時間しかない活動時間に、「ただのウォーミングアップ」に30分も費やすのは勿体ないという感覚はほとんどの方が持てるのではと思います。
 
ではどうしていけばいいのか。必要な考えは2つです。
1.ウォーミングアップを無くす
2.ウォーミングアップそのものがトレーニングもしくは練習になる
1.ウォーミングアップを無くす
 
ウォーミングアップを無くすというのは、時間がないから行わないということでなく、いつでも競技を行えるような心身の準備を行うよう指導していくということです。
 
JARTAでは、ミッドストレッチという競技レベルの負荷を日常レベルに落とし込む方法(ブログ記事|投手の野球肩と野球肘を予防する方法)や、ウォーミングアップの前に、プレウォーミングアップをしなさいという教育を選手やチームにしていきます。
プレウォーミングアップとは全体のウォーミングアップに入る前に各個人の個人的な課題やケアするべきポイントをしっかりやっておきなさいということですが、それが浸透していけばウォーミングアップは限りなく0に近づけていけます。
 
また、ウォーミングアップを無くすということに関してはJARTA代表中野のブログでもその意図が記事になっています。
ウォーミングアップ不要論
 
 
2.ウォーミングアップそのものがトレーニング若しくは練習になる
サッカーのモウリーニョ監督はボールを使わないトレーニングや練習を行わないことで有名です。
「戦術的ピリオダイゼーション」というポルトガル発祥のトレーニング概念がありますが、根底には「サッカーはサッカーの練習でしか上手くならない」という考え方があります。ですので、モウリーニョはウォーミングアップをフォーメーションの形を取って行うそうです。
 
各々が自分のポジションにつき、戦術の中ですることの多いスプリント方向やボール出しを行いながらウォーミングアップをするので戦術のトレーニングにもなっているということです。
この考えをウォーミングアップに導入するのです。
 
どうやって?と思われるかもしれませんが、それこそがこれから指導者やトレーナーの能力や工夫が問われる根本的なところです。ですので、考えることでしか解決しません。
 
コツは、
・トレーニングやウォーミングアップを行う環境を一から考え直すこと
・常にダブルタスクにできないかを考えること
この2点です。

(さらに…)

2018年12月12日

重心感知能力を高めるための3つの要素と鍛え方

スポーツにおいて、方向転換、コンタクトの強さ、スピード、バランスなどが必要となる場面は多くあります。
 
 
スポーツの局面に応じて身体を動かすためには、まずは今この瞬間の自身の体勢がどうなっているか、わからないと次の動きに移れませんよね。
 
 
今この瞬間に、自身の体勢がどうなっているのかを感知するために必要なもの、それが重心感知能力なのです。
 
 
「重心感知」というと、頭部の傾きを感知する前庭や加速度を感知する三半規管などが頭に浮かぶ人もいるかもしれません。
 
 
しかし、前庭や三半規管を鍛えてパフォーマンスアップにまでつなげるためには、相当な反復練習と時間が必要になります。
 
 
そこで今回は、重心感知能力のより効率的な鍛え方を千葉で活動している認定スポーツトレーナーの福原良太が解説していきます。
(さらに…)

2018年12月10日

投手の「タメ」の作り方には2つのパターンがある

2018年12月08日

POLA×JARTAコラボイベントを開催しました

12月5日(水)にPOLA様の定期研修会にて、認定講師の谷口が姿勢改善をテーマにしたストレッチ講座を開催致しました。
 

 

(さらに…)

2018年12月05日

【フットサル・サッカー関係者向け】1回30分。日本代表選手が毎日続けるトレーニングとその効果とは?

■フットサル日本代表皆本晃選手とJARTA
東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
JARTA代表である中野崇はフットサル日本代表皆本晃選手のトレーニングサポートをしています。
そこで、今回は皆本晃選手のインタビュー動画を紹介します。
動画の主な内容は皆本選手がJARTAトレーニングを選んだ理由とその効果、フットサルが上手くなるための身体操作やトレーニングを中野崇が指導している様子などです。
是非ご覧ください。
 
フットサル日本代表皆本晃選手
<主な経歴
2009年中国国際フットサルトーナメント準優勝
2009年東アジアフットサル選手権準優勝
2013年第4回アジアインドア・マーシャルアーツゲームズ準優勝
2013年INTERNATIONAL FUTSAL TOURNAMENT準優勝
2014年AFCフットサル選手権優勝
2018年AFCフットサル選手権準優勝
 

  • フットサル日本代表皆本晃選手のインタビューはこちらから

https://jarta.jp/dispatch/interview_minamoto/
 
 
■インタビューの11の質問
実際にインタビューを行った11の質問を紹介します。
 
 
 
皆本晃選手のフィジカルトレーニング
 
 
【インタビューの11の質問】

  • JARTAのトレーニングをやってみた感想は?
  • 苦戦したトレーニングとは?
  • 皆本晃オススメのJARTAトレーニング
  • JARTAトレーニングをやりだしてからの変化は?
  • プレーでの変化をもう少し具体的に
  • どのようにJARTAトレーニングを導入していますか?
  • JARTAのトレーニングを継続する理由
  • スペインでのプレー経験を踏まえて、日本と海外のトレーニングの違い
  • 外国人選手と日本人選手の違い
  • 日本人選手の特徴
  • 皆本晃がトレーナーに求めること

 
と具体的な11の質問で、インタビューに答えてもらいました。
 
 
■皆本晃選手の生の声
インタビューの11の質問の一部をお伝えします。
 
【トレーニングを導入してからの変化について】
インタビュアー:JARTAトレーニングをやりだしてからの変化は?
皆本選手:「今まではベーシックな筋力トレーニング、パワーをつけるトレーニングをずっとやっていた。
しかし、力を発揮できず、パワーを持て余していた。
JARTAトレーニングをしてから、トレーニングがつながってきた、活かせるようになってきた。
いろんなトレーニングやストレッチすることで、今までにない神経が芽生えて、意識がいくようになった。筋肉痛や疲労する部位が変わってきた。
 
動画では熱い想いを語ってくれています。
まだ動画を見ていないフットサル・サッカー関係者の方は必見です。
見たことがあるよっていう方も、実際の日本代表のトレーニングを見ることができる数少ないチャンスです。
動画ではフットサル・サッカーが上手くなるヒントがたくさん含まれています。
繰り返し見て、パフォーマンスアップに是非役立ててください。
 
 
・フットサル日本代表皆本晃選手のインタビューはこちらから
https://jarta.jp/dispatch/interview_minamoto/
 
 
 
・日本代表と同じトレーニングでパフォーマンスアップしたい、JARTAトレーニングサポート依頼についてはこちら。
http://jarta.jp/dispatch/
お気軽に問い合わせください。
 
・スポーツトレーナーになりたい、JARTA理論を学びたい方はこちら
https://jarta.jp/j-seminar/course/apply/
 
 
 
今回は「なぜフットサル日本代表皆本晃選手がJARTAトレーニングを選んだのか?その実際の効果は?」を紹介させて頂きました。最後までお読み頂きありがとうございました。
 

JARTA公式HP
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2018年12月02日

一流選手のトレーニングを取り入れる前に

「このトレーニング面白そうだな」
 
 
昨今、テレビやインターネットにより様々なトレーニング理論に触れることができるようになりました。
 
 
どの理論も選手のパフォーマンス向上のため、試行錯誤の上に構成されているものばかりです。
 
 
憧れの選手がやっているトレーニングは魅力的に見え、ついついマネしてみたくなるものです。
 
 
個人的にマネをしてみるというのは短期的に見ると効果的な場合もあります。
 
 
ただ、真剣に長期的に行う場合は、競技の特徴と自身の課題を明確にしてからトレーニングを選択する必要があります。
 
 

(さらに…)

2018年12月02日

強いチームに必ずあるもの

2018年11月30日

POLA×JARTAコラボイベント開催

 
12月7日(金)18時より、ディアモール大阪のビューティーブースにてPOLA様とのコラボイベントを開催いたします。
参加費は無料です。詳細は以下ご覧ください。
 
 

プロアスリートも実践!

肩こり改善、腰痛改善、姿勢改善、スタイルアップなどの効果があるTレフストレッチを体験していただけます。

 
【Tレフストレッチをお勧めする3つの理由】
・座ったままでもたっても簡単、手軽に実践可能
座っていても立っていても数秒で出来るので、
デスクワーク中、営業で外出中などでも気軽に行える
・痛くない、キツくない、気持ちいい
きついことや辛いことが嫌いな方も安心
・必要な時間は数秒!短時間でできる
忙しくて時間がないという方もほんの隙間時間、
ながら時間でストレッチが可能
 
 
【Tレフストレッチ*の3つの効果】
・硬い筋肉を柔らかくし、「コリ」や「痛み」を改善
・体幹のインナーマッスルを刺激して姿勢改善、スタイルアップ
・血液の巡りを良くして疲労回復
 

  • * Tレフストレッチとは??
  • JARTAが提唱する、アロースポイントというポイントを刺激しながら行うトレーニング系ストレッチ

 
【イベント概要】
日程|2018年12月7日(金)18時〜(30分程度)
場所|ディアモール大阪ビューティーブース
講師|岩渕翔一

2018年11月28日

【サッカーにおける加速機能の最大化】

サッカーに限らずスピード、アジリティ能力の向上はさまざまな競技で必要になってきます。
ただし、それぞれの競技においてスピード、アジリティ能力がどのような局面、タイミングで発揮されるのかという点を押さえた上でなければなりません。
 
例えば陸上短距離とサッカーのスピード、アジリティ能力は一緒なのか?
共通項はランニング動作ということから非常に多いのは当然です。
しかしサッカーの動作、局面を考える際に相違点が多くあるということもまた当然の事実です。
(さらに…)

2018年11月26日

日本がサッカーW杯で勝つために

イタリアスポーツ界が抱える根本的課題は日本と同じだった。
そこから見えた日本人選手が世界で活躍するために必要なこととは。
認定講師の岩渕翔一です。
 
今年の9月に1週間日本での仕事を休ませていただき、イタリアへ行ってきま
した。

イタリアでは、
・日本人留学生とのトレーニングや交流
・ASローマフットサルでのトレーニング指導と練習見学
・ノルウェーフットサル代表監督とのディスカッション
・ラツィオvsオスティアのフットサル試合観戦
・ラツィオフットサルでのトレーニング指導と練習見学
・ラツィオレディーズフットサルの練習見学
・ラグビー試合観戦
・セリエA、ローマvsキエーヴォ試合観戦
・ラグビーの施設見学とスタッフとのディスカッション
・プロバスケットチームの練習見学とトレーニング指導
・ASローマ下部組織SAVIOの施設見学、練習見学、トレーニング指導
 
などを行ってきました。
競技では、サッカー、フットサル、バスケット、ラグビーの4競技を見てきたわけです。
我々が見てきた施設はどれも素晴らしい施設で、その競技に専念するには充分過ぎる環境がそこにはありました。
さすがサッカー王国イタリア。
そう思っていたところで、それぞれのチームや競技でみてきた選手やそれぞれのチームスタッフが語ったのは危機感と我々から貪欲に学ぼうとする姿勢でした。
 
まず、各競技のチームや選手に見られた共通項は、
・練習であれ試合であれ実戦形式のものはかなり激しく行う
・身体(特に下半身)が非常に硬い
・重心が高く、視野が広い選手が多いが、急落下ができないため加速や方向転換に課題がある
・一つ一つのプレー精度はそれほど高くない
・フィジカルトレーニングは一般的なもの
・ボールを使った戦術練習や練習法はアイディアが豊富で非常に工夫されている
 
こういったことが目につきました。
次に、それぞれのチームスタッフやトレーナーから多く聞かれたのは、
・子どもが基本的な運動ができなくなっている
・フィジカルトレーニングにかけれる時間が凄く少ない
・膝の故障が多い
私は正直言うと、イタリアと日本のサッカーの文化伝統実績の違い。
こういったものがあることは間違いないので、選手もコーチも
「どうだ凄いだろう」
こういう感じなのかなと想像していましたが、実際は自分達に対する危機感を口にし、なにか少しでも学べることは学ぼうとする貪欲で謙虚な姿勢でした。
これは話を聞いて驚いたのですが、イタリアでは義務教育で行う、日本でいうところの「体育」が現在は廃止されているそうです。
その代償として、ASローマ下部組織SAVIOのスタッフが言っていたのは、基本的な運動や体操から指導していかなければならないということ。
実際、見学した際はU12、U15、U19など各カテゴリーで練習が行われていましたが、この世代では日本人選手の方が上手いと素直に感じました。
日本でも子供の運動能力の変化は叫ばれていますので、国としての課題に差はなく、むしろ同じであること。
また、ジュニア世代においては日本人選手にむしろアドバンテージがあること。
こういったことを実際自分の目で見てきました。
ではなぜ、サッカーでA代表になるとイタリアに勝てないのでしょうか?
原因というか要因はいくつもあると思います。文化や歴史の違いもそうでしょう。
しかし、ここでは日本人と欧米の選手で明らかに違う身体的特徴を紹介します。
イタリアの選手は競技に関係なく、驚くほど下半身が硬かったです。対して、上半身は比較的柔らかく、その影響でいわゆる高重心で視野が広いといった特徴が各競技でみられました。

対して日本人は低重心で、下半身が柔らかく、上半身が硬い傾向があります。
 
これはどちらかが良いというわけではなく、両方備えているのが一番ですし、事実トップレベルの選手はこの二つを兼ね備えています。
 
イタリアで我々が指導したいくつかのチームはJARTAのトレーニングに興味を持っていただき、今後、トレーニングを指導していく予定になっています。
つまり、イタリアでは彼らの弱点である低重心コントロールや下半身の硬さを克服するためにすでに動きはじめています。
 
対して日本では、例えば、サッカー上半身セミナーというのを我々JARTAでは開催していますし、サッカーにおける上半身の重要性は多方で語られるようになってきました。
サッカー上半身セミナーの詳しい情報はこちら
https://jarta.jp/j-seminar/soccer/

 
繰り返しますが、低重心と高重心。下半身主導と上半身主導。
どちらが良いとかどちらが優位ということではなく、両方必要です。
日本でサッカーにおいて上半身が大事だと叫ばれるようになったからといって、日本人の長所である、低重心と下半身の柔軟性を活かしたまま上半身のトレーニングに取り組む必要があります。
事実、現在ヨーロッパで活躍する日本人選手の多くは細かいステップや低い姿勢からの素早い切返しが得意な選手が多いです。
 
ヨーロッパで生まれたサッカーという競技で日本が世界と対等に渡り合うには、まだまだ多くのことが必要です。
その多くのことの一つである身体操作や身体機能では、上半身のトレーニングを日本人の特徴を失わないよう注意しながら行うこと。
 
イタリアの地で自分自身の目で見た感じたことを日本で活かせるように。
イタリアでの研修をコーディネイトしてくれたカルチョファンタスティコの吉田輝氏、浜沢良平氏にこの場を借りて感謝いたします。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2018年11月25日

鹿児島ユナイテッドFC J2昇格

 
弊社代表の中野崇がファンクショナルコーチとしてサポートしてきた、
J3鹿児島ユナイテッドFCの来季J2昇格が決定致しましたのでご報告いたします。
 

 
 

2018年11月25日

投手の野球肩と野球肘を予防する方法

投手の肩や肘を守るのは、選手にとってはもちろん、指導者にとってもトレーナーにとっても野球に関わる人であれば誰にでもあてはまるであろう、いわば使命のようなものです。
 
日々のケア
投球後のアイシング
球数への配慮
連投への配慮
 
など現場では数々の対応と対策がなされ、それは今も試行錯誤を繰り返し、より予防という結果が伴う手段と方法が検討されています。
(さらに…)

2018年11月22日

正しいフォームは選手のためではなくトレーナーのため

「そんなフォームだと怪我するぞ!」
 
「しっかり正しいフォームでトレーニングしよう!」
 
 

 
 
正しいフォームでトレーニングをする。
 
 
そのことを大事にしているスポーツトレーナー(以下トレーナー)は多いのではないでしょうか?
 
 
理由としては
 
 
・正しいフォームでトレーニングを行うことでトレーニングの効率が良くなる
 
・正しいフォームでトレーニングを行うことでトレーニングによる怪我を防げる
 
 
などが挙げられると思います。
 
 
現在あらゆるトレーニング方法があり、それらはインターネット等を利用すれば動画や画像で解説を見聞きしながら行うことができるようになっています。
 
 
非常に便利です。
 
 
しかしこの便利さの副作用として
 
 
『選手を正しいフォームに当てはめる』
 
 
ことがトレーニングの目的になってしまうことが多々あります。
 
 
関東で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの岡元祐樹です。
 
 
今回は『選手を正しいフォームに導く』というよりは
 
 
『正しいフォームから、トレーナーの提供するトレーニングをレベルアップする』
 
 
という視点でお伝えしていきます。
 
 
 

【どのような力源で行うか?】

 
正しいフォームとはなんのために存在するのか?
 
 
自分は、選手のためだと以前は思っていましたが、現在はトレーナーの思考を深めるためにあるという側面も考えるようになりました。
 
 
 
 
競技やトレーニングで行われる『動き』には必ず複数の『力源』があります。
 
 
筋力ももちろんそうですし、重力、慣性、摩擦力、床反力、空気抵抗など様々な要素が挙げられます。
 
 
正しいフォームについてトレーナーが考えると『正しいフォームで行うにはどういった力源が必要か?』という思考まで進む必要があります。
 
 
それぞれの競技特性とも言える力源を把握し、そこからトレーニングを考えると、理想と言えるフォームが見えてくるからです。
 
 
そのフォームはインターネット上にある解説とは少し異なるかもしれません。
 
 
例えばスクワットによる下半身の筋力トレーニング。
 
 
「重心を下げていく時、膝がつま先より出ないようにする」
 
 
と一般的には言われています。
 
 
これはハムストリングスや臀部の筋肉を鍛えるための動作指導です。
 
 
ハムストリングスや臀部の筋肉はダッシュやジャンプに重要な筋肉であるため、スクワットでそれらの筋力を向上したいのであれば上記のような指導になります。
 
 

 
 
しかし逆に、大腿四頭筋によるブレーキ動作を強化したいというニーズがあった場合はどうでしょうか?
 
 
上記の指導方法とは少しフォームが異なってきます。
 
 
正しいフォームはトレーニングの目的によって変化し得るのです。
 
 
指導者がそのような柔軟な思考でないと、選手を正しいとされるフォームに当てはめ、トレーニングと競技特性を乖離させることになります。
 
 
正しいフォームにとらわれ過ぎて、パフォーマンスが向上しないということです。
 
 
 

【そのトレーニングで選手はどんな動きをするのか?】

 
とは言え、正しいフォームを知っているというのは重要なことです。
 
 
そのメリットとして
 
 
『目の前の選手が正しいフォームでトレーニングを行えない理由はなんなのか?』
 
 
と思考を進めることができるからです。
 
 
先程の力源の話と絡めると、何かしらの力源が作用していないと言えます。
 
 
その状態でトレーニングを積み重ねても、パフォーマンスアップという目的は達成しづらいでしょう。
 
 
美味しいチキンカレーを作ろうとカレーを煮込んでいるのに、一番重要なチキンがないような状態です。
 
 
このような状態の時は難易度の変更を行います。
 
 
目的となる力源を使いやすくするようにトレーニングの難易度を下げるのです。
 
 
ウエイトトレーニングであれば重りの重さを下げるとか、スクワットであれば浅めに行うとかです。
 
 
モチベーションの問題で集中力が低下している可能性もあります。
 
 
そのような時はゲーム形式にして楽しみながらできるように工夫するのも手段の1つです。
 
 
 

【大事なことは面倒くさい】

 
正しいフォームを知っている、定義できるというのはとても大事なことです。
 
 
正しいフォームを基礎知識として持っているからこそ、その先に進むことができます。
 
 
競技の動きはどのような力源を使うのが望ましいのか?
 
 
その力源を高めるためのトレーニングはどういった物が望ましいのか?
 
 
そのトレーニングを行った時の選手の反応や動きはどうなのか?
 
 
そこからトレーニングの難易度を変化させ、選手により良いトレーニングを提供することができるのか?
 
 
トレーニングの内容を考えるトレーナーには、こういった思考が必要になってきます。
 
 
正しいフォームはトレーニングを行う選手のためにありますが、トレーナーが選手をレベルアップさせるための鍛錬にも用いることができるのです。
 
 
この文章を書いている自分でも「これを全部考えるのは面倒だな」と少し思ってしまいます。
 
 
しかし以前テレビで、スタジオジブリの監督・アニメーターであった宮崎駿氏がこう言っていました。
 
 
 
「本当に作品に大事なことは、面倒くさい作業の中にある」
 
 
 
スポーツに関わる人が、スポーツによって得られるものはなんなのか?
 
 
自分は、大事なものを見失わず努力の先に成長していく姿勢だと想っています。
 
 
選手が本当に大事なものを得られるように。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

 
 
 
トレーニングがどのようなフォームで行われるのが正しいのか?
 
あらゆるスポーツ動作の力源となり得るものはなんなのか?
 
JARTAでは選手に可能な限り最高のトレーニングを提供するために、あらゆる要素をセミナーでお伝えしています。
 
JARTA認定トレーナー養成コース詳細はこちら → https://jarta.jp/j-seminar/course
 
 
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2018年11月17日

【動画付き】なぜブラインドサッカー日本代表高田敏志監督がJARTAトレーニングを選んだのか?その実際の効果は?

■ブラインドサッカー日本代表とJARTA

東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
JARTAはブラインドサッカー日本代表とパートナー契約を結んでいるのを知っていますか?
今回はブラインドサッカー日本代表の高田敏志監督のインタビュー動画を紹介します。
(さらに…)

2018年11月14日

サッカーにおける上半身と下半身の関係性 ~サッカーセミナーin大阪~

関西で活動しておりますJARTA認定スポーツトレーナーの和泉彰宏です。
現在ジュニア世代~大学、プロカテゴリまでのサッカー選手のサポートを中心に活動させて頂いております。


この度、以前開催していたサッカー上半身セミナーをアップデートさせた形で実践型サッカーセミナーを新たに開催します。


本セミナーではサッカーに必要な上半身操作、上半身と下半身の連動性を高めることをテーマにパフォーマンスアップ、怪我の予防に繋がる内容となっております。

(さらに…)

2018年11月11日

投手トレーニングの方向性

11月18日に大阪、札幌で「投手トレーニングセミナー」が開催されます。
 
「投手トレーニングセミナー」は、投手に特化した内容が詰め込まれており、トレーニング理論の解説とプロも実践するトレーニングを実際に体験できる様に構成されています。
 
 
今回は「投手トレーニングセミナー」の内容の一部から、
 
トレーニングを進めていく上で必要な、トレーニングの方向性についてお話ししさせて頂きます。
(さらに…)

2018年11月07日

○○が93%の団体

 
認定講師の高塚政徳です。
 
 
93 % (10/144 )。
 
 
これは、JARTA認定スポーツトレーナーの男女比になります。
 
 

 
 
JARTAでは、ほぼ全てのセミナーで男性の受講者の割合が圧倒的に多く、
 
全員が男性だったという日も決して珍しくはありません。
 
 

 
 
この件については、代表 中野のブログでも度々紹介されているのでご存知の方も多いかと思います。
 
男性ウケがいいのか、女性ウケが悪いのかは定かではありませんが、偏りを意図的に操作しているわけではありません。
 
もちろん、女性の方も毎年一定数は受講してくれていますし、継続的に関わっていただいている方もいます。
 
 

        【JARTAを学ぶ女性が少ない理由は何か】

 
○セミナー内容とニーズが一致しない?
 
○トレーニングが難しすぎる?
 
○女性が参加しにくい雰囲気?
 
○講師や、SNSで出てくるのが男性ばかりだから?
 
○暑苦しい?男臭い?etc.
 
 

 
 
理由は、スポーツトレーナーを志す女性の母数が少ないということもあるかもしれませんし、
 
一概にこれだとは言えません。
 
本当は、何かあるかもしれませんが。(気づいている方がいれば一報いただきたいです。)
 
その一方で、現場からは女性トレーナーを求める声も少なくないのが現状です。
 
 

                  【ニーズはさらに高くなる】

 
多くの日本人女性アスリートが、世界を舞台に大活躍しています。
 
その姿をみて、競技スポーツを志す女性は年々増えているのではないでしょうか。
 
女性チームやアスリートに、女性トレーナーがつくことが必ずしもいいというわけではないですが、
 
女性特有の健康管理に関する対応については、女性トレーナーのほうが介入しやすいのは間違いありませんし、
 
遠征や合宿帯同の際も、対応できる要素は多いはずです。
 
 

                        【女性でもできる】

 
 
JARTAトレーニングの考え方や方法論は、女性アスリートにももちろん使えます。
 
むしろ有効
 
JARTAでは、女性アスリートのサポート実績も多くあります
 
女性特有のしなやかさを最大限活かすこと。
 
そこを強化、維持しながら、その選手が求めるパフォーマンスに不足する要素を高めることがベターではないかと私は考えています。
 
 

     【女性トレーナーだからこそ伝えられること】

 
 
男性トレーナーから女性アスリートにトレーニングを指導する際に、時折言われてしまうこと。
 
それ、男だからできるんですよね?
 
この言葉を言わせてしまうのはトレーナーの問題でもありますが、「性差」は変えられない部分です。
 
しかし、我々が伝えるトレーニングにおいて、できるできないに「性差」はありません。
 
むしろ、JARTAの女性トレーナーの中には男性よりも優れた身体操作を行えるツワモノもいます。
 
自分よりもサイズの大きい相手、パワーやスピードがある相手とどう戦っていくのか。
 
ここは、女性も鍛錬していくことで確実に上達できる部分です。
 
苦労して、習得したトレーニングは説得力が違います。
 
言い訳をさせず、本当の意味で選手の心に火をつけることに関しては女性トレーナーのほうが、アドバンテージがあるかもしれません。
 
女性トレーナー自体の数が少ないということは、自分次第で希少価値を生み出しやすいということも言えます。
 
今後、先日の竹治トレーナーのようにJARTAの女性トレーナーの方達の活動をこちらで紹介させていただく予定になっています。
(先日の記事、“「私」という個性”
 
 
今まであまり見えてこなかったJARTAの女性トレーナーの動向がみえてくると思いますので、ご期待ください。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2018年11月04日

2018JARTA合宿に参加して / 真木 伸一

 初めて合宿に参加させてもらいました。

 
その場で、プレゼンテーションのチャンスをいただき、いささか参加者のみなさんに強いメッセージを発信した者の責任として、感想を述べます。
 
トレーナーという道を志してからの26年間、私はかなり厳しい環境の中で育ってきました。
明らかに理不尽な要求や現実に対しもがき苦しんだ経験もしています。
だから、若手が自分の意志で前に出られない環境に嫌悪感を覚えます。

(さらに…)

2018年11月01日

きっかけを掴む場に ~2018JARTA合宿開催報告~

JARTA合宿は、今回で4回目。
 
毎年テーマを変えながら、試行錯誤を繰り返しながら合宿を開催しています。
 
 

「合宿」と「セミナー」の違いは何か

 
 
別に泊まりがけじゃなくてもできるのでは?
 
動画で情報共有できればいいのでは?
 
 
セミナーとの1番の違いは、
 
「受講」するのではなく、「参加」することにあります。
 
 

 
 
合宿では、講義形式のプログラムもありますが、ディスカッションやプレゼンなど自らの考えをアウトプットする場が多くなります。
 
 

 
 
全国から集まったメンバーの考え方、具体的な経験や方法論の共有は、ここでしか得ることができないものです。
 
その中で出てくる疑問や納得のできないことはできるだけその場で解決することを、最優先します。
 
そして、それぞれの成長を目の当たりにすることが、何よりの刺激になります。
 
 

 
 
今年のテーマはこの2つ
 
・不足を知る
・繋がりに気づく
 
 
各プログラムにて、JARTAの基準、我々が選手に提示するトレーニングによる可能性をお伝えしました。
 
 

 
 
選手と正面から向き合うからこそ、常に悩みが尽きず、その都度不足が見つかります。
 
合宿においては、事前準備も含め持っているものをここで全て出し切ることで、初めて自分に足りないことが見えてきます。
 
だからこそ、合宿では全員が発言し、自分の考えを伝え、体を動かすことを求めます。
 
 


 
 
今回の合宿では一部(トレーニング評価・オリジナルトレーニングプレゼン)で、下記2つのカテゴリーに分けた形で、選択プログラムを準備しておりました。
 
 
『シャープニングカテゴリー』
さらなるレベルアップを目指し、トップレベルの選手にも通用する内容を共有するカテゴリー
(Jリーガー、格闘家などのプロ選手のパーソナルトレーニングを担当する和泉・萩が担当)
 
 


 
『ディブロップメントカテゴリー』
基礎的な部分を重視し、主に育成年代などで必要な内容を共有するカテゴリー
(幅広い年代・競技レベルでの指導経験がある岩渕・谷口が担当)
 
 


 
 
参加メンバーそれぞれに、いま必要と考えるカテゴリーを選択してもらいました。
 
どちらのカテゴリーも、目の前の選手のために手段に囚われず、全力を尽くすという基本的なスタンスは同じということを前提にしています。
 
 
その他のプログラムとしては、
 
今後認定スポーツトレーナーコースでお伝えしていく予定となっている評価法(MESSI)をはじめ、リカバリー、ウィメンズ、参加者プレゼン大会、ディベート、運動構造分析についてなどのプログラムを実施しました。
 
 
JARTAにおける合宿の位置づけは、自分と向き合い成長を確かめる場であり、成長のきっかけを掴む場です。
 
この合宿自体も、年に1回全国の認定スポーツトレーナーが集う特別なイベントに成長していけるよう来年以降も開催予定です。
 
 

 
 
2019JARTA合宿の詳細が決まり次第、またこちらでご案内させていただきます。
 
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
 
 

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2018年10月27日

JARTAの合宿が見据える先とは

本日より2日間、神戸で年に一度のJARTA合宿が開催されています。
 

 
毎年この時期に開始される合宿では、様々な形で認定スポーツトレーナーを中心にさらなる成長をめざし鍛錬していきます。
 
今回は総勢59名の参加。
全国から受講中の皆様も含めて集まりました。
 

 
身体も心も自分に向き合い続ける2日間。
 
資格更新のためには一日だけの必須研修でも可能です。
 
それでもなお、この2日間を選び集まってきた全国の仲間たち。
 
彼らにとってこの2日間をどう過ごすかは、月曜日から関わる選手たちの結果や成果に直結します。
 
大人になって人前で何かを意見することや議論すること。
またわからないと表明することは恥ずかしいことかもしれません。
 
でもそういった過程を通り越した先にある自分は昨日までの自分とは違うはず。
 
この舞台で自分に向き合い続けるトレーナーたちの今後にご注目ください。
 

(今回の合宿運営スタッフの面々)
 
約半年かけて構成等々熟慮を重ねてきました。
 
どうすれば、選手にとって必要とされるトレーナーになれるか。
どうすれば、目の前のクライアントの問題が解決できるか。
どうすれば、トレーナーとしての伸び代伸ばせるか、講師として受講者にそれを感じ取ってもらえるか。
 
 
答えのない問いの中で、JARTAは走り続けます。
 
その先にある選手と成長があると信じて。
 
 
合宿はまだまだこれから。
 
合宿開催報告で今後の詳細はお伝えいたします。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2018年10月26日

「私」という個性

『初めまして、竹治久里子と申します。
私はもともと作業療法士として病院で働いていましたが、スポーツに関わる仕事をしたいと思い、アスレティックトレーナーの資格を取って、今はフリーランスのトレーナーとして働いています。』
 
このような自己紹介をすると、大抵の人に珍しい、変わっていると言われます。
女性で、作業療法士で、トレーナー。
たしかに、今まで仕事をしてきて同じ経歴の方には会ったことがありません。
ただ自分では、そんなに変わったことをしているつもりはありません。
なぜなら、病院を辞めたことも、トレーナーを目指したことも、思い付きで行動している訳ではないからです。
「こうなるべくしてこうなった」のです。
(さらに…)

2018年10月25日

食事からのパフォーマンスアップ~JARTAスポーツ栄養セミナー開催報告~

10月21日にJARTAスポーツ栄養セミナーが開催されました。
参加者は、トレーナーや医療従事者、管理栄養士、調理師、一般社会人、保護者の方と様々な経歴の方50名に参加していただけました。
 
今回のセミナーは西洋・東洋の栄養学を、1日で学べる構成で行いました。
 
午前は、管理栄養士の片山より「公認スポーツ栄養士による基本の食事と水分補給」のテーマで話しました。
基本的な栄養学の内容を中心に、しかし現場で活用できるような定エネルギー必要量の計算方法や、練習や試合に合わせた食事のタイミング、そして水分補給についても具体的に紹介しました。

 
 
お昼は「八百屋とごはん うらや」様にご協力いただきまして、アスリート向けのお弁当をご用意させていただきました。

 
 
午後からは日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー・鍼灸マッサージ師の伊藤より「東洋医学の考え方を用いた食養生(栄養学)」のテーマで話しました。
東洋医学に馴染みのない受講者の方も多かったため、まず基礎的な東洋医学の説明から始まり、それをベースに自身の体質チェックや季節や感情に合わせた食事について紹介しました。

 
今回は単発セミナーという形で開催しましたが、
今後は「コース」として、皆様にスポーツ栄養学を学んでいただけるよう準備しております。
・西洋だけでなく東洋の栄養学も学びたい方
・スポーツ栄養学に興味があるけど、どこから学べばよいかわからない方
・スポーツ現場での応用編など、より深く学びたい方
・スポーツをしている方の栄養をサポートする立場にあるが、不安がある方
にお勧めの構成となっておりますので楽しみにしていただけたらと思います。
 
 
『食事』をすることは、生きていくためには必要不可欠なことです。
しかしあまりにも当たり前すぎて、食事がパフォーマンスアップに繋がるということがあまり実感持てないのも事実です。
パフォーマンスUPやケガをしないカラダづくりに、ぜひ食事という手段を取り入れることを検討されてみてはいかがでしょうか?
 
最後になりますが、今回は非常に多くの方にご参加頂き、有意義なセミナーを開催することができました。
これも受講いただいた皆様のご支援とご愛顧によるものと、心から感謝いたしております。
 
 
JARTAスポーツ栄養セミナー詳細ページはこちら

JARTAスポーツ栄養コース


 

2018年10月21日

現場で結果を出すために~経絡と内臓の観点~

先日格闘技選手の試合帯同サポートを行った際に選手からこんな相談がありました。
 
「減量後のリカバリーで水を飲みすぎてしまい、動くとお腹が痛むのですが」
 
皆さんならどう対処していきますか?
 
関東で活動しております、JARTA認定スポーツトレーナーの萩潤也です。
(さらに…)

2018年10月17日

施術で選手の心を掴む。

東海で活動している認定講師の宮崎祐一です。
 
スポーツトレーナーは、痛みや不調をきっかけとして関わることが多く、選手との関係性を築くための手段として施術があります。
 
普段、JARTAではトレーニングの手本をとても大切にしています。
手本を見せることで、選手が良いイメージを持ち習得しやすいためです。
しかし、トレーナーとしては施術ができることも非常に重要です。
(さらに…)

2018年10月13日

メディア出演情報/K-1ファイター近藤魁成

 
いつもJARTA公式ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
 
今回はサポート選手のメディア出演情報をご報告させていただきます。
 
以前JARTA会員限定動画でもインタビューさせていただき、赤山・萩、両JARTA認定スポーツトレーナーがトレーニングサポートをさせていただいております、K-1ファイターの『近藤魁成』選手が明日14日に放映される
フジテレビの「ミライ☆モンスター」に出演いたします。
 


 
高校2年生ながら今春にプロデビューし、K-1甲子園でも先日2連覇を果たした近藤選手。
 
実際の試合では赤山がセコンドとしてサポートをさせて頂いており、ボクシングパンツにはJARTAロゴも実は入っております。



 
 
JARTA公式ブログをご覧の皆様方には、ぜひこの機会に
 
今後活躍が期待される『近藤魁成』選手への応援よろしくお願いいたします。
 

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2018年10月11日

JARTAサイバープランスタート!

 

 

サイバープランの詳細はこちらから

2018年10月10日

【選手よりも熱いエネルギーを】

認定スポーツトレーナーの伊東尚孝です。
 
9月14日〜19日にイタリアへ旅立ち、5日間の滞在で自分自身の成長を肌で感じることができました。
主観ではありますが、僕が成長したと感じることができた過程を報告させていただきます。
 
 
 

【自分軸を意識しすぎた結果】

 
14日にイタリアへ着き、翌日15日にCalcio Fantasatico留学生へのトレーニング指導を行いました。

選手に困っていることや、伸び悩んでいることを聞き、それらを踏まえた上でトレーニング指導を行いました。
しかし、トレーニングの方法を「いかにうまく伝えられるか」にベクトルが向いてしまい、選手一人ひとりに気を配ることができませんでした。
 
 
皆さんは、相手に「伝える」と「伝わる」の違いを区別できますか?
スポーツトレーナー界だけでなく、もはや社会人にとって必須のスキルだと思います。(もちろん学生でも)
「伝える」は、自分から一方的に相手へ意見を言うこと。
「伝わる」は、自分の意見を相手が理解し、納得すること。
(ここでの理解・納得の意味は省略します。)
 
言うまでもなく、トレーナーに必要なのは後者です。
トレーニングの方法を「どのように伝えるか」ではなく、「伝わるためにはどうするべきか」
このような言葉の変換が重要です。
 
 
「いかにうまく伝えられるか」=「自分軸
 
そう思っていた時点で、もう選手には伝わりません。
最初は興味を持って聞いてくれていた選手も、次第に距離が離れていくことは明確でした。
日本人は、分からなくても分かっている“フリ”をすることが得意ですが、明らかに態度が変わることを目の当たりにしました。
イタリアで勝負しようとしている留学生にとって、分かってる“フリ”なんてするはずもなく、自分の力不足を痛感しました。
 

“悔しい”

 
選手のために行っていたはずが、言葉の通じる留学生ですら伝えられない・・・
この経験が、次へのステップに繋がったと今は感じています。
 
 
 

【自然と湧いてきたエネルギー】

 
2日目、3日目と多くのチームや施設を周り、同じく参加している認定トレーナーの指導を見たり、中野代表のプレゼンを見たりして過ごしました。
そして、4日目にSAVIO U-16サッカー選手と、Virtus Roma・バスケット選手への指導を行いました。


 
初めての通訳を通しての指導でした。
言葉の通じる留学生相手でも伝わらなかったことを踏まえて、言葉の通じない相手にどうやってプレゼンするべきか。
仮に自分がプロ選手で、海外から見知らぬトレーナーが指導しに来た場面を俯瞰し、
「どうすれば心を掴まされるのか。」
 
そう考えていると、自然と胸回りが熱くなっていくことに気付きました。
 
「これがエネルギーか…」
 
JARTAのセミナーや合宿などで聞いてきた、選手よりも熱いエネルギーを持つことを実体験する瞬間でした。
どんなに効果的なトレーニングを指導されても、そこに選手がいなければ、それはただの“すごいトレーニング”で終わってしまう。
選手のパフォーマンスを向上させたいという熱量を感じさせることで、選手はそのトレーナーの言うことを聞いてみよう、と思うはず。
 
 
そうなれば言葉が通じなくても

威圧感がものすごいプロ選手相手でも
 
「その場にいる選手のため」と思うエネルギーを持つことで、動じることなく指導できました。
 
その結果、何が起きたか。
まず周りが見えるようになる。それは、選手の一挙手一投足もですし、サポートしてくれている認定トレーナー、通訳をしてくれる現地の日本人スタッフ。
見えてきたことで、「伝えたいことが伝わる」ためにはどうすればいいか。
現場で目まぐるしくおこる変化に対応することが自然にできるようになってきます。
そうすると自然と選手やコーチが、通訳ではなく“僕に”訴えかけてくれるようになりました。
 
初日の留学生の選手たちは淡々とトレーニングをこなしていて、それに関する質問などを訴えかけることはありませんでした。(むしろ距離が離れていく一方)
これは決して日本人だからではなく、そこにいるトレーナーに「選手に対する熱いエネルギー」が存在していたかどうかの違いだと思います。
選手やコーチは、そのエネルギーを敏感に感じ取ります。
初日の僕には、それが欠けていて、選手たちは無意識に見抜いていたのでしょう。
 
つまり、今回の指導では選手やコーチが僕のエネルギーを無意識に感じ取ってくれたのではないかと思います。
でなければ、イタリア人選手やコーチは言葉の通じない僕にわざわざ声をかけたりはしなかったでしょう。
 
 
大事なのは、目の前の選手を良くしたいという「相手軸」の感覚でした。
 
 
 

【まとめ】

 
トレーナーとしての本質に気付かされた5日間でした。
後から考えると当たり前のようなことばかりですが、それを実体験するか否かでは、雲泥の差があります。
頭で理解しているつもりに気付かされ、そんな自分の伸びしろをはっきり示されます。
イタリア研修へ参加することが、トレーナーとしてのレベルアップに繋がる大きなきっかけになったことを確信してます。
この経験を糧に、選手のために還元できるよう成長していきたいです。
 
ただ、一つだけ心残りがあります。イタリアで頑張っている日本人留学生。彼らに。彼らのためにもう一度一緒にトレーニングがしたい。その思いを忘れずに過ごすことがこれから私がしなければいけないことです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
伊東尚孝
 




2018年10月07日

第2回浜松workout開催!

皆さん、こんにちは。
8月に浜松で施術系workout(上肢編)が開催されたことはご存知でしたか?
 
東海地区で活動しております、認定スポーツトレーナーの高島です。

 
今回10月20日、土曜日夜施術系workoutの下肢編の開催が決定しすでに募集開始となっています。
 
 
前回の上肢編に参加できなかった方でも、これまで全く参加したことなかった方でもどなたでも参加可能となっているので、ぜひ参加してみてください。
また、過去に名古屋で開催した下肢編に参加したことがある方でも大歓迎です。
 
 
下肢編も上肢編と同様に5つの手技を紹介します。
 

 
・股関節調整テクニック
・仙腸関節調整テクニック
・ハムストリングス+内転筋調整テクニック
・腓骨調整テクニック
・膝関節調整テクニック
 
痛みや違和感、硬さを取り切れずにいて悩んでいる方がいるのであれば、ぜひこれらの手技を使ってみてください。
認定コースでは伝えなくなった手技ではありますが、多くのトレーナーが現在でも使用しているものです。
 
また、比較的臨床の場面でも使いやすい手技がほとんどであるため、翌日の臨床でもさっそく使ってもらえる内容になっております。
 
普段とは少し異なった身体の使い方や触り方で戸惑いがあるかもしれません。
 
しかし、上手く相手に力を伝えることができていないと思う方や触り方に自信を持てない方は練習を続けることで、今まで自分自身が行なってきた施術の質を高めることができる手技とも言えます。
 
以下に、下肢編の詳細をご案内させて頂きます。
 
【日時】
10/20(土) 18:15~19:45(受付開始18:00~)
 
【会場】
浜松駅前ビル 4階 C会議室
最寄駅 JR浜松駅より徒歩1分
住所 浜松市中区旭町10-8
 
【受講料金】
2,000円(※当日受付にてお支払をお願い致します)
 
【講師】
高島公平(JARTA認定トレーナー、理学療法士)
 
他地域での開催はホームページでご確認ください。
https://jarta.jp/j-seminar/operationworkout/#
 
 
※東海地域では、11月に名古屋で下肢編の開催が決定しております。
 

JARTA公式HP
https://jarta.jp
 

2018年10月03日

2Dトレーニングは3D化せよ!

2D、3Dと聞いて、「またJARTAで新しい概念を生み出したのか」と思った方もいるかもしれませんが、2D、3Dとは皆さんもご存知のものです。
 
 
これからお伝えしていくのは、
2Dが2次元、3Dが3次元になります。
 
 
このうち、現場で比較的よく目にするのは2Dまでのトレーニングです。
 
 
今回は、2D(2次元)のトレーニングから3D(3次元)へ変えるメリットをお伝えしていきます。 (さらに…)

2018年09月30日

アスリートにとっての「食」は、パフォーマンスを下から支えるもの

 
こんにちは。公認スポーツ栄養士/管理栄養士の片山真子です。
 
アスリートの食事について、重要なポイントは、量とバランスとタイミングだと考えています。いつ、何を、どれくらい、食べるかです。
 
では、今回のセミナーでお話します「バランスのよい食事の整え方」の一部について、ご紹介させて頂きます。
 
 
 
 
バランスのよい食事を整えるコツは、主食・主菜・副菜2品・乳製品・果物を揃えることです。
 
例えば、具体的なメニューでいうと、ご飯・ハンバーグ・サラダ・スープ・ヨーグルト・みかん…。
 
毎日3食、こんな風に食べていますでしょうか?
 
 
食べておられる方は、是非自信を持ってください。
そうでない方は、何が足りなかったでしょうか?
1食で食べきれない場合は、補食で補うのでも構いません。少しずつ、整えていきましょう。
 
 
また普段の食事メニューが、主食・主菜・副菜・乳製品・果物…どのカテゴリーに属するのかに迷う選手もおられます。
 
例えば、「冷奴」はどのカテゴリーに含まれるでしょうか?
 
 
 
答えは、「主菜」です。冷奴は、たんぱく質を多く含むメニューです。
 
 
 
続いて、「カレーライス」はどのカテゴリーに含まれるでしょうか?
 
答えは、「主食」「主菜」「副菜」を組み合わせたメニューとなります。炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルを一度に合わせて摂取することができます。
 
 
 
普段の食事は、どのカテゴリーに含まれるのか?どんな栄養素を含むのか?食べると身体の中でどんな働きをするのか?
 
 
 
少しご自身の食事にも興味を持って頂き,意識して頂けるきっかけになりましたら幸いです。
 
 
「これさえ食べれば試合に勝てる!」なんて食べ物はありませんが、アスリートにとって日々の食事は、日々の身体作りやパフォーマンスを下から支えるものだと考えています。
 
 
 
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
当日、皆さまにお会いできますことを楽しみにしております。
 

JARTAスポーツ栄養コース


 

2018年09月29日

筋トレにプラスアルファしてより質の高いものへ

JARTAの考え方を活かして筋トレの質をより高いものにしてみませんか?

 
東海認定トレーナーの高島です。
 
 
トレーニングの原則の中で意識性の原則というものがあり、トレーニングをする中で鍛えている部位を意識したり、トレーニングの内容や目的などを理解して、自らの意志で取り組むことが良いとされていることは皆さんもご存知だと思います。
 
 
ただがむしゃらにトレーニングに取り組んでいる方がいるのであれば、まずここから変えてみましょう。
(さらに…)

2018年09月28日

掲載報告/月刊トレーニングジャーナル2018年10月号

月刊トレーニングジャーナル10月号の巻頭特集「選択を支えるもの」にて、JARTA認定スポーツトレーナー竹治久里子の記事が掲載されております。

スポーツ現場において、競技の中断や競技への復帰など、選択を迫られるタイミングは多々あります。
今回の記事では、その際に基準としている事、あるいはその為に事前に準備していることについて、記事にしていただきました。
是非ご興味がある方はご覧ください。

2018年09月22日

トレーニング効果を十分に引き出す為に

トレーナーの方でもセラピストの方でも、みなさん様々なセミナーに参加し、知識・技術を身につけて担当するクライアント・患者に指導していると思います。
 
その指導しているトレーニング、どこまで説明できますか?
 
今回は、トレーニングを説明することの重要性について話をしたいと思います。
(さらに…)

2018年09月19日

<愛される選手になる>

先日、私の元にこのような連絡が届きました。
「ゲームカウント3ー0でリードしてたのにファイナルゲームの末に負ける。。。全国逃した。メンタル弱すぎ。勢いででいけたはずやのに。」
現在中学3年生でソフトテニス選手のお母さんからです。
 
お母さんの言うように実力的には全国大会には出場できるはずの選手です。
本人はもちろんのこと、関わる人ががっかりしたであろうことは想像に難くありません。
その後、団体戦では全国大会の切符を手に入れた報告もあり、中学テニスの引退はまだ先になったことが分かりました。
 
認定講師の岩渕翔一です。
 

 
学生スポーツは、競技を通して子どもの成長を心身ともに促せるような教育としての側面を持ち合わせなければいけません。
この後、団体戦での全国大会の結果を聞いた際私は、そういった意味で凄く嬉しい気持ちになりました。
勝ち負けの結果ではなく、この選手が皆から愛されていると感じたからです。
個人戦で全国大会を逃し、団体戦のみでの全国大会に向けて再度心身の準備を図るために、足や靴の相談などを受けました。しっかりと心身がリフレッシュした状態で出発する。
自信を持てる準備を行い、自分のプレーに言い訳をつくらないようなリカバリーを行い全国大会に挑んでもらいました。
 

 
結果は全国大会準優勝。
この選手自体は大将として使ってもらい負けなしで終わったと。
要約するとそのような連絡をお母さんからいただきました。
 
私はこの連絡をもらい、凄く嬉しい気持ちになりその気持ちをすぐにお母さんにお伝えしました。
準優勝したことが?
負けなしで終われたことが?
どれも違います。
私が嬉しかったのは大将として起用されたことがです。
中学のソフトテニス団体戦は4ペアを登録します。
そのうち1ペアは予備ペア(端的にいうと補欠)で、実際試合を行うのは3ペアです。
今回のチームはこの登録4ペアのうち2ペアが個人戦でも全国大会出場を決めているペアです。
全国大会出場を決めている2ペアではなく、この選手のペアが大将で起用してもらえる。
私はそれを聞いて、お母さんそれだけで大成功ですよとお返ししました。
 

 
当たり前ですが、スポーツはそれぞれの競技ルールの中で勝敗を競い合うゲームです。
試合後は必ず勝者と敗者に分かれます。
当然誰もが勝ちを目指し、試合に挑みます。
しかし、最終的に勝者はたった一人。
あとは全員敗者です。
スポーツは敗者になることのほうが圧倒的に多いのです。
今回のケースでいうと、近畿大会で全国大会を逃した選手はこの時点で敗者です。
その敗者が個人戦で全国大会を決めた選手を差し置いて大将として起用されるという事実とその意味。チームメイトからも指導者からも信頼され、愛されていないとこうはならないのではないかと私は思います。
・選手として
・人として
・普段の在り方や言動
・学生として あげればきりがありませんが、チームメイトから認められ、指導者から認められ。
大将として起用することのメリットがチームとしてあるからこその起用だと思うのです。
ですので、この選手は皆から愛されているのだと感じ、それだけで成功だと感じその気持ちをお母さんにお伝えしました。
スポーツは勝ち負けを競い合うゲームです。
そこに人としての成長をも求めるのであれば、本気で勝ちを目指し、求め、努力しなければそこに人としての成長は望めません。
しかしそれは勝ちに拘るということで、勝たなければならないということではありません。
繰り返しますがスポーツは負けることが圧倒的に多いのです。
私の指導スタンスは「勝ちには徹底的に拘るが、結果に執着しない。」ということです。
負けた先、第一線から離れた先になにが残るのか。
皆から愛される選手は愛されるだけの背景が必ずあります。
その背景こそが人としての在り方であったり、人としての成長ではないかと思うのです。
勝ち負けだけでいえば、準優勝の全国大会も結果は敗者です。
しかし、そもそもスポーツは人から愛されなければ続けることができません。
プロであれ、アマチュアであれ、学生であれ支える人がいるからできるのがスポーツだからです。
そういった意味で皆から愛された選手を嬉しく思うし、誇りに思うし、家族や指導者、チームメイトなど周りの人達の支えを尊敬します。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2018年09月15日

力を抜くのもスキルの一つ

認定講師の高塚政徳です。
 
スポーツの世界では、必ずと言っていいほど、ここぞという大事な場面で「リラックスしろ」、「力を抜け」、「楽しめ」という声かけが多くなります。
 
それは、持っているパフォーマンスを最大限に発揮するためです。
 
要するに、練習通り、いつも通りのプレーをさせるための声かけと言えます。
 
そのいつも通りのパフォーマンス発揮を阻害する因子の1つとして、無意識下で生じる筋の過緊張があります。
 
姿勢保持にも、動作においても必要以上に力が入ってしまう状態のこと。
 
俗にいう力みというやつです。
 
この“力み”をコントロールできないことは、ケガにつながる局所へのストレス増大や、スキル習得の妨げになります。
 
「そんなに力を抜いたらまともに動けない」という方も多いかと思います。
 
しかし、長く活躍している選手やケガが少ない選手ほど、“力み”のない動きからハイパフォーマンスを実現します。
 
その代表例の一人がヴィッセル神戸で世界トップレベルのプレーを日本でみせてくれているイニエスタ選手ではないでしょうか。
 
不確定要素が多く、相手選手との突発的な衝突が多くあるようなコンタクトスポーツでは、特に力を入れることと抜くことが瞬時に、かつ反射的に切り替わる必要があります。
 
だからこそ、力を入れることだけでなく力を抜くことを目的としたトレーニングも重要になるのです。
 

紹介するトレーニングは、主に上半身の不必要な力が抜けているかどうかのチェックにもなります。
 
この動作の質をあげるためには、立ち方、股関節の使い方、下半身から上半身への動きの連動など多くの要素が入ってきます。
 
身体操作のトレーニングとしても、力を抜くための引き出しとしても使えるトレーニングですので、ぜひお試しください。
 
 
◯単発で行うパターン


 
 
◯連続で行うパターン


 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2018年09月13日

「体質を知ること」は栄養アプローチの第一歩 〜東洋医学編〜

 
<身体の動きを改善することだけがパフォーマンスアップだと思っていませんか?>
JARTAスポーツ栄養セミナーのページの冒頭の文章です。
 
栄養学といえば、今回のセミナーで「公認スポーツ栄養士」の片山先生がお話される西洋医学のイメージが一般的だと思います。
 
とても大事な分野です。
体は食べ物から出来ていると言われ、スポーツする以前に生きていく上での土台づくりとなります。
 
 
そして、今回は西洋医学に加え
あまり馴染みのない東洋医学の視点も栄養学に取り入れていただく機会にしたいと考えています。
 
香川県で活動しております。認定スポーツトレーナーの伊藤 直哉(イトウ ナオヤ)です。
 
 
栄養学を東洋医学の視点を取り入れたとき、何かの薬っぽいものを食べるイメージをされる方がおられると思います。
 
しかし、スーパーに売っている食材で東洋医学を取り入れることが出来るんです。
〈前回のコラム参照〉
手段に囚われない、食事面からのサポート
 
 
そこで今回のセミナーでは、
スポーツ栄養士ではなく、セラピストやスポーツトレーナーとしての範囲で関われる食事の面からのアプローチをお伝えします。
 
 
では、
セミナーでお話する一部をご紹介します。
 
〇〇は△△に良いから食べた方から良いと聞いて…
飛びつく人は多いかと思います。
(翌日スーパーから消えますよね。)
 
でも、それは全員に良いかと言えば少し違ってきます。
体質も違えば、食べるべき食材や調理法も違ってきます。
 
 
東洋医学では、体質をチェックする方法があります。
 
例えば、
自分や指導対象の選手はカラダが冷えているのかどうか。
それによって、冷やす食べ物は控えた方が良い場合もあります。
足がむくむ
足腰がだるい
疲れがとれない
そんな選手が夏だからといって冷たい飲み物や生食ばかり食べているとどうですか?
想像できますよね?
 
この状態でどんなに良いトレーニングをしても効率も悪いですし
試合で最高のパフォーマンスが出せると思いますか?
 
新しいものを取り入れる前に、今のカラダの状態はどのようなサインが出ているのか知ること。
体質や不調の症状に対する原因を特定し、悪影響を与えている食材や調理法を再検討していきます。
 
 
今回のセミナーでは、簡単に今出ている症状に対する体質チェック方法をお伝えします。
 
まずは自分や選手を知ること。
そこからがスタートです。
 
 
是非、
パフォーマンスUPやケガをしないカラダづくりに
東洋医学の視点を取り入れた食事という手段を取り入れることを検討されてみてはいかがでしょうか?
 
 
参考にしていただけたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
当日セミナーで皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

JARTAスポーツ栄養コース


 
 
1人でも多くの人の助けになれますように。
 
全てはパフォーマンスのために。

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2018年09月12日

新たな時間を生み出すウォーミングアップ

「練習時間どんどん短くなっていませんか?」
 
 
今年話し合われたスポーツ庁による高校の運動部活動に関するガイドラインでは、1日の活動時間は『平日2時間』『休日3時間』という方針が示されました。
 
 
関東で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの岡元祐樹です。
 
 
自分は高校生時代サッカー部に所属していましたが、平日の練習時間は4時間程度が普通でした。
 
 
現在、高校のサッカー部にスポーツトレーナーとして関わらせていただいているのですが、練習時間は上記の通り2時間~3時間程度になっています。
(さらに…)

2018年09月10日

バランスとパワーを同時に高める体幹トレーニング

◼︎JARTAの体幹トレーニングとは?
東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
今回は主にJARTAアドバンスセミナーで学ぶことができる体幹トレーニングの一つ「フロッグ」を紹介します。
フロッグは体幹機能だけを高めるものではありません。その具体的なトレーニングの方法と効果をお伝えします。
 
 
 
 
 

2018年プロ野球自主トレ 埼玉西武ライオンズ高橋光成選手の体幹トレーニング(クレーン)
 
 
プロスポーツ選手と同じトレーニングを受けてパフォーマンスアップしたい、JARTAトレーニングサポート依頼についてはこちら。
http://jarta.jp/dispatch/
 
 
◼︎フロッグとは?
今回紹介するトレーニングは自分の全体重を腕で支える「フロッグ」です。
パフォーマンスアップには欠かせない上半身の重要インナーマッスル、脇にある筋肉(主に前鋸筋)と、骨(関節)の力(関節間力)を効率良く使える状態にしていきます。
また初めて行うときは高い集中力が求められるトレーニングです。
 
フロッグをできるようになることで、
・バランスをキープしながらのパワー発揮能力の養成
・上肢の力の出し方(どこに力を入れるべきか)の学習
・上肢体幹の筋力アップ
 
が期待できます。
上半身の筋力はあるけど、上手く力が伝わらない、力を発揮できないという選手にオススメです。
ボディバランスも鍛えることができるため、様々なスポーツ・動きに効果的です。
特に手を使うスポーツに有効なトレーニングです。
 
 
 
 

 
 
◼︎トレーニングの方法

  • 上記の写真のように大腿の内側を肘に乗せます。
  • そのまま足を浮かせて上肢で全体重を支えます。

 
トレーニングのポイントは

  • 呼吸を止めない
  • できる限り最小限の出力で行う
  • やや小指側(尺骨)で支持する
  • ゆるんだ状態で10秒程度キープ

です。
 

  • 行う際はケガに十分に注意して実施してください。
  • メガネを外して行う、頭付近にマットを敷いて実施するなどの事前準備をお勧めします。

 
なおトレーニングをするときは、プロセスを熟知しているトレーナーに指導を受けることをお勧めします。
実際にトレーナーの手本を見ることでフロッグのイメージがしやすくなり、効率良くパフォーマンスアップすることができます。
フロッグの事前のウォーミングアップ、アシストトレーニングもあります。
そちらも実施すると、より効率良くパフォーマンスアップできます。フロッグができるようになったら、さらにレベルアップしたトレーニングもあります。
なお1枚目の写真で紹介した高橋光成選手のトレーニングはフロッグから一つレベルアップした「クレーン」という名前のトレーニングです。
フロッグと同じく、腕の力だけではできません。上肢の力の出し方(どこに力を入れるべきか)が重要となってきます。
 
 
■実際にフロッグを指導してもらう方法
フロッグは主にJARTAセミナーで体験・習得可能(アドバンス1セミナーで習得可能)ですが、JARTA認定スポーツトレーナーに依頼することで、セミナーに行かなくても、出張や遠隔地でのトレーニングサポートを受けることができます。
全国各地には非常に難関である認定トレーナー試験を合格したスポーツトレーナーがいます。
2017年で認定試験修了者は200名を超え、認定スポーツトレーナーは120名を超える数になっています。
バランス・パワーを同時に高める体幹トレーニングで効率良くパフォーマンスアップしたい方は、プロセスを熟知しているトレーナーに実際に指導してもらうことをお勧めします。
早めに習得できれば、自身のパフォーマンスアップと怪我予防につながります。
 
 
 
プロスポーツ選手と同じトレーニングを受けてパフォーマンスアップしたい、体幹トレーニングを指導して欲しい、JARTAトレーニングサポート依頼についてはこちら。
http://jarta.jp/dispatch/
お気軽に問い合わせください。
 
 
スポーツトレーナーになりたい、JARTA理論を学びたい方はこちら

現在募集中のセミナー


 
 
今回は「バランスとパワーを同時に高める体幹トレーニング」を紹介させて頂きました。最後までお読み頂きありがとうございました。
 
 
 

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2018年09月06日

バランスボールで身体は変わる!~JARTAフィットネス開催報告~

 
9月2日JARTAフィットネスin東京が開催されました。
参加者はアスリート、トレーナー、医療従事者、一般社会人、主婦の方と多様な経歴の方が参加して頂けました。
 
 
腰痛をテーマに”眠った身体””効率的な身体へシフト”とはどういうことかについての簡単な講義から始まり、ポイントとなるフィジカルチェック、JARTAフィットネスのバランスボールプログラムを行いました。
 
プログラムも基本的には激しい動きではないため、子供・高齢者・女性でも気軽に行うことができます。
もちろん応用すればアスリートのトレーニングとして活用することも可能です。
 
何よりバランスボールを使うプログラムは自分の身体と道具との関係における身体操作のトレーニングに適しており、また潜在的な楽しさも感じることができることも重要なポイントです。


 
 
今回受講された方から早速セルフトレーニング、パーソナル指導として取り入れて頂いてるとのお言葉を頂き大変嬉しく思います。
身体のコンディショニングに、指導者の引き出しの要素に、スポーツのトレーニングに、今まで知らなかった身体についてやバランスボールの活用方法を体験してみませんか?
 
 

 
 
 
 
 
※次回東京では10月7日にて現在募集中です。定員が10名なので興味のある方はお早めにお申し込み下さい。
(今後関西でも開催予定となっております。近日中に募集開始されますのでお待ちください。)
 
 
JARTAフィットネス詳細ページはこちら

JARTAフィットネス


 
 
 
 









2018年09月05日

フックとスライド

格闘技のパンチにおいて、ダウン・KOの確率が最も高いのはフック系のパンチと言われています。(特に右利きの場合の左フック)
 
しかしフック系のパンチは動きの大きさや軌道からデメリットも多く、クリーンヒットさせることが難しいパンチという面もあります。
 
今回はフック系のパンチに焦点を当て、その上で有効である身体機能・操作についてお話ししていきたいと思います。
(さらに…)

2018年09月02日

伸びしろは日常の中にある

練習以外の日常をどう過ごすのか?
 
昨今、アスリートの中でも日常の過ごし方に対して意識が高まってきていると感じます。
 
イチロー選手を筆頭に、一流アスリートの日常を特集した番組などもあり、そういった影響もあるのかなと思います。
 
イチロー選手は日常から試合中まで、徹底して同じ事を繰り返す事、いわゆる「ルーティン」という言葉を世に広めるきっかけを作りました。
 
「ルーティン」とは、「決まった手順」「お決まりの所作」「日課」などの意味の言葉です。
(さらに…)

2018年08月30日

JARTAスポーツ栄養セミナー 募集開始

 
JARTAでは初となるスポーツ栄養学に関するセミナーを開催いたします。

JARTAスポーツ栄養セミナー


 
 
日本における栄養学は西洋的な観点を中心に発展してきましたが、実は東洋にも栄養学があります。
 
JARTAでは、西洋医学と東洋医学、そして西洋的身体観と東洋的身体観は、それぞれ補い合え、両者をそれぞれ使いこなすことで選手にとってより良いサポートが実現できるという考え方を持っています。
 
我々はこの考え方は栄養学にも当てはまると考え、西洋と東洋の栄養学の両者を使いこなせるようになることを目的としたセミナーを開催することにしました。
 
講師には、両方のエキスパートをお招きました。
西洋・東洋の栄養学を、1日で学べる機会となっていますので、ぜひご参加ください。
 
参加条件はありません。どなたでもご参加いただけるセミナーです。
 
▶︎こんな方には特にお勧めいたします。
・西洋だけでなく東洋の栄養学も学びたい
・公認スポーツ栄養士の話を聞いてみたい
・スポーツと東洋の栄養学の関係に興味がある
・体調の違いによる栄養摂取の調整について学びたい
・感情と栄養の関係を知りたい
・どうせ栄養について学ぶなら、効果を最大化する考え方を知りたい
・スポーツをしている方の栄養をサポートする立場にあるが、不安がある
・東洋的、水分補給のポイントに興味がある
・来年の夏にベストパフォーマンスを出すために冬季に気をつけることを知りたい
・すぐイライラする選手と心配性な選手との対応の違いを知りたい
・急性の痛みと慢性の痛みに対する食事の違いを知りたい
 

 
▶︎日程
2018年10月21日(日) 10:00〜15:00(受付:9:30)
▶︎会場
アルファオフィス247大会議
大阪府 大阪市中央区 島之内1-13-28 ユラヌス21ビル 1階
▶︎申し込みフォーム
https://beast-ex.jp/fx3952/NUOsaka
▶︎JARTAスポーツ栄養セミナーの詳細はこちら
※当セミナーはJARTA認定スポーツトレーナーコースに含まれません

JARTAスポーツ栄養セミナー


 




2018年08月29日

【繰り返しの捻挫から選手を救え!!!】

多くのスポーツ現場で出現する捻挫。
 
軽視されがちだが、大きな怪我の要因となる場合も多く
 
決して軽い怪我ではない。
 
そもそも怪我の重軽傷は一般的に
 
復帰までの期間等で重症or軽傷と言われるが
 
捻挫後1週間で復帰しても
 
その後10年間悩まされる後遺症が残っているのであれば
 
それは”重症”だ。
(さらに…)

2018年08月23日

<選手の心をつかむ施術テクニック>

先日、大阪にて施術系ワークアウト上半身を開催いたしました。JARTA認定講師の堀田です。そこでお伝えした、
・施術の位置付け
・アスリートに関わる上で重要なこと
この2点のブログで再度、お伝えさせていただきます。

 
はじめに、施術テクニックと聞くと、皆さんはどういったイメージを持ちますか?
JARTAでは、より良いパフォーマンスを発揮するため、トレーニング効率を上げるための一手段として捉えています。痛みがない、動きやすい、思い通りに動かせる身体を作るための手段です。
そのために重要なことは、筋をゆるめる、ということです。これは、筋に無駄な緊張がなく、リラックスできている状態を指します。これにより多くのメリットを受けられます。
(さらに…)

2018年08月19日

トレーニングはどの習得レベルに合わせるべき?

チームサポートをしているトレーナーは、「トレーニングの習得レベルに差があって、どのレベルに合わせるべきなのかわからない」と悩んだ経験のある人は多いはずです。
 
 
また、「トレーニングの習得レベルが高い選手とそうでない選手のギャップが生まれる」と状況を把握はしているが、なんとなく集団トレーニングを行っている人もいるはずです。
 
 
・特定のトレーニングの習得レベルが高い選手
・平均値
・特定のトレーニングの習得レベルが低い選手
 
 
一体、どのレベルに合わせてトレーニングの難易度を決めていけばいいのでしょうか?
(さらに…)

2018年08月15日

階段を昇りながら身体のクセを知る

皆さんは階段を昇る時、膝の位置に注意を向けたことはありますか?
 
 
膝に対して真っ直ぐ出ていたり
 

 
 
内側に出ていたり
 

(さらに…)

2018年08月13日

第3回パーソナルトレーニングフェスタin神戸開催のお知らせ

10月8日に神戸で開催される「第3回パーソナルトレーニングフェスタin神戸」
〜JARTA JFTAコラボイベント&勝者の呼吸法 プロフェッショナルからの学び〜
にJARTA認定講師の高塚政徳山岡俊也が登壇致します。

JARTA会員先着5名早割価格でお申込み可能となっております。
是非ご参加くださいませ。
詳細は、パーソナルトレーニングフェスタin神戸のページを参照ください。
 
【申し込み方法】*お問い合わせも可
以下を記載の上 reo.baseball1@gmail.com にメールをお送り下さい。
振込口座など記載の返信メールが届きます。
①お名前(フリガナ)
②ご住所
③お電話番号
④ご職業
⑤メールアドレス
⑥受講講座(懇親会の参加有無についてもお願い致します)
⑦ディスカッションで取り上げて欲しい内容
⑧JARTA会員の方はJARTAコードをお伝え願います
⑨今までにフェスタへのご参加の有無 有 or 無 (有りの方は 回目)









2018年08月12日

とにかくアイシングだ!?からの卒業!!!

こんなに暑い日が続くと頭から冷たい水を浴びたり
 
キンキンに冷えたアイスやかき氷を食べたくなりそうですが。
 
 
 
本日はスポーツ現場における”アイス”の話。
 
 
香川県を中心に活動しております、赤山僚輔です。
 
 
本当は発生しない方が良いのですが、スポーツ現場では
 
どうしても発生してしまう怪我があり応急処置として
 
RICE処置の重要性は改めて言うまでもないかと思います。
 
 

 
今回は急性期対応のアイシングではなく
 
いつまでも炎症や局所の浮腫が持続している事例に対して
 
どのような対応が選択肢としてあるのかをお伝えしたいと思います。
 
(さらに…)

2018年08月08日

力自慢の方はぜひ挑戦を

東京を中心に活動している認定講師の高塚政徳です。
 
今回は、日頃から厳しいトレーニングを継続しているという方に挑戦していただきたいメニューを2つ紹介させていただきます。
 

(さらに…)

2018年08月04日

【トップアスリートに共通する脚とは】

スポーツのシーズンに入り様々な競技をテレビで目にする事が多くなってきました。
鍛え抜かれた肉体美で素晴らしいパフォーマンスを披露し目を見張るものがあります。
 
しかし鍛え抜かれているとはいえトップクラスのアスリートを見るとある事に気がつきます。
実は、それほど足が太くないのです。むしろ、ほっそり見える事だってあります。
 
もちろんトップアスリートなのでかなり質の高い練習を日々行い身体を鍛えているはずですが、全ての部位に筋肉がつくのではなく必要な部位にのみ筋肉がついており、不必要な部位にはまったくと言って良いほど筋肉は付いていない事に気付くはずです。
 
今回はトップアスリートに共通する脚について迫っていきたいと思います。
 
関西認定トレーナーの谷口祐樹です。

(さらに…)

2018年08月03日

夏の食欲不振へのアプローチ

前回の話「手段に囚われない、食事面からのサポート」にも出てきましたが
 
これからの夏にかけて
 
食欲が落ちてくる…
体が重だるく、疲れが取り切れない…
 
このような症状がでてくる方もおられると思います。
 
 
そんな時…
 
20歳を超えた皆様の元気の源といえば…
 

 
 
「冷たいビール」は最高ですよね!
 
そして「からあげ」
 
しかし残念ながらこれらの食材のとり過ぎはこの時期は大ダメージとなってしまいます…
 
 
 
 
東洋医学の視点から考える食事面からのサポートの第2回は
 
『食欲不振などの胃腸系トラブル』についてです。
 
香川県で活動しております。認定スポーツトレーナーの伊藤 直哉(イトウ ナオヤ)です。
 
 
 
原因は大きく分けて3つです。

  • ①冷えからくる不調
  • ②胃腸の弱さからくる不調
  • ③食事の摂り方からくる不調

その中でも今回は冒頭の「冷えたビールとからあげ」の写真にもありました③の食事の摂り方からくる不調についてお話します。
 
 
梅雨から夏にかけて暑くなってきたことで
 
冷たいものや生ものを摂取することが多くなってきているのではないでしょうか。
 
それが必要以上に摂ると、胃腸の働きが弱まり、体内に余分な水分が溜まってしまいます。
ここでいう水分は東洋医学で『湿』といいます。
 
お腹が張ったり、胃がムカついたり、下痢や軟便などの症状も出てくることもあります。
 
 
 
対策としては、胃腸の働きを改善させるため、胃腸の湿を取り除く必要があります。
 
この湿を取り除くときに良い食材は『トウモロコシ』です。

 
 
トウモロコシは胃腸の働きを整え、利尿作用もあり湿を取り除いてくれ、一挙両得です!
 
この黄色っていうのも実は大事なんです!
(ここについてはまたの機会に)
 
 
※ここで注意したいのは、食物繊維も多く、便秘の解消にも役立ちますが、
食べ過ぎると消化に悪いので、下痢をしやすい人は食べすぎないようにしてください。
 
また、夏にかけて出回る「空豆」や「枝豆」などの豆類も水分代謝を良くし、胃腸の働きを高める作用がありますのでオススメです!
 
 
 
がしかし、まずは湿を体内に溜めないようにすることが大切です!
 
食欲不振や胃腸の機能低下によりエネルギーも不足してきます。胃腸系のトラブル以外にも、湿はカラダの重だるさも生じやすく、パフォーマンスにも影響してきます。
 
 
湿を溜めやすい食べ物として『肥厚甘味』という言葉があります。
 
甘い物、油っこいもの、生もの、冷たいもの、刺激物、加工食品などのことを言います。
 
「冷たいビール」と「からあげ」は両方当てはまりますね。
 
冷たいもの+油っこいものは湿を溜めるベストコンビです…
 
ついつい楽しくて摂りすぎてしまう時は「枝豆」を一緒に頼んで、少しでも湿を取り除きましょう!
 
 
ここでは20歳以上が見てくださっている方が多いと想定した内容でした。
 
『肥厚甘味』を未成年の選手に置き換えてみてください!
 
 
 
 
今回ご紹介したのは③の食事の摂り方からくる不調の一例です。
 
他にも要因はさまざまで、その人の体質に合わせた対処をすることが大切です!
 
ここでも大切になってくるのが評価ですね。
 
評価についてはまたの機会に…
 
 
 
 
 
是非、
 
パフォーマンスUPやケガをしないカラダづくりに
 
東洋医学の視点を取り入れた食事という手段を取り入れることを検討されてみてはいかがでしょうか?
 
参考にしていただけたら幸いです。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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10月21日にJARTAでは初となるスポーツ栄養学に関するセミナーを開催いたします。
西洋・東洋の栄養学を、1日で学べる機会となっていますので、ぜひご参加ください。

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2018年08月02日

熱中症リスクが最も高いのは選手ではない!

毎日猛暑日が続き、熱中症に対する注意喚起や救急搬送されたといった情報が多く出ています。
 
今朝も、高校野球の地方予選をスタンドで応援する生徒が数十人救急搬送されたといったニュースを目にしました。今高校野球は地方予選真っ只中です。
 

 
 
このニュースが代表的ですが、熱中症のリスクが高いのは選手ではありません。
スタンドや観客で応援している方達のほうが圧倒的に熱中症にかかるリスクが高いです。
 
 
競技に関わらず、普段選手は試合より長い時間、試合より身体的に負荷のかかることを練習で行なっています。
野球に関して言えば、普段の練習のほうが断然身体的な負荷が強いですし、選手は試合の半分は日陰になるベンチで休めます。しかも、熱中症予防には最新の注意を払っています。
 
 
しかし、スタンドで応援している保護者や生徒は普段運動をしてない方もこれだけ長い時間日光に当たることがない方も多いでしょう。しかも、アルプススタンドには日陰もない球場がほとんどです。
夏の予選であれば、生徒が半強制的に応援に行かなければならない学校も多いでしょう。
スタンドで応援してる方こそそれぞれが熱中症予防に努めてください。
 
高校野球の応援で行って欲しい熱中症予防を以下に上げます。
 

 
・帽子を被る
日光から少しでも身体を守るためです。
 
・水分は2Lは持つ
一般的に500mlのペットボトルを持ってる方がほとんどだと思いますが、これでは足りません。高校野球は大方2時間程度の試合時間です。前後合わせて3時間程度日光に晒されますので2Lは持つようにしてください。
 
・保冷剤などをハンカチで巻いて首や脇を冷やす
外から冷やすことを心がけてください。
 
・空腹で応援しない
空腹状態になると血糖値が下がり発汗が促進します。塩分が体内から排出されリスクが高くなります。
 
・睡眠不足や二日酔いを避ける
体調を整えて応援に望んでください。睡眠不足は代謝機能が低下しますし、二日酔いは脱水症を起こしやすくなります。
 
 
以上の対策をした上で、めまいや吐き気、頭痛、身体のだるさなどを感じたらすぐに日陰に移り身体を冷やしてください。
お子さんの勇姿を見るためにも、同級生の勇姿を見るためにも、スタンドで応援してる方達こそ熱中症予防をしっかり行ってください。
 
スポーツは選手だけでなく、それに関わる指導者や審判員、競技を見る方などすべての人が健康で元気に楽しく行われなければいけません。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 

 
 
 
 
 
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2018年08月01日

施術系workout 浜松初開催!

静岡県在住の皆さん、そしてその他の東海地方にお住いの皆さん、もうご存知ですか?
 
全国各地で開催されている施術系workoutが東海地方では名古屋に続いて浜松で開催することが決まりました。
 

 
 
東海認定トレーナーの高島です。
 
 
これまで東海地方では、名古屋を中心にセミナーを開催してきており、浜松では過去に認定コースであるベーシックセミナーを2度開催しただけでした。
 
そこで今回8月25日(土)夜に初めて施術系workoutを開催することを決定しました。
 
これまで興味はあったがなかなか足を運ぶことができなった方々や、認定コースを受講したがその後参加できずにいた方々にぜひ参加して頂ければと思います。
 
 
まず現在行なわれている施術系workoutは、上半身編・下半身編の2つに分かれています。
 
※今回開催するのは、上半身編となり、10月頃に下半身編の開催を検討しております。
 
 
上半身編では、以下の5つのテクニックをお伝えします。
 

 
・広背筋調整テクニック
・ローテーターカフ調整テクニック
・肩関節調整テクニック1
・肩関節調整テクニック2
・大腰筋調整テクニック
 
主に肩関節周囲と腰背部の問題に対応できる手技になっています。
 
また、これらのテクニックは、過去に認定コースセミナーでお伝えしていたテクニックになっており、初期のコースで受講された認定トレーナー達は現在でもトレーナー活動での現場や日々の臨床でも使用しているテクニックとなっています。
 
どのテクニックもベッド上で行なえるものであるため、現場に出ていないセラピストでも日々の臨床で非常に使いやすいものです。
 
これまでJARTAのセミナーに参加経験のない方でも受講可能となっておりますので、ぜひ参加して頂ければと思います。
 
 
以下に、浜松開催の詳細をご案内させて頂きます。
 
【日時】
8/25(土) 18:15~19:45(受付開始18:00~)
 
【会場】
浜松駅前ビル 4階 C会議室
最寄駅 JR浜松駅より徒歩1分
住所 浜松市中区旭町10-8
 
【受講料金】
2,000円(※当日受付にてお支払をお願い致します)
 
【講師】
高島公平(JARTA認定トレーナー、理学療法士)
 
他地域での開催はホームページでご確認ください。
https://jarta.jp/j-seminar/operationworkout/

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2018年07月30日

「日本ブラインドサッカー協会競技力向上パートナー」契約締結のお知らせ

この度、日本ブラインドサッカー協会と「競技力向上パートナー」契約を締結致しました。
JARTAはブラインドサッカー男子日本代表のフィジカルコーチを担っております。(中野崇高塚政徳)
今後も選手達のパフォーマンスアップにより貢献できるようサポートを継続していきますので、ご支援の程よろしくお願い致します。
 
ブラインドサッカー日本代表 高田敏志監督インタビュー

 

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2018年07月29日

【初公開】T-レフストレッチの効果の秘密

◼T-レフストレッチとは?
東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
今回は主にJARTAベーシックセミナーで学ぶことができるT—レフストレッチについて解説していきます。
T-レフストレッチは柔軟性だけを高めるストレッチではありません。
T—レフストレッチとは、身体を効率良く機能させるために、短時間(数秒)で必要となる部位にストレッチを用いて刺激を入れるという概念です。
その必要となる部位(ポイント)について詳しく説明していきます。
 
(さらに…)

2018年07月28日

JARTAスポーツ障害・循環アプローチセミナー 募集開始のお知らせ

<JARTAスポーツ障害・循環アプローチセミナー募集開始>

昨年まで開催しておりました、循環セミナー・ANKLE SPRAIN、グローインペイン症候群、Kee-in Toe-outの内容をアップデートし、4日間にてお届け致します。
本セミナーでは1日でも早く腫脹を軽減させるための循環改善のアプローチ・下肢スポーツ障害に対する評価とアプローチを理論と共に習得できます。
JARTAスポーツ障害・循環アプローチセミナーの詳細はこちらから
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2018年07月27日

JARTAフィットネス セミナー募集開始のお知らせ

<効率的な身体へシフトチェンジ!JARTAフィットネス募集開始>

フィットネスとは、肉体的観点、健康的観点で望ましいと考えられている状態に適っている状態、そのような状態でいる/なるために行う行為・活動などを指します。
近年ではフィットネスと呼ばれる運動の種類は数え切れないものがあります。ヨガ・ピラティス・エアロビクス・ウェイトトレーニング・マシーントレーニング・自重トレーニング、などなど。
普段あまり運動していない。
運動を始めたけどうまくいかない。
逆に怪我や不調が出てしまった。
そんな経験はありませんか?
この度「JARTAフィットネス」という新しいコースを開催します。
バランスボールを活用しながら自分自身の眠った身体を呼び起こすという内容です。
通常のセミナーと違い、2時間のレッスン形式で行います!
・テーマに沿った身体のポイントについての簡単な講義
・バランスボールを用いたセッション
実際に皆さんで身体を動かしながら、健康な身体へシフトチェンジしていけるようなコンテンツとなっております。
・インストラクター、トレーナー、コーチが指導の引き出しとして活用
・ビジネスマンや主婦の方が自宅で簡単にセルフケア
・高齢者の方へのリハビリや体操
・子供から大人までのスポーツトレーニング
などなど、ご自身の目的に応じて活用して頂ければと思います。
JARTAのセミナーを受けたことがなくても、健康に興味がある方はどなたでも歓迎です!
女性の方も気軽にご参加ください!
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2018年07月26日

フットサル日本代表 皆本晃選手インタビュー掲載のお知らせ

フットサル日本代表 皆本晃選手のインタビュー動画を掲載しましたのでご報告いたします。
JARTAのトレーニングの感想を語っていただきました。
トップページにて掲載しております。ご覧ください。

 

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2018年07月25日

楽しく身体に向き合う機会を〜愛媛サッカー協会サポート活動報告〜

先日公式ブログでも公開しましたが、先月より愛媛サッカー協会様とJARTAが提携する事となりました。
 
今回は初回のトレーニングサポート時の状況を簡単ではありますが、ご報告させていただきます。

 
(さらに…)

2018年07月18日

ハンカチ1つで身体の連動性を自動的に引き出す方法

「○○を意識する」
「○○のような感覚で」
 
競技のスキルやフィジカルトレーニングなどでは自分の身体内に意識を向けたり、または指導者が指示することがあるかと思います。
 
しかし対象がまだ小中学生であったり、身体の前提条件(mobilityやsensory)が整っていない場合では言語的な説明をしても思った通りに身体を上手く動かせないというような経験はあるのではないでしょうか。
 
関東で活動しております認定スポーツトレーナーの萩 潤也です。
(さらに…)

2018年07月14日

【ストレッチの効果を倍増させる極秘メソッド】

■カラダが硬いと自覚している、カラダが硬いと言われる

東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。チームメイトや、監督、コーチ、トレーナー、友達、家族に「カラダが硬い」と言われる、また自分自身でも「カラダが硬い」と自覚している方は多いのではないでしょうか?
 
「ストレッチは毎日やっているけどなぁ」
「全然変わらないなぁ」
「すぐ硬くなるなぁ」
 
こんな疑問を持ったり、困っている方も多いのではないでしょうか?
(さらに…)

2018年07月12日

睡眠の質がパフォーマンスを左右する

 

寝る前のストレッチで効果的な睡眠をとろう

 
時間はたくさん寝ているのに疲労感が抜けない
身体が重たく感じる
朝起きたら身体が硬い感じがする
大事な試合に向けてコンディションが上がってこない
 
そんな悩みを抱えてはいませんか?
(さらに…)

2018年07月11日

愛媛県サッカー協会へのトレーニングサポートのお知らせ

 
2018年6月より、愛媛県サッカー協会様へのトレーニングサポートを開始いたしました。
 

 
 

 
ケガの防止やパフォーマンスアップ向上を目指すべく、身体操作系のトレーニングを中心に行なって参ります。
 

 
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
 
JARTA認定スポーツトレーナーによるトレーニングサポートの依頼はこちら

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2018年07月07日

その練習、実はムダだらけ?「練習のための練習」から抜け出すための方法

「練習であれだけ指導したのに、試合では全くその成果が発揮できない・・・」
「練習では上手なのに、試合ではミスが多くなる・・・」
 
 
もしあなたが、トレーナーなら
「練習と試合の時で選手のコンディションが違う・・・」
と思ったことのある人は多いのではないでしょうか。
 
 
また
「あの選手、練習ではとても良い動きをしているのに、試合になると本領を発揮できず、チームとしても選手自身としても宝の持ちぐされ状態になってしまっている」
このように感じた経験のある人もいるのではないでしょうか?
 
 
いったいなぜ選手は、「練習ではできるのに、試合になるとできなくなる」のでしょうか?
 
 
じつはこれ、練習のための練習になってしまっている可能性があるのです。
 
 
選手には限られた時間のなかで、できるだけ質の高いトレーニングをして時間をムダにはしてほしくない・・・。
 
 
今回は、千葉で活動する認定スポーツトレーナーの福原良太が、
「練習のための練習」を、「試合のための練習」に変換して、選手が練習した時間をムダにしないための方法について紹介しています。
 
 

練習自体が型にはまりすぎているから「練習のための練習」になってしまう

練習のための練習。
 
 
その原因として様々なことが言われています。
 
 
・練習の目的が明確でない
・練習中に試合のイメージができていない
・練習中のミスに対して軽視しすぎている
・そもそも練習と試合とを分けて考えすぎている
・練習中の緊張感が足りない
 
 
これらを補うために、そして練習のための練習にならないために、しきりに声掛けをすることで選手の意識改革を行う場合もあるでしょう。
 
 
確かに、試合の意識付けや意識改革も大切な指導のひとつです。
 
 
しかし、毎日選手に会って指導できる環境にないトレーナーも多いはず。
 
 
そこで重要になってくるのが、練習内容の見直しです。
 
 
たとえば、ラグビーの起き上がり動作。
 
 
倒れた後に素早く起き上がる場合、さまざまなシチュエーションが考えられます。
 
 
・うつ伏せから素早く起き上がる
・横回転がかかりながらの起き上がり
・モールから逃げて横に転がりながらの起き上がり
・完全に負けてしまい、後ろに倒れて尻もちを付いてからの起き上がり
 
 
これらはあくまで一例です。
 
試合中は、上記に挙げた例が、さらに細分化された形で素早く起き上がることを要求されます。
 
 
このなかで、「うつ伏せからただ素早く起き上がって直立立位になるだけ」の練習をただひたすら行った場合どうでしょう。
 
 
当然ですが、選手は「あんなに練習したのに試合で活かせなかった・・・」となるはずです。
 
 
では、練習内容をどう工夫すればいいのでしょうか?
 
 
それは、「練習に不規則の要素を取り入れていく」という工夫が必要になるのです。
 
 
 

「練習のための練習」にならないために不規則の要素を取り入れるべし

不規則な要素のあるトレーニングは、判断の変化や身体的な速度変化が要求され、より試合に近い練習ができます。
 
 
ここでいう判断の変化とは、局面の変化にどう対応するかを瞬時に選択することです。
 
 
また、身体的な速度変化とは、判断の変化を身体で体現するための速度変化のことです。
 
 
ラグビーの起き上がりで言うと、攻守の展開の速さに応じて、より早く起き上がるべき局面なのか、体力温存のためにゆっくり起き上がってもよい局面なのかによって起き上がる速度を変えていくことを指します。
 
 
不規則な要素のあるトレーニングは、周囲の状況を察知するトレーニングとも言い換えられます。
 
 
つまり、JARTAで言う内的認識力、外的認識力で状況を察知するトレーニングとも言えるのです。
 
 
「試合中、全く同じシチュエーションになることはない」と言っても過言ではありません。
 
 
さらに厳密に言えば、全く同じシチュエーションの局面は生涯を通してもないと言えます。
 
 
試合で最大限のパフォーマンスを発揮するためには、型の決まっているような練習をするだけではなく、選手やチームの達成レベルに応じて不規則の要素も取り入れたトレーニングが必要となるのです。
 
 
では、どのように不規則な要素も取り入れていくのでしょうか。
 
 
結論からいうと、普段行っているトレーニングを対人化させていきます。
 
 
 

不規則な要素を取り入れるとき、トレーニングを対人化させていく


上の図は、わたしが普段トレーニングの難易度を高くするときに意識している段階図です。
 
 
右側に書かれている例が、ラグビーの起き上がりを徐々に不規則の要素を取り入れていく具体例になります。
 
 
途中、競争の要素もありますが、この要素を入れることで選手に“楽しさ”“集中力”を寄与することができるのです。
 
 
特に、チームで関わっている場合には、きついトレーニングの合間に“楽しさ”や“集中力”を寄与するものを入れると、選手は最後までよい雰囲気のなかでトレーニングを行いやすくなります。
 
 
ただし、競争の要素を入れるときの注意点もあります。
 
 
それは、身体の使い方が身についていないと、ラフな動きになってしまう点です。
 
 
ラフな動きになってしまう場合は、難易度をコントロールしてトレーニングの提供をしていきましょう。
 
 
競争の要素を入れても、レフな動きができる場合、ルールをつけ足していき、不規則な要素も取り入れていきます。
 
 
たとえば、以下のようなトレーニング。
 

 
あくまでもほんの一例にすぎませんが、これはボールの動きに合わせてポジショニングをしていくトレーニングです。
 
 
ちなみに、今回はラグビーボールではなく、野球ボールを使っています。
 
 
その理由は、野球ボールは小さいため、視認性が低く、投げる側も予備動作が少なくなって投げる方向が予知しにくくなるからです。
 
 
動画のトレーニングもレフ化した状態でできているのであれば、さらにルールをつけ足していき、より実践に近づけていけば、色々なバリエーションのトレーニングもできるでしょう。
 
 

まとめ

いかがでしたか?
 
 
今回は、「練習のための練習」になっていると感じているトレーナーに向けて、
 
 
「練習のための練習」から「試合のための練習」に変換するための方法を提案していきました。
 
 
また変換する手順としては、
 
 
1.早度を高める
2.競争の要素を入れる
3.ルールをつけ足していく
 
 
という流れを紹介しました。
 
 
「練習のための練習」になってしまっているのなら、「トレーニングの内容を工夫することで試合の意識をもてないか」という思考を張り巡らしてみてはいかがでしょうか。
 
 
長文になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
 

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2018年07月06日

手段に囚われない、食事面からのサポート

スポーツ選手に限らず、生きていくために毎日食事は欠かせないものだと思います。
 
パフォーマンスUPやケガをしないカラダづくりに重要な心身の土台づくりが
食事という手段からもアプローチできるとしたら…
 
 
これからの夏にかけて
食欲が落ちてくる…
体が重だるく、疲れが取り切れない…
そんな症状を東洋医学の視点から考える機会をもってみてはいかがでしょうか。
 
 
香川県で活動しております。認定スポーツトレーナーの伊藤 直哉(イトウ ナオヤ)です。
 
 
東洋医学と聞いて『陰陽』という言葉は聞いたことがあると思います。
 
朝(陽)があれば夜(陰)もある
男(陽)がいれば女(陰)もある
夏(陽)があれば冬(陰)もある
表(陽)があれば裏(陰)もある
上(陽)があれば下(陰)もある
 
などなど、
 
万物は陰と陽に分けることができます。
 
 
 
 
食べ物も同じです。
 
「陰」性の食べ物は体を冷やし
「陽」性の食べ物は温めます
 
さらに東洋医学では『五性』という分け方があり、
 
体を温める「熱性」「温性」
どちらでもない「平性」
体を冷やす「涼性」「寒性」
 
の5つに分けられます。
 
 
 
 
 
例えばこの野菜…

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
えっ?
 
東洋医学で食のイメージといえば、
こんなイメージではないですか?
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いえいえ…
 
スーパーでも買える身近な食材でも東洋医学を取り入れることができます!
 
 
これから7月にかけて旬になる”ナス”は陰性の食べ物の中でもより冷やす「寒性」です。
 
夏は気温も上がる中で、体を冷やす”ナス”はまさに季節と体にあった食材です。
 
さらに
■むくみをとる
■利尿作用
 
湿気からくる心身の重だるさにも効果があると言われています。
 
 
食べ物の性質を理解して食事に取り入れるだけでも、日々の体調管理の手助けとなり、
練習や試合に入る前のコンディショニングとして役立つ手段となるはずです。
 
 
 
しかし、ここで気をつけなければならないのは、
その人自身の体質です。
 
夏でも冷え性の人もいます。
その人がナスを食べると逆効果になってしまうこともあります。
 
想像するだけでもブルブルきそうですね。
 
 
夏だから誰でも体を冷やす食べ物を食べたら良いということではありません。
 
その人の体質に合わせた食事を…
 
 
 
是非、
パフォーマンスUPやケガをしないカラダづくりに
東洋医学の視点を取り入れた食事という手段を取り入れることを検討されてみてはいかがでしょうか?
 
 
参考にしていただけたら幸いです。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
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西洋・東洋の栄養学を、1日で学べる機会となっていますので、ぜひご参加ください。

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2018年07月04日

ランニング中に起こる脇腹痛<side stitch>の原因と対処法

 
気持ちよく走っている最中また、レースに出ている時に急激に襲ってくる脇腹の痛み
この痛みこそ無ければ・・・と思うことありますか?
 
今回はランニング中における脇腹痛に対する原因とその対処法をお伝えします。
 
関西認定スポーツトレーナーの谷口祐樹です。
(さらに…)

2018年07月01日

スポーツは科学だ

「スポーツは科学だ」
 
これは紛れもない事実です。
ウォーミングアップにしろ、トレーニングにしろ、リカバリーにしろ、プロのトレーナーが選手に提供するからには必ず根拠と論理が必要です。
その根拠と論理の構築には【科学】は必須です。
 
これまでJARTAの公式記事や中野代表の公式ブログでエビデンスや科学的根拠に関する記事はいくつかあります。
私自身、『科学的根拠について』というタイトル記事を以前書いています。
https://jarta.jp/trainer/3187/
 
これを読んでいただければ我々が科学的根拠を軽視しているのではなく、何よりも大切なものだと考えていることはお分かりいただけると思います。
 
(さらに…)

2018年06月27日

【トップランナーと市民ランナーの腕振りの違い】

数年前からランニングブームとなり、多くの方が週末や早朝に健康目的または心身のリフレッシュ目的にランニングを行っているのを目にします。
皆さんは自身のランニングフォームを確認した事はありますか?
多くの方が一度はランニングフォームの修正を試みた事があると思います。
トップランナーとのランニングフォームの違いはどこにあるのでしょうか?
世界のトップランナーと日本人選手のフォームの違いは短距離より中長距離の選手の方が明らかに異なっており、記録的にも開きがかなり見られています。
腰の位置や足の運びはもちろんですが、一番の違いは腕振りにあります。
腕振りの貢献度はおよそ35%あるといわれ、腕振りを改善するだけでもかなりのスピード向上・持久力の改善が期待できます。
 
(さらに…)

2018年06月24日

【動画つき】プロ野球選手の体幹トレーニング

プロ野球選手の体幹トレーニング

東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
プロ野球選手の体幹トレーニングとはJARTAトレーニングの「コモドドラゴン」です。
コモドドラゴンはJARTA代表 中野 崇が指導するプロ野球選手 読売巨人の野上投手も実際に行っているトレーニングです。
 
 
・巨人・野上2桁必ず!練習締めは「コモドドラゴン」第1子誕生へ「高まっています」
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2018/01/13/kiji/20180112s00001173385000c.html
 
 

コモドドラゴンとは?

コモドドラゴンは背骨を動かすことで腕や脚をコントロールする能力を強化していく脊柱主導系のトレーニングです。
全身運動のため様々な効果が得られますが、特に走るのが早くなりたい人、方法転換時の切り替えに有効なトレーニングです。
 
 

  • 野上選手のコモドドラゴンの動画

 
https://www.instagram.com/p/Bd4c4JyjyOv/?taken-by=tak.nakano
 

  • トレーニング効果が高いため、運動負荷も非常に強いです。
  • 行う際はケガに十分に注意して実施してください。

 
主なポイントは
・脊柱、骨盤、股関節、肩関節といった重要ポイントを力まず連動させる
・みぞおち、腰背部の緊張に注意する。
・上半身が膝よりも低い位置を心がける。
・脊柱を左右に波動させる意識で行う。
 
コモドドラゴンを指導して欲しい、JARTAトレーニングサポート依頼についてはこちら
http://jarta.jp/dispatch/
 
 

効果の高いトレーニングを効率良く実践する方法

先ほども注意点で上げましたが、コモドドラゴンはトレーニング効果が高いため、身体への負荷も非常に強いです。
行う際はケガに十分に注意して実施する必要があります。
そこでコモドドラゴンを効率良く実践するオススメの方法があります。
それはすでにコモドドラゴンを習得しているトレーナーから適切な方法で指導してもらうことです。以下の写真のようにJARTA認定スポーツトレーナーはコモドドラゴンを習得しているため、実際に手本として見ることができます。

 
 
プロセスを熟知しているトレーナーに指導を受ける、かつ実際に手本を見ることでコモドドラゴンのイメージがしやすくなり、効率良くトレーニングすることができます。
コモドドラゴンの事前のウォーミングアップ、アシストトレーニングもあります、そちらも実施するとより効率良くパフォーマンスアップできます。
初めて実践する方は疲労度や翌日の筋肉痛に驚くかもしれません。
トレーナーによる指導の元での実践をオススメします。
 

 
 
■実際にコモドドラゴンを指導してもらう方法
コモドドラゴンは主にJARTAセミナーで体験・習得可能(上級レベルであるアドバンス3で習得可能)ですが、JARTA認定スポーツトレーナーに依頼することで、セミナーに行かなくても、出張や遠隔地でのトレーニングサポートを受けることができます。
全国各地には非常に難関である認定トレーナー試験を合格したスポーツトレーナーがいます。
2017年で認定試験修了者は200名を超え、認定スポーツトレーナーは120名を超える数になっています。
プロ野球選手も実践している体幹トレーニングでパフォーマンスアップしたい方はトレーナーに実際に指導してもらうことをお勧めします。
 
早めに習得できれば、自身のパフォーマンスアップと怪我予防につながります。
 
 
コモドドラゴンを指導して欲しい、JARTAトレーニングサポート依頼についてはこちら
http://jarta.jp/dispatch/
お気軽に問い合わせください。
 
 
 
今回は「プロ野球選手の体幹トレーニング」を紹介させて頂きました。最後までお読み頂きありがとうございました。
 

JARTA公式HP
http://jarta.jp
 




2018年06月20日

活動報告/高松商業高校男子サッカー部インターハイ出場&四国大会優勝

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
 
四国、香川県を中心に活動しております、統括部長の赤山僚輔です。
本日はサポートチームが5年ぶりのインターハイ出場と四国大会優勝を決めましたので、簡単にこれまでの取り組みを含めてご報告させていただきます。

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2018年06月20日

今週末のセミナー開催について

平成30年6月18日に発生しました「大阪府北部地震」により被災された皆様には、
心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈りいたします。
 
今週末の「ADVANCE セミナーⅠ・Ⅱ大阪会場」及び他地域でのJARTAセミナーは、予定通り開催いたします。
 
受講される皆様は何卒お気をつけてお越しください。
 
またセミナーに関して何かご不明点がございましたら、
下記メールアドレスよりご連絡頂けると幸いです。
seminar@jarta.jp
 
何卒よろしくお願いいたします。
 
株式会社JARTA international
JARTAセミナー担当事務局

2018年06月17日

自分の身体を思った通りに動かせていますか?

現在、どのスポーツ(特に球技)でも競技レベルが上がり、速いや強いといったフィジカル的な要素だけでなく「精度(正確性)」という要素が必要不可欠になっています。
サッカーであればパス(シュート)精度、野球であればコントロール、など。
 
では、この精度を高めるためにはどうすれば良いか。
今回は、「自分の身体を思った通りに動かせているか」について話をしたいと思います。
 
 
北海道で活動しております、認定スポーツトレーナーの矢口 雅人です。
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2018年06月13日

原因の原因をつきとめろ

「ちょっと身体見てもらえますか?」
 
 
選手は身体に痛みや不調があると、スポーツトレーナー(以下トレーナー)に相談を持ちかけます。
 
 
この時トレーナーは痛みや不調の原因を改善することが要求されますが、
 
 
ついつい局所的な原因だけに捉われてしまうことが多くあります。
 
 
関東で活動する認定スポーツトレーナーの岡元祐樹です。
 
 
今回は局所的な評価だけではなく、
 
 
『広い視野で選手の状態を考える必要性』を、具体例も交えてお伝えしていきます。
 
 

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2018年06月10日

体幹トレーニングの質を高める!〜JARTA WorkOut in東京〜

関東で活動しておりますJARTA認定スポーツトレーナーの萩潤也です。
 
7月1日に東京にて、スポーツに必要な「体幹」をテーマとしたWorkOutを開催します。
 
体幹トレーニングと聞くとどの様なイメージがありますか?
 
体幹とは頭部と四肢を除く胴体部分のことを言いますが、一般的な説明ではインナーユニットと呼ばれる横隔膜・多裂筋・腹横筋・骨盤底筋群を指すことが多いです。
またトレーニングといえばブレない、固める、そんなイメージがあるのではないでしょうか?
 

(アプリVisible Bodyより引用)
 
上記の要素は数ある体幹機能の中の1つに過ぎません。
 
体幹は骨、内臓、筋肉、神経系など様々な要素で構成されています。
 
スポーツにおいて体幹の役割は、
・外力をガードする、押し返す
・受けた外力をいなす
・中枢から抹消への力を伝達させる
・精神的、肉体的緊張(自律神経)
・空中でのボディコントロール
 
など様々な役割があります。
 
果たして固める1要素のトレーニング方法でこれらがまかなえるでしょうか?
 

 
今回のWorkOutでは関節、筋、内臓、自律神経の内容を交えながらスポーツにおける必要な体幹機能についての話し、トレーニングを行っていきたいと思います。
 
<内容>
講義 
・JARTAコンセプト(身体の質)
・スポーツにおける体幹機能とは
実技
・active mobility
拘束性体幹の解放
肋骨 脊柱 内臓 肩甲骨 骨盤
 
・mobility + stability
柔軟性とバランスの両立
 
2018年7月1日(日)10:00〜11:30(受付9:30〜)
 
会場:ホグレル板橋本社2階ショールーム
最寄駅:都営三田線「本蓮沼駅」より徒歩10分 
住所:東京都板橋区大原町36-18 ホグレルビル
講師  萩 潤也
理学療法士
JARTA認定SSトレーナー兼認定講師
ホグレル モーションセラピスト
 
~主なサポート活動~
男子高校サッカーチーム、プロ・アマチュア格闘技、高校女子サッカー、プロスラックラインライダー等
 
受講料 2,000円
(JARTAセミナーへの参加歴がなくても受講可能です)
※当日会場にて受付致します

 

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2018年06月06日

活動報告〜フィットネスセッション2018〜

スポーツ・フィットネスの関係者が集うイベント、
 
フィットネスセッション
 
今年は、5月3〜5日の3日間で61講座が開かれました。
 
JARTAからは、「Tレフストレッチワークショップ」という演題で、
認定講師 高塚が登壇させていただきました。
 
 

 
 
今年のフィットネスセッションのテーマは“セルフケア”
 
セルフケア指導は、トレーナーが選手と関わる際には必須事項となります。
 
選手がその必要性を感じて、適切なセルフケアを日々の習慣にできるかどうか。
 
それは、トレーナーの腕の見せ所と言っても過言ではありません。
 
“選手の自己管理能力”を高めるために、JARTAではどのような取り組みをしているのか。
 
以下の3つのキーワードから、Tレフストレッチを用いたセルフケアについて説明させていただきました。
 

  • 教育的観点

 

  • 身体環境・動作効率改善

 

  • コンディショニングの引き出し

 
 
Tレフストレッチは、選手のパフォーマンスアップやパフォーマンス発揮に必要となる要素を整える手段の一つです。
 
目的に応じて、その他のセルフケア・トレーニング方法と組み合わせながら実施することで、より効果を発揮します。
 
 

 
 
写真は、ハムストリングスのTレフストレッチです。
詳細はこちら https://jarta.jp/conditioning/5113/
 
 
スポーツに限ったことではないですが、より多くの方が、自らの心身の状態を理解し、必要なセルフケアを行えること。
 
我々は、それが当たり前の文化になることを目指しています。
 
このような機会を与えていただいたフィットネスセッション関係者の方々、受講していただいた方々に、感謝申し上げます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

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2018年06月03日

夏までに時間がない。練習内容の前にウォーミングアップを見直せ

春季大会が終わると次の大会に向けて明確になった課題を克服し、今よりもベストな状態になるための準備が始まります。
 
準備するための時間は各選手、各チームに平等に与えられています。
選手にとって、限られた期間。
限られた期間=限られた時間
 
この『限られた時間』の中で課題を克服するために
練習の時間を増やしたり、練習時間の内容を絞ったり、練習時間の内容を変更したりと競技の練習を工夫することが第一選択となる場合が多くあります。
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2018年05月30日

ラジオ出演のお知らせ

この度、障害者スポーツに関わる理学療法士として、認定スポーツトレーナーの高塚政徳(ブラインドサッカー日本代表   フィジカルコーチ)が下記日程で、ラジオ出演することになりました。
 

 
 
先日収録が行われ、理学療法士の社会的な役割や、スポーツトレーナーとして実際にどのように障害者アスリートに関わっているのかなど、お話させていただきました。
 
(過去の関連記事:障害者スポーツも勝負にかける想いは同じ)
https://jarta.jp/report/12273/
 
司会は、フリーアナウンサーの町 亞聖さんです。
 
町さんは、これまでも障害者スポーツに関する取材を多くされており、収録中はもちろん、収録の前後でも色々なお話を聞かせていただきました。

 
 
関係者の皆さま
このような貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
 
<詳細>
番組名:文化放送 「みんなにエール!」 
http://www.joqr.co.jp/yell/
 
放送日:
 6月2日(土)  5時35分~5時50分
 6月9日(土)  5時35分~5時50分
 
 
 

2018年05月27日

子どもの夢を叶えるには動ける体が必要だ

子どもは大きな可能性を持った未来の宝です。
そんな子どもの運動能力の低下が近年叫ばれています。
「身体をうまく動かせる」ということは単に運動能力が高いというだけでなく、精神力、集中力など他の要素を高めることができます。
子どもたちが夢や想いを実現するため。夢ややりたいことを探すこと。
 
運動能力などあまり関係のなさそうなことであっても、実は大いに関係があります。
「身体をうまく動かせる」ことはどんな夢であっても、自己実現するために最も土台となる必須の要素です。
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2018年05月24日

速いシュートを打つ方法!膝下を速く振るだけでは速いシュートは打てない

サッカー選手であれば、シュート練習をしているときに以下のような考えがよぎった人もいるのではないでしょうか。
 
 
「クリスティアーノ・ロナウド選手のような強烈なシュートを打てるようになったらいいのに・・・」
 
 
クリスティアーノ・ロナウド選手の強烈なシュートを打つための要素として、「ボールが速い」という点が大きく関与していると考えられます。
 
 
そんなシュートを打つ方法として、よく言われるのが「膝下を速く振り抜く」という指導です。
 
 
しかし、膝下を速く振り抜くだけでは速いシュートは打てるようになりにくいのです。
 
 
では、速いシュートを打つにはどうしたらいいのでしょうか。
 

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2018年05月18日

トレーニング指導、自己満足で終わっていませんか?

東京を中心に活動している認定講師の高塚政徳です。
 
今回は、対象者に関わらずJARTAのセミナーでお伝えしているトレーニングを有効に使うための考え方をお伝えします。
 

そのままの形で伝えていませんか?

 
JARTAのトレーニングは、どれもトップアスリートにも対応できる難易度が高いものです。
 
言い換えると、
 
トップアスリートでも簡単には習得できない、高いレベルの身体操作・意識(アブレスト能力・統合化)が必要です。
 
 
スパイラルスイング(アドバンスⅢでお伝えしているトレーニングの一つです)


 
そのため、受講者の方からは、
 
「対象とする選手や患者様にうまく使えない」
 
という相談を受けることも少なくありません。
 
実際は、考え方・使い方次第。
 
運動が苦手な子供にも立位・歩行が困難な高齢の方にも使えます。
 
 

トレーニング効果を高めるために

 
その鍵は
 
使いたいトレーニングがどのような要素(機能・構造、物理現象など)から成り立っているのかを整理・理解することにあります。
 
トレーニングをそのままやることだけが正解ではありません。
 
そもそも対象者にとって、なぜそのトレーニングの要素が必要なのかを明確にした中で選択している必要があります。
 
前述したスパイラルスイングであれば、要素の整理をしていくと、以下のようなアシストトレーニングが推奨されます。
 
あくまでも対象に合わせて変わる部分なので、ほんの一例です。
 
肩甲骨まわし


肘抜き

 
※アドバンスコースでは、『構成要素』、『運動構造』という言葉を使って定義付けし、動作分析やトレーニング指導と合わせて、これらを抽出する練習を繰り返し行います。
 
例えば、ベーシックコースでお伝えしている「立甲」は、習得方法や必要意識を伝えることで感覚を掴める方と、それだけではいくら時間をかけても習得に向かうことができない方とで分かれます。
 
どのトレーニングにおいても、伝える側が対象者に合わせて何らかの変化をつける必要があります。
 
『構成要素』、『運動構造』を整理・理解した上で、下記に当てはめてトレーニングをアレンジしてみてください。
 
・身体各所の根本的な機能改善(固さや使い方)を図る
・部位ごとに行うなど、タスクを減らした形で行う
・動作自体の難易度(速度、パターンなど)を下げて行う
・負荷(回数、重量)を下げる、楽に保持できる姿勢をとらせるなどの調整下で行う
・伝え方(言葉の選択、導き方)、見せ方に変化をつける
 
これだけが全てではありませんが、今持っている指導方法のバリエーションに幅が出てくるはずです。
 
参考にしていただけたら幸いです。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
 


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2018年05月06日

新入部員ほど気をつけろ。パフォーマンスダウンの一要因

高校生となり新たな環境に入っていくと、より私生活の過ごし方まで見られるようになります。
そのため「良い立ち姿勢」を常に心がけてる選手も多いのではないでしょうか。
 
立ち方がだらしないと注意されても、普段立ち方を意識している選手は少ないので「良い立ち姿勢」の捉え方が間違えてしまっている場合もあります。
 
良いと思っていた「立ち姿勢」が間違っていると実はパフォーマンスを低下させてしまう場合があります。
 
 
また、その間違った「良い立ち姿勢」が習慣化されることで、慢性障害につながるリスクも高くなります。
特に成長期の選手にとっては、学生という限られた時間を患部の痛みによって治療の時間にあてることになってしまったり、痛みを誤魔化しながら練習するといったことになるわけです。
 
(さらに…)

2018年05月04日

腕組みを解くには

「圧倒的な手本を見せる必要がある」
 
 
JARTAでは選手にトレーニングを指導する際、スポーツトレーナー自身がトレーニングの手本を示すことを重要視しています。
 
 
ただの手本ではなく圧倒的な手本です。
 
 
神奈川で活動する認定スポーツトレーナー岡元祐樹です。
 
 
春になり、サポートする高校サッカー部に新1年生が入部してきました。
 
 
「なるべく早い段階からトレーニング指導をやっておいてほしい」
 
 
という監督の要望で、早速1年生の指導に入ることになりました。
 
 
その最初の自己紹介の最中、ある選手の態度が目に入りました。
 
 
腕組みをしながら私の話を聞いているのです。
 
 
口頭で注意することもできましたが、私はあえてそれをしませんでした。
 
 
トレーニング指導後、最後のまとめの話をしている際、先程の選手の腕組みは解かれていました。
 
自分のトレーニングの手本が上手くいったのだと感じました。
 
 

【腕を組む選手の心理とは】

 
目上の人の話を聴く際、聴く側が腕組みをするのは失礼に当たります。
 
 
スポーツ界のみならず、一般社会でもこのような態度は好まれません。
 
 
腕組みをする人の心理状態には
 
 
『防衛反応』や『拒絶反応』があると言われています。 ※その他もあります
 
 
選手目線で考えると
 
 
「高校生になり、新しく入ったサッカー部の初めて会う指導者。この人はどんな人なのか?信頼できる人なのか?」
 
 
という心理が少なからず働いていると推察されます。
 
 

 
 
「腕組みは失礼だから止めなさい」
 
 
とすぐに口頭で注意するのもシンプルな方法で有効な場面もあります。
 
 
しかし自分は今回依頼された『コモドドラゴン』というトレーニングの手本で自分がどのような人間か示し、選手の警戒心を解こうと思いました。
 
コモドドラゴンの効果や型を説明し、手本を見せながらクオリティの高め方を指導します。
 
そして選手と同じ距離・本数を行い、全く息が切れていない姿を見せるのです。
 
 

 
 

【自分を高めることで選手を高める】

 
私がJARTAの概念で一番好きなところは
 
 
スポーツトレーナー自身の鍛錬が、サポートする選手のパフォーマンスを向上させる
 
 
という考え方です。
 
 
この概念がないと、JARTAはただ珍しいトレーニングを知っているだけの集団になってしまいます。
 
 
トレーニングの紹介しかできない人に、選手は敬意を払ってくれるでしょうか?
 
 
そうならないための実践として、圧倒的なトレーニングの手本を提示します。
 
 
 
 
 

【チームに良い影響を与えるには】

 
今回はトレーニングの手本を示すことで選手との距離を縮めました。
 
 
トレーニングの手本を見せる。
 
 
さらには人としての手本を見せる。
 
 
チームに良い影響を与えるスポーツトレーナーになるには、自身の努力とその結果を選手に示す必要があるのではないでしょうか?
 
 
腕を組んでトレーニングを見ているだけでは足りません。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

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2018年04月29日

間合いを詰めるだけで相手を無抵抗にする方法

いつも公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
 
東北は青森で活動をしております、JARTA認定スポーツトレーナーの鳴海です。
 
スポーツには必ず勝敗がつきものです。
何に勝つのかは種目にもよりますが、
基本的には【対人】か【数字(記録)】です。
 
そして対人する競技の場合、
多くは相手と向き合い、駆け引きをする空間的距離、
すなわち【間合い】が生じます。
 
この間合いをどのように制するかが
勝敗を決するにあたり大変重要です。
 
仮にどんなに素早い動きをしても間合いの扱いを間違えれば
格闘技では打撃が相手に捌かれてしまいます。
サッカーやバスケではドリブルで相手を抜き去る際に、
必要以上に距離が空いていれば相手に反応を許してしまいます。
 
では間合いを扱うにはどうすれば良いのか?
今回は【間合いを詰める】という事にフォーカスした内容を
お話させて頂こうとおもいます。

 
対人競技、特に格闘技では打撃を当てるにせよ、組み合うにせよ
自然と対峙した相手との間合いが詰まります。
ではどのように間合いを詰めれば良いのでしょうか?
 
良く言われるのは、相手に反応されづらい、
つまり相手に察知されないように間合いを詰めるです。
 
では相手に察知されないようにするには
相手をどのような状況に置けば良いのか?
 
生理的な反応として
人間は2者関係において距離を詰められると
“拒絶”か“受容”のどちらかの反応を起こします。
 
相手が察知し反応して何らかのアクションを起こすのは
基本的には拒絶による反応です。
対極にある受容では例え見えていても反応ができません。
見えていても反応できない、つまりは害意があると認識できない状態です。
 
極端に言うと“拒絶は抵抗、受容は無抵抗”ということです。
 
実際にそれらの状態の時、相手にどのような事が起きているのか。
拒絶状態では筋力が向上し、柔軟性が低下します。
受容状態では筋力が低下し、柔軟性が増します。
 
 
それを考えると間合いを詰める際には
相手を受容、つまり無抵抗の状態に置けると有利に事を進められます。
 
実際にどのように間合いを詰めれば相手をその状態に置けるのか。
一例を動画にて▼

 
動画を見ると間合いを詰める際に
相手の筋力が低下していないとき、低下しているときの
間合いを詰める動きが何となく違うのはわかるとおもいますが、
具体的に何がどう違うのかまで言及するのは難しいかとおもいます。
 
相手を無抵抗状態に置くにはいくつかポイントがあります。
身体的な操作としては
・重心移動に力感がないこと。
・足に居着きがないこと。
実際の動きとして
・真正面から間合いを詰めないこと。 などなどが挙げられます。
(先ほどの動画はこれらに加え、重心移動に上体を倒さないという要素も加えています。)
 
これらを守る形で身体操作を行うと、相手が無抵抗状態になります。
あくまで動画の方法は一例です。是非工夫して動きを探求してみて下さい。
 
ちなみに動画で間合いを詰める際に
どのように重心移動をしているのか、足に居着きをなくしているのか、
気になる、また知りたい場合には、ご質問頂ければとおもいます。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。
 

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2018年04月27日

バレー選手の腰痛を減らすために

バレー選手における腰痛の発生頻度はかなり高くなっています。
多くの選手が腰痛により思うようなプレーができなかったり、戦線を離脱したり、引退に追い込まれたりいています。

 
バレーでは、サーブやスパイク、レシーブ(フライング、スライディング)などの多くの場面で腰部の負担がかかりやすく、腰痛を起こしやすい競技の1つです。
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2018年04月23日

いつも通りが出せないあなたへ

試合で本来の調子が発揮できない。
調子がいい時と悪い時が試合になってみないとわからない。
 
などなど、アスリートにとって最大のパフォーマンスを大事な大舞台で発揮することは
大きな課題であります。
 
今回はそういった自分本来の調子を大事な舞台で発揮するための思考と実践方法について簡単にご説明いたします。
 
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2018年04月20日

「トップアスリートのトレーニングを体感する方法」

■トップアスリートも実践するトレーニング

東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
JARTAトレーニングはトップアスリートも実践するトレーニングです。
JARTA代表 中野崇はプロ野球、プロサッカー、五輪メダリストなど20種類以上のトップアスリートを指導しています。
主なクライアントはブラインドサッカー日本代表・野上亮磨・西野勇士・高橋光成・荻野貴司・皆本晃・永里優季・横山久美・大村奈央・鈴木徹・深谷知博(敬称略)などトップアスリートです。
その詳細はJARTA代表 中野崇のブログを是非ご覧ください。
 

 
JARTA代表 中野崇OFFICIAL BLOG
 
 
 
 

■トレーニングを体感するには?

JARTAトレーニングを実際に体感するにはJARTAトレーニングサポートシステムを利用して頂きます。
セミナー受講以外でもトレーニングを受けることが可能です。
JARTA認定スポーツトレーナーがチームまたはパーソナルでサポートするシステムです。
 
 
JARTAトレーニングサポート依頼、実際にトップアスリートのトレーニングを体感したい方はこちら
 
 
 
合宿・遠征帯同も可能です。
全国各地に非常に難関である認定トレーナー試験を合格したスポーツトレーナーがおり、出張での対応も可能となっています。
セミナー受講しなくても、または遠隔地でもスポーツトレーナーによるサポートが可能です。2017年で認定試験修了者は200名を超え、認定スポーツトレーナーは120名を超える数になっています。
なお認定トレーナーはJARTAスポーツトレーナー資格に加え、ほぼ国家資格保有者(理学療法士、作業療法士、柔道整復師、アスレチックトレーナーなど)です。
カラダに関するプロの専門家なので、安心してサポートを受けることが可能です。
 

CF International Academy 三重校でのトレーニング風景
 
 
・全国の認定スポーツトレーナーについてはこちら

JARTA認定スポーツトレーナー


 
 
 

■トレーニング・サポート内容

トレーニングサポートはあらゆるスポーツ、動きに対応可能です。
JARTAコンセプトをご覧頂きご検討下さい。

 
 
JARTAトレーニングはどのようなものなのか?動画にて確認できますのでこちらもご覧ください。

 
 
 
 
JARTAトレーニングサポート依頼、実際にトップアスリートのトレーニングを体感したい方はこちら
お気軽に問い合わせください。
 
 
今回は「トップアスリートのトレーニングを体感する方法」を紹介させて頂きました。最後までお読み頂きありがとうございました。
 
 

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2018年04月20日

JARTA|福岡運営スタッフの募集

この度、JARTA事務局は福岡運営スタッフを公募致します。
下記、内容となりますのでご興味のある方はご確認ください。
(さらに…)

2018年04月16日

あらゆる競技に精通している方が得?

「自分には難しそうだ」
スポーツトレーナーの中には、1つの競技に捉われず複数の競技をサポートしている方がいます。
 
 
各競技のルールや特徴を把握し、それぞれの競技を行う選手にトレーニングやケアを提供する。
 
 
そのようなスポーツトレーナーに憧れてはいるものの、頭の中には様々なデメリットが浮かんできます。
(さらに…)

2018年04月11日

Tレフストレッチを体感できます

東京を中心に活動している認定講師の高塚政徳です。
 
一昨日、昨年と代表の中野が登壇した、“フィットネスセッション”
 
フィットネスセッションとは、フィットネス・スポーツ分野の第一線で活躍している団体、講師がその年のテーマに沿ったプログラムを公開し、学習・交流の場として用いられている講習会です。
 
今年は セルフケア がテーマで開催されます。
 
第32回フィットネスセッションの案内はこちらから。
http://www.power-st.com/fitsen/sp/index.html
 
JARTAからは、「Tレフストレッチ」を体感していただく講座を開かせていただくことになりました。
 

 
フィットネスセッション講座紹介
http://www.power-st.com/fitsen/sp/course2.html
 
Tレフストレッチワークショップ
「何のためにストレッチをしているのか」。
 
その目的により、必要なストレッチ方法は異なります。
JARTAでは、“動きの質”を高めるためのストレッチとして、Tレフストレッチを提唱しており、サポートする多くのアスリートがセルフコンディショニングに使っています。
 

 
Tレフストレッチは、身体を効率良く機能させるために必要な部位に、体性感覚を入力しながら行うストレッチのことです。
 
痛み・違和感の出にくい身体環境作りから、パフォーマンス改善を目的とした形でも使うことができ、セルフコンディショニングだけでなく、施術にもこの概念を応用することができます。
 
この講座では、リハビリ・スポーツ現場での実際の使用例を交え、実技にて体感してもらいながら進めていきます。
 

Tレフストレッチワークショップは、5月5日(土)12:30-14:00です。

 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

 
JARTA公式HP
https://jarta.jp
 




2018年04月09日

JARTAセールスマネージャー登壇!第7回TOBE会

来月5月末に、JARTAセールスマネージャーの生山が第7回TOBE会に登壇します!
以下詳細です。
 
【第7回TOBE会 元プロ野球戦士が語るプロ選手が求めるトレーナーの条件とは】
〜一流選手を近くで見てきたイクヤマンが伝えたい事〜
 
○日程|2018年5月27日(日曜日)13時〜15時00分(12時40分開門)
○場所|GOODLUCK(東住吉区駒川5–22–19 2F)
※近鉄南大阪線”針中野駅”徒歩3分 地下鉄谷町線”駒川中野駅”徒歩6分
○募集人数|7名様限定
※定員に達し次第、募集を締め切りさせていただきます。
○料金|
通常価格     7,560円
学生割引     4,990円
JARTA会員割引  5,990円
「↓こんな方にオススメです↓」
・トップアスリートが求めているトレーナーについて知りたい方
・プロスポーツの現場で仕事をしたい方
・将来、プロアスリートやプロチームでの指導を行いたい方
・プロ野球が好きな方
・トレーナーとしての売り上げを高めたい方
そんな方にぴったりのセミナーです。
少人数ですので講師から直接、色々な話が聞けます。
○お申込み
希望の方は下記メールアドレスに「名前」・「メールアドレス」・「JARTA会員の有無」を記載の上、ご連絡ください。
abeno.yamato.pft@gmail.com
 
 
【講師紹介】
○講師 生山裕人
元千葉ロッテマリーンズ
スポーツトレーナー協会JARTA セールスマネージャー
○経歴
大阪府立天王寺高等学校卒
近畿大学文芸学部芸術学科演劇芸能専攻(中退)
香川オリーブガイナーズ(2007〜2008年)
千葉ロッテマリーンズ(2009〜2012年)
株式会社フルスロットルズ(ウェディングプランナー)

 
 
 
 
 
 
 
 
野球エリートとは無縁の異色の経歴の中、野球を諦めるため受けた独立リーグに才能を見出される。
2009年に千葉ロッテマリーンズに入団しプロ野球界で4年間を過ごし、引退後は東京にてウェディングプランナーとして活躍する。
現在は自らの異色のキャリアとプロ野球経験を生かし、自分らしいキャリアを描けるアスリートや学生を増やすために、小中学校や高校での講演活動【〜夢の見つけ方、叶え方、諦め方〜】をはじめ、スポーツトレーナー協会JARTAセールスマネージャーを務めるなど様々な形で活動している。

2018年04月06日

フィットネスセッション登壇のお知らせ

 
フィットネスセッション2018でJARTA認定講師 高塚が講義することになりましたのでご報告いたします。
 
【Tレフストレッチワークショップ】
「何のためにストレッチをしているのか」
その目的により、必要なストレッチ方法は異なります。
JARTAでは、“動きの質” を高めるためのストレッチとして、Tレフストレッチを提唱しており、サポートする多くのアスリートがセルフコンディショニングに使っています。
Tレフストレッチは、身体を効率良く機能させるために必要な部位に、体性感覚を入力しながら行うストレッチのことです。
痛み・違和感の出にくい身体環境作りから、パフォーマンス改善を目的とした形でも使うことができ、セルフコンディショニングだけでなく、施術にもこの概念を応用することができます。
この講座では、リハビリ・スポーツ現場での実際の使用例を交え、実技にて体感してもらいながら進めていきます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
〜概要〜
日程|5月5日(土)12:30-14:00
場所|大正大学
講師|高塚政徳(講義番号39)
お申し込み|①もしくは②の方法でお申し込みください。
①ログイン後、お申し込み
②メールアドレス(fis@msj.biglobe.ne.jp)宛に、
・氏名(ふりがな)
・郵便番号
・住所
・電話番号
・ご希望の講座番号及び枚数
を明記の上、お申し込み
 
フィットネスセッション2018ホームページはこちら




2018年04月04日

知らないと恥をかく!トレーナーを目指すなら知っておきたい受傷時の評価

「現場に出たときに、もしも選手が目の前で怪我をしたらどうしよう・・・」
「何を学んだらいいか、わからない・・・」
 
あなたは、そんな悩みを持ってはいませんか?
 
 
トレーナーとして学ぶべきことのひとつとして、怪我が起きた時の対処法があります。
(さらに…)

2018年04月01日

効果を倍増させるトレーニングの考え方とは

近年スポーツ業界には競技パフォーマンスアップに向けて様々なトレーニング方法がでています。
・一流アスリートが実践している
・海外で流行中の〇〇トレーニング
・画期的な新メソッド
など様々なメディアや書店などで見かけ、実践することも多いかと思います。
 
しかし、あの有名海外チームが取り入れている、あの一流選手が実践しているというトレーニングと同じことをしても思っていた効果が出てこない。
そんな経験はありませんか?
(さらに…)

2018年03月29日

新セミナー募集開始!

 
毎度好評いただいている藤本靖氏のセミナーの第2弾が決定いたしました!
https://jarta.jp/j-seminar/fascia/
 
前回に続き、今回も東京会場のみで開催いたします。
*まだ募集は開始したばかりですが、毎度藤本さんのセミナーは開始すぐに定員に達しましたので、ご注意ください。
 
 
『筋膜との対話〜コアで支える姿勢と動き〜』
 
日程|5月13日(日) 10:00〜16:00(受付開始9:30~)
会場|タワーホール船堀 研修室
受講料|一般25,000円(会員・認定スポーツトレーナー割引あり)
お申し込みはこちら
 

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2018年03月26日

スポーツにおける状況判断を身につけたい選手必見!【”眼”には5つの使い方があった】

あなたの周りには、以下のような選手はいませんか?
 
・状況判断を的確に行いその場にマッチしたプレーができる
・相手の戦術や動きを察知して素早く対応できる
 
上記のようなプレーができる選手はレギュラーに定着しやすいだけでなく、試合においてもハイパフォーマンスを発揮することでしょう。
 
別の言い方をすると、相手の出方を見計らって裏をかくプレーができるのです。
 
しかし反対に、相手に裏をかかれて、「相手に出し抜かれた」という経験をした方も多いはず。
 
両者には、一体どのような違いがあるのでしょうか。
(さらに…)

2018年03月21日

ハムストリングスの肉離れから選手を守れ

『ピキッ』
走っていた選手がモモ裏を押さえて急に動けなくなる。
 
 
それはハムストリングスの肉離れが起きたのかもしれません。
 
 
今回はスポーツ現場で頻発するハムストリングスの肉離れについて書いていきます。
(さらに…)

2018年03月18日

立甲を最速で効率よく手に入れる方法

JARTA代表中野崇が指導するプロ野球読売巨人の野上投手もトレーニングに取り入れている「立甲」を習得する方法とは?

 

■立甲を習得するために

東海地方で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。
立甲はJARTA代表 中野 崇が指導するプロ野球選手 読売巨人の野上投手も実際に行っているトレーニングです。
 
 
・巨人・野上「理想はエヴァンゲリオンみたいな肩」“立甲トレ導入へ”
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2017/12/14/kiji/20171213s00001173239000c.html
 
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2018年03月13日

障害者スポーツも勝負にかける想いは同じ

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。 
東京を中心に活動している、認定講師の高塚政徳です。
 
私は中野代表と共に、パラリンピック種目であるブラインドサッカー日本代表チームに、フィジカルコーチとして関わっています。
 
先日、東京都理学療法士協会様から依頼をいただき、
 
「視覚障害アスリートのコンディショニングの実際」
 
というテーマで講演をさせていただきました。
 

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2018年03月06日

そのトレーニング、選手は続けてくれていますか?

トレーナーが選手に対し、トレーニングを提供する上で大事なことは何でしょうか?
根拠となる理論、言葉の選択、状態に応じたトレーニングレベル。
どれも必須な要素です。
しかし、どんなに素晴らしい理論、根拠のあるトレーニング。
選手に合わせた言葉の選択。
状態に合わせられたトレーニングレベル。
これらを提供できたとしても、継続してトレーニングをしなければ効果は現れてきません。
(さらに…)

2018年03月01日

使える股関節を追求するために

東京を中心に活動している認定講師 高塚政徳です。
 
スポーツ現場においてもリハビリ現場においても“体幹の強化”と併せて、“股関節の強化”も重要視され、トレーニング方法も数多く実践されています。
 

(さらに…)

2018年02月25日

《できる人》と《できない人》どちらにフォーカスしてトレーニングしますか?

トレーナーが選手にトレーニングを指導する場合、
指導対象は状況によって以下の2つに分けられます。
【 個人に行うパーソナルトレーニング 】

【 集団に行う集団トレーニング 】

 
個人に対して行うパーソナルトレーニングでは、
その選手の習熟度に合わせた内容を指導することができますが、
集団で行うトレーニングの場合にはその限りではありません。
 
集団で行うトレーニングでは
選手一人一人の能力が異なるにもかかわらず、
同様のトレーニングを行う場合がほとんどです。
 
そして集団でトレーニングを行う際には
必ず《できる人》と《できない人》に分けられます。
 
ここで問題が発生します。
 
集団に対して指導を行う際、トレーナーの人数は限られています。
できない人にフォーカスしてトレーニングの内容を検討すると、
できる人の成長を阻害してしまう可能性が出てきます
 
逆にできる人にフォーカスしてトレーニングの内容を検討すると
できない人が成長しない可能性が出てきます。
 
 

どちらにフォーカスしてトレーニングを提供するのが正解なのか

JARTA認定スポーツトレーナーの鳴海裕平です。
 
この内容は集団に対してトレーニングを提供しているトレーナーが多く持つ悩みの一つです。
実際に先日のJARTA認定トレーナー必須研修でも、
認定トレーナーよりこの内容が質問として出されました。

 
 
 
 
たとえば“勝利至上主義”のチーム事情によっては
できる人を優遇し、優先的にトレーニングをさせる。その結果試合で好成績を上げる。
ということも考えの一つでしょう。
 
実際に強豪校では、ある程度のふるい分けをするために、あらかじめ実力や
それに見合った実績がない選手は入部すらできないという事がよくあります。
その結果できる人が集まり、効率よく効果的にトレーニングすることができるでしょう。
 
単純に考えればできる人がさらに成長し試合で良い成績を残せる可能性も高まるでしょう。
しかしそれでもトレーニングについていけない人が生まれる可能性は排除できません。
 
逆に小中学生などを対象とした“人格形成・集団行動の教育”という方針では
差別なく平等にするために全体のトレーニングの進行を遅らせ
できない人ができるようにするように歩調を合わせてこともあります。
 
できない人ができなかったことをできるようになる可能性は高まりますが、
チーム全体の歩調は遅く、できる人の成長は阻害される可能性が高いです。
 
どちらも良い点もあれば悪い点もあります。どちらも間違いではないでしょう。
ただしそれはあくまで“単純に考えれば”の話です。
 

現場はそんなに単純ではない

 
できる人だけにフォーカスすれば上手くいく。できない人にフォーカスすれば上手くいく。
そう単純に考えれば良い程現場は簡単ではありません。
個人的な意見を言わせて貰うとどちらも不正解ではないけども不十分です。
 
そもそもの話、
できる人だけに集中してトレーニングをさせたところで、できる人は伸びるでしょうか?
できない人にトレーニングをさせて、できない人は結局できるようになるのでしょうか?
 
できる人にトレーニングを提供すると、できてしまうのでトレーナーは
必ずどんどん次の内容を伝えたくなります。そうなると
できる人は何故これをやるのか”“これで何が身につくのかを深く考えず、
とりあえずキツいし難しい動きだから何か効果ありそう”程度の認識で
トレーニングをこなしてしまいます。
 
またトレーナーが内容を説明しても選手は“頭で理解”はできても“身体で習得”はできません
つまり自分の中に落とし込めず、結局深みのない知識がインプットされただけです。
すぐに忘れますし、なんとなくでできてしまうので、必要な感覚が定着しないことが多く、
結局成長が頭打ちになります。

 
 
 
人間は与えられたことや教えられたことは忘れるし、大事にしませんが、
自分の力で“気づき”を得られるとそれを忘れません。
“気づき”を経て、コツや感覚を“認識”することで頭ではなく、身体にすり込まれます。
 
逆にできない人にトレーニングを提供すると、
できない人は“これをこうすればこうなるはず”“言われた感覚を意識してみる”とがんばり、
うまくいかないたびにトレーナーに質問し、
トレーナーは問題解決のためにさらなる知識を選手に与えます。
 
できない人は試行錯誤する事で徐々に感覚をつかみ、
その中で気づきを得ることにより身体で自得していきます。ただし相応に時間がかかります。
ひょっとしたら大切な試合に間に合わないかもしれません。
 
つまり、できる人はできるけど理解が浅く、成長が頭打ちになりやすい
できない人はできるようになれば身についているけども、できるまで時間がかかる
という問題を抱えているのです。
 

トレーナーがやるべき事は相手を選ぶ事ではなく、育てること。

 
できる人には“なぜこのトレーニングをするのか?”
“どんな感覚で自分はこの動きをしているのか?”
“この感覚を実際のプレイに生かすとどんな動きになるのか?”などを選手に考えさせ、
理解を深め、身体に落とし込むように工夫しなければいけません。
 
できない人には“どうやったらこの動きができるようになるのか?”
“どんな所に意識すればよいのか”選手自身に試行錯誤させつつ、
身体が習得できるまでのプロセスを最適化させる工夫しなければいけません。
 
だからこそ単純にできる人だけでやれば良いとか、
できない人に時間をかけてあげるという発想ではダメなのです。
2択のどちらかにフォーカスしてトレーニングすれば万事うまくいく訳ではありません。
 
仮にトレーナーはどちらかにフォーカスするにしてもやるべき事をやらなくてはいけません。
それはできる/できない人にかかわらず、トレーニングを介して
パフォーマンスを上げるだけでなく、人間としての成長を図ることです。
 
参考までに以下に私の個人的な指導方法を一つ述べさせて頂きます。
 
・できる人には理解を深めてもらいたい。
・できない人には習得できるまでのプロセスを最適化してほしい。
なので、できる人にはできない人の指導に当たってもらいます
 
すると、できない人に指導するために
自身がどのような感覚でそのトレーニングを行っているか、
何に気をつければやりやすいか言語化することで気づきを得ることができます。
 
特にできる人でもスランプ気味でモチベーションが下がり気味の選手にお願いをします。
そもそもスランプ気味なのは理解が浅いことが原因となっている場合があります。
そこで気づきを得ることがスランプ脱出のきっかけになることが多々あります。
 
できない人はできる人からコツや感覚を伝えてもらえるし、
実際にできている動きを模倣できるため、身体で自得するための重要なヒントになります。
そうすることで試行錯誤するための質の良い情報を得ることができ、
身体で習得するためのプロセスを最適化していくことができます。
 
こうすることでトレーナーがトレーニングを介して選手に与えるべき
・選手自身が“気づき”を得る機会を作り出すこと
・身体の感覚を認識・言語化し、深い理解を得ることで身体に動作を落とし込むこと
・習得するまでのプロセスを最適化する問題解決能力を育てること  が可能となります。
 
トレーニングでのパフォーマンスが上がるだけでなく、選手が自分の頭で物事を考え、
気づき・発見し、自分の力で成長している実感を得ることで、人間的にさらに成長します。
 
もちろん私が行っている指導が必ずしも正解という訳ではないでしょう。
できる人だけで集めて、できる人同士で情報をシェアする方が
結果として良い場合もあるとおもいます。
 
正解のない問題ですが、できる人とできない人を分けて
ただ単純にどちらかを優先するのが良いなどと考えて欲しくはありません。
本質を見誤らず、トレーナーがトレーニングだけを教えれば良い人という認識にならず、
一歩深く入って考えることで、別のより良い選択肢が生まれることもあります。
 
正解のない問題です。存分に悩みましょう。悩み続け、
自分の力で答えを出していきましょう。それがトレーナーの成長です。
すべては選手のために。最後までお読み頂きありがとうございました。

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2018年02月21日

トレーナーの手本力が選手の学習効率に影響する理由を、脳科学の側面から考察

JARTAではトレーナーが選手に手本を示すことを重要視しており、ベーシックセミナーにおいても手本を示すことが選手のモチベーションを高くする理由をお伝えしています。
 
 
手本を示すことは、選手の心に火をつけてモチベーションを高める効果だけでなく、学習効率も高める効果もあるのです。
 
 
「手本を見せれば、学習効率があがるのは何となくイメージできる」と思った方も多いと思います。
 
 
今回は、なぜ、手本が学習効率を高めるのか”脳科学の側面”から認定スポーツトレーナーの福原良太が解説していきます。
(さらに…)

2018年02月18日

怪我は悪者か!?

スポーツにおいて一般的には怪我はつきものだ。
そう考えられているという大前提でお伝えしたいことがあります。
 
怪我とは常にアスリートにとって悪者なのだろうか?

(さらに…)

2018年02月11日

滑りやすいグラウンドで差をつける

今年の冬の寒さは厳しく、関東平野でも雪が降りました。
 
 
自分の住んでいる神奈川県の湘南地域も例外なく雪が積もり、外を歩くと滑って転びそうになりました。
 
 

 
 
そんな滑りやすい地面の上を歩いていると、自分はあるサッカーの試合を思い出します。
(さらに…)

2018年02月01日

スタミナアップトレーニングに欠けている視点とは

関東で活動しておりますJARTA認定スポーツトレーナーの萩潤也です。
 
試合中にハイパフォーマンスを発揮し続けるためには当たり前ですが相応のスタミナが必要です。
 
一般的にスタミナとは心肺機能と筋持久力によって構成されていると言われています。
 
そのためスタミナアップを目的としたトレーニングといえば有酸素運動である走り込みや、鍛えたい部位の低負荷高頻度筋力トレーニングなどが思いつくのではないでしょうか?
(さらに…)

2018年01月31日

イップス防止 × スローイングスキルセミナー規程変更のお知らせ

現在募集しております、「イップス防止 × スローイングスキルセミナー 意識・イメージトレーニング編」ですが、当初、「身体操作編」を受講された方のみ受講可能としておりました。
 
今回セミナー内容の見直しをすることで、「身体操作編」と「意識・イメージトレーニング編」のどちらからでも受講できるようになりました。
 
先に「意識・イメージトレーニング編」から受講することができます。まだ、若干空きがございますので、お申込みお待ちしております。
 
イップスセミナーのページはこちら
https://jarta.jp/j-seminar/ippusu/

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2018年01月28日

もし、「選手の動きの癖がなかなか改善しない」と悩んでいるなら、その解決策を提案します

「トレーナーが思っている動きを選手が獲得できない」
「伝えたトレーニング方法で行えていない」
選手指導を行っていると、
「トレーニング方法を伝えたのに、どうしてできていないのか?」
 
という苦い経験のあるトレーナーもいるのではないでしょうか。
(さらに…)

2018年01月24日

教え過ぎの弊害

「サポートしている選手やチームに自分の持っている物をすべて伝える」
 
 
指導者として当然の姿勢に思えるかもしれませんが、実はそのことが選手の成長を妨げることになるかもしれません。

(さらに…)

2018年01月18日

あなたのルーティンは何ですか?

試合前に心を落ち着かせるために深呼吸をする。
自分自身をチームを鼓舞するために大声をだす。
集中力を高めるために一点を集中する。

 
(さらに…)

2018年01月15日

【サポート選手Jチーム加入のお知らせ】

この度、認定スポーツトレーナーの高塚がトレーニングサポートをしております、順天堂大学4年 米田隼也選手のV・ファーレン長崎入りが決まりました。

米田選手は、自身の強みであるドリブルに磨きをかけたいとJARTAでのトレーニングを自ら希望し、シーズン中も含め継続したサポートを実施してまいりました。
 
今後の米田選手の活躍にご注目、応援よろしくお願いいたします。
V・ファーレン長崎公式HP
https://www.v-varen.com/news
 
 




2018年01月11日

だれよりもトレーニングに精通したトレーナーが現場から追放される理由。

最近はトレーニングに関して、数多くの理論やメソッドが乱立し、
コンビニに立ち寄れば、書籍のコーナーには第一線で活躍する
有名アスリートのトレーニング方法を記した本が置かれています。
 
インターネットでもyoutubeやインスタグラムを覗けば、
動画を介して多くの事を知ることができます。
 
トレーニングを教えるトレーナーは
そういった知識や各々のメソッドに関して精通していることは当たり前で、
それに対して自分なりの見解を持っている事が好まれます。
 
だからこそトレーナーは様々なことを学ぶのですが、
現実には多くの知識を持ち、自分なりの見解を持っているトレーナーが
現場からはじき出されることはかなり多くあります。

(さらに…)

2018年01月04日

フィジカルに対する視点を広げよ

試合の勝敗を分けたのはフィジカルの差だ。
日本人はフィジカルが弱い。
メディアなどでも良く聞かれる言葉でだと思いますが、あなたにとってスポーツに必要な「フィジカル」とはどういうものですか?
関東で活動していますJARTA認定スポーツトレーナーの萩潤也です。

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2018年01月01日

2018年新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
 
株式会社JARTA international代表取締役、JARTA代表の中野 崇です。
 
 
昨年は格別の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
選手を支える立場にある我々もまた、誰かに支えられているということに感謝を忘れることなく、本年もJARTA一同、誠心誠意の活動を心がける所存でございます。
何とぞ、昨年同様のご愛顧を賜わりますよう、お願い申し上げます。
 
1.手段にとらわれず、真に選手に貢献することを最重視する。
2.技術・知識だけでなく、人間力も含めて世界レベルのアスリートから小学生まで、すべての関係者から信頼されるようなスポーツトレーナーを育成し、スポーツトレーナーという仕事の社会的信頼と存在意義を向上してゆく。
 
変わらずこの2点をJARTAのミッションとし、本年も引き続き一貫した活動を行っていきたいと思います。
 
 
皆様のご健勝と益々のご発展を心よりお祈り致します。
本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
JARTA代表
株)JARTA international 代表取締役
中野 崇
スタッフ一同
 

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2017年12月29日

年末年始休業のお知らせ

いつもJARTA公式ページをご覧頂き、誠にありがとうございます。
 
誠に勝手ながら、2017年12月30日(土)〜2018年1月3日(水)を年末年始休業日とさせていただきます。
この間にお問い合わせのあったご連絡につきましては、新年1月4日(木)以降に対応させて頂きます。
 
皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
 

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2017年12月26日

大腰筋は鍛えるだけで使えるのか? 〜11月Work Out in 東京開催報告〜

関東で活動しておりますJARTA認定スポーツトレーナーの萩 潤也です。
11月5日に東京にてWork Outを開催しました。
テーマは「ハイパフォーマンスに必要不可欠な大腰筋」
今回開催したWork Outでお伝えした中でも、大腰筋を使いこなすために特に大事な考え方をご紹介したいと思います。

(さらに…)

2017年12月25日

JARTA協賛 AS ROMA CAMPと認定講師山岡の思い

 
JARTA認定スポーツトレーナー・講師の山岡です。
 
今回は来月開催予定のAS ROMA CAMPのご案内をさせていただきたいのですが、
この企画の経緯や私の思いを書かせていただきます。
 
 
 
私は現在、JARTA認定スポーツトレーナー・講師の他に、
「CF International Football Academy powered by JARTA
(JARTAがプロデュースするサッカーフットサルアカデミー、※以下CFアカデミー)」の責任者をしています。
 
 
CFアカデミーは、『世界で活躍できる選手を育成する』この思いを持ってスタートしました。
 

 
 
 
おこがましく思われるかもしれませんが、実現するために指導者も選手も本気で世界を見据えてトレーニングに取り組んでいます。
 
 
トレーナーも毎年イタリアに行き、セリエAチームの育成施設の視察やトレーニングのプレゼン等をしています。
 

 
 
 
これはトレーナー自身も世界に挑戦し、選手と同じように成長できるように、自らの課題を抽出し向き合うためです。
 
 
トレーニングのプレゼンでは、食事も喉を通らない程のかなりの失敗を経験させていただきました。
 
正直本当に辛かったですが、この経験が選手のためになると確信できました。
 
 
今後も止まることなく貪欲に、選手のために情報収集からトレーナーのスキルアップなど世界で戦うための準備をしていきます。
 
 
 
このようにCFアカデミーでは直接選手に関わり育成を始めていますが、
また違った角度で選手に貢献したいとの思いが叶ったのが、今回のAS ROMA CAMPです。
 

 
 
 
指導者も世界に挑戦するに越したことはありませんが、中々簡単に行けるものではありません。
 
少しでも多くの指導者の方にヨーロッパで行われている指導の本質を見に来ていただきたい思いで、現役でAS ROMAの下部組織の監督を務めるテクニカルコーチを招致しました。
 

 
 
 
ローマ独自の選手育成システムや選手への伝え方を是非多くの方に見に来ていただきたいです。
 
 
そして日本には今たくさんのキャンプが上陸しています。
バルサ、レアル、ACミランなど数多くのキャンプがあります。
 
 
世界に出るチャンスは増え、すごく開けた良い時代になったと思います。
 
このチャンスをもっともっと増やすための機会でもありますし、今回来日するテクニカルコーチは本気で選手をピックアップする気で来ています。
 
 
このキャンプからAS ROMAに挑戦する選手が出て、世界で活躍してくれることを心から願っています。
また指導者の方には今後のトレーニングのプラスアルファになり、多くの選手に還元されることを願っています。
 

 
 
 
【選手向けクリニック】
日程:2018年1月20日(土)、21日(日)2日間通し
対象:小学4年生〜6年
定員:40名(先着順)
時間:11時〜17時半(受付10時〜)
会場:
20日(土)セレッソフットサルパーク
21日(日)浪速高等学校
※土日で会場が異なりますので、ご注意ください。
費用:24,800円(税込み26,784円)
参加特典:AS ROMAサッカーシャツ、パンツ、ソックス

 
 
 
【指導者講習会】
日程:2018年1月20日(土)、 21日(日)※どちらか選択
対象:18歳以上の指導者を目指す方、現役指導者
定員:各日程40名ずつ
時間:9時〜17時半(受付8時半〜)
会場:
20日(土)セレッソフットサルパーク
21日(日)浪速高等学校
※土日で会場が異なりますので、ご注意ください。
費用:10,000円(税込み10,800円)

 
【お問い合わせ】
090-5053-8468
hg@cf-football-academy.com
 
 

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2017年12月21日

低重心トレーニングはすべきではない!?「高重心」VS「低重心」論争に終止符を。

「重心は高い方が良い」
「重心を低くする必要はない」
「低重心のトレーニングはすべきではない」
 
最近上記のような声を指導者やトレーナーなどから聞くようになりました。
 
確かに、低重心よりも高重心の方が高速移動や方向転換には適しています。
 
しかし、低重心の方がハイパフォーマンスを生む場合もあるのです。
(さらに…)

2017年12月17日

【Instagram一時閉鎖のお知らせ】

【Instagram一時閉鎖のお知らせ】
リニューアルに伴い、Instagramを一時閉鎖致します。
ご不便をおかけしますが、再開まで今しばらくお待ちくださいませ。

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2017年12月16日

オフトレーニングでライバルに差をつける

  • スポーツのオフトレーニングは、種目によって時期や期間に違いはありますが、次のシーズンに向けて大切な準備期間である事は間違いないと思います。

今回は、オフトレーニングの効果を上げるため、トレーニングにおける「量と質」、特に「質の向上」というテーマでお話しさせて頂きます。
 
札幌で活動する認定スポーツトレーナーの吉野直人です。
(さらに…)

2017年12月14日

認定試験という名の自分と向き合う場所

先日、大阪・東京共に2017年のJARTA認定スポーツトレーナー試験が終了しました。
 


 
 
 
今年1年コースを受講された皆様が、スポーツトレーナーとして多岐に渡る要素を項目ごとに2日間に渡って試験を実施しました。
(さらに…)

2017年12月07日

【2018年東海地方で〇〇の高いスポーツトレーナーになる!】

■2018年 JARTA東海 セミナーラインナップ
東海地方で活動しているJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。東海地方でトレーニングに特化したWork Outを開催していると、スポーツトレーナーを含めた受講者の方からセミナーを受けてみたいけど、なかなか都合が合わないとよく聞きます。
そんな声にお応えして、今回はいち早く2018年JARTAセミナー情報をお伝えします。
東海地方で受講を考えられている方は是非チェックして頂きたいと思います。

(さらに…)

2017年12月02日

トレーナーなんていらない!!!

いつも公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
統括部長として香川県で活動しております、赤山僚輔です。
今回は先日私が母校の香川県立三本松高校で地元の体育教諭向けに講義した内容やその後の先生方のリアクションについて共有したいと思います。

(さらに…)

2017年11月27日

活動報告〜K-1甲子園帯同報告〜

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
統括部長の赤山僚輔です。
今回は私が先日セコンドとして帯同したK-1甲子園でのサポート選手との関わりについてご報告、ご紹介致します。

(画像はAbemaTVさまより引用)
今回65㎏級の決勝を戦った近藤魁成選手とは1年少し前に近藤選手のご家族を私が過去に実業団バスケチームで選手とトレーナーという形で関わっていた経緯からご紹介してもらい高松での施術という形からスタートしました。
夏休みや冬休みに姉がいる高松へ遊びに来たついでに私の施設で施術やトレーニングを実施する、同時には来ないが同じ道場の兄も身体や心の相談時に大阪から高松にやってきてくれました。
 
そんな関わりが数回続き、彼らが身体や心の変化を感じられ始めた時に私が月に一度は大阪に仕事で出向いているので月一程度であれば道場で指導ができるかもしれないと提案したことがきっかけとなりました。
 
今回戦った近藤魁成選手は最初の大阪でのトレーニング指導の直前3月に高校生以上の階級別日本一を決めるK-2というカテゴリーへ中学生として異例ながら出場し優勝を果たしていました。(決勝の相手は10歳上も歳の離れた大人)

(K2チャンピオンベルトと共に)
ちなみに兄の近藤拳成選手は2016年に高校2年でK-1甲子園のチャンピオンになっています。
 
そしてその兄の近藤大成さんがいまは道場での指導を主に行っています。

(私の右側にいるのが拳成選手で身長の大きい方が指導されている大成さん)
3月から月に1度の指導と間の期間はメッセージのやりとりでまずは8月の拳成選手のプロ第3戦目に備えました。
私はその試合で人生初のセコンドを経験。
忘れもしない、三本松高校が甲子園で敗れた8月20日、場所は名古屋。
 
その時点でできる限りの準備をしてサポートをしたつもりでした。
しかし結果は1RでKO負け。
試合の模様はYouTubeでご覧になることができます。

目の前で夢が破れる瞬間を経験し、泣き崩れる拳成選手を試合後タオルで顔が覆われ泣き続ける彼のコンディショニングを行いました。
試合当日に心身ともに最高の状態で迎えるためにサポートした舞台で選手の不安をぬぐい去ることも、練習通りの動きをリング上で発揮することもできず、悔しいというより、情けない、何のためにそこに立っていたのか、向かったのか恥ずかしい、虚しく無力な自分が情けなく、兄弟たちに申し訳なく思いました。
帰りの新幹線も高松に着くまでの帰路もついてからひたすら泣きました。
こんなに涙がでてくるものかと思いました。
セコンドが初めてでも経験なくても関係ない。
彼らにとってその勝負が人生をかけるどれだけ大きなものであったかを考えれば考えるほど自分の行動や覚悟の甘さに目頭が熱くなりました。
 
次の舞台は弟魁成選手の11月23日のさいたまスーパーアリーナでのK-1甲子園での決勝の舞台でした。
準決勝でも圧倒的なKO勝ちで今回の勝負も相手が高校3年生ですでにプロで活躍している選手でありながら下馬評では勝利が予想されるような期待のされ方でした。
兄や家族の夢は世界一。
 
日本一はあくまで通過点。
 
この試合は勝つことよりも圧倒的に勝利することが必要条件でした。
ちなみに彼の試合出番まで本イベントで4試合中KOで勝負が決した試合はなし。
やや重たい雰囲気での勝負となりました。
実際の試合の模様は下記より試合が全て視聴できますので是非一度ご覧ください。
前後合わせても15分以内にはみれます。
試合は2分3Rなので試合だけなら10分程度です。

 
結果は見事に3Rで左ハイキックがノーガードの側頭部に当たり失神KO勝ち。

(画像はAbemaTVさまより引用)

実況でも怪物誕生、今後が楽しみと言われて想定内ではありますが、最高の結果を残すことができました。
試合当日にどのような準備をしたか、どのように前回の兄のような緊張を克服したかなどは今後JARTAセミナーやルーティーンに対して2018年に新セミナーでも公開予定なので乞うご期待ください。
当日の詳細については認定スポーツトレーナーのFacebookグループで共有予定です。
今後プロ転向し翌日の記者会見で彼は
《高校生で世界チャンピオンになる》
と言っています。
そしてこれはあまり公にするとこっぱずかしいですが。
彼からは世界一になって私が世界一のトレーナーであることを証明する。
そのリングに一緒に立っていて欲しい。
と言ってくれています。

(当日は自身も格闘技をしている萩トレーナーにもサポートしてもらいました。)
本当に常々感じ、思っていることですが、こういった選手たちに自分たちは育てられ、また前に進むことができる。
そう心の底から感じています。
彼と共に世界一を目指してまた今日も鍛錬したいと思います。
長くなりましたが今回の帯同報告とさせていただきます。
今後も近藤兄弟の活躍にご注目ください。

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2017年11月24日

株式会社ニューバランスジャパン様よりサポートのお知らせ

このたび、2017シーズンより『株式会社ニューバランスジャパン』から代表の中野崇が商品サポートをして頂くことになりました。
 
サポートに伴い、JARTA認定トレーナー達も各所トレーニング等には『ニューバランス』の商品を着用して活動して参ります。

 
株式会社ニューバランスジャパン
http://www.newbalance.co.jp/company/

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2017年11月19日

『きっかけ』はいつも突然に

「どうやったらスポーツ選手に関わることができるのか?」
 
 
スポーツに関わりたいセラピスト(理学療法士、作業療法士等)にとって、これは誰もが最初にぶち当たる壁だと思います。
 
 
待っているだけではチャンスは来ない。やはり動かなければ。
 
 
しかしどうすればいいのか?
(さらに…)

2017年11月14日

インナーマッスル大腰筋を使いこなす! ~JARTA Work Out in 名古屋(11月18日)~

■大腰筋とは?
東海地方で活動しているJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。

(アプリ Muscle Premium 7 より画像引用)
 

(さらに…)

2017年11月08日

2017JARTA合宿inKOBE 開催報告

10月28、29日に、認定スポーツトレーナーを対象とした合宿を開催しましたので、報告させていただきます。
 
今回は3回目となり、恒例になりつつあるJARTA合宿。
 
参加者は、過去最高70名の参加となりました。
(来年はさらに募集の枠を増やす予定)
 

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2017年11月02日

「成長する人、しない人の違い」

なんだか、あいつ成長した。
前より結果を残すようになってきた。
自分はなんで成長できないのだろう。
 
 
 
 
 
このように感じたり、思ったりしたことはありませんか?
私はありました。
成長したい。結果が欲しい。認めてもらいたい。
 
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2017年10月27日

最高の準備をする為に〜えひめ国体 バスケットボール競技帯同報告〜

いつもJARTA公式プログをご覧頂きありがとうございます。
今回は少しメルマガでも公開しましたが、統括部長の赤山僚輔が今月帯同したえひめ国体での取り組みについてご紹介・ご報告したいと思います。
少し画質が粗いですが、下の動画は当日のアップの一部動画です。

 
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2017年10月23日

球速アップのための並進運動のポイント その3

これまで2回にわたって、並進運動と回転運動が球速アップに影響する理由についてお話しさせて頂きました。
 
 
今回からは、実践編としてトレーニングを複数回にわたってご紹介していきたいと思います。
 
 
前回までの球速アップのための並進運動のポイントについては、過去のブログを参照ください。
 
過去のブログ➡︎
その1 並進運動  http://jarta.jp/training/10432/
その2 回転運動  http://jarta.jp/training/11001/
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2017年10月18日

真面目にケア・トレーニングをしているのに、パフォーマンスが上がらないあなたへ

日々一生懸命に身体のケアを行っている。
競技力アップを目指して筋力トレーニングをしている。
ストレッチやJARTAトレーニングは真面目に実施している。
 
・・・なのにパフォーマンスが上がらない。
そんな経験、そんな選手に対するサポートをしている方はおられないでしょうか?

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2017年10月16日

身体を磨きたければ『歯』を磨け!

「何気ない日常の動作もトレーニングに結び付ける」

(ACより引用 https://www.photo-ac.com/
言うのは簡単ですが中々難しいことです。
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2017年10月11日

立甲を動きに使うには〇〇を使え

■立甲は肩甲骨を立てて終わり!?
東海地方で活動しているJARTA認定スポーツトレーナーの青木正典です。


 
立甲は、身体から羽が生えたような肩甲骨の形に目がいってしまいがちですが、四つ這いにおける立甲時には肩甲骨以外に忘れてはいけないポイントがあります。
「一見関係がないのでは?」
と思われるそのポイントを使いやすくすることで、立甲をより効率よく動きに使うことができます。
10秒もかからず簡単にできる方法を紹介しますので是非お試し下さい。
 
 

  • 立甲と股関節

立甲について詳しく知りたい方はこちらも合わせてお読み下さい。
 
「立甲が身体に及ぼす影響とは!?」
http://jarta.jp/training/4382/
 
四つ這いでの立甲時、理想の四つ這い姿勢をとるにあたって欠かすことのできないポイントがあります。
それは「股関節」です。
なぜならスポーツを含め人間の動きのほとんどが立った状態で行うからです。
立った状態、つまり土台となる股関節が使いやすい状態でなければ、立甲の能力を最大限に活かすことはできません。
四つ這いの時から股関節が使いやすい状態を作っておくことで、立った時に、より上半身を使いやすくすることができます。
その方法は四つ這いでの
「股関節入れ」
というトレーニングで股関節を使える状態を作っていきます。
 
 

■四つ這いでの股関節入れの方法

 

  • 立った状態で、上半身の動きをチェックします。
  • 大きく肩を前回し・後ろ回しと数回動かし、肩周りの動きやすさをチェックします。
  • (柔軟性のチェック)

 

  • 近くにパートナーがいる人は、相手を手のひらで軽く押して、今の力の伝わり方をチェックします。(パワーのチェック)

 
 

  • 四つ這いになります。

立甲時のポイントは忘れずに。忘れた方はこちらの記事をお読み下さい。
 
「立甲を獲得するために」
http://jarta.jp/training/3975/
 
 

  • 太ももが床に対して垂直になっているかチェックします。

肩甲骨を出そう・立てようとしすぎて、腕に体重が乗りすぎないように注意します。
腕と太ももは床に対して垂直です。
 
 

  • 指で対側の股関節(鼠蹊部)を押さえます。
  • 骨盤で股関節を挟み混むようにして、腰の力、背骨周りの力を抜いていきます。

対側を2往復程度行います。
(右の指で左の股関節を押す、左の指で右の股関節を押す)
この時、腰に力が入らないように注意します。
 
 

(アプリ アトラス VISIBLE BODY より引用)

(写真④ 股関節入れ )
 
 
両手を床に着き、四つ這い姿勢のまま、全身の力を抜きます。
 
 

  • 再び、立った状態で、上半身の動きをチェックします。
  • 大きく肩を前回し・後ろ回しと何回か回し、上半身の動きやすさをチェックします。
  • (柔軟性チェック)

 

  • 近くにパートナーがいる人は相手を軽く押してみましょう。
  • (筋力チェック)
  • (最初と同じ状態で、相手がこけない、危なくない程度で行う

 
 

  • 自分の身体の位置がどうなっているかわからないという方は、鏡でチェックしても良いです。
  • 足首にも力が入らないよう垂らしておきましょう

 
 
■四つ這いでの股関節入れの意義と効果
四つ這いで姿勢をチェックした後(立甲時のポイントを含む)に、股関節入れ(指で対側の股関節を押さえること)で骨盤の前傾を促します。
見た目にもリラックスした四つ這い姿勢を作れるだけでなく、負担がかかりやすく・力みやすい部位である腰周り(骨盤・背骨)の力を抜くことができます。
その分、股関節の力を使う状態となり、骨で支えている状態となります。
四つ這いで股関節の力を使えていることは、立った状態にもつながります。
立甲により得られた効果を、さらに「股関節入れ」を行うことにより、股関節の力を発揮しやすい状態を作ることは、立った時により柔軟性アップや筋力アップしやすい身体を手に入れることにつながります。
 
今回は股関節入れしていない立甲と、した立甲での柔軟性とパワーの比較はしていません。
その比較もしてもらうと、より立甲(肩甲骨)と股関節の関係性の深さを感じてもらえるかと思われます。
 
・ベーシックセミナー
立甲を習得・指導できるレベルに達したい方はベーシックセミナーがおすすめです。
 
ベーシックセミナーの詳細・申し込みはこちらから

現在募集中のセミナー


 
 
 
今回は立甲を動きに活かす方法として、四つ這いので「股関節入れ」を紹介させて頂きました。最後までお読み頂きありがとうございました。
 

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2017年10月08日

ハイパフォーマンスに必要不可欠な大腰筋 〜JARTA Work Out in 東京(11月5日)〜

 
 近年、大腰筋は身体の中でも下肢や腰椎における重要なインナーマッスルとしてメディアでも頻繁に取り上げられており、JARTAにおいても大腰筋は最重要筋として位置づけています。
 

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2017年10月04日

ホッケーU-16日本代表選考会〜ジュニア世代にトレーナーから伝えたいこと〜

170名から36名を絞る緊張感溢れる現場!
関西で活動している認定スポーツトレーナーの森宜裕です。
9月16日〜18日までの三日間、栃木県日光市ホッケー場で行われていた、
U-16ジュニアユース(日本中学選抜)ホッケー代表チーム選考会に参加してきました。

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2017年09月24日

まだJARTAワークアウトへ参加したことがありませんか?

各地で開催されているJARTAワークアウトへ参加したことはありますか?
 
興味はあるが、参加に二の足を踏んでいる方もいるのではないでしょうか。
 
今回はPWU(プレウォーミングアップ)をテーマに高知で開催されたワークアウトの様子を紹介させていただきます。
 
参加を検討している方は、参考にしていただければと思います。
 

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2017年09月19日

禁忌的事態“四戒”の対応策

JARTA認定スポーツトレーナーの鳴海裕平です。
 
前回はメンタルについて、
メンタルという見えないものを視覚的に測定する方法と
避けるべきメンタルの状態“四戒”についてお話させて頂きました。
 
前回の内容:
【メンタルの視覚化と禁忌(URL:http://jarta.jp/conditioning/10789/)】
 
今回は前回の続きから、
四戒、つまり“驚き・恐れ・疑い・惑い”によりパフォーマンスが低下してしまう事態に
対応するにはどうしたらよいのかという所からお話をさせて頂きます。

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2017年09月17日

スポーツ選手へのアロマ選びは筋緊張から評価する


【精油の効能に対する疑問】
アロマの本にはたくさんの精油(香りの元)効能が書かれています。
 
例えば、スイートオレンジ
「精神高揚」と「鎮静」は
それぞれ交感神経、副交感神経を優位とし、
相反するのでは…と感じます。
 
他にも「食欲増進」、「解熱」、「抗菌」と色々な効能があります。
本当に全部効果があるのかな、と思う方がいるかもしれません。
 
これは私自身がアロマを学び始めた頃、最初に感じた疑問です。
講師:奥田智乃のプロフィールはこちら
 
**スポーツアロマセミナー|基礎・評価編**
http://jarta.jp/j-seminar/sportsaroma/
 
 
【原因は使用する側の違い】
効能の違いはアロマの原産国やブランドに左右されるものではありません。
理由はアロマを使用する側にあります。
 
使用する人の育ってきた環境や経験などの記憶、
身体の状態で精油の効能が異なるということです。
 
一般的な効能は一般的なものでしかなく、
目の前の選手には効果が低い可能性があります。
 
好みでない香りであれば、むしろ身体には悪影響なのです。
 
 
【筋緊張を評価する】
具体的な評価方法はとてもシンプル、「筋緊張」です。
香りで筋緊張は変化します。
 
精油には自然治癒力や免疫力を高める効果が認められています。
身体環境を整えるために、身体に合った精油は
高緊張部位を和らげ、低緊張部位の力が入りやすくなります。
これを利用し、適切な精油を評価します。
 
好みや効能だけでない評価方法を身に付けてみませんか。
選手に限らず、日頃からアロマを使用する方も更なる応用ができる思います。
 
 
スポーツアロマセミナー|基礎・評価編
http://jarta.jp/j-seminar/sportsaroma/
 
スポーツアロマセミナー|実技編
http://jarta.jp/j-seminar/sports-aroma-treatment/

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2017年09月16日

予防を超える取り組みで障害ゼロそして勝利へ!!

障害予防を継続していても一向にチームのけが人が減らなくて困っているトレーナーや指導者はおられませんか?
大事な試合に限って主力の怪我で頭を悩ませた経験はございませんか?
メディカルスタッフとしてチームに関わりながら成果を出せてないことに無力感を感じているトレーナーはいませんか?
その命題への答えを多くの成果とともにこの秋、北海道で統括部長の赤山僚輔が初公開します。
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2017年09月13日

弱点を逆手にとる朝活

この記事を読む人はスポーツトレーナー(以下トレーナー)や、それを目指す人が多いと思います。
 
そんな皆さんは自分自身のトレーニング時間をとれていますか?
 

(引用元AC:https://www.photo-ac.com/
 
「忙しくてなくてなかなかトレーニング時間が取れない」
 
という人も多いのではないでしょうか。
 
関東で活動している認定スポーツトレーナーの岡元祐樹です。
(さらに…)

2017年09月09日

女性アスリートへホルモン様作用のあるアロマを用いる

前回は女性アスリートが生理不順や無月経となってしまう原因とその弊害についてお伝えしました。
前回の記事「女性アスリートの生理不順とアロマ
スポーツアロマ講師の奥田智乃です。

 
生理不順や無月経を招く体脂肪の減少、過度な運動やストレスといった原因に対して
当然、食事やトレーニングメニューを見直すことは不可欠です。
 
アロマからはどのようなアプローチができるのでしょうか。
まずは特に改善を期待できる3つの精油をご紹介します。
 
 
**スポーツアロマセミナー|基礎・評価編**
http://jarta.jp/j-seminar/sportsaroma/
 
 
◆クラリセージ
・特徴:ジンテルペンアルコール類のスクラレオールが女性ホルモンの一種であるエストロゲンに似た分子構造をしており、働きを助けてくれます。
・香り:ハーブ系、やや甘さを感じる深みのある香り

◆ゼラニウム
・特徴:副腎や視床下部に働きかけ、自律神経のバランスを調整する効果があります。そのため、ストレス性の不調に効果的です。
・香り:ハーブ系、ローズに似たフローラルな香り

◆サイプレス
・特徴:ホルモンバランスを調整する効果、心を落ち着かせて浄化する鎮静作用があります。
・香り:マツやヒノキに似たクリアで染みとおるような香り

【具体的な活用方法】
※必ず良い香りだなと感じるものを使用してください
※上記精油単体では苦手な場合、柑橘系とブレンディングすると良いです
 
◆芳香
アロマディフューザーの利用や、ハンカチやディッシュに精油をたらして吸入します。
練習中など時間は問いません。
就寝前の使用は鎮静作用により、入眠へも導いてくれます。
 
◆アロマバス(全身浴)
クラリセージ1滴+ゼラニウム2滴+ラベンダー2滴+天然塩大さじ2~4
全身浴でしっかりと温まってくださいね。
 
◆トリートメント
キャリアオイルに精油を希釈し、下肢や腹部にトリートメントを施します。
セルフトリートメントも可能です、特に太ももの外側や下腹部を入念に行いましょう。
精油は10mlに対して2滴までにしましょう
 
 
目の前の課題へ懸命に取り組む選手たち。
“今は競技が一番、生理が無くても仕方ない”と思っている方がいるかもしれません。
 
ただし、それが疲労骨折から競技人生を絶たれるリスクがあるということを知っていただきたいです。
さらに言えば、将来の妊娠・出産もふまえて後悔のないようにしていただきたいのです。
 
そのために、気軽に取り入れられるアロマの力も借りてみませんか。
お読みいただき、ありがとうございました。
 
 
スポーツアロマセミナー|基礎・評価編
http://jarta.jp/j-seminar/sportsaroma/
 
スポーツアロマセミナー|実技編
http://jarta.jp/j-seminar/sports-aroma-treatment/

2017年09月07日

球速アップのための並進運動のポイント 第2弾

前回の球速アップのための並進運動のポイントの続きになります。
 
前回ブログを読み逃した方は下記よりご確認ください。
➡︎ http://jarta.jp/training/10432/
 

(さらに…)

2017年09月02日

女性アスリートの生理不順とアロマ

 
【生理不順の原因】
女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があります。
どちらも卵巣から分泌され、子宮の環境を整えたり出産の役割を担っています。
 
約1ヶ月周期でホルモンの量が増減することで、月経サイクルが繰り返されます。
 
2つの女性ホルモンの増減をコントロールしているのは視床下部です。
視床下部はスーパーコンピューターのように精巧で取扱いが難しい統合中枢です。
そのため、非常にバランスが崩しやすい点が特徴なのです。
 
視床下部の機能低下をさせる大きな原因の一つは“ストレス”です。
ストレスの蓄積により、繊細な視床下部の命令系統が乱れます。そしてホルモンバランスが崩れ、女性特有のトラブルを招くのです。
 
**スポーツアロマセミナー|基礎・評価編**
詳細はこちらからご覧いただけます。
http://jarta.jp/j-seminar/sportsaroma/
 
 
【女性アスリートが生理不順となる理由】
トップアスリートに関する調査では、無月経のアスリートは7.8%であり、月経不順を合わせると全体の約40%に月経周期の異常がみられたそうです。
 
その中でも、長距離選手や新体操など体脂肪を落とすことが求められるようなスポーツでは特に症状が現れます。
体脂肪減少により、身体が生命維持に直接影響のない生殖機能を排除させるためです。
 
また、筋肉量を増やすためのウェイトトレーニングにより男性ホルモンの増加→女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが崩れる、という原因もあります。
 
 
【女性アスリートの生理不順による弊害】
生理不順や無月経の選手は骨粗鬆症が懸念されます。
骨塩量の保持に不可欠なエストロゲンの分泌が減少し、骨密度が低くなるためです。
この状態で激しい運動を続けると、負荷に耐えきれず疲労骨折を起こしやすくなります。
疲労骨折が選手として致命傷となるかもしれません。
 
さらに生理不順や無月経がずっと続くことで、子宮が委縮してしまいます。
排卵障害から不妊症となってしまう可能性もあるのです。
 
競技生活とその後の人生も踏まえて、出来るだけ早く改善に取り組んでいただきたいと思っています。
次回は具体的にアロマではどのようなアプローチが出来るのかお伝えします。
 
 
お読みいただき、ありがとうございました。
 
 
スポーツアロマセミナー|基礎・評価編
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2017年09月01日

サーフィン「テイクオフ」から考える動作分析の思考方法

関東で活動しておりますJARTA認定スポーツトレーナーの萩 潤也です。
 
前回の記事では、実際の競技動作と提供するトレーニングの繋がりを明確にすることが重要というお話をさせて頂きました。
(まだ読んでいない方はこちら→トレーニングは「手段」であって「目的」ではない
 
今回はサーフィンにおける「テイクオフ」という具体的な競技動作をテーマにし、どのように分析していくのかという思考方法をご紹介したいと思います。
 
(さらに…)

2017年08月26日

夏のトレーニングにペーパーミントのアロマを使用する

暑さによるだるさ、食欲低下の原因は体内の水分量の減少や血管が拡張傾向となることにより生じます。
当然、水分や塩分の適度な摂取が必要です。特に体が資本のスポーツ選手にとっては、死活問題になります。
これらの不調に対して、アロマからはどういったアプローチが出来るのでしょう。
 
スポーツアロマ講師の奥田です。
 
涼しさを感じるアロマの代表格はペパーミントです。
あの清涼感はすぐイメージできるかと思います。ガムやアメ、歯磨き粉にも使用されており、とても身近ですよね。
 
28℃の水に手をつけた体感温度と、ペパーミント精油を嗅ぎながら32℃の水に手をつけた体感温度が同じだった。つまり体感温度が4℃も下がった!という実験結果があるほどです。

 
**スポーツアロマセミナー|基礎・評価編**
詳細はこちらからご覧いただけます。
http://jarta.jp/j-seminar/sportsaroma/
 
 
【具体的な使用方法について】
室内での練習や自主トレーニングなど、空間であればアロマディフューザーが便利です。
準備が難しい場合はもっと簡単な方法を。
体育館やトレーニングルーム、部室などの扇風機やエアコン、空気清浄器を利用します。
ティッシュや紙を細長く切ったものにペパーミント精油をたらし、セロテープで付けます。風と共に香りが広がりますよ(^^)
 
場所を問わない方法としてうちわや扇子など、あおぐ物の使用がとても簡単です。
自宅にあるうちわにペパーミント精油を2,3滴たらすだけです。
また、ハンカチへ同様に精油を垂らして香りを吸入しても良いでしょう。
精油の原液は直接肌に触れられないため、アロマスプレーも役立ちます。休憩時など、スポーツタオルや顔周囲に散布します。
頭を清々しくすっきりさせるリフレッシュ効果も期待できます。
 
 
【アロマスプレーの作り方】
必要なもの
・スプレー容器(30ml)
・精製水(軟水のミネラルウォーターでもOK)20ml
・無水エタノール10ml
・ペパーミント精油、6滴
・シールラベル
・計量カップ
①スプレー容器に無水エタノールを入れる
②精油を加え、容器を軽く振ってまぜる
③精製水を加え、ふたをして容器をよく振ってまぜる
④シールラベルにレシピと作製日付を記入し、容器に貼る
 
 
【ペパーミントで得られる作用】
・消化器系:夏場の食欲不振や胃もたれ
・呼吸器系:鼻づまりや喉の痛みなど、夏風邪症状
・鎮静作用:イライラの改善
 
ぜひ香りの力も借りて、夏を過ごしやすく乗り切ってください♪
お読みいただき、ありがとうございました。
 
※精油は必ず『良い香りだな』と感じるものを使用してください
※精油の原液は直接触れないよう、ご注意ください
 
 
 
スポーツアロマセミナー|基礎・評価編
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2017年08月24日

活動報告 〜全日本中学陸上競技選手権大会 走幅跳 優勝〜

いつもJARTA公式ブログをご覧頂きありがとうございます。
本日は関西で活動している谷口祐樹がコーチとしてサポートしております、大阪府豊中市立第11中学校 陸上競技部の田中隆太郎君が、
昨日まで行われていた第44回全日本中学校陸上競技選手権大会に、100mと走幅跳で出場しました。
走幅跳で見事 7m09㎝という素晴らしい結果を残し優勝する事が出来たため、ご報告させていただきます。

谷口がJARTAと関わる以前からサポートし今年で13年になりますが、JARTAから学びを得てからは確実に力をつけてきています。
中学生である為専門的な練習はほとんど行わず基礎 基本のトレーニングを行いパフォーマンスアップを図っています。
具体的にはすべての種目に必要なトップスピードそして地面から反発力を得られる姿勢作りを行なってきました。
その中でふんだんにJARTAのセンタリングトレーニングを行なっています。
最近の中学生は特に柔軟性に乏しく今回優勝しました田中君も出会った時にはオスグッドもあり、股関節スクワットなど一切出来ませんでした。
それが今では問題なく出来るようになりこの2年半、怪我で数日練習に参加出来ない事はありませんでした。
また、他の生徒も肉離れなど大きな怪我などほとんどなく練習に取り組めており成果を感じております。
今回の帯同の中で1番ポイントにおいたのは、緊張やストレスで硬くなる胸椎の柔軟性を維持するアシストトレーニング みぞおち周囲の柔軟性、腸腰筋の活性化を図る為の股関節のT-レフストレッチを自分の跳躍が回ってくるまで行うように声かけを行いました。
テレビでご覧になられた方でJARTAと関わりを持った方はすぐにJARTAトレーナーが関わっているとわかったのではないでしょうか。


 
アップ前には本人の要望もありコンディショニングをしたのですが、その必要がないほど身体が良好な状態であった為、ストレッチなどは一切行わず ゆすりと手を当てる程度のものしか行いませんでした。
この様な体験ができトレーナーとしても良い勉強になりました。
本大会にはリレーでも日本中学新記録を目指して出場する予定でしたが残念ながら叶わずその悔しさバネにし、また会場の皆さんからも力をかりて活躍する事が出来て本当に良かったです。
詳しい成績及び大会結果は下記の専用サイトよりご覧下さい。
http://www.jaaf.or.jp/competition/detail/805/
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

JARTA公式HP
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2017年08月23日

ジュニアアスリートへのアプローチ

先日、栄養士の堀口泰子先生(https://ameblo.jp/yasukoh/)のセミナーにお招きいただき、ジュニアアスリートの保護者の方達に対して講義を行ってきましたので、報告させていただきます。
東京を中心に活動している認定スポーツトレーナーの高塚政徳です。
(さらに…)

2017年08月18日

スポーツにアロマを取り入れる3つの意義

アロマと聞いて、何となく『良い香りに癒される』とイメージされる方が多いかもしれません。
当然、癒しやリラックス効果は認められていますが、アロマの効果はそれだけにとどまりません。
大きく分けて、3つに分類されると考えています。
 
 

 
 
①精神面へのアプローチ
まずは良い香りで癒されること。
例えば就寝前、練習や試合後の緊張した交感神経優位な状態から、副交感神経優位な状態へ導くリラクゼーション効果です。
一番扱いやすいのはラベンダー精油でしょうか。ただし、好みでないと逆効果となってしまいます。必ず良い香りだな、と感じるものを使用してくださいね。
反対に交感神経優位へ導くこと、練習や試合前に気分の切り替え・集中力を高める目的として使用します。
集中力を高める精油としては、レモン、ローズマリー、ペパーミントが有名です。
シャキッとした香りがスッキリした気持ちにしてくれます。
 
 
②身体面へのアプローチ
次に疲労軽減や動きやすい身体づくりを目的とします。
疲労軽減では精油成分を考慮し、鎮痛作用、血行を促進させる作用、抗炎症作用のある精油を選択します。
例えば、血行を促進させる作用が認められているのはレモンやオレンジスイートです。
また、キャリアオイルを使用してトリートメントを施すことで筋膜やリンパなど全身循環の改善を図ります。
運動前・中としては、呼吸をしやすくするユーカリやペパーミントなどを用います。
 
 
③脳へのアプローチ
これは嗅覚神経を利用する最大のメリットです。
嗅覚神経は大脳辺縁系や視床下部へ到達します。大脳辺縁系は記憶や情動と結びつきが強いため、これらによって引き起こされる不眠や慢性痛をはじめとする不定愁訴の改善が期待できるのです。
慢性痛を改善する精油はプチグレンやイランイラン。プチグレンは内因性モルヒネ様物質の生産を促す効果が高いといわれています。
イランイランの香りは苦手な方もいらっしゃるでしょう。そういった場合でも良い香りだと感じられるよう、ブレンディングも可能です。
身体を酷使し、常にプレッシャーなどのストレス下にあるスポーツ選手たち。
アロマを利用したリラクゼーションやリカバリー効果はもちろんです。
さらに、脳が覚えてしまった痛みやトラウマなどを抱えている方もいるかもしれません。
 
選手のパフォーマンスアップへ導く1つの手段として、アロマの知識と技術を一緒に身につけませんか(^^)
 
 
お読みいただき、ありがとうございました。
 
スポーツアロマセミナー|基礎・評価編
http://jarta.jp/j-seminar/sportsaroma/
スポーツアロマセミナー|実技編
http://jarta.jp/j-seminar/sports-aroma-treatment/
 






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2017年08月15日

目の前から消えた?!相手に予測できないステップに重要な「ある力源」とは

前回は、ステップを切るときに地面を蹴る力を力源とするよりも、重心を移動させてステップする意識へシフトした方が相手に予測されにくい動きになることをお伝えしました。
今回は、重心を移動させてステップするときに使うある力源について、認定スポーツトレーナーの福原良太が解説していきます。
(さらに…)

2017年08月10日

スポーツトレーナーを目指しているあなたへ

なぜあなたはスポーツトレーナーになりたいのですか?
なんのためにスポーツトレーナーになりたいのですか?
いつの間にかスポーツトレーナーになることが目的になっていませんか?
私はスポーツ選手のパフォーマンスアップや怪我の防止、治療に携わる仕事がしたいと思っていました。

(さらに…)

2017年08月09日

トレーニングは「手段」であり「目的」ではない!

トレーナーの仕事は選手のパフォーマンスアップのためにトレーニングを提供することです。
 
当たり前のことだと思いますが、皆さんは今提供しているトレーニングが本当に競技のパフォーマンスアップに繋がっていると言えますか?
 
選手から「このトレーニングが実際の競技にどう活かされるのですか?」という質問に対して言葉を濁してしまうといった経験はありませんか?
(さらに…)

2017年08月05日

メンタルの視覚化と禁忌

JARTA認定スポーツトレーナーの鳴海裕平です。
どんな競技においても精神力、いわゆるメンタルの重要性は重視されます。
指導者も選手に向けて、“プレッシャーに打ち勝て!”“緊張せずリラックスだ!”などの
言葉をかける場面が多く見られます。
(さらに…)

2017年08月01日

活動報告〜インターハイ空手道 個人・団体組手全国制覇〜

いつも、JATRA公式ブログをご覧頂きありがとうございます。
本日は統括部長の赤山僚輔がトレーニングサポートをしております、香川県の高松中央高校男子空手部が現在開催されております、南東北インターハイにおきまして上記成績を収め本日テレビ放送予定となっておりますのでご報告させていただきます。
 

(さらに…)

2017年07月26日

【6月JARTA Work Out in 名古屋開催報告】

JARTA Work Out in 名古屋
東海地方で活動している認定スポーツトレーナーの青木正典です。
 
6月3日に全国各地で開催されているJARTA Work Outを名古屋にて開催しました。
名古屋では月に1回程度、自己鍛錬版(トレーニングに特化した)Work Outを開催しており、トレーニング指導しています。
 
現在までに14回開催し、理学療法士、作業療法士、柔道整復師、鍼灸師、トレーナー、医療系大学生、選手(大人、子供)の方に参加して頂きました。
今回は6月の内容を紹介します。
(さらに…)

2017年07月24日

【JARTA代表中野崇 パーソナルトレーニングフェスタin Kobe参加のお知らせ】

パーソナルトレーニングフェスタ様主催『パーソナルトレーニングフェスタin Kobe』にて弊社代表中野崇の講演が決定しましたのでご報告いたします。
日時:2017年10月9日 10:00~21:00
場所:フィジカルバンガード垂水本店
内容:スポーツトレーナーとして生きていくための必須能力と思考回路、市場価値の高め方
(さらに…)

2017年07月22日

あなたはまだ、筋力を頼りにステップを切っていますか?

「ステップをするためには筋力使うのは当然でしょ」
「ステップは地面を蹴るのだから筋力は使う」
そう思われる方もいると思います。
今回はこれを否定するわけではありません。
 
ここでは、選手が「今よりも質の高いステップが切れる解決策」をお伝えできればと思います。
(さらに…)

2017年07月20日

デフサッカー選手との関わり〜デフリンピック開催中〜

「デフサッカー」を知っていますか?
デフサッカーとは、聴覚障害のある方達のサッカーです。
(一般のサッカーと違い、主審・副審共にフラッグを持ち審判を行います。)

 
では、デフ選手と関わる際はどのようにコミュニケーションを取るかご存知でしょうか?
(さらに…)

2017年07月16日

後ろを認識するセンスを身につけるには

「まるで後ろに目がついているようだ」
 
サッカーやバスケット等の競技では、視野の広い選手をこのように表現することがあります。
 
自分の背後からタックルに来る選手をヒラリとかわしたり、背後を走る味方にパスを出したりと、観ている人を驚かせます。
 
このような能力は『センス』であり自分とは無縁のものだと思っていました。
 
(さらに…)

2017年07月13日

東京でまたやります。「鍛錬の場」第二弾!

6月18日に東京で「鍛錬の場」としてワークアウトアウトが開催されました。
今回は7月30日に行われる第2回開催のご案内です。
JARTA WorkOut in東京 第二弾
~立甲の質を高めパフォーマンスアップに繋げる~
(さらに…)

2017年07月09日

選手を次のステージへ導く為に必要な事とは?

集団でのトレーニング指導の際に直面する問題点の一つに、
「選手の能力やモチベーションがバラバラ」
ということが挙げられます。
 
トレーニングの意図をすぐさま読み取りどんどん上達する選手もいれば、
何をしているのかも分からず、とりあえず隣の選手の真似をしている選手もいます。
 
中には、トレーニングにまじめに取り組む姿勢が見えないのに、促してみればあっさりできてしまうような選手もいます。
 
チームに関わるトレーナーとしてどのように対応していけばいいのでしょうか?
(さらに…)

2017年07月06日

選手は我々の◯◯を見ています。

我々、トレーナーやセラピストがクライアントの姿勢や動作を診ることは基本中の基本です。

それに対して、選手や指導者も我々の動きを本当によく見ています。
そのことが、信頼関係構築の一要素になることをJARTAではベーシックセミナーからお伝えしています。
(さらに…)

2017年07月03日

掲載報告/「JPTA NEWS 6月号」

日本理学療法士協会の会報誌「JPTA NEWS 6月号」に、認定講師 高塚政徳の記事が掲載されております。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
毎回、全国で活躍する理学療法士を紹介する「PROFILE OF PHYSICAL THERAPIST 」という特集記事にて紹介していただいております。
 
今回は、高塚がフィジカルコーチを務めるブラインドサッカー日本代表チームでの活動についての内容となっております。
 
是非ご興味がある方はご覧ください。
記事はこちら

2017年06月28日

【股関節セルフT-レフストレッチ】

スポーツにおいて、股関節の重要性は徐々に広まってきているのではないでしょうか?
 
今回は股関節のストレッチに、あるポイントを同時に刺激することで身体の柔軟性を出しつつ、動かしやすくする方法をお伝えします。
脚の疲労回復にも効果的で、他のT-レフストレッチとは一味違う気持ち良さを実感できるストレッチとなっています。
是非お試しください。
(さらに…)

2017年06月25日

大人になった自分は幼少期と比べてハイパフォーマンスを発揮しているのか??

〜子供との遊びを通じて考えたこと〜
 
今年42歳になる認定スポーツトレーナーの松田純一です。
 
自分と同じアラフォーの方にお聞きします。
 
前転や後転などのいわゆるマット運動を最後にしたのはいつですか?
 
雲梯(うんてい)にぶら下がり、猿のように移動して遊んでいたのはいつのことですか?
 
高所からジャンプして遊んでいたのはいつのことですか?
(さらに…)

2017年06月22日

その腹筋トレーニングなんの為にしてますか?

主に腹直筋を鍛える目的でクランチやシットアップ、レッグレイズやフロントブリッジなど、体幹前面を強化するトレーニングを実施したり、指導したことがある方は沢山いると思います。
その効果だけでなく弊害も理解し、指導していますか?
(さらに…)

2017年06月17日

長野県初開催 JARTA BASIC セミナー in 松本

✓ 選手のためにもっとできることを見つけたい
✓ 現場で活躍できるトレーナーになりたい
✓ いつかスポーツの分野へチャレンジしたい
✓ これまでにないトレーニングを学びたい
 
その思い実現しませんか?
(さらに…)

2017年06月15日

《見える化》を進めるJARTAの思い。

JARTAってどんなことしてるの?
他の団体と何が違うの?
 
これらは、JARTAに対してよくある質問です。
 
今回は、JARTAの最近の動向や一般に公開されている現場について紹介していきます。
(さらに…)

2017年06月10日

球速アップのための並進運動のポイント

「今より速い球を投げたいと思いませんか?」
今回から数回にわたって、投手の球速アップ(厳密には同時にコントロールやスタミナなどにも影響する)のための方法をいくつかお伝えしていきたいと思います。

(さらに…)

2017年06月07日

立甲を使った究極の打拳

JARTA認定講師の鳴海裕平です。以前大腰筋や股関節の抜き・ナンバ歩きの内容についての記事を投稿させて頂きました。

今回の内容は前回からの続きになります。
(さらに…)

2017年06月05日

動きを良くするだけでは駄目だった・・・

JARTAでは、ウォーミングアップやセンタリングトレーニングなど様々なトレーニングをお伝えしています。
それらのトレーニングを指導して、自身も取り組んでいる方々は、トレーニングを始めた頃との身体の変化を感じているかと思います。
 
そこで私の失敗経験をお伝えしますので、皆さんの今後のトレーナー活動に活かしてください。
(さらに…)

2017年06月02日

業務提携のお知らせ【ASJ様】

飯沼誠司氏が代表理事を務めます、⼀般社団法⼈アスリートセーブジャパン様
2017年5月31日付けで業務提携したことをご報告いたします。
(さらに…)

2017年05月31日

人体急所が試合のベストコンディションを作り出す理由

トレーナーとして選手に関わる機会は様々な場面がありますが、試合当日における選手への介入では何が重要と考えますか?今回はメンタル面が及ぼす身体への影響を踏まえ、当日のコンディショニングにおいて人体急所と呼ばれるみぞおちがポイントとなるというお話しをしたいと思います。
 
JARTA認定スポーツトレーナーの萩 潤也です。
(さらに…)

2017年05月27日

他のスポーツトレーナーの経験と思考過程を自分のものにする〜あなたが関わる選手のために〜

3分だけ時間をください。
 
3分とはこの記事を読み終えるであろう時間のことです。
 
スポーツに関わる人間にとって、大きな価値を見出すかもしれないものを紹介させていただきます。
(さらに…)

2017年05月23日

東京でもワークアウトやります

東京でも疾患別アプローチなど、「学びの場」としてのワークアウトは定期的に開催され、たくさんの方に参加していただきました。
 
東海や高知では、認定トレーナー、受講者の方が「鍛錬するための場」としてのワークアウトが定期的に開催されています。
 

 
(さらに…)

2017年05月18日

足が速くなりたい人だけご覧下さい

足が速くなりたい!
自分の子がいまいち足が遅くて、、、
足が遅いのは遺伝じゃないの?
あの選手はもう少し足が速ければ。。。
 
など思った事がある方はいるのではないのでしょうか?
 
(さらに…)

2017年05月16日

JARTAがプロデュースするサッカーアカデミーが6月開講

JARTAが全面的にサポートするサッカーアカデミー
『CF International Football Academy powered by JARTA』
が6月に開講します!
世界で活躍できる選手を育成する!を目的に、世界で戦うために必要な『判断力』と『日本人に合った体作り』をメインに鍛えていきます。
(さらに…)

2017年05月15日

文部科学省 eラーニング教材作成のご報告

【平成28年度 文部科学省 成長分野における中核的専門人材育成等の戦略的推進事業
障害者スポーツ支援の専門性を備えた理学療法士・作業療法士育成のための学び直しプログラム開発・実証】
当事業におきまして、学び直しプログラムのe-ラーニングで、JARTAのコンディショニング方法を紹介して頂いています。
*詳細:下記3つの形でeラーニング教材を作成し、採用されております。
科目「障がい者スポーツの指導と運営」
障がい者スポーツのパフォーマンス向上指導(15コマのうちコンディショニング3コマを担当)
1.パフォーマンスアップの3つの方向性
2.怪我防止の方法論
3.パフォーマンスアップの方法論
≪事業成果報告書≫
http://www.ohsu.ac.jp/about/openinfo/data/release/h28_seikagaiyou_houkoku.pdf

 

JARTA公式HP
http://jarta.jp

2017年05月14日

【JARTA代表中野崇 1st ASJ Talk参加のお知らせ】

アスリート セーブ ジャパン様主催『1st ASJ Talk』にて飯沼誠司氏と中野崇の対談が決定しましたのでご報告いたします。
題目:~2020に向けてスポーツの安全な環境を作る~
日時:2017年5月31日(水)19:00-21:00
場所:紀尾井フォーラム
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2017年05月14日

鋭いドリブルに隠された宮本武蔵の足づかい

ディフェンスが反応できないほどの鋭いドリブル能力をもつトップアスリートはどのような身体操作を身につけていると思いますか?
 
JARTA認定スポーツトレーナーの萩潤也です。
 
ディフェンスを抜くための身体操作には様々な要素が含まれていますが、今回は足部の使い方に視点を置いてお話ししたいと思います。
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2017年05月12日

身体能力が優れているトレーナーだからこそ欠落している素質

東北は青森で活動しております、JARTA認定スポーツトレーナーの鳴海です。
 
トレーナーをされている、また目指している方は、
スポーツが好きで、なおかつ自身の選手としての現役時代に悔しい経験があり、
そういった思いから選手の力になってあげたい!という方がほとんどです。
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2017年05月05日

熱き砂上の戦い

先日プロビーチバレーボール選手である庄司憲右選手・浦田景子選手のコンディショニング・トレーニングサポートを行ってきたのでご報告させて頂きます。
 
JARTA認定スポーツトレーナーの萩潤也・高橋佑侍です。

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2017年05月03日

活動報告〜JRA(日本騎手クラブ)初のメディカルサポート〜

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
関西(京都)を中心に活動しています、統括部長の藤田です。
 
現在私は京都にある、テイクフィジカルコンディショニングジム(http://www.take-pc.com)でテクニカルマネージャーとして勤務しております。
 
JRAの武豊騎手が総合プロデューサーを務めており、その関係もあり騎手だけでなく様々なアスリートが日々のコンディショニング&ケア&トレーニングをしに来られます。
 
騎手を多くサポートしている事もあり、日本騎手クラブ様からご依頼をいただき競馬会初のメディカルサポート(日本騎手クラブ(JRA)公認)が決定しました。
 
1か月間の試用期間があり騎手の方々からサポートを今後も継続してほしいという強い要望があったと言っていただけました。
 
公正を重んじる場ですのでサポート内容の詳細をお伝えすることはできないのが残念ですが、簡単にお伝えさせていただきます。
内容としては、

  1. ウォーミングアップ&クーリングダウンの補助
  2. コンディショニング&ケア
  3. 応急処置

 
現在ではテイク代表の長谷川(JARTAメディカルアドバイザー)と私、テイクのスタッフの3名でサポートしております。
関西開催のみのサポートで阪神競馬場と京都競馬場でレースがある場合は全日程サポートを実施しています。
 
競馬場の裏ではJARTAトレーナーが活躍しているんだなと競馬中継を見ながら感じてもらえればと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
統括部長の藤田がテクニカルマネージャーを務め、JARTAメディカルアドバイザーの長谷川氏がCEOを務める。テイクフィジカルコンディショニング公式HPは下記よりご参照ください。
TAKE  PHYSICAL CONDITIONING

 

2017年05月01日

【JARTA代表中野崇 フィットネスセッション登壇のお知らせ】

昨年に続き、フィットネスセッション2017で中野が講義することになりましたのでご報告いたします。
(さらに…)

2017年04月30日

足首の緩さはエクササイズ前に解決しよう!!

捻挫後のリハビリや障害予防を目的とした様々なエクササイズやトレーニングを指導する際に、そのエクササイズを実施する事によって余計に怪我をしやすくなってしまう事は皆様ご存知でしょうか?

(さらに…)

2017年04月26日

諦めの悪い男達〜理学療法士としてスポーツに関わるには〜

東京を中心に活動している認定講師の高塚政徳です。

私の保有資格が、理学療法士なのでタイトルは理学療法士としましたが、それ以外の方も対象として書いています。
 
昨年秋に、母校である養成校に挨拶に行ってきました。
(さらに…)

2017年04月23日

北海道の大学野球に新たな風を

 
いつも公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
 
北海道で活動している認定スポーツトレーナーの吉野です。
 
H28年2月よりトレーニングサポートで関わらせて頂いている、北海道教育大学岩見沢校野球部での活動を簡単ではありますが、ご報告させて頂きます。
(さらに…)

2017年04月19日

立甲をテーマにしたワークアウトから伝えたいことがあります。


立甲
 
ハイパフォーマンスの前提条件であると同時に、実は動物や赤ちゃんが教わらなくてもできるほどのナチュラルなもの。
そしてトップアスリートが兼ね備えている能力。(立甲解説書より)
(さらに…)

2017年04月15日

日本2位でも流す涙

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
長野県で活動している認定講師の百瀬です。
ご報告させていただきます。
私が昨年7月よりトレーナーを務める長野ブルーパーズ(アメリカンフットボールクラブチーム)が、今年2月12日に浜松で開催された2016年度JPFF(日本プライベートフットボール協会)全日本選手権の“オーシャンボウル”に出場をしました。
(さらに…)

2017年04月12日

朝を気持ちよく迎えるJARTAのトレーニング

 
「イタタタタ・・・」
 
筋肉痛で迎える朝はいつもより憂鬱になる。
 
「そういえば、昨日フットサルしたんだった。」
 
運動した翌日に顔を出す筋肉痛という身体の悲鳴。誰しも経験があると思います。
(さらに…)

2017年04月07日

JARTAコンセプトを育成年代に

JARTAコンセプトを育成年代に
JARTA認定講師の高塚政徳です。
昨年9月から、埼玉県春日部市を中心に活動している、【FC Gois】というサッカークラブ(U-18)をJARTAでサポートさせていただいています。
http://fc-gois.net/
(さらに…)

2017年04月02日

JARTAオフィシャルサイトリニューアル

いつもJARTA公式ブログをお読みいただきありがとうございます。
ご覧の通り2017年4月1日よりオフィシャルサイトがリニューアルとなっております。
 
これまで公開していなかった各種情報なども数多く掲載しております。
この機会に是非一度ご覧ください。
それでは今年度も宜しくお願い致します。
 

 
 
2017年4月2日
スポーツトレーナー協会JARTA統括部長
赤山僚輔
 
 

2017年04月02日

スポーツの動作分析が苦手だと思う人だけ目を通してください。

スポーツの動作分析は得意ですか?
 
自信を持って、「得意です。」と答えられる方は時間の無駄になりますので、これ以上読み進めるのはおやめ下さい。
 
もし少しでも動作分析が苦手だと思われるようでしたら、私の経験が役に立つかもしれません。
 
JARTA認定講師の松田純一です。
 
スポーツ動作の分析は非常に困難だと言われています。
しかし、スポーツ選手のパフォーマンスを向上させていく上で、最も重要なことは「自分の目で見て」動作を分析することです。
動作が分析できていなければ、何が問題で、何を改善させればパフォーマンスが向上するのかが的確に指導できないことは言うまでもありません。
 
これはJARTAベーシックセミナーの資料最終ページに書かれている言葉です。
 
ここまで読み進められている方は、動作分析に少しでも不安を覚える方だと思います。
 
過去の自分もこんなことを思っていました。
 
・他のトレーナーの動作分析と自分の動作分析が違っているけど大丈夫だろうか…。
・そもそも選手の動作が早すぎてよく分からない…。
・他のトレーナー達はどうやって上達したんだろう…。 等々
 
何事もそうですが、最初から熟練した人はいないので着実に積み上げていくしかありません。
 
今回は私が初心に行なっていた、動作分析を上達させるための取り組みを紹介させていただきます。

【いきなりトッププレイヤーの動作分析は難しいかもしれない】

今は試合会場に足を運ばなくても、テレビやYouTubeを活用すればトッププレイヤーの動きを何度も繰り返し分析することが可能です。
 
本当に便利な時代です。
 
しかし、トッププレイヤー同士の試合を分析して、どの選手も凄いパフォーマンスだということは分かるけど、どの動作に優劣があり勝者が決まったのかよく分からなくないですか?
 
何故ならトッププレイヤーの試合はどちらも素晴らしいパフォーマンスを発揮しており、ほんの少しの差で勝者が決まっていることが多いからです。
 
もちろんその少しの差を分析することが非常に重要なことですが、それが難しいのです。

 

【試合のレベルを下げて動作分析をしてみる】

前述の理由から、慣れないうちは試合のレベルを下げて動作分析に取り組むことを提案します。
 
検索してみると分かるのですが、どのスポーツも一般の大会は身近で頻回に行われています。
 
これらの大会はテレビやYouTubeで流されることは少ないので、まずは足を運んでみてください。
 
これら一般の大会は参加選手のレベルの差が激しいため、動作に優劣をつけやすく、動作分析が比較的容易になります。
 
勝者がなぜ勝ったのか、敗者がなぜ負けたのかが分かりやすいです。
 
そして敗者のどの部分を改善すればパフォーマンスが向上するのかも分かりやすいです。
 
さらに踏み込んで分析すれば、自分が介入して変化を出せる部分と出せない部分も考えることもできます。
 
勝者と敗者の差を見分けるのが難しいことが多いトッププレイヤーの試合とはその部分が大きく違います。
 
動作分析に慣れてくれば徐々に試合のレベルを上げていき、その小さな差を見抜けるよう動作分析をしていけばいいです。

【困難だとしてもトッププレイヤーの動作分析は絶対に必要】

動作分析は選手のパフォーマンスアップのために行われます。
 
ならば困難といえども、ハイパフォーマンスを発揮するトッププレイヤーの動作分析は絶対に必要です。
 
そこにはパフォーマンスアップのヒントがあります。
 
目指すべき動作の目標があります。
 
自分の動作分析能力がまだ不十分だとしても、目指したい動きのイメージを崩さないために、その競技のトッププレイヤー(せめてそのカテゴリー、年代でトップ)の分析は並行して行いましょう。
 
そして、最終的にはどのようなレベルでも動作分析を可能としていきましょう。
 

【まとめ】

今回は私の行なってきた、動作分析を上達させるための取り組みを紹介させていただきました。
 
いきなりトッププレイヤーの複雑な動作を分析することは困難なので、レベルを下げて動作分析の鍛錬をするというのは当たり前のことではあります。
 
しかし、このような地道な作業が動作分析の目を養う一番の近道だと考えます。
 
トッププレイヤーの試合はいくらでも見る手段はありますが、一般の試合は自らが足を運ばないと見られないことがほとんどです。
 
ぜひ時間を作って実際の試合会場へ赴くことをお勧めします。
 
なお、「多重中心構造」「構造運動学」を原理とした動作分析の具体的な方法は、認定スポーツトレーナーコースで徹底的に学習し習得していただけますので、ご安心ください。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2017年03月31日

認定コースセミナーの動画撮影について

いつもJARTA公式ブログをご覧頂きありがとうございます。
表題の通り、2017年4月1日開催以降のJARTA認定スポーツトレーナーコースのセミナーにおきまして一部動画撮影を可能とさせて頂きます。
 
主に撮影可能となる部分につきましてはJARTAセンタリングトレーニングが該当部分となります。
撮影された動画は、自己学習としてだけでなく、受講者の皆様が映っていない、などの条件のもとで個人のブログ等での使用も可能となります。
また撮影希望の受講者の皆様につきましては、当日注意事項や撮影された動画の扱いなど各種事項に同意・ご署名をお願い致します。
 
このような機会を通じてより多くの方々へ身体の可能性を感じてもらい、選手のパフォーマンスアップの一助となれればとスタッフ一同願っております。
 
ご理解・ご協力の程よろしくお願い致します。
 
 
2017年3月31日
JARTA統括部長
赤山僚輔
 

2017年03月30日

練習時間を割かずに出来る効果的なトレーニング方法

今回は練習時間の合間などを利用して行うトレーニングを概念とともに一部メニューも紹介させて頂きます。
北海道で活動する認定講師の吉野です。
(さらに…)

2017年03月25日

第5期イタリア研修報告〜第2章〜

2人の認定スポーツトレーナーが感じた思い〜泉谷トレーナー編〜

 
認定スポーツトレーナーの泉谷拓と申します。
3月3日から10日までイタリア研修へ参加しましたのでご報告させて頂きます。
現地スポーツクリニックの見学やローマ、ラッツィオのようなセリエAのチームから現地で4部、5部に相当するサッカー、フットサルの試合、練習見学、トレーニング指導をしてきました。
 
今回の研修ではISOKINETICというスポーツクリニックを見学してきました。
最新の機器が揃いドクターとフィジオセラピストがトレーニングや治療をしています。
トレーニングの進め方や負荷量の考え方など教えて頂き、ラグビーコートも併設しており、設備が整っていました。
ここでは、ドクターとフィジオセラピストからトレーニングの進め方や負荷量の考え方などを教えて頂くことができました。


 
本研修ではサッカーの先進国であるイタリアではどのような施設があり、どのような指導がされているのか、日本がまだまだ世界で勝てないのは何か違いがあるか興味があり、確認することが出来ました。
 
環境面では日本とは比べ物にならない程充実していました。
車で走るとあちこちに天然、人工芝のグランドがあり、充実しています。
カフェも併設しており、イタリア人にとってサッカーが生活の一部になっている印象を受けました。

施設のみでなく指導者は量、質共に確保されている印象を受けました。
ジュニアカテゴリーでもフィジオがチームに在籍しています。
指導者は熱意や貫禄があり、言葉では言い表せないオーラがありました。
選手との関わりや振る舞いについては見習うべき点が多くありました。
 
 
また現地にサッカー留学している日本人と関わる機会があり、体格差のあるイタリア人に対して試合中どのように工夫しているか選手の声が聞けて今後の参考になりました。
 
また現地のプレーヤーに直接トレーニング指導する機会も頂きました。
言葉が通じない中、通訳を介しての指導でしたが伝えたいことが上手く伝えられなく説明の方法や言葉かけなど考えるよい機会になりました。
 

今回のイタリア研修では知識や技術だけでなく、トレーナーとして選手への関わりや振る舞いといった本質的な部分について考える良い機会となりました。
今回の経験を今後の活動に活かしていきたいです。
 
 

2人の認定スポーツトレーナーが感じた思い〜能城トレーナー編〜

 
「自分の軸をもつということ」
 
第5期のイタリア研修に参加させていただきました、認定スポーツトレーナーの能城裕哉です。
 
研修内では練習見学や施設見学などをさせていただきましたが、トレーニング指導に関して感じたことをご報告させていただきます。
 
今回、日本人留学生およびASオスティアマーレU-15へトレーニング指導をする時間をいただけました。
 
ASオスティアマーレはイタリア代表のデロッシ選手(ASローマ)がかつて在籍していたユースチームです
 
日本人留学生は10名程度、オスティアマーレでは15名程度の選手に対し、チーム指導を行いました。
イタリア人選手への指導は、前日に泉谷トレーナーが行っていたため、その反省点を踏まえてどうすれば選手に興味をもってもらえるのかを話し合い、指導を行いました。
 

 
しかし、思うようなリアクションが得られない場面も多々あり想定していたような指導ができませんでした。
 
今回のトレーニング指導を経験し、自分が強く感じたことはトレーニングに関わらずトレーナーが手本を見せられなければ選手には伝わらないということです。
 
現地のトレーナー、コーチはグラウンド内では、目つきや歩き方、立ち方、声まで違っており、オンとオフの切り替えがはっきりしていました。
良いプレーは全身で表現して誉め、悪いプレーは感情を出し指導し、コーチが話をしている際には、選手の顔つきが変わるのを感じました。
 
トレーナーの立ち振る舞いという点で自分とは明確な違いがあったと思います。
(イタリア人コーチやトレーナーの振る舞いは参考になるものばかりでした。)
 
手本力というのは、トレーニングだけではない
 
海外の知らないトレーナーからトレーニングの説明をされても興味を引き付けられますか?
端的で理解しやすい説明だけでなく、それ以上にトレーナーの立ち振る舞い(手本)が重要な要素だと感じました。(JARTAセミナー内でも伝えられている内容だと思います。)
■「自分の軸をもつということ」
彼らの立ち振る舞いは、自分に自信をもっているのが感じられました。
 
その自信の根底にあるものが、選手、チームが勝つために自分が信じ、考え抜いたことをやり通すという軸です。
 
自分が足りなかったと実感したのは、その部分でした。
今回の研修では、自分が思うようにできないことが多く、指導内容を大幅に変更するなど、選手を前提とした自分の軸を持つことできませんでした。
 
そういったことが、トレー二ング指導中の立ち振る舞いに影響したと思います。
 
皆さんは普段、「自分の軸」をもっていますか?
今回の研修の中で「自分の軸をもつということ」が、選手に手本を見せる上での重要な点であると考えさせられました。
■<最後に>
今回の研修では、日本では気づくことができなかった多くのことを学ぶことができました。
決して楽な研修ではありませんでしたが、参加できて良かったと思います。
 
貴重な時間を下さった現地の選手、チームの方々、そしてこのような研修を設けて頂いた吉田輝さんをはじめ多くの方々に感謝いたします。
 
この経験を活かせるよう今後も鍛錬していきます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2017年03月20日

ブルース・リーから学ぶハイパフォーマンスの前提条件

「燃えよドラゴン」でおなじみのアクションスターであり武道・武術家であるブルース・リー。
彼が全米空手選手権で披露した「ワンインチパンチ」という技をご存知でしょうか?
(さらに…)

2017年03月19日

良いフォームのスクワットやランジで膝は守れない!!

膝の障害予防や膝の手術後のリハビリテーションにおいてスクワットやランジのトレーニング指導に関わったことのある方は多いと思います。
良いフォームでトレーニングを実施しているクライアントが必ずしも再受傷を避けられたり、復帰後のパフォーマンスレベルが高いとは限らないと感じたことはありませんか?
(さらに…)

2017年03月16日

ヘディングの時に見えているもの

「このヘディングをパスにしたいですね!!」
テレビでサッカーの試合を観ていると、解説者がこのような解説をしているのをよく耳にします。
サッカーではヘディングで相手に競り勝ったとしても、そのボールが相手に渡ってしまうとあまり意味がありませんよね?
競り勝ったのであれば「味方に繋がるパス」にするのが理想です。
 
JARTAのトレーニングで身体の質が向上してくると「味方へのパスになるヘディング」ができるようになります。
(さらに…)

2017年03月11日

トレーニングを継続してもらうためのポイント

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
長野県で活動している認定講師の百瀬正浩です。
皆さん、選手と向き合う上で以下のような悩みはないでしょうか?
「なかなか伝えた自主トレーニングやセルフケアを選手に行って貰えない…。」
(さらに…)

2017年03月06日

第5期イタリア研修報告〜第1章〜

3月3日からJARTA認定スポーツトレーナーのイタリア研修に来ています。

 
夕方に到着し、まずは空港からホテルへ移動。
 

 
 
JARTAアドバイザーで元フットサル日本代表の吉田輝氏とともに、ホテルの近くのレストランで夕食を食べながら、明日からの研修の打ち合わせをしました。
夕食後は早めにホテルに帰り移動の疲れを癒しました。
 

2日目には、APF(Accademia Preparatori Fisici)というイタリア人トレーナーが所属するトレーナー協会からの招待で、朝から代表中野が講義を行いました。
 

 
 
 
すごくいい雰囲気の中JARTAコンセプトやトレーニングを紹介、
サイズの小さな選手でも勝つ方法があるということをテーマに講義を進めました。
日本には相手をいなす「往なし(いなし)」という言葉があります。
 
 
コンタクトの際などに、「相手の攻撃を簡単にあしらうこと」などという意味で使用される言葉ですが、
イタリアにはこういった表現をする言葉がそもそもありません。
 
 
相手を「いなす」ために必要な身体の組織を鍛えたり、セルフコンディショニングの方法について、いくつか実際にトレーニングをしながら練習をしました。

 
イタリア人にとって馴染みのないトレーニングだったと思いますが、質問も多く、積極的に取り組んでいただきました。
 

 
今後、イタリアで「INASHI」という言葉が流行るかもしれませんよ!
 
 

 
そして午後からは、オリンピコスタジアムに移動して、ローマvsナポリの上位対決を観戦。
結果は惜しくもホームのローマが負けてしまいましたが、スタジアムの雰囲気はやっぱり良かったです。
 
 
続いてローマ3日目

今日は、セリエCフットサルユースで活躍する日本人選手同士の試合を観戦。
選手に触れるぐらいの距離での観戦で選手の声、身体の使い方がよくわかり勉強になりました。
 
 
ローマの中心地に移動し

ローマの中心地に移動し選手を交えてこちらでの生活や身体のこと、世界の選手の身体の使い方などについて、昼食を共にしながらディスカッションしました。選手の声はかなり説得力があり有益な情報でした。

ローマに来たらここでしょ。ということで、AS ROMAショップへ。

ローマの文化に触れて素晴らしい建築物に見とれつつ少し散歩をしました。
 

4日目の明日は、認定スポーツトレーナー2人のプレゼンの日です。
また明日報告をあげます。
 
それでは今日はこの辺で失礼いたします。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2017年03月05日

「察知できない動き」は体験した者にしか分からない

JARTAでは、身体の使い方の質を向上することで、”フィジカルの差”を超越する身体操作術を身につけていただくことを目指しています。(JARTAホームページより引用)
 
”フィジカルの差”を超越する身体操作術がどういうものなのか想像できますか?
 
例えばスピードについてならば、「動き出しの早さ」や「察知されない動き」など、間合いを制するための動きになります。
(さらに…)

2017年03月02日

マネをすることで鍛える脳とスポーツの関係

マネをするという事は、脳の発達においてとても重要なトレーニングとなります。
スポーツの世界でもそれは同様であり、マネを繰り返す事で得られる効果は多岐にわたります。
 
東海地区で活動する認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
(さらに…)

2017年02月22日

なぜあの選手の腫れは引かないのか!?

アスリートに関わる上で、腫脹の残存や浮腫の慢性化は復帰を遅らせるだけでなくパフォーマンスに大きく関与する要素となります。
では腫脹や浮腫は局所の損傷具合や期間や時間と比例して考えれるのでしょうか?
何故か、なかなか腫れが引かない選手がいる。
浮腫みやすく疲労が残りやすい選手がパフォーマンスの波が大きい。
アスリートのリハビリや現場に出ているとこのような悩みに一度は遭遇したことが皆様もあるはずです。
(さらに…)

2017年02月19日

ゴッドハンドから選手が離れていくたった1つの理由

JARTA認定講師の鳴海です。
皆さんは腕の良いトレーナーとはどのようなものを考えるでしょうか?
 
どんな痛みも即座に取り除く事ができる
的確にパフォーマンスを上げるすばらしいトレーニングを提供できる
知識も技術もすばらしく、情熱もある 
☑選手自身も自己管理できるようセルフコンディショニングの方法も教えている
☑選手もトレーニングの効果を実感し、成果につながってきている。
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2017年02月10日

過去の大きな失敗

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
長野県で活動している認定講師の百瀬正浩です。
私は今『長野bloopers』(日本プライベートフットボール協会所属)という、長野県唯一のアメリカンフットボールクラブチームに関わっています。
クラブチーム日本一決定戦の“オーシャンボウル”連覇を目標に活動しています。
今こうしてトレーナー活動をしていますが、当然最初はしっかりと関われた訳ではありません。
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2017年02月08日

【頚部セルフT-レフストレッチ】

インターネットが普及し、スマートホンやパソコンをみる時間は必然と増えてきているのではないでしょうか。疲れを取るために、首のストレッチをされる方も多いと思います。今回は首のストレッチに、あるポイントを同時に刺激することで身体の柔軟性を出しつつ、動かしやすくする方法をお伝えします。肩こりや頭痛にも効果的です。是非お試しください。
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2017年02月03日

スポーツトレーナーという仕事に対する私の想い / 米沢 康平

私がスポーツトレーナーという仕事に対する想いとして一番初めに思いつくことは
「選手のために」
ということが思い浮かびます。
選手は自分の競技を上手くするために努力を惜しみません。
JARTAでも再三話されている
「努力をするのは選手の責任、努力の方向性を導くのはトレーナーの責任」
という概念はトレーナーの本質と私は考えています。
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2017年01月30日

トレーナーとして、自分が得意なスポーツばかりみていませんか?

認定講師の高塚政徳です。
このタイトルから皆様はどのように感じるでしょうか?
まずは、こちらをご参照ください。
代表中野が約2年前に書いたブログ記事。
【自分がやってきた競技は「苦手」と心得る】
http://ameblo.jp/bodysync/entry-11899060749.html
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2017年01月20日

ナンバ歩きから股関節の極意を習得せよ

JARTA認定講師の鳴海裕平です。
以前大腰筋や股関節の抜きに内容についての記事を投稿させて頂きました。

 
前回は股関節を抜く動きを獲得するためにナンバ歩きが良いということをお話しました。
では具体的にはどうしたら良いのかを、今回お話させていただきます。
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2017年01月15日

来シーズン「一皮むけた選手」になる為のヒント

多くのスポーツがシーズンオフを向かえ徐々に冬季練習に入っていくことだと思います。
来シーズンひと皮向けた選手になるために冬季練習の課題をみつけていますか?
今回はひと皮むけた選手になる為に一つのヒントをお伝えします。
 
関西認定講師の谷口祐樹です。
(さらに…)

2017年01月08日

活動報告 -小学生バレー6年生・指導者講習会-

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
長野県で活動している認定講師の百瀬正浩です。
今回、私が地域の小学校バレーチームに所属する6年生と、そのチームの指導者の方々を対象とし、講習会を担当しました。
その一日の様子とどのように行ったのかを簡単にご報告させて頂きます。
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2017年01月06日

意図的に「前もも」の力を抜けますか? ~セルフチェック編~

歩行やその他動作において、下肢機能としてアクセルの役割は主にハムストリングスが、ブレーキの役割は主に大腿四頭筋や腸脛靭帯(以下「前もも」)が担っていることは、最近では徐々に認知されつつあります。
過去記事「コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋」
 
認定講師の高塚政徳です。
(さらに…)

2017年01月02日

JARTAアスリートが全国の舞台で躍動します!!

年末から始まっている全国高校サッカー選手権大会に香川県代表として高松商業高校が本日東京代表の駒沢大高校と対戦致します。
高松商業高校サッカー部へは統括部長の赤山が1年半前からトレーニングサポートで関わっており、今回は11年ぶりの選手権出場となっております。
相手が注目校ということもありこの試合は地方局だけでなく日本テレビ系列で全国放送される予定です。
放送予定はこちらから
http://www.ntv.co.jp/soc/soc95/oa/index.html
是非お時間ご都合合う方は応援よろしくお願い致します。
過去の記事でも彼らの取り組みについて紹介しておりますので是非こちらもご覧ください。
過去記事「活動報告 / 高松商業高校男子サッカー部」
 
それでは皆様よいお正月をお過ごし下さい。
最後までお読み頂きありがとうございました。

2017年01月01日

新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
株式会社JARTA international代表取締役、JARTA代表の中野 崇です。
昨年は格別 の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
選手を支える立場にある我々もまた、誰かに支えられているということに感謝を忘れることなく、本年もJARTA一同、誠心誠意の活動を心がける所存でございます。
何とぞ、昨年同様のご愛顧を賜わりますよう、お願い申し上げます。
1.手段にとらわれず、真に選手に貢献することを最重視する。
2.技術・知識だけでなく、人間力も含めて世界レベルのアスリートから小学生まで、すべての関係者から信頼されるようなスポーツトレーナーを育成し、スポーツトレーナーという仕事の社会的信頼と存在意義を向上してゆく。
変わらずこの2点をJARTAのミッションとし、本年も引き続き一貫した活動を行ってゆきたいと思います。
皆様のご健勝と益々のご発展を心よりお祈り致します。
本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。
JARTA代表
株)JARTA international 代表取締役
中野 崇
スタッフ一同

2016年12月30日

ひとつのトレーニングから100の効果を得る方法

病院などで高齢者のリハビリテーションに関わりながら、スポーツトレーナーとしても活動している方は多いのではないでしょうか?
 
もしかしたら、高齢者の日常生活動作獲得のためのトレーニングとスポーツ選手のトレーニングを全く別物として考えていませんか?
 
スポーツ選手の行うトレーニングは高齢者には適さない…。
そもそも目的が違うのではないか…。
などと考え全く別物として考えているとしたらもったいないことです。
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2016年12月26日

あなたの「軸を意識して」は伝わっていないかもしれない。

選手に動作を指導する時、「軸を意識して」という声かけをしたことはありませんか?
 
ではその声かけの後、選手はこちらが意図した反応を示してくれましたか?
 
今回は「軸を意識して」というワードを例に取りながら、トレーナーに必要な感覚を言語化するトレーニングの重要性を考えていきます。
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2016年12月25日

トレーナー・指導者に必要な抽象化能力

トレーナー・指導者には多くの能力が求められますが、その中でも物事の本質を見抜く力(選手やチームなど)はとても重要だと思います。
 
今回は「物事の本質を見る力」を「抽象化能力」とともに認定講師の吉野直人がお伝えしていきたいと思います。
 
抽象化能力という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
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2016年12月16日

トレーナーとして現場に行く前の準備-その2-

皆さんこんにちは。長野県で活動している認定講師の百瀬正浩です。
以前、『トレーナーとしての初めての現場に行くまでの準備』をテーマに、私個人の一例をお伝えしました。
私自身が競技経験のないアメリカンフットボールのチームに初めて行くまでの準備でした。
その後も引き続きサポートをしています。
もちろんですが、その後に関しても日々現場に行く際は様々な準備が必要になります。
今回は『日々の準備』に焦点をあて、準備しておくべき物(用意している物)や確認すべきことを一例としてお伝えしたいと思います。
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2016年12月11日

走りを早くするには股関節を“抜く”

JARTA認定講師の鳴海裕平です。
以前大腰筋についての記事(●大腰筋を使うには“掌”がポイント )を投稿させて頂きましたが、その際に『走る際にも掌を下に向ければよいのでしょうか?』という質問をいただきました。
歩くことだけを考えて大腰筋にフォーカスすると掌の向きは同様でもよいのですが、
“走る”という動作には大腰筋だけでなく、ハムストリングスの機能を考える必要があります。
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2016年12月03日

トレーニング指導研修制度と活動報告~我孫子高校 ラグビー部~

JARATの認定スポーツトレーナーになったばかりの方や、これから認定スポーツトレーナーを目指している方は、選手やチームをサポートしたいと思っても現場を経験できる環境がほとんどないのが現状です。
また現場が決まったとしても、初めてのサポートで一体どんなトレーニングをすればよいのかわからなかったりといった不安もあると思います。
 
そこでJARTAでは、認定スポーツトレーナー・認定試験修了者が現場を経験する場を設けるために「トレーニング指導研修制度」があります。
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2016年11月28日

「倒立」を使っての機能評価、トレーニングの意味とは

スポーツ動作において、「倒立」を必要とする競技は非常に稀です。
体操競技やダンス以外ではなかなかみられないのではないでしょうか。
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トレーニングとして、取り入れることが多い競技もありますが、競技によっては体育の授業ぐらいでしか経験していない選手が多いのが現状かと思います。
倒立自体は、運動構造を考えるとこちらの意図する目的や方法次第で、非常に有効な評価・トレーニングになります。
JARTA認定講師の高塚政徳です。
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2016年11月26日

パフォーマンスアップに必要な「課目」と「課題」の思考

日々の練習・トレーニングをより効率的に取り組むことはパフォーマンスアップにとって当然重要となります。
 
みなさんは練習の質・効率を上げるためにどのような事を考えたり、工夫したりしていますか?
 
方法は色々考えられると思いますが、今回は効率的な学習ついて「課目」と「課題」の思考を認定講師の吉野直人がお伝えさせて頂きます。
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2016年11月23日

認定スポーツトレーナーヒストリー / 萩 潤也

はじめまして、JARTA認定スポーツトレーナーの萩 潤也と申します。
私は現在千葉県の病院に勤務し、理学療法士として整形外科の外来リハビリを行っています。
小さい頃から運動が好きで様々なスポーツを経験し、部活動では主にバスケットボール、社会人になってからはサーフィン・キックボクシングを行っています。
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(理学療法士として)

中学時代部活の総体前に怪我をした事で治療を受けたのがきっかけで、自分も将来スポーツに関わる仕事がしたいと思うようになり、理学療法士となりました。
良く聞く話ですが、スポーツの分野に行くのは狭き門だと。僕もそう言われてきましたし、働いてから理学療法士としての仕事の難しさ、楽しさ、やりがいも感じていました。特にスポーツ関係のコネがある訳でもなくいつしかトレーナーとしての仕事は諦めている自分がいました。
 

(JARTAでの学び)

しかしどこかでスポーツのことを諦めきれてない自分がいて、たまたまJARTAのセミナーを見つけ受講しました。
「現状や環境に依存しないこと。それらは前提条件でしかなく、自分次第。」
という言葉が胸に刺さりました。
今まで特別何かをした訳でもなく、何かと理由をつけてスポーツトレーナーにはなれないと自分自身が勝手に思い込んでいたことに気がつきました。
JARTAでは「全ては選手のパフォーマンスアップのために」というコンセプトのもとに知識や技術はもちろん、何よりもスポーツトレーナーとしての考え方を学ぶことができました。
認定スポーツトレーナーとなってからは病院でもスポーツ疾患を担当することが増え、また外部からも話が貰えるようになってきています。
チャンスが訪れたというよりも自分でチャンスに気づき行動できるようになりました。
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(怪我からの復帰と勝利)

 
認定スポーツトレーナーとなってから、格闘技のプロ選手の復帰戦に向け元担当だった職場の先輩と共に僕もサポートをさせてもらいました。
元々チャンピオンにもなっており、他のプロ選手からも一目置かれている選手です。出会ったのはトレーナーとなる前からで、その頃はプロというだけど凄いなと思っているだけでした。
しかし、JARTAで学んだあとはプロ選手でも伸びしろが沢山あることにも気付けるようになり、実際にトレーニング指導をさせてもらいました。
そして怪我から約2年ぶりの復帰戦。
自分が出る訳でもないのに物凄い緊張して観戦しました。結果は見事勝利。
今までの苦労を知っているのもあり、本当に感動しました。そして何より選手の嬉しそうな笑顔が忘れられません。
僕は少しでも選手の力になれたことが本当に嬉しかったと同時に、トレーナーの道を諦めなくて良かったと思いました。
 

(大事にしていること)

それは「手本力」です。
JARTAではトレーナー自身のトレーニングにも重きを置いており、とても共感した部分でもあります。
自分の身体が上手く使えることは施術効果にも繋がりますし、何より選手に言葉で大事なことを言っても実際に指導者が上手くできないなら説得力に欠けてしまいます。
逆に選手ができないことを指導者ができるということがやる気や伸びしろを感じることに繋がり、言葉の意味も理解してくれるようになると感じています。
そのため自分自身のコンディショニングやトレーニングを行い、スポーツにおいての効果等を身をもって探求しています。
障害予防をすると同時に今よりも良いパフォーマンスが出来た時、試合に勝った時、まだまだ成長できると感じた時はたまらなく嬉しく楽しいです。
それらを選手に感じさせていくためにも、今後もトレーナーとしての自分を高め続けていきたいと思っています。
最後までにお読み頂きありがとうございます。
 

2016年11月22日

【実戦】トレーニングを使いこなす ~インナースクワット編~

インナースクワットとは、JARTAアドバンスⅠで学ぶことができるセンタリングトレーニングの1つです。スポーツ場面に必要な、脊柱、骨盤、股関節、足首などの要素をターゲットにトレーニングを組み立てることができます。
 
JARTA認定講師の田中紀行です。
(さらに…)

2016年11月22日

JARATA認定スポーツトレーナー試験申し込み締め切りのご案内

今年の認定試験まであと数週間と迫ってまいりました。
今年より試験を2日間で実施予定となっておりアドバンスⅢ終了までで受験できる最後のチャンスとなります。
事前課題があるために大阪東京ともに試験10日前を申し込み締め切りとさせていただきます。
大阪会場は11月23日(水)
東京会場は11月30日(水)
ご検討されている方は上記日程までに登録をお願い致します。
試験は年に一回となっており来年度以降はアドバンス4まで受講が受験資格となります。
詳細は下記よりご確認ください。

日時

大阪:平成28年12月3日(土)、4日(日)10:00~16:00(受付開始は9:30~)
東京:平成28年12月10日(土)、11日(日)10:00~16:00(受付開始は9:30~)
※受験者数や内容により終了時間が変動する可能性があること、ご了承ください。
※内容は実技・筆記・面接を2日間にわたり行いますので、2日間とも受験していただく必要があります。

会場

大阪:アクセア貸会議室 第1貸会議室
東京:リロの会議室 「本郷大同ビル」

受験資格

アドバンスⅢまで受講が終了している方
※平成29年度の試験からはアドバンスⅣまでの受講が必須となりますので、ご注意ください。

内容

アドバンスⅢまでの内容で筆記・実技試験、面接、事前課題
※詳細はお申し込み後に資料を送付致します。

試験料金

25,000円
※非会員の方は、【事前に】ゴールド会員以上の登録が必須です。
※シルバー会員の方は、ゴールド会員、もしくはプラチナ会員へのランクアップが必須です。受験料にランクアップの料金が上乗せされます。
※既にゴールド会員以上の方は、15,000円にて受験可能です。
※過去に認定試験を受験済みでランクアップを希望される方は、再受講が可能です。試験料金は通常と変わりません。

お申し込み

https://beast-ex.jp/fx3952/NSOT
 

2016年11月18日

【JARTA Work Out in 名古屋】

東海地方で活動している認定スポーツトレーナーの青木正典です。
月に1回程度、名古屋で自己鍛錬版(トレーニングに特化した)Work Outを開催しており、トレーニング指導しています。
現在までに9回開催し、理学療法士、作業療法士、柔道整復師、鍼灸師、トレーナー、医療系大学生の方に参加して頂きました(内訳:JARTAセミナー初受講の方、現在進学中の方、認定スポーツトレーナーの方)。
セラピスト、トレーナーだけでなく、自身のパフォーマンスアップのために継続して参加して頂いている方もいます。
今回は、その内容を紹介していきます。
(さらに…)

2016年11月14日

活動報告 / 高松商業高校男子サッカー部 

いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はJARTA統括部長の赤山が地元うどん県に帰省して以来トレーニングサポートを継続してきた高松商業高校男子サッカー部が全国サッカー選手権大会出場を決めましたので、これまでの取り組みも含めて簡単に報告させて頂きます。
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2016年11月11日

進化し続けるJARTAのウォーミングアップ

「最近、練習中に膝が痛くなるんです」
「わかった。今日新しいウォーミングアップ教えるからそれで様子見てみて」
練習後・・・
「今日はまったく膝痛くなかったです!!」
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2016年11月09日

認定スポーツトレーナーヒストリー / 髙橋佑侍

JARTAを通じての「変化」 「成長」 「進化」

はじめまして、JARTA認定スポーツトレーナーの髙橋佑侍(たかはしゆうじ)と申します。
 
現在、千葉県の診療所で理学療法士として外来リハビリ・入院リハビリ・通所リハビリを担当しています。
主に回復期以降から生活期の患者様、またアマチュアゴルフ、ソフトテニス、中学硬式野球、サッカー部、ソフトボール、小・中バスケットボール部などの学生も診療しています。
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2016年11月05日

海外遠征における“食事”の怖さを選手たちは知らない・・・

試合では実力がそのまま結果に結びつくわけではありません。
疲労の度合、怪我の有無、事前のコンディショニング・・・
 
つまり“試合結果=実力×◯◯×◯◯・・・”と不特定多数の要因が重なります。
 
裏を返すと、結果にフォーカスするということは
結果だけでなく、不特定多数の要因を加味する広い視点が必要になる
とも言えます。
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2016年10月26日

認定スポーツトレーナーヒストリー/齊藤浩太郎

はじめまして。JARTA認定スポーツトレーナーの齊藤浩太郎です。
現在、私は名古屋大学大学院医学系研究科リハビリテーション療法学専攻の大学院生です。
大学院に通いながら、学部生の時から所属している名古屋大学アメリカンフットボール部のサポートをしています。
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2016年10月23日

開催報告〜JARTA特別講演会 in 札幌〜

先日、「JARTA特別講演会 in 札幌」が札幌市生涯学習センターちえりあにて開催されました。平日夜の開催でしたが、たくさんの方にご来場いただきました。
講演内容は

  • JARTAとは
  • ブラインドサッカー日本代表における挑戦
  • トレーニングにおける物理学的観点の重要性

普段のJARTAセミナーでは初公開の物理学の話があり、参加者の皆様もとても興味深く聴いている様子でした。
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講演会を聴いた参加者の皆様からの感想を紹介させていただきたいと思います。
 

  • トレーナーについて初めて講演会を聞いてフィジカルトレーナーがどのようにスポーツや選手に関わっていくか知ることができ勉強になった。
  • 物理学的な話がとてもわかりやすく、リハビリにも用いることができる考え方でとても興味深く、面白かった。
  • 今までに考えたことがなかった視点から投球動作について考えることができ、とても面白かった.内容の濃い充実した時間だった。
  • まだ学生で理解することが難しいことも多少あったが今後さらに勉強し、今回の講演の話を理解し、実施できるPTになりたいと思った.物理は苦手な科目だが、興味を落ち学びたいと思った.私は女子サッカーをやっていて関わりたいと思っているので女子サッカーならではの何か導入しているものがあれば聴きたい。
  • 現役時代に悩み続けたことが一つ解決できることができた.学生であるが、母校の野球部のコーチとして呼ばれた時に今まで以上に時間を有効に活用できそうな気がした.JARTAの考えに触れたいと思った.貴重なお話を聞くことができありがとうございます。
  • トレーニング方法が様々溢れる中、「基準」を作ることの重要性を感じた.また、東洋・西洋に関わらず良いものを取り入れるという姿勢は選手・指導者ともに大事だと思った。
  • リハビリを行う際に、どのトレーニングを行うのがベストなのかと悩むことがあった.今回の講演を聴き、考え方が明確になり今後のリハビリに生かしていきたい。
  • 指導する上で明確な基準を設けるということは相手への意識の動機付けも容易になるので定着しやすいと思った.治療の現場でも生かしたい。
  • 素直に来て良かった.何より意識が変わったと思う.もっと自分の体に興味を持ちたいと思った。
  • とても理解しやすく、今後の野球人生に活かせる話を聞くことができた。
  • 力積を基準にしてトレーニングを決定することを学べた.裏付けを持ってトレーニングに取り組んで技術に生かしたい。

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ご参加された皆様につきましてはお忙しいなかありがとうございました。
また貴重なご意見・ご感想も頂き重ねてお礼を申し上げます。
 
今後もJARTA北海道ではセミナー開催を予定しております。
決まり次第、みなさまへご連絡いたしますので楽しみにお待ち下さい。
 
以上、簡単ではありますがご報告とさせて頂きます。
 
JARTA北海道スタッフ一同

2016年10月22日

好打者の共通項となる「動き」とは

先日、テレビのインタビューでイチロー選手が、好打者の共通項について説明していました。
 
「いかにピッチャーに胸を見せないか」
 
認定講師の高塚です。
(さらに…)

2016年10月19日

認定スポーツトレーナーヒストリー/松田純一

はじめまして。JARTA認定スポーツトレーナーの松田純一と申します。
 
私は現在、高知県須崎市の高陵病院に勤務しており、主に外来患者さんのリハビリを担当しています。患者さんは中高年の整形疾患の方が多いです。
 
スポーツ選手との関わりは、近隣の小中高の生徒さんのスポーツ障害やACL術後の方に対して徒手療法やトレーニング指導を行い、パフォーマンスの向上を図っています。
 
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2016年10月15日

認定講師高塚がベーシックセミナーの最後に伝えていること

約3年前。
私は、楽天イーグルスが球団史上初めて日本一になった翌日に、仙台にて受講者の1人としてJARTAベーシックセミナーを受講しました。
あの時、杜の都 仙台は大変な盛り上がりでした。
私のJARTAでの学びはそこから始まりました。
(さらに…)

2016年10月08日

【痛みにフォーカスし過ぎた失敗例】

痛みの訴えがある選手のコンディショニング時に、痛みにばかりフォーカスしていませんか?
私は数年前まで怪我や痛みの訴えがある選手に対してのコンディショニングでは、痛みにばかりフォーカスしていました。
 
今回は私が実際に経験した、痛みにフォーカスし過ぎたために失敗をした事例をお話しさせていただきます。
(さらに…)

2016年09月30日

パフォーマンスを引き出すために知っておきたいフィードバックの基礎

観客が自然としてしまう「あ~」「はぁ~」の反応は、選手のパフォーマンスにどのような影響を与えているのでしょうか?
 
東海地区で活動する認定講師の田中紀行です。
(さらに…)

2016年09月29日

【下腿 セルフ T-レフストレッチ】

下腿をストレッチする方法でふくらはぎのストレッチはご存知だと思います。
ふくらはぎのストレッチに、あるポイントを同時に刺激することで身体の柔軟性を出しつつ、動かしやすくできます。
スポーツ障害でも多い捻挫にも効果的です。
まずは下記内容を読んで頂き、是非お試しください。
(さらに…)

2016年09月20日

早くしゃがめると、早く速いサッカー選手になれる!

一般的に「速いサッカー選手」というと、スピードがある、瞬発力があるなどと表現することが多いです。おのずと必要となってくる要素は筋力、あるいは収縮力という考えになりがちですが、が、それ以外に非常に重要な要素があります。
それは「弛緩力」です。
 
北海道で活動しています、認定講師の石垣大輔です。
(さらに…)

2016年09月15日

掲載報告/月刊トレーニングジャーナル10月号

月刊トレーニングジャーナル10月号の巻頭特集にて統括部長、赤山僚輔の記事が掲載されております。
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2016年09月11日

3分間で結果を出す

テニス競技においてメディカルタイムアウト(以下MTO)という制度があります。
 
MTOでは、競技者が怪我や体調不良をきたしたとき、チェアアンパイアを通してトレーナーの処置を要求することができます。
トレーナーは選手に対して初期評価を行い、必要と判断すればコート内で1回につき3分間のメディカルタイムアウトをとり、治療または手当てを行います。
 
観客の注目も浴びるコート内で、3分間以内に結果を出すためにはどうすればいいのでしょうか?
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2016年09月06日

動画でわかる!足関節内反捻挫で緩めておく軟部組織の場所

足関節捻挫とは一般的に不安定性を生ずるとされています。
確かに内反捻挫であれば内反方向に足関節がゆるくなります。
つまりA TFLやCFLがゆるくなるということです。
では「一方向にゆるくなる」ということはどういう現象が起きているのでしょうか。
つまりゆるくない反対側の組織は硬くなっていることが多いということ。
だから足関節捻挫後には足部を緩めておく場所があるのです。
さてそれはどこでしょうか?
(さらに…)

2016年09月03日

怪我を予防するために必要なトレーナーの思考〜第二弾〜

怪我をする・した後には偶然だった、運が悪かったということをよく耳にします。しかしそれは本当にそうなのでしょうか。
私は怪我をするのは「偶然」ではなく「必然」だと思います。
 
関西で活動しています、認定講師の藤田友和です。
(さらに…)

2016年08月31日

陸上の山縣選手はスターティングブロックを蹴っていない!?

今回のリオオリンピックではたくさんのメダルと共に日本人が世界で活躍できる可能性を感じた方々も多いのではないでしょうか?
まだまだ記憶に新しいオリンピックで、その中でも世界に驚きと日本人に勇気を与えてくれたのが陸上男子の400Mリレーでの銀メダルではないかと私は感じています。
JARTA認定講師の赤山僚輔です。
(さらに…)

2016年08月29日

大腰筋を使って歩くには“掌”がポイント

東北の青森で活動しております。JARTA認定講師の鳴海裕平です。
前回は【姿勢】に関しての話をさせていただきましたが、
*前回の記事はこちら ⇒ 「“姿勢”を良くしようとすると逆に“姿勢”が悪くなる」
今回はそれを発展させて姿勢を生かした
大腰筋を使った歩行方法についてお話させていただきます。
(さらに…)

2016年08月28日

大腰筋が影響するベーシックな動きを理解する

人間の身体の動きには基本があり、前後左右の動き、上下の動き、回転の動きがあります。
本日は、その基本から大腰筋を考えてみます。
 
JARTA認定講師の田中紀行です。
(さらに…)

2016年08月25日

活動報告〜海外遠征帯同 / 武庫川女子大学バスケットボール〜

こんにちは。関西で活動している認定スポーツトレーナーの幟です。
8月14日〜22日まで、サポートしている武庫川女子大学バスケットボール部の台湾遠征(佛光盃という大会に参加)に帯同してきました。
簡単ではありますが活動報告をさせて頂きます。
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(さらに…)

2016年08月23日

入団報告

【ご報告】

はじめまして。
鳥取県で活動しております、JARTA認定スポーツトレーナーの前谷と申します。

この度、私、前谷涼子は
男子プロバスケットボールリーグ、Bリーグ2部所属チーム
島根スサノオマジック

とトレーナー契約を結ぶこととなりました。
高校の部活動でトレーナー活動を始めた頃、慢性腰痛を持つ選手と出会いました。
その選手のために自分に何が出来るかその想いが、JARTAを学ぶきっかけになり、
今に繋がっています。
どこにチャンスがあるか分かりません。
プロの世界は厳しい世界だと思いますが、新しい挑戦を、楽しみに感じています。
今まで自分が学んできたこと、これから学ぶことを日々融合し深めながら、精進して参ります。

2016年08月22日

活動報告〜盛岡大学附属高校野球部/甲子園サポート〜

皆様初めまして、岩手で活動しております認定スポーツトレーナーの米沢康平です。
今回はサポートしているチームの甲子園出場を通した経験と活動報告をさせていただきます。
(さらに…)

2016年08月16日

アシスタントメディカルトレーナー就任のお知らせ

今秋開幕のB.LEAGUEのB2リーグに所属します『島根スサノオマジック』に
認定スポーツトレーナーの前谷 涼子さんがアシスタントメディカルトレーナーに就任いたしました。
ますますの活躍を期待しています。
関連記事はチームホームページに掲載されております。
https://www.susanoo-m.com/news/10586.html

2016年08月16日

スポーツトレーナーに必要な3つの目

みなさんは「3つの目」という言葉を耳にした事がありますでしょうか?
 
スポーツトレーナーとして携わって行く為には3つの目が必ず求められます。
その3つの目を養い多角的な視点をもって物事を捉えることが大切です。
 
今回はチームそしてトレーニングメニューを例にお伝えします。
 
(さらに…)

2016年08月13日

トレーナーとして初めての現場に行くまでの準備

トレーナーとして初めての現場に行くとき、さまざまな不安があると思います。
中には自分が経験のない競技の現場へ行くこともあるのではないでしょうか。
もちろんですが、その際は事前の準備が非常に重要となります。
実際にどのような準備が必要になるのか。
先日、アメリカンフットボールチームへ新規の現場として介入してきたので、そこまでの準備段階を、認定スポーツトレーナーの百瀬が一例としてご紹介致します。
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2016年08月06日

スポーツ選手の弱点は足趾!?足趾運動の具体的な効果と評価方法とは?

「スポーツ選手の足趾を評価・治療していますか?」
私たちは1日の内にどれくらい足趾を使うでしょうか? 我々現代人は確実に足趾機能が低下しています。 弱点になりやすい足趾。スポーツ選手においても同様です。
普段足趾を使っていない選手だからこそ 足趾のトレーニングをするだけで即時的に動きが変わります。
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2016年08月06日

ご紹介割引

JARTA公式HPをご覧いただき誠にありがとうございます。
この度JARTAでは、トレーニングサポートをご利用の皆さまを対象とした「ご紹介割引」を開始致します。
新規のサポート依頼をご紹介いただいたご利用者さまのサポート料金を1回半額にて提供させていただきます。
また、ご紹介先の新規ご利用者さまにつきましても同じくサポート1回を半額で提供させていただきます。(※いずれも交通費は割引対象外)
是非ご利用下さい。
ご新規サポートをご紹介いただく場合は担当トレーナーもしくは、お問い合わせフォームから。

2016年08月02日

JARTA会員制度リニューアルのお知らせ

いつもJARTA公式ページをご覧頂き、誠にありがとうございます。
この度、会員サービスの更なる充実を図るため、従来の会員制度から大幅にリニューアルしましたのでお知らせ致します。
3種類の会員ランクを設け、会員ランクごとに講習会の受講費割引や、新たなサービスとしてオープン致しました「JARTAメンバーズサイト」内での動画・コラム等の視聴、Web教材などの特典をご用意しております。

    ■シルバー会員(年会費:5,400円)
    ■ゴールド会員(年会費:10,000円)
    ■プラチナ会員(年会費:32,400円)

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会員ランクとサービス詳細はこちらから
会員申し込みフォームはこちらから
会員動画のダイジェスト版はこちらから視聴できます。
  会員動画ダイジェスト1|自主トレ編
  

2016年07月30日

チーム競技に関わるトレーナー・指導者が知っておきたい選手の脳反応

◆あなたの声掛けは選手にとって適切ですか?

 
成果を上げるチームと言うのは必ずと言っていいほど特徴があります。
トレーナーや指導者がかける言葉ひとつで、選手のパフォーマンスが変化してしまう、そう言った経験をされたことはありませんか?
(さらに…)

2016年07月26日

『脊柱スパイラル セルフストレッチ』

東海地区の認定スポーツトレーナーの青木です。
今回はJARTAセンタリングトレーニングの一つである「脊柱スパイラル セルフストレッチ」を紹介していきます。
「脊柱スパイラル セルフストレッチ」は従来行われている背骨を捻るストレッチとは異なり、狙った背骨を個別にストレッチしていきます。
背骨を短時間かつ効果的にストレッチできる方法となりますので、是非お試し下さい。
 
 

背骨と体幹

昨今現場で行われているトレーニングは、パフォーマンスアップの多くの要素を筋肉の収縮力アップに置き換えています。
しかし、そういった筋肉の収縮力によるパワーを重視するあまり、トレーニングによって選手が本来持つしなやかさや柔軟性がどんどん失われてゆく傾向にあり、身体が硬くなっていきます。
最近流行りの体幹トレーニングも一つの例で、過度に行う、間違った方法で行うと体幹部の柱となる背骨の硬さにつながる可能性があります。
今回紹介するトレーニングは背骨をストレッチすることで、人間が本来持っているしなやかさや柔軟性を取り戻す・向上させるものとなります。
 
※筋肉の収縮力アップ、体幹トレーニングが良い悪いと言うことではありませんのでご注意ください。
 
合わせ読みたい記事
大腰筋 セルフT-レフストレッチ
 
 

脊柱スパイラル セルフストレッチの実際

ストレッチの方法をご紹介致します。
 
①長座になる
②捻りたい方向にある膝を立て、反対側の肘を膝にあて身体を捻る
 
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③左右どちらが捻りやすいか確認する。(捻りやすい方から)
④捻りたい背骨(今回はみぞおちの背面の背骨 胸椎12番、腰椎1番付近)を擦る。捻りたい方向と反対側の手で背骨を擦る。
 
スクリーンショット 2016-07-26 19.25.35
 
⑤擦った背骨を捻るつもりでストレッチ
 
反対側も同様に行います。
前後の変化をすぐに感じたい方は、ストレッチ前後で体幹の前屈・後屈、左右への側屈、左右への回旋などの動きやすさ、立った状態で脚の上げやすさで確認するとわかりやすいです。
擦った背骨が捻れているかわかりにくい場合は、背骨を何度も擦るか、狙った背骨と異なる背骨でお試しください。
狙った背骨を捻ることは、「脊柱スパイラル セルフストレッチ」の重要なポイントとなります。
始めは何となく狙った背骨が捻れているかなでもかまいません。
何度も背骨を擦ることで感覚を入れ、捻ることで関節周囲がゆるみ、硬さが取れてくると背骨を意識できるようになってきます。
 
※背骨の何番を捻るということに重きをおきすぎず、まずは擦った背骨を捻ることから行うと取り組みやすいです。
 
 

脊柱スパイラルセルフストレッチの意義と効果

今回擦って捻った背骨である胸椎12番、腰椎1番はJARTAの最重要インナーマッスルと位置付けている大腰筋の起始部(大腰筋は起始が胸椎12番〜腰椎5番、停止部が小転子)となります。
 
身体の前方から見た場合、みぞおち(剣状突起の3横指下)の深層が大腰筋の起始部となる。その背面となる背骨は胸椎12番、腰椎1番付近となる。
 
背骨を擦り、捻ることにより、狙った背骨の硬さの改善、可動性が向上し、背骨に付着する大腰筋の機能を高めることができます。
以前紹介した「大腰筋 セルフT-レフストレッチ」では大腰筋に対して直接ストレッチしていきましたが、「脊柱スパイラル セルフストレッチ」は背骨に対してストレッチすることにより、間接的に大腰筋の機能を高めていく方法となります。
また胸椎12番は腰背部の多くの筋が付着します。
ストレッチすることにより、背骨の硬さを改善、可動性を向上させることで、腰背部の過緊張軽減にもつながります。もちろん腰痛予防にも効果的です。
 
さらにコントロールすることができれば、同じような手順で他の背骨も一つ一つストレッチしていきます。
世界トップレベルのスポーツ選手や著名な運動科学者は背骨を一つ一つ動かすことができると言います。
背骨一つ一つ動かす高度な動きができることで、より繊細な動きや、相手に悟られない動きにつながります。
また、関節が一つずつずれ合うことにより、より大きな力を発揮することができます。背骨の一つ一つは大きな骨ではありませんが、自在に動かす・意識することができれば、パフォーマンスアップにつながる可能性があります。
是非一度試してみてはいかがでしょうか。
 
 
今回は「背骨」を使ったストレッチ、体幹のしなやかさや柔軟性を取り戻す・向上させる「脊柱スパイラル セルフストレッチ」を紹介させて頂きました。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。




2016年07月23日

【怪我を予防するために必要なトレーナーの思考】

選手達やトレーナーの皆様は怪我を防ぐために様々な事をしていると思います。
防ぐことができる怪我もあれば偶然にアクシデントとして怪我をしてしまうこともあります。
しかしトレーナーとしては可能な限りこの「偶然」というものが起きないように努力する必要があります。
その偶然をなくすためにはあらゆることを想定して準備する必要があります。
そこで今回は試合当日編として、トレーナーが実施できることをお伝えします。
(さらに…)

2016年07月17日

“姿勢”を良くしようとすると逆に“姿勢”が悪くなる

いつもJARTA公式ブログをお読み頂きありがとうございます。
普段は東北は青森で活動しております、JARTA認定講師の鳴海です。
今回は【姿勢】に関しての話をさせていただきます。
 
(さらに…)

2016年07月15日

小学生年代への介入で成果を出すために有効なこと

近年、世界レベルの大会でも10代の選手の活躍が目立つようになってきています。
 
また、スポーツ開始時期においても、低年齢化が進んでいると言われます。
 
効率的に競技スキルを上げるためにも、発育発達の時期に合わせた専門性の高いコンディショニングは早い段階から求められてきていると言えます。
(さらに…)

2016年07月10日

テーピングが巻けないトレーナーがリストラされる理由とは

「テーピングが巻けなくてもスポーツ現場に出られますか?」

ある日JARTA受講者の方から質問をされました。
「テーピングが巻けなくてもスポーツ現場に出られますか?」
 
私の答えは
「現場に出られるけど、リストラされるかもしれない」
 
なぜなら私自身テーピングが巻けないことで
選手の信頼を失ったことがあるからです。
テーピングが巻けないトレーナーがリストラされてしまう理由とは
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私自身、テーピングがあまり巻けない状態でスポーツ現場に出ていました。
理学療法士だから評価や治療を全面に押し出してスポーツ分野で活躍していこう
と思っていました。
 
ある日サッカー選手のサポートをしていたところ
「足のテーピング巻いてもらえますか?」
と言われました。
 
正直あまり得意ではないテーピング。
選手との信頼関係が構築されていると感じていたので
とりあえず見よう見まねで巻いてみました。
 
結果は散々。
シワシワのテーピングに固定力がバラバラ。
パリパリと取れるテーピング。
もちろんパフォーマンスは低下。。
動きにくいし、走りにくい。
むしろ怪我をしやすい状態を作ってしまったのです。
その後選手は私の前から姿を消しました。
 
つまり
テーピング一つ巻けないだけで選手の信頼は一気に崩れるのです。
 
なぜなら一般の方のイメージでは
「スポーツトレーナー=テーピングを巻くことができる」というイメージができているからです。
これは選手や監督、チームのスタッフみんな共通認識していることです。
だからこそテーピングを巻けないトレーナーは一気に信頼を失う可能性があるのです。
 

<テーピングの巻き方を真似するだけでは効果が出ない理由>

テーピングの本や動画はたくさんあります。
しかしいずれも「巻き方」に焦点を当てています。
ただ単にテーピングの巻き方を真似するだけでは効果はありません。
足関節や捻挫の状態がわからない状態でテーピングだけ真似しても
パフォーマンスは低下し怪我もしやすくなります。
 
個人個人によって足関節の形や運動方向は異なります。
足関節捻挫においてもどの靭帯が損傷しているかによっても
巻き方は変わります。
だからこそ本や動画でテーピングの巻き方だけ習っても現場では使えないのです。
効果的なテーピングを巻くためには「巻き方」だけでなく

  • 解剖・運動学を理解していること
  • 病態の理解

・ 正確な触診技術

  • 足関節の動作分析
  • 選手の動きの動作分析

などの理解を深めることで効果的に巻くことができます。
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<足関節捻挫に対するテーピングを巻く上で大切な3つのポイント>

私が考えるテーピングを巻く前の評価です。
最低でもこれらの動きは確認します。
 
・足関節の骨の動きの評価
 (踵骨、距骨、リスフラン関節、ショパール関節などなど)
・足関節靭帯損傷の判断
 (内側・外側の靭帯からさらに細かく)
・疼痛と動きの評価
 (どの動きが痛くて、どの方向に不安定性があるのか)
JARTA吉田直紀
これらの評価に基づいてテーピングの張力や方法をアレンジしていくのです。
テーピングは実に繊細で同じ巻き方をしても
テープの張力や角度、張り方で効果が180度変わってしまいます。
 
従来の「巻くだけのテーピング」から「考えて評価して巻くテーピング」に変えてみませんか。
選手を怪我から守り、なおかつパフォーマンスは向上させることで選手の信頼をつかみましょう。
これらの要素を取り入れたJARTAテーピングセミナー次回は10月になります。
申し込みはこちらから
テーピングセミナー
 
実技8割中心のため少人数制になっております。
一人一人の習得率を上げるためなので人数に達し次第締め切ります。
 
大阪会場:平成28年10月2日(日) 10:00~16:00(受付開始は9:30~)
東京会場:平成28年10月30日(日) 10:00~16:00(受付開始は9:30~)
札幌会場:平成28年11月13日(日) 10:00~16:00(受付開始は9:30~)
 
 

2016年07月07日

スピードとパワーは両立できる

多くの競技において「どのような特徴のある選手になるのか」というのは、「どのようなトレーニングをするのか」に大きな影響を及ぼします。その中でもスピードとパワーは対比するような関係性で捉えられ、二者択一を迫られることが少なくありません。
 
スピードか?
パワーか?
 
 
どうでしょう?
スピードとパワーはそもそも対比されるような関係なのでしょうか?
 
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(さらに…)

2016年07月04日

グローインペインってなんだ!?

グローインペイン症候群(鼠蹊部痛症候群)とは鼠蹊部周辺に出現する慢性障害であり、本当の原因を特定しにくいためこのような鼠蹊部周辺に出現する痛みを総称してこのように呼ばれています。
肩こりや慢性腰痛と同様に特定の病態があるわけではなく、病院でのリハビリテーションでも根本的な改善がなされないまま長期化してしまう事例も多いスポーツ選手にとっては悩ましい障害のひとつです。
今回はそのグローインペインに対する評価・アプローチとして重要なポイントをご紹介致します。
(さらに…)

2016年07月03日

意識と無意識

JARTAではパフォーマンスを上げるために「スキル」「フィジカル」「認識力」の3つの要素を考慮しながらトレーニングを行うことの重要性をお伝えしています。
認識力に関しては、自分の身体の状態を把握する能力のことを「内的認識力」、自分と自分以外の物や人との関係を把握する能力を「外的認識力」と定義しています。
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2016年06月27日

【◯◯を上手く使えるようにするためには】

◯◯を上手く使えるようになるにはどんなトレーニングをしたらいい?
セラピストやトレーナーであれば一度は聞かれたことはないでしょうか。
 
大阪で活動しています藤田友和です。
(さらに…)

2016年06月24日

勝負所で打球への反応を高めるために

野球の守備において、打球に対する一瞬の反応や判断の遅れはプレーの結果にも、勝敗にも大きな影響を与えます。
 
試合で練習と同じように打球に反応することは簡単なことではなく、守備がうまいと言われる選手はそこが優れていると言えます。
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その反応を良くするために、現場でよく使われる指導方法で陥りやすい「マイナスの学習」について、認定講師高塚が説明していきます。
(さらに…)

2016年06月21日

合宿&JARTA講演会開催報告

年に一度、JARTA認定スポーツトレーナーのさらなる鍛錬の場所として開催しているJARTA合宿が6月18日・19日と四国は香川県高松市で行われました。
19日に開催したJARTA講演会と合わせて簡単に開催報告をさせていただきます。
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(ちょっと分かりにくいですが、JARTAのJです。笑)
(さらに…)

2016年06月16日

試合帯同時に行うコンディショニングにおけるポイントとは

この時期、試合会場に行くとトレーナーの方が各チームに帯同し活躍されている場面が多々見られます。
試合の前や次のラウンドに向けて選手達の要望に応じながらコンディショニングにあたる事だと思います。
試合が重なるにつれて足が張って来るなどの違和感を感じ、本来のコンディショニングを維持できず、筋をほぐしてもらうように訴える選手。
それに答えようと一生懸命にマッサージやストレッチなどで緩めるようとするトレーナー。
しかし、ちょっと待って下さい。
(さらに…)

2016年06月09日

サイドステップの運動構造分析とアシストトレーニング

シーズン前ですが、名古屋大学女子ラクロス部のミィーティングに参加してまいりました。
 
東海地区認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
(さらに…)

2016年06月04日

海外セミナーのご案内

今年JARTA初の試みとしてカナダはバンクーバーで国内で行われている認定コースと同様のセミナーを開催致します。
JARTA
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2016年05月28日

再受講システムのご案内

いつもJARTA公式ページをご覧いただきありがとうございます。
現在JARTA認定スポーツトレーナーの養成コースやそれ以外も含めて様々な観点からセミナーを開催させていただいております。
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2016年05月27日

新しいトレーニングを導入するとパフォーマンスが上がる理由とその落とし穴

◯◯トレーニング
◯◯メソッド
スポーツに関わる全ての人にとってどのようなトレーニングをすればよりパフォーマンスが向上するのか?
これは永遠のテーマであると言えます。
現代では数多くのトレーニング理論や方法があり、それは無数にあるといっても過言ではありません。
そしてそれは現在進行形で今も増え続けています。
 
JARTA認定講師の岩渕翔一です。
(さらに…)

2016年05月20日

講演会&記念対談のお知らせ

来月19日に四国はうどん県でJARTA講演会が開催されます。
今回は記念講演として特別対談を企画しております。

中野崇×海堀あゆみ

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2016年05月18日

【大腿四頭筋を鍛え過ぎると跳べなくなる】

「大腿四頭筋を鍛えるとジャンプ力が落ちるから鍛えたくないです。」
 
大阪で活動しています藤田友和です。
(さらに…)

2016年05月14日

ハムストリングス上部〜セルフT-レフストレッチ〜

東海地区で活動しています、認定講師の青木です。
JARTAでは、身体を合理的に動かしやすくするためのトレーニング系ストレッチとして「T-レフストレッチ」という方法をお伝えしています。
今回はセルフでできるT-レフストレッチを紹介したいと思います。10秒もかからず簡単に実施できますので是非お試し下さい。
(さらに…)

2016年05月07日

野球肩“テイクバック⇒トップ”時の改善のポイント

野球肩は改善の期間がまばらで数週間~1ヶ月程度で改善する場合あれば何年も悩まされる場合もあります。
 
野球肩を発症したことで、日常生活レベルで苦しみ、肩が上がらない、夜間に病んでくる・・・
それが改善しても投球動作になると痛みが出てくる・・・
ようやく痛みがなくなったら今度は元通りになるまで練習をする。
時間をかけていいならそれでもまだいいでしょう。
しかし試合が近いとなるとどうでしょうか?
(さらに…)

2016年05月02日

レフ度の高い立甲のポイントとは?

本日は、ベーシックセミナーで学ぶ立甲についてのポイントをお伝えします。
 
JARTA認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
(さらに…)

2016年05月01日

スポーツでいう疲労とは

スポーツでの疲労は、主に身体的な肉体疲労と緊張やプレッシャーなどの精神疲労があります。
疲労回復のためには、もちろん十分な食事 (栄養) と睡眠が基本となります。
 
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この時、加えて重要なのが循環です。
 
 
(さらに…)

2016年04月23日

なぜ腫れも浮腫みもなかなか引かないのか・・・。

スポーツをしている限り怪我がつきものです。
 
というのが現在の現場の現状であると思います。
 
慢性障害をなくすという視点の前に少しでも早く怪我から復帰させたい、あるいは早く復帰したいという思いが誰しもあるのではないしょうか?
四国香川県で活動しております。赤山僚輔です。
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(さらに…)

2016年04月18日

「失敗や間違いをすること」/ イタリア研修報告 河江将司

認定スポーツトレーナーの河江です。
3月9日から16日までイタリア研修に参加してきました。
選手指導などたくさんの研修プログラムがありましたが、今回はインテルアカデミー責任者のMarco氏との育成システムについてのディスカッションのなかで感じたことを報告します。
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(さらに…)

2016年04月15日

生理痛をラベンダー精油で軽減

痛みをはじめとするPMS(月経前症候群)に苦しむ女性は多く、スポーツ選手も同様です。
アプローチ方法は色々あると思いますが、今回は精油とオイル、トリートメントの力でその軽減を図った症例紹介です。
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【情報】

20代女性、中距離選手
下腹部痛、腰のだるさ、毎月生理開始1日目に1度鎮痛剤を内服
施術時はちょうど生理開始1日目
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*施術前の状態
下腹部・腰痛(VAS9)、右下腹部の硬さ、右大腿外側近位部の硬さ
 
*精油(身体状態から評価して選択)
ラベンダー
 
*内容
腹部・鼠蹊部・胸部・仙骨・下肢のトリートメント
セルフトリートメントの伝達
 
*結果
施術直後はVAS9⇒5程度、10~15分経過すると1へ軽減。
鎮痛剤を内服せずに過ごすことができた。
 
*感想
どうしても生理1日目が辛くて、薬を飲まないと何もできない状態でした。なので薬を飲まないで過ごせたのが10年以上振り!?でとても嬉しかったです。ラベンダーの香りは好きで、その香りを嗅ぐだけでリラックス出来ました。トリートメントは基本的に優しいけれど、自分はここが硬いのか~と実感できてセルフでもやりやすかったです。
 
 
精油の基礎知識や評価方法など、ご興味のある方は下記より詳細をご覧ください。
スポーツアロマセミナー
 
 

2016年04月12日

動作分析をする際に必要なのは動作を見る目だけではない!僚輔

セラピストやトレーナーの仕事をする中で必ず重要となる動作分析に必要なことをお伝えします。
 
認定スポーツトレーナーの宮﨑です。
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(さらに…)

2016年04月06日

自分自身はトレーニングできていますか?

JARTAでは、トレーナー自身が選手にトレーニングの手本を見せれることの大切さを伝えています。
 
東海認定スポーツトレーナーの高島です。
 
JARTAのベーシックセミナーで「手本を見せれる」ことの重要性はお伝えしています。
(さらに…)

2016年04月02日

春の怪我の原因とはなにか?

春になり進学・進級によって新しいチームへの加入や活躍する場の変更、また指導者の変更と周りの環境が目まぐるしく変わる季節です。
 
シーズンに突入していくこの季節、特に怪我が多発する時期です。
 
この時期の怪我はシーズンを棒にふってしまう可能性もある為、特に気をつけなければなりません。
では、なぜこの季節は怪我が多発するのでしょうか?今回はその原因を関連要素の間にある関係性や影響を考慮しながら紐解いていきたいと思います。
 
関西認定スポーツトレーナーの谷口です。
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(さらに…)

2016年03月29日

大腰筋 セルフT-レフストレッチ

東海の認定スポーツトレーナーの青木です。JARTAでは、身体を合理的に動かしやすくするためのトレーニング系ストレッチとして「T-レフストレッチ」という方法をお伝えしています。今回はセルフでできるT-レフストレッチを紹介したいと思います。10秒もかからず簡単に実施できますので是非お試し下さい。
(さらに…)

2016年03月27日

「歩みを止めない」 / イタリア研修報告 和泉彰宏

認定スポーツトレーナーの和泉です。
今回3月9日-16日でイタリア研修に参加させて頂きましたので、ご報告させて頂きます。
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(さらに…)

2016年03月26日

患部のアイシングが怪我を長引かせる!?

怪我をしてアイシングはじめRICE処置をすることはスポーツ現場では日常的に行われていることだと思います。
しかし急性外傷でなく慢性的に痛みがある部分へ継続的にアイシングをすることが怪我を長引かせたり、新たな怪我の誘因になることをご存知でしょうか?
JARTAの赤山です。
(さらに…)

2016年03月21日

『無駄な経験はなにひとつない!』イタリア研修から学ぶこと僚輔

JARTAイタリア研修は学ぶものの宝庫である。
それが例え専門外のスポーツであってもどのように自分の中にインストールでき、スパイスを加えて自分なりの提供ができるかが重要である。
 
認定講師の田中紀行です。
(さらに…)

2016年03月17日

テーピングが巻けないトレーナーがリストラされる理由とは

「テーピングが巻けなくてもスポーツ現場に出られますか?」

 
ある日JARTA受講者の方から質問をされました。
答えは
「現場に出られるけど、リストラされるかもしれません」
なぜなら私自身テーピングを巻けないことで選手の信頼を失ったことがあるからです。 テーピングが巻けないトレーナーがリストラされてしまう理由とは ・・
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JARTA認定講師の吉田です。 (さらに…)

2016年03月09日

最新ニュース / JARTAセミナー in バンクーバー

2016年秋に日本発祥の概念であるJARTAコンセプト・トレーニングを海外へ輸出することが決定しましたのでご報告させていただきます。
現在、日本国内で開催しております認定コースセミナーをカナダのバンクーバーで開催いたします。
なお、現地での講師はエグゼクティブテクニカルマネージャーの赤山僚輔が担当いたします。
英語版ホームページにて募集を開始いたしましたので参照ください。
http://jartacanada.jimdo.com/about-jarta/
JARTA

2016年03月07日

そのトレーニングで本当にACLが予防できますか?

昨今、様々な予防トレーニングが提唱され様々な団体や競技において前十字靱帯の損傷予防エクササイズが実践されています。
しかし今一度そのバランストレーニングや股関節外転・外旋エクササイズ、体幹トレーニングが膝の捻りや不良アライメントを改善できるのか再考する時期にきていると考えています。
JARTAinternational 統括部長の赤山僚輔です。
(さらに…)

2016年02月27日

捻挫は“癖”になる!?

5W1Hで癖になった捻挫を早期改善に導く

『捻挫は“癖”になる』
という言葉があるほど、捻挫は一度起こすと、
何回も何回も繰り返しがちです。
何度も繰り返すのは
捻挫により靭帯が伸びている(または損傷している)
⇒それにより足首のアライメントが崩れている”
⇒アライメントが崩れているので運動した際には再発しやすい
というのが通説ですが、ここには足りない情報があります。
なんだかわかりますか?
(さらに…)

2016年02月19日

活動報告〜『動きやすいように緩めてほしい…』バレエ舞台サポート〜

試合当日の選手のサポートに入る際に皆様はどのような事を考えていますか?
最高の技術を提供し、最高のコンディションに持っていく事でしょうか?
JARTA認定講師の田中紀行です。
(さらに…)

2016年02月14日

初めての現場サポートで意識すること

初めてサポートに行った時にどうすればいいのか悩んでいる方は多いと思います。
今回は初回のサポート時に私が意識していることをお伝えします。
 
関西を中心に活動しております、藤田友和です。
 
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(さらに…)

2016年02月10日

新アドバイザー就任のお知らせ

先日、現役を引退された海堀あゆみさんが、このたびJARTAのオフィシャルテクニカルアドバイザーに就任していただくことになりました。
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(さらに…)

2016年02月09日

認定スポーツトレーナーヒストリー / 幟 宏美

100%ではなく120%】

 
はじめまして。JARTA認定スポーツトレーナーの幟 宏美です。
 
出身は岡山県ですが、高校卒業後~現在まで大阪に在住しています。
現在は、大阪市内のクリニックに勤務し理学療法士として、外来および訪問リハビリを担当し、運動器疾患や脳血管障害の患者さんに対してリハビリを行っています。(スポーツ選手の患者さんは数少ないです)。そして、今年の8月から兵庫県の武庫川女子大学バスケットボール部をメイントレーナーとしてサポートしています。
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2016年02月05日

あのトレーニングは、難しいことではありません。

先日、ジャイアンツの鈴木選手のトレーニングについてネットニュースで記事になっていました。
記事の画像をみて、真似をする方は多いでしょう。
http://www.hochi.co.jp/giants/20160129-OHT1T50050.html
(上記URLはスポーツ報知記事より引用)
 
トレーニングに至らず、ただの「真似事」で終わらせないために、このトレーニングのポイントをいくつかご紹介いたします。
JARTA認定講師の高塚です。
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2016年01月29日

“正しい動き”ばかりトレーニングすると怪我をする

正しい動き
正しい身体の使い方
正しいフォームなど“正しい◯◯”というのは度々耳にすることがあります。
もちろん重要な視点で、正しい(良い)とされる動きや身体の使い方はトレーニングを行い質を高めなければいけません。
しかし、果たして正しい動きばかりをトレーニンングしていて良いのでしょうか?
JARTA認定講師の岩渕翔一です。
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2016年01月25日

認定スポーツトレーナーヒストリー / 百瀬正浩

はじめまして、JARTA認定スポーツトレーナーの百瀬正浩と申します。
現在、長野県の病院で理学療法士として外来リハビリ・訪問リハビリを担当しつつ、ジュニアのバレーボールチームで、トレーナーとして活動しています。
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2016年01月19日

【掲載情報 / 月刊秘伝2016年2月号】

スポーツ トレーニング最前線
古武術の概念をもって トップアスリートと向き合う!

月刊秘伝の2016年2月号に、中野とボディワーカーであり「身体のホームポジション」著者の藤本靖氏との対談が掲載されております。
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2016年01月16日

アイシングだけで本当に大丈夫ですか!?

多くのスポーツ外傷において、まずはRICE処置をするのが現在のスタンダードであると思われます。
でも目的が腫脹を軽減したり組織治癒を早めたいのであればそれより先、あるは同時進行でやるべき行為があることをご存知でしょうか?
関節がゆるいと硬めるしかないのか2
JARTAの赤山僚輔です。
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2016年01月09日

トレーナーやセラピストが○○する必要性。

JARTAでは選手やチームのパフォーマンスアップについて学ぶだけでなく、トレーナー・セラピスト自身の『自分の身体の使い方の重要性について』も学びます。今回は自分の身体の使い方の中でも、自身のコンディショニングについて考えていきたいと思います。
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東海の認定スポーツトレーナーの青木です。
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2016年01月07日

ハイパフォーマンスの必須要素「RSSC」

世間一般的に体のバネと評される伸張反射(SSCStretchShortening Cycleというものがあります。この能力を高めていく事がパフォーマンスアップにつながる一つの要素である事は言うまでもありません。
JARTA認定スポーツトレーナーの谷口です。
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2016年01月04日

認定スポーツトレーナーヒストリー / 森宜裕

はじめまして、JARTA認定スポーツトレーナーの森宜裕と申します。
現在は、滋賀県のスポーツ整形外科クリニックにて理学療法士として働きつつ、県立高校ラグビー部やフィールドホッケーU16日本代表のトレーナーとして活動しています。
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2016年01月01日

新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
JARTA代表の中野です。
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2015年12月28日

トレーニング難易度を変えてアブレスト能力を高める

選手にトレーニングを提供する際に、目的とするパフォーマンスの達成度を判断して難易度を決定するとおもいますが、皆さんはどのように考えてみえますか?
JARTA認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
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2015年12月23日

認定スポーツトレーナーヒストリー / 和泉彰宏

初めまして、JARTA認定スポーツトレーナーの和泉彰宏と申します。私は現在大阪のピラティススタジオB&Bでパーソナルトレーナーとして活動しております。
和泉
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2015年12月18日

身体をみれば動きがわかる

「二遊間の低く速いゴロ捕球がしにくくないですか?」
これは先日四国独立リーグからNPB(プロ野球)への入団が決まったアスリートとコーチが一緒にトレーニングをする中で交わした会話です。
四国・高松で活動しております赤山僚輔です。
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2015年12月16日

最新ニュース / ブラインドサッカー フィジカルコーチ就任

この度、JARTA代表である中野がブラインドサッカー日本代表のフィジカルコーチ就任が正式発表されましたのでご報告させて頂きます。
日本代表スタッフ及び中野からのコメントについては下記よりご覧ください。
http://www.b-soccer.jp/9078/news/pr151215b1daihyoustaff.html
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中野 崇  / プロフィール

 
このような機会を設けて頂いた全ての皆さまに感謝致します。
 
それでは今後とも宜しくお願い致します。
 
 

2015年12月12日

活動報告 / 名古屋大学女子ラクロス部

「名古屋大学女子ラクロス部新チーム始動しました」
JARTA認定講師の高島です。
これまでサポートを行ってきた名古屋大学女子ラクロス部がシーズンを終え、新たなチームとなり始動しました。
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2015年12月10日

そのトレーニングを語る資格はありますか?

みなさんはいままでどのようなトレーニングを自分自身で経験してきましたか?
現在、世の中には把握しきれない程多くのトレーニングの方法が存在します。
現場では、トレーナー自身がどのようなトレーニングを経験し、学んだかにより、目の前の選手や指導者への説得力が格段に増します。
北海道の認定スポーツトレーナーの高塚です。
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2015年12月05日

認定スポーツトレーナーヒストリー / 宮崎祐一

はじめまして、JARTA認定スポーツトレーナーの宮崎祐一と申します。
私は普段は愛知県の大府市で訪問看護ステーションに勤めています。
普段は訪問でのリハビリを中心に仕事をしています。
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2015年12月01日

知らないと損をするサッカー選手の○○の評価

サッカー選手のパフォーマンスを改善するためにはどこを評価すればいいでしょうか?
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つくばを中心に活動しております、認定スポーツトレーナーの吉田です。
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2015年11月27日

掲載報告/月刊トレーニングジャーナル12月号

月刊トレーニングジャーナル12月号の巻頭特集にて代表中野の記事が掲載されております。
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2015年11月21日

立甲が身体に及ぼす影響とは!?

立甲の重要性に関してはこれまでのブログやセミナーでもお伝えしてきました。
立甲を獲得することでパフォーマンス、障害予防にどう影響するのか。
認定講師の藤田友和です。
 
今回は立甲によってパフォーマンスアップや障害予防にも繋がったという選手や指導者からの声をお伝えします。
 
過去に同タイトルでのブログを一度書いておりそちらは下記をご参照ください。
 
「立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由」
http://jarta.jp/training/954/
 
「立甲を獲得するために」
http://jarta.jp/training/3975/
 
「ローテーターカフトレーニングと立甲」
http://jarta.jp/training/2356/
 
 
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写真は先月行った認定スポーツトレーナーの合宿(義務研修)での様子です。
全員で立甲を行いましたが少し気持ち悪いですね。
 
 
「立甲ができたことでの身体変化」

  • コントロールがよくなった
  • ストレートの球速がアップした
  • 肩、肘の痛みが少なくなった、なくなった
  • 肩甲骨がよく動くようになりバッティング時にあった体幹のつまり感、回しにくさがなくなりインコースが打ちやすくなった
  • ピッチング後にあった肩周りの筋肉痛や疲労感が減った
  • 立甲の出来具合や感覚の違いで普段からのコンディショニングチェックにもなる
  • 立甲が出来ていると身体の調子が良いが、しにくい時は少し身体に違和感があるのでその日のバロメーターになる
  • 肩のはりや腰痛がなくなった
  • 鎖骨骨折後復帰しても違和感がずっとあり気になっていたがなくなった
  • 腕の変な力みがなくなることで腕の操作がしやすくなった
  • ドリブル時に肩甲骨がしっかり動くようになり身体の連動性ができてきた
  • 肩甲骨が動くようになり相手と競り合った時に楽に抑えられるようになった
  • ドリブル時のフェイトの幅が拡がりかわしやすくなった
  • 走っている時の肩周りの変な力みがなくなり楽に走れるようになったことで体力の消耗が少なくなった
  • 自分よりも身体の大きい選手からの当たりに負けなくなってきた
  • 肩の違和感や少しの変化に気づくようになった
  • 首の痛みや違和感がなくなった。首の可動域がひろがった etc

 
この他にも多くの改善例がありますが割愛させていただきます。
 
立甲はコンタクトスポーツ(サッカー、バスケットボール、ハンドボール、ラグビー、アメリカンフットボール、相撲 etc)、ノンコンタクトスポーツ(野球、テニス、バレーボール、バドミントン、卓球、自転車競技、陸上競技 etc)の分野に捉われず、どの分野でも必要な身体の使い方です。
肩甲骨や肩ばかりにフォーカスしがちですが、立甲ができることでの副産物も多くあるのは上記の選手や指導者の声からお分りいただけたかと思います。
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「まとめ」
立甲ができることでパフォーマンスアップや障害予防に繋がることをご理解いただけたかたと思います。
立甲は身体の使い方や認識力(気づき)を向上させたり、力みを少なくするために必要な要素を作るためのトレーニングやコンディショニングです。そのため立甲ができたからパフォーマンスアップする、障害予防に繋がるというものではありません。立甲は人が身体を動かす上で必要最低限必要な能力であり、パフォーマンスアップや障害予防の一要素と捉えていただければと思います。
 
立甲に関してはJARTAのベーシックよりお伝えしています。
 

2015年11月14日

JARTA|関東事務局スタッフの募集

 
この度、JARTA関東事務局は関東事務局スタッフを公募致します。
下記、内容となりますのでご興味のある方はご確認ください。
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2015年11月13日

豊中市『人権教育をすすめる市民の集い』参加報告

11月11日(水)大阪の豊中市立アクア文化ホールにて、豊中市人権教育推進委員協議会主催の「人権教育をすすめる市民の集い」が開催されました。
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2015年11月09日

仲間から同志へ〜初の合宿研修が意味するモノとは〜

2015年10月31日〜11月1日の2日間香川で行われた、JARTA2015合宿の報告をさせていただきます。
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2015年11月07日

大腰筋機能を引き出すインナースクワット

JARTAのセミナーでは、スポーツ現場での考え方やテクニックの習得の他に、選手の評価やトレーニングに用いるセンタリングトレーニングと言うものも学びます。更にそれらのトレーニングはトレーナー自身の身体作りにも用いられます。
JARTA認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
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(スピードアップを目的として小学生にインナースクワットを指導)
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2015年10月30日

ゆるさの原因を探求せよ!!

先日赤山がリアル臨床で発表した内容を高松のworkoutでも改めてお伝えしました。
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2015年10月26日

「ゆるむ」と「脱力」との違いとは?

北海道のJARTA認定スポーツトレーナー、浦波唯史です。
浦波唯史
 
JARTAのサポートするアスリートの間では、いわゆる筋力トレーニングだけではなく、「ゆるむ」ことの重要性が認識されてきていますが、「ゆるむ」とは、単に脱力を意味している訳ではありません。
 
「ゆるむ」とは、相対的なもので完璧な状態はあってないようなものです。
簡単に説明すると、収縮と弛緩の幅を広げることを意味しており、局面に応じた最適な身体の使い方を選択する能力である「格定力(かくていりょく)」の向上に繋がります。
 
この「格定力」の重要性は、競技中には常に最大筋力を発揮する局面が、ほとんど存在しないということを考えると理解しやすいかと思います。
 
この「ゆるむ」ことは、全ての競技の前提条件として必要不可欠なものですが、今回は私のサポートするスキー(モーグル)を例に説明させていただきます。
 
スキーは斜面を滑り降りる競技であるということからもお分かりかと思いますが、重心の落下により移動します。
 
つまり、地上を速く走れる選手がスキーで速く滑れるかというと、基本的には関係ありません。
 
では、どのように身体を使えばスキーで速く滑ることができるのでしょうか?
 
答えはいたってシンプルで、滑走時のブレーキ成分をいかに排除できるかに尽きます。
 
この滑走時の代表的なブレーキ成分は、大腿四頭筋です。
 
スキーを行ったことがある方でしたら、スキーの後に大腿四頭筋(太腿前面)の筋肉痛を経験したことがある場合も少なくないのではないでしょうか?
 
実際、私のサポートする女子モーグル日本代表の村田愛里咲選手ですら、以前のシーズン開始時には、必ずと言ってよいほど大腿四頭筋の筋肉痛が出現していたそうです。
 
大腿四頭筋によるブレーキ成分は、斜面を滑走するスキーの運動構造を考えた場合、一般的には腰椎の伸展運動に伴い大きくなります。
 
また、スキーは固定性の強固なブーツを履くため、過度な足関節の可動性を必要としない反面、特に脊柱・仙腸関節・股関節・膝関節などの可動性が、「ゆるむ」ための前提条件として重要になります。
 
つまり、必要以上の大腿四頭筋によるブレーキ成分を排除するためには、最低限これらの前提条件を整えた上で、「ゆるむ」ことが必要不可欠になるのです。
 
話の内容を私のサポートするモーグルに移しますが、モーグルは斜面を滑走することに加えて、エアと呼ばれるアクロバティックなジャンプの要素が含まれますが、その採点は、「ターン60%、エア20%、スピード20%」の合計点により競われます。
(2014年12月現在)
 
中でも配分の最も大きいターンは、
・上体は常にフォールライン進行方向に向かっていること
・滑走中の上半身は、上下左右に揺れることなく安定した状態であること
が採点基準となります。
 
滑走時に固いコブに対して、選手自身が身体を固めていた場合、大きな反発力が出現し、上半身の動揺に繋がりやすいことは容易に想像がつくかと思います。
 
モーグルは滑走中に固いコブの衝撃をしなやかに分散した上で、より速く滑り降りなければならないという競技特性から考えると、他のスキー競技の中でも「ゆるむ」ことがより重要な競技かもしれません。
 
余談になりますが、9月中旬に村田愛里咲選手のサポートで、ウォータージャンプの練習に帯同してきました。
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ソチ五輪で前十字靱帯損傷の大怪我を負って以来、約1年半振りのジャンプ練習であったため、当然ベストパフォーマンスではありませんでしたが、ジャンプの度に動作を微調整できるのは、さすが世界と戦うトップアスリートだと、その内的認識力の高さに驚かされました。
 
実際にゲレンデを滑走するのは村田愛里咲選手ですが、私は理学療法士、そしてJARTA認定スポーツトレーナーとして、次期五輪に向けた最大限のサポートを継続していきます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
「ゆるむこと」「格定力」を始め、JARTAコンセプトを学ぶには下記URLより、ベーシックセミナーの受講をオススメ致します。

2015年10月22日

自分自身と向き合う事こそコンディショニングである

 
重要な大会へ向けてコンディショニングを合わせる事はいつも頭を悩ませる所です。
やりすぎても やらなさ過ぎても結果が出ない。
大切な事は量を求めるのではなく、選手が自分自信と向き合う事。つまりの質を求めていく事です。
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JARTA認定スポーツトレーナーの谷口です
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2015年10月16日

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ

このたび、JARTA認定スポーツトレーナー試験(大阪・東京)の日程が決定しましたのでご案内致します。
なお、2017年度の試験からはアドバンスⅣまでご受講していることが試験を受ける条件となりますので、ご了承ください。
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2015年10月12日

ニーインを筋トレせずに改善する!!

不良アライメントの代名詞とも言われるニーイン(knee-in)現象ですが、ACL損傷のリスクや鷲足炎等多くのスポーツ外傷・障害の要因として長くスポーツリハでは語られてきました。
参考書等では多くの有効なトレーニングや視点・思考が述べられていますが、筋トレをしなくても改善できる可能性をみなさまご存じですか??
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JARTA認定講師の赤山です。
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2015年10月09日

専門的な動きを評価する前に選手の●●を観察していますか

あらゆるスポーツにおいて専門的な動きや運動の基本である走りを評価するのは一般的ですが、その更に基礎となる動きをしっかりと観察していますか?
東海地区で活動する認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
タイトルの●●は、ずばり歩きです!
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あなたは、選手が何気なく歩いている姿をしっかりと観察できていますか?

歩きと走りの根本的な違いを考えると、歩きは必ず地面に足底が接地している時間があり、走りは両足が空中に浮いている時間があるというところです。
空中に浮いている時間があるということは、基本的な身体のコントロールが難しくなります。走りは、一定の流れの中で一定の動作を繰り返す連続運動であり、空中に浮く時間があるという事は、地面に足を設置するタイミングと重力に反して地面をける効力をしっかりとコントロールする必要があります。
つまり、走りの運動要素を正しく行うには、かなりの意識的な努力を必要とします。
逆に歩きは、競歩のように競技レベルのものは別ですが、よほど意識を高く持たなければ、普段のくせやその日の調子が表面化しやすいです。
少し余談ですが、競歩の選手は時速14㎞程までパフォーマンスを高めて、更にそのスピードで50㎞ものフルマラソン以上の長距離を歩ききる事ができます。あくまで想像ですが、歩行のパフォーマンスを極限まで高めることで身体の可能性をより広げることができるかもしれません。
話しは戻りまして、単純にその日の選手の歩きが重ければ、高いパフォーマンスを発揮することは難しいと言えます。歩きが重く感じるときは、往々にして専門種目の動きも重くなることが多いです。
常に歩きに重さを感じる選手に関しては、根本的な身体の意識や操作の仕方を見直すべきかもしれません。歩きが重いままに専門的な動きや走り込みをさせ、負荷を増やすことで怪我に繋がっては元も子もありません。
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基本的な動きを再度確認してみましょう!

上記は、基本的なトレーニングの一つで、JARTAのベーシックセミナーでお伝えしている立甲です。写真は立甲の習得トレーニングをした後に、立甲を実際どの程度使えて体幹を固めることなく連動的に使えているかを体感していただくために数分間四足歩行をして頂いたものです。イメージはチーターです(笑)
歩きは、原則二足歩行で上肢への荷重はかからないため、上部胸椎を中心とした肩甲帯周辺が拘束されやすく、緩みを感じないままの歩きが多くなります。また、メンタル面での落ち込みなども中丹田の動きを抑制することがあり、胸部の硬さに繋がるケースもあります。
歩きの状態を意識的に観察しておく事は、選手のニュートラルの状態や問題点の改善のヒントを知ることができると言えます。

最後に読んでいただいた皆様に伝えたい事

今回のお話しは、スポーツ選手に関わらず、すべての人に対して言えることです。JARTAのコンセプトはスポーツ選手のみに限定されるものではありません。私自身の活動している領域も、ダンサー、フィギュア、新体操等のスポーツ選手から難病や高齢者の訪問リハ等幅広く活動しています。なぜなら考えて行くプロセスはどの領域もなんら変わらないからです。むしろ、ある領域に縛られることは、自分の視野を狭める可能性があります。

お知らせ

12月6日(日)に東海地区では今年最後となるベーシックセミナーを開催致します。今回のセミナーは私が務めさせていただきます。JARTAのコンセプトやテクニックと共に現場での経験や活用方法等も合わせてお話ししたいと思います。興味のある方は、是非是非会いにきてください!
セミナー情報

2015年10月03日

第3期 JARTAイタリア研修報告 ~No.3~

JARTAイタリア研修で学んだこと
臼井 美由紀5
認定スポーツトレーナーの臼井です。
(さらに…)

2015年09月30日

第3期 JARTAイタリア研修報告 ~No.2~

認定スポーツトレーナーの沖本です。
自分がトレーニング指導のこと、インテルナツィオナーレ・ミラノ(以下、インテル)でのミーティングを中心に報告いたします。
(さらに…)

2015年09月27日

義務研修開催報告

9月26日(土)に大阪にて認定スポーツトレーナー向けの義務研修を開催致しました。
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(さらに…)

2015年09月26日

第3期 JARTAイタリア研修報告 ~No.1~

こんにちは。認定スポーツトレーナーの幟です。
幟宏美5
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2015年09月24日

「JARTA認定スポーツトレーナー」を目指したきっかけ / 高塚 政徳

私が、JARTAのセミナーを初めて受講したのは約2年前の2013年11月でした。
 
私はそこから半年ほどの期間で認定スポーツトレーナーを取得しました。
高塚 政徳5
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2015年09月22日

JARTAから講演会にご参加いただいた皆様へ

9月21日、福岡での講演会を終え、これで今回全国で予定していた全てのJARTA主催講演会が終了したしました。
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2015年09月19日

指導の本質〜イタリア研修を終えて〜

2015年9月1日から8日までの1週間、イタリアのローマ・ペスカーラ・ミラノにてJARTAイタリア研修を実施しました。
今回で第3期を迎え、様々な方のご協力のお陰で無事に終了することができました。
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2015年09月14日

そのトレーニングはパフォーマンスを低下させていませんか?

トレーニングを指導している最中、選手のパフォーマンスが低下するといった場面に遭遇したことはありますか?
 
私はサッカーをしている小学生のトレーニングをサポートしているとき、このような場面に遭遇しました。
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2015年09月10日

一般の方よりもアスリートの方がアプローチしやすい?

一般的な話で、アスリートの世界はハードルが高いと言われていたりしますが、果たしてそうでしょうか?病院やクリニックで経験を積まないとアスリートのトレーニングやコンディショニングはできないような言われ方をします。その点について一例を述べたいと思います。
東海地区で活動する認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
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2015年09月02日

世界陸上男子100mからみる認識力の相互作用と重要性

安定したパフォーマンスを発揮するには自分自身の状態と、自らが置かれている状況を的確に認識する必要があります。めまぐるしく変化するスポーツの場面で的確かつスピーディーに自分自身が置かれている状況を認識するにはどうすればいいのでしょうか?そこには内的認識力と外的認識力の相互作用の理解が鍵になっています。
 
JARTA認定講師の岩渕翔一です。
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2015年08月27日

シンスプリントから選手を救え!!

シンスプリントといえば慢性障害の代名詞にもなるような有名なスポーツ障害で進行すると脛骨の疲労骨折となる軽視できない怪我のひとつです。
今回は先日、神戸で実施したWorkOutの中でお伝えしたシンスプリントに対する考え方を改めてお伝えいたします。
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2015年08月22日

トレーナー活動をより充実させるために

仕事や勉強、プライベートの予定など忙しい中で、トレーナー活動を円滑に進めるために必要なこと。
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JARTAトレーナーの高塚です。
私は、今年の4月に入籍し、既婚者になりました。
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2015年08月21日

トレーナー活動を続けてきたことで感じたこと

今回は、自分がJARTAと関わりトレーナー活動を続けてきたことで見えてきたことをお話ししていこうと思います。
茨城のJARTA認定講師の加瀬です。
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2015年08月15日

トレーナー活動報告 / ビーチバレー帯同・高島トレーナー

JARTA東海認定講師の高島です。
先日の立甲の記事は読んで頂けましたでしょうか?
http://jarta.jp/training/3975/
今回は立甲はじめ上肢の機能が非常に重要であり、この時期注目ビーチバレープレーヤー・仲矢靖央選手の試合に帯同しましたので、報告させていただきます。
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2015年08月14日

全国WorkOut情報更新

全国で行われているJARTAWorkOutの情報を更新しております。
http://jarta.jp/j-seminar/workout
受講済みの方対象と受講されたことがなくても参加可能なオープンWorkOutがあります。
ご興味のある方は、各地の情報をご確認の上、ご希望の地域へのお申し込みをお願い致します。
 
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簡単にJARTA概念に触れられるナイトセミナーであり、受講者・認定スポーツトレーナーに対しては大切な鍛錬の場でもあります。
 
お近くのWorkOut情報をご確認ください。
http://jarta.jp/j-seminar/workout
 
 

2015年08月10日

コーチに共感を得るためのトレーナーとしての主張とは?

トレーナーとして新規のチームに関わる時にどのようなことを意識しますか?
今回はJARTA認定スポーツトレーナーとして活動しはじめた頃に、意気揚々とトレーナー活動を展開していった際にガツンと打ちのめされた失敗談です。新規にチームやパーソナルに関わる基本的な事ですが、ついつい空回りをしてしまう、そんな事が無いように是非参考にしてください。
JARTA認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
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2015年08月09日

『限界』をぶちこわせ!

頑張っている人には頑張っているだけの対価があってしかるべきです。
しかし、どんなに練習しても勝てない。そんな理不尽がまかり通るのが勝負事です。
その理不尽をどうにかしたい、何かできることはないか?
そう思っていた際に出会ったのがJARTAでした。
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2015年07月30日

JARTAコンセプトが四国うどん県へ上陸

昨日7月29日(水)に四国・高松にて講演会が開催されました。
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2015年07月29日

【合宿&義務研修のお知らせ】

今年も義務研修の時期がやってまいりました。
JARTAでは認定スポーツトレーナーに対して義務研修への参加が必須となっております。
(さらに…)

2015年07月26日

立甲を獲得するために

「その立甲、ちゃんとできていますか?」
JARTA東海認定スポーツトレーナーの高島公平です。
JARTAのセミナーで一番初めに取り組むことになる統合化トレーニングである立甲に関する話です。
もうご存知の方が多いと思いますが、立甲とは上肢前方肢位でのゼロポジションキープの状態です。
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2015年07月25日

東北に鳴海あり

全国で行われるJARTAセミナーで講師を務めるトレーナー達は、北は北海道から南は九州の福岡までそれぞれの地域で活動しております。
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2015年07月16日

動きやすくなって怪我をする

パフォーマンスアップに関わる中で怪我と遭遇する際に考えなければいけない事として、トレーナーが介入した事によって怪我を発生させたかもしれないという視点です。
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(さらに…)

2015年07月10日

グローインペインの評価ポイント

切り返し動作や、キック動作の繰り返しによって発症するといわれているグローインペインですが、
今回はソケイ部痛とともに特に多い内転筋近位部の痛みが出た場合の評価ポイントについてご紹介します。
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2015年07月05日

正しい動作分析に潜むリスク

11639694_738421629602218_952286225_o皆さんは治療やトレーニング中、動作分析を行う際に選手に以下のような言葉をかけていませんか。
・○○筋が硬い、○○筋がうまく使えていない
・○○の関節の動きが悪い
・○○と○○のバランスが悪い
知識や経験が増え、選手の欠点がわかるようになると言いたくなる言葉です。
(さらに…)

2015年07月01日

『釣った魚を与えてくれるのではなく、魚の釣り方を教える』

臨床経験17年目になってもJARTAで学び続ける理由
東海認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
田中紀行5 (さらに…)

2015年06月24日

アスリートから信頼を得るために必要な事とは?

浦波唯史医療現場に勤務するセラピストがアスリートから信頼を得るためには、怪我の予防や競技復帰をサポートすることが中心になりますが、その他に必要な事とは?
(さらに…)

2015年06月22日

認定スポーツトレーナーヒストリー 〜鎌田洋輔〜

はじめまして、JARTA認定スポーツトレーナーの鎌田洋輔と申します。私は現在和歌山市内にある角谷リハビリテーション病院で作業療法士として働いています。普段はアスリートに関わることはなく、脳血管障害や骨折後の患者さんに対してリハビリを行っています。
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2015年06月18日

サーフィンでパドリングを楽にするためには!?

今回は、サーフィンの動作の中であるパドリングとJARTAトレーニングの効果についてお話しさせていただきます。
(さらに…)

2015年06月15日

スポーツトレーナーは誰でもなれる

私はスポーツトレーナーに憧れて、この世界に入りました。
でも、関わっている途中で「自分の思い描いていたことと違う」と感じ、勝手に諦めていました。
そこから、改めて目標を持ち、再スタートした道ですぐに出会ったのがJARTAでした。
(さらに…)

2015年06月12日

イタリアから見えた日本と自分

赤山 僚輔(香川県在住) / 理学療法士・(財)日本体育協会公認アスレティックトレーナー
(株)JARTAinternational 統括部長
JARTA認定スポーツトレーナー|SSランク
第2期イタリア研修参加|2014年9月
(さらに…)

2015年06月05日

日本はイタリアに勝てるのか!?日本の良さとは。

藤田 友和(大阪府在住) /  理学療法士
JARTA認定講師
JARTA認定スポーツトレーナー|SSランク
第1期イタリア研修参加|2014年3月
(さらに…)

2015年06月04日

イタリア研修第1期メンバーの思い

山岡俊也(大阪府在住)/ 理学療法士
JARTA認定講師
JARTA認定スポーツトレーナー|SSランク
第1期イタリア研修参加|2014年3月

Q1.なぜイタリア研修に参加しようと思いましたか?

サッカー強豪国の選手、トレーナーがどういったことをしているのか自分の目で確かめたかったからです。
また自分たちが持っているメソッドをどうやって選手、監督、スタッフに伝えるのか。
プレゼン力を鍛えたいという思いで参加しました。
今から思うと、正直到着するまでふわっとした気持ちでした。
肚がくくれていなかったのだと思います。
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Q2.イタリア研修に参加して得たもの、変化したことは?

①挑戦し続ける行動力
②全てポジティブに捉える心
③仲間の大切さ
④イタリア在住のJARTAアドバイザー吉田輝氏との出会い
ぼくが得たこと、変化したことは大きく上記4つかと思います。
①挑戦し続ける行動力
イタリアに行って丸裸にされました。
外国で荒手の痴漢に遭ったというわけではありません。笑
自分自身に対してなんとなく感じているけど、目を伏せてきた部分を無理やりさらけ出された感覚です。
行くまでは口では「失敗は成功のもとや」とはいいつつも挑戦する機会があるのに失敗したくない思いで無難にこなしていることなど多くありました。
しかしイタリア研修では挑戦しないと始まらない。
無難にこなすなんて選択肢はない状況です。
イタリア人や吉田輝氏と話す中で、これまで日本でやってきたことがどれだけ選手任せな(選手の理解に依存した)説明だったり、トレーニング指導だったかを思い知らされました。
この経験で本当の意味での「失敗は成功のもと」を理解し《挑戦し続ける行動力》を得ました。少し肝が据わったのかと思います。
②全てポジティブにとらえる心
現状の自分をさらけ出して100%出し切って失敗することで《全てポジティブにとらえる心》も得たかと思います。
 
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③仲間の大切さ
上記のような状態を一人で乗り切ることはできなかったと思います。
本音で意見し合える《仲間》がいたから乗り切ることができました。
今後日本でも挑戦し続けることに変わりはありません。
そんな時悩むことも多くあるので、すごく頼りにしています。
自分にない視点を与えてくれる存在はすごく貴重です。
助けてもらってばっかりですが、選手のためだったり現状を打開するためには必要なことなのでどんどん意見し合っていきたいと思います。
認定スポーツトレーナーの方ともそんな関係でいたいです。
④イタリア在住のJARTAアドバイザー吉田輝氏との出会い
この人の経験を聞くだけで、自分が何をちっちゃいことで悩んでるんだって気持ちになれます。
とても大きな視点を持っている元フットサル日本代表選手です。
あと目力がすごいです。これが本物の目だと思いました。
しっかり地に足つけて未来を見つつ今を生きてる人です。
吉田さんと話して、自分がどうなりたいのかを考えるきっかけになり、日本に帰ってからも将来について考えることが多くなりました。
自分探しに外国にいくとかよく聞きますが、外国に行くだけでは見えないと思います。
行って挑戦して、現状の自分という人間を知ることができると思います。
それをポジティブに捉えて今後の方向性も考えるきっかけになるんではないかと思います。
何か精神的な部分ばかりですが、自分にとっては本当に貴重な一週間でした。
もし認定スポーツトレーナーの中で迷っている方がいるなら、絶対に行った方がいいですよ。
山岡俊也

2015年06月02日

ズレた内的認識力の修正法

スポーツには好不調の波が必ず存在します。自分が担当しているチームや選手に痛みや違和感などのフィジカル的な問題がないにも関わらず不調を訴える選手がいる。
こんなときあなたならどうしますか?
 
JARTAトレーナーの岩渕翔一です。
 
スポーツパフォーマンスは大きく分けて3つの要素で構成されます。その3つがうまくバランスがとれている状態がいいパフォーマンスが発現する前堤条件になります。その3つの要素とは

  • フィジカル
  • スキル
  • 認識力

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このうち3番目の認識力には内的認識力と外的認識力という概念があります。
 

内的認識力とは

自身の身体や精神に対する認識力のこと。トレーニングやパフォーマンスの際に自身の身体や精神がどういった状態にあるのかを適切に認識する力を指します。意識下、無意識化それぞれ存在します。
 

外的認識力とは

内的認識力で認識されるもの意外を指します。試合当日の気候や対戦相手、試合の状況、チームメイトの状態、声、ボールやその他競技道具の状態などを認識する力です。
 
話を戻します。この認識力のうち内的認識力の“ズレ”はいわゆる調子の善し悪しに特に直結します。
 

内的認識力がズレた状態とは?

前述したように内的認識力とは自身の精神や身体に対する認識力です。これがズレた状態というのは実際に発現している動きと自分のイメージしている動き(感覚として捉えている動き)がズレている状態を言います。
実際に発現しているパフォーマンスと自身のイメージがズレているのですから当然思うようなプレーができないわけです。この動きやパフォーマンスのズレには2つのパターンがあります。
①イメージと実際の動きのズレを認識できていない
②ズレは認識しているが修正することができない
 
この2パターンのうちどちらのパターンなのかをまずは評価する必要があります。
①の場合は選手自身がズレを認識するためのアプローチが必要になります。
②の場合はズレを生み出している原因を選手自身が認識し、修正ポイントと修正法を提供するアプローチが必要になります。
 
いずれにしてもズレを選手自身が認識することがまず第一歩です。
 

ズレた内的認識力の修正法

内的認識力が高い状態というのは自身の身体や精神を適切かつ詳細に認識することができ(意識下、無意識下かはここでは置いておきます)、それがパフォーマンスに活かされていることが条件です。
つまり内的認識力の修正法とはそれ自身を高めることと同意になります。
まず基本的な内的認識力に重要なのはセンター(軸)の形成です。
センターが形成されることで適度に筋は緩みます。緩む事で筋紡錘がしっかり働く身体環境ができ体性感覚が高まります。
身体状態をフィードバックするには全身の体性感覚が活性化していることが必要です。そのためにはセンターが形成される必要があるということです。
 
JARTAではセンタリングトレーニングというセンター形成に有効なトレーニングを提供しています。
しかし、これだけで内的認識力を修正するに足りているかといわれればそんなことはありません。
例えば立位(JARTAでは一次姿勢と言います)でセンターが形成されている状態であっても実際のパフォーマンスでは力んでしまい内的認識力は発揮されないということは往々にしてあります。
そんなときに大事なのはやはり動作分析の能力と関係主義的にパフォーマンスを分析する力です。

  • 外的認識力の影響
  • 一次姿勢(立位)から三次姿勢(競技パフォーマンス)までを統合して捉える分析力
  • 各競技の動作分析能力
  • 競技パフォーマンスから一次姿勢までを関係主義的に捉え改善点を導きだす力

 
これらができて初めて内的認識力を修正するコンディショニングやトレーニングを適切に提供することができます。
重要な試合や大会に向けてコンディションや調子をピークに持っていくことをサポートするのもトレーナーの役割の一つです。
動作分析の質を高め関係主義的に捉えることでセンタリングトレーニングはいくらでも応用できます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
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2015年05月30日

活動報告〜高松商業高校バスケ部サッカー部〜

うどん県からこんにちは、JARTAの赤山です。
私は4月からうどん県での活動を開始しています。
今回は先日高松商業高校の男子バスケットボール部とサッカー部にトレーニング指導に行ってまいりましたのでご報告させていただきます。
2674686203949今回はどちらのクラブの監督からもトレーニング指導の依頼は

「身体の使い方を変えて欲しい」というものでした。

 
どちらのクラブの監督も既存の単純な筋力トレーニングによる弊害を感じておりパフォーマンス向上のために効果的な身体つくりを目的に介入が始まりました。
バスケ部は
・ジャンプシュート時の安定性
・ディフェンスフットワーク時の敏捷性
サッカー部は
・動き出しの早さ
・ヘディッグ時の競り合いの強さ
という具体的な依頼内容でした。

指導内容

今回は初回ということもあり違う種目のクラブではありましたがほぼ同じ内容の指導を行いました。
最重要項目として私が考えたのは股関節です。
バスケットであれば常に低い姿勢でディフェンスの構えを練習し、相反するように高くジャンプする際に身体を伸び上がらせるため股関節の柔軟性はかなり重要です。
サッカーはキック動作の軸足も蹴り足も股関節の捉え方が悪いとパフォーマンスだけでなく怪我にもつながります。
スペシャルなトレーニングの前に股関節の可動域を改善し捉え方を根本的に変えるとパフォーマンスは大きく変化します。
項目としては

  • 股関節ほぐし
  • インナースクワット
  • 股関節スクワット

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選手の反応

多くの選手がこのように股関節を徹底的にほぐしたり、意識することがなかったため即時的にジャンプしやすくなったり、走りやすくなったことに驚かれておりました。
監督からも翌日の試合の前や試合中に実施している選手がおり実感もありワークを継続していけそうだとの声を頂いております。
またバスケット部に関しては試合直前という事もあり、ねんざ予防けいれん予防のケア方法もお伝えしました。
IMG_0466選手たちには簡単なケアでバランスがよくなったり、身体感覚が変わる事が実感できたようで終始笑い声が絶えず楽しく指導をさせていただきました。
 
どちらのクラブも試合直前ですが、引き続き指導を継続していきますので今後の活躍にご期待ください。
 
最後までお読みいただきありがとうございます。

2015年05月28日

福島からイタリアへ。

佐原 潤 / 福島県在住 / 理学療法士
JARTA認定スポーツトレーナー|Aランク
第2期イタリア研修参加|2014年9月
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Q1.なぜイタリア研修に参加しようと思いましたか?

世界の舞台でなぜ日本がトップに立つことができないのか?なぜ日本人でも有望な人材がいるのに、世界で活躍できる人材がごく僅かなのか。
期待され海外に進出しても、負傷に悩まされ定着できないのかを深く考えるためでした。
育成のレベルから生で、その現場が見られるのが私にとって一番の経験になると考えたからです。
誰かの体験を聴いたりするだけじゃなく、実際の現場での空気を体感したかったのです。
こんな経験、福島の田舎に住んでたらまずできないです。
それに妻の一押しがあったからというのも大きいです。
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Q2.イタリア研修に参加して得たもの、変化したことは?

学んだこと、そして反省点みたいなが感じですが、JARTAという価値を買ってもらえるようなプレゼンが必要だと感じました。
映像を使用したり、自分たちのトレーニングが実際のこんな局面で発揮される実例のバリエーションを増やしたり、効果の統計も必要であると感じました。新しい価値を持ち込む難しさと楽しさがあると思います。
この導入の段階で相手の興味を引くことができれば、実際に行うトレーニングもより効果的に実施できると思います。
内容と説明は、できるだけシンプルがいいと思います。
その分、コーチとのやりとりでは深い知識が必要です。
自身が得たものは、場慣れです。
どんな場所でも緊張しにくくなり、自分が伝えたいことをしっかりと伝えられる様になった気がします。
一皮むけた感じです。
これは言っていいか悩みますが、最高の育成環境も、食うか食われるかの様な選手の貪欲さも学んで来ましたが、 一番根底で感じたものは、イタリアでも、日本でもプレゼンは同じだということです。
イタリアだから特別だとか、海外だから特別だと勘違いしがちでしたが、自分達の任務はJARTAとして、スポーツトレーナーとして最高のトレーニングを提供していくことが最大の目的であることを再認識しました。
 
佐原 潤
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2015年05月22日

活動報告 〜宝塚ジュニアFC(U-15サッカー)〜

今回は宝塚ジュニアFC(U15サッカー)のトレーニング指導の様子を報告します。
JARTAトレーナーの枝次です。
 
サポートトレーナー山岡とともに昨年8月よりサポートを開始し、2~3ヶ月に1回のペースでトレーニングの指導をしています。
 
監督の依頼内容としては、

  • スピードアップ(動きだし、トップスピード)
  • ウォーミングアップメニュー

この2つについてゲーム感覚で楽しみながらできるものを中心に指導してほしいとのことでした。
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ゲーム感覚でできるトレーニングの意図とは

 
監督は対象が中学生なので『楽しみながら』できることをポイントとしておられました。
なぜ楽しみながら行うことを重要視しているのか?
 
それは監督自身がトレーニングを継続することの重要性や難しさを理解しているからです。
楽しみながらできるトレーニングであれば日々の生活の中に組み込んでトレーニングできますし育成年代の選手でも続けやすいということがあります。
どんなにいいトレーニングでもやらなかったら効果はありません。

さじ加減が難しい

とはいっても楽しくゲーム感覚でトレーニングをするのはなかなか難しいモノです。
 
競争心をあおりすぎると身体が硬くなって意識してほしい部分が意識できなくて効果が半減することもあります。
 
競争心を出して盛り上がることは、悪い事ではないですがマイナスに働いてしまうこともあるので盛り上がり過ぎには注意が必要です。
 
また既存のトレーニングをゲーム形式に変えた場合、押さえるべき要素が多くなり既存のトレーニングより難易度が上がる場合もあります。
 
選手によっては前提となる身体の状態も違うので難易度が上がることで目的となる動作ができない選手も出てきます。
 
こういった点を理解した上で難易度に注意しながら指導しなければなりません。
 
トレーニング指導にあたり上記の部分ですごく悩みました。
 
ゲーム形式にしたことで難易度が上がってしまうことや、チーム全体に対する処方によってトレーニングの難易度が合っている選手とそうでない選手が出てくるということがあります。
そんな時に難易度を下げたトレーニングや全く別のトレーニングを紹介していくことも重要であると感じました。

トレーニング紹介

写真はJARTAでお伝えしているカットフォールという動き出しの速さを出すことを目的としたトレーニングです。
どんな動作をするかというと、その場に素早くしゃがみ込むというトレーニングです。
これを対戦形式にして、どちらが先にしゃがみ込むことができるかという簡単なゲームをしました。
大腿四頭筋の力みを抜くということがポイントになってきます。
選手にこの動きが競技のどんな動作に結びつくのかをわかりやすく説明することは難しいですが、すごく重要です。
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まとめと今後について

全てのトレーニングがゲーム形式というわけではないですが、基礎的なところのトレーニングの上にこういったゲーム形式でできる動きのあるトレーニングを入れています。
 
競争心(相手に負けたくないという精神状態など)という要素が入ることで注意すべき要素が多くなり選手にとっては難易度が上がることになるかもしれません。
指導を通して、難易度を下げたトレーニングや全く別のトレーニング、セルフコンディショニングを紹介していくことも重要であると感じています。
 
引き続き継続してチーム全員個々に合ったトレーニングの提案をしていきます。
 
今後の宝塚ジュニアFCの活躍にご期待下さい!!
応援よろしくお願い致します!!
 
最後までお読み頂きありがとうございます。
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2015年05月18日

アドバンスⅣ 詳細公開 〜前半編〜

【一流のスポーツトレーナーとして必須のメンタルタフネスの習得】

スポーツ選手は、日々相当な強さのストレスにさらされています。
これはプロであっても部活レベルであっても同様です。
レギュラーを勝ち取れるか、試合で活躍できるか、大事な場面で結果を残せるか。
スポーツトレーナーやスポーツリハビリとして選手をサポートする際、このような環境下にある選手たちと向き合う必要があります。
そのためには、我々スポーツトレーナーの立場にある者のメンタルタフネスは非常に重要となります。
スポーツの現場は、どんなに高い知識やスキルがあっても、自分のメンタルコントロールとコミュニケーションスキルがなければ生き残れない世界です。
そこでスポーツ心理学をベースにしたメンタルトレーニングプログラムでご自身の『スポーツトレーナーに必要なメンタルタフネス』を鍛え上げていただく機会としてください。
多くの選手に対して指導する際に緊張してしまう、指導者の方とうまく話せないなどの悩みにも対応している内容です。
※後半概要は近日中にご案内いたします。
前半内容|2日間
講師:石津貴代|Liet-Mental Conditioning 代表
①スポーツトレーナーに必要な「目標設定」と「在り方」
②コミュニケーション
指導者や選手と信頼関係を築き、コミュニケーションスキルを学びます
③自信の強化
自信がないと結果は出せません、そして選手の自信を育てるのもスポーツトレーナーの仕事です。自信の育て方を学びます
④緊張のコントロール
プレゼンや初めての場面での自分自身の緊張のコントロール、そして緊張している選手へのアプローチ方法を学びます
⑤集中力のコントロール
悩みや不安にとらわれず、常に良い集中力で業務をするための集中力のコントロール方法を学びます
⑥成功を妨げるメンタルブロック
急なモチベーションや自信の低下、逃げグセ、試合が近くなっての体調不良やケガなど、自分と選手の成功を妨げるメンタルブロックを学びます
⑦ネガティブな感情とストレスのコントロール
トレーナーは不安や怒り、焦りなどの感情をコントロールし、常に平常心を保つことが求められます。感情のコントロール方法と、過度なプレッシャーによるストレスを自分自身でマネジメントする力を身につけます。
日程
7/18-19、8/22-23|大阪
7/25-26、8/29-30|東京
ご都合に合わせて両会場間の受講も可能です。
詳しくはお問い合わせください。
募集定員:各16名前後
受講料:180,000円(早期割引および会員割引併用にて150,000円)
【お問い合わせはこちら】
※2017年認定試験からは認定資格取得の必須講義となる予定です。
講師プロフィール
前半
石津貴代|Takayo Ishizu
Lieto-Mental Conditioning代表
日本代表、プロ選手などトップアスリートからアーティスト、会社経営者・
教育現場でこれまでのべ5,600人以上のメンタルコンディショニングを行う。
プロ野球、プロテニス、競輪、格闘技、陸上競技、ラグビー等のトップアスリート、経営者やリーダー層のトップビジネスパーソンを中心に50名以上と個人契約。
20歳から10年間、地元FM局にてラジオパーソナリティとして活動。
スポーツ番組を担当し、自身でアスリートへの取材も行う。
多くのトップアスリートに出会う中、ここぞという場面で
メンタルが原因で結果を出せない姿を多く見る。
この経験から目標・夢を実現するための「メンタルの重要性」に気付く。
25歳でOLを辞め、メンタルトレーニング・カウンセリング・コーチングを学ぶ。
アイディアヒューマンサポートサービスにて浮世満理子メンタルトレーナーのもと、体操競技日本代表選手・プロテニス選手など多くのトップアスリートの現場にて実習を積んだ後、プロトレーナーとしてデビューを果たす。
歯科専門誌「アポロニア21」へのコラム連載の他、セミナー活動、
結婚相談所とのコラボレーションなど幅広く活動中。
オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/lieto1215/
オフィシャルサイト:http://www.lieto-mental.com
後半
中野 崇|Takashi Nakano
JARTA代表
主なサポートアスリート
海掘あゆみ、田中明日奈、鮫島彩|なでしこジャパン(女子サッカー)
野上亮磨、岡本篤志、菊池雄星|プロ野球
東城利哉|サッカー ブラジル1部リーグ
東城翔也|サッカー ポルトガル1部リーグ
吉田輝|フットサル元日本代表
横田陽介|フリースタイルサッカー(2008年 Redbull StreetStyle World Final 準優勝)
橋本恋|プロサーファー
など多数

2015年05月15日

講師紹介

JARTAのセミナーで講師をさせていただくことになりました、東海地区の高島公平です。
私がトレーナーを目指したのは高校生の時でした。
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高校時代、バレー部に所属しており、部の昇格をかけた試合前に怪我をしてしまい出場できなかったという経験をしたからです。
その後、理学療法士という職種を知り、理学療法士からスポーツに関わる道に進もうと決めました。
以前、「諦めるのはまだはやい」という記事を書かせていただいた際にもお伝えしましたが、私はこのようにスポーツと関わる道を目指してきましたが、一度その道に進むことを諦めています。
(同じように挫折した方は多いと思いますので、一度記事を読んでみてください。)
 
私は、JARTAと出会い、代表の中野と出会って、「すべてはパフォーマンスアップのために」ということや「パフォーマンスアップのためには手段は選ばない」という考えに共感し、スポーツと関わるために「トレーナー」という道に再度挑戦しようと決めました。
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一人では難しいことであっても、JARTAには多くの仲間がいます。
同じ地域の認定スポーツトレーナーだけでなく、全国の認定スポーツトレーナーが仲間になるのです。
少し前までは、トレーナー活動を全くしていなかった私も少しずつ経験を積んでいます。フットサルの選手やビーチバレーの選手、ラクロスのチームで経験させてもらっています。
同じように諦めてしまった人や一歩進もうとしているけどなかなか踏み出せない人に、セミナーを通して少しでも自分の経験をお伝えできればと思っています。そして、その中から一人でも仲間に加わってもらえればと思います。
5月31日の名古屋ベーシックセミナーで講師を予定させてもらっています。
それ以降にも少しずつ講師としての活動もさせていただきますので、よろしくお願い致します。

2015年05月09日

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ

平素よりJARTAの活動にご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。
JARTA認定スポーツトレーナーの認定試験(東京会場)の日程が決定しましたので、ご報告申し上げます。

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験概要(東京)

 

日時

平成27年6月7日(日)、10:00~16:00(受付開始は9:30~)
※受験者人数により終了時間が変更する可能性があること、ご了承ください。

会場

東京都内にて調整中

受験資格

アドバンスⅢまで受講が終了している方
※すでに受験済みでランクアップを希望される方は再受講が可能です。試験料金は通常と変わりません。

内容

アドバンスⅢまでの内容で筆記・実技試験、面接、事前課題
※詳細はお申し込み後に資料を送付致します。

試験料金

25,000円
※JARTA会員初年度年会費、ユニフォーム代を含みます。
※すでにJARTA会員の方は、15,000円にて受験可能です。
※認定者は自動的にJARTA会員となります。

2015年05月08日

なぜ理学療法士でスポーツトレーナーなのか

なぜ私が理学療法士となりスポーツトレーナーをしているのか。
それは【高校野球の甲子園大会のサポート】をしたかったからです。
 
JARTA認定講師の藤田です。
 
1987年生まれの現在27才で既婚です。
小学校1年〜高校3年まで野球をしており小学校ではキャッチャーを中学校からはピッチャーをしていました。
他に小学校では柔道と水泳、ミニバスケットもしていました。
性格は温厚な方だと思います。ただかなりの面倒臭がりであり適当なところがあります。よく言われるのは何を考えているのか分からないです。
モットーは常に笑う。
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ここから少し真面目な話をさせていただきます。
 
「なぜ自分がスポーツトレーナーになりたいと思ったか」
 
高校時代に肘を怪我ばかりしており本来のパフォーマンスを思う存分発揮できなかったこと、またチームにトレーナーがおりこんな仕事も良いなと頭の片隅にあったのがキッカケです。
高校時代は早く怪我を治したかったのですが実家近くに夜診をやっている病院がなかったため仕方なく接骨院に通っていました。そこでマッサージなどをしてもらっていましたがその場だけ良くなるという繰り返しでした。ですがこんな風に人と関われる仕事も良いなと高校3年性の時に思い、最初は柔道整復師を目指そうかなと考えましたが色々と情報収集をしていくうちに、甲子園大会には理学療法士しかサポートすることができないと知り直ぐに理学療法士になろうと決心しました。やはり高校球児を甲子園大会のサポートしたいという気持ちがかなり強かったです。
また自分は怪我ばかりしていたので「自分と同じような選手を出したくない」という思いもありました。実際に高校の同級生でレギュラーが腰椎分離症で練習ができなくなり、最終的には野球部を学校をも辞めてしいました。そこで怪我の怖さを知り、怪我は人生まで左右することだと痛感させられました。
 
就職先はアスリートにはほとんど関わることのない大阪でも俗に田舎と言われる地域のクリニックに就職し、高齢者を中心に仕事をしていました。高齢者の方々からお聞きする話は自分が経験できないような貴重なお話ばかりで凄く良い経験になりました。特に戦争の話は衝撃的で教科書には書いていない事も本当にたくさん聞くことができました。
 
「なぜJARTA なのか」
11212221_697807070331765_289320122_n(イタリア研修にてラツィオのユースカテゴリーの指導者や選手達)
 
代表の中野とは同じ草野球のチームだったことと、偶然同じセミナーを受講したことがきっかけで色々と話をするようになりました。
 
あのセミナーで中野に出会ったことで僕の人生は変わりました。
 
コンビニで昼食を買って一緒にご飯を食べながら様々な話をしたのを今でも思い出します。
そこで本当に様々な事を教えてもらい今までの自分の小ささに愕然とし、この人と一緒に仕事がしたいと思いました。
「結果的によくなったら何でもええと思う」という言葉は今も忘れないです。
この言葉で色々な悩みが吹っ切れました。
またJARTAには本当に志の高い仲間しかいません。常に刺激をもらえる最高の仲間です。遠くても想いが同じという仲間がいることは本当に心の支えになります。
私はJARTAを通して現在のスポーツ界の文化を変えたいと本気で思っています。
現在では様々な職種や団体、協会がありますがどこも否定しあったりで結局は選手のためでなく個々のことしか考えていません。
それでは選手やトレーナーのレベルアップにもなりません。このような文化をなくしていきたいと思います。
 

《最後に》

今の思いはやはり「自分のような選手を出したくない」というものがほとんどを占めています。
これは競技レベルは関係なく全年齢・全競技レベルに当てはめて考えていおり、怪我でその競技を諦めるという本当に悔いしか残らない思いは絶対にしてほしくないと強く思っています。
 
ダラダラとかなりの長文になりましたが、一言でいうと
【全競技レベル、全対象者に差別なく限りなく均等にサポートを行い怪我なく楽しく悔いがなくスポーツを行っていくのを全力でサポートする】
これが私の思いです。
JARTAではこの想いが必ず実現できると思っています。
それは最高の仲間がいるからです。
一人でできることもありますが限界があります。
何かを達成するときそれは隣に最高の仲間がいるときだと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2015年05月03日

トレーニングサポート報告〜玉川学園 硬式野球部〜

先日、新規依頼で玉川学園の硬式野球部のトレーニングサポートを加瀬と村上で行ってきました。
いかに選手・監督に伸びしろを感じさせる重要性を改めて感じました。
以下に内容を報告します。
茨城県で活動しているJARTA認定講師の加瀬です。
一日の流れ
①監督との打ち合わせ
②選手・監督・学生コーチを含めたトレーニング指導
・立甲
・みぞおち・肩助面トレーニング
・大腰筋トレーニング
・脊柱スパイラルストレッチ
・インナースクワット
・コモドドラゴン
・スパイラルスイング等々
(上記はアドバンス以降のセンタリングトレーニング含む)
③質疑応答・個別コンディショニング
という流れで行いました。
チームの要望として、立甲と障害予防というテーマでトレーニングをさせていただきました。

 伸びしろを感じさせる重要性

「難しくできないトレーニング→伸びしろです」
今回この言葉を話した時に、選手と監督の目の輝きが変わり、必死でトレーニングを行ってました。
選手のやる気や楽しみを引き出すためには・・・・・・
まだまだうまくなれると感じさせることが重要だと感じました。
特に、新しいトレーニングを行うときは、方法・意識するポイントを指導すると思うのですが、ここで意識するポイントをすべて一度に教えるのではなく、そのチームでの意識しやすい部分・意識しにくい部分を分けていく必要があります。
一度に多くのポイントを提供してしまうと選手の許容量を超えてしまい、トレーニングの効果が出なくなってしまうからです。
・意識しやすい部分→普段使っている部分
・意識しにくい部分→普段使えていない部分になります。
この二つはバランスよく指導していく必要があります。
片方に偏ると選手が身体の変化に気が付きにくくなってしまうからです。
常に身体に変化があるということを気が付かせることが、伸びしろを感じさせる要因と一つと考えています。
伸びしろを感じさせる要因はまだまだあります・・・・
一度機会があれば考えてみてください。

■最後に

今回のサポートでは選手・監督・学生コーチともに伸びしろを感じてくれたのか、楽しそうにトレーニングが行え、とてもよい雰囲気でサポートを行うことができました。
今後もJARTAでサポートしていく予定ですので玉川学園野球部の応援よろしくお願いします。
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2015年04月27日

JARTAアドバンスⅣのご案内

この夏、アドバンスⅣが初めて開講されます。
今回は募集開始に先立ち、その一部概要をご紹介したいと思います。
 
構成はこれまでのアドバンスと同様に前半と後半の計4日間です。
前半は、スポーツトレーナーのためのメンタルタフネスの習得。
後半は、代表的な競技の運動構造の分析と、それぞれの必須トレーニングの紹介です。
受講資格は、アドバンスⅢまで修了していることです。
※2017年認定試験からは認定資格取得の必須講義となる予定です。
 
【前半日程】
7/18.19|大阪
7/25.26|東京
 
【前半テーマ】
スポーツトレーナーのためのメンタルタフネス
 
特別外部講師をお招きしています。メンタルトレーナーとして活動されている石津貴代氏です。(詳細は下記プロフィールご参照ください)
スポーツの現場は、どんなに高い知識やスキルがあっても、自分のメンタルコントロールとコミュニケーションスキルがなければ生き残れない世界。
そこでスポーツ心理学をベースにしたメンタルトレーニングプログラムで『スポーツトレーナーに必要なメンタルタフネス』を鍛え上げる方法論を実践しながら講義していただきます。
※選手のメンタルトレーニングとしても使っていただけます。
 
 
【後半日程】
8/22.23|大阪
8/29.30|東京
 
【後半テーマ】
各競技の運動構造の解明と必須トレーニング
—これまで培った知識と技術を最大効力化するために—
 
JARTA代表の中野が講師です。
内容はアドバンス1から取り組んでいただいてきた構造運動学の具体化です。
関係主義的な比較論を用いながら、様々な競技の運動構造を紐解き、その競技で「最低これだけは必要」という必須要素トレーニングの紹介もします。
どんなトレーニングを指導するかを考える上で、その競技の運動構造を理解していることは、必須です。
その上で目の前の選手の運動構造を評価し、不足しているものを補うのがパフォーマンスアップのためのトレーニング指導の形です。
そもそも、「股関節が使えている」という評価は、何が基準となるでしょうか。
野球とサッカーで「股関節が使えている」は同じでしょうか。
また、例えばラグビーとアメフトの相違点と相同点を明確にあげることができますでしょうか。
このあたりが十分理解できていると、「マイナスの学習」をさせてしまうリスクは飛躍的に減少させられます。
 
 
お申し込み開始は、4月末〜5月上旬の予定です。
募集定員:各16名前後
受講資格:アドバンスⅢまで修了
受講料:180,000円(早期割引および会員割引併用にて150,000円)
 
お問い合わせはこちら
jarta.west@gmail.com
 
※2017年認定試験からは認定資格取得の必須講義となる予定です。
 
【前半日程】
7/18.19|大阪
7/25.26|東京
 
【後半日程】
8/22.23|大阪
8/29.30|東京
 
【講師プロフィール】
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◼︎石津貴代|Takayo Ishizu
メンタルトレーナー
Lieto-Mental Conditioning代表
日本代表、プロ選手などトップアスリートからアーティスト、会社経営者・
教育現場でこれまでのべ5,600人以上のメンタルコンディショニングを行う。
プロ野球、プロテニス、競輪、格闘技、陸上競技、ラグビー等のトップアスリート、経営者やリーダー層のトップビジネスパーソンを中心に50名以上と個人契約。
 
20歳から10年間、地元FM局にてラジオパーソナリティとして活動。
スポーツ番組を担当し、自身でアスリートへの取材も行う。
多くのトップアスリートに出会う中、ここぞという場面で
メンタルが原因で結果を出せない姿を多く見る。
この経験から目標・夢を実現するための「メンタルの重要性」に気付く。
25歳でOLを辞め、メンタルトレーニング・カウンセリング・コーチングを学ぶ。
アイディアヒューマンサポートサービスにて浮世満理子メンタルトレーナーのもと、体操競技日本代表選手・プロテニス選手など多くのトップアスリートの現場にて実習を積んだ後、プロトレーナーとしてデビューを果たす。
歯科専門誌「アポロニア21」へのコラム連載の他、セミナー活動、
結婚相談所とのコラボレーションなど幅広く活動中。
 
オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/lieto1215/
オフィシャルサイト:http://www.lieto-mental.com
 
◼︎中野 崇|Takashi Nakano
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JARTA代表
主なサポートアスリート
海掘あゆみ、田中明日奈、鮫島彩|なでしこジャパン(女子サッカー)
野上亮磨、岡本篤志|プロ野球
東城利哉|サッカー ブラジル1部リーグ
東城翔也|サッカー ポルトガル1部リーグ
吉田輝|フットサル元日本代表
横田陽介|フリースタイルサッカー(2008年 Redbull StreetStyle World Final 準優勝)
橋本恋|オーストラリアプロサーファー
関東ラグビーフットボール協会
など多数

2015年04月20日

実感を高めるために

実感してもらうこと

 
今回は育成年代のチームや選手に対してトレーニングを指導する際に大事なことについてです。
昨今トレーニングの方法はたくさんでてきています。
すごく効果的なものもありますが、方法だけを見て取り入れると、時にはパフォーマンスを下げてしまうことがあります。
方法だけを伝えて終わりというような指導を変えていきたいと常々感じています。
 
 
JARTA認定講師の山岡です。
 
 
トレーニング指導をする際に気をつけていることは、選手自身が身体の変化を実感しながら行うということです。
 
現在、岩田FCという U15のサッカーチームでトレーニング指導をしていますが、本当に日々実感してもらうことの重要さを感じています。
 

なぜ実感してもらうことが大事か

 
選手が実感したり、しようと身体に目を向けることで内的認識力を鍛えることにつながってきます。
 
JARTAでお伝えしている内的認識力とは、目的とする動作中に自分の身体がどのような状態にあるかを認識する力のことです。
 
この内的認識力を働かせないままトレーニングを続けてしまうと、目的としている効果を出せないばかりか、マイナスの学習として逆にパフォーマンスを下げてしまうことがあります。
 
トレーニングの目的は、あくまでもパフォーマンスアップのためであり、出したい動きを獲得するためのものです。
 
プラスの学習をさせるためにもしっかりと内的認識力の伴ったトレーニングをする必要があり、内的認識力を向上させる1つの要素として実感を持たせることが重要であると強く感じています。
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何を実感してもらうか

具体的に何を実感してもらうかというと、

  • 身体の何処が使いやすくなったか
  • または動きにくくなったか
  • その競技の動きとしてどう動きやすくなったか

 
この3点を主に実感してもらうようにしています。
 
 
トレーニングを指導して逆に動きにくさを感じる選手もいると思います。
それをどう解釈して新たな指導を考えるかの思考も大事になってきます。
 
集団で指導する場合、特に感じにくい選手に時間はかけずらいですが、こういった選手こそしっかり実感してもらえるようにする必要があります。
 

実際にどのように指導をしているか

 
できるだけ実感してもらいやすいようにプレゼン方法を考えています。
 
全体としては下記のような流れで変化を感じてもらうということが、とても重要だと感じています。
 
目的動作の確認→トレーニング→目的動作の確認
 
この流れの中で効果を感じられないとトレーニングを続けません。
何のためにしているのか目的意識が薄れ、ただ単にこなすだけのトレーニングになってしまいます。
 
またトレーナーの意図した変化を強要するのではなく、そういった変化が出ていない選手にも目を向けることが重要です。
なぜ変化が出ていないのかを考察し意図する変化を感じてもらえるように新たに口頭での指導を加えたり、アシストとなるトレーニングを指導する必要があります。
 
その他、トレーニング指導の際は身体の状態を認識させるような声かけをするようにしています。
上述した内的認識力です。(外的認識力については今回は省きます)
 
 

  • 重心がどこにあるのか
  • 余計な力みがないか
  • 目的部位に目的とした刺激が入っていることを感じられているか
  • etc

 
こういった点について声かけをしながら指導をしています。
どうやってするかと共に何を感じながらするかが重要です。
 

まとめ

トレーニング指導の際は、トレーニングをすることでどんな効果(動きの変化等)があるのかなどを実感できるように構成することが重要であると考えています。
 
方法論を伝えるだけでは選手のパフォーマンスは上がってきません。
継続して実感を重ねたトレーニングを積むことで内的認識力も向上してきます。
 
変化を実感しづらい選手に対しても、どうすれば実感できるのかを考え、別の方法、声かけで指導するということが重要です。
 
全てはパフォーマンスアップのために、何が効果的なのか常に考える思考も重要であるとつくづく感じています。
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最後までお読みいただきありがとうございました。

2015年04月11日

JARTA四国上陸

昨年から北海道・九州でのJARTAセミナーも定期的に開催され、本州以外でのセミナー開催は四国を残すのみとなっておりました。
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来月、ついに四国へJARTAが上陸致します。
ベーシックセミナーin Takamatsu 5月10日(日)
四国はうどん県からJARTAの四国での活動が開始されます。
四国は高校野球をはじめ、独立リーグやサッカーのJ2チーム、バスケのbjリーグのチームもありスポーツは盛んです。
 
本気で選手をサポートしている全ての方へ、JARTAは思いを届けに参ります。
 
全てはアスリートのために。

2015年04月07日

天理大学男子バレーボール部トレーニングサポート報告

今回は昨年10月より月1回のサポートをしている天理大学男子バレーボール部のサポート報告です。
JARTAトレーナーの藤田です。
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少しここで天理大学の紹介です。
天理大学は皆さんご存知のように「柔道」が圧倒的に有名ですね。オリンピックのメダリストがたくさんいます。現に私もサポートに行った際にはメダリストにお会いしました。
その他でいえば、バスケットボールや野球も有名です。
バレーボールはというとかつて強豪といわれ西日本一にも輝いていましたが最近ではその輝きも薄れてしまっていました。
昨年までは関西2部リーグでしたが今年より関西1部リーグに昇格しました。
 
練習時間は短く平日の授業終わりに2時間〜2時間30分ほどです。
練習内容は選手自身で考えて行い、トレーニングに関しても自分達に足りていないと感じているものを取り入れて行っています。
 

「やらされている練習ではなく、自分達で考えてやっている練習」です。

 
練習やトレーニングでの雰囲気も凄く良く、onとoffの区別がしっかりとしています。良い意味で抜くところは抜く、やるとことは全力でやるということをしています。トレーニングに関してもできない選手にはできる選手が積極的に教えることが当たり前の環境です。
 

そのため選手は本当に楽しそうにトレーニングを行っています。

 
男子バレーボール部からは
 

  • 股関節や肩甲骨周りのトレーニング(柔軟性向上も含む)
  • ジャンプ力の向上
  • ジャンプスピードの向上
  • 上手な身体の使い方
  • 不調の訴えがある選手に対してのコンディショニング etc

 
これらのことを依頼されています。
 
選手一人一人の評価を行うには時間がなく難しいため、一斉に同じ動作をしてもらい評価を行います。
そこで予想をたてトレーニング内容を立案し実施していきました。
基本的に天理大学でのサポートでは当日にトレーニング時間と希望するトレーニング内容を伝えられます。
そのため臨機応変に対応しなければいけませんし、トレーニングのメニューも豊富に知っておかなければいけません。
 
今後は障害予防も当たり前ですが、1部リーグでしっかりと成績が残せるように様々な角度からサポートしていきます。
今年の新入生は期待のできる選手が多く入ってきていますので、今後の天理大学男子バレーボール部から目が離せないですよ。
 
応援よろしくお願い致します。
 
 
 

2015年04月03日

120%の想いを伝えるぐらいの本気度が重要です

スポーツ選手はハイパフォーマンスを常に求めて行動しています。
ハイパフォーマンスに通じる道であるならば、それが遠い道筋であっても努力を積み重ねます。
 
あなたは、選手のトレーナーとしてのパフォーマンスを最大限に発揮していますか?
トレーナーとして知識、技術だけでなく、選手を良くしたいという想いは伝わっていますか?
 
東海地区を中心に活動していますJARTA認定スポーツトレーナーの田中紀行です。
 
スポーツには、個人に対してコンディショニングやトレーニングを提供するケースもあれば、団体において十分な時間をかけられない中で的確なアドバイスやトレーニングを求められることもあります。
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(写真:名古屋大学女子ラクロス部の練習前ミーティング)
 
団体でトレーニングする際には、そのチームの強みや弱み、プレーのスタイル等を理解した上で臨むことが重要になります。どんなに素晴らしい技術やどんなに豊富な知識があっても適切な場所で使えなければ意味がありません。適切な場所で提供するためには、情報収集は欠かせません。
 
では、ここで団体チームでの介入方法の基本的な一例をご紹介したいと思います。
 

チームの声に耳を傾ける

チームの声とは?
チームには、選手、監督、コーチ、トレーナーだけでなく支援するスポンサー、サポーターを含め多くの人が関わっています。
そこにはチームとしての共通の目的がありますが、そこに向かう方法は常に試行錯誤されています。選手に直接話を聞いた際に、監督やコーチとの方針が微妙に違うこともあります。
自分がトレーナーとして少しでも多くの情報を知っていれば、強みになりますし、知らなければ弱みになります。まずは、弱みを少なくする行動力が必要です。
 

情報を更新するツールを持つ

 
選手や監督をはじめとした関係者の方々と繋がりを持つことが重要になります。いまは、メールだけでなくブログ、Lineを始めとした様々なソーシャルネットワークサービスを手軽に利用できます。
情報を常に更新してください。
古い情報は役に立たないことが多いです。
 

120%の想いを届ける

積極的にアプローチをかけてくる選手ばかりではありません。しかし、小さなサインをたくさん出しています。
それを拾う努力が重要です。
『コンディションどうですか?』
『身体の使い方良いですね!』など
よほどの場面でない限り、一声かけられて嫌な気になること少ないと思います。
常にトレーナーとしてのアンテナをはり、視野を広く持ち、時間がある限り動きましょう。
その行動の積み重ねがあれば、あなたのチームに対する想いは伝わります。
トレーナーとして気を抜けるのは自宅でホッと一息ついたときですから…
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(写真:名古屋大学女子ラクロス部の練習時の動きをチェック)
 
この他にもいろんな方法があると思います。チームやあなたに合った形を常に模索してください。
そしてトレーナー同士そのような情報を共有できれば本当に素晴らしいです。
JARTA認定スポーツトレーナーは、そういった生の声をたくさん発信できればと思っています。
 
知識・技術だけで自己満足するのではなく、その武器を共有する方法をシェアすることで、多くのスポーツ選手のハイパフォーマンスを実現しましょう!
 
随時開催される東海地区でのセミナーでもそういった現場での体験談も織り込んでいきたいと思います!
東海地区のベーシック、アドバンスセミナーもチェックしてみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます!
 
【東海地区開催のベーシックセミナーはこちらから検索してください】

2015年03月31日

HP改定情報

先日のブログでも取り上げましたが、【JARTA 4クオリティ】を新たにHPにて公開しております。
>新・JARTAとは
JARTAコンセプト
 
また海外で活躍する選手やチームに対して我々の活動をご理解頂くために英語ページも作成しております。
英語ページ
 
ぜひ一度ご覧下さい。
 
それでは今後とも宜しくお願い致します。

2015年03月28日

クオリティを追い求めて

 
『質を高める』
 
こう聞くと皆様は何をイメージされるでしょうか?
 
何の質か?
どこまで高めればよいのか?
どうすれば高められるのか?
高めるのか?変えるのか?
JARTAの概念として4 Quality を今年からお伝えしています。

JARTA クオリティQuality Improvement in Four Areas

 
それに合わせて今回はクオリティをどう捉えるかという観点で書かせて頂きます。
 
JARTAの赤山です。
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JARTAでは方法論よりも結果を重要視します。
そのため最善と思わる方法にセミナー内容がアップデートすることがあります。
ここでいう結果は選手のパフォーマンス向上や疼痛の改善であり、そこには終わりのないクオリティを高めるという視点が4つ必要となります。
 

身体のクオリティ向上|Body Quality

動きのクオリティ向上|Quality of Movement

トレーニングのクオリティ向上|Quality of Training

トレーナーのクオリティ向上|Quality of Trainers

 
以上はどれが欠けても本質的な質の向上には繋がらないと私は考えます。
 
先日テレビでスキーの上村選手が何度チャレンジしてもオリンピックでメダルを獲得できなかった時、大会が終わった瞬間に『どうやったらオリンピックでメダルをとれるか分かりません』
 
というニュアンスの発言をされており、その後思考をシフトチェンジし改めて強化を開始された時の自分を鼓舞する言葉や周りのサポートについてはまさに終わりのないクオリティを追求する旅を体現しているなと感じました。
 
スポーツをしている限りこれでよしというのはありません。
もう仕方ないというのもありません。
 
選手は勝つためにトレーニングを続ける必要性がありますし、その方向性をよい矛先にむけさせるにはトレーナーやコーチあるいは家族の存在が非常に重要となります。
 
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選手をよい矛先に向けさせ、限りなくクオリティを高めるサポートをしていくには自分自身がトレーナーとしてクオリティを上げるしかありません。
 
クオリティを上げる思考や方法を準備するのは誰でもなくトレーナー自身だからです。
上村選手のように結果がある部分で伴わなくてもチャレンジし続けれたのもトレーナーやコーチ自身がクオリティを上げ続けていたからだと思います。
 
クオリティ
 
ないがしろにしていないですか?
 
 
最後までお読みいただきありがとうございます。

2015年03月24日

トレーナーとしてやっていくために必要なこと

トレーナーに必要なことが分かりますか?
JARTAトレーナーの藤田友和です。
今回は私の経験談をもとに、今後トレーナーとしてやっていくために必要なことの一部をお伝えしたいと思います。
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ポイントはひとつ

 
私は今までに野球やバスケットボールなどの現場でトレーナーとして活動してきました。
活動方法も様々でしたし、サポートに関わることになったきっかけも様々です。
そこでトレーナーとして関わることになったポイントが一つだけですがあります。
それは、「その場で結果を出す」ということです。
何としても、どんな手段を用いてでも「その場で結果を出す」。
これはJARTAが掲げている概念でもあり絶対に必要なことだと思います。
この結果を出すということには様々な要素が含まれます。
以前からお伝えしているように、その場で治すこと。また、指導力やプレゼン能力も結果を出すに値すると思います。
これらが【トレーナーとしてやっていくために必要なこと】です。
 
これは私の実話ですが、サポートをしていない監督から「肩が痛いから治してほしい」と他クラブのサポートをしている時に言われたことがきっかけでサポートが始まったこともありました。
 
話が少し脱線してしまったので戻します。
今回は「その場で結果を出す」という要素の中でも「治療技術」に関してお伝えします。
 

やることはいたってシンプル

 
私が関わってきたチームでの要望で一番多かったのは、ケガをした選手や身体に不調・違和感を覚えている選手のケア・コンディショニングでした。やはりこのような訴えの選手が多いとチーム力は低下し良い成績も残せません。また、個人レベルでみると少しでも身体に不調などの不安があるとパフォーマンスに大いに影響してきます。
 
そこで私が行ったことはいたってシンプルです。
とりあえずこのような身体に不調をきたしている選手を治してプレイできる状態にすること、ただこれだけです。それもその場で治してしまうということです。そして忘れてはいけないのは、選手や監督・コーチにセルフエクササイズを指導することです。
言うのは簡単ですが、これが難しいところですよね。
これができるようになると、選手もそうですが監督・コーチの心をつかむ事ができ、あいつに任せればなんとかしてくれると信頼関係を築くことができます。
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実際にあった例

 
ある合宿にサポートで入った時の話です。
ここに集まる選手は名の通った選手ばかりで、いわゆるエリート集団です。
 
そこでコンディショニングをした選手ですが、地方予選から本大会まで出場し続けている選手でプライドも高く、言い方が悪いですが偉そうな態度をとっていました。
症状を聞くと、痛みなどはどこもないが軸脚の股関節に詰まり感があり気になるとのことでした。チームにはトレーナーがおり、また学校の近くの接骨院などにも頻繁に通い身体のケアは十分にしていたとのことでしたが、この股関節の詰まり感だけは全くとれたことがないと言っていました。
なので、「どうせ誰にもとれないしやっても無駄ですよ」と言われました。
ただここで肝腎なのは、本当にこの詰まりをとっても良いのかということになります。この詰まり感があるおかげで彼はここまで成績を残してこれたのかもしれません。ですが、彼は「この軸脚股関節の詰まり感がなくなればもう一段階上のパフォーマンスを発揮することができると自分では分かっている」と自身に満ちた表情で訴えてきました。
 
そこで私は「じゃあ俺がとる」と言い切りました。
言い切ることもかなり重要です。
そこまでしてもまだ疑いの目で見ていた顔は忘れられません。
 
そこから要素主義的な考えでなく、JARTAでお伝えしている関係主義的に全てを捉え、評価・治療を行い結果見事にその詰まり感をなくすことできました。
 
どこでその詰まり感がなくなったのかと言うと「股関節」と「肩関節」のみです。
股関節と肩関節には様々な観点から繋がりがあります。
局所と全体を包括的にみることで症状と全身の繋がりが理解でき改善する事が可能となります。
 

まとめ

 
その時の驚きでキョトンとした表情は今でも忘れられません。
そこで身体は繋がっていることやセルフエクササイズの重要性を実感・認識してもらいました。
翌日のパフォーマンスも良いものを発揮していました。
 
人任せのケアやコンディショニングのみでなく、自分の身体は自分で管理することの重要性も伝えることができ、ますます期待できる選手に成長できたのではないかと感じました。
 
長々と書きましたが、必要なことはいたってシンプルです。
【結果を出し続けること】
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

2015年03月22日

北の大地から

3月27日(金)に通常のセミナーではなく北海道で講演が開催されます。
短時間でJARTAが知れる絶好の機会です。
北海道の皆様、中野に会いに札幌へ是非お越しください。
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2015年03月17日

諦めるのはまだはやい

 

もう一度目指してみませんか?

 
「スポーツ選手やチームに関わりたくて理学療法士を目指したのに理想と現実は違うな」、「スポーツに関わるのは狭き門」、「自分には無理だ」などと諦めた人たちはいませんか?
JARTA認定スポーツトレーナーの高島です。
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私自身、一度はスポーツに関わることを諦めた一人です。
だからこそ、「諦めるの早くないですか?」「無理ではないですよ」と言いたいです。
私が理学療法士を目指したきっかけというのが、スポーツに関わる仕事がしたいということでした。
しかし、学生時代や臨床に出てからスポーツに関わることが減り、いつの間にか「自分には無理なんだろうな」「難しいよな」などと諦めていました。
そういった状況の中で、様々なセラピストと出会い、JARTA代表の中野とも出会いました。
 
ここで挑戦しないと自分の中でもやもやした気持ちが残ってしまいそうな気がして、JARTAのセミナーに受講するようになり、認定スポーツトレーナーとなりました。
 
私は、臨床でスポーツ障害の患者様を何人か担当したことはありましたが、決して多くはありません。もちろんトレーナーの経験もないまま、セミナーを受講し、認定スポーツトレーナーまでなりました。
 
トレーナーの経験はJARTAからの依頼で、担当させて頂いている選手やチームのみです。
(フットサルやビーチバレー、ラクロスの選手やチーム)
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現場へ初めて出た時は、わからないことが数多くありましたので、JARTAのセミナーで教わったことはフル活用しています。ですが、セミナーだけでは足りないこともあります。
しかし、JARTAには、私よりもトレーナー経験のあるトレーナーが大勢います。セミナー以外でもためになる話を多く聞くことができ、現場で活かすことができます。
 
JARTAの認定スポーツトレーナーになれば、そういった心強い仲間ができます。
トレーナーだからといって決して一人ではありません。
 
だからこそ、もう一度言いたいと思います。

「諦めるのは早くないですか?」

「無理だと思うのはやめませんか?」

「挑戦するのは遅くないです。」

 
私にもできているからです!
 
JARTAの事業として、認定スポーツトレーナーの養成と現場の紹介があります。
 
私のように、認定スポーツトレーナーになるためのセミナーを受講し、トレーナー現場の紹介を受けているトレーナーも増えてきています。
少しずつJARTAの知名度も上がり、トレーナーの依頼も増えてきていますが、まだ十分に人数が足りているとは言えません。
一緒にトレーナーとして活動できる仲間が一人でも増えれば幸いです。
 
ベーシックセミナーは各地で開催されています。
JARTAがどういう団体なのか、どういったテクニックがあるのかなど気になっている方は、ぜひ参加してみて下さい。
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今、不安に思っていることも、少なからず解決できるはずです。
 
現在募集中のベーシックセミナーは、5月までの日程です。随時更新されていますので、こちらをご覧下さい。

2015年03月06日

木をみて森もみる

スポーツ障害に関わる上で痛みが出ている部位を注意深くみるのか、全体の使い方をしっかり改善していくのか。
徒手療法の世界でも局所の痛みを取るために直接的にアプローチするか、間接的にアプローチするのか議論はつきないと思います。
もうそろそろ選手のためにもそんな不毛な議論に終止符を打ちたいと思っております。
JARTAの赤山です。
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私は先月まで整形外科のクリニックに勤めて手術後の症例を非常にたくさん経験し、それと同時に手術に至らないスポーツ障害も多く経験しました。
 
その中で私が導き出した一つの答えが。
 
《局所も全体も大事》
 
 
え!?
 
と思う方もいるかもしれませんがそれが事実です。
 
そもそも痛みがある部位を注意深く評価して機能的になるように治療して・・・。
とか、全体の使い方を考慮して局所の負担が減るように、他部位からの筋膜や運動連鎖や経絡の流れを考慮して・・・。
 
と徒手療法の勉強会やスポーツのリハの勉強会で双方の意見をよく耳にしました。
 
一方を立てれば一方が立たずではないのです。
前者で解決しそこに問題の根源がある選手がいれば後者であることもあるのです。
 
治療者目線でアプローチを判断するのではなく問題の根源が何処にあるのかという事を常にフラットな視点で評価し総合的に痛みや不調が改善しパフォーマンスが向上する手段をとればいいのです。
 
俗に言う
『木を見て森を見る』状態と『森を見て木を見る』状態を重ね合わせる感じです。
 
しかしそれが難しく、問題の根源を局所にみるか他部位あるいは全体性にみるかは経験だけでなく多くの視点が必要です。
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JARTAセミナーでは何度も『関係主義』という言葉がでてきます。
 
痛みやパフォーマンスを構成する要素をバラバラに捉えて一つ一つの要素だけを解決するのでは問題は本質的に解決しないのです。
 
要素間の関係性や痛み・パフォーマンスとの関係性を考慮し治療・トレーニングしてこそ本質的な問題解決となります。
 
局所も全体も統合的にみるような視点が増えてから選手を取り巻く問題を解決する思考が非常にスマートになったと感じます。
 
アップデートしたセミナーでは新しい手技だけではなく問題の根源を探る関係主義的動作分析を導入しております。
 
自分の偏った評価の視点を自覚できると思います。
 
選手をよくするには手技よりも評価が大事。
 
最近強くそう思います。
 
 
最後までお読み頂きありがとうございます。

2015年02月28日

「子供達の将来を守るために〜怪我の少ない身体の使い方を考える〜」

2015年2月21日、千葉県市川市にある千葉商科大学にて、関東ラグビーフットボール協会普及育成委員会(JERFU)主催の指導者研修会に、中野代表とJARTA認定スポーツトレーナーとして赤山、加瀬、奥田、川西、佐原が参加してきました。
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今回のプロジェクトは非常に大がかりなもので、「怪我の少ない身体の使い方を考える」ことをコンセプトに約100名以上のミニラグビー指導者の方に参加して頂きました。その内容を報告させて頂きます。
JARTA認定スポーツトレーナーの佐原潤です。

研修会にかける私の思い

ラグビーでも、様々なスポーツにおいてもコンタクトスポーツは、一般的に「体格差=マイナスのイメージ」が非常に強いと思われます。
私は高校ラグビー時代、埋めようがない身体的ハンデに非常にコンプレックスを抱いていました。体格的なハンデを埋めるため、フィジカルトレーニングに明け暮れ、過剰なほどに食事を摂り体重を増やしていった結果、最終的には怪我に悩まされ続けました。
私はJARTAに出会い、体格的に恵まれず夢を諦めかけた選手に少しでも光を見せることができるトレーナーになりたいと思い認定スポーツトレーナーを目指しました。
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その第一歩として、今回の研修会でジュニア世代の育成に関わることができ、指導者の現場での率直な意見が聞けるため、強い思いを抱いて臨みました。

Priority as a coach?(コーチとして何を優先しますか?)

研修会のある場面での指導者の方への質問でした。あなたならばこの質問にどのように答えますか?
ラグビーは勝たなければ意味がないと考える指導者も非常に多いと思われます。しかし、子供達は目先の勝利だけを考えプレーに臨むべきでしょうか。
子供達には希望に満ち溢れた将来があります。
将来、日の丸を背負って世界で戦う人材を育成するためには、Safety(安全) > Fun(楽しさ) > Win(勝利)を優先しながら子供達と向き合っていく必要性があるのです。
 

JARTA理論から考えるラグビーとの繋がり

研修会では、低学年から高学年と幅広い年齢層の指導者の方が参加しています。
中野代表の講義では、各年代に応じた「手段」と「目標達成レベル」を選択の重要性を伝えていました。
未熟な筋骨格系のジュニア世代では、フィジカル系のトレーニングよりも、身体の使い方を指導する方が望ましいと思われます。
また、ジュニア世代は身体も非常に柔らかく、神経系の発達が著しく成長する時期です。
そのため、
①身体操作能力(重心操作能力)を向上させる。
②内的認識力の向上。
③良い部分の伸びしろを伸ばす。
以上のことが指導において非常に重要なポイントになります。
特に③においては、「指導者の言葉には想像以上に選手のパフォーマンスに影響している。」言い換えれば、安易にプレーの良し悪しだけで判断する指導者では選手の伸びしろを潰すだけでなく、子供達が求めるスポーツ本来の楽しさを奪っている可能性があるということです。
まさに「心・技・体」であり、身体的パフォーマンスのみならず、精神的サポートもジュニア世代からの育成は非常に重要なのです。

JARTA認定スポーツトレーナーとして

1人の認定スポーツトレーナーが約20名の指導者の方をサポートしました。ミニラグビー指導歴約1年から、長い方で10数年の方にトレーニング指導を行いました。
フィジカル勝負で戦ってきた歴史と伝統あるラグビーの世界に、JARTAの理論が導入されることに、序盤はやや戸惑いが隠せない様子も見受けられました。
実際に指導者の方は、「その身体の使い方はラグビーのどの局面で生かされるのか?」という質問が非常に多くありました。
しかし、選手のパフォーマンスを構成する要素を分解し、関係的に捉えることによってその質問を解決することが可能となります。
例えば、タックルという動きを分解した際に、

  • しゃがめない(重心を下げることができない)から入ることができないのか?
  • 上がることができない(重心を上昇させることができない)から入ることができないのか?

このように、連続動作を分解して考えるという方法です。
これはJARTAセミナーで私達に中野代表が強く伝えてきた部分でもあります。
また、忘れてはならないのは子供達が楽しんでトレーニングに臨むことです。
年代に合わせた遊びの要素を取り入れ、トレーニングをアレンジしていく重要性も再認識しました。

まとめ

ジュニア世代の育成に関わることは非常に重要なことです。この成長が著しい時期に少しでも良い方向へ選手を導けるか否かは、トレーナー、指導者に重大な責任があります。安全で楽しみながら、勝利を目指す。
理想論かもしれませんが、
スポーツを通して子供達の将来を守ることができるのは、私達トレーナーや指導者の役目だと思いませんか?
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2015年02月24日

続々満員御礼!JARTAベーシックが殺到している3つの理由

 

  • スポーツトレーナーに憧れたことはあったが、今はもう諦めている。
  • 将来、スポーツ選手をみたいと思っているが、どうしていいかわからない。
  • 現在スポーツトレーナーとして活動しているが、もっと技術を高めたい。
  • スポーツトレーナーとして通用する技術や考え方を知りたい
  • スポーツトレーナーには興味がないが、JARTAの技術は気になる。

これらに当てはまる方は、今回のコラムを読むとそのヒントを知ることが出来ますので、しっかりとお読み下さい。
北海道の認定スポーツトレーナーの犬尾です。
 
現在、JARTAセミナーで最も人が集まるのは「ベーシックセミナー」です。
犬尾コラム
おかげさまで、「ベーシック」が3月までの予定ですが、続々と定員で締め切りになる会場が出て来ております。
特に、「2015年」からのベーシックが熱いのです。
今回はその人気セミナーの秘密を「3つの理由」として犬尾の目線からお伝えしていきます。
 
JARTAベーシックが人気の「3つの理由」とは…
1日でJARTAの全体像を知ることが出来る。
JARTAの新要素(2014年との違い)
個性豊かで魅力的な講師陣
 

①1日でJARTAの全体像を知ることが出来る

ベーシックの一日に、実はJARTAの全てが詰まっています。
JARTAは「概念」「考え方」を大切にしていますが、すぐに使える「テクニック」も魅力です。
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JARTAベーシックは、「概念」と「テクニック」が絶妙なバランスで構成されているのです。
その「概念」は主に3つです。
弛緩力・格定力
全てはパフォーマンスアップの為に
統合化トレーニング
 
実はこれら3つのコンセプトが、JARTAのスゴさを物語っています。
 
これらのコンセプトは、単に「スポーツ選手」にだけ適応される狭い概念ではありません。
むしろ、今医療機関で活躍されているリハビリ職者にも治療家にも十分に活かせる内容であるところが人気の理由でもあります。
 
そして更に「テクニック」です。
 
現場で選手にも通用するその技術は、誰にでも習得可能です。
それだけではなく、習熟度を上げれば時間や場所のない現場で、より短時間で大きな結果を生み出す可能性を持っています。
 

②JARTAの新要素

ここが2014年までのベーシックセミナーと大きく違う部分です。
それが「T-レフストレッチ」です。
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「T-レフストレッチ」の意味は、「T=トレーニング」レフとは英語の「refined」をさし、緻密とか厳密という意味がありラフプレーのラフの対義語になります。
そのため「T-レフストレッチ」はトレーニングにつながり、動きをレフ化できるストレッチという事で単なるストレッチだけではない効果が期待できます。
 
 
■目的
・身体環境づくり:弛緩力を使いこなすことが出来る身体を作ること
・身体各所の違和感
・痛みを緩和すること
・短時間で身体の状態を改善すること
これらはすなわち究極の身体に載っていたセンターを形成することにつながり、全身を統合化する土台を整え、連動性やバランスの向上につながる。
 
実際のベーシックでの「T—レフストレッチ」テクニックは4つです。

  • 頸部(5秒)
  • 肩(5秒)
  • 大腰筋(5秒)
  • 股関節(5秒)

 
この新しい要素が、殺到している理由の1つです。
 

③個性豊かで魅力的な講師陣

もう1つの魅力は、講師陣にあります。
JARTAの講師は、代表の中野だけでなく、全国で名前も轟き活躍する個性豊かな講師が揃っています。
北海道から九州まで。
参照)セミナー講師紹介
それぞれの分野で、すでに大きく活躍している認定スポーツトレーナー(SSrank)が全国を飛び回り講師をしています。
一人一人が強い信念を持っていますが、そんな彼らが代表中野の強い想いに共感して集まった同志達です。
 
実際に、JARTAのセミナーでは「この講師に会いたい」という理由で受けにこられる方もいらっしゃるほどです。
 
そして、これは代表中野が大切にしていることであり、私犬尾も強く意識していることが「仲間としての繫がり」です。
 
ベーシックはセミナーに出たら終わりではありません。
 
むしろきっかけに過ぎなく、そこから仲間として繫がり、「JARTA」を通して志しの高い繫がりが広がっていく。
それがJARTAの成し遂げるミッションである「JARTAのトレーナー育成」と「トレーニングサポート」に繋がっていき、いつしか、JARTAがスポーツ界に与える大きな影響の輪にも繋がっています。

 ベーシックに出ると得られる「確信」

これが、JARTAセミナーが殺到している3つ理由です。
JARTAベーシックで、あなたが現場で気になっている悩みや不安を払拭できる答えが見つかるかもしれません。
 
すでに、3月の札幌会場は「定員」になり締め切りとさせて頂きました。
 
全国で他の会場でも、今ならまだ若干数空きがございます。
 
現在募集中のベーシックセミナーは、3月から5月の日程となっております。
 
ご参加可能な日程と会場をご確認の上、今すぐ申込フォームからお申し込み下さい。
現在募集中のセミナー

2015年02月20日

認定スポーツトレーナーの先にあるモノ

いつも公式ブログをご覧頂きありがとうございます。
JARTAの赤山です。
現在、JARTAではセミナーを受講し認定試験に合格すればJARTA認定スポーツトレーナーとなる事ができます。
しかしセミナー中に我々が繰り返しお伝えしている事は、とって終わりの資格でも受講して終わりのセミナーでもありません。
 
目的は常に選手のためであり、我々自身も選手に負けないくらいアップデートしていく必要性があると強く感じております。
 
そのためセミナー内容も今回のようにアップデートする事もありますし、新しい情報のシェアや仲間である認定スポーツトレーナー同士の繋がりをかなり重要視しています。
(もちろん受講生同士の繋がりも)
JARTA Tシャツ
また更新していくセミナー内容や現場での問題点を共有し、高いレベルでのスキルアップを図るために義務研修を年に2回開催しています。
 
第1回の義務研修は昨年8月に大阪で開催し、次回は下記が詳細になります。

第2回義務研修

■日時:3月14日(土) 10:00~16:00
■場所:東京都内にて調整中(申込み後に連絡)
■内容(変更する可能性あり):代表の中野、講師の赤山が担当
・T-レフストレッチ
(今年より始まった新しい手技)
・動作分析実習
(バージョンアップしたセミナー構成でアドⅠ以降登場する関係主義的動作分析)
・指導演習
・プレゼン練習
■講習会費用:15,000円
※義務研修では日本赤十字社で開催されている救急法の基礎講習(心肺蘇生・AED他)の受講を必須としております。今回の内容は救急法の講習は含まないため、3月14日までに個人で受講していただくよう、お願い致します。
赤十字社の各都道府県支部にて開催されております。(開催頻度は地域により異なります)
下記は東京都支部の講習案内となりますので、ご参照ください。
http://www.tokyo.jrc.or.jp/application/kyukyu/kiso.html
 
今後、年2回開催される、義務研修のどちらかに参加する事が資格更新条件となります。
※今回は事前通知ができていなかったためこのセミナー未受講でも剥奪とはなりません。
更新のための参加というより、現場での問題点をシェアしつつ新しい思考を認定スポーツトレーナーの方々とシェアできる事を楽しみにしております。
 
当日参加される方はよろしくお願い致します。
 

2015年02月15日

腐らずにプレイし続けることの大切さ

試合に出場できないなどで不貞腐れて練習をさぼったりしている選手と関わることがあると思います。
今回は異国の地でそのような境遇にあるのも関わらずプレイし続けている選手についてです。
 
 
JARTAトレーナーの藤田です。
 
 
イタリアサッカーチームのVigor(ヴィーゴル)でプレイしている仲井康大選手から嬉しい報告がありました。
彼のプロフィールはこちら
http://calciofantastico.com/about_cf/player/
公式戦に初出場をしたとのことです。
それもスタメンでフル種、そして3アシストも決めたと報告がありました。
 
 
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彼との出会いは約1年前のJARTAイタリア研修でした。
彼はイタリアサッカーチームのVigor(ヴィーゴル)でセレクション生として参加しており、JARTAトレーナーとしてチームにトレーニング指導を行ったのがきっかけでした。
その後、日本へ帰国してからトレーニング指導を行い始め継続的にサポートをしていくようになりました。
現在はイタリアでプレイしているため直接指導はできませんが、動画やメールでのやりとりでサポートをしています。
 
 

現在の立ち位置

セレクションでの結果は見事に合格→契約となり、彼が小さい頃から夢見ていたイタリアでプレイすることができました。
 
昨年6月より単身渡伊しサッカー漬けの日々を送っています。
 
しかし選手登録がなかなか進まず公式戦には出場できないという状況が約8ヶ月続きました。
試合に出場できないということは試合感覚が低下してしまい、出場しても思うようなプレイができなくなる可能性が高くなります。
また試合での反省を生かしてどのようなことに取り組めばいいのかとい目的や目標も定めにくくなります。
 
 

前を向き続けた結果

しかし彼は本当に18才と思えないくらい冷静に自分の立ち位置を理解していました。
 
環境やチームに慣れるまで本当に様々な苦労があったと思いますが、腐らずに前を向き続けやっとの思いで出場できた公式戦で3アシスト。
 
『今自分の置かれている状況は』
『今何をしなければいけないのか』
『今の自分は何が足りないのか』
『今後試合で出るようになればどうしないといけないのか』
 
イタリア人と口喧嘩をするくらい自己主張をして自分のプレイスタイルを伝える。
感じたことは言わないと(伝える)誰も分からない。
これらの事を怯まずに続けてきたからこそ今回のような結果があったと思います。
彼とのやりとりで感じたのはまだまだこんなもんじゃないと、これからは貪欲にゴールを決めにいくという熱い思いです。
 

最後に

腐らずに前を向きプレイし続けることは難しいかもしれませんが、それをしなければ何も始まりません。
それは確実に誰かに届いていますし結果として出ます。
結果がでなくてもそれは自分の成長の糧になります。
 
やり続けること。
本当に大切ですので是非選手と関わる上で常に考えてみてください。
 
これからの仲井康大選手の活躍にご期待ください。
そして応援よろしくお願いいたします。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2015年02月09日

姿勢指導がパフォーマンスを悪くする

どのスポーツ競技においても、基本姿勢が存在します。
基本姿勢というのは、その姿勢だと良いパフォーマンスを発揮しやすいというその競技における理にかなった形です。
その中で、「姿勢の悪い選手」と「姿勢の良い選手」の議題が良く出現します。
では、姿勢の良い選手がみんなパフォーマンスが高いのか?
と言われると、それはそれで疑問が生じます。
姿勢が悪いから、良い姿勢を取らせようとさせることを、我々トレーナーや指導者はさせがちです。
 
北海道のJARTA認定スポーツトレーナーの犬尾です。
 
僕達がイメージしている機能解剖学的な「良い姿勢」がイコールでハイパフォーマンスに繋がる訳ではない。
トレーナーが意識しなくちゃいけないことは、形を良い姿勢に当てはめることではなくて、
「その姿勢が、その人の身体のパフォーマンスにおいて、目的に合致した姿勢であるかどうか?」
 
このトレーナー側の「姿勢の定義」が非常に重要になってきます。
 

自分がよくやっていた昔の失敗例

 
いわゆるスポーツ動作指導の代名詞、スクワットやランジ動作の姿勢で例えます。
その時の脊柱が、生理的湾曲に近い形を保つことを意識して教えていました。
 
骨盤が後傾して腰椎が後湾したり、逆に前湾し過ぎてたりしてないか。
そして、横から見てスネと体幹が平行であるか、など。
膝が、内側に入りすぎないでつま先と平行、など。
 
よく聞く話だと思いますし、もちろん、教科書的にはそう指導するのだと思います。
 
なのに、選手全員を自分の解剖学的なイメージに当てはめていると、上手く行かない例がたくさん出てきます。
スクワットの形が上手く出来る選手が、必ずパフォーマンスが高いわけではないし、ケガしないわけでもない。
スクワットの形が崩れていても、動きが早かったり、強かったり、上手かったりする選手もいる。
無理にその形に当てはめても、逆に動きがぎこちなくなったり、動きづらいと訴える選手もいました。
 
そういう選手は、結局僕の言うことを聞かず、いつのまにか自分の動きやすいスタイルに戻してしまいます。
 
なぜだか、わかりませんでした。
 
ここには、何か根本的に自分の姿勢指導に対する定義付けが違うのではないかと疑問を持ちました。
 

ハイパフォーマンスにおける良い姿勢の定義

 
考えれば、当たり前の世界です。
そもそも、一人一人骨の形態や骨格が違います。
また、その人の筋肉のバランスや癖、脳内のイメージまで挙げれば切りがないくらい一人一人が違うのです。
 
そうすると、例えば股関節のニュートラル1つでも、人によって角度が違うのも当たり前です。
 
肩関節のニュートラルが一人一人違うのも当たり前なんです。
 
ニュートラルが違うのに、こっちの勝手な解剖イメージで形に当てはめる練習をしたところで、無理が生じるだけです。
無理が生じるだけならいいですが、マジメな選手ほどそれを練習し、「マイナスの学習」に繋がっていく可能性もあるわけです。
 
 
では、「ハイパフォーマンスの良い姿勢」とはどんな状態なのでしょうか?
 
思いつくものを列挙してみます。
 

  • 疲れない姿勢、楽、省エネ
  • 筋、精神的緊張のない姿勢
  • 安定感がある(本人の中で)
  • 美しい(外見)
  • 骨で立っている感覚
  • 動きやすい。次の動作が出やすい
  • 体が緩んでいる、力みがない
  • 素早く動くための姿勢
  • 崩れても、戻って来れる(動かないという意味ではなく)
  • etc.

これらの条件とは、スポーツにおけるハイパフォーマンスが出やすい状態です。
犬尾姿勢指導①
 
 
つまり、「良い姿勢」の形を作ることではなくて、いかにこれらの条件を発揮できる姿勢を作ってあげられるか?
これらが発揮できていれば、見た目形の優先順位は下げてもいいのです。
 
犬尾姿勢指導②
 
見た目上ネコ背のように見えても、勝手にダメだと決めつけずに、拘らないことです。
そう定義付けを変えたことによって、犬尾は楽に指導することが出来るようになりました。
 
 

まとめ

 
「良い姿勢」とは、見た目上でコチラの勝手なイメージで形に当てはめていくことでは、選手は苦しくなります。
姿勢は外から当てはめるのではなく、
「その姿勢が、その人の体のパフォーマンスにおいて、目的に合致した姿勢であるかどうか?」
 

全てはパフォーマンスのために。

 
試しに、姿勢を見る時に「骨格のアライメント」ではなく、違った視点で見てみて下さい。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。
 

2015年02月03日

筋力トレーニング時のパワーと競技パフォーマンスとの関係性

筋力トレーニングを苦痛に顔をゆがめながら、自分自身の限界までの負荷量で行なった経験はありませんか?
 
JARTA認定スポーツトレーナーの浦波です。
 
最大筋力を向上させるためには、筋力トレーニングにおいて当然ながら最大限に近い負荷量で行なうことが常識だと思います。
事実、歯を食い縛り全身が苦悶にゆがめばゆがむほど、中枢からのインパルスは増大し、神経筋単位の活動数と水準が高まった結果、大きな筋収縮を引き起こすことが可能となります。
 
そしてこの事実は、強大なパワーを発揮するためには苦悶に全身をゆがめる必要があることを意味しています。
つまり働かせたい筋の神経筋単位をより多く、より高い活動状態にもっていくためには、ある種の中枢の興奮が必要であり、中枢がそのような興奮をするためには、全身がある種の興奮状態を必要とすることになります。
 
具体例として、膝関節伸展の最大筋力を発揮する際、片脚の大腿四頭筋という筋群は、全身の筋の僅か10%以下にすぎませんが、この筋群を働かすだけのために、全身の協力が必要ということになります。
 
筋力トレーニング時のパワーと競技パフォーマンスとの関係性1
 
では実際の競技中に筋力トレーニング時のような最大筋力を発揮できるのでしょうか?
 
答えは、パワーリフティングなどの最大筋力を発揮することを競い合うような競技を除き、「NO」となります。
筋力トレーニング時に発揮される身体各部のパワーは、同じ個人が競技中に発揮する身体部分のパワーよりも大きくなります。
 
その理由として、筋力トレーニング時には、
・ 特定の筋力発揮に意識を集中できる
・ より大きい筋力を発揮するための負荷をかけることができる
・ 中枢の興奮を支える心身の状態を作り出すことができる
などが挙げられます。
 
このように、特定の筋力発揮という目的のために心身をなり振り構わず動員した際のパワーを、「粗制的パワー:Rough Power」、略して「ラフパワー」と呼びます。
よくある事例として、肉体改造などでラフパワーばかりを強化してしまった結果、かえってスキルが低下して怪我が多くなった選手を皆さんもご存知かと思います。
 
その一方で、特定の筋力発揮を他の何らかの認識(思考、表情、視認、動作など)と統合した状態に発揮されるパワーを「精制的パワー:Refined Power」、略して「レフパワー」と呼びます。
競技中には常に最大筋力を発揮し続けるような局面は存在せず、自分自身の重心位置や最適な筋出力の調整など、いわゆる内的認識力を働かせることが必要となります。
 
そのためパフォーマンスとの関係性を考えた場合、内的認識力を働かせたレフパワーの存在が重要となります。
 
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こちらの写真は私が現在関わっている女子モーグル日本代表の村田愛里咲選手のフルツイスト(後方伸身宙返り1回捻り)というエアですが、日本の女子では村田選手しか行なうことのできない難度の高い大技であり、ラフパワー優位での成功は難しいことが推測されます。
 
実際、村田選手はフルツイスト時の手の動かし方と足の意識を頭の中でイメージするトレーニングを行なっており、まさに内的認識力としてのレフパワーとパフォーマンスの関係性が重要であることを意味しています。
 
JARTAセミナーではパフォーマンスに繋げるレフパワートレーニングとして内的認識力を高めるトレーニングや様々なセンタリングトレーニングをお伝えしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2015年01月29日

北海道からJARTA初の試み

JARTAのミッションは、トレーナーの「育成」と「トレーニングサポート」という2本柱からなります。地域で、そのミッションを効率的に質の高い形で進めるための新たな試みを紹介させていただきます。
 
北海道の認定スポーツトレーナーの高塚です。
 
JARTAでは現在、関西・関東を中心に、全国でセミナーを展開しています。その他地域では、北海道・東北、東海、九州に分かれており、その地域ごとに活動することも多くなっています。
特に、本州まで海を渡る必要がある北海道では、セミナーの回数、受講者の方や認定スポーツトレーナーの人数を考えても関西・関東と同じ形を取っていても思うように結果が出ないのは目に見えています。
 
そこで我々が考えたのが、練習会の開催です。
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(1月27日、札幌市内で第1回の勉強会が開催されました)
目的は、3つあります。

  • セミナーで、得た知識やテクニックを、現場でも使える確実な物にする
  • アップデートされていくJARTAの理論・方法を共有することができる
  • 仲間意識、横のつながりを強くする

 
認定スポーツトレーナーはもちろん、ベーシックセミナーに受講された方から参加可能となります。ただしフォローの質を考えて、1回の開催につき参加は10名までとさせていただきます。
 
JARTAはセミナーを受けて、認定資格を取って終わりではありません。
スポーツ現場に、選手一人一人に確実に貢献することができる質の高いトレーナーを数多く輩出できるシステム作りをこれからも考えていきます。
 
今後も北の大地から、スポーツトレーナーの世界に風を起こしていきます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
PS.チーム北海道の熱い絆です!
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2015年01月22日

科学的根拠について

JARTA代表の中野はセミナー会場や指導の場で、「選手は科学的根拠など1mmも必要としていない」と話します。
 
JARTAには「すべてはパフォーマンスアップのために」というコンセプトがあり、この中には結果を出すためには手段を選ばないということが含まれています。
この真理はどういうことなのでしょうか。今回は科学的根拠についてある側面からお伝えしていきます。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
 
「選手は科学的根拠など1mmも必要としていない」
「結果を出すためには手段を選ばない」
 
JARTAのセミナーに参加されたことがある方や、JARTA認定スポーツトレーナーと関わりのある方は、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは中野が現場でリアルな経験を重ねた上での、言わば選手目線に立ったときにトレーナーとして必要な心構えです。
 
先に結論を言ってしまいますが、科学的根拠(エビデンス)を軽視している訳では決してありません。「知っていて当然。その上をいけ!」という意味です。少なくとも私はそう捉えています。
 
JARTAは主に理学療法士、作業療法士から構成されるトレーナー団体です。国家資格であるPT、OTがその分野のエビデンスを重要視するのは当然です。専門職として医療に携わる以上、知っておく責任があるからです。
では医療における科学的根拠とはなんでしょう?
 

医療科学について

「科学とは何か」に関してはあまりに壮大なテーマであるため、ある側面からお話します。
まず医療行為を支えている科学、いわゆる根拠に基づいた医療(EBM)を支えているのはほとんどは確率的情報です。確率的情報とは「Aという病気には◯◯という治療法が△△%の確率で効果的である」というものです。
 
つまり症状に対して最も効果的な(確率の高い)手法を「エビデンスがある」とか「エビデンスが高い」という表現をします。
確率的情報で構成される医療科学に絶対はなく、どれだけ高いエビデンスのある方法もイレギュラーが必ず存在します。100%や万能な方法はないってことですね。これはみなさん実体験として感じていると思います。
 
また、科学的研究は厳密に設定された一定の条件のもと実験・検証を行います。実際の現場ではこの一定の条件を再現することは限りなく困難です。
科学で証明されているものは現実に起こっていることのごくわずかです。これは科学者が言っていることです。
 
科学的根拠などないのに人は当たり前にそこに存在し、スポーツを見て勇気をもらったり感動したりしていますよね。科学は科学的には証明できないものを「科学的ではない」と表現します。しかし現実は科学的に証明できないものだらけです。
もっと言うと科学化されていないことを解明していく作業こそ科学化するということになるのです。
 
ということは、エビデンスに基づくだけでは限界があることがわかると思います。何より既存のものにとらわれていては新しいものを生み出す事ができません。
 

トレーナーとしての覚悟

つまるところ選手は切羽詰まっているのです。
・ パフォーマンスを上げたい
・ 身体にある痛みをどうにかしたい
・ 現役を続けたい
・ プロになりたい
・ 勝ちたい
1分1秒でも早く結果を求めています。そういった選手の気持ちを代弁したのが「選手は科学的根拠など1mmも必要としていない」「結果を出すためには手段を選ばない」という考え方です。
 
トレーナーとして選手を支える覚悟を持てという意味です。繰り返しますがエビデンスを軽視しているわけではありません。
知っていて当たり前だと言うことです。逆に言えばエビデンスを知らないのは話にならないということです。
 
知った上で目の前にいる選手やチームのために、手段を選ばず最善最良の方法を施し、とにかく結果を出すことにフォーカスしようということです。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
科学的根拠について

2015年01月16日

トレーナーがチーム力を上げる方法

トレーナーは、トレーナーの役割があります。しかし、自分の与えられた役割さえしていれば、物事は上手く運ぶとは限りません。
 
どの社会も、個人が自分のことだけを考えて、自分の仕事だけをしていると組織は必ず機能しなくなります。
スポーツにおいても、ただ目の前の自分の仕事をこなすのと、チーム全体像を関係主義的に把握した上で自分の役割を果たすのでは意味が違うのです。
 
今回のコラムを見ることによってあなたは、チームパフォーマンスを「下げるトレーナー」にならずに済みます。 それどころかチームパフォーマンスを「上げることができる1ランク上のトレーナー」になることが出来ます。
 
北海道のJARTA認定スポーツトレーナーの犬尾です。
 
JARTAコンセプトで関係主義を理解することが出来ると、スポーツに限らずチームビルディングの要素を多角的に捉える視点を持つことが出来るようになります。
「良いチーム」と「悪いチーム」は何がその命運を分けるのか、考えたことがありますか?
 
結論から申します。「良いチーム」は必ず「良い前提条件」を持っています。その「良い前提条件」とは、「個の成熟」と「信頼」です。組織の戦略や体制などではないのです。
その理由を、「良いチーム」と「悪いチーム」を要素分解して比較することによって明らかにしていきます。
 
 

徹底比較

「良いチームとは?」を挙げてみたいと思います。

  • 個人×個人=大きな力を生む
  • 個々がやるべきことを分かっている
  • 個々が主体的に動いている
  • チーム内でバランスがとれている(チーム内での個々の役割と全体のバランス。ポジション別、レギュラーとベンチ、監督とトレーナーなど)
  • 組織の戦略が機能している。
  • 人間関係が良好
  • 共通目的、共通認識を持っている
  • チームを応援、支援してくれる存在がいる
  • 敵チームとのライバルとして切磋琢磨の関係(良い関係)
  • 社会的にも、貢献活動をしている(プロ選手の慈善活動など)etc.

 
一方「悪いチームとは?」を挙げていきます。

  • 個人×個人=何も生まれない、もしくはマイナス
  • 個々が自分の役割ややるべきことが明確でない
  • 個々が受動的、依存的に動いている
  • チーム内のバランスが崩れている(個々の役割に対する偏り。足りない能力、空いているポジションが多いなど)
  • 組織の戦略が全く機能しない。いつも上手く行かない。
  • 人間関係がギクシャクしている。
  • 共通目的や共通認識はない。お互いを知らない。
  • チームを応援、支援してくれる存在がいない
  • 敵チーム、ライバル関係の存在がいない。もしくは関係が良くない。
  • 社会的貢献どころか、自分達のことしか考えていない。etc.

 

違いは、前提条件にあった

ここに共通している根本的違いを見抜くことが出来たでしょうか?前提条件の違いは、「個の成熟」と「信頼」です。
 
「チーム」とは何で構成されているかというと、「人の集まり」です。
その「チーム」の最小単位は「個人」です。人間が1つ1つの細胞から出来上がっているように、チームも「個人」が集まって出来ているのです。
 
良い細胞が集まれば健康的な人間になるし、悪い細胞がたくさんあれば不健康な人間になりますよね。前提として、この「チーム」の最小単位である「個人」がどう在るべきかが命運を分けます。
例えば、「良いチーム」の個人の特徴は、確実に「自立、主体的に行動」しています。個人の目的を持っていたり、自分の言動行動に責任を持っているということです。
 
「悪いチーム」の個人の特徴は、確実に「依存的、受動的な行動」であります。自分で考えず、責任を追わず、言われたことだけをこなします。そこに自分の目的や目標はなく、やるべきことが不明瞭。何かあったら他人や環境のせいにします。
 
もう1つの前提条件は「信頼」に大きな違いがありました。
「チーム」とは「個人」の集まりです。ということは、「個人」と「個人」の間には「人間関係」が存在します。
この「人間関係」を強めたり弱めたりするのが「信頼」です。「良いチーム」の個人間の特徴は、信頼関係が築けていることです。
 
それは、お互いの個の尊重であったり、コミュニケーションであったり、人柄だったり、能力の認め合いです。「悪いチーム」の個人間の特徴は、「不信感」が存在することです。
自分が尊重されず、他人を尊重しない。個人の人間性に問題があったり、能力の低さが不信感を生むのです。
 
あなたが、それを変えていく存在になるのか。助長する存在となるのか。それは、あなたの言動行動次第となります。
 
 

まとめ

トレーナーが本当にチームのパフォーマンスを向上させる要因になるためには、選手や組織を多角的に捉える視点が必要でした。その中で、「良いチーム」には「良い前提条件」が存在しました。
 
なぜその選手は勝てないのか?
なぜ、そのチームは伸びないのか?
 
これをトレーナー側も、「良いチームの条件の理解」「広い視点」を持つことによって、関わり方が必ず変化するはずです。
 
ここを感覚的だけで過ごすではなく、ポイントを理解しながら日々を望むことが出来れば、再現性を持って「チームに必要な存在」になれます。
 
 
P.S JARTAのメンバーは、個人が主体的であり、個人間に信頼があります。それは、代表の中野が率先してそういうチーム作りをしているからです。
トレーナーがチーム力を上げる方法
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

2015年01月07日

下肢スポーツ障害の評価 としての「しゃがみ込み」

みなさんは床にしゃがみ込むことが出来るでしょうか?今回はスポーツ選手の簡易的評価となるしゃがみ込みについて考えてみましょう。
 
JARTAの吉田です。
実はしゃがみ込みが出来ない選手は下肢障害を起こすリスクが非常に高くなります。
 

しゃがみ込みにはたくさんの要素が必要

これは私がスポーツ選手に行う一つの下肢機能評価です。この評価だけで非常に多くの下肢の要素を分析することが可能です。
まずは正しいしゃがみ込み動作のポイントを3つお伝えします。まずこちらのしゃがみ込みをご覧ください。
 
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1.足がしっかりと床についている(踵が浮かない)
2.背骨をまっすぐにしても倒れない
3.腕の力が抜けている
これらの3つのポイントを抑えたしゃがみ込みが出来ればスポーツが出来るレベルの最低限の下肢機能が備わっていると判断します。
以下、その理由を説明します。
 

1.足がしっかりと床についている

これには足関節が大きく関与しています。
背屈に関して10度程度しっかり背屈可動域がないと下肢障害を起こす可能性が高くなります。十分な背屈がなければ膝、股関節、体幹までにもCKCで余計なストレスをかけます。
 
想像してください。ジャンプ着地の際に足関節背屈制限があると、他の関節に負担がかかると思いませんか。
 

2.背骨をまっすぐにしても倒れない

背骨をまっすぐにした状態で耐えるということは、背骨と股関節をつなぐ大腰筋が働くことになります。
大腰筋がスポーツ動作において最重要の筋肉になるのは言うまでもありません。その最低限の出力を見ているの、後ろに転んでしまう方は要注意です。
 

3.腕の力が抜けている

背骨が十分な可動域があることが必須です。背骨を動かす感覚のない選手は後弯という位置関係(背中を丸める事)がわからない人もいます。
ということは、常に背骨の可動域の半分を失った状態でスポーツしていることになります。新しい背骨の感覚を入れることにも適しています。
 
できない方の代償運動としてはこんな姿勢ですね。
下肢スポーツ障害の評価1
・踵が浮いてしまう
・体を前のめりにする
・後ろに転んでしまう
・体中が力む
・そもそもしゃがみ込めない
みなさんはどうでしょうか?
 
冒頭にも説明しましたが、スポーツをする上での最低限の下肢機能の評価です。
シンスプリント、ジャンパー膝、グローインペイン、腰椎分離症などのスポーツ傷害を抱える選手やその可能性がある選手は9割程度このしゃがみ込みがうまく出来ません。(私が見ている限り100%に近いです。)
選手はスポーツをするスタートラインに立っていないのです。
 

まとめ

今回はスポーツ下肢機能評価のしゃがみ込みを紹介しました。
チーム全体にしゃがみ込みをして傷害予測をすることも行なっています。JARTAトレーニングを積めばこのしゃがみ込みも容易に可能になります。なじみのない選手には一度試してみてはいかがでしょうか?
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2015年01月01日

新年のご挨拶

謹んで新年のお祝いを申し上げます。
 
講習会を受講して下さった皆様をはじめ、スポーツ関係者の方々には本当にお世話になり、ありがとうございました。
2015年もJARTAスタッフ一同、ますます精進して参ります。
 
若輩者の私たちですが、今年も昨年同様のご厚情を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
皆様のご健康とご繁栄を心からお祈り申し上げます。
 
2015年元旦
JARTA
代表 中野 崇
スタッフ一同

2014年12月31日

JARTAアドバンス1|詳細

JARTAアドバンス1の内容がリニューアルしましたので、詳細をご紹介致します。

JARTAアドバンス1で学んでいただけること

真に選手に貢献できるトレーナーとして、欠かせない考え方

JARTAでは、「どんな手段を用いてでも選手のニーズに応えること」を主軸としています。
 
プロセスや科学的根拠を重視する姿勢はもちろん重要です。
しかし、そのプロセスや科学的根拠に固執して、選手のニーズに応えられなければ何の意味もありません。アスリートが求めているものは、「最良のパフォーマンス」です。
 
JARTAでは全ての講習会を通して、あらゆる手段を尽くして選手の要望であるパフォーマンスアップに貢献するための考え方、スタンスを習得していただきます。
 

動作分析の徹底(構造運動学、多重中心構造の理解)

スポーツ動作の分析は非常に困難だと言われています。しかしスポーツ選手のパフォーマンスを向上させていく上で、最も重要なことは目で見て動作を分析できることです。
 
動作が分析できていなければ、何が問題で、何を改善させればパフォーマンスが向上するのかが的確に指導できないことは言うまでもありません。
的確でないことは、選手に無駄な努力を強いるリスクにもつながります。
 
つまりそれはトレーニングがパフォーマンスアップにつながらない可能性を含んでいるのです。
それぐらい、動作分析は重要なことであり、逆にそれを武器にできるということは非常に大きなことと言えます。
 
JARTAアドバンス1では、スポーツ動作の分析において最重要とされる、「構造運動学」「多重中心構造」を原理とした動作分析を徹底的に練習し、習得していただきます。
 

「教えて終わり」の講習会ではありません

JARTAの講習会の目的は、「真に選手に貢献できるトレーナーを養成すること」です。
JARTAの事業としても、認定スポーツトレーナーに対して現場の斡旋を行っています。
 
ですので、講習会中も、参加者方々の身体の使い方や意識をどこに向けるかなどをしつこく指導します。必要なら全員に講師が施術の体験をしてもらいます。前半と後半の期間には、宿題も課します。
 
トレーナーは、「選手の伸びしろを伸ばすこと」が仕事です。つまり、選手に上達の方法を教えるのです。
そしてそれは自分自身の上達の方法を知ることにもつながります。
 

選手にトレーニングの手本を示す意味

JARTAでは、選手に指導するトレーニングは必ずトレーナー自身が高いレベルで手本を提示できることを要求しています。
理由としてトレーナー自身がそのトレーニングの習得プロセスを体験しておくこと、自分が出来ない動きは指導することが難しいことが挙げられます。
また、JARTAのトレーニングは、運動構造がとても複雑であり、言葉で説明してもなかなか理解出来ない側面があります。
 
それはスポーツ動作で要求される動きが複雑であることと同義です。
 
例えばマシーントレーニングは、単純な動きだから誰でも簡単に指導できるのです。しかしマシーントレーニングのような単純な動きは実際のスポーツの局面ではほぼ見られません。
スポーツにおける人間の動きは、良いパフォーマンスほど、マシーンでは再現できるような単純な構造ではないということです。
 
JARTAアドバンス1では、トレーニングの比率が増え、その習得プロセスも徹底的に学んでいただきます。
 

概要

構成|4日間
■JARTAコンセプトの更に深い理解
■トレーニング目的設定(時間軸・空間軸・目的軸・対象軸・程度軸からの設定)
■コンディショニング
・股関節
・膝関節
・足関節、足部
・下腿部
・仙腸関節(関節系)
・肩甲骨(筋系)
・肘・上腕(筋系)
・手指関節・手根骨(関節系)
 

統合化トレーニング|JARTAセンタリングトレーニング

どんな競技のアスリートにとっても必須となるトレーニングを習得できます。
フィジカルだけに偏ったトレーニング思想を打破し、スキルと認識力も同時に統合化するトレーニング理論と方法論、プロセスにて、これまでつなげることが困難だったトレーニングとパフォーマンスの関係を結びつける方法論です。
 
競技特性に分化する以前の必要となる根底的な身体の使い方、それを習得していることで、競技別トレーニングや競技能力そのものの質を劇的に高めることが可能となります。
 
〈アドバンス1で習得していただく統合化トレーニング課目〉
・立甲(上肢系)など
・センタリングプッシュアップ(上肢系)
・フロッグ(上肢系)
・インナースクワット(下肢・体幹系)
・フローティングダウン(軸とバランスの強化・構築)
※これらを習得するプロセスとして、アシストトレーニングが追加されます。
 

動作分析(立位・歩行)

構造運動学、多重中心構造という理論を根底とした動作分析の方法と、それを元にした動作改善プロセス
 

課題図書

「スポーツ・武道のやさしい上達科学」高岡英夫著
難解ですが、必ず一度は目を通してきて下さい。
 

お申し込みはこちらから

※ベーシック受講済みまたはお申し込み済みの方に限ります。
JARTA会員加入はこちらから

2014年12月29日

ベーシックセミナーアップグレードのお知らせ

年明けに開催が予定されているJARTAベーシックセミナーでは、これまでお伝えしていたトレーニング理論や方法論に加えて、さらにT-レフストレッチという概念により内容がグレードアップします。
T-レフストレッチという新しい概念、少しだけ下記にて説明しています。
 

JARTAベーシックの講義内容

〈結果の出せるスポーツトレーナーになるために〉
1.『JARTAコンセプト』を学ぶことで、結果の出せるスポーツトレーナーとしての最低限の知識と技術を身につけることができます。
真に選手に貢献できるスポーツトレーナーを志す方は絶対に知っていただきたい内容です。
 

JARTAコンセプトとは?

① 弛緩力|身体を機能的に使える幅を広げる。柔軟性・しなやかさ・キレとパワーを両立するために必要な概念。
②全てはパフォーマンスアップのために|コンディショニングとトレーニングの関係性、選手の要望とトレーニングの関係性。手本の重要性の意味。選手を本気にさせるために必要なこと。
③ 統合化トレーニング理論|パフォーマンスアップに直結するトレーニングの意味。その必要性。既存のトレーニングの問題点とリスクについて。やればやるほど下手になる、マイナスの学習について。
 
2.実技
①T-レフストレッチ(スポーツコンディショニングの新しい概念)
首、肩、大腰筋、股関節の4部位それぞれに対して、柔軟性とパフォーマンスアップの両立を実現するための施術、痛みの解消の為の施術を習得していただきます。
スポーツ現場では、迅速性・場所を選ばない、ということが要求されます。ベーシックでご紹介する4つのテクニックは、それらに対応可能な形で1セットとして使用していただけるようにデザインしてあります。(もちろんリハビリ現場でも多大に活用していただけます)
②統合化トレーニングメソッドである、JARTAセンタリングトレーニングを習得していただきます。
・立甲の習得方法、指導方法、獲得意義(0ポジションとの関係)について
 
*JARTAセミナー講師陣は、オリンピックアスリートやセリエAサッカー選手、女子サッカーなでしこジャパン、プロ野球選手、プロ格闘家、プロボクサー、大相撲力士、海外で活躍する日本人選手などのコンディショニングとトレーニング指導を任されている理学療法士たちです。
テクニックや考え方だけでなく、スポーツ選手に対する姿勢なども実際の経験をもとに学んでいただけます。
*当セミナーを受講されますと、JARTAアドバンスコース受講資格が授与されます。
*JARTAアドバンスコース修了者は、“JARTA認定スポーツトレーナー”としてJARTAに登録することができ、限定セミナーやスポーツイベント、スポーツ現場紹介サービスをご利用いただけるようになります。
 
【お申し込みはこちらから】

2014年12月28日

中村友亮選手(アグレミーナ浜松)のトレーニングサポートのご報告

現在、JARTAからの紹介で、フットサルのアグレミーナ浜松に所属する中村友亮選手のトレーニングサポートを担当していますので、ご報告させていただきます。
 
認定スポーツトレーナーの高島です。
 
中村選手は、身長154cmでスポーツ選手の中ではかなり小柄な選手です。周りとは体格差はありますが、スピードを武器としフットサル日本代表に選出されています。
 

サポート内容

1.コンディショニングサポート

練習や試合を通して出てきた身体の不調や違和感、痛みに対するケアを行うとともに、選手自身でケアが出きるように指導を行っています。
 

2.立位姿勢(1次姿勢)や歩行(2次姿勢)の改善

スポーツ動作は3次姿勢に当たります。よりハイパフォーマンスを目指すためには、その土台となる1次姿勢や2次姿勢をよりよいものにしていく必要があります。
介入当初、中村選手は1次姿勢のただ立つということに関しても、疲れやすい感じや力んで立っている感じを持っていました。
中村友亮選手(アグレミーナ浜松)のトレーニングサポートのご報告1
 

3.弛緩力・格定力・内的認識力を高めていく

余分な身体の力みなどは故障の原因となるだけでなく、パフォーマンスを落とす要因にもなります。接触プレーや武器であるスピードを活かすためにも重要なことです。
中村友亮選手(アグレミーナ浜松)のトレーニングサポートのご報告2
 
以上の3つを主体にし、トレーニングサポートを行っております。
 
約半年が経過する中で、1次姿勢・2次姿勢は変わってきました。第三者が見たときの変化だけでなく、中村選手自身も日常生活や練習、試合を通して変化を実感できるようになってきています。
 
今後は、さらにより良い状態に変化させていくだけでなく、中村選手自身が目指しているプレーへと近づけるようにサポートしていきます。
今後の中村選手の活躍をさらに期待していただきたいと思います。
中村友亮選手(アグレミーナ浜松)のトレーニングサポートのご報告3

2014年12月23日

トレーナーがチームバランスを崩す

団体競技においても個人競技においても、そこに「人」が存在する限り、ハイパフォーマンスを実現する上で、もはや個人だけの戦いでは解決できません。
では、トレーナーはどうして目の前の選手のパフォーマンスだけを見ているだけではダメなのでしょうか?
 
これを理解することによってあなたは、「選手・チームの勝利になくてはならない存在」になることが出来ます。
今回は、あえてネガティブな事例を通して、そこから「トレーナーが持たなくては行けない視点」を学んでいきます。
 
北海道のJARTA認定スポーツトレーナーの犬尾です。
 
前回の話から、チームのハイパフォーマンスを実現する上では、「要素主義」ではなく「関係主義」の考え方が必要でした。
参照) スポーツパフォーマンスをあげる3つの要素
 
「関係主義」を使うためには、ハイパフォーマンス実現に必要な「要素」を分解・理解し、それぞれの関係性が頭の中で繋がっている必要があります。
従来、トレーナーの役割とは、選手のフィジカル・メンタルなどパフォーマンスアップを実現するために存在しますよね。
ですが、陥りがちなのが「目の前のことだけに集中してしまう」ことです。
選手のフィジカルが強くなり、個人のパフォーマンスが良くなれば、チームは勝利する訳ではありません。
 

事例

ある野球選手Aさんが、もっとパフォーマンスをアップさせたいとチームの練習以外に、プライベートでパーソナルトレーニングを始めました。
もちろん、そのAさんが元々所属する野球チームには1名トレーナーが配属されています。
 
しかし、チーム内には選手がたくさんいるため、チームで1人のトレーナーに見てもらう時間は限られています。
そのため、Aさんはプライベートでしっかりと見てくれるパーソナルトレーナーを探したのです。
 
パーソナルトレーナーは、Aさんのフィジカルを劇的に向上させ、Aさんの信頼も絶大に高まりました。
Aさんは、そのパーソナルトレーナーの言うことを信用するように、チームのトレーナーの言うことはあまり信用しなくなりました。
 
やがてAさんは、チーム内での練習では、チームのトレーナーが考案したトレーニングをどこか無意識的に、テキトーにこなすようになりました。
それからチーム内で選手同士の会話で、Aさんは「このトレーニングは、意味ない」などと批判するようになったのです。
 
トレーナーがチームバランスを崩す
 
そうなることによって、他の選手にも影響が出始め、全体的に練習の質が下がり始めました。
結果的に、チーム全体の練習とトレーニングの質が下がりました。
 
監督も、パーソナルトレーナーの存在を知らないために、どこで問題が生じたのかを把握することが出来ずに、選手の「練習の質」が下がったことだけに目を向けました。
やむ終えず、選手達のトレーニングを向上させるために、「体制・管理・規制」を強化せざるを得ませんでした。
 
「管理・体制」を強化するということは、不満・不信を呼びます。
Aさんは個人的な実力は向上したにも関わらず、結果的に、チームは試合の時に「なぜか上手く行かない」「勝てない」という事態に陥ったそうです。
これは、私がオリンピックにも帯同するメンタルコーチに話を聞きにいった時に教えてくれた実話です。
 

トレーナーが全体像を把握できていなかった

こう全体像を見ると、色々な問題点が浮き彫りになってきますが、その中で「パーソナルトレーナーが自分の担当する目の前の選手のパフォーマンスアップしか見ていなかった」ことが一因として挙げられます。
もし、このパーソナルトレーナーがチームの全体像も把握して考えることが出来ていたら、Aさんに対する言動・行動、アプローチ方法は変わっていたはずです。
 
また、チーム専属トレーナーも、もし選手一人一人の理解や信頼関係を築いていたら、パーソナルトレーナーの存在にも気付いたり、何か戦略やアプローチ方法は変わっていたはずです。
つまりトレーナーが選手と関わるということにおいて、チームパフォーマンスの関係主義的把握を出来ているかどうかは、「結果に大きく左右する」ということです。
 
次回は「良いチーム」と「悪いチーム」は何が違うのかを要素分解、比較します。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

2014年12月18日

捻挫後の関節のゆるさをゆるめて改善する

不安定な関節が症状をもたらすとされる、足関節靭帯損傷や膝蓋骨脱臼、肩関節脱臼・腓骨筋腱脱臼等は構造的な破綻をきたしています。
そのため既存の治療方法では手術や固定するように強化したりバランストレーニングやテーピング等補助具を利用するのが一般的であります。
 
しかしそこにもゆるめる概念が応用出来ることを皆様はご存知でしょうか?
 
JARTAの赤山です。
 
私は手術センターを持つ整形外科グループに勤めている関係で上記疾患の手術後も保存症例もよく経験します。
私自身も5、6年前までは、不安定性がある関節に対しては時期をみて手術するしかなく、それまではテーピング等で固めたり、強化をするしかないと考えていました。
 
関節がゆるいと硬めるしかないのか1
 
どうしても時期的に保存で対応しなければならない症例を多く経験するなかで、構造的な破綻が軽度であれば機能的な不安定性を充分に改善出来るすべがあることを知りました。
その答えはやはりゆるめることにあったのです。
 
例えば、膝蓋骨脱臼であればもちろん膝蓋骨のモビリティは大きくお皿が外方に偏位しやすくなっているのですが、股関節の適合性をよくしたり、股関節の外転外旋方向への可動域が改善できるようにすれば即時的にお皿の外方への移動量を少なくすることができます。
これはいつもJARTAでお伝えてしているキーマッスルである大腰筋をゆるめることでも可能となります。
 
一般的に関節弛緩性がある、高いと思われる場合でも脊柱や骨盤の動きが硬い選手はよく見受けられます。
足関節靭帯損傷の場合も内反捻挫で距骨の外方の動きが拡大すると相対的に距骨の内側の動きが硬くなっています。
 
またテーピングのしすぎて脛骨と腓骨との動きが悪くなっている選手もたくさんいます。
さらに距骨下関節のモビリティが低下している捻挫後の症例も多く散見します。
 
二次的に短縮している内側の軟部組織や上記問題を解決すると内反方向への動揺は少なくなり、選手は自覚的に安定したように感じます。
関節の適合性がよくなるので当然なのです。
 
関節がゆるいと硬めるしかないのか2
 
そして私の大好きな疾患である腓骨筋腱脱臼。
 
以前両側同時の手術をした選手や再脱臼症例を経験したことで深く理解するきっかけとなり、機能的な問題が多く抱えている事を知ると大好きになりました。
実は私も腓骨筋腱脱臼歴があったのです。
 
腓骨筋腱脱臼は捻挫歴がある選手も多く、距骨の外方の動きは大きくなります。
背屈動作時距骨の後方への動きが必要以上に大きいと外果後方の溝は相対的に浅くなります。
 
ここに上記捻挫でもあげたような脛骨腓骨間の可動性低下があり背屈時の腓骨の動きが乏しいと腱は脱臼する方向へのストレスが強くなるのです。
あとは足根骨のモビリティや長腓骨筋と短腓骨筋との関係性など問題となる要素は他にもたくさんあります。
 
関節がゆるいと硬めるしかないのか3
 
患部の不安定性を身体特性や他部位との関係性を考慮した上で必要な部位を適切にゆるめることができれば関節を『硬く』することができる。
 
JARTAセミナーではこういった体験も随所でしていただけるかと思います。
難しい表現もありましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

2014年12月12日

アスリートにとっての頭の位置

アスリートのプレー中の動作を見ているときに、頭の位置に注目したことはありますか。
 
JARTAトレーナーの枝次です。
 
先日アスリートの動きについて考える機会があったので、動画、写真を見ていました。
そこで一流アスリートはプレー中「頭の位置は水平である」ということに気が付きました。
 
頭の位置1
 

頭が水平であるメリット

頭が水平に保たれることで、目の高さ、耳の高さは一定になります。
アスリートにとってバランス感覚は重要な能力です。バランス能力は「静止または動的動作における姿勢維持の能力」と定義されています。
 
またバランス能力とは、平衡機能、バランス感覚などと同義で姿勢の安定を保つ能力であり、筋収縮を巧みにコントロールする能力であるとしています。1)
 
姿勢維持の能力として機能するひとつに平衡感覚があります。
平衡感覚は、運動している時や重力に対して傾いた状態にある時にそれを察知する働きをしています。
 
人の身体の平衡感覚は前庭感覚、深部感覚、皮膚感覚、視覚が作用するといわれています。
アスリートはプレーしている動作、姿勢すべてにおいて平衡感覚を働かせています。平衡感覚を働かせることで、いま自分の身体がどの程度傾いているかを判断し次の動きに活かします。
 
一流アスリートは頭を水平に保ちバランス能力が維持され、プレー中も安定した身体の使い方が可能になります。
頭の位置2
 

頭を水平に保つ条件

頭を水平に保つためには、頚部と頭蓋骨の間の筋肉がゆるんでいることが条件です。
 
頭蓋骨と頚部をつなぐ筋肉に後頭下筋群があります。
後頭下筋群とは
1.大後頭直筋
2.小後頭直筋
3.上頭斜筋
4.下頭斜筋
の4つの筋肉です。
 
後頭下筋群は頭部の伸展、回旋、側屈の作用があり、この作用が様々な姿勢をしたときに目線を水平に保つための調整をしています。そこで、後頭下筋群が固くなっていると頭は水平に保ちにくくなります。
JARTA講習会では、頸椎調整のテクニックを紹介しています。
参照) JARTAベーシックセミナー
 

まとめ

一流アスリートはプレー中、頭を水平に保っています。
サッカー、ラクロス、バスケットボールと接触プレーが多いスポーツでも、頭を水平に保つことが重要になります。
 
頭を水平に保つためのポイントは、後頭下筋群がゆるんで機能することです。
アスリートの動きを見るときに、頭の位置に注目することで、選手のパフォーマンスアップに繋がる活路が見つかればと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございます。
 
【文献】
1) 内藤久士(1991)高齢者のバランス能力 体育の科学41,9,719-724

2014年12月08日

アイススレッジホッケー体験会のご報告

11月30日(日)に岡山国際スケートリンクにて、D-SHIPS32主催のアイススレッジホッケー体験会が開催され、見学させていただいたのでご報告いたします。
 
岡山県で活動しています、JARTA認定スポーツトレーナーの岡﨑稜です。
 
アイススレッジホッケーとは、下肢に障害を持つ人たちのために、「アイスホッケー」のルールを一部変更して行うスポーツです。
「スレッジ」と呼ばれるスケートの刃を二枚付けた専用のそりに乗り、左右の手にスティックを一本ずつ持ってプレーします。スティッックにはアイスピックとブレードがついており、漕ぐ動作で前に進み、ブレード部分でパックを操り、パスを出したり、シュートを放ったりします。
 
アイスホッケー同様にボディチェック(体当たり)が認められており、「氷上の格闘技」と呼ばれるほど非常に激しいスポーツです。
 
日本国内で開催される大会への参加は、男女、年齢、障害の有無に関係なく、誰でも参加することが可能です。ただし、パラリンピック等の国際パラリンピック 委員会(IPC)公式競技大会および公認大会への参加は、

通常のアイスホッケーの試合に出場できない永久的な障害を持つ選手でなければならない」
(引用:日本アイススレッジホッケー協会HP

と規定されています。
 
アイススレッジ日本代表は2010年のバンクーバーパラリンピックで銀メダルを獲得されており、主催者のD-SHIP32船長(代表)の上原大祐さんは準決勝のカナダ戦で決勝のゴールを決められています。
アイススレッジホッケー体験会のご報告1アイススレッジホッケー体験会のご報告2
 
今回の体験会は、「西日本初のスレッジホッケーチームを作ろう!」をコンセプトに開催され、子供から大人までが楽しみながら体験することができ、私も体験させていただきました。
 
前に進むことも、ドリブルすることも、シュートを打つことも、すべて2本のスティックを使って行うため、うまくバランスをとれず何度も転倒しました。
上原さんのデモンストレーションでは巧みにスティックを操ってすごいスピードでリンクを滑走しゴールにパックを打ち込んでいました。
 
なかでもスティック1本だけで滑っていたときは、全身で波を打つように滑らかな動きで参加した人たちを魅了していました。
実際の競技場面では素早く動くなかでもスティックでパックを操り、不安定な中でのボディコンタクトもあるため高度な身体操作が必要とされると感じました。
 
アイススレッジホッケー体験会のご報告3
 
今回の見学では実際にそりに乗って体験させて頂き、アイススレッジホッケーの迫力、楽しさ、そして身体操作の重要性を感じました。
 
今後も体験会を開催されるそうなので興味がある方は、参加されてみてはいかがでしょうか。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
アイススレッジホッケー体験会のご報告4

2014年12月04日

チームパフォーマンスをあげる3つの要素

スポーツパフォーマンスが高いということにおいて、例え個人競技であったとしても「個人の実力・能力だけが高まれば良い」という考え方はとても危険です。
 
北海道のJARTAトレーナーの犬尾です。
 
サッカーや野球などのチーム競技においてはなおさらであり、特に上を目指すには「個人の実力・能力だけが高い」ことがそのまま「勝利」に結びつかないのは自明の理であります。
JARTAのトレーナーがチームに関わる上で、チームがどうやったら良い方向にパフォーマンスを上げることが出来るのか?
 
これを知ることによってあなたは、1ランク上のトレーナーとして、個人やチームでのハイパフォーマンスを実現させ勝利を導く上で、重要な視点を手に入れることが出来ます。
今回からそれを紐解いていきます。
 

JARTAコンセプト

JARTAのコンセプトは、何もアスリート個人の身体パフォーマンスを上げることだけに使えるものではありません。
JARTAのコンセプトを理解し、視点を変えることによって、チーム競技におけるパフォーマンスの要素も把握することが出来ます。
 
今回から、「チーム力」これについて深く追求していきたいと思います。まずは、JARTAのコンセプトである「統合化」「関係主義」の概念。
チーム競技がハイパフォーマンスを実現する上でもこれが当てはまります。
 
特に主要な要素は3つあります。
チームパフォーマンスをあげる3つの要素
① 個人の力
② マネジメント・サポート力
③ 認識力(内的・外的)
 
これらは、1つだけを取り上げて向上させたとしても、全体のバランスを崩してしまい、結果的にチームパフォーマンスは下がってしまいます。
 
まず個人の力。
サッカーでFWだけズバ抜けて能力が高くても、チームとして勝てるわけではありませんよね。11人の中で1人だけ個の力を伸ばしても、チームとしてパフォーマンスが高いとは言えないのです。
「チームの勝利」において、個の力が高いことは必要条件であるが、十分条件ではないのです。
 
次にマネジメント力。
例えば、戦略や体制、監督などをコロコロ変えていったところで、いくらそれらが優れたモノだったとしても、パフォーマンスを劇的に向上させることには繋がりません。
プロでも勝てないチームでは、よく見かけますよね。
 
最後に認識力ですが、これは内的と外的に分けることが出来ます。
ここでいうチーム内での内的認識力とは、「人間関係」であったり、「共通認識」であったり「コミュニケーションの質」であったりします。
外的認識力とは、チームの外への認識力を指します。例えば、「相手チーム」「応援してくれる人」「社会的立場」などのようなものです。
 
これらの要素だけが例えよかったとしても、肝心な①個人の力や②マネジメント力がなければ、チームは勝てないのです。
 
1つの要素だけを上げたら、全体が変わるだろうと見込む考え方を「要素主義」と言います。
ですが、大切なのは3つのバランスなのです。
 
これら3つはどれか1つが変化すれば、他の要素にも必ず影響するように出来ています。
それぞれの要素を理解した上で、お互いの関係性を把握しながら進める考え方を「関係主義」と言います。
 
我々トレーナーは、自分が相手にする選手だけのパフォーマンスを考えていれば言いわけではありません。
チームが結果を出すためには、トレーナーが全体像の関係性を掴んでいるのか、一部分しか見ていないのとでは、言動・行動が変わってくるからです。
 
今回は、JARTAのコンセプトをチームビルディングに当てはめて解説しました。
 
チームビルディングとJARTAの概念の融合。
 
これを把握できるトレーナーは、「選手・チームの勝利になくてはならない存在」になるはずです。
 
次回はそれをもっと紐解いていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年11月29日

フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?

フィギュアスケートは採点競技です。点数は「技術点」と「演技構成点」の2つの合計から算出されています。
ここで重要になってくるのは、単純に失敗なく演技をするだけでなく、芸術的観点を考慮する必要があります。
 
JARTAトレーナーの田中紀行です。
 
今回は、私が担当しているジュニアフィギュア選手が、中部地区の予選を無事通過し、全日本フィギュアスケートノービス選手権大会に出場しましたので、サポートの際に特に注意をしたポイントを挙げたいと思います。
 
フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?1
 
 
そのポイントをずばり挙げます。それは格定力です。
 
下の図は、JARTAのベーシックセミナーで格定力の説明の際に用いられる図です。
 
フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?2
 
格定力は『局面に応じて、自由に身体の状態を変化させられる能力』と定義されています。
Stiffness(かたい)な状態ではなく、Free(ゆるい)な状態であること、つまり、より自由に身体をコントロールできる状態がパフォーマンスにおいて重要となってきます。
 
Freeな状態は筋肉の収縮と弛緩の幅が広く、ハイパフォーマンスが実現できる身体使いを意味します。必要な場面においては、しっかりと筋肉の収縮をする反面、局面によっては脱力をすることが出来るということです。
 
フィギュアの演技構成点は、「スケーティング技術」「技のつなぎ」「演技力」「振り付け」「音楽の解釈」の5項目で構成されているため、各項目において最適な状態を演出するためには、格定力が高いことは必須のこととなります。
技術やパフォーマンスを向上させるために、多くの場面で筋力トレーニングを選択されがちですが、筋力トレーニングばかりを推奨することは、収縮ばかりを進めることになり、結果的にStiffnessな状態を作る事になりかねません。
 
収縮に偏った状態は、選手のパフォーマンスを下げてしまうばかりでなく、身体のバランスが崩れやすいため、怪我に繋がる可能性もあります。
 
今回の中部地区の予選では、選手の格定力をしっかりと引き出すために、トレーニング時に体軸をしっかりと構築しました。
体軸を構築することで、立位(1次姿勢)が最小限の力で脱力して立つという状態になります。完成度の高い立位は、フィギュアのスケーティング、ステップ、ターンやジャンプの土台となります。試合が続くほどこの能力は影響してきます。
 
ジュニア世代の選手にとって、このシンプルなトレーニングの繰り返しが、後に選手の能力を開花させることになります。
トレーナーとしてより良い方向に選手を導く努力は、選手だけでなくトレーナー自身も常に探究していかなくてはいけませんが、シンプルな中に常に答えはあると思います。
 
フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?4
(堀見選手:スペリオール愛知FSC)
 
JARTAのコンセプトは、そのようにシンプルでとても重要な内容になっています。興味のある方は是非ベーシックセミナーを受けてみてください。

2014年11月24日

スポーツや医療における普通は「ふつう」じゃない

医療の世界では「普通」という表現をよく使います。
 
「普通はこれくらいです」
「普通にしていれば大丈夫です」
 
本当に便利な言葉ですが、一般的な普通が医療の世界では普通ではなかったりすることも珍しくありません。
選手が普通と思っていてもそれが我々トレーナーにとっては全然普通ではない場面は、皆様もこれまでに経験されたことがあるのではないでしょうか?
 
JARTAの赤山です。
 
ちなみに私のことをご存知の方はよく知っていると思いますが、私は普通という表現が嫌いです。
スポーツや医療における普通は「ふつう」じゃない1
 
代表の中野と同じくかなりの『あまのじゃく』です。
これはきっと両親の影響を多分に受けていると思うのですが、私の両親は皆が持っているからゲーム機が欲しいと言っても絶対に買ってくれませんでした。
 
「なんで皆が持っているものが欲しいのか?」
「流行っているから欲しいのか?」
「そこに自分の意見はどこにある?」
 
このように小学生の頃から育てられました。
 
おかげで「教科書でも本当のことが書かれているのか」、「先生の言っていることは本当なのか?」という視点は学生の頃から常にありました。
疑問を解消しないと気持ちが悪いような性分に育てられてしまったのです。
 
今回は先日患者様から頂いた話を元に、普通ってなんなんだろうということに対して疑問を投げかけたいと思います。
 

それは「ふつう」?

半月板損傷の患者様で、長距離ランナーでした。
自身も現役でありながら小学生の陸上スクールで指導をされているという方で、私が指導した内容をすぐに選手に試したり、ケアやトレーニングを導入されており夏場に大きな気づきがあったようです。
それは、指導していた選手が中学生に上がって練習がハードになっても、スクールの卒業生だけが練習をリタイアせずに練習に参加できているということです。
 
その時の会話の中で、「ふつうは中学に上がると練習量も急に増えて夏までに何らかの故障をする子がほとんどなんです」、「でもうちの子達だけが故障せずに練習参加できてるんです、これってふつうですか?」と聞かれました。
 
その疑問に対して私は、
「それがふつうじゃないでしょうか」
と言いました。
 
スポーツや医療における普通は「ふつう」じゃない2
 
私は以前コラムでスポーツの5月病というテーマで記事を書いています。まだご覧になっていない方はぜひお読みください。
参照) スポーツ業界における五月病とは?
 
ここに書かれているのが現在の部活動のおそらく普通です。
でもしっかりと準備や知識を得ることでそれが普通じゃなくなる。私たちが目指すべきところはそこにあります。
 
私のサポートしているチームには慢性障害を抱えている選手はほぼいません。しっかりとしたサポートが包括的にできれば慢性障害はなくなると思っています。
 

まとめ

50年後くらいに教科書から慢性障害のページなくなるくらい、正しい身体の使い方やケア、トレーニングが普及すればきっと日本は世界で活躍できるのではないかなと思っています。
皆様の中で「これは普通じゃない!」と感じるスポーツ現場での現状や、新しい普通について考えている方がいらっしゃいましたら、ぜひメッセージをください。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

2014年11月20日

JARTAアドバンスⅢを受講済みの皆様へ

平素より大変世話になっております。JARTA認定スポーツトレーナー試験事務局です。
JARTA認定スポーツトレーナーになるための、認定試験の日程が決定しましたのでご案内致します。
 
なお、アドバンスⅡまでの受講にて認定スポーツトレーナー試験の受験資格を有するという特例措置は終了致しました。今回からはアドバンスⅢまで受講していることが条件となりますので、ご了承ください。
認定試験の案内

JARTA会員制度について

主にJARTA認定スポーツトレーナーのレベル維持・向上を目的として、創設。(年間2~3回のJARTAセミナーの受講にて年会費額以上の割引が得られます。)
年会費|10,000円(自動更新)
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お問い合わせ

何かご不明な点がございましたら、お気軽に以下のメールアドレスまでお問い合わせください。

東京

jarta.east@gmail.com
JARTA関東事務局

大阪

jarta.west@gmail.com
JARTA関西事務局
事前課題がございますので、申し込まれる方は早めにお願い致します

2014年11月19日

ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!

今回は大腰筋を機能的に使わせるための大前提の要素を1つお話します。合わせて具体的な評価方法も踏まえてお伝えします。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
大腰筋がハイパフォーマンスにつながることは以前こちらのブログのテーマにあげました。
参照)ハイパフォーマンスに欠かせない裏転子と大腰筋の関係
 
結論から申し上げますと、ハムストリングスが働かないと大腰筋は機能しません
ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!1
 
 

なぜハムストリングスの柔軟性が大腰筋のハイパフォーマンスに必要か

大腰筋を使うためには、反対側の拮抗筋であるハムストリングスの柔軟性が非常に重要になります。
ハムストリングスが硬くなっていれば、骨盤を後傾させて十分な骨盤運動が行えず、大腰筋の位置は固定され、遠心性だけで使われてしまいます。
 
この状態でいくら大腰筋のトレーニングを行っても効果は現れません。言うなれば、お菓子を食べながらダイエットをしているようなものです。
ではハムストリングスの柔軟性をどのように評価すれば良いでしょうか。
 

具体的なハムストリングスの評価方法

ハムストリングスの柔軟性の評価としてはどんな方法が考えられるでしょうか。
 
たとえば、前屈やSLRなどがあると思います。
ただし前屈でのハムストリングスの柔軟性評価は、非常に代償しやすいです。肩甲骨の柔軟性や脊柱の柔軟性があれば前屈は意外と簡単に手がつくものです。
 
ではSLRでハムストリングスの評価を行うか。 これも間違いではありませんが、他動的にハムストリングスが伸ばされるだけなのであまり機能的な評価とは言えません。
 
私が現場で多用しているのは、「長座位」での評価です。
ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!2
 
 
きっちりとした長座位をとれるかどうかを評価します。

  • 床に対して骨盤が垂直になって、その上に肋骨がまっすぐの乗れること
  • 加えて頭部も骨盤とほぼ垂直位置になっていること
  • この状態から足関節背屈させ膝の伸展が出来ること

これがスポーツ選手に要求する長座位(ハムストリングスの柔軟性)です。
 
遠心的にハムストリングスが収縮した状態で骨盤を直立化することが出来れば、大腰筋を使用するにあたってのハムストリングスの柔軟性としては良好です。
ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!3
 
 

まとめ

今回は「大腰筋を使用する際のハムストリングスの柔軟性」というテーマでした。
明日から実際現場で試してみてください。おそらくほとんどのスポーツ選手がこの長座位をとることが難しいです。それだけスポーツをする身体の前提条件が整っていない選手が多いのです。
 
みなさんからも「こんな評価を使っている」などありましたらコメントから投稿お願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年11月14日

大阪でナイトセミナーを開催します

JARTA代表の中野が、来月大阪でナイトセミナーを開催します。
 
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セミナー詳細

テーマ

「スポーツ分野での療法士の可能性」

日時

12/19(金)の19:00~20:00

場所

難波御堂筋ホール

対象

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、学生(PT、OT、ST)
 

内容
  • トップアスリートのトレーニング法
  • 僕はなぜJARTAを作ったのか?
  • 本当にやりたいことをしよう

 

費用

事前申し込み:1,000円 (①電話)
当日申し込み:2,000円
学生:無料(事前申し込みをお願いします)
 

申し込み方法

① 電話
平日(祝日も営業) 9:00~17:30
072-224-7707 シャローム訪問看護ステーション内
 
お忙しいとは思いますが、ぜひご参加ください。
セミナーの詳細についてはこちらをご覧ください。

2014年11月13日

最初の一歩を速くする秘密

バスケットボールでもサッカーでもなんでも、スポーツにおいて「最初の一歩」はとても重要な意味を持ちます。
「最初の一歩」が0コンマ何秒でも速く、かつノーモーションであることが実現できれば、それはパフォーマンスにおいて大きなアドバンテージを持つということになります。
 
はじめまして。北海道で活動していますJARTAトレーナーの犬尾です。
 
以前JARTA代表の中野が、ブログでその速度についての「定義」「概念」を解説しています。まだご覧になっていなければ、まずそちらをご覧ください。

 
今回はその「一部」を代表中野とは違った表現で書いていきます。
 
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この「最初の一歩」。実は、従来の欧米式では考えられないほどの身体技法が日本にはありました。
初速の動作が速くノーモーションを実現できる選手は、それを無意識に獲得しています。
 
しかし、我々スポーツトレーナーは、選手にそれを再現させなくてはいけません。それをしっかりと分解し、どのような要素が絡み合って実現したパフォーマンスなのかを理解しておく必要があります。
 
次に具体例をひとつご紹介します。
 

「膝を抜く」という技術

従来、足を一歩踏み出し前進するという人間の動作は、「重心を前に移動させ、地面をつま先で蹴り出す」という認識が一般的です。
 
いかにその動作を速くするか。
 
そのために、股関節を素早く曲げるだとか地面を強く蹴る筋力をつけるなど、さまざまな方法でトレーニングされてきました。
しかし、実は初速の動作が素早くノーモーションである超一流の選手の体の使い方は、全然違いました。
 
いかにノーモーションで、爆発的に動き出すか。
 
そのために重要な体の使い方は、古来より日本に存在したのです。
それは、殺し合いの中で発展してきた「武術」の中にある身体技法の1つで「膝を抜く」という技術です。
 
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文章では説明しづらいですが、これは前に進むという動き方ではありません。
前に進むにあたって、重心を前に移動させて地面を蹴るのではなく、膝をカクンと力を抜く感じで、「崩れ落ちる」という感覚に近いと思います。
 
ただし、これは身体全体が緩んでいることが前提です。
 
そこから爆発的に前方に進むためには、体の「ある部分」を使い、その動作に必要なだけの力の量を出力させるという高度な技術が必要になります。
これは、JARTAでは「格定力(かくていりょく)」と呼んでいます。
 
もちろん、その他にも軸を操作する意識だとか色々な要素が複雑に関係し、超一流の「最初の一歩」を再現することが出来るのです。
 

まとめ

スポーツ選手に獲得させたいノーモーションで素早い「最初の一歩」。実はとても複雑で高度な技術がいくつも隠されているのですが、その中の1つに「膝を抜く」という技術が必要になります。
これは従来の「蹴り出す」ことよりもコンマ何秒も速く、しかも相手に動きを読まれづらいという特徴を持ちます。
 
JARTAで学べるトレーニングの中には、その「武術」の要素がたくさん含まれています。
頭で理解するよりも、感覚的に体感するのが一番速いと思われます。是非、皆さんも選手や自分の身体技法に注目して行ってみて下さい。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年11月07日

トレーナーと病院の関わり方、これを知らずにトレーナー活動はするな!

「どこかすぐに診察してくれる整形外科の病院とかクリニックは知らないですか?」
皆さんはこの質問にすぐに答えられますか?
 
JARTAトレーナーの藤田です。
 
チームをサポートしていると、すぐに診察してくれる病院について必ず質問を受けます。
誰から聞かれることが多いかというと、もちろん指導者(監督・コーチ)や選手がほとんどですが、稀に保護者の方から質問を受けることもあります。
 
この質問が実はとても重要で、答えることができないというのでは信頼を落としてしまいます。
 
トレーナーと病院の関わり方、これを知らずにトレーナー活動はするな1
 

どう対応するか

理学療法士仲間から仕入れた情報や、インターネットなどで調べた情報をチームの監督やコーチに伝えるのですが、特にチームの所在地にどのような病院があり、どのような対応をしてもらえるか、しっかり把握するようにしておきます。
 
把握しておくことで重要な情報とは、

  • 所在地
  • 診察時間(休診日や救急対応の有無)
  • 初診でも可能か
  • スポーツDr.かどうか
  • スポーツDr.の専門分野(膝・肩など)
  • スポーツDr.の専門競技(経歴を見れば分かります)
  • レントゲンやCT、MRIの有無 など

 
以下詳しく見ていきましょう。

所在地

可能な限り近いところがいいです。
迅速な対応が必要な場合もありますし、受診後に練習を行うこともできまた練習後に受診することができるからです。
 
受診のために練習を1日空けてしまうより、近くで受診ができ少しでも長くチームでプレイできる方がチームにも迷惑はかかりません。
 

診察時間(休診日や救急対応の有無)

スポーツ外来をしているところは基本的に夜診をしていることが多いのですが、曜日が決まっていることもありますので要確認が必要です。
また試合は土日祝日が多く休診日にあたることがほとんどですので、土日祝日も診察をしてくれるようなところ知っているのでも違います。
 

初診でも可能か

ほとんど大丈夫ですが、ときどき紹介状がないとダメだという病院もありますので事前確認は必要です。
 

スポーツDr.かどうか+専門分野や競技

かなり重要な情報です。
 
実際の現場でも「整形外科に診察に行って◯◯と診断されました。復帰まで◯◯週間、◯◯ヶ月安静ですと言われました。」ということは多々あります。しかし詳しく聴いてみるとスポーツDr.ではなく一般整形外科だということがほとんどです。
診断に関しては間違いないことの方が多いですが、一般整形外科医とスポーツDr.では、復帰までのプロセスや安静期間に違いがあります。
 
スポーツDr.であれば様々なバックグラウンドをイメージした結果、試合に間に合うようなメニューやリスクをしっかりと教えてくれます。特に専門分野や専門競技のチームDr.となればなおさら話は変わってきます。
 

レントゲンやCT、MRIの有無

見た目には凄く腫れていても実際にレントゲンやCT、MRIを撮ってみると何も異常がないということも多々あります。
そのためしっかりと設備が整っているかを確認することが重要です。今では超音波(エコー)を使用して診断してくれるところもあります。
 
トレーナーと病院の関わり方、これを知らずにトレーナー活動はするな2
 

受診後の対応

次に受診後の対応について考えていきます。
受診後に重要な情報は、

  • 診断名
  • 受傷箇所(骨折・靱帯損傷・肉離れ など)
  • 安静期間
  • 復帰時期
  • 復帰までに実施してもよい練習やトレーニング など

 
これらを把握していなければトレーナーとしてケガをした選手にどのように対応してよいのか判断に困り、選手を最短距離で復帰まで持っていくことができません。
またこの内容を普段から選手や指導者にも伝えておくことが重要です。
 
最善策は受診に同行すればDr.から色々な情報を聞くことができるのでいいですが、同行が難しい場合もあります。
あと、トレーナーがチームに所属しているということをDr.に伝えてもらうことも重要です。トレーナーの保有資格も伝えれば、Dr.も指示が出しやすくなるからです。
 

まとめ

トレーナーである以上、必ず質問される内容のため知らないではすまされず、知らなくては良い信頼関係を築くことはできません。
受診前や受診後で必要な情報は異なりそれぞれ必要な情報は把握し、指導者や選手・保護者にも伝えておくことが重要です。特に遠征時でのアクシデントは対応できないことがあるため県外での情報も重要です。
 
JARTAでは全国各地に認定スポーツトレーナーがいるため、急なアクシデントにも迅速に対応することができます。

2014年11月04日

All About にJARTAが紹介されました

JARTAからのお知らせです。このたびJARTAがAll Aboutで紹介されました。
 
「新卒理学療法士に伝えたい就職と将来設計」というテーマで、理学療法士の野田卓也先生が就職先の決め方を実例としてご紹介してくださっています。
ぜひご覧ください。
⇒ 新卒理学療法士に伝えたい就職と将来設計

2014年11月01日

ウォームアップをする必要性は?

多くの方は生まれた時から運動前にウォームアップをするという流れを自然と行っています。アップは当然に行うものだと思っていませんか?
 
動物は獲物を獲る前にウォームアップをするか?
原始時代や戦国時代はウォームアップをしていたのか?
 
今回は、何の疑いもなく行っていた運動前のウォームアップについて考えてみしょう。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
ウォームアップをする必要性は?1
ウォームアップがいつの時代から始まったのか。私も調べてみたのですが今のところ明確な答えはわかりません。
 
ただおそらく原始人時代?武士の斬り合いの時代まではウォームアップはなかったと考えています。というよりもウォームアップをしている時間がないのです。
目の前に獲物が現れ、すぐに捕らえないといけない。刀を持った武士が現れたらすぐに斬り合いを行わなければいけない。そんな緊迫した状態に常に置かれていた時代です。
 
これは動物にも当てはまります。
 
チーターやライオンがウォームアップをする姿は未だかつて見たことがありません。つまり昔の時代や動物は常に動く準備が出来ていたのです。
ウォームアップが必要ないほど、日常生活で身体を動かす機会があったのです。
 
では現代人はどうなのか。
 
動くことを忘れた現代人にはウォームアップは必要かもしれません。日常生活で固まりきった筋肉を起こす必要があります。なまりきった身体に刺激をいれる必要があります。
ウォームアップをする必要性は?2
これが筋トレという手段や、ストレッチになるのかもしれません。
 
本来であれば人間にウォームアップは必要ありません。
選手にも昔の時代のように、ウォームアップが必要ないくらい普段の生活をトレーニングとして捉えてほしいのです。
 
誤解を招くといけないので補足しておきますが、ウォームアップが必要ではないというわけではなく、ウォームアップが不要なぐらいいつでも動ける身体の準備状態を作っておいて欲しいのです
 
以前、タレントの武井壮さんが話していた言葉が印象的でした。
「24時間トレーニングしている。日常がトレーニング。」
彼はトレーニング時間だけトレーニングをするのではなく、生活をトレーニングにしているからこそ素晴らしいパフォーマンスを維持できるのでしょう。
 

まとめ

今回はウォームアップの必要性についてのお伝えしてきました。
24時間日常生活をトレーニングにすることが出来れば、昔の時代や動物のようにウォームアップが不必要になるかもしれません。

2014年10月29日

スピードアップ介入報告 〜常葉橘中学校サッカー部編〜

以前ご紹介しました、サッカーの強豪校・静岡県常葉橘中学サッカー部のサポートの経過報告をさせていただきます。
 
JARTAトレーナーの荒川です。
 
以前、このチーム全体の目標が『スピードアップ』ということをお伝えさせていただきました。忘れた方や、まだご覧になっていない方は先にこちらをご参照ください。
参照)静岡県のサッカーの名門校、常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告
 
スピードアップ介入報告中学サッカー編2
 
今回は3カ月の介入で『スピード』がどのように変化したのか報告させていただきます。
結果ですが、タイトル通りスピードアップしています。
 
方法は「気を付け」の姿勢をスタート姿勢とし、直線30mのタイムを測定し、チーム平均、選手1人1人の変化を出しました。
なぜ50m走などでとる構えでなく「気を付け」の姿勢からスタートするのかというと、サッカーにおいては走る前に走るための姿勢をとることは少ないからです。
 
チーム平均タイムは3.95→3.75秒と改善し、個々の選手の変化では誰一人タイムを落とすことがなかったのも特徴です。
 
 
このタイムの変化は走る速度そのものと、動き始めの早度の双方がレベルアップした結果であると確信しています。3か月間行ったトレーニングには双方を向上させる要素を含んでいるからです。
また、前回報告に掲載してあるスパイラルレッグショットなど、各トレーニングの精度、意識もレベルアップしており、チーム全体として真剣に取り組んでくれた結果だと感じています。
スピードアップ介入報告中学サッカー編1
 
ちなみに50m走のタイムに関しても軒並みタイムを縮めていまして、こちらは新聞にも次のように取り上げられました。

また7月からは走力向上を目指し、武道の概念を応用したトレーニングを指導している「JARTA」からトレーナーを招いた。最近測定した50m走ではDF水野光太郎(3年)が昨年の7秒3から6秒7と0.6秒縮めたのを筆頭に、軒並みタイムを縮めた。
引用)日刊スポーツ(2014年10月6日朝刊静岡版) 常葉橘中学校サッカー部の特集記事より

 
 
先ほどから「速度」「早度」など聞き慣れない言葉が出ておりますが、JARTA代表・中野のブログで詳しく解説しておりますので、気になる方はそちらをご覧ください。
参照)

 
 
今回は動き出し、直線という設定でのスピードアップを実現しましたが、サッカーにおけるスピードアップにおいてはようやくスタート地点に立ったところです。
今後はサッカーにおけるさまざまな場面でスピードアップを実現できるように介入していきます。
 
 
結果を受けて、特に誰一人タイムを落とさなかったことはチームスポーツの魅力を再確認させてもらい、常葉橘中学のチーム力に驚かされています。今後もこのチームのサポートをできる喜びを感じて、現場に向かいます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

JARTAトレーナー 荒川

2014年10月24日

京都大学野球部・田中英祐選手、ドラフト2位で夢のプロ野球へ!!

JARTAから本日は大変嬉しいご報告です。
JARTAトレーナーの藤田友和が、以前よりサポートしている京都大学硬式野球部の田中英祐投手が、昨日のドラフト会議にて在京球団より2位指名を受けました。
 
京都大学硬式野球部創部116年の歴史で初の快挙であり、またJARTAがサポートしている選手としても初の快挙です。(プロ野球で活躍している選手は多数サポートを行っていますが、アマチュアからプロへは初です)
 
田中投手は最速149kmのストレートを武器に思い切りのよいピッチングを売りにしています。また京都大学出身ということもありその頭脳を駆使したピッチングにも今後注目です。
田中投手の投球の秘密については、JARTA代表の中野もブログで紹介しています。
 
まだまだ伸び代が多くある選手ですので今後の活躍に期待してくだい。
 
今後も継続してサポートして参りますので、皆様「田中英祐投手」へのご声援をよろしくお願い致します。
京都大学野球部田中英祐投手1

2014年10月22日

JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告

スポーツ現場でのトレーナー活動の際、生死にかかわる最悪の状態に遭遇することは絶対にないとは言いきれません。
その最悪の状態に遭遇した時に迅速に適切な対処ができるように、JARTA認定スポーツトレーナーには心肺蘇生法など救急法の習得を義務づけています。
 
少し前の話になりますが、認定スポーツトレーナーを対象に義務研修を開催しましたのでご報告申し上げます。
 

開催日

2014年8月30日(土)

内容

午前:赤十字による救急法基礎講習
午後:認定スポーツトレーナー研修会

  • Case study①、②
  • 現場での対応についてのdiscussion
  • JARTAトレーナーとしての心得等

 
認定スポーツトレーナー研修会では実際の現場での検討課題についてディスカッションしたり、全ての事象に対して関係主義的に考える方法を伝えていただきました。
また選手、チームスタッフへのプレゼン方法についてもお話いただきました。
 

救急法基礎講習

【座学】

  1. 赤十字救急法について
  2. 手当の基本
  3. 一次救命処置(心肺蘇生法、AEDの使用法、気道異物除去)

についてご講義いただきました。
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告1
【実技】

  1. 手当の基本
  2. 一次救命処置(心肺蘇生法、AEDの使用法、気道異物除去)

について実際に行う方法を実技でご講義いただき練習をしました。
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告2
 
まずは講師の先生のお手本を見せていただきました。
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告3
 
早速実践練習です。傷病者の方の意識確認をしています。
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告4
胸骨圧迫(心臓マッサージ)の様子です。
 
実際の危機的現場に遭遇したことを想定し受講者各々がリーダーとして指示を出しながら真剣に取り組んでいただけました。
 
 

認定スポーツトレーナー研修会

【Case study①】
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告5
荒川トレーナーによる症例検討1です。
実際のスポーツ現場での検討課題等を出し、認定スポーツトレーナー同士で意見を出し合いました。
 
チーム単位での関わりの難しさや複数トレーナー間での評価の統一等、課題がたくさんあがっておりました。それぞれ違う視点での意見交換の場になり視野が広がったのではないかと思います。
 
【Case study②】
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告6
藤田トレーナーによる症例検討2題目です。
パーソナルで関わりのある選手一症例を出しどのように評価し考えていったのか。
 
体の使い方と症状の関連性の評価はどのように行ったか、またそれを選手にどのように伝えたのか、などを詳しく伝えていただきました。
 
【現場での対応についてのdiscussion】
(実際に選手をどのように診ていくかの考え方など)
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告7
赤山トレーナーによる現場での対応について話していただきました。
「実際に選手をどのように評価しているのか」
訴えや症状のある局所にとらわれず全身を診て評価していく必要性や、身体の事だけではなく全ての事象に対して関係主義的に考えるコツについても話していただきました。
 
 

JARTAトレーナーとしての心得等

JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告8
最後にJARTA代表中野によるJARTAトレーナーとしての心得についてお話いただきました。
特にプレゼンについてですが、せっかく良いトレーニング方法やコンディションニング技術をもっていてもプレゼン次第で全く逆の反応を得ることもあります。
 
自分が伝えたい事は要するにどういうことなのか。
 
心を引きつける言葉を常に考え行動し、一言で表現できるようにしておくことが大事ということを伝えていただきました。
 

最後に

スポーツ現場に入った際にはまずAEDの位置確認や、救急車の搬送ルートの確認等、最悪の状況を想定した準備は絶対に必要となってきます。
また不安をできるだけ解消した上で現場にでるためには心肺蘇生法等、救急法の習得も必須となってきます。
 
スポーツ現場で危機的状況に陥った場合、真っ先に頼られるのは近くにいるトレーナーです。そのためトレーナー自身が何とかするんだという覚悟を持っておく必要があります。
 
今後も認定スポーツトレーナーへの義務研修は定期的に開催してまいります。

2014年10月21日

JARTA認定スポーツトレーナー紹介 浦波唯史

JARTA認定スポーツトレーナーとして活躍するトレーナーをご紹介させていただきます。
今回は北海道の浦波唯史です。
 
私は理学療法士として急性期総合病院に10年間以上勤務し、競技を問わず多くのアスリートのリハビリテーションを担当してきましたが、パフォーマンスアップに関しては自信を持って関わることができずにおりました。
しかしJARTA代表の中野と出会い、セミナーの受講を通してパフォーマンスアップに対する考え方が明確となりました。
 
JARTA認定スポーツトレーナー取得後には、院内でプロ野球選手、セブンズラグビー日本代表選手を担当する機会があり、その関わりはリハビリテーションに留まらず、パフォーマンスアップに対しても選手から今までになかった新しい考え方であると強い共感を得ることができました。
そして自分の学んだJARTAのコンセプトは、トップアスリートにも通用するものであるということが、不安から確信に変わりました。
 
現在はよりスポーツ現場との関わりを深められる環境を求めて、札幌市内の整形外科専門病院に勤務しております。
 
また私は約200時間の国際PNF協会認定コースを修了しており、コンディショニングとトレーニングのベースは、JARTAのコンセプトに加えてPNFが中心であることから、即時的な変化を与えることを得意としています。
従来のPNFに加えて、関係主義的にJARTAコンセプトのテクニック・概念が融合したコンディショニングは自分の臨床場面において大きな武器となっております。
 
現在の主なスポーツとの関わりとしては、バンクーバーとソチ五輪に出場した女子モーグルの村田愛里咲選手に対して、次期五輪へ向けた関わりを継続して行なっております。
引き続き活動報告等行っていきますので、今後ともよろしくお願い致します。
浦波唯史1

2014年10月17日

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ(大阪)

平素よりJARTAの活動にご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。
JARTA認定スポーツトレーナーの認定試験(大阪会場)の日程が決定しましたので、ご報告申し上げます。
 

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験概要(大阪)

日時

平成26年12月20日(土) 10:00~16:00 (会場9:30~)
※次回の開催は約半年後を予定しています。

場所

大阪市民交流センター にしなり 201室

受験資格

アドバンスⅢまで受講が終了している方
※「アドバンスⅡまでの受講にて受験資格を有する」という特例措置は終了しましたので、今回の試験からアドバンスⅢまで受講していることが必須条件となりますので、予めご了承ください。
※すでに受験済みでランクアップを希望される方は再受講が可能です。試験料金は通常と変わりません。

内容

アドバンスⅢまでの内容で筆記・実技試験
※詳細はお申し込み後、試験の約一ヶ月前に資料を送付致します。

試験料金

20,000円
※JARTA会員初年度年会費、ユニフォーム代を含みます。
※すでにJARTA会員の方は、10,000円にて受験可能です。
※認定者は自動的にJARTA会員となります。
※大変申し訳ありませんが、諸般の事情により次回の開催からは料金が上がります。

お申し込み

こちらよりお申込みください。
☆東京での認定試験はこちらをご覧ください。
JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ(東京)

2014年10月13日

アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手サポート報告 『セルフケアの重要性』

今回は、現在担当している永井雄一郎選手(サッカー関西リーグ1部アルテリーヴォ和歌山所属)への具体的なサポート例を通して、パーソナルトレーナーとしての重要なポイントをお伝えします。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
 
以前サポート報告でもお伝えしたように私は現在、プロサッカー選手の永井雄一郎選手のパーソナルトレーナーを担当しています。
前回の記事をご覧になっていない方はまずそちらをご覧ください。
参照) アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手のサポート報告
 
アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手サポート報告 『セルフケアの重要性』1
 
永井選手はここ数年コンスタントに試合に出場することが出来ず、思うような結果を残せないシーズンを過ごしていました。
 
そこで目標の1つに
「コンスタントに出場すること」
を重要課題として上げていました。
 
この点に関しては、今期行われた公式戦23試合中20試合出場できました。欠場したのは私が関わる以前の5月の2試合と、私が関わってからは3連戦の2試合目に休養目的で休んだ1試合のみです。
 
永井選手曰く「10年くらい記憶にない」という延長戦を含めた120分フル出場できたことや、プロになって初めての連戦を乗り切ることが出来たのは大きな収穫でした。
 
さて、サポートをしていく上で二人の間の取り決めとして、試合後は必ず

  • 試合結果
  • 出場時間
  • 試合後の身体の状態
  • 練習でも身体の異変を感じた際の状態

これらの報告は必ずしてもらうようにしています。
 
アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手サポート報告 『セルフケアの重要性』2
 
私が永井選手のコンディショニングを行うのは月2〜3回ですので、普段のセルフケアの質は非常に重要になってきます。
チームトレーナーではなく、パーソナルで選手に関わる際に必ず留意しなければいけないのは試合中や練習中のトラブルに、トレーナー自身が即座に対応できないという点です。
 
この点はネガティブに捉えられがちですがそんなことはありません。
 
 

なぜネガティブな要素にならないのか?

まず大前提として選手のパフォーマンスを構成する要素の一つに身体があります。身体のケアというのはコンディショニングやトレーニングと同じく選手自身が行うことでパフォーマンスにいい影響を及ぼします。
 
なぜなら身体のケアに必要な選手自身の能力として、

  1. 選手自身が自分の身体の問題点を分析する力
  2. 分析した問題点に対して対応する方法を知っていること

この2点が必須になります。
 
これは「パフォーマンスを上げるにはどうすればいいのか?」という観点と全く同じ要素と考える事ができます。
つまり選手自身のセルフケア能力を高めるというのは、パフォーマンス向上に必要な要素を高めるということがお分かりいただけるのではないかと思います。
 

選手のセルフケア能力を高める取り組みの実際

永井選手からの試合後や練習で起きた問題の報告
(問題だけでなくポジティブな要素も含めて)

報告を受けてこれまで伝えたセルフケアの指導や新しいセルフケア法の動画を送ることで対応。

やってみた感触の報告を受ける。

そのままケアの継続、もしくは別の方法の提案など。
おおまかにはこういったサイクルで行います。
アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手サポート報告 『セルフケアの重要性』3
 
また、実際のコンディショニングの際にもセルフでの対応方法は多く伝えています。
この取り組みには次のような狙いがあります。

  • 選手がより適切に身体の状態を報告出来るようになることで自身の身体に対する内観力を高める
  • 状態に応じたセルフケアを指導することで引き出しを増やしていく
  • 内観力を高めることで選手自身が適切なセルフケアを選択し身体に対する対応力を高めていく

 
何よりこのような取り組みは、試合中におけるパフォーマンスの修正やトラブルに対する調整力を高めることにつながります。
永井選手の話を聞いていると試合中の対応力は明らかに高まっています。
 
コンスタントに試合出場できているのは永井選手が向上心を失わず成長し進化し続けていることが要因です。
 
今季の公式戦は終了しましたが、来季に向けてのトレーニングはすでに始まっています。後の永井選手の活躍を是非ご期待ください。

2014年10月09日

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ(東京)

平素よりJARTAの活動にご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。
JARTA認定スポーツトレーナーの認定試験(東京会場)の日程が決定しましたので、ご報告申し上げます。
 

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験概要(東京)

日時

平成26年12月13日(土) 10:00~16:00 (会場9:30~)
※次回の開催は約半年後を予定しています。

場所

東京都内にて調整中

受験資格

アドバンスⅢまで受講が終了している方
※「アドバンスⅡまでの受講にて受験資格を有する」という特例措置は終了しましたので、今回の試験からアドバンスⅢまで受講していることが必須条件となりますので、予めご了承ください。
※すでに受験済みでランクアップを希望される方は再受講が可能です。試験料金は通常と変わりません。

内容

アドバンスⅢまでの内容で筆記・実技試験
※詳細はお申し込み後、試験の約一ヶ月前に資料を送付致します。

試験料金

20,000円
※JARTA会員初年度年会費、ユニフォーム代を含みます。
※すでにJARTA会員の方は、10,000円にて受験可能です。
※認定者は自動的にJARTA会員となります。
※大変申し訳ありませんが、諸般の事情により次回の開催からは料金が上がります。

お申し込み

こちらよりお申込みください。
 
☆大阪での認定試験はこちらをご覧ください。
JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ(大阪)

2014年10月08日

JARTA統合化トレーニングの導入

下級生時代に活躍していた選手が、学年が上がっても思ったような活躍ができないというケースを見たことはありませんか?
 
JARTAトレーナーの高塚です。
 
私が以前から関わらせていただいている高校野球部で、今年のオフからJARTA統合化トレーニングを本格導入することが決まりました。
 
JARTA統合化トレーニングとは、要素をより細かく分けてトレーニングをして、全体を向上させていく要素主義的な考え方ではなく、フィジカル・スキル・認識力の3つの要素を調和しながら関係主義的にトレーニングを構成していく考え方です。
私は冒頭に書いたような状況に陥った選手を何人も見てきました。
 
JARTA統合化トレーニングの導入1
 
原因は選手により異なり、いくつも考えられるかと思います。

  • トレーニングによる身体意識・機能の変化
  • ケガの発生
  • 周りの環境の変化
  • モチベーションなど精神状態の変化

など、パフォーマンスが発揮できなくなる理由はいくつも挙げられます。
 
特にシーズンオフのトレーニングを進める上で指導者の多くは肉体的・精神的に選手をギリギリまで追い込むことを求める印象があり、選手もハードなメニューをこなしていくことで充実感や達成感を感じることがほとんどです。
この年代の選手たちはトレーニングにしても技術練習にしても圧倒的な練習量をがむしゃらにこなします。
 
また、私が住む北海道では雪の影響により屋外で存分にプレーできる期間が限られており、トレーニングの時間は必然的に多くなってしまいます。(雪が少ない地域は例外もありますし、雪の中での練習をやっているチームもありますが)
 
屋外でのプレーが限られる代償として、練習の仕方や意識によってプレーのスキル、認識力などの感覚がズレてくる可能性があります。

  •  遠くに投げる
  •  打球を飛ばす
  •  打球を受ける
  • 実践的なプレーの際に必要な判断力

などなど、うまくいけば次の年には別人のように成長している可能性もある反面で、努力する方向性を間違えると選手が目指したい方向から逸脱し、思うようなトレーニングの成果が得られない危険性があります。
 
これらの部分で、統合化トレーニングが必要になってきます。
統合化トレーニングを実践する事で上記のような認識力のズレや実際のプレーに反映しにくいといった点が解消できます。
 
競技やカテゴリーによって必要な統合化トレーニングは様々あり、JARTAセミナーの中では治療技術と同じくらい、時にそれ以上に重要視してお伝えしています。
 
JARTA統合化トレーニングの導入2
今年のオフのトレーニング導入の際に、統合化トレーニングの考え方を指導し、チーム全体の共通認識にしていくことで、オフのトレーニングの成果を最大限引き出せればと考えています。
 
オフのトレーニングに関しては、経過をまた報告できればと考えています。
 
最後まで、お読みいただきありがとうございました。

2014年10月02日

スポーツインソールの進歩と人間の足の衰退

最近のインソールの機能は非常に高く、痛みや障害予防パフォーマンスアップまでこなせるようになってきました。
一方で環境や道具を整えることによって人間の足は衰退してきております。スポーツ選手にとって重要な靴やインソール。道具だけを整えるだけで良いのでしょうか。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
スポーツインソールの進歩と人間の足の衰退1
 
近年のインソールは目を見張るほど効果的なものが多いです。

  • 下肢疲労の軽減
  • 衝撃分散
  • 姿勢改善
  • 疼痛の改善
  • バランスの向上、足下の安定

挙げればキリがないほど効果的で即効性がありますが、しかし、科学や医療が発達すればするほど人間の機能低下は免れません。
 
インソールも例外ではありません。
特にスポーツをする若い選手・世代において自分の足をうまく使えず、インソールという道具に頼り過ぎている傾向があります。
 
自分の足への気づきが薄れていってしまうのではないでしょうか。
 

足の機能の低下

人間の足の機能は生まれたときには非常に高いものです。
しかし、靴を履くことを覚え始めると同時に足の能力は低下していきます。靴を履く事で地面との接触は減り、指を使う機会もなくなります。
 
スポーツインソールの進歩と人間の足の衰退2
 
加えて、現代の道は舗装されておりデコボコ道がほとんどありません。足下の道路の形状を感じる事も出来なければ、足を積極的に使う場面もありません。
坂道があっても、エレベーターやエスカレーター、階段があり斜めの道を歩くことは皆無になっています。
 
平坦でまっすぐな道が用意されていれば、人間の足もその整えられた状態に適応していき衰退していきます。
 
これは靴を履く国と履かない国(裸足で生活する国)でもすでに足関節機能の差が顕著に現れています。足裏の型をとると、靴を履く国では重心が偏り、指がうまく使えていないというデータがあります。
 
いつの間にか「靴を履くための足」に変化してきたのです。
 
では「歩くため、立つための足、スポーツをする足」とはどんな状態なのでしょうか。
 
スポーツインソールの進歩と人間の足の衰退3
 

スポーツに必要な足とは

スポーツという激しい動きで必要なのは、どんな地面・局面にも対応できる足です。
当然ではありますが、足指がしっかりと開き、動きに制限がなく十分に筋力が使えることが必要になります。
 
そのための訓練とは良い靴や良いインソールに頼るだけではなく、裸足で動くこと・感じることが大切です。
どこに重心があり、どの足に乗ると動きやすくて、どの部分が動いていないか、JARTAで重要視されている「内的認識力」を変化させることでスポーツのパフォーマンスが向上します。
 
今回はスポーツインソールの進歩と人間の足の衰退がテーマでした。生まれた時の裸足の感覚を取り戻すことがスポーツに必要かもしれません。
 
最後までお読み頂きありがとうございます。

2014年09月25日

第2期 JARTAイタリア研修 後半のご報告

9月13日から始まりました2期目のイタリア研修、後半の内容を簡単に報告させていただきます。
JARTA認定スポーツトレーナーの佐原です。
 
イタリア研修後半では前半以上に、毎晩遅くまでトレーニング指導や内容、プレゼンなどについてみんなで話し合いました。
第2期 JARTAイタリア研修 後半報告1
 
 

イタリア研修4日目

午前中は業務提携を結んでいる、カルチョファンタスティコに所属の日本人留学生のトレーニング指導とコンディション二ングを行いました。
 
19〜26歳の彼らは親元を離れ、異国文化のイタリアでプロ契約を結ぶため厳しい環境で生活しています。
どことなくあどけなさが残る表情の中に、イタリアでプロになるという強い心意気を感じました。
 
日本人のイタリアサッカー界での活躍を期待して、今後もJARTAとしてサポートして行きたいと思います。
 
午後からは、セリエA  SSラツィオの練習を間近で見学することができました。
 
トップチーム選手のしなやかなプレーやフィジカルの強さを目の当たりし、
体格差=フィジカルトレー ニング
という概念にとらわれている、従来の日本での思考では限界があることを強く感じた瞬間でした
 
その後、フィジカルコーチとの対談があり、中野代表がJARTAコンセプトのプレゼンを行いました。
 
セミナーで強く伝えられてきたプレゼンの重要性を、その場で感じることができ、明日からのトレーニング指導を再構築する良い機会となりました。
現場では緊張感がとても強く感じましたが、さすが中野代表。普段通り場の雰囲気にのまれることなく、いつも通りのプレゼンを行っていました。
 
夜からは、テクニカルアドバイザー吉田輝さんの所属しているチームのフットサルの試合観戦がありました。
吉田さんのプレーを見ていると、小柄な身体でも決して当たり負けせず、広い視野、的確な指示を瞬時に判断しておられました。
 
これが世界で戦う選手の背中なんだと強い印象を受け、人間の身体は使い方次第で多くの可能性を持っていると実感することができました。
 
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イタリア研修5日目

朝からスコールに見舞われ、午前中はローマ観光予定でしたが、近くのバールでのんびりと過ごしました。
 
午後からローマにあるヴィーゴルユースカテゴリーのトレーニング指導をしました。最終日の指導でもあるため、研修の総括として取り組みました。
JARTAのコンセプトとも言える武道、武術をベースにした『身体の使い方』を、サッカーの各プレーで使用する有効性を例に挙げて説明しました。
また実際に身体を硬めることによって起こりうるネガティブな概念を、身を持って体感してもらいました。
 
その後、ディフェンスとオフェンスに分けたターン練習やアシストトレーニングを行いました。 言葉はわからなくとも、自分の気持ちを常に選手へぶつけていきました。
第1期研修時の反省点を踏まえ、ジェスチャー を増やしたり、通訳を見ずに選手に語りかけるなど、コミュニケーションを図る際の基礎を大切にして指導を行いました。
 
選手の反応は比較的よかったとのことですが、内容が不足しており自分の事前準備が足りなかったことを痛感しました。
 
夕方からはラツィオのフットサルチームの練習を見学しました。フットサルはサッカーと比較すると、コンタクトが非常に多く、狭いスペースでの駆け引きが重要だと感じました。
トップチームでも体型•体格には非常にバラつきが見られ、小柄な選手でも戦っていけるのは、サッカーコートよりも更に小さいコートが、無意識的に身体の使い方を捉え易い環境にしているのではないかと感じました。
 
第2期 JARTAイタリア研修 後半報告3
 
最終日の夜、今回の研修に参加したJARTAトレーナーの赤山、枝次、佐原の良かった点と悪かった点を説明し合い、自分は下記のような指導を受けました。

  1. 初めての経験に逃げ過ぎている
  2. 指導時に余裕がなく視野が狭い
  3. 自分を出し切れていない。また積極性に欠けている。
  4. テクニカルアドバイザーの吉田輝さんとの情報収集やコミュニケーションが不足している。

 
普段感じていることは、このような場面で必ず表面化してきます。現場でこんなトレーナーに選手が出会ったらどう感じるでしょうか?
課題が山積みでしたが、次回のイタリア研修や、今後の自分の成長に繋げていける様に今後アウトプットして行きたいと思います。
 
トレーニング指導や研修での具体的な経験は、後日報告させていただきます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年09月22日

言葉の重みを再考する

「股関節を意識してください」
 
言葉の重みを再考する1
 
トレーニング指導を行う時、何気無く使う言葉の重要性を考えさせられる機会がありましたのでお伝え致します。
 
JARTAの赤山です。
 
イタリア研修を通じて、日本語が通じない場面で日本語の難しさや、言葉の持つ含みの難しさを痛感しました。
 
普段から使っている言葉も記号体系の重要性は理解して使っているつもりでしたが、はっきり言って話になりませんでした。
それは専門用語の通じる、環境や文化的背景など共通の理解がある状況下でのみ通じているだけでした。
 
もっと言うと、日本人の本当に理解できていなくてもわかったようなフリをするという気質に甘えていたのかもしれません。
 
冒頭の言葉ですが、そもそも股関節という記号の捉え方もその方が持つ解剖学的な知識や経験によって随分違います。
今回はそこではなく意識するという言葉と脚の捉え方を変える際に自分が今まで用いていた「支点」という言葉です。
 
言葉の重みを再考する2
 
イタリア語で支点は「Fulcro」、英語では「Fulcrum」と言います。
私は簡単に普段使っている用語を通訳してもらったり、英語で簡単な説明ができればなんとかなるんじゃないかと思っていました。
 
でも通訳をして頂いているテクニカルアドバイザーの吉田さんからの返答は、
「そんな言葉知らないしそもそも支点ってどういう意味ですか?」
と聞かれました。
 
私は一瞬止まってしまいました。
 
日本でも選手に指導する場面では極力難しい専門用語は使用しないように注意していましたが、何気なく使っていた用語が通じない。
この事で自分が今までいかに曖昧に指導していたかを再考させてくれました。
 

  • 力を伝える際の支えになる
  • 動きの始動になったり動きの中心になる
  • 動きの動力源になる

など多くの意味が含まれていると思います。
 
ひとつの言葉が多くの意味をかかえていれば、それを通訳でイタリア語に転換してもスムースに伝わるとは限りません。
これは日本のなかだけでも言えることなのかなと感じました。
 
言葉の重みを再考する3
 
「意識してください」といっても、その方が持つ意識という記号の認識によって若干の相違があってしかるべきでだと思います。
それが日本人の分かっていなくてもわかったようなフリをする文化に甘えるのではなく、よりその場に適した用語に転換したり補足したりしてアジャストしなければならないと感じました。
 
同業者にはその方のもつ解剖運動学的な知識に合わせて、選手には分かりやすい表現で、指導者にはその方のバックグラウンドやその場の環境に合わせて。
 
そういえば、学生時代の実習地で同じような事を悩まされたなと思い出した旅でした。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

2014年09月19日

第2期 JARTAイタリア研修 現地報告

9月13日から始まりました2期目のイタリア研修。現地からJARTA認定スポーツトレーナーの枝次がご報告します。
 
現在、中野代表、赤山、佐原、枝次の4名で、サッカーの本場イタリアに研修に来ています。
イタリアの朝は青い空が広がる晴天です。
第2期JARTAイタリア研修 現地報告1
 
今回は現地からJARTAイタリア研修の内容を簡単に報告させていただきます。
 

イタリア研修1日目

研修1日目はミラノでインテルユースの試合観戦、夕方からINTER-SASSUOLOの試合観戦をしました。
INTER-SASSUOLOは一流選手のパフォーマンスを目の当たりにし、現場でしか味わえない臨場感を感じることができました。
 
U-16でもこちらの選手は体格が大きく、フィジカルでは負ける日本選手がどうすれば勝てるのか。
身体の大きい選手はパワーで押してくる、身体の小さな選手は身体の使い方で勝負すれば勝算があるのではないかと感じました。
 

イタリア研修2日目

研修2日目はインテルアカデミー総責任者より講義を受け、インテルユースコーチとディスカッションを行いました。
インテルアカデミーが考える指導方法など、トレーナーとして活動する参考になる内容も多く、今後のトレーナーとしての活動を再考させられました。
 
インテルアカデミーの講義では、インテルと日本の指導の違いを聞きました。
一方的な指導ではなくコミュニケーションを多くとり、「選手と共に創りあげる」こと重視していました。
トレーナーが一方的に教えるのではなく、選手に考えさせることも意識してトレーニングを指導していきたいと思います。
 

イタリア研修3日目

第2期JARTAイタリア研修 現地報告2
研修3日目は午前中ミラノから電車でローマへ移動。
電車の中から見える景色も歴史を感じるミラノの街並みから一転、自然豊かで閑静な町並みのローマへと移動してきました。
 
ローマへ到着後、地元クラブチームのオスティアマーレでトレーニング指導。
オスティアマーレでは16歳の選手を対象に、武道・武術をベースにした身のこなし方をサッカーのシュチュエーションに合わせたトレーニングを行いました。
オスティアマーレでのトレーニングの詳細は改めて報告します。
第2期JARTAイタリア研修 現地報告3
 
 
研修も残りわずかとなりましたが、日本では経験できない多くのものを吸収していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年09月16日

障害予防をどう考えるか

先日からプロサッカー選手で、現在奈良クラブ(関西1部リーグ)でプレー中の甲斐敬介選手のコンディショニングとトレーニング指導を開始しました。
 
ユースからプロ転向後ケガに悩まされることが多くありました。
そのため再受傷の予防をしつつパフォーマンスアップをさせることを目的にトレーニングに励んでいて、伸びしろがたくさんあります。
 
甲斐選手とは、どうやって再受傷を予防しながらパフォーマンスアップにつなげるのかという思考の擦り合わせを逐一行いながらトレーニングをしています。
 

障害予防の考え方について

JARTAのセミナーやブログでは再三お伝えしていますが、ケガの予防のためには目的部位だけをフォーカスするのではなく、目的部位と全身との関係性を考える必要があります。
 
サッカーというスポーツ競技では、無限の動きの要素が組み合わさって存在します。

  • 相手とのコンタクト(ぶつかり合い)
  • 後方のボールを見ながら前方へダッシュ
  • 瞬時の切返し
  • ドリブルしながらのパス、シュート
  • ディフェンスの際、相手の動きに合わせてついていく

上記のように挙げだしたらきりがありません。
こういった動作の中で、体の一部分が硬く固まることで、他の身体部位にストレスが集中することがあります。
 
甲斐敬介JARTAトレーニング1
例えば、瞬時の切返しの時に上半身が固まり上手く回旋が入らないことにより、膝関節で全ての回旋ストレスを受けてしまうような状態です。
ストレスを受けた部位(痛みが出ている部位など)を鍛えているだけでは、動きの中でのストレスに対応することは難しいです。
 
こういった理由で局所と全身との関係性のあるトレーニングが必要だということを説明しました。
 
 
全身とのつながりを意識したトレーニングはこれまであまり行ってきたことがないようで、すごく新鮮に受け止め実施してくれました。
今後は少しずつトレーニングの内容についてもご紹介できればと思います。
 
 
JARTAのセミナーでは、こういった障害予防の考え方やトレーニングについて詳しくお伝えしております。
 
甲斐選手の今後の活躍にご期待下さい。

JARTAトレーナー 山岡

甲斐敬介JARTAトレーニング2

2014年09月13日

世界基準のトレーナーの在り方と周辺視野の重要性 ~チェコへの海外帯同を経験して~

今回は、拠点としているスタジオのバレエダンサーが、この夏にチェコであった12th International Ballet Masterclasses in Prague参加されました。
そのセミナーに帯同させていただいたので、その活動報告をさせていただきます。
世界基準のトレーナーの在り方と周辺視野の重要性2
JARTAトレーナーの田中紀行です。
現在、私は名古屋にありますバレエスタジオを拠点として、バレエダンサーやフィギュアスケーターを始めとしたスポーツ選手のコンディショニングやトレーニングに従事しております。
 
今回の帯同の主目的は2つです。

  1. トレーナーとしてバレエダンサーのサポートスキルを向上させる
  2. 今回参加したスタジオのダンサーのコンディショニングをする

 
まず1つ目の目的ですが、元チェコ国立バレエ団のプリンシパルであり、後に理学療法士としてダンサーのケアにあたっているPhD Jiri Cumpelikが、Medical Officerというセミナーを担当しておりましたので、そこでバレエダンサーのサポートスキルを学びました。
 
Jiri氏が行っていたサポートのメソッドは、マッサージや筋力トレーニングなどの要素的なものではなく、身体の動きを関係的に捉えることで、身体の使い方を向上させます。
 
具体的な例を挙げますと、ダンサーが痛みを訴えている場合に、痛みに対してその部位にマッサージなどで変化を与えるのではなく、ダンサーの痛みが発生する動き方をチェックし、痛みを発生させていると考えらえている動きの改善を具体的に指導します。
 
動きを通してダンサーは痛みがでない方法を学ぶため、身体を依存的にトレーナーに任せるのではなく、自らの内的認識力を最大限向上させ、苦手な動きを克服していきます。
 
ここで、重要なポイントは、Jiri氏自身がその動きをみせることで、ダンサーにその動きの重要性を理解させるため、ダンサーも積極的に動きの改善に取り組んでいました。
これは、JARTAが提唱しているコンセプトに非常に近いものでした。改めて、JARTAコンセプトは世界基準であり、さまざまなスポーツ選手をサポートできることを実感致しました。
 
世界基準のトレーナーの在り方と周辺視野の重要性1
 
2つ目の目的を行うことにより、トレーナーとして帯同することで参加したダンサーが、世界トップクラスのセミナーでメソッドを問題なく学ぶことができました。
 
海外でのセミナーは、言語・気温・スタジオの床などの外的環境が日本と大きくことなります。そのため、ダンサーはいつもの身体状況をキープすることが難しくなります。
そのような変化をトレーナーとして常に冷静にチェックすることで、ケガや痛み等のトラブルを未然に防ぎ、ダンサーがセミナーに参加した目的を十分に達成できるようにします。
 
また帯同することでスタジオでのレッスン風景を観察し、動きについてもいつも以上に具体的なコミュニケーションが取れたことは非常に良い機会となりました。
 
トレーナーとして、常に選手自身のみならず外的環境も含め広い視野で観察することの重要性を再度認識することができました。
 
今回の帯同は、広い意味でダンサーのパフォーマンスアップに関わることができました。
この活動報告が少しでもトレーナーの皆様のプラスになればと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
世界基準のトレーナーの在り方と周辺視野の重要性3

2014年09月10日

固い筋肉を身に付けたアスリートの身体をゆるめる方法

筋肉ムキムキでガチガチに固くなったスポーツ選手の筋肉を、みなさんはマッサージしたり、ストレッチしたりしていませんか。
実はこれらの手技は筋繊維を損傷させ過緊張を起こす危険性があります。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
本当に筋肉の「コリ」を改善させ、アスリートに必要なしなやかで柔軟な筋肉を作り上げるためにはどうしたら良いでしょうか。
今回はゆるめる方法を再考していきたと思います。
 

固くなっている筋肉の状態とこれまでの手技の危険性

筋肉ゆるめる呼吸
組織の拘縮は別として、アスリートの筋の固さの要因は筋肉がずっと収縮したまま、もしくは伸ばされた状態から過緊張を引き起こすことがほとんどです。
そうなると筋肉が働きにくくなり、老廃物が排出されず循環障害を起こし痛みまで発生させます。
 
更に固くなった筋肉は、中枢神経系の運動・感覚野の機能低下も引き起こします。
 
では固くなっている筋肉に対して以下のような手技はどのような危険性があるのでしょうか。

  • マッサージ:押す圧によって筋膜や筋繊維の損傷を引き起こす可能性がある。(もみ返しは組織の損傷)
  • ストレッチ:筋紡錘という受容体が過度な筋の伸張を感知して過緊張を引き起こす。

 
固くなっている筋肉を単純に柔らかくしようとすることは、安易ですが危険性があるのです。
では、安全で効果の高い筋肉のゆるめる方法とはどのようなものがあるでしょうか。
 

呼吸+ゆらす

JARTAでは呼吸やゆれを治療方法に使用します。
呼吸により自律神経へ働きかけ対象箇所の筋肉をゆるめ、ゆれという弱い刺激で脳に働きかけ、筋に収縮と弛緩を繰り返し循環改善させていきます。
 
筋肉がしまる・たるむを繰り返すことで筋のポンプ作用で代謝が活発になりゆるんできます。
このように呼吸とゆれを併用することで筋肉を安全にかつ最大限ゆるませることが可能です。
筋肉ゆるめる呼吸2
 

まとめ

今回は固くなった筋肉に対する治療がテーマでした。
マッサージとストレッチだけでは対処できない固さに対して、呼吸とゆれを利用した方法をJARTAセミナーでご紹介していきます。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

2014年09月05日

怪我の功名とは何かを感じた瞬間

「怪我してよかった」
心の底からそう思える瞬間なんてあるのでしょうか?私はあります。
 
そしてこの夏、そう言ってもらえる嬉しい場面に直面したのでお伝えさせていただきます。
 
JARTAトレーナーの赤山です。
 
その選手は中学1年の体操選手です。
腰椎の疲労骨折を指摘され、一時はコルセットを着用し安静を指示されました。
2月頃に治療を開始し、目標は中学入学後に練習についていけるように根本的に治療を行うことと再発を予防することでした。
 
今回は彼女と母親、私との話し合いの中で、ただ復帰するのではなく、怪我の原因を探ることとより身体をうまく使えるようにすることが共通目標でした。
 

体操競技の特性は?

怪我の功名とは何かを感じた瞬間1
日常での腰椎への負担を軽減させることはさほど難しくありませんが、それが体操競技となると話は別です。
過度な屈伸だけでなく脚の振り上げ、倒立からの開脚、宙返りや着地などの動作レベルが上がるにつれて、次から次へと課題がでてきます。
 
今回の取り組みでの大きなポイントは以下の通りです。

  • 脚と腕の捉え方を根本的に変える
  • 肩甲骨と肋骨をしっかり分離させ上肢の力みを減らす
  • 背骨ひとつひとつ動かせるような柔軟性と意識を持つ
  • おなかの硬さをとるために必要以上に腹筋(一般的な)をしない
  • 意識の持ち方で痛みが簡単にコントロールできることを体感させる

細かく上げると他にもたくさんありますが、以上を考慮しながら治療やトレーニングを実施しました。
 
怪我の功名とは何かを感じた瞬間2
 
結果は復帰初戦で種目別で1位、次の県内大会をノーミスで個人総合優勝できました。
その時の報告で母親が「怪我してよかったね」との問いかけに笑顔で微笑みうなずき返している表情は、心の底からそう感じているように私には見えました。
 
では何が変化し、試合の結果が伴い怪我を前向きに捉えられるようになったのでしょうか。
ちなみに昨年の同大会は2位でもちろんミスも数回あったそうです。
この夏は怪我の影響で新しい技の練習はまったくできず本番を迎えました。カテゴリーが上がったにも関わらず昨年までの技だけで勝負をしたのです。
 
 
本人の主観と母親からの話、そして私の仮説を含めた今回の改善ポイントは以下の通りです。

  • 手脚の支点が代わり、客観的にも主観的には手足が長くなり演技力が増した
  • 肩甲骨と肋骨の分離が出来たことで、倒立時の力感が減り倒立時の自由度が上がっただけでなく疲労度が減り耐久性があがった
  • 背骨の動きがしなやかになったことで表現が豊かになった
  • きついトレーニングだけが競技力を高めるわけではないことが理解できた(背骨や股関節・肩甲骨周囲のワークはやると楽になることを実感させた)
  • 自分の身体が変わったことを自覚でき、自信が出来たことで表情も豊かになった(以前は表情も背骨も硬く睡眠の質も悪いような選手であった)

 
また関わりが長くなるにつれて、細かな意識の持ち方を指導し彼女の不安をとれるように考えました
「こんな痛みがあればこう意識すれば楽だよ」
「ここは意識しすぎるとしんどいから何も考えない方がいいよ」
「お風呂はつかって寝る前には楽しいことやいいことを考えて寝るといいよ」
などなど、様々な変化に直面し、主観的にも客観的にも競技力が上がり、そして結果が伴ったことで彼女は怪我をしてよかったと思えるようになりました。
 
怪我をしてからのこの半年がなければ、今の結果が出せなかったと心の底から思ったのだと思います。
 
全ての選手が勝利するわけではなく、本当に怪我してよかったと思える瞬間はそうありません。
しかし怪我と向き合う選手をサポートする限りその時間が無駄ではなかったと思えるような関わり方をしたいと思っています。
 
 
「怪我の功名」
 
私は中学1年の時は成長痛に悩まされ、怪我さえなければもっと高くとべるのにと思いました。そして多くの怪我や挫折・困難が自身の経験となり今はそれが仕事をする上での財産になっています。
これも長い目で考えると怪我の功名であったと今は考えられます。
 
最後までお読み頂きありがとうございます。

2014年09月02日

ローテーターカフトレーニングと立甲

肩関節のトレーニングで有名なローテーターカフトレーニング。
私自身肩関節を壊して、ひたすらトレーニングをしたことがありますが、著明な効果はありませんでした。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
なぜローテーターカフトレーニングが有効ではなかったのか。今回は上肢を使うスポーツ選手にとって重要な、ローテーターカフの機能についてのお話です。
 
上腕骨を包む肩のインナーマッスルがローテーターカフになります。機能としては肩を挙げる時に働き、上腕骨頭を肩甲骨の関節窩に安定化させます。
ローテーターカフトレーニングと立甲1
不安定な肩関節にとってローテーターカフは重要視され、様々なトレーニングが開発されていることは皆さんご存知だと思います。
ローテーターカフトレーニングといえば、アウターマッスルが働かないように、弱い負荷で肩関節の運動を行うが一般的です。
 
たしかに、理論的には筋電図的にローテーターカフに収縮は示されます。
しかし、実際に腱板機能の改善に適したトレーニングは現在のところ確立されておりません。
 
そこで今回はトレーニング時の肩甲骨と上腕骨の動きに着目してお伝えします。
 

どこを固定するのか?

ローテーターカフトレーニングと立甲2
この一般的なローテーターカフトレーニングは「中枢部を固定して末梢を動かす」動きです。
果たしてこの動きが本来の肩関節の動きなのでしょうか。
 
私自身が2年ほど肩の不安定性があり、あるとき四つ這いでのトレーニングを始めてから肩関節周囲の不安定性が解消されていきました。
 
なぜ四つ這いトレーニングで不安定性が解消されたのでしょうか。
 
本来の肩関節の動きとしては「中枢部が動きを出して末梢が楽に操作できること」が重要であるからです。
つまり肩甲骨を固定して上腕骨が動くのではなく、肩甲骨自体が先行して動きを作るということです。
これは今までのローテーターカフトレーニングとは逆の動きになります。
 
肩甲骨が上腕骨頭をむかえにいき中枢部が動くことで、肩のインナーマッスルが自動的に働きます。インナーマッスルを働かせるのではなく、働きやすいポジションを作るということです。
そう考えると四つ這いという上肢を固定した状態において肩甲骨を動かす運動(立甲)は非常に有効なトレーニングになります。
ローテーターカフトレーニングと立甲3
インナーマッスルを働かせるのではなく、自動的に働くことがスポーツ動作においては重要となります。
おそらく、私の四つ這いトレーニングも立甲に近い状態になっていたと思います。
 

まとめ

今回は肩関節のインナーマッスルについて、今までのトレーニング理論とは少し視点を変えて捉えました。
JARTAベーシックセミナーでは立甲トレーニングを行いますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

2014年08月25日

スポーツにおける動き出しを速くしたい

スポーツ選手の中には「動き出しを速くしたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。
今回は「動き出しが速くなり、下半身の柔軟性も向上する身体の使い方」についてお伝えします。
 
JARTAトレーナーの藤田です。
 
今回はJARTAイタリア研修でトレーニング指導した日本人留学生が日本へ一時帰国した際に指導した内容です。
彼は関東出身ですが会ってトレーニング指導して欲しいということで、わざわざ大阪まで来てくれました。
JARTAトレーナーの山岡、櫻田も一緒にトレーニング指導しました。
 
スポーツ競技における動き出しを速くしたい
 
動き出しを速くしたいと言われたときはどのようなトレーニングを指導しますか。

  • 筋力がないので筋力トレーニングを行う
  • SAQ(speed agility quickness)トレーニングを行う
  • プライオメトリックトレーニングを行う
  • TRXトレーニングを行う

など、いろいろあると思いますがどれも間違いではありません。
ですが、これら全てを網羅するには「基本的な身体の使い方」が重要です。
 
スポーツ競技における動き出しを速くしたい2
こちらは前回お伝えしたトレーニングと同じです。これは非常に重要なトレーニングなのですが、その理由がわかりますか?
それはこのトレーニングにより体幹・股関節・膝関節・足関節の柔軟性向上とこれらの連動性も向上するからです。
全ての関節の柔軟性がなければこのように殿部がしっかりと下がりません。
 
また柔軟性がなければ後方に転んでしまったり、胸を張ってしまったり、顎が前に突き出てしまったり・・、代償動作を起こします。
またそれにより、膝関節を痛めてしまうことも多々あります。
 
ポイントを1つあげるとすれば鳩尾(みぞおち)です。
 
そのため、このトレーニングは評価としても使用でき主観的・客観的にも上達が分かりやすいです。
 
次は立甲というトレーニングです。
スポーツ競技における動き出しを速くしたい3
JARTAのセミナーを受講された方は全員ご存知だと思いますし、過去のブログでも取り上げていますので、詳細はそちらで確認してください。
参照) 立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由
 
簡単に説明すると、上肢・体幹の連動性と上肢の操作性の向上です。
なぜかというとゼロポジションをどこでも作ることができるため、エコでハイパフォーマンス発揮が可能となります。
 
これら2つを指導しただけで、全身の柔軟性が向上しさらに連動性も向上しましたし、実際に動いてもらうと彼自身も驚きを隠せないでいました。
「15分前の自分の身体が嘘みたいだ」
「立った時点で身体が軽くていくらでも動ける」
「足が勝手に前に出る感じだ」
 
この後さらに3つのトレーニングを行い、さらに身体のキレが向上しました。
 
その内容としては動的な要素を多く組み込んだ内容で以下の身体の状態が重要です。

  • 脱力(ゆるんでいること)
  • 強力な軸の意識
  • わずかな重心移動を察知する認識力

簡単に説明すると、身体がしっかりとゆるんだ状態で足を一歩前へ出すトレーニング。
簡単なように思いますが、人は動きたい方向に行く際は必ずその方向と反対側の足へ一度体重を乗せてから動きます。
しかしそれでは一瞬の遅れが生じるため、相手のレベルが上がれば上がるほど動きが読まれてしまいます。
 
この一歩前へ出すトレーニングの中に、「ゆるむこと」「軸の意識」「重心移動」というキーワードを取り入れ意識してもらいながら行うことで動き出しの向上に繋がります。
また強力な軸の意識を形成するためには重心移動を伴わないようにして足を持ち上げることです。
 
ではいまから実際に試してみましょう。
 
右肩から右くるぶしがしっかりと壁に着くように立ちます。この状態で右足を持ち上げてみましょう。
これは簡単にできると思いますでは次に壁から離れないようにして左足を持ち上げてみてください。
どうですか、できましたか?
 
これができるようになると強力な軸の意識と重心移動がしっかりと操作できる身体の使い方に繋がります。
具体的な内容はアドバンス Ⅱ セミナーで、3つのキーワードに関してはセミナー全体を通してお伝えしています。
 
これらのトレーニングを行ったあと実際に動いてもらうと、
「動き出しが速くなった!」
とグランドを走り回っていました。
 
さらに
「これだけ走っても身体が疲れない」
との感想ももらいました。
 

まとめ

今回は動き出しを速くして下半身の柔軟性も向上したいという依頼でした。
これに対して下半身のみに着目するのではなく上半身も評価する必要性が高いということを改めて実感しました。
 
私は本格的にサッカーをしたことがありませんが、一つの要素のみにとらわれず一つ一つの関係性をしっかりと理解し柔軟に考えることで、自分が経験したことのないスポーツでも対応が可能になるということを再認識しました。
 
今回指導したトレーニングは全てJARTAセミナーでお伝えしている内容ですので、気になる方はぜひセミナーにご参加ください。
 
最後にこんな嬉しい言葉をもらいました。
「こんな素晴らしいトレーナーの方々が日本にいてるのに知らないのはもったいない」
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

2014年08月22日

京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート

今回、JARTAトレーナーとして、京大女子ラクロス部のサポートに帯同させていただきましたのでご報告いたします。
 
今回のトレーニングの概略は以下の通りです。
実施日時:平成26年7月2日(水) 9:00~14:00
場所:京都大学農学部グラウンド
参加者:選手;女子ラクロス部 約20名、学生トレーナー;MAST 約5名、JARTAトレーナー;灰方、枝次、藤田
内容:全体トレーニング 約45分、グループ指導&個別コンディショニング 約4時間
 
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート2
 
まず全体を通した感想ですが、
「現場では想定外のことが起こる」
ということを、身をもって経験しました。
 
事前に聞いていたチームからの要望はパフォーマンスアップとのことだったのですが、前日の夜になってチームに故障者が多発しているという情報が届き、急遽用意していた目的やプランを組みかえることになりました。

チームからの事前の要望

① 切り返しの早さ
② 50分間走りきる持久力
③ パスの距離・球威

当日の選手の状態

12名の故障者の連絡あり(シンスプリント、捻挫、腰痛、股関節痛、頚椎捻挫など)

目的
  • 走力を上げる(切り返しの早さ、持久性)
  • 効率の良い上肢の使い方の獲得
  • 障害予防の理解、セルフケアの獲得
目標

歩き方、走り方など、選手に何か一つは変化を実感してもらう
今後、練習のウォーミングアップやセルフで取り入れる内容を獲得してもらう
 
このような状況と、ラクロスの競技特性を考慮した上で、優先して獲得してほしい身体意識をセンター(3軸)、裏転子、ベスト(肩肋分離)、インサイドジンブレイドとしました。
全体練習では、インナースクワットのトレーニングを中心に、一次姿勢修正の意味、3軸の位置、ゆるむことの意義、アクセル筋とブレーキ筋などを説明しながら展開しました。
 
故障者の状況を見ながら、また全体の理解度を見ながら進めたため、内容としては「センター」の解説が中心となり、予定していた「裏転子」については簡単な説明とレッグショットのみになりました。
 
選手の大学講義の関係で、予定よりも全体トレーニングが短かったこともあり、予定を変更しました。
選手の反応としては、「センター」についてはかなり理解できたようで、その場でインナースクワットの動きも変化していました。ただ、炎天下のグラウンドで足元も人工芝と暑いコンディションであり、最後の方は疲労も感じられました。
 
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート4
 
個別コンディショニングの時間では、故障の程度が大きい選手を中心に3名のトレーナーで対応しました。
また、並行してシンスプリントなどの足部障害の選手を集めて、ミニグループでのセルフケアの説明も行いました。
 
故障者が多く、またそれぞれの症状が重かったため、各トレーナーが4~5名を担当する必要があり、かなり時間を要しました。
ただ、全体トレーニングで大枠を説明してあったため、軸の理解などはできている選手が多く、軸の誘導だけでもかなり姿勢や歩行が変わるのを体感してもらえました。
 
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート3
 
以下、今回のトレーニングでの課題と今後について考えてみました。

(1)全体トレーニングの課題

  • 状況に応じて変えられるよう、指導プランを複数作っておく必要があった。
  • 「障害予防」にフォーカスしすぎたため、パフォーマンスアップに繋がる説明が少なくなり、後から個別場面で補足が必要であった。
  • 「足が早くなる」「リーチが長くなる」などの選手が求めているキーワードをしっかり見つけ出して使っていく必要があった。
  • 前に出ての説明1名、サポート1名、オブザーバー1名の構成だったが
  • 事前の打ち合わせや共通認識の不足を感じた。
  • 目標をもう少し具体的に、数値化するなどして決めておいた方が良かった。

(2)個別コンディショニングの課題

  • 個別コンディショニングの時間では、シンスプリントの選手が多く、痛みの軽減を図ることができなかった。
  • 選手との話で共通の認識(私自身の目標設定)が作れていなかった為、どのタイミングで終了するか悩んだ。
  • 内的認識力を感覚で理解している選手と理解できていない選手がいた。
  • 理解していない選手に対しどのように説明するか悩んだ。
  • セルフケアの説明の時間があまり取れていなかった。

(3)運営上の課題

  • 実施場所が炎天下のグラウンドであったため、選手にもトレーナーにも体力的な負担が大きく、集中しにくい環境であった。
  • 開始、終了、休憩のタイムスケジュールが不明確であったため、個別コンディショニングがかなり長時間になってしまった。

(4)今後の継続に向けて

  • 選手の中で、一次姿勢の修正、障害予防について理解が進んだと思うので、次はパフォーマンスアップにフォーカスしたトレーニングに移行させたい。
  • 特に、サイドの切り返しで必要になるインサイドジンブレイドや、クロスを持って走るために必要となるベストの意識などは、獲得することでパフォーマンスアップに繋がると思われる。
  • 通常練習のトレーナーとして関わっているMASTとしっかり連携をとり、一貫性のあるトレーニングの提供、選手のケガの状況の把握をする必要がある。
  • 継続して関わるならば、前回担当したトレーナーとの間で、効率的な引継ぎ方法が必要である。

 
JARTAトレーナー 灰方、枝次、藤田
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート

2014年08月18日

ゴールキーパーに必要なトレーニングは?

ゴールキーパーのトレーニングで悩んでいる方は多くないでしょうか?
ゴールキーパーはサッカーで唯一異なる事が許されたポジションです。そのため異なったメニューが必要となり悩みが多くなるのでしょう。
 
そこで今回は「ゴールキーパーに必要なトレーニング」の一例をお伝えします。
JARTAトレーナーの藤田です。
 
今回も実際にトレーナーとして関わっている選手を例にして話を進めていきたいと思います。
簡単に選手のご紹介をしたいと思います。
ゴールキーパーに必要なトレーニングとは1
現在20歳のゴールキーパーです。
イタリア研修時にトレーニング指導とコンディショニングを行ったのが、彼との初めての出会いでした。
 
日本とイタリアという実際に会って指導することができない関係ですが、様々な手段を用いてトレーニングやコンディショニングのサポートを継続しています。(方法に関してはまたの機会にお伝えします)
現在はJARTAのアドバイザーである吉田輝氏がオーナーを務めるイタリアチーム「Fiumicino Calcio a 5」でプレイしています。
まだまだ若手で伸び代がたくさんあるため今後の活躍に期待です。
 

ゴールキーパーの特徴や要素

ゴールキーパーは唯一フィールド内で手を使うことを許されたポジションです。
 
そして様々な方向や距離からシュートが打たれてきます。
そのため相手選手のわずかな動きからシュートコースなどを判断しなければなりません。またシュートコースの判断と同時にキャッチング・パンチングのように腕を使うのか脚を使うのかという判断も必要になります。
 
ここでゴールキーパーに必要な要素を少し挙げてみます。

  • 一瞬の判断能力
  • 一歩目の速さ
  • 腕の操作性
  • 脚の操作性
  • ジャンプ力
  • 切り返しの速さ
  • 全身の柔軟性
  • しゃがみ込みの速さ
  • キック力

など、すぐに思いつくだけでこれぐらいありますが、実際にはもっと多くあると思います。
 
今回はゴールキーパーの「腕の操作性」にポイントを絞ってお伝えします。
まずはこちらのトレーニングです。
ゴールキーパーに必要なトレーニングとは2
もうおなじみになりました「立甲」です。
やはり腕の操作性を高めるためには肩甲骨の可動域は非常に重要な要素です。また立甲は可動域だけではなくJARTAセミナーでもお伝えしている格定力も必要になります。
可動域が十分にあり柔軟性が高く、かつ身体が十分にゆるんでいるだけでは立甲はできません。局面に応じた筋出力が重要になります。
 
格定力に関してはJARTAベーシックセミナーでお伝えしていますので、ご興味があればベーシックセミナーにご参加ください。
JARTAベーシックセミナー
 
話がそれたので元に戻します。
肩甲骨の重要性は多くあります。

  • 肩関節(腕)に影響する
  • 肋骨(胸郭)に影響する
  • 頸椎・骨盤にも影響する

など、全身への影響があります。
これらを考えると肩甲骨の重要性は必然ではないかと思います。
 
立甲ができるようになると肩甲骨の可動性が向上するばかりではなく、肋骨の可動性も向上します。そのためゴールキーパーに重要なリーチ(腕の伸び具合)が向上しあと少しではじくことや届かなかったシュートにも届くようになります。
 
次はこちらのトレーニングです
ゴールキーパーに必要なトレーニングとは3
こちらはクレーンというトレーニングです。JARTAのアドバンス Ⅱ セミナーにて詳細はお伝えしています。
簡単に説明すると腕の操作性と体幹部の安定性が向上します。
 
腕というのは肩から先ではなく体幹部から指先までのことを指します。ですので体幹のトレーニングにもなりまた体幹と腕の連動性のトレーニングにも繋がります。
体幹部でもいわゆる腹筋群ではなくさらに深層にある大腰筋のトレーニングです。また狭い支持基底面のなかでバランスをとるという能力(要素)が必要になります。
そのためには身体が固まっていてはバランスはとれません。
 
この他にもクレーンのさらにレベルアップしたトレーニングである、「捻りクレーン」も指導しています。
このトレーニングはクレーンよりもさらに腕の操作性と体幹部の安定性・バランス能力が求められ、なおかつ体幹部の回旋も入るため脊柱の可動性も必要になります。
 
これにより脊柱の一つ一つの動きが可能になり脊柱サスペンションのように使えるようになります。
脊柱をサスペンションのように使えるようになると、障害予防やジャンプ力向上・キック力向上などのパフォーマンスアップに繋がります。
 

まとめ

今回はゴールキーパーに必要なトレーニングの一例をお伝えしました。
 
中でも腕の操作性にポイントを絞ってお伝えしましたが、一つのトレーニングでも様々な要素と関係していることがトレーニングを構成していくなかでは重要です。
腕の操作性の向上には肩甲骨の可動域のみではなく体幹などの格定力が重要だと感じていただけたのではないかと思います。
 
肩甲骨の柔軟性が向上する立甲ができただけではパフォーマンスの向上には繋がりません。そこからさらに連動性などを向上するトレーニングを取り入れる事でパフォーマンスの向上に繋がります。

2014年08月14日

サッカーでフェイントをかけるときの身体の使い方

フェイントをかけるとき、身体はどう動かせばよいのか。今回はスポーツにおけるフェイントについてお伝えします。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
先日選手からこんな質問を受けました。
「サッカーの1対1のときに相手が抜けないのです。どうしたらいいですか。うまくフェイントがかけられなくて」
さてみなさんはどう答えますか。身体の専門家として客観的に分析してみました。
 
その選手の1対1のフェイントをみたときの問題点です。。
腰椎が固められた状態で肩甲骨の横方向(前額面上)だけでのフェイントになっていました。つまりフェイントをする部分が限られており、かつ1軸の動きで勝負していたのです。
 
サッカーでフェイントをかけるときの身体の使い方
 
ではどのようなフェイントをすれば良いのでしょうか?フェイントを作るためには2つのポイントがあります。

3軸での動きを作る(縦方向、横方向、回旋方向)

前額面・矢状面・水平面上での動きを混ぜ合わせることです。
先ほどの選手では前額面上の動きだけなので、予測しやすくなります。3軸の動きを作れる自由度の高い関節は脊柱・肩甲骨・股関節・足関節がメインになります。
 
これらの関節の自由度を高めることが1つ目の重要なポイントになります。
 

自分の身体中心部分をずらす

フェイントするときに自分の身体のどこを使うかということです。

  • 首を使うのか
  • 背骨を使うのか(背骨であればどの部分を使うのか)
  • 股関節・膝・足首を使うのか

身体の中心というモノを自由自在にコントロールできる様になれば相手から力源が捉えにくくなります。
 
2つのポイントを組み合わせることが出来ると、3次元で自由度の高いフェイントを繰り出すことが可能になります。しかし言うのは易く行うのは難いです。
また2つを組み合わせる前に、1つ1つの基礎を組み立てないと最強のフェイントは生み出せません。
 
実際にその選手には、フェイントではなくまず立位から指導しました。フェイントの動作から指導すると、選手は3段階くらい上のことを指導されているので実感が出来ないのです。
JARTAでお伝えしている「3次姿勢」の指導になってしまうのです。基礎の「1次姿勢」から指導することが必須になります。
 
サッカーでフェイントをかけるときの身体の使い方2

まとめ

今回はフェイントという部分で身体の使い方をお伝えしました。
サッカー自体のフェイント技術指導だけではなく、身体の使い方を考えてみると選手のパフォーマンスアップにつながるかもれません。
 
今回はサッカーのフェイントとして取り上げましたが、ラグビーやバスケットボールなど他のスポーツにも活かせます。
また「1次姿勢~3次姿勢」が気になる方はJARTAセミナーでお伝えしますので、ぜひセミナーにお越しください。

2014年08月11日

ビーチスポーツの競技特性 「踏ん張ると足をとられる」

サッカーとビーチサッカー、バレーボールとビーチバレーなどルールが良く似ていても競技特性が異なるスポーツがあります。
今回は環境が異なることでパフォーマンスに関わる要因が異なってくる現実をお伝えしたいと思います。
 
JARTAトレーナーの赤山です。
 
スポーツ現場では選手の身体状況だけでなく環境面を深く観察しそれが選手に与える影響を考えることはすごく重要なことです。
例えば、テニスでは土のコート(クレーコート)と芝のコート、芝でもオムニコートとウインブルドンでおなじみグラスコート、またアスファルトやセメントを基礎にしているハードコートなどがあります。
 
それぞれのコースでボールの弾み方やシューズのグリップも違うため、それに伴い身体の使い方・障害発生の種類も変わってくることがあります。
そして重要なのはコートによってパフォーマンスを発揮しやすい選手とそうでない選手がいるという点です。
 
これをビーチとそうでない環境で行われているスポーツの違いに焦点を当てて今回はお伝えしていきます。
 

ビーチの特徴

夏で砂浜に行くことも多くなりビーチはアスファルトと比べて歩きにくいと思われている方も多いと思います。
 
「なぜビーチは歩きにくいのでしょうか?」
 
硬い路面では体重をのせると反発力がありそれが上方や前方への推進力の手助けとなります。
そのためビーチより体育館の方が一般的には高く、素早く動くことが出来ます。
 
 
しかしビーチでは踏ん張れば踏ん張るほど足をとられたような感覚になり、前へ進みにくく歩きにくいという印象になります。
ビーチスポーツの競技特性  踏ん張ると足をとられる1
 
ジャンプ動作だと顕著に表れます、高く飛ぼうと強く踏ん張ると足をとられ高く飛ぶどころかタイミングを合わすことも難しくなります。
また裸足で競技を実施するためシューズによる反発力も期待できません。
 
そういった事からインドアバレーでかなり活躍した選手(全日本レベル)でもビーチバレーの世界では思ったような結果を出せず、といった状況もあります。
海外ではクロストレーニングとしてビーチでのトレーニングをインドアスポーツでも取りいれ、双方のナショナルチームに選ばれる事もあるそうです。
 
インドアスポーツで床反力やシューズの性能をフル活用する事は大前提として大事ですが、ストップ動作において過度に踏ん張りすぎる事は次の動作を遅らせ、競技におけるパフォーマンスを下げます。
ビーチに限らず、インドアでも過度に踏ん張って競技力を下げている可能性もあるという事です。
体育館やコートでそういった問題が表出されにくくても夏場によくやるビーチトレーニングでは発見しやすいかもしれません。
 
体育館では先頭きって走っている選手がビーチトレーニングでは全然走れない。
もしかすると過度に踏ん張り、インドアにおいてもパフォーマンスを下げる要因になり下肢への疲労も蓄積されているかもしれません。
 
これは砂浜だけでなくサーフェスの異なる他の場面でも同じように考えることができます。
芝と土の違いなどがいい例ではないでしょうか。
この夏、砂浜を歩きながら環境が変わる事で身体への影響がどのように変わるか再考してみて下さい。
ビーチスポーツの競技特性  踏ん張ると足をとられる2
 

まとめ

今回はサーフェスの違いによる身体環境及びパフォーマンスへの影響をお伝えしました。
踏ん張らない身体の使い方は非常に高度なモノでありますが、実感・習得していただけるようセミナーを通して皆様にお伝えしています。
 
最後までお読みいただきありがとうございます。

2014年07月26日

短期間の遠征帯同で重要なこと

短期間の遠征帯同では、選手の身体の状態をトレーナーの視点でしっかりと評価し、わかりやすく(混乱しないように)選手にフィードバックすること。
そしてフィードバックした内容(問題点)の改善に、直結するケア方法を簡潔に指導することが重要です。
 
JARTAトレーナーの山岡俊也です。
 
私は以前から岩田FCというサッカーチームのトレーニング指導および遠征帯同をしております。
岩田FCはジュニアユース世代(中学生)のサッカーチームで、大阪府の東大阪市に拠点をおくクラブチームです。
 
ここ数年は大阪府代表チームの1つとして関西大会に出場するも、全国大会へは出場できていません。
そのため全国大会(アディダスカップ)出場を目標の一つとして、日々のトレーニングに励んできました。選手たちはモチベーションが高くしっかりとトレーニングを実行してくれました.
 
今回は先日帯同しました遠征(日本クラブユースサッカー選手権(U-15)関西大会)の活動報告と、関西大会の結果報告をさせていただきます。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと1
 

一次姿勢の重要性

今大会は関西各府県予選を勝ち上がった32チームが参加しています。4チームでのリーグ戦が8組あり、各リーグ戦上位2チームが決勝トーナメントへ進むことができます。
決勝トーナメントでは上位8チームが関西代表として全国大会に出場することができます。
 
大会までのトレーニングの目的としては、
「倒れない体と股関節を使えるように」
という要望を監督からいただいておりましたので、まずはそのための前提条件を整える目的として一次姿勢をつくるトレーニングを中心に指導していました。
一次姿勢とは、簡単にいうと普段の日常生活で「立っている」姿勢のことです。
 
なぜこの一次姿勢をつくるトレーニングが必要かというと、「立っている」姿勢の重心位置や体軸(高岡英夫論)のズレにより、姿勢保持のための力を必要以上に出してしまっている場合が多くあるためです。
そうなると基本の動作である「歩く」という動作や、動作としてレベルの高い「スポーツ競技動作」においても無駄な力みが生じ、粗雑な動作となってしまうことが多くあります。
いわゆる、アウターマッスル優位の身体の使い方になってしまうということにつながりやすいのです。
 
上記理由から、一次姿勢を整えるだけでもパフォーマンスは格段に変化してきます。
JARTAのトレーニングは既存の筋トレとは異なり、「身体の使い方」に特化したトレーニングです。
 
サッカーに留まらず、各競技でハイパフォーマンスを実現するために必要な身体の使い方を習得していくことが目的です。
もちろんそれらを習得した上で強化は必須ですので、RSSCという筋肉の反射を使った強化プログラムも存在します。
 
少し前置きが長くなりましたが、今回の報告では試合の雑感と宿舎でのケア、大会結果について簡単にご報告いたします。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと2
 

遠征帯同記

リーグ戦初戦

全国大会出場をかけたすごくプレッシャーのかかる試合であったためか、緊張し肩で息をして、みぞおちを固めて(前に張り出して)プレーしている選手が多くいました。
すごく動きが硬く、空回りをしている印象でした。
みぞおちを固めて前に張り出してしまうと、大腰筋などのインナーマッスルが働きにくい状態となります。その結果アウターマッスル優位のパフォーマンスとなり動きが粗雑になっていたことが一因と考えられます。
 
後半は少し本来の動きになってきていましたが、結果はセレッソ西に2−3と敗北。
緊張からの硬い姿勢だけが問題というわけではありませんが、選手がいつもの動きをできていないのは明らかでした。
 
大事な試合に程よい緊張感で臨むということは、すごく重要なことだと改めて痛感しました。
同時にその点に対してのトレーニングをもっともっと伝えられていたらと反省点として思うところも多々ありました。(詳しくは別の機会にお話できればと思いますが、具体的にはトレーニング中の内的認識力の強化をもっと意識させておけばよかったと感じました。)
 

宿舎にてコンディショニング・セルフエクササイズ確認

慢性的な疼痛の訴えのある選手は2名程いましたが、幸いにも今回の試合によるケガ人はいませんでした。
そのことを踏まえ、宿舎では就寝時間までに食事やお風呂、ミーティングなどの時間がある中、短い時間ではありますがコンディショニングの時間をさいていただきました。
 
もちろん一人一人を評価して調整する時間はありませんので、試合後宿舎までの道中に選手と会話し疲労の出ている部位や、試合中の身体の状態を聞き出したりしました。
コンディショニングおよびセルフエクササイズの指導の際には、試合中すごく力んだ姿勢になっていたということを選手にも伝え、自分で調整するためのセルフエクササイズを再確認しアップデートしました。
 
サブの選手を合わせて20数名の選手がいたことと、短い時間であったので二人一組になってもらい選手同士でできるものを中心に確認し実施しました。
 
自分の体の調子を認識させることを目的の一つとして下記内容を実施しました。

  • 自律神経系調整法
  • 経絡マッサージ(セルフでのOMSS:Oriental Medical Sports Stretch)
  • 丹田呼吸法(※呼吸法はJARTAの上級セミナーでいずれ公開しています)

あまり詰め込まず何度か指導したことのあるメニューを中心に方法論と注意点、ポイントをおさらいしながら確認しました。足りない部分については、終了後に再度行ってもらうようにしました。
 
痛みのある選手については個別のコンディショニングにて対応し、問題部位に対するセルフエクササイズについても指導しました。
また現状の痛みをとり、どこが問題となっているのかを伝え、その痛みとの関連を理解させた上でセルフエクササイズを確認し指導しました。
 

個別のコンディショニングでの特効薬について

遠征などでの個別のコンディショニングで準備していった方がよいものとして、私は塗り薬や湿布などは効果的であると感じています。
理由は、選手の中には「これをしたら痛みがなくなる」とか、「この塗り薬塗ってもらったら痛み感じずにできる」など、選手が自分自身に痛みはこれをすればとれるという「設定」をかけている場合が多くあるのです。
チーム単位での関わりという状況では、パーソナルで対応できる場合だけではないので、常に個別で診ることのできない選手に対しては、こういったものを用意して利用できるようにしておくことも重要な要素であると考えています。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと3
 

リーグ戦2試合目

二日目の試合では緊張からの体の硬さは抜けいつも通りのプレーができていました。
しかし結果が伴わず神戸FC戦は0−0の引き分け。昨日とは違いいつも通りのプレーができていましたが、残念ながら結果が伴いませんでした。
 
しかし選手たちは自分自身で改善点を見つめなおし1日で修正する姿をみせてくれました。ほんとに素晴らしいなと感心させられました。
 

関西大会 大会結果

遠征後に行われたリーグ戦最終の奈良YMCA戦では、1-0と勝利し決勝トーナメントに進むことができました。
その後の決勝トーナメントでも順当に勝ち上がり準々決勝で敗退するも、次の試合に勝利し5位入賞で全国大会への出場が決定しました。
 
選手の目標の一つであった全国大会に出場できるということに対して、自分のことのように嬉しく思います。
トレーナーという立場で関わりをもつことができて本当に幸せです。
 
目標に向かって頑張っている選手たちの力になれるように、これからも最大限のサポートをしていきたいと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
短期間の遠征帯同で重要なこと4

2014年07月25日

ドリブルを止められなくなる身体の使い方

「ドリブルを止められなくなる身体の使い方」ができたら…と思っている選手や、そういうトレーニングができたらと思っているトレーナーは多くないでしょうか。
今回は「ドリブルを止められないようになる身体の使い方」をお伝えします。
 
JARTAトレーナーの藤田です。
トレーナーとして関わっているある選手を例にして話を進めていきます。まずは簡単にその選手の紹介です。(真ん中の白シャツの彼です)
ドリブルを止められなくなる身体の使い方1
 
18歳の高校3年生です。
彼と出会ったのはイタリア研修でとあるチームに訪れたときでした。そのチームで1ヶ月間プレイしテストを受けていました。
そして5/18に行われたフットサルイタリアチャレンジ(JARTAテクニカルアドバイザーの吉田輝氏によるイベント)を観戦に行ったときにたまたま再会しました。
 
イタリアで行ったトレーニングを継続していたら日本のチームメイトに「イタリアに行く前より足が速くなった」と言われたとのことでした。
 
この日は観戦のみの予定でしたが、急遽トレーニングをして欲しいとのことでトレーニングを行いました。要望としては、

  • ドリブルで肩を入れて押さえこめない
  • ドリブルが止められてしまうのでどうにかしたい

とのことでした。
 
ここで皆さんならどのようなトレーニングを思い浮かべますか?

  • 体幹が弱いので体幹トレーニングを行う
  • 押さえこめないのは腕の筋力が弱いからウェイトトレーニングを行う
  • いや土台となる下半身が弱いから下半身のウェイトトレーニングを行う

など、様々なトレーニングを思い浮かべることができると思います。
 
ですが今回行ったトレーニングは上記のものではありません。ウェイトトレーニングや筋力アップを目指すトレーニングではなく、「身体の使い方を向上させるトレーニング」です。
内容はこちらです。
ドリブルを止められなくなる身体の使い方2ドリブルを止められなくなる身体の使い方3
 
1枚目の写真は

  • 体幹・下肢の柔軟性向上
  • 体幹・下肢の連動性(協調性)向上 など

 
2枚目の写真は

  • 上半身の操作性向上
  • 体幹・腕の分離 など

 
「本当にこれだけ?」と思われるかもしれませんが本当にこれだけです。
一見簡単そうに見えますが、これができずに汗ダラダラでトレーニングをしていました。
 
現在は効果が着実に現れ、肩をしっかりといれることができドリブルも止められにくくなっています。
また見事にテストに合格し現在はイタリアでプレイしています。今後も彼をサポートしていきますのでご声援よろしくお願い致します。
 

まとめ

今回はドリブルを止められなくなる身体の使い方についてお伝えしました。
ただ単に筋力をつけるトレーニングのみでなく、このように身体の使い方から変えていくトレーニングを行うことでパフォーマンスは飛躍的に向上します。
 
その考え方やトレーニング方法に関してはJARTAセミナーを通してお伝えしていきます。

2014年07月17日

身体づくりより動きづくり

今回は、日本人選手が世界で活躍するためのヒントになる考え方であり、ジュニア選手など育成年代に関わるトレーナーには是非知っていただきたい内容をお話させていただきます。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
 
先日までW杯で盛り上がっていたサッカーはもちろん、世界で戦う日本人選手を評価する際によく耳にする言葉があります。
「日本人選手はフィジカルが弱い」
 
今回のW杯、日本代表は1分2敗の勝ち点1でグループステージ敗退となってしまいました。
評論家や世論はコンディショニングに失敗したのではとか、監督の采配に関する指摘や、個人の能力の問題と色々な声が聞かれます。
 
これらの指摘の中で「日本人はフィジカルが弱い」というのは、ずっと言われ続けていることです。
こういった指摘の中、「肉体改造」や「身体づくり」といった言葉が先行し、身体を大きくしようとそのためのトレーニングが広く行われるようになりました。
W杯を例にすれば、身体の大きさという点で日本人は明らかに1回り小さいことが一目瞭然でした。
 
そんな日本人が「身体づくり」で世界と戦えるのでしょうか?日本人がいわゆる筋トレで「見かけ上」海外の選手と同じような体格になることで、世界で勝てるのでしょうか?
答えはいうまでもないと思います。これまでの数々のスポーツでの結果が物語っていますね。
 
それではどのような意識がトレーニングには必要なのか。日本人が世界で活躍するためのトレーニングのキーワードは「身体づくりではなく動きづくり」です。
 
身体づくりより動きづくり
 
身体というのはパフォーマンスを構成する一要素でしかありません。
目的とする動き、より速い動き、意図したように動く、どんな状況でも安定した動き。
 
このように動きにフォーカスしたトレーニングを行うことで身体は自然にそのような身体になっていきます。つまり、動きづくりにフォーカスしたトレーニングを行うことで身体づくは結果的にできているのです。
 
いわゆるゴールデンエイジといわれるジュニア世代では神経系の発達が最も強く、スポーツ界では非常に重要視されています。
また、第二次成長にあたるジュニアユース世代では筋骨格系が急速に発達するため身体づくりによる故障のリスクが非常に高いです。
 
この時期から動きづくりにフォーカスしたトレーニングを徹底的に行うことで故障も防ぐことができますし、海外選手のフィジカルにも負けない動きができるようになるのではないでしょうか。
さらに一般的にピークを過ぎたとされる年齢の選手が身体づくりにフォーカスすると若いときの身体を追い求めてしまい思うようにいかないというジレンマに陥ってしまいます。
 
しかし動きづくりにフォーカスをあてることで、ベテラン選手だからこそ持つ貴重な経験を活かした、今ある自分に必要な動きを追求するようになります。
若い時の状態を追い求めるのではなくその年齢や経験値に合った動きを追求することで、選手として成長し続けることに目を向けることができるようになるのではないでしょうか。
 
身体づくりではなく動きづくり、日本人アスリートが世界で活躍するためのキーワードです。
 
最後までお読みいただきましてありがとうございます。




2014年07月11日

アスリートから学ぶこと

『最近太ももの前とか、外側が練習後に張らなくなってきてるんです』
これはゆるめることの重要性を理解し、JARTAセンタリングトレーニングを継続して頂いているアスリートの数ヶ月前の言葉です。
 
JARTAトレーナーの赤山です。
私は現在ビーチサッカーの若林選手のコンディショニングを担当しています。
 
最近はセミナーにも頻繁に顔を出していただき、一緒にトレーニングをされているので受講者の方々はお会いになったことがある方も多いと思います。
若林さん1
コンディショニング中やトレーニング中の会話の中で私自身も多くの気づきがあり、是非共有しておきたいと思いましたので対話形式でご紹介させて頂きます。
 
【以下、会話内容】
赤山:若林さん、最近の身体の調子はどうですか?
若林:最近は前みたいに膝が痛くなることも減って、何より太ももの前とか外側が張らなくなってきましたね。
赤山:それは随分よい傾向ですね。他には何か変化を感じる部分はありますか?
若林:前は試合の後とか股関節前面が詰まった感じがして、トレーナーさんにいつもマッサージをしてもらわないといけなかったんです。
でも今はマッサージをしてもらいたいと思わないくらいその症状はないです。
赤山:それが維持できるようにしたいですね。でもゆるんでくれば逆にまだ硬い部分が気になりだしてるんじゃないですか?
若林:そうなんです。みぞおちの裏とか、その上の背骨が硬くて動いてないのが実感できます。
赤山:じゃあ今日はみぞおちと胸郭(肋骨メインで)がゆるみやすくなるようにワークをしましょうか。
若林:お願いします。
赤山:みぞおちは大腰筋の付着部なので以前も何度かしていますが、背骨の前後の動きを意識しながらしましょう。
あと肋骨はまず左から一本一本分離できるように動かして行きましょう。
 
数分のワーク後。(左だけ肋骨をゆるめて)
 
若林:あれ、左だけ胸板が厚くなったような気がするんですけど。
赤山:確実に前後の幅が大きくなっていますよ、鏡でみてみましょうか?
若林:本当ですね、なんか左だけごつくなったような。
そういえば全盛期のマラドーナの胸板がすごい厚くて憧れて、その時みんな胸とか背中の筋トレしまくってましたよ。
赤山:そうなのですね。でもマラドーナは筋トレで胸板が厚くなっただけじゃなくて肋骨含めて胸郭がかなりゆるんでいたのかもしれないですよ。
若林:これでこうなるということはそういうことですよね。そういえば前園さんも胸板すごい厚かったです。
赤山:胸板が厚くてゆるんでいれば呼吸機能からいっても有利ですしね、マラドーナも前園さんもそれを備えていたのですね。
筋トレの仕方を誤ってしまうと一見胸板は厚くなっても胸郭の可動性が低下してパフォーマンスが低下する可能性すらありますからね。
若林:そうなんです、なんか上半身が重たくて動きにくくて自然に止めました。
赤山:肋骨や胸郭は自律神経との関係性もかなり深いのでしっかり継続しておいて下くださいね。
若林:はい、胸板厚くしときます。
 

今回の会話から再確認し学んだこと

  • 練習、試合後の筋に張りを選手は仕方がないものと思っている。
  • そしてそれはなくなって普通じゃなかったことに気づく。
  • 憧れの選手をマネする姿勢は時としてマイナスに働くこともある。

以上になります、選手の感覚を大ことに一つ一つ現象に向き合うことで再確認できることが多々あります。
 
私はビーチサッカーをしたことはありませんが、若林選手の身体や思いと真剣に向き合うことで一歩ずつパフォーマンスアップへの階段を登っていると感じます。
また随時報告させていただきます。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。
 
若林さん2

2014年07月10日

静岡県のサッカーの名門校、常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告

先日、常葉橘中学サッカー部での全体トレーニングに介入させていただきましたのでご報告いたします。
常葉橘中学サッカー部は、先日開催されました静岡県U-15サッカーチャンピオンシップ2014で、ジュビロ磐田ユースを破って優勝している強豪チームです。
 
JARTAからの紹介で、3人体制で担当することになりました。今回は、JARTAトレーナーの荒川が報告します。よろしくお願い申し上げます。
 
晴天のもと人工芝の専用グランドで初回を迎えることができました。25人を相手にトレーニングの提供は初めてで緊張しました。
常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告1
 
初回の介入では
『チーム状況の理解、自分たちの必要性を感じてもらう』
をテーマに作戦を立て、臨みました。
 
JARTA代表の中野から「想像できる限りのことをシュミレーションすべし」とのアドバイスをもらい、シュミレーションを重ね、対応できる準備をしました。(作戦会議の内容は日を改めて報告します)
 

Ⅰ.チーム状況の理解

チーム目標

  1. どういうサッカーを目指しているのか
  2. 我々トレーナーに求めるもの
  3. 具体的にサッカーにおけるどの要素を上げることを必要としているか

などの質問で事前にやりとりし、チーム状況を把握しました。
 

Ⅱ.自分たち=JARTAの必要性を感じてもらう
  • 変化を実感してもらうこと
  • 監督から要望のあった『スピードアップ』

をテーマにトレーニングを提供させていただきました。
 
重心を感じる重要性
常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告2
重心の位置で可動域が変わる、センタリングウォーミングアップの一部です。選手たちは変化に気づき、重心位置の重要性を身体で理解してくれました。
 
選手たちの食いつきが一番いいスパイラル・レッグショット
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常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告7
『サッカー選手は500回連続だよ』に対して『10回で限界』との声も・・・。
 
レッグショットである部位の意識を高めます。下肢に連動するRSSCの発動性を高め、スピードアップには必然です。
常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告8
 
カットフォールはゲーム形式で行いました。どれだけ早くしゃがめるかを競います。ちなみに、写真は優勝した選手とトレーナーの対決です。
常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告9
 
初めに出した課題である、スパイラルレッグショットの精度、連続回数ともにトレーニングを一通り実施した後、向上していました。
このように、JARTAトレーニングには各トレーニング相互に関係性があることについて、選手たちも身体で理解してくれたようです。
 
反省としては一次姿勢の重要性、細かい部分の説明はできなかったことです。今後、指導者向けのレクチャーや、個別のコンディショニングの中で深めていこうと思います。
 
最後に、選手には次週までの宿題を出させてもらいました。次回、選手たちの変化を見るのが楽しみです。
 
今後認定スポーツトレーナーになられる皆さん、是非一緒にサポートしていきましょう。
 
JARTA認定スポーツトレーナー
荒川

2014年07月10日

JARTAベーシックセミナーに参加してみませんか

JARTAベーシックセミナーでは、JARTAのトレーニング理論やコンディショニング技術、そして「立甲」を学ぶプロセスと指導方法を学ぶことができます。
 
「立甲って何?」となったか方はこちらで詳しくお伝えしています。
参照) 立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由
 
立甲が可能になると、肩甲骨や肋骨(脊柱)の可動性も拡がり、肩甲骨と肋骨(胸郭)を分化させた状態で使用できるようになります。
立甲習得前
ベーシックセミナー紹介 立甲習得前
立甲習得後
ベーシックセミナー紹介 立甲習得後
 
また胸郭の可動性も拡がることで、横隔膜や大腰筋の機能も改善することができます。
ご興味、ご関心がございましたら、ぜひJARTAベーシックセミナーにご参加ください。
 
JARTAベーシックセミナーの詳細についてはこちらをご覧ください。
⇒ JARTAベーシックセミナー詳細

2014年07月09日

JARTA認定スポーツトレーナーとしての活動報告【京都大学野球部トレーニングサポート】

先日、JARTA認定スポーツトレーナーの寺田、松田、JARTA代表の中野の3名で、京都大学の野球部員を対象にトレーナー活動をしてきましたので、今後の課題も含めてご報告します。
 
はじめまして。高知県で活動しています、JARTA認定スポーツトレーナーの松田と申します。今回の記事は同行したトレーナーを代表して私が書かせていただきます。
今回、寺田と私は、野球部員数名のトレーニング指導を担当しました。(今回は体験・見学という形で、女子ラクロス部員数名と京大の理学療法学科の学生数名も一緒に参加していました)
 
京都大学野球部トレーニングサポート3
 
ちなみに自分たちに与えられた時間は1.5時間。
皆さんならこの時間内で、しかも初対面の集団を対象としてどのような指導を行いますか。自分達の行なった指導は以下の通りです。
 
1.本日の目的を説明
JARTAセンタリングトレーニング、一次姿勢の説明 等々
2.一次姿勢調整トレーニングを指導
・脊柱スパイラルストレッチ
・みぞおち・肩助面トレーニング
・大腰筋トレーニング
・立甲
・インナースクワット
・シッティングフロー
・フローティングダウン 等々
3.質疑応答
このような流れでした。
 
1.5時間経過後、授業のために抜ける選手もいましたが、結局は全体練習の終了後に個別指導など含めると合計2.5時間ほどの指導時間でした。
 
野球部員、女子ラクロス部員、理学療法学科学生の皆さん、ちゃんと話しを聞いてくれて、トレーニングも真面目に実施してくれました。
トレーナーの指導が適切ならば、どんどん進化するんだろうなと感じました。
 
逆に言えば、トレーナーが間違った方向性のトレーニングを示せば選手達は本来のパフォーマンスを発揮できないということも実感しました。(マイナスの学習といいます)
 
なぜそう感じたのか。
 
選手はトレーナーのことを信頼しています。(あまり信頼されていない場合もありますが・・・)信頼しているトレーナーが指導してくれたことならば、それがたとえ間違っていたとしても全力で取り組んでくれます。
「努力するのは選手の責任ですが、努力(トレーニング)の方向性を示すのはトレーナーの責任です。」
京都大学野球部トレーニングサポート2
選手とトレーナー、お互いが信頼し合っていても、トレーナーが間違った指導をすれば選手の努力は報われません。どんなトレーナーも選手を悪くしようと思って指導することはないです。
 
しかし、現実にはトレーニングの方向性を間違えて(このやり方が正しいと思い込んでしまって)、選手に無駄な努力を強いる場合もあります。ですから、我々トレーナーは選手が結果を出せるよう常に考え、準備し、行動するという努力が必要だと感じました。
 
今回のトレーナー活動で自分達の課題として、次のものを挙げました。
1. トレーニングの目的、期間(期限)、程度をもっと明確にする必要がある。
⇒今回は少し提供するトレーニングの種類が多かった。もう少し種類を絞って、トレーニング実施の質を高めることが必要だった。
2.トレーニングと野球の動きを関連づけて説明し、そのトレーニングに取り組む意義をしっかり伝えることが必要である。
⇒トレーニングの効果はすぐに出るものではないです。日常生活の中で何度も何度も繰り返して行うレベルのものもあります。
そのトレーニングを行うことで、未来の自分がどのようなパフォーマンスを発揮できるのかを伝えることが重要でした。さらにその姿を選手が具体的に思い浮かべることができるようになれば、トレーニングへの取り組みは飛躍的に向上すると思いました。
3.選手をどんどん上達させてモチベーションを更に上げていくことが必要である。
⇒大半の人がそうだと思いますが、出来なかったことが出来るようになると楽しいし更にやる気が出てきます。何度も何度もトレーニングを繰り返せば誰でもある程度上達するのは当然です。
トレーナーは的確なポイントを指導して、選手を最短距離で目標まで連れて行く技術が必要だと感じました。
 
京大硬式野球部 田中英祐投手の立甲

(今秋のドラフト候補、田中英祐投手の立甲)

 
今後も京都大学サポートはJARTAが継続して行なっていく予定なので、次回参加の際には今回の経験を活かしたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
JARTA認定スポーツトレーナー
寺田 智博
松田 純一
京都大学野球部トレーニングサポート1

2014年07月07日

選手にとって本当に必要なスピードの質

連日サッカーW杯で盛り上がっていますが、今回は旬のサッカーをテーマに「スピード」について焦点を当てていきたいと思います。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
「50m走が速い」「長距離が速い」これらはスピードを示す重要な値ですが、数値的なスピードだけで相手を抜くことができるのでしょうか。
 
その前に、そもそもスピードとは何でしょうか。たとえば100mを10秒台で走るとき、

  • 初速から加速するスピード
  • トップスピードまでの加速
  • トップスピード

など、どれも重要なスピードです。単純に走るという競技だけでみれば、その速さを鍛え上げることが重要になってきます。
 
では相手がいる球技スポーツではどうでしょうか。今回はワールドカップに出場している選手に当てはめて考えてみましょう。サッカーのドリブルで有名なアルゼンチンのリオネル・メッシ選手を例に挙げていきます。
選手にとって本当に必要なスピードの質1
彼のドリブルのトップスピードは飛び抜けて速いわけではありません。他のトップレベルの選手でメッシよりも足が速い選手はたくさんいます。
しかしメッシ選手のスピードコントロールはピカイチです。スピードの初速と緩急の付け方が他の選手と比べ物にならないくらい優れているのです。
 
物体が動き始めたときの最初の速さ=初速であり、これが相手がいるスポーツ動作において重要になります。
また初速が速いだけでは相手がいるスポーツでは通用しません。相手を出し抜くテクニックが必要になってきます。
 
ポイントは「バレない様に速く動く」です。
これには初速をいきなりトップスピードに変化させ、かつ余分な準備動作を最小限にすることが重要になります。
 
格闘技に例えるのであれば、力こぶをためて思いっきり振りかぶったパンチはスピードはありますがまず相手に当たりません。
選手にとって本当に必要なスピードの質2
一方、ノーモーションのパンチは準備動作がなく相手が予測できず、かつ初速が速いため相手は避けきれないのです。
 
メッシ選手は相手を抜き去るとき、ノーモーションのパンチを繰り広げるようにしてドリブルをしているのです。これでは相手もついていけません。これが世界一流のスピードの質です。
 

まとめ

今回はスポーツにおけるスピードという大きなテーマについてお話しました。
数値だけでなく、パフォーマンスに直結するスピードはどのようにトレーニングしていけばよいか。JARTAアドバンスではそのヒントが転がっています。
 

2014年06月29日

フットサル日本代表の中村友亮選手のサポート開始しました

このたびJARTAで新たにサポートを開始した選手をご紹介します。
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中村 友亮|Yusuke Nakamura

アグレミーナ浜松所属
フットサル日本代表
154cmという小柄な体格を活かし、足技・ドリブルでの突破力に秀でる選手です。

プロ経歴

2005-2007年 ヴィッセル神戸
2008-2010年 FC琉球
2011–2014年 バサジィ大分
2014—現在アグレミーナ浜松
2014年からはフットサル日本代表に選出されている。
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JARTAトレーナーの高島公平が担当いたします。

担当トレーナープロフィール

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高島公平

JARTA SSランクトレーナー 理学療法士

経歴

2008年 理学療法士資格取得後、大阪で病院勤務となり急性期から回復期の整形疾患や回復期の中枢疾患の患者を経験。
2011年 愛知県豊橋市に新設された整形クリニックに転職。現在も同クリニックに在籍。
 
臨床2、3年目に自費診療での開業を目指し、西洋医学の分野だけでなく体軸や東洋医学、カイロプラクティックなども取り入れ患者の施術を行っていた。
JARTA代表の中野と出会い、PTになろうとしたきっかけである「トレーナー」という道を再度挑戦しようとし、認定スポーツトレーナーとなる。   現在も、開業を視野に入れつつ、在籍中の整形クリニックの業務だけでなく、トレーナーとして活動を開始している。

2014年06月18日

アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手のサポート報告

先日、プロサッカー選手で、元日本代表の永井雄一郎選手のコンディショニングとトレーニングサポートに行ってきました。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
今回はサッカー元日本代表で現在、関西サッカー1部のアルテリーヴォ和歌山に所属する永井雄一郎選手のサポートの報告です。
 
現在35歳の永井選手はここ数年思うような成績を残せず、横浜FCからアルテリーヴォ和歌山に今年4月に移籍してきました。ここから復活すべくJARTAを通じてオフォーを受けてサポートしていくことになりました。
 
初回は全身状態の確認と今後の方向性の相談、いくつかの自主トレーニングを伝えてきました。
永井雄一郎選手のトレーニングとコンディション2
永井雄一郎選手のトレーニングとコンディション1
施術のポイントなどの詳しい内容は公開できませんが、まだまだこれから成長していけることは間違いありません。
 

今後の永井選手のサポートの概要
1.継続したコンディショニングサポート

身体に起こった異常とその原因を選手とともに見極め、それを改善し予防していく方向性を見いだしていきます。

2.1から身体づくりを行っていく

ここでいう身体づくりとは筋力トレーニングやスタミナの強化などではなく、JARTAで行っている統合化トレーニングを軸に身体機能と動きの質を高めていきます。

3.弛緩力、格定力を高め故障予防と鋭い感覚を養う

成績を残すためにまずはコンスタントに試合に出場しなければなりません。そのために故障を予防することは必須です。そのために弛緩力と格定力を高め動きの質を上げ自分自身の身体に対する鋭い感覚を養っていきます。
 
永井選手に伝えたのは、良いときの状態を再現し“復活”を目指すのではなく、いまの永井選手の最高の状態を目指し“進化”しようということです。
 
永井雄一郎選手のトレーニングとコンディション4
色々話しましたが、永井選手のこのままでは終われないという非常に強い思いはひしひしと伝わってきました。その思いに応えるよう道を作るのがトレーナーの役割です。
 
今後の永井選手に是非ご注目ください!
 
JARTAトレーナー  岩渕 翔一 (写真右)

2014年06月10日

体がブレるので体幹トレーニングした方がいいですか?

「体がブレるので体幹トレーニングした方がいいですか?」みなさんはこんな質問を受けた時どう答えますか。
今日は体幹による固定についての話です。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
体幹ついては選手も考えていることが多いです。とくに「ブレる」という表現されることも多く、鍛えることで改善しようと考えます。
ブレる→不安定→良くない→固定しよう→体幹トレーニング・・・、という流れが現代の主流の考えです。
 
しかし、本当にブレることが悪いのでしょうか。本当に体幹で固定することが絶対的に正しいのでしょうか。
 

体幹は固めると動きやすいのか?

選手からの質問に私は「ブレてもいい、体幹を固めないようにして」と伝えます。
一般的な体幹トレーニングは体幹を固めて末梢を動かすという流れです。末梢を動かすときにガチガチに体幹を固めて崩さないように気を配るわけです。
 
体幹を固定するとは、見方を変えると脊柱を動かなくするわけです。26個の背骨運動を筋肉で制限する。背骨だけではありません。
胸郭や骨盤帯の動きも制限されます。これが自然な反応なのでしょうか。
 
動物や赤ちゃんの動きを思い浮かべてください。俊足のチーターが体幹を固めて動いているでしょうか。赤ちゃんが体幹を固めて動いているでしょうか。
体がブレるので体幹トレーニングした方がいいですか?1体がブレるので体幹トレーニングした方がいいですか?2
 
どちらも否です。体幹は固めずにブレているのです。
 
肉食動物であるチーターが生き残るために選んだ手段です。赤ちゃんが動きはじめて成長するために選んだ手段です。これが自然な体幹の動きではないでしょうか。
 
理学療法の研究においても、肩を挙上するときや足を動かすときに最初に活動する筋肉は
体幹であるという報告があります。しかし、体幹が活動するからといってイコール「体幹を固める、収縮させておけばいい」というのはあまりにも短絡的です。
 
逆に体幹の活動から末梢が動いているのでは…と考えたことはありませんか。
「体幹を動かして末梢を楽に操作する」
これが本来あるべき姿であり、より高いパフォーマンスアップに必要な身体の使い方だと考えています。
 
グニャグニャした体幹から波動運動が末梢に伝わる、肩甲骨・肋骨・脊柱・骨盤が総動員されて動きにつながるわけです。
 

まとめ

今回は体幹がブレた時に体幹を固めるかという選手の質問についてのお話でした。
体幹から繰り出されるパワーやスピードが強力な力を生み出すことは、JARTAトレーニングで実感できることでしょう。
 
ご興味、ご関心がございましたら、ぜひセミナーに参加してみてください。

2014年06月03日

中殿筋を鍛え過ぎると立位が不安定になる

いまや中殿筋エクササイズはどんな方でも知っている有名なトレーニングです。
中殿筋エクササイズが立位や歩行を安定させると誰もが信じて疑いがないと思いますが、本当にそうでしょうか。
本日は中殿筋トレーニングに疑問を持っている方にお読みいただきたい内容です。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
冒頭でも触れました、中殿筋は立位や歩行を安定させると筋肉と考えられていますが、少し語弊があります。
それは立位の質に焦点を当てていないから、安定したように見えるのです。でも本当は不安定になっているかもしれないのです。
 
たとえば中殿筋を鍛えるためにこのような運動をしていませんか。
中殿筋を鍛え過ぎると立位が不安定になる1
実はこの運動が選手の動きを阻害している可能性があります。
 

中殿筋は頑張りすぎていませんか

では実際に自分の身体で感じてもらいます。立位姿勢で中殿筋に力を入れてみてください。
簡単に中殿筋が力が入る方法として小指側に体重をかけてみてください。大腿の外側の筋肉が優位に働き中殿筋も働きます。この立ち方は安定していますか。
中殿筋を鍛え過ぎると立位が不安定になる2
 
静止立位を筋肉で保っている状態なので、あたかも安定しているかのように感じます。これは簡単に言うと「力の出している感を身体で感じ、頑張って立っている」のです。
この状態はJARTAで重視している弛緩力ではなく、収縮力を強くしている立位になります。もちろん中殿筋のトレーニングをした後にも同様の「頑張って立っている」状態が完成します。
 
立つという動作だけで筋肉の収縮が大きければそれだけ立位で疲労するし、次の動き出しも遅くなってしまいます。これは非常に効率が悪い身体です。
 

中殿筋の出力をなくした立ち方のポイント

では中殿筋を使いすぎないためにはどうしたらいいか。つまり立つことを最小限の出力で抑えるということになります。
以下の方法を行ってみましょう。

  1. 脛骨直下で立つ
  2. 脛骨を意識して立つ(腓骨ではありません)
  3. 脛骨の上に大腿骨そして骨盤がのるように意識する(感じることができれば骨頭と臼蓋の位置関係も意識)
  4. 下肢の筋出力を最大限減らす(特に入りやすいのが大腿四頭筋と腰背部になるため注意)

1~4を意識して行うと、非常に楽に立てます。
 
一見ふらふらする感じがしますが、これは安定している上動き出しがスムーズになります。ぜひ電車の中で試してみてください。
 
全身に力を入れた状態で立つ方法と全身の力を極力抑えて立つ方法でどちらが長く立っていられるか。おそらく後者の方が長く立っていられます。
そして後者の方がバランスを崩したときのステップ反応が速くなるはずです。
 

まとめ

今回は、絶対的な中殿筋の役割を、視点を変えて考えてみました。
「中殿筋=立位安定」この方程式を少し疑ってみることも必要かもしれません。スポーツ選手の中殿筋が頑張りすぎていないか確認してみてください。
 

2014年05月27日

ハイパフォーマンスに欠かせない裏転子と大腰筋の関係

今回はJARTAセミナーでもお伝えしている大腰筋と裏転子・ハムストリングスの関係についてお話しします。大腰筋に関しては何度かコラムでもお話ししていますが、また違った視点からのお話しですのでトレーナーの方は要チェックです。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
さてJARTAではいくつかの重要視している概念や部位があります。大腰筋や裏転子はその重要視しているもののひとつです。しかしこの裏転子という言葉そのものを聞きなれていない方も多いかと思います。
 

裏転子とは

裏転子とは運動科学者である高岡英夫氏の提唱する身体意識のひとつで、殿部の下半分からハムストリングスの上半分に形成される身体意識を指します。
この裏転子の意識はハムストリングスを活性化すると言われています。
 
ハムストリングスが大腰筋の拮抗筋であることは周知の通りだと思います。裏転子の身体意識はハムストリングスを活性化し、主動-拮抗筋作用により大腰筋-ハムストリングス両方を強化することが可能になります。
 
ではハムストリングス全てが大腰筋の拮抗筋であるかと言われればそれは違います。大腰筋に対する拮抗筋は、ハムストリングスの中でも裏転子の意識で活性化されるハムストリングス上部がそれにあたります。
 

回旋も考慮した大腰筋の拮抗筋はどこか

大腰筋の作用はOKCでは股関節屈曲であると認識されていると思います。一方、拮抗筋であるハムストリングスの作用はというと股関節伸展と膝関節屈曲が作用であるとされています。
実はこの認識に大きな問題点があります。
 
一般的に、関節運動というのは屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋といった3軸で表現され、それぞれの関節は可能な運動方向により1軸、2軸、3軸の関節に大別されます。この枠組みの中で股関節は3軸の関節に位置付けられます。
 
一度考えていただきたいのですが、屈曲-伸展の作用のみを起こす筋肉があるでしょうか。答えは当然NOです。1軸の関節ならまだしも股関節は3軸の関節で全ての運動方向に可動しますし、運動方向はあくまで人が便宜上分けただけの分類です。
ではこの事実を踏まえて、大腰筋とハムストリングスの起始と停止、筋肉の走行をみてみましょう。
 
大腰筋は12胸椎及び第1腰椎~第4腰椎を起始として小転子に付着します。走行は大腿骨に巻きつくように小転子に付着します。
ここが重要なポイントで、大腿骨を這うように走行し後内側にある小転子に付着していることで大腰筋が収縮すると股関節の屈曲だけでなく外旋運動が起こります。つまり大腰筋は股関節の屈曲と外旋が作用となります。
 
次に拮抗筋であるハムストリングスをみてみましょう。外側にある大腿ニ頭筋は坐骨結節を起始とし、腓骨頭及び下腿筋膜に付着し、内側にある半腱様筋と半膜様筋は坐骨結節を起始とし脛骨粗面内側に付着します。
これらの筋の起始・停止と走行から外側ハムストリングスは股関節伸展及び外旋、内側ハムストリングスは股関節伸展及び内旋の働きが作用となります。
 
こういった理由から股関節屈曲及び外旋運動を主動する大腰筋の拮抗筋は、伸展及び内旋運動を主動する半腱様筋と半膜様筋、つまり内側ハムストリングスということになります。
そしてこの主動筋-拮抗筋の関係は回旋運動も伴い、屈曲外旋-伸展内旋の関係となります。
 
ここが非常に重要なポイントで、この回旋運動を伴った股関節屈伸運動がJARTAで推奨しているRSSCにつながるのです。つまり大腰筋-内側ハムストリングスの関係がRSSCを賦活(ふかつ)する
 
例えば陸上選手が走るところをスローで見てみると、かなり回旋の要素が見てとれます。そのため、大腰筋やハムストリングスを活性化するというのは近年注目され、重要視されているのです。
ハイパフォーマンスに欠かせない裏転子と大腰筋の関係1
 

視点を変えると拮抗筋からみえてくるものも変わる

上記のように股関節の屈伸という観点でみると 「大腰筋⇔裏転子」
回旋要素を考慮すると 「大腰筋⇔内側ハムストリングス」
 
股関節回旋要素を考慮すると「大腰筋⇔内側ハムストリングス」の拮抗関係が成り立ち、それがRSSCを賦活します。そして裏転子の身体意識はこの作用を活性化しハイパワーハイスピードのパフォーマンスを実現にするため欠かせません。
このように考えると、大腰筋だけにフォーカスして治療やトレーニングするのでは不十分なことがお分かりいただけるかと思います。
 
JARTAでは大腰筋や内側ハムストリングスを活性化し、RSSCを賦活するトレーニングや治療手技をセミナーでお伝えしています。
大腰筋やRSSCをもっと知りたい方はぜひセミナーにご参加ください。
 
また指導者や選手の方で、もっとパフォーマンスを上げたいとお考えの場合は、ぜひお問い合わせください。
 
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
 

2014年05月22日

JARTAトレーニングのリハビリ現場での実践

今回はJARTAで学んだトレーニングをリハの現場で実践し効果を実証できましたので報告させていただきます。
はじまして。JARTA認定スポーツトレーナーの金丸 了と申します。福岡で作業療法士をしており、作業療法士としての経験は10年目になります。
 
私はスポーツ現場でのトレーナー経験はありませんが、JARTAのトレーニングはリハビリ現場でも十分活用できるのではないかと考え実践してみました。
 
対象の患者さんは障がい者支援施設におられる20代の女性です。軽度の身体障害と軽度の知的障害があります。(※ご本人様に掲載のご許可はいただいております)
身体能力は高く、昨年より障がい者スポーツの100mの選手となり、地域の大会で昨年は2位の成績を残されています。
 
本人の悩みとして、以前より運動後に肩から腰部、大腿部にかけての痛みの訴えと、時折肩こりによる頭痛と吐き気を訴えていました。
相談を受けまして、当院でリハビリ開始となりました。
当初はストレッチや物療で対応していましたが、改善が見られないため、思い切ってJARTAで学んだトレーニングに切り替えました。
 

JARTAのトレーニングの効果

トレーニングとしては、脊柱スパイラルストレッチ、鳩尾(みぞおち)とウナの意識、大腰筋トレーニング、立甲とインナースクワットを行いました。
 

評価

ボディイメージが悪く、一次姿勢も崩れており体の軸をうまく捉えられていない状態でした。
そのため座位や立位でも、常に体のどこかが力んでいる状態で疲労し易い状態で、特に歩行や走行時に肩から腰部にかけての力みが強い状態でした。
 
また、リラックスができず常に全身を固めた状態で、柔軟性に欠け格定力も低い状態でした。
※ 格定力:局面に応じて身体の状態を最適化できる能力。JARTAセミナーで学べます。
 

体幹の柔軟性の改善目的として

鳩尾と肩肋面トレーニング及び脊柱スパイラルストレッチを行いました。続いて立甲及び四足歩行を行いました。
訓練が進むにつれて肩甲骨周囲の筋の固さがとれ柔軟性が出てきました。また大腰筋なども緩み腰部の固さが取れてきました。
その結果、頭痛や肩こりも徐々になくなっていきました。
 

立位でリラックスできる姿勢作り

今回の治療で重要だったのは立位、つまり一次姿勢のトレーニングです。一次姿勢は、運動を考える上で必須の考え方で、全ての運動の基本となります。
一次姿勢ではウナ(=脛骨直下)に荷重できる必要があります。
 
立位で軸の意識ができてきたところで、さらにインナースクワットを行い、しゃがみきった位置でも力まない様に姿勢作りの訓練を行っていきました。
JARTAトレーニングのリハビリ現場での実践2
 
 

経過

週2回の訓練を1か月行った時点で肩甲骨周囲から腰部にかけての筋肉の張りや痛みはなくなり、リラックス出来るようになりました。
インナースクワットも力まずに出来るようになりハムストリングスや下腿三頭筋の痛みも消失しました。
 
局面に応じて力を入れたり抜いたりが出来るようになり体の使い方が徐々にできるようになり身のこなしが軽くなりました。
本人も『走りやすくなった』『走った後の痛みや疲れがなくなった』と言われています。そして実際に走るスピードも速くなりました。
 
また走った後の疲れや痛みが出なくなったので、運動をするモチベーションアップにもつながっています。
 

まとめ

JARTAの手技やトレーニングは、リハの現場でも十分に通用します。
ただし、相手に対してのリスク管理や意味を理解してもらえるための説明能力は必要となりますので、自分自身も更にしっかりと理解して活用していく必要があると感じました。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
 
JARTA認定スポーツトレーナー
作業療法士
金丸 了

2014年05月21日

身体能力を最大限引き出すウォーミングアップ

小さい頃から運動の前にウォーミングアップを行ってきました。しかし、その意味と効果を理解できていますか。 ただ何となくウォーミングアップを行っているのではないでしょうか。
今回はJARTAの身体能力を最大限引き出すウォーミングアップについてのお話です。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
ウォーミングアップをしたことがない、という方はいないですよね。それほどウォーミングアップは当たり前のように行われています。
まずウォーミングアップの意味と効果について、考えてみましょう。
 

ウォーミングアップの効果を再考する

我々がウォーミングアップをする理由としては、

  • 柔軟性の向上
  • 筋温の上昇
  • 心理的効果
  • 心肺機能の準備

などが挙げられます。 重要ではありますが、これだけでは不十分です。
 
次にある部活のウォーミングアップ一例です。

  • いきなり15分ランニング
  • 各自ストレッチ5分
  • その後ボールを使用した練習開始

以上です。これが部活の現状です。
 
ウォーミングアップ時間自体も非常に短くなっており、アップが軽視されている傾向があります。   身体能力を最大限引き出すウォーミングアップ1
 
私は選手にいつも言います。
「身体はまだ眠っているのに、起こさなくていいの?」
 
まさに選手は寝起きのまま100mを走ることと変わらない身体状態なのです。 しかも、高校生レベルだけでなくトップアスリートでも、ウォーミングアップを深く考えていないことが多いです。

  • ただ単にストレッチをするだけ
  • 何も考えずに筋肉を伸ばす
  • 順序も構成もないアップメニュー
  • とりあえず全身を隈なく動かして温まっている状態にする

これで戦える身体になれるのでしょうか。これで戦える100%の身体に変化しているのでしょうか。
 
JARTAウォーミングアップは今までのアップとは違います。簡単にまとめると、

  • 余計なアウターマッスルを抑制
  • 重要なインナーマッスルの活性化
  • 身体の内観をあげる
  • その日の身体のコンディションの確認(選手自身が確認)
  • 各身体のセンサーを発火させる

つまり、我々が治療した後のような状態を呼び起こすことができるのです。いつでもどこでも、選手自身で。 身体能力を最大限引き出すウォーミングアップ2
JARTAのアップは、ハイパフォーマンスに達するためのアップなのです。余計な要素は一つもありません。 具体的な方法についてはアドバンスセミナー3でお伝えします。
 
身体能力を最大限引き出すウォーミングアップ3
 
 

まとめ

今回はスポーツに必須のウォーミングアップについてお話をしました。
大げさではなくこれからの日本のウォーミングアップが変化すれば、自ずとスポーツ結果が変わってきます。そのためにはまず指導できる人間が必要になるのです。
ぜひJARTAのウォーミングアップを体感してください。

2014年05月19日

イタリア・フットサルチャレンジ2014での活動報告

昨日兵庫県宝塚市でイタリア・フットサルチャレンジ2014が開催されしたので、ご報告申し上げます。
JARTA代表の中野です。
JARTAのアドバイザーも勤める、フットサルの元日本代表・吉田輝氏が、イタリアフットサル界の猛者を連れて凱旋帰国しました。
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告1
 
試合はもちろん注目なのですが、イタリア・ラツィオ州選抜のユニフォームの背中に注目!
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告2
わかりましたか。そうなんです。今回JARTAは本大会のスポンサーをさせていただきました。
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告3
 
さらに認定スポーツトレーナーもご招待していただき、イタリア側のトレーナーにはJARTA認定スポーツトレーナーである枝次伸吾が入りました。
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告4
 
試合はとても白熱したものとなり、よい経験となりました。
イタリア側にいたアルゼンチン代表の選手は身体が大きくても柔らかい動きで、かなり目を引きました。日本人選手には、ああいう選手たちに勝てるようになってほしいですね。
 
試合後は選手や吉田氏と記念写真も撮らせていただけました。
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告5
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告6
 
JARTAでは今後も認定スポーツトレーナーを対象に、一流スポーツ選手を肌で感じられる機会をご提供していきます。
JARTAのセミナーについてはこちらをご覧ください。
⇒ 現在募集中のJARTAセミナー
 
PS.試合後にはこんな記念ウエアもいただきました。大切にします!
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告7

2014年05月15日

一流のスポーツトレーナーになるための法則

今回は「一流トレーナーになるための法則」というお話をします。どんな法則なのでしょうか。
 
JARTA代表の中野です。
スポーツトレーナーを含めて、その道で一流になるために必要な「全てに共通する要素」は何だと思いますか。
 
それは「自分はできる」と心の底から信じられることです。もっと言うと、それを潜在意識レベルでインプットしていることです。
 
一流になってゆくためには、当然様々な新しいチャレンジをし続ける必要があります。
誰にとっても、新しいチャレンジは怖いものです。
なぜでしょうか。それは想像ができないからです。
 
では想像ができないのはなぜか。潜在意識に入っていないからだと思います。
『おれはできる』と潜在意識に入っていないからこそ、踏み出せないのだと思います。
 

潜在意識に入れるには

潜在意識に入れるにはどうしたらいいのか。
『それをやっている人を見ればいい』と思います。もっと言うと『やっている人のマインドに触れるといい』と思います。
「自分がこう思って、こう行動している、こうしたい。」というのは、根本に『今までの自分のデータがあるから』なのだと思います。
 
そして、知らず知らずのうちに自らが潜在意識レベルで望む方向に導かれてゆきます。潜在意識とはそういう働きをしてくれるのです。
 
そしてそのデータは『出会い』によって作られます。
 
その『データ』を基にして自分が潜在的にその方向へ向かいたいと思っているのが、『自分の意思』なのではないでしょうか。

  • ですから、なかなか一歩踏み出せない人は踏み出している人に会い、その思い・マインドに触れること。
  • できれば踏み出している人が何をしているか直に見ること。
  • それを繰り返すこと。

そうすれば、自ずと確固たる意思が生まれ、行動でき、物事が進んでいくのだと思います。
 
JARTAでは、各セミナーにときどきスポーツ選手が現れます。
身体のケアやトレーニングについて勉強するため、またはJARTAのトレーニングを行うためです。タイミングが合えば中野の施術場面も見学できます。
 
見れば潜在意識に入ります。目の当たりにすることで、必ず自分にも『できる』ということがどこかにインプットされているはずです。
 
そしておそらくその現場にいる人で、まだアスリートにかかわっていない人は今後何らかの形でアスリートに関わることになります。
また「そうありたい」と思うようになるのだと思います。
 
最後に付け加えると、私自身これまでこういったことをずっと継続してきています。
今でも師匠の施術を見学したり、望んで様々な分野の方とお会いしたりし続けています。
そして世界レベルの一流アスリートとの関わりは、潜在意識レベルでの「当たり前」をさらに高めてくれています。
 
私がお話する内容、構築しているセミナー内容には、これらの「データ」が含まれているのです。
 
スポーツトレーナーを目指したい方、今のスポーツトレーニング理論に疑問や限界を感じている方、ぜひ中野に会いにきて下さい。
そしてJARTAに共感している仲間に会いにきてください。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
 
現在募集中のJARTAのセミナーはこちらをご覧ください。
現在募集中のJARTAセミナー
※ベーシックセミナー、アドバンスセミナー1の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

2014年05月15日

第2回海外トレーナー研修 募集開始のお知らせ

大変お待たせ致しました。本日より、イタリアでのJARTA海外トレーナー研修の募集を開始します。
今回もインテルユースやラツィオユースなどへの指導体験が予定されています。(他有名チームなどが入ってくる可能性もあります)
 
普段は大きいことは言いませんが、この研修だけは絶対に他では経験できない内容と断言できます。
1週間、最高の環境で一緒に過ごしながらいろいろとお話や非日常経験を共有できればと思います。
対象は認定スポーツトレーナーのみです。もちろん私も帯同します。
 
イタリア研修の詳細はこちらをご覧ください。
参照) JARTAトレーナー海外研修|イタリア
 
こちらの写真はラツィオユースのみなさんと撮りました。
第2回 海外トレーナー研修募集開始のお知らせ1
 

第2回 JARTAイタリアトレーナー研修募集要項

開催期間
開催期間1(予定)

9月13日(土)午前日本発〜20日(土)午前日本着(関空発着)

開催期間2(予定)

9月20日(土)午前日本発〜27日(土)午前日本着(関空発着)

参加資格

JARTA認定スポーツトレーナー

定員

両期間ともに3〜4名
※1.どちらの開催期間を希望されるかを記載して下さい。どちらも可能な場合は両期間とも選択して下さい。
※2.希望人数、セリエA側の日程などを踏まえて最終的に開催の可否を検討します。ご要望通りに遂行できない可能性があることもご了承ください。。なお研修費の入金は開催確定後にご案内することになります。
※3.申し込み多数になった場合は書類選考になります。先着順にはしませんが、申し込みまでの決断の早さも当然選考要因となります。

2014年05月14日

フォーム指導にひそむ危険性

担当する選手が目の前に来たら、必ずチェックするポイントはありますか。私は、どんな状態の選手に対しても必ずチェックするポイントがあります。
 
みなさんはじめまして。JARTA認定スポーツトレーナーで理学療法士の枝次伸吾と申します。この度コラムを書かせていただくことになりました。よろしくお願いします。
 
みなさんは痛みを出しているのはフォームが問題だからといって、すぐにフォームを変えようとしていませんか。
 
過去に膝に痛みを抱えた大学のアメリカンフットボールの選手をみているとき、フォームが悪いから痛みが出ていると判断し、私はフォームばかり変えようとしていました。
フォームに操作を加えることで、その場では痛みが軽減しても、再度来たときは痛みが元に戻っているということが多かったのです。そういったことを何度も経験し、当時はとても苦しみました。
 
でも今ならわかります。
これはパフォーマンスを構成する階層を理解していれば、解決できた問題だったのです。
 

パフォーマンスを構成する階層

フォーム指導にひそむ危険性1
3次姿勢:発現しているパフォーマンス

2次姿勢:歩行

1次姿勢:立位
つまり、パフォーマンスの土台は歩行であり、歩行の土台は立位であるということです。
 
この構造を理解せずに、一般的なフォーム指導のように3次姿勢の変化に固執することが本当に選手にとって良い指導といえるのでしょうか。
例えばこれは家の土台が崩れているのに外観だけを整えていることと同じですよね。このことは現在「常識」とされている運動指導を考える上で非常に重要な問題です。
 
私自身も、3次姿勢を理想のフォームに近づけることしか考えていませんでした。今だったら直接3次姿勢を操作することがいかに危険かはよくわかります。
しかし当時はそんな階層があるなんて理解していませんでした。ただひたすら問題のある動きを改善しようということで、フォーム指導の繰り返しです。
その結果、選手はテーピングで膝を固めるということでしか復帰できない、ということの繰り返しでした。
 
パフォーマンスを構成する階層の一番下の階層、「立位」をみることで選手の痛みを出している本当の原因が見えていたのではないかと思うと、当時の指導には本当に悔いが残ってしまいます。
 

立位をみる、ということが重要な理由

フォーム指導にひそむ危険性2
歩行が変われば動きも変わる、歩行は体軸(センター)の移動ともいわれています。
(※参考図書 高岡英夫著書 「センター・体軸・正中線」「身体づかいの常識革命」)
 
運動という枠組みの中で、地球上という重力下での立位がいかに重要なものかをしっかりと考える必要があります。
最も簡単な運動である立位が適正でなければ、それよりも難易度の高い歩行や走行、様々なパフォーマンスが効率の良いものにならないことを認識する必要があるのです。
 
立位や歩行を考えずに、3次姿勢であるフォームだけを変えようとすることが、いかに危険なことかを認識する必要があるのです。
適正な1次姿勢は、ケガを改善したりケガを防止したりするために重要な意味を持つとともに、パフォーマンスを高めるための必須条件です。
 

立位のチェックポイント

では「立位」のどこに着目してみるのか。
それはまず脛骨直下=ウナ(※高岡英夫先生提唱)で重心をとらえるということです。ウナは、建物でいうと柱の真下です。
柱の真下に重心がないと、力学的に大きなロスが生じるのは当然ですよね。
 
そしてウナで重心をとらえることで、大腰筋、横隔膜、骨盤底筋、ハムストリングス上部が働きやすくなる条件に近づきます。これらは体幹内の重要なインナーマッスルですので、当然パフォーマンスアップへとつながります。
 

1次姿勢を整えるための方法

現在トレーナー活動をしている方、今後スポーツトレーナーとして活動したいと考えている方、フォームにこだわるのではなく、一度1次姿勢(立位)を確認してみてください。
そこから問題が見えてくることもあります。
 
そしてここで述べたポイントは1次姿勢(立位)のチェックポイントのほんの一部であることも付け加えておきます。
 
JARTA認定スポーツトレーナー養成コースでは、まず徹底的に1次姿勢を獲得させるための技術とトレーニングを学びます。
私はそれらを習得することで、トレーナーとして大きな活路を得ました。これからも本当の意味で選手に貢献できる存在を目指していきたいと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年05月09日

スポーツ動作に反映する腹筋トレーニングのポイント

今回は夏に向けて旬な「腹筋の鍛え方」についてです。
この夏に向けて腹筋トレーニングをしている方、そして腹筋をただひたすら鍛えることによりスポーツパフォーマンスは変わるのか疑問に感じているトレーナーさんへ質問です。
本当にその筋肉は使える筋肉でしょうか、見せかけだけの筋肉にはなっていませんか。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
今年の夏も暑くなり、肌の露出が増える時期です。男性は腹筋を割ってきれいに見せたいと望んでやまないはずです。
スポーツ動作に反映する腹筋トレーニングのポイント1
単純に割れた腹筋をきれいに見せたいという方は、雑誌やテレビのトレーニングに励んでください。スポーツ選手も見た目を気にして、懸命に腹筋トレーニングを行いますから。
しかし、スポーツを仕事とするアスリートに本当に必要な腹筋はその鍛え方で良いでしょうか。
 

一般的な腹筋トレーニングの盲点

よく目にするトレーニングとしては、カールアップや体幹のツイスト動作を行う方が多いでしょう。
しかしこれらの一般的な腹筋動作の大きな盲点は、筋の収縮形態にあります。
すべて求心性収縮で起始部(第5~第7肋軟骨、剣状突起)を停止部(恥骨結合)に近づける方法がほとんどです。
 
なぜこの方法が多いのか考えたことはありますか。
 
想像してみてください。
我々人間の動作の中で腹部を求心性収縮に使用することはどれくらいあるでしょうか。またスポーツの場面で腹部を求心性収縮に意識的に使うとどうなるでしょうか。
スポーツ動作に反映する腹筋トレーニングのポイント2
腹部筋に対して上記のようなトレーニングが多くなってしまうと、腹直筋は大腰筋の拮抗筋 (機能的には)なので大腰筋が使えなくなってしまいます。
大腰筋が使えなくなることは、直接スポーツパフォーマンスを低下させる要因になります。
 
本来の腹筋の鍛え方は、多くのスポーツ動作における腹筋の役目は遠心性収縮が主です。
遠心性収縮により、体幹の回旋や伸展のブレーキを行い、そのブレーキを一気に解放することで爆発的な力を生み出します。
まさに腹部のRSSC(Rotator Stretch Shortening Cycle:回旋系伸張反射)なのです。
 

まとめ

今回は腹筋をスポーツ動作で反映するポイントについてお伝えしました。
 
具体的な腹筋の鍛え方・方法はみなさんの創造性にお任せしますが、私は原則として以下のことに注意しています。

  • 遠心性収縮を行う
  • 大腰筋とのバランスを壊さない
  • 固めるような腹部トレーニングは行わない

 
ただ腹筋をひたすら鍛えるのではなく、スポーツに生かすためのポイントを考えて運動療法を組み立ててみてください。
選手の反応も格段と変化していきます。

2014年05月07日

超回復とマイナスの学習

多くのスポーツ選手がなぜ必死に激しい筋トレをするのか、考えたことありますか。今回はトレーニングの一場面に警鐘を鳴らしたいと思います。
超回復とマイナスの学習1
がむしゃらにトレーニングを行い、終了の合図とともに床に倒れ込む、そんな光景はメディアやスポーツ現場では大変よく目にします。
「すごい努力してるなぁ」
多くの人はそう考えます。
 
確かに選手たちは本当にとんでもない努力をしています。しかし、そこには大きな落とし穴が潜んでいるのです。
 
ヘトヘトに疲れるほどに様々なトレーニングに没頭する選手たちについて、私たちトレーナーの立場にある者が考えるべきことがあるのです。
 

「美しい」トレーニング

  • パフォーマンス(パワーやスピード)を上げたい
  • ケガを予防(回復)したい
  • 身体を大きくしたい
  • 相手を威圧できる見た目を作りたい

選手たちが必死の形相でトレーニングを行う目的は、だいたいこれぐらいでしょうか。
選手たちは自分の競技力を高めるために、とても真面目に、強い想いをもってトレーニングに取り組みます。
 
筋力の発揮に全精力を傾け、ヘトヘトになるまで自分を追い込み、筋肉に負荷という刺激が加わったことを歓迎します。
彼らは「超回復」といわれる、筋肥大に期待します。
 
筋繊維を痛め、回復する際に肥大して太くなる現象です。指導者側も、そこまで追い込んでいる選手を見て、多くの場合「頑張ってるな」と評価します。
多くのメディアでも、そういった場面を美しいものとして紹介します。「努力」のイメージとしてわかりやすいですからね。
 
そして一般的にもトレーニングのあるべき姿として、身体がミシミシいうような状態まで追い込むトレーニングが良いものとして、「常識」となっています。
しかし冒頭で申し上げたとおり、ここには大きな落とし穴があります。
 
「常識」とされているトレーニングの方法や実施する際における問題点は、JARTAのベーシックセミナーやアドバンスセミナー1を中心に、様々なところで説明していますが、ここでは、その一部をご紹介します。
筋力を発揮することだけに全力を傾ける形式でトレーニングを実施すると、外的認識力・内的認識力が低下してしまうという点です。
 

マイナスの学習

外的認識力とは、自分と相手選手・自分とボール・自分とゴールなどの関係性を認識する力のことです。
そして内的認識力とは、重心位置や身体の状態など、自分の状態に対する認識力のことです。
 
「筋力を発揮すること」にフォーカスして行う形式のトレーニングでは、これらは当然発揮されない状態で筋力が使われることになります。
超回復とマイナスの学習2
 
これは実際の競技で発揮されるべき運動様式とはかけ離れています。(ウエイトリフティングなど一部競技を除いて)
ほとんどの競技は、筋力だけを発揮すればいい結果が得られるというものではありませんよね。
例えばサッカーのシュートであれば、蹴るタイミングやディフェンダー・ゴールキーパーの位置、ボールの位置、ゴールとの角度など、認識すべき要素はたくさんあります。
 
人間には高い学習能力があるので「筋力発揮だけに集中」というトレーニングにより、どんどんこの様式での身体の使い方を覚えてしまうのです。
残念ながら「トレーニングのときだけ」とはいかないのです。
 
このように、トレーニングによって実際の競技能力が低下してしまう現象を「マイナスの学習」といいます。
 
JARTAではこれらの事象を踏まえて、パフォーマンスに直結する様式でのトレーニングである「統合化トレーニング」を提唱しています。
筋トレそのものは必要なものであり否定しませんが、実施する際の「状態」「方法」に関してトレーナーや指導者の立場にある者は、もっと慎重に、繊細に指導すべきであることは強く主張しています。
 
今回お伝えしたトレーニング理論は、ベーシックセミナーの冒頭で詳しくお伝えします。ご興味、ご関心がございましたら、ぜひJARTAベーシックセミナーにご参加ください。
JARTAベーシックの詳細
 




2014年04月30日

トップアスリートの背骨の構造

世間的にはコアトレーニングや体幹トレーニングなど背骨を固めて安定させる方法が流行していますが、私は視点を変えて、固めない背骨がトップアスリートの背骨構造の条件として捉えています。
トップアスリートの背骨の構造1
JARTA トレーナーの吉田です。今日のテーマは「トップアスリートの背骨の構造」です。
今回のお話は肩肘張らず、柔軟な体と心でお読みください。
 

あなたの背骨は塊になっていませんか?

ではみなさん、少し身体を動かしてみましょう。
「右腕を上に動かしてみてください」
「右手をグーパーしてください」
「右手の人差し指の第二関節を曲げてください」
「最後に腰椎の3番目を動かしてください」
 
どうでしょうか、最後の課題は難しくありませんでしたか。
 
私たちは、普段動かしている部分に関しては意識が明確になっており正確に動かすことができます。しかし、動かしていない部分、または固まっている部分に関しては「塊」としての身体になっています。
人間の身体の中で、背骨は塊となる可能性が非常に高い関節です。
 
4つ足歩行から2足歩行に進化したときに頸椎と腰椎部分を前弯させ、筋の伸展活動を起こし、次第に塊となっていったのです。
ですから「腰椎の3番目」という背骨の1つを動かすことは難しいのです。
 
では、塊としての背骨にはどんなデメリットがあるでしょうか?
 

塊としての背骨のデメリット

想像してみてください。腰~胸にかけてコルセットをして、頸椎カラーをした状態で運動する人間を。

  • キレがない
  • スピードがでない
  • ケガをしやすい
  • 筋疲労が早い
  • 動き出しが遅くなる

などなど、多くのデメリットが生まれてしまいます。
 
トップアスリートの背骨の構造2ではトップアスリートの背骨はどうなっているのでしょうか。
 
塊としての背骨ではなく、頸椎7、胸椎12、腰椎5、仙骨・尾骨を1つずつ意識・コントロールすることができるのです。
合計26個の背骨を意識・コントロールすることができるので、26の関節が運動を引き起こします。
 
ということは、1つの塊として動いていた背骨が26個のバネを持つのです。
つまりストレスの分散、動きだし、スピード、パワーも26倍以上になることが可能なのです。
 
背骨の塊を取り除くことがトップアスリートになるための、ひとつの条件だと常日頃から私は考えております。
 
みなさんも、自分の背骨を感じてみてください。
そして選手に26個の背骨を感じ取らせてみてください。必ず目の前で選手の動きが変化します。
 
JARTAのセミナーでは、椎体1つ1つに対しての具体的なアプローチもお伝えしております。

2014年04月28日

京都大学野球部でのトレーニング指導|JARTA活動報告

先週、京都大学のJARTAトレーニング研究チームからの依頼で、同大学の野球部数名のコンディショニングとトレーニングの指導に行ってきましたのでご報告します。
(さらに…)

2014年04月26日

コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋

人体の中には、アクセル筋とブレーキ筋があることをご存知でしょうか?今日のテーマは「コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋」です。
(さらに…)

2014年04月25日

JARTA海外研修に参加する意味はあるのか?

3月15日から3月22日にかけて、JARTA認定スポーツトレーナーたちを連れてイタリアまでトレーナー研修に行ってきました。今回は研修の総括です。
(さらに…)

2014年04月24日

イタリア研修で学んだ仲間の大切さ

イタリア研修は、トレーナーとしての経験だけでなく、人生の糧になりました。
今回はイタリア研修のまとめです。
(さらに…)

2014年04月23日

誰もが使いこなしたい回旋系伸張反射|RSSC

今回は、パフォーマンスをアップさせるためには必須の概念であるRSSCに関してのお話です。
選手のパフォーマンスを向上させたいとお考えの方には、必ず理解していただきたい内容です。
(さらに…)

2014年04月22日

セリエA ラツィオのトップチームトレーナーが大切にしていること

通常では中々会うことのできない、セリエAのトップチームのトレーナーとゆっくりお話する機会をいただきました。
その中で学んだ、とてもとても重要なこととは?
(さらに…)

2014年04月16日

大阪でのアドバンスセミナー1のアンケート結果のご報告

JARTAのセミナーでは講習終了後にアンケートをとって、皆様からご意見をいただいております。
(さらに…)

2014年04月14日

スポーツ業界における五月病とは?

今回は春に起こりやすいケガの特徴や傾向を考え、どのように選手のコンディショニングにあたるかをお伝えしていきます。
(さらに…)

2014年04月10日

トレーナーに本当に必要なのは運や縁ではなく行動力とプレゼン能力

今回はJARTAセミナー受講者様のトレーナー活動のご報告です。
トレーナーに絶対必要なのは運や縁ではなく行動力とプレゼン能力1
JARTAではスポーツに対するトレーニング知識や技術以外に、プレゼンテーション能力に重きを置いています。
JARTAのアドバンスセミナー3では、プレゼン能力を高めるトレーニングがプログラムに組み込まれています。
これはプレゼン能力がスポーツ現場に絶対必要であるという、JARTAの強い想いの現れでもあります。
 
プレゼン能力については以前こちらのブログでお伝えしましたので、まだご覧になっていなければまずこちらをご覧ください。
参照) スポーツトレーナーに必要なプレゼン能力
 
こちらにも書かれていますが、トレーナーの能力はわかりにくいので、新しいトレーナーを雇って、新たなトレーニングを導入することには、選手や運営側にリスクが伴います。
ですから自分がトレーナーとして関わることで、何ができて、どのようなメリットがあるのか相手に説明して納得してもらわないと、トレーナーとしてそのチームに招き入れられることはできないのです。
 
今回JARTAの講習会を受講されている方が、行動力とプレゼン能力で、バスケットボールの強豪校とトレーナー契約を勝ち取りました。
どのような行動とプレゼンをしたのか、ご紹介させていただきます。
 

大切なのは行動力とプレゼン能力

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はじめまして。
福岡で理学療法士をしています、鹿島健太朗と申します。
 
今回、JARTA代表の中野さんにコラムを書く機会をいただきました。どうぞよろしくお願いします。
 
私は理学療法士になり、今年の4月で5年目を迎えました。
スポーツ選手に携わりたいという理由から理学療法士になったにも関わらず、1年間に数回、地域のスポーツイベントで参加者のコンディショニングをする程度しか活動していませんでした。
 
そんな私ですが、3月末から高校バスケットボールの強豪校でトレーナー活動をしています。
スポーツ現場の経験が乏しい私が、なぜバスケットボールの強豪校でトレーナー活動をする機会をいただいたのか、その経緯についてお伝えします。
 
トレーナー活動をするために、まず何をしたのかというと、とにかく行動。高校時代のバスケットボール部の監督に相談し、強豪校の監督を紹介していただきました。
相手方の監督には自分でアポを取り、実際にお会いして、自分がチームに何が出来るかプレゼンさせていただきました。
 
実際、スポーツ現場に出ている方の多くは、勤務している病院がチームと契約している場合や、先輩や知人に帯同させてもらっている場合が多いと思いますが、私は総合病院に勤務しており、そのような機会はなく、自分で探す必要がありました。
私と同じような環境の方は多いと思います。その中には、スポーツ現場で活動出来る自信がなく、なかなか一歩が踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
 
私も不安を払拭するために、スポーツ系の講習会に何度も参加しました。
それらの講習会では、ケガの予防やケガをした後のリハビリなど、「痛みをどうするか」に着目した内容が中心でした。
もちろん重要だとは思いますが、ケガや痛みの訴えの少ない現場では必要とされないのでないでしょうか。
 
自分が選手だった頃は、「ジャンプ力を上げたい」、「スピードを上げたい」など、パフォーマンスを上げることを考えていたと思い、学んだことが実際にスポーツ現場で必要とされるのか悩みました。
また、既にトレーナー活動をされている方たちと同じことをしても需要があるのかとも考えました。
 
そんなときJARTAと出会い、「パフォーマンスアップを最重要とし、体の使い方を向上させるトレーニングを提供する」ことに興味を持ち、JARTAセミナーに参加しました。
 
講習会を受けていく中で、自分自身の体が変わっていくことに気づき、代表の中野さんが実際に現場で必要とされていると聞くと、JARTAの理論がスポーツ現場で大きな強みになるのではと思いました。
 
自信を深めると同時に不安が少なくなり、なかなか踏み出せなかった一歩を踏み出すことができました。
 
監督へのプレゼンでは、「パフォーマンスアップの為に、体の使い方を向上させるトレーニングを提供できること」を中心にお話しました。
チームの監督も、競技の技術や筋力だけでなく、体の使い方の重要性に気づいてはいるものの、どのように指導していいか分からないといった状態で、私のプレゼンに興味をもっていただき契約することができました。
 
しかし、このチームには既にトレーナーが在籍しており、テーピングや応急処置、ケガの予防などを強みとしてプレゼンしていたら契約できなかったと思っています。
実際の現場では、「あの走り方どうにかできないか」、「コンタクトプレーで当たり負けしないようにならないか」など、個別の選手に対する要望から、チーム全体でのウォーミングアップ指導の依頼を受けています。
 
トレーナー活動できるようになったのは、知人の協力や偶然ももちろんありましたが、何よりも「自分自身が行動したこと」が大きかったと思っています。
当たり前ですが、行動しなければ何も変わりません。
行動したことで、知人の協力を得ることができ、偶然を引き寄せたと思っています。
 
「スポーツに関わりたいなら、スポーツ現場に早く行ったほうがいい」といったことをよく聞きます。もちろん現場でしか経験できないこともあると思いますが、実際すぐにトレーナーとして必要とされていることを提供できますか。
僕は不安で行動できませんでした。行動したとしても、何もできない人がチームに必要とされるでしょうか。
 
チームや選手のために本当に関わりたいと考えるなら、「現場で必要とされるような強み」を身につけてからでも遅くないと思います。
それが、自信になり、「行動すること」になり、実際のスポーツ現場に出ることにつながると私は考えます。
 
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
 

まとめ

JARTAでは今後も既存のトレーナーにはない強みやプレゼン能力を、セミナー受講者の方にご提供していきます。
そして鹿島様のように、支えとなる知識や理論、プレゼン能力を武器に現場で戦えるスポーツトレーナーを一人でも多く輩出できるように努力して参ります
 
鹿島様、どうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
 
JARTAのセミナーにご興味があるトレーナー、治療家の方はJARTAセミナーにぜひご参加ください。
JARTA認定スポーツトレーナーコース

2014年04月04日

JARTAイタリア研修レポート part4 自分の強みについて

「あなたの強みを一言で表現できますか?」
今回はイタリアで感じた自分の強みについてお伝えしたいと思います。
(さらに…)

2014年04月02日

大腰筋の間違ったトレーニング

今回はインナーマッスルとして近年注目を集める「大腰筋」を取り上げます。大腰筋の重要性やトレーニングの正しい方法とは?
大腰筋の間違ったトレーニング3
JARTAの吉田です。
大腰筋という筋肉をご存知ですか?大腰筋は近年下肢や腰椎の動きに関わるインナーマッスルとして、メディアでよく取り上げられています。
 
たとえば、

  • 大腰筋を鍛えると姿勢が綺麗になる
  • 腰痛の80%は大腰筋が問題だ
  • 大腰筋を鍛える骨盤が矯正される
  • 大腰筋を鍛えるとダイエット効果がある
  • 黒人は白人より大腰筋が3倍大きいから足が速い

などなど、巷では様々なことが叫ばれておりますが、大腰筋を否定する人は聞いたことがないくらい人気者です。
 
大腰筋は胸椎12番・腰椎1~5番を起始として、大腿骨の小転子につきます。
大腰筋の間違ったトレーニング1
 
大腰筋の大切なことは、体幹と下肢をつなぐ唯一の筋肉ということです。その筋肉の間に脊椎、仙腸関節、股関節が関節構造として関連することもポイントです。
大腰筋の間違ったトレーニング2
 
大腰筋の機能は大きく分けて、

  1. 股関節屈曲
  2. 骨盤の前傾
  3. 腰椎前湾

の3つがあります。
 
大腰筋の拮抗筋には大殿筋やハムストリングスがあり、大腰筋が機能することにより殿部やハムストリングスの機能も変化を起こすのです。
高岡英夫先生の理論でいう裏転子が働くことになるので、アクセルとして下肢機能が動き始めます。
 
ではこの大腰筋をどう使うか?
一般的には「大腰筋が大きくなるようにトレーニングしましょう!」というのが多いです。筋肉が大きくなれば、動きがよくなりそうな気がしますよね。
 
では本当に大腰筋を大きくするトレーニングをだけでパフォーマンスは変わるのでしょうか?
 
もう一度解剖を思い出してみると、起始は胸椎12番、腰椎1~5番です。
みなさん、この部分の脊椎を自由に動かせますか。この部分は最も硬くなりやすい脊椎で、脊椎が動かなければ大腰筋がうまく作用しません。
ですからどのようなトレーニングになるかというと、多くは転子側を動かします。これだけでは大腰筋の魅力が半減してしまいます。
 
脊椎を自由にコントロール出来るようになることにより、CKC(Closed Kinetic Chain=閉鎖性運動連鎖)で大腰筋が活躍するのです
 
以下大腰筋をうまく使うための方法です。

  1. 脊椎を緩め、脊椎の自動運動を行う
  2. 固い人は直接大腰筋を緩める
  3. OKC(Open Kinetic Chain=開放性運動連鎖)、CKCで大腰筋に入力
  4. 加えて拮抗筋周囲の調整を行う

 
私見ですが、多くの下肢の疾患は大腰筋が働いていないことが要因だと考えています。(特に大腿四頭筋、ハムストリングス周囲の疾患)
 
JARTAでは大腰筋を非常に重要視していますので治療やトレーニングも大腰筋にアプローチするものがたくさんあります。
下肢疾患でお悩みであればぜひセミナーに参加して、体験してみてください。

2014年03月26日

JARTAイタリア研修レポート part3 プレゼンの大切さ

イタリアでの研修報告、今回はUー18世代のトレーニング指導を経験した感想です。
トレーニングがどれだけ素晴らしいものでも、プレゼンテーション次第で良くも悪くもなってしまうということを改めて感じました。
(さらに…)

2014年03月25日

初めてスポーツ現場に出たときの失敗

スポーツ現場では失敗はあってはならないのですが、トラブルはつきものです。
(さらに…)

2014年03月21日

JARTAイタリア研修レポート part2 日本の育成段階との違い

インテルの育成選手が練習する施設を見学させていただいたので、その育成システムで特に印象に残っている点についてご紹介します。
またこのようなチームに新しいトレーニングなどをプレゼンする際に重要なことを書いていきたいと思います。
(さらに…)

2014年03月19日

JARTAイタリア研修レポート part1

代表の中野を含む4人のJARTAトレーナーが、JARTAの目玉企画であるイタリア研修に来ています。
イタリアで感じたことを現地からレポートしていきます。初回の担当はJARTA エグゼクティブ テクニカル マネージャーの藤田友和です。
(さらに…)

2014年03月15日

JARTAトレーナー海外研修でいまからイタリアへ出発します

JARTA代表中野の肝いり企画であるサッカーの本場でのスポーツトレーナー体験。とうとうそれが実現します。
(さらに…)

2014年03月13日

スポーツトレーナーに必要なプレゼン能力

スポーツトレーナーに必要なものは、コンディションやトレーニングの技術だけではありません。
今回は、私イタリアで感じたスポーツトレーナーに絶対欠かせないプレゼン能力や、その方法について具体的にお伝えします。
(さらに…)

2014年03月12日

インテルユースのトップマネージャーから見た日本人選手の特徴

海外から日本人選手はどう見られているのか。今回はインテルユースのトップマネージャーから見た日本人選手の特徴についてお伝えします。
インテルユースのトップマネージャーから見た日本人選手の特徴1
 
JARTA代表の中野です。インテルなど、海外トップクラブのシステムに関する話題の続きです。
前回までは、インテルユースのフィジカルおよびメディカルシステムの概要、そして「豊富な資金」「豊富な人材」「豊富なスタッフ数」を前提としているシステムを日本が模倣していくことに関する問題点に関して考察してきました。
 
今回は、インテルユースのトップ、テクニカルマネージャーであるモンティ氏へのインタビューにて指摘された、日本人選手の特徴とその解決方法について考察したいと思います。
 

日本人選手が世界で戦うために必要なこと

「 日本人は、みんな同じだね。
そしてユースレベルでは良くても、最終的に伸びない。 」

日本人選手についてどう思うかを尋ねたとき、彼から出てきた言葉です。どの選手も「個性がない」ということでした。
 
一定のレベルまではかなり安定して勝てるものの、そのレベルを超えてくると、ほとんど誰も勝てることができなくなる、それが彼の見解でした。
これは、サッカーに限らず、国際レベルの競技で顕著に見られる傾向です。
 
以前から、日本の競技環境では世界的な怪物が現れない点はスポーツ界では問題視されていました。
その原因として考えられてきたのが、日本ではスポーツの根本に「教育的要素」があることが挙げられています。
つまり、特に練習などで規律が重視され、和を乱すような突拍子もない選手は、居心地が悪くなるような傾向の環境が多いということです。
 
「出る杭は打たれる」という言葉に象徴されていますね。
この点に関しては、自己主張能力とも関連してスポーツや教育関係をはじめとして多くの方々が考察されているので、ここでは深く触れないことにします。
 
ちなみに、イタリアではジュニアクラスのサッカーでは「蹴り方」から教えたりしないそうです。まず、とにかく相手よりたくさん相手ゴールにボールを蹴り込むという「戦い方」を教えるそうです。
 
今回考察したいのは、そういった日本の文化の中で育ってきた選手たちが、世界で勝てるようになるための考え方についてです。
日本人選手に不足しているのは、要するに「能力を伸ばす力」です。
その原因として考えているのが、「身体の使い方の粗雑さ」です。
 
例えば、パソコンなどの機能をいくら高めても、「使い方」が間違っていれば、その能力は全く活かせないのはご理解いただけると思います。
そればかりか、機械であれば間違った使い方を続けていると故障の原因になります。
身体に当てはめると、これは痛みや傷害になります。
 
そして、
パソコンの能力を高める作業=身体の鍛え方
パソコンの使い方=身体の使い方
といえます。
 
これまで本当にたくさんのスポーツ関係者にお会いしてきましたが、ほとんどの選手、指導者、既存トレーナーの方々は、「鍛え方」はたくさんの知識をもっていますが、「使い方」のトレーニング方法に関しての知識は非常に乏しい状況です。
「使い方が重要」とはその方々も言っておられましたが、それにも関わらずです。
 
ほんのわずかな「センスのある選手」が、自ら「使い方の重要性」「内的認識力の重要性」に気づき、自分のトレーニングにその要素を加えて行えることで一流になっています。そして、それを「才能」と片付けてしまっている現状。
 
一流がやっているトレーニングだからと、形や理論だけ真似して「マイナスの学習」に陥り、パフォーマンス低下やケガに悩まされることになる多数の選手。
 
この現状に、いったいどれだけの指導者、トレーナーが気づいているでしょうか。
 
「鍛える」ことばかりに視点を奪われ、「使い方」を学ばずにハードなトレーニングを続けることは、何度も言いますが、パソコンの使い方を知らないまま優秀で難解なパソコンを与えられているようなものです。
これでは、いくら身体が成長したり筋力が向上したりしても、パフォーマンスとしては「伸びない」ことはご理解いただけるかと思います。
 
ベースとなる身体の構造上劣ると言われる日本人選手が、勝ってゆくために必要なこと。
それは、「身体機能の向上」と「身体の使い方の上達」これらの「協調」。これが私の考える戦略です。
パソコンの能力で及ばなくても、その機能を最大限「使いこなせる」ようになれば、勝てる可能性があるのです。
 
たしかに、インテルユースの15歳の選手たちは、もう大人に見えるほど体格が良く、動きもパワフルです。同世代の日本人とはすでに明らかに次元が違います。
運動のベースとなる素材が違う事も認めざるを得ないぐらいのものを目の当たりにしました。
ですから、まず「身体を大きくしたい。筋トレをしなければ…」となってしまうのも感覚的には理解できます。
 
セリエA インテルミラノの育成システムについて2
 
しかし、だからと言って「彼らと同じ理論と方法」でトレーニングをすべきか。前回述べたようなシステムの後追いだけでなく、トレーニング理論まで後追いするのか。
 
今後、人的資源・経済的資源の乏しい日本スポーツ界が発展してゆくためには、欧米式のトレーニングや理論を学んできたというトレーナーがもてはやされてしまう時代から、より「日本独自の上達理論、トレーニングシステム」を構築してゆく時代へと転換を遂げる必要があるのです。
これは対外国人でなくとも、体格に恵まれない選手に対しても必ず有効なものとなるはずです。
 
そして私たちは、そこに解決策を提案します。それが「JARTAセンタリングトレーニング」です。
 
「アスリートとしての身体の使い方」を根底から学習できるため、全ての競技のアスリートに適応できるトレーニングシステムです。
この全貌は、JARTAアドバンスセミナーⅢで全て公開、習得していただけます。
 
とても難しいトレーニングですが、必要な習得プロセスもベーシックセミナーから盛り込んであります。興味のある方は、ご検討いただけると幸いです。
 
次回は、トレーナーに必要なプレゼン能力について書きたいと思います。

2014年03月11日

世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底

イタリア視察で私が見て感じたこと。今回のテーマは世界トップクラスのシステムの根底にあるものです。
世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底1
 
JARTA代表の中野です。
前回は、世界トップクラスのサッカーチーム・インテルのユースを視察に行った際のコーチ陣とのやり取りや、そのシステムについてご紹介しました。
それらのやり取りをまとめますと、
「生き残り」
これが、私がユース視察においてメディカル・トレーニング系のシステムの根底に感じたことです。
 
当該チームで採用されているシステム(ほとんどスポーツ組織で採用されているタイプ)は、「ケガの原因を突き詰めて解明し、再発しないように改善してゆく」ものではありません。
もちろん、故障や痛みの原因が、「痛みのある部位」だけでなく、他の部位にあるという発想自体が乏しい文化が土台になっているシステムですから、仕方のない面もあります。
 
このシステムでなぜ結果を出せるのかを考えたとき、それが可能になるための要素として、

  1. 「豊富な資金」
  2. 「豊富な人材(選手層)」
  3. 「豊富なスタッフ数」

が挙げられます。
 
これらの環境を揃えた中で競わせ、生き残った「センスのある選手」だけがトップへと昇っていけるのです。
裏を返すと、ケガを発症する選手を何とかしようという方向性は見受けられないと言えます。
必然的に、ケガをした多くの選手は、将来が厳しくなり得ます。
 
世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底2
 
これらの点から、私は「世界トップレベルのクラブが採用しているシステム=世界最高のシステム」とは限らないと考えています
何が言いたいのかというと、インテルのように「豊富な資金」、「豊富な人材(選手層)」、「豊富なスタッフ数」を整えることができない日本のほとんどの組織においては、このシステムを追いかけるべきではないということです。
 
インテルですらトップチームに上がれる選手は各年代で1〜2名なのです。育成コスト面でそこまでかけられるチームが日本にどれだけあるでしょうか。
つまり、「資金面」「人材面」「スタッフ数」における環境において全く劣っている日本のスポーツ組織が、豊富な上記要素を前提条件としたシステムを追いかけている限り、今後も「勝てない」と言えます。
 
そして、これらの要素を満たせないのであれば、日本独自のシステムを構築するべきです。
世界の強豪国から参考にされるようなシステムを作り出せばよいのです。
日本には、欧米組織には容易には理解できない、“関係主義”という考え方があるのですから。
 
次回は、「日本人選手の進むべき方向性、世界から見た日本人選手」について考察したいと思います。
インテルユースの総責任者、モンティ氏より、厳しいお言葉を頂いたのでそちらもご紹介します。

2014年03月10日

セリエA インテルミラノの育成システムについて

昨年、JARTA海外トレーナー研修制度の構築のためイタリア、ドイツに渡り、サッカーチームを中心に視察してきましたので、報告を兼ねてお伝えします。
セリエA インテルミラノの育成システムについて1
 
JARTA代表の中野です。
昨年9月末から10月初旬にイタリアとドイツに渡りました。その目的は認定スポーツトレーナー向けの研修制度を構築するためです。
 
渡欧中にはイタリアサッカーセリエAのインテルのユースの施設見学、フィジカルコーチやGM、トップマネージャーらと直接いろいろ話をしました。
たくさんの苦い経験もしながら、得たものも大きかったので欧米のトレーニング事情も含めて考察していきたいと思います。
 
今回から5回に分けて、私が感じたこと、考えたことをお伝えしていきたいと思います。
 

施設・環境について

訪れたのは、U-15などユースカテゴリーです。トップチームでは日本代表の長友選手が活躍しているチームです。
 
施設はかなり素晴らしく、医療室には超音波などの物療機器が揃い、当然トレーニングマシーンも充実です。緑に囲まれた、広大な施設でした。
若年層からの育成を重視し、しっかりとお金をかけているのがわかりました。
 
所属する選手の国籍はすでに多様であり、世界中からその世代で優秀な選手が集まっていました(残念ながら日本人は一人もいません)。
そして、その各世代の中から最終的にインテルのトップチームに上がれるのは1人か2人だそうです。
 

フィジカル面のシステムについて

ケガや痛みがある場合、チームドクターの診察を受け、その指示の下で治療(ほとんどが物療か簡単なマッサージ)やトレーニングが決定されます。
ここでのフィジカルトレーナーの役割は、トレーニングの種類や回数、頻度の管理といったものです。多くが全体練習の前にコンディショニングとして行い、その後全体練習が始まります。
インテルユースのトップマネージャーから見た日本人選手の特徴2
こちらの写真は、医務室で受診の順番を待っている選手たちです。
ACL損傷が多いということだったので、治療やケガについて、いろいろ質問してみました。
Q:なぜケガ(ここではACL損傷)が多いと考えているのか。
A:ユース年代は、非常に身体が変わりやすく、具体的な原因はわからないし調べていない。
Q:どうすれば予防できると考えているのか。
A:筋力アップやストレッチが重要。
Q:痛みが続く選手にはどう対応しているのか。
A:トレーニング期に入っても痛みが出てくる選手に関しては、メディカルに戻して、もう一度ドクターに診断を受ける。物療などの治療を受ける。
Q:例えば腰痛の選手に対するコンディショニングはどのようにやっているのか?
A:バックマッスルのストレッチ、腹筋群・背筋群の強化。
このようなやりとりをさせていただきました。
しっかり身体のことを勉強されている方でしたら、いろいろ感じるところはあるかと思います。
 
このあたりについて、もっと詳しく知りたい方は、認定スポーツトレーナー資格を取得すると海外研修参加資格が得られますので、海外研修に参加する機会があれば直接聞いてみてください。
通訳も入ってくれますし、実際のトレーニング実施風景も見学させてもらえます。
 

まとめ

今回見学した中で感じたことは、痛みがある時、包括的に身体を診るという考えはほとんど存在していません
膝が痛ければ、膝周辺の状態をチェックし、物療やマッサージを行います。そしてその後のトレーニング期には、膝周辺のストレッチや筋トレを行わせます。
いわゆる「西洋医学、西洋的な身体観と西洋的トレーニング」の最先端です。
 
ご存知のように、これらはスポーツ分野において日本でもほぼ同じようなシステムで行われています。
そして彼らは、このシステムで長い間結果を出してきていますし、欧米式のシステムとしては本当に高いレベルで精密に構築されています。
 
これは否定できない事実です。
 
筋力トレーニング1つとっても、非常に綿密に構成されており、実施状況も随時管理されています。
しかし、私はこれらにはまだ欠けているものがあると考えています。
そしてそれこそが、スポーツで日本が世界で勝てる鍵になると思っています。
 
JARTA認定スポーツトレーナーには、そのあたりもしっかり理解していただき、実際にその解決策(トレーニング方法も含めて)を提案しています。
 
サッカーに関わらず、ほとんどの競技で世界的には勝てない状況に陥っている日本が、果たして彼らと同じメディカル・トレーニングシステムを盲目的に追いかけていてよいのでしょうか?
もっと他に、日本人が世界で勝つ為にすべきことはないのでしょうか。
 
次回は、「インテルユースのトップマネージャーのアドバイスから考える、日本が進むべき方向性について」をお伝えします。

2014年03月08日

スポーツ選手にとっての「命」の重みを考える

我々スポーツトレーナーが扱う命とはどういったものなのでしょうか。今回はスポーツトレーナーにとっての、命の重みについて再考してみたいと思います。
スポーツ選手にとっての命の重みを考える1
JARTAの赤山です。
本日のテーマは「命の重み」です。少し重たい内容ですね。でもこれを軽視する人は、スポーツ現場では通用しないと考えています。
 
私がスポーツトレーナーの世界に入ってきたきっかけでもあり、最重要視している視点について、ご紹介したいと思います。
 
この記事を読まれている方の中には、
「命っていっても、よほどのことじゃなければ、スポーツ現場で命の危険に遭遇することはないんじゃない!?」
そう思われる方も多いのではないでしょうか。
 
たしかにスポーツ選手は健康そうですし、命を失うことは少ないように思います。。
でも実はスポーツ現場でも、脳震盪や心疾患など生死に関わる場面はあります。
 
今回お伝えしたいのは、生死を意味する「命」ではなく、スポーツ選手にとっての違う2つの命です。
ひとつは「選手生命」という命です。もうひとつは「一番大事なもの」という命です。
 

最後までねちっこくできることはないか?

辞書で命と調べると生命や一生、寿命の次に『最も大切なもの』と出てきます。
私は何故かカテゴリー毎に、競技人生を狭めたり、引退を早める大きなケガをしてきました。
 
中学3年のときは、最後の総体の予選で転倒した際に手をつき、救急病院で骨折と診断を受けました。
ギプスを巻かれ、その後の試合出場を断念するよう指示されました。
 
この世の終わりかのように絶望している自分を見て、母親は次の日から数件整形外科に連れて行ってくれました。
結果的には小学生のときに大きな骨折をして、そのときの骨片が残っていただけでした。すぐにギプスが外れ、その後の試合に出場できました。
 
高校生のときには、最後の冬に試合中相手と膝をぶつけて、膝蓋骨を骨折し長期離脱しました。
しかも初診では骨折の指摘がされなかったため、数週間痛みを抱えながら競技をしていました。
おかしいと思い他の病院で精査し、骨折を判明し即手術となりました。
 
なんとか最後の試合には間に合ったものの、練習もろくにできておらず、不本意すぎて引退試合で涙も出なかったことを覚えています。
 
学生時代の自分にとってバスケットが全てでした。
まさに人生そのものであったと言えます。
 
スポーツ選手にとっての命の重みを考える2
自分のように、スポーツが人生のそのものである選手が、ケガや病気で引退やドクターストップをかけられたとき、どんな思いになるか私は痛いほど分かります。
 
いまの職場ではそういった選手と数多く遭遇します。号泣しリハビリにならないところからのスタートとなる選手も少なくありません。
そういった選手を少しでも救うには知識・技術も大事ですが、私は『思い』が一番大事であると考えています。
 
目の前の選手をどうにか試合に出場させるために、なんとかすべはないものかと、そう考えることで学びが深くなり、信頼関係も強固となります。
 
新人の頃、先輩セラピストによく『赤山くんはねちっこい』と言われました。
はい、私はねちっこいです。
あっさりはいそうですかと引き下がるのが一番嫌いです。
 
自分の選手生命を少しでも延ばすために東奔西走してくれた方のように、私はこれからも東奔西走したいと思っています。
常にケガをみている時にその選手の選手生命を担っていると感じながら指導しています。
 
そして現在進行形で、多くの選手から自分自身の生き方を学ばせてもらっていると強く感じます。
 
最後に、就職してから出会い、この思いを確信にさせてくれたひとつの書籍があり、ご紹介させていただきます。
『スポーツ障害から生き方を学ぶ』
スポーツ選手にとっての命の重みを考える3
 
私は初心を忘れそうになるとき、必ずこの本を読みます。
ご興味がある方は、ぜひご一読ください。




2014年03月05日

どんなトレーニングにも意識が大切

トレーニングをするときには、意識ひとつで、その効果は大きく変わってきます。
どんなトレーニングにも意識が大切1
JARTAの藤田です。
トレーナーのみなさんは、選手にトレーニングを指導するとき、どんな意識で行うように指導されていますか。
また選手のみなさんは、どのような意識でトレーニングをされているでしょうか。
 
なんとなく理解されているとは思うのですが、意識の仕方でトレーニングの効果は大きく変わってきます。
どう変わってくるのか、本日はご紹介したいと思います。
 

意識ひとつでランニングがウェートに

今回はメジャーリーグ・シアトルマリナーズの岩隈投手の、トレーニングに対する考え方の一部をご紹介します。

「一つのことばかりやってしまうと偏ってきてしまうと思うので、基本にかえるじゃないですけど、自然な動きを意識していくことが大切」

(中略)

「ただ走るのではなくフォームを意識してやることが凄く大切」

(中略)

「トレーニングっていうのはただ力をつけるだけじゃなく自分の身体と向き合いながら柔軟性とパワーをアップさせていく。それが一番いい形で身体が出来てくる」

引用) 高校野球ドットコム

なんとなく言いたいことはわかりますか?
この話のポイントを言い換えると次のようになります。

  • 柔軟性アップ、ウェイトトレーニング、ランニングメニューなど一つのことばかりに偏ってしまってはいけない。
  • 自然な動きやフォームを意識してトレーニングを行う。
  • 全て別のものとしてトレーニングを考えてはいけない。
  • ウェイトトレーニングをしながら意識をかえることで柔軟性アップもできる。
  • ランニングトレーニングをしながら意識をかえることで柔軟性アップもはかれる。
  • ウェイトトレーニングをしながら意識をかえることでランニングトレーニングにもなる。
  • ランニングトレーニングをしながら意識をかえることでウェイトトレーニングにもなる。

 
岩隈投手は高校時代にはトレーニングの知識もあまりなく、ランニングトレーニングがほとんどだったとのことです。
そしてこのようなことは意識していなかったが、プロに入ってからこのような考え方になり、近鉄や楽天のエースで球界を代表するような投手になりました。
 
その結果をひきさげメジャーリーグに移籍しましたが、思うような結果を残すことができませんでした。
そこで基本に返り、試行錯誤する中でトレーニングを考え直したところ、昨シーズンのような素晴らしい結果を残すことができました。
 
どんなトレーニングにも意識が大切2
日本ではトレーニングといえば、まだまだランニングが中心です。特に現在指導者となっている世代の方は、「走ることが全て」とばかりに、とにかく走りこむことを要求します。
 
たしかに走りこみには下半身を強化するという意味はあるのでしょう。
しかし問題は単に走り込むことだけになってしまっていることです。
今日ご紹介したように意識の持ち方ひとつで、柔軟性や筋力、さらにはパフォーマンスアップとつなげることもできるのです。
これができるかどうかで、日々淡々と繰り返されるランニングやウェートが、大きく意味のあるものに変化します。
 
トレーニングとはそうあるべきだと、私は考えています。
 
ちなみにこちらは、プロ野球の西田直斗選手にトレーニングを指導しているときの写真ですが、どのような意味があるかわかりますか。
どんなトレーニングにも意識が大切3
もしご興味がある方は、セミナーでお会いした時に直接聞いていただければと思います。
きっと新しい発見があると思いますよ。
 

まとめ

トレーニングと意識についてお伝えしてきました。
 
どのようなトレーニングでも、意識をかえること要素を増やすことで、つながりのないトレーニングではなくなります。
一見単発の動きに見えるトレーニングでも、身体の連動性や動きを変えることができるものでなければ意味がありません。
 
選手に対するトレーニングを構成して行く中で、意識づけなどのより多くの要素を組み込むことで、トレーニングも本当に意味のあるものになるのではないでしょうか。
 
トレーナーのみなさんも、実際にトレーニングをされる選手のみなさんも、ぜひ参考にしてください。

2014年03月04日

アドバンスセミナーⅡを終えて感じたこと

先月、関東と関西でJARTAアドバンスセミナーⅡの日程が全て終了しました。セミナーを終えての私が感じたことと、アンケートの結果をご紹介したいと思います。
アドバンスセミナーⅡを終えて感じたこと1
まずはアドバンスセミナーⅡにご参加いただいた受講生のみなさま本当におつかれさまでした。
コンディショニング技術、トレーニング種目ともにレベルが高く難しい内容でしたが、みなさまは最後まで集中を切らさずに学習していただいて、本当に嬉しく思っています。
 
アドバンスセミナーⅡのコンディショニング技術では、脊柱・仙腸関節・股関節といった、全身波及効果も高く、パフォーマンスにも直結する部位に対する施術方法と大腰筋との関連づけ方法を中心にご紹介しました。
アドバンスセミナーⅡを終えて感じたこと2
 
もちろんそれだけでは補いきれない、肩、手関節、手指、足関節、足指、胸郭、頸部などのコンディションもありましたね。
 
特に脊柱は、椎体1つ1つに対してアプローチすることが出来るようになりますが、そのためにはアドバンスセミナーⅠまでで学習してきた治療ポジションの使い方が段違いに精密になります。
治療ポジションには慣れが必要で、普段の治療からしっかり意識していただきたいと思います。
 
また、特殊手技として、OMSSという原理を新たにご紹介しました。
これまで習得してきた筋骨格系手技に併せて経絡の調整を加えることで、通常では効果を出しにくかった問題に対しても深く対処できるようになります。
 
トレーニング段階では、JARTAセンタリングトレーニングの紹介と実践を行いました。アドバンスⅠのトレーニングを十分に行っていないと実践は非常に困難になる内容です。
アドバンスセミナーⅡを終えて感じたこと3
 
また、これまでよりも更に実戦的になるよう、トレーニング指導の演習をグループ形式で行いました。目的と課題、それに対する戦略と手段を一貫して構築する練習です。
慣れていないとなかなか大変な形式ですが、スポーツ現場は常にこのプロセスの繰り返しですので、必ず習得していただきたい内容です。
 
アドバンスセミナーⅠからはかなり進化した内容でしたが、ひとりひとりが日々課題をもって取り組めば、みなさまならきっと習得できると私は考えております。
 

アンケート結果のご紹介

最後になりますが、終了後、みなさんにアドバンスセミナーⅡの内容についてアンケートを記入していただきました。
ここで何点か匿名でご紹介したいと思います。(※画像はクリックすると拡大します)
 
1
今回演習でグループ内での取り組みは自分の苦手なところや足りないところを発見したり、教えてもらえたので良かった。手技もまず自分の身体の使い方が不十分で、上手くできないものもあるので、しっかりやっていきたい。
 
 
2
選手が求めているもの、コミュニケーション、技術など、現場での内容を含めた話で、より理解が深まりました。又、スポーツ現場だけではなく、一般の生活の中でも使えそうな考え方(目的、時間、基準の話)の話は、自己鍛錬でも使用しようと思います。
 
 
3
テクニックも丁寧に教えて頂けますし、応用の仕方(治療ポジションの考え方)を教えて頂けますので、学んだテクニックをより役立てるのでうれしい。また、自分のトレーニングをして体の使い方を学べるので楽しい。
 
 
4
テクニックに関しては使う側の感性が大きく左右すると思うので重視していません。理論は共感できます。テクニックより中野代表の世界観をもっとみたいです。
 
 
5
毎回新鮮で自分に足りないものや考え方等を気づかせてもらえる場になっています。自分自身の身体についても少しずつ変化がみえてきており、色々な面で相手を変化させるためには、まず自分が変わらないと思います。
 
 
6
パフォーマンスレベルの高いクライアント・対象者に見本を見せられるレベルになるには、自分自身のコンディションがかなり良くないといけないということがわかりました。自分の鍛錬に加えて、基礎的なトレーニングがパフォーマンスアップにつながることを、しっかりプレゼン、納得してもらえるようにしていきたいと思いました。
 
 
7
コンディショニングのテクニックは結果がでやすく、今後練習して使っていきたいです。トレーニングに関しては、自分自身の理解がまだ浅く、実際の現場で指導していくには、もう少し自分で落としこんでいく必要があると感じた。
 
 
8
自分の体の動かなさを大いに気づかされました。しっかり動ける体を作っていきたいと思います。見本になるような体と指導をがんばっていきたいと思います。
 
 
9
どのスポーツにもつなげれるトレーニングを学べたので、次回からもっと具体的な競技に分けてのトレーニングを知りたいと思いました。
 
 
10
どうしても手段が先行しがちになってしまいますが、目的、戦略が前提にあるということを忘れてはいけないと再認識できました。明日からの現場でもう一度考え、修正していきます。
 
 
 
アンケート結果を元に、今後もより良いセミナーをご提供できるように、スタッフ一同努力してまいります。

2014年02月26日

オスグッドの治療と予防には身体の使い方が重要

成長期になりやすいと言われているオスグッド。なかなか治らないこともあると思いますが、どのような治療や予防をされているでしょうか。
オスグッドの治療と予防には身体の使い方が重要1
皆様こんにちは。JARTAの山岡俊也です。
最近、中学生と関わることが多く、オスグッドの治療や予防を経験する機会が増えました。
実際の現場では予防的にも、疼痛出現後の治療にも、まだまだ対症療法的なアプローチを行っていることが多いように感じます。
 
今回は特に予防の部分に関して、選手や指導者に知っておいて欲しいことをお伝えします。
 

オスグッドの病態と治療

オスグッドは正式名を「オスグッド・シュラッター病」といいいます。
成長期には骨の成長に対して靭帯、筋肉、腱などの軟部組織の成長がついていかず、短縮位となった軟部組織が引き伸ばされるような状態になることがあります。
このように伸長ストレスがかかったままの筋肉、腱でジャンプやキックなどの動作を繰り返し行うことで大腿四頭筋の付着部に牽引ストレスがかかり痛みが出現します。
 
オスグッドの治療と予防には身体の使い方が重要5
 
オスグッドの治療では、

  • オーバーユースにならないように練習の負荷量を調節
  • 大腿四頭筋を中心にストレッチングを強化
  • 炎症部位を練習後アイシング
  • 痛みが出てきたら膝蓋腱付着部にバンドを巻いてプレー

以上のような治療が予防的、また疼痛出現後の痛みに対して一般的に行われています。
しかし、しっかりストレッチをしていても、練習後にアイシングを行っていても、オスグッドになる方は残念ながらいるのです。
 
そうなると「いままでの治療では足りない部分があるのでは?」と考えてしまいますよね。
 

身体の使い方でオスグッドは変わる

私が現在一般的に行われている治療以外に重要と考えるのは、身体の使い方です。
成長期で、関節が硬くなる時期だからこそ、特に気をつけなければなりません。
 
選手は自分が大腿四頭筋を優位に使う身体操作をしているとわかっていません。また、それが場面によっては良くないことだと思っている選手もほとんどいません。
ここを変えていく必要があります。
 
オスグッドの治療と予防には身体の使い方が重要4
 
関節が硬くなる時期に加えて、いまの身体の使い方だと余計に負担が大きくなると、気づかせてあげなければなりません。
 
しかしそうはいっても、身体の使い方を変えるなんて、簡単にできることではないのです。
何が問題でその身体操作になっているのか、各選手ごとにしっかり評価した上でトレーニングを処方し、身体の使い方を変えていくことが大切です。
 
たとえば、中学生でも大腰筋の機能低下がある選手が多いのですが、大腰筋の機能が低下すると大腿四頭筋優位の身体操作になり、オーバーユースをより起こしやすい状態になります。
これはジャンプ、キック動作以外にも走る動作や、極端にいうと歩行動作でさえ大腿四頭筋優位の操作となり、牽引ストレスがかかる頻度もより増すためです。
 
この例であれば、大腰筋の機能を高めるようなトレーニングを指導し、大腰筋が機能しやすい状態にもっていくことで大腿四頭筋の負担を軽減させます。
その方法はいろいろあると思いますが、パフォーマンスアップと障害予防を念頭において処方されるべきです。
 
どれだけ対症的にコンディションを整えていても、身体操作に問題があれば特定の部位にかかるストレスは変わりませんん。
ですから、身体の使い方にフォーカスしたトレーニングを指導していくことが重要なのです。
 
逆に、そうしなければ本当の意味での予防にはならないことを、選手やチームスタッフに伝え、障害を予防する必要があると考えています。
 
JARTAでは以前から大腰筋に注目して、大腰筋をしっかり機能させるコンディションやトレーニングに取り組んできました。
なかなか治らない難治性のオスグッドにも効果が期待できます。
もしオスグッドでお悩みの選手や指導者の方がいらっしゃれば、ぜひお問い合わせください。

2014年02月25日

トレーニングに科学的根拠は本当に必要か?

医療やトレーニングの現場では「科学的根拠が全て」と言われていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
トレーニングに科学的根拠は本当に必要か?51
今回のテーマは「人間の運動と科学的研究」です。
科学的根拠。この言葉は、現代のスポーツ科学分野では非常に重みがあります。この分野では「科学的根拠が全て」と位置づけされているぐらいです。
 
しかし私は基本的には「科学的根拠がある」からといって、それが絶対的に正しいとは考えませんし、それを理由やその理論を信用することはしません。
 
今回ここからお話する内容は、あくまで「現場レベルでの話」です。学術的なフィールドでの科学的根拠は、非常に重要だと考えています。
この視点は、それぞれの目的により「重要とするものの基準が異なる」ということを、踏まえた上での記述であることをご理解ください。
 

スポーツ現場で科学的根拠を盲信しない

では「何を信用するの?」ってなりますよね。
私が信用するのは、選手本人に起こる「変化」と「結果」です。
 
もちろん、運動を階層で捉える意味で1〜3次姿勢、体軸、可動域など、ハイパフォーマンスを実現するための前提条件となる部分に関しては必ず押さえます。
その上で、「痛みがとれた」「すごく動けるようになった」など、選手本人が感じる変化を最重要視します。
 
私たちが対象とする相手には、まったく同じ身体・精神・意識の人なんて絶対に存在しないのですから、統計学的データ(過去のデータ、しかも他人の)は参考程度にしかならないはずです。
身体の状態なんて毎日どころか常に変化し続けますから。
 
ID-100133983
 
その前に、そもそも「科学的根拠」とは何なのでしょうか。
運動に関する研究をされたことがある方はわかるかと思いますが、この類いの研究はほとんどの場合、条件設定を非常に緻密に行います。
 
たとえば、大腿四頭筋の研究では体幹の要素を取り除くために、体幹部を固定したりします。
なぜなら、対象とする筋以外(ちょっとした姿勢の変化、その日の体調、精神的状態など多々)の要素が入ることで、筋の出力は簡単に変化し、非常に流動的になってしまうからです。
 
たしかに多くの方法論では「対象とする筋」だけの性質を調査するには適していると思います。
しかし多くの場合、その結果や理論を「実際の運動」にまで持ち込み、「この運動を向上させるためには、この筋肉を鍛えましょう。だって研究で関係が証明されたから。」のように言われます。
 
このような前提に基づいて構成されているのが、現在の「科学的トレーニング」です。
 
現在主流となっているスポーツトレーニング理論では、この「条件設定された中での局所的な部位の研究」と「実際の運動」と混同してしまっていることに最大の問題があります。
人間の運動は、そんな単純に考えられるものではありません。
 
人間の運動は、もっと複雑で様々な要素が空間的・時間的に関係し合い、非常に同時並列的に行われます。
姿勢や、精神状態や身体意識、記憶、栄養や気候、視線などちょっとした変化だけで、筋出力なんて簡単に変化します。それほど人間の運動はとても複雑で流動的なものです。
 
私はそれらの要素の関係性を統合して、高いパフォーマンスを再現できるようにしていくのが本来のトレーニングと考えています。
先に述べたように、科学的研究では「流動的な要素」は排除します。
 
もう一度言います。人間の運動は、単純に考えるべきではありません。
 
身体の研究というものは、ポジショニングなど非常に限定された条件設定のもとで行われ、少し条件を変えるとすぐに違う結果が生まれます。
実際の運動は、非常に多くの要因が関係しており、「AのときにはBになる」と断定できるものではありません。
あくまで謙虚に、「現時点では、この運動にこの筋肉が関係している可能性が高い」程度に捉えるべきだと思います。
 

まとめ

トレーニングと科学的根拠についてお話してきました。
私たちが関わる相手は、この世に一人しかいない人です。統計データや科学的根拠が相手ではありません。
 
「この世に一人しかいない相手の状態」をしっかり捉え、さまざまな要素の関係性の中で、問題の解決の手助けをしてゆく。
私はそう在りたいと思っています。
 
現在「科学的に効果があることが証明されている」という理由で多くの現場で取り入れられている筋力トレーニングの方法で、本当にパフォーマンスが向上しているのでしょうか。
今一度、考えてみて下さい。
 
本日取り上げた内容を解決する為のトレーニング理論はJARTAベーシックにてお伝えしています。
トレーナーの方でご興味があれば、ベーシックセミナーにご参加ください。
選手や指導者で、ご興味、ご関心がございましたら、ぜひお問い合わせください。

2014年02月24日

立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由

近年、肩甲骨や胸郭の可動性について語られる機会が増えてきましたが、その効果についてしっかり理解できているでしょうか。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由54
みなさんは選手に、肩甲骨や胸郭の動きを向上させるトレーニングを指導する機会はありますか。
JARTAでは肩甲骨を立てる立甲というトレーニングを必須しており、肩甲骨動きには以前から注目してきました。
 
でも実際に肩甲骨や胸郭の可動性があがると、どのような効果がもたらされるのか、しっかり選手に説明できるトレーナーは少ないのではないでしょうか。
 
まずは肩甲骨のイラストを見てみましょう。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由2
この写真だけではどう重要なのかよくわかりませんよね。
 

肩甲骨や胸郭の動きはパフォーマンスアップと障害予防に影響

では四足動物(トラ・ライオン・チーターなど)の歩いてる姿を想像してみてください。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由3
これは歩くたびに肩甲骨が動くのですが、皆さんが四つ這いで歩いてもこうなりますか。
 
四足動物が歩いている姿の肩甲骨の状態を言い換えると、肩甲骨が立った状態とも言えます。
この状態を立甲(高岡英夫 提唱)と言います。そして立甲した結果、肩甲骨と上腕骨が一直線上につながることを甲腕一致(高岡英夫 提唱)と言います。
 
これは医療従事者やトレーナーが学んできた、ゼロポジション(肩甲棘と上腕骨が一直線上にあること)と同じです。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由11
ゼロポジションのメリットは、関節や筋(軟部組織など)に負担がかからない(少ない)ことです。動物は常にこの状態であるため、あのようなハイパワー・ハイスピードをだせるのです。
またゼロポジションを保持できると、回旋系伸張反射であるRSSCの実現が可能となります。トップアスリートはほとんどがこのRSSCをうまく活用してハイパフォーマンスを実現しています。
 
普通の人が四つ這いで歩いても、肩甲骨は肋骨にへばりついたままになります。実は赤ちゃんの時は誰でも「立甲」になっていますが、大人になるにつれ固まってできなくなってしまうのです。解剖学的には、肩甲下筋・菱形筋・大円筋・小円筋・僧帽筋が固まってしまっています。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由12
立甲が可能になると、肩甲骨や肋骨(脊柱)の可動性も拡がるということです。さらに、肩甲骨と肋骨(胸郭)を分化させた状態で使用できるようにもなります。
 
胸郭の可動性も拡がることで、胸椎の伸展も向上し腰痛予防や改善にも繋がります。また胸郭には横隔膜が付着し、その横隔膜には大腰筋が筋連結しており、JARTAが最重要と位置づけている大腰筋が機能しやすい身体環境になります。
 
ですから立甲ができればゼロポジションをいつでも作れ、さらに肩甲骨や肋骨(胸郭)の可動性が拡がるため、上肢(肩関節)や体幹にとっては非常に重要であるということがいえます。
 

立甲はハイパワー、ハイスピード、正確性の実現に不可欠

野球においては特に投球動作にて重要になります。肩甲骨の可動性が拡がることで、肩甲上腕関節(肩関節)や肘関節にかかる負担の軽減といった障害予防や、力みがなくなり制球力(コントロール)や球速(スピード)アップにも繋がります。
また、脊柱や胸郭の可動性も向上するため投球動作やバッティングで重要な胸椎(胸郭)の伸展も向上し、さらに障害予防とパフォーマンスアップに繋がります。
 
肩甲骨や肋骨(脊柱)の可動性が拡がることで、ランニングなどの走動作では肩甲骨からしっかりと上肢(肩甲骨の内転・外転)を振れるようになり走力の向上やパワーロスが軽減します。
水泳では上肢の操作性が向上し、クロールでよく言われる障害の一要因のハイエルボーによる肩甲上腕関節へのストレス軽減にも繋がり、さらにバック(背泳)・ブレ(平泳ぎ)・バッタ(バタフライ)においても上肢の使用頻度は高く、肩甲骨の可動性が絶対条件といえます。
上肢の力みがなくなるため、スムーズな泳ぎができ上肢全体で水を掴む(かく)ことができます。
 
さらにコンタクトスポーツ(ラグビー、アメリカンフットボール、サッカー(特にキーパー)、バスケットボール)や武道では、上肢の操作性が向上するためパスやシュート、キープ時の上肢を用いてのディフェンス、またはオフェンスなど上肢を上手く使いこなせるようにもなります。
 
また力源(力点・支点)を相手が掴むことができなくなるため、相手はどこに力を加えればよいのかわからず、いつの間にかコンタクトスポーツではポジションをとられている、押さえ込まれている、武道では投げられている、押さえ込みから逃げれないといったことも可能となります。
経絡でいう小腸経と関連があり上肢と体幹の連動性も高まります。
 
これらは、スポーツや格闘技でいつも言われている「体格差のハンデ」を克服できるということに繋がるのです。
 

JARTAで体系的に習得ができます

ここまで「立甲」の意義について説明してきましたが、JARTAが行っているBASICセミナーにて習得できるようになっています。
またセミナー中にできなくても、しっかりとした習得プロセスがあり、BASICセミナーや次のステップであるアドバンスセミナーでお伝えしていきますので、必ず習得が可能です。習得プロセスは自己鍛錬にもなり、指導としても使用できますので非常に選手指導にも有効です。
 
また選手の指導においても、JARTAトレーナーが1から指導していきますので、習得することは可能です。
 
一例ですがサッカーのなでしこJAPANのGK、INAC神戸レオネッサの海堀選手のトレーニングの様子をご紹介します。
海堀選手といえば、2013年シーズンもベスト11やなでしこ杯MVPを獲得するなど、どんどんパフォーマンスアップしています。海堀選手にはJARTAセンタリングトレーニングを学んでいただいています。
 
立甲の習得前と習得後です。

習得前
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由6
習得後
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由7

あとこちらは少し気持ち悪いですが、JARTAエグゼクティブ・テクニカル・マネージャーの藤田友和の立甲です。
JARTAで断トツNO.1で、トップアスリートも驚いています。

立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由8
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由9

ここまでやる必要はありませんが、的確な習得方法で鍛錬を続ければ皆さんも必ず獲得できるようになります。
立甲にご興味があれば、ぜひお問い合わせください。
 

2014年02月22日

筋肉を緩める方法やポイントを間違えることによる弊害

筋肉は緩んでいた方が使いやすそう。なんとなくそれに気づいている方も多いとは思いますが、緩めるポイントを間違えることによる弊害もあるのです。
筋肉を緩める方法やポイントを間違えることによる弊害65
これはなでしこジャパンのゴールキーパー、海堀あゆみ選手とのやりとりを例にとってみましょう。
海堀:「筋肉って緩めた方がいいんですよね?ケガしないとか動きやすいとか。」
中野:「そうです。前から教えていた通り。どうして今頃そんな質問?」
海堀:「以前、別のトレーナーさんにマッサージを受けて、その時はすごく筋肉柔らかくなったんですけど、終わった後すごくふわふわした感じになったんです。」
中野:「それはいい感じだったってことかな?」
海堀:「いいえ。真逆です。すごく動きにくくなったんです。ふわふやし過ぎてる感じがして・・・。次の日試合だったんですけど、朝からすごくだるくて。緩めるって話で、そんな経験思い出したんで疑問に思ったのです。」
このあと、海堀選手にはその出来事の理由を説明したのですが、みなさんもこのような体験、もしくは患者様やクライアント様にこんな体験させてしまったことはないでしょうか。
例えば整骨院などでしっかりたっぷり揉みほぐされて、そのときはふわふわにほぐれた感じがしたけど、なんか軽いだけで安定感がないような感じがします。そして翌日はすごくだるくなってしまう。
 
この原因がわかりますか?
このような事例はスポーツ現場では非常にたくさんありますし、一般レベルでも多くの方が経験されていることかと思います。
 

考えられる主な原因
  • いわゆるアウターマッスルばかりが緩んで、肝心な深部を緩めることができていない。つまり、「アウターマッスルが固まってしまっている原因」に対処できていない。
  • しっかり緩めようとして強く揉みすぎることで筋繊維が破壊され、だるさや痛みを誘発。
  • 姿勢やバランス機能を考えずに、とにかく緩めることばかりを優先してしまい、不安定になっている。

要するに、施術者側が姿勢保持機能や身体の動きについての理解が乏しいことが原因です。
 
当時、海堀選手にその処置を施した方は、恐らくこのようなことをやってしまっていた可能性が高いです。
 
さらに、もっと重要なミスは、「翌日試合があったにも関わらず、それに見合った施術をしていないこと」です。
翌日試合があるということは、そこで適切な筋出力を発揮できるような状態をつくらなければならないにも関わらず、それを理解せずにとにかく緩めてしまうと、このような現象が生じるのです。
 
ですので、私は普段から緩めることが重要とお伝えしていますが、「適切な部位を、適切な度合いで」ということもご理解いただきたいと思います。
筋肉を緩める方法やポイントを間違えることによる弊害67
ちなみに海堀選手には、そのやりとりの後、実際に必要な部位の筋の収縮力を高める施術(使えるようにするための施術)も体験してもらい、身をもって「試合に臨む身体」を理解してもらいました。
我々治療家は「その時の相手の状態」だけではなく、「その先の状態」も考慮する必要があるということです。
 

大腰筋の重要性

具体的に、このような調整時に特に重視しているのは大腰筋です。
この筋が機能した上での身体運動でないと、その身体が持っている十分な機能は発揮できません。
 
ここで重要なことは、大腰筋という「筋」だけにフォーカスして大腰筋だけの調整を行うと上手くいきません。
考えるべきは、大腰筋の起始と停止、拮抗筋そして大腰筋の走行の間にある関節群です。
 
起始と停止部に関連する組織として代表的なものは横隔膜などがありますが、この筋群が固まってしまっていると当然大腰筋は本来の働きを発揮できません。
また、拮抗筋に関しては、主動作筋と拮抗筋の関係を考えるべきです。これらはお互いに刺激し合う関係性にあり、主動作筋が刺激されると同時に拮抗筋にも刺激が入り、働きやすくなるという特徴があります。
 
大腰筋の拮抗筋はハムストリングスの上部です。あくまで上部であり、ハムストリングスでもハムストリングス下部ではありません。(下部の拮抗筋は大腿四頭筋で)
ですから大腰筋の調整時には、ハムスト上部が働きやすい環境も意識的に作ります。
 
最後に大腰筋の走行に挟まれる関節群ですが、胸椎12番から腰椎5番までの椎体、仙腸関節、股関節がこれにあたります。
筋の走行の間にある関節群が固まっていると、当然その筋は機能しなくなります。硬い棒にゴムがへばりついているところを想像するとわかりやすいかと思います。
 
選手の身体を目の当たりにすると、どうしてもアウターの硬さに目が奪われがちになりますが、これらのポイントを十分に調整するだけでアウターの不要な緊張は解消できることも多々あります。
ぜひこういったポイントをまず優先的にチェックしてみて下さい。

2014年02月19日

スポーツ選手はトレーニング時の身体の感覚を大切にする

スポーツ選手は自分の感覚に正直に従うべきです。今回はスポーツ選手のトレーニング時のある注意点についてお伝えします。
スポーツ選手はトレーニング時の身体の感覚を大切にする67
JARTA代表の中野です。みなさん、ソチオリンピックは観ておられますか。
良い結果を残した選手のパフォーマンスは幸いニュースなどでたくさん流れるので、しっかり拝見しその美しさに浸っています。
 
特にフィギュアスケートの羽生選手の動きは非常に美しいですね。理屈抜きで目を奪われました。
 
彼の動きの美しさと素晴らしさの理由は、切り口によって、また人によって見方は非常にたくさんあると思いますので、ここではあえて触れません。
また彼らのことを知らないスポーツトレーナー方も、「○○の筋の発達が素晴らしい!」「彼のパフォーマンスの秘密は○○筋だ!」みたいに、部分的な解析だけは避けて欲しいと願っています。
 
そんな大活躍の10代の選手がいる一方で、私が思い出すのは、若くしてオリンピックなど世界の舞台で偉大な結果を残し、その後、活躍できずに苦しんでいる、または去っていった選手たちです。
14歳で水泳金メダルを獲得した選手をはじめとして、10代で大活躍して、その後消えていった選手はたくさんいます。そんな選手たちには何が起こったのでしょうか。
 
精神的な重圧や過度な期待も関与していることは間違いないでしょう。若くしてメダリストになったわけですから、注目度もすごいことでしょう。
しかし今回はJARTA的な解釈として、ここでは「その後のトレーニング」について取り上げてみようと思います。
 

筋力という1つの要素への偏重

筋力という
世界の舞台でセンセーショナルな活躍する選手たちは、羽生選手や元水泳選手の岩崎恭子さんなどに代表されるように、非常に細身です。
このような身体で結果を出した選手に対して、その周囲の人々はその後のパフォーマンスについてどう考えるでしょうか。
 
それは
「もっと筋力がついたら、どれだけすごいことになるだろうか!」
です。
 
これだけ細い身体であれだけの結果を残せるのだから、そこに筋力がついてパワーがついたらどんだけすごいことになるんだと、ほとんどの運動関係者がそう思います。
 
近年、スポーツのパフォーマンスの要素(パワー、スピード、アジリティなど)の大半を筋力に依存させて考える傾向にあります。トレーニング理論が常識になっている現状では仕方のないことかも知れませんが・・・。
しかし選手に指導する立場にある人間は、そんなに単純に人間の動きを考えるべきでしょうか。
 
そもそも、若手トップアスリートを安易に筋力アップの流れに載せる前に、
「なぜ、そのような細い身体なのに勝てたのか」
をしっかり考えるべきです。
 
「筋力だ!筋力が足りない」と筋力トレーニングを押しつける。本当にそうなのでしょうか。何でも筋力に結びつけて考える理論の範疇では、明確な答えは導き出せない可能性もあるわけです。
またそれ以前に、選手が「なぜ勝てるのか」がわかっていない者に、その選手のパフォーマンスアップについて指導する資格はないと思います。
 
武道・武術の世界では、小さくて細い高齢の達人が身体の大きい若者をなぎ倒すのは当たり前なのですが、ここにヒントが隠されています。
 
いつも繰り返していますが、トレーニングをすればするほどパフォーマンスが低下することもあります。JARTAではこれを「マイナスの学習」と呼んでいます。
10代で活躍し、その後筋力トレーニングに目覚めて二度と活躍できなくなったり、パフォーマンスが伸びなくなった選手は山ほどいます。
 
「オリンピックで大活躍した○○選手が、今シーズンから身体を作るために筋力トレーニングへの取り組みを始めました。」
こんな報道を見たら、少し危うさもあると考えてもいいでしょう。
 
選手のみなさん、もっと自分の身体の感覚に素直になりましょう。自分の身体が、「これじゃない」と感じたらその感覚を信じてください。
もっとわがままになって下さい。理屈や理論に合わせなくていいです。唯一無二の自分の身体を信じて下さい。
 

まとめ

人間はすべての組織が関係し合って成立している複合体ですから、それを理解しているとそもそも○○筋が…という発想にはならないのです。
◯◯筋、よく使われる言葉ですが、筋肉の要素にだけ着目すると、選手のパフォーマンスの本質は理解できないのです。
 
また選手を指導するスポーツトレーナーにも、選手の感覚を大切にできる度量ど土壌が必要です。
すべては選手たちのパフォーマンスアップのために。押し付けの筋力トレーニングはそろそろ辞めにしませんか。

2014年02月13日

野球の投手にとって重要なこととは?局所ではなく全体のとらえ方

先月東京のJARTAオフィスにて、プロ野球選手の岡本篤志投手、野上亮磨投手のトレーニング指導を行ってきました。
今回は、私がどのような考えでプロ野球の一線級の選手たちである彼らに指導しているのか、お話したいと思います。
野上123
プロ野球の投手が年間を通じて一軍で活躍するために必要なことは何かわかりますか。
まず怪我をしないことです。これは当然のことです。
 
怪我の要因としては、疲労の蓄積です。もっというと一部分への疲労の蓄積です。年間通じてローテーションを守ることは、身体的にも精神的にも想像を絶するストレスがかかります。
どんなに身体の使い方が良い選手であっても、登板が続けば疲労してきます。
岡本投手野上投手6
 
疲労が蓄積しやすい代表部位が肩や肘です。これも周知の事実です。
投球における微細なストレスの繰り返しが疲労や痛みを発生させます。ですので、肩や肘における疲労や硬さ、痛みを取り除いてやるのは「当たり前」です。
 
ここで私たちトレーナーが考えるべきことがあります。
それは「なぜ肩や肘に疲労が溜まったのか」です。
 

なぜ肩や肘に疲労が蓄積したのか?その理由を考える

投球を考える上で前提となるのが、投球は全身運動だということです。
それも指先をハイスピード・ハイパワーだけでなく非常に正確に操作することが要求される非常に高度な運動です。つまり、全身の連動した運動が、「結果として」腕に伝わるのです。
このことを理解した上で選手の身体と動きをみる必要があるのです。
 
「なぜ肩・肘に疲労が蓄積したのか」
 
この問題を解決する鍵は、実は肩や肘以外にあることが多いのです。
代表的な例を挙げると腰です。もっというと仙骨・脊柱です。
投手の腕は、単独に振られているわけではなく、脊柱の捻れと捻り戻しの際に発生する力を利用して高速で振られています。
岡本投手野上投手5
このとき、より効率よく上肢に力を伝える際に必要となるのが回旋系伸張反射(RSSC)。全身の回旋筋群を使った筋反射です。
この反射を使うことで全身にストレスを分散し、さらにハイパワーやハイスピード、再現性や正確性を実現することができます。
 
そしてこのRSSCの大前提となるのが、筋肉が最大限ゆるんでいることなのです。
岡本投手野上投手4
 
緊張した筋肉ではこの機能は絶対に使いこなせません。わかりやすくいうと、脊柱や仙骨周囲の関節や筋肉が硬くなっていると、RSSCが使いにくくなるのです。
RSSCが使えない状態で高速で腕を振ろうとすると、それは「力み」につながるのです。
 
力んで投げようとするとどうなるか。当然体幹部と腕の連動性は著しく低下し、そのつなぎ目である肩に負担が集中します。また、肩の動きがスムーズでないと当然肘にもストレスがかかります。
一球や何回かの登板でしたら問題にならないようなこのロスは、投球機会が増えるにつれ、その蓄積した年数が増えるにつれ気づかないレベルで蓄積していきます。
 
そして本人も気づかないうちにパフォーマンスを低下(故障)させることになります。
 
やや局所的なお話をしましたが、本来重要なことは部分ではなく全体の現象です。
 

投手のパフォーマンスアップに必要なこと

次に投手の動き全体をとらえてパフォーマンスアップにつなげていくために必要な考え方についてです。
さきほど全身の回旋筋群を総動員してパフォーマンスに利用することの重要性、それが阻害されたことによる弊害についてお話しましたが、投球という動作においては、少し部分的な点に関する内容です。
 
いつも話していることですが、スポーツ選手にとって可動域や筋力、バランス、パワー、スピードなどは、それらが向上したとしても、パフォーマンスそのものが向上していなければ全く意味がありません
 
痛みについても同様で、痛みがとれるかとれないかの問題ではないのです。痛みがとれても、本来のパフォーマンスが発揮できなければその選手にとって無意味なのです。
痛みの発生機序や除去方法の考え方も重要ですが、やはりパフォーマンスアップについての考え方は知っておいてもらいたいのです。
 
岡本投手野上投手3
 
投手のパフォーマンスアップについて考えてみましょう。
まずこれは全ての競技で共通することですが、立った状態で、全身の筋緊張が最小限になっているかです。これは1次姿勢という考え方です。
 
1次姿勢は運動をとらえる上で非常に重要な考え方です。
立位で既に不要に緊張が入っているような状態では、それよりも難易度レベルが高いはずである投球の時に良い状態で動けているはずがないということです。
岡本投手野上投手2
 
ですからJARTAでは必ず初めに立位の状態を確認します。そして問題があれば優先順位を高くして対応します。
 
次に全身の連動性です。
投球動作において、理想像を非常にシンプルに考えると、「下肢—仙骨・脊柱—肩甲骨—腕」が順序よく動き、連動性と再現性、スピードを獲得することになります。
 
そして非常に抽象的な表現となりますが、極意といえるのが
「腕の重みを使うこと」
「身体を中央でスライドさせること」
「脊柱を前後に波打たせること」
これがハイパフォーマンスの鍵になります。
 
これらの要素は、今までは各々の選手のセンスに依存する度合いが高かった部分です。なぜなら、既存のトレーニング理論や方法ではこのような部分を鍛錬する手段が存在しなかったからです。
しかしそれでは全体のレベルアップは図れませんので、JARTAの講習会ではハイパフォーマンスを生み出す原理、原則についても詳しくお伝えするようにしています。
 

まとめ

投手のパフォーマンスアップに重要になることをお伝えしてきました。
回旋系伸張反射などあまり聞き慣れない言葉もでてきましたが、アスリートのパフォーマンスアップには必要な要素です。
投球は流れのある動作となりますので、局所や一場面にとらわれないことが重要です。

2014年02月11日

連続写真を用いた指導に潜むリスクとは?

今回のテーマは『連続写真でのフォーム分析/指導に潜むリスク』です。一般的に当たり前に行われているフォーム分析に潜むリスクについてご紹介します。
連続写真を用いた指導に潜むリスクとは?78
スポーツ関連の勉強をしたり資料を集めたりしていると、雑誌や論文などでフォームの素晴らしさや問題点、変化を連続写真で解説しているものをよく見かけます。
スポーツ現場に関わる方であれば、ほとんどが目にしたことがあるのではないでしょうか。
 
連続写真は、実際の現場でも選手にフォームの問題点や変化を指摘したり、目指すフォームを指導したりする際に用いられます。
 
たとえばこちらの投手の動画をご覧ください。

 
この投球動作の中で、セットポジションから投球を連続写真にすると、こんな感じになります。
投球動作1
投球動作2
投球動作3
投球動作4
投球動作5
投球動作6
投球動作7
投球動作8
投球動作9
投球動作10
投球動作11
投球動作12
瞬間瞬間の動作の状況が、誰が見ても細かくわかります。
 

連続写真でも連続はしていない

最近ではスポーツ現場でも、選手自身がこのような連続写真や一時停止した動画を参考にしていることが多いです。
もちろんトレーナーなどが関わるコンディショニングの場面でも、「ここで肘が下がっているから肩に負担がきている」と、連続写真を見せて指導します。
 
一見丁寧な解説に感じますが、実はここには非常に大きなリスクが潜んでいます。
なぜなら選手のフォームは本来「連続する動作だから」です。
 
連続動作は様々な要因(回旋系伸張反射や重心移動、遠心力、コリオリ力、ジャイロ効果など)が関連し合った結果、それらの要因の結果としての現象として現れています。
それなのに、その一場面だけ切り取って、「ここで肘が下がっている」と指摘されたら、選手はどう考えるでしょうか。
 
当然「じゃあここで肘を上げなければ」となり、無理に肘を上げるようになります。しかしこれでは連続動作の上に現れた現象ではなく、「作ったもの」となります。
 
わかりやすい言葉に言い換えると、これは力みです。
運動連鎖的に考えて、「力み=緊張」が連鎖を阻害することは周知の事実です。
 
つまりこちらが行ったフォーム指導とその練習が、全く逆の作用を及ぼす可能性があり、パフォーマンスが低下します。
これをマイナスの学習といい、投手の肩のインピンジメントなどの怪我につながることもあります。
 

まとめ

連続写真を用いた指導についてお伝えしてきました。
JARTAでは、選手のフォームは、様々な角度のアプローチから選手に局所を意識させることなく良い動きを誘発し、「気がついたら良いフォームになっていた」という流れが理想的だと考えています。
 
連続写真を用いて指導しているトレーナーの皆さま、指導をする際にはぜひ参考にしてください。また指導者の皆さまはこういう事実があることをぜひ知っておいてくださいね。




2014年02月10日

スポーツ選手の身体に関わる際の大前提「つながり」について

スポーツ選手と関わる際に、絶対知っておかなければならない「つながり」についてご紹介します。
スポーツ選手の身体に関わる際の大前提「つながり」について78
今回のテーマは「スポーツ選手の身体に関わる際の大前提」についてです。
人間の身体は決してばらばらな部分の寄せ集めではなく、ひとつのものであり、その中で生じている現象は全て同期しています。
 
特に西洋医学を勉強された方はご存知かと思いますが、解剖学などでは「肩の構造」「股関節の構造」など、部位別の学習方法が行われます。
また治療法についても同様で、腰の痛みには腰の治療方法といった具合に、こちらも他の部位との関連については近隣関節部位以外は語られることが少ないのです。
 
果たして本当にそれで良いのでしょうか。
 

便宜上の分類よりも大切なこと

全てのつながりを意識する78
JARTAにご関心がある方は、そういった現状に疑問を持たれている方が多いと確信しておりますが、あえて断言します。
絶対に不十分です。
「科学的根拠があるから」「研究で実証されているから」とよく言われますが、人間という非常に多要素で構成され変化に富んだ存在に対しては、まったく適応できないと考えています。
 
人間の状態やその変化には、非常に多くの要素が関連し合っています。
人体には様々な部位が存在しますが、そもそも理解しやすいように人間が便宜上「分類」しただけです。
肩や股関節など学問上別々の部位であっても、生きている以上、全ての部位との関係性が前提となって存在しています。
ばらばらになって存在したことはないはずです。
(解剖学はまさにご遺体を解剖して得た所見に基づいた学問ですから)
 
発生学的に考えても、全てつながって発生しており、それぞれ「密接に関連があることを前提に発生し発達」しています。
身体各部位であればまだイメージしやすいと思いますが、これは身体と精神との関係において同様です。
同時に関連し合って存在しているものであり、ばらばらになって考えるものではありません。
 
治療や施術経験のある方はご経験があると思いますが、身体の悪いクライアントは、精神的にも落ち込んでいるなど、何らかの問題を抱えていることが多いですよね。
治療が上手くいって身体が改善してくると精神的にも改善してくることはよくある話です。
場合によっては逆もあり、精神的に良くなってくると身体的にも改善がみられてくることもあります。
 
たとえば身体に生じている痛みに、本人が考えているのとは別の解釈を与えてあげるだけで症状が改善するきっかけになることもあります。
こういった考え方は、特にアスリートに対しては非常に重要な観点になってきます。
 
このような原則・前提を重視し、コンディショニングやトレーニングを行うというのがJARTAの基本スタンスです。
そしてこの前提は、身体各部位および身体と精神だけの関連だけではなく、身体の使い方においても、非常に重要な考え方です。
 

まとめ

スポーツ選手の身体に関わる際の大前提、「つながり」についてお伝えしてきました。
 
当然ながら痛みを治癒することを目的に来られる選手もたくさんいます。
しかし、本来、彼ら彼女らが目指すところは、痛みを治癒するというもの以上に「パフォーマンスを極限まで高める」というところにあるはずです。
主訴は疼痛ですから、まずは当然その問題の解決に向けて対処しますが、アスリートとして目指す方向を理解した上で問題点に対処するのと、そうでないのでは、結果は大きく異なると考えています。
 
スポーツ選手と関わる際にはぜひ参考にしてください。

2014年02月07日

選手が本当に求めているのは痛みをとることではない

スポーツ選手と関わるトレーナーのみなさんに絶対知っておいて欲しいことがあります。
それが今回のテーマ「選手が本当に求めていること」です。
選手が本当に求めていること38
 
スポーツトレーナーとして選手や指導者と関わるためには、たくさん重要な要素があります。
知識や技術はもちろん、傾聴する力や人間性、さまざまな要素が試されます。
その中でも私が大切しているあるひとつの要素があります。
 

筋力を重視するいままでのトレーニング

先日、担当している選手からこんな相談がありました。
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筋トレ(ウエイトトレーニング)をやめて、中野さんに教えてもらったトレーニングをしていたら、チームのトレーナーから『脚が細くなってきているから、太ももの前の筋トレをしろ!』と言われたのです。
中野さんのトレーニング始めてから膝の痛みがなくなったので、今までの筋トレに戻るのは怖いのですが・・・。
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状況を簡単にご説明すると、この選手は、私のところでコンディショニングを受けて、ここ数年の膝の痛みがとれた女子サッカー選手です。
その選手にとってウエイトトレーニングが「マイナスの学習」になっていると判断したため、その時点ではウエイトトレーニングを中止するように指示していました。
 
まだまだ「筋の太さ」だけをいろんな判断基準にしているトレーナーはたくさんいます。
仮にこの選手が、そのトレーナーの指導でウエイトトレーニングを再開して痛みが再発したら、そのトレーナーはどう「責任」をとるつもりでしょうか。
 
この場面で私は、「筋トレそのものが悪いわけではなく、同じトレーニングでも、やり方の質が重要」と答えました。
そしてある時点で、ウエイトトレーニングを再開しても大丈夫だろうと判断したため、これまでのウエイトトレーニングを行いながらも「マイナスに働かない」ようにする方法を教えました。
 
冒頭の話のようなトレーナーからの指導場面は、レベルに関わらずスポーツ現場では本当に頻繁にあります。ちなみにこれは女子サッカーのなでしこリーグでのエピソードです。
みなさんは、女子サッカーのトップリーグでのこの出来事をどのようにとらえますか?
 

痛みが消えればOK?

みなさんは、スポーツ選手(またはスポーツをしている患者さん)と関わるとき、その人が求めていることって何だかわかりますか。
当然、治療者でもある私たちの前に現れる選手は、初めは「痛み」を訴えている場合が大半です。
 
スポーツ選手やスポーツをしているクライアントが、痛みを抱えて自分の前に現れたとき、私たちはどう考えるべきなのでしょうか。
「痛み」を解消する。
これは当然です。正解といえます。ただ、これでは非常に不十分だともいえます。
 
痛みの解消だけなら、私やJARTAトレーナーでなくとも凄腕の治療家、トレーナーはたくさんいますが、痛みをとるだけでは、選手たちは変われません。
結局のところ、痛みの再発やパフォーマンスの低下に悩まされることになっています。残念ながらそれが現状です。
 
ハイレベルなトップチームですら、そんな状態です。これでは選手はかわいそうです。
 
では私たちが選手と関わる際に何を考えればいいのかわかりますか?
実はそれが、もうほとんど完成された市場であるスポーツ現場に切り込んで活躍していくためのキーワードのひとつです。
 
「選手は、なぜ痛みを解消したいのか」を考えてみて下さい。
選手目線で考えて、痛みを解消した先には何があるのでしょうか。
 

選手は痛み止め注射を打ってでも出場したい

答えはパフォーマンスアップです。
選手は「パフォーマンスを向上させること」を求めているのです。いまの自分にできる最高のパフォーマンスを発揮したいから、「痛み」をとりたいのです。
 
それが目的であっても、手段であっても、選手にとってそれがほぼ全てだと思います。
だから選手の身体に関わる私たちも「パフォーマンスを考える」必要があるのです。
そうシンプルに考えればいいでしょう。
 
「明日からの練習で結果を出さないと・・。」
「来週の試合で完全なパフォーマンスを発揮したい」
「もうすぐトライアウトがあって、そこで結果を出さないと失業」
 
さまざまな状況はあると思いますが、選手はパフォーマンスを向上させるために、自分の最大パフォーマンスを発揮するために、ただそのために「痛み」を解消する必要があるから、あなたの前にいるのです。
 
だから痛みがとれない場合は、身体にとって良くないことをわかりながらも、痛み止め注射を打ってでもプレーします。
でも高校野球を引退した故障選手は、現役時代のように毎日どこかの整骨院には通ったりしません。
 
スポーツ現場に関わっておられる方、関わりたいという希望がある方には、こういった選手の感覚はぜひ理解しておいてもらいたいと思っています。
このような選手の気持ちを理解した上で関われるようになると、選手からの信頼は厚くなっていきます。
 
筋力増大や可動域の改善、片脚立位時間の向上、四肢の周径の改善など、選手にとって何の意味も持ちません。パフォーマンスが改善しなければ。
痛みや可動域・バランス機能の改善、その他諸々のことは、ただの要素であって、それ自体が「目的」になっていては、とんでもない過ちを犯すことになります。
 

トレーニングは何のためにするのか?

さらにトレーニングの観点からも同じことがいえます。
 
一流のサッカー選手の脚を見ると、ものすごく筋肉が発達しています。一流を目指したいサッカー選手たちは、彼らのようになりたいと願えば、一生懸命脚の筋肉を鍛えます。
トレーナーや指導者も、脚の筋肉が発達するためのトレーニングや練習をさせます。
さらにインナーマッスルが重要だということで、腸腰筋等のインナーマッスルトレーニング、腹横筋トレーニングなどをします。
 
結果として、脚の筋肉は非常に発達するでしょうが、その選手は一流にはなれず、近づくこともできませんでした。
皮肉なことに、むしろシュートの精度が落ちたり、俊敏さが低下したりしました。
 
「肉体改造」に失敗する例は非常に多いですが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
それは筋肉の動きや筋肉の連動は、パフォーマンスの一部分でしかないからで、結果的にパフォーマンスのバランスを崩したからです。
 
「この場面では○○筋が働いて、その為には腸腰筋の働きが重要で・・・」など、写真を提示しながらとても詳細に解説している書籍などをよく見かけます。
部分に対して精密なことはとても大事です。しかし、ほとんどはそこで止まっています。
逆にいうとパフォーマンスという現象を捉えていない、つまり、現象に対しては粗雑、いい加減だということです。
 
 
これはすごく重要な問題なので、部分に対しては精密だけれど、現象に対しては現在のトレーナーは粗雑なりがちです。
繰り返しになりますが、選手はパフォーマンスを向上させたいと思っているのです。
 
もっと言うと、

  • 上手くなりたい
  • 試合に出たい
  • 勝ちたい
  • レベルの高いチームに行きたい
  • プロになりたい
  • ワールドカップに出たい
  • ワールドカップで優勝したい

と思っているのです。
「誰がどのような目的で」というのは色々ありますが、上記でほぼ網羅できると思いますし、人生をかけている人もいるわけです。
 
選手は「パフォーマンスを上げたい」、トレーナーや指導者は「選手のパフォーマンスを上げたい」、お互いにそう思っているのにパフォーマンスが低下する。
これは非常に憂慮すべき状況で、選手のパフォーマンスに携わる立場として非常に悲しいことです。
 
あなたの行う選手への対応が、選手の意思を人生をへし折っている可能性もあるのです。
 

まとめ

選手が本当に望んでいることについてまとめみあした。
トレーナーは選手の人生を背負っているということを決して忘れてはいけません。
筋肉があろうがなかろうが、連動していようがいまいが、インナーマッスルが使えていようがいまいが、脚の振りが良くなろうがなるまいが、走りやすくなろうがなるまいが、結果としてのパフォーマンスが上がらなければ選手にとって意味がないのです。
 
すべてはパフォーマンスアップのために。
 
JARTAではこれらの問題における明確な解決策を提示します。今後のブログやfacebookにもぜひご期待ください。

2014年02月05日

JARTAベーシックセミナーではどんなことが学べるのか?

JARTAのスポーツトレーナー育成セミナーには4つのセミナーがありますが、今回はスポーツトレーナーへの入り口となるベーシックセミナーの詳細をご紹介します。
JARTAベーシックセミナーではどんなことが学べるのか?78
まずその前にJARTAのセミナー制度についてまだご覧になっていない方や、よくわかっていない方は先にそちらをお読みください。
参照) JARTA認定スポーツトレーナーコース
 

ベーシックセミナー詳細

ベーシックセミナーではJARTAのコンディションやトレーニングの基本となる3つのJARTAコンセプトを中心にご説明します。
このコンセプトをわからずして、JARTAのトレーナーになることはできないからです。
筋肉を鍛えぬくトレーニングの弊害や、それらのトレーニングとJARTAのトレーニングとの違いは何なのか、現場でのトレーニング経験豊富なJARTAセミナー認定講師がわかりやすく説明します。
また、これまでのスポーツトレーナーが重きを置いてこなかった「からだの使い方」にJARTAは注目しました。
 

セミナーの流れ

ベーシックセミナーでは冒頭1時間の講義で、JARTAのコンセプトとトレーニング理論をお伝えします。
その後コンディション手技とセンタリングのトレーニングの基礎を行います。
 

ベーシックで学ぶコンディション
頸椎調整テクニック
ベーシック31
胸腰筋膜調整テクニック
ベーシック32

 

広背筋テクニック
ベーシック33
上腕三頭筋調整テクニック
ベーシック34

 

膝関節調整テクニック
ベーシック35
大腰筋調整テクニック
ベーシック36

 

トレーニング

野球など上肢を使う競技では重要となるゼロポジション。そのゼロポジションを胸郭面のどの位置でもできるようにするトレーニング、それが立甲。
イメージ的にはチーターが歩く感じですね。
立甲
ベーシック37
 
このような流れでベーシックセミナーは行われます。
ご興味がある方はぜひご参加ください。
現在募集中のセミナー

2014年01月31日

前INAC神戸監督、石原孝尚氏の激励会

日本サッカー界から世界への新たな挑戦が始まります。
前INAC神戸監督、石原孝尚氏の激励会4353
このたび、女子サッカーINAC神戸を勇退された石原孝尚氏がアメリカのプロ女子サッカーチームSky Blue FCのコーチに就任されることになりました。
 
そこで今回、石原氏の今後のご活躍を願って激励会を開催させていただくことになりました。
参加資格はJARTA会員であることです。
 
昨シーズン、就任一年目でなでしこリーグ4タイトルを総なめにした石原氏と直接お話しできる貴重な機会でもあります。
前INAC神戸監督石原孝尚氏の激励会2
ぜひ、ご参加いただければと思います。
 

日時

2月11日(火)|11:30〜13:30

場所

東京都内某所|詳細はお申し込み後にお伝えします。

会費

3,000円|会場にてお支払いいただきます。

参加資格

JARTA会員

問い合わせ先

j.retrainer(あっと)gmail.com
(あっと)の部分を@に変換してください。
 
※JARTAでは認定スポーツトレーナーや会員の方を対象に、今後もこのような形でトップスポーツの最前線に携わる選手や関係者の方々と交流する機会を提供してゆきます。

2014年01月29日

JARTAトレーナー活動報告|プロ野球選手の自主トレ帯同

年明けより、JARTAのトレーナーで、プロ野球の西田直斗選手の自主トレに帯同してきましたので、その様子をご報告申し上げます。
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今回の自主トレにおいて西田選手からの依頼内容は、
「今シーズン1軍で活躍できる身体づくり」
です。
 
西田選手は、チームの合同自主トレの動き次第で一軍キャンプに残れるかどうかの状況にあったため、他の選手たちよりも動ける状態でチームの合同自主トレに入っていく必要がありました。
 

トレーニング戦略を立てる

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まず西田選手の昨シーズンまでの動きを分析し、現状の課題と長所を明確にしました。
 
そしてトレーニングメニューを組んでいくわけですが、ここで肝腎なのが、

目的・期限(期間)・程度

という3つの枠組みとその要素を明確にすることです。それがなければ優先順位もトレーニング戦略も立てられません。
 
今回のケースでは、
目的1:1軍キャンプに残ること。
目的2:1軍でシーズンを通して活躍すること。
その関連要素

  1. チーム自主トレの段階で他の選手よりも動きや仕上がりの面で目立つ。首脳陣にアピールする。
  2. 昨シーズンまで課題とされた動きを改善する。
  3. 選手としての長所を伸ばす。強調する。

としました。
期限と期間の設定は、
期限1:自主トレ帯同の4日間
期限2:チーム自主トレ開始日まで
期限3:1軍キャンプ開始日まで
期間:1シーズン
としました。
最後に程度は、
程度:チーム自主トレ開始日の段階で、昨年同時期を10としたら15ぐらい
その関連要素

  1. その要素:ダッシュ力、送球力、打撃力、守備力
  2. その要素の下層にある要素:身体の連動性、野球における重要部分の柔軟性と使い方などなど
  3. さらにその下層にある要素:立位姿勢

このような枠組みにまとめました。
 
まずは目的を明確にし、すべては目的を達成するために序列を考えます
 
本来の手順としては、目的に関連する要素をすべて挙げ、その中で目的に対する優先順位を決めてゆく作業になります。関連要素は50〜100は挙げたいところです。
ここまでできると、次はそれを達成するための戦略と手段の構成に入ります。
今回私が直接関われるのは自主トレ帯同の4日間、その期間において全ての要素の中から優先順位を考えながらトレーニングメニューを構築しました。
当然、その際にはプロの一軍レベルの野手がハイパフォーマンスを発揮するために必要な要素が何なのかも同時に把握しておく必要がありますので、そのあたりはお忘れなく。
 
ここまでがトレーナーなら「当たり前」としたい事前準備です。
 

トレーニングは必ず選手に「上達」を感じさせる

トレーニング初日、私の準備した内容を西田選手やサポートで入ってくれたJARTAトレーナーたちと確認しトレーニングを開始しました。

JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗3 
JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗4 

 
事前準備がしっかり出来ていれば、当日は選手の状態や課題トレーニングの出来具合をみながら微調整をしてゆくだけです。
終始和やかな雰囲気でトレーニングを実施することができました。
 
日程後半には、初日にできなかった動きが出来るようになったり、動きの質が良くなってきたりといった現象が見られるようになってきました。
JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗6  JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗7 
本人も身体が変わってきたという実感があるとのことで、目の色が変わってきました。リラックスと集中のバランスも良かったです。
 
この時期、西田選手に中心的に行っていただいたトレーニングは
「JARTAセンタリングトレーニング」の基礎版です。

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JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗9 

 
野球のパフォーマンスにおいて重要度が高い部分の状態を整え、さらに整えるだけでなく、「使い方」の学習も進めました。
 
強化のフェイズでは、まずは身体の軸づくりと身体や環境に対する認識能力を高めることを前提として作り、その上でフィジカル系の強化トレーニングを行ってもらいました。
強化トレーニングであっても決して身体を硬くする類いのものであってはなりません。
(※このあたりの理由は、JARTAコンセプトをご参照下さい)
 
JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗10 
その間も自分の身体がどのような状況にあるのかについて、常に意識してもらいながら行うよう課題を加えていたので、身体だけでなく脳疲労も起こります。
選手にとってはとても大変な作業ですが、4日間、しっかりこなしてくれました。
 

どんどん上達させることでモチベーションを高める

帯同期間、常に私が意識してきたことは、選手に「上達を実感させる」ことです。
JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗11 
難しいトレーニング課題に対して、ひたすらそれを繰り返しているうちに出来るようになるのは当たり前ですし、そんな方法は誰でもできます。
ただし、とても時間がかかりますし、選手のセンスに依存する度合いが高すぎます。
 
重要なことは、「できない原因と要素を見つけて、必要な刺激を入れてあげることで動きを変えてあげること」なのです。
時間をかけるべき練習は他にもたくさんありますし、すぐに上達させられる動きはさっさと獲得させてあげるのがトレーナーの腕の見せ所ではないでしょうか?
そうすると選手は出来なかった動きをどんどん獲得できるようになり、上達を楽しんでくれるようになります。当然モチベーションも高まります。
 
トレーナーはトレーニング指導で選手のモチベーションを上げられるのです。選手のモチベーションは、決して言葉を使って高めるだけのものではないのです。
JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗12 
先日発表された沖縄県宜野座村で行われる一軍キャンプメンバーに、西田選手は見事名を連ねることができました。
 
あるスポーツ新聞の紙面に書かれていた「若手野手から大抜擢」という言葉が印象的でした。
 
まだまだスタートラインに立っただけですが、大きなチャンスになってほしいです。
西田選手の今シーズンのご活躍を期待しております。

2014年01月26日

ボランティアでのトレーナー活動は辞めた方がいい。その理由とは?

スポーツトレーナーはボランティアが当たり前?!その状況に私たちJARTAは警鐘を鳴らしています。その理由とは?
スポーツ現場におけるボランティアでの活動は、スポーツ現場に出たことのある医療従事者やトレーナーでしたら、ほとんど経験されているのではないでしょうか。
 
実は私もずっとボランティア活動を続けてきました。
たとえば高校野球の甲子園大会のメディカルサポート、某高校野球有名校、オリンピック選手、関西独立リーグなど、ほとんど無償ボランティアとしてのサポート活動でした。
この他にも、小中学校や高校、大学の部活動、アマチュアスポーツ選手へのサポートなども含めたら本当に数えきれません。
 
もちろん、それぞれの現場でやりがいや喜びは大いにありました。
でも、心の中には、ずっと「これでいいのだろうか」という想いがありました。
 
今回のテーマは、
「なぜ多くのスポーツトレーナー志望者が、スポーツ現場で無償ボランティアを続けてしまうのか」
です。
スポーツトレーナーとしてすでに選手に関わっている方、そしてこれからスポーツトレーナーを目指す方は要チェックです。
 

ボランティア活動の悩みと限界

 
ボランティアでトレーナー活動をしている間、当然ですが移動やその他経費は全て自己負担です。しかも自分の休日や勤務後の時間を使い、体力を使い、家族と過ごせるはずの時間を使っています。
 
先に断っておきますが、個人的にはボランティア活動の全て良くないと考えているわけではなく、むしろ初めはボランティアはやっておくべきだと思っています。
ただしどんなにスポーツ現場に魅力を感じていても、無償での活動は様々な要因から考えて、やはり継続しません。
 
理学療法士や作業療法士、柔道整復師など、特に国家資格保持者は医療やリハビリの専門家です。プロフェッショナルなのです。
それなのに無償で「トレーナーをさせてもらっている」状況でよいのでしょうか。
 
私はスポーツ選手がその能力を発揮し、競技人生を健全に送ることができるようになるためには、絶対に優れたトレーナーが必要だと考えています。
しかも選手もそれを感じています。信頼できるトレーナーを求めている選手は、実はとても多いのです。おかしなトレーナーを信じてしまった選手には悲劇しか待っていません。
 
ボランティアの話に戻すと、私の場合はボランティア活動を続けることで、それなりに知名度のあるチームにも関わることができるようになっていたため、「このまま続けたらいつかチャンスが来る!」という想いもありました。
いつか認められて給料をもらえる契約を持ちかけてもらえるのではという想いがあったのです。
 
しかし、そんな機会はめったなことでは訪れません。
だって給料を払わなくても、トレーナーは自ら希望して無償で来てくれているのですから。
 
また有名チームでは、無償でも売り込んでくる希望者が後から後からやってくるため、下手に交渉するともう関われなくなる可能性もあります。
ではボランティアトレーナーはどうすればよいのでしょうか。
 

ボランティアでは続けないという覚悟

私は
「ボランティアは辞めることを前提に活動すべき」
だと考えています。
 
初めから辞める時期を明確に伝えておくこと(最低1シーズン程度)で、あなたがトレーナー活動をしている間、相手は観察し考えます。
あなたが「お金を払ってでもチームに必要なトレーナーかどうか」を。
その間、あなたは全力で結果を出しまくればいいのです。選手や現場の監督、コーチから信頼を勝ち取ればいいのです。
 
辞める時期が訪れ、それでも有償契約に切り替えてもらえない現場だったら、縁がなかったとそのまま辞めた方がいい場合の方が多いです。(現場の方々との関係は良好に続けること、終えることは重要です)
 
スポーツトレーナーとして報酬をもらえるようになることを望んでいる方にとって、その現場はもはや不要です。
ずっと残っても大きなチャンスを紹介してもらえる可能性は少ないでしょう。それまでのボランティア活動は実績としては残りますので、その実績を元に新たなフィールドに進んでください。
 
我々はプロフェッショナルですから、絶対に自分を安売りしないで下さい。
 
しかも、自分を安売りするだけならまだ自由ですが、その行動は、後に続く後輩たちやトレーナー全体の価値を下げることにつながります。(質ではなく、「価値」です)
 
ですから逆にいえば、残念ながら現在のこの状況は、私たちの先輩が残した負の遺産で、先輩たちの責任です。
私たちがスポーツ現場のそんな価値観を根底から変えていかなければならないのです。
ともかく私はそんな風にして活動の幅を広げてきました。とてもしんどい道のりです。
 
基本的には近道はありませんが、「現場で結果を出しまくって信頼を得る技術」を身につけておくことは唯一の近道、チャンスを引き寄せる方法かも知れません。
 

まとめ

トレーナーのボランティア活動についてお伝えしてきました。
結局、無償ボランティアを辞められない理由は、
「自分が他のトレーナーが出せないような結果を出す自信がないこと」
ここにあると思います。
ずっとボランティア活動をしたい方は別にそれでもいいのですが、いつかプロとして活動したい方は違うはずです。

  • チャンスを得たいからボランティアをしている。
  • ボランティア経験を積んでいつかスポーツ現場で活躍したいと思っている。
  • プロなのに無償が当たり前の空気には疑問を感じているが、報酬をもらえるような技術がないと自覚している。
  • ボランティアなのに選手から受け入れてもらえない。

以上のような方は、他のトレーナーを圧倒するのに必須な知識・技術・考え方を学ぶことで、違うフィールドが見えてきます。
 
こういった現状をより良くしていくため、JARTAでは認定スポーツトレーナーを対象にトレーナー活動現場の紹介も行っております。(認定スポーツトレーナーランクなど、条件により処遇は変動します)
 
プロとしてトレーナー活動を行っていく。長い目で見れば、それが選手のためでもあり、スポーツトレーナーの地位向上につながると私は信じています。