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2016年08月31日

陸上の山縣選手はスターティングブロックを蹴っていない!?

今回のリオオリンピックではたくさんのメダルと共に日本人が世界で活躍できる可能性を感じた方々も多いのではないでしょうか?
まだまだ記憶に新しいオリンピックで、その中でも世界に驚きと日本人に勇気を与えてくれたのが陸上男子の400Mリレーでの銀メダルではないかと私は感じています。
JARTA認定講師の赤山僚輔です。

今回のオリンピックでは多くのアスリートのパフォーマンスやインタビューでのやり取りからわかる一流選手の内的・外的認識力やJARTAでいつもお伝えする《意識》の部分で多くの気づきがありました。
そんな中でも陸上の山縣選手のあるニュース番組内でのキャスターとのやりとりに非常に重要なキーワードがありましたのでシェアさせていただきます。

スターティングブロックは蹴ろうと意識していないです。

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ご存知の方も多いかと思いますが、今回リレーでの好結果の要因としてバトンバスと同じように山縣選手のスタートのリアクションタイムが世界トップレベルであったことが度々報道されています。
私が見た番組内でキャスターはその点に注目し、何故そんなにスタートが速いんですか?
という問いに対してキャスターの想像を超える返答と共に私自身はやはり最終的にはそういう感覚に結果的になっていくのだなと確認ができました。
以下が山縣選手のスターティングブロックを蹴らない理由としての返答です。
「スタートでは前になるべく速く進みたいので、後ろに蹴ろうとは意識しません。後ろに蹴ろうと意識すると後ろに意識が向いて前に進みにくくなるので」
「あとは少し先に落ちているゴミを拾うような感覚でスタートは出ていきます」
実は上記2つともJARTAセミナー内では繰り返しお伝えしている最大限に身体操作、パフォーマンスを発揮する上で重要な意識なのです。
後ろに蹴ろうとすると前に進みにくくなる・・・。
これはセミナーでもブログでも繰り返しお伝えしている重要な要素であり高岡氏提唱の表現でいう所の《意識Ⅱ》になります。
サイドステップでも右に行きたいのに多くの選手は左脚を強く踏ん張り右に行こうとします。
そうすると一瞬左方向へ重心が移動し結果的に右方向への動き出しが遅くなるのです。
これが0コンマ何秒を争う陸上の短距離においてはかなり重要な要素となるのです。
スターティングブロックを蹴ろうと意識すれば一瞬、数センチか数ミリか分かりませんが進みたい前ではなく後ろに進んでしまうのです。
もちろん短距離においてはブロックがあり反発力を有効に活用できるという側面はあります。
しかし山縣選手はもう一つの意識と合わせて実施することで、《蹴ろうと意識するのではなく結果的に蹴っている状態》と自身でおっしゃっていました。
そのもう一つの意識が2つ目のコメントです。

落ちているゴミを拾うような感覚

こちらはどちらかというと《意識Ⅰ》での違いでの意識状態です。
陸上の短距離においてスタートで上体が早く起き上がらないようにすることは非常に重要です。
そのため多くの選手はなるべく低くスタートし重心が上がらないように意識しています。
ですが山縣選手は上がらないように意識するどころか、クラウチングスタートの構えよりも低い位置にある何かを拾うような意識でスタートを切っているのです。
そうすることで結果的に上体の浮き上がりを防ぎ、あのロケットスタートに繋がっていたのです。
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最後に山縣選手はこのようにも言っておりました。
「スタートの合図は耳で聞かずに身体で反応できるようにしています。耳で聞くと脳が認識して運動神経を介して筋肉に指令が行くのに時間がかかるので」
このような感覚になるアスリートを本当にすごいな、素晴らしいなと思う反面。
突き詰めていけば種目が違えど共通項があり、それが我々自身も追い求める究極の身体であり最高のパフォーマンスであると再認識することができました。
皆様もちょっとしたアスリートの声や表現から色々な想像を膨らませてみてください。
きっと多くの気づきがあります。
 
今回はアスリートの声をきっかけにJARTAなりの表現を用いて簡単に解説してみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。