“人より時間がかかる”はトレーナーの武器になる

 

文:赤山僚輔

なぜ、自分は人よりも何をするにしても時間がかかってしまうのだろうか。

 

そんな悩みがある方は多いのではないでしょうか?

 

アスリートにとっては少しでも早く技術を習得するなど、短時間で何かが出来るようになることは間違いなく有利に働きます。

 

しかしこれをスポーツトレーナーに置き換えると実はそのようなケースばかりではない。

そのように痛感する事が多くあり、今回はその理由についてご説明したいと思います。

 

すぐにできる人には、できない選手に対しての引き出しが少ない。

 

なんらかの課題に対して、すんなりと実現してしまう選手の中には自分自身でどのようにしてできるようになったかを整理できていない選手が多くいます。

そしてそれはスポーツトレーナー自身にも同じ事が言えます。

例えば股関節の硬さで困った事があるスポーツトレーナーとそんなことでは困ったことはなく、難なくしゃがみ込みができる、ストレッチもそこまで実施しなくても硬くなる感じがしない。

両者では、プロセスに対する引き出しに大きな差が出てきます。

 

もちろんこれは硬さで困った経験があるスポーツトレーナーがその課題を克服する為に自分の心身に向き合い解決できてきている。という前提での話になります。

 

(2016年)

(2019年)

 

時間がかかり苦労して獲得した身体操作や柔軟性、施術のスキルなどはどのようにして習得してきたを自分自身が整理できていることにより、一時的にその状態が悪化したとしても再度良い状態にリカバリーすることが可能となるのです。

 

反対にその動作をどのように習得してきたかを認識できていない場合、一度なんらかのきっかけで動作が実施困難となった際に、どのようにリカバリーすれば良いかに困惑してしまうのです。

 

これを怪我に当てはめると、怪我により段階的なリハビリテーションや動作獲得に向き合うことは長期的にみたパフォーマンス向上に向けて決してマイナスではないことも想像できると思います。

 

すぐできる人を羨むよりもなかなかできない自分の武器を研ぎ続ける

自分は決して器用な方ではありません。

よく覚えているヒストリーとして、高校生の時に部活引退後スケートボードを仲間とやっていたのですが、仲間の誰よりも技を習得するのに時間がかかりました。

仲間が簡単に出来ているのに、いくらやっても出来ないものも沢山ありました。

中学時代には父と母がやっていて、家にあったギターに挑戦するも、早々に手が思い通りに動かず諦めてしまいました。

そんな自分が身体を思い通りに動かせない選手たちに対して指導をする仕事をしているのですからスポーツトレーナーとは面白い仕事だな。

そのように感じています。

 

身体の不調だらけ、硬いところだらけ、姿勢も悪く、思った通りに操作出来ないからこそ自分の可能性に気づいた時には胸が躍ったことを覚えています。

今でも自分の姿勢を良いと思ったことはないですし、伸び代だらけだなと感じています。

そして以前は自分よりもすぐに動作を習得する周囲の人に対して嫉妬を感じる瞬間もありましたが、人より時間がかかることをポジティブに捉えてからは時間のかかる変化すら楽しみながら日々を送っています。

そして今、人生で一番逆立ち歩行が歩けるようになっています。

12月の初旬には2m弱進めるかどうかといった状況から、今は5m程度は歩けるようになり方向転換の練習をしています。

一進一退を繰り返しながら動作獲得しているので、何が不足しているのか、どこに認識のズレがあるのか。

じっくりを考える貴重な機会になっています。

 

スポーツトレーナーとして目の前の選手の悩みに向き合う上で、何度やっても出来ない、どのようにすれば良いのかわからない。

そのような状況で本当の意味で寄り添える存在になれるには、自分の”できない”にどこまで時間と労力をかけてむきあったか。

これにつきます。

 

時に指導者の皆様も、同じように指導しているのにうまく行く選手といかない選手がいる。

そのように悩まれています。

そんな時こそスポーツトレーナーの本領発揮ではないでしょうか?

 

施術手技も同様になかなか習得できないものほど、”なぜ”うまくいかないのか?

これを徹底的に掘り下げることで自分の具体的な伸び代を掘り起こすことができ、その過程全てが選手指導時の大きな財産になります。

スポーツトレーナーこそ、自分の心身に対して自分がスポーツトレーナーとしてどのように指導していくか?

そんな視点で日々を過ごしてみると楽しめると思います。

 

自分自身もこれからもそのような日々を楽しみながら過ごしていこうと思います。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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