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2020年03月05日

今こそ立ち止まり振り返ってみよう


 

文:赤山僚輔

 
現在多くの学校において、コロナウイルスの影響で休校およびスポーツ活動が休止を余儀なくされています。
スポーツに関わらず、医療機関や公共機関はじめ関係各所での皆様のご負担はきっと私の想像を超えるところにあると思います。
今回は特に休校の対象となった選手達に日々関わっている1人のスポーツトレーナーとして、またJARTAというスポーツトレーナー団体に所属している身としてお伝えできる範囲でこの機会をプラスに転じる方策について述べさせていただきます。
 
 
例外なく私自身もサポートチームでの部活指導の休止や全国大会の中止、チーム合宿の休止とこれまで経験した事がない事態が目の前に出現しています。
多くの指導者や発信者は自宅で実施できる学習やトレーニング・ストレッチなどを動画配信やオンラインで指導するなど様々な趣向を凝らしてこの境遇でも選手たちの為に行動を起こしています。
そのような指導を必要としている選手や指導者の皆様が本ブログをお読みの場合、JARTAにもオンライントレーニングプログラムの配信もあるので是非ご覧になっていただきたいです。

Online JARTA Training Program


 
ただ本日お伝えしたいことは上記ではなく、これまで多くの選手や部活動に関わり課題であると思っていた以下の点が今回の機会によって十分に解決可能であると考え記事にすることにしました。
 

課題1:やらされる事が多く自分の意思や自分の事を考える隙間がない

現在のジュニア世代のスポーツ業界において練習量や休暇の量や頻度について常に議論が行われ、怪我との相関についても様々場面で多くの研究や検証がなされてきました。
強化に関わる指導者にとっては時に休むことは脅威であり、ライバル選手やライバル校と差をつける為に少しでも多く、長くという思考は致し方ない側面はあると思います。
(もちろん効率重視で実施している多くのクラブや指導者もいるという大前提でお伝えしています)
 
そんな中で練習を繰り返す選手たちをみていると、日々練習をこなすことで精一杯で余裕がない選手が多い事が印象的でした。
余裕がないと目の前にあるタスクをこなすだけで1日が終わってしまうので、自分のことを考えるスキがなくなってしまうのです。
それは身体の事であり、心の事であり、またチームメイトとの関係性やこれまでの試合の振り返りなどが含まれます。
自分の事を考える時間がないということは自分の状態に耳を傾けられていないとも捉えられ、そういった選手ほどコンディションを維持する事が困難であったり、試合時に調子を上げる事ができなかったりしてしまいます。
これは選手が悪いわけでも指導者が悪いわけでもなく、ある程度の時間的な制約があり慣習もあり環境を抜本的に改革しにくい文化的な背景も問題の背後に内在していると考えています。
 
“主体的になれ”
そのように指導していても
自分の事を考えるスキがないと
自分にとっての意見や意思、何をどう行動するかという主体性の根源となる”思い”すら湧き出てきにくくなるのです。
 
 
 

課題2:何をどう振り返ればよいかが分からない。

これは特にジュニアアスリートにおいて該当するかと思いますが、チームスポーツであればチームのミーティングや試合の振り返りなどで現在の課題や今後の目標などを振り返り共有することは行われていると思います。
しかしこれを個人レベルに置き換えて、心身の問題や調子の波の問題、モチベーションなどいわゆるやる気の問題など自分のこれまでについて深く振り返る機会はあまり行われていないと思います。
どうすれば良いか分からなければやることもやる意義も見いだせません。
課題1と重なりますが、何をどうすれば良いか分からない場合、目の前の事象にただ取り組むだけで精一杯になる選手も少なくないと私は考えています。
 
 

解決の為の振り返り方法

いま、休校中で部活動もなく、これまでと比較して”時間がない”と嘆く選手はほとんどいないと思います。
 
これまで環境や時間や制約があったのである意味いいわけができていましたが、いまはそのような言い訳がしようもない状況です。
 
ただひたすらにトレーニングをすることも勉強することも、ストレッチすることも悪くはありません。
 
しかし、今だからこそできること。
 
今しかできない事を再考していくと、自分のこれまでを振り返ること。
自分の心身に対してゆっくりとじっくりと立ち止まって考えてみる事。
 
 
これがこの期間にできればそれは今後の為の本当に大きな財産になります。
 
トップアスリートやオリンピックを目指すような選手は、自分を見失わないように頻繁に”振り返り”という作業を繰り返します。
 
振り返る事で今自分が立っている位置を認識でき、不足を知り、足るを知ります。
自分に迷いがでてくると何にどういう理由で向き合っていくかが分からなくなります。
多くのプレッシャーや厳しい練習に耐え、更に前に進むには振り返りを繰り返し今の自分を俯瞰しつつ詳細に分析できていることがトップアスリートの条件にもなってきます。
 
程度の差はあれジュニアアスリートだからそれが出来ない理由はありません。
 
今回は最後に具体的に実施できる振り返りの方法を提示します。
是非時間がある皆様は実施してみてください。
実施して全く何も得られなければ、その内容を送付してお問い合わせ頂いても構いません。
是非チャレンジしてみてください。
 
振り返りその1
これまでの競技生活ですごく調子がよかった試合を3つ選び、その試合で調子がよかった要因(理由)をそれぞれ3つあげてみましょう。
振り返りその2
これまで練習中にイライラしてしまって練習に身が入らなかった時のことを思い出し、その時の共通点がないか3つ程度書き出してみましょう。
振り返りその3
これまで怪我をしてしまった時にその直前や少し前に怪我の原因になりそうな心身の問題がなかったか思い出して書き出してみましょう。
多く書き出せれば書き出せるほどに次に怪我をしそうな異変に気づけるようになります。
 
 
以上になります。
 
 
振り返る事で今の自分の傾向と対策が自ずと見えてくるはずです。
これからの過ごし方にも変化があるかもしれません。
 
本来はゆっくりと時間がなくてもこのような振り返りができると良いのですが、なかなかできない、できていない人ほどこの機会に取り組んでみましょう。
きっとその気づきや顕在化した事象がこれからの練習や試合時により良い状態へと導く一助となるはずです。
 
今回の想定外の事態をきっかけに普段の当たり前に感謝すると共に、当たり前を疑う良き機会になる事を願っております。
 
長くなりましたが最後までお読み頂きありがとうございました。
 

JARTA公式HP
https://jarta.jp