NEWS(最新情報)

記事一覧

2021年12月02日

年末年始のお知らせ

平素よりJARTA公式ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、下記のとおり年末年始休業とさせていただきます。
皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承いただきますようお願い申し上げます。
□ 年末年始 休業日
2021年12月29日(水)~2022年1月3日(月)
※2022年1月4日(火)より、通常営業を開始致します。
※休業期間にお問い合わせいただきました内容については、2022年1月4日(火)以降ご連絡致します。

2021年11月13日

「STRATE[ストラテ]−優良業者・専門家の比較・紹介サイト-」 にて「JARTAホームGym」を取り上げて頂きました。

2021年10月01日

お知らせ

平素よりJARTA公式ホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。
この度JARTA公式ホームページにてシステムメンテナンスを実施致します。
以下のメンテナンス期間はホームページを閲覧いただけません。
10月27日(水)
AM5:00~AM8:00
皆様にはご不便とご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解の程よろしくお願い致します。
今後ともJARTAをよろしくお願い致します。

2021年08月06日

帯同報告/東京オリンピック 空手競技 植草歩選手


 
 
連日熱戦が繰り広げられている東京オリンピックですが、皆様はどの競技に注目されていますでしょうか?
 
開催前は様々な意見が出る中で参加する選手たち自身も多くの葛藤の中にあったはずです。
しかし始まってみると、スポーツの持つ力により、多くのエネルギーをアスリートから頂いているのは言うまでもありません。
 
そんな東京オリンピックにJARTA統括部長の赤山僚輔が空手競技、女子組手61kg超級に出場する植草歩選手のパーソナルサポートとして帯同しております。
(練習会場、選手村外でのサポート)
植草選手のご紹介はこちらから
https://ja.wikipedia.org/wiki/植草歩
公式ブログでも何度かご紹介した、赤山がトレーニング・コンディショニングサポートをしております高松中央高校の空手部監督、崎山幸一氏が植草選手の担当コーチをされているご縁でサポートが始まりました。

写真左が崎山氏。
 
JARTAに関わらず様々なトレーニングを積み重ね、競技力向上の為にフィジカル強化、身体操作能力の向上を継続して来られています。
 

 

 
そんな植草選手の試合は7日の14時から予選リーグの初戦がスタート。
 
予選リーグの2位までがメダルマッチに進むことができます。
民放での放映予定はありませんが下記サイトでライブ配信が予定されております。
https://gorin.jp/athlete/1315383/
 
BSの放映スケジュールは下記より
https://sports.nhk.or.jp/olympic/programs/broadcast/2021-08-07.html
少しでも多くの声援が力になります、是非とも応援よろしくお願い致します。
 
また初めて空手をご覧になられる方に、分かりやすい説明動画が全日本空手道連盟の公式チャンネルで公開されております。

試合までに是非一度ご視聴いただき、より競技の魅力を堪能していただければと想います。
 
 
東京オリンピックを通して多くの競技や世界が身近になり、競技の勝敗を通して、その先の未来に対して確かな歩みを続けられるよう引き続き身を引き締めていきたい。
そう感じられる帯同の日々を送っております。
 
繰り返しになりますが、選手への暖かなご声援何卒よろしくお願い致します。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

2021年07月04日

選手の傾向を自分に当てはめ考察してみよう


 

文:赤山僚輔

 
なんだか首が硬い選手が多いなあ。。。
 
これはごく最近、自分自身が感じている所感です。
 
そして身体部位において特に痛みや不調を感じる部位がなくなっている赤山ですが、動きにくさや違和感を感じやすい部位としては下部頚椎があげられます。
 
このような傾向は本ブログをお読みの皆様でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
 
印象的な出来事が8年〜9年ほど前にありました。
 
自分自身の身体に向き合うことがほとんどなかった私は、身体の不調だらけだったのですが、その時関わっている選手が軒並み胸背部の硬さが気になるなと感じていました。
 
上記選手たちの状況とは別件で、自分の体にもうそろそろしっかりと向き合わないといけないと一念発起し、同僚の紹介でジャイロキネシス(ジャイロトニック含む)に通い始めました。
 
自分の当時の姿勢を写真でみて、これが自分の姿勢か。と驚愕しワーク後に即座に変化する身体にも驚いたことを覚えています。
 
そしてそこから少し時は経ち、自分自身で胸背部の硬さを改善する手法や硬くなる要因が整理できるようになりました。
 

 
そうなると当たり前ですが、目の前の選手が同部位に硬さや不調がある際にも解決のための手法を提示できるようになるのです。
 
考えてみると当たり前なのですが、鏡や写真などのツールがなければ自分の状態を客観視することは難しく。
 
意外と自分自身の硬さを認識する機会が少ない方も多いのではないでしょうか?
 
目の前に足首が硬い選手が多いと感じているのであれば、スポーツトレーナー自身がしゃがみ込みができないのかもしれませんし。
 
股関節の硬さがなかなか改善しないと嘆いているスポーツトレーナー自身が、鼠蹊部につまり感を有しているかもしれません。
 
自分の身体に向き合う意義やメリットについてはJARTAでも繰り返しお伝えしています。
 
選手のニーズに応えるためのピラミッド構造の最底辺に、スポーツトレーナー自身のトレーニングやコンディショニング(身体環境作り)があると認定スポーツトレーナーコースでも繰り返しお伝えしています。
 
その上で、何から手をつけて良いかわからない。
何をどうすればよいかわからない。
 
そのように感じておられる方がいたら、目の前の選手やクライアントをみているなかで、なかなか症状が改善しない部位や硬さが残りやすい傾向がある部位。
その共通項や相似性を考えてみてください。
そしてその共通項がある部位が自分自身に当てはまっていないかを胸に手を当てて考えてみてください。
 
自分自身の身体において問題がある部位が重なっていると実感することができれば、あとは簡単です。
 
いまはさまざまな手法が出回り、身体の硬さをセルフメンテナスで足先から頭の先まで解決できるようになってきました。
もちろん的を得た手法がなければ、現在開催しているJARTAのオンラインセミナーでも気になる身体部位や症状をヒントにピックアップしてみるとよいかと想います。
 
まずは自分自身がトライしてみて、その結果を通して良いと思われる手法を選手に還元していくこと。
 
シンプルではありますが、なかなか徹底ができにくいことでもあります。
 
赤山は今一度、頸部について深め、自分自身のコンディションも更に向上させていければと思っています。
 
今回は、選手の傾向を自分に当てはめて考えるということでお伝えしてきました。
自分は自分では見えないからこそ、見えている目の前の事象を通して心身に深く向き合えるスポーツトレーナーが増えることを願っていますし、自分自身もそう成れるように、気を引き締めて日々に取り組んでいきたいと想います。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2021年06月06日

活動報告/ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川

表題の大会につきまして、昨日最終結果が確定致しましたので簡単ではありますが結果を公式ブログにて報告させていただきます。
 
 

[メディアリリース]「Santen ブラサカグランプリ 2021」 最終日結果 日本は0-2で敗れ準優勝、アルゼンチンが3連覇

https://www.b-soccer.jp/news/16768-pr210605_wgp2021result
 
 
多くの皆様の応援が力になりました、本当にありがとうございます。
同大会にはフィジカルコーチとして中野崇と高塚政徳の両名が帯同しておりました。
 
パラリンピック本番での応援も何卒よろしくお願い致します。
 
 

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2021年05月29日

不調がない選手に圧倒的な違いを感じてもらう為に

 

文:赤山僚輔

 
病院やクリニック、接骨院や治療院で勤務をしていると、対象となるクライアントはほぼ全てが痛みや不調を持ち来館される方だと思います。
 
そんなクリニック勤務時代、JARTAが創設される前に中野崇というスポーツトレーナーに初めて出会った時、自分の基準を大幅に変えるきっかけになったのが表題の観点になります。
 
『痛みのない選手にも圧倒的な違いを感じさせることができないといけない』
 
もう10年近くも前なので細かな語彙は異なるかもしれませんが、観点としては当時衝撃的で鮮明に記憶されています。
 
まだまだ目の前の選手の不調を改善にゼロにすることに対して壁を感じていた自分にとって、その先の基準を示唆されたことは、今後の方向性を明確化すると共に、不足を知る大事な岐路になりました。
 
痛みや不調がある選手に対して、その症状を解決したり、変化を感じてもらうことは、徹底的に学び深めていくとさほど難しいことではありません。
 
では何も症状がない選手に対して圧倒的な違いや伸び代を提示、体感してもらう為にはどのような視点や準備が必要なのでしょうか?
 
今回はこの点について少しだけ具体的に視点と手法を共有したいと思います。
 

なぜそのような視点が必要なのか?

 
まずは導入として、なぜ痛みや不調を解決するだけでなく、そのような視点が必要であるかについてお伝え致します。
 
スポーツ現場やアスリートに関わっっていると、もちろん様々な不調を顕在的抱えており、それらを可及的早期に、そして根本的に解決するためのスキルは非常に大事になります。
 
しかしそれらの多くはアスリートのコンディションの基準が”ゼロ”だとした場合、”マイナス”の状態からゼロに戻す過程であり、最高のパフォーマンスの為の準備としては基準のゼロに戻ったにすぎないとも言えます。
 
そしてアスリートたちは現場で追い求めていることは、痛みや不調を解決したい。
怪我をしないようにプレイしたい。
といったものではなく。
 
 
上手くなりたい
もっとパフォーマンスレベルを向上させたい
少しでも勝利に近づけるように
 
このような想いや願いの元で日々厳しい練習を積み重ねています。
 
そして関わる指導者もまた
 
 
もっと早く上達できるように
地区大会を突破できるように
日本一、世界一に成れるように
 
 
このように目標を持ち、日々選手やチームに対峙しています。
 
ではそのような環境に同じスタッフとして、あるいはその場で高みを目指す選手に対峙する時にスポーツトレーナーはいつまでもけが人の対応だけや、けが人がいなければなにもすることがないというようなスタンスでよいのでしょうか?
メディカルスタッフであったとしても、マイナスからゼロへのサポートはもちろん。
ゼロからプラスへのサポートにおいて何が必要なのかを吟味しブラッシュアップし続けること。
 
これはスポーツトレーナーにとって持つべき必要な視点であると私は考えています。

(JARTAが創設される前の中野崇)

 

視点を持つ為の準備

どこも痛くない、何も気になるところがない。
そんな選手に何をどこから手をつければよいのだろうか。
そのように思案する方は少なくないと思います。
 
そんな方に、まずはシンプルな構造の捉え方からアプローチのヒントをお伝えします。
 
・筋肉→筋肉同士が分離して働けるような環境をセッティングする
・関節→適合性を改善し、球関節であれば求心位を高め、連動していない脊柱は分節的に動くように
・皮膚(軟部組織)→皮膚がつまめるゆとりが皮下にあるように
 
次に主観的な訴えを元にアプローチするヒントを
※ここでは本人が不調がない状態でも詳細に内観してもらい身体の状態を精度高く訴えられるようにしていくという目的も内包しています。
・手足が重たい→左右差や前日やコンディションの良い時と比較して自覚してもらう
・力みがある→身体をゆすったり、触ったりすることで余計な身体の力みがどこにどの程度あるかを確認してもらう
・呼吸の大きさや長さ→呼吸時の胸郭の動きや呼気の長さなど、普段の状態と比較し今の呼吸状態においてどこが動きにくく、息がしにくいかなどを内観してもらう
このような視点だけでも、本人が痛みとしては何もなくても、コンディションを向上させる。
パフォーマンスを向上させるという前提で考えるとどんどんと伸び代がある事に気づけるはずです。
 
そしてその視点を実際の選手の体感を通しての気づきに落とし込んでもらう為には、筋肉、関節、皮膚の望ましい状態という前提を知識としても評価としても準備しておく必要性があります。
 
また内観の精度についてはスポーツトレーナー自身が日々自分の心身に向き合い変化を内観することで。
 
示唆もしやすいだけでなく、何がそれを変化させる要因かも掘り下げ続けることができます。
 
その繰り返しで、大事な試合において、ハイパフォーマンスを実現するサポートの準備へと繋がるのです。
 
いま、特に不調がない。
そんなセラピスト、スポーツトレーナーこそ、ただ強化をするだけでなくこのような内観をする習慣を取り入れてみてください。
 
そしていま、不調がある方ばかりに対峙している方は、イメージからでも何も主訴がない状態のアスリートに対してどのような評価をしてどのようなコンディショニングや関わりができるのか。
 
想像してみてください。
 
それがこれからのステップへの大事な一歩へと繋がるはずです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2021年05月12日

五月をいつも以上に快適に過ごす為に

文:赤山僚輔

 
今回は過去記事を振り返り、この時期に留意しておきたい事象について簡単にご紹介致します。
 
まずは7年前の下記記事をご覧ください。

スポーツ業界における五月病とは?


 
この記事を書いたのがもう7年も前か、というのも驚きなのですが。
 
やはりこの時期には怪我が多く、いくつかの大学の調査でも3月から5月頃にかけて障害が増えるという報告もあります。
 
そしてサポートをしているチームにおいても5月に入ってこれまで以上に外傷や障害で練習を休止する選手が出現しており。
 
今一度、自分自身もこの時期にはより入念に過ごしていかねばと痛感しています。
 
特に進学や転職などがなくても、日本においては年度替わりは節目になります。
 
その影響か、4月の最初はバタバタと忙しい職場やクラブ活動においても新入生が入ってくることによって今まで以上の負担が増える選手も多いと思います。
 
そして外傷や傷害は負担が増大している時期に発生することもあれば、そのピークが過ぎ去ってから時差をもって発生することもよくあります。
 
気が張っている状態では気にならなかった身体の異変が、GWでの休暇や試合の連続などで負担が蓄積したり顕在化して症状が出現するのです。
 
 
自分自身もGW前後までは正直疲労を自覚することはほとんどなかったのですが、GW後の何気ない日々の中で寝起きの悪さや日中の眠気など、いつもよりも疲労が蓄積していることを顕在化することがここ最近は重なっていました。
 
このまま、何も手立てを加えずに放置しておくと五月病になりそうだな。
そのように感じました。
 
先週、立夏を過ぎ暦上はもう夏になります。
日照時間も長くなり、本来は朝も起きやすくなってくるはずなのですが3月4月と頑張り過ぎた方ほど5月は疲労が出てくるかもしれません。
 
サポートしているチームでは、この時期ごろまでは1年生は別メニューでトレーニングを実施しています。
それは強度を下げる場合もあれば、同じ種目でもセット数を少なくしたり、求めるクオリティを2、3年生とは区別して指導しています。
 
またよりコンディショニングに関する取り組みに対しての時間を設けることもこの時期には入念に行っています。
 
特に指示がなければ、最後の大会に向けて自然と無理をしてしまいがちなこの時期。
本当に大事な本番で、最高のコンディションでパフォーマンスが発揮できるように。
 
いつも以上にちょっとした心身の異変や変化に耳を傾けること。
 
そしてスポーツトレーナーとしては、いつもであれば見過ごしてしまいそうな状況においてもこの時期には慎重に対応していければと思います。
 
頑張らせることも我々の責務であれば、不必要に頑張らせないことも責務ではないでしょうか。
 
自律神経の観点においても、ずっと交感神経優位な状態ではリカバリーが追いつきません。
 
よりオンとオフを丁寧に、なんともないと感じていても、この時期には睡眠や休養、食事など自分を労ることを丁寧に過ごしていきましょう。
 
もちろんアスリートだけでなく指導者やスポーツトレーナー自身も。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 

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2021年04月21日

“マイナスの学習”という視点

文:赤山僚輔

 
『マイナスの学習』
JARTAのベーシックセミナーの内容でお届けする重要な捉え方について今回の記事では今一度整理してお伝えしたいと思います。
 
 
何かを学び習得していくプロセスは、アスリートに関わらず重要であり、様々な角度から学習することをこれまでに皆様は経験していると思います。
 
アスリートであれば、それは柔軟性の向上や筋力アップだけでなく、身体操作や自分の心身を深く理解していく過程などがそういった学習に該当するのではないでしょうか。
 
その学習は本来、目的に対しての手段であり、表現を変えると最上位目標に到達するまでの中間目標に位置するものだと思います。
 
それを目的と手段を混同して、気づかぬうちにその手段の一つである学習が目的化してしまうと一部分を切り取った学習としては確実に前に進んでいるのに、目的に対してはネガティブに働いてしまうことがある。
これがいわゆる”マイナスの学習”という状態です。
 
大前提としてパフォーマンスを敢えて下げようと思い指導に関わる人はいないと思います。
 
しかし、そのパフォーマンスの構造を整理して、関係的な繋がりを考慮しなければ、フィジカルの一部分である要素の強化や変化が全体であるパフォーマンスの向上とイコールであると誤認してしまう自体に陥ってしまうのです。
 

柔らかければ良いというわけではない

これは私自身の過去の苦い経験でもあります。
股関節の柔軟性を改善することに対して、解決策が充分に整理でき始めた頃。
コンディショニングにおいてもセルフケアやワークにおいても、股関節の硬さで困るような選手がほんどいなくなってきていました。
そんな時に一時的に股関節の詰まり感や動きにくさを訴える選手に対して、本人の主観ではこれまでで一番動きやすいと感じるほどに股関節の可動域を拡大できた機会がありました。
20代後半の選手でしたが、いくつからでも可動域は根本的な原因を解決すれば、拡大できる。
そのように鷹を括っていました。
そうするとその数日後、彼女からぎっくり腰になったとの報告を受けました。
 

 
その報告を受けた瞬間に、『しまった。。。』そのように感じました。
ひとつの関節が著しく動きやすくなるということは、当たり前にこれまでよりも動きが容易になり隣接する関節への負担は増えます。
今までよりも練習において負荷をかけやすくなった状態でもあったと推察できます。
幸いすぐにコンディショニングする機会があり、すぐ練習には戻れましたが、私自身の苦い教訓として、一側面だけをみて、よくなったと過信していると全体のパフォーマンスや身体全体の統合性においてマイナスに働くこともある。
まさにマイナスの学習を体現する貴重な機会となりました。
 
木を見て森を見ずという表現もありますが、常に一側面の学習だけに捉われず、パフォーマンス全体の状態や方向性、あるいは目的に対しての軌跡について慎重に検討し、適時振り返ることでこのような意図しない状況での”マイナスの学習”を防ぐことができます。
 
我々スポーツトレーナーが介入する際には全てが無条件にプラスに働くとは限りません。
パフォーマンス全体を常に俯瞰し、選手や指導者と共有し、極力マイナスの学習が発生しないようにひとつひとつの課題に向き合っていければと思います。
 
長くなりましたが、少しでもマイナスの学習が減り、パフォーマンスアップに寄与できるスポーツトレーナーが増え、思う存分競技に打ち込めるアスリートが増えることを祈念しております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2021年04月03日

【再現性を高めるためのトレーニング -構成プロセス編-】

文:伊東尚孝

トレーニングを行う理由のひとつが、試合で成果を出すためであることは言うまでもありません。トレーニングで習得したことが試合で発揮されることで、勝利に近づくことができるでしょう。
しかし競技によっては、練習通りにパフォーマンスを発揮させやすいものと、発揮しにくいものが存在します。
前者は陸上短距離走やゴルフなど、相手からの干渉なく実力を発揮させやすい競技です。メンタル面では干渉されることもありますが、直接的に自分のプレーを邪魔されることはありません。(※とはいえ容易にパフォーマンスを発揮できるという意味ではありません。)
一方で後者はサッカーやバスケット、ラグビーなど、相手から直接干渉されることでプレーを制限させられる競技を示します。すなわち、相手が自分のパフォーマンスを発揮させないようにしてくる中でも、成果を出さなければなりません。
 
少し具体的に、サッカーのシュート動作を例に挙げます。フリーキックやPKを除き、多くの場合は相手からのプレッシャーがあり、自由にプレーできない状況でもシュートを打たなければなりません。その上、全く同じ状況が何度も訪れることはなく、たった一度のチャンスをものにしなければ得点につながりません。すなわち、その状況に適応させながらも再現性のあるパフォーマンスを発揮することが求められます。
いわゆる単調で型にはまったシュート練習では、そのような適応能力を鍛えるには時間がかかる(もしくは習得できない)ことは想像できると思います。
ボールの位置や自分の姿勢、相手との距離、ゴールまでの距離や角度、グラウンドコンディション、先制点なのか逆転のチャンスなのか。その状況に一定のパターンは存在せず、瞬時に適応しなければなりません。
このような不規則で偶発的な動作のパフォーマンスを向上するには、どのようなトレーニングが必要となるでしょうか。
今回は、そのような不規則で偶発的な動作に着目し、どのようなプロセスでトレーニングを構成するべきかを解説していきます。
 
 

【運動構造を二種類に分解する】

 
まず前提として、トレーニングを構築するためにはその競技の運動構造を理解しておく必要があります。このことは以下のブログに記載しています。
選手が本当に必要とするトレーニング
その競技で要求される運動構造を抽出し、目の前の選手の動作と比較した時、その選手の伸び代ポイント、つまり成長するための課題が抽出されます。
 

 
すでに上述したように、ある競技では瞬時に変化する状況に適応させながらも、高いパフォーマンスを発揮することが求められます。このように再現性が低く不規則で偶発的な動作を練習するなら、より試合に近い状況の練習を反復させることも有効かもしれません。
しかしその構造を理解せず闇雲に反復しているようでは、選手の伸び代ポイントが不明確なままトレーニングをすることになります。その結果、選手の成長に時間がかかってしまい効率性を欠いた練習になる可能性があります。
そこで必要となる分析は、運動構造の中で変化させない基本となる構成要素を抽出することです。
どの競技においても、目的の動作を達成するために欠かせない要素は必ず存在します。あらゆる動作の中でも、その基本となる構成要素が再現されるようにトレーニングを構成する必要があります。
言い換えれば、不規則で偶発的な動作に影響されることなく、基本となる構成要素を再現できる身体操作トレーニングが必要となります。
 

 
では具体的に、サッカーのシュート動作における基本となる構成要素とは何なのかを考えていきます。
右脚でのシュート動作では、蹴ると同時に左腕をクロスさせるように振っていることがわかると思います。これにより脚の振り抜く力だけではなく、腕振りにより体幹部の捻る力を増強させることで、パワーやスピードのあるシュートを打つことができます。さらにシュートモーションを速めることにもつながるため、得点力を高めるためには必要な動作パターンとなります。
また相手との距離が近いと、腕を使って相手との距離を保ちながらシュートする場合もあります。それでは左腕の振りが制限されてしまい上記の動作パターンを再現できなくなります。そこでトップ選手は右腕を後方に振る反動を利用することで、相対的に体幹部を捻れさせてシュートを打っていることが多いです。
 
様々なフェーズの動作を分析すると、このように共通するポイントがいくつか抽出されます。
多くの場合、それらが目的の動作を達成するための基本となる構成要素になります。
すなわち今回の例であれば、シュート動作の基本となる構成要素のひとつには、蹴り脚に対する左右の腕振りが挙げられます。
 
ここで基本となる構成要素が抽出されたので、これ以外を不規則で偶発的な構成要素と定義づけ上記の画像に当てはめると、
基本となる構成要素:蹴り脚に対する左右の腕振り
不規則で偶発的な構成要素:ボールに対する軸足の位置、姿勢(頭の位置や身体の傾き)、目線、重心位置など
このようになります。
 

(※もちろん、これ以外にも様々な要素が存在します。)
 
トップ選手のシュートを分析すると、相手を背負い姿勢が崩れるような場面であっても、腕を振りながらシュートしていることが確認できます。
 
 

【不安定な状況を作り出す】

 
これらを導き出すことができて、ようやくトレーニングを構成するための土台が整います。
これまでのプロセスによって基本となる構成要素が浮き彫りになるため、トレーニングの優先順位や重要なポイントを的確に押さえるためのヒントとなるでしょう。
 
しかし今回のトレーニング構成プロセスの目的は、“不規則で偶発的な動作に影響されずに基本となる構成要素を発揮すること”です。これらを達成するためには、もう一つ重要なプロセスを踏まなければなりません。
それは、基本となる構成要素はそのままに、不安定な状況を作り出すバリエーションに富んだトレーニングを行うことです。
再現性の低い場面に適応できないということは、動作の選択肢(バリエーション)が少なく、いつも発揮しやすい安定した(固定された)動作ばかりを再現してしまっていると言えます。
 
つまり、適応しにくい安定した動作を不規則で偶発的な変化に適応させるためには、安定した動作を脱し不安定な動作を取り入れることで習得できるということです。
 
例えばシュート動作における不規則で偶発的な要素のひとつである、軸足の条件を様々なバリエーションで設定するとします。軸足が不安定な状況であっても蹴り脚と左右の腕振りの関係性を崩さずにトレーニングを行うことで、今回の目的を達成するためのトレーニングを構成することを可能とします。
 
 

【トレーニング構成プロセスには膨大な準備が必要】

 
今回の内容は、あらゆる状況に適応させながらも再現性のあるパフォーマンスを発揮するための、トレーニング構成プロセスについて解説しました。
特に直接相手に干渉されてプレーを制限されるような競技では、そのプレーに欠かせない要素を明確にした上で運動構造を分解する必要があります。
 
トレー二ングの構成が効率的であることは、選手が成長するスピードを早められることを意味します。
つまり、トレーニングを構成する前の膨大な準備が重要です。
 
今回はトレーニグ構成のプロセス中心に解説してきましたが、具体的なトレーニングの選択方法などは、次の機会に解説できればと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 

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〈参考資料〉
フラン・ボッシュ:コンテクチュアルトレーニングー運動学習・運動制御理論に基づくトレーニングとリハビリテーション,株式会社大修館書店,2020
 

2021年03月28日

いつも通りを大一番で/2021年全国高校選抜大会帯同報告〜高松中央高校空手道〜

 

文:赤山僚輔

2021年3月24-26日に東京体育館で開催されました「JOCジュニアオリンピックカップ第40回全国高等学校空手道選抜大会」に帯同してきましたので簡単ではありますが、報告をさせていただきます。
 
2020年は全国選抜もインターハイも開催されなかった為、かなり久しぶりの大きな大会。
赤山としても同校への大会帯同は2019年のインターハイ帯同以来の機会になりました。
前回帯同時の報告記事については以下よりご参照ください。

天国と地獄 / 2019年インターハイ帯同報告〜高松中央高校空手道〜


 
今回大会でチームが目指す照準は男女組手団体のアベック優勝でした。
沖縄では男子は優勝、女子は3位という結果でした。
もちろん目指すところは頂点ではありますが、スポーツトレーナーとしては選手たちに最大限楽しんでもらえるように、帯同中は心がけています。
大会においていつも通りの力を発揮することは至難の技です。
本当に一瞬で勝負が決する競技なので、大舞台でいつも通りの力が発揮出来ない選手ももちろん出てきます。
 
そんな中でいつも通りの力を発揮出来た部分といつも通りの弱さが出た部分が浮き彫りになった大会でした。
 
どの競技でも言えることですが、身体の調子が問題がない状態でも試合で最高のパフォーマンスを発揮できるとは限りません。
 
サポートをしていて試合で目を見張るようなパフォーマンスを発揮する選手やチームは身体の調子が良いだけでなく、心の準備や、会場との相性など多くの要素が重なっていつも以上の動きが発揮出来ているな。
 
そのようにも感じます。
 
今回は結果としては個人組手で男子女子1名が日本一に。
そして女子組手団体が見事に優勝し、2連覇を達成することができました。

 
関連記事はこちらから

全国高校選抜2日目、女子団体組手は高松中央が2連覇!


 
男子組手団体は4回戦で優勝校に紙一重で破れ今大会を終えることになりました。
沖縄の夏とは逆の形で天国と地獄をみることになりましたが、前回とは明らかに異なる気づきが選手と共に味わうことが出来ました。
最高の準備を共にしていく過程で試合で炙り出される課題はスポーツトレーナーにとっても向き合わなければいけないと考えています。
 
帯同中にどのような取り組みをしているかの詳細は触れられませんが、毎日変わっていく選手の心境や状態を観察しながらこのような大会帯同では本当に成長させてもらえるなと感じています。
 
そしてもちろん選手たちも短期間で大きな成長をしていくなと、変化を痛感しました。
 
スポーツトレーナーとしても今回は初めての気づきが多くあり、少しでも早く整理して夏に向けての準備をしていこうと考えています。
大会帯同をすることでしか得られない経験を1人で活動することが多いスポーツトレーナーとしてどのように共有していくべきか。
 
この点について今まで以上に思案しながら歩んでいければと思います。
 
簡単ではありますが、今回の帯同報告とさせていただきます。
 
決勝の模様はyoutubeでライブ配信されており下記リンクからご視聴できます。
ご興味がある方は是非ご覧くださいませ。(女子団体決勝は2時間23分頃から)

 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年03月24日

総額表示への変更のお知らせ

いつもJARTA公式ページをご覧頂き、誠にありがとうございます。
消費税法特例処置の終了に伴い、2021年3月下旬よりHPの価格表示を総額表示に変更させていただきます。
何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
 
 
 
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2021年03月21日

寝起きに疲れが残っていませんか?

文:赤山僚輔

 
身体の使い方が悪いわけでも、オーバーユースになっているわけでもない。
しかし慢性痛が長期化している。
 
そんな中高校生への今回は大事な観点になります。
 
赤山は慢性痛が長期化しているクライアントを対応する時には、問診の大事なポイントとして睡眠時間と入眠時間。
そして睡眠前の1時間をどのように過ごしているかを必ず聞くようにしています。
最近対応した中学1年生で、状態は良くなってきていますが、いまいちすっきり仕切らない選手に聞くと。
寝る時間は23時半頃。
寝る前にはゲームをしている。
そのように言っていました。
 
ゲームをすること自体を悪いとは思いません。
ただ、脚に慢性炎症を抱える選手としては普段のトレーニングやケアだけでなく解決できる事がある。
 
その視点で彼には、できれば1時間程度、最低30分でも良いのではやく寝ることを推奨しました。
その上で、極力寝る前最後の30分、できれば1時間はゲームを控えるように。別の時間帯に実施するように工夫してみることを推奨しました。
 
もちろん理由なく説明していても納得はしてくれません。
 
前者は夜の22時から26時ごろが成長ホルモン分泌のピークになり、睡眠のゴールデンタイムであることは多くの方が周知の事実だと思います。
その時間帯に少しでも長く、床についていること。
これが中学1年生のアスリートにとっては疲労回復だけでなく、身長の観点においても非常に重要になる。
少しでも身長を伸ばしたい、疲労を回復して、全力で練習や試合に望みたいのであれば、寝るのも上手くなる為の重要な時間だよ。そのようにお伝えしました。
 
そして2つ目の観点は、寝るギリギリまでゲームをしていると目や耳からの刺激で交感神経優位な状態で寝ることになります。
本来夜、睡眠前には副交感神経優位になり、睡眠中は身体をオフにして、内臓や脳の疲労回復はじめ、全身の血流をよくした状態で疲労回復に時間が費やされます。
しかし交感神経優位な状態では血流も悪く、身体が興奮しているだけでなく、目や耳からの刺激によって頭蓋骨周辺の硬さが出現している状態になるので脳疲労が蓄積されるような状況へも繋がりやすくなります。
自律神経の測定などを通して多くのクライアントに関わっていると、オンとオフのメリハリがつけられていない方ほど、慢性的な症状を抱えている方が多い印象を持ちます。
アスリートが練習中や試合時に高い集中力やパフォーマンスを発揮しようと思えば、徹底的にオフをオフにしている事が求められます。
 
ただ寝ているだけで、疲労が解決せず、常に身体がだるい、そのような傾向がある方が入眠時間と睡眠前の過ごし方について今一度丁寧に考慮してみてください。
その時間帯に携帯に触れられず間延びする感覚がある方は、その時間帯に自分の身体に向き合い、じっくりゆっくりとストレッチをしたり呼吸法を実践することで、翌朝の目覚めがいつも違うことに気づけるはずです。
 
試合当日、蓋を開けたらなんだか体が重く集中力が持続しない。
そんな事態にならないように。
なんだかよくわかないけど、身体が重たい、集中力が持続しない。
そんなことはありません。
自分が理由を整理できていないだけで、原因は普段の生活や習慣に隠されています。
日々自分の習慣や寝起きの状態を俯瞰し続けるだけで、試合当日に最高のパフォーマンスにセッティングする準備となるのです。
是非、中学高校生に対応している指導者、トレーナーの皆様にはそのような視点で選手たちに問診、推奨していただければと思います。
追記で、成長期でなくても昨今話題になる免疫力などにも影響しますので、大人ももちろん大事な観点です。
赤山は今現在徐々に入眠時間をはやく実践しています。
22時以降はYouTubeを観ない自分ルールを、もう1ヶ月以上も実践しています。
目も脳も身体も大事にしっかり休めて明日への準備をしていきましょう。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年03月12日

現場でスポーツトレーナーは1人だから


 

文:赤山僚輔

スポーツトレーナーとして活動していて、頻繁に感じる課題として。
 
自分が活動している写真や映像がない。
 
そのように数年前までは強く感じていました。
 
スポーツトレーナーとして特に現場で働く際には、基本的には1人職場であり。
(もちろんカテゴリーによっては異なります)
 
その活動風景をどこかで使用したいと言われた時に、自分が活動しているデータがあまりにも少ない事に気づきました。
 
1人で活動していれば、わざわざ写真をとってくれることもなく、どんな立ち居振る舞いで現場で関わっているかを俯瞰する機会も少ないように感じます。
 
決してこれは写真を撮ってもらいたい、という論点ではなく。
 
現場のスポーツトレーナーにとっては、自分を俯瞰してみるというタイミングや視点が無意識的に欠如してしまいやすい。
 
この事こそが、問題であると感じています。
 
それは距離感かもしれませんし、声の大きさかもしれません。
 
シンプルに姿勢の悪さかもしれませんし、服装や所作の問題があるかもしれません。
 
誰かと一緒に働いていると、何か指摘を受けることができるかも知れませんが。スポーツトレーナーという存在と初めて会うようなジュニア世代や、そこまで数多くのスポーツトレーナーと一緒に仕事をしてきたわけえではない指導者からすると。
 
目の前の事実が”普通”となります。
 
当たり前のことかも知れませんが、自分を客観的に捉える時に、写真や映像は有用です。
 
そして他社からの意見はもっと有用です。
 
そして1人で現場に出ているスポーツトレーナーにとってそれはなかなか得られない知見でもあります。
 
そんなネガティブな側面を解消するように、JARTAでは講師陣が意見を交換し共有する機会を設けていいます。
 
先日は『現場で求められるスポーツトレーナーとは』という終わりのない問いに対して、意見交換する機会がありました、
 
自分の強みや、現場で求められることを共有することでみえてくる新た視点があります。
そしてそれは決して1人ではたどり着けないポイントでもあります。
 
自分自身、2013年頃からJARTAの講師として活動し始め、今年で8年目になります。
多くのスポーツトレーナーと意見交換、時に積極的な議論を超えて討論になることもありました。
 
それは1人では、これで良いだろうと見過ごしてきた多くの観点を議論と土台にあげられる貴重な機会になりました。
 
現場では1人だからこそ、準備段階においてこのような取り組みが重要であると痛感しています。
 
それはJARTAに関わらず、新人問わず、現場での悩みを共有できる機会を定期的に設けていくことは課題を先送りにせず自分に向き合い、選手の悩みを解決する一助になります。
 
1人でなんでも解決できるのであれば苦労はしません。
 
自分が何に困っていて、自分のどのような経験はシェアすべき貴重な財産なのか。
この辺りを整理することで自分の強みや弱みを整理することにも繋がります。
 
是非、人で現場に行っている方こそ、このような機会を周囲の方ととってみてください。
 
きっと自分の具体体な成長のきっかけになるはずです。
 
 
JARTAはそのようなトレーナー同士が切磋琢磨できる環境を非常に重要視しています。
 
必須研修や合宿なども同様です。
 
是非今本ブログを読まれている皆様とも、共に前向きな議論ができることを楽しみにしております。
 
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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2021年03月06日

成長痛だから仕方ないって誰が決めた!?

文:赤山僚輔

 
突然ですが、この写真の膝は赤山の膝です。
私は左右ともにオスグッド・シュラッター病で中学時代に悩み、その後遺症としての変形が今も残ります。
今は痛みこそありませんが、硬い場所では正座ができないなど弊害が残ります。
赤山が成長痛で悩んでいたのは25年以上前です。
しかし時代が1990年代から2020年代になっても、まだまだ成長痛で困りスポーツパフォーマンスに影響を及ぼしている選手がおられます。
四半世紀を過ぎてもなお、根本的に解決できていない成長痛に対してもうそろそろエンドロールを用意しよう。
それが今回のブログの内容になります。
成長痛とは急激な骨の成長に伴い、強い牽引力が筋付着部に発生し強い痛みや炎症、そして変形を伴うものを指します。
膝だけでなく、踵などにもよく発生します。
膝であればジャンプ系の競技、かかとであればスパイク競技などで多い印象を受けます。
先に今回の結論をお伝えすると。
“成長痛だから仕方がない”
この捉え方、概念こそが問題を長期化、慢性化、重症化する事例を増やしていると感じてます。
医療機関でも、自費の治療院でも対応する際には、スポーツパフォーマンスに明らかな弊害が発生してから来館されることが圧倒的に多いです。
炎症が強ければ安静期間も必要になり、完全復帰までの期間も長期化してしまいます。
症状が長期化すればするほどに“成長痛だから仕方がない”という捉え方が本人の中でも定形化され、それ自体が慢性化する要因にもなる。
といった悪循環になってしまいます。
よくこのような事例に対して予防が必要で、〇〇の怪我をしないようにストレッチをしようとか。
筋力を強化したりバランス良く身体が使えるようになど。
予防的に取り組める事柄はもちろん多くあり、それを実践して、ある一定の効果や結果がでている先行事例もあります。
予防的な取り組み自体が全て悪いわけではないですが、怪我や障害を発生させないように何かの取り組みを行うというのは、ただでさえ時間がないと指導者が嘆くスポーツ現場においては継続可能な実践法としては適合しない場合もあるのです。
そんな中でも子供たちの周囲にいる、両親や指導者が成長痛とは避けられるモノであり、その前兆がある。
その前兆のレベルで適切な対処方法を本人が認識することで、成長痛を防ぐだけでなく競技に思いっきり向き合えるので結果的にパフォーマンスアップに繋がる。
このように認識するだけでも多くの成長痛で悩む選手たちをゼロにしていくきっかけになると考えています。
きっと全国のスポーツ整形や、治療院に初期症状で来館してくれれば、早期に改善するだけでなく根本的な原因を示唆して本人が継続可能な手法を共有してくださると思います。
まずは成長痛だからと放っておくことで半年や1年以上も痛みと付き合いながらプレイをしなければならない。
そのような状況を想像して回避できるような示唆を周囲の大人ができることが大きな一歩であると考えています。
よく考えるとわかることですが、13歳前後の第二次成長期に成長スパートと呼ばれる1年間に男子は約10〜12㎝、女子は約8㎝も身長が伸びるのです。
もちろんこの時期にオスグッド病も増えるのですが、バスケ部に30人以上いる赤山の中学時代、練習を休んで横で筋トレを何ヶ月もしているのは私1人でした。
全部員の中で赤山が著しく身長が伸びていたわけでもありません。
この時点で、急激な身長の伸びと成長痛だから仕方ないという概念が繋がり、定説になることに違和感を感じる方は多いはずです。
しかし結果論から考察すると、多くの大人、指導者、医療従事者が、“成長痛だから仕方がない”と片付けてしまっていたと思わざるを得ません。
ちなみに赤山はこの時期のことを思い出すと消炎鎮痛の塗り薬の匂いと汗臭くなったサポーターのことを思い出します。
ちなみにオスグッド病で困った中学時代から10年後、オスグッドの酷かった左足の反対側である右足のアキレス腱を断裂しています。
そんな話はまた次回以降に。
 
今、私は幸運なことにそのような時期(第二次成長期)の前の選手に会うことが日常的にあります。
その時期に会うことで選手にできることを伝え、ご両親に成長痛が最小限に留めることが可能であることを示唆することができます。
関わっている小中学生で長期間競技離脱する選手はいません。
もちろん解決策として具体的なアプローチ方法やセルフケア方法を整理してブラッシュアップしていくことは重要です。
しかし”仕方がない”と片付けてしまうと、解決策を探求する足が止まってしまうのです。
まずは成長痛だから仕方がない、ということはない。
ということを発信しながら引き続き具体的な手法についてはオンラインセミナーなどでもお伝えしていければと思います。
今月は講義と実践編ということで2回に分けてオスグッド・シュラッター病の捉え方と対策について予定しています。
ご興味がある方は是非下記より詳細をご参照ください。

JARTAオンラインセミナー


そして一緒にこの四半世紀変わっていない捉え方や概念にエンドロールを準備しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年02月27日

ストレッチの時間がないと嘆くあなたへ/後編


 

文:赤山僚輔

今回は前回のブログの続き記事なります。
前回の内容は以下よりご参照ください。

ストレッチの時間がないと嘆くあなたへ/前編


前回はストレッチの時間がなかなかとれないような方々に対して、硬さを改善する方法を実践する前に硬くなる要因を整理して排除していこう。
 
このような話の導入をお伝えしました。
 
硬くなる原因としてご紹介したのは
・姿勢の影響
・食事など内臓機能の影響
・思考など頭の硬さや血流の影響
・自律神経の影響
・外的環境の影響
など。
 
その中で姿勢の影響と内臓の影響については前編で触れさせてもらいました。
 
今回は思考や自律神経、そして外的環境からの影響について考察していきたいと思います。
 

頭が硬いと何が悪い?

 
思考が柔軟ではない状態を比喩して”頭が硬い”。
このように表現することがあります。
これは見事に心身相関を体現した言葉だなといつも感じているのですが、思考が「〇〇じゃないといけない。」というような偏った状態にある時には、人からの意見にも耳を傾けられず、自分の都合の良いものしか見ないので、目も耳も凝り固まった状態になってしまいます。
 
普段スポーツトレーナーをしていると、どうしても首から下の筋肉や関節について考えることが多くなるかもしれません。
しかし、当たり前ですが首から上にも筋肉も関節もあり、JARTAのコンディショニングスキルコースでも応用している経絡などは頭から全身に繋がる経絡なども複数存在します。
 
焦点があったままでの目の使い方や、イヤホンの使いすぎ、大きな音がする場所に長時間の滞在などでも目のピント調整や眼球運動に司る筋肉の緊張や、耳周囲の筋肉、筋膜、そして経絡の問題が発生しやすくなります。
考えすぎることの弊害も合わせて考えるとわかりやすいですが、身体は血流が悪くなると筋肉の柔軟性が低下し、関節の動きや内臓の動きも低下していくのです。
 
過度な筋肉の緊張がそれらの要因になるように、頭を使いすぎることによって頭部や頸部の血流が一時的に増加し、相対的にそれ以外の部位の血流低下や慢性的に頭部の血流を必要とされることでリンパの流れの悪さから循環不全を呈することは、そこから波及した影響が身体の柔軟性低下に直接的にも関節的にも繋がっていくのです。

自律神経の切り口から考察する

この話の延長で自律神経の観点から身体に起きる変化を想定していくと、もっと具体的に整理がつきやすくなります。
情動系のいわゆるストレスは大脳辺縁系を介して下降性の伝道路を辿り、交感神経の興奮が胸椎領域の可動性を低下させたり、呼吸を浅くさせます。
交感神経の亢進は血管を収縮させる為、持続的な交感神経の興奮状態は全身の血流低下も引き起こします。
今の時期、末端の冷え傾向が強い選手は呼吸が浅く、交感神経優位になっている傾向があります。
また筋肉単体で考えても、交感神経優位な状態は筋肉が緊張している状態になります。
なんらかの外的な刺激などで交感神経優位な状態が長引くことは柔軟性を低下しにくくさせる大きな要因になるのです。
交感神経と副交感神経はどちらも適度に働いていることが理想的です。
現代の生活であれば本来副交感神経優位になっていくべき夜にスマホやPC作業など交感神経優位になってしまう要因が重なっています。
睡眠はとっていても疲れが取れている実感がない選手。
あるいはそもそもなかなか寝付けない。
このような選手は夜に副交感神経のスイッチがオンにならず、身体も緊張したままなので身体が休まることなく単にストレッチを継続するだけでは解決しにく身体環境になっている可能性が高いと思われます。
そのような状態で睡眠前に身体が硬いからとストレッチを継続していたのでは、逆効果になる場合もあります。
これまで関わってきた選手の中でも、真面目に寝る前のストレッチを継続しているけど硬さがなかなか解決しないと相談を受けてよくよく確認しているとストレッチで余計に興奮して睡眠の質が悪くなっているんだなと感じる事例もありました。
基本的には通常のスタティックストレッチはよほど優しく丁寧に実施しない限り、やや交感神経を優位にさせる可能性があることを認識しておく必要性があると思います。

自律神経とも繋がる外的環境による影響

最後に環境からの影響ですが、前述した自律神経の観点からも視覚や聴覚、あるいは、俗に言うストレスの影響で交感神経を優位にさせ身体を硬く、また柔軟性向上の妨げになる要因はあります。
また外的な環境とは心身に影響を及ぼす全ての要因が考えられ、それら全てをここで列挙することは難しいのですが身体に直接触れるものや触れる場所を考察するだけでもヒントがたくさんあります。
よく選手でも見受けられるのは睡眠姿勢が片方が下向きでないと寝れない。
といった選手が下側になる股関節の硬さがあり、同側の膝の痛みが出現しやすいといった事例もありました。
直接触れると言えば、もちろん靴や衣服の影響もあります。
常に圧迫のきつい着衣の影響で呼吸が妨げられることもありますし、シューズのフィッティングが悪く常に小指があたっているような状況では小指の外側から関連する膀胱の経絡の問題が発生しやすいといった側面もあります。
身体のどこの部位、特に皮膚の硬さなどを注意深く観察することでその選手がどのような外的な環境の影響を受けている可能性があるかを推察することはできます。
 
今回はストレッチ時間がないと嘆く前にできる準備があるという観点で様々な身体が硬くなったり、ストレッチ効果を妨げる要因についてご説明しました。
もちろんまだまだ他にも要因はありますので、このような切り口で関わる選手にヒアリングすることでこれまでよりも柔軟性を拡大するまでの期間を短縮することができます。
是非試行錯誤しながら選手に向き合ってみてもらればと思います。
 
そしてスポーツトレーナー自身が日常を振り返り、無限にある伸び代に向き合っていければと思います。
 
長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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2021年02月22日

ストレッチの時間がないと嘆くあなたへ/前編

 

文:赤山僚輔

柔軟性をアップさせたいけど、なかなかストレッチを実施する時間がとれない。
 
そう嘆く方は多いのではないでしょうか?
 
今回は赤山が普段実践していることを中心に、ストレッチをする時間がなかなか取れなくても柔軟性が拡大していけるような取り組みや硬くなりにくくする為の工夫についてお伝え致します。
 

そもそも何故身体は硬くなるのだろうか?

 
この事について考えたことがある方は多いと思います。
・姿勢の影響
・食事など内臓機能の影響
・思考など頭の硬さや血流の影響
・自律神経の影響
・外的環境の影響
などに大別できると思います。
スポーツ障害でも同様ですが、原因を整理することでその症状が発生することを防ぐことができます。
ここでいう症状とは身体の硬さですので、硬さの要因が数多く列挙できるほどに硬くなりにくい生活習慣で過ごすことができるということが言えます。
 

姿勢の影響

普段みなさんは座っていることと立っていることどちらが長いでしょうか?
その姿勢を長くなった後、身体は硬くなっていますか?
簡単にできることとして前屈など客観的な指標を元に、自分が普段長くいる姿勢の前後でまずはチェックをしてみることをお勧めします。
どのタイミングでどのような固さが発生するかを可視化、具体化することは問題解決に向けての具体的な行動へと落とし込みやすくなります。
赤山の場合には座っている姿勢が、普段は長くなりがちです。
その時の骨盤のポジションや足のつき方、肘の位置や頭の位置など。
自分がなるべく楽な姿勢を探しながらも、脱力しすぎると楽なようで実は呼吸がしづらいポジションにもなります。
その為、楽なポジションと呼吸が一番大きくできるポジションが重なる部位を普段の作業姿勢に設定しています。
座っている時の足の裏をしっかりと左右ともに床につける。
背もたれに頼りすぎず、お尻と左右の足の3点支持だけでなく、左右の坐骨と足の4点支持や、足の裏だけでも踵と母指球と小指球での3点支持など、支えを多くするだけで楽に姿勢は保持することができます。
頭の位置は数センチ変わるだけでも頸部緊張を軽減することができます。
ただ座っているだけでも使っている筋肉が過度に緊張していたり、呼吸が浅い状態では、その後に身体が硬くなるのは当然です。
逆に呼吸がしやすい姿勢で居続ければ、たとえ数時間座った後でも身体が硬くなるどころか、後述する要素と加担すれば柔らかくなることもあるのです。
 
 
食事など内臓機能の影響
私が柔軟性を拡大してきた過程において最も影響が大きく変化も大きかったのが、この食事や内臓の影響です。
JARTAに出会う前までは本当に身体も硬く疲れやすくなかなかリカバリーできないような状態でした。
以前の状態は過去ブログよりご参照ください。
(”人より時間がかかる”はトレーナーの武器になるhttps://jarta.jp/trainer/20978/
身体が硬い時期にもそれなりにストレッチは実施していましたが、なかなか固さが解決しないので継続できなかったことを覚えています。
 
仕事が忙しくなりストレッチをする時間がとれなくなってきたときに、どうして硬くなるのかを探求していくと身体の硬さの変化と食事の影響に相関がある事に気づきました。
簡単に言うと消化に悪いものや添加物の多いモノ、グルテン系の食事を大量にとったときなどは顕著に翌日の固さが出現していました。
 
連日続くと徐々に固さが増幅されていました。
逆に今は1日1食で終えることも多いですが、内臓が空になっている時間帯が長くなると硬くなりにくいどころか、寝て起きて身体の重みを感じにくい日も増えてきました。
食事や内臓については摂取するモノだけでなく、取り方や、食べる時間帯も大きく影響を及ぼします。
食事にかける時間が短いとそれだけ咀嚼をせずに飲み込んでおり、内臓への負担が増強するのは当然です。
水を多く取りすぎて流し込むように食事をとっていないでしょうか?
まずは何が良いか悪いかだけでなく、身体の変化を通して前日の食事内容やタイミングを振り返ることにによって色々と試していくことをお勧めします。
 
ストレッチを実施することがプラスな事象だとしたら、今回お伝えしたような内容なマイナスを排除するような取り組みになります。
マイナスが排除され続ければ身体は勝手に治ろうとする方向に舵取りをし出します。
風邪をひいても、擦りむいても自然に治るように。
赤ん坊を見ればわかるように、生まれた時から身体がガチガチな人はいません。
なぜ硬くなっていくのか?
これを徹底的に掘り下げていくことは身体の可能性を無限に広げる大きなヒントが内在しています。
是非取り組める部分から実施してみてください。
後編は今週末に、自律神経や外的要因についても整理しながらお伝えしていきたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年02月12日

出会いと別れと継続と


 

文:赤山僚輔

 
寒さのピークが過ぎつつあり、三寒四温と春の訪れを感じる季節に徐々になってきました。
この時期はアマチュアスポーツ、部活動世代に関わっている自分にとっては毎年訪れる出会いと別れの季節です。
 
関わっているチームにおいて、中学や高校で継続的に関われるのは3年間のみになります。
その先は進路がどうであれ、継続的に指導することができなくなることがほとんどです。
 
最初はそれがなんだか悲しく切なく感じていたことを覚えています。
 
当たり前ですが、長く関わることで心と心の距離も近くなり、色々な相談をしてもらえたり、こちらから伸び代を提示するポイントも深くなっていきます。
 
あともう少し関われたら、そう感じることの連続でした。
 
以前はプロのバスケのカテゴリーや実業団のバスケチームなど卒業イコール引退、そしてお別れという流れではない環境でスポーツトレーナーをしていたので香川に帰ってからの日々がよりそう感じさせているのかもしれません。
 
一側面だけ切り取ると別れは悲しいものだと今は思います。
でも卒業生が活躍している姿を耳にしたり、たまに母校に帰ってきて元気な姿をみるとそれだけでエネルギーをもらうことができています。
 
部活動カテゴリーに関わることで感じるのは、自分がその選手に一生関わるわけではない。
 
という前提でどのような自律した思考やコンディショニング、トレーニングを実施していけるようにするか。
 
ここが大きな課題になります。
 
スポーツトレーナーが言わないと気づけない、身体の異常ではその先に障害を発生してしまう可能性があります。
 
誰かに言われないと自分を鼓舞することができないのでは、環境によってパフォーマンスの向上におおきくムラがでてきてしまうかもしれません。
 
もちろん自分の特徴を考慮して、合った環境に身を置くということは重要であり、その点では進路などの相談を受けることもありますが、どのような環境で選手たちがどのように変化しているのかと言う情報は指導者の方だけでなくスポーツトレーナーも知っておく必要性があると感じています。
 
 
それはどんなトレーニングをしているのか?
トレーナーはいるのか?
ケアに用いる時間は確保できるのか?
などなど。
 
自分自身はJARTAの活動も通して全国で信頼できるトレーナーが増えてきたことで卒業後の選手の指導をお願いする局面も増えてきました。
 
それによってパフォーマンスを向上させているという話を聞くと本当に嬉しくなります。
 
自分が関わることによってだけパフォーマンスが向上し障害が減ることで喜んでいるのでは、単なる自己満足に過ぎません。
選手の競技生活や人生を考えた上で、最善の関わり、最善の選択をその時々で出来るようになれればと現在進行形で感じています。
 
そんな卒業生が先日、全日本選手権で初優勝する。という吉報が届きました。
 
彼は自分が関わっているチームで初めて日本一になったときの主将であり、2019年にはインターハイにアシスタントコーチとして一緒に帯同し団体日本一、同年の国体では香川県選手団の主将として一緒に国体で戦い、団体日本一を経験させてもらいました。
 
真摯に競技に向き合う彼の姿からは学ぶことも多く、そして卒業生のこのような活躍が現役生の刺激になることは言うまでもありません。
 
そんな彼が今月発売の空手道の専門誌で特集を組まれているそうなので、ご興味のある方は是非ご一読ください。

【JKFan(2/22売)特集】遂に!全日本王者・崎山優成(近大工学部)がそのテクニックを紹介!


 
そんな別れもあれば、もう少しで出会いもあります。
 
そして日々目の前の選手に向き合い続けることの連続、その継続でしか歓喜の瞬間はやってこないと痛感しています。
このような選手たちの活躍がまた自分に継続する為の後押しになっています。
あっという間の3年間、出来ることは限られているかもしれません。
でもその3年間に選手達にもっと今よりもよい関わりが出来ないか、そのように自問自答しながらまた現場に立ち続けたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2021年02月06日

そのトレーニング指導で選手は成長できるのか

文:伊東尚孝

トレーニングを指導する時、まず手本の動きを見せてから選手に実行してもらうことが多いと思います。
手本の質が高いほど、選手が実行するトレーニングの質の上限を引き上げることができるため、JARTAでは手本力を高めることも重視しています。
しかしながら、質の高い手本だとしても質の高いトレー二ングを指導できるとは限りません。
なぜなら、トレーニング指導にはキューイングが必要であり、言葉の選び方がパフォーマンスに大きく影響するからです。
皆さんは、どれだけ言葉にこだわりを持って指導しているでしょうか。
例えば集団指導では、全ての選手が理解できる言葉を選択しながら指導されているでしょう。しかし、その言葉の受け取り方は選手によって様々です。
例として肋骨の動きを伴うトレーニングを指導するとします。そこで「肋骨がねじれるように、左右がズレるように、胸が広がるように」など、さまざまな言い方で選手に伝わりやすい言葉を選択するかと思います。
しかし、そもそも肋骨が動くという概念がない選手がいたとしたらどうでしょうか。
同様のキューイングでは求めている動きを理解できず、その結果トレーニングの質が低下するかもしれません。
これでは、全ての選手との共通認識を持ってトレーニングに取り組めているとはいえません。
こういった事象はチーム指導に限らずパーソナルトレーニングでも起こり得ることだと思います。
どのように指導すれば、トレーナーと選手が共通の認識を持ち、質の高いトレー二ングを行うことができるでしょうか。
その手段のひとつを、私の指導経験を元に解説していきます。

【共通認識を持つために○○を使う】

では、具体的なトレーニングを提示しながら解説していきます。


このトレーニングのポイントは、
①腰椎の弯曲を安定させるために股関節を捉えつつ(下半身をスタビライズ)、②上部体幹は力まず柔軟に動かすこと(上半身の操作性の向上)の2点です。
特にバッティングやテニスのストロークなどで必要となる要素のひとつです。
私が指導しているチームでは①のポイントは達成できており、上半身(特に胸郭)をいかにして動かせられるかが課題となりました。
チーム内には胸郭の動きを伴わずに腕だけを大きく動かす選手がおり、そのような選手に「胸を大きく動かして」とキューイングをしても、運動のイメージがつかない場合がありました。(もっと複雑で複合的なトレーニングであれば尚更です。)
また、どの程度動かせば良いかの指標も曖昧となる可能性もあります。
私はそれらを解決するために、
選手自身の身体に注目させずに、外部環境を使いながら指導する方法を選択しました。

棒をできる限り地面に対して垂直に保ちながら、身体の周りを回すように設定しています。
目的の動きは当初と同様で胸郭の動きを誘発させるものですが、選手へのキューイングは上記のように「棒がどのように動くのか」というコマンドを選択しました。
「地面に対して垂直」という意味さえ理解できれば、どの選手もそれを達成しようと自然に胸郭を動かすように努力します。(四股をキープできているという前提)
つまり、外部の環境に対してどう動けば良いかを導くことにより、結果的に引き出したい動きを達成していることになります。
これにより、たった一つのキューイングで全ての選手と共通認識を持ちトレーニングを指導することができます。
(場合によっては、棒を持つ位置を変えるなどの難易度の調整も必要です。)

【外部環境を使うとパフォーマンスに転移できる】

また上記のように自身の外側に注意を向けることで、パフォーマンスに転移させる効果もあります。
トレーニングをパフォーマンスにつなげるにはどうすれば良いか、悩んでいる選手も少なくはないと思います。パフォーマンスアップに必要な要素のひとつとして、運動学習は欠かせません。(JARTAトレーニング4原則にも「運動学習の原則」が挙げられています。)
これもトレーニング指導の方法によっては、運動学習の効果を上げることが可能となります。
先ほどの例では、「胸を大きく動かす」というのは身体を動かす方法に注目しています。一方で「棒が身体の周りを回る」というのは動作の結果に注目しています。
これを競技に当てはめると、例えばテニスのストロークで「肘をどの程度曲げるかに注意を向ける」ことと「ラケットの軌道に注意を向ける」ことに置き換えることができます。
後者のように、外的環境に注意を向けながら動作を実行するほうが、運動学習の観点からいえば効率の良いトレーニングとなるということが、多くの研究で証明されています。
身体を動かすには脳からの運動指令が不可欠であることは言うまでもありませんが、一方で外的環境も運動の制御に関与しているという観点があります。
私たちが歩くためには、脳からの運動指令や脊髄の運動パターン形成によって制御されていますが、重力があり硬い地面があるからこそ反力を受けることができ、ようやく歩くことを可能にしています。(無重力では少なくとも歩くという動作にはならないということ。)
すなわち運動の全てが脳による制御ではなく、外的環境によってもたらされている要素も含んでいるということになります。
これは生態心理学という観点で提唱されているものであり、運動学習を進めるためには自身の外側にも注意を向けることが必要だといわれています。
少し話が逸れましたが、
ここで伝えたいことは、同じトレーニング動作を指導するとしても、選手へのキューイングひとつでパフォーマンスに大きく影響する可能性があるということです。

【まとめ】

パフォーマンスアップには限界がないのと同様に、トレーニング指導も追求し続けることで、より質の高いものを選手に伝えることができると思います。
今の指導方法で、本当に選手の成長を約束できるでしょうか。
現在よりさらに、一つひとつのトレーニング指導にこだわり続けることが大事だと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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2021年01月27日

“人より時間がかかる”はトレーナーの武器になる

 

文:赤山僚輔

なぜ、自分は人よりも何をするにしても時間がかかってしまうのだろうか。
 
そんな悩みがある方は多いのではないでしょうか?
 
アスリートにとっては少しでも早く技術を習得するなど、短時間で何かが出来るようになることは間違いなく有利に働きます。
 
しかしこれをスポーツトレーナーに置き換えると実はそのようなケースばかりではない。
そのように痛感する事が多くあり、今回はその理由についてご説明したいと思います。
 

すぐにできる人には、できない選手に対しての引き出しが少ない。

 
なんらかの課題に対して、すんなりと実現してしまう選手の中には自分自身でどのようにしてできるようになったかを整理できていない選手が多くいます。
そしてそれはスポーツトレーナー自身にも同じ事が言えます。
例えば股関節の硬さで困った事があるスポーツトレーナーとそんなことでは困ったことはなく、難なくしゃがみ込みができる、ストレッチもそこまで実施しなくても硬くなる感じがしない。
両者では、プロセスに対する引き出しに大きな差が出てきます。
 
もちろんこれは硬さで困った経験があるスポーツトレーナーがその課題を克服する為に自分の心身に向き合い解決できてきている。という前提での話になります。
 

(2016年)

(2019年)
 
時間がかかり苦労して獲得した身体操作や柔軟性、施術のスキルなどはどのようにして習得してきたを自分自身が整理できていることにより、一時的にその状態が悪化したとしても再度良い状態にリカバリーすることが可能となるのです。
 
反対にその動作をどのように習得してきたかを認識できていない場合、一度なんらかのきっかけで動作が実施困難となった際に、どのようにリカバリーすれば良いかに困惑してしまうのです。
 
これを怪我に当てはめると、怪我により段階的なリハビリテーションや動作獲得に向き合うことは長期的にみたパフォーマンス向上に向けて決してマイナスではないことも想像できると思います。
 

すぐできる人を羨むよりもなかなかできない自分の武器を研ぎ続ける

自分は決して器用な方ではありません。
よく覚えているヒストリーとして、高校生の時に部活引退後スケートボードを仲間とやっていたのですが、仲間の誰よりも技を習得するのに時間がかかりました。
仲間が簡単に出来ているのに、いくらやっても出来ないものも沢山ありました。
中学時代には父と母がやっていて、家にあったギターに挑戦するも、早々に手が思い通りに動かず諦めてしまいました。
そんな自分が身体を思い通りに動かせない選手たちに対して指導をする仕事をしているのですからスポーツトレーナーとは面白い仕事だな。
そのように感じています。
 
身体の不調だらけ、硬いところだらけ、姿勢も悪く、思った通りに操作出来ないからこそ自分の可能性に気づいた時には胸が躍ったことを覚えています。
今でも自分の姿勢を良いと思ったことはないですし、伸び代だらけだなと感じています。
そして以前は自分よりもすぐに動作を習得する周囲の人に対して嫉妬を感じる瞬間もありましたが、人より時間がかかることをポジティブに捉えてからは時間のかかる変化すら楽しみながら日々を送っています。
そして今、人生で一番逆立ち歩行が歩けるようになっています。
12月の初旬には2m弱進めるかどうかといった状況から、今は5m程度は歩けるようになり方向転換の練習をしています。
一進一退を繰り返しながら動作獲得しているので、何が不足しているのか、どこに認識のズレがあるのか。
じっくりを考える貴重な機会になっています。
 
スポーツトレーナーとして目の前の選手の悩みに向き合う上で、何度やっても出来ない、どのようにすれば良いのかわからない。
そのような状況で本当の意味で寄り添える存在になれるには、自分の”できない”にどこまで時間と労力をかけてむきあったか。
これにつきます。
 
時に指導者の皆様も、同じように指導しているのにうまく行く選手といかない選手がいる。
そのように悩まれています。
そんな時こそスポーツトレーナーの本領発揮ではないでしょうか?
 
施術手技も同様になかなか習得できないものほど、”なぜ”うまくいかないのか?
これを徹底的に掘り下げることで自分の具体的な伸び代を掘り起こすことができ、その過程全てが選手指導時の大きな財産になります。
スポーツトレーナーこそ、自分の心身に対して自分がスポーツトレーナーとしてどのように指導していくか?
そんな視点で日々を過ごしてみると楽しめると思います。
 
自分自身もこれからもそのような日々を楽しみながら過ごしていこうと思います。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2021年01月23日

強いマッサージを求めるアスリートへの対応を再考する


 

文:赤山僚輔

 
『もっと強くマッサージしてもらえますか?』
 
あなたはこんな台詞を選手から言われたことはありますか?
 
私は実はないのですが。
 
このような選手からの声に対して、答えるように強く強くマッサージしていて施術者側が困惑している、どうすればよいか。
 
このようなスポーツトレーナーの方々の声を聞くことが少なくないので、今回は自律神経の観点からどのように対応していくか、ひとつの考え方をお伝えしたいと思います。
 

なぜ強いマッサージを求めてしまうのだろうか?

 
一般的にはという前提で話を進めさせてください。
これは多くのスポーツトレーナーと接することで、よく耳にすると言う意味での一般的には、です。
 
マッサージ=強くほぐす必要性がある、強くほぐさないと効果がない
マッサージによる症状改善などの効果よりも、マッサージ効果、つまりマッサージそのもののやられた感覚、気持ち良さを求めている。
 
上記2つともに共通する問題として、どんどんとより強く、よりやられた感覚を求める。
という傾向にあります。
 
これはセルフケアやストレッチなどでも同様のことが言えるのですが、痛みや強い伸長感がなければやっている感じがしないということで強くマッサージツールを使ってほぐす選手もおられます。
やっている時には気持ちの良い感覚(この感覚自体にも問題あり)や”やった感”はありますが、その後の疲労改善具合や実際の症状の推移を聴取していると効果的な変化を実感できていない事例が多く散見されます。
 
これは手段が目的化してしまっているという問題も内包しています。
 
本来は症状の改善やパフォーマンスの向上が目的になるはずですが、マッサージをしてもらうこと。
マッサージで気持ち良くなること、これらが目的になっていると辛口の食事が好きな人がどんどん辛さの度合いが進行していくように、中毒のように本来は手段であるはずのマッサージをしてもらうことや気持ちよさに対して”もっと強く”となってしまうのではないかと考えています。
 
前者のマッサージをしてもらうことが目的になってしまう選手に対しては、本来マッサージは手段であり目指すべきベクトルが別にあることを共有し、その目的に対して最善の手法を提案する必要性があります。
そして問題はマッサージで気持ち良くしてもらいたい。
このように考えているアスリートに対して
気持ち良い刺激=強い刺激
この相関関係を単純に想起している場合が要注意なのです。
 

自律神経の観点から紐解く

強い刺激であればあるほどに気持ちが良い
もしこれがアスリートの基準になってしまうとどうなるでしょうか?
 
身体の少しの違和感や、軽度の痛みを感じにくくなります。
また、痛みを我慢しやすくなり、痛みの域値が上昇する可能性があります。(強い刺激じゃないと痛みを感じにくくなるということ)
このように常に強い刺激を求めてしまう傾向があるアスリートの中で、常に交感神経優位になっているケースが見受けられます。
疲れやストレスが溜まっている時に、ストレス発散にカラオケで大声を歌ったり、ハードに筋力トレーニングを実施したり。
その時にはすっきりした感じがしても、その後余計に疲れた感覚がある。そんな経験がある方はいるのではないでしょうか?
身体にとって侵害刺激となると交感神経優位になります、これは筋肉でいうと収縮方向へのスイッチがはいる刺激になります。
強いマッサージが目的になってしまうと、結果的にアスリートを交感神経優位にさせ、リカバリー時に重要な副交感神経のスイッチが入りにくい状態になってしまうのです。
 
JARTAで繰り返しお伝えしている、アブレスト能力の考え方とも繋がりますが、収縮と弛緩の幅が狭い筋肉ほど、痛みの域値が高い傾向にあるので、強い刺激を感受しにくく、より強い刺激を求め、交感神経優位になるのでまた収縮傾向に筋肉が変化していく。
 
このような悪循環を呈してしまう可能性があるのです。
 
常に濃い味の食事を取り続けていると、薄味じゃ物足りない。
繊細な味の変化を感じ取れない。
 
これをアスリートの身体に置き換えた時に、リスクを感じないアスリートやスポーツトレーナーはいないと信じたいです。
 
繊細な身体の変化を感じ取れるからこそ、痛みが発生する前の兆候にきづけます。
そして自由自在に身体が操作できる土台が準備できるようになります。
 
アスリートが持っている価値観を否定することなく、強いマッサージを求める際に、一時的には対応してもそのリスクと共にスポーツトレーナーとしては”強くなくても気持ち良い”マッサージやセッションを実施することが求められると考えています。
 
自律神経の観点で説明すると、副交感神経優位になる状態は多くの方が”気持ち良い”と感じている状態とも重なります。
 
ポイントはリラックスできる、刺激がないと感じる程度、リズム刺激。
などになります。
 
施術者の身体がリラックスしていると触れているだけで対象者もリラックスすることができます。
認定コースでは”調和”として触れるだけで硬さが改善していく手法のひとつをご紹介しております。
また”ゆする”という刺激も効果的です。
小さな子供を寝かしつける時にゆったりとしたリズム運動で動かすことがあるのではないでしょうか?
このような副交感神経優位になる刺激は対象者にとって”気持ちよい”と感じる状態になります。
そしてなにより、その後の症状改善やリカバリー機能を向上させる為にも効果的なのです。
 
睡眠時は交感神経優位では深い呼吸が難しくなり睡眠の質が低下し、起床時に疲れがとれていない状態になります。
本来夜間は副交感神経優位になるべきなので、そのスイッチがマッサージやセルフケアで実施できればその後の身体環境を振り返っても、同じような状態を求める為に、その後”強く強く”とは訴えにくくなるのです。
 
長くなりましたが、その場しのぎのマッサージではその時一時的に満足してもらえたとしても中長期的に考えた時にネガティブに働くことも多いです。
常にアスリートに関わるスポーツトレーナー自身が中長期的に捉え、目的を見誤らず、そして強くなくても”気持ち良い”手法を用意することでアスリートの感度を変え、悪循環から脱することができます。
 
もし強くないと気持ち良くない、そのように感じているスポーツトレーナーの皆様がおられたらまずは自身で色々と試してもらうことをお勧めします。
 
きっと新たな自身の身体の可能性に気づけるきっかけになるはずです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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2021年01月16日

立ち止まり振り返る時間を

文:赤山僚輔

 
突然ですが、皆様さまは、学生時代に部日誌のようなノートや日記をつけていた経験はありますか?
 
サッカーノートや野球ノートのようなものです。
 
指導者やチームの方針で継続的に実施している、していた方もいれば未経験の方もいるかもしれません。
 
私は長期間のリハビリが必要な選手を担当するようになってから、大きな手術をする選手にはそのような日誌をつけることを勧めています。
 
それは以前、テレビで中村俊輔選手が長年ノートをつけていたことを知り、それをヒントに自分に向き合い、その先の自分の大きな財産になるようにと勧めるようになりました。
 
そしていま、私自身が約3年前からブログを本格的に始め、昨年は音声配信など日々の心情や気づきを継続的に記し残したりするようになりその重要性を再認識しています。
 
例えば、前十字靭帯再建術のリハビリであれば短くても6ヶ月以上の期間、リハビリに向き合わなければいけません。
 
それは中学生や高校生にとっては途方もなく長い期間で、過ぎてしまうとあっいう間ですが、当事者のその時にはなんとも言えず長い期間と感じます。
(赤山が高校時代に膝の手術とその後成人してからアキレス腱断裂の長期離脱の経験があります)
手術前にはモヤモヤした想いと共に、漠然とした不安。
手術後には痛みに耐えながらも、この膝で本当に同じようなプレイができるようになるのだろうか。
 
ほとんどすべての選手がそのような想いを一度は経験します。
 
そんな中で手術後の辛い思いや、何がなんでも復帰してやる。
このような強い思いが6ヶ月間、維持し続けられる事は稀です。
 
有名な五輪に出場したアスリートもリハビリ途中で辛くて逃げ出したこともあるそうです。
(もちろんプレッシャーなど前提条件は大きく異なりますが)
 
そんな時に、大事になるのが日誌やノートにその時の状況を記し残すことなのです。
思考の整理やモヤモヤした思いの断捨離的にももちろん効果はありますが。
 
何より、6ヶ月たって復帰する頃にリハビリし始めの自分の記録を振り返ることで大きな自信と勇気をもらえるのです。
 
多くのアスリートがその自分の書いた日誌に励まされたと教えてくれました。
 
そしていま、自分自身も数年前の自分の記録に励まされ、背中押され、時にお尻を叩かれるような想いにさせてもらっています。
 
ただ前だけをみて進むというやり方もあります。
 
しかし何かあった時に忘れ去られ、ただなんとなく過ぎてしまったと捉えるのと。
日時も心情も決意も具体的に記されている自分の書いた文字をみるだけで
前だけを向いて歩めない、少しネガティブに捉えてしまったような時に力になるのです。
 
 
立ち止まることも振り返ることも前に進むためには有効です。
そして大きな怪我をした時には、それまでに出来ていなかったそういった時間をじっくりと取る千載一遇のチャンスなのです。
中学高校生でそこまでの期間を自分にじっくり向き合えるほどのゆとりはなかなかとれません。
 
だからこそリハビリで関わるセラピストやスポーツトレーナーを通して、そのようなきっかけを与えることができれば。
 
私はいつもそのように考え、今も施設に通う、膝の手術後の選手たちにそのように伝え、初回時には両親にもそのように説明をします。
 
その日々が意味があったと思えるのは、日々の行動次第です。
人は簡単に感情も決意も忘れてしまいます。
忘れる前提で記録することの重要性を部活日誌やリハビリノートが教えてくれます。
 
 
その想い、忘れたくなければ今日からでも遅くないので記し残してみましょう。
6ヶ月後の自分の大きな財産になるはずです。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 

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2021年01月09日

アスリートのパフォーマンスを自律神経の観点からアップデートする

文:赤山僚輔

今回は改めて、アスリートのパフォーマンスに密接に関与する自律神経の捉え方について、基礎的な部分も踏まえてご説明したいと思います。
 

自律神経とは

 
医療従事者であれば必ず学校で教育を受ける自律神経ですが、目に見えるわかりやすい筋肉や関節と違ってとっつきにくいと感じている方も多いのではないでしょうか?
自律神経とは、心身の働きを調整する神経のことで、交感神経と副交感神経の二つから成り立っています。
主に交感神経は働きを促し、副交感神経は逆に休ませるといった役割を持ち、状況に応じてそれぞれが働くことで、自律神経は私たちの心身を常に良好な状態にしようとしています。
例えば暑い時に汗をかいて体温を下げる、食事をした時に食べ物を消化するといったことも、この自律神経の働きの一つです。
しかし、この自律神経のバランスが整わなくなると、これらのコントロールがうまくいかなくなり、身体に様々な不調を感じてくるのです。
 
体性神経系と呼ばれる主に骨格筋へと効果器を伸ばす神経系との大きな違いは、それらが主として随意的であるのに対して自律神経系が不随意的である。という点です。
 
また効果器における神経伝達物質の効果として、体性神経系は常に興奮(骨格筋の収縮)に作用するのに対して、自律神経系は興奮性の場合も、抑制性の場合もあり得ることも大きな違いとなります。
 

自律神経が乱れた状態とは

実際に自律神経のバランスが乱れるとどのような状態になるのか、以下に簡単に記してみました。
 

・身体的な症状
身体がだるい、眠れない、発汗、ほてり、動悸(どうき)、息切れ、めまい、頭痛、食欲不振、下痢、便秘など
・精神的な症状
イライラ、不安、やる気がでない、パニックになりやすいなど

 
このように整理するとアスリートに関わらず、何らかの症状を経験したことがある方がほとんどだと思います。
 
実際には自律神経の乱れは誰しもが経験するものであり、それ自体は特別異常な状態とはいえません。
 
しかし原因を突き止め対処することなく慢性化、長期化してしまうと日々の練習への支障をきたすだけでなく、試合でのパフォーマンスに大きな影響を及ぼしてしまうのです。
 
前述したように、自律神経は無意識的に制御する機能であり、無意識のうちに乱れていってしまうのでその原因を対処していくことが重要となります。
 

乱れる原因とは

 
・ストレス
ストレスは自律神経が乱れる大きな原因の一つとされています。例えば、試合前に緊張してトイレが近くなったり、心臓がドキドキしたり、汗をかいたりといった状態は、緊張というストレスを感じて交感神経が活発に働いた結果によるものです。
適度なストレスは緊張感を上げ集中力を高める良い効果が期待できますが、感じるストレスが多すぎると不安や悩みが大きくなり、自律神経が乱れやすくなります。
 
・不規則な生活
不規則な生活も、自律神経が乱れる原因となります。
私たちの身体は一定のリズムをもって生活しており、自律神経が正常に働くことで常に健康的な状態を保っています。
起きているときには主に交感神経、寝ている時には副交感神経が働き、1日のリズムを作っています。
しかし、夜更かしや昼夜逆転の生活など不規則な生活を続けていると、身体のリズムが崩れて交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなります。
 

・気候や季節の変化

季節の変わり目は日によって気温や気圧が変わりやすくなりますが、そのような時期は、自律神経が乱れやすくなるため注意が必要です。気温や気圧の変化に対応するため、自律神経は身体の機能を整えようと働きます。その時、一時的に自律神経のバランスが崩れて発汗やほてり、のぼせなどの症状がみられやすくなります。
 
他にもホルモンバランスや食事の影響など、様々な要因が関与しています。
もちろんその中には外的な要因として仕方がないものも多く、誰しもが自律神経の調子を乱しやすい時期やタイミングも存在します。
しかしその際に、大きく症状として出現する選手とそうではない選手との違いは日々の習慣であり、大前提としての自律神経の機能が働きやすい身体環境にあるかどうかという点に集約されます。
 
自律神経のバランスを整える手法は多く出回っており、食事やマッサージや呼吸法など実践的なものから簡易的なものまで多く存在します。
そんな中でもアスリートにとって自律神経の観点でのアップデートにおいて重要な観点として、プラスの何かを模索するよりも、今現在、自律神経の働きを低下させている”マイナスの要因”を丁寧にピックアップして可能な部分から排除していく方法を現場では実践しています。
 
それは睡眠の質が悪くなっている要因を列挙して可能なものから改善したり。
食事が変えられなくても食事の取り方やタイミングやその前後の過ごし方を変えるというようなものです。
 
特に寒さ厳しくなる時期、そしてコロナ報道含めてストレスの多い今だからこそ、自分自身の自律神経の状態はもちろんアスリートのパフォーマンスを最善にサポートしていく為の自律神経の観点が非常に重要であると痛感しています。
 
今月のオンラインセミナーではこの自律神経の観点にフォーカスして、座学と実技で3回に分けてお届けする予定です。
 
2015年から自施設では自律神経の測定器を導入して主観的な症状との相関含めて活用しています。
みえないと思っている自律神経の機能をみえる化することで整理できてきたこと。
これらを統合してお届け致します。



ご興味がある方は下記より詳細ご確認ください。

JARTAオンラインセミナー


 
少しでも自律神経の不調で悩む選手が減り、最高のパフォーマンスで試合に臨めることを祈念しております。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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