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2018年12月02日

強いチームに必ずあるもの

文:岩渕翔一

できる選手に合わせますか?できない選手に合わせますか?
色々な場で同業者からこういった類の質問を多く受けます。チーム単位でトレーナー業を行う際に多く聞かれる悩みです。
 
できる選手に合わせるとついてこれない選手が出る。
できない選手に合わせるとできる選手が物足りない。
こういった感じでしょうか?
 
過去に、認定講師の鳴海も同じテーマを持って記事を投稿しています。
《できる人》と《できない人》どちらにフォーカスしてトレーニングしますか?
意見は色々とあると思います。今、この記事を読んでくださっている方はどうでしょうか?どちらに合わせますか?
 
 
私はこの問いに対して以前はこのように答えていました。
 
「私は基本的にできる選手に合わせます。その上で、そのできる選手にチームメイトの指導も行うように意識づけます。君一人ができてもチームは強くならない。勝ちたいだろう?だったら君がチームメイトを引っ張れと。そのようにしてチームとして強くなっていくことを目指します」
だいたいこのような答えです。鳴海の記事にある1つの解答と似ていますが当然です。なぜならこの記事の中で行われている研修で講師をしていたのは私だからです 笑
 
鳴海の記事にある研修は今年の1月に行われました。それから一年弱経過した今。どうかと言われるとこの時とは全く違った視点でこの質問に答えています。
 
 

強いチームが持つ共通項とは

一度、強いチームを想像してみてください。競技はなんでも構いません。

どうでしょうか?まず、強いチームというのは競技に関係なく試合をする前から間違いなく強いであろう雰囲気、オーラというものが漂っているとは思いませんか?
 
試合前のウォーミングアップを見ただけで、このチームは強いなという空気があると思います。
もちろん、強豪校、伝統校、常勝軍団など事前情報だけでそう思い込んでしまう部分もあります。私は高校生の時、大阪桐蔭と練習試合をしたのですが、試合前のただのキャッチボールを見たときにこれはもう全く物が違うなと感じたのを今でも鮮明に覚えています。
 
当然技術的な差もそこにはありますが、決してそれだけではありません。
この強いチームだけが出すことができる、雰囲気、空気、オーラの正体とはなんでしょうか?
 
それは、「規律」です。
強いチームには必ず厳格な「規律」があります。
例えばウォーミングアップの際の、
・声
・統制された動き
・ユニフォームの着こなし
・規律があるが故の緊張感
この「規律」こそ、強いチームが必ず持っている共通項です。
 
 
私はチームのトレーニングを見る際、この「規律」を最重視します。できる選手とかできない選手とかそういうことではありません。
考えてみれば当然です。チームというのは複数人で構成されてますが、それ自体が単一の生き物のようなものです。
 
チームを見る際はあくまでそれそのものが単一のものとしてみます。なので、トレーニングをする際もチームが1つの生き物のような指導。もっと言うと、選手一人一人に規律があり統率され1つの生き物になったかのような形で行い、全体を見渡した際に、
美しくてカッコいい
1つ1つのトレーニングがこのような形になることを目指します。
 
もう少し具体的にいうと、全体としての型を大事にします。
例えばスタートポジション。スタートポジションは選手一人一人を必ず統一します。さらに動き出しも統一(右からなのか左からなのかなど)し、全員が同じポジション、同じ動きから開始し、終了するポジションも統一します。
列や全体の配置なども当然美しくなるようにします。それぞれのトレーニングを行うのは当然選手個人単位ですが、このような規律を設けることで選手は全体に注意を払いながらトレーニングに取り組む必要が出てきます。

こうして、トレーニングや練習の段階からチームとしての規律を重んじることで自然と、
・チームとしての共通認識ができる
・チームとして1つの目標ができる
・その目標に向かって個人がチームの一員として自然にプレーできる
このようになっていくと考えています。チームがただの烏合の集であってはなりません。チームは1つの生き物です。レギュラーも補欠もエースもベンチ外も全く関係ありません。みんな合わせて一つのチームで、そうでなければチームとして強くなることはありえません。
 
ですので、個人をみて、できるとかできないとかそういうことではないのです。
 
それは、全体のトレーニングの際だけでなく、チームサポート中に個人対応する際も基本的に同じです。チームとしての個人であるというスタンスで個人対応も行います。そういう意味で、できる選手にできない選手の指導にあたるよう意識づけるということは今もしています。
 
どうでしょうか?規律のあるチーム。そんなチームは強いと思いませんか?
 
私は今、このような視点でチーム指導にあたっています。
 
 
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