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2014年12月31日

JARTAアドバンス1|詳細

JARTAアドバンス1の内容がリニューアルしましたので、詳細をご紹介致します。

JARTAアドバンス1で学んでいただけること

真に選手に貢献できるトレーナーとして、欠かせない考え方

JARTAでは、「どんな手段を用いてでも選手のニーズに応えること」を主軸としています。
 
プロセスや科学的根拠を重視する姿勢はもちろん重要です。
しかし、そのプロセスや科学的根拠に固執して、選手のニーズに応えられなければ何の意味もありません。アスリートが求めているものは、「最良のパフォーマンス」です。
 
JARTAでは全ての講習会を通して、あらゆる手段を尽くして選手の要望であるパフォーマンスアップに貢献するための考え方、スタンスを習得していただきます。
 

動作分析の徹底(構造運動学、多重中心構造の理解)

スポーツ動作の分析は非常に困難だと言われています。しかしスポーツ選手のパフォーマンスを向上させていく上で、最も重要なことは目で見て動作を分析できることです。
 
動作が分析できていなければ、何が問題で、何を改善させればパフォーマンスが向上するのかが的確に指導できないことは言うまでもありません。
的確でないことは、選手に無駄な努力を強いるリスクにもつながります。
 
つまりそれはトレーニングがパフォーマンスアップにつながらない可能性を含んでいるのです。
それぐらい、動作分析は重要なことであり、逆にそれを武器にできるということは非常に大きなことと言えます。
 
JARTAアドバンス1では、スポーツ動作の分析において最重要とされる、「構造運動学」「多重中心構造」を原理とした動作分析を徹底的に練習し、習得していただきます。
 

「教えて終わり」の講習会ではありません

JARTAの講習会の目的は、「真に選手に貢献できるトレーナーを養成すること」です。
JARTAの事業としても、認定スポーツトレーナーに対して現場の斡旋を行っています。
 
ですので、講習会中も、参加者方々の身体の使い方や意識をどこに向けるかなどをしつこく指導します。必要なら全員に講師が施術の体験をしてもらいます。前半と後半の期間には、宿題も課します。
 
トレーナーは、「選手の伸びしろを伸ばすこと」が仕事です。つまり、選手に上達の方法を教えるのです。
そしてそれは自分自身の上達の方法を知ることにもつながります。
 

選手にトレーニングの手本を示す意味

JARTAでは、選手に指導するトレーニングは必ずトレーナー自身が高いレベルで手本を提示できることを要求しています。
理由としてトレーナー自身がそのトレーニングの習得プロセスを体験しておくこと、自分が出来ない動きは指導することが難しいことが挙げられます。
また、JARTAのトレーニングは、運動構造がとても複雑であり、言葉で説明してもなかなか理解出来ない側面があります。
 
それはスポーツ動作で要求される動きが複雑であることと同義です。
 
例えばマシーントレーニングは、単純な動きだから誰でも簡単に指導できるのです。しかしマシーントレーニングのような単純な動きは実際のスポーツの局面ではほぼ見られません。
スポーツにおける人間の動きは、良いパフォーマンスほど、マシーンでは再現できるような単純な構造ではないということです。
 
JARTAアドバンス1では、トレーニングの比率が増え、その習得プロセスも徹底的に学んでいただきます。
 

概要

構成|4日間
■JARTAコンセプトの更に深い理解
■トレーニング目的設定(時間軸・空間軸・目的軸・対象軸・程度軸からの設定)
■コンディショニング
・股関節
・膝関節
・足関節、足部
・下腿部
・仙腸関節(関節系)
・肩甲骨(筋系)
・肘・上腕(筋系)
・手指関節・手根骨(関節系)
 

統合化トレーニング|JARTAセンタリングトレーニング

どんな競技のアスリートにとっても必須となるトレーニングを習得できます。
フィジカルだけに偏ったトレーニング思想を打破し、スキルと認識力も同時に統合化するトレーニング理論と方法論、プロセスにて、これまでつなげることが困難だったトレーニングとパフォーマンスの関係を結びつける方法論です。
 
競技特性に分化する以前の必要となる根底的な身体の使い方、それを習得していることで、競技別トレーニングや競技能力そのものの質を劇的に高めることが可能となります。
 
〈アドバンス1で習得していただく統合化トレーニング課目〉
・立甲(上肢系)など
・センタリングプッシュアップ(上肢系)
・フロッグ(上肢系)
・インナースクワット(下肢・体幹系)
・フローティングダウン(軸とバランスの強化・構築)
※これらを習得するプロセスとして、アシストトレーニングが追加されます。
 

動作分析(立位・歩行)

構造運動学、多重中心構造という理論を根底とした動作分析の方法と、それを元にした動作改善プロセス
 

課題図書

「スポーツ・武道のやさしい上達科学」高岡英夫著
難解ですが、必ず一度は目を通してきて下さい。
 

お申し込みはこちらから

※ベーシック受講済みまたはお申し込み済みの方に限ります。
JARTA会員加入はこちらから

2014年12月29日

ベーシックセミナーアップグレードのお知らせ

年明けに開催が予定されているJARTAベーシックセミナーでは、これまでお伝えしていたトレーニング理論や方法論に加えて、さらにT-レフストレッチという概念により内容がグレードアップします。
T-レフストレッチという新しい概念、少しだけ下記にて説明しています。
 

JARTAベーシックの講義内容

〈結果の出せるスポーツトレーナーになるために〉
1.『JARTAコンセプト』を学ぶことで、結果の出せるスポーツトレーナーとしての最低限の知識と技術を身につけることができます。
真に選手に貢献できるスポーツトレーナーを志す方は絶対に知っていただきたい内容です。
 

JARTAコンセプトとは?

① 弛緩力|身体を機能的に使える幅を広げる。柔軟性・しなやかさ・キレとパワーを両立するために必要な概念。
②全てはパフォーマンスアップのために|コンディショニングとトレーニングの関係性、選手の要望とトレーニングの関係性。手本の重要性の意味。選手を本気にさせるために必要なこと。
③ 統合化トレーニング理論|パフォーマンスアップに直結するトレーニングの意味。その必要性。既存のトレーニングの問題点とリスクについて。やればやるほど下手になる、マイナスの学習について。
 
2.実技
①T-レフストレッチ(スポーツコンディショニングの新しい概念)
首、肩、大腰筋、股関節の4部位それぞれに対して、柔軟性とパフォーマンスアップの両立を実現するための施術、痛みの解消の為の施術を習得していただきます。
スポーツ現場では、迅速性・場所を選ばない、ということが要求されます。ベーシックでご紹介する4つのテクニックは、それらに対応可能な形で1セットとして使用していただけるようにデザインしてあります。(もちろんリハビリ現場でも多大に活用していただけます)
②統合化トレーニングメソッドである、JARTAセンタリングトレーニングを習得していただきます。
・立甲の習得方法、指導方法、獲得意義(0ポジションとの関係)について
 
*JARTAセミナー講師陣は、オリンピックアスリートやセリエAサッカー選手、女子サッカーなでしこジャパン、プロ野球選手、プロ格闘家、プロボクサー、大相撲力士、海外で活躍する日本人選手などのコンディショニングとトレーニング指導を任されている理学療法士たちです。
テクニックや考え方だけでなく、スポーツ選手に対する姿勢なども実際の経験をもとに学んでいただけます。
*当セミナーを受講されますと、JARTAアドバンスコース受講資格が授与されます。
*JARTAアドバンスコース修了者は、“JARTA認定スポーツトレーナー”としてJARTAに登録することができ、限定セミナーやスポーツイベント、スポーツ現場紹介サービスをご利用いただけるようになります。
 
【お申し込みはこちらから】

2014年12月28日

中村友亮選手(アグレミーナ浜松)のトレーニングサポートのご報告

現在、JARTAからの紹介で、フットサルのアグレミーナ浜松に所属する中村友亮選手のトレーニングサポートを担当していますので、ご報告させていただきます。
 
認定スポーツトレーナーの高島です。
 
中村選手は、身長154cmでスポーツ選手の中ではかなり小柄な選手です。周りとは体格差はありますが、スピードを武器としフットサル日本代表に選出されています。
 

サポート内容

1.コンディショニングサポート

練習や試合を通して出てきた身体の不調や違和感、痛みに対するケアを行うとともに、選手自身でケアが出きるように指導を行っています。
 

2.立位姿勢(1次姿勢)や歩行(2次姿勢)の改善

スポーツ動作は3次姿勢に当たります。よりハイパフォーマンスを目指すためには、その土台となる1次姿勢や2次姿勢をよりよいものにしていく必要があります。
介入当初、中村選手は1次姿勢のただ立つということに関しても、疲れやすい感じや力んで立っている感じを持っていました。
中村友亮選手(アグレミーナ浜松)のトレーニングサポートのご報告1
 

3.弛緩力・格定力・内的認識力を高めていく

余分な身体の力みなどは故障の原因となるだけでなく、パフォーマンスを落とす要因にもなります。接触プレーや武器であるスピードを活かすためにも重要なことです。
中村友亮選手(アグレミーナ浜松)のトレーニングサポートのご報告2
 
以上の3つを主体にし、トレーニングサポートを行っております。
 
約半年が経過する中で、1次姿勢・2次姿勢は変わってきました。第三者が見たときの変化だけでなく、中村選手自身も日常生活や練習、試合を通して変化を実感できるようになってきています。
 
今後は、さらにより良い状態に変化させていくだけでなく、中村選手自身が目指しているプレーへと近づけるようにサポートしていきます。
今後の中村選手の活躍をさらに期待していただきたいと思います。
中村友亮選手(アグレミーナ浜松)のトレーニングサポートのご報告3

2014年12月23日

トレーナーがチームバランスを崩す

団体競技においても個人競技においても、そこに「人」が存在する限り、ハイパフォーマンスを実現する上で、もはや個人だけの戦いでは解決できません。
では、トレーナーはどうして目の前の選手のパフォーマンスだけを見ているだけではダメなのでしょうか?
 
これを理解することによってあなたは、「選手・チームの勝利になくてはならない存在」になることが出来ます。
今回は、あえてネガティブな事例を通して、そこから「トレーナーが持たなくては行けない視点」を学んでいきます。
 
北海道のJARTA認定スポーツトレーナーの犬尾です。
 
前回の話から、チームのハイパフォーマンスを実現する上では、「要素主義」ではなく「関係主義」の考え方が必要でした。
参照) スポーツパフォーマンスをあげる3つの要素
 
「関係主義」を使うためには、ハイパフォーマンス実現に必要な「要素」を分解・理解し、それぞれの関係性が頭の中で繋がっている必要があります。
従来、トレーナーの役割とは、選手のフィジカル・メンタルなどパフォーマンスアップを実現するために存在しますよね。
ですが、陥りがちなのが「目の前のことだけに集中してしまう」ことです。
選手のフィジカルが強くなり、個人のパフォーマンスが良くなれば、チームは勝利する訳ではありません。
 

事例

ある野球選手Aさんが、もっとパフォーマンスをアップさせたいとチームの練習以外に、プライベートでパーソナルトレーニングを始めました。
もちろん、そのAさんが元々所属する野球チームには1名トレーナーが配属されています。
 
しかし、チーム内には選手がたくさんいるため、チームで1人のトレーナーに見てもらう時間は限られています。
そのため、Aさんはプライベートでしっかりと見てくれるパーソナルトレーナーを探したのです。
 
パーソナルトレーナーは、Aさんのフィジカルを劇的に向上させ、Aさんの信頼も絶大に高まりました。
Aさんは、そのパーソナルトレーナーの言うことを信用するように、チームのトレーナーの言うことはあまり信用しなくなりました。
 
やがてAさんは、チーム内での練習では、チームのトレーナーが考案したトレーニングをどこか無意識的に、テキトーにこなすようになりました。
それからチーム内で選手同士の会話で、Aさんは「このトレーニングは、意味ない」などと批判するようになったのです。
 
トレーナーがチームバランスを崩す
 
そうなることによって、他の選手にも影響が出始め、全体的に練習の質が下がり始めました。
結果的に、チーム全体の練習とトレーニングの質が下がりました。
 
監督も、パーソナルトレーナーの存在を知らないために、どこで問題が生じたのかを把握することが出来ずに、選手の「練習の質」が下がったことだけに目を向けました。
やむ終えず、選手達のトレーニングを向上させるために、「体制・管理・規制」を強化せざるを得ませんでした。
 
「管理・体制」を強化するということは、不満・不信を呼びます。
Aさんは個人的な実力は向上したにも関わらず、結果的に、チームは試合の時に「なぜか上手く行かない」「勝てない」という事態に陥ったそうです。
これは、私がオリンピックにも帯同するメンタルコーチに話を聞きにいった時に教えてくれた実話です。
 

トレーナーが全体像を把握できていなかった

こう全体像を見ると、色々な問題点が浮き彫りになってきますが、その中で「パーソナルトレーナーが自分の担当する目の前の選手のパフォーマンスアップしか見ていなかった」ことが一因として挙げられます。
もし、このパーソナルトレーナーがチームの全体像も把握して考えることが出来ていたら、Aさんに対する言動・行動、アプローチ方法は変わっていたはずです。
 
また、チーム専属トレーナーも、もし選手一人一人の理解や信頼関係を築いていたら、パーソナルトレーナーの存在にも気付いたり、何か戦略やアプローチ方法は変わっていたはずです。
つまりトレーナーが選手と関わるということにおいて、チームパフォーマンスの関係主義的把握を出来ているかどうかは、「結果に大きく左右する」ということです。
 
次回は「良いチーム」と「悪いチーム」は何が違うのかを要素分解、比較します。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

2014年12月18日

捻挫後の関節のゆるさをゆるめて改善する

不安定な関節が症状をもたらすとされる、足関節靭帯損傷や膝蓋骨脱臼、肩関節脱臼・腓骨筋腱脱臼等は構造的な破綻をきたしています。
そのため既存の治療方法では手術や固定するように強化したりバランストレーニングやテーピング等補助具を利用するのが一般的であります。
 
しかしそこにもゆるめる概念が応用出来ることを皆様はご存知でしょうか?
 
JARTAの赤山です。
 
私は手術センターを持つ整形外科グループに勤めている関係で上記疾患の手術後も保存症例もよく経験します。
私自身も5、6年前までは、不安定性がある関節に対しては時期をみて手術するしかなく、それまではテーピング等で固めたり、強化をするしかないと考えていました。
 
関節がゆるいと硬めるしかないのか1
 
どうしても時期的に保存で対応しなければならない症例を多く経験するなかで、構造的な破綻が軽度であれば機能的な不安定性を充分に改善出来るすべがあることを知りました。
その答えはやはりゆるめることにあったのです。
 
例えば、膝蓋骨脱臼であればもちろん膝蓋骨のモビリティは大きくお皿が外方に偏位しやすくなっているのですが、股関節の適合性をよくしたり、股関節の外転外旋方向への可動域が改善できるようにすれば即時的にお皿の外方への移動量を少なくすることができます。
これはいつもJARTAでお伝えてしているキーマッスルである大腰筋をゆるめることでも可能となります。
 
一般的に関節弛緩性がある、高いと思われる場合でも脊柱や骨盤の動きが硬い選手はよく見受けられます。
足関節靭帯損傷の場合も内反捻挫で距骨の外方の動きが拡大すると相対的に距骨の内側の動きが硬くなっています。
 
またテーピングのしすぎて脛骨と腓骨との動きが悪くなっている選手もたくさんいます。
さらに距骨下関節のモビリティが低下している捻挫後の症例も多く散見します。
 
二次的に短縮している内側の軟部組織や上記問題を解決すると内反方向への動揺は少なくなり、選手は自覚的に安定したように感じます。
関節の適合性がよくなるので当然なのです。
 
関節がゆるいと硬めるしかないのか2
 
そして私の大好きな疾患である腓骨筋腱脱臼。
 
以前両側同時の手術をした選手や再脱臼症例を経験したことで深く理解するきっかけとなり、機能的な問題が多く抱えている事を知ると大好きになりました。
実は私も腓骨筋腱脱臼歴があったのです。
 
腓骨筋腱脱臼は捻挫歴がある選手も多く、距骨の外方の動きは大きくなります。
背屈動作時距骨の後方への動きが必要以上に大きいと外果後方の溝は相対的に浅くなります。
 
ここに上記捻挫でもあげたような脛骨腓骨間の可動性低下があり背屈時の腓骨の動きが乏しいと腱は脱臼する方向へのストレスが強くなるのです。
あとは足根骨のモビリティや長腓骨筋と短腓骨筋との関係性など問題となる要素は他にもたくさんあります。
 
関節がゆるいと硬めるしかないのか3
 
患部の不安定性を身体特性や他部位との関係性を考慮した上で必要な部位を適切にゆるめることができれば関節を『硬く』することができる。
 
JARTAセミナーではこういった体験も随所でしていただけるかと思います。
難しい表現もありましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

2014年12月12日

アスリートにとっての頭の位置

アスリートのプレー中の動作を見ているときに、頭の位置に注目したことはありますか。
 
JARTAトレーナーの枝次です。
 
先日アスリートの動きについて考える機会があったので、動画、写真を見ていました。
そこで一流アスリートはプレー中「頭の位置は水平である」ということに気が付きました。
 
頭の位置1
 

頭が水平であるメリット

頭が水平に保たれることで、目の高さ、耳の高さは一定になります。
アスリートにとってバランス感覚は重要な能力です。バランス能力は「静止または動的動作における姿勢維持の能力」と定義されています。
 
またバランス能力とは、平衡機能、バランス感覚などと同義で姿勢の安定を保つ能力であり、筋収縮を巧みにコントロールする能力であるとしています。1)
 
姿勢維持の能力として機能するひとつに平衡感覚があります。
平衡感覚は、運動している時や重力に対して傾いた状態にある時にそれを察知する働きをしています。
 
人の身体の平衡感覚は前庭感覚、深部感覚、皮膚感覚、視覚が作用するといわれています。
アスリートはプレーしている動作、姿勢すべてにおいて平衡感覚を働かせています。平衡感覚を働かせることで、いま自分の身体がどの程度傾いているかを判断し次の動きに活かします。
 
一流アスリートは頭を水平に保ちバランス能力が維持され、プレー中も安定した身体の使い方が可能になります。
頭の位置2
 

頭を水平に保つ条件

頭を水平に保つためには、頚部と頭蓋骨の間の筋肉がゆるんでいることが条件です。
 
頭蓋骨と頚部をつなぐ筋肉に後頭下筋群があります。
後頭下筋群とは
1.大後頭直筋
2.小後頭直筋
3.上頭斜筋
4.下頭斜筋
の4つの筋肉です。
 
後頭下筋群は頭部の伸展、回旋、側屈の作用があり、この作用が様々な姿勢をしたときに目線を水平に保つための調整をしています。そこで、後頭下筋群が固くなっていると頭は水平に保ちにくくなります。
JARTA講習会では、頸椎調整のテクニックを紹介しています。
参照) JARTAベーシックセミナー
 

まとめ

一流アスリートはプレー中、頭を水平に保っています。
サッカー、ラクロス、バスケットボールと接触プレーが多いスポーツでも、頭を水平に保つことが重要になります。
 
頭を水平に保つためのポイントは、後頭下筋群がゆるんで機能することです。
アスリートの動きを見るときに、頭の位置に注目することで、選手のパフォーマンスアップに繋がる活路が見つかればと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございます。
 
【文献】
1) 内藤久士(1991)高齢者のバランス能力 体育の科学41,9,719-724

2014年12月08日

アイススレッジホッケー体験会のご報告

11月30日(日)に岡山国際スケートリンクにて、D-SHIPS32主催のアイススレッジホッケー体験会が開催され、見学させていただいたのでご報告いたします。
 
岡山県で活動しています、JARTA認定スポーツトレーナーの岡﨑稜です。
 
アイススレッジホッケーとは、下肢に障害を持つ人たちのために、「アイスホッケー」のルールを一部変更して行うスポーツです。
「スレッジ」と呼ばれるスケートの刃を二枚付けた専用のそりに乗り、左右の手にスティックを一本ずつ持ってプレーします。スティッックにはアイスピックとブレードがついており、漕ぐ動作で前に進み、ブレード部分でパックを操り、パスを出したり、シュートを放ったりします。
 
アイスホッケー同様にボディチェック(体当たり)が認められており、「氷上の格闘技」と呼ばれるほど非常に激しいスポーツです。
 
日本国内で開催される大会への参加は、男女、年齢、障害の有無に関係なく、誰でも参加することが可能です。ただし、パラリンピック等の国際パラリンピック 委員会(IPC)公式競技大会および公認大会への参加は、

通常のアイスホッケーの試合に出場できない永久的な障害を持つ選手でなければならない」
(引用:日本アイススレッジホッケー協会HP

と規定されています。
 
アイススレッジ日本代表は2010年のバンクーバーパラリンピックで銀メダルを獲得されており、主催者のD-SHIP32船長(代表)の上原大祐さんは準決勝のカナダ戦で決勝のゴールを決められています。
アイススレッジホッケー体験会のご報告1アイススレッジホッケー体験会のご報告2
 
今回の体験会は、「西日本初のスレッジホッケーチームを作ろう!」をコンセプトに開催され、子供から大人までが楽しみながら体験することができ、私も体験させていただきました。
 
前に進むことも、ドリブルすることも、シュートを打つことも、すべて2本のスティックを使って行うため、うまくバランスをとれず何度も転倒しました。
上原さんのデモンストレーションでは巧みにスティックを操ってすごいスピードでリンクを滑走しゴールにパックを打ち込んでいました。
 
なかでもスティック1本だけで滑っていたときは、全身で波を打つように滑らかな動きで参加した人たちを魅了していました。
実際の競技場面では素早く動くなかでもスティックでパックを操り、不安定な中でのボディコンタクトもあるため高度な身体操作が必要とされると感じました。
 
アイススレッジホッケー体験会のご報告3
 
今回の見学では実際にそりに乗って体験させて頂き、アイススレッジホッケーの迫力、楽しさ、そして身体操作の重要性を感じました。
 
今後も体験会を開催されるそうなので興味がある方は、参加されてみてはいかがでしょうか。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
アイススレッジホッケー体験会のご報告4

2014年12月04日

チームパフォーマンスをあげる3つの要素

スポーツパフォーマンスが高いということにおいて、例え個人競技であったとしても「個人の実力・能力だけが高まれば良い」という考え方はとても危険です。
 
北海道のJARTAトレーナーの犬尾です。
 
サッカーや野球などのチーム競技においてはなおさらであり、特に上を目指すには「個人の実力・能力だけが高い」ことがそのまま「勝利」に結びつかないのは自明の理であります。
JARTAのトレーナーがチームに関わる上で、チームがどうやったら良い方向にパフォーマンスを上げることが出来るのか?
 
これを知ることによってあなたは、1ランク上のトレーナーとして、個人やチームでのハイパフォーマンスを実現させ勝利を導く上で、重要な視点を手に入れることが出来ます。
今回からそれを紐解いていきます。
 

JARTAコンセプト

JARTAのコンセプトは、何もアスリート個人の身体パフォーマンスを上げることだけに使えるものではありません。
JARTAのコンセプトを理解し、視点を変えることによって、チーム競技におけるパフォーマンスの要素も把握することが出来ます。
 
今回から、「チーム力」これについて深く追求していきたいと思います。まずは、JARTAのコンセプトである「統合化」「関係主義」の概念。
チーム競技がハイパフォーマンスを実現する上でもこれが当てはまります。
 
特に主要な要素は3つあります。
チームパフォーマンスをあげる3つの要素
① 個人の力
② マネジメント・サポート力
③ 認識力(内的・外的)
 
これらは、1つだけを取り上げて向上させたとしても、全体のバランスを崩してしまい、結果的にチームパフォーマンスは下がってしまいます。
 
まず個人の力。
サッカーでFWだけズバ抜けて能力が高くても、チームとして勝てるわけではありませんよね。11人の中で1人だけ個の力を伸ばしても、チームとしてパフォーマンスが高いとは言えないのです。
「チームの勝利」において、個の力が高いことは必要条件であるが、十分条件ではないのです。
 
次にマネジメント力。
例えば、戦略や体制、監督などをコロコロ変えていったところで、いくらそれらが優れたモノだったとしても、パフォーマンスを劇的に向上させることには繋がりません。
プロでも勝てないチームでは、よく見かけますよね。
 
最後に認識力ですが、これは内的と外的に分けることが出来ます。
ここでいうチーム内での内的認識力とは、「人間関係」であったり、「共通認識」であったり「コミュニケーションの質」であったりします。
外的認識力とは、チームの外への認識力を指します。例えば、「相手チーム」「応援してくれる人」「社会的立場」などのようなものです。
 
これらの要素だけが例えよかったとしても、肝心な①個人の力や②マネジメント力がなければ、チームは勝てないのです。
 
1つの要素だけを上げたら、全体が変わるだろうと見込む考え方を「要素主義」と言います。
ですが、大切なのは3つのバランスなのです。
 
これら3つはどれか1つが変化すれば、他の要素にも必ず影響するように出来ています。
それぞれの要素を理解した上で、お互いの関係性を把握しながら進める考え方を「関係主義」と言います。
 
我々トレーナーは、自分が相手にする選手だけのパフォーマンスを考えていれば言いわけではありません。
チームが結果を出すためには、トレーナーが全体像の関係性を掴んでいるのか、一部分しか見ていないのとでは、言動・行動が変わってくるからです。
 
今回は、JARTAのコンセプトをチームビルディングに当てはめて解説しました。
 
チームビルディングとJARTAの概念の融合。
 
これを把握できるトレーナーは、「選手・チームの勝利になくてはならない存在」になるはずです。
 
次回はそれをもっと紐解いていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年11月29日

フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?

フィギュアスケートは採点競技です。点数は「技術点」と「演技構成点」の2つの合計から算出されています。
ここで重要になってくるのは、単純に失敗なく演技をするだけでなく、芸術的観点を考慮する必要があります。
 
JARTAトレーナーの田中紀行です。
 
今回は、私が担当しているジュニアフィギュア選手が、中部地区の予選を無事通過し、全日本フィギュアスケートノービス選手権大会に出場しましたので、サポートの際に特に注意をしたポイントを挙げたいと思います。
 
フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?1
 
 
そのポイントをずばり挙げます。それは格定力です。
 
下の図は、JARTAのベーシックセミナーで格定力の説明の際に用いられる図です。
 
フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?2
 
格定力は『局面に応じて、自由に身体の状態を変化させられる能力』と定義されています。
Stiffness(かたい)な状態ではなく、Free(ゆるい)な状態であること、つまり、より自由に身体をコントロールできる状態がパフォーマンスにおいて重要となってきます。
 
Freeな状態は筋肉の収縮と弛緩の幅が広く、ハイパフォーマンスが実現できる身体使いを意味します。必要な場面においては、しっかりと筋肉の収縮をする反面、局面によっては脱力をすることが出来るということです。
 
フィギュアの演技構成点は、「スケーティング技術」「技のつなぎ」「演技力」「振り付け」「音楽の解釈」の5項目で構成されているため、各項目において最適な状態を演出するためには、格定力が高いことは必須のこととなります。
技術やパフォーマンスを向上させるために、多くの場面で筋力トレーニングを選択されがちですが、筋力トレーニングばかりを推奨することは、収縮ばかりを進めることになり、結果的にStiffnessな状態を作る事になりかねません。
 
収縮に偏った状態は、選手のパフォーマンスを下げてしまうばかりでなく、身体のバランスが崩れやすいため、怪我に繋がる可能性もあります。
 
今回の中部地区の予選では、選手の格定力をしっかりと引き出すために、トレーニング時に体軸をしっかりと構築しました。
体軸を構築することで、立位(1次姿勢)が最小限の力で脱力して立つという状態になります。完成度の高い立位は、フィギュアのスケーティング、ステップ、ターンやジャンプの土台となります。試合が続くほどこの能力は影響してきます。
 
ジュニア世代の選手にとって、このシンプルなトレーニングの繰り返しが、後に選手の能力を開花させることになります。
トレーナーとしてより良い方向に選手を導く努力は、選手だけでなくトレーナー自身も常に探究していかなくてはいけませんが、シンプルな中に常に答えはあると思います。
 
フィギュア選手の競技結果を左右するJARTAのコンセプトとは?4
(堀見選手:スペリオール愛知FSC)
 
JARTAのコンセプトは、そのようにシンプルでとても重要な内容になっています。興味のある方は是非ベーシックセミナーを受けてみてください。

2014年11月24日

スポーツや医療における普通は「ふつう」じゃない

医療の世界では「普通」という表現をよく使います。
 
「普通はこれくらいです」
「普通にしていれば大丈夫です」
 
本当に便利な言葉ですが、一般的な普通が医療の世界では普通ではなかったりすることも珍しくありません。
選手が普通と思っていてもそれが我々トレーナーにとっては全然普通ではない場面は、皆様もこれまでに経験されたことがあるのではないでしょうか?
 
JARTAの赤山です。
 
ちなみに私のことをご存知の方はよく知っていると思いますが、私は普通という表現が嫌いです。
スポーツや医療における普通は「ふつう」じゃない1
 
代表の中野と同じくかなりの『あまのじゃく』です。
これはきっと両親の影響を多分に受けていると思うのですが、私の両親は皆が持っているからゲーム機が欲しいと言っても絶対に買ってくれませんでした。
 
「なんで皆が持っているものが欲しいのか?」
「流行っているから欲しいのか?」
「そこに自分の意見はどこにある?」
 
このように小学生の頃から育てられました。
 
おかげで「教科書でも本当のことが書かれているのか」、「先生の言っていることは本当なのか?」という視点は学生の頃から常にありました。
疑問を解消しないと気持ちが悪いような性分に育てられてしまったのです。
 
今回は先日患者様から頂いた話を元に、普通ってなんなんだろうということに対して疑問を投げかけたいと思います。
 

それは「ふつう」?

半月板損傷の患者様で、長距離ランナーでした。
自身も現役でありながら小学生の陸上スクールで指導をされているという方で、私が指導した内容をすぐに選手に試したり、ケアやトレーニングを導入されており夏場に大きな気づきがあったようです。
それは、指導していた選手が中学生に上がって練習がハードになっても、スクールの卒業生だけが練習をリタイアせずに練習に参加できているということです。
 
その時の会話の中で、「ふつうは中学に上がると練習量も急に増えて夏までに何らかの故障をする子がほとんどなんです」、「でもうちの子達だけが故障せずに練習参加できてるんです、これってふつうですか?」と聞かれました。
 
その疑問に対して私は、
「それがふつうじゃないでしょうか」
と言いました。
 
スポーツや医療における普通は「ふつう」じゃない2
 
私は以前コラムでスポーツの5月病というテーマで記事を書いています。まだご覧になっていない方はぜひお読みください。
参照) スポーツ業界における五月病とは?
 
ここに書かれているのが現在の部活動のおそらく普通です。
でもしっかりと準備や知識を得ることでそれが普通じゃなくなる。私たちが目指すべきところはそこにあります。
 
私のサポートしているチームには慢性障害を抱えている選手はほぼいません。しっかりとしたサポートが包括的にできれば慢性障害はなくなると思っています。
 

まとめ

50年後くらいに教科書から慢性障害のページなくなるくらい、正しい身体の使い方やケア、トレーニングが普及すればきっと日本は世界で活躍できるのではないかなと思っています。
皆様の中で「これは普通じゃない!」と感じるスポーツ現場での現状や、新しい普通について考えている方がいらっしゃいましたら、ぜひメッセージをください。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

2014年11月20日

JARTAアドバンスⅢを受講済みの皆様へ

平素より大変世話になっております。JARTA認定スポーツトレーナー試験事務局です。
JARTA認定スポーツトレーナーになるための、認定試験の日程が決定しましたのでご案内致します。
 
なお、アドバンスⅡまでの受講にて認定スポーツトレーナー試験の受験資格を有するという特例措置は終了致しました。今回からはアドバンスⅢまで受講していることが条件となりますので、ご了承ください。
認定試験の案内

JARTA会員制度について

主にJARTA認定スポーツトレーナーのレベル維持・向上を目的として、創設。(年間2~3回のJARTAセミナーの受講にて年会費額以上の割引が得られます。)
年会費|10,000円(自動更新)
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2014年11月19日

ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!

今回は大腰筋を機能的に使わせるための大前提の要素を1つお話します。合わせて具体的な評価方法も踏まえてお伝えします。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
大腰筋がハイパフォーマンスにつながることは以前こちらのブログのテーマにあげました。
参照)ハイパフォーマンスに欠かせない裏転子と大腰筋の関係
 
結論から申し上げますと、ハムストリングスが働かないと大腰筋は機能しません
ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!1
 
 

なぜハムストリングスの柔軟性が大腰筋のハイパフォーマンスに必要か

大腰筋を使うためには、反対側の拮抗筋であるハムストリングスの柔軟性が非常に重要になります。
ハムストリングスが硬くなっていれば、骨盤を後傾させて十分な骨盤運動が行えず、大腰筋の位置は固定され、遠心性だけで使われてしまいます。
 
この状態でいくら大腰筋のトレーニングを行っても効果は現れません。言うなれば、お菓子を食べながらダイエットをしているようなものです。
ではハムストリングスの柔軟性をどのように評価すれば良いでしょうか。
 

具体的なハムストリングスの評価方法

ハムストリングスの柔軟性の評価としてはどんな方法が考えられるでしょうか。
 
たとえば、前屈やSLRなどがあると思います。
ただし前屈でのハムストリングスの柔軟性評価は、非常に代償しやすいです。肩甲骨の柔軟性や脊柱の柔軟性があれば前屈は意外と簡単に手がつくものです。
 
ではSLRでハムストリングスの評価を行うか。 これも間違いではありませんが、他動的にハムストリングスが伸ばされるだけなのであまり機能的な評価とは言えません。
 
私が現場で多用しているのは、「長座位」での評価です。
ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!2
 
 
きっちりとした長座位をとれるかどうかを評価します。

  • 床に対して骨盤が垂直になって、その上に肋骨がまっすぐの乗れること
  • 加えて頭部も骨盤とほぼ垂直位置になっていること
  • この状態から足関節背屈させ膝の伸展が出来ること

これがスポーツ選手に要求する長座位(ハムストリングスの柔軟性)です。
 
遠心的にハムストリングスが収縮した状態で骨盤を直立化することが出来れば、大腰筋を使用するにあたってのハムストリングスの柔軟性としては良好です。
ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!3
 
 

まとめ

今回は「大腰筋を使用する際のハムストリングスの柔軟性」というテーマでした。
明日から実際現場で試してみてください。おそらくほとんどのスポーツ選手がこの長座位をとることが難しいです。それだけスポーツをする身体の前提条件が整っていない選手が多いのです。
 
みなさんからも「こんな評価を使っている」などありましたらコメントから投稿お願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年11月14日

大阪でナイトセミナーを開催します

JARTA代表の中野が、来月大阪でナイトセミナーを開催します。
 
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セミナー詳細

テーマ

「スポーツ分野での療法士の可能性」

日時

12/19(金)の19:00~20:00

場所

難波御堂筋ホール

対象

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、学生(PT、OT、ST)
 

内容
  • トップアスリートのトレーニング法
  • 僕はなぜJARTAを作ったのか?
  • 本当にやりたいことをしよう

 

費用

事前申し込み:1,000円 (①電話)
当日申し込み:2,000円
学生:無料(事前申し込みをお願いします)
 

申し込み方法

① 電話
平日(祝日も営業) 9:00~17:30
072-224-7707 シャローム訪問看護ステーション内
 
お忙しいとは思いますが、ぜひご参加ください。
セミナーの詳細についてはこちらをご覧ください。

2014年11月13日

最初の一歩を速くする秘密

バスケットボールでもサッカーでもなんでも、スポーツにおいて「最初の一歩」はとても重要な意味を持ちます。
「最初の一歩」が0コンマ何秒でも速く、かつノーモーションであることが実現できれば、それはパフォーマンスにおいて大きなアドバンテージを持つということになります。
 
はじめまして。北海道で活動していますJARTAトレーナーの犬尾です。
 
以前JARTA代表の中野が、ブログでその速度についての「定義」「概念」を解説しています。まだご覧になっていなければ、まずそちらをご覧ください。

 
今回はその「一部」を代表中野とは違った表現で書いていきます。
 
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この「最初の一歩」。実は、従来の欧米式では考えられないほどの身体技法が日本にはありました。
初速の動作が速くノーモーションを実現できる選手は、それを無意識に獲得しています。
 
しかし、我々スポーツトレーナーは、選手にそれを再現させなくてはいけません。それをしっかりと分解し、どのような要素が絡み合って実現したパフォーマンスなのかを理解しておく必要があります。
 
次に具体例をひとつご紹介します。
 

「膝を抜く」という技術

従来、足を一歩踏み出し前進するという人間の動作は、「重心を前に移動させ、地面をつま先で蹴り出す」という認識が一般的です。
 
いかにその動作を速くするか。
 
そのために、股関節を素早く曲げるだとか地面を強く蹴る筋力をつけるなど、さまざまな方法でトレーニングされてきました。
しかし、実は初速の動作が素早くノーモーションである超一流の選手の体の使い方は、全然違いました。
 
いかにノーモーションで、爆発的に動き出すか。
 
そのために重要な体の使い方は、古来より日本に存在したのです。
それは、殺し合いの中で発展してきた「武術」の中にある身体技法の1つで「膝を抜く」という技術です。
 
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文章では説明しづらいですが、これは前に進むという動き方ではありません。
前に進むにあたって、重心を前に移動させて地面を蹴るのではなく、膝をカクンと力を抜く感じで、「崩れ落ちる」という感覚に近いと思います。
 
ただし、これは身体全体が緩んでいることが前提です。
 
そこから爆発的に前方に進むためには、体の「ある部分」を使い、その動作に必要なだけの力の量を出力させるという高度な技術が必要になります。
これは、JARTAでは「格定力(かくていりょく)」と呼んでいます。
 
もちろん、その他にも軸を操作する意識だとか色々な要素が複雑に関係し、超一流の「最初の一歩」を再現することが出来るのです。
 

まとめ

スポーツ選手に獲得させたいノーモーションで素早い「最初の一歩」。実はとても複雑で高度な技術がいくつも隠されているのですが、その中の1つに「膝を抜く」という技術が必要になります。
これは従来の「蹴り出す」ことよりもコンマ何秒も速く、しかも相手に動きを読まれづらいという特徴を持ちます。
 
JARTAで学べるトレーニングの中には、その「武術」の要素がたくさん含まれています。
頭で理解するよりも、感覚的に体感するのが一番速いと思われます。是非、皆さんも選手や自分の身体技法に注目して行ってみて下さい。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年11月07日

トレーナーと病院の関わり方、これを知らずにトレーナー活動はするな!

「どこかすぐに診察してくれる整形外科の病院とかクリニックは知らないですか?」
皆さんはこの質問にすぐに答えられますか?
 
JARTAトレーナーの藤田です。
 
チームをサポートしていると、すぐに診察してくれる病院について必ず質問を受けます。
誰から聞かれることが多いかというと、もちろん指導者(監督・コーチ)や選手がほとんどですが、稀に保護者の方から質問を受けることもあります。
 
この質問が実はとても重要で、答えることができないというのでは信頼を落としてしまいます。
 
トレーナーと病院の関わり方、これを知らずにトレーナー活動はするな1
 

どう対応するか

理学療法士仲間から仕入れた情報や、インターネットなどで調べた情報をチームの監督やコーチに伝えるのですが、特にチームの所在地にどのような病院があり、どのような対応をしてもらえるか、しっかり把握するようにしておきます。
 
把握しておくことで重要な情報とは、

  • 所在地
  • 診察時間(休診日や救急対応の有無)
  • 初診でも可能か
  • スポーツDr.かどうか
  • スポーツDr.の専門分野(膝・肩など)
  • スポーツDr.の専門競技(経歴を見れば分かります)
  • レントゲンやCT、MRIの有無 など

 
以下詳しく見ていきましょう。

所在地

可能な限り近いところがいいです。
迅速な対応が必要な場合もありますし、受診後に練習を行うこともできまた練習後に受診することができるからです。
 
受診のために練習を1日空けてしまうより、近くで受診ができ少しでも長くチームでプレイできる方がチームにも迷惑はかかりません。
 

診察時間(休診日や救急対応の有無)

スポーツ外来をしているところは基本的に夜診をしていることが多いのですが、曜日が決まっていることもありますので要確認が必要です。
また試合は土日祝日が多く休診日にあたることがほとんどですので、土日祝日も診察をしてくれるようなところ知っているのでも違います。
 

初診でも可能か

ほとんど大丈夫ですが、ときどき紹介状がないとダメだという病院もありますので事前確認は必要です。
 

スポーツDr.かどうか+専門分野や競技

かなり重要な情報です。
 
実際の現場でも「整形外科に診察に行って◯◯と診断されました。復帰まで◯◯週間、◯◯ヶ月安静ですと言われました。」ということは多々あります。しかし詳しく聴いてみるとスポーツDr.ではなく一般整形外科だということがほとんどです。
診断に関しては間違いないことの方が多いですが、一般整形外科医とスポーツDr.では、復帰までのプロセスや安静期間に違いがあります。
 
スポーツDr.であれば様々なバックグラウンドをイメージした結果、試合に間に合うようなメニューやリスクをしっかりと教えてくれます。特に専門分野や専門競技のチームDr.となればなおさら話は変わってきます。
 

レントゲンやCT、MRIの有無

見た目には凄く腫れていても実際にレントゲンやCT、MRIを撮ってみると何も異常がないということも多々あります。
そのためしっかりと設備が整っているかを確認することが重要です。今では超音波(エコー)を使用して診断してくれるところもあります。
 
トレーナーと病院の関わり方、これを知らずにトレーナー活動はするな2
 

受診後の対応

次に受診後の対応について考えていきます。
受診後に重要な情報は、

  • 診断名
  • 受傷箇所(骨折・靱帯損傷・肉離れ など)
  • 安静期間
  • 復帰時期
  • 復帰までに実施してもよい練習やトレーニング など

 
これらを把握していなければトレーナーとしてケガをした選手にどのように対応してよいのか判断に困り、選手を最短距離で復帰まで持っていくことができません。
またこの内容を普段から選手や指導者にも伝えておくことが重要です。
 
最善策は受診に同行すればDr.から色々な情報を聞くことができるのでいいですが、同行が難しい場合もあります。
あと、トレーナーがチームに所属しているということをDr.に伝えてもらうことも重要です。トレーナーの保有資格も伝えれば、Dr.も指示が出しやすくなるからです。
 

まとめ

トレーナーである以上、必ず質問される内容のため知らないではすまされず、知らなくては良い信頼関係を築くことはできません。
受診前や受診後で必要な情報は異なりそれぞれ必要な情報は把握し、指導者や選手・保護者にも伝えておくことが重要です。特に遠征時でのアクシデントは対応できないことがあるため県外での情報も重要です。
 
JARTAでは全国各地に認定スポーツトレーナーがいるため、急なアクシデントにも迅速に対応することができます。

2014年11月04日

All About にJARTAが紹介されました

JARTAからのお知らせです。このたびJARTAがAll Aboutで紹介されました。
 
「新卒理学療法士に伝えたい就職と将来設計」というテーマで、理学療法士の野田卓也先生が就職先の決め方を実例としてご紹介してくださっています。
ぜひご覧ください。
⇒ 新卒理学療法士に伝えたい就職と将来設計

2014年11月01日

ウォームアップをする必要性は?

多くの方は生まれた時から運動前にウォームアップをするという流れを自然と行っています。アップは当然に行うものだと思っていませんか?
 
動物は獲物を獲る前にウォームアップをするか?
原始時代や戦国時代はウォームアップをしていたのか?
 
今回は、何の疑いもなく行っていた運動前のウォームアップについて考えてみしょう。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
ウォームアップをする必要性は?1
ウォームアップがいつの時代から始まったのか。私も調べてみたのですが今のところ明確な答えはわかりません。
 
ただおそらく原始人時代?武士の斬り合いの時代まではウォームアップはなかったと考えています。というよりもウォームアップをしている時間がないのです。
目の前に獲物が現れ、すぐに捕らえないといけない。刀を持った武士が現れたらすぐに斬り合いを行わなければいけない。そんな緊迫した状態に常に置かれていた時代です。
 
これは動物にも当てはまります。
 
チーターやライオンがウォームアップをする姿は未だかつて見たことがありません。つまり昔の時代や動物は常に動く準備が出来ていたのです。
ウォームアップが必要ないほど、日常生活で身体を動かす機会があったのです。
 
では現代人はどうなのか。
 
動くことを忘れた現代人にはウォームアップは必要かもしれません。日常生活で固まりきった筋肉を起こす必要があります。なまりきった身体に刺激をいれる必要があります。
ウォームアップをする必要性は?2
これが筋トレという手段や、ストレッチになるのかもしれません。
 
本来であれば人間にウォームアップは必要ありません。
選手にも昔の時代のように、ウォームアップが必要ないくらい普段の生活をトレーニングとして捉えてほしいのです。
 
誤解を招くといけないので補足しておきますが、ウォームアップが必要ではないというわけではなく、ウォームアップが不要なぐらいいつでも動ける身体の準備状態を作っておいて欲しいのです
 
以前、タレントの武井壮さんが話していた言葉が印象的でした。
「24時間トレーニングしている。日常がトレーニング。」
彼はトレーニング時間だけトレーニングをするのではなく、生活をトレーニングにしているからこそ素晴らしいパフォーマンスを維持できるのでしょう。
 

まとめ

今回はウォームアップの必要性についてのお伝えしてきました。
24時間日常生活をトレーニングにすることが出来れば、昔の時代や動物のようにウォームアップが不必要になるかもしれません。

2014年10月29日

スピードアップ介入報告 〜常葉橘中学校サッカー部編〜

以前ご紹介しました、サッカーの強豪校・静岡県常葉橘中学サッカー部のサポートの経過報告をさせていただきます。
 
JARTAトレーナーの荒川です。
 
以前、このチーム全体の目標が『スピードアップ』ということをお伝えさせていただきました。忘れた方や、まだご覧になっていない方は先にこちらをご参照ください。
参照)静岡県のサッカーの名門校、常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告
 
スピードアップ介入報告中学サッカー編2
 
今回は3カ月の介入で『スピード』がどのように変化したのか報告させていただきます。
結果ですが、タイトル通りスピードアップしています。
 
方法は「気を付け」の姿勢をスタート姿勢とし、直線30mのタイムを測定し、チーム平均、選手1人1人の変化を出しました。
なぜ50m走などでとる構えでなく「気を付け」の姿勢からスタートするのかというと、サッカーにおいては走る前に走るための姿勢をとることは少ないからです。
 
チーム平均タイムは3.95→3.75秒と改善し、個々の選手の変化では誰一人タイムを落とすことがなかったのも特徴です。
 
 
このタイムの変化は走る速度そのものと、動き始めの早度の双方がレベルアップした結果であると確信しています。3か月間行ったトレーニングには双方を向上させる要素を含んでいるからです。
また、前回報告に掲載してあるスパイラルレッグショットなど、各トレーニングの精度、意識もレベルアップしており、チーム全体として真剣に取り組んでくれた結果だと感じています。
スピードアップ介入報告中学サッカー編1
 
ちなみに50m走のタイムに関しても軒並みタイムを縮めていまして、こちらは新聞にも次のように取り上げられました。

また7月からは走力向上を目指し、武道の概念を応用したトレーニングを指導している「JARTA」からトレーナーを招いた。最近測定した50m走ではDF水野光太郎(3年)が昨年の7秒3から6秒7と0.6秒縮めたのを筆頭に、軒並みタイムを縮めた。
引用)日刊スポーツ(2014年10月6日朝刊静岡版) 常葉橘中学校サッカー部の特集記事より

 
 
先ほどから「速度」「早度」など聞き慣れない言葉が出ておりますが、JARTA代表・中野のブログで詳しく解説しておりますので、気になる方はそちらをご覧ください。
参照)

 
 
今回は動き出し、直線という設定でのスピードアップを実現しましたが、サッカーにおけるスピードアップにおいてはようやくスタート地点に立ったところです。
今後はサッカーにおけるさまざまな場面でスピードアップを実現できるように介入していきます。
 
 
結果を受けて、特に誰一人タイムを落とさなかったことはチームスポーツの魅力を再確認させてもらい、常葉橘中学のチーム力に驚かされています。今後もこのチームのサポートをできる喜びを感じて、現場に向かいます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

JARTAトレーナー 荒川

2014年10月24日

京都大学野球部・田中英祐選手、ドラフト2位で夢のプロ野球へ!!

JARTAから本日は大変嬉しいご報告です。
JARTAトレーナーの藤田友和が、以前よりサポートしている京都大学硬式野球部の田中英祐投手が、昨日のドラフト会議にて在京球団より2位指名を受けました。
 
京都大学硬式野球部創部116年の歴史で初の快挙であり、またJARTAがサポートしている選手としても初の快挙です。(プロ野球で活躍している選手は多数サポートを行っていますが、アマチュアからプロへは初です)
 
田中投手は最速149kmのストレートを武器に思い切りのよいピッチングを売りにしています。また京都大学出身ということもありその頭脳を駆使したピッチングにも今後注目です。
田中投手の投球の秘密については、JARTA代表の中野もブログで紹介しています。
 
まだまだ伸び代が多くある選手ですので今後の活躍に期待してくだい。
 
今後も継続してサポートして参りますので、皆様「田中英祐投手」へのご声援をよろしくお願い致します。
京都大学野球部田中英祐投手1

2014年10月22日

JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告

スポーツ現場でのトレーナー活動の際、生死にかかわる最悪の状態に遭遇することは絶対にないとは言いきれません。
その最悪の状態に遭遇した時に迅速に適切な対処ができるように、JARTA認定スポーツトレーナーには心肺蘇生法など救急法の習得を義務づけています。
 
少し前の話になりますが、認定スポーツトレーナーを対象に義務研修を開催しましたのでご報告申し上げます。
 

開催日

2014年8月30日(土)

内容

午前:赤十字による救急法基礎講習
午後:認定スポーツトレーナー研修会

  • Case study①、②
  • 現場での対応についてのdiscussion
  • JARTAトレーナーとしての心得等

 
認定スポーツトレーナー研修会では実際の現場での検討課題についてディスカッションしたり、全ての事象に対して関係主義的に考える方法を伝えていただきました。
また選手、チームスタッフへのプレゼン方法についてもお話いただきました。
 

救急法基礎講習

【座学】

  1. 赤十字救急法について
  2. 手当の基本
  3. 一次救命処置(心肺蘇生法、AEDの使用法、気道異物除去)

についてご講義いただきました。
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告1
【実技】

  1. 手当の基本
  2. 一次救命処置(心肺蘇生法、AEDの使用法、気道異物除去)

について実際に行う方法を実技でご講義いただき練習をしました。
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告2
 
まずは講師の先生のお手本を見せていただきました。
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告3
 
早速実践練習です。傷病者の方の意識確認をしています。
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告4
胸骨圧迫(心臓マッサージ)の様子です。
 
実際の危機的現場に遭遇したことを想定し受講者各々がリーダーとして指示を出しながら真剣に取り組んでいただけました。
 
 

認定スポーツトレーナー研修会

【Case study①】
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告5
荒川トレーナーによる症例検討1です。
実際のスポーツ現場での検討課題等を出し、認定スポーツトレーナー同士で意見を出し合いました。
 
チーム単位での関わりの難しさや複数トレーナー間での評価の統一等、課題がたくさんあがっておりました。それぞれ違う視点での意見交換の場になり視野が広がったのではないかと思います。
 
【Case study②】
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告6
藤田トレーナーによる症例検討2題目です。
パーソナルで関わりのある選手一症例を出しどのように評価し考えていったのか。
 
体の使い方と症状の関連性の評価はどのように行ったか、またそれを選手にどのように伝えたのか、などを詳しく伝えていただきました。
 
【現場での対応についてのdiscussion】
(実際に選手をどのように診ていくかの考え方など)
JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告7
赤山トレーナーによる現場での対応について話していただきました。
「実際に選手をどのように評価しているのか」
訴えや症状のある局所にとらわれず全身を診て評価していく必要性や、身体の事だけではなく全ての事象に対して関係主義的に考えるコツについても話していただきました。
 
 

JARTAトレーナーとしての心得等

JARTA認定スポーツトレーナー義務研修のご報告8
最後にJARTA代表中野によるJARTAトレーナーとしての心得についてお話いただきました。
特にプレゼンについてですが、せっかく良いトレーニング方法やコンディションニング技術をもっていてもプレゼン次第で全く逆の反応を得ることもあります。
 
自分が伝えたい事は要するにどういうことなのか。
 
心を引きつける言葉を常に考え行動し、一言で表現できるようにしておくことが大事ということを伝えていただきました。
 

最後に

スポーツ現場に入った際にはまずAEDの位置確認や、救急車の搬送ルートの確認等、最悪の状況を想定した準備は絶対に必要となってきます。
また不安をできるだけ解消した上で現場にでるためには心肺蘇生法等、救急法の習得も必須となってきます。
 
スポーツ現場で危機的状況に陥った場合、真っ先に頼られるのは近くにいるトレーナーです。そのためトレーナー自身が何とかするんだという覚悟を持っておく必要があります。
 
今後も認定スポーツトレーナーへの義務研修は定期的に開催してまいります。

2014年10月21日

JARTA認定スポーツトレーナー紹介 浦波唯史

JARTA認定スポーツトレーナーとして活躍するトレーナーをご紹介させていただきます。
今回は北海道の浦波唯史です。
 
私は理学療法士として急性期総合病院に10年間以上勤務し、競技を問わず多くのアスリートのリハビリテーションを担当してきましたが、パフォーマンスアップに関しては自信を持って関わることができずにおりました。
しかしJARTA代表の中野と出会い、セミナーの受講を通してパフォーマンスアップに対する考え方が明確となりました。
 
JARTA認定スポーツトレーナー取得後には、院内でプロ野球選手、セブンズラグビー日本代表選手を担当する機会があり、その関わりはリハビリテーションに留まらず、パフォーマンスアップに対しても選手から今までになかった新しい考え方であると強い共感を得ることができました。
そして自分の学んだJARTAのコンセプトは、トップアスリートにも通用するものであるということが、不安から確信に変わりました。
 
現在はよりスポーツ現場との関わりを深められる環境を求めて、札幌市内の整形外科専門病院に勤務しております。
 
また私は約200時間の国際PNF協会認定コースを修了しており、コンディショニングとトレーニングのベースは、JARTAのコンセプトに加えてPNFが中心であることから、即時的な変化を与えることを得意としています。
従来のPNFに加えて、関係主義的にJARTAコンセプトのテクニック・概念が融合したコンディショニングは自分の臨床場面において大きな武器となっております。
 
現在の主なスポーツとの関わりとしては、バンクーバーとソチ五輪に出場した女子モーグルの村田愛里咲選手に対して、次期五輪へ向けた関わりを継続して行なっております。
引き続き活動報告等行っていきますので、今後ともよろしくお願い致します。
浦波唯史1

2014年10月17日

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ(大阪)

平素よりJARTAの活動にご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。
JARTA認定スポーツトレーナーの認定試験(大阪会場)の日程が決定しましたので、ご報告申し上げます。
 

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験概要(大阪)

日時

平成26年12月20日(土) 10:00~16:00 (会場9:30~)
※次回の開催は約半年後を予定しています。

場所

大阪市民交流センター にしなり 201室

受験資格

アドバンスⅢまで受講が終了している方
※「アドバンスⅡまでの受講にて受験資格を有する」という特例措置は終了しましたので、今回の試験からアドバンスⅢまで受講していることが必須条件となりますので、予めご了承ください。
※すでに受験済みでランクアップを希望される方は再受講が可能です。試験料金は通常と変わりません。

内容

アドバンスⅢまでの内容で筆記・実技試験
※詳細はお申し込み後、試験の約一ヶ月前に資料を送付致します。

試験料金

20,000円
※JARTA会員初年度年会費、ユニフォーム代を含みます。
※すでにJARTA会員の方は、10,000円にて受験可能です。
※認定者は自動的にJARTA会員となります。
※大変申し訳ありませんが、諸般の事情により次回の開催からは料金が上がります。

お申し込み

こちらよりお申込みください。
☆東京での認定試験はこちらをご覧ください。
JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ(東京)

2014年10月13日

アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手サポート報告 『セルフケアの重要性』

今回は、現在担当している永井雄一郎選手(サッカー関西リーグ1部アルテリーヴォ和歌山所属)への具体的なサポート例を通して、パーソナルトレーナーとしての重要なポイントをお伝えします。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
 
以前サポート報告でもお伝えしたように私は現在、プロサッカー選手の永井雄一郎選手のパーソナルトレーナーを担当しています。
前回の記事をご覧になっていない方はまずそちらをご覧ください。
参照) アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手のサポート報告
 
アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手サポート報告 『セルフケアの重要性』1
 
永井選手はここ数年コンスタントに試合に出場することが出来ず、思うような結果を残せないシーズンを過ごしていました。
 
そこで目標の1つに
「コンスタントに出場すること」
を重要課題として上げていました。
 
この点に関しては、今期行われた公式戦23試合中20試合出場できました。欠場したのは私が関わる以前の5月の2試合と、私が関わってからは3連戦の2試合目に休養目的で休んだ1試合のみです。
 
永井選手曰く「10年くらい記憶にない」という延長戦を含めた120分フル出場できたことや、プロになって初めての連戦を乗り切ることが出来たのは大きな収穫でした。
 
さて、サポートをしていく上で二人の間の取り決めとして、試合後は必ず

  • 試合結果
  • 出場時間
  • 試合後の身体の状態
  • 練習でも身体の異変を感じた際の状態

これらの報告は必ずしてもらうようにしています。
 
アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手サポート報告 『セルフケアの重要性』2
 
私が永井選手のコンディショニングを行うのは月2〜3回ですので、普段のセルフケアの質は非常に重要になってきます。
チームトレーナーではなく、パーソナルで選手に関わる際に必ず留意しなければいけないのは試合中や練習中のトラブルに、トレーナー自身が即座に対応できないという点です。
 
この点はネガティブに捉えられがちですがそんなことはありません。
 
 

なぜネガティブな要素にならないのか?

まず大前提として選手のパフォーマンスを構成する要素の一つに身体があります。身体のケアというのはコンディショニングやトレーニングと同じく選手自身が行うことでパフォーマンスにいい影響を及ぼします。
 
なぜなら身体のケアに必要な選手自身の能力として、

  1. 選手自身が自分の身体の問題点を分析する力
  2. 分析した問題点に対して対応する方法を知っていること

この2点が必須になります。
 
これは「パフォーマンスを上げるにはどうすればいいのか?」という観点と全く同じ要素と考える事ができます。
つまり選手自身のセルフケア能力を高めるというのは、パフォーマンス向上に必要な要素を高めるということがお分かりいただけるのではないかと思います。
 

選手のセルフケア能力を高める取り組みの実際

永井選手からの試合後や練習で起きた問題の報告
(問題だけでなくポジティブな要素も含めて)

報告を受けてこれまで伝えたセルフケアの指導や新しいセルフケア法の動画を送ることで対応。

やってみた感触の報告を受ける。

そのままケアの継続、もしくは別の方法の提案など。
おおまかにはこういったサイクルで行います。
アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手サポート報告 『セルフケアの重要性』3
 
また、実際のコンディショニングの際にもセルフでの対応方法は多く伝えています。
この取り組みには次のような狙いがあります。

  • 選手がより適切に身体の状態を報告出来るようになることで自身の身体に対する内観力を高める
  • 状態に応じたセルフケアを指導することで引き出しを増やしていく
  • 内観力を高めることで選手自身が適切なセルフケアを選択し身体に対する対応力を高めていく

 
何よりこのような取り組みは、試合中におけるパフォーマンスの修正やトラブルに対する調整力を高めることにつながります。
永井選手の話を聞いていると試合中の対応力は明らかに高まっています。
 
コンスタントに試合出場できているのは永井選手が向上心を失わず成長し進化し続けていることが要因です。
 
今季の公式戦は終了しましたが、来季に向けてのトレーニングはすでに始まっています。後の永井選手の活躍を是非ご期待ください。

2014年10月09日

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ(東京)

平素よりJARTAの活動にご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。
JARTA認定スポーツトレーナーの認定試験(東京会場)の日程が決定しましたので、ご報告申し上げます。
 

JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験概要(東京)

日時

平成26年12月13日(土) 10:00~16:00 (会場9:30~)
※次回の開催は約半年後を予定しています。

場所

東京都内にて調整中

受験資格

アドバンスⅢまで受講が終了している方
※「アドバンスⅡまでの受講にて受験資格を有する」という特例措置は終了しましたので、今回の試験からアドバンスⅢまで受講していることが必須条件となりますので、予めご了承ください。
※すでに受験済みでランクアップを希望される方は再受講が可能です。試験料金は通常と変わりません。

内容

アドバンスⅢまでの内容で筆記・実技試験
※詳細はお申し込み後、試験の約一ヶ月前に資料を送付致します。

試験料金

20,000円
※JARTA会員初年度年会費、ユニフォーム代を含みます。
※すでにJARTA会員の方は、10,000円にて受験可能です。
※認定者は自動的にJARTA会員となります。
※大変申し訳ありませんが、諸般の事情により次回の開催からは料金が上がります。

お申し込み

こちらよりお申込みください。
 
☆大阪での認定試験はこちらをご覧ください。
JARTA認定スポーツトレーナー 認定試験のお知らせ(大阪)

2014年10月08日

JARTA統合化トレーニングの導入

下級生時代に活躍していた選手が、学年が上がっても思ったような活躍ができないというケースを見たことはありませんか?
 
JARTAトレーナーの高塚です。
 
私が以前から関わらせていただいている高校野球部で、今年のオフからJARTA統合化トレーニングを本格導入することが決まりました。
 
JARTA統合化トレーニングとは、要素をより細かく分けてトレーニングをして、全体を向上させていく要素主義的な考え方ではなく、フィジカル・スキル・認識力の3つの要素を調和しながら関係主義的にトレーニングを構成していく考え方です。
私は冒頭に書いたような状況に陥った選手を何人も見てきました。
 
JARTA統合化トレーニングの導入1
 
原因は選手により異なり、いくつも考えられるかと思います。

  • トレーニングによる身体意識・機能の変化
  • ケガの発生
  • 周りの環境の変化
  • モチベーションなど精神状態の変化

など、パフォーマンスが発揮できなくなる理由はいくつも挙げられます。
 
特にシーズンオフのトレーニングを進める上で指導者の多くは肉体的・精神的に選手をギリギリまで追い込むことを求める印象があり、選手もハードなメニューをこなしていくことで充実感や達成感を感じることがほとんどです。
この年代の選手たちはトレーニングにしても技術練習にしても圧倒的な練習量をがむしゃらにこなします。
 
また、私が住む北海道では雪の影響により屋外で存分にプレーできる期間が限られており、トレーニングの時間は必然的に多くなってしまいます。(雪が少ない地域は例外もありますし、雪の中での練習をやっているチームもありますが)
 
屋外でのプレーが限られる代償として、練習の仕方や意識によってプレーのスキル、認識力などの感覚がズレてくる可能性があります。

  •  遠くに投げる
  •  打球を飛ばす
  •  打球を受ける
  • 実践的なプレーの際に必要な判断力

などなど、うまくいけば次の年には別人のように成長している可能性もある反面で、努力する方向性を間違えると選手が目指したい方向から逸脱し、思うようなトレーニングの成果が得られない危険性があります。
 
これらの部分で、統合化トレーニングが必要になってきます。
統合化トレーニングを実践する事で上記のような認識力のズレや実際のプレーに反映しにくいといった点が解消できます。
 
競技やカテゴリーによって必要な統合化トレーニングは様々あり、JARTAセミナーの中では治療技術と同じくらい、時にそれ以上に重要視してお伝えしています。
 
JARTA統合化トレーニングの導入2
今年のオフのトレーニング導入の際に、統合化トレーニングの考え方を指導し、チーム全体の共通認識にしていくことで、オフのトレーニングの成果を最大限引き出せればと考えています。
 
オフのトレーニングに関しては、経過をまた報告できればと考えています。
 
最後まで、お読みいただきありがとうございました。

2014年10月02日

スポーツインソールの進歩と人間の足の衰退

最近のインソールの機能は非常に高く、痛みや障害予防パフォーマンスアップまでこなせるようになってきました。
一方で環境や道具を整えることによって人間の足は衰退してきております。スポーツ選手にとって重要な靴やインソール。道具だけを整えるだけで良いのでしょうか。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
スポーツインソールの進歩と人間の足の衰退1
 
近年のインソールは目を見張るほど効果的なものが多いです。

  • 下肢疲労の軽減
  • 衝撃分散
  • 姿勢改善
  • 疼痛の改善
  • バランスの向上、足下の安定

挙げればキリがないほど効果的で即効性がありますが、しかし、科学や医療が発達すればするほど人間の機能低下は免れません。
 
インソールも例外ではありません。
特にスポーツをする若い選手・世代において自分の足をうまく使えず、インソールという道具に頼り過ぎている傾向があります。
 
自分の足への気づきが薄れていってしまうのではないでしょうか。
 

足の機能の低下

人間の足の機能は生まれたときには非常に高いものです。
しかし、靴を履くことを覚え始めると同時に足の能力は低下していきます。靴を履く事で地面との接触は減り、指を使う機会もなくなります。
 
スポーツインソールの進歩と人間の足の衰退2
 
加えて、現代の道は舗装されておりデコボコ道がほとんどありません。足下の道路の形状を感じる事も出来なければ、足を積極的に使う場面もありません。
坂道があっても、エレベーターやエスカレーター、階段があり斜めの道を歩くことは皆無になっています。
 
平坦でまっすぐな道が用意されていれば、人間の足もその整えられた状態に適応していき衰退していきます。
 
これは靴を履く国と履かない国(裸足で生活する国)でもすでに足関節機能の差が顕著に現れています。足裏の型をとると、靴を履く国では重心が偏り、指がうまく使えていないというデータがあります。
 
いつの間にか「靴を履くための足」に変化してきたのです。
 
では「歩くため、立つための足、スポーツをする足」とはどんな状態なのでしょうか。
 
スポーツインソールの進歩と人間の足の衰退3
 

スポーツに必要な足とは

スポーツという激しい動きで必要なのは、どんな地面・局面にも対応できる足です。
当然ではありますが、足指がしっかりと開き、動きに制限がなく十分に筋力が使えることが必要になります。
 
そのための訓練とは良い靴や良いインソールに頼るだけではなく、裸足で動くこと・感じることが大切です。
どこに重心があり、どの足に乗ると動きやすくて、どの部分が動いていないか、JARTAで重要視されている「内的認識力」を変化させることでスポーツのパフォーマンスが向上します。
 
今回はスポーツインソールの進歩と人間の足の衰退がテーマでした。生まれた時の裸足の感覚を取り戻すことがスポーツに必要かもしれません。
 
最後までお読み頂きありがとうございます。

2014年09月25日

第2期 JARTAイタリア研修 後半のご報告

9月13日から始まりました2期目のイタリア研修、後半の内容を簡単に報告させていただきます。
JARTA認定スポーツトレーナーの佐原です。
 
イタリア研修後半では前半以上に、毎晩遅くまでトレーニング指導や内容、プレゼンなどについてみんなで話し合いました。
第2期 JARTAイタリア研修 後半報告1
 
 

イタリア研修4日目

午前中は業務提携を結んでいる、カルチョファンタスティコに所属の日本人留学生のトレーニング指導とコンディション二ングを行いました。
 
19〜26歳の彼らは親元を離れ、異国文化のイタリアでプロ契約を結ぶため厳しい環境で生活しています。
どことなくあどけなさが残る表情の中に、イタリアでプロになるという強い心意気を感じました。
 
日本人のイタリアサッカー界での活躍を期待して、今後もJARTAとしてサポートして行きたいと思います。
 
午後からは、セリエA  SSラツィオの練習を間近で見学することができました。
 
トップチーム選手のしなやかなプレーやフィジカルの強さを目の当たりし、
体格差=フィジカルトレー ニング
という概念にとらわれている、従来の日本での思考では限界があることを強く感じた瞬間でした
 
その後、フィジカルコーチとの対談があり、中野代表がJARTAコンセプトのプレゼンを行いました。
 
セミナーで強く伝えられてきたプレゼンの重要性を、その場で感じることができ、明日からのトレーニング指導を再構築する良い機会となりました。
現場では緊張感がとても強く感じましたが、さすが中野代表。普段通り場の雰囲気にのまれることなく、いつも通りのプレゼンを行っていました。
 
夜からは、テクニカルアドバイザー吉田輝さんの所属しているチームのフットサルの試合観戦がありました。
吉田さんのプレーを見ていると、小柄な身体でも決して当たり負けせず、広い視野、的確な指示を瞬時に判断しておられました。
 
これが世界で戦う選手の背中なんだと強い印象を受け、人間の身体は使い方次第で多くの可能性を持っていると実感することができました。
 
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イタリア研修5日目

朝からスコールに見舞われ、午前中はローマ観光予定でしたが、近くのバールでのんびりと過ごしました。
 
午後からローマにあるヴィーゴルユースカテゴリーのトレーニング指導をしました。最終日の指導でもあるため、研修の総括として取り組みました。
JARTAのコンセプトとも言える武道、武術をベースにした『身体の使い方』を、サッカーの各プレーで使用する有効性を例に挙げて説明しました。
また実際に身体を硬めることによって起こりうるネガティブな概念を、身を持って体感してもらいました。
 
その後、ディフェンスとオフェンスに分けたターン練習やアシストトレーニングを行いました。 言葉はわからなくとも、自分の気持ちを常に選手へぶつけていきました。
第1期研修時の反省点を踏まえ、ジェスチャー を増やしたり、通訳を見ずに選手に語りかけるなど、コミュニケーションを図る際の基礎を大切にして指導を行いました。
 
選手の反応は比較的よかったとのことですが、内容が不足しており自分の事前準備が足りなかったことを痛感しました。
 
夕方からはラツィオのフットサルチームの練習を見学しました。フットサルはサッカーと比較すると、コンタクトが非常に多く、狭いスペースでの駆け引きが重要だと感じました。
トップチームでも体型•体格には非常にバラつきが見られ、小柄な選手でも戦っていけるのは、サッカーコートよりも更に小さいコートが、無意識的に身体の使い方を捉え易い環境にしているのではないかと感じました。
 
第2期 JARTAイタリア研修 後半報告3
 
最終日の夜、今回の研修に参加したJARTAトレーナーの赤山、枝次、佐原の良かった点と悪かった点を説明し合い、自分は下記のような指導を受けました。

  1. 初めての経験に逃げ過ぎている
  2. 指導時に余裕がなく視野が狭い
  3. 自分を出し切れていない。また積極性に欠けている。
  4. テクニカルアドバイザーの吉田輝さんとの情報収集やコミュニケーションが不足している。

 
普段感じていることは、このような場面で必ず表面化してきます。現場でこんなトレーナーに選手が出会ったらどう感じるでしょうか?
課題が山積みでしたが、次回のイタリア研修や、今後の自分の成長に繋げていける様に今後アウトプットして行きたいと思います。
 
トレーニング指導や研修での具体的な経験は、後日報告させていただきます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年09月22日

言葉の重みを再考する

「股関節を意識してください」
 
言葉の重みを再考する1
 
トレーニング指導を行う時、何気無く使う言葉の重要性を考えさせられる機会がありましたのでお伝え致します。
 
JARTAの赤山です。
 
イタリア研修を通じて、日本語が通じない場面で日本語の難しさや、言葉の持つ含みの難しさを痛感しました。
 
普段から使っている言葉も記号体系の重要性は理解して使っているつもりでしたが、はっきり言って話になりませんでした。
それは専門用語の通じる、環境や文化的背景など共通の理解がある状況下でのみ通じているだけでした。
 
もっと言うと、日本人の本当に理解できていなくてもわかったようなフリをするという気質に甘えていたのかもしれません。
 
冒頭の言葉ですが、そもそも股関節という記号の捉え方もその方が持つ解剖学的な知識や経験によって随分違います。
今回はそこではなく意識するという言葉と脚の捉え方を変える際に自分が今まで用いていた「支点」という言葉です。
 
言葉の重みを再考する2
 
イタリア語で支点は「Fulcro」、英語では「Fulcrum」と言います。
私は簡単に普段使っている用語を通訳してもらったり、英語で簡単な説明ができればなんとかなるんじゃないかと思っていました。
 
でも通訳をして頂いているテクニカルアドバイザーの吉田さんからの返答は、
「そんな言葉知らないしそもそも支点ってどういう意味ですか?」
と聞かれました。
 
私は一瞬止まってしまいました。
 
日本でも選手に指導する場面では極力難しい専門用語は使用しないように注意していましたが、何気なく使っていた用語が通じない。
この事で自分が今までいかに曖昧に指導していたかを再考させてくれました。
 

  • 力を伝える際の支えになる
  • 動きの始動になったり動きの中心になる
  • 動きの動力源になる

など多くの意味が含まれていると思います。
 
ひとつの言葉が多くの意味をかかえていれば、それを通訳でイタリア語に転換してもスムースに伝わるとは限りません。
これは日本のなかだけでも言えることなのかなと感じました。
 
言葉の重みを再考する3
 
「意識してください」といっても、その方が持つ意識という記号の認識によって若干の相違があってしかるべきでだと思います。
それが日本人の分かっていなくてもわかったようなフリをする文化に甘えるのではなく、よりその場に適した用語に転換したり補足したりしてアジャストしなければならないと感じました。
 
同業者にはその方のもつ解剖運動学的な知識に合わせて、選手には分かりやすい表現で、指導者にはその方のバックグラウンドやその場の環境に合わせて。
 
そういえば、学生時代の実習地で同じような事を悩まされたなと思い出した旅でした。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

2014年09月19日

第2期 JARTAイタリア研修 現地報告

9月13日から始まりました2期目のイタリア研修。現地からJARTA認定スポーツトレーナーの枝次がご報告します。
 
現在、中野代表、赤山、佐原、枝次の4名で、サッカーの本場イタリアに研修に来ています。
イタリアの朝は青い空が広がる晴天です。
第2期JARTAイタリア研修 現地報告1
 
今回は現地からJARTAイタリア研修の内容を簡単に報告させていただきます。
 

イタリア研修1日目

研修1日目はミラノでインテルユースの試合観戦、夕方からINTER-SASSUOLOの試合観戦をしました。
INTER-SASSUOLOは一流選手のパフォーマンスを目の当たりにし、現場でしか味わえない臨場感を感じることができました。
 
U-16でもこちらの選手は体格が大きく、フィジカルでは負ける日本選手がどうすれば勝てるのか。
身体の大きい選手はパワーで押してくる、身体の小さな選手は身体の使い方で勝負すれば勝算があるのではないかと感じました。
 

イタリア研修2日目

研修2日目はインテルアカデミー総責任者より講義を受け、インテルユースコーチとディスカッションを行いました。
インテルアカデミーが考える指導方法など、トレーナーとして活動する参考になる内容も多く、今後のトレーナーとしての活動を再考させられました。
 
インテルアカデミーの講義では、インテルと日本の指導の違いを聞きました。
一方的な指導ではなくコミュニケーションを多くとり、「選手と共に創りあげる」こと重視していました。
トレーナーが一方的に教えるのではなく、選手に考えさせることも意識してトレーニングを指導していきたいと思います。
 

イタリア研修3日目

第2期JARTAイタリア研修 現地報告2
研修3日目は午前中ミラノから電車でローマへ移動。
電車の中から見える景色も歴史を感じるミラノの街並みから一転、自然豊かで閑静な町並みのローマへと移動してきました。
 
ローマへ到着後、地元クラブチームのオスティアマーレでトレーニング指導。
オスティアマーレでは16歳の選手を対象に、武道・武術をベースにした身のこなし方をサッカーのシュチュエーションに合わせたトレーニングを行いました。
オスティアマーレでのトレーニングの詳細は改めて報告します。
第2期JARTAイタリア研修 現地報告3
 
 
研修も残りわずかとなりましたが、日本では経験できない多くのものを吸収していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年09月16日

障害予防をどう考えるか

先日からプロサッカー選手で、現在奈良クラブ(関西1部リーグ)でプレー中の甲斐敬介選手のコンディショニングとトレーニング指導を開始しました。
 
ユースからプロ転向後ケガに悩まされることが多くありました。
そのため再受傷の予防をしつつパフォーマンスアップをさせることを目的にトレーニングに励んでいて、伸びしろがたくさんあります。
 
甲斐選手とは、どうやって再受傷を予防しながらパフォーマンスアップにつなげるのかという思考の擦り合わせを逐一行いながらトレーニングをしています。
 

障害予防の考え方について

JARTAのセミナーやブログでは再三お伝えしていますが、ケガの予防のためには目的部位だけをフォーカスするのではなく、目的部位と全身との関係性を考える必要があります。
 
サッカーというスポーツ競技では、無限の動きの要素が組み合わさって存在します。

  • 相手とのコンタクト(ぶつかり合い)
  • 後方のボールを見ながら前方へダッシュ
  • 瞬時の切返し
  • ドリブルしながらのパス、シュート
  • ディフェンスの際、相手の動きに合わせてついていく

上記のように挙げだしたらきりがありません。
こういった動作の中で、体の一部分が硬く固まることで、他の身体部位にストレスが集中することがあります。
 
甲斐敬介JARTAトレーニング1
例えば、瞬時の切返しの時に上半身が固まり上手く回旋が入らないことにより、膝関節で全ての回旋ストレスを受けてしまうような状態です。
ストレスを受けた部位(痛みが出ている部位など)を鍛えているだけでは、動きの中でのストレスに対応することは難しいです。
 
こういった理由で局所と全身との関係性のあるトレーニングが必要だということを説明しました。
 
 
全身とのつながりを意識したトレーニングはこれまであまり行ってきたことがないようで、すごく新鮮に受け止め実施してくれました。
今後は少しずつトレーニングの内容についてもご紹介できればと思います。
 
 
JARTAのセミナーでは、こういった障害予防の考え方やトレーニングについて詳しくお伝えしております。
 
甲斐選手の今後の活躍にご期待下さい。

JARTAトレーナー 山岡

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2014年09月13日

世界基準のトレーナーの在り方と周辺視野の重要性 ~チェコへの海外帯同を経験して~

今回は、拠点としているスタジオのバレエダンサーが、この夏にチェコであった12th International Ballet Masterclasses in Prague参加されました。
そのセミナーに帯同させていただいたので、その活動報告をさせていただきます。
世界基準のトレーナーの在り方と周辺視野の重要性2
JARTAトレーナーの田中紀行です。
現在、私は名古屋にありますバレエスタジオを拠点として、バレエダンサーやフィギュアスケーターを始めとしたスポーツ選手のコンディショニングやトレーニングに従事しております。
 
今回の帯同の主目的は2つです。

  1. トレーナーとしてバレエダンサーのサポートスキルを向上させる
  2. 今回参加したスタジオのダンサーのコンディショニングをする

 
まず1つ目の目的ですが、元チェコ国立バレエ団のプリンシパルであり、後に理学療法士としてダンサーのケアにあたっているPhD Jiri Cumpelikが、Medical Officerというセミナーを担当しておりましたので、そこでバレエダンサーのサポートスキルを学びました。
 
Jiri氏が行っていたサポートのメソッドは、マッサージや筋力トレーニングなどの要素的なものではなく、身体の動きを関係的に捉えることで、身体の使い方を向上させます。
 
具体的な例を挙げますと、ダンサーが痛みを訴えている場合に、痛みに対してその部位にマッサージなどで変化を与えるのではなく、ダンサーの痛みが発生する動き方をチェックし、痛みを発生させていると考えらえている動きの改善を具体的に指導します。
 
動きを通してダンサーは痛みがでない方法を学ぶため、身体を依存的にトレーナーに任せるのではなく、自らの内的認識力を最大限向上させ、苦手な動きを克服していきます。
 
ここで、重要なポイントは、Jiri氏自身がその動きをみせることで、ダンサーにその動きの重要性を理解させるため、ダンサーも積極的に動きの改善に取り組んでいました。
これは、JARTAが提唱しているコンセプトに非常に近いものでした。改めて、JARTAコンセプトは世界基準であり、さまざまなスポーツ選手をサポートできることを実感致しました。
 
世界基準のトレーナーの在り方と周辺視野の重要性1
 
2つ目の目的を行うことにより、トレーナーとして帯同することで参加したダンサーが、世界トップクラスのセミナーでメソッドを問題なく学ぶことができました。
 
海外でのセミナーは、言語・気温・スタジオの床などの外的環境が日本と大きくことなります。そのため、ダンサーはいつもの身体状況をキープすることが難しくなります。
そのような変化をトレーナーとして常に冷静にチェックすることで、ケガや痛み等のトラブルを未然に防ぎ、ダンサーがセミナーに参加した目的を十分に達成できるようにします。
 
また帯同することでスタジオでのレッスン風景を観察し、動きについてもいつも以上に具体的なコミュニケーションが取れたことは非常に良い機会となりました。
 
トレーナーとして、常に選手自身のみならず外的環境も含め広い視野で観察することの重要性を再度認識することができました。
 
今回の帯同は、広い意味でダンサーのパフォーマンスアップに関わることができました。
この活動報告が少しでもトレーナーの皆様のプラスになればと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
世界基準のトレーナーの在り方と周辺視野の重要性3

2014年09月10日

固い筋肉を身に付けたアスリートの身体をゆるめる方法

筋肉ムキムキでガチガチに固くなったスポーツ選手の筋肉を、みなさんはマッサージしたり、ストレッチしたりしていませんか。
実はこれらの手技は筋繊維を損傷させ過緊張を起こす危険性があります。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
本当に筋肉の「コリ」を改善させ、アスリートに必要なしなやかで柔軟な筋肉を作り上げるためにはどうしたら良いでしょうか。
今回はゆるめる方法を再考していきたと思います。
 

固くなっている筋肉の状態とこれまでの手技の危険性

筋肉ゆるめる呼吸
組織の拘縮は別として、アスリートの筋の固さの要因は筋肉がずっと収縮したまま、もしくは伸ばされた状態から過緊張を引き起こすことがほとんどです。
そうなると筋肉が働きにくくなり、老廃物が排出されず循環障害を起こし痛みまで発生させます。
 
更に固くなった筋肉は、中枢神経系の運動・感覚野の機能低下も引き起こします。
 
では固くなっている筋肉に対して以下のような手技はどのような危険性があるのでしょうか。

  • マッサージ:押す圧によって筋膜や筋繊維の損傷を引き起こす可能性がある。(もみ返しは組織の損傷)
  • ストレッチ:筋紡錘という受容体が過度な筋の伸張を感知して過緊張を引き起こす。

 
固くなっている筋肉を単純に柔らかくしようとすることは、安易ですが危険性があるのです。
では、安全で効果の高い筋肉のゆるめる方法とはどのようなものがあるでしょうか。
 

呼吸+ゆらす

JARTAでは呼吸やゆれを治療方法に使用します。
呼吸により自律神経へ働きかけ対象箇所の筋肉をゆるめ、ゆれという弱い刺激で脳に働きかけ、筋に収縮と弛緩を繰り返し循環改善させていきます。
 
筋肉がしまる・たるむを繰り返すことで筋のポンプ作用で代謝が活発になりゆるんできます。
このように呼吸とゆれを併用することで筋肉を安全にかつ最大限ゆるませることが可能です。
筋肉ゆるめる呼吸2
 

まとめ

今回は固くなった筋肉に対する治療がテーマでした。
マッサージとストレッチだけでは対処できない固さに対して、呼吸とゆれを利用した方法をJARTAセミナーでご紹介していきます。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

2014年09月05日

怪我の功名とは何かを感じた瞬間

「怪我してよかった」
心の底からそう思える瞬間なんてあるのでしょうか?私はあります。
 
そしてこの夏、そう言ってもらえる嬉しい場面に直面したのでお伝えさせていただきます。
 
JARTAトレーナーの赤山です。
 
その選手は中学1年の体操選手です。
腰椎の疲労骨折を指摘され、一時はコルセットを着用し安静を指示されました。
2月頃に治療を開始し、目標は中学入学後に練習についていけるように根本的に治療を行うことと再発を予防することでした。
 
今回は彼女と母親、私との話し合いの中で、ただ復帰するのではなく、怪我の原因を探ることとより身体をうまく使えるようにすることが共通目標でした。
 

体操競技の特性は?

怪我の功名とは何かを感じた瞬間1
日常での腰椎への負担を軽減させることはさほど難しくありませんが、それが体操競技となると話は別です。
過度な屈伸だけでなく脚の振り上げ、倒立からの開脚、宙返りや着地などの動作レベルが上がるにつれて、次から次へと課題がでてきます。
 
今回の取り組みでの大きなポイントは以下の通りです。

  • 脚と腕の捉え方を根本的に変える
  • 肩甲骨と肋骨をしっかり分離させ上肢の力みを減らす
  • 背骨ひとつひとつ動かせるような柔軟性と意識を持つ
  • おなかの硬さをとるために必要以上に腹筋(一般的な)をしない
  • 意識の持ち方で痛みが簡単にコントロールできることを体感させる

細かく上げると他にもたくさんありますが、以上を考慮しながら治療やトレーニングを実施しました。
 
怪我の功名とは何かを感じた瞬間2
 
結果は復帰初戦で種目別で1位、次の県内大会をノーミスで個人総合優勝できました。
その時の報告で母親が「怪我してよかったね」との問いかけに笑顔で微笑みうなずき返している表情は、心の底からそう感じているように私には見えました。
 
では何が変化し、試合の結果が伴い怪我を前向きに捉えられるようになったのでしょうか。
ちなみに昨年の同大会は2位でもちろんミスも数回あったそうです。
この夏は怪我の影響で新しい技の練習はまったくできず本番を迎えました。カテゴリーが上がったにも関わらず昨年までの技だけで勝負をしたのです。
 
 
本人の主観と母親からの話、そして私の仮説を含めた今回の改善ポイントは以下の通りです。

  • 手脚の支点が代わり、客観的にも主観的には手足が長くなり演技力が増した
  • 肩甲骨と肋骨の分離が出来たことで、倒立時の力感が減り倒立時の自由度が上がっただけでなく疲労度が減り耐久性があがった
  • 背骨の動きがしなやかになったことで表現が豊かになった
  • きついトレーニングだけが競技力を高めるわけではないことが理解できた(背骨や股関節・肩甲骨周囲のワークはやると楽になることを実感させた)
  • 自分の身体が変わったことを自覚でき、自信が出来たことで表情も豊かになった(以前は表情も背骨も硬く睡眠の質も悪いような選手であった)

 
また関わりが長くなるにつれて、細かな意識の持ち方を指導し彼女の不安をとれるように考えました
「こんな痛みがあればこう意識すれば楽だよ」
「ここは意識しすぎるとしんどいから何も考えない方がいいよ」
「お風呂はつかって寝る前には楽しいことやいいことを考えて寝るといいよ」
などなど、様々な変化に直面し、主観的にも客観的にも競技力が上がり、そして結果が伴ったことで彼女は怪我をしてよかったと思えるようになりました。
 
怪我をしてからのこの半年がなければ、今の結果が出せなかったと心の底から思ったのだと思います。
 
全ての選手が勝利するわけではなく、本当に怪我してよかったと思える瞬間はそうありません。
しかし怪我と向き合う選手をサポートする限りその時間が無駄ではなかったと思えるような関わり方をしたいと思っています。
 
 
「怪我の功名」
 
私は中学1年の時は成長痛に悩まされ、怪我さえなければもっと高くとべるのにと思いました。そして多くの怪我や挫折・困難が自身の経験となり今はそれが仕事をする上での財産になっています。
これも長い目で考えると怪我の功名であったと今は考えられます。
 
最後までお読み頂きありがとうございます。

2014年09月02日

ローテーターカフトレーニングと立甲

肩関節のトレーニングで有名なローテーターカフトレーニング。
私自身肩関節を壊して、ひたすらトレーニングをしたことがありますが、著明な効果はありませんでした。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
なぜローテーターカフトレーニングが有効ではなかったのか。今回は上肢を使うスポーツ選手にとって重要な、ローテーターカフの機能についてのお話です。
 
上腕骨を包む肩のインナーマッスルがローテーターカフになります。機能としては肩を挙げる時に働き、上腕骨頭を肩甲骨の関節窩に安定化させます。
ローテーターカフトレーニングと立甲1
不安定な肩関節にとってローテーターカフは重要視され、様々なトレーニングが開発されていることは皆さんご存知だと思います。
ローテーターカフトレーニングといえば、アウターマッスルが働かないように、弱い負荷で肩関節の運動を行うが一般的です。
 
たしかに、理論的には筋電図的にローテーターカフに収縮は示されます。
しかし、実際に腱板機能の改善に適したトレーニングは現在のところ確立されておりません。
 
そこで今回はトレーニング時の肩甲骨と上腕骨の動きに着目してお伝えします。
 

どこを固定するのか?

ローテーターカフトレーニングと立甲2
この一般的なローテーターカフトレーニングは「中枢部を固定して末梢を動かす」動きです。
果たしてこの動きが本来の肩関節の動きなのでしょうか。
 
私自身が2年ほど肩の不安定性があり、あるとき四つ這いでのトレーニングを始めてから肩関節周囲の不安定性が解消されていきました。
 
なぜ四つ這いトレーニングで不安定性が解消されたのでしょうか。
 
本来の肩関節の動きとしては「中枢部が動きを出して末梢が楽に操作できること」が重要であるからです。
つまり肩甲骨を固定して上腕骨が動くのではなく、肩甲骨自体が先行して動きを作るということです。
これは今までのローテーターカフトレーニングとは逆の動きになります。
 
肩甲骨が上腕骨頭をむかえにいき中枢部が動くことで、肩のインナーマッスルが自動的に働きます。インナーマッスルを働かせるのではなく、働きやすいポジションを作るということです。
そう考えると四つ這いという上肢を固定した状態において肩甲骨を動かす運動(立甲)は非常に有効なトレーニングになります。
ローテーターカフトレーニングと立甲3
インナーマッスルを働かせるのではなく、自動的に働くことがスポーツ動作においては重要となります。
おそらく、私の四つ這いトレーニングも立甲に近い状態になっていたと思います。
 

まとめ

今回は肩関節のインナーマッスルについて、今までのトレーニング理論とは少し視点を変えて捉えました。
JARTAベーシックセミナーでは立甲トレーニングを行いますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。

2014年08月25日

スポーツにおける動き出しを速くしたい

スポーツ選手の中には「動き出しを速くしたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。
今回は「動き出しが速くなり、下半身の柔軟性も向上する身体の使い方」についてお伝えします。
 
JARTAトレーナーの藤田です。
 
今回はJARTAイタリア研修でトレーニング指導した日本人留学生が日本へ一時帰国した際に指導した内容です。
彼は関東出身ですが会ってトレーニング指導して欲しいということで、わざわざ大阪まで来てくれました。
JARTAトレーナーの山岡、櫻田も一緒にトレーニング指導しました。
 
スポーツ競技における動き出しを速くしたい
 
動き出しを速くしたいと言われたときはどのようなトレーニングを指導しますか。

  • 筋力がないので筋力トレーニングを行う
  • SAQ(speed agility quickness)トレーニングを行う
  • プライオメトリックトレーニングを行う
  • TRXトレーニングを行う

など、いろいろあると思いますがどれも間違いではありません。
ですが、これら全てを網羅するには「基本的な身体の使い方」が重要です。
 
スポーツ競技における動き出しを速くしたい2
こちらは前回お伝えしたトレーニングと同じです。これは非常に重要なトレーニングなのですが、その理由がわかりますか?
それはこのトレーニングにより体幹・股関節・膝関節・足関節の柔軟性向上とこれらの連動性も向上するからです。
全ての関節の柔軟性がなければこのように殿部がしっかりと下がりません。
 
また柔軟性がなければ後方に転んでしまったり、胸を張ってしまったり、顎が前に突き出てしまったり・・、代償動作を起こします。
またそれにより、膝関節を痛めてしまうことも多々あります。
 
ポイントを1つあげるとすれば鳩尾(みぞおち)です。
 
そのため、このトレーニングは評価としても使用でき主観的・客観的にも上達が分かりやすいです。
 
次は立甲というトレーニングです。
スポーツ競技における動き出しを速くしたい3
JARTAのセミナーを受講された方は全員ご存知だと思いますし、過去のブログでも取り上げていますので、詳細はそちらで確認してください。
参照) 立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由
 
簡単に説明すると、上肢・体幹の連動性と上肢の操作性の向上です。
なぜかというとゼロポジションをどこでも作ることができるため、エコでハイパフォーマンス発揮が可能となります。
 
これら2つを指導しただけで、全身の柔軟性が向上しさらに連動性も向上しましたし、実際に動いてもらうと彼自身も驚きを隠せないでいました。
「15分前の自分の身体が嘘みたいだ」
「立った時点で身体が軽くていくらでも動ける」
「足が勝手に前に出る感じだ」
 
この後さらに3つのトレーニングを行い、さらに身体のキレが向上しました。
 
その内容としては動的な要素を多く組み込んだ内容で以下の身体の状態が重要です。

  • 脱力(ゆるんでいること)
  • 強力な軸の意識
  • わずかな重心移動を察知する認識力

簡単に説明すると、身体がしっかりとゆるんだ状態で足を一歩前へ出すトレーニング。
簡単なように思いますが、人は動きたい方向に行く際は必ずその方向と反対側の足へ一度体重を乗せてから動きます。
しかしそれでは一瞬の遅れが生じるため、相手のレベルが上がれば上がるほど動きが読まれてしまいます。
 
この一歩前へ出すトレーニングの中に、「ゆるむこと」「軸の意識」「重心移動」というキーワードを取り入れ意識してもらいながら行うことで動き出しの向上に繋がります。
また強力な軸の意識を形成するためには重心移動を伴わないようにして足を持ち上げることです。
 
ではいまから実際に試してみましょう。
 
右肩から右くるぶしがしっかりと壁に着くように立ちます。この状態で右足を持ち上げてみましょう。
これは簡単にできると思いますでは次に壁から離れないようにして左足を持ち上げてみてください。
どうですか、できましたか?
 
これができるようになると強力な軸の意識と重心移動がしっかりと操作できる身体の使い方に繋がります。
具体的な内容はアドバンス Ⅱ セミナーで、3つのキーワードに関してはセミナー全体を通してお伝えしています。
 
これらのトレーニングを行ったあと実際に動いてもらうと、
「動き出しが速くなった!」
とグランドを走り回っていました。
 
さらに
「これだけ走っても身体が疲れない」
との感想ももらいました。
 

まとめ

今回は動き出しを速くして下半身の柔軟性も向上したいという依頼でした。
これに対して下半身のみに着目するのではなく上半身も評価する必要性が高いということを改めて実感しました。
 
私は本格的にサッカーをしたことがありませんが、一つの要素のみにとらわれず一つ一つの関係性をしっかりと理解し柔軟に考えることで、自分が経験したことのないスポーツでも対応が可能になるということを再認識しました。
 
今回指導したトレーニングは全てJARTAセミナーでお伝えしている内容ですので、気になる方はぜひセミナーにご参加ください。
 
最後にこんな嬉しい言葉をもらいました。
「こんな素晴らしいトレーナーの方々が日本にいてるのに知らないのはもったいない」
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

2014年08月22日

京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート

今回、JARTAトレーナーとして、京大女子ラクロス部のサポートに帯同させていただきましたのでご報告いたします。
 
今回のトレーニングの概略は以下の通りです。
実施日時:平成26年7月2日(水) 9:00~14:00
場所:京都大学農学部グラウンド
参加者:選手;女子ラクロス部 約20名、学生トレーナー;MAST 約5名、JARTAトレーナー;灰方、枝次、藤田
内容:全体トレーニング 約45分、グループ指導&個別コンディショニング 約4時間
 
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート2
 
まず全体を通した感想ですが、
「現場では想定外のことが起こる」
ということを、身をもって経験しました。
 
事前に聞いていたチームからの要望はパフォーマンスアップとのことだったのですが、前日の夜になってチームに故障者が多発しているという情報が届き、急遽用意していた目的やプランを組みかえることになりました。

チームからの事前の要望

① 切り返しの早さ
② 50分間走りきる持久力
③ パスの距離・球威

当日の選手の状態

12名の故障者の連絡あり(シンスプリント、捻挫、腰痛、股関節痛、頚椎捻挫など)

目的
  • 走力を上げる(切り返しの早さ、持久性)
  • 効率の良い上肢の使い方の獲得
  • 障害予防の理解、セルフケアの獲得
目標

歩き方、走り方など、選手に何か一つは変化を実感してもらう
今後、練習のウォーミングアップやセルフで取り入れる内容を獲得してもらう
 
このような状況と、ラクロスの競技特性を考慮した上で、優先して獲得してほしい身体意識をセンター(3軸)、裏転子、ベスト(肩肋分離)、インサイドジンブレイドとしました。
全体練習では、インナースクワットのトレーニングを中心に、一次姿勢修正の意味、3軸の位置、ゆるむことの意義、アクセル筋とブレーキ筋などを説明しながら展開しました。
 
故障者の状況を見ながら、また全体の理解度を見ながら進めたため、内容としては「センター」の解説が中心となり、予定していた「裏転子」については簡単な説明とレッグショットのみになりました。
 
選手の大学講義の関係で、予定よりも全体トレーニングが短かったこともあり、予定を変更しました。
選手の反応としては、「センター」についてはかなり理解できたようで、その場でインナースクワットの動きも変化していました。ただ、炎天下のグラウンドで足元も人工芝と暑いコンディションであり、最後の方は疲労も感じられました。
 
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート4
 
個別コンディショニングの時間では、故障の程度が大きい選手を中心に3名のトレーナーで対応しました。
また、並行してシンスプリントなどの足部障害の選手を集めて、ミニグループでのセルフケアの説明も行いました。
 
故障者が多く、またそれぞれの症状が重かったため、各トレーナーが4~5名を担当する必要があり、かなり時間を要しました。
ただ、全体トレーニングで大枠を説明してあったため、軸の理解などはできている選手が多く、軸の誘導だけでもかなり姿勢や歩行が変わるのを体感してもらえました。
 
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート3
 
以下、今回のトレーニングでの課題と今後について考えてみました。

(1)全体トレーニングの課題

  • 状況に応じて変えられるよう、指導プランを複数作っておく必要があった。
  • 「障害予防」にフォーカスしすぎたため、パフォーマンスアップに繋がる説明が少なくなり、後から個別場面で補足が必要であった。
  • 「足が早くなる」「リーチが長くなる」などの選手が求めているキーワードをしっかり見つけ出して使っていく必要があった。
  • 前に出ての説明1名、サポート1名、オブザーバー1名の構成だったが
  • 事前の打ち合わせや共通認識の不足を感じた。
  • 目標をもう少し具体的に、数値化するなどして決めておいた方が良かった。

(2)個別コンディショニングの課題

  • 個別コンディショニングの時間では、シンスプリントの選手が多く、痛みの軽減を図ることができなかった。
  • 選手との話で共通の認識(私自身の目標設定)が作れていなかった為、どのタイミングで終了するか悩んだ。
  • 内的認識力を感覚で理解している選手と理解できていない選手がいた。
  • 理解していない選手に対しどのように説明するか悩んだ。
  • セルフケアの説明の時間があまり取れていなかった。

(3)運営上の課題

  • 実施場所が炎天下のグラウンドであったため、選手にもトレーナーにも体力的な負担が大きく、集中しにくい環境であった。
  • 開始、終了、休憩のタイムスケジュールが不明確であったため、個別コンディショニングがかなり長時間になってしまった。

(4)今後の継続に向けて

  • 選手の中で、一次姿勢の修正、障害予防について理解が進んだと思うので、次はパフォーマンスアップにフォーカスしたトレーニングに移行させたい。
  • 特に、サイドの切り返しで必要になるインサイドジンブレイドや、クロスを持って走るために必要となるベストの意識などは、獲得することでパフォーマンスアップに繋がると思われる。
  • 通常練習のトレーナーとして関わっているMASTとしっかり連携をとり、一貫性のあるトレーニングの提供、選手のケガの状況の把握をする必要がある。
  • 継続して関わるならば、前回担当したトレーナーとの間で、効率的な引継ぎ方法が必要である。

 
JARTAトレーナー 灰方、枝次、藤田
京都大学女子ラクロス部のトレーニングレポート

2014年08月18日

ゴールキーパーに必要なトレーニングは?

ゴールキーパーのトレーニングで悩んでいる方は多くないでしょうか?
ゴールキーパーはサッカーで唯一異なる事が許されたポジションです。そのため異なったメニューが必要となり悩みが多くなるのでしょう。
 
そこで今回は「ゴールキーパーに必要なトレーニング」の一例をお伝えします。
JARTAトレーナーの藤田です。
 
今回も実際にトレーナーとして関わっている選手を例にして話を進めていきたいと思います。
簡単に選手のご紹介をしたいと思います。
ゴールキーパーに必要なトレーニングとは1
現在20歳のゴールキーパーです。
イタリア研修時にトレーニング指導とコンディショニングを行ったのが、彼との初めての出会いでした。
 
日本とイタリアという実際に会って指導することができない関係ですが、様々な手段を用いてトレーニングやコンディショニングのサポートを継続しています。(方法に関してはまたの機会にお伝えします)
現在はJARTAのアドバイザーである吉田輝氏がオーナーを務めるイタリアチーム「Fiumicino Calcio a 5」でプレイしています。
まだまだ若手で伸び代がたくさんあるため今後の活躍に期待です。
 

ゴールキーパーの特徴や要素

ゴールキーパーは唯一フィールド内で手を使うことを許されたポジションです。
 
そして様々な方向や距離からシュートが打たれてきます。
そのため相手選手のわずかな動きからシュートコースなどを判断しなければなりません。またシュートコースの判断と同時にキャッチング・パンチングのように腕を使うのか脚を使うのかという判断も必要になります。
 
ここでゴールキーパーに必要な要素を少し挙げてみます。

  • 一瞬の判断能力
  • 一歩目の速さ
  • 腕の操作性
  • 脚の操作性
  • ジャンプ力
  • 切り返しの速さ
  • 全身の柔軟性
  • しゃがみ込みの速さ
  • キック力

など、すぐに思いつくだけでこれぐらいありますが、実際にはもっと多くあると思います。
 
今回はゴールキーパーの「腕の操作性」にポイントを絞ってお伝えします。
まずはこちらのトレーニングです。
ゴールキーパーに必要なトレーニングとは2
もうおなじみになりました「立甲」です。
やはり腕の操作性を高めるためには肩甲骨の可動域は非常に重要な要素です。また立甲は可動域だけではなくJARTAセミナーでもお伝えしている格定力も必要になります。
可動域が十分にあり柔軟性が高く、かつ身体が十分にゆるんでいるだけでは立甲はできません。局面に応じた筋出力が重要になります。
 
格定力に関してはJARTAベーシックセミナーでお伝えしていますので、ご興味があればベーシックセミナーにご参加ください。
JARTAベーシックセミナー
 
話がそれたので元に戻します。
肩甲骨の重要性は多くあります。

  • 肩関節(腕)に影響する
  • 肋骨(胸郭)に影響する
  • 頸椎・骨盤にも影響する

など、全身への影響があります。
これらを考えると肩甲骨の重要性は必然ではないかと思います。
 
立甲ができるようになると肩甲骨の可動性が向上するばかりではなく、肋骨の可動性も向上します。そのためゴールキーパーに重要なリーチ(腕の伸び具合)が向上しあと少しではじくことや届かなかったシュートにも届くようになります。
 
次はこちらのトレーニングです
ゴールキーパーに必要なトレーニングとは3
こちらはクレーンというトレーニングです。JARTAのアドバンス Ⅱ セミナーにて詳細はお伝えしています。
簡単に説明すると腕の操作性と体幹部の安定性が向上します。
 
腕というのは肩から先ではなく体幹部から指先までのことを指します。ですので体幹のトレーニングにもなりまた体幹と腕の連動性のトレーニングにも繋がります。
体幹部でもいわゆる腹筋群ではなくさらに深層にある大腰筋のトレーニングです。また狭い支持基底面のなかでバランスをとるという能力(要素)が必要になります。
そのためには身体が固まっていてはバランスはとれません。
 
この他にもクレーンのさらにレベルアップしたトレーニングである、「捻りクレーン」も指導しています。
このトレーニングはクレーンよりもさらに腕の操作性と体幹部の安定性・バランス能力が求められ、なおかつ体幹部の回旋も入るため脊柱の可動性も必要になります。
 
これにより脊柱の一つ一つの動きが可能になり脊柱サスペンションのように使えるようになります。
脊柱をサスペンションのように使えるようになると、障害予防やジャンプ力向上・キック力向上などのパフォーマンスアップに繋がります。
 

まとめ

今回はゴールキーパーに必要なトレーニングの一例をお伝えしました。
 
中でも腕の操作性にポイントを絞ってお伝えしましたが、一つのトレーニングでも様々な要素と関係していることがトレーニングを構成していくなかでは重要です。
腕の操作性の向上には肩甲骨の可動域のみではなく体幹などの格定力が重要だと感じていただけたのではないかと思います。
 
肩甲骨の柔軟性が向上する立甲ができただけではパフォーマンスの向上には繋がりません。そこからさらに連動性などを向上するトレーニングを取り入れる事でパフォーマンスの向上に繋がります。

2014年08月14日

サッカーでフェイントをかけるときの身体の使い方

フェイントをかけるとき、身体はどう動かせばよいのか。今回はスポーツにおけるフェイントについてお伝えします。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
先日選手からこんな質問を受けました。
「サッカーの1対1のときに相手が抜けないのです。どうしたらいいですか。うまくフェイントがかけられなくて」
さてみなさんはどう答えますか。身体の専門家として客観的に分析してみました。
 
その選手の1対1のフェイントをみたときの問題点です。。
腰椎が固められた状態で肩甲骨の横方向(前額面上)だけでのフェイントになっていました。つまりフェイントをする部分が限られており、かつ1軸の動きで勝負していたのです。
 
サッカーでフェイントをかけるときの身体の使い方
 
ではどのようなフェイントをすれば良いのでしょうか?フェイントを作るためには2つのポイントがあります。

3軸での動きを作る(縦方向、横方向、回旋方向)

前額面・矢状面・水平面上での動きを混ぜ合わせることです。
先ほどの選手では前額面上の動きだけなので、予測しやすくなります。3軸の動きを作れる自由度の高い関節は脊柱・肩甲骨・股関節・足関節がメインになります。
 
これらの関節の自由度を高めることが1つ目の重要なポイントになります。
 

自分の身体中心部分をずらす

フェイントするときに自分の身体のどこを使うかということです。

  • 首を使うのか
  • 背骨を使うのか(背骨であればどの部分を使うのか)
  • 股関節・膝・足首を使うのか

身体の中心というモノを自由自在にコントロールできる様になれば相手から力源が捉えにくくなります。
 
2つのポイントを組み合わせることが出来ると、3次元で自由度の高いフェイントを繰り出すことが可能になります。しかし言うのは易く行うのは難いです。
また2つを組み合わせる前に、1つ1つの基礎を組み立てないと最強のフェイントは生み出せません。
 
実際にその選手には、フェイントではなくまず立位から指導しました。フェイントの動作から指導すると、選手は3段階くらい上のことを指導されているので実感が出来ないのです。
JARTAでお伝えしている「3次姿勢」の指導になってしまうのです。基礎の「1次姿勢」から指導することが必須になります。
 
サッカーでフェイントをかけるときの身体の使い方2

まとめ

今回はフェイントという部分で身体の使い方をお伝えしました。
サッカー自体のフェイント技術指導だけではなく、身体の使い方を考えてみると選手のパフォーマンスアップにつながるかもれません。
 
今回はサッカーのフェイントとして取り上げましたが、ラグビーやバスケットボールなど他のスポーツにも活かせます。
また「1次姿勢~3次姿勢」が気になる方はJARTAセミナーでお伝えしますので、ぜひセミナーにお越しください。

2014年08月11日

ビーチスポーツの競技特性 「踏ん張ると足をとられる」

サッカーとビーチサッカー、バレーボールとビーチバレーなどルールが良く似ていても競技特性が異なるスポーツがあります。
今回は環境が異なることでパフォーマンスに関わる要因が異なってくる現実をお伝えしたいと思います。
 
JARTAトレーナーの赤山です。
 
スポーツ現場では選手の身体状況だけでなく環境面を深く観察しそれが選手に与える影響を考えることはすごく重要なことです。
例えば、テニスでは土のコート(クレーコート)と芝のコート、芝でもオムニコートとウインブルドンでおなじみグラスコート、またアスファルトやセメントを基礎にしているハードコートなどがあります。
 
それぞれのコースでボールの弾み方やシューズのグリップも違うため、それに伴い身体の使い方・障害発生の種類も変わってくることがあります。
そして重要なのはコートによってパフォーマンスを発揮しやすい選手とそうでない選手がいるという点です。
 
これをビーチとそうでない環境で行われているスポーツの違いに焦点を当てて今回はお伝えしていきます。
 

ビーチの特徴

夏で砂浜に行くことも多くなりビーチはアスファルトと比べて歩きにくいと思われている方も多いと思います。
 
「なぜビーチは歩きにくいのでしょうか?」
 
硬い路面では体重をのせると反発力がありそれが上方や前方への推進力の手助けとなります。
そのためビーチより体育館の方が一般的には高く、素早く動くことが出来ます。
 
 
しかしビーチでは踏ん張れば踏ん張るほど足をとられたような感覚になり、前へ進みにくく歩きにくいという印象になります。
ビーチスポーツの競技特性  踏ん張ると足をとられる1
 
ジャンプ動作だと顕著に表れます、高く飛ぼうと強く踏ん張ると足をとられ高く飛ぶどころかタイミングを合わすことも難しくなります。
また裸足で競技を実施するためシューズによる反発力も期待できません。
 
そういった事からインドアバレーでかなり活躍した選手(全日本レベル)でもビーチバレーの世界では思ったような結果を出せず、といった状況もあります。
海外ではクロストレーニングとしてビーチでのトレーニングをインドアスポーツでも取りいれ、双方のナショナルチームに選ばれる事もあるそうです。
 
インドアスポーツで床反力やシューズの性能をフル活用する事は大前提として大事ですが、ストップ動作において過度に踏ん張りすぎる事は次の動作を遅らせ、競技におけるパフォーマンスを下げます。
ビーチに限らず、インドアでも過度に踏ん張って競技力を下げている可能性もあるという事です。
体育館やコートでそういった問題が表出されにくくても夏場によくやるビーチトレーニングでは発見しやすいかもしれません。
 
体育館では先頭きって走っている選手がビーチトレーニングでは全然走れない。
もしかすると過度に踏ん張り、インドアにおいてもパフォーマンスを下げる要因になり下肢への疲労も蓄積されているかもしれません。
 
これは砂浜だけでなくサーフェスの異なる他の場面でも同じように考えることができます。
芝と土の違いなどがいい例ではないでしょうか。
この夏、砂浜を歩きながら環境が変わる事で身体への影響がどのように変わるか再考してみて下さい。
ビーチスポーツの競技特性  踏ん張ると足をとられる2
 

まとめ

今回はサーフェスの違いによる身体環境及びパフォーマンスへの影響をお伝えしました。
踏ん張らない身体の使い方は非常に高度なモノでありますが、実感・習得していただけるようセミナーを通して皆様にお伝えしています。
 
最後までお読みいただきありがとうございます。

2014年07月26日

短期間の遠征帯同で重要なこと

短期間の遠征帯同では、選手の身体の状態をトレーナーの視点でしっかりと評価し、わかりやすく(混乱しないように)選手にフィードバックすること。
そしてフィードバックした内容(問題点)の改善に、直結するケア方法を簡潔に指導することが重要です。
 
JARTAトレーナーの山岡俊也です。
 
私は以前から岩田FCというサッカーチームのトレーニング指導および遠征帯同をしております。
岩田FCはジュニアユース世代(中学生)のサッカーチームで、大阪府の東大阪市に拠点をおくクラブチームです。
 
ここ数年は大阪府代表チームの1つとして関西大会に出場するも、全国大会へは出場できていません。
そのため全国大会(アディダスカップ)出場を目標の一つとして、日々のトレーニングに励んできました。選手たちはモチベーションが高くしっかりとトレーニングを実行してくれました.
 
今回は先日帯同しました遠征(日本クラブユースサッカー選手権(U-15)関西大会)の活動報告と、関西大会の結果報告をさせていただきます。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと1
 

一次姿勢の重要性

今大会は関西各府県予選を勝ち上がった32チームが参加しています。4チームでのリーグ戦が8組あり、各リーグ戦上位2チームが決勝トーナメントへ進むことができます。
決勝トーナメントでは上位8チームが関西代表として全国大会に出場することができます。
 
大会までのトレーニングの目的としては、
「倒れない体と股関節を使えるように」
という要望を監督からいただいておりましたので、まずはそのための前提条件を整える目的として一次姿勢をつくるトレーニングを中心に指導していました。
一次姿勢とは、簡単にいうと普段の日常生活で「立っている」姿勢のことです。
 
なぜこの一次姿勢をつくるトレーニングが必要かというと、「立っている」姿勢の重心位置や体軸(高岡英夫論)のズレにより、姿勢保持のための力を必要以上に出してしまっている場合が多くあるためです。
そうなると基本の動作である「歩く」という動作や、動作としてレベルの高い「スポーツ競技動作」においても無駄な力みが生じ、粗雑な動作となってしまうことが多くあります。
いわゆる、アウターマッスル優位の身体の使い方になってしまうということにつながりやすいのです。
 
上記理由から、一次姿勢を整えるだけでもパフォーマンスは格段に変化してきます。
JARTAのトレーニングは既存の筋トレとは異なり、「身体の使い方」に特化したトレーニングです。
 
サッカーに留まらず、各競技でハイパフォーマンスを実現するために必要な身体の使い方を習得していくことが目的です。
もちろんそれらを習得した上で強化は必須ですので、RSSCという筋肉の反射を使った強化プログラムも存在します。
 
少し前置きが長くなりましたが、今回の報告では試合の雑感と宿舎でのケア、大会結果について簡単にご報告いたします。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと2
 

遠征帯同記

リーグ戦初戦

全国大会出場をかけたすごくプレッシャーのかかる試合であったためか、緊張し肩で息をして、みぞおちを固めて(前に張り出して)プレーしている選手が多くいました。
すごく動きが硬く、空回りをしている印象でした。
みぞおちを固めて前に張り出してしまうと、大腰筋などのインナーマッスルが働きにくい状態となります。その結果アウターマッスル優位のパフォーマンスとなり動きが粗雑になっていたことが一因と考えられます。
 
後半は少し本来の動きになってきていましたが、結果はセレッソ西に2−3と敗北。
緊張からの硬い姿勢だけが問題というわけではありませんが、選手がいつもの動きをできていないのは明らかでした。
 
大事な試合に程よい緊張感で臨むということは、すごく重要なことだと改めて痛感しました。
同時にその点に対してのトレーニングをもっともっと伝えられていたらと反省点として思うところも多々ありました。(詳しくは別の機会にお話できればと思いますが、具体的にはトレーニング中の内的認識力の強化をもっと意識させておけばよかったと感じました。)
 

宿舎にてコンディショニング・セルフエクササイズ確認

慢性的な疼痛の訴えのある選手は2名程いましたが、幸いにも今回の試合によるケガ人はいませんでした。
そのことを踏まえ、宿舎では就寝時間までに食事やお風呂、ミーティングなどの時間がある中、短い時間ではありますがコンディショニングの時間をさいていただきました。
 
もちろん一人一人を評価して調整する時間はありませんので、試合後宿舎までの道中に選手と会話し疲労の出ている部位や、試合中の身体の状態を聞き出したりしました。
コンディショニングおよびセルフエクササイズの指導の際には、試合中すごく力んだ姿勢になっていたということを選手にも伝え、自分で調整するためのセルフエクササイズを再確認しアップデートしました。
 
サブの選手を合わせて20数名の選手がいたことと、短い時間であったので二人一組になってもらい選手同士でできるものを中心に確認し実施しました。
 
自分の体の調子を認識させることを目的の一つとして下記内容を実施しました。

  • 自律神経系調整法
  • 経絡マッサージ(セルフでのOMSS:Oriental Medical Sports Stretch)
  • 丹田呼吸法(※呼吸法はJARTAの上級セミナーでいずれ公開しています)

あまり詰め込まず何度か指導したことのあるメニューを中心に方法論と注意点、ポイントをおさらいしながら確認しました。足りない部分については、終了後に再度行ってもらうようにしました。
 
痛みのある選手については個別のコンディショニングにて対応し、問題部位に対するセルフエクササイズについても指導しました。
また現状の痛みをとり、どこが問題となっているのかを伝え、その痛みとの関連を理解させた上でセルフエクササイズを確認し指導しました。
 

個別のコンディショニングでの特効薬について

遠征などでの個別のコンディショニングで準備していった方がよいものとして、私は塗り薬や湿布などは効果的であると感じています。
理由は、選手の中には「これをしたら痛みがなくなる」とか、「この塗り薬塗ってもらったら痛み感じずにできる」など、選手が自分自身に痛みはこれをすればとれるという「設定」をかけている場合が多くあるのです。
チーム単位での関わりという状況では、パーソナルで対応できる場合だけではないので、常に個別で診ることのできない選手に対しては、こういったものを用意して利用できるようにしておくことも重要な要素であると考えています。
 
短期間の遠征帯同で重要なこと3
 

リーグ戦2試合目

二日目の試合では緊張からの体の硬さは抜けいつも通りのプレーができていました。
しかし結果が伴わず神戸FC戦は0−0の引き分け。昨日とは違いいつも通りのプレーができていましたが、残念ながら結果が伴いませんでした。
 
しかし選手たちは自分自身で改善点を見つめなおし1日で修正する姿をみせてくれました。ほんとに素晴らしいなと感心させられました。
 

関西大会 大会結果

遠征後に行われたリーグ戦最終の奈良YMCA戦では、1-0と勝利し決勝トーナメントに進むことができました。
その後の決勝トーナメントでも順当に勝ち上がり準々決勝で敗退するも、次の試合に勝利し5位入賞で全国大会への出場が決定しました。
 
選手の目標の一つであった全国大会に出場できるということに対して、自分のことのように嬉しく思います。
トレーナーという立場で関わりをもつことができて本当に幸せです。
 
目標に向かって頑張っている選手たちの力になれるように、これからも最大限のサポートをしていきたいと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
短期間の遠征帯同で重要なこと4

2014年07月25日

ドリブルを止められなくなる身体の使い方

「ドリブルを止められなくなる身体の使い方」ができたら…と思っている選手や、そういうトレーニングができたらと思っているトレーナーは多くないでしょうか。
今回は「ドリブルを止められないようになる身体の使い方」をお伝えします。
 
JARTAトレーナーの藤田です。
トレーナーとして関わっているある選手を例にして話を進めていきます。まずは簡単にその選手の紹介です。(真ん中の白シャツの彼です)
ドリブルを止められなくなる身体の使い方1
 
18歳の高校3年生です。
彼と出会ったのはイタリア研修でとあるチームに訪れたときでした。そのチームで1ヶ月間プレイしテストを受けていました。
そして5/18に行われたフットサルイタリアチャレンジ(JARTAテクニカルアドバイザーの吉田輝氏によるイベント)を観戦に行ったときにたまたま再会しました。
 
イタリアで行ったトレーニングを継続していたら日本のチームメイトに「イタリアに行く前より足が速くなった」と言われたとのことでした。
 
この日は観戦のみの予定でしたが、急遽トレーニングをして欲しいとのことでトレーニングを行いました。要望としては、

  • ドリブルで肩を入れて押さえこめない
  • ドリブルが止められてしまうのでどうにかしたい

とのことでした。
 
ここで皆さんならどのようなトレーニングを思い浮かべますか?

  • 体幹が弱いので体幹トレーニングを行う
  • 押さえこめないのは腕の筋力が弱いからウェイトトレーニングを行う
  • いや土台となる下半身が弱いから下半身のウェイトトレーニングを行う

など、様々なトレーニングを思い浮かべることができると思います。
 
ですが今回行ったトレーニングは上記のものではありません。ウェイトトレーニングや筋力アップを目指すトレーニングではなく、「身体の使い方を向上させるトレーニング」です。
内容はこちらです。
ドリブルを止められなくなる身体の使い方2ドリブルを止められなくなる身体の使い方3
 
1枚目の写真は

  • 体幹・下肢の柔軟性向上
  • 体幹・下肢の連動性(協調性)向上 など

 
2枚目の写真は

  • 上半身の操作性向上
  • 体幹・腕の分離 など

 
「本当にこれだけ?」と思われるかもしれませんが本当にこれだけです。
一見簡単そうに見えますが、これができずに汗ダラダラでトレーニングをしていました。
 
現在は効果が着実に現れ、肩をしっかりといれることができドリブルも止められにくくなっています。
また見事にテストに合格し現在はイタリアでプレイしています。今後も彼をサポートしていきますのでご声援よろしくお願い致します。
 

まとめ

今回はドリブルを止められなくなる身体の使い方についてお伝えしました。
ただ単に筋力をつけるトレーニングのみでなく、このように身体の使い方から変えていくトレーニングを行うことでパフォーマンスは飛躍的に向上します。
 
その考え方やトレーニング方法に関してはJARTAセミナーを通してお伝えしていきます。

2014年07月17日

身体づくりより動きづくり

今回は、日本人選手が世界で活躍するためのヒントになる考え方であり、ジュニア選手など育成年代に関わるトレーナーには是非知っていただきたい内容をお話させていただきます。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
 
先日までW杯で盛り上がっていたサッカーはもちろん、世界で戦う日本人選手を評価する際によく耳にする言葉があります。
「日本人選手はフィジカルが弱い」
 
今回のW杯、日本代表は1分2敗の勝ち点1でグループステージ敗退となってしまいました。
評論家や世論はコンディショニングに失敗したのではとか、監督の采配に関する指摘や、個人の能力の問題と色々な声が聞かれます。
 
これらの指摘の中で「日本人はフィジカルが弱い」というのは、ずっと言われ続けていることです。
こういった指摘の中、「肉体改造」や「身体づくり」といった言葉が先行し、身体を大きくしようとそのためのトレーニングが広く行われるようになりました。
W杯を例にすれば、身体の大きさという点で日本人は明らかに1回り小さいことが一目瞭然でした。
 
そんな日本人が「身体づくり」で世界と戦えるのでしょうか?日本人がいわゆる筋トレで「見かけ上」海外の選手と同じような体格になることで、世界で勝てるのでしょうか?
答えはいうまでもないと思います。これまでの数々のスポーツでの結果が物語っていますね。
 
それではどのような意識がトレーニングには必要なのか。日本人が世界で活躍するためのトレーニングのキーワードは「身体づくりではなく動きづくり」です。
 
身体づくりより動きづくり
 
身体というのはパフォーマンスを構成する一要素でしかありません。
目的とする動き、より速い動き、意図したように動く、どんな状況でも安定した動き。
 
このように動きにフォーカスしたトレーニングを行うことで身体は自然にそのような身体になっていきます。つまり、動きづくりにフォーカスしたトレーニングを行うことで身体づくは結果的にできているのです。
 
いわゆるゴールデンエイジといわれるジュニア世代では神経系の発達が最も強く、スポーツ界では非常に重要視されています。
また、第二次成長にあたるジュニアユース世代では筋骨格系が急速に発達するため身体づくりによる故障のリスクが非常に高いです。
 
この時期から動きづくりにフォーカスしたトレーニングを徹底的に行うことで故障も防ぐことができますし、海外選手のフィジカルにも負けない動きができるようになるのではないでしょうか。
さらに一般的にピークを過ぎたとされる年齢の選手が身体づくりにフォーカスすると若いときの身体を追い求めてしまい思うようにいかないというジレンマに陥ってしまいます。
 
しかし動きづくりにフォーカスをあてることで、ベテラン選手だからこそ持つ貴重な経験を活かした、今ある自分に必要な動きを追求するようになります。
若い時の状態を追い求めるのではなくその年齢や経験値に合った動きを追求することで、選手として成長し続けることに目を向けることができるようになるのではないでしょうか。
 
身体づくりではなく動きづくり、日本人アスリートが世界で活躍するためのキーワードです。
 
最後までお読みいただきましてありがとうございます。




2014年07月11日

アスリートから学ぶこと

『最近太ももの前とか、外側が練習後に張らなくなってきてるんです』
これはゆるめることの重要性を理解し、JARTAセンタリングトレーニングを継続して頂いているアスリートの数ヶ月前の言葉です。
 
JARTAトレーナーの赤山です。
私は現在ビーチサッカーの若林選手のコンディショニングを担当しています。
 
最近はセミナーにも頻繁に顔を出していただき、一緒にトレーニングをされているので受講者の方々はお会いになったことがある方も多いと思います。
若林さん1
コンディショニング中やトレーニング中の会話の中で私自身も多くの気づきがあり、是非共有しておきたいと思いましたので対話形式でご紹介させて頂きます。
 
【以下、会話内容】
赤山:若林さん、最近の身体の調子はどうですか?
若林:最近は前みたいに膝が痛くなることも減って、何より太ももの前とか外側が張らなくなってきましたね。
赤山:それは随分よい傾向ですね。他には何か変化を感じる部分はありますか?
若林:前は試合の後とか股関節前面が詰まった感じがして、トレーナーさんにいつもマッサージをしてもらわないといけなかったんです。
でも今はマッサージをしてもらいたいと思わないくらいその症状はないです。
赤山:それが維持できるようにしたいですね。でもゆるんでくれば逆にまだ硬い部分が気になりだしてるんじゃないですか?
若林:そうなんです。みぞおちの裏とか、その上の背骨が硬くて動いてないのが実感できます。
赤山:じゃあ今日はみぞおちと胸郭(肋骨メインで)がゆるみやすくなるようにワークをしましょうか。
若林:お願いします。
赤山:みぞおちは大腰筋の付着部なので以前も何度かしていますが、背骨の前後の動きを意識しながらしましょう。
あと肋骨はまず左から一本一本分離できるように動かして行きましょう。
 
数分のワーク後。(左だけ肋骨をゆるめて)
 
若林:あれ、左だけ胸板が厚くなったような気がするんですけど。
赤山:確実に前後の幅が大きくなっていますよ、鏡でみてみましょうか?
若林:本当ですね、なんか左だけごつくなったような。
そういえば全盛期のマラドーナの胸板がすごい厚くて憧れて、その時みんな胸とか背中の筋トレしまくってましたよ。
赤山:そうなのですね。でもマラドーナは筋トレで胸板が厚くなっただけじゃなくて肋骨含めて胸郭がかなりゆるんでいたのかもしれないですよ。
若林:これでこうなるということはそういうことですよね。そういえば前園さんも胸板すごい厚かったです。
赤山:胸板が厚くてゆるんでいれば呼吸機能からいっても有利ですしね、マラドーナも前園さんもそれを備えていたのですね。
筋トレの仕方を誤ってしまうと一見胸板は厚くなっても胸郭の可動性が低下してパフォーマンスが低下する可能性すらありますからね。
若林:そうなんです、なんか上半身が重たくて動きにくくて自然に止めました。
赤山:肋骨や胸郭は自律神経との関係性もかなり深いのでしっかり継続しておいて下くださいね。
若林:はい、胸板厚くしときます。
 

今回の会話から再確認し学んだこと

  • 練習、試合後の筋に張りを選手は仕方がないものと思っている。
  • そしてそれはなくなって普通じゃなかったことに気づく。
  • 憧れの選手をマネする姿勢は時としてマイナスに働くこともある。

以上になります、選手の感覚を大ことに一つ一つ現象に向き合うことで再確認できることが多々あります。
 
私はビーチサッカーをしたことはありませんが、若林選手の身体や思いと真剣に向き合うことで一歩ずつパフォーマンスアップへの階段を登っていると感じます。
また随時報告させていただきます。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。
 
若林さん2

2014年07月10日

静岡県のサッカーの名門校、常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告

先日、常葉橘中学サッカー部での全体トレーニングに介入させていただきましたのでご報告いたします。
常葉橘中学サッカー部は、先日開催されました静岡県U-15サッカーチャンピオンシップ2014で、ジュビロ磐田ユースを破って優勝している強豪チームです。
 
JARTAからの紹介で、3人体制で担当することになりました。今回は、JARTAトレーナーの荒川が報告します。よろしくお願い申し上げます。
 
晴天のもと人工芝の専用グランドで初回を迎えることができました。25人を相手にトレーニングの提供は初めてで緊張しました。
常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告1
 
初回の介入では
『チーム状況の理解、自分たちの必要性を感じてもらう』
をテーマに作戦を立て、臨みました。
 
JARTA代表の中野から「想像できる限りのことをシュミレーションすべし」とのアドバイスをもらい、シュミレーションを重ね、対応できる準備をしました。(作戦会議の内容は日を改めて報告します)
 

Ⅰ.チーム状況の理解

チーム目標

  1. どういうサッカーを目指しているのか
  2. 我々トレーナーに求めるもの
  3. 具体的にサッカーにおけるどの要素を上げることを必要としているか

などの質問で事前にやりとりし、チーム状況を把握しました。
 

Ⅱ.自分たち=JARTAの必要性を感じてもらう
  • 変化を実感してもらうこと
  • 監督から要望のあった『スピードアップ』

をテーマにトレーニングを提供させていただきました。
 
重心を感じる重要性
常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告2
重心の位置で可動域が変わる、センタリングウォーミングアップの一部です。選手たちは変化に気づき、重心位置の重要性を身体で理解してくれました。
 
選手たちの食いつきが一番いいスパイラル・レッグショット
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常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告7
『サッカー選手は500回連続だよ』に対して『10回で限界』との声も・・・。
 
レッグショットである部位の意識を高めます。下肢に連動するRSSCの発動性を高め、スピードアップには必然です。
常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告8
 
カットフォールはゲーム形式で行いました。どれだけ早くしゃがめるかを競います。ちなみに、写真は優勝した選手とトレーナーの対決です。
常葉橘中学サッカー部の初回サポート報告9
 
初めに出した課題である、スパイラルレッグショットの精度、連続回数ともにトレーニングを一通り実施した後、向上していました。
このように、JARTAトレーニングには各トレーニング相互に関係性があることについて、選手たちも身体で理解してくれたようです。
 
反省としては一次姿勢の重要性、細かい部分の説明はできなかったことです。今後、指導者向けのレクチャーや、個別のコンディショニングの中で深めていこうと思います。
 
最後に、選手には次週までの宿題を出させてもらいました。次回、選手たちの変化を見るのが楽しみです。
 
今後認定スポーツトレーナーになられる皆さん、是非一緒にサポートしていきましょう。
 
JARTA認定スポーツトレーナー
荒川

2014年07月10日

JARTAベーシックセミナーに参加してみませんか

JARTAベーシックセミナーでは、JARTAのトレーニング理論やコンディショニング技術、そして「立甲」を学ぶプロセスと指導方法を学ぶことができます。
 
「立甲って何?」となったか方はこちらで詳しくお伝えしています。
参照) 立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由
 
立甲が可能になると、肩甲骨や肋骨(脊柱)の可動性も拡がり、肩甲骨と肋骨(胸郭)を分化させた状態で使用できるようになります。
立甲習得前
ベーシックセミナー紹介 立甲習得前
立甲習得後
ベーシックセミナー紹介 立甲習得後
 
また胸郭の可動性も拡がることで、横隔膜や大腰筋の機能も改善することができます。
ご興味、ご関心がございましたら、ぜひJARTAベーシックセミナーにご参加ください。
 
JARTAベーシックセミナーの詳細についてはこちらをご覧ください。
⇒ JARTAベーシックセミナー詳細

2014年07月09日

JARTA認定スポーツトレーナーとしての活動報告【京都大学野球部トレーニングサポート】

先日、JARTA認定スポーツトレーナーの寺田、松田、JARTA代表の中野の3名で、京都大学の野球部員を対象にトレーナー活動をしてきましたので、今後の課題も含めてご報告します。
 
はじめまして。高知県で活動しています、JARTA認定スポーツトレーナーの松田と申します。今回の記事は同行したトレーナーを代表して私が書かせていただきます。
今回、寺田と私は、野球部員数名のトレーニング指導を担当しました。(今回は体験・見学という形で、女子ラクロス部員数名と京大の理学療法学科の学生数名も一緒に参加していました)
 
京都大学野球部トレーニングサポート3
 
ちなみに自分たちに与えられた時間は1.5時間。
皆さんならこの時間内で、しかも初対面の集団を対象としてどのような指導を行いますか。自分達の行なった指導は以下の通りです。
 
1.本日の目的を説明
JARTAセンタリングトレーニング、一次姿勢の説明 等々
2.一次姿勢調整トレーニングを指導
・脊柱スパイラルストレッチ
・みぞおち・肩助面トレーニング
・大腰筋トレーニング
・立甲
・インナースクワット
・シッティングフロー
・フローティングダウン 等々
3.質疑応答
このような流れでした。
 
1.5時間経過後、授業のために抜ける選手もいましたが、結局は全体練習の終了後に個別指導など含めると合計2.5時間ほどの指導時間でした。
 
野球部員、女子ラクロス部員、理学療法学科学生の皆さん、ちゃんと話しを聞いてくれて、トレーニングも真面目に実施してくれました。
トレーナーの指導が適切ならば、どんどん進化するんだろうなと感じました。
 
逆に言えば、トレーナーが間違った方向性のトレーニングを示せば選手達は本来のパフォーマンスを発揮できないということも実感しました。(マイナスの学習といいます)
 
なぜそう感じたのか。
 
選手はトレーナーのことを信頼しています。(あまり信頼されていない場合もありますが・・・)信頼しているトレーナーが指導してくれたことならば、それがたとえ間違っていたとしても全力で取り組んでくれます。
「努力するのは選手の責任ですが、努力(トレーニング)の方向性を示すのはトレーナーの責任です。」
京都大学野球部トレーニングサポート2
選手とトレーナー、お互いが信頼し合っていても、トレーナーが間違った指導をすれば選手の努力は報われません。どんなトレーナーも選手を悪くしようと思って指導することはないです。
 
しかし、現実にはトレーニングの方向性を間違えて(このやり方が正しいと思い込んでしまって)、選手に無駄な努力を強いる場合もあります。ですから、我々トレーナーは選手が結果を出せるよう常に考え、準備し、行動するという努力が必要だと感じました。
 
今回のトレーナー活動で自分達の課題として、次のものを挙げました。
1. トレーニングの目的、期間(期限)、程度をもっと明確にする必要がある。
⇒今回は少し提供するトレーニングの種類が多かった。もう少し種類を絞って、トレーニング実施の質を高めることが必要だった。
2.トレーニングと野球の動きを関連づけて説明し、そのトレーニングに取り組む意義をしっかり伝えることが必要である。
⇒トレーニングの効果はすぐに出るものではないです。日常生活の中で何度も何度も繰り返して行うレベルのものもあります。
そのトレーニングを行うことで、未来の自分がどのようなパフォーマンスを発揮できるのかを伝えることが重要でした。さらにその姿を選手が具体的に思い浮かべることができるようになれば、トレーニングへの取り組みは飛躍的に向上すると思いました。
3.選手をどんどん上達させてモチベーションを更に上げていくことが必要である。
⇒大半の人がそうだと思いますが、出来なかったことが出来るようになると楽しいし更にやる気が出てきます。何度も何度もトレーニングを繰り返せば誰でもある程度上達するのは当然です。
トレーナーは的確なポイントを指導して、選手を最短距離で目標まで連れて行く技術が必要だと感じました。
 
京大硬式野球部 田中英祐投手の立甲

(今秋のドラフト候補、田中英祐投手の立甲)

 
今後も京都大学サポートはJARTAが継続して行なっていく予定なので、次回参加の際には今回の経験を活かしたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
JARTA認定スポーツトレーナー
寺田 智博
松田 純一
京都大学野球部トレーニングサポート1

2014年07月07日

選手にとって本当に必要なスピードの質

連日サッカーW杯で盛り上がっていますが、今回は旬のサッカーをテーマに「スピード」について焦点を当てていきたいと思います。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
「50m走が速い」「長距離が速い」これらはスピードを示す重要な値ですが、数値的なスピードだけで相手を抜くことができるのでしょうか。
 
その前に、そもそもスピードとは何でしょうか。たとえば100mを10秒台で走るとき、

  • 初速から加速するスピード
  • トップスピードまでの加速
  • トップスピード

など、どれも重要なスピードです。単純に走るという競技だけでみれば、その速さを鍛え上げることが重要になってきます。
 
では相手がいる球技スポーツではどうでしょうか。今回はワールドカップに出場している選手に当てはめて考えてみましょう。サッカーのドリブルで有名なアルゼンチンのリオネル・メッシ選手を例に挙げていきます。
選手にとって本当に必要なスピードの質1
彼のドリブルのトップスピードは飛び抜けて速いわけではありません。他のトップレベルの選手でメッシよりも足が速い選手はたくさんいます。
しかしメッシ選手のスピードコントロールはピカイチです。スピードの初速と緩急の付け方が他の選手と比べ物にならないくらい優れているのです。
 
物体が動き始めたときの最初の速さ=初速であり、これが相手がいるスポーツ動作において重要になります。
また初速が速いだけでは相手がいるスポーツでは通用しません。相手を出し抜くテクニックが必要になってきます。
 
ポイントは「バレない様に速く動く」です。
これには初速をいきなりトップスピードに変化させ、かつ余分な準備動作を最小限にすることが重要になります。
 
格闘技に例えるのであれば、力こぶをためて思いっきり振りかぶったパンチはスピードはありますがまず相手に当たりません。
選手にとって本当に必要なスピードの質2
一方、ノーモーションのパンチは準備動作がなく相手が予測できず、かつ初速が速いため相手は避けきれないのです。
 
メッシ選手は相手を抜き去るとき、ノーモーションのパンチを繰り広げるようにしてドリブルをしているのです。これでは相手もついていけません。これが世界一流のスピードの質です。
 

まとめ

今回はスポーツにおけるスピードという大きなテーマについてお話しました。
数値だけでなく、パフォーマンスに直結するスピードはどのようにトレーニングしていけばよいか。JARTAアドバンスではそのヒントが転がっています。
 

2014年06月29日

フットサル日本代表の中村友亮選手のサポート開始しました

このたびJARTAで新たにサポートを開始した選手をご紹介します。
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中村 友亮|Yusuke Nakamura

アグレミーナ浜松所属
フットサル日本代表
154cmという小柄な体格を活かし、足技・ドリブルでの突破力に秀でる選手です。

プロ経歴

2005-2007年 ヴィッセル神戸
2008-2010年 FC琉球
2011–2014年 バサジィ大分
2014—現在アグレミーナ浜松
2014年からはフットサル日本代表に選出されている。
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JARTAトレーナーの高島公平が担当いたします。

担当トレーナープロフィール

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高島公平

JARTA SSランクトレーナー 理学療法士

経歴

2008年 理学療法士資格取得後、大阪で病院勤務となり急性期から回復期の整形疾患や回復期の中枢疾患の患者を経験。
2011年 愛知県豊橋市に新設された整形クリニックに転職。現在も同クリニックに在籍。
 
臨床2、3年目に自費診療での開業を目指し、西洋医学の分野だけでなく体軸や東洋医学、カイロプラクティックなども取り入れ患者の施術を行っていた。
JARTA代表の中野と出会い、PTになろうとしたきっかけである「トレーナー」という道を再度挑戦しようとし、認定スポーツトレーナーとなる。   現在も、開業を視野に入れつつ、在籍中の整形クリニックの業務だけでなく、トレーナーとして活動を開始している。

2014年06月18日

アルテリーヴォ和歌山・永井雄一郎選手のサポート報告

先日、プロサッカー選手で、元日本代表の永井雄一郎選手のコンディショニングとトレーニングサポートに行ってきました。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
今回はサッカー元日本代表で現在、関西サッカー1部のアルテリーヴォ和歌山に所属する永井雄一郎選手のサポートの報告です。
 
現在35歳の永井選手はここ数年思うような成績を残せず、横浜FCからアルテリーヴォ和歌山に今年4月に移籍してきました。ここから復活すべくJARTAを通じてオフォーを受けてサポートしていくことになりました。
 
初回は全身状態の確認と今後の方向性の相談、いくつかの自主トレーニングを伝えてきました。
永井雄一郎選手のトレーニングとコンディション2
永井雄一郎選手のトレーニングとコンディション1
施術のポイントなどの詳しい内容は公開できませんが、まだまだこれから成長していけることは間違いありません。
 

今後の永井選手のサポートの概要
1.継続したコンディショニングサポート

身体に起こった異常とその原因を選手とともに見極め、それを改善し予防していく方向性を見いだしていきます。

2.1から身体づくりを行っていく

ここでいう身体づくりとは筋力トレーニングやスタミナの強化などではなく、JARTAで行っている統合化トレーニングを軸に身体機能と動きの質を高めていきます。

3.弛緩力、格定力を高め故障予防と鋭い感覚を養う

成績を残すためにまずはコンスタントに試合に出場しなければなりません。そのために故障を予防することは必須です。そのために弛緩力と格定力を高め動きの質を上げ自分自身の身体に対する鋭い感覚を養っていきます。
 
永井選手に伝えたのは、良いときの状態を再現し“復活”を目指すのではなく、いまの永井選手の最高の状態を目指し“進化”しようということです。
 
永井雄一郎選手のトレーニングとコンディション4
色々話しましたが、永井選手のこのままでは終われないという非常に強い思いはひしひしと伝わってきました。その思いに応えるよう道を作るのがトレーナーの役割です。
 
今後の永井選手に是非ご注目ください!
 
JARTAトレーナー  岩渕 翔一 (写真右)

2014年06月10日

体がブレるので体幹トレーニングした方がいいですか?

「体がブレるので体幹トレーニングした方がいいですか?」みなさんはこんな質問を受けた時どう答えますか。
今日は体幹による固定についての話です。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
体幹ついては選手も考えていることが多いです。とくに「ブレる」という表現されることも多く、鍛えることで改善しようと考えます。
ブレる→不安定→良くない→固定しよう→体幹トレーニング・・・、という流れが現代の主流の考えです。
 
しかし、本当にブレることが悪いのでしょうか。本当に体幹で固定することが絶対的に正しいのでしょうか。
 

体幹は固めると動きやすいのか?

選手からの質問に私は「ブレてもいい、体幹を固めないようにして」と伝えます。
一般的な体幹トレーニングは体幹を固めて末梢を動かすという流れです。末梢を動かすときにガチガチに体幹を固めて崩さないように気を配るわけです。
 
体幹を固定するとは、見方を変えると脊柱を動かなくするわけです。26個の背骨運動を筋肉で制限する。背骨だけではありません。
胸郭や骨盤帯の動きも制限されます。これが自然な反応なのでしょうか。
 
動物や赤ちゃんの動きを思い浮かべてください。俊足のチーターが体幹を固めて動いているでしょうか。赤ちゃんが体幹を固めて動いているでしょうか。
体がブレるので体幹トレーニングした方がいいですか?1体がブレるので体幹トレーニングした方がいいですか?2
 
どちらも否です。体幹は固めずにブレているのです。
 
肉食動物であるチーターが生き残るために選んだ手段です。赤ちゃんが動きはじめて成長するために選んだ手段です。これが自然な体幹の動きではないでしょうか。
 
理学療法の研究においても、肩を挙上するときや足を動かすときに最初に活動する筋肉は
体幹であるという報告があります。しかし、体幹が活動するからといってイコール「体幹を固める、収縮させておけばいい」というのはあまりにも短絡的です。
 
逆に体幹の活動から末梢が動いているのでは…と考えたことはありませんか。
「体幹を動かして末梢を楽に操作する」
これが本来あるべき姿であり、より高いパフォーマンスアップに必要な身体の使い方だと考えています。
 
グニャグニャした体幹から波動運動が末梢に伝わる、肩甲骨・肋骨・脊柱・骨盤が総動員されて動きにつながるわけです。
 

まとめ

今回は体幹がブレた時に体幹を固めるかという選手の質問についてのお話でした。
体幹から繰り出されるパワーやスピードが強力な力を生み出すことは、JARTAトレーニングで実感できることでしょう。
 
ご興味、ご関心がございましたら、ぜひセミナーに参加してみてください。

2014年06月03日

中殿筋を鍛え過ぎると立位が不安定になる

いまや中殿筋エクササイズはどんな方でも知っている有名なトレーニングです。
中殿筋エクササイズが立位や歩行を安定させると誰もが信じて疑いがないと思いますが、本当にそうでしょうか。
本日は中殿筋トレーニングに疑問を持っている方にお読みいただきたい内容です。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
 
冒頭でも触れました、中殿筋は立位や歩行を安定させると筋肉と考えられていますが、少し語弊があります。
それは立位の質に焦点を当てていないから、安定したように見えるのです。でも本当は不安定になっているかもしれないのです。
 
たとえば中殿筋を鍛えるためにこのような運動をしていませんか。
中殿筋を鍛え過ぎると立位が不安定になる1
実はこの運動が選手の動きを阻害している可能性があります。
 

中殿筋は頑張りすぎていませんか

では実際に自分の身体で感じてもらいます。立位姿勢で中殿筋に力を入れてみてください。
簡単に中殿筋が力が入る方法として小指側に体重をかけてみてください。大腿の外側の筋肉が優位に働き中殿筋も働きます。この立ち方は安定していますか。
中殿筋を鍛え過ぎると立位が不安定になる2
 
静止立位を筋肉で保っている状態なので、あたかも安定しているかのように感じます。これは簡単に言うと「力の出している感を身体で感じ、頑張って立っている」のです。
この状態はJARTAで重視している弛緩力ではなく、収縮力を強くしている立位になります。もちろん中殿筋のトレーニングをした後にも同様の「頑張って立っている」状態が完成します。
 
立つという動作だけで筋肉の収縮が大きければそれだけ立位で疲労するし、次の動き出しも遅くなってしまいます。これは非常に効率が悪い身体です。
 

中殿筋の出力をなくした立ち方のポイント

では中殿筋を使いすぎないためにはどうしたらいいか。つまり立つことを最小限の出力で抑えるということになります。
以下の方法を行ってみましょう。

  1. 脛骨直下で立つ
  2. 脛骨を意識して立つ(腓骨ではありません)
  3. 脛骨の上に大腿骨そして骨盤がのるように意識する(感じることができれば骨頭と臼蓋の位置関係も意識)
  4. 下肢の筋出力を最大限減らす(特に入りやすいのが大腿四頭筋と腰背部になるため注意)

1~4を意識して行うと、非常に楽に立てます。
 
一見ふらふらする感じがしますが、これは安定している上動き出しがスムーズになります。ぜひ電車の中で試してみてください。
 
全身に力を入れた状態で立つ方法と全身の力を極力抑えて立つ方法でどちらが長く立っていられるか。おそらく後者の方が長く立っていられます。
そして後者の方がバランスを崩したときのステップ反応が速くなるはずです。
 

まとめ

今回は、絶対的な中殿筋の役割を、視点を変えて考えてみました。
「中殿筋=立位安定」この方程式を少し疑ってみることも必要かもしれません。スポーツ選手の中殿筋が頑張りすぎていないか確認してみてください。
 

2014年05月27日

ハイパフォーマンスに欠かせない裏転子と大腰筋の関係

今回はJARTAセミナーでもお伝えしている大腰筋と裏転子・ハムストリングスの関係についてお話しします。大腰筋に関しては何度かコラムでもお話ししていますが、また違った視点からのお話しですのでトレーナーの方は要チェックです。
 
JARTAトレーナーの岩渕です。
さてJARTAではいくつかの重要視している概念や部位があります。大腰筋や裏転子はその重要視しているもののひとつです。しかしこの裏転子という言葉そのものを聞きなれていない方も多いかと思います。
 

裏転子とは

裏転子とは運動科学者である高岡英夫氏の提唱する身体意識のひとつで、殿部の下半分からハムストリングスの上半分に形成される身体意識を指します。
この裏転子の意識はハムストリングスを活性化すると言われています。
 
ハムストリングスが大腰筋の拮抗筋であることは周知の通りだと思います。裏転子の身体意識はハムストリングスを活性化し、主動-拮抗筋作用により大腰筋-ハムストリングス両方を強化することが可能になります。
 
ではハムストリングス全てが大腰筋の拮抗筋であるかと言われればそれは違います。大腰筋に対する拮抗筋は、ハムストリングスの中でも裏転子の意識で活性化されるハムストリングス上部がそれにあたります。
 

回旋も考慮した大腰筋の拮抗筋はどこか

大腰筋の作用はOKCでは股関節屈曲であると認識されていると思います。一方、拮抗筋であるハムストリングスの作用はというと股関節伸展と膝関節屈曲が作用であるとされています。
実はこの認識に大きな問題点があります。
 
一般的に、関節運動というのは屈曲-伸展、内転-外転、内旋-外旋といった3軸で表現され、それぞれの関節は可能な運動方向により1軸、2軸、3軸の関節に大別されます。この枠組みの中で股関節は3軸の関節に位置付けられます。
 
一度考えていただきたいのですが、屈曲-伸展の作用のみを起こす筋肉があるでしょうか。答えは当然NOです。1軸の関節ならまだしも股関節は3軸の関節で全ての運動方向に可動しますし、運動方向はあくまで人が便宜上分けただけの分類です。
ではこの事実を踏まえて、大腰筋とハムストリングスの起始と停止、筋肉の走行をみてみましょう。
 
大腰筋は12胸椎及び第1腰椎~第4腰椎を起始として小転子に付着します。走行は大腿骨に巻きつくように小転子に付着します。
ここが重要なポイントで、大腿骨を這うように走行し後内側にある小転子に付着していることで大腰筋が収縮すると股関節の屈曲だけでなく外旋運動が起こります。つまり大腰筋は股関節の屈曲と外旋が作用となります。
 
次に拮抗筋であるハムストリングスをみてみましょう。外側にある大腿ニ頭筋は坐骨結節を起始とし、腓骨頭及び下腿筋膜に付着し、内側にある半腱様筋と半膜様筋は坐骨結節を起始とし脛骨粗面内側に付着します。
これらの筋の起始・停止と走行から外側ハムストリングスは股関節伸展及び外旋、内側ハムストリングスは股関節伸展及び内旋の働きが作用となります。
 
こういった理由から股関節屈曲及び外旋運動を主動する大腰筋の拮抗筋は、伸展及び内旋運動を主動する半腱様筋と半膜様筋、つまり内側ハムストリングスということになります。
そしてこの主動筋-拮抗筋の関係は回旋運動も伴い、屈曲外旋-伸展内旋の関係となります。
 
ここが非常に重要なポイントで、この回旋運動を伴った股関節屈伸運動がJARTAで推奨しているRSSCにつながるのです。つまり大腰筋-内側ハムストリングスの関係がRSSCを賦活(ふかつ)する
 
例えば陸上選手が走るところをスローで見てみると、かなり回旋の要素が見てとれます。そのため、大腰筋やハムストリングスを活性化するというのは近年注目され、重要視されているのです。
ハイパフォーマンスに欠かせない裏転子と大腰筋の関係1
 

視点を変えると拮抗筋からみえてくるものも変わる

上記のように股関節の屈伸という観点でみると 「大腰筋⇔裏転子」
回旋要素を考慮すると 「大腰筋⇔内側ハムストリングス」
 
股関節回旋要素を考慮すると「大腰筋⇔内側ハムストリングス」の拮抗関係が成り立ち、それがRSSCを賦活します。そして裏転子の身体意識はこの作用を活性化しハイパワーハイスピードのパフォーマンスを実現にするため欠かせません。
このように考えると、大腰筋だけにフォーカスして治療やトレーニングするのでは不十分なことがお分かりいただけるかと思います。
 
JARTAでは大腰筋や内側ハムストリングスを活性化し、RSSCを賦活するトレーニングや治療手技をセミナーでお伝えしています。
大腰筋やRSSCをもっと知りたい方はぜひセミナーにご参加ください。
 
また指導者や選手の方で、もっとパフォーマンスを上げたいとお考えの場合は、ぜひお問い合わせください。
 
最後までお読みいただきましてありがとうございます。
 

2014年05月22日

JARTAトレーニングのリハビリ現場での実践

今回はJARTAで学んだトレーニングをリハの現場で実践し効果を実証できましたので報告させていただきます。
はじまして。JARTA認定スポーツトレーナーの金丸 了と申します。福岡で作業療法士をしており、作業療法士としての経験は10年目になります。
 
私はスポーツ現場でのトレーナー経験はありませんが、JARTAのトレーニングはリハビリ現場でも十分活用できるのではないかと考え実践してみました。
 
対象の患者さんは障がい者支援施設におられる20代の女性です。軽度の身体障害と軽度の知的障害があります。(※ご本人様に掲載のご許可はいただいております)
身体能力は高く、昨年より障がい者スポーツの100mの選手となり、地域の大会で昨年は2位の成績を残されています。
 
本人の悩みとして、以前より運動後に肩から腰部、大腿部にかけての痛みの訴えと、時折肩こりによる頭痛と吐き気を訴えていました。
相談を受けまして、当院でリハビリ開始となりました。
当初はストレッチや物療で対応していましたが、改善が見られないため、思い切ってJARTAで学んだトレーニングに切り替えました。
 

JARTAのトレーニングの効果

トレーニングとしては、脊柱スパイラルストレッチ、鳩尾(みぞおち)とウナの意識、大腰筋トレーニング、立甲とインナースクワットを行いました。
 

評価

ボディイメージが悪く、一次姿勢も崩れており体の軸をうまく捉えられていない状態でした。
そのため座位や立位でも、常に体のどこかが力んでいる状態で疲労し易い状態で、特に歩行や走行時に肩から腰部にかけての力みが強い状態でした。
 
また、リラックスができず常に全身を固めた状態で、柔軟性に欠け格定力も低い状態でした。
※ 格定力:局面に応じて身体の状態を最適化できる能力。JARTAセミナーで学べます。
 

体幹の柔軟性の改善目的として

鳩尾と肩肋面トレーニング及び脊柱スパイラルストレッチを行いました。続いて立甲及び四足歩行を行いました。
訓練が進むにつれて肩甲骨周囲の筋の固さがとれ柔軟性が出てきました。また大腰筋なども緩み腰部の固さが取れてきました。
その結果、頭痛や肩こりも徐々になくなっていきました。
 

立位でリラックスできる姿勢作り

今回の治療で重要だったのは立位、つまり一次姿勢のトレーニングです。一次姿勢は、運動を考える上で必須の考え方で、全ての運動の基本となります。
一次姿勢ではウナ(=脛骨直下)に荷重できる必要があります。
 
立位で軸の意識ができてきたところで、さらにインナースクワットを行い、しゃがみきった位置でも力まない様に姿勢作りの訓練を行っていきました。
JARTAトレーニングのリハビリ現場での実践2
 
 

経過

週2回の訓練を1か月行った時点で肩甲骨周囲から腰部にかけての筋肉の張りや痛みはなくなり、リラックス出来るようになりました。
インナースクワットも力まずに出来るようになりハムストリングスや下腿三頭筋の痛みも消失しました。
 
局面に応じて力を入れたり抜いたりが出来るようになり体の使い方が徐々にできるようになり身のこなしが軽くなりました。
本人も『走りやすくなった』『走った後の痛みや疲れがなくなった』と言われています。そして実際に走るスピードも速くなりました。
 
また走った後の疲れや痛みが出なくなったので、運動をするモチベーションアップにもつながっています。
 

まとめ

JARTAの手技やトレーニングは、リハの現場でも十分に通用します。
ただし、相手に対してのリスク管理や意味を理解してもらえるための説明能力は必要となりますので、自分自身も更にしっかりと理解して活用していく必要があると感じました。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
 
JARTA認定スポーツトレーナー
作業療法士
金丸 了

2014年05月21日

身体能力を最大限引き出すウォーミングアップ

小さい頃から運動の前にウォーミングアップを行ってきました。しかし、その意味と効果を理解できていますか。 ただ何となくウォーミングアップを行っているのではないでしょうか。
今回はJARTAの身体能力を最大限引き出すウォーミングアップについてのお話です。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
ウォーミングアップをしたことがない、という方はいないですよね。それほどウォーミングアップは当たり前のように行われています。
まずウォーミングアップの意味と効果について、考えてみましょう。
 

ウォーミングアップの効果を再考する

我々がウォーミングアップをする理由としては、

  • 柔軟性の向上
  • 筋温の上昇
  • 心理的効果
  • 心肺機能の準備

などが挙げられます。 重要ではありますが、これだけでは不十分です。
 
次にある部活のウォーミングアップ一例です。

  • いきなり15分ランニング
  • 各自ストレッチ5分
  • その後ボールを使用した練習開始

以上です。これが部活の現状です。
 
ウォーミングアップ時間自体も非常に短くなっており、アップが軽視されている傾向があります。   身体能力を最大限引き出すウォーミングアップ1
 
私は選手にいつも言います。
「身体はまだ眠っているのに、起こさなくていいの?」
 
まさに選手は寝起きのまま100mを走ることと変わらない身体状態なのです。 しかも、高校生レベルだけでなくトップアスリートでも、ウォーミングアップを深く考えていないことが多いです。

  • ただ単にストレッチをするだけ
  • 何も考えずに筋肉を伸ばす
  • 順序も構成もないアップメニュー
  • とりあえず全身を隈なく動かして温まっている状態にする

これで戦える身体になれるのでしょうか。これで戦える100%の身体に変化しているのでしょうか。
 
JARTAウォーミングアップは今までのアップとは違います。簡単にまとめると、

  • 余計なアウターマッスルを抑制
  • 重要なインナーマッスルの活性化
  • 身体の内観をあげる
  • その日の身体のコンディションの確認(選手自身が確認)
  • 各身体のセンサーを発火させる

つまり、我々が治療した後のような状態を呼び起こすことができるのです。いつでもどこでも、選手自身で。 身体能力を最大限引き出すウォーミングアップ2
JARTAのアップは、ハイパフォーマンスに達するためのアップなのです。余計な要素は一つもありません。 具体的な方法についてはアドバンスセミナー3でお伝えします。
 
身体能力を最大限引き出すウォーミングアップ3
 
 

まとめ

今回はスポーツに必須のウォーミングアップについてお話をしました。
大げさではなくこれからの日本のウォーミングアップが変化すれば、自ずとスポーツ結果が変わってきます。そのためにはまず指導できる人間が必要になるのです。
ぜひJARTAのウォーミングアップを体感してください。

2014年05月19日

イタリア・フットサルチャレンジ2014での活動報告

昨日兵庫県宝塚市でイタリア・フットサルチャレンジ2014が開催されしたので、ご報告申し上げます。
JARTA代表の中野です。
JARTAのアドバイザーも勤める、フットサルの元日本代表・吉田輝氏が、イタリアフットサル界の猛者を連れて凱旋帰国しました。
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告1
 
試合はもちろん注目なのですが、イタリア・ラツィオ州選抜のユニフォームの背中に注目!
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告2
わかりましたか。そうなんです。今回JARTAは本大会のスポンサーをさせていただきました。
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告3
 
さらに認定スポーツトレーナーもご招待していただき、イタリア側のトレーナーにはJARTA認定スポーツトレーナーである枝次伸吾が入りました。
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告4
 
試合はとても白熱したものとなり、よい経験となりました。
イタリア側にいたアルゼンチン代表の選手は身体が大きくても柔らかい動きで、かなり目を引きました。日本人選手には、ああいう選手たちに勝てるようになってほしいですね。
 
試合後は選手や吉田氏と記念写真も撮らせていただけました。
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告5
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告6
 
JARTAでは今後も認定スポーツトレーナーを対象に、一流スポーツ選手を肌で感じられる機会をご提供していきます。
JARTAのセミナーについてはこちらをご覧ください。
⇒ 現在募集中のJARTAセミナー
 
PS.試合後にはこんな記念ウエアもいただきました。大切にします!
イタリア・フットサルチャレンジ2014の活動報告7

2014年05月15日

一流のスポーツトレーナーになるための法則

今回は「一流トレーナーになるための法則」というお話をします。どんな法則なのでしょうか。
 
JARTA代表の中野です。
スポーツトレーナーを含めて、その道で一流になるために必要な「全てに共通する要素」は何だと思いますか。
 
それは「自分はできる」と心の底から信じられることです。もっと言うと、それを潜在意識レベルでインプットしていることです。
 
一流になってゆくためには、当然様々な新しいチャレンジをし続ける必要があります。
誰にとっても、新しいチャレンジは怖いものです。
なぜでしょうか。それは想像ができないからです。
 
では想像ができないのはなぜか。潜在意識に入っていないからだと思います。
『おれはできる』と潜在意識に入っていないからこそ、踏み出せないのだと思います。
 

潜在意識に入れるには

潜在意識に入れるにはどうしたらいいのか。
『それをやっている人を見ればいい』と思います。もっと言うと『やっている人のマインドに触れるといい』と思います。
「自分がこう思って、こう行動している、こうしたい。」というのは、根本に『今までの自分のデータがあるから』なのだと思います。
 
そして、知らず知らずのうちに自らが潜在意識レベルで望む方向に導かれてゆきます。潜在意識とはそういう働きをしてくれるのです。
 
そしてそのデータは『出会い』によって作られます。
 
その『データ』を基にして自分が潜在的にその方向へ向かいたいと思っているのが、『自分の意思』なのではないでしょうか。

  • ですから、なかなか一歩踏み出せない人は踏み出している人に会い、その思い・マインドに触れること。
  • できれば踏み出している人が何をしているか直に見ること。
  • それを繰り返すこと。

そうすれば、自ずと確固たる意思が生まれ、行動でき、物事が進んでいくのだと思います。
 
JARTAでは、各セミナーにときどきスポーツ選手が現れます。
身体のケアやトレーニングについて勉強するため、またはJARTAのトレーニングを行うためです。タイミングが合えば中野の施術場面も見学できます。
 
見れば潜在意識に入ります。目の当たりにすることで、必ず自分にも『できる』ということがどこかにインプットされているはずです。
 
そしておそらくその現場にいる人で、まだアスリートにかかわっていない人は今後何らかの形でアスリートに関わることになります。
また「そうありたい」と思うようになるのだと思います。
 
最後に付け加えると、私自身これまでこういったことをずっと継続してきています。
今でも師匠の施術を見学したり、望んで様々な分野の方とお会いしたりし続けています。
そして世界レベルの一流アスリートとの関わりは、潜在意識レベルでの「当たり前」をさらに高めてくれています。
 
私がお話する内容、構築しているセミナー内容には、これらの「データ」が含まれているのです。
 
スポーツトレーナーを目指したい方、今のスポーツトレーニング理論に疑問や限界を感じている方、ぜひ中野に会いにきて下さい。
そしてJARTAに共感している仲間に会いにきてください。
 
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
 
現在募集中のJARTAのセミナーはこちらをご覧ください。
現在募集中のJARTAセミナー
※ベーシックセミナー、アドバンスセミナー1の詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。

2014年05月15日

第2回海外トレーナー研修 募集開始のお知らせ

大変お待たせ致しました。本日より、イタリアでのJARTA海外トレーナー研修の募集を開始します。
今回もインテルユースやラツィオユースなどへの指導体験が予定されています。(他有名チームなどが入ってくる可能性もあります)
 
普段は大きいことは言いませんが、この研修だけは絶対に他では経験できない内容と断言できます。
1週間、最高の環境で一緒に過ごしながらいろいろとお話や非日常経験を共有できればと思います。
対象は認定スポーツトレーナーのみです。もちろん私も帯同します。
 
イタリア研修の詳細はこちらをご覧ください。
参照) JARTAトレーナー海外研修|イタリア
 
こちらの写真はラツィオユースのみなさんと撮りました。
第2回 海外トレーナー研修募集開始のお知らせ1
 

第2回 JARTAイタリアトレーナー研修募集要項

開催期間
開催期間1(予定)

9月13日(土)午前日本発〜20日(土)午前日本着(関空発着)

開催期間2(予定)

9月20日(土)午前日本発〜27日(土)午前日本着(関空発着)

参加資格

JARTA認定スポーツトレーナー

定員

両期間ともに3〜4名
※1.どちらの開催期間を希望されるかを記載して下さい。どちらも可能な場合は両期間とも選択して下さい。
※2.希望人数、セリエA側の日程などを踏まえて最終的に開催の可否を検討します。ご要望通りに遂行できない可能性があることもご了承ください。。なお研修費の入金は開催確定後にご案内することになります。
※3.申し込み多数になった場合は書類選考になります。先着順にはしませんが、申し込みまでの決断の早さも当然選考要因となります。

2014年05月14日

フォーム指導にひそむ危険性

担当する選手が目の前に来たら、必ずチェックするポイントはありますか。私は、どんな状態の選手に対しても必ずチェックするポイントがあります。
 
みなさんはじめまして。JARTA認定スポーツトレーナーで理学療法士の枝次伸吾と申します。この度コラムを書かせていただくことになりました。よろしくお願いします。
 
みなさんは痛みを出しているのはフォームが問題だからといって、すぐにフォームを変えようとしていませんか。
 
過去に膝に痛みを抱えた大学のアメリカンフットボールの選手をみているとき、フォームが悪いから痛みが出ていると判断し、私はフォームばかり変えようとしていました。
フォームに操作を加えることで、その場では痛みが軽減しても、再度来たときは痛みが元に戻っているということが多かったのです。そういったことを何度も経験し、当時はとても苦しみました。
 
でも今ならわかります。
これはパフォーマンスを構成する階層を理解していれば、解決できた問題だったのです。
 

パフォーマンスを構成する階層

フォーム指導にひそむ危険性1
3次姿勢:発現しているパフォーマンス

2次姿勢:歩行

1次姿勢:立位
つまり、パフォーマンスの土台は歩行であり、歩行の土台は立位であるということです。
 
この構造を理解せずに、一般的なフォーム指導のように3次姿勢の変化に固執することが本当に選手にとって良い指導といえるのでしょうか。
例えばこれは家の土台が崩れているのに外観だけを整えていることと同じですよね。このことは現在「常識」とされている運動指導を考える上で非常に重要な問題です。
 
私自身も、3次姿勢を理想のフォームに近づけることしか考えていませんでした。今だったら直接3次姿勢を操作することがいかに危険かはよくわかります。
しかし当時はそんな階層があるなんて理解していませんでした。ただひたすら問題のある動きを改善しようということで、フォーム指導の繰り返しです。
その結果、選手はテーピングで膝を固めるということでしか復帰できない、ということの繰り返しでした。
 
パフォーマンスを構成する階層の一番下の階層、「立位」をみることで選手の痛みを出している本当の原因が見えていたのではないかと思うと、当時の指導には本当に悔いが残ってしまいます。
 

立位をみる、ということが重要な理由

フォーム指導にひそむ危険性2
歩行が変われば動きも変わる、歩行は体軸(センター)の移動ともいわれています。
(※参考図書 高岡英夫著書 「センター・体軸・正中線」「身体づかいの常識革命」)
 
運動という枠組みの中で、地球上という重力下での立位がいかに重要なものかをしっかりと考える必要があります。
最も簡単な運動である立位が適正でなければ、それよりも難易度の高い歩行や走行、様々なパフォーマンスが効率の良いものにならないことを認識する必要があるのです。
 
立位や歩行を考えずに、3次姿勢であるフォームだけを変えようとすることが、いかに危険なことかを認識する必要があるのです。
適正な1次姿勢は、ケガを改善したりケガを防止したりするために重要な意味を持つとともに、パフォーマンスを高めるための必須条件です。
 

立位のチェックポイント

では「立位」のどこに着目してみるのか。
それはまず脛骨直下=ウナ(※高岡英夫先生提唱)で重心をとらえるということです。ウナは、建物でいうと柱の真下です。
柱の真下に重心がないと、力学的に大きなロスが生じるのは当然ですよね。
 
そしてウナで重心をとらえることで、大腰筋、横隔膜、骨盤底筋、ハムストリングス上部が働きやすくなる条件に近づきます。これらは体幹内の重要なインナーマッスルですので、当然パフォーマンスアップへとつながります。
 

1次姿勢を整えるための方法

現在トレーナー活動をしている方、今後スポーツトレーナーとして活動したいと考えている方、フォームにこだわるのではなく、一度1次姿勢(立位)を確認してみてください。
そこから問題が見えてくることもあります。
 
そしてここで述べたポイントは1次姿勢(立位)のチェックポイントのほんの一部であることも付け加えておきます。
 
JARTA認定スポーツトレーナー養成コースでは、まず徹底的に1次姿勢を獲得させるための技術とトレーニングを学びます。
私はそれらを習得することで、トレーナーとして大きな活路を得ました。これからも本当の意味で選手に貢献できる存在を目指していきたいと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。

2014年05月09日

スポーツ動作に反映する腹筋トレーニングのポイント

今回は夏に向けて旬な「腹筋の鍛え方」についてです。
この夏に向けて腹筋トレーニングをしている方、そして腹筋をただひたすら鍛えることによりスポーツパフォーマンスは変わるのか疑問に感じているトレーナーさんへ質問です。
本当にその筋肉は使える筋肉でしょうか、見せかけだけの筋肉にはなっていませんか。
 
JARTAトレーナーの吉田です。
今年の夏も暑くなり、肌の露出が増える時期です。男性は腹筋を割ってきれいに見せたいと望んでやまないはずです。
スポーツ動作に反映する腹筋トレーニングのポイント1
単純に割れた腹筋をきれいに見せたいという方は、雑誌やテレビのトレーニングに励んでください。スポーツ選手も見た目を気にして、懸命に腹筋トレーニングを行いますから。
しかし、スポーツを仕事とするアスリートに本当に必要な腹筋はその鍛え方で良いでしょうか。
 

一般的な腹筋トレーニングの盲点

よく目にするトレーニングとしては、カールアップや体幹のツイスト動作を行う方が多いでしょう。
しかしこれらの一般的な腹筋動作の大きな盲点は、筋の収縮形態にあります。
すべて求心性収縮で起始部(第5~第7肋軟骨、剣状突起)を停止部(恥骨結合)に近づける方法がほとんどです。
 
なぜこの方法が多いのか考えたことはありますか。
 
想像してみてください。
我々人間の動作の中で腹部を求心性収縮に使用することはどれくらいあるでしょうか。またスポーツの場面で腹部を求心性収縮に意識的に使うとどうなるでしょうか。
スポーツ動作に反映する腹筋トレーニングのポイント2
腹部筋に対して上記のようなトレーニングが多くなってしまうと、腹直筋は大腰筋の拮抗筋 (機能的には)なので大腰筋が使えなくなってしまいます。
大腰筋が使えなくなることは、直接スポーツパフォーマンスを低下させる要因になります。
 
本来の腹筋の鍛え方は、多くのスポーツ動作における腹筋の役目は遠心性収縮が主です。
遠心性収縮により、体幹の回旋や伸展のブレーキを行い、そのブレーキを一気に解放することで爆発的な力を生み出します。
まさに腹部のRSSC(Rotator Stretch Shortening Cycle:回旋系伸張反射)なのです。
 

まとめ

今回は腹筋をスポーツ動作で反映するポイントについてお伝えしました。
 
具体的な腹筋の鍛え方・方法はみなさんの創造性にお任せしますが、私は原則として以下のことに注意しています。

  • 遠心性収縮を行う
  • 大腰筋とのバランスを壊さない
  • 固めるような腹部トレーニングは行わない

 
ただ腹筋をひたすら鍛えるのではなく、スポーツに生かすためのポイントを考えて運動療法を組み立ててみてください。
選手の反応も格段と変化していきます。

2014年05月07日

超回復とマイナスの学習

多くのスポーツ選手がなぜ必死に激しい筋トレをするのか、考えたことありますか。今回はトレーニングの一場面に警鐘を鳴らしたいと思います。
超回復とマイナスの学習1
がむしゃらにトレーニングを行い、終了の合図とともに床に倒れ込む、そんな光景はメディアやスポーツ現場では大変よく目にします。
「すごい努力してるなぁ」
多くの人はそう考えます。
 
確かに選手たちは本当にとんでもない努力をしています。しかし、そこには大きな落とし穴が潜んでいるのです。
 
ヘトヘトに疲れるほどに様々なトレーニングに没頭する選手たちについて、私たちトレーナーの立場にある者が考えるべきことがあるのです。
 

「美しい」トレーニング

  • パフォーマンス(パワーやスピード)を上げたい
  • ケガを予防(回復)したい
  • 身体を大きくしたい
  • 相手を威圧できる見た目を作りたい

選手たちが必死の形相でトレーニングを行う目的は、だいたいこれぐらいでしょうか。
選手たちは自分の競技力を高めるために、とても真面目に、強い想いをもってトレーニングに取り組みます。
 
筋力の発揮に全精力を傾け、ヘトヘトになるまで自分を追い込み、筋肉に負荷という刺激が加わったことを歓迎します。
彼らは「超回復」といわれる、筋肥大に期待します。
 
筋繊維を痛め、回復する際に肥大して太くなる現象です。指導者側も、そこまで追い込んでいる選手を見て、多くの場合「頑張ってるな」と評価します。
多くのメディアでも、そういった場面を美しいものとして紹介します。「努力」のイメージとしてわかりやすいですからね。
 
そして一般的にもトレーニングのあるべき姿として、身体がミシミシいうような状態まで追い込むトレーニングが良いものとして、「常識」となっています。
しかし冒頭で申し上げたとおり、ここには大きな落とし穴があります。
 
「常識」とされているトレーニングの方法や実施する際における問題点は、JARTAのベーシックセミナーやアドバンスセミナー1を中心に、様々なところで説明していますが、ここでは、その一部をご紹介します。
筋力を発揮することだけに全力を傾ける形式でトレーニングを実施すると、外的認識力・内的認識力が低下してしまうという点です。
 

マイナスの学習

外的認識力とは、自分と相手選手・自分とボール・自分とゴールなどの関係性を認識する力のことです。
そして内的認識力とは、重心位置や身体の状態など、自分の状態に対する認識力のことです。
 
「筋力を発揮すること」にフォーカスして行う形式のトレーニングでは、これらは当然発揮されない状態で筋力が使われることになります。
超回復とマイナスの学習2
 
これは実際の競技で発揮されるべき運動様式とはかけ離れています。(ウエイトリフティングなど一部競技を除いて)
ほとんどの競技は、筋力だけを発揮すればいい結果が得られるというものではありませんよね。
例えばサッカーのシュートであれば、蹴るタイミングやディフェンダー・ゴールキーパーの位置、ボールの位置、ゴールとの角度など、認識すべき要素はたくさんあります。
 
人間には高い学習能力があるので「筋力発揮だけに集中」というトレーニングにより、どんどんこの様式での身体の使い方を覚えてしまうのです。
残念ながら「トレーニングのときだけ」とはいかないのです。
 
このように、トレーニングによって実際の競技能力が低下してしまう現象を「マイナスの学習」といいます。
 
JARTAではこれらの事象を踏まえて、パフォーマンスに直結する様式でのトレーニングである「統合化トレーニング」を提唱しています。
筋トレそのものは必要なものであり否定しませんが、実施する際の「状態」「方法」に関してトレーナーや指導者の立場にある者は、もっと慎重に、繊細に指導すべきであることは強く主張しています。
 
今回お伝えしたトレーニング理論は、ベーシックセミナーの冒頭で詳しくお伝えします。ご興味、ご関心がございましたら、ぜひJARTAベーシックセミナーにご参加ください。
JARTAベーシックの詳細
 




2014年04月30日

トップアスリートの背骨の構造

世間的にはコアトレーニングや体幹トレーニングなど背骨を固めて安定させる方法が流行していますが、私は視点を変えて、固めない背骨がトップアスリートの背骨構造の条件として捉えています。
トップアスリートの背骨の構造1
JARTA トレーナーの吉田です。今日のテーマは「トップアスリートの背骨の構造」です。
今回のお話は肩肘張らず、柔軟な体と心でお読みください。
 

あなたの背骨は塊になっていませんか?

ではみなさん、少し身体を動かしてみましょう。
「右腕を上に動かしてみてください」
「右手をグーパーしてください」
「右手の人差し指の第二関節を曲げてください」
「最後に腰椎の3番目を動かしてください」
 
どうでしょうか、最後の課題は難しくありませんでしたか。
 
私たちは、普段動かしている部分に関しては意識が明確になっており正確に動かすことができます。しかし、動かしていない部分、または固まっている部分に関しては「塊」としての身体になっています。
人間の身体の中で、背骨は塊となる可能性が非常に高い関節です。
 
4つ足歩行から2足歩行に進化したときに頸椎と腰椎部分を前弯させ、筋の伸展活動を起こし、次第に塊となっていったのです。
ですから「腰椎の3番目」という背骨の1つを動かすことは難しいのです。
 
では、塊としての背骨にはどんなデメリットがあるでしょうか?
 

塊としての背骨のデメリット

想像してみてください。腰~胸にかけてコルセットをして、頸椎カラーをした状態で運動する人間を。

  • キレがない
  • スピードがでない
  • ケガをしやすい
  • 筋疲労が早い
  • 動き出しが遅くなる

などなど、多くのデメリットが生まれてしまいます。
 
トップアスリートの背骨の構造2ではトップアスリートの背骨はどうなっているのでしょうか。
 
塊としての背骨ではなく、頸椎7、胸椎12、腰椎5、仙骨・尾骨を1つずつ意識・コントロールすることができるのです。
合計26個の背骨を意識・コントロールすることができるので、26の関節が運動を引き起こします。
 
ということは、1つの塊として動いていた背骨が26個のバネを持つのです。
つまりストレスの分散、動きだし、スピード、パワーも26倍以上になることが可能なのです。
 
背骨の塊を取り除くことがトップアスリートになるための、ひとつの条件だと常日頃から私は考えております。
 
みなさんも、自分の背骨を感じてみてください。
そして選手に26個の背骨を感じ取らせてみてください。必ず目の前で選手の動きが変化します。
 
JARTAのセミナーでは、椎体1つ1つに対しての具体的なアプローチもお伝えしております。

2014年04月28日

京都大学野球部でのトレーニング指導|JARTA活動報告

先週、京都大学のJARTAトレーニング研究チームからの依頼で、同大学の野球部数名のコンディショニングとトレーニングの指導に行ってきましたのでご報告します。
(さらに…)

2014年04月26日

コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋

人体の中には、アクセル筋とブレーキ筋があることをご存知でしょうか?今日のテーマは「コンマ何秒を変えるアクセル筋とブレーキ筋」です。
(さらに…)

2014年04月25日

JARTA海外研修に参加する意味はあるのか?

3月15日から3月22日にかけて、JARTA認定スポーツトレーナーたちを連れてイタリアまでトレーナー研修に行ってきました。今回は研修の総括です。
(さらに…)

2014年04月24日

イタリア研修で学んだ仲間の大切さ

イタリア研修は、トレーナーとしての経験だけでなく、人生の糧になりました。
今回はイタリア研修のまとめです。
(さらに…)

2014年04月23日

誰もが使いこなしたい回旋系伸張反射|RSSC

今回は、パフォーマンスをアップさせるためには必須の概念であるRSSCに関してのお話です。
選手のパフォーマンスを向上させたいとお考えの方には、必ず理解していただきたい内容です。
(さらに…)

2014年04月22日

セリエA ラツィオのトップチームトレーナーが大切にしていること

通常では中々会うことのできない、セリエAのトップチームのトレーナーとゆっくりお話する機会をいただきました。
その中で学んだ、とてもとても重要なこととは?
(さらに…)

2014年04月16日

大阪でのアドバンスセミナー1のアンケート結果のご報告

JARTAのセミナーでは講習終了後にアンケートをとって、皆様からご意見をいただいております。
(さらに…)

2014年04月14日

スポーツ業界における五月病とは?

今回は春に起こりやすいケガの特徴や傾向を考え、どのように選手のコンディショニングにあたるかをお伝えしていきます。
(さらに…)

2014年04月10日

トレーナーに本当に必要なのは運や縁ではなく行動力とプレゼン能力

今回はJARTAセミナー受講者様のトレーナー活動のご報告です。
トレーナーに絶対必要なのは運や縁ではなく行動力とプレゼン能力1
JARTAではスポーツに対するトレーニング知識や技術以外に、プレゼンテーション能力に重きを置いています。
JARTAのアドバンスセミナー3では、プレゼン能力を高めるトレーニングがプログラムに組み込まれています。
これはプレゼン能力がスポーツ現場に絶対必要であるという、JARTAの強い想いの現れでもあります。
 
プレゼン能力については以前こちらのブログでお伝えしましたので、まだご覧になっていなければまずこちらをご覧ください。
参照) スポーツトレーナーに必要なプレゼン能力
 
こちらにも書かれていますが、トレーナーの能力はわかりにくいので、新しいトレーナーを雇って、新たなトレーニングを導入することには、選手や運営側にリスクが伴います。
ですから自分がトレーナーとして関わることで、何ができて、どのようなメリットがあるのか相手に説明して納得してもらわないと、トレーナーとしてそのチームに招き入れられることはできないのです。
 
今回JARTAの講習会を受講されている方が、行動力とプレゼン能力で、バスケットボールの強豪校とトレーナー契約を勝ち取りました。
どのような行動とプレゼンをしたのか、ご紹介させていただきます。
 

大切なのは行動力とプレゼン能力

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はじめまして。
福岡で理学療法士をしています、鹿島健太朗と申します。
 
今回、JARTA代表の中野さんにコラムを書く機会をいただきました。どうぞよろしくお願いします。
 
私は理学療法士になり、今年の4月で5年目を迎えました。
スポーツ選手に携わりたいという理由から理学療法士になったにも関わらず、1年間に数回、地域のスポーツイベントで参加者のコンディショニングをする程度しか活動していませんでした。
 
そんな私ですが、3月末から高校バスケットボールの強豪校でトレーナー活動をしています。
スポーツ現場の経験が乏しい私が、なぜバスケットボールの強豪校でトレーナー活動をする機会をいただいたのか、その経緯についてお伝えします。
 
トレーナー活動をするために、まず何をしたのかというと、とにかく行動。高校時代のバスケットボール部の監督に相談し、強豪校の監督を紹介していただきました。
相手方の監督には自分でアポを取り、実際にお会いして、自分がチームに何が出来るかプレゼンさせていただきました。
 
実際、スポーツ現場に出ている方の多くは、勤務している病院がチームと契約している場合や、先輩や知人に帯同させてもらっている場合が多いと思いますが、私は総合病院に勤務しており、そのような機会はなく、自分で探す必要がありました。
私と同じような環境の方は多いと思います。その中には、スポーツ現場で活動出来る自信がなく、なかなか一歩が踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
 
私も不安を払拭するために、スポーツ系の講習会に何度も参加しました。
それらの講習会では、ケガの予防やケガをした後のリハビリなど、「痛みをどうするか」に着目した内容が中心でした。
もちろん重要だとは思いますが、ケガや痛みの訴えの少ない現場では必要とされないのでないでしょうか。
 
自分が選手だった頃は、「ジャンプ力を上げたい」、「スピードを上げたい」など、パフォーマンスを上げることを考えていたと思い、学んだことが実際にスポーツ現場で必要とされるのか悩みました。
また、既にトレーナー活動をされている方たちと同じことをしても需要があるのかとも考えました。
 
そんなときJARTAと出会い、「パフォーマンスアップを最重要とし、体の使い方を向上させるトレーニングを提供する」ことに興味を持ち、JARTAセミナーに参加しました。
 
講習会を受けていく中で、自分自身の体が変わっていくことに気づき、代表の中野さんが実際に現場で必要とされていると聞くと、JARTAの理論がスポーツ現場で大きな強みになるのではと思いました。
 
自信を深めると同時に不安が少なくなり、なかなか踏み出せなかった一歩を踏み出すことができました。
 
監督へのプレゼンでは、「パフォーマンスアップの為に、体の使い方を向上させるトレーニングを提供できること」を中心にお話しました。
チームの監督も、競技の技術や筋力だけでなく、体の使い方の重要性に気づいてはいるものの、どのように指導していいか分からないといった状態で、私のプレゼンに興味をもっていただき契約することができました。
 
しかし、このチームには既にトレーナーが在籍しており、テーピングや応急処置、ケガの予防などを強みとしてプレゼンしていたら契約できなかったと思っています。
実際の現場では、「あの走り方どうにかできないか」、「コンタクトプレーで当たり負けしないようにならないか」など、個別の選手に対する要望から、チーム全体でのウォーミングアップ指導の依頼を受けています。
 
トレーナー活動できるようになったのは、知人の協力や偶然ももちろんありましたが、何よりも「自分自身が行動したこと」が大きかったと思っています。
当たり前ですが、行動しなければ何も変わりません。
行動したことで、知人の協力を得ることができ、偶然を引き寄せたと思っています。
 
「スポーツに関わりたいなら、スポーツ現場に早く行ったほうがいい」といったことをよく聞きます。もちろん現場でしか経験できないこともあると思いますが、実際すぐにトレーナーとして必要とされていることを提供できますか。
僕は不安で行動できませんでした。行動したとしても、何もできない人がチームに必要とされるでしょうか。
 
チームや選手のために本当に関わりたいと考えるなら、「現場で必要とされるような強み」を身につけてからでも遅くないと思います。
それが、自信になり、「行動すること」になり、実際のスポーツ現場に出ることにつながると私は考えます。
 
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
 

まとめ

JARTAでは今後も既存のトレーナーにはない強みやプレゼン能力を、セミナー受講者の方にご提供していきます。
そして鹿島様のように、支えとなる知識や理論、プレゼン能力を武器に現場で戦えるスポーツトレーナーを一人でも多く輩出できるように努力して参ります
 
鹿島様、どうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
 
JARTAのセミナーにご興味があるトレーナー、治療家の方はJARTAセミナーにぜひご参加ください。
JARTA認定スポーツトレーナーコース

2014年04月04日

JARTAイタリア研修レポート part4 自分の強みについて

「あなたの強みを一言で表現できますか?」
今回はイタリアで感じた自分の強みについてお伝えしたいと思います。
(さらに…)

2014年04月02日

大腰筋の間違ったトレーニング

今回はインナーマッスルとして近年注目を集める「大腰筋」を取り上げます。大腰筋の重要性やトレーニングの正しい方法とは?
大腰筋の間違ったトレーニング3
JARTAの吉田です。
大腰筋という筋肉をご存知ですか?大腰筋は近年下肢や腰椎の動きに関わるインナーマッスルとして、メディアでよく取り上げられています。
 
たとえば、

  • 大腰筋を鍛えると姿勢が綺麗になる
  • 腰痛の80%は大腰筋が問題だ
  • 大腰筋を鍛える骨盤が矯正される
  • 大腰筋を鍛えるとダイエット効果がある
  • 黒人は白人より大腰筋が3倍大きいから足が速い

などなど、巷では様々なことが叫ばれておりますが、大腰筋を否定する人は聞いたことがないくらい人気者です。
 
大腰筋は胸椎12番・腰椎1~5番を起始として、大腿骨の小転子につきます。
大腰筋の間違ったトレーニング1
 
大腰筋の大切なことは、体幹と下肢をつなぐ唯一の筋肉ということです。その筋肉の間に脊椎、仙腸関節、股関節が関節構造として関連することもポイントです。
大腰筋の間違ったトレーニング2
 
大腰筋の機能は大きく分けて、

  1. 股関節屈曲
  2. 骨盤の前傾
  3. 腰椎前湾

の3つがあります。
 
大腰筋の拮抗筋には大殿筋やハムストリングスがあり、大腰筋が機能することにより殿部やハムストリングスの機能も変化を起こすのです。
高岡英夫先生の理論でいう裏転子が働くことになるので、アクセルとして下肢機能が動き始めます。
 
ではこの大腰筋をどう使うか?
一般的には「大腰筋が大きくなるようにトレーニングしましょう!」というのが多いです。筋肉が大きくなれば、動きがよくなりそうな気がしますよね。
 
では本当に大腰筋を大きくするトレーニングをだけでパフォーマンスは変わるのでしょうか?
 
もう一度解剖を思い出してみると、起始は胸椎12番、腰椎1~5番です。
みなさん、この部分の脊椎を自由に動かせますか。この部分は最も硬くなりやすい脊椎で、脊椎が動かなければ大腰筋がうまく作用しません。
ですからどのようなトレーニングになるかというと、多くは転子側を動かします。これだけでは大腰筋の魅力が半減してしまいます。
 
脊椎を自由にコントロール出来るようになることにより、CKC(Closed Kinetic Chain=閉鎖性運動連鎖)で大腰筋が活躍するのです
 
以下大腰筋をうまく使うための方法です。

  1. 脊椎を緩め、脊椎の自動運動を行う
  2. 固い人は直接大腰筋を緩める
  3. OKC(Open Kinetic Chain=開放性運動連鎖)、CKCで大腰筋に入力
  4. 加えて拮抗筋周囲の調整を行う

 
私見ですが、多くの下肢の疾患は大腰筋が働いていないことが要因だと考えています。(特に大腿四頭筋、ハムストリングス周囲の疾患)
 
JARTAでは大腰筋を非常に重要視していますので治療やトレーニングも大腰筋にアプローチするものがたくさんあります。
下肢疾患でお悩みであればぜひセミナーに参加して、体験してみてください。

2014年03月26日

JARTAイタリア研修レポート part3 プレゼンの大切さ

イタリアでの研修報告、今回はUー18世代のトレーニング指導を経験した感想です。
トレーニングがどれだけ素晴らしいものでも、プレゼンテーション次第で良くも悪くもなってしまうということを改めて感じました。
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2014年03月25日

初めてスポーツ現場に出たときの失敗

スポーツ現場では失敗はあってはならないのですが、トラブルはつきものです。
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2014年03月21日

JARTAイタリア研修レポート part2 日本の育成段階との違い

インテルの育成選手が練習する施設を見学させていただいたので、その育成システムで特に印象に残っている点についてご紹介します。
またこのようなチームに新しいトレーニングなどをプレゼンする際に重要なことを書いていきたいと思います。
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2014年03月19日

JARTAイタリア研修レポート part1

代表の中野を含む4人のJARTAトレーナーが、JARTAの目玉企画であるイタリア研修に来ています。
イタリアで感じたことを現地からレポートしていきます。初回の担当はJARTA エグゼクティブ テクニカル マネージャーの藤田友和です。
(さらに…)

2014年03月15日

JARTAトレーナー海外研修でいまからイタリアへ出発します

JARTA代表中野の肝いり企画であるサッカーの本場でのスポーツトレーナー体験。とうとうそれが実現します。
(さらに…)

2014年03月13日

スポーツトレーナーに必要なプレゼン能力

スポーツトレーナーに必要なものは、コンディションやトレーニングの技術だけではありません。
今回は、私イタリアで感じたスポーツトレーナーに絶対欠かせないプレゼン能力や、その方法について具体的にお伝えします。
(さらに…)

2014年03月12日

インテルユースのトップマネージャーから見た日本人選手の特徴

海外から日本人選手はどう見られているのか。今回はインテルユースのトップマネージャーから見た日本人選手の特徴についてお伝えします。
インテルユースのトップマネージャーから見た日本人選手の特徴1
 
JARTA代表の中野です。インテルなど、海外トップクラブのシステムに関する話題の続きです。
前回までは、インテルユースのフィジカルおよびメディカルシステムの概要、そして「豊富な資金」「豊富な人材」「豊富なスタッフ数」を前提としているシステムを日本が模倣していくことに関する問題点に関して考察してきました。
 
今回は、インテルユースのトップ、テクニカルマネージャーであるモンティ氏へのインタビューにて指摘された、日本人選手の特徴とその解決方法について考察したいと思います。
 

日本人選手が世界で戦うために必要なこと

「 日本人は、みんな同じだね。
そしてユースレベルでは良くても、最終的に伸びない。 」

日本人選手についてどう思うかを尋ねたとき、彼から出てきた言葉です。どの選手も「個性がない」ということでした。
 
一定のレベルまではかなり安定して勝てるものの、そのレベルを超えてくると、ほとんど誰も勝てることができなくなる、それが彼の見解でした。
これは、サッカーに限らず、国際レベルの競技で顕著に見られる傾向です。
 
以前から、日本の競技環境では世界的な怪物が現れない点はスポーツ界では問題視されていました。
その原因として考えられてきたのが、日本ではスポーツの根本に「教育的要素」があることが挙げられています。
つまり、特に練習などで規律が重視され、和を乱すような突拍子もない選手は、居心地が悪くなるような傾向の環境が多いということです。
 
「出る杭は打たれる」という言葉に象徴されていますね。
この点に関しては、自己主張能力とも関連してスポーツや教育関係をはじめとして多くの方々が考察されているので、ここでは深く触れないことにします。
 
ちなみに、イタリアではジュニアクラスのサッカーでは「蹴り方」から教えたりしないそうです。まず、とにかく相手よりたくさん相手ゴールにボールを蹴り込むという「戦い方」を教えるそうです。
 
今回考察したいのは、そういった日本の文化の中で育ってきた選手たちが、世界で勝てるようになるための考え方についてです。
日本人選手に不足しているのは、要するに「能力を伸ばす力」です。
その原因として考えているのが、「身体の使い方の粗雑さ」です。
 
例えば、パソコンなどの機能をいくら高めても、「使い方」が間違っていれば、その能力は全く活かせないのはご理解いただけると思います。
そればかりか、機械であれば間違った使い方を続けていると故障の原因になります。
身体に当てはめると、これは痛みや傷害になります。
 
そして、
パソコンの能力を高める作業=身体の鍛え方
パソコンの使い方=身体の使い方
といえます。
 
これまで本当にたくさんのスポーツ関係者にお会いしてきましたが、ほとんどの選手、指導者、既存トレーナーの方々は、「鍛え方」はたくさんの知識をもっていますが、「使い方」のトレーニング方法に関しての知識は非常に乏しい状況です。
「使い方が重要」とはその方々も言っておられましたが、それにも関わらずです。
 
ほんのわずかな「センスのある選手」が、自ら「使い方の重要性」「内的認識力の重要性」に気づき、自分のトレーニングにその要素を加えて行えることで一流になっています。そして、それを「才能」と片付けてしまっている現状。
 
一流がやっているトレーニングだからと、形や理論だけ真似して「マイナスの学習」に陥り、パフォーマンス低下やケガに悩まされることになる多数の選手。
 
この現状に、いったいどれだけの指導者、トレーナーが気づいているでしょうか。
 
「鍛える」ことばかりに視点を奪われ、「使い方」を学ばずにハードなトレーニングを続けることは、何度も言いますが、パソコンの使い方を知らないまま優秀で難解なパソコンを与えられているようなものです。
これでは、いくら身体が成長したり筋力が向上したりしても、パフォーマンスとしては「伸びない」ことはご理解いただけるかと思います。
 
ベースとなる身体の構造上劣ると言われる日本人選手が、勝ってゆくために必要なこと。
それは、「身体機能の向上」と「身体の使い方の上達」これらの「協調」。これが私の考える戦略です。
パソコンの能力で及ばなくても、その機能を最大限「使いこなせる」ようになれば、勝てる可能性があるのです。
 
たしかに、インテルユースの15歳の選手たちは、もう大人に見えるほど体格が良く、動きもパワフルです。同世代の日本人とはすでに明らかに次元が違います。
運動のベースとなる素材が違う事も認めざるを得ないぐらいのものを目の当たりにしました。
ですから、まず「身体を大きくしたい。筋トレをしなければ…」となってしまうのも感覚的には理解できます。
 
セリエA インテルミラノの育成システムについて2
 
しかし、だからと言って「彼らと同じ理論と方法」でトレーニングをすべきか。前回述べたようなシステムの後追いだけでなく、トレーニング理論まで後追いするのか。
 
今後、人的資源・経済的資源の乏しい日本スポーツ界が発展してゆくためには、欧米式のトレーニングや理論を学んできたというトレーナーがもてはやされてしまう時代から、より「日本独自の上達理論、トレーニングシステム」を構築してゆく時代へと転換を遂げる必要があるのです。
これは対外国人でなくとも、体格に恵まれない選手に対しても必ず有効なものとなるはずです。
 
そして私たちは、そこに解決策を提案します。それが「JARTAセンタリングトレーニング」です。
 
「アスリートとしての身体の使い方」を根底から学習できるため、全ての競技のアスリートに適応できるトレーニングシステムです。
この全貌は、JARTAアドバンスセミナーⅢで全て公開、習得していただけます。
 
とても難しいトレーニングですが、必要な習得プロセスもベーシックセミナーから盛り込んであります。興味のある方は、ご検討いただけると幸いです。
 
次回は、トレーナーに必要なプレゼン能力について書きたいと思います。

2014年03月11日

世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底

イタリア視察で私が見て感じたこと。今回のテーマは世界トップクラスのシステムの根底にあるものです。
世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底1
 
JARTA代表の中野です。
前回は、世界トップクラスのサッカーチーム・インテルのユースを視察に行った際のコーチ陣とのやり取りや、そのシステムについてご紹介しました。
それらのやり取りをまとめますと、
「生き残り」
これが、私がユース視察においてメディカル・トレーニング系のシステムの根底に感じたことです。
 
当該チームで採用されているシステム(ほとんどスポーツ組織で採用されているタイプ)は、「ケガの原因を突き詰めて解明し、再発しないように改善してゆく」ものではありません。
もちろん、故障や痛みの原因が、「痛みのある部位」だけでなく、他の部位にあるという発想自体が乏しい文化が土台になっているシステムですから、仕方のない面もあります。
 
このシステムでなぜ結果を出せるのかを考えたとき、それが可能になるための要素として、

  1. 「豊富な資金」
  2. 「豊富な人材(選手層)」
  3. 「豊富なスタッフ数」

が挙げられます。
 
これらの環境を揃えた中で競わせ、生き残った「センスのある選手」だけがトップへと昇っていけるのです。
裏を返すと、ケガを発症する選手を何とかしようという方向性は見受けられないと言えます。
必然的に、ケガをした多くの選手は、将来が厳しくなり得ます。
 
世界トップクラスのシステムは「生き残り」概念が根底2
 
これらの点から、私は「世界トップレベルのクラブが採用しているシステム=世界最高のシステム」とは限らないと考えています
何が言いたいのかというと、インテルのように「豊富な資金」、「豊富な人材(選手層)」、「豊富なスタッフ数」を整えることができない日本のほとんどの組織においては、このシステムを追いかけるべきではないということです。
 
インテルですらトップチームに上がれる選手は各年代で1〜2名なのです。育成コスト面でそこまでかけられるチームが日本にどれだけあるでしょうか。
つまり、「資金面」「人材面」「スタッフ数」における環境において全く劣っている日本のスポーツ組織が、豊富な上記要素を前提条件としたシステムを追いかけている限り、今後も「勝てない」と言えます。
 
そして、これらの要素を満たせないのであれば、日本独自のシステムを構築するべきです。
世界の強豪国から参考にされるようなシステムを作り出せばよいのです。
日本には、欧米組織には容易には理解できない、“関係主義”という考え方があるのですから。
 
次回は、「日本人選手の進むべき方向性、世界から見た日本人選手」について考察したいと思います。
インテルユースの総責任者、モンティ氏より、厳しいお言葉を頂いたのでそちらもご紹介します。

2014年03月10日

セリエA インテルミラノの育成システムについて

昨年、JARTA海外トレーナー研修制度の構築のためイタリア、ドイツに渡り、サッカーチームを中心に視察してきましたので、報告を兼ねてお伝えします。
セリエA インテルミラノの育成システムについて1
 
JARTA代表の中野です。
昨年9月末から10月初旬にイタリアとドイツに渡りました。その目的は認定スポーツトレーナー向けの研修制度を構築するためです。
 
渡欧中にはイタリアサッカーセリエAのインテルのユースの施設見学、フィジカルコーチやGM、トップマネージャーらと直接いろいろ話をしました。
たくさんの苦い経験もしながら、得たものも大きかったので欧米のトレーニング事情も含めて考察していきたいと思います。
 
今回から5回に分けて、私が感じたこと、考えたことをお伝えしていきたいと思います。
 

施設・環境について

訪れたのは、U-15などユースカテゴリーです。トップチームでは日本代表の長友選手が活躍しているチームです。
 
施設はかなり素晴らしく、医療室には超音波などの物療機器が揃い、当然トレーニングマシーンも充実です。緑に囲まれた、広大な施設でした。
若年層からの育成を重視し、しっかりとお金をかけているのがわかりました。
 
所属する選手の国籍はすでに多様であり、世界中からその世代で優秀な選手が集まっていました(残念ながら日本人は一人もいません)。
そして、その各世代の中から最終的にインテルのトップチームに上がれるのは1人か2人だそうです。
 

フィジカル面のシステムについて

ケガや痛みがある場合、チームドクターの診察を受け、その指示の下で治療(ほとんどが物療か簡単なマッサージ)やトレーニングが決定されます。
ここでのフィジカルトレーナーの役割は、トレーニングの種類や回数、頻度の管理といったものです。多くが全体練習の前にコンディショニングとして行い、その後全体練習が始まります。
インテルユースのトップマネージャーから見た日本人選手の特徴2
こちらの写真は、医務室で受診の順番を待っている選手たちです。
ACL損傷が多いということだったので、治療やケガについて、いろいろ質問してみました。
Q:なぜケガ(ここではACL損傷)が多いと考えているのか。
A:ユース年代は、非常に身体が変わりやすく、具体的な原因はわからないし調べていない。
Q:どうすれば予防できると考えているのか。
A:筋力アップやストレッチが重要。
Q:痛みが続く選手にはどう対応しているのか。
A:トレーニング期に入っても痛みが出てくる選手に関しては、メディカルに戻して、もう一度ドクターに診断を受ける。物療などの治療を受ける。
Q:例えば腰痛の選手に対するコンディショニングはどのようにやっているのか?
A:バックマッスルのストレッチ、腹筋群・背筋群の強化。
このようなやりとりをさせていただきました。
しっかり身体のことを勉強されている方でしたら、いろいろ感じるところはあるかと思います。
 
このあたりについて、もっと詳しく知りたい方は、認定スポーツトレーナー資格を取得すると海外研修参加資格が得られますので、海外研修に参加する機会があれば直接聞いてみてください。
通訳も入ってくれますし、実際のトレーニング実施風景も見学させてもらえます。
 

まとめ

今回見学した中で感じたことは、痛みがある時、包括的に身体を診るという考えはほとんど存在していません
膝が痛ければ、膝周辺の状態をチェックし、物療やマッサージを行います。そしてその後のトレーニング期には、膝周辺のストレッチや筋トレを行わせます。
いわゆる「西洋医学、西洋的な身体観と西洋的トレーニング」の最先端です。
 
ご存知のように、これらはスポーツ分野において日本でもほぼ同じようなシステムで行われています。
そして彼らは、このシステムで長い間結果を出してきていますし、欧米式のシステムとしては本当に高いレベルで精密に構築されています。
 
これは否定できない事実です。
 
筋力トレーニング1つとっても、非常に綿密に構成されており、実施状況も随時管理されています。
しかし、私はこれらにはまだ欠けているものがあると考えています。
そしてそれこそが、スポーツで日本が世界で勝てる鍵になると思っています。
 
JARTA認定スポーツトレーナーには、そのあたりもしっかり理解していただき、実際にその解決策(トレーニング方法も含めて)を提案しています。
 
サッカーに関わらず、ほとんどの競技で世界的には勝てない状況に陥っている日本が、果たして彼らと同じメディカル・トレーニングシステムを盲目的に追いかけていてよいのでしょうか?
もっと他に、日本人が世界で勝つ為にすべきことはないのでしょうか。
 
次回は、「インテルユースのトップマネージャーのアドバイスから考える、日本が進むべき方向性について」をお伝えします。

2014年03月08日

スポーツ選手にとっての「命」の重みを考える

我々スポーツトレーナーが扱う命とはどういったものなのでしょうか。今回はスポーツトレーナーにとっての、命の重みについて再考してみたいと思います。
スポーツ選手にとっての命の重みを考える1
JARTAの赤山です。
本日のテーマは「命の重み」です。少し重たい内容ですね。でもこれを軽視する人は、スポーツ現場では通用しないと考えています。
 
私がスポーツトレーナーの世界に入ってきたきっかけでもあり、最重要視している視点について、ご紹介したいと思います。
 
この記事を読まれている方の中には、
「命っていっても、よほどのことじゃなければ、スポーツ現場で命の危険に遭遇することはないんじゃない!?」
そう思われる方も多いのではないでしょうか。
 
たしかにスポーツ選手は健康そうですし、命を失うことは少ないように思います。。
でも実はスポーツ現場でも、脳震盪や心疾患など生死に関わる場面はあります。
 
今回お伝えしたいのは、生死を意味する「命」ではなく、スポーツ選手にとっての違う2つの命です。
ひとつは「選手生命」という命です。もうひとつは「一番大事なもの」という命です。
 

最後までねちっこくできることはないか?

辞書で命と調べると生命や一生、寿命の次に『最も大切なもの』と出てきます。
私は何故かカテゴリー毎に、競技人生を狭めたり、引退を早める大きなケガをしてきました。
 
中学3年のときは、最後の総体の予選で転倒した際に手をつき、救急病院で骨折と診断を受けました。
ギプスを巻かれ、その後の試合出場を断念するよう指示されました。
 
この世の終わりかのように絶望している自分を見て、母親は次の日から数件整形外科に連れて行ってくれました。
結果的には小学生のときに大きな骨折をして、そのときの骨片が残っていただけでした。すぐにギプスが外れ、その後の試合に出場できました。
 
高校生のときには、最後の冬に試合中相手と膝をぶつけて、膝蓋骨を骨折し長期離脱しました。
しかも初診では骨折の指摘がされなかったため、数週間痛みを抱えながら競技をしていました。
おかしいと思い他の病院で精査し、骨折を判明し即手術となりました。
 
なんとか最後の試合には間に合ったものの、練習もろくにできておらず、不本意すぎて引退試合で涙も出なかったことを覚えています。
 
学生時代の自分にとってバスケットが全てでした。
まさに人生そのものであったと言えます。
 
スポーツ選手にとっての命の重みを考える2
自分のように、スポーツが人生のそのものである選手が、ケガや病気で引退やドクターストップをかけられたとき、どんな思いになるか私は痛いほど分かります。
 
いまの職場ではそういった選手と数多く遭遇します。号泣しリハビリにならないところからのスタートとなる選手も少なくありません。
そういった選手を少しでも救うには知識・技術も大事ですが、私は『思い』が一番大事であると考えています。
 
目の前の選手をどうにか試合に出場させるために、なんとかすべはないものかと、そう考えることで学びが深くなり、信頼関係も強固となります。
 
新人の頃、先輩セラピストによく『赤山くんはねちっこい』と言われました。
はい、私はねちっこいです。
あっさりはいそうですかと引き下がるのが一番嫌いです。
 
自分の選手生命を少しでも延ばすために東奔西走してくれた方のように、私はこれからも東奔西走したいと思っています。
常にケガをみている時にその選手の選手生命を担っていると感じながら指導しています。
 
そして現在進行形で、多くの選手から自分自身の生き方を学ばせてもらっていると強く感じます。
 
最後に、就職してから出会い、この思いを確信にさせてくれたひとつの書籍があり、ご紹介させていただきます。
『スポーツ障害から生き方を学ぶ』
スポーツ選手にとっての命の重みを考える3
 
私は初心を忘れそうになるとき、必ずこの本を読みます。
ご興味がある方は、ぜひご一読ください。




2014年03月05日

どんなトレーニングにも意識が大切

トレーニングをするときには、意識ひとつで、その効果は大きく変わってきます。
どんなトレーニングにも意識が大切1
JARTAの藤田です。
トレーナーのみなさんは、選手にトレーニングを指導するとき、どんな意識で行うように指導されていますか。
また選手のみなさんは、どのような意識でトレーニングをされているでしょうか。
 
なんとなく理解されているとは思うのですが、意識の仕方でトレーニングの効果は大きく変わってきます。
どう変わってくるのか、本日はご紹介したいと思います。
 

意識ひとつでランニングがウェートに

今回はメジャーリーグ・シアトルマリナーズの岩隈投手の、トレーニングに対する考え方の一部をご紹介します。

「一つのことばかりやってしまうと偏ってきてしまうと思うので、基本にかえるじゃないですけど、自然な動きを意識していくことが大切」

(中略)

「ただ走るのではなくフォームを意識してやることが凄く大切」

(中略)

「トレーニングっていうのはただ力をつけるだけじゃなく自分の身体と向き合いながら柔軟性とパワーをアップさせていく。それが一番いい形で身体が出来てくる」

引用) 高校野球ドットコム

なんとなく言いたいことはわかりますか?
この話のポイントを言い換えると次のようになります。

  • 柔軟性アップ、ウェイトトレーニング、ランニングメニューなど一つのことばかりに偏ってしまってはいけない。
  • 自然な動きやフォームを意識してトレーニングを行う。
  • 全て別のものとしてトレーニングを考えてはいけない。
  • ウェイトトレーニングをしながら意識をかえることで柔軟性アップもできる。
  • ランニングトレーニングをしながら意識をかえることで柔軟性アップもはかれる。
  • ウェイトトレーニングをしながら意識をかえることでランニングトレーニングにもなる。
  • ランニングトレーニングをしながら意識をかえることでウェイトトレーニングにもなる。

 
岩隈投手は高校時代にはトレーニングの知識もあまりなく、ランニングトレーニングがほとんどだったとのことです。
そしてこのようなことは意識していなかったが、プロに入ってからこのような考え方になり、近鉄や楽天のエースで球界を代表するような投手になりました。
 
その結果をひきさげメジャーリーグに移籍しましたが、思うような結果を残すことができませんでした。
そこで基本に返り、試行錯誤する中でトレーニングを考え直したところ、昨シーズンのような素晴らしい結果を残すことができました。
 
どんなトレーニングにも意識が大切2
日本ではトレーニングといえば、まだまだランニングが中心です。特に現在指導者となっている世代の方は、「走ることが全て」とばかりに、とにかく走りこむことを要求します。
 
たしかに走りこみには下半身を強化するという意味はあるのでしょう。
しかし問題は単に走り込むことだけになってしまっていることです。
今日ご紹介したように意識の持ち方ひとつで、柔軟性や筋力、さらにはパフォーマンスアップとつなげることもできるのです。
これができるかどうかで、日々淡々と繰り返されるランニングやウェートが、大きく意味のあるものに変化します。
 
トレーニングとはそうあるべきだと、私は考えています。
 
ちなみにこちらは、プロ野球の西田直斗選手にトレーニングを指導しているときの写真ですが、どのような意味があるかわかりますか。
どんなトレーニングにも意識が大切3
もしご興味がある方は、セミナーでお会いした時に直接聞いていただければと思います。
きっと新しい発見があると思いますよ。
 

まとめ

トレーニングと意識についてお伝えしてきました。
 
どのようなトレーニングでも、意識をかえること要素を増やすことで、つながりのないトレーニングではなくなります。
一見単発の動きに見えるトレーニングでも、身体の連動性や動きを変えることができるものでなければ意味がありません。
 
選手に対するトレーニングを構成して行く中で、意識づけなどのより多くの要素を組み込むことで、トレーニングも本当に意味のあるものになるのではないでしょうか。
 
トレーナーのみなさんも、実際にトレーニングをされる選手のみなさんも、ぜひ参考にしてください。

2014年03月04日

アドバンスセミナーⅡを終えて感じたこと

先月、関東と関西でJARTAアドバンスセミナーⅡの日程が全て終了しました。セミナーを終えての私が感じたことと、アンケートの結果をご紹介したいと思います。
アドバンスセミナーⅡを終えて感じたこと1
まずはアドバンスセミナーⅡにご参加いただいた受講生のみなさま本当におつかれさまでした。
コンディショニング技術、トレーニング種目ともにレベルが高く難しい内容でしたが、みなさまは最後まで集中を切らさずに学習していただいて、本当に嬉しく思っています。
 
アドバンスセミナーⅡのコンディショニング技術では、脊柱・仙腸関節・股関節といった、全身波及効果も高く、パフォーマンスにも直結する部位に対する施術方法と大腰筋との関連づけ方法を中心にご紹介しました。
アドバンスセミナーⅡを終えて感じたこと2
 
もちろんそれだけでは補いきれない、肩、手関節、手指、足関節、足指、胸郭、頸部などのコンディションもありましたね。
 
特に脊柱は、椎体1つ1つに対してアプローチすることが出来るようになりますが、そのためにはアドバンスセミナーⅠまでで学習してきた治療ポジションの使い方が段違いに精密になります。
治療ポジションには慣れが必要で、普段の治療からしっかり意識していただきたいと思います。
 
また、特殊手技として、OMSSという原理を新たにご紹介しました。
これまで習得してきた筋骨格系手技に併せて経絡の調整を加えることで、通常では効果を出しにくかった問題に対しても深く対処できるようになります。
 
トレーニング段階では、JARTAセンタリングトレーニングの紹介と実践を行いました。アドバンスⅠのトレーニングを十分に行っていないと実践は非常に困難になる内容です。
アドバンスセミナーⅡを終えて感じたこと3
 
また、これまでよりも更に実戦的になるよう、トレーニング指導の演習をグループ形式で行いました。目的と課題、それに対する戦略と手段を一貫して構築する練習です。
慣れていないとなかなか大変な形式ですが、スポーツ現場は常にこのプロセスの繰り返しですので、必ず習得していただきたい内容です。
 
アドバンスセミナーⅠからはかなり進化した内容でしたが、ひとりひとりが日々課題をもって取り組めば、みなさまならきっと習得できると私は考えております。
 

アンケート結果のご紹介

最後になりますが、終了後、みなさんにアドバンスセミナーⅡの内容についてアンケートを記入していただきました。
ここで何点か匿名でご紹介したいと思います。(※画像はクリックすると拡大します)
 
1
今回演習でグループ内での取り組みは自分の苦手なところや足りないところを発見したり、教えてもらえたので良かった。手技もまず自分の身体の使い方が不十分で、上手くできないものもあるので、しっかりやっていきたい。
 
 
2
選手が求めているもの、コミュニケーション、技術など、現場での内容を含めた話で、より理解が深まりました。又、スポーツ現場だけではなく、一般の生活の中でも使えそうな考え方(目的、時間、基準の話)の話は、自己鍛錬でも使用しようと思います。
 
 
3
テクニックも丁寧に教えて頂けますし、応用の仕方(治療ポジションの考え方)を教えて頂けますので、学んだテクニックをより役立てるのでうれしい。また、自分のトレーニングをして体の使い方を学べるので楽しい。
 
 
4
テクニックに関しては使う側の感性が大きく左右すると思うので重視していません。理論は共感できます。テクニックより中野代表の世界観をもっとみたいです。
 
 
5
毎回新鮮で自分に足りないものや考え方等を気づかせてもらえる場になっています。自分自身の身体についても少しずつ変化がみえてきており、色々な面で相手を変化させるためには、まず自分が変わらないと思います。
 
 
6
パフォーマンスレベルの高いクライアント・対象者に見本を見せられるレベルになるには、自分自身のコンディションがかなり良くないといけないということがわかりました。自分の鍛錬に加えて、基礎的なトレーニングがパフォーマンスアップにつながることを、しっかりプレゼン、納得してもらえるようにしていきたいと思いました。
 
 
7
コンディショニングのテクニックは結果がでやすく、今後練習して使っていきたいです。トレーニングに関しては、自分自身の理解がまだ浅く、実際の現場で指導していくには、もう少し自分で落としこんでいく必要があると感じた。
 
 
8
自分の体の動かなさを大いに気づかされました。しっかり動ける体を作っていきたいと思います。見本になるような体と指導をがんばっていきたいと思います。
 
 
9
どのスポーツにもつなげれるトレーニングを学べたので、次回からもっと具体的な競技に分けてのトレーニングを知りたいと思いました。
 
 
10
どうしても手段が先行しがちになってしまいますが、目的、戦略が前提にあるということを忘れてはいけないと再認識できました。明日からの現場でもう一度考え、修正していきます。
 
 
 
アンケート結果を元に、今後もより良いセミナーをご提供できるように、スタッフ一同努力してまいります。

2014年02月26日

オスグッドの治療と予防には身体の使い方が重要

成長期になりやすいと言われているオスグッド。なかなか治らないこともあると思いますが、どのような治療や予防をされているでしょうか。
オスグッドの治療と予防には身体の使い方が重要1
皆様こんにちは。JARTAの山岡俊也です。
最近、中学生と関わることが多く、オスグッドの治療や予防を経験する機会が増えました。
実際の現場では予防的にも、疼痛出現後の治療にも、まだまだ対症療法的なアプローチを行っていることが多いように感じます。
 
今回は特に予防の部分に関して、選手や指導者に知っておいて欲しいことをお伝えします。
 

オスグッドの病態と治療

オスグッドは正式名を「オスグッド・シュラッター病」といいいます。
成長期には骨の成長に対して靭帯、筋肉、腱などの軟部組織の成長がついていかず、短縮位となった軟部組織が引き伸ばされるような状態になることがあります。
このように伸長ストレスがかかったままの筋肉、腱でジャンプやキックなどの動作を繰り返し行うことで大腿四頭筋の付着部に牽引ストレスがかかり痛みが出現します。
 
オスグッドの治療と予防には身体の使い方が重要5
 
オスグッドの治療では、

  • オーバーユースにならないように練習の負荷量を調節
  • 大腿四頭筋を中心にストレッチングを強化
  • 炎症部位を練習後アイシング
  • 痛みが出てきたら膝蓋腱付着部にバンドを巻いてプレー

以上のような治療が予防的、また疼痛出現後の痛みに対して一般的に行われています。
しかし、しっかりストレッチをしていても、練習後にアイシングを行っていても、オスグッドになる方は残念ながらいるのです。
 
そうなると「いままでの治療では足りない部分があるのでは?」と考えてしまいますよね。
 

身体の使い方でオスグッドは変わる

私が現在一般的に行われている治療以外に重要と考えるのは、身体の使い方です。
成長期で、関節が硬くなる時期だからこそ、特に気をつけなければなりません。
 
選手は自分が大腿四頭筋を優位に使う身体操作をしているとわかっていません。また、それが場面によっては良くないことだと思っている選手もほとんどいません。
ここを変えていく必要があります。
 
オスグッドの治療と予防には身体の使い方が重要4
 
関節が硬くなる時期に加えて、いまの身体の使い方だと余計に負担が大きくなると、気づかせてあげなければなりません。
 
しかしそうはいっても、身体の使い方を変えるなんて、簡単にできることではないのです。
何が問題でその身体操作になっているのか、各選手ごとにしっかり評価した上でトレーニングを処方し、身体の使い方を変えていくことが大切です。
 
たとえば、中学生でも大腰筋の機能低下がある選手が多いのですが、大腰筋の機能が低下すると大腿四頭筋優位の身体操作になり、オーバーユースをより起こしやすい状態になります。
これはジャンプ、キック動作以外にも走る動作や、極端にいうと歩行動作でさえ大腿四頭筋優位の操作となり、牽引ストレスがかかる頻度もより増すためです。
 
この例であれば、大腰筋の機能を高めるようなトレーニングを指導し、大腰筋が機能しやすい状態にもっていくことで大腿四頭筋の負担を軽減させます。
その方法はいろいろあると思いますが、パフォーマンスアップと障害予防を念頭において処方されるべきです。
 
どれだけ対症的にコンディションを整えていても、身体操作に問題があれば特定の部位にかかるストレスは変わりませんん。
ですから、身体の使い方にフォーカスしたトレーニングを指導していくことが重要なのです。
 
逆に、そうしなければ本当の意味での予防にはならないことを、選手やチームスタッフに伝え、障害を予防する必要があると考えています。
 
JARTAでは以前から大腰筋に注目して、大腰筋をしっかり機能させるコンディションやトレーニングに取り組んできました。
なかなか治らない難治性のオスグッドにも効果が期待できます。
もしオスグッドでお悩みの選手や指導者の方がいらっしゃれば、ぜひお問い合わせください。

2014年02月25日

トレーニングに科学的根拠は本当に必要か?

医療やトレーニングの現場では「科学的根拠が全て」と言われていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
トレーニングに科学的根拠は本当に必要か?51
今回のテーマは「人間の運動と科学的研究」です。
科学的根拠。この言葉は、現代のスポーツ科学分野では非常に重みがあります。この分野では「科学的根拠が全て」と位置づけされているぐらいです。
 
しかし私は基本的には「科学的根拠がある」からといって、それが絶対的に正しいとは考えませんし、それを理由やその理論を信用することはしません。
 
今回ここからお話する内容は、あくまで「現場レベルでの話」です。学術的なフィールドでの科学的根拠は、非常に重要だと考えています。
この視点は、それぞれの目的により「重要とするものの基準が異なる」ということを、踏まえた上での記述であることをご理解ください。
 

スポーツ現場で科学的根拠を盲信しない

では「何を信用するの?」ってなりますよね。
私が信用するのは、選手本人に起こる「変化」と「結果」です。
 
もちろん、運動を階層で捉える意味で1〜3次姿勢、体軸、可動域など、ハイパフォーマンスを実現するための前提条件となる部分に関しては必ず押さえます。
その上で、「痛みがとれた」「すごく動けるようになった」など、選手本人が感じる変化を最重要視します。
 
私たちが対象とする相手には、まったく同じ身体・精神・意識の人なんて絶対に存在しないのですから、統計学的データ(過去のデータ、しかも他人の)は参考程度にしかならないはずです。
身体の状態なんて毎日どころか常に変化し続けますから。
 
ID-100133983
 
その前に、そもそも「科学的根拠」とは何なのでしょうか。
運動に関する研究をされたことがある方はわかるかと思いますが、この類いの研究はほとんどの場合、条件設定を非常に緻密に行います。
 
たとえば、大腿四頭筋の研究では体幹の要素を取り除くために、体幹部を固定したりします。
なぜなら、対象とする筋以外(ちょっとした姿勢の変化、その日の体調、精神的状態など多々)の要素が入ることで、筋の出力は簡単に変化し、非常に流動的になってしまうからです。
 
たしかに多くの方法論では「対象とする筋」だけの性質を調査するには適していると思います。
しかし多くの場合、その結果や理論を「実際の運動」にまで持ち込み、「この運動を向上させるためには、この筋肉を鍛えましょう。だって研究で関係が証明されたから。」のように言われます。
 
このような前提に基づいて構成されているのが、現在の「科学的トレーニング」です。
 
現在主流となっているスポーツトレーニング理論では、この「条件設定された中での局所的な部位の研究」と「実際の運動」と混同してしまっていることに最大の問題があります。
人間の運動は、そんな単純に考えられるものではありません。
 
人間の運動は、もっと複雑で様々な要素が空間的・時間的に関係し合い、非常に同時並列的に行われます。
姿勢や、精神状態や身体意識、記憶、栄養や気候、視線などちょっとした変化だけで、筋出力なんて簡単に変化します。それほど人間の運動はとても複雑で流動的なものです。
 
私はそれらの要素の関係性を統合して、高いパフォーマンスを再現できるようにしていくのが本来のトレーニングと考えています。
先に述べたように、科学的研究では「流動的な要素」は排除します。
 
もう一度言います。人間の運動は、単純に考えるべきではありません。
 
身体の研究というものは、ポジショニングなど非常に限定された条件設定のもとで行われ、少し条件を変えるとすぐに違う結果が生まれます。
実際の運動は、非常に多くの要因が関係しており、「AのときにはBになる」と断定できるものではありません。
あくまで謙虚に、「現時点では、この運動にこの筋肉が関係している可能性が高い」程度に捉えるべきだと思います。
 

まとめ

トレーニングと科学的根拠についてお話してきました。
私たちが関わる相手は、この世に一人しかいない人です。統計データや科学的根拠が相手ではありません。
 
「この世に一人しかいない相手の状態」をしっかり捉え、さまざまな要素の関係性の中で、問題の解決の手助けをしてゆく。
私はそう在りたいと思っています。
 
現在「科学的に効果があることが証明されている」という理由で多くの現場で取り入れられている筋力トレーニングの方法で、本当にパフォーマンスが向上しているのでしょうか。
今一度、考えてみて下さい。
 
本日取り上げた内容を解決する為のトレーニング理論はJARTAベーシックにてお伝えしています。
トレーナーの方でご興味があれば、ベーシックセミナーにご参加ください。
選手や指導者で、ご興味、ご関心がございましたら、ぜひお問い合わせください。

2014年02月24日

立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由

近年、肩甲骨や胸郭の可動性について語られる機会が増えてきましたが、その効果についてしっかり理解できているでしょうか。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由54
みなさんは選手に、肩甲骨や胸郭の動きを向上させるトレーニングを指導する機会はありますか。
JARTAでは肩甲骨を立てる立甲というトレーニングを必須しており、肩甲骨動きには以前から注目してきました。
 
でも実際に肩甲骨や胸郭の可動性があがると、どのような効果がもたらされるのか、しっかり選手に説明できるトレーナーは少ないのではないでしょうか。
 
まずは肩甲骨のイラストを見てみましょう。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由2
この写真だけではどう重要なのかよくわかりませんよね。
 

肩甲骨や胸郭の動きはパフォーマンスアップと障害予防に影響

では四足動物(トラ・ライオン・チーターなど)の歩いてる姿を想像してみてください。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由3
これは歩くたびに肩甲骨が動くのですが、皆さんが四つ這いで歩いてもこうなりますか。
 
四足動物が歩いている姿の肩甲骨の状態を言い換えると、肩甲骨が立った状態とも言えます。
この状態を立甲(高岡英夫 提唱)と言います。そして立甲した結果、肩甲骨と上腕骨が一直線上につながることを甲腕一致(高岡英夫 提唱)と言います。
 
これは医療従事者やトレーナーが学んできた、ゼロポジション(肩甲棘と上腕骨が一直線上にあること)と同じです。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由11
ゼロポジションのメリットは、関節や筋(軟部組織など)に負担がかからない(少ない)ことです。動物は常にこの状態であるため、あのようなハイパワー・ハイスピードをだせるのです。
またゼロポジションを保持できると、回旋系伸張反射であるRSSCの実現が可能となります。トップアスリートはほとんどがこのRSSCをうまく活用してハイパフォーマンスを実現しています。
 
普通の人が四つ這いで歩いても、肩甲骨は肋骨にへばりついたままになります。実は赤ちゃんの時は誰でも「立甲」になっていますが、大人になるにつれ固まってできなくなってしまうのです。解剖学的には、肩甲下筋・菱形筋・大円筋・小円筋・僧帽筋が固まってしまっています。
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由12
立甲が可能になると、肩甲骨や肋骨(脊柱)の可動性も拡がるということです。さらに、肩甲骨と肋骨(胸郭)を分化させた状態で使用できるようにもなります。
 
胸郭の可動性も拡がることで、胸椎の伸展も向上し腰痛予防や改善にも繋がります。また胸郭には横隔膜が付着し、その横隔膜には大腰筋が筋連結しており、JARTAが最重要と位置づけている大腰筋が機能しやすい身体環境になります。
 
ですから立甲ができればゼロポジションをいつでも作れ、さらに肩甲骨や肋骨(胸郭)の可動性が拡がるため、上肢(肩関節)や体幹にとっては非常に重要であるということがいえます。
 

立甲はハイパワー、ハイスピード、正確性の実現に不可欠

野球においては特に投球動作にて重要になります。肩甲骨の可動性が拡がることで、肩甲上腕関節(肩関節)や肘関節にかかる負担の軽減といった障害予防や、力みがなくなり制球力(コントロール)や球速(スピード)アップにも繋がります。
また、脊柱や胸郭の可動性も向上するため投球動作やバッティングで重要な胸椎(胸郭)の伸展も向上し、さらに障害予防とパフォーマンスアップに繋がります。
 
肩甲骨や肋骨(脊柱)の可動性が拡がることで、ランニングなどの走動作では肩甲骨からしっかりと上肢(肩甲骨の内転・外転)を振れるようになり走力の向上やパワーロスが軽減します。
水泳では上肢の操作性が向上し、クロールでよく言われる障害の一要因のハイエルボーによる肩甲上腕関節へのストレス軽減にも繋がり、さらにバック(背泳)・ブレ(平泳ぎ)・バッタ(バタフライ)においても上肢の使用頻度は高く、肩甲骨の可動性が絶対条件といえます。
上肢の力みがなくなるため、スムーズな泳ぎができ上肢全体で水を掴む(かく)ことができます。
 
さらにコンタクトスポーツ(ラグビー、アメリカンフットボール、サッカー(特にキーパー)、バスケットボール)や武道では、上肢の操作性が向上するためパスやシュート、キープ時の上肢を用いてのディフェンス、またはオフェンスなど上肢を上手く使いこなせるようにもなります。
 
また力源(力点・支点)を相手が掴むことができなくなるため、相手はどこに力を加えればよいのかわからず、いつの間にかコンタクトスポーツではポジションをとられている、押さえ込まれている、武道では投げられている、押さえ込みから逃げれないといったことも可能となります。
経絡でいう小腸経と関連があり上肢と体幹の連動性も高まります。
 
これらは、スポーツや格闘技でいつも言われている「体格差のハンデ」を克服できるということに繋がるのです。
 

JARTAで体系的に習得ができます

ここまで「立甲」の意義について説明してきましたが、JARTAが行っているBASICセミナーにて習得できるようになっています。
またセミナー中にできなくても、しっかりとした習得プロセスがあり、BASICセミナーや次のステップであるアドバンスセミナーでお伝えしていきますので、必ず習得が可能です。習得プロセスは自己鍛錬にもなり、指導としても使用できますので非常に選手指導にも有効です。
 
また選手の指導においても、JARTAトレーナーが1から指導していきますので、習得することは可能です。
 
一例ですがサッカーのなでしこJAPANのGK、INAC神戸レオネッサの海堀選手のトレーニングの様子をご紹介します。
海堀選手といえば、2013年シーズンもベスト11やなでしこ杯MVPを獲得するなど、どんどんパフォーマンスアップしています。海堀選手にはJARTAセンタリングトレーニングを学んでいただいています。
 
立甲の習得前と習得後です。

習得前
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由6
習得後
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由7

あとこちらは少し気持ち悪いですが、JARTAエグゼクティブ・テクニカル・マネージャーの藤田友和の立甲です。
JARTAで断トツNO.1で、トップアスリートも驚いています。

立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由8
立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由9

ここまでやる必要はありませんが、的確な習得方法で鍛錬を続ければ皆さんも必ず獲得できるようになります。
立甲にご興味があれば、ぜひお問い合わせください。
 

2014年02月22日

筋肉を緩める方法やポイントを間違えることによる弊害

筋肉は緩んでいた方が使いやすそう。なんとなくそれに気づいている方も多いとは思いますが、緩めるポイントを間違えることによる弊害もあるのです。
筋肉を緩める方法やポイントを間違えることによる弊害65
これはなでしこジャパンのゴールキーパー、海堀あゆみ選手とのやりとりを例にとってみましょう。
海堀:「筋肉って緩めた方がいいんですよね?ケガしないとか動きやすいとか。」
中野:「そうです。前から教えていた通り。どうして今頃そんな質問?」
海堀:「以前、別のトレーナーさんにマッサージを受けて、その時はすごく筋肉柔らかくなったんですけど、終わった後すごくふわふわした感じになったんです。」
中野:「それはいい感じだったってことかな?」
海堀:「いいえ。真逆です。すごく動きにくくなったんです。ふわふやし過ぎてる感じがして・・・。次の日試合だったんですけど、朝からすごくだるくて。緩めるって話で、そんな経験思い出したんで疑問に思ったのです。」
このあと、海堀選手にはその出来事の理由を説明したのですが、みなさんもこのような体験、もしくは患者様やクライアント様にこんな体験させてしまったことはないでしょうか。
例えば整骨院などでしっかりたっぷり揉みほぐされて、そのときはふわふわにほぐれた感じがしたけど、なんか軽いだけで安定感がないような感じがします。そして翌日はすごくだるくなってしまう。
 
この原因がわかりますか?
このような事例はスポーツ現場では非常にたくさんありますし、一般レベルでも多くの方が経験されていることかと思います。
 

考えられる主な原因
  • いわゆるアウターマッスルばかりが緩んで、肝心な深部を緩めることができていない。つまり、「アウターマッスルが固まってしまっている原因」に対処できていない。
  • しっかり緩めようとして強く揉みすぎることで筋繊維が破壊され、だるさや痛みを誘発。
  • 姿勢やバランス機能を考えずに、とにかく緩めることばかりを優先してしまい、不安定になっている。

要するに、施術者側が姿勢保持機能や身体の動きについての理解が乏しいことが原因です。
 
当時、海堀選手にその処置を施した方は、恐らくこのようなことをやってしまっていた可能性が高いです。
 
さらに、もっと重要なミスは、「翌日試合があったにも関わらず、それに見合った施術をしていないこと」です。
翌日試合があるということは、そこで適切な筋出力を発揮できるような状態をつくらなければならないにも関わらず、それを理解せずにとにかく緩めてしまうと、このような現象が生じるのです。
 
ですので、私は普段から緩めることが重要とお伝えしていますが、「適切な部位を、適切な度合いで」ということもご理解いただきたいと思います。
筋肉を緩める方法やポイントを間違えることによる弊害67
ちなみに海堀選手には、そのやりとりの後、実際に必要な部位の筋の収縮力を高める施術(使えるようにするための施術)も体験してもらい、身をもって「試合に臨む身体」を理解してもらいました。
我々治療家は「その時の相手の状態」だけではなく、「その先の状態」も考慮する必要があるということです。
 

大腰筋の重要性

具体的に、このような調整時に特に重視しているのは大腰筋です。
この筋が機能した上での身体運動でないと、その身体が持っている十分な機能は発揮できません。
 
ここで重要なことは、大腰筋という「筋」だけにフォーカスして大腰筋だけの調整を行うと上手くいきません。
考えるべきは、大腰筋の起始と停止、拮抗筋そして大腰筋の走行の間にある関節群です。
 
起始と停止部に関連する組織として代表的なものは横隔膜などがありますが、この筋群が固まってしまっていると当然大腰筋は本来の働きを発揮できません。
また、拮抗筋に関しては、主動作筋と拮抗筋の関係を考えるべきです。これらはお互いに刺激し合う関係性にあり、主動作筋が刺激されると同時に拮抗筋にも刺激が入り、働きやすくなるという特徴があります。
 
大腰筋の拮抗筋はハムストリングスの上部です。あくまで上部であり、ハムストリングスでもハムストリングス下部ではありません。(下部の拮抗筋は大腿四頭筋で)
ですから大腰筋の調整時には、ハムスト上部が働きやすい環境も意識的に作ります。
 
最後に大腰筋の走行に挟まれる関節群ですが、胸椎12番から腰椎5番までの椎体、仙腸関節、股関節がこれにあたります。
筋の走行の間にある関節群が固まっていると、当然その筋は機能しなくなります。硬い棒にゴムがへばりついているところを想像するとわかりやすいかと思います。
 
選手の身体を目の当たりにすると、どうしてもアウターの硬さに目が奪われがちになりますが、これらのポイントを十分に調整するだけでアウターの不要な緊張は解消できることも多々あります。
ぜひこういったポイントをまず優先的にチェックしてみて下さい。

2014年02月19日

スポーツ選手はトレーニング時の身体の感覚を大切にする

スポーツ選手は自分の感覚に正直に従うべきです。今回はスポーツ選手のトレーニング時のある注意点についてお伝えします。
スポーツ選手はトレーニング時の身体の感覚を大切にする67
JARTA代表の中野です。みなさん、ソチオリンピックは観ておられますか。
良い結果を残した選手のパフォーマンスは幸いニュースなどでたくさん流れるので、しっかり拝見しその美しさに浸っています。
 
特にフィギュアスケートの羽生選手の動きは非常に美しいですね。理屈抜きで目を奪われました。
 
彼の動きの美しさと素晴らしさの理由は、切り口によって、また人によって見方は非常にたくさんあると思いますので、ここではあえて触れません。
また彼らのことを知らないスポーツトレーナー方も、「○○の筋の発達が素晴らしい!」「彼のパフォーマンスの秘密は○○筋だ!」みたいに、部分的な解析だけは避けて欲しいと願っています。
 
そんな大活躍の10代の選手がいる一方で、私が思い出すのは、若くしてオリンピックなど世界の舞台で偉大な結果を残し、その後、活躍できずに苦しんでいる、または去っていった選手たちです。
14歳で水泳金メダルを獲得した選手をはじめとして、10代で大活躍して、その後消えていった選手はたくさんいます。そんな選手たちには何が起こったのでしょうか。
 
精神的な重圧や過度な期待も関与していることは間違いないでしょう。若くしてメダリストになったわけですから、注目度もすごいことでしょう。
しかし今回はJARTA的な解釈として、ここでは「その後のトレーニング」について取り上げてみようと思います。
 

筋力という1つの要素への偏重

筋力という
世界の舞台でセンセーショナルな活躍する選手たちは、羽生選手や元水泳選手の岩崎恭子さんなどに代表されるように、非常に細身です。
このような身体で結果を出した選手に対して、その周囲の人々はその後のパフォーマンスについてどう考えるでしょうか。
 
それは
「もっと筋力がついたら、どれだけすごいことになるだろうか!」
です。
 
これだけ細い身体であれだけの結果を残せるのだから、そこに筋力がついてパワーがついたらどんだけすごいことになるんだと、ほとんどの運動関係者がそう思います。
 
近年、スポーツのパフォーマンスの要素(パワー、スピード、アジリティなど)の大半を筋力に依存させて考える傾向にあります。トレーニング理論が常識になっている現状では仕方のないことかも知れませんが・・・。
しかし選手に指導する立場にある人間は、そんなに単純に人間の動きを考えるべきでしょうか。
 
そもそも、若手トップアスリートを安易に筋力アップの流れに載せる前に、
「なぜ、そのような細い身体なのに勝てたのか」
をしっかり考えるべきです。
 
「筋力だ!筋力が足りない」と筋力トレーニングを押しつける。本当にそうなのでしょうか。何でも筋力に結びつけて考える理論の範疇では、明確な答えは導き出せない可能性もあるわけです。
またそれ以前に、選手が「なぜ勝てるのか」がわかっていない者に、その選手のパフォーマンスアップについて指導する資格はないと思います。
 
武道・武術の世界では、小さくて細い高齢の達人が身体の大きい若者をなぎ倒すのは当たり前なのですが、ここにヒントが隠されています。
 
いつも繰り返していますが、トレーニングをすればするほどパフォーマンスが低下することもあります。JARTAではこれを「マイナスの学習」と呼んでいます。
10代で活躍し、その後筋力トレーニングに目覚めて二度と活躍できなくなったり、パフォーマンスが伸びなくなった選手は山ほどいます。
 
「オリンピックで大活躍した○○選手が、今シーズンから身体を作るために筋力トレーニングへの取り組みを始めました。」
こんな報道を見たら、少し危うさもあると考えてもいいでしょう。
 
選手のみなさん、もっと自分の身体の感覚に素直になりましょう。自分の身体が、「これじゃない」と感じたらその感覚を信じてください。
もっとわがままになって下さい。理屈や理論に合わせなくていいです。唯一無二の自分の身体を信じて下さい。
 

まとめ

人間はすべての組織が関係し合って成立している複合体ですから、それを理解しているとそもそも○○筋が…という発想にはならないのです。
◯◯筋、よく使われる言葉ですが、筋肉の要素にだけ着目すると、選手のパフォーマンスの本質は理解できないのです。
 
また選手を指導するスポーツトレーナーにも、選手の感覚を大切にできる度量ど土壌が必要です。
すべては選手たちのパフォーマンスアップのために。押し付けの筋力トレーニングはそろそろ辞めにしませんか。

2014年02月13日

野球の投手にとって重要なこととは?局所ではなく全体のとらえ方

先月東京のJARTAオフィスにて、プロ野球選手の岡本篤志投手、野上亮磨投手のトレーニング指導を行ってきました。
今回は、私がどのような考えでプロ野球の一線級の選手たちである彼らに指導しているのか、お話したいと思います。
野上123
プロ野球の投手が年間を通じて一軍で活躍するために必要なことは何かわかりますか。
まず怪我をしないことです。これは当然のことです。
 
怪我の要因としては、疲労の蓄積です。もっというと一部分への疲労の蓄積です。年間通じてローテーションを守ることは、身体的にも精神的にも想像を絶するストレスがかかります。
どんなに身体の使い方が良い選手であっても、登板が続けば疲労してきます。
岡本投手野上投手6
 
疲労が蓄積しやすい代表部位が肩や肘です。これも周知の事実です。
投球における微細なストレスの繰り返しが疲労や痛みを発生させます。ですので、肩や肘における疲労や硬さ、痛みを取り除いてやるのは「当たり前」です。
 
ここで私たちトレーナーが考えるべきことがあります。
それは「なぜ肩や肘に疲労が溜まったのか」です。
 

なぜ肩や肘に疲労が蓄積したのか?その理由を考える

投球を考える上で前提となるのが、投球は全身運動だということです。
それも指先をハイスピード・ハイパワーだけでなく非常に正確に操作することが要求される非常に高度な運動です。つまり、全身の連動した運動が、「結果として」腕に伝わるのです。
このことを理解した上で選手の身体と動きをみる必要があるのです。
 
「なぜ肩・肘に疲労が蓄積したのか」
 
この問題を解決する鍵は、実は肩や肘以外にあることが多いのです。
代表的な例を挙げると腰です。もっというと仙骨・脊柱です。
投手の腕は、単独に振られているわけではなく、脊柱の捻れと捻り戻しの際に発生する力を利用して高速で振られています。
岡本投手野上投手5
このとき、より効率よく上肢に力を伝える際に必要となるのが回旋系伸張反射(RSSC)。全身の回旋筋群を使った筋反射です。
この反射を使うことで全身にストレスを分散し、さらにハイパワーやハイスピード、再現性や正確性を実現することができます。
 
そしてこのRSSCの大前提となるのが、筋肉が最大限ゆるんでいることなのです。
岡本投手野上投手4
 
緊張した筋肉ではこの機能は絶対に使いこなせません。わかりやすくいうと、脊柱や仙骨周囲の関節や筋肉が硬くなっていると、RSSCが使いにくくなるのです。
RSSCが使えない状態で高速で腕を振ろうとすると、それは「力み」につながるのです。
 
力んで投げようとするとどうなるか。当然体幹部と腕の連動性は著しく低下し、そのつなぎ目である肩に負担が集中します。また、肩の動きがスムーズでないと当然肘にもストレスがかかります。
一球や何回かの登板でしたら問題にならないようなこのロスは、投球機会が増えるにつれ、その蓄積した年数が増えるにつれ気づかないレベルで蓄積していきます。
 
そして本人も気づかないうちにパフォーマンスを低下(故障)させることになります。
 
やや局所的なお話をしましたが、本来重要なことは部分ではなく全体の現象です。
 

投手のパフォーマンスアップに必要なこと

次に投手の動き全体をとらえてパフォーマンスアップにつなげていくために必要な考え方についてです。
さきほど全身の回旋筋群を総動員してパフォーマンスに利用することの重要性、それが阻害されたことによる弊害についてお話しましたが、投球という動作においては、少し部分的な点に関する内容です。
 
いつも話していることですが、スポーツ選手にとって可動域や筋力、バランス、パワー、スピードなどは、それらが向上したとしても、パフォーマンスそのものが向上していなければ全く意味がありません
 
痛みについても同様で、痛みがとれるかとれないかの問題ではないのです。痛みがとれても、本来のパフォーマンスが発揮できなければその選手にとって無意味なのです。
痛みの発生機序や除去方法の考え方も重要ですが、やはりパフォーマンスアップについての考え方は知っておいてもらいたいのです。
 
岡本投手野上投手3
 
投手のパフォーマンスアップについて考えてみましょう。
まずこれは全ての競技で共通することですが、立った状態で、全身の筋緊張が最小限になっているかです。これは1次姿勢という考え方です。
 
1次姿勢は運動をとらえる上で非常に重要な考え方です。
立位で既に不要に緊張が入っているような状態では、それよりも難易度レベルが高いはずである投球の時に良い状態で動けているはずがないということです。
岡本投手野上投手2
 
ですからJARTAでは必ず初めに立位の状態を確認します。そして問題があれば優先順位を高くして対応します。
 
次に全身の連動性です。
投球動作において、理想像を非常にシンプルに考えると、「下肢—仙骨・脊柱—肩甲骨—腕」が順序よく動き、連動性と再現性、スピードを獲得することになります。
 
そして非常に抽象的な表現となりますが、極意といえるのが
「腕の重みを使うこと」
「身体を中央でスライドさせること」
「脊柱を前後に波打たせること」
これがハイパフォーマンスの鍵になります。
 
これらの要素は、今までは各々の選手のセンスに依存する度合いが高かった部分です。なぜなら、既存のトレーニング理論や方法ではこのような部分を鍛錬する手段が存在しなかったからです。
しかしそれでは全体のレベルアップは図れませんので、JARTAの講習会ではハイパフォーマンスを生み出す原理、原則についても詳しくお伝えするようにしています。
 

まとめ

投手のパフォーマンスアップに重要になることをお伝えしてきました。
回旋系伸張反射などあまり聞き慣れない言葉もでてきましたが、アスリートのパフォーマンスアップには必要な要素です。
投球は流れのある動作となりますので、局所や一場面にとらわれないことが重要です。

2014年02月11日

連続写真を用いた指導に潜むリスクとは?

今回のテーマは『連続写真でのフォーム分析/指導に潜むリスク』です。一般的に当たり前に行われているフォーム分析に潜むリスクについてご紹介します。
連続写真を用いた指導に潜むリスクとは?78
スポーツ関連の勉強をしたり資料を集めたりしていると、雑誌や論文などでフォームの素晴らしさや問題点、変化を連続写真で解説しているものをよく見かけます。
スポーツ現場に関わる方であれば、ほとんどが目にしたことがあるのではないでしょうか。
 
連続写真は、実際の現場でも選手にフォームの問題点や変化を指摘したり、目指すフォームを指導したりする際に用いられます。
 
たとえばこちらの投手の動画をご覧ください。

 
この投球動作の中で、セットポジションから投球を連続写真にすると、こんな感じになります。
投球動作1
投球動作2
投球動作3
投球動作4
投球動作5
投球動作6
投球動作7
投球動作8
投球動作9
投球動作10
投球動作11
投球動作12
瞬間瞬間の動作の状況が、誰が見ても細かくわかります。
 

連続写真でも連続はしていない

最近ではスポーツ現場でも、選手自身がこのような連続写真や一時停止した動画を参考にしていることが多いです。
もちろんトレーナーなどが関わるコンディショニングの場面でも、「ここで肘が下がっているから肩に負担がきている」と、連続写真を見せて指導します。
 
一見丁寧な解説に感じますが、実はここには非常に大きなリスクが潜んでいます。
なぜなら選手のフォームは本来「連続する動作だから」です。
 
連続動作は様々な要因(回旋系伸張反射や重心移動、遠心力、コリオリ力、ジャイロ効果など)が関連し合った結果、それらの要因の結果としての現象として現れています。
それなのに、その一場面だけ切り取って、「ここで肘が下がっている」と指摘されたら、選手はどう考えるでしょうか。
 
当然「じゃあここで肘を上げなければ」となり、無理に肘を上げるようになります。しかしこれでは連続動作の上に現れた現象ではなく、「作ったもの」となります。
 
わかりやすい言葉に言い換えると、これは力みです。
運動連鎖的に考えて、「力み=緊張」が連鎖を阻害することは周知の事実です。
 
つまりこちらが行ったフォーム指導とその練習が、全く逆の作用を及ぼす可能性があり、パフォーマンスが低下します。
これをマイナスの学習といい、投手の肩のインピンジメントなどの怪我につながることもあります。
 

まとめ

連続写真を用いた指導についてお伝えしてきました。
JARTAでは、選手のフォームは、様々な角度のアプローチから選手に局所を意識させることなく良い動きを誘発し、「気がついたら良いフォームになっていた」という流れが理想的だと考えています。
 
連続写真を用いて指導しているトレーナーの皆さま、指導をする際にはぜひ参考にしてください。また指導者の皆さまはこういう事実があることをぜひ知っておいてくださいね。




2014年02月10日

スポーツ選手の身体に関わる際の大前提「つながり」について

スポーツ選手と関わる際に、絶対知っておかなければならない「つながり」についてご紹介します。
スポーツ選手の身体に関わる際の大前提「つながり」について78
今回のテーマは「スポーツ選手の身体に関わる際の大前提」についてです。
人間の身体は決してばらばらな部分の寄せ集めではなく、ひとつのものであり、その中で生じている現象は全て同期しています。
 
特に西洋医学を勉強された方はご存知かと思いますが、解剖学などでは「肩の構造」「股関節の構造」など、部位別の学習方法が行われます。
また治療法についても同様で、腰の痛みには腰の治療方法といった具合に、こちらも他の部位との関連については近隣関節部位以外は語られることが少ないのです。
 
果たして本当にそれで良いのでしょうか。
 

便宜上の分類よりも大切なこと

全てのつながりを意識する78
JARTAにご関心がある方は、そういった現状に疑問を持たれている方が多いと確信しておりますが、あえて断言します。
絶対に不十分です。
「科学的根拠があるから」「研究で実証されているから」とよく言われますが、人間という非常に多要素で構成され変化に富んだ存在に対しては、まったく適応できないと考えています。
 
人間の状態やその変化には、非常に多くの要素が関連し合っています。
人体には様々な部位が存在しますが、そもそも理解しやすいように人間が便宜上「分類」しただけです。
肩や股関節など学問上別々の部位であっても、生きている以上、全ての部位との関係性が前提となって存在しています。
ばらばらになって存在したことはないはずです。
(解剖学はまさにご遺体を解剖して得た所見に基づいた学問ですから)
 
発生学的に考えても、全てつながって発生しており、それぞれ「密接に関連があることを前提に発生し発達」しています。
身体各部位であればまだイメージしやすいと思いますが、これは身体と精神との関係において同様です。
同時に関連し合って存在しているものであり、ばらばらになって考えるものではありません。
 
治療や施術経験のある方はご経験があると思いますが、身体の悪いクライアントは、精神的にも落ち込んでいるなど、何らかの問題を抱えていることが多いですよね。
治療が上手くいって身体が改善してくると精神的にも改善してくることはよくある話です。
場合によっては逆もあり、精神的に良くなってくると身体的にも改善がみられてくることもあります。
 
たとえば身体に生じている痛みに、本人が考えているのとは別の解釈を与えてあげるだけで症状が改善するきっかけになることもあります。
こういった考え方は、特にアスリートに対しては非常に重要な観点になってきます。
 
このような原則・前提を重視し、コンディショニングやトレーニングを行うというのがJARTAの基本スタンスです。
そしてこの前提は、身体各部位および身体と精神だけの関連だけではなく、身体の使い方においても、非常に重要な考え方です。
 

まとめ

スポーツ選手の身体に関わる際の大前提、「つながり」についてお伝えしてきました。
 
当然ながら痛みを治癒することを目的に来られる選手もたくさんいます。
しかし、本来、彼ら彼女らが目指すところは、痛みを治癒するというもの以上に「パフォーマンスを極限まで高める」というところにあるはずです。
主訴は疼痛ですから、まずは当然その問題の解決に向けて対処しますが、アスリートとして目指す方向を理解した上で問題点に対処するのと、そうでないのでは、結果は大きく異なると考えています。
 
スポーツ選手と関わる際にはぜひ参考にしてください。

2014年02月07日

選手が本当に求めているのは痛みをとることではない

スポーツ選手と関わるトレーナーのみなさんに絶対知っておいて欲しいことがあります。
それが今回のテーマ「選手が本当に求めていること」です。
選手が本当に求めていること38
 
スポーツトレーナーとして選手や指導者と関わるためには、たくさん重要な要素があります。
知識や技術はもちろん、傾聴する力や人間性、さまざまな要素が試されます。
その中でも私が大切しているあるひとつの要素があります。
 

筋力を重視するいままでのトレーニング

先日、担当している選手からこんな相談がありました。
[colored_bg color=”light‐blue” corner=”r”]
筋トレ(ウエイトトレーニング)をやめて、中野さんに教えてもらったトレーニングをしていたら、チームのトレーナーから『脚が細くなってきているから、太ももの前の筋トレをしろ!』と言われたのです。
中野さんのトレーニング始めてから膝の痛みがなくなったので、今までの筋トレに戻るのは怖いのですが・・・。
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状況を簡単にご説明すると、この選手は、私のところでコンディショニングを受けて、ここ数年の膝の痛みがとれた女子サッカー選手です。
その選手にとってウエイトトレーニングが「マイナスの学習」になっていると判断したため、その時点ではウエイトトレーニングを中止するように指示していました。
 
まだまだ「筋の太さ」だけをいろんな判断基準にしているトレーナーはたくさんいます。
仮にこの選手が、そのトレーナーの指導でウエイトトレーニングを再開して痛みが再発したら、そのトレーナーはどう「責任」をとるつもりでしょうか。
 
この場面で私は、「筋トレそのものが悪いわけではなく、同じトレーニングでも、やり方の質が重要」と答えました。
そしてある時点で、ウエイトトレーニングを再開しても大丈夫だろうと判断したため、これまでのウエイトトレーニングを行いながらも「マイナスに働かない」ようにする方法を教えました。
 
冒頭の話のようなトレーナーからの指導場面は、レベルに関わらずスポーツ現場では本当に頻繁にあります。ちなみにこれは女子サッカーのなでしこリーグでのエピソードです。
みなさんは、女子サッカーのトップリーグでのこの出来事をどのようにとらえますか?
 

痛みが消えればOK?

みなさんは、スポーツ選手(またはスポーツをしている患者さん)と関わるとき、その人が求めていることって何だかわかりますか。
当然、治療者でもある私たちの前に現れる選手は、初めは「痛み」を訴えている場合が大半です。
 
スポーツ選手やスポーツをしているクライアントが、痛みを抱えて自分の前に現れたとき、私たちはどう考えるべきなのでしょうか。
「痛み」を解消する。
これは当然です。正解といえます。ただ、これでは非常に不十分だともいえます。
 
痛みの解消だけなら、私やJARTAトレーナーでなくとも凄腕の治療家、トレーナーはたくさんいますが、痛みをとるだけでは、選手たちは変われません。
結局のところ、痛みの再発やパフォーマンスの低下に悩まされることになっています。残念ながらそれが現状です。
 
ハイレベルなトップチームですら、そんな状態です。これでは選手はかわいそうです。
 
では私たちが選手と関わる際に何を考えればいいのかわかりますか?
実はそれが、もうほとんど完成された市場であるスポーツ現場に切り込んで活躍していくためのキーワードのひとつです。
 
「選手は、なぜ痛みを解消したいのか」を考えてみて下さい。
選手目線で考えて、痛みを解消した先には何があるのでしょうか。
 

選手は痛み止め注射を打ってでも出場したい

答えはパフォーマンスアップです。
選手は「パフォーマンスを向上させること」を求めているのです。いまの自分にできる最高のパフォーマンスを発揮したいから、「痛み」をとりたいのです。
 
それが目的であっても、手段であっても、選手にとってそれがほぼ全てだと思います。
だから選手の身体に関わる私たちも「パフォーマンスを考える」必要があるのです。
そうシンプルに考えればいいでしょう。
 
「明日からの練習で結果を出さないと・・。」
「来週の試合で完全なパフォーマンスを発揮したい」
「もうすぐトライアウトがあって、そこで結果を出さないと失業」
 
さまざまな状況はあると思いますが、選手はパフォーマンスを向上させるために、自分の最大パフォーマンスを発揮するために、ただそのために「痛み」を解消する必要があるから、あなたの前にいるのです。
 
だから痛みがとれない場合は、身体にとって良くないことをわかりながらも、痛み止め注射を打ってでもプレーします。
でも高校野球を引退した故障選手は、現役時代のように毎日どこかの整骨院には通ったりしません。
 
スポーツ現場に関わっておられる方、関わりたいという希望がある方には、こういった選手の感覚はぜひ理解しておいてもらいたいと思っています。
このような選手の気持ちを理解した上で関われるようになると、選手からの信頼は厚くなっていきます。
 
筋力増大や可動域の改善、片脚立位時間の向上、四肢の周径の改善など、選手にとって何の意味も持ちません。パフォーマンスが改善しなければ。
痛みや可動域・バランス機能の改善、その他諸々のことは、ただの要素であって、それ自体が「目的」になっていては、とんでもない過ちを犯すことになります。
 

トレーニングは何のためにするのか?

さらにトレーニングの観点からも同じことがいえます。
 
一流のサッカー選手の脚を見ると、ものすごく筋肉が発達しています。一流を目指したいサッカー選手たちは、彼らのようになりたいと願えば、一生懸命脚の筋肉を鍛えます。
トレーナーや指導者も、脚の筋肉が発達するためのトレーニングや練習をさせます。
さらにインナーマッスルが重要だということで、腸腰筋等のインナーマッスルトレーニング、腹横筋トレーニングなどをします。
 
結果として、脚の筋肉は非常に発達するでしょうが、その選手は一流にはなれず、近づくこともできませんでした。
皮肉なことに、むしろシュートの精度が落ちたり、俊敏さが低下したりしました。
 
「肉体改造」に失敗する例は非常に多いですが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
それは筋肉の動きや筋肉の連動は、パフォーマンスの一部分でしかないからで、結果的にパフォーマンスのバランスを崩したからです。
 
「この場面では○○筋が働いて、その為には腸腰筋の働きが重要で・・・」など、写真を提示しながらとても詳細に解説している書籍などをよく見かけます。
部分に対して精密なことはとても大事です。しかし、ほとんどはそこで止まっています。
逆にいうとパフォーマンスという現象を捉えていない、つまり、現象に対しては粗雑、いい加減だということです。
 
 
これはすごく重要な問題なので、部分に対しては精密だけれど、現象に対しては現在のトレーナーは粗雑なりがちです。
繰り返しになりますが、選手はパフォーマンスを向上させたいと思っているのです。
 
もっと言うと、

  • 上手くなりたい
  • 試合に出たい
  • 勝ちたい
  • レベルの高いチームに行きたい
  • プロになりたい
  • ワールドカップに出たい
  • ワールドカップで優勝したい

と思っているのです。
「誰がどのような目的で」というのは色々ありますが、上記でほぼ網羅できると思いますし、人生をかけている人もいるわけです。
 
選手は「パフォーマンスを上げたい」、トレーナーや指導者は「選手のパフォーマンスを上げたい」、お互いにそう思っているのにパフォーマンスが低下する。
これは非常に憂慮すべき状況で、選手のパフォーマンスに携わる立場として非常に悲しいことです。
 
あなたの行う選手への対応が、選手の意思を人生をへし折っている可能性もあるのです。
 

まとめ

選手が本当に望んでいることについてまとめみあした。
トレーナーは選手の人生を背負っているということを決して忘れてはいけません。
筋肉があろうがなかろうが、連動していようがいまいが、インナーマッスルが使えていようがいまいが、脚の振りが良くなろうがなるまいが、走りやすくなろうがなるまいが、結果としてのパフォーマンスが上がらなければ選手にとって意味がないのです。
 
すべてはパフォーマンスアップのために。
 
JARTAではこれらの問題における明確な解決策を提示します。今後のブログやfacebookにもぜひご期待ください。

2014年02月05日

JARTAベーシックセミナーではどんなことが学べるのか?

JARTAのスポーツトレーナー育成セミナーには4つのセミナーがありますが、今回はスポーツトレーナーへの入り口となるベーシックセミナーの詳細をご紹介します。
JARTAベーシックセミナーではどんなことが学べるのか?78
まずその前にJARTAのセミナー制度についてまだご覧になっていない方や、よくわかっていない方は先にそちらをお読みください。
参照) JARTA認定スポーツトレーナーコース
 

ベーシックセミナー詳細

ベーシックセミナーではJARTAのコンディションやトレーニングの基本となる3つのJARTAコンセプトを中心にご説明します。
このコンセプトをわからずして、JARTAのトレーナーになることはできないからです。
筋肉を鍛えぬくトレーニングの弊害や、それらのトレーニングとJARTAのトレーニングとの違いは何なのか、現場でのトレーニング経験豊富なJARTAセミナー認定講師がわかりやすく説明します。
また、これまでのスポーツトレーナーが重きを置いてこなかった「からだの使い方」にJARTAは注目しました。
 

セミナーの流れ

ベーシックセミナーでは冒頭1時間の講義で、JARTAのコンセプトとトレーニング理論をお伝えします。
その後コンディション手技とセンタリングのトレーニングの基礎を行います。
 

ベーシックで学ぶコンディション
頸椎調整テクニック
ベーシック31
胸腰筋膜調整テクニック
ベーシック32

 

広背筋テクニック
ベーシック33
上腕三頭筋調整テクニック
ベーシック34

 

膝関節調整テクニック
ベーシック35
大腰筋調整テクニック
ベーシック36

 

トレーニング

野球など上肢を使う競技では重要となるゼロポジション。そのゼロポジションを胸郭面のどの位置でもできるようにするトレーニング、それが立甲。
イメージ的にはチーターが歩く感じですね。
立甲
ベーシック37
 
このような流れでベーシックセミナーは行われます。
ご興味がある方はぜひご参加ください。
現在募集中のセミナー

2014年01月31日

前INAC神戸監督、石原孝尚氏の激励会

日本サッカー界から世界への新たな挑戦が始まります。
前INAC神戸監督、石原孝尚氏の激励会4353
このたび、女子サッカーINAC神戸を勇退された石原孝尚氏がアメリカのプロ女子サッカーチームSky Blue FCのコーチに就任されることになりました。
 
そこで今回、石原氏の今後のご活躍を願って激励会を開催させていただくことになりました。
参加資格はJARTA会員であることです。
 
昨シーズン、就任一年目でなでしこリーグ4タイトルを総なめにした石原氏と直接お話しできる貴重な機会でもあります。
前INAC神戸監督石原孝尚氏の激励会2
ぜひ、ご参加いただければと思います。
 

日時

2月11日(火)|11:30〜13:30

場所

東京都内某所|詳細はお申し込み後にお伝えします。

会費

3,000円|会場にてお支払いいただきます。

参加資格

JARTA会員

問い合わせ先

j.retrainer(あっと)gmail.com
(あっと)の部分を@に変換してください。
 
※JARTAでは認定スポーツトレーナーや会員の方を対象に、今後もこのような形でトップスポーツの最前線に携わる選手や関係者の方々と交流する機会を提供してゆきます。

2014年01月29日

JARTAトレーナー活動報告|プロ野球選手の自主トレ帯同

年明けより、JARTAのトレーナーで、プロ野球の西田直斗選手の自主トレに帯同してきましたので、その様子をご報告申し上げます。
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今回の自主トレにおいて西田選手からの依頼内容は、
「今シーズン1軍で活躍できる身体づくり」
です。
 
西田選手は、チームの合同自主トレの動き次第で一軍キャンプに残れるかどうかの状況にあったため、他の選手たちよりも動ける状態でチームの合同自主トレに入っていく必要がありました。
 

トレーニング戦略を立てる

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まず西田選手の昨シーズンまでの動きを分析し、現状の課題と長所を明確にしました。
 
そしてトレーニングメニューを組んでいくわけですが、ここで肝腎なのが、

目的・期限(期間)・程度

という3つの枠組みとその要素を明確にすることです。それがなければ優先順位もトレーニング戦略も立てられません。
 
今回のケースでは、
目的1:1軍キャンプに残ること。
目的2:1軍でシーズンを通して活躍すること。
その関連要素

  1. チーム自主トレの段階で他の選手よりも動きや仕上がりの面で目立つ。首脳陣にアピールする。
  2. 昨シーズンまで課題とされた動きを改善する。
  3. 選手としての長所を伸ばす。強調する。

としました。
期限と期間の設定は、
期限1:自主トレ帯同の4日間
期限2:チーム自主トレ開始日まで
期限3:1軍キャンプ開始日まで
期間:1シーズン
としました。
最後に程度は、
程度:チーム自主トレ開始日の段階で、昨年同時期を10としたら15ぐらい
その関連要素

  1. その要素:ダッシュ力、送球力、打撃力、守備力
  2. その要素の下層にある要素:身体の連動性、野球における重要部分の柔軟性と使い方などなど
  3. さらにその下層にある要素:立位姿勢

このような枠組みにまとめました。
 
まずは目的を明確にし、すべては目的を達成するために序列を考えます
 
本来の手順としては、目的に関連する要素をすべて挙げ、その中で目的に対する優先順位を決めてゆく作業になります。関連要素は50〜100は挙げたいところです。
ここまでできると、次はそれを達成するための戦略と手段の構成に入ります。
今回私が直接関われるのは自主トレ帯同の4日間、その期間において全ての要素の中から優先順位を考えながらトレーニングメニューを構築しました。
当然、その際にはプロの一軍レベルの野手がハイパフォーマンスを発揮するために必要な要素が何なのかも同時に把握しておく必要がありますので、そのあたりはお忘れなく。
 
ここまでがトレーナーなら「当たり前」としたい事前準備です。
 

トレーニングは必ず選手に「上達」を感じさせる

トレーニング初日、私の準備した内容を西田選手やサポートで入ってくれたJARTAトレーナーたちと確認しトレーニングを開始しました。

JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗3 
JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗4 

 
事前準備がしっかり出来ていれば、当日は選手の状態や課題トレーニングの出来具合をみながら微調整をしてゆくだけです。
終始和やかな雰囲気でトレーニングを実施することができました。
 
日程後半には、初日にできなかった動きが出来るようになったり、動きの質が良くなってきたりといった現象が見られるようになってきました。
JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗6  JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗7 
本人も身体が変わってきたという実感があるとのことで、目の色が変わってきました。リラックスと集中のバランスも良かったです。
 
この時期、西田選手に中心的に行っていただいたトレーニングは
「JARTAセンタリングトレーニング」の基礎版です。

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JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗9 

 
野球のパフォーマンスにおいて重要度が高い部分の状態を整え、さらに整えるだけでなく、「使い方」の学習も進めました。
 
強化のフェイズでは、まずは身体の軸づくりと身体や環境に対する認識能力を高めることを前提として作り、その上でフィジカル系の強化トレーニングを行ってもらいました。
強化トレーニングであっても決して身体を硬くする類いのものであってはなりません。
(※このあたりの理由は、JARTAコンセプトをご参照下さい)
 
JARTAトレーナー活動|プロ野球選手の自主トレ 西田直斗10 
その間も自分の身体がどのような状況にあるのかについて、常に意識してもらいながら行うよう課題を加えていたので、身体だけでなく脳疲労も起こります。
選手にとってはとても大変な作業ですが、4日間、しっかりこなしてくれました。
 

どんどん上達させることでモチベーションを高める

帯同期間、常に私が意識してきたことは、選手に「上達を実感させる」ことです。
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難しいトレーニング課題に対して、ひたすらそれを繰り返しているうちに出来るようになるのは当たり前ですし、そんな方法は誰でもできます。
ただし、とても時間がかかりますし、選手のセンスに依存する度合いが高すぎます。
 
重要なことは、「できない原因と要素を見つけて、必要な刺激を入れてあげることで動きを変えてあげること」なのです。
時間をかけるべき練習は他にもたくさんありますし、すぐに上達させられる動きはさっさと獲得させてあげるのがトレーナーの腕の見せ所ではないでしょうか?
そうすると選手は出来なかった動きをどんどん獲得できるようになり、上達を楽しんでくれるようになります。当然モチベーションも高まります。
 
トレーナーはトレーニング指導で選手のモチベーションを上げられるのです。選手のモチベーションは、決して言葉を使って高めるだけのものではないのです。
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先日発表された沖縄県宜野座村で行われる一軍キャンプメンバーに、西田選手は見事名を連ねることができました。
 
あるスポーツ新聞の紙面に書かれていた「若手野手から大抜擢」という言葉が印象的でした。
 
まだまだスタートラインに立っただけですが、大きなチャンスになってほしいです。
西田選手の今シーズンのご活躍を期待しております。

2014年01月26日

ボランティアでのトレーナー活動は辞めた方がいい。その理由とは?

スポーツトレーナーはボランティアが当たり前?!その状況に私たちJARTAは警鐘を鳴らしています。その理由とは?
スポーツ現場におけるボランティアでの活動は、スポーツ現場に出たことのある医療従事者やトレーナーでしたら、ほとんど経験されているのではないでしょうか。
 
実は私もずっとボランティア活動を続けてきました。
たとえば高校野球の甲子園大会のメディカルサポート、某高校野球有名校、オリンピック選手、関西独立リーグなど、ほとんど無償ボランティアとしてのサポート活動でした。
この他にも、小中学校や高校、大学の部活動、アマチュアスポーツ選手へのサポートなども含めたら本当に数えきれません。
 
もちろん、それぞれの現場でやりがいや喜びは大いにありました。
でも、心の中には、ずっと「これでいいのだろうか」という想いがありました。
 
今回のテーマは、
「なぜ多くのスポーツトレーナー志望者が、スポーツ現場で無償ボランティアを続けてしまうのか」
です。
スポーツトレーナーとしてすでに選手に関わっている方、そしてこれからスポーツトレーナーを目指す方は要チェックです。
 

ボランティア活動の悩みと限界

 
ボランティアでトレーナー活動をしている間、当然ですが移動やその他経費は全て自己負担です。しかも自分の休日や勤務後の時間を使い、体力を使い、家族と過ごせるはずの時間を使っています。
 
先に断っておきますが、個人的にはボランティア活動の全て良くないと考えているわけではなく、むしろ初めはボランティアはやっておくべきだと思っています。
ただしどんなにスポーツ現場に魅力を感じていても、無償での活動は様々な要因から考えて、やはり継続しません。
 
理学療法士や作業療法士、柔道整復師など、特に国家資格保持者は医療やリハビリの専門家です。プロフェッショナルなのです。
それなのに無償で「トレーナーをさせてもらっている」状況でよいのでしょうか。
 
私はスポーツ選手がその能力を発揮し、競技人生を健全に送ることができるようになるためには、絶対に優れたトレーナーが必要だと考えています。
しかも選手もそれを感じています。信頼できるトレーナーを求めている選手は、実はとても多いのです。おかしなトレーナーを信じてしまった選手には悲劇しか待っていません。
 
ボランティアの話に戻すと、私の場合はボランティア活動を続けることで、それなりに知名度のあるチームにも関わることができるようになっていたため、「このまま続けたらいつかチャンスが来る!」という想いもありました。
いつか認められて給料をもらえる契約を持ちかけてもらえるのではという想いがあったのです。
 
しかし、そんな機会はめったなことでは訪れません。
だって給料を払わなくても、トレーナーは自ら希望して無償で来てくれているのですから。
 
また有名チームでは、無償でも売り込んでくる希望者が後から後からやってくるため、下手に交渉するともう関われなくなる可能性もあります。
ではボランティアトレーナーはどうすればよいのでしょうか。
 

ボランティアでは続けないという覚悟

私は
「ボランティアは辞めることを前提に活動すべき」
だと考えています。
 
初めから辞める時期を明確に伝えておくこと(最低1シーズン程度)で、あなたがトレーナー活動をしている間、相手は観察し考えます。
あなたが「お金を払ってでもチームに必要なトレーナーかどうか」を。
その間、あなたは全力で結果を出しまくればいいのです。選手や現場の監督、コーチから信頼を勝ち取ればいいのです。
 
辞める時期が訪れ、それでも有償契約に切り替えてもらえない現場だったら、縁がなかったとそのまま辞めた方がいい場合の方が多いです。(現場の方々との関係は良好に続けること、終えることは重要です)
 
スポーツトレーナーとして報酬をもらえるようになることを望んでいる方にとって、その現場はもはや不要です。
ずっと残っても大きなチャンスを紹介してもらえる可能性は少ないでしょう。それまでのボランティア活動は実績としては残りますので、その実績を元に新たなフィールドに進んでください。
 
我々はプロフェッショナルですから、絶対に自分を安売りしないで下さい。
 
しかも、自分を安売りするだけならまだ自由ですが、その行動は、後に続く後輩たちやトレーナー全体の価値を下げることにつながります。(質ではなく、「価値」です)
 
ですから逆にいえば、残念ながら現在のこの状況は、私たちの先輩が残した負の遺産で、先輩たちの責任です。
私たちがスポーツ現場のそんな価値観を根底から変えていかなければならないのです。
ともかく私はそんな風にして活動の幅を広げてきました。とてもしんどい道のりです。
 
基本的には近道はありませんが、「現場で結果を出しまくって信頼を得る技術」を身につけておくことは唯一の近道、チャンスを引き寄せる方法かも知れません。
 

まとめ

トレーナーのボランティア活動についてお伝えしてきました。
結局、無償ボランティアを辞められない理由は、
「自分が他のトレーナーが出せないような結果を出す自信がないこと」
ここにあると思います。
ずっとボランティア活動をしたい方は別にそれでもいいのですが、いつかプロとして活動したい方は違うはずです。

  • チャンスを得たいからボランティアをしている。
  • ボランティア経験を積んでいつかスポーツ現場で活躍したいと思っている。
  • プロなのに無償が当たり前の空気には疑問を感じているが、報酬をもらえるような技術がないと自覚している。
  • ボランティアなのに選手から受け入れてもらえない。

以上のような方は、他のトレーナーを圧倒するのに必須な知識・技術・考え方を学ぶことで、違うフィールドが見えてきます。
 
こういった現状をより良くしていくため、JARTAでは認定スポーツトレーナーを対象にトレーナー活動現場の紹介も行っております。(認定スポーツトレーナーランクなど、条件により処遇は変動します)
 
プロとしてトレーナー活動を行っていく。長い目で見れば、それが選手のためでもあり、スポーツトレーナーの地位向上につながると私は信じています。