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2015年07月16日

動きやすくなって怪我をする

パフォーマンスアップに関わる中で怪我と遭遇する際に考えなければいけない事として、トレーナーが介入した事によって怪我を発生させたかもしれないという視点です。
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JARTAの赤山です。
 
スポーツトレーナーに関わらず人に施術や運動指導をする際に、何をどこまで踏み込んで治療や指導をするかはたびたび議論になります。
 
痛みを抱える症例であれば痛みが改善するまで、目的がある方であればその目的が遂行できるまで。
 
アスリートであればそれは試合に出るためであったり、試合に勝つため、パフォーマンスを上げるために関わっていくと思います。
 
ここで考えなければならない非常に重要な視点として。
 
『動きやすくなればなるほど怪我が防げるとは限らない』
ということです。
 

なぜ動きやすくなり怪我をするのか?

例えば、どこも痛くない選手のコンディショニングあるいはセルフエクササイズの指導を行うとします。
その局所のコンディショニングやエクササイズが効果的であればあるほどその部分は非常に使いやすくなります。
違和感があったり気になる部分にコンディショニングをするのでマイナスからゼロを通り越してプラスにするような感覚です。
そうなると脚が出しやすくなったり、蹴りやすくなり動きは一時的によくなります。
しかし今まで使えていなかった部分であるためそこにかかる負担がテコ入れをする前より増大している状態となり、結果的にその筋や関節への負担増となります。
 

調子がいいという錯覚

私はこれまでスポーツ整形勤務時代に大きな外傷を発生した際に、その日がすごく調子がよかったというセリフをよく聞きました。
 
痛みや故障箇所がありかばって反対側を怪我するという局面と、調子がよくいつも以上に動けてしまったために無理なプレイをして怪我をしたという局面。
両極端ですが双方の原因に対しての理解の深さによって現場でのコンディショニングや声かけが大きく変わってきます。
身の丈にあったという表現がありますが。
よい選手はカテゴリーに関わらず、無理するところと無理してはいけないところをよく理解しています。
調子がよく、いつも以上に動けている時にはいつもしないプレイをして、あるいは相手の動きがわかりすぎて怪我をするという事も少なくありません。
日々選手と関わっていても試合にの時にはさらによい状態でという思いから入念にウォーミングアップやコンディショニングを行う事が上記の引き金になる可能性があるという事です。
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慢性障害のコンディショニングも同様

アキレス腱炎やジャンパー膝などの慢性障害の場合、患部のケアやコンディショニングを入念に実施すると患部の動きはよくなります。
 
その結果、練習や試合で患部が使いやすいため再度その部分への負担が重なり炎症や痛みが増幅するということです。
 
慢性障害やスポーツ障害を繰り返す場合このようなコンディショニングを行っている例がまだまだ少なくありません。
 
痛みは結果であり、パフォーマンスが上がり一時的に動きがよくなってもそれで怪我をしてしまえばそれもまた結果です。
 
結果には必ずいくつかの原因があり、それは見落としていた視点であったり介入するタイミングや本人の意識の変容など考えなければならない要素が多々有ります。
 

じゃあどうすればよいのか

最近よく選手に伝えていることですが、日々のコンディショニングやトレーニングのクオリティを上げる事によって普通の水準を高くするのです。
 
関節や筋や全身のコンディショニングをしたから調子がいいという状態を普通にすることで身の丈がわかってきます。
 
また自分のコンディションに目を向けることで心身の状態を客観視することができます。
全力で動いて怪我してしまうなら毎回全力で動けるコンディションを作り練習で毎回限りなく全力を出すのです。
 
理想と現実はありますが、試合の時だけ入念にアップしたり、試合の時だけ本気でプレイするような選手が本当によいプレイはできませんしトレーナーとしてはそういった選手に試合での結果や試合でのコンディションを求めすぎ、高めすぎてはリスクがあるということです。
 
もちろんこれは私の繰り替えしの苦い経験からお伝えしていることで、選手から教えてもらえた部分でもあります。
選手から学び、結果を直視することで次なる学びに進むことができました。
 
選手に感謝するとともに大舞台に立つ選手達にこれまで私の苦い経験の二度足を踏むような事がないように過不足なくコンディショニング・トレーニング指導ができるように研鑽していこうと改めて感じています。
 
 
最後までお読み頂きありがとうございます。