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2016年09月20日

早くしゃがめると、早く速いサッカー選手になれる!

一般的に「速いサッカー選手」というと、スピードがある、瞬発力があるなどと表現することが多いです。おのずと必要となってくる要素は筋力、あるいは収縮力という考えになりがちですが、が、それ以外に非常に重要な要素があります。
それは「弛緩力」です。
 
北海道で活動しています、認定講師の石垣大輔です。

 
サッカーは同じ場面は、二度とないというぐらい場面が変化するので、多様性が求められるスポーツです。つまり場面に応じた的確な「早い判断」「速く正確に実行できる能力」が求められます。(「早い」と「速い」の違いですが、「早い」は時間で、「速い」はスピードを表します)。
 
サッカーでは、ドリブルで相手を抜く瞬間の「速さ」や、判断力の「早さ」などが求められます。今回は、

  • ドリブルで抜く瞬間の速さの要素
  • 判断したことを速く実行するために必要な要素

 
この2つの見落とされがちな点を解説します。
 
 

<ドリブルで速さを実現するには>

メッシなどのドリブルで抜く瞬間が速い選手というのは、上手く重力を利用しています。
ドリブルで相手を抜くには、相手より速く重心を移動させる必要が有ります。この時に、速い選手というのは実は重心を真横に移動するのではなく斜め下方向へ移動させています。
つまり、重みを利用し、より下方への重心移動ができることで「速く」を実現することが可能となるからです。ここで、「早くしゃがめると速いサッカー選手になれる」という視点が生まれます。
 
 
 
ではどの方向にしゃがむのか。ヒントとなるのが「最速降下曲線」です。物体がAからBまで摩擦のない面を滑り降りる時、最短時間で移動できる斜面の形であります。これは、がある規則にしたがって回転するときの円上の定点が描く軌跡として得られる平面曲線(サイクロイド曲線)(図1)の一部を上下逆さまにした形です。
 
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重心移動が、この曲線と似た動きにすることで加速度が爆発的に上がり速く動けるということになります(図2)(武術「奥義」の科学より引用)。
 
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ということは、動き出しの瞬間は、より真下への移動が重要になってきます。速くしゃがめるということは、真下へ早く重心が移動できるということです。
 
ドリブルで抜く瞬間に重力エネルギーを利用することで、動きを速くすることが可能となります。
 

<判断したことを速く実行するために必要な要素>

サッカーはその時の状況に応じて判断を変え、柔軟に選択肢を切り替えなければなりません。例えば、キックをしようとした際、相手選手が近くにいた場合、それを阻止しようと足を出してくるでしょう。その瞬間、キックしようとした足の角度を変えコースを変えたり、キックフェイントに変えたりとボールを取られないように判断し、プレーしなければなりません。
 
このように、瞬時に身体を「早く」変化させる必要があります。この「早さ」に必要な要素として「弛緩力」が大切になってきます。瞬時に身体を「早く」変化させるには、筋を早く収縮させ関節を動かす場合と、反対に筋を弛緩させ身体の重みを利用して関節を動かすことを、各関節が並列的に行う必要があります。
 
しかし、昨今のトレーニングのほとんどは収縮力を高めるトレーニングが中心となっており、弛緩力に着目したものはほとんどありません。速く動くためには、早く弛緩する能力も必ず必要になってきます。早くしゃがめるということは、早く筋を弛緩させることに繋がります。
 
サッカーにおいては変化する状況に対してギリギリの所で身体を変化させ、対応する力に直結します。
 

まとめ

 
早く速いサッカー選手になるためには「弛緩力」が重要です。
 
早くしゃがめることは、「弛緩力」が増し、体の重みを利用することができるようになり下方の重心移動が早くなります。また、ギリギリのところで身体の変化を瞬時に変えることができるようになります。
 
今回は、サッカーを例に話をしましたが様々な競技で活用できる内容となっていると思います。是非、選手のパフォーマンスアップに繋がる活路になればと思います。
 
最後までお読みいただきありがとうございます。