投球動作に必須ー2種類の体幹回旋機能

文:山内大士

 

今回は体幹回旋機能と投球動作の関係性を解説し、投球に必要な体幹機能を実際に高める方法をご紹介します。

 

 

 

身体を閉じるような回旋と身体を開くような回旋

 

まずは基本事項を簡単に確認します。

体幹回旋は脊柱の中でも胸椎がその大部分を占めます。

 

参考:身体を捻るには胸椎の動きが必要

https://jarta.jp/training/17755/

 

しかし実際のスポーツ動作では単なる胸椎の回旋ではなく、屈曲や伸展を伴いながらの回旋が多く生じます。

簡単に表現すると、”身体を閉じるような回旋”と”身体を開くような回旋”とでも言えるでしょうか。どちらの回旋も重要であり、偏りなく双方の能力を高める必要があります。

 

投球動作においては、胸が張り肩の外旋が最大となるMER(Maximum External Rotation)までは”身体を開くような回旋”、リリースポイント〜フォロースルーにおいては”身体を閉じるような回旋”が重要となってきます。

 

※投球動作における重要事項についてはこちらの記事をご参照ください。

投球障害から選手を守れ!―投球フォーム編―

https://jarta.jp/training/17451/

 

MERまでに何らかの不調を訴えるケース、例えば「腕がしなる時に違和感がある」「胸が張れずに腕の振りが小さい」という場合には、開く回旋の機能を高めていきます。

 

リリースポイントやそれ以降のタイミングで不調を訴えるケース、例えば「腕が身体から離れすぎる」「ボールに指がかからない」「フォロースルーで肩や肘に負担がかかる」、このような場合には閉じる回旋の機能を高めていきます。

 

余談ですが、これらどちらの回旋が得意か不得意かは投球動作以外にも関連してきます。

普段から猫背でしなやかな動きが苦手な選手は開く回旋を、反り腰で腹に力を入れることが苦手な選手は閉じる回旋を、それぞれ確認してみてください。

 

 

 

2種類の体幹回旋機能の改善方法ー可動域編

 

これからご紹介する方法は、不慣れな方には負荷が大きすぎる可能性もあります。ゆっくりと慣らしながら行い、特に腰や背中に不安のある方は決して無理をしないようにしてください。

 

まずは開く回旋の可動域。身体の前方にある腹斜筋や胸筋の柔軟性を獲得することと、肩甲骨の内側からやや下側にある背中の筋肉が使われる感覚が重要となります。胸から開くという意識づけのために、空いた手は胸に当ててリズム良く押し広げるような感じで行います。

 

次に閉じる回旋の可動域。投球動作においてこの動作が必要となるのは、前の腰や肩が開かないように並進していくフェーズと、リリースからフォロースルーにかけてのフェーズです。これはどちらも臀筋群が力を発揮した状態であるため、臀筋〜腰背部を全体的に伸長させていくようにします。

 

どちらのトレーニングも動画では反動をつけて行っていますが、これらの姿勢をとるだけできつい方や、身体を捻る感覚がわかりにくく腕だけの動きになってしまう方は、まず静的なストレッチとして行うと良いでしょう。その際には深呼吸をすることでさらに効果を高めることができます。

 

 

 

2種類の体幹回旋機能の改善方法ー筋出力編

 

先程のような方法で可動域を広げることはもちろん大切なのですが、獲得した可動域を自分の力で制御することができなくては、逆にパフォーマンスが落ちることもあります。

 

そのため、筋出力という観点も欠かせません。

投球動作における体幹機能を考えるうえで大切となるのが前鋸筋と腹斜筋の出力です。

 

腹斜筋は体幹回旋の主動作筋です。前鋸筋は腕を前に振る際に肩甲骨を安定させる筋肉で、腹斜筋と協調して働きます。

 

開く回旋が生じる際、すなわち体幹の割れが生じ胸は張られ肩が外旋するまでのフェーズでは、腹斜筋〜前鋸筋は伸ばされた状態で力を発揮する形になります。

この機能を高めるためのトレーニングがこちらになります。

 

このトレーニングは、足を着いている側の前鋸筋~腹斜筋が伸ばされた状態での機能を高めることができます。ポイントは腰を反らさずに骨盤の位置をできるだけ高く保つことで、それにより腹斜筋が働き腰椎が安定し、胸椎〜肋骨エリアでの動きを強調することができます。

また回旋した状態から戻す部分を素早く行うことで、伸ばされた筋肉を素早く収縮させる練習にもなります。

 

閉じる回旋が生じるリリースポイント以降においては、腹斜筋〜前鋸筋を十分に縮めながら働かせる必要があります。

そのためのトレーニングはこちらです。

 

このトレーニングでは、腕を着いている側の前鋸筋~腹斜筋をしっかりと収縮させる機能を高めることができます。腰が反ったり支える側の肩が首に近づいてしまったりすると効果が薄れてしまいます。バランスを崩さないようにゆっくりと大きな範囲を動かすことで、より質の高いトレーニングとなります。

 

 

 

どんな野球選手にも大切な体幹トレーニング

 

体幹回旋の可動域を広げ、広げた範囲を動作の中で使いこなせるようにトレーニングすること。

これがパフォーマンスアップに役立つことは言うまでもありませんが、痛みのある選手がリハビリをする際にも非常に大切です。

 

私は整形外科に勤めているため投球障害の選手を見ることが多いですが、体幹機能に伸び代のない選手というのはまだ見たことがありません。

肩や肘の軽い症状であれば、体幹機能の改善だけで問題が解決してしまうケースもあります。

 

もちろん、今回ご紹介した方法が全てではありません。もっと難易度の高い応用的なトレーニングが必要な場合もあれば、より基礎的なところから見直す必要があるケースもあります。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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