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2020年02月05日

コントロール向上の鍵

文:岩渕翔一

 
全ての投手にとって球速とコントロールは投球の生命線になるといっていいでしょう。
その2つがあってこそその先にある変化球や配球が生きてきます。トレーナーにとっても球速とコントロールは最も基礎的で重要な投手の土台になるスキルのため、この2つを軸にトレーニングメニュー作成に当たることが多いのではないでしょうか。
 
球速アップのトレーニングは比較的イメージしやすいはずです。単純にボールに加わる物理的な力が大きくなればなるほどスピードは上がります。そのため、基礎トレーニングである筋力強化や可動域改善、バランス強化が球速向上に直結しやすいからです。ただし、扱う力が大きくなればなるほど身体にかかる負荷も強くなるため、これらのトレーニングは投球障害予防と同時進行で行われる必要があります。
 
もう一つのキーワードである「コントロール」。コントロールは球速アップのように単純にはいきません。筋力強化や可動域改善といった基礎トレーニングがコントロール向上に直結するイメージはあまり湧いてこないのではないかと思います。実際、コントロール向上を目的に最も取り組まれているのはフォーム固めです。投球パフォーマンスは能動的パフォーマンスにあたる為、反復練習によるフォーム固めがコントロール向上に最も有効です。しかし近年、投球制限に関する多くの問題提起があるように、フォーム固めを目的とした過度な反復練習は投球障害発生のリスクは孕んでいることも事実です。
 
その為、障害リスクを最小限に抑え効率的にパフォーマンスアップを図るためには、やはりここでも基礎的なトレーニングが重要になります。今回はそのうち、
 
・自身のイメージ通り身体を動かすためのトレーニング
・どんな状況でもフォームを安定させるためのトレーニング
 
この2つを紹介します。
 

自身のイメージ通り身体を動かすためのトレーニングとは

 
まずは自身のイメージ通り身体を動かすためのトレーニング。自分自身のパフォーマンスを映像で確認した際、「自分のイメージとかけ離れた動きをしている自分」を見たことがないでしょうか?イメージと実際の動きにズレがある状態ではパフォーマンスの安定も向上も期待できません。
そのための基礎トレーニングとしては運動やコントロールする部位を限定的にし、丁寧に一回一回確認しながら動かすトレーニングです。例えば肩関節屈曲は上肢下垂位の状態(屈曲0度)から最大挙上位(屈曲180度)まで可動します。それを90度、60度、120度、45度など色々な角度できちんと止めれるようにトレーニングします。この時、色々なスピードで取り組むとより効果的です。
自身のイメージ通り身体を動かすためのトレーニングをもう一つ。これはいわゆる身体操作のトレーニングですが、現状できない動きやぎこちない動きをトレーニングとして取り組むことです。いろいろな動きを滑らかに行えるようになることで身体コントロールの性能や精度全般の質が上がることが期待でき、これはコントロール向上にも繋がってきます。
 
どちらのトレーニングにも
・イメージ通り身体を動かす(操作する)こと
・行った運動を修正し次に活かすこと
 
この2つが鍵になります。専門的には「フィードフォワード」と「フィードバック」と言い、運動学習効率を高めるために非常に重要な脳機能の一部です。
 

どんな状況でもフォームを安定させるためのトレーニングとは

 
次は、どんな状況でもフォームを安定させるためのトレーニングです。投球パフォーマンスというのは試合状況にかなり左右されます。相手打者、ピンチなのかそうでないのか、先発なのか中継ぎなのかクローザーなのか、カウント数。例えば2ボール1ストライクのカウントから、際どいボールを投げそれがストライクとコールされ2ボール2ストライクになるのか、ボールとコールされ3ボール1ストライクになるのか。これは次の一球に与える影響が心理的にも配球からも大きく異なります。これはプロの投手も例外ではなく、投手はそんな1球1球変わる状況の中、安定したパフォーマンスを発揮しなければなりません。そういった変化の中安定したパフォーマンスを発揮する鍵になるのが「呼吸」です。
こちらに関しては、
投手に指導するメンタルコントロール術の基礎トレーニング
この記事に詳しく解説してありますので是非読んでみてください。
 
いずれにしても投球パフォーマンス向上の鍵になるのは球速アップとコントロール向上です。この2つを、投球障害予防を行いながら、しっかり積み重ね、身にしていくことが投手のトレーニングには必要です。
 
 
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