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2020年01月25日

投手のパフォーマンスアップに必要な練習とは

文:山内大士

関西で活動する山内です。
今回は投手がパフォーマンスを高めていくために必要な練習についてお伝えしていきます。
 
一昔前の野球界における投手の練習といえば、「投げ込み」「走り込み」が主流でした。しかし近年はスポーツ科学が発達し、様々な趣向を凝らしたトレーニングが行われており、SNSの発展により一般の方々がそれらを目にする機会も多くなりました。
 
そうすると今度は
「選択肢が多くなりすぎて、何を基準にどのトレーニングをすれば良いのかわからない」
という問題が生じます。
中には特殊な器具が必要なものや、動きが難しくて簡単には真似できないものも多く含まれ、場合によっては見よう見まねで行ったトレーニングにより逆に悪化してしまうケースもあります。
 
こうした問題点を解決し、パフォーマンスアップに向けたトレーニングを適切に実施するためには以下のようなプロセスを踏むことが望まれます。
 
1.投手がハイパフォーマンスを発揮するために必要な身体操作を学ぶ
2.身体操作の土台となる身体機能とその整え方を学ぶ
3.対象となる選手の現状を把握し、トレーニングの優先順位をつけるための考え方を学ぶ
 
少し具体的にお話します。
 
効率的な投球動作を身につけるためには、特に肩甲骨・体幹・股関節における高度な身体操作と、その前提となる筋出力・可動性・協調性が求められます。
 
例えば最大に腕がしなるフェーズである肩関節最大外旋位では、肩関節を最大外旋させ土台となる肩甲骨を後傾させる筋機能が求められます。
 
参考:投球障害から選手を守れ!肩甲骨機能編

投球障害から選手を守れ!―肩甲骨機能編―


 
 
だからと言って、肩と肩甲骨の動きだけをトレーニングすれば良いわけではありません。
 
肩甲骨を後傾させるにはさらにその土台となる胸郭が十分に広がり、しっかりと胸を張ることが求められます。胸郭の可動域には表面にある腹筋・背筋の伸長性の他、呼吸や内臓の状態も大きく関連します。胸郭自体の可動性が改善したとしても、下半身の身体操作が未熟であるために上半身が力んでしまい十分に胸を張れないケースもあります。これよりも前のフェーズ、つまり体重移動やテイクバックに問題があるケースもあるでしょう。
 
このように、投球動作中の一つのフェーズだけでも要求される身体機能は数多くあり、他のフェーズにおける身体操作との関連性も踏まえながら考察する必要があります。
 
そして実際にトレーニングを行う際にも、土台となる機能やベースとなる身体操作を考慮しながら進めるべきなのです。
 
 
 
こうした考え方と具体的なトレーニング方法を学ぶことができる投手用トレーニングセミナーが、2月末〜4月にかけて、全国各地で開催されます。
 

投手用トレーニングセミナー


 
座学に始まり、可動性を改善させるためのケアやストレッチ、そして複雑な身体操作や筋機能を習得するプログラム。これらを1日で学ぶことができるかなり充実した内容です。
 
トレーニングセミナー終了後には、投球障害に対するコンディショニングをテーマとしたワークアウトを行います。
 

Workout


 
痛みに対する評価や介入方法などトレーニングセミナーではカバーしきれない部分を中心に行います。肩肘への負担を軽減させるために必要な身体機能についても、その基準と介入方法をお伝えしていきます。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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