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2019年11月17日

圧倒的な経験値を積むためには


 

文:伊東尚孝

 
 
「経験の差で勝敗が決まる」
「最後は経験の差がものを言う」
「ベテランの経験は違う」
 
スポーツにおいて「経験値」という、目に見えない力を比較することがあります。
 
そして「経験値」を比較する基準となるものの多くは「年齢」と「期間」です。
 
個人の年齢やチーム全体の平均年齢を、相対する選手と比較し「経験値の差」と表現することは、試合の解説などでもよく耳にします。
中高生アスリートでもその競技を経験している期間を比較し、その競技の「経験値」として評価されることがあります。
 
経験している期間が長ければ必然的に年齢も重ねるため、「経験値」が蓄積されていくことは決して間違いではありません。
 
 
しかしここで考えなくてはならないのが、
若手選手や経験が浅い選手は「経験値」が無いと判断してもいいのでしょうか。
また選手は、周りにそう判断されてもいいのでしょうか。
 
経験値の積み方を知っていれば、若手選手でも十分に経験値を力に変えることができます。
 
 
経験値という力をつけるためのプロセスを紐解き、どのように経験値を蓄積していくべきかを解説していきます。
 
 
 
 

経験値で比較するようになった背景

 
 
日本には年功序列という文化があり、年齢に応じて収入が増え社会的立場も上昇していきます。
この背景から、経験している期間が長い人の能力を「経験値が多い」と評価し、期間が短い人の能力を「経験値が少ない」と評価する傾向にあります。
 
経験値とは本来目に見えないものであるはずですが、比較対象として「年齢」や「期間」を指標にすることで可視化したのではないかと考えます。
そして、いつしか経験値=年齢や期間で判断されるようになったのではないかと考えます。
 
 
しかし私は、「経験値」=「年齢」や「期間」ではないと思います。
 
その理由は、「経験」と「経験値」は全くの別物だと捉えているからです。
 
 
 
 

経験値は、経験した期間ではない

 
 
では「経験値」とは、一体何なのか。
 
意味を調べると、
「経験によって成長した度合いを数量化したもの。経験の程度。」
とされています。
 
ここから読み取れることは、
 
単に経験をするだけでは「経験値」として蓄積されないということです。
 
 
その経験を経て、自分が成長するためにはどのような課題があるか、その課題をクリアするためには何が必要なのか。
と、考え実行することができて初めて「経験値」として蓄積されます。
 

 
 
一つ一つの経験を大事に扱い、自分にとっての課題を見つけることができてこそ、経験値として蓄積するための第一歩になります。
 
そのためJARTAでは課題に対してただ反省するだけではなく、
その後の伸びしろ(=新たな課題)を明確にすることを重要視しています。
 
 
 
 

さらなる経験値を積むためのコツ

 
 
経験値を積むためには、課題を見つけて自分には何が必要かを考え実行することが重要だと述べました。
それだけでもその経験は大きな意味を持ち、成長するための糧となるでしょう。
 
 
しかし、さらに上を目指すのであればここで満足していてはいけません。
 
若手でも経験が浅くても、周りの選手と圧倒的な差を生み出すための「経験値」を積む方法があります。
 
 
それは、徹底的に準備をすることです。
 
 
 
スポーツに限らず、どれだけ準備できているか否かでパフォーマンスに大きく影響します。
 
例えば、
*試合に向けて苦手なポイントを練習してきた
*緊張しないように事前に会場へのアクセスを調べた
*前日に持ち物を用意した
 
これらも立派な準備です。
簡単なことでも準備を怠ると、最大限のパフォーマンスを発揮できない可能性があります。
 
では、このような準備を「経験値」へ変換するためには、具体的にどのような準備をするべきでしょうか。
 
 
 
 

準備はより広く、より深く

 
まずは「準備」というものを細分化していきます。
準備といっても膨大な量があり、その中身を把握した上で何を準備するべきかを具体的かつ明確にする必要があります。
 
 

  • 何のための準備か

達成したいものが明確になっているかを確認します。不明確であれば準備も中途半端になります。
例:全国大会に出場する、レギュラーになりスタメンで出場し続ける、世界一になる
 
 

  • 期間の設定

準備をするにも、どの期間で設定するかによって中身が変わります。
長期的な準備から直前までの準備まで、期間の設定も様々です。
 
例:1年後の全国大会に出場する。(長期)
半年で肉体改造を行う(長〜中期)
1週間の体調管理を徹底する(短期)
大会当日のウォーミングアップ、試合の合間でのケア(超短期)
 
 

  • 準備の幅と深さを広げる

筋力アップや柔軟性の向上など身体機能面での準備はイメージしやすいと思いますが、それらをさらに深く追求していく必要があります。
何のための筋力アップなのか、どれほどの柔軟性を獲得していればいいのかなど、ある程度の基準を設定します。(→股関節は柔らかければいいのか
また、普段から認識されにくい準備に対してもしっかり向き合うべきです。
 
*身体機能面…動き出しを速くするための筋力アップ・バランスが崩れてもプレーできる背骨の柔軟性向上、試合時間を走り続けるためのスタミナ向上
*精神面…気持ちを切り替えられる集中力、感情や緊張のコントロール、目標に向けて努力するモチベーションの維持
*環境面…試合で使用する道具への慣れ、手入れ、当日の気候を想定した服装などの準備
*生活面…習慣(ルーティン)の見直し、栄養バランスのとれた食事を心がける
 
 
挙げ出せばきりがありませんが、ほんの一例でもこれだけの準備があります。
もちろん①〜③の内容が互いに交差し合うことで、より深みのある準備となります。
 
 
 
 

準備を活かし経験値を積む

 
 
では、上記のように様々な準備を行い、これを「経験値」として活かすためにはどうすべきか。
 
例えば、
試合直前まで行ってきた多くの準備が、結果としてどのように現れたかを振り返ります。
 
勝敗はもちろん、プレーの質や課題としていた動きの改善など、その準備がもたらしたもの全てをフィードバックします。
 
*目的は達成できたか
*準備の期間の設定は適切だったか
*習慣(ルーティン)を見直すことで変化はあったか
*目的とする筋力・柔軟性は獲得できたか
*集中力は持続できていたか
*効果的だった準備は何なのか
*まだ足りない準備は何なのか
など。
 
 
準備の量にこだわった選手と、こだわらなかった選手。
 
 
言うまでもなく、準備の量にこだわった選手の方がフィードバック後に得られる課題は多いはずです。
 
これらの課題を成長する糧として考え行動する選手には、「経験値」が蓄積されます。
 
 
つまり、より多くの経験値を積むためには
 
その結果から得られる課題数と、
徹底的な準備を経て得られる課題数の合計が重要となります。
 
 

 
 
準備の量を増やすほど、得られる課題の数が比例して増加することは想像できると思います。
 
そして、その課題が経験値として蓄積されるのであれば、
 
準備にこだわる選手には、圧倒的な経験値が蓄積されていきます。
 
 
 
 

まとめ

 
 
経験値は、単に経験することで得られるものではなく
その経験を経て抽出された課題に対して、考え行動することで初めて得られます。
 
1つの経験から得られる課題をより多く見つけることができれば、経験値として蓄積される量も増加していきます。
 
より多くの課題を見つけるためには、いかに準備を徹底的に行えるかどうかで決まります。
 
 
準備は、半永久的に行えるものです。
 
 
今、自身で準備している内容を改めて振り返り
さらに準備できることがないか、考えを深めてみてはいかがでしょうか。
 
きっとその行動が、パフォーマンスアップのためのヒントとなるでしょう。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
 
全てはパフォーマンスアップのために。
 

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