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2020年08月08日

競技別コンディショニングの捉え方





文:赤山僚輔

『障害部位を競技種目別に原因を紐解く』
同じような部位の障害や痛みであっても競技種目が異なることで考慮すべき事項が違うことは言うまでもない周知の事実です。
今回の記事では今一度、競技特性やポジション特性によりコンディショニング時に留意すべき事項を一部分ではありますが紐解きながら解説していきたいと思います。
 

膝前面の痛みの原因は?

中高校生に頻発する膝前面の痛みですが、原因はもちろん千差万別です。
そんな中でも今回は3つの競技の角度から原因について考察していきたいと思います。
 
①高校男子バスケット(ポジション:ポイントガード)
②高校女子バレーボール(ポジション:ウイングスパイカー)
③中学男子サッカー(ポジション:フォワード)
この3つの競技とポジションの選手が同じような膝前面に痛みを訴えていることを想定してください。
 
皆様はどのような原因を考え、どこに対して評価を実施し、どのようなアプローチ及び再発に向けての指導を実施しますか?
 
まずは大別する上で頻回繰り返す動作を整理したいと思います。
 
①ダッシュ、ストップ、ターンなど360°方向への急激な方向転換と常に低い姿勢での構えが求められる。
②ジャンプ踏み切り、ジャンプ着地など繰り返しの上下方向への反復動作が求められる。
③キック動作など足をスイングしてボールを蹴る動きの繰り返しが求められる。
(もちろんその程度はチームレベルや戦術や指導体系によって異なる)

 

障害発生はアライメントだけでなく強度にも影響を受ける

この世代の特徴として試合よりも練習の中での負担のかかり方が影響を受けることが多いです。
例えば、サッカーのフォワードの選手が試合でシュートを打つのは10回もないかもしれません。
しかしチーム練習や自主練習などではその何倍ものシュート動作を繰り返すことになります。
それは前述したバレーやバスケットにおいても同様です。
大まかな競技における反復される動作が想定できれば、評価の中で重要な視点としてそのチームがどのような練習メニューが多く、その選手がどういった役回りをすることが多いかを整理することが重要になります。
 
バスケットのポイントガードと言ってもパスやドリブル、チームオフェンスの練習を繰り返すチームもあれば、ディフェンスの練習をひたすら繰り返すチームもあるでしょう。
その練習スタイルの賛否はここでは議論を避けますが、膝の痛みを評価する上でそういった要素を加味しなければどのようなアプローチが必要かも変わってくる。
このような視点が競技別のコンディショニングにおいては重要となるのです。
 

どの組織への負担を想定して評価していくのか

当たり前ですが、ストップ動作に使われる筋肉や身体操作とジャンプ動作に使われる身体部位や身体操作は異なります。
仮に同じような膝の前側の痛みがあったとしても評価部位は異なります。
ストップ動作に問題がある、もしくはその動作を頻回繰り返す競技やポジションであれば、ストップ動作に必要とされる関節の可動域や膝前面の筋肉と共同的に働く部位への評価が必要となります。
それは例えば、大臀筋であり、ハムストリングかもしれません。
これがジャンプ動作である場合、そもそも膝蓋腱の柔軟性が十分に確保できているかの視点が重要となります。
その上で、ジャンプ動作に重要となるアキレス腱の柔軟性やその他ジャンプ動作で使われるべき身体部位の評価の視点が重要となるのです。
 
同じようにそれがキック動作であれば、膝前面の負担がかかっている時点で膝下だけでのキック動作になっている可能性もあり股関節の伸展動作やクロスモーション含めてダイナミックな動作が行えているか、股関節の柔軟性が確保できるかは非常に重要な視点になります。
 
筋肉、関節、腱。
言葉にすると簡単ですが、どの部位への負担を考慮するかは患部の痛みを追っているだけでは見逃すこともあります。
そんな時にその選手の競技特性やポジションにおける身体特性を十分に考慮して関わることは症状の早期改善だけでなく再発予防においても大切です。
決して膝の前面に痛みがあるから大腿四頭筋のストレッチや筋力強化、あるいは股関節周囲の筋力強化と画一的に対処すべきではないと考えています。
復帰期が近づくにつれ、アスレティックリハビリテーションの手法が競技によって異なるのはいうまでもありません。
今回は障害後早期においても競技別における評価の視点や方向性を熟慮する必要性についてお伝えしました。
 
今回の記事内容の続きをより詳しく8月11日と18日のオンライン講義にてお伝えする予定になっております。
スポーツ障害の種目別の捉え方について整理してブラッシュアップしたいと思われる方は是非以下URLよりご確認ください。

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また今後も様々な視点でコンディショニング、トレーニングが実践できる為の思考や手法をお届け予定にしておりますので乞うご期待ください。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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