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2019年09月07日

不器用は伸びしろ

文:高塚 政徳

 
トレーニング指導をする中で、トレーナー側が伝えたいトレーニングや動作を習得する速度には個人差が必ず出てきます。
 
例えば、
・初めてやることはどうしてもうまくできない
・人よりもスキル習得に時間と回数が必要になる
・調子の波が大きく、修正に時間がかかる
 
このような選手を、一般的には不器用な選手だとする風潮がありますが、思い当たる選手は読み進めてもらえたらと思います。
 
今回は、競技スキルの習得も含めて、その習得速度はやり方次第で変化しうるものであるという話をしていきます。
 
習得速度が遅い選手に共通してみられる傾向として、以下の3点があげられます。
 
・背骨の動きが不十分
・プレー中、呼吸が浅く止まってしまいがち
・体の状態が変化していることを感じるのが苦手
 
この3つは、別物のようですべてつながりがあります。
 
 
背骨の動き(しなやかさと強さ)が不十分な状態では、深い呼吸をするために必要な横隔膜や肋骨の機能が担保されないことで、呼吸が浅くなります。
 
横隔膜や肋骨の機能低下は、体幹部から上下肢への力の伝達も損ないます。
 
そのロスを補うために、四肢を力源とした動作パターンが出現しやすくなり、これは俗にいう力みに繫がります。
 
背骨は力源でもあり、運動の巧緻性にも貢献しているため、動作の再現性に影響を与えます。
 
力みという不必要な筋肉の緊張が生じると、自分の体の状態を感じるための体のセンサー(筋紡錘)の感度が低下し、動きの方向・幅・程度など動作に必要な出力の調整が難しくなります。
 
このような複数の要因が絡んでくることで、トレーニングやスキルの習得速度が遅くなってしまうことが考えられます。
 
 

まずは、呼吸から

 
1番簡単に行えることは、自分の呼吸に意識を向けることです。
 
習得速度の遅い選手は、特に不慣れな動作を行う際、無意識に呼吸を止めて必要のない力が入ってしまうことがパターン化されているため、しばらくは繰り返し意識を向ける必要があります。
 
試しに、いつもと反対側の手で箸を持って食事をしてみてください。
 
不慣れな方であれば、力みや、呼吸状態の違いを感じていただけると思います。
 
そこから呼吸を整えてみてください。
 
呼吸から整えることで、不必要な全身の緊張が緩和されることが実感できるはずです。
 
呼吸自体は、意識次第で日常生活やトレーニング時にいくらでも取り入れることができます。
 
呼吸は当たり前のことようで、思った以上にできていない選手が多くいます。
 
選手も指導する側も、トレーニングやスキルの習得が上手くいかないときこそ、呼吸を感じてみてください。
 
呼吸にフォーカスしたアプローチをすることで、力を抜くこと、自分の体を感じるということができるようになり、習得速度・トレーニング効果が明らかに変わってくることもあります。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 
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