NEWS(最新情報)

2019年05月06日

休日の使い方

文:岩渕翔一

10連休あったゴールデンウィークも今日が最終日です。スポーツをしている方は練習の日、試合の日、休みの日とあったかと思います。代表の中野の記事でも取り上げられていましたが、この連休中、すべて練習をしているといったチームや選手がいないことを願っています(GW全て練習なんてやるべきじゃない)。ですが、「休むこと」そのものに恐さや罪悪感がある選手がたくさんいることも事実。日本では昔から、
「1日休んだら取り戻すのに3日かかる」
などと言われていました。私自身も現役時代は休むことに罪悪感や恐怖を感じたり、例えば、自分が休みの日であってもライバルチームや選手はその日練習していたりするわけです。そのため、休むこと自体が焦りや不安といった負の感情を産み、精神的に落ち着かないといったことがありました。
また、「練習が休みだと何をして良いのかわからない」といった選手も少なくないと思います。事実、私自身がそうで、野球さえしておけば、1日1日が充実していて慌ただしく終わる日々を過ごしていました。そのため、休みだと言われても何をどうして過ごせば良いのかさっぱり分からず、ただただ時間だけが無駄に過ぎていく日が「休みの日」でした。
 
休むことの重要性や必要性は近年多く叫ばれるようになり、指導者や選手も休日を設けることの重要性の理解は進んできていると感じます。しかしそれは、あくまで「競技のために必要な休息」であって、見方を変えれば休むことも練習や競技の一環ということになります。
元サッカー日本代表監督イビチャオシム氏は、「休みから得るものはなにもない」、「休むのは引退してからで十分だ」と話し、プロなら生活全てをサッカーに注げと仰っていました。当然プロであり、しかも日本代表ということになれば、そこまで求めなければ結果はなかなか伴わないでしょう。ですが、この記事を読んでいただく多くの方は指導者であったり、プロではない選手だと思います。また、プロの選手であっても引退する日は必ず訪れます。
その際、競技の第一線から離れてセカンドキャリアを歩んでいくことになりますが、これはプロスポーツ選手における社会的課題の最たるものでもあります。そのため、休日の使い方は競技のためだけでなく、人生そのものに対しても重要な役割を持ちます。
 
ですので今回は、スポーツ選手にとってもう少し広い意味での「休日」が重要な理由について話したいと思います。
 

休日を楽しめる競技生活を


 
冒頭で話したように、休日をどう過ごせば良いのか分からない選手は少なくないと思います。
これは、学生やアマチュア選手、プロ選手などカテゴリーに関わらずスポーツをする選手にとって一番良くない状態です。なぜ良くないかですが、競技から離れた際、引退した際にその状態は毎日続くことになるからです。それがなぜマイナスなのかは説明するまでもないでしょう。
健康な人であれば、成人すれば大多数の方がなんらかの仕事をすることになります。どのような仕事をするのにも重要なことが2つあります。

  1. ・アイデアの産生とそのアイデアを実行する行動力
  2. ・切り替える能力

 
休日の使い方はこのどちらかの視点がある必要があります。
 
[アイデアの産生とそのアイデアを実行する行動力]
休日に何をすれば良いのか分からないのであれば、徹底的に今している競技にプラスに働く休日の使い方をしてみてください。身体のケアや試合観戦、精神的なリフレッシュなど。競技ベースで何が必要かを考え、アイデアを出し実行してみてください。オシム氏が言っているように競技のために必要な休日の過ごし方は山のようにあります。それができれば、競技ベースで考えると休んでいることにはなりません。パフォーマンス向上のための積極的休日です。そしてそこで悩み、考え、調べ、出したアイデアを実行する癖は必ず今後に活かせます。
 
[切り替える能力]
社会では切り替える能力が高いほうが高いパフォーマンスを発揮しやすいです。仕事の自分、家庭での自分、友人との自分など。仕事の中でも顧客、上司、後輩、部下などそれぞれの立場の中での役割を切り替える力。
プロアマ問わずそれまでの人生を捧げたと言っても過言ではない、競技から離れた際、それまでの生活を一変させることに対するポジティブな感情やなにをするかの選択肢が複数あることはとても大切です。ですので、休日に全く競技とは関係のないことを行い、楽しみ、学び、経験する。その積み重ねは必ずその後のキャリアの選択や切り替えに活かせるはずです。
 
スポーツに対する姿勢は人それぞれです。健康のためにしている人も、プロを目指している人も、日本一や世界一を目指している人もいます。しかし、どういう姿勢であれどうせするのであれば真剣にやったほうが楽しいし、学びも多いです。その姿勢が休日を取りにくかったりするというジレンマがあることも事実です。休日の目的は競技力向上だけでなく、人生を豊かにするためにもあるということを知っていただければと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

合わせて読みたい記事

スポーツにストーリーを
スポーツは科学だ
【アスリート向け】アスリートのトレーニングが必要な理由
スポーツ界で蔓延する抽象的言語に注意せよ
ジュニア世代の運動指導で押さえておくべきポイントを脳科学を踏まえて解説
 
 

JARTA公式HP
https://jarta.jp