NEWS(最新情報)

2019年05月19日

かかとの痛みには人生の33%の過ごし方が重要

 

文:赤山僚輔

 
 
「いてっ!」
 
あなたは朝起きて歩き出そうと踵を床に着いた瞬間に
痛みが走ったことはないでしょうか。
 
 
私自身はアキレス腱を断裂した過去もあり
 
起床時に踵や足の裏に痛みがでることがいままでにありました。
 

 
 
こういった痛みが出現する原因はたくさんあります。
 
・そもそも足底が非常に硬い
・踵を酷使するような競技や使い方をしている
・シューズやインソールが合っていない
・捻挫や他の怪我の後遺症が残っている
・長期間免荷していた影響で過敏になっている
 
などなど。
 
痛みが出現した経緯や痛みが出現する時と
さほど出現しない時を比較することでいくつかの原因が見当たると思います。
 
 
しかし足首周辺のコンディションや
経過だけでは整理できない痛みが出る選手に以前遭遇したのです。
 
その時の改善にきっかけを解剖学的な視点を元に
今回は紐解いていきたいと思います。
 

かかとは引っ張られすぎると都合が悪い

 
足底の硬さの要因にふくらはぎの硬さが起因することがあります。
そんな事は周知の事実だと思いますが、後述する説明が理解しやすいように
一旦触れさせていただきます。

※プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論 / 運動器 第2版より引用

 
ふくらはぎの筋肉を通してアキレス腱から踵への牽引力が強まると
上記図でいうと踵は上方に強く動かされようとする力が働きます。
 
そうなると足底にある腱膜は結果的に伸張されることになり
その伸張ストレスにより硬さを生んだり、過敏になる可能性があります。
 
 
 
これが骨が未成熟な時期であれば骨自体を牽引する力となり
図のように骨棘が発生したりもします。
 
実際に骨棘と聞くと末期症状のように感じる方がおられるかもしれませんが
小中学から毎日のように競技を継続していれば
高校生で骨棘形成で悩まされる選手も珍しくありません。
 
先日は中学1年生で変形性足関節症と診断を受けた選手もいました。
 
 
そのような事例を未然に防ぐにはやはりミスユースを減らすことと
丁寧なセルフケアであることには間違いありません。
 
しかし真面目にケアを行なっていても
さほど使い方が悪くなくても
起床の痛みが慢性化する選手がいます。
 
その原因は実は前述した部分以外にあったのです。
 
 

1日の三分の一は寝ている

改めて言うまでもないですが
1日の三分の一は寝ているということは
1年の三分の一は寝ています。
 
つまり人生の三分の一は寝ていると言うことになります。
タイトルの33%はこれを比喩する表現になっています。
 
 
私は37歳なので12年は寝ていることになる・・・。
 
『めちゃめちゃ寝てるやん!』
 
そう思った人はかなり伸び代があると思います。
 
私は自分の身体に真摯に向き合うようになってから
大きく変えたのは睡眠前のルーティーンです。
 
起きている時間にいくらケアをしていても
寝ていてまた硬くなったりするのでは時間がいくら合っても足りない。
 
そのように感じたからなのです。
 
 
動作分析でも痛みや動作不良の問題が発生する直前に原因がある。
このように言われることがあります。
 
起床時に痛みが発生するのであれば
その直前は睡眠時です。
 
 
ではどうして睡眠時に踵に負担がかかってしまうのか。
この点について解剖のいつも見慣れない視点をヒントに紐解いていきたいと思います。
 
 

かかと引っ張るのはアキレス腱だけではない

 

※プロメテウス 解剖学アトラス 解剖学総論 / 運動器 第2版より引用

 
皆様はこの図をみて何を感じるでしょうか?
 
私はこの図を見たときに、自分が何気なくやっている日々のルーティーンが
起床時の踵への負担を軽減させている事を確信しました。
 
距腿関節の軸よりも前方に付着する筋肉が緊張していれば
距腿関節の背屈方向への牽引力がかかります。
 
それに対して後方に位置する筋肉が緊張すれば
底屈方向への牽引力がかかるのです。
 
図をみてみると、下腿三頭筋だけでなく
後脛骨筋、長指屈筋、長母指屈筋、短腓骨筋、長腓骨筋がそこにはあります。
 
ちなみに此処で私が睡眠前に必ず実施する
ルーティーンをご紹介します。
①両脇を気持ちいい程度に伸ばす
②背骨を左右に捻る
③全ての指の硬さを一度にほぐし、親指は念入りに実施する。(外反母趾なんです)
④その硬さが取れた状態から緊張しないように寝転がり、寝落ちするまで鳩尾に手を当ててゆるめる。
 
以上になります。
合計でも1分もあればできます。
 
動画でお伝えしたいところですが、あまりにもシュールな絵なのでお会いしたときにご紹介します。
 
 
読んでいればご理解頂けるように、見事に底屈方向への筋群へのリラクセーションが図れていたことが
お分かりになると思います。
 
脇の硬さを改善する事は筋膜や経絡の繋がりからも腓骨筋へと繋がり、後脛骨筋などは内転筋などからの影響も重なり恥骨への負担となるので鳩尾の硬さが改善され結果的に恥骨への負担が減ればリラクセーションが図れる可能性があります。
指については直接的なストレッチとしても好影響がありそうです。
 
つまりこのルーティーンを繰り返していく事で
起床時の踵の底屈方向への牽引力を軽減することが出来ていると想像できます。
 
実際にここ数年は起床時に痛む事はありませんし、そのように悩むクライアントもお伝えすることで解決することが多いです。
 
上記部分が硬くなる要因についてはまた次回以降続編で触れることにして
まず起床時にかかとが痛む方は是非とも人生の33%を過ごす睡眠時に
意識を向けて睡眠前のルーティーンを実践してみてください。
 
きっと朝が変わると思います。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

JARTA公式HP
https://jarta.jp