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2019年10月16日

『スポーツの持つ力』を今こそ共鳴させよう

 

文:赤山僚輔

 
『スポーツの持つ力』
 
きっとJARTAブログをお読みの皆様は日々感じており、抽象的でありながらも信じてやまない多大なる”力”ではないでしょうか?
 
私自身この”スポーツの持つ力”に魅了された一人であり、いま日本中がこのスポーツの持つ力を実感している真っ只中だと感じています。
 
かつてこのスポーツの持つ力で国を変え、世界にメッセージを送りノーベル平和賞を受賞した人物がいます。
 
ネルソン・マンデラという人物です。
 
ラグビーファンならずとも一度は耳にしたことがある方もいるかもしれません。
 
ネルソン・マンデラ氏は南アフリカで初めて民主的に選ばれた大統領です。
映画『インビクタス/負けざる者たち』では彼の取り組みが1995年のW杯を舞台に映像化され、先日民放でも放送があったので記憶に新しい人も多いはず。
 
彼は本映画の中で以下のような言葉を残しています。
 
「スポーツには、世界を変える力があります。
人々を鼓舞し、団結させる力があります。
人種の壁を取り除くことにかけては、政府もかないません」
ネルソン・マンデラ『インビクタス』より
 
本映画中では国内の分断や人種問題含めて現在の日本人にとっては実感の得られにくい問題も内包していると思います。
 
ただ今回のラグビーワールドカップやバレーワールドカップ、加えて来年に控えた東京オリンピックに向けて多くのスポーツの場面を目にすることが増え我々は知らぬ間に手に汗握り胸に熱いものを感じているのではないでしょうか?
 
これは紛れもなく私は”スポーツの持つ力”であると実感しています。
 
東京オリンピックも翌年に控え、各競技団体の関係者の皆様も日増しに緊張が高まっていると思いますがこんな時こそ本来スポーツが持つ力について再考し、現代に生きる我々がもしかすると忘れかけている心の中にある”なにか”に気づく大事な時なのかもしれません。
 
 

胸の奥にある熱さを忘れていないでしょうか

 
ラグビーの試合をみていると、他競技と純粋に比較することはできませんがとにかく”熱い”。
そんな印象を受けます。
 
そしてそれはラグビー関係者の方々からも感じる熱さでもあります。
 
この熱さを今回は競技特性と共鳴という現象を通して解説してみたいと思います。
 

 
ラグビーの競技特性を考える時に圧倒的に他のスポーツと違う部分としてコンタクトの回数と強度です。
100Kg近くの大男達が全力でしかも複数人でぶつかり合います。
何度も何度も。
転がっても、突き飛ばされても。
一人で太刀打ちできなければ2人3人がかりで。
 
ぶつかり合うたびに筋肉の温度は上がり、心拍数も上がり、交感神経も優位な状態になります。
対戦相手の肌を通して温度を感じ、吐息から息の上がった様も感じるでしょう。
そして競技柄一人で局面を打開することは極めて難しく、自己犠牲を伴いながら得点をあげる為に”FOR THE TEAM”の行動をし続けます。
 
現代は個の時代とも言われ、チームワークや献身性といった側面は軽視されがちな側面でもあります。
 
実際私の関わるチームにおいても長年指導に携わる指導者からこういった部分で、ここ数年の指導の難しさを痛感している声を聞くこともあります。
 
特に世界的に活躍している競技を見渡すと、バドミントン、テニス、柔道、レスリング、フェンシング、空手道、スポーツクライミングなど競技としては個人競技が多いようにも感じます。
 
しかし日本は島国であり組織に対する忠誠心など心身の基底的な部分には『F0R THE TEAM』の精神が宿っているのではないかと私は考えています。
 
それは災害時の助け合う姿勢などからもみてとれるかと思います。
 
ただそういった姿勢が元来あったとしても、内側にある誰かを想う気持ちや熱さを表に出すことが”かっこ悪い”と抑え込んでいる人も多いのではないかと感じています。
 
関わる選手達をみていても試合ではびっくりするような感情表現をするのに、普段はその熱さはどこへ行ったのかとサバサバしたとした立ち振る舞いをする選手も多いです。
 
 
そんな多くの方が今回のラグビーワールドカップをみて、選手達の熱い想いに”共鳴”して自分自身の奥底にあった熱さに気づき、選手達の熱さに呼応するように各地のパブリックビューイングやテレビの前で熱狂しているのではないかと思っています。
 
 

共鳴とは

きわめて通俗的な説明としては、ある物体Aの振動エネルギーが、別の物体Bに移る現象だとしてもよい。

〜中略〜

外部から振動が与えられるとき、与えられる振動が固有振動数に近づくにつれ、物体の振幅が急激に増大する。この現象を「共鳴」または「共振」という。

(wikipediaより)

 
 
こういったラグビーの熱さが競技特有の選手同士のぶつかり合いによっての筋音や心拍の上がり方による共鳴、熱狂する観客の声援からの共鳴。
 
そしてそれは日本全国で応援を送る全ての方への共鳴となり、なんだか表現し難い胸の熱さを皆様が感じてるのだと思います。


 
ただそれはラグビーが気づかせてくれただけで、元来皆様自身が持っていた熱さであり、決して表に出してはならない熱さではない。
 
そのように私は思います。
 
今週末、思う存分熱狂して自分の中にある熱さを最大限に放出して、選手達の熱い思いと共鳴して存分に『スポーツの持つ力』を体感してもらえればと思います。
きっとその熱さがあなたの周りの方々へまた”共鳴”されていくことでしょう。
 
ネルソン・マンダラ氏は以下のようにも言葉を残しています。
 
我々が自らの内にある
光を輝かせるとき、
無意識のうちに
他の人々を輝かせることが出来るのだ。
 
彼は若い時にアマチュアボクシングをしていたそう、身体と身体がぶつかり合う戦いと経験を通して熱いものが他者へ伝わる感覚(共鳴)を実感していたのかもしれません。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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