不調がない選手に圧倒的な違いを感じてもらう為に

 

文:赤山僚輔

 

病院やクリニック、接骨院や治療院で勤務をしていると、対象となるクライアントはほぼ全てが痛みや不調を持ち来館される方だと思います。

 

そんなクリニック勤務時代、JARTAが創設される前に中野崇というスポーツトレーナーに初めて出会った時、自分の基準を大幅に変えるきっかけになったのが表題の観点になります。

 

『痛みのない選手にも圧倒的な違いを感じさせることができないといけない』

 

もう10年近くも前なので細かな語彙は異なるかもしれませんが、観点としては当時衝撃的で鮮明に記憶されています。

 

まだまだ目の前の選手の不調を改善にゼロにすることに対して壁を感じていた自分にとって、その先の基準を示唆されたことは、今後の方向性を明確化すると共に、不足を知る大事な岐路になりました。

 

痛みや不調がある選手に対して、その症状を解決したり、変化を感じてもらうことは、徹底的に学び深めていくとさほど難しいことではありません。

 

では何も症状がない選手に対して圧倒的な違いや伸び代を提示、体感してもらう為にはどのような視点や準備が必要なのでしょうか?

 

今回はこの点について少しだけ具体的に視点と手法を共有したいと思います。

 

なぜそのような視点が必要なのか?

 

まずは導入として、なぜ痛みや不調を解決するだけでなく、そのような視点が必要であるかについてお伝え致します。

 

スポーツ現場やアスリートに関わっっていると、もちろん様々な不調を顕在的抱えており、それらを可及的早期に、そして根本的に解決するためのスキルは非常に大事になります。

 

しかしそれらの多くはアスリートのコンディションの基準が”ゼロ”だとした場合、”マイナス”の状態からゼロに戻す過程であり、最高のパフォーマンスの為の準備としては基準のゼロに戻ったにすぎないとも言えます。

 

そしてアスリートたちは現場で追い求めていることは、痛みや不調を解決したい。

怪我をしないようにプレイしたい。

といったものではなく。

 

 

上手くなりたい

もっとパフォーマンスレベルを向上させたい

少しでも勝利に近づけるように

 

このような想いや願いの元で日々厳しい練習を積み重ねています。

 

そして関わる指導者もまた

 

 

もっと早く上達できるように

地区大会を突破できるように

日本一、世界一に成れるように

 

 

このように目標を持ち、日々選手やチームに対峙しています。

 

ではそのような環境に同じスタッフとして、あるいはその場で高みを目指す選手に対峙する時にスポーツトレーナーはいつまでもけが人の対応だけや、けが人がいなければなにもすることがないというようなスタンスでよいのでしょうか?

メディカルスタッフであったとしても、マイナスからゼロへのサポートはもちろん。

ゼロからプラスへのサポートにおいて何が必要なのかを吟味しブラッシュアップし続けること。

 

これはスポーツトレーナーにとって持つべき必要な視点であると私は考えています。

(JARTAが創設される前の中野崇)

 

視点を持つ為の準備

どこも痛くない、何も気になるところがない。

そんな選手に何をどこから手をつければよいのだろうか。

そのように思案する方は少なくないと思います。

 

そんな方に、まずはシンプルな構造の捉え方からアプローチのヒントをお伝えします。

 

・筋肉→筋肉同士が分離して働けるような環境をセッティングする

・関節→適合性を改善し、球関節であれば求心位を高め、連動していない脊柱は分節的に動くように

・皮膚(軟部組織)→皮膚がつまめるゆとりが皮下にあるように

 

次に主観的な訴えを元にアプローチするヒントを

※ここでは本人が不調がない状態でも詳細に内観してもらい身体の状態を精度高く訴えられるようにしていくという目的も内包しています。

・手足が重たい→左右差や前日やコンディションの良い時と比較して自覚してもらう

・力みがある→身体をゆすったり、触ったりすることで余計な身体の力みがどこにどの程度あるかを確認してもらう

・呼吸の大きさや長さ→呼吸時の胸郭の動きや呼気の長さなど、普段の状態と比較し今の呼吸状態においてどこが動きにくく、息がしにくいかなどを内観してもらう

このような視点だけでも、本人が痛みとしては何もなくても、コンディションを向上させる。

パフォーマンスを向上させるという前提で考えるとどんどんと伸び代がある事に気づけるはずです。

 

そしてその視点を実際の選手の体感を通しての気づきに落とし込んでもらう為には、筋肉、関節、皮膚の望ましい状態という前提を知識としても評価としても準備しておく必要性があります。

 

また内観の精度についてはスポーツトレーナー自身が日々自分の心身に向き合い変化を内観することで。

 

示唆もしやすいだけでなく、何がそれを変化させる要因かも掘り下げ続けることができます。

 

その繰り返しで、大事な試合において、ハイパフォーマンスを実現するサポートの準備へと繋がるのです。

 

いま、特に不調がない。

そんなセラピスト、スポーツトレーナーこそ、ただ強化をするだけでなくこのような内観をする習慣を取り入れてみてください。

 

そしていま、不調がある方ばかりに対峙している方は、イメージからでも何も主訴がない状態のアスリートに対してどのような評価をしてどのようなコンディショニングや関わりができるのか。

 

想像してみてください。

 

それがこれからのステップへの大事な一歩へと繋がるはずです。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

JARTA公式HP

https://jarta.jp