競技パフォーマンスに活かすために必要な発展的トレーニング法

文:岩渕翔一

 

アスリートであればトレーニングの目的はその競技が上手くなることであり、その競技で勝てるようになるためです。

またそれに加えて痛みの改善や障害予防の目的もあるでしょう。つまり、アスリートにとってのトレーニングは、

  • ・パフォーマンス向上
  • ・障害及び疼痛予防
  • ・障害又は痛みの改善

という目的が、「その競技で勝ちを目指す」という一段階上の階層にある目的と同じベクトル上にある必要があります。

 

トレーニングには5原則というものがあります。

  • 全面性の原則
  • 漸進性の原則
  • 反復性の原則
  • 個別性の原則
  • 意識性の原則

 

これが5原則です。

基本事項ですので詳しい解説はしませんが、端的にいうとトレーニングはこの5原則が必ず全て考慮されていなければいけないということです。

今回はこの原則にもう1つ。トレーニング効果を競技パフォーマンスに活かすために私が行っている発展法をご紹介します。

 

 

トレーニング効果を無意識下に落とし込むことを意図して発展させる

 

上のタイトルの通りですが、トレーニング効果を無意識下に落とし込むために、トレーニングを段階的に発展させていきます。

どういうことかというと、トレーニングの目的は上記にあげたように、パフォーマンス向上、障害及び疼痛予防、障害又は痛みの改善です。

つまり、弱い部分を強化したり、できないことやできない動きをできるようにしたり、強い部分をより強くしたりということを具体的に行っていくことがトレーニングの具体的手段になります。

ただ、トレーニングで強化した部位や動きを競技パフォーマンスで活かすには、意識しなければできないことではなく、無意識でできるようになる、あるいは発現するようにならなければならないということは誰もが分かっていることです。

 

そのために、

トレーニングによる強化

競技パフォーマンスへの反映

という過程が必要であるとうことは一般的に言われています。

当然、競技そのものの練習を経なければ競技に活きないということもありますが、トレーニングの段階である程度近づけることが可能です。

そのためにはトレーニングの5原則のうち、「漸進性の原則」を応用し無意識レベルでのトレーニングに発展させていくことが重要です。

 

 

負荷量を変えるのではなくタスクを増やす

 

わかりやすいのでウェイトトレーニングを例にします。例えば、ベンチプレスが80kgで1RMの選手がいたとします。

ウエイトトレーイングの場合、ここから負荷重量とセット数を設定します。

漸進性の原則とは、この設定した重さや回数などの負荷量を徐々にあげていかなければトレーニングとしての効果は低くなっていき終いには、トレーニング効果のないただの運動や習慣になるという原則です。

その為、トレーニングを継続することで当然筋力は向上していくため、負荷量(回数や重さ、セット数など)を成長に合わせて変化させるという漸進は必要です。

 

もう1つ。漸進させなければいけないのは、

「そのトレーニングのみに集中できる状況から、いろいろなことに意識を向けながら行わなければいけないトレーニングにする」

という「タスクを増やすという漸進」です。

ウェイトトレーニングであれば、その重量を持ち上げることだけに集中できるのか、あるいは何か他のこと(呼吸や人と喋りながら行う、何らかの合図があれば上げるなど)を意識して行うのか。

身体操作そのものが課題になるようなトレーニングであれば、環境が整い、その動きだけに集中できるのか、あるいは、多様な環境や他のこと(何かを見ながら行う、ペアを組んでどちらが速くて正確かを競うなど)を意識して行うのか。

 

その動きや、強化した要素を競技パフォーマンスに活かすということは、無意識にでもその動きやその要素がパフォーマンスで発現したり使えなければなりません。

つまり、そのトレーニングに集中しなければできないような課題やトレーニングは競技パフォーマンスに活かせるレベルではないということです。

それを競技パフォーマンスに活きることにできるだけトレーニングの段階で近づけるための漸進性が「タスクを増やす」ということです。

そうすることで無意識に発揮できる能力に変換していくという過程をトレーニングの段階で行うということです。

 

 

これは工夫次第で可能となります。

  • ・ビジョントレーニングをしながら行う
    (目のトレーニングはこちらの記事を参照→「マウンドが合わない」原因は眼と脳にあるかもしれない
  • ・会話をしながら行う
  • ・多様な呼吸様式で行う
  • ・練習前と後で同じトレーニングを同じ質で行う
  • ・環境を変える(屋内外、アスファルト、地面、少し傾斜があるなど)
  • ・ペアや複数で行い競い合う
  • ・道具をコントロールしながら行う

 

キリがないですがこのように、「意識して無意識に行わなければならない課題に変換していく」ということです。

負荷量を増加するという漸進性だけでなく「タスクを増やす」という漸進性も意識してトレーニングメニューを組んでみてください。

 

 

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