選手の自主トレーニングが継続・定着しないときに考えるべき6つの行動障壁

文:福原良太

 

「選手に自主トレを指導したけど、なかなか継続・定着してもらうのが難しい」と感じているトレーナーも多いはずです。

 

そんなときにもしもこんな思いが頭の中をよぎってしまっていたら要注意。

 

・選手にやる気はあるのかな・・・

・選手が自主トレの重要度を理解してくれないんだ

・指導内容をしっかり聞いてくれていなかったのではないか?

 

これらは自主トレーニングがなかなか定着しない責任を、どれも選手に向けてしまっている状態です。

 

これではいつまで経っても選手に自主トレーニングを指導できるトレーナーにはなれません。

 

そうではなく、「選手が自主トレーニングをできないのは、すべてトレーナーの責任だ」とまずは思考を変えることが大切なのです。

 

なぜなら、選手に責任を押し付けてしまってはトレーナーとしての成長も止まってしまうからです。

 

ではどうやって、自主トレーニングが継続できない状態を解決すればいいのでしょうか?

 

その解決方法のひとつが、選手の行動障壁を取り除いていく指導方法です。

 

行動障壁とは、行動しようとする気持ちを遮(さえぎ)る“なにか”のこと。

 

選手は、好きで自主トレーニングをやらないわけではない。

 

自主トレーニングを行おうとする気持ちを遮(さえぎ)る“なにか”に対して手に負えなくなってしまっているだけなのです。

 

したがって、トレーナーはその“なにか”を指導によって取り除いていけばいいのです。

 

ということで今回は、6つの行動障壁なる存在を理解して選手に自主トレーニングを継続・定着してもらえる指導方法について解説していきます。

 

 

 

選手の行動障壁を考えるときの6つの視点

選手が自主トレーニングを行うときに乗り越えてもらうべき行動障壁は以下の6つです。

 

1.時間がかかる

2.費用がかかる

3.肉体的許容性

4.頭脳的許容性

5.社会的な逸脱

6.結果を出すまでに、繰り返し行動が必要か

 

それでは、ひとつずつ簡単に解説していきます。

 

 

その1.時間がかかる

自主トレーニングを行うまでの準備に時間がかかる場合は自主トレーニングの行動障壁が高くなります。

 

時間が奪われることはストレスであり、準備の途中で自主トレーニングをやめてしまいたくなるからです。

 

自宅内でトレーニングをしたくてもトレーニングスペースを作る時間が必要と思われるトレーニングは、選手の生活環境を加味してトレーニングを提供する必要があります。

 

 

その2.費用がかかる

なにか道具を買ってからでないと実践できないトレーニングも行動障壁になります。それが、いくら安いものであっても。

 

選手が「トレーニングは身体ひとつあればできるもの」という意識の強いときに道具を使ったトレーニングの指導してしまうと、思いがけない費用が発生することになるからです。

 

道具を使うのであれば、購入しなくてもよいどの家庭にでもあるような道具を活用したトレーニングを提供しましょう。

 

 

その3.肉体的許容性(動きたくない)

「身体を強化するためのトレーニングなのに、“動きたくない”が行動障壁になるってどういうこと?」と感じた人もいるかもしれません。

 

この“動きたくない”とは、タイミングによって変わります。

 

たとえば、こんな指導をする人もいるかもしれません。

 

「テレビを見ている時間もトレーニングをするんだ!」

 

確かに、これが有効な選手もいます。

 

ですが、なかにはテレビを見ている時間が最もリラックスできて、いつもテレビを見終わったあとにトレーニングの時間を組み込んでいる、いわばルーティン化している選手にテレビを見ている時間のながらトレーニングは適しているとは言えません。

 

また、普段からお風呂上りにストレッチをしている選手に、お風呂上りに汗をかくようなトレーニングをするよう指導するのも行動障壁が高くなります。

 

 

その4.頭脳的許容性(考えたくない)

これは、トレーニング実施時ではなく、指導場面での行動障壁になります。

 

トレーニングの指導をするときに、専門用語を多用すぎてしまうと、トレーニングの有用性が理解できなくなり、結局「なんのためにやるの?」と疑問に思ってしまいます。

 

すると、自主トレーニングを実施するモチベーションが低くなってしまうのです。

 

 

その5.社会的な逸脱(後ろめたさがある)

社会的な規範から考えて逸脱しているような場合は、行動障壁が高くなります。

 

たとえば、学生の自主トレーニング。

「授業中に暇を見つけて股関節を摩るトレーニングをしてほしい」と指導をしたケースなどです。

 

授業中に座ったまま机の下で股関節(股:また)を摩る行為。

 

生活の中で身体と向き合う時間をより多くするというのは良い視点だと思います。

 

ですが、変なことをしていると周りに思われるのが嫌で、できない選手もいるはずです。

 

トレーニングはときに、周辺環境との調和も意識しなければならないことを理解しておきたいです。

 

 

その6.身体が変わるまでに、繰り返し行動が必要か(ルーティン)

「いつまでトレーニングを行えば身体の変化が出るのか、パフォーマンスがアップするのか全くわからない」という状態では、誰もやりたくはなくなります。

 

もしも全くパフォーマンスアップにつながらなかったら、時間という大切なものを失ってしまうからです。

 

とはいえ、トレーニングはやってみないと変化が出るかわからないもの。

 

概ねどのくらいの期間トレーニングをすれば身体の変化が出るのかを示せれば、選手に提示するようにすると行動障壁が下がりやすいです。

 

もしも、選手と関わっている中でその場で新たに考案できたトレーニングなのであれば、短い期間を設定して、「自主トレーニングをやってみて効果が出なかったらやめる」などのフォローアップをしていくことも大切になります。

 

 

自主トレーニングを継続・定着してもらうためには選手とのコミュニケーションが重要

ここまでで、選手が自主トレーニングをなかなか継続できない行動障壁6つを紹介していきました。

 

勘の良い方は、ここまで読んでいただいて「選手の生活リズムを事細かに知っていないと適切な指導ができないではないか」とお気付きになられたかもしれません。

 

そうなのです。

選手の生活リズムを知っていないと、適切な負荷量、頻度、トレーニングの種類、が提供できないのです。

 

そして、選手の生活リズムを知るために自主トレーニング以外の話もしていく必要が出てきます。

 

傍(はた)からみたら身体の使い方には全く関係のない話であっても、じつは自主トレーニングをより有効活用するための提案をするために必要なコミュニケーションであることだってあるのです。

 

あなたは最近、選手とトレーニング以外の話はしていますか?

もしトレーニング以外の話をしていないのであれば、今回の記事をぜひもう一度、読んでいただきたいです。

 

 

 

まとめ

いかがでしたか?

 

今回は、選手が自主トレーニングをなかなか継続できないという悩みのあるトレーナーに向けて、その解決方法の提案をさせていただきました。

 

選手の自主トレーニングを促すのは簡単そうに見えて、じつは奥が深い。

 

また、今回挙げた行動障壁という考え方だけでは物足りない部分はあるかもしれません。

 

まず初めにやっていただきたいことは、自主トレーニングが継続・定着できない場合は、選手のせいではなくトレーナーのせい、という視点を一度持ってみることです。

 

この視点を今一度持ってみるだけでも、解決手段がみえてくるかもしれません。

 

また、自主トレーニングが継続・定着しないのは選手個々によって解決すべきポイントが違うはずなので、選手とコミュニケーションを取りながら思考を張り巡らせていただくと、なにか解決手段が引き出されるかもしれません。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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