目の前から消えた?!相手に予測できないステップに重要な「ある力源」とは

前回は、ステップを切るときに地面を蹴る力を力源とするよりも、重心を移動させてステップする意識へシフトした方が相手に予測されにくい動きになることをお伝えしました。

今回は、重心を移動させてステップするときに使うある力源について、認定スポーツトレーナーの福原良太が解説していきます。

前回の内容を確認したい方は以下からご覧ください。

https://jarta.jp/conditioning/10716/

 

【予備動作を極限まで少なくすれば、相手は予測できない】

「相手に予測できない動き」には、必ずしもスピードを速くしなければならないわけではありません。

むしろ、予備動作を少なくすることが要求されます。

 

地面を蹴る場合、予備動作が多くなってしまい、相手からも動きが読みやすくなります。

結果的に、ディフェンスを抜こうとしてもつかまってしまうのです。

 

反対に、予備動作が極限までに少なければ、相手は反応が遅れてそのまま抜き去ることができるわけです。

 

ここで問題なのは、この予備動作をどうやって少なくするのか。

 

それが、重心の移動を意識してステップを切ることなのです。

 

では次に、どのように重心の移動を意識するのかということを説明していきます。

 

 

【一流の選手が繰り出している体幹を主導としたステップ】

身体の動き方には、以下の2つがあります。

 

・体幹部の運動が主導となって、身体が動く「体幹主導系」

・四肢の運動が主導となって、身体が動く「四肢主導系」

 

このうち、重心の移動を意識したステップに必要となるのは「体幹主導系」です。

地面を蹴ってステップを切るのは四肢主導系にあたります。

 

冒頭で書いた「重心を移動させてステップするときに使う”ある力源”」とは、体幹の運動のことなのです。

 

体幹主導系とは、さきほどお話しした通り、四肢よりも体幹部分が先に動くことでステップを切ることになります。

 

「体幹が大事なことはもう知っている」「体幹のトレーニングならしている」と思った方もいるかもしれません。

しかし、その体幹トレーニングは「筋力」や「固さ」を鍛えることだけにフォーカスが当たり、試合で活用できる身体にはなっていないこともあるのです。

 

では、体幹が主導のステップに重要なことは何なのでしょうか。

 

それは、「体幹が柔軟であること」です。

 

鍛え上げられた体幹が特徴的なサッカーポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手も、ディフェンスにフェイントをかける際の高速ステップを背中側から見てみると、思った以上に背骨と一緒に体幹がグネグネと柔軟に動いていることがわかります。

 

要するに一流選手は、体幹主導系のステップで相手に予測できない動きを繰り出しているのです。

 

(出典:freepik)

 

体幹の下部には、身体重心(身体の中心)があります。

 

身体重心からはほど遠い足を力源とする「地面を蹴る動作」に比べて、身体重心により近い体幹を動かした方が、はるかに準備動作は少なくなって相手の反応できないステップになるのです。

 

さらに、上半身は下半身よりも重く、その割合は一般的に「上半身:下半身=63:37」といわれています。

 

体幹主導系は上半身が先に動き出すため、上半身の重みはそのまま重力落下のエネルギーとなって、サイクロイド曲線を最大限に生かした急加速もできるのです。

 

※重力落下のエネルギーとサイクロイド曲線がなぜ急加速につながるのかは過去に書かれた以下の記事を参考にしてください。

https://jarta.jp/news/5837/

 

体幹が主導となって動くと、予備動作の少なくなるだけでなく、ステップの動き出しも急加速します。

ディフェンスからしてみると、まさに目の前から消えた感覚になるのです。

 

予備動作が少なく、ステップの動き出しを急加速させるための体幹トレーニングとしては、「横移動の要素を加えたカットフォール」や「コモドドラゴン」などのセンタリングトレーニングが有効です。

 

 

【まとめ】

 

いかがでしたか?

 

2回に渡り、筋力を頼りにした「地面を蹴る」ステップよりも重心の移動を利用した「体幹主導系」のステップの方が以下のメリットがあることをお伝えしました。

 

・相手に予測されにくい

・怪我がしにくい

・試合中の疲労軽減

 

また、なぜ体幹主導系だと相手に予測されにくいのか以下の観点で解説しました。

 

・体幹下部に身体重心がある

・上半身の重みを利用したステップが切れる

 

体幹主導系は、パフォーマンスアップに繋がるだけでなく、怪我の発生リスクも抑えられます。

 

実際、体幹が硬いことでステップを下半身の筋力にしか頼れず怪我をしてしまった選手もみてきました。

 

選手はもちろん、指導者やトレーナーは、体幹の柔軟性も意識したトレーニングをしていくことが重要です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

参考図書:

「究極の身体」 高岡英夫

「武術「奥義」の科学―最強の身体技法」 吉福康郎

 

JARTA公式HP

https://jarta.jp