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2020年09月02日

選手も手段に囚われるな

文:平山鷹也

 
練習環境が悪い、時間がない、練習時間が長すぎる(短すぎる)。
 
あなたは、現状に何かしらの不満や物足りなさを感じていないだろうか。
 
 
自分が不満に感じていること、例えば良い練習設備がない、と感じている選手にとっては、その設備がある環境が羨ましく映るかもしれない。
 
「もしあの設備があれば俺だって」
 
 
このように考えてしまう選手は、手段に囚われている可能性が高い。
 
 
いい設備がある=上手くなれるという思考に囚われてしまっているからだ。
 
 
たとえその設備があったとしても、この思考の癖があると他のところで不満を感じてしまう。
 
 
 
 
 
 
JARTAでは、認定トレーナーコースの中で
「手段に囚われず選手のパフォーマンスアップに貢献する」ための思考法をお伝えしている。
 
 
今回は、選手目線で「手段に囚われない」ことの重要性について考えてみたい。
 
 
まずは誤解がないように、
・手段を選ばない
・手段に囚われない
 
この2つの違いについて整理しておく。
 
 
手段を選ばない、とは目的を達成するためにはどんなことでもするという意味を持つ。
 
試合で例えると、勝つためならルール違反を犯して相手選手に怪我をさせてもいい、ということになる。
 
 
 
 
一方で、囚われる、は固定した価値観や考え方に拘束されることを意味する。
 
同じく試合で例えると、右サイドからのセンタリングじゃないと得点できない、三振をとれるのはフォークボールだけだ、というような考え方に固執することである。
 
 
このように整理すると、両者は全く違うことがわかる。
 
 
そして「囚われている」状況は、他者から見ると明らかに不自然に感じるのではないだろうか。
 
 
中央からパスをつないでゴール前まで運んだっていいし、高めの釣り球で三振を取ったっていいと思うはずだ。
 
 
だが当人たちからすると、無意識的にそのような思考に「囚われて」しまっている。
 
 
どれだけ無理な形になっても右サイドにボールを集めようとするし、追いこんだらフォークボールを投げ続ける。
(この背景にはそれで上手くいった体験や、他の方法で失敗した記憶が原因になりやすいが、ここでは原因についての考察は割愛する)
 
 
 
手段に囚われているという状態は、試合だけではない。
 
 
アスリートにとって最もデメリットになるのは、もっと上手くなるための方法を考えるときに「手段に囚われている」ことである。
 
 
・動き出しを速くするためにはダッシュを繰り返し行うしかない
・パワーをつけるためには筋トレするしかない
・切り返しが速くするトレーニングはラントレーニングだけだ
・体力をつけるためにはたくさん走るしかない
・疲労を回復する方法は休むしかない
・いい設備がないから効率的な練習ができない
 
 
ここで、「本当にそうなのか?それしかその目的を達成する手段はないのか?」
と自分に問いかけてみてほしい。
 
 
筋トレや走り込みなどのトレーニングが必要な場面が多いのは間違いない。
 
しかしこれも手段の1つでしかない。
 
 
動き出しを速くするためには、
・瞬発的な脚のパワーを上げる
・下肢の筋力を上げる
・重心を利用する
・上半身を活用する(スピードを上げたければ協力者を増やせ。)
 
このように、あなたの伸びしろを伸ばすための手段は決して1つではない。
 
 
これは、トレーニングだけの話ではない。
 
良い環境設備がない、という自分では変えられない問題においても、
「その設備があれば何がどのように良いのか。」
 
この質問の答えがあれば、今の環境でその目的を達成する方法がないかを考えられる。
 
 
 
ウエイト器具が身近になくても、全身をうまく使えるようになれば今よりもボールや相手に伝えられる力を強くできるかもしれない。
 
ピッチングマシンがなくても、ゆっくり山なりのボールを自分のタイミングで姿勢を崩さないように打てるように練習することで、速い球に対応できるようになるかもしれない。
 
 
 
全てのトレーニングやケアは、目的を達成するための手段だ。
 
 
練習時間が長くて疲労が常にたまってしまっているのなら、より全身の疲労を回復できるようなケアが必要かもしれない。
 
パーソナルトレーニングを受けてみたいが時間がない、と思うのなら何に自分が時間をとられているのかスケジュールの整理が必要かもしれない。
 
 
これらすべての問題に対して1人だけでは解決できないこともあるだろう。
 
そんなときは他の選手や監督、コーチに頼ればいい。
 
 
ここでも、「他人に頼ってはいけない」という考えに囚われている選手は意外と多い。
 
悩みを共有し、ともに解決していくことがチーム力向上につながっていく。
(1人より2人の方が成長できる3つの理由)
 
 
自分の周囲だけでは解決できない問題があったら、ぜひ我々にも頼ってほしい。
 
 
きっと現状を打破するための手段を提示できるはずだ。
 
 
この記事が、「自分は手段に囚われていないだろうか。」と再考するきっかけになればと思う。
 
 
全ては、パフォーマンスアップのために。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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