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2020年03月26日

練習再開その前に

文:赤山僚輔

 
新型コロナウイルス正式名称「COVID-19」による学校休校や部活動の活動休止とこれまで経験したことがない期間が1ヶ月になろうとしています。
 
新年度を迎えるにあたり多くの部活動においては再開の日が近づいていると思います。
 
今回はまだはっきりとはわからない全面的な部活動の再開を前に、いまだかつてない事態だからこそ練習再開時に想定しておくべき事態についてお伝えできればと思います。
 
 
 
 
「1日でもはやくいつも通りの練習がしたい」
 
 
 
これが選手だけでなく関わる指導者の総意であると思います。
 
 
はやる気持ちをおさえて、まずは、最低限想定しておきたい懸念事項について整理しましょう。
 
 
①最悪の想定をする
・全く運動をしておらず圧倒的に体力が落ちている
・抑揚のない生活をしており集中力が低下している
・規則正しい生活ができておらず自律神経のバランスが乱れている
・ウエイトコントロールが出来ておらず体重増加がみられる
・偏ったトレーニングによって身体のバランスが著しく崩れている
 
 
②初めての為わからないと自覚しておくべき事項
・休止期間後にどうやって運動強度を上げていくべきか不明瞭
・集中力が低下することにより練習中にどのようなリスクがあるか(ミスコミュニケーション含めて)
・自律神経バランスが崩れることによりリカバリー機能など疲労回復にいつも以上に期間を要する可能性がある
・やりたい気持ちと動きにく身体とのギャップによって生まれる弊害
 
 
簡単にではありますが、最低限選手側も指導側もおさえておく必要性があることを羅列しました。
 
 
要するに
 
「いつも通りじゃない、という大前提を全ての事象に置き換え考える」
 
 
これが今回においては重要であると考えています。
 
その上で解決可能な対応策について後述させていただきます。
 
 
 

ヒアリングをこれまでの基準を度外視して丁寧に実施する。

 
様々な状況でヒアリングやシェアリングをすることはどんな部活動やスポーツ活動でも行ってきたと思います。
 
今回のケースにおいてもおそらく大なり小なり実施されると思います。
 
ただ今回ばかりは選手の“大丈夫”が本当に大丈夫かどうかを慎重に判断する必要性があります。
 
荷重関節の骨であれば繰り返しの荷重や適切な水分量、栄養補給によって強度が保たれます。
 
もちろん筋肉がしっかり働くことによって骨への必要以上の負担が軽減されます。
 
それが出来ていない状況でどうなる可能性があるのか
これまで疲労骨折や慢性疲労が蓄積しやすかった選手やチームであれば、運動再開後にその部位へ急激なストレスが加わることで最悪の事態も考えなければなりません。
 
「いつもこれくらいの痛みであれば、だましだましいけば大丈夫だから。」
 
これを今回ばかりは見過ごさず慎重に様子をみてもらいたいと思っています。
 
現在はエコー技術の進歩もあり、高額な医療費を捻出しなくても簡易的に患部状態を知ることもできるようになりました。
 
身体に痛みや気になる部分がある際には部活動再開前に医療機関で精査する事をお勧めしますが、再開後に発生した症状に関しても軽視せずに慎重に向き合ってもらいたいと思います。
 
 
こういったヒアリングはもちろん指導者の役目かもしれません。
しかし定期的に部活動に関わるスポーツトレーナーもこれまでと同列に考えずに、「もしかしたら・・・。」という視点で今後の練習再開時の選手の状況については考えてもらいたいと思います。
 
 
 

シェアリングにしっかりと時間を使う

 
 
部活動休止期間中にそれぞれの選手がどのような過ごし方をしていたかは、指導者の想像を良くも悪くも超えるかもしれません。
 
「選手間でこれくらいはやっているだろう。」
 
という推測は合致しにくいと思います。
 
 
休止期間中にオンライン上でのやりとりや日誌をつけていれば共有がしやすいと思います。
 
最低でも、どのような日々を過ごしていて柔軟性や体力だけでなく、集中力や俗に言う“やる気”の具合なども共有しておくべきだと思います。
 
 
そしてチームメイト同士、指導者と選手間においては対話を好むタイプと立場的にも距離を置くことを好むタイプがいると思います。
 
今回ばかりはこれまでのタイプにこだわり過ぎない取り組みも大事な要素となります。
 
休止期間後にコンディションの問題やモチベーションの問題などで練習へ積極的に参加できないなどといったことが無いようシェアリングを行なっていきましょう。
 
「これまで行なって来なかったから・・・。」
 
ではなくこんな機会だからこそヒアリングとシェアリングを丁寧に、そして心身の状態を慎重に検討しながらの運動強度の調整をしていくことを強くお勧めいたします。
 
チームにそのような関わりのスポーツトレーナーや医療従事者がいれば、直接相談してし過ぎることはないと思います。(いつも以上に用心深く聞いてみてください)
 
 
もしいなければお答えできる範囲で返答いたしますので以下お問い合わせまで、懸念事項や相談したいことをご連絡ください。
 

お問い合わせ


 
競技やカテゴリーによってリスクの高い怪我を共有することや、状況によって効果的な強度設定やヒアリング、シェアリング手法について共有させていただきます。
 
 
そして最後に、まだまだ活動の場を与えられずに悶々とする選手たちへ
 
 
今こそ自分を見つめ、自分の伸び代について真剣に考え、環境に感謝して、この先の自分の人生や競技人生に対して具体的にそして建設的に考える絶好の機会です。
 
練習するだけが成長の機会ではありません。
 
自分を高めるためにできること
 
それは自分のことを誰よりも知ること
 
練習再開後に誰からヒアリングされてもどんなシェアリングの機会でも自信をもって具体的に答えられるこの1ヶ月間の振り返りを今から行っていきましょう。
 
 
長くなりましたが、ないものに嘆くことなく、あるものに感謝して今一度自分自身も最大限の準備をしたいと思います。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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