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2019年09月23日

恐怖も不安も成長の力に

文:赤山僚輔

 
あなたにとって恐怖や不安は悪ですか?敵ですか?
もしそれが自分にとって成長する為の重要な感情であるとしたらどうでしょう。
 
今回は私自身の日々の葛藤とスポーツトレーナーとして重要な準備の話をしたいと思います。
 


 
ある時から、自身の挑戦とサポート選手の挑戦がとても解離することができないほどに関わりが深くなってきました。
 
最終的には選手の勝敗や人生を決めるのは選手自身であり、その家族やコーチになります。
 
しかしスポーツトレーナーという”仕事”は時に、選手の勝敗に左右することもあれば、選手生命に関わることも命に関わることもあるのです。
そんな重要な責務を担っていると最近つくづく感じるようになってきました。
 
そしてこのように誰かに何かを伝える立場にある私達にとって
現場で感じるリアルをお届けすることは、トレーニング方法やコンディショニング方法を伝えるよりも時に重要であると年々感じるようになってきたのです。
 
今回は私が日々感じてる、『恐怖』や『不安』についてお届けしたいと思います。
綺麗事ばかりではなく、こういった事象こそがスポーツトレーナーのリアルでありこれからスポーツ現場に身を置きたいと思っている方々に知ってもらいたい”事実”であると私は痛感しています。
 
 

眠れぬ夜に何を思う

本ブログをお読みの皆様は、初めての現場に出るからという緊張ではなく。
サポート選手の試合が近づいて眠れぬ夜を過ごしたことがあるでしょうか?
 
私は元々かなり睡眠欲が強い方で、どういった状況でもすんなり寝入ることができる性分なのですが、サポート選手の大事な試合が近づいてくると夜も眠れない事が出てきます。
「勝てるだろうか?」
「怪我をせずに帰ってきてくれるだろうか?」
「伝えるべきことは全て伝えられただろうか?」
「しっかり当日良いパフォーマンスを発揮できるだろうか?」
「自分にすべきことはまだ何かないだろうか?」
「あれもこれもまだできていないけど(自身のタスク)当日までに整理できるだろうか?」
などと思考を巡らせ、結局深夜まで対戦相手のYou tubeをみたり、過去のトレーニング指導時の動画を見返したりすることがあります。
 
自分自身はこういう時に、なかなか眠れなくて嫌だなあとは思っておらず。
逆にこんな想いにさせてもらってありがたい、選手たち、この環境に感謝しないといけないなと思っています。
 

恐怖や不安がポジティブな焦りを生むこともある

競技によっては試合に臨む際に怪我のリスク等を考える為に恐怖を覚えることがあります。
前述したように、試合に向けて不安になることなんて無限になります。
一般的にはこういった恐怖や不安は交感神経を優位にさせ、呼吸を浅く、内臓機能の低下にも繋がることがあります。
 
しかし、私自身は選手たちに関わる上でこういった恐怖や不安を選手が感じている以上にスポーツトレーナーも感じることでポジティブな焦りと危機感を持ってより慎重に準備を進める事が出来るので、ある程度は必要なのではないかと思うようになってきました。
 
例えば、何かの資格試験や学校の試験にチャレンジするとしましょう。
普段通りでまず合格するだろうということが何ヶ月前にわかっていたら、試験までの期間必死に勉強するでしょうか?
 
もちろん人によっては満点を取る為に、とかより安全に合格する為にしっかりと勉強ができる方もいると思います。
 
自分の場合には、余裕があるなと思ったら途端に集中力が低下して勉強に身が入らないようなタイプで悪くいうと余り危機感のないような学生生活をずっと送ってきました。
 
今は、状況が変わり学びに対する姿勢は学生時代とは変容していますが、試合に向けての準備についても選手やスポーツトレーナーの心構えには同様の事が言えるのではないかと思っています。
 
挑戦した事がない舞台や、相手。
これまでに負けている相手に挑戦する。
今まで以上に調整期間が短い場合や怪我など不安要素がある場合など。
 
焦りや危機感が自身や対象、環境に対してあることによって明らかに日々の取り組みが変わってきます。
今まで行わなかった準備を行うようになります。
そして私はこの2年間くらい、やったことのないチャレンジを繰り返し眠れぬ夜に恐怖や不安と対峙しながらサポート選手の試合に帯同し続けてきました。
 
その分、勝った時の喜びはひとしおですし、試合が終わった時の安堵はなんとも言えない開放感があります。
 

あなたの抱える不安はポジティブな要素に転換できる

私のような選手の試合に向けての恐怖や不安だけでなく、誰しもが生活していく上で日々不安を抱えていると思います。
そしてほとんどの方がそういった事象に対してネガティブ捉えてような気がします。
しかし、これまでお伝えしてきたように自分自身に起きているそのような不安がまったくない状態よりもあることによって日々に対する取り組みがより丁寧になったり深く洞察し慎重に行動するようになっているのではないでしょうか?
 
だとするとそういった不安すらも自分をスポーツトレーナーとして、人として成長する為の重要な要素だとポジティブに受け止め前に進んでもらいたいと思っています。
 
私自身がこのような葛藤の中で選手と共に成長する事ができ、今があるので。
 
恐怖や不安すら自身を成長させる力になるのです。
 
 
そして、今年の11月24日。
横浜アリーナでK-1のサポート選手が大きな挑戦をすることになりました。
日本人無敗のジョーダン・ピケオー選手と対戦することが先日決まったのです。
格闘技でなくとも、強い相手に向かっていくことはただの勇気だけでいけるはずがありません。
強ければ強いほどに恐怖や不安が大きくなり、それが未開の地であればなおさらです。

ネット上ではマッチメイクが早すぎると賛否両論ありますが、この挑戦が彼にとっても私自身にとっても大きな成長のチャンスであることに変わりはありません。
 
また眠れぬ夜を過ごすことになりそうですが、ポジティブに捉えて歩んでいきたいと思います。
 
皆様の応援が力になります、是非とも応援よろしくお願いいたします。
 
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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