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2019年07月11日

選手であり続けるからこそ見えてくるもの

文:山内大士

この記事を読まれている方の多くは、選手に貢献できる自分になるために、日々何らかの取り組みをされていることと思います。
 
今回は、その中でも私自身が最も大切にしていることをご紹介させていただきます。
 
 
 
現在整形外科クリニックに勤務しており、特に投球障害の選手を担当する機会に恵まれています。
 
私は小学校で野球を始め、その後公立の高校・大学で硬式野球をしてきて、今もクラブチームで硬式野球をしています。
 

学生時代は練習試合にも滅多に出られない実力で、さらに肩・肘・腰などの慢性障害を常にかかえていました。そのことがきっかけで理学療法士・スポーツトレーナーという道を選びました。
 
選手と関わる中で、一番の原動力となっているのは自らの苦い経験です。
 
うまくなりたい
痛みを治してたくさん練習したい
でも、何をやってもうまくいかない
もう自分には無理なんだろうか
 
過去の自分と同じような想いを抱えた選手が、関わりの中で希望を取り戻し明るい表情を見せてくれたとき。それが、この仕事のやりがいを最も感じる瞬間です。
 
私が最も大切にしていることは、選手時代に抱いていた気持ちを忘れず、また当時克服できなかった問題と向き合い続けるために、現役で真剣に野球に取り組み続けることです。
 
 
 

自分という選手と向き合い、分析し続けて得られるもの

 
大学院時代にJARTAと出会い、今まで知らなかった新たな概念やトレーニング方法を知り、夢中になって実践しました。
 
その成果もあり、学生時代は練習でも達成することのできなかった、
「ホームランを打つ」
という目標を達成することができました。
 
肩の強さ・足の速さといった、いわゆるフィジカル的な要素は、28歳となる今も成長し続けています。
 
硬式野球部だと話すことが恥ずかしくなるほどに運動能力が低く、試合は見るものであり、惨めな気分になることばかりでしたが、大人になって初めて「野球をしている」という実感を得ることができました。
 
こうした経験は、選手と関わる場面においても間違いなく活きています。
 
試合に出て活躍することは誰からも期待されておらず、自分自身でも諦めてしまっているようないわゆるセンスのない選手。
そんな選手でも可能性があることを、建前なしの本音として伝えることができます。
 
歯車が狂い、以前はできていたことができなくなってしまった選手。
誰よりもチグハグだった歯車を一から作り直してきた自分だからこそ、どこで狂ってしまいどう修正すれば良いのか伝えられることがあります。

 
 
もちろん、ただ経験するだけでは足りません。成功も失敗も、どういう要素が作用してそうなったのかを徹底的に分析し続けるのです。
自分以外の選手と関わる中でもそれは可能ですが、やはり自分以外の対象に失敗はさせたくありません。好きな時に好きなだけ向き合うことができ、周囲から長所や短所を指摘してもらえる存在は、自分以上には他にありません。ましてや自分以上に失敗が許される存在も他にはありません。
対象が自分であれば大好きな野球を好きなだけでき、専門家としての検証作業もある意味楽しみながら繰り返し行えます。
 
選手としての日々の取り組み・身体機能・精神状態と試合でのパフォーマンスの関係性、それらの関係性を分析して指導するトレーナーとしての到達度。
 
これらのことを、残酷なまでにはっきりと自覚させてくれるのです。
 
 
 

セラピスト・スポーツトレーナーを志したきっかけはなんですか?

 
今までに聞いたことのあるこの質問の答えで、一番多かったのは
 
選手として怪我を経験したこと
 
です。
 
怪我に悩む選手の助けになりたい
パフォーマンスアップを実現させられるような、努力の方向性を提示したい
 
こうした想いの根底に、自らの苦い経験があるという方は非常に多いのではないでしょうか?
 
現役時代に知りたかった
 
仲間達からよく聞く言葉です。
 
しかし、今からでも遅くはありません。
 
今一度、自分という選手と向き合い、自身のパフォーマンスを見直す機会を作ってみてはいかがでしょうか。
 
選手時代に越えられなかった壁を乗り越えられた時、トレーナーとしてもきっと前に進むことができているはずです。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

JARTA公式HP
https://jarta.jp