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2018年04月04日

知らないと恥をかく!トレーナーを目指すなら知っておきたい受傷時の評価

「現場に出たときに、もしも選手が目の前で怪我をしたらどうしよう・・・」
「何を学んだらいいか、わからない・・・」
 
あなたは、そんな悩みを持ってはいませんか?
 
 
トレーナーとして学ぶべきことのひとつとして、怪我が起きた時の対処法があります。

 
“怪我”とひと言で言っても、怪我には軽度から重度までの幅があります。
 
 
中等度から重度の場合、まず優先すべきは「より迅速に医療機関を受診すること」です。
 
 
その重要性や対処するための準備としては、過去に書かれた以下の記事を参考にしてください。
>>トレーナーと病院の関わり方、これを知らずにトレーナー活動はするな!
 
 
今回は、比較的軽度の怪我の場合をイメージしながら、
 
 
千葉で活動する認定スポーツトレーナーの福原良太が、目の前で選手が受傷したときに活用できるHOPSという評価をご紹介します。
 
 
さらに記事の後半では、HOPSの評価をするときの3つの注意点も解説していきます。
 
 
「目の前で選手が受傷したのに、トレーナーとして何もできなかった・・・」と恥をかきたくない人は、下にスクロールして、ぜひ読み進めてください。
 
 
 

【選手が受傷したときに活用できる「HOPS」とは】

HOPSとは、アスレティックトレーナーが、記録を残すときにも使用されます。
 
 
じつはこのHOPS、記録を残すときだけでなく、選手が怪我をしたときの評価手順の指標としても有効活用できるのです。
 
 
HOPSは、以下の頭文字を取ったものになります。
 
History(問診)
Observation(視診)
Palpation(触診)
Special test(整形外科的テスト)
 
 
さきほど、「HOPSは評価手順の指標として有効」とお伝えしましたが、
 
 
問診→視診→触診→整形外科的テスト
 
 
という流れで評価を進めていきます。
 
 
上記の評価手順は、トレーナーが怪我の原因を予測するときに評価漏れが出にくくなるだけでなく、選手の身体的・精神的負担も軽減できるのです。
(「怪我の原因を予測する」と書きましたが、「トレーナーは、診断をしない。診断は医療機関に任せるべき」という捉え方です。)
 
 
たとえば、問診や視診をせずに急に触診をしてしまうと、どれほど信頼関係が築けていても、選手の身体が無意識に防衛反応を起こすケースが多く見受けられます。
 
 
そもそも、急に痛いところを触られて、防衛反応の出ない人はいないはず。
 
 
防衛反応が出てしまっては、より迅速な評価ができません。
 
 
HOPSの手順で評価を進めれば、より速く怪我の原因を予測して、迅速な対応が可能になるのです。
 
 
 

【注意点①「重大な怪我の可能性があるなら、Special testよりも受診をより迅速に」】

HOPSの評価手順は、選手の身体に対して徐々にストレスを加えることとなります。
 
 
なかでも、最後に実施するSpecial testは、受傷部位に直接ストレスを与えて疼痛の有無などを確認するテストです。
 
 
したがって、怪我によっては悪化させるリスクを伴いやすい取り扱いの難しい評価です。
 
 
怪我をしたばかりの急性期ではSpecial testを行うよりも、受傷後の応急処置や受診をより迅速に行うことへ重きを置くべきだと捉えています。
 
 
 

【注意点②「競技に多い怪我を知っておく」】

「競技に多い怪我が必ずしも目の前の選手に起こるとは限らないのでは?」
 
 
そう思った方もいるかもしれません。
 
 
確かに、現場ではどんな怪我が起こるのかはわかりません。
 
 
しかし、関わる競技に起こりやすい怪我やプロレベルでも起こり得る怪我を知らないと本当の意味での現場ニーズを引き出し切れないケースもあるのです。
 
 
たとえば、プロテニス選手の錦織圭選手。
 
 
錦織圭選手は、昨年8月に右手首を負傷し、約半年間の離脱を強いられました。
 
 
現在は復帰されていますが、トレーナーとして行くテニスの現場でも手首の怪我が多かったらどうでしょう。
 
 
この場合、ほぼ必ずと言っていいほど、手首の怪我に関する話をされるでしょう。
 
 
これが、監督やコーチと話すとなるとなおさらです。
 
 
錦織圭選手の怪我がなぜ起こったのか、事前に分析して、そこからテニスにおける手首の怪我の構造を把握できていたら、
 
 
手首の怪我の相談を受けたときに、現場へ還元できるものは多いはずです。
 
 
(※錦織圭選手の怪我がなぜ起こったのかは、錦織圭選手の怪我に深くかかわった方しかわからないため、分析内容をどこまで言葉に出すかは配慮が必要です。)
 
 
しつこいようですが、実際に選手や監督、コーチとコミュニケーションをとると、パフォーマンスアップと同様に怪我予防の対策も求められていることを感じています。
 
 

【注意点③「受傷シーンを見ていることが重要」】

あなたが試合帯同する場合、選手が試合している時間帯をどう過ごしますか?
 
 
「選手の勝利を願って見ている」というは、当然話になりません。
 
 
怪我の観点から試合をみるなら、
 
 
・受傷シーン
・受傷シーン以前の問題がなかったか
・受傷シーンに隠されたパフォーマンスアップの要素をみつける
 
 
この辺りは、最低限評価をしておきたいところです。
 
 
受傷シーンをみて、どんな姿勢だったのか、どんな応力が加わって受傷したのかを確認すべきであるのはトレーナーであれば誰しもが考える点です。
 
 
盲点になりがちなのが、「受傷の原因が受傷シーン以前になかったか」です。
 
 
受傷シーン以前の問題については、JARTAで提唱している以下の3つの視点から考えていきます。
 
 
・フィジカル
・スキル
・認識力(外的・内的)
 
 
これら3つは、パフォーマンスアップに欠かせない要素ともなっています。
 
 
したがって、導き出された“受傷シーン以前の問題点”は、再発を予防するだけでなく、パフォーマンスアップにも直接つながるのです。
 

 
以下の記事は怪我の予防に必要な要素を解説していますが、怪我をした時に「これらの要素に問題なかったか」チェックポイントとしても参考になりますので、興味のある方はぜひご覧ください。
>>怪我を予防するために必要なトレーナーの思考〜第二弾〜
 
 
 

【まとめ】

いかがでしたか?
 
 
今回の記事では、以下の点をご紹介していきました。
 
 
・怪我が発生した時の評価手順はHOPSを参考にする
・Special testよりも受診をより迅速に
・関わる競技に多い怪我は知っておく
・受傷シーンにパフォーマンスアップの要素が隠されている
 
 
「怪我をしたときに、自分が何をしたらいいのかわからない」という方は、HOPSの活用もしてみてください。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございます。
 


JARTA公式HP
http://jarta.jp