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2019年10月05日

その手の置き方で大丈夫ですか?

 

文:赤山僚輔

 
本ブログをご覧の皆様は、スポーツにおける身体操作に興味があり
問題を解決、あるいは更なる向上を図る為に様々な情報収集と
日々自分自身に向き合っていると思います。
 
スポーツ障害をゼロにしようと考えアスリートの動作を分析したり
硬さの気になる部位を評価、アプローチしてもなかなか
改善方向に舵が切れないことを経験したことがあるかたも多いはず。
 
今回のブログでは、スポーツにおける痛みの原因が
普段の生活の中にも眠っているかもしれない。
 
という内容になります。
 

慢性的な肘内側や手首の痛みに悩まされている方へ

内側型の野球肘や、テニス肘、ゴルフ肘といわれる肘内側の痛み。
またラケットスポーツや手首を酷使する競技において今回のチェックポイントと
解決方法は単一的に硬さが気になる筋肉や炎症が発生している部位へのアイシングだけで
痛みが改善しない事例に対して新たな糸口になるかもしれません。
 
肘内側に負担がかかる場合、動作のパターンや使えていない部位などを評価する際には肩関節や肩甲骨、脊柱や股関節などもみていくことが多いでしょう。
 
その上で手首だけに負担がかからないように全身を使うようにしましょう。
 
というのが一般的です。
 
その上で手首のストレッチや患部に対するケアを実施すると思います。
 
肘内側に付着し、影響のある可能性がある筋肉は
・橈側手根屈筋
・長掌筋
・尺側手根屈筋
・浅指屈筋
などでしょうか。
 
この筋群は当たり前ですが、どれも手関節を超えて付着しています。
その為、この筋群をゆるめると手首の動きは大きくなることになります。
 
ここに一つ目の見過ごしてはならないチェックポイントがあるのです。
それは、手首は動きすぎてもよくない。
という点です。
 
足首であれば不安定性が問題になる事が多く、距腿関節のみの可動性が拡大するようにアプローチする人はもはやいないと思います。
距骨下関節や足根骨の可動性があってこそ、足部の剛性が保たれ機能的な足首となります。
 
これは実は手首でも同様で、手根骨の可動性や中手骨の可動性が低下したままで前述したような肘内側の筋のストレッチを選択的に行っても対処療法にしかすぎないことが多いです。
 
となれば、
「足と同じように手根骨や中手骨の可動性を拡大していけば良いのか」
「それくらいであればいつもしているけどな」
 
そんな声が聞こえてきそうですが。
では限局的に硬くなっている皮膚の硬さを日常での使い方から考慮して評価、問診はできているでしょうか?
 

ずっと当たっている部位の皮膚は硬くなる

横向きの睡眠姿勢で股関節の外側である大転子の周囲が硬くなる、大転子拘縮やギプスシーネを長期間使用した後の、踵骨周囲の皮膚や皮下脂肪の硬さが出現し周辺の関節の可動性低下へ悪影響を及ぼす病態は経験したことがある方も多く視点としては一般的になりつつあると感じています。
それでは現代の生活で多く触れている部分が手首にあることも、少し想像すればイメージできるのではないでしょうか。
 
これは何人ものクライアントで手首や肘内側の痛みの要因がこういった着眼点で解決した私自身の経験談になります。
 
デスクワークで、特にキーボードを長時間打つことが多いような方は、手首の豆状骨が常に当たっている状況であることが多いです。(画像青→)
 

(team LabBodyより引用)
 
豆状骨をPCやデスクにつくような動作を繰り返し行うことで豆状骨の表面の皮膚が硬くなるだけでなく、それに付随する隣接関節や骨の動きを阻害することになるのです。
画像からもわかるように有鈎骨や第5中手骨へと繋がる靭帯も豆状骨には付着しており、肘内側の筋であり、豆状骨に付着を持つ尺側手根屈筋への影響だけでない手根骨の可動性低下へと繋がるのです。
 
豆状骨の周囲の皮膚の硬さから有鈎骨や第5中手骨の可動性が低下した状態では、本来動きべき関節が動いていない状態での手首の動きとなる為に、手首自体が過可動性となってしまう可能性も出てきます。
 
特にグリップ競技でこういった障害が多いのは指に力が入り、手の手掌面では皮膚が硬くなり必要以上に手首への負担が増大することにも起因するのです。
 

PC時の手のつき方は変えられる、皮膚の硬さを取る事も自分でも出来る

前述したように、原因がわかればあとは具体的な対策を講じればよいだけ。
明らかにPC作業によって豆状骨付近の皮膚の硬さが出現していそうなら、そこがあたらないような手のつき方に変えたり、柔らかなクッションになる素材を緩衝させるだけでも効果はあります。
 
また皮膚の硬さは自分でつまめば確認できるので、デスクワークの合間などに同部位の皮膚の硬さをセルフマッサージしてもらうことも効果的です。
 
もちろんこれはPC作業だけでなく、学習時の手の置き方にも同じことが言えます。
 
皆様の目の前にくるクライアントが肘や手首の痛みを訴えた時、スポーツ動作以外で豆状骨が常に何かに当たっているようなことがないか、今一度問診してみてください。
 
そして同部位の皮膚の硬さが明らかに反対側と違う場合や癒着がひどい時には、まずその硬さを徹底的にとって肘や手首の痛みがどのように推移するか経過を追ってみてください。
 
その後の変化が、ひとつの答えになると思います。
 
 
一人でも多くの方が慢性障害で悩むことがなくなるよう。
スポーツにおける慢性障害がゼロになる未来を目指して、引き続き活動していきたいと思います。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 

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