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2020年02月23日
サッカーのドリブルで予備動作を少なくするためのコツ
文:福原良太
サッカーのドリブルでディフェンスを抜くためのコツとして、色々なことが言われています。
・ボールコントロール
・上半身の操作
・相手との間合いや角度の取り方
・スピードの緩急
ネットや雑誌などでドリブルのコツを調べてみると、効果的なコツがたくさん書いてあると思います。
そんななか今回お話しするのは、少しディープなお話。
すり足ドリブルです。
(すり足ドリブルは話を分かりやすくするための、この記事のなかだけの造語として使います。)
すり足ドリブルができるようになると、予備動作を極限まで少なくできるので、ディフェンスに動きを悟られずに抜きされるようになります。
すり足ドリブルとは?
すり足ドリブルとは、簡単に言うとドリブルのときに「足を上げない」身体操作になります。
相手を抜き去る瞬間から2、3歩程度は足底と地面との距離を最小限にしていくドリブルの方法です。
選手に初めて伝えるときは、「地面と摩擦が起きるくらいにすり足で」と口頭で説明するときもあります。
“すり足”と聞くと、「忍者みたいに小刻みにコソコソコソと動くのかな?」と感じる人もいるかもしれませんが、歩幅は大きくても問題ありません。
(歩幅が小さくても大きくても地面と足底の距離を最小限にできるのが理想的です。)
そんなすり足ドリブルにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
すり足ドリブルのメリット
最も大きなメリットは、ディフェンスに予備動作を察知させない点です。
予備動作が察知できないディフェンスは、反応がコンマゼロ秒遅れます。
その遅れたタイミングで、ディフェンスを抜きされるのです。
体の動きがダイナミックに見えるクリスティアーノ・ロナウド選手も、じつは地面と足裏との距離が近いです。
クリスティアーノ・ロナウド選手は、フェイントはダイナミックですが、相手を抜き去る瞬間はかなり地面と足裏との距離が近いのがわかります。
よくあるのは、ディフェンスをより速くスピードで抜き去ろうとするあまり、身体の動きが雑になってしまい、抜き去る瞬間に足を高く上げてしまうモーション。
このモーションがあると、ディフェンスは対応しやすくなってしまいます。
また、よりハイレベルになってくると、ドリブルで抜き去るのも難しくなるでしょう。
抜き去ろうとしたけど、ディフェンスの対応も早かった場合、足を高く上げてしまうと、ボールタッチの方法が限られてしまいますが、地面から極力足を浮かさないようにしておけば、その後のボールタッチもしやすくなるメリットもあります。
そんなメリットのあるすり足ドリブルですが、習得するためのポイントがあります。
すり足ドリブル習得のためのチェックポイント3つ
習得のためには、以下の3つがチェックポイントになります。
・地面を蹴って移動している
・地面を見過ぎている
・前モモの筋肉の緊張が高くなっている
それぞれ解説します。
<地面を蹴って重心の移動をしている>
地面を蹴って重心の移動をしていると、どうしても足が地面から離れてしまい、すり足ドリブルが難しくなります。
地面を蹴らずに重心の移動をするためのポイントとしては、上半身の動きを意識する点です。
サッカーは力の伝導が上半身から下半身へ伝わっていきます。
上半身の動きが不十分だと、それを補うために下半身、特に地面を足元で蹴って移動することになってしまうのです。
選手によっては「みぞおちをスライドさせてステップするイメージ」と伝えるとうまく身体操作のできる場合もあります。
これは、みぞおちをスライドされることで、重心の上下動を抑制するとともに上半身の動きを利用してステップをできるようにする言葉掛けです。
ほかにも、「足で蹴って体を進めるのではなく、体全体が一つの塊のようにスーッと進むように移動する」という伝え方をする場合もあります。
また、JARTAトレーニングでいえば、大腰筋ストレッチや胸セパレートなどが効果的なワークになります。
<地面を見過ぎている>
地面を見過ぎると、足が引っ掛からないように足を上げたくなってしまいます。
地面を見過ぎてしまう理由には、プレーの余裕が関わっている可能性もあります。
たとえば、以下のようなことです。
・ボールコントロールスキル
・次のプレーのイメージができていなくてボールキープするために下を見てしまう
→結果、地面が意識下に入り過ぎてしまう
それ以外にも、身体操作の側面からいうと、「地面と自分の足との距離感覚」が不十分な可能性があります。
これは、体の各部位がどこにあるか、という内的認識力が問われるところです。
<前モモの筋肉の緊張が高くなっている>
前モモの筋肉、具体的には大腿四頭筋になります。
大腿四頭筋は通常、膝関節を伸ばすときに大きく作用する筋肉です。
ですが補助的に、モモを上げる動き(股関節を曲げる動き)の作用もあるのです。
モモが上がってしまうと、当然、地面から足が離れやすくなります。
では、大腿四頭筋が過度に緊張しないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?
裏モモの筋肉、ハムストリングスを競技場面で使えるように身体環境を整えれば、大腿四頭筋の過度な緊張を抑えた身体移動が可能です。
とはいえ、そもそも競技場面で活かせるハムストリングスなのかを判断するのも難しいと思います。
ハムストリングスの重要性や評価については過去に書かれた以下の記事を参考にしてみてください。
>>ハムストリングスが硬いと大腰筋が機能しない!
まとめ
今回はサッカーのドリブルで予備動作を少なくするすり足ドリブルについて解説させていただきました。
ディフェンスをドリブルで交わす際には、予備動作を少なくする身体操作は必須です。
ドリブルを得意としている選手はぜひ、参考にしてみてください。
また今回の「すり足」という部分で言えば、ドリブルをするオフェンスだけでなく、ディフェンス側の身体操作にも関わる部分もあります。
ディフェンスも相手の動きを察知したあとに、「素早く動く」ためには予備動作は少ないに越したことはありません。
今回の記事が少しでも選手の参考になれば、幸いです。
JARTA公式HP
https://jarta.jp