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2019年08月24日

【トレーニング動画あり】「胸の動き」が痛み/パフォーマンスアップの両側面に関わる理由

文:萩 潤也

 
先日テニス選手と関わった際に以下のような相談を受けました。
 
・もっと楽に力強いショットが打てるようになりたい
・練習後に肘が痛くなることがある
 
普段はテニスの技術練習に加え、自重での補強トレーニングやストレッチなどを簡単には行ってはいるが、思うような結果が得られていないとのことでした。
 
実際は個人の特徴も考慮する必要がありますが、今回はよくある原因の1つである「胸の動き」に焦点をあてて話をしたいと思います。
 
胸の動きは身体の繋がりとして、痛み―パフォーマンスアップの両側面に関わっています。その具体的な理由と、実際の動きをチェック・トレーニングする方法も合わせてご紹介したいと思います。
 
身体のつながりについてはこちらもご参照下さい
ねじれて感じる身体のつながり
 

痛みとパフォーマンスは表裏一体

 
よく怪我や痛みと競技パフォーマンスは別物として考えられることがありますが、この両側面は表裏一体であり、繋がりがあります。
 
そもそも痛みという現象は、ある部位に「ストレス・負担が集中している」ということを知らせてくれている身体からのサインです。
そのため「どこが痛くなっているか」という事実だけでなく、「何故そこにストレスや負担が集中してしまっているのか」という原因を考える必要があります。
 
また、同時に競技パフォーマンスのことも考えてみます。
テニスのサーブやリターンで力強いショットが打てるようになりたい。
ではボールにパワーを伝えるための力源としてはどのようなメカニズムが考えられるでしょうか。
移動そのものの力、沈んだ身体が伸びあがってくる際の床反力、捻った身体が元に戻る力、などがあります。
これらが合わさることで大きな力がボールへと伝わります。(ネット際のボレーなどはここでは除きます)
 
特に今回焦点をあてている「胸の動き」は身体の捻りに大きく関わる要素であり、中心→末梢へ力を伝達する役割があります。
上半身からボールまでの繋がりを見てみます。
 
胸(背)―肩―肘―手―ラケット―ボール
 

 
この上半身の繋がりの中で一番捻りの要素が大きいのが、身体の中心である胸(胸椎・肋骨・胸骨)になるのです。
 
「でんでん太鼓」をイメージしてもらうとわかりやすいと思いますが、中心の棒(胸)が回転することで左右の紐と玉(腕やラケット)が振られ、音が鳴ります(力が生み出される)。
 
つまり、胸の動きが小さくなることは、以下のように表すことができます。
 
・動作に協力する関節や筋肉が少ない→ボールへ伝わるパワーが小さい
・生じるストレスや負担が分散せず、特定部位(肘など)に集中する→痛みや怪我の原因になる
 
ですが言い換えれば、胸の動きが大きくなることは以下のように表すこともできます。
・動作に協力する関節や筋肉が多い→ボールへ伝わるパワーが大きい
・ストレスや負担が分散し、特定部位へ集中しなくなる→痛みや怪我の予防・原因の改善
 
 
最初の話に出てきた競技パフォーマンス・痛みの両側面ともに「胸の動き」がポイントになっている、表裏一体であるというイメージがついたのではないでしょうか。
 
ではここから実際の動きをチェック・トレーニング方法の例をご紹介したいと思います。
 
 
 

  • 四つ這い肘上げチェック


 
(手順)
・四つ這いになり、片手指先を耳の上あたりにつける
・できるところまで肘を上げるように胸を開いていく
 
この時下の腕と上の腕が一直線になっている状態まで開くことができるのが理想です。ご自身の身体の状態はいかがですか?
 

  • バランスボールトレーニング

バランスボールを用いた「胸セパレート」というトレーニングをご紹介します。
セパレートとは「分かれている・分離している」という意味です。
その名の通り、このトレーニングの目的は頭や下半身に対して胸を分離して動かせるようになることになります。
 

  1. 胸セパレート:その場

https://www.instagram.com/p/B1L0LIuBcK7/
(手順)
1.肩幅よりやや広く足を広げ、膝と股関節を軽く曲げる
2.手や胸との隙間が無くなるようボールを抱きかかえるようにして把持する
3.頭や骨盤は正面を向いたまま、左右に振るように動かす
※ボール―手―胸の隙間があると腕だけで動いてしまうため、隙間をなくし1つのユニットとして同時に動かすことを意識する
 
 

  1. 胸セパレート:サイドステップ

https://www.instagram.com/p/B1L0q_IB-li/

(手順)
1.①のポイントと基本は同じだが、肩甲骨-背中が正面に見えるくらい大きく捻る。目線は肩越しに正面に向ける。
2.左右にサイドステップを行い、移動した側と同じ方向に胸セパレートを行う。身体の捻りが戻る反動を利用して逆方向へステップを行う
※足で地面を蹴って移動するのではなく、捻りが戻る反動を移動のエネルギーに変換することがポイント。そのため一瞬身体がフワッと浮き上がるような感覚。
 

おわりに

いかがでしたでしょうか。
今回焦点をあてた「胸の動き」は、もともと硬くなりやすい部位です。
心臓や肺といった臓器を守るために、骨の砦のような構造をしていることや、精神面の影響(自律神経)の影響を受けやすいためです。
だからこそ、この部位が自由に動けるかということが、障害予防やパフォーマンスアップの観点からも重要視される理由です。
ご自身の現状をチェックしてみて下さい。
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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