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2020年03月01日

スポーツにリズムが必要と感じているあなたへ

文:森 宜裕

 
「もっとリズムよく!」
「テンポを上げて!!」
 
 
スポーツの指導現場において、リズムやテンポに関するこのような指導の声を聞いたことがある人は多いでしょう。
 
私たちはどのようにして、動きの中のリズム感を流れている時間の中から感じ取っているのでしょうか?
リズミカルな動きとそうでない動きを脳がすぐに読み解くことができる仕組みは何なのでしょうか?
またどうしてリズム感のある動きを魅力的な動きと感じるのでしょうか?
 
このブログでは、このような疑問への考え方を、人類の進化の過程から考えていきたいと思います。
 
 
 
 
我々の遺伝子のほとんどは狩猟採集民族時代に形成されています。
 
600万年前から人類はチンパンジーとは別の道を歩み始めました。
250万年前には私たちと大体同じホモ属が出現し、20万年前に私たち自身であるサピエンスが出現しました。
 
この気の長くなるような期間のほとんどは狩猟採集生活であり、最後の1万年でようやく農耕・牧畜が始まりました。
 
農耕・牧畜は人類の歴史上600分の1しかないというわけです。
 
ですから、我々の遺伝子はほぼ狩猟採集民族時代に培われたと考えられます。
 
その非常に長い狩猟採集生活、私たちの祖先が暮らしてきた環境は、とても不確実性に満ちた世界でした。
 
つねに食料が保存されており、雨風をしのげる家があり、四季折々の行事が予定通りに進行される現代とは雲泥の差です。
 
狩りに出ても獲物が見つかるとは限りません。
天候の急な変化にはなす術もなく、現代の知識も当たり前のようにない時代の突然流行る疫病は脅威でした。
 
そんな先行きの見えない状況を生き抜くために、原始の人間は、あるシンプルな指標に目をつけました。
 
 
それが「反復」(=周期的なリズム)です。
 
 
天体の動きによる1年、太陽の動きによる1日。
時計が発明される以前、古代の人は、このような“周期性”を自然現象の中から見出しました。
 
季節による気候の変化を見抜き、日の出と日の入りから1日の生活のリズムを作ったのです。
 
 
そして、原始の時代に、確実に生き抜くためのカロリーを手に入れ、猛獣や伝染病から身を守る確率を高める方法は、自然界が作り出す特定のリズムに注目することでした。
 
特定のエリアを一定周期で動く獲物、同じ時期に同じ場所で実をつける植物、特定の季節に流行る伝染病ーーー。
 
不確実性の高い環境において、同じタイミングで何度も目の前に現れる事柄において、そこに着目し少しでも正確な予測を立てられた種族のみが、生き残る確率を高めてきた歴史が想像できます。
 
その結果、我々人類の脳の奥底には「反復」「周期的な変動や周期性」に強く反応するセンサーが備わったと考えられます。
 
何度も何度も一定間隔で繰り返されるものに魅力を覚え、「反復」にノルことに対してモチベーションを高めるプログラムが設置されたのです。
 
 
「リズム」が非常に重要な構成要素である、『音楽』という分化が世界中どこでも流行り続けているのは納得ができます。
 
 
そして、このプログラムは現代におけるスポーツ現場でももちろん発揮されています。
 
 
スポーツにおけるリズムとは・・・
緩急のある動きは、リズミカルに見えます。これは筋肉の収縮と弛緩がスムーズに行えている証拠。一流選手の動きがリズミカルなのはこのためです。
どんな動きも必ずリズムを持っています。それは頭の中にある「リズム」に「関節運動」を当てはめることで、「動き」が作られるからです。例えば「1・2・1・2」というリズムに足踏みが加わり、歩行という動きが生まれます。問題は頭の中にあるリズム。残念ながら日本人の多くは「1・2・3・4」という4拍子のリズムしかありません。しかし、音楽環境の豊富な諸外国人は8拍子、16拍子といった、日本人の2倍、4倍の細かいリズムを持っています。そのため、ブラジル人サッカー選手のパスのタイミングを日本人は読めません。
(一般社団法人スポーツリズムトレーニング協会 ホームページよりhttp://srt.or.jp/rhythmtraning/
 
 
動きの「形」のみにとらわれるのではなく、その周期性、リズムやテンポといった時間軸における動作に目を向けることは、スポーツ現場において非常に大切なことであることが感じ取っていただければ幸いです。
 
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
 
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JARTAトレーニングを“リズム”で読み解く


 

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