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2020年09月12日

東西融合の視点を臨床応用する為に

文:赤山僚輔
 
いつもJARTA公式ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回はJARTA創設時から踏襲し続けている東洋医学的観点を臨床応用する思考方法を西洋医学的観点とどのように統合させていくのか。
この点について改めて整理してお伝えしていきたいと思います。
 
私はスポーツトレーナーとしての学びを先に進めながらその過程で理学療法士という資格を知り、取得し医療機関に勤め、今は保険外の領域で活動をしております。
 
医療という枠組みは一般的には現代医療であり西洋医学とも捉えられます。
(厳密にいうと病院の中に東洋医学的観点での診療や処方をされる機関もありますが今回は割愛します)
 
それに対してスポーツ現場では様々な職種の方々が活動をしており、指導者が参考にしている心身に対する手法も多岐に渡ります。
 
鍼灸師や中医学の医師などと親交がある指導者であればそういった視点での対処やアプローチに対して積極的に取り組んだり選手対応時に実践されることもあると思います。
同じように理学療法士やATCの方などと一緒に活動してきた指導者の方は、病院との距離感含めて病院での判断を第一に様々な選択をされていると思います。
 
 
ここでは良い悪いの議論は横に置いて観点、価値観として共有する前提で話を進めていきます。
 
 
 
医療機関に勤めながら現場に行っている時に、ある疑問を感じることがありました。
怪我をしたり、痛みを有する選手が第一選択として画像診断や病院診察をチョイスしておらず指導者もそれを推奨していない事例が比較的多く見受けられる。
といった事象に対しての疑問でした。
 
 
皆様も現場に出入りしているとそういった事例を経験したことがあるのではないでしょうか?
 
ここに西洋医学と東洋医学の特徴と現場ば求めるニーズなど複雑な問題が重なり山積しています。
 

白黒つける西洋医学

 

病院へ行きたがらない、選手や指導者と何故なのか話をしたことがあります。
スポーツトレーナーとして現場に行って、病院で行なっていることが最善であると疑いの余地もなかった若かりし頃の話です。
どうして怪我をした時にまず、病院へ行ってどういう状態になっているかを調べたり、長年痛みが引かない状況があった時に精密検査をしないのか?
 
これに対して選手も指導者も同様の答えでした。
『ドクターストップされて、練習できなくなったり試合に出れないと困るから』
その時の自分にとっては衝撃的だった事を覚えています。
 
自分の状態を知ることよりも
 
目の前の練習や試合に参加することの方が意義深いとみなされていたのです。
 
これではどうしようもなくなってしまってから皆が病院に来るのもうなづける。
そのようにその時の自分は感じ現場に出続けることでしか、この命題に対する最適解を模索することはできないと感じました。
歴史的にも文化的にも要素還元主義で人を部分の集合体として捉える西洋医学において、患部の状態を客観的に精査したら白黒つけるのは必然の流れです。
 
それは善悪を語れる事象ではなく、必然なのです。
患部で何が起きているか不明瞭ではっきりさせる必要性がある場合、これは西洋医学において得意分野であると言えます。
もちろん手術などの外科的な処置が必要な時に西洋医学の観点がなくてはならないことは言うまでもありません。
 

部位を観ず、人を観る東洋医学

 

それに対して病院以外の施設ではどうなのか。
病院以外が全て東洋医学というわけではないのでシンプルには捉えにくいですが、今回は比較をしやすくする為に東洋医学の特徴を例に出して話を進めていきます。
東洋医学の観点において傷病者に対しては痛みがある部位を観るだけでなく全身のつながりや精神性を含めて人を観るということが特徴としてあげられます。
これは痛みや不調は結果であり個人の自然との調和が乱れたり精神がバランスを崩すことが病気や不調の原因。
そのように考える東洋医学の特徴からくる観点になります。
東洋医学的観点から考察をすすめていくと、ひどい痛みがなくても未病とよばれる不調の要因となる要素をピックアップすることも可能となります。
 
特に慢性的な障害において画像上はっきりしないような症状がある事例については東洋医学の得意分野とも言えます。
経験的にも痛みがある部位だけで問題が帰結せずに全身から問題を探求する際に、単に運動連鎖や筋膜の繋がりだけでなく東洋医学的な観点によって解決のヒントが得られたことは数えられないくらいにあります。
 

対象によって東西の良さを活かすための準備

西洋医学と東洋医学の良さを最大限に活かすには双方の特徴や歴史、現代における状況を整理する必要性があります。
二項対立ではなく双方を融合する為には自分がどの立場でいるかというポジショニングと共に、違う観点の情報を知ることが重要となります。
孫子の兵法で有名な孫子の言葉で
「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」
という言葉があります。
勝負ではないですが、仮に理学療法士という立場であれば東洋医学を知ること。
そして自分の立ち位置を知る為に西洋医学をさらに研鑽をすすめ、情報をアップデートすること。
そうすることで二項対立ではなく現場で選手の問題に向き合った時に双方の良い部分を活用することができるのではないか。
 
そのように考えています。
 
 
実際に現場で活用するには、際限なく東洋医学と西洋医学について理解を深めることが必要であり、現場でよく遭遇する事例に対して無意識的に自分が自分の立場での価値観を押し付けるようにしていないかという俯瞰的な視点も必要となってきます。
 
今月開催される東洋医学と西洋医学を融合する為のオンライン講義ではこのような観点での深め方と臨床応用について2回に渡ってお届けしていきます。
ご興味のある方は以下より詳細ご確認ください。

JARTAオンラインセミナー


 
長くなりましたが、このような視点の広げ方と集約の仕方が何かの問題解決のヒントになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 

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