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2019年11月13日

自分をケアできるのは自分


 

文:岡元祐樹

 
自分のケアは自分で出来た方が良い。
 
アスリートであれ、スポーツトレーナーであれ、普段それほどスポーツをしない人であれ、その方が得だと筆者は思います。
 
ここで言う『ケア』という言葉は、心身の不調を軽減あるいは取り除く手段と定義して使用します。
 
例えば肩が凝っているから肩をマッサージする。ハムストリングスの柔軟性が低下しているからストレッチをする。精神的ストレスでイライラしているので穏やかな音楽を聴くなどもケアとして挙げられます。
 
様々な方法がありますが、効果的なケアを実施するには専門的な知識が必要です。なぜなら様々な情報が手に入る現代社会では、何が自分にとって優先順位が高いケアなのか判断に迷うことがあるからです。
 
しかし、心身の不調に気付いた瞬間に近くに専門家がいることはほぼありません。いるとしたらラッキーです。
 
そのため心身のケアは専門家に完全に依存するのではなく、アドバイスを受けながら自分自身で行えるようになる必要があります。
 
 

自分自身で対応できることを目指して

筆者自身の体験談になりますが、この前ふとジョギングがしたくなり自宅近所を走ることにしました。
 
走り始めて数分後、わずかな身体の異変に気付きました。普段より息苦しい感じがするのです。
 
そしてその場で息苦しさに対するセルフケアを実施しました。単純に胸骨(胸の前側にある骨)周囲をマッサージし、息を吸う時に胸が拡がりやすくなるようにしただけなのですが、それだけで息苦しさは解消されました。
 
筆者はスポーツトレーナーや理学療法士としての経験があるため、軽い不調であればその場でなんとかすることができます。
 
しかしそのような人ばかりが運動をしている訳ではありません。
 
もし自分が身体のことと全く関係のない職業に就いていて、今回のようなことがあった場合、やはり専門家にアドバイスを求めたいと思うでしょう。
 
では誰に?どうやって?
 
そういった問題はありますが、それを解決し、専門的なアドバイスを受けられる環境を作っておくことも、コンディションを整える上で重要になってきます。
 
少し話は変わりますが、選手のケアを担当していると身体のケアをこちら側に丸投げしてくる選手もいます。
 
ケアに関してその理論や実施方法などを専門家に丸投げしてしまうと、今回のジョギングの例のように即座に自分自身で対応することができなくなります。
 
アドバイスを受けたその先には、自分自身で身体の訴えに対応できるようにディスカッションを重ねていく姿勢が必要です。
 
そしてアドバイスを伝える側の人間も、受ける側の人間をそのように導かないといけません。
 
加えて、アスリートにとってもう1つ、自身でケアを行う重要な理由があります。それは「さらに高次元な課題の発見」です。
 
関節の可動域制限であったり筋肉の硬さであったり、自身でケアできる要素を放置しておくと毎回同じ要素が課題として残ってしまうということです。
 
例えば股関節の可動域制限がある選手にとっては、ストレッチ等のセルフケアが必要になってきます。そのセルフケアを怠った状態でプレーを重ねると、毎回股関節の可動域制限が問題点として挙がってしまいます。そして毎回の課題が「股関節が硬いのでストレッチする」となってしまいます。これでは競技者として進歩しづらい状況と言えます。
 
このように自分でクリアできる課題をクリアして初めて、次のさらに高い次元の課題に取り組むことができます。上記の例で言えば「ハムストリングスが収縮しやすい股関節のポジションを取る」等といった、よりハイレベルな要素に取り組むことができます。
 
そしてスポーツトレーナーもこのように先々を見越したサポートが必要になってきます。その場で不調が良くなればいいというだけでは足りません。
 

 

目的は多様化しても大事なことは変わらない

価値観が多様化した現代。スポーツ(運動)をすることの意味も多様化してきていると言えます。
 
その昔、ヨーロッパでスポーツが発展していった要因として『戦争に必要な兵士を養成する』といった側面があったそうです。
 
身体を鍛える。ルールを守る。集団で動くといった兵士に必要な要素を育むことができたからです。
 
一方、現代社会でスポーツをすることの意味はなんでしょうか?
 
よく運動不足の中高年層に言われることとしては『体型の維持』『生活習慣病の予防』『精神安定作用』などが挙げられます。
 
このようにスポーツをする目的は多様化してきています。
 
しかし、それを支える土台とも言える要素は共通しています。それは「自分の身体を思った通りに動かせる」ことと「身体に不調を感じる箇所がない」ことです。
 
もっと他にもあるかとは思いますが、筆者はこの2点が重要ではないかと感じています。
 
この2点を実現するために存在するのがスポーツトレーナーと言えるのではないでしょうか?
 
様々なスポーツイベントにより、スポーツに対する関心が高まっている昨今。スポーツトレーナーが提供できるものは何か?ということに対しても興味を持つ人が増えてきているかもしれません。
 
スポーツトレーナーは提供できるものを言語化し、それを理解・実践してもらえるように工夫していく必要があるということです。
 

 

多くの人がスポーツを楽しめるように

自分の身体は自分でケアできた方が良い。
 
そう文頭でお伝えしましたが、そんなに上手くはいきません。やはり専門家にアドバイスを受けることがオススメです。
 
JARTAでは、プロスポーツ選手やそれを目指す選手ばかりをサポートしている訳ではありません。
 
筆者がサポートしている選手でも、社会人として働きながら時間を見つけてスポーツを楽しんでいるという方もいます。
 
長い人生の中で、様々なシチュエーションであらゆる種類の不調を感じることがあると思います。
 
そんな時に、信頼のおける専門家にアドバイスを受けられる環境を整えておくことは有益です。
 
そしてその専門家のアドバイスをヒントに、あなた自身の身体にどんどん詳しくなっていって下さい。
 
あなたの身体の専門家はあなた自身なのですから。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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