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2017年05月31日
人体急所が試合のベストコンディションを作り出す理由
トレーナーとして選手に関わる機会は様々な場面がありますが、試合当日における選手への介入では何が重要と考えますか?今回はメンタル面が及ぼす身体への影響を踏まえ、当日のコンディショニングにおいて人体急所と呼ばれるみぞおちがポイントとなるというお話しをしたいと思います。
JARTA認定スポーツトレーナーの萩 潤也です。
<動きの定義>
当日における介入の目的は選手のベストコンディションを作り、試合でパフォーマンスを発揮することです。
ベストコンディションとはどのような状態を指すのか物凄く抽象的に言うと、
○動きやすい状態
✖動きにくい状態
となります。
では、動きやすい・動きにくいの定義とはなんでしょうか?
以下の図をご覧下さい。
・動きやすいとは
収縮と弛緩の幅があり、どちらもできるというFreeな状態。
筋紡錘などの体性感覚センサーもニュートラルで働きやすい。
・動きにくいとは
収縮と弛緩の幅が狭いStiffな状態。または、
収縮に偏っている→過緊張・力んで空回りすることや体力の消耗多い
弛緩に偏っている→身体が思った通りに動かない
上記のように表すことができます。
次に試合当日のメンタル面を踏まえ、どのように動きやすい状態を作るのかということを、私のサポート経験例を交えてお話しします。
<自律神経系とセンター>
サポートしていたプロ選手に試合当日のアップ前のコンディショニングを依頼されました。その選手はもともと身体の状態がStiff・過緊張しやすいタイプであり、交感神経優位のため夜眠れないことや過呼吸になってしまうこともありました。
試合開始2時間前に会った時は落ち着いている印象でしたが、触ると脈拍からもかなり緊張しているのが伝わって来ました。
メンタル面での大きなプレッシャーが及ぼす影響を一言でいうと、身体がかたくなることです。
それには交感神経が優位になることが影響しています。
交感神経の作用としては心機能亢進・末梢血管収縮・気管支拡張・内臓機能抑制などが起こり、本来闘争・逃走のための興奮状態を作り出します。
しかし試合前に過度な興奮状態が続くと、交感神経節支配領域である呼吸筋群・脊柱起立筋群が過緊張となり、結果として胸郭周囲のかたさを生みだします。
そうすると前述した図でいう動きにくいStiffな状態に近づいてしまうため、本来持っているパフォーマンスが発揮し辛い身体状態になってしまうことが考えられます。
このメンタル面が及ぼす身体への影響を解決し、前述した動きやすいFreeな状態を作るためにポイントとなるのがみぞおちです。ここでいうみぞおちとは、身体前面から後方の脊柱を含む空間的な意味を表します。
具体的には、みぞおちへのアプローチを行うことにより横隔膜・大腰筋の活性化、胸腰椎Mobility 向上、呼吸機能向上によるセンター形成・自律神経系の安定化を促し、結果として動きやすい=Freeな状態を作ることができます。
(センター・体軸・正中線:高岡英夫より引用)
実際のアプローチとして以下のことを行いました。
-
- みぞおち 前後・左右・8の字・ローテーション(画像クリックにて動画参照)
- 大腰筋T-レフストレッチ
選手自身の反応としては、身体がかなり動きやすく落ち着けたと言って頂けました。また、選手の直前アップに関わったコーチからも今までで一番いい動きをしていたとの話を聞きました。
<まとめ>
・ベストコンディション=動きやすい=Freeな状態
・センター形成・自律神経系の安定化にはみぞおちへのアプローチが有効
心身相関という言葉がありますが、心と身体は常にリンクしています。
トレーナーはそれらを踏まえた上で、選手がベストコンディションになれるようアプローチしていくことが大事だと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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