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2019年08月18日

あなたはサンプル1とサンプル1000のトレーニングどちらを選択しますか

文:谷口祐樹

トレーニングメニューは探せば探すほど存在します。
もちろん、オリジナルのトレーニングを自分で作る事も可能です。
トップ選手の動きを動画などで観察し、その動きが意識しなくても出来るようにトレーニングを通して体に落とし込み、パフォーマンス向上を図ります。
 
しかし、ちょっと待ってください!
 
そのトレーニングは本当に効果的なトレーニングなんですか?
 
トップ選手の動きだからきっと正しい動きに違いない、だからその動きやトレーニングをトレーナーとして選手に提供するんだという単純な思考になっていないでしょうか?
トップ選手という憧れにあなたは引き寄せられていませんか?
 
サンプル1のトレーニングとサンプル1000の科学的根拠をもったトレーニングをあなたなら選手にどちらを提供しますか?
 
 

トッププレーヤーの動きが全て良い訳ではない・・・

 
どの競技にも、トッププレーヤーが存在し飛び抜けて活躍している時それが輝いて見えてしまい、ついその動きに引き寄せられてしまいます。
彼らがやっていることは全部良いことだと思うようになり、無条件で取り入れるようになってしまう事が選手だけでなく、トレーニングを提供するトレーナー及び指導者には必ずあると思います。
 
そして調子を崩し自分の良い所がなくなっていくというマイナスの学習に繋がる可能性もゼロではありません。
 
【トッププレーヤーが〇〇な動きをしている】と【〇〇の動きをすればトッププレーヤーになれる】とは話がまったく別問題です。
 
また、トレーニング方法においても同様の事が考えられます。
今までにないトレーニング方法だと思っていても実際には他の競技のトレーニングで既に取り入れられていたり、過去に流行ったトレーニングだったりする事も多々あります。
 
人は何かのきっかけで盲信すると、それを強化する情報ばかりを集めるようになり、自分の考えを肯定し後戻りしにくくなります。
 
それでは、流行りや思い込みに振り回されることなく、本当に必要なトレーニングを選択するためにはどうすれば良いのでしょうか?

 
 

本当に必要なトレーニングを選択するためには?

 
そのために意識すべきことが3つあります。

・1つ目は多様性のある考えを持ち常に疑うこと
・2つ目は時間軸を長く捉えること
・最後の3つ目は基礎を怠らず普遍性のトレーニングと個別性のトレーニングを必ずバランス良く行う事です。

以下に具体的に説明していきます。

 

1.多様性のある考えを持ち常に疑うこと

あるトレーニング方法や組織に所属すると、まわりはそのトレーニング理論で染まってしまいがちになり、自分が現在行っているものを肯定する要素を探してしまいます。
「あのような人になりたい」という自分にとって具体的な行動や考え方の模倣となる人物(ロールモデル)を選び、その人の影響を受けてしまいます。
ロールモデルは目標となる指標が出来る為良い場合もありますが、妄信してしまうと悪影響を及ぼします。
そうならないためには、自分の周りにいる人の考え方を取り入れることや、知識の多様性が必要です。
一度冷静になり、自分の立ち位置を俯瞰してみることをオススメします。
 
2.時間軸を長く捉えること
トッププレーヤーにもトレンドは必ずあります。
ある時期にはトップ選手の動きをみてそれが大事だと思われていたが、いざ長い時間軸で捉えると、その時代の道具や練習形態によって生み出された動きだったりし、パフォーマンスには直接影響しないという事も必ずあります。
普遍的な動きなのか時代の流れなのか、現在のトッププレーヤーだけを見ているとそれがわからないという事です。
 
3.基礎を怠らず普遍性のトレーニングと個別性のトレーニングをバランス良く必ず行うこと
「正しい動き」や「正しいトレーニング」というのは結局のところ、人の裁量でしかありません。
スポーツの頂点に近い世界では科学的根拠のある情報を探そうとしても、サンプル数が少なすぎて参考になりません。
つまり、実際に彼らがやっている事の何がパフォーマンスに影響しているのかの根拠はほとんどないのです。
結局は観察して洞察するしか理解する方法がないのですが、トップ選手を見る時は特に冷静になることを意識する必要があります。
無意識のうちに良い部分ばかりを探してしまいがちですが、実際にはトップ選手にも悪い部分があります。成功している人が持っている特徴を、それをやればパフォーマンスが向上する要素なのかもしくはただの癖なのか、そのように分類して整理する必要があります。
最後に、忘れてならないのは個別性の原則です。
ある人には効果的な動きトレーニングであっても、ある人には機能しないという事が必ず存在します。
結局のところは、良いトレーニングとは普遍性と個別性に対してバランス良く介入することです。
普遍性のトレーニングとは、誰にでも通用する可能性の高いエビデンスのあるトレーニングのこと。そして個別性のトレーニングとは、個人の特徴つまり個性を活かしたトレーニングのことです。
この部分こそが、トレーナーの力量がもっとも試されるところだと考えます。
 

まとめ

今回は、選手にとって本当に大切なトレーニングを選択するためには、意識すべき3つのポイントについてお伝えしました。

特に最後の3つ目の部分、普遍性のある土台を作り上げた上で個別性を高めていくということが、一番大切かつトレーナーの力量が試される部分ではないかと私は考えます。

自分のサポートしている選手やチームは、基礎的な部分である普遍性のトレーニングにも力を注いでますか?
常に新しい動きや変わったトレーニングメニューをすることパフォーマンスアップ出来ると考え、新しいトレーニングばかりを提供して満足していませんか?
 
最後までお読みいただきありがとうございます。

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