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2019年06月16日

練習前に選手が行うべき準備とは

文:志田伊史

私は「αプラス」という小学生向けかけっこ教室を主宰しています。当教室では、かけっこ練習開始前の時間を重要視しています。
 
これが練習開始10分前の状態です。まだ練習開始前ですが、個々に集まりそれぞれが自分のタイミングでストレッチを行っています。
 

 
サムネイルにもありますが、写真の子供たちが取り組むストレッチは「プレコモド」というものです。
股関節の柔軟性向上を図り、ハムストリングス上部を使いやすくするというスプリントにおいて重要なストレッチ種目です。
 
我々のかけっこ教室では、練習前に自分の体の硬さや、どの程度関節が動くのかなど、自主的に自分の体を感じる時間を作っています。
全体練習の中でもウォーミングアップはありますが、その前に個人個人が自分と向き合い、最大限動きやすい状態を作った上で全体練習に臨むという姿勢を身につけてもらっています。
 
全体練習で行うウォーミングアップの前に行う個人単位での準備を、JARTAでは「プレウォーミングアップ」と称しています。
“Pre  Warming up”
文字の通り、全体練習前にあらかじめ行うウォーミングアップということです。
 
例えば「プレコモド」では以下のようなことを子供たちに確認してもらっています。
 
もも裏に張りを感じるのか?左右の足で差はあるか?昨日と比べて差はあるか?
他の子と比べてしゃがむ深さはどうか?
脛はまっすぐか?どの向きになりやすいか?
背骨はまっすぐか?丸まっていないか?
 
自分自身の色々なことを確認してもらいます。
そして子供たち同士で指摘しあい、わかることがあれば他者の修正まで行ってもらいます。
 
 
これらを経てから初めて、全体で行うかけっこのウォーミングアップやトレーニングに入っていきます。
みなさんのチームでも、当たり前に上記のようなストレッチがウォーミングアップとして行われていると思います。
当然、筋肉温度の上昇や関節の柔軟性向上が期待でき、怪我発生リスクの軽減やパフォーマンス向上につながります。
しかし、これと別枠でプレウォーミングアップという枠組みを設けることで、より大きな効果が望めるのです。
 
とりわけプレウォーミングアップにおいて期待できるのは内的認識力の向上です。
内的認識力とは、以下のような自分の状態を自身で認識できる能力を指します。
 
自分の関節の曲がり具合
どの筋肉が緊張しているのか
呼吸は正常か
どのような精神状態か
 
プレウォーミングアップという個人単位での準備を行う中では、これらの認識を大きく向上させることができます。
全体のウォーミングアップでは、どうしてもチーム全体の一体感や士気を高めることに重きが置かれやすく、個人が筋肉や関節の繊細な状態まで内観することは難しい状態となります。
個人単位で行うプレウォーミングアップの時間の中で、選手一人一人が練習ごとにその日の身体をモニタリングする機会を与えることは、自身を細かく内観できる内的認識力を育むことに繋がります。
 
この後に指導されるスプリントのフォーム修正、きつい補強トレーニングの中でも、自身の細かな筋肉の収縮に気を配れるか。
このように、内的認識力が必要とされる場面が様々なシーンで起きるということは、言うまでもないでしょう。
 
 
 
例として小学校のかけっこ教室を出しましたが、これはどの年代においても必要といえる内容です。
個別性の高いプレウォーミングアップで最大限の準備を行い、いつでも勝負できる状態で全体練習開始を迎える。そんな選手はきっとほかの選手に大きな差をつけるでしょう。
 
最後までお読みいただきありがとうございました。
 

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