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2018年09月05日
フックとスライド
格闘技のパンチにおいて、ダウン・KOの確率が最も高いのはフック系のパンチと言われています。(特に右利きの場合の左フック)
しかしフック系のパンチは動きの大きさや軌道からデメリットも多く、クリーンヒットさせることが難しいパンチという面もあります。
今回はフック系のパンチに焦点を当て、その上で有効である身体機能・操作についてお話ししていきたいと思います。
<フック系パンチのメリットとデメリット>
ここで一度フック系のパンチにおけるメリットとデメリットを整理しておきます。
メリット
・回転・遠心力によるパワー↑
・テンプルやアゴにヒットすることで環軸関節での急回転・急加速により脳震盪を起こしやすい(ダウン・KO)
・ボディでは効果的なレバーブロー(肝臓)
・視界の外から打たれるとガードしづらい
デメリット
・ストレートに比べリーチが短い
・オーソドックス(左腕が前方位の構え)の場合左フックは1動作で出すことが難しい
・ためるモーションにより出が遅くなりやすい=相手にバレやすい
・モーションが大きいと片側の顔面がガラ空きになりカウンターを受けやすい
・回転を担う身体の部分が硬いと筋力(特に腕)に頼ったものになりやすい
上記の様に表すことができます。
しかし、このモーションによるデメリットを解決する身体操作の概念があります。
それが「スライド」です。
<回転運動からスライド運動へ>
スライドとは武道における割体ともいわれ、右半身と左半身がズレ合う様な動きを指します。
動きのイメージとしては下記の図をご覧ください。
中心を軸に回転するような動きではなく、右半身と左半身が文字通りスライドする動きとなります。
実際完全に右半身と左半身をずれるわけではありませんが、必要な可動性と操作性を高めていくことでスライドの動きを実現していくことができます。
これによりデメリットにあげた中でもモーションや出だしといった、初速の向上・予備動作の減少を実現することができます。そのためコンビネーション中のいわゆる“キレ”のある動作が可能になります。
ではどうしたらスライドの動きが実現できるようになるのか。
それは身体中心にある胸肋関節・脊柱(肩甲骨)・仙腸関節がポイントとなります。
本来動きとしては少ない部分になりますが関節ですのでもちろん可動性があります。
しかし現代ではたくさん動かなくても生活していける環境であったり、ストレスや悪い生活習慣による自律神経の影響を受け硬くなりやすい箇所です。
肩甲骨に関しては立甲が有効です。詳しくは下記をご参照ください。
→立甲がパフォーマンスアップ、障害予防に重要な理由
脊柱に関しては以前私個人のブログに書いたのでご参照ください。
→身体中枢部操作~1stスピン~
<胸肋関節と仙腸関節の操作>
どちらも本来可動性の少ない関節であり、特に意識的に動かすのが難しい部位です。
ですがそのわずかな動きでることが腕や足への連鎖として大きく派生していく要となっています。
その胸肋部と仙腸関節を動かす基礎となるトレーニング方法をご紹介したいと思います。
胸肋部
(インスタ動画 )
1、胸肋マッサージ~肋骨ほぐし https://instagram.com/p/BnH_sgwg0Nc/
2、みぞおち8の字 https://instagram.com/p/BnIAcn7ACpS/
仙腸関節
(インスタ動画)
ペルビック・ユニバーサルスライド https://instagram.com/p/BnIBHixgf2A/
<終わりに>
今回はフック系パンチにおいて有効なスライドという概念て、必要な身体機能・操作についてお伝えさせて頂きました。
もちろん競技中は様々な状況があるため大きなモーションが有効となる場面もあります。
ですがボディブローやコンビネーションなどにおいて小さくキレのあるスライドの動きができることで動きにおけるデメリットを減らし、メリットを更に伸ばすことができます。
また、スライドは様々な競技において応用でき、今回の胸肋関節や仙腸関節の動きはアスリートであれば必須ポイントですので、ぜひ上記の動画を参考にしてみて下さい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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https://jarta.jp