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2018年06月27日

【トップランナーと市民ランナーの腕振りの違い】

数年前からランニングブームとなり、多くの方が週末や早朝に健康目的または心身のリフレッシュ目的にランニングを行っているのを目にします。
皆さんは自身のランニングフォームを確認した事はありますか?
多くの方が一度はランニングフォームの修正を試みた事があると思います。
トップランナーとのランニングフォームの違いはどこにあるのでしょうか?
世界のトップランナーと日本人選手のフォームの違いは短距離より中長距離の選手の方が明らかに異なっており、記録的にも開きがかなり見られています。
腰の位置や足の運びはもちろんですが、一番の違いは腕振りにあります。
腕振りの貢献度はおよそ35%あるといわれ、腕振りを改善するだけでもかなりのスピード向上・持久力の改善が期待できます。
 

今回は腕振りに焦点をあてお伝えしたいと思います。
関西認定トレーナーの谷口祐樹です。
トップランナーと市民ランナーの腕振りの違いは一言で言うと「脇が開いているか開いていないか」です。
市民ランナーは「脇が開いた腕振り」になっており腕振りで得たエネルギーをうまく体幹・下肢に伝えきれておらず四肢が同調していない状態にあります。
 

【腕振りの構成要素は】

 
腕振りというのは一見、肩甲上腕関節での動きと思われがちですが実は
・1肩甲上腕関節
・2胸鎖関節
・3肩甲胸郭関節
・4脊柱
の4つで行われている複合運動なのです。
 
脇が開いてしまうと複合運動のバランスが崩れ脊柱の回旋と肩甲骨上腕関節主体の動きに変化してしまいます。
脇が開くことで回転モーメントが大きくなり、腕振りの動き自体が「横の動き」となり協調的に働く下肢の動きが股関節を主体とした「縦の動き」である為に効率よく力を伝達する事が出来ず推進力を生む事ができません。
 
ではなぜ脇があくのでしょうか。それは肩関節のアライメントの不良に原因があります。
脇が開くランナーは肩甲骨が外転しさらに前方変位している「巻き肩」となっています。
 
巻き肩では肩甲上腕関節は相対的に内旋位となり運動軸が外転方向に変位する為、脇が開いたフォームとなるのです。
 
また下肢や呼吸機能にも影響が出てしまいます。
肩甲帯が外転することで前据筋が伸張され外腹斜筋が短縮位となり反体側の下肢の支持性の低下に繫がります。
呼吸機能では、肩関節が挙上位である為胸郭も相対的に挙上位となり息が吸いにくくなってしまいます。
 

【では、なぜ巻き肩となるのか】

 
 
脇があいているから脇をしめて走ろう!
では原因が改善していない為に修正することは極めて困難であり、たとえ形上改善したとしても腕振りを推進力につなげる事はできません。
 
巻き肩となる原因としては主に二つの事が考えられます。
 
一つ目は、前腕回内位からの運動連鎖によって肩関節は内旋し肩甲骨が外転方向に誘導されることによって起こります。
手を使う多くの動作では前腕回内での運動が多く、例えばデスクワーク・車の運転や料理などみなさんが思い浮かぶほとんどの動作が前腕回内で行う動作であり日常生活の中には自然と巻き肩になる要因が数多くあるのです。
 
2つ目は姿勢の崩れによって起こります。
骨盤が後傾することで脊柱全体が後湾し頚部のみ前湾が強くなる事で「猫背」の姿勢となり肩甲帯が外転方向へ誘導され巻き肩となるのです。
 
この二つの原因により巻き肩となり脇があいた腕振りとなるのです。
 

【トップランナーの腕振りはどうなっているのか】

 
アフリカ系の中長距離選手は脇を締めて前腕を深く折りたたんでいる選手が多くみられます。
脇を締める事で胸椎中心の回転モーメントは小さくなり「横の動き」ではなく、鎖骨の動きが伴う胸鎖関節 肩甲上腕関節が主体となった「縦の動き」となり、下肢と同じ方向の動きである為四肢が同調した状態になるのです。
機能的にみても脇が締まることで前据筋が使えるようになり体幹を通して上肢の動きを下肢へ伝えやすくなります。
 
脇が締まることで肩甲帯が下がり地面からの反力を得やすくなります。反力を得た後、鎖骨が挙上し重心を前上方へ運ぶ事が可能となり効率位のよいランニングフォームとなっているのです。
 

【巻き肩を改善する為のアシストトレーニング】

 
今回、トレーニングだけではなく日常生活を行う上での注意点もお伝えします。
トレーニングを行う時間は1日の中で数時間であり姿勢の改善においては普段の日常生活を変える事の方が効果的です。
 
一つ目の原因に対しては日常生活において必ず必要な動作であるため出来るだけ前腕回外位つまり脇がしまった状態で行う事に留意してみましょう。
二つ目は座位姿勢・立位姿勢において骨盤を立てた状態をキープする事を意識してみてください。この点に気をつけるだけでもかなり改善されます。
 
その上で以下のトレーニングに取り組んでみてください。
 

1、四つ這い姿勢での前腕回外運動


上肢に荷重がかかっている状態で前腕の回外運動を行います。
回外運動を行う事で肩関節が外旋位となり肩甲骨が下がり脇がしまった状態となりま
す。
ポイントは肘の内側のしわを前方に向ける事です。
この動作を行っていくなかでおなじみの立甲に繫がっていきます。
 

2、インナースクワット


肩幅よりやや脚を開いた状態で立位をとり仙骨を立てた状態でスクワットを行います。
頭の位置が前後に動かず、真下へ落とす事がポイントです。
 
詳しくはJARTA認定トレーナーの指導をうけていただく事をおすすめします。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。

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