滑りやすいグラウンドで差をつける

今年の冬の寒さは厳しく、関東平野でも雪が降りました。

 

 

自分の住んでいる神奈川県の湘南地域も例外なく雪が積もり、外を歩くと滑って転びそうになりました。

 

 

 

 

そんな滑りやすい地面の上を歩いていると、自分はあるサッカーの試合を思い出します。

 

関東で活動するJARTA認定スポーツトレーナーの岡元祐樹です。

 

 

2001年3月。

 

 

男子サッカー日本代表は当時世界最強のフランス代表と練習試合を行いました。

 

 

結果は5-0で日本代表は大敗を喫してしまいました。

 

 

敗因は色々挙げられると思いますが、試合後のインタビューで日本代表選手の多くが語っていたのが

 

 

「ピッチコンディションが悪く足を取られてしまった」

 

 

というものでした。

 

 

この日のグランドは雨の影響で芝が濡れており、日本代表の選手達は何度も足を滑らせて転んでいました。

 

 

それに比べてフランス代表の選手達、特に10番をつけるジネディーヌ・ジダン選手は急激なブレーキ動作や切り替えし動作でも足を滑らせることなく平気でプレーしていました。

 

 

当時高校生だった自分は

 

 

「おそらく脚の筋力が強いのだろう」と浅く考えていました。

 

 

スポーツトレーナーとして活動している現在、当時とは違った理由が色々と浮かんできました。

 

 

筋力の問題も当然ありますが、股関節の機能、上半身による重心操作や腕の使い方というものもあります。

 

 

その中でも今回はサッカーシューズであるスパイクと下腿三頭筋の関係から、滑りにくい身体操作について一つの見方を書いていこうと思います。

 

 

 

 

【つま先で蹴っていないか?】

前方に走りスピードに乗った状態から片方の脚でブレーキをかけて逆方向に動き出す。

 

 

このような動きはサッカーに限らずスポーツではよく見られる動きだと思います。

 

 

 

 

日本代表の選手達はこの動作でよく足を取られていました(写真で言うと左足が滑ってしまう状態)。

 

 

高校生時代の自分に

 

 

「滑りやすいグラウンドでも滑らないでプレーするには何が必要?」

 

 

と聞いたら間違いなく「ふくらはぎの筋肉」と答えたでしょう。

 

 

足を取られないようにするには『つま先』で地面を強く蹴るしかない。

 

 

そのためにはふくらはぎにある下腿三頭筋の筋力が必要という単純な構図です。

 

 

同じイメージを持っている選手や指導者は多いのではないでしょうか?

 

 

ここで重要になってくるのがつま先で地面を蹴るとどういった現象が起きるのか?ということです。

 

 

つま先で地面を蹴ると、地面と足裏の接する面は当然つま先の部分になります。

 

 

こうなると接する面積が小さくなる分、より大きな力を地面にかけることができます。

 

 

接地面積が小さいと、同じ力で押しても強い力になります。

 

 

風船をつつく時、指でつついても割れないのに針でつつくと割れるという現象を思い浮かべるといいと思います。

 

 

スパイクの突起の部分が地面を捉えた時、水分を含んで柔らかくなった芝のグラウンドでは、その強すぎる力が地面をえぐってしまい、地面に加えた力が逃げてしまいます。

 

 

地面を強く蹴ることができず、その結果、足を滑らせ転んでしまいます。

 

 

※正確には地面から反力を得られないという関係になります。

 

 

 

 

その点を考慮してジダン選手のプレーを観察すると、足の裏全体が地面と接しており、中々つま先で蹴らないという特徴があることに気付きます。

 

 

自分の進みたい方向に方向転換するために、必要以上に地面をえぐらないような足の使い方をしているのです。

 

 

 

 

動作中に下腿三頭筋をまったく使っていない訳ではなく、頻度、収縮力、収縮する時間が相対的に見て少ないのです。

 

 

滑りやすいピッチコンディションの場合、下腿三頭筋を鍛えて地面をつま先で強く蹴るというのはデメリットの方が大きくなる可能性があります。

 

 

【通常のピッチコンディションでも足裏全面接地は生きる】

ブレーキ動作や急激な方向転換に下腿三頭筋を使い過ぎなくて済むというのは、滑りにくくなるということの他にもう一つメリットがあります。

 

 

筋痙攣、俗に言う『足がつる』という現象の予防に役立つのです。

 

 

走行を含む競技では終盤になってくると下腿三頭筋が筋痙攣を起こしてしまう選手が出てきます。パフォーマンスは低下し、選手交代を余儀なくされることもあります。

 

 

試合中何度も繰り返されるブレーキ動作や方向転換で下腿三頭筋の筋出力の程度を少しでも減らすことができれば、筋痙攣の発生を抑えることができます。

 

 

【つま先で蹴ることは悪いことではない】

実際のスポーツ競技ではつま先で蹴ることが必要な場面もあり、ダッシュの場合でもつま先が地面から離れる最後の瞬間は下腿三頭筋や足趾の屈筋群(足の指を握る筋肉)を使ってつま先で地面を蹴ると推進力が増します。

 

 

今回伝えたかったことは

 

 

「地面に足を取られるのは筋力が弱いせいだけではない」ということです。

 

 

筋力以外にもパフォーマンスアップにつながる要素があり、そのことも考慮に入れてトレーニングを行わなければなりません。

 

 

 

 

最後に滑りにくくなる身体を作るための有効なトレーニングを1つご紹介します。

 

 

 

 

  • 開脚の姿勢を取る(足の裏が全て地面に接することができる角度で)
  • 左右に体幹を持っていきながら手で足先をタッチする

 

 

このトレーニングで足裏全体を地面に接地させ、進行方向を変える感覚、柔軟性、筋力を向上させてみてください。

 

 

※足関節捻挫等で足関節に不安定性がある選手への導入は慎重にお願いします。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

動きやすくなるために、重心移動や腕の使い方も考える必要があると述べましたが、JARTAのセミナーでは『サッカー上半身トレーニングセミナー』で詳しく学ぶことができます。

 

 

詳しくは → https://jarta.jp/j-seminar/soccer/

 

 

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