NEWS(最新情報)

2020年03月21日

選手との信頼関係を深める3つのポイント

文:平山鷹也

 
何度言っても選手たちの行動が変わらない。
自分の想いが相手に伝わっている気がしない。
 
 
もしそれが1回だけではないとしたら、自分の行動や伝え方に意識を向けてみる必要があるかもしれません。
 
 
コミュニケーションとは本当に難しいもので、どれだけ伝わっていると思っても100%伝わることはほとんどありません。
 
 
会話はキャッチボールに比喩されることがありますが、距離や方向を考えずに投げっぱなしになっていませんか?
 
 
今回は言葉を届けるための3つの要素について考えてみたいと思います。
 
 

  • ①言葉の前提

相手と自分で同じ言葉を使っていても、その前提が異なっていたら誤解につながります。
 
 
簡単な例を挙げてみます。
「毎日たくさん水を飲もう」と言われた場合、あなたはどのくらいの、どんな水を想像しますか?
 
 
普段全く水を飲まない人からしたら1Lも水を飲めばかなりたくさんかもしれません。
 
私は毎日最低2Lは水を飲むようにしていますが、その上でたくさん飲もうと言われたら3~4L 程度を想像するかもしれません。
 
 
また、水に対しても色々なパターンがあります。
 
水道水でいいのか、ミネラルウォーターがいいのか、外国製の硬水などがいいのか。
 
 
上記のようにそもそもの文章の捉え方が違うのに同じ結果を求めたら、当然望んだ結果は得られません。
 
 
ここで必要なことは、
前提条件をしっかりと共有しておくこと、です。
 
今回の例で言えば、
「毎日水道水でもいいから最低2Lは飲もう。」
と言えば、最初よりは誤解が少なく伝えられるかもしれません。
 
 
 
 

  • ②優先表象システム

私たちは五感を用いて世界を認知・認識しています。
 
 
その五感を大きく3つに、
V(視覚:Visual)、A(聴覚:Auditory)、K(身体感覚:Kinesthetic)と分類します。
 
VとAはそのまま視覚情報と聴覚情報のことです。
 
Kは皮膚などの体性感覚や味覚、嗅覚などを含めてここでは考えます。
 
 
このV・A・Kという3つの感覚は全て同じ割合で活用している場合は少なく、個人によって優先的に使用している感覚があります。
 
それを優先表象システムと言います。
 
 
3つの表象システムにはそれぞれ特徴がありますので、いくつかご紹介します。
 
V(視覚優位タイプ)の特徴
・早口で声は高め
・手で視覚的な情報を再現しようとする
・「見える・見栄え・反映」などの表現が多い
 
A(聴覚優位タイプ)の特徴
・リズミカルで抑揚のある話し方
・会話を再現しようとする
・「聞こえる・言葉・声」などの表現が多い
 
K(身体感覚優位タイプ)の特徴
・ゆっくりとして間のある話し方
・目を閉じて身体感覚を感じながら話すことが多い
・「手ごたえ・~な感じ・冷たい性格」などの表現が多い
 
まずは自分に当てはめて考えてみてください。

 
注意点としてはあくまでも優位なタイプがあるだけで、誰しもすべての要素を持っています。
 
 
V・A・Kの説明はこの辺にして、実際のコミュニケーションの話に戻しましょう。
 
 
上手く話が伝わらない場合、このタイプが異なっている場合があります。
 
 
つまり、V(視覚)タイプの人の表現方法はK(身体感覚)タイプの人にとってはわかりにくい表現かもしれないということです。
 
 
1対1で会話をしている場合は、相手の言葉からどの表象システムを優位に使っているか判断して自分が使う言葉や表現を工夫した方が伝わりやすいかもしれません。
 
 
特に集団に対して指導するときはできるだけ色々なパターンで表現するように心がけてみてください。
 
 
私が気を付けている点を一部ご紹介すると、
見本を見せながら(視覚タイプ)、言葉で説明して(聴覚タイプ)、感覚的な表現で補足していく(身体感覚タイプ)ようにしています。
 
 
順番は反応見ながら変えますが、基本的にすべてのタイプに当てはまるように表現します。
 
 
この考えを使う場合、自分がどんなタイプか知らないと無意識に偏りのある表現になってしまうので注意してください。
 
 
 

  • ③手本力

こちらは心理学的な観点でのお話になります。
 
 
私たちはどうしても聞きたいように聞いて、見たいように見てしまいます。
(これを心理学では認知バイアスと言います)
 
 
例えば、体型もだらしなくて姿勢も悪いような人を見ると、その人の体型がだらしない理由や姿勢が悪い理由ばかり探そうとし、目についてしまいます。
 
そんな人から栄養や姿勢の重要性を説明されても素直に納得できる人は少ないのではないでしょうか。
 
 
もしそれが正しい情報だとしても、言う側の問題で伝わらないことは非常に多いです。
 
 
逆に体型も姿勢も良い人の言葉は信頼できると判断しやすくなります。
 
 
JARTAで手本力を重要視している理由の1つもここにあります。
 
 
しっかりとした手本を見せられるからこそ、相手の聞く準備が整うということです。
 
 
極端な話、野球を始めたばかりの少年とプロ野球選手から同じアドバイスを聞いたら、納得の程度が全然違うことは想像できると思います。
 
 
しかし、本当ならばそのアドバイスが自分に合っているかどうかが問題のはずです。
 
 
このように私たちは、何を聞くかよりも誰から聞くかの方が優先されてしまうことがあります。
 
 
だからこそ普段から信頼されるような行動、習慣、言葉使いが大切です。
 
 
 
 
 
いかがだったでしょうか。
 
 
言う側と言われる側のタイミングや、声の抑揚、トーンなど他にも伝えるための要素はたくさんありますが、今回は3つにしぼって紹介しました。
 
 
どれだけ多くのことを意識しても100%想いを伝えることは難しいかもしれません。
 
 
でもその50%を60%、70%にしていくことは可能だと思います。
 
 
なかなか自分が伝えたいことが伝わらないと感じている方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
 
 
全てはパフォーマンスアップのために。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

JARTA公式HP
https://jarta.jp