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2018年10月26日
「私」という個性
『初めまして、竹治久里子と申します。
私はもともと作業療法士として病院で働いていましたが、スポーツに関わる仕事をしたいと思い、アスレティックトレーナーの資格を取って、今はフリーランスのトレーナーとして働いています。』
このような自己紹介をすると、大抵の人に珍しい、変わっていると言われます。
女性で、作業療法士で、トレーナー。
たしかに、今まで仕事をしてきて同じ経歴の方には会ったことがありません。
ただ自分では、そんなに変わったことをしているつもりはありません。
なぜなら、病院を辞めたことも、トレーナーを目指したことも、思い付きで行動している訳ではないからです。
「こうなるべくしてこうなった」のです。
私がスポーツに関わりたいと思い始めたのは大学受験の頃です。
進学先としてトレーナー育成の専門学校を考えました。
しかしその時は、予備校の先生や両親にも反対され(わりと偏差値の高い高校で、エスカレータ式で大学に上がれたので「もったいない」と説得され)、自分でも「選択肢を狭めることになるかも」と思い、まずは医療の世界を見てみようと考えました。
しかしこの段階でスポーツに関わる事を諦めたわけではなく、むしろ、トレーナーとして現場に出るまでのビジョンを割と明確に思い描いていました。
病院勤務は3年まで。3年後に動ける準備をその間にしておく。
3年の間はトレーナー以外の選択肢も考えました。
もしかしたら他にやりたいことがあるかもしれないという気持ちと、どんな選択をしても、ちゃんと自分で考えて選んだのだと自信を持つために。
結局、私はスポーツの現場に行くことを選びましたが、いかんせん私の持っている資格は作業療法士。
整形外傷のリハビリはほぼ理学療法士が行っているのが現状であり、とくにスポーツ整形を掲げている病院(クリニック)では理学療法士しか雇っていないところも多い。
となると、いきなりスポーツ現場に行きますといったところで受け入れてくれる場所はなかなか無いし、そもそもスポーツ関連の人脈がない。
そこで私はまず、アスレティックトレーナーの資格を取るために専門学校へ入学しました。
(専門学校時代)
専門学校での目標は大きく2つ。
アスレティックトレーナーの資格を取ることと、人脈を作って仕事につなげること。
資格を取るのは正直、何とかなると思っていたのですが、人脈を作るというのが私にとっては難題でした。
もともと人見知りは激しいし、会話も得意ではない。
自分から積極的に人とコミュニケーションをとることをしてこなかったため、本当にコミュニケーションをとるのが下手なのです。
しかし私には一つ武器がありました。
「大学を出て作業療法士の資格を持っている」という経歴です。
やはり学生の中では異質で、興味を持ってもらえる材料は沢山あったので、話のきっかけは作りやすかったです。
ただこの経歴というのも、あくまで興味を持ってもらうきっかけでしかなく、そこから先が続くかどうかは別問題。
そこからは地道に一つずつ、信頼を積み重ねていくしかないのです。
コミュニケーションのきっかけ作りと信頼の積み重ね。
これはトレーナーとして仕事をしていく上での基礎作りのようなものだと思っています。
チーム指導であろうとパーソナル指導であろうと、いかに興味を持ってもらえるか、信頼して身体と心を委ねてくれるか。
さて、先述したように私はコミュニケーションをとるのが下手です。
中でも特に、コミュニケーションのファーストコンタクトが苦手で、ある程度話しをする回数が増えれば、そこから先はさほど苦手ではないと思っています。
つまり、コミュニケーションのきっかけさえ作れれば、その後は何とかなる可能性が高い。ではそのきっかけとなる「仕掛け」が何かないか…。
それが私の場合は「女性で、作業療法士で、トレーナー」という経歴なのです。
今私はフリーのトレーナーとして様々な現場で仕事をしていますが、名刺には作業療法士とアスレティックトレーナーという肩書を書いています。
監督やコーチ、選手に挨拶するときに、まず最初に見ていただくものなので、会話のきっかけになる「仕掛け」の1つです。
(名刺。アドレス等はカットしています。)
自分の苦手を補うための、コミュニケーションのきっかけとしての肩書き。
私にとっては女性であることも作業療法士であることも、ただそれだけのことなのです。
もちろん、女子チームなので女性のトレーナーがいいという依頼を受けることもありますし、女性であることが選手のため、チームのためになることもあります。
ただしこれも、女性であることはきっかけでしかなく、そこから先がどう転ぶかは分かりません。
私はトレーナーになるまでにずいぶん遠回りをしました。
この遠回りを時間の無駄使いと思う人もいるでしょう。
でも私にとっては必要な時間であり、経験であるのです。
この遠回りがあってこその私の「個性」なのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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