「ゆるむ」と「脱力」との違いとは?

北海道のJARTA認定スポーツトレーナー、浦波唯史です。

浦波唯史

 

JARTAのサポートするアスリートの間では、いわゆる筋力トレーニングだけではなく、「ゆるむ」ことの重要性が認識されてきていますが、「ゆるむ」とは、単に脱力を意味している訳ではありません。

 

「ゆるむ」とは、相対的なもので完璧な状態はあってないようなものです。

簡単に説明すると、収縮と弛緩の幅を広げることを意味しており、局面に応じた最適な身体の使い方を選択する能力である「格定力(かくていりょく)」の向上に繋がります。

 

この「格定力」の重要性は、競技中には常に最大筋力を発揮する局面が、ほとんど存在しないということを考えると理解しやすいかと思います。

 

この「ゆるむ」ことは、全ての競技の前提条件として必要不可欠なものですが、今回は私のサポートするスキー(モーグル)を例に説明させていただきます。

 

スキーは斜面を滑り降りる競技であるということからもお分かりかと思いますが、重心の落下により移動します。

 

つまり、地上を速く走れる選手がスキーで速く滑れるかというと、基本的には関係ありません。

 

では、どのように身体を使えばスキーで速く滑ることができるのでしょうか?

 

答えはいたってシンプルで、滑走時のブレーキ成分をいかに排除できるかに尽きます。

 

この滑走時の代表的なブレーキ成分は、大腿四頭筋です。

 

スキーを行ったことがある方でしたら、スキーの後に大腿四頭筋(太腿前面)の筋肉痛を経験したことがある場合も少なくないのではないでしょうか?

 

実際、私のサポートする女子モーグル日本代表の村田愛里咲選手ですら、以前のシーズン開始時には、必ずと言ってよいほど大腿四頭筋の筋肉痛が出現していたそうです。

 

大腿四頭筋によるブレーキ成分は、斜面を滑走するスキーの運動構造を考えた場合、一般的には腰椎の伸展運動に伴い大きくなります。

 

また、スキーは固定性の強固なブーツを履くため、過度な足関節の可動性を必要としない反面、特に脊柱・仙腸関節・股関節・膝関節などの可動性が、「ゆるむ」ための前提条件として重要になります。

 

つまり、必要以上の大腿四頭筋によるブレーキ成分を排除するためには、最低限これらの前提条件を整えた上で、「ゆるむ」ことが必要不可欠になるのです。

 

話の内容を私のサポートするモーグルに移しますが、モーグルは斜面を滑走することに加えて、エアと呼ばれるアクロバティックなジャンプの要素が含まれますが、その採点は、「ターン60%、エア20%、スピード20%」の合計点により競われます。
(2014年12月現在)

 

中でも配分の最も大きいターンは、

・上体は常にフォールライン進行方向に向かっていること

・滑走中の上半身は、上下左右に揺れることなく安定した状態であること

が採点基準となります。

 

滑走時に固いコブに対して、選手自身が身体を固めていた場合、大きな反発力が出現し、上半身の動揺に繋がりやすいことは容易に想像がつくかと思います。

 

モーグルは滑走中に固いコブの衝撃をしなやかに分散した上で、より速く滑り降りなければならないという競技特性から考えると、他のスキー競技の中でも「ゆるむ」ことがより重要な競技かもしれません。

 

余談になりますが、9月中旬に村田愛里咲選手のサポートで、ウォータージャンプの練習に帯同してきました。

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ソチ五輪で前十字靱帯損傷の大怪我を負って以来、約1年半振りのジャンプ練習であったため、当然ベストパフォーマンスではありませんでしたが、ジャンプの度に動作を微調整できるのは、さすが世界と戦うトップアスリートだと、その内的認識力の高さに驚かされました。

 

実際にゲレンデを滑走するのは村田愛里咲選手ですが、私は理学療法士、そしてJARTA認定スポーツトレーナーとして、次期五輪に向けた最大限のサポートを継続していきます。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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