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2018年01月11日

だれよりもトレーニングに精通したトレーナーが現場から追放される理由。

最近はトレーニングに関して、数多くの理論やメソッドが乱立し、
コンビニに立ち寄れば、書籍のコーナーには第一線で活躍する
有名アスリートのトレーニング方法を記した本が置かれています。
 
インターネットでもyoutubeやインスタグラムを覗けば、
動画を介して多くの事を知ることができます。
 
トレーニングを教えるトレーナーは
そういった知識や各々のメソッドに関して精通していることは当たり前で、
それに対して自分なりの見解を持っている事が好まれます。
 
だからこそトレーナーは様々なことを学ぶのですが、
現実には多くの知識を持ち、自分なりの見解を持っているトレーナーが
現場からはじき出されることはかなり多くあります。

なぜ知識や各種メソッドに精通したトレーナーが現場から追放されてしまうのか?

 
JARTA認定スポーツトレーナーの鳴海裕平です。
実際にトレーナーとして現場に出ているとトレーナーの仕事は
トレーニングを教えるだけでは圧倒的に不十分です。
 
選手からはもちろん
『○○のような動きがしたい!どんな練習をしたらいいですか?』
という質問を受けることはありますが、
 
選手は勝ち負けのシビアな環境に身を置かれている中で
日々厳しい練習に身を置かれているため、かなりのストレスを抱えている事が多いです。
 
そういった中でトレーナーにトレーニングの相談だけでなく
『練習が辛い。楽しくて始めたことなのに全然楽しくない。モチベーションが上がらない』
という相談というよりは、悩みにも似た内容を打ち明けられることもあります。
 
トレーニング自体には一見関係ないようなこういった相談事に
そのトレーナーの本質的な人間力
トレーナーが選手に求める最終目標が何なのかが試されています。
 
トレーナーは選手にトレーニングを指導するのが主たる仕事かもしれません。
確かに選手が求めるニーズは“自分に合ったトレーニングを提供してもらって、
パフォーマンスを上げ、試合に勝つこと“がほとんどです。
 
しかしトレーナーの最終目標が
選手のパフォーマンスを上げ、結果を出し続けることでは、ダメです
 
なぜなら結果を出せなくなった瞬間に必要とされなくなりますし、
自分の結果を出し続けることにこだわると、選手に先のような相談をされたときに、
どうにかモチベーションを上げよう!という前提で話をするようになり、
結果選手の信頼を失い、チームからの信用を失い、追放される事になります。

 

トレーナーが持つべき“選手の最終目標”とは?

 
トレーナーが選手にこうなって欲しいと思う最終目標は“勝つこと”ではありません。
“その競技を通じて選手の人間的な成長を促し、選手に幸せになってもらうこと“です
 
トレーナーは選手の年代・競技によって対応方法や
トレーニングの手法を変えたりする事はありますが、
この最終目標が崩れることはあってはいけません。
 
そもそもトレーナーは元々スポーツをやっていた方に多く、
現役時代にも数多くの失敗を積み重ねている場合がほとんどです。
だからこそ選手にはよりよいものを最短・最適に提供したいと思ってしまいます。
 
しかしそれが結果として選手の試行錯誤するゆとりを失わせてしまう事も多いです
 
トレーナーは選手へ上達の道を示して導いていく指導者だけではなく、
選手をよりよい人間として育てていく教育者でもあるべきです。
 
本質的に必要なのは選手に
そういった知識や考え方、トレーニングのやり方を種として蒔き
選手自身がその種に継続という水と
 
選手自身が試行錯誤する考える力を肥料として与え、
成長を実感することという確かな花を咲かせ、
結果という実をつけることが必要なのです。
 
なによりも色々考えて試行錯誤することは“楽しさ”でもあります。
数多くの失敗を繰り返してきたトレーナーにはこれがわかります。
 
しかしトレーナーは失敗を繰り返してきたわりには
上手くいった時の嬉しさを人に教えることができないことが多いです。
 
それはトレーナーとして結果を出し続けなければいけない。
失敗してはいけない。何よりも選手には失敗してほしくない。勝って欲しい。
という考えが根底にあることが多いためです。
 
取り返しが付かない失敗は避けるべきですが、成功するための失敗はアリです。
トレーナー自身が結果へのゆとりを持つことで
選手に人間的な成長を促すエッセンスになる場合もあります。
 
勝ち続けると逆に幸福を感じられず、プレッシャーになる場合もあります。
失敗や負けを積み重ねた後に試行錯誤して、考え続け、失敗を繰り返しつつも
上手くいった時に人は大きな喜びを感じます。
 
目標としてトレーナーは
“選手のパフォーマンスを向上させ、試合勝たせること”は持つべきですが、
それが最終目標に向けてのものであることを忘れてはいけません。
 
先の相談のように選手自身がそういった話をトレーナーにしてきた時に
勝ち負けではなく、選手の人間的成長や幸せを第一とし、
それがどういった経験になるのかを考えた上で選手の話を聞くことが、
選手の信頼を得ることにもつながります。

 
 
全てはパフォーマンスアップのために。
それは選手のその競技におけるパフォーマンスのことだけでなく、
一人の生きる人間としてのパフォーマンスを上げるためにトレーナーはあるべきです。
 

JARTA公式HP
http://jarta.jp