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2018年11月26日
日本がサッカーW杯で勝つために
イタリアスポーツ界が抱える根本的課題は日本と同じだった。
そこから見えた日本人選手が世界で活躍するために必要なこととは。
認定講師の岩渕翔一です。
今年の9月に1週間日本での仕事を休ませていただき、イタリアへ行ってきま
した。
イタリアでは、
・日本人留学生とのトレーニングや交流
・ASローマフットサルでのトレーニング指導と練習見学
・ノルウェーフットサル代表監督とのディスカッション
・ラツィオvsオスティアのフットサル試合観戦
・ラツィオフットサルでのトレーニング指導と練習見学
・ラツィオレディーズフットサルの練習見学
・ラグビー試合観戦
・セリエA、ローマvsキエーヴォ試合観戦
・ラグビーの施設見学とスタッフとのディスカッション
・プロバスケットチームの練習見学とトレーニング指導
・ASローマ下部組織SAVIOの施設見学、練習見学、トレーニング指導
などを行ってきました。
競技では、サッカー、フットサル、バスケット、ラグビーの4競技を見てきたわけです。
我々が見てきた施設はどれも素晴らしい施設で、その競技に専念するには充分過ぎる環境がそこにはありました。
さすがサッカー王国イタリア。
そう思っていたところで、それぞれのチームや競技でみてきた選手やそれぞれのチームスタッフが語ったのは危機感と我々から貪欲に学ぼうとする姿勢でした。
まず、各競技のチームや選手に見られた共通項は、
・練習であれ試合であれ実戦形式のものはかなり激しく行う
・身体(特に下半身)が非常に硬い
・重心が高く、視野が広い選手が多いが、急落下ができないため加速や方向転換に課題がある
・一つ一つのプレー精度はそれほど高くない
・フィジカルトレーニングは一般的なもの
・ボールを使った戦術練習や練習法はアイディアが豊富で非常に工夫されている
こういったことが目につきました。
次に、それぞれのチームスタッフやトレーナーから多く聞かれたのは、
・子どもが基本的な運動ができなくなっている
・フィジカルトレーニングにかけれる時間が凄く少ない
・膝の故障が多い
私は正直言うと、イタリアと日本のサッカーの文化伝統実績の違い。
こういったものがあることは間違いないので、選手もコーチも
「どうだ凄いだろう」
こういう感じなのかなと想像していましたが、実際は自分達に対する危機感を口にし、なにか少しでも学べることは学ぼうとする貪欲で謙虚な姿勢でした。
これは話を聞いて驚いたのですが、イタリアでは義務教育で行う、日本でいうところの「体育」が現在は廃止されているそうです。
その代償として、ASローマ下部組織SAVIOのスタッフが言っていたのは、基本的な運動や体操から指導していかなければならないということ。
実際、見学した際はU12、U15、U19など各カテゴリーで練習が行われていましたが、この世代では日本人選手の方が上手いと素直に感じました。
日本でも子供の運動能力の変化は叫ばれていますので、国としての課題に差はなく、むしろ同じであること。
また、ジュニア世代においては日本人選手にむしろアドバンテージがあること。
こういったことを実際自分の目で見てきました。
ではなぜ、サッカーでA代表になるとイタリアに勝てないのでしょうか?
原因というか要因はいくつもあると思います。文化や歴史の違いもそうでしょう。
しかし、ここでは日本人と欧米の選手で明らかに違う身体的特徴を紹介します。
イタリアの選手は競技に関係なく、驚くほど下半身が硬かったです。対して、上半身は比較的柔らかく、その影響でいわゆる高重心で視野が広いといった特徴が各競技でみられました。
対して日本人は低重心で、下半身が柔らかく、上半身が硬い傾向があります。
これはどちらかが良いというわけではなく、両方備えているのが一番ですし、事実トップレベルの選手はこの二つを兼ね備えています。
イタリアで我々が指導したいくつかのチームはJARTAのトレーニングに興味を持っていただき、今後、トレーニングを指導していく予定になっています。
つまり、イタリアでは彼らの弱点である低重心コントロールや下半身の硬さを克服するためにすでに動きはじめています。
対して日本では、例えば、サッカー上半身セミナーというのを我々JARTAでは開催していますし、サッカーにおける上半身の重要性は多方で語られるようになってきました。
サッカー上半身セミナーの詳しい情報はこちら
→https://jarta.jp/j-seminar/soccer/
繰り返しますが、低重心と高重心。下半身主導と上半身主導。
どちらが良いとかどちらが優位ということではなく、両方必要です。
日本でサッカーにおいて上半身が大事だと叫ばれるようになったからといって、日本人の長所である、低重心と下半身の柔軟性を活かしたまま上半身のトレーニングに取り組む必要があります。
事実、現在ヨーロッパで活躍する日本人選手の多くは細かいステップや低い姿勢からの素早い切返しが得意な選手が多いです。
ヨーロッパで生まれたサッカーという競技で日本が世界と対等に渡り合うには、まだまだ多くのことが必要です。
その多くのことの一つである身体操作や身体機能では、上半身のトレーニングを日本人の特徴を失わないよう注意しながら行うこと。
イタリアの地で自分自身の目で見た感じたことを日本で活かせるように。
イタリアでの研修をコーディネイトしてくれたカルチョファンタスティコの吉田輝氏、浜沢良平氏にこの場を借りて感謝いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
JARTA公式HP
https://jarta.jp