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2019年08月31日
まずは身体で感じることから
文:高橋 佑侍
中学生に対し、どんな言葉を使ってトレーニング指導をしたらいいか悩みませんか?
私は最初悩みました。
精一杯説明して、理解してもらおうとしていました。
ですが、なかなか納得した表情にはならないことがありました。
今考えると、「説明」にばかりに考えが囚われていたからだと思います。
本来は「指導」しなければならないのに、この言葉を理解していない自分がいました。
言葉の意味を整理すると、
説明とは、物事がなぜこうなのかの根拠・理由を明らかにすること。
指導とは、ある目的に向かって教え導くこと。
とされています。
また、
説明は自分主体。
指導は相手主体。
ということがわかります。
つまり、説明を精一杯していた時期は自分主体になっていたのです。
理解してもらおう、上手く伝えよう。伝えなければやってくれない。
今考えればなんて自分本意だったのだと気付かされます。
しかし、説明が必要ない訳ではありません。
説明した上で、どう導くかが大事です。
このことを忘れないことが、悩み解決のきっかけとなります。
私自身が中学生に関わる時に意識していることは、まずは言葉や認識を合わせることです。
例えば、競技によって本人の中で必要と考えている要素が、我々専門家から考える必要な要素との違いがあります。
「走るのには腿前が太い方がいい」
「体幹は固い方が強い」
「身体は柔らかければ、柔らかいだけいい」
と言ったように、実際に生徒に聞いてみるとこんな発言を聞かれます。
ですが、身体の構造を考えると
腿前にある筋肉は大腿四頭筋で、大腿四頭筋が優位になりすぎると前方への推進力効率は下がる。
体幹を固めるだけでは自分より大きい相手には当たり負けする可能性がある。
柔らかさだけでは出力も低下し、しなやかな動きがでる訳ではない。
ということは周知のことかと思います。
この認識の相違が生まれる原因としては、
・プロの選手が言っていたから
・本に書いてあった
・親がそう言っていたから(同じ競技経験)
などが挙げられます。
実際には本当にそうなのか?と生徒自身がよくわかっていないケースが多くあります。
言葉で伝えようとする生徒にはより迷いを生むことになります。
我々は生徒を導くのが本来の目的なはずです。
言葉という手段に囚われる必要はありません。
私の場合はまず、「感じてもらう」ことします。
例えば生徒の認識が、
高く飛ぶには膝を曲げて腿前に力を入れながら飛んだ方がいい。
体幹は固めて強いようが身体がブレないから速く走れる、脚が上がりやすい。
と言った認識であったとしましょう。
まず実際に認識通りの動きをしてもらいます。(A)
次に、効率のいい動き方を伝えます。(B)
AとBを比較してどう感じるか、どうなるかを確認します。
効率のいい動きのポイントとして、例えば高く飛ぶ際には腿前を意識し過ぎず、お尻の向きやハムストリングスが働いているかどうかの感覚、腕の振りのポイントを伝達。
脚の上がりやすさは、鳩尾を刺激した状態で足を上げる、筋肉の位置関係をアプリ使用し画像で確認などしています。
このようなポイントを伝えた上で、感覚的に高く飛びやすくなる、脚が上がりやすくなる。と言った感覚を体感して比較してもらいます。
その上で比較した現象の説明をします。
そこからトレーニングの開始です。
説明から入るのではなく、感覚の違いを体感してもらってから
起きている事実の説明をする流れです。
私自身、上手く伝えよう、わかりやすく説明しようという思いが強すぎることで全く上手くいかないことの連続でした。
指導する立場としての意味を理解しているつもりになっていたのです。
どんなに素晴らしい説明ができたとしても、パフォーマンスが少しでも上がらなければそれは自分主体の自己満足でしかありません。
考えるより、感じる。
感じてもらって、導く。
それが最適解かもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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