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2017年07月22日

あなたはまだ、筋力を頼りにステップを切っていますか?

「ステップをするためには筋力使うのは当然でしょ」
「ステップは地面を蹴るのだから筋力は使う」
そう思われる方もいると思います。
今回はこれを否定するわけではありません。
 
ここでは、選手が「今よりも質の高いステップが切れる解決策」をお伝えできればと思います。

 
関東で活動している認定スポーツトレーナーの福原良太です。
 

【質の高いステップとは】


 
(出典:写真AC)
ここで言う「質の高いステップ」とは、サッカーやバスケ、ラグビーなどの相手を抜き去る必要のある対人競技をイメージしていただくとわかりやすいです。
 
「質の高いステップ」には、以下の3つの条件があります。
 

1.相手に予測されにくいか

2.試合終盤でも疲れが残らないか

3.怪我をしないか

 
ちなみに、質の高いステップの最重要条件に「早いこと」を連想する方もいると思いますが、これは「1.相手に予測されにくい」という現象の中の一部の要素として捉えられます。
 
例えば、これからの季節になると現れる「蚊」は突如消えたように動きますが、急速に早くなったわけではありませんよね。
消えたように思えるのはいろいろな要素がありますが、動きの側面から言うと、予想外の動きをすることで認識のギャップを利用しているのです。
 
それらも含めて、一口に「ステップ」といっても様々な要素があります。
 
さて、あなたは「質の高いステップ」として上記で挙げた3つの条件を満たすために、何が重要だと感じますか。
 
結論から言うと、JATRAでは『筋力でステップを切る意識から重心を移動させてステップする意識』へシフトすることが重要だと考えています。
 
実は、この重心移動を活用したステップ、サッカーアルゼンチン代表のメッシ選手も多用しているのです。
メッシ選手といえば、「フェイントをしないのに相手を抜ける」ことで有名ですが、これは重心移動を活用して相手に予測できない動きを繰り出しているためとも言えます。
 
メッシ選手をご存知の方は、メッシ選手の動きをイメージしながら読み進めていただくと理解しやすいです。
 
この記事では、前半で選手達が実際どんな意識でステップしているのか、筋力でステップを切ることのデメリットはなにかをお伝えし、後半では重心を移動させてステップを切ることのメリットだけでなくデメリットもまとめています。
 
 

【筋力でステップする意識が高い選手たち】

ステップを切るときにどんなことを意識しているか選手に聞くと、以下のような回答をもらうことがあります。
 
「地面を蹴ってステップを切っている」
「母指球を意識してステップを切っている」
 
ステップを課題にしている選手ほど、こういった明確な回答を持っています。
 
これらの意識下でステップを切る場合、ステップを切りたい方向とは反対の足に体重をのせるため、強大な負担がかかることになります。
例えば、右方向にステップをしたかったら、その準備として左足に体重を大きくかけることになります。
 
急激な方向転換を強いられるステップ動作において「地面を蹴る」「母指球でステップを切る」といった意識は、先ほど挙げた質の高いステップの条件を満たせるのでしょうか。
 
 
 

【筋力をステップの力源とする場合】

1.相手に予測されにくいか
一つの関節で大きな動きをするため、相手に動きが予測されやすくなる。
 
2.試合終盤でも疲れが残らないか
同じ筋肉ばかり使うため、疲労が溜まって試合終盤に体が動かなくなる。
 
3.怪我をしないか
既に述べたように、地面を蹴ってステップする場合、ステップを切りたい方向とは反対の足に高い負荷がかかるため、関節障害や筋損傷などを伴いやすくなる。
 
弁解をするわけではありませんが、これだけデメリットを並べると、「筋力強化をするべきではないのか」という印象を持たれた方もいるかもしれません。
 
筋力強化自体を否定するわけでなく、筋力強化にもしっかりとした効果はあります。
筋力強化の効果について興味のある方は代表の中野が過去に書いた記事をご覧ください。
→筋トレの隠れた効果(http://ameblo.jp/bodysync/entry-11906350492.html
 
 
今度は反対に、重心移動でステップするときの特徴についてまとめました。
 

【重心移動でステップする場合】

1.相手に予測されにくいか
全体として大きな動きにならないだけでなく、方向転換のときにスピードが落ちにくいため、相手の意表を突く動きが可能になる。
 
2.試合終盤でも疲れが残らないか
使う筋肉や関節が一カ所に集中することなく分散されるため、疲労を起こしにくい。
 
3.怪我をしないか
上記と同様に、身体の一部分に負担が集中しないため、特定の関節だけ使うということが少なくなり、靱帯損傷や筋損傷などのリスクを下げることができる。
 
良いことばかりあるように見える、「重心移動でのステップ」ですが、デメリットもあります。
それは、習得するにはコツがあるということです。
 
一朝一夕でできるものではなく、コツをつかみ、体得するまでの練習が必要になります。
 
そして、残念ながら闇雲に「重心移動」のみを意識して体得できるものでもありません。
 
重心移動をするということは、「地面を蹴る」に代わる何か力源が必要になってくるわけですが、力源がなにかを把握し重点的にトレーニングをすれば、体得することは十分可能です。
 
次回は、重心移動のときの「地面を蹴る」に代わる力源について解説していきたいと思います。
 

【まとめ】

質の高いステップを獲得するには、筋力で移動する意識から重心を移動させる意識へ変えることがポイントです。
 
そして、重心移動によるステップは、選手たちの怪我発生率を下げるだけでなく、パフォーマンスアップにもつながります。
 
普段の練習に、「重心移動」という観点も付け加えてみてはいかがでしょうか。
 

 






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