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2019年06月06日

練習時間を長くかける理由

文:谷口祐樹

 
日本のスポーツの練習時間は種目によっても多少違いはありますが、世界と比べて長い傾向にあるといわれています。
なぜ長いのか、それには理由もありメリットもデメリットも確実に存在しています。
今回はそこに迫っていきたいと思います。
 
 

身体の自動化を狙っている

では、まずなぜ練習時間を長く確保したがのるかを考えてみます。
それは一言で言えば、身体操作の自動化を求めているのです。
試合で勝つ為には考えて動く時間など許されていないということです。
どういうフェイントを入れるか、どこにシュートを打つかなど一つ一つ考えていると脳疲労を起こし、本当に必要な状況における瞬時の判断が出来なくなる恐れがあります。
 
脳疲労を極力少なくするためには、自然と身体が動くという状態であることが求められます。
自然と身体が動くという状態に至るためにはひたすら動きを反復し、たくさんの状況を経験させ、とにかく身体で覚えることが大切であるという考えから、練習時間を出来るだけ確保するというところにたどり着いたのだと考えます。
 
ここまでの流れではやはり時間は長くかけた方が良さそうだとなりそうですが、時間をかけることによる弊害もあります。
これからメリットとデメリットに関してまとめていきます。
 
 

長時間練習のメリット・デメリット

では長時間練習のメリットからまとめます
1  体で覚える事が出来る
2 団体競技であれば、他のメンバーと動きを合わす事に時間をかける事で完成度が高くなる
3  不足分を補うこと事が出来る
4  たくさん練習を行う事で「これだけやったんだ」と精神的に満足して自信になる。
その他様々な表現があるでしょうが大枠はこの4点です。
 
次にデメリットについてまとめます。
1  余暇の時間がなくなる
2  肉体的、精神的に疲弊し怪我が多くなる。
3  練習時間が長くなる事で練習自体をこなすことが目的となる。
この3点にまとめられると思います。
私が特に一番の問題だと考えるのは最後の3番目です。
多くのスポーツが瞬間的にパワーを出す事が求められるわけですが、練習時間が長いと、疲労とともに徐々に瞬間的なパワー発揮が難しくなってしまいます。
出力が最大限に高まっていない状態のまま力を出す事を長時間学習してしまうと、逆にパフォーマンスを下げてしまうリスクすらあるのです。
 
 

データ収集し分析の時代へシフト

確かに以前は量を確保することで勝負が決まった時代もありました。つまり努力の量によって勝敗が決まる可能性が高かったのです。
しかし、時代の発展とともにデータ収集する時代にシフトし、分析することでより効率的な動きを獲得したり、戦略的に優位な立場に立てることが増えてきました。
つまり、スポーツが洗練されてきたのです。
正しいところや必要なところに努力をフォーカスできる努力の質の時代となり、努力の量で勝負できるレベルではなくなってきたということです。
 

求められる競技によって異なる

今までお伝えした事をまとめると、競技によりメリット面が強く出る場合とデメリット面が強く出る場合がある、ということです。
瞬間的な筋出力よりも正確性が求められる演技系競技では、ある程度の量を確保する事で技能が洗練され、パフォーマンスアップにつながる場合もあります。
しかし、多くのスポーツでは瞬間的にパワーを発揮することが大切になってくるため、必要以上の練習量はマイナスの学習につながります。
 
 

最後に

練習量に関しては色々な議論があると思いますが、その裁量こそが指導者の技量の1つではないでしょうか?
 
陸上界で良く言われているフレーズですが、モチベーションとアキレス腱は消耗品という言葉があります!
皆さんの練習量はこの2つが擦り切れない程度の負荷となっていますでしょうか?
一度振り返ってみて下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。
 
 

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