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2017年09月07日
球速アップのための並進運動のポイント 第2弾
前回の球速アップのための並進運動のポイントの続きになります。
前回ブログを読み逃した方は下記よりご確認ください。
➡︎ http://jarta.jp/training/10432/
前回は、位置エネルギーを効率的に運動エネルギーに変換するため「最速降下曲線」を利用した落下運動による並進運動のお話をしました。
今回は、並進運動のもう一つのポイントである「回転運動への準備」についてお話しさせて頂きます。
北海道で活動する認定トレーナーの吉野直人です。
身体の開きを抑える事の本当の意味
投球は大きく分けて、並進運動フェーズと回転運動フェーズに分ける事が出来ます。
並進運動に関しては前回のブログで説明していますが、並進運動中
には次の回転フェーズに備えておく事も同時に求められます。
右投手では並進運動後、左への回転運動が起こります。そのため最初から左回転はしない様にしながら並進運動をしていく事が投球のポイントになります。
いわゆる「身体の開きを抑える」という動作です。
具体的に言えば、骨盤の正面を打者側へ見せない動きの状態(右投手では骨盤の右回旋)を維持しながら並進運動をおこなっていきます。
目的は、全身のRSSC(回旋系伸張反射)を起こすために必要だからです。
RSSCの説明 ➡︎ http://jarta.jp/training/5871/
RSSCには以下の様なメリットがあります。
・球速の向上
・コントロールの向上
・疲労しにくい
・怪我をしにくい
「身体の開きを抑える」の意味を、相手に胸を見せない動きとして捉えている選手も多く見かけます。
胸を見せない事も当然含まれるのですが、実際には骨盤が開かない様にしておく事が重要です。
理由としては、下半身の力(骨盤の回旋エネルギー)を体幹—上肢と伝えていくためです。
RSSC(回旋系伸張反射)は、骨盤を回旋する動作から体幹—上肢へと加速的に連動していく運動であり、より多くのエネルギーを生み出すために必要です。
投手の下半身に必要な機能とは?
まず、前回からの簡単なおさらいになります。
投球のフェーズの1つ目である「並進運動」のポイントは、
- 最速降下曲線を用いた落下による並進運動によって位置エネルギーを効率的に運動エネルギーに変換する
- 1)と同時に、2)の回転運動フェーズにおいてRSSCを最大限に起こすための準備をする事です。
全ては「全身のRSSCを最大限に発揮する」ためであり、RSSCによって最大限に腕を高速で振り抜くためです。
では、そのためには投手の下半身(主に股関節)にどのような機能が必要なのかを考える必要があります。
その機能とは、
1)落下—並進運動を効率的に行うことができる
2)RSSCのための準備ができる
3)全身のRSSCを起こせる
少なくとも以上の様な機能が必須です。
もう少し具体的に言うと、
前もも(大腿四頭筋)を固めずに裏もも(ハムストリングス上部)を使える事と、股関節の関節間力を利用した股関節の屈曲動作(落下運動時)を行える事。
- 1)の要素に加え、体幹・上肢をできる限り脱力しておける事、骨盤の開きを抑える股関節の使い方ができる事。
- 1)—2)からの繋がりとして、股関節—骨盤—体幹を鋭く回旋させる事が出来る事。
細かく挙げればまだまだありますが、少なくとも以上の様な股関節—体幹の機能が必要となります。
つまり投手の下半身のトレーニング全般において、上記に挙げた機能を向上させる様なベクトルを持つことが必要です。
投手にとってのマイナスになる要素は、股関節が硬くする事、大腿四頭筋優位でハムストリングスがうまく使えない状態を作る事、体幹や上肢にも力みが入りやすい運動パターンの学習をさせる事などが代表的です。
トレーニングメニュー・実施方法によっては、上記のマイナスが起こる可能性も十分にあるので注意すべきです。
投手に必要な股関節トレーニング
起こしたい現象があり、それを起こすために必要な身体機能があります。
トレーニングには数多くのメニューが存在しますが、少なくとも上記2点を考えた上でトレーニングを構築する必要があります。
一生懸命にやってきたトレーニングがピッチングにとってマイナスとなる事も
十分にあるからです。
メニューそのものがマイナスを生み出しやすい事もあれば、メニューではなくやり方が間違っている場合など、原因は色々あると思います。
トレーニングに関しては少し長くなってきましたので、次回からのブログで徐々に紹介させて頂きたいと思います。
第一弾は、股関節周囲のストレッチなどを2種類程紹介します。
最後までお読み頂きありがとうございました。
JARTA公式HP
http://jarta.jp