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2016年05月27日
新しいトレーニングを導入するとパフォーマンスが上がる理由とその落とし穴
◯◯トレーニング
◯◯メソッド
スポーツに関わる全ての人にとってどのようなトレーニングをすればよりパフォーマンスが向上するのか?
これは永遠のテーマであると言えます。
現代では数多くのトレーニング理論や方法があり、それは無数にあるといっても過言ではありません。
そしてそれは現在進行形で今も増え続けています。
JARTA認定講師の岩渕翔一です。
無数にあるトレーニング理論や方法。選手や指導者はどのようなトレーニングをすればより効果的なのかに頭を悩ますことが少なくないはずです。
新しいトレーニングを導入し初期のうちは感触が良く一定の効果が得られ、パフォーマンスが向上する。
「これはなかなか効果的なトレーニングだ」
そう思いそのトレーニングを続けるものの、徐々に初期の頃にみられたような効果が得られず、パフォーマンスが停滞したりむしろ低下する。
こんな経験はないでしょうか?
このような状態に陥ってしまう原因をトレーニング理論や方法論に追求しても答えは一向にみつかりません。
ではなにが原因なのか?
どのようにすれば良いのか?
今回はそのことについてお話します。
<新しく取り入れたトレーニングでパフォーマンスが上がる理由>
新しく取り入れたトレーニングが初期の頃に効果的な理由。
この答えは明確です。「運動学習効果」があるからです。
運動学習とは、ある運動を熟練したレベルまでの獲得または修正していく過程を指します。
この間、脳の中ではシナプス結合の効率化が起こり、ニューロン間の結合数の増加や構造変化が起こっています。
これを脳の可塑性と言い、発達段階の神経系が環境や状況に応じて最適の処理システムを作り上げていく過程で器質的変化を起こすのです。
つまりどんなトレーニングであろうとそれまでしたことのないような動き、身体の使い方をトレーニングとして行うわけです。
最初ぎこちなくしか出来なかったそのトレーニングが徐々に滑らかに、無駄なくこなせるようになっていきます。
そうなると当然動きそのものにこれまで以上の幅が生まれます。
これまで出来なかった動きがうまく効率的にできるようになるのですから、この過程の中では当然パフォーマンスにも良い影響を与えます。
<運動学習期を過ぎたトレーニングの表裏>
運動学習期にあるトレーニングというのはどんなコンテンツであろうと心身機能をバランス良く使います。
JARTAの中で紹介しているパフォーマンスの構成要素がバランス良く働いている状態です。
これは筋肉にフォーカスしたものであろうとスピードにフォーカスしたものであろうと、とにかくどんなトレーニングでもそうです。
しかし、運動学周期を過ぎたトレーニンングというのはある一定の機能をより強化するトレーニングへと移行します。
筋力にフォーカスしたものであれば筋力に、柔軟性にフォーカスしたものであればより柔軟性にフォーカスしたものに変化します。
(やっていることは同じですが、身体に与える効果が変化するということです)
つまりトレーニングは続けていくにつれ、
動きの学習と強化
↓
局所やある一定の機能の強化
に変化していきます。
身体に与える影響そのものが変化していくわけですから、当然パフォーマンスに与える効果も変化します。
このことを考慮せず、初期の感触の良さからそのままの形や方法でトレーニングを続けると思わぬ落とし穴にはまってしまうのです。
<コンテンツは大事だが囚われてはいけない>
では、どうすれば良いのか?
考え方や方法は色々あると思います。
私から提唱するのは、「コンテンツに囚われない」ということです。
どんなトレーニング理論も方法も完璧なものなど絶対にありません。
どれだけ感触の良いトレーニングであろうとそれをそのまま続けても頭打ちするのは明白です。
例えば運動学周期を過ぎたトレーニングであれば、
- より競技パフォーマンスに近づけていくような変化を作ること
- 慣れを防ぎ運動学習し続けることのできる変化を意図して作ること
- 強化される局所や機能とパフォーマンスとの関連性の分析
が必ず必要です。大切なのはコンテンツに囚われず、
- 常に試行錯誤すること
- コンテンツを応用すること
- パフォーマンスとの繋がりを分析すること
- 変化を恐れないこと
- 身体の声を聞こうとすること
どれだけ論理的であってもどれだけ効果的であっても盲目的にコンテンツやメソッドを信じず疑ってください。
良いトレーニングも悪いトレーニングも実はありません。
どんなトレーニングであってもやり方次第で良くも悪くもなります。
時期や個人のベースによっても違ってきます。
最も重要なのはその時々で必要なものを抽出できる視点と分析力、そして応用力です。
応用力はコンテンツを学ぶだけでは身に付きません。
応用力はコンテンツの理論背景と基礎医学の土台があってこそ身に付きます。
結局重要なのはコンテンツではなく、基礎医学からなる本質力であるということです。
最後までお読みいただきありがとうございました。