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2015年02月09日

姿勢指導がパフォーマンスを悪くする

どのスポーツ競技においても、基本姿勢が存在します。
基本姿勢というのは、その姿勢だと良いパフォーマンスを発揮しやすいというその競技における理にかなった形です。
その中で、「姿勢の悪い選手」と「姿勢の良い選手」の議題が良く出現します。
では、姿勢の良い選手がみんなパフォーマンスが高いのか?
と言われると、それはそれで疑問が生じます。
姿勢が悪いから、良い姿勢を取らせようとさせることを、我々トレーナーや指導者はさせがちです。
 
北海道のJARTA認定スポーツトレーナーの犬尾です。
 
僕達がイメージしている機能解剖学的な「良い姿勢」がイコールでハイパフォーマンスに繋がる訳ではない。
トレーナーが意識しなくちゃいけないことは、形を良い姿勢に当てはめることではなくて、
「その姿勢が、その人の身体のパフォーマンスにおいて、目的に合致した姿勢であるかどうか?」
 
このトレーナー側の「姿勢の定義」が非常に重要になってきます。
 

自分がよくやっていた昔の失敗例

 
いわゆるスポーツ動作指導の代名詞、スクワットやランジ動作の姿勢で例えます。
その時の脊柱が、生理的湾曲に近い形を保つことを意識して教えていました。
 
骨盤が後傾して腰椎が後湾したり、逆に前湾し過ぎてたりしてないか。
そして、横から見てスネと体幹が平行であるか、など。
膝が、内側に入りすぎないでつま先と平行、など。
 
よく聞く話だと思いますし、もちろん、教科書的にはそう指導するのだと思います。
 
なのに、選手全員を自分の解剖学的なイメージに当てはめていると、上手く行かない例がたくさん出てきます。
スクワットの形が上手く出来る選手が、必ずパフォーマンスが高いわけではないし、ケガしないわけでもない。
スクワットの形が崩れていても、動きが早かったり、強かったり、上手かったりする選手もいる。
無理にその形に当てはめても、逆に動きがぎこちなくなったり、動きづらいと訴える選手もいました。
 
そういう選手は、結局僕の言うことを聞かず、いつのまにか自分の動きやすいスタイルに戻してしまいます。
 
なぜだか、わかりませんでした。
 
ここには、何か根本的に自分の姿勢指導に対する定義付けが違うのではないかと疑問を持ちました。
 

ハイパフォーマンスにおける良い姿勢の定義

 
考えれば、当たり前の世界です。
そもそも、一人一人骨の形態や骨格が違います。
また、その人の筋肉のバランスや癖、脳内のイメージまで挙げれば切りがないくらい一人一人が違うのです。
 
そうすると、例えば股関節のニュートラル1つでも、人によって角度が違うのも当たり前です。
 
肩関節のニュートラルが一人一人違うのも当たり前なんです。
 
ニュートラルが違うのに、こっちの勝手な解剖イメージで形に当てはめる練習をしたところで、無理が生じるだけです。
無理が生じるだけならいいですが、マジメな選手ほどそれを練習し、「マイナスの学習」に繋がっていく可能性もあるわけです。
 
 
では、「ハイパフォーマンスの良い姿勢」とはどんな状態なのでしょうか?
 
思いつくものを列挙してみます。
 

  • 疲れない姿勢、楽、省エネ
  • 筋、精神的緊張のない姿勢
  • 安定感がある(本人の中で)
  • 美しい(外見)
  • 骨で立っている感覚
  • 動きやすい。次の動作が出やすい
  • 体が緩んでいる、力みがない
  • 素早く動くための姿勢
  • 崩れても、戻って来れる(動かないという意味ではなく)
  • etc.

これらの条件とは、スポーツにおけるハイパフォーマンスが出やすい状態です。
犬尾姿勢指導①
 
 
つまり、「良い姿勢」の形を作ることではなくて、いかにこれらの条件を発揮できる姿勢を作ってあげられるか?
これらが発揮できていれば、見た目形の優先順位は下げてもいいのです。
 
犬尾姿勢指導②
 
見た目上ネコ背のように見えても、勝手にダメだと決めつけずに、拘らないことです。
そう定義付けを変えたことによって、犬尾は楽に指導することが出来るようになりました。
 
 

まとめ

 
「良い姿勢」とは、見た目上でコチラの勝手なイメージで形に当てはめていくことでは、選手は苦しくなります。
姿勢は外から当てはめるのではなく、
「その姿勢が、その人の体のパフォーマンスにおいて、目的に合致した姿勢であるかどうか?」
 

全てはパフォーマンスのために。

 
試しに、姿勢を見る時に「骨格のアライメント」ではなく、違った視点で見てみて下さい。
 
最後までお読み頂きありがとうございました。